JP2005016178A - 室装置を備える建物 - Google Patents

室装置を備える建物 Download PDF

Info

Publication number
JP2005016178A
JP2005016178A JP2003183096A JP2003183096A JP2005016178A JP 2005016178 A JP2005016178 A JP 2005016178A JP 2003183096 A JP2003183096 A JP 2003183096A JP 2003183096 A JP2003183096 A JP 2003183096A JP 2005016178 A JP2005016178 A JP 2005016178A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
floor
space
room
opening
movable
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003183096A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005016178A5 (ja
Inventor
Ryosuke Chiba
良祐 千葉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Individual
Original Assignee
Individual
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Individual filed Critical Individual
Priority to JP2003183096A priority Critical patent/JP2005016178A/ja
Publication of JP2005016178A publication Critical patent/JP2005016178A/ja
Publication of JP2005016178A5 publication Critical patent/JP2005016178A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Floor Finish (AREA)

Abstract

【課題】可動床の支持構造をより簡略化することで室空間を有効に広く使用し得るように構成した室装置を備える建物を提供する。
【解決手段】室装置F1〜F4が、開口部6aを有する固定床6と、該固定床の下方の所定空間Sと、固定床6上に配置された室空間9と、開口部6aを開放又は閉塞し得るように室空間9に昇降自在に配置された可動床12と、該可動床12を支持しつつ昇降駆動し得る支持・昇降装置Lとを有している。該支持・昇降装置Lは、開口部6aの縁部6e側に立設配置された支柱41と、一端が該支柱41に昇降自在に支持されると共に他端が開口部6aの略々中央側に延びるフォーク35と、該フォーク35により片持ち支持された状態にて可動床12を開口部6a上で昇降し得るように担持する床担持部材44とを有している。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、室装置を備える建物に係り、詳しくはマンションビル等の多層集合住宅、一階建て又は二階建て以上の一戸建て住宅、商業建築(商店ビル等)、イベント建築等、全ての建築物に用いて好適な室装置を備える建物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、昇降駆動される可動床を有する室と、固定床を有する室とを備えた1ルームマンション等において、該固定床を、コンクリートスラブからなる固定基床より高い位置に配置することにより固定床の下方に空間を設け、該空間に、上記可動床を昇降駆動する床昇降装置の駆動用の駆動装置を収納し、該可動床を上昇させた状態にあっては、上記固定床から階段を通って、上記固定基床と可動床とで囲まれたスペースに出入りできるように構成した室装置が案出されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の上記室装置における床昇降装置は、次のような構成を有している。即ち、矩形状の可動床の4隅部分に各ワイヤの一端がそれぞれ連結されており、該ワイヤは、コンクリートスラブ又は壁にそれぞれ支持された滑車等を介して付随室側に導かれている。該付随室では、所定間隔をあけて平行に延びる仕切り板にて形成された幅狭の空間部分に各ワイヤが導かれており、該ワイヤの他端が電動ウインチに連結されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−165734号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1に記載の室装置における床昇降装置によると、可動床の上昇状態で固定基床上に現出する室と、可動床の下降状態で該可動床上に現出する室とにより、同じ投影面積に2倍の室空間を現出し、1ルームマンション等の矮小なスペースの有効利用を図ることはできるが、その反面、以下に挙げるような問題も含んでいる。
【0006】
即ち、上記従来の室装置では、可動床の支持構造が複雑な4柱方式からなるので、装置の大型化を招来し易いと共に、各支柱を経由して可動床の4隅部分に至るワイヤ等を覆って外観を向上させなければならない等で、施工費が嵩み、装置価格が上昇する等の虞がある。また、建築空間の寸法緒元は、個人の好み、ライフスタイル、用途等によって千差万別であるが、上記従来の室装置は複雑な4柱方式の可動床支持構造を備えるため、寸法上の自由度が低く、ニーズに個別に対応することは困難であった。
【0007】
更に、室装置を高品質にかつ廉価に仕上げて市場供給するために、規格化や標準化は不可欠であるが、上記4柱方式によると、床寸法がたとえ1cmのみ違ったとしても、チェーンやシャフト等が全て個別対応となって、工業化(量産化)が困難になる。これを回避するため、例えば標準寸法を2種類程度に限定して、本来自由であるべき空間設計に制限を加えると、用途が限定されることになってしまう。また、現行の4柱方式では8帖程度までが標準化の限界であり、商業ビルやイベント建築、公共建築、諸建築施設等に当該方式を適用することは極めて困難である。
【0008】
そこで本発明は、可動床の支持・昇降構造を複雑な4柱方式に比して簡略化させ、装置小型化を実現すると共に製造コストを低減し、寸法上の自由度を高め得るようにし、また用途限定のような不都合も回避できるように構成し、もって上述した課題を解決した室装置を備える建物を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る本発明は(例えば図1乃至図13参照)、室装置(F1〜F4)を備える建物(1)において、
前記室装置(F1〜F4)は、開口部(6a)を有する固定床(6)と、該固定床の下方の所定空間(S)と、前記固定床上に配置された室空間(9,10,11,14)と、前記開口部(6a)を開放又は閉塞し得るように前記室空間(例えば9)に昇降自在に配置された可動床(12)と、該可動床を支持しつつ昇降駆動し得る支持・昇降装置(L)と、を備え、
前記支持・昇降装置(L)は、前記開口部(6a)の縁部(6e)側に立設配置された支柱(41)と、一端が該支柱に昇降自在に支持されると共に他端が前記開口部(6a)の略々中央側に延びるフォーク(35)と、該フォークにより片持ち支持された状態にて前記可動床(12)を前記開口部上で昇降し得るように担持する床担持部材(44)と、を備えてなる、
ことを特徴とする室装置を備える建物(1)にある。
【0010】
請求項2に係る本発明は(例えば図1、図6参照)、前記床担持部材(44)は、前記1つの開口部(6a)に対して少なくとも2つが該開口部の縁部(6e)に対し平行な状態で昇降し得るように配置されてなる、
ことを特徴とする請求項1記載の室装置を備える建物(1)にある。
【0011】
請求項3に係る本発明は(例えば図2及び図3参照)、前記床担持部材(44)は、
互いに所定の間隔をあけて略々平行に延びる状態にて、前記フォーク(35)に前記支柱(41)側から順に支持された第1の側梁(32a)及び中間梁(32b)と、
これら第1の側梁及び中間梁の各端部に固定支持されて互いに略々平行に延びる第2の側梁(33a)及び第3の側梁(33b)と、
これら第2の側梁及び第3の側梁における前記支柱(41)とは逆側の各端部に固定支持されて前記中間梁と略々平行に延びる第4の側梁(32c)と、を備えてなる、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の室装置を備える建物(1)にある。
【0012】
請求項4に係る本発明は(例えば図1、及び図9乃至図12参照)、前記固定床(6)の下方における少なくとも前記開口部(6a)と対向する位置に固定基床(5又は6b)を備え、
前記室空間(9)が、下降状態の前記可動床(6)を床面とした第1の室(9A)と、前記可動床(6)の上昇状態にて前記固定基床(5又は6b)を床面とした第2の室(9B)と、を現出し、かつ前記所定空間(9)のうちの前記開口部(6a)直下の空間(8)を除く他の空間が家具類(13,15,25〜27,29,30)の床下収納空間(7a〜7d)を構成してなる、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の室装置を備える建物(1)にある。
【0013】
請求項5に係る本発明は(例えば図1参照)、前記可動床(6)の上昇状態にて、前記開口部(6a)直下の空間(8)と該空間に隣接する前記床下収納空間(7a〜7d)との間で家具類(13,15,25〜27,29,30)を出し入れし得る移動手段(23,48,58)を備えてなる、
ことを特徴とする請求項4記載の室装置を備える建物(1)にある。
【0014】
請求項6に係る本発明は(例えば図1参照)、前記移動手段が、
前記開口部(6a)直下の空間(8)と該空間に隣接する前記床下収納空間(7a〜7d)とに亘るように延設されたレール(23)と、
前記家具類(13,15,25〜27,29,30)を前記レール上にて移動させ得る電動モータ(48)と、
前記家具類の移動・停止位置を検知する位置検知センサ(58)と、を備え、
リモートコントローラの遠隔操作により移動駆動されてなる、
ことを特徴とする請求項5記載の室装置を備える建物(1)にある。
【0015】
請求項7に係る本発明は(例えば図1参照)、前記室装置(F1〜F4)を複数積層して備え、かつ、
前記支持・昇降装置(L)にて担持される前記可動床(12)を前記開口部(6a)に対して昇降させ得る構造が前記複数の室装置(F1〜F4)の全てに設けられてなる、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の室装置を備える建物(1)にある。
【0016】
なお、上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これは、発明の理解を容易にするための便宜的なものであり、特許請求の範囲の構成に何等影響を及ぼすものではない。
【0017】
【発明の効果】
請求項1に係る本発明によると、支持・昇降装置が、開口部の縁部側に立設配置された支柱と、一端が該支柱に昇降自在に支持されると共に他端が開口部の略々中央側に延びるフォークと、該フォークにより片持ち支持された状態にて可動床を担持する床担持部材とを備えるので、可動床の昇降によりその上方及び下方にそれぞれ有効な空間を形成して居住空間を拡大できると共に、従来の4柱方式の可動床支持構造に比して構造を簡略化させて装置小型化及び製造コスト低減を実現し、また寸法上の自由度を高くしてニーズに個別に対応することを可能にする。また片持ち式の床担持部材を、支持・昇降装置の機械装置部分とは別の製造ラインで作製することにより、床担持部材の寸法、形状の自由度を高め、従来のように標準寸法を2種類程度に限定して用途を限定するような問題を回避することが可能になる。
【0018】
請求項2に係る本発明によると、床担持部材が、1つの開口部に対して少なくとも2つが該開口部の縁部に対し平行な状態で昇降し得るように配置されるので、開口部のサイズに応じ、かつ可動床間に開口部の空きスペースをどの程度残すかに応じて、開口部内に適宜サイズの可動床を適宜の数だけ配置することができる。
【0019】
請求項3に係る本発明によると、床担持部材が、フォークに支柱側から順に支持された第1の側梁及び中間梁と、第1の側梁及び中間梁の各端部に固定支持された第2の側梁及び第3の側梁と、第2の側梁及び第3の側梁の支柱と逆側の各端部に固定支持された第4の側梁と、を備えるので、可動床及び該可動床を担持した床担持部材の荷重を第1の側梁及び中間梁を介してフォークで受け、かつ第2及び第3の側梁が中間梁より張り出すことで、可動床及び該可動床上に載置される家具類の荷重を、応力集中することなく分散して担持することができる。従って、床担持部材を片持ち支持する比較的簡単でコンパクトな構造により、所要の家具類を載せた可動床を堅固に担持できると共に、該床担持部材を構成する部品点数が比較的少ないことから、コストアップを抑え得る比較的小型の支持・昇降装置が実現する。そして、可動床を有する室内のスペースを無駄にすることなく、可動床の円滑な昇降駆動を図ることができる。
【0020】
請求項4に係る本発明によると、第1の室と第2の室とを選択的に現出することにより、固定床下方の略々全域に亘って現出する広い空間を家具類の床下収納空間として利用しつつ、可動床上昇状態にあっては、固定床の開口部直下の床下空間を第2の室として活用し、かつ床下収納空間内にある家具類のうちから、第2の室を今現在どのように使用するかに応じたものを選択的に移動させ、同じ投影面積でありながら、用途の異なる居住空間を可及的に増大させて、大きな経済効果をもたらすことができる。また各室装置において、可動床を有さない他の室空間に洗面台や浴槽等が配置されている場合、これら洗面台や浴槽等に連結される配管類を、第2の室側から容易に視認することができ、従って、該視認に基づいた修理等の作業を簡便に行うことが可能となる。
【0021】
請求項5に係る本発明によると、可動床の上昇状態にて、開口部直下の空間と該空間に隣接する前記床下収納空間との間で家具類を出し入れし得る移動手段を備えるので、該移動手段の作動により、第2の室側に既に出ている家具類を床下収納空間に速やかに退避させ、それに代えて、用途に応じて適宜選択した家具類を第2の室側に容易に移動させることができ、これにより、用途に応じた状態で第2の室を有効利用することができる。
【0022】
請求項6に係る本発明によると、移動手段が、開口部直下の空間と該空間に隣接する床下収納空間とに亘るように延設されたレールと、家具類をレール上にて移動させ得る電動モータと、家具類の移動・停止位置を検知する位置検知センサとを備え、リモートコントローラの遠隔操作により移動駆動されるように構成されるので、家具類の移動が必要な際にはリモートコントローラを適宜操作するだけで、所要の家具類に対応する電動モータを作動させて該家具類をレールに沿って移動させ、位置検知センサに基づいて検出された例えば停止位置で電動モータを停止し、必要とする家具類を第2の室側の所望の位置に極めて容易に移動、位置決めすることができる。
【0023】
請求項7に係る本発明によると、支持・昇降装置にて担持される可動床を開口部に対して昇降させ得る構造が複数の室装置の全てに設けられるので、可動床の昇降にて居住空間を倍増し得るという付加価値をマンションビル等の各階に具備することになり、該マンションビル等の分譲や賃貸において、価格上の有利な条件が得らえる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面に沿って、本発明を多層構造の所謂マンションビルに適用した実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態における室装置を備えるマンションビルの全体を概略的に示す正面断面図、図2は、該マンションビルの室装置に設置されている支持・昇降装置を概略的に示す斜視図、図3は、該支持・昇降装置を上方から見た状態で示す平面図、図4は、図3における実寸法(標準サイズ)の具体例を示す表である。
【0025】
なお、本実施の形態では便宜上、多層構造の建物として4階建てのマンションビルについて説明するが、これに限らず、3階建て以下又は5階建て以上のビルディング、一階建て又は二階建て以上の一戸建て住宅、商業建築(商店ビル等)、イベント建築等、全ての建物に本発明を適用しても良いことは勿論である。また本実施の形態では、マンションビルを鉄筋コンクリート構造のものとして説明するが、これに限らず、鉄骨構造のマンションビルに本発明を適用しても良いことは勿論である。
【0026】
すなわち図1に示すように、本マンションビル1は、鉄筋コンクリート構造からなり、かつ4個の室装置F1,F2,F3,F4を積層して備える建物であって、地上レベルGLより下方に構築された基礎等の地中梁2を有し、かつ各階毎に構築された大梁4を有している。
【0027】
上記室装置F1〜F4はそれぞれ、コンクリートスラブからなりかつ所定位置に矩形状の開口部6aを有する固定床6と、該固定床6の下方にて地中梁2や大梁4等の梁部分を存する所定空間Sと、固定床6上に配置された互いに隣接する複数の可変室(室空間)9及び通常室(室空間)10,11,14(図9参照)と、上記固定床6の開口部6aを開放又は閉塞し得るように可変室9に昇降自在に設置された矩形状の可動床12と、固定床6下方に設けられたコンクリートスラブからなる固定基床5又は6bと、を有している。
【0028】
上記可動床12は、上記固定床6の開口部6aを閉塞する下降位置Dと、該開口部6aから上昇・離間して該開口部6aを開放する上昇位置Uとに移動自在となるように、後述する支持・昇降装置Lにより昇降自在に支持されている。また、上記所定空間Sのうちの開口部6a直下の床下空間8を除く他の空間により、家具類を収納する床下収納空間7a,7b,7cが構成されている。本室装置F1〜F4では、上記可動床12の上昇状態にて、上記床下空間8と上記床下収納空間7a〜7cとの間で家具類を出し入れし得るように構成されている。なお、床下収納空間7cは、図7を参照すると理解できるように、床下空間8の図1紙面奥側に位置している。
【0029】
上記固定基床5,6bは、固定床6下方における少なくとも開口部6aと対向する位置に設けられている。即ち、上記室装置F1にあっては、地中梁2に囲まれた空間内にて固定床6下方の略々全域に亘るように、固定基床5が、該地中梁2の内側に一体的に構築されている。また上記室装置F2〜F4にあっては、固定基床6bが、固定床6の開口部6aと対向する部分にのみ、該固定床表面から所定距離下降した状態の、いわゆる掘り炬燵状にして配置されている。つまり、開口部6aと略々同じ面積に形成された固定基床6bが、連結部6cを介して、固定床6における開口部6aの周囲部分から所定距離下降した状態に保持されている。更に室装置F2〜F4にあっては、固定基床6bの直ぐ下方にて、大梁4に囲まれた空間内で固定床6下方の略々全域に亘るように該大梁4の内側に底盤3が配置されている。該底盤3は、小梁38等によって担持されている。
【0030】
そして室装置F1〜F4において、上記固定床6上には、床面をなすフローリング28が設けられており、可動床12上には、上記固定床6上のフローリング28と色や模様等が同一のフローリング28aが設けられている。また、室装置F1の固定基床5上、及び室装置F2〜F4の固定基床6b上には、それぞれフローリング24が設けられている。
【0031】
また床下収納空間7a,7b,7cと床下空間8との間に位置する上記連結部6cには、家具類を通過させ得るサイズの開口が形成されている。そして、開口部6a直下の空間8と該空間8に隣接する床下収納空間7a〜7d(7dは図8参照)とに亘るように固定基床5又は6b上にレール23が延設されている。また、家具類13,15,25〜27,29,30には、これらをレール23上にて移動させ得る電動モータ48と、家具類の移動・停止位置を検知する位置検知センサ58とが設けられている。なお、これら電動モータ48及び位置検知センサ58は、便宜上、図1における室装置F1にのみ図示したが、他の室装置F2,F3,F4においても同様に配置されることは勿論である。また、電動モータ48は、家具類のそれぞれに個別に設けられるものであり、位置検知センサ58は、レール23に沿った家具類の移動軌跡における必要箇所にそれぞれ設けられる。
【0032】
これらレール23、電動モータ48及び位置検知センサ58により、家具類13,15,25〜27,29,30を空間8と床下収納空間7a〜7dとの間で自在に移動し得る移動装置が構成されているが、電動モータ48及び位置検知センサ58は、上述のように、他の室装置F2,F3,F4にも同様に設けられている。上記移動装置は、図示しないリモートコントローラを用いた遠隔操作により、自動的に作動して、容易にかつ確実に家具類13,15,25〜27,29,30を目的の位置に移動させるように構成されている。
【0033】
また、上記可変室9と通常室10との間は、通路21aを有する間仕切り21によって仕切られており、可変室9と通常室11との間は、通路22aを有する間仕切り22によって仕切られている。これら間仕切り21,22の各通路21a,22aには、不図示の開閉式ドアが装着されている。これら間仕切り21,22に代えて、例えばアコーディオンカーテン(図9(a)参照)等を用いることもできる。可変室9は、上述したように、可動床12を下降位置Dに保持した状態では該可動床12を床面とする第1の室9Aを、また可動床12を上昇位置Uに保持した状態では固定基床5又は6bを床面とする第2の室9Bをそれぞれ現出する。
【0034】
室装置F1では、可動床12のフローリング28a上にテーブル13及び座布団15が載置され、床下収納空間7aのフローリング24上にソファ26及びダイニングテーブル25からなる応接セットが配置され、床下収納空間7bのフローリング24上に応接ソファ27が配置され、床下収納空間7cのフローリング24上にベッド29が配置されている。更に、通常室10のフローリング28上には、パーソナルコンピュータ(以下、パソコンと言う)17が載置されたデスク16と、椅子19とが配置されており、通常室11のフローリング28上には、鏡台18及び椅子19が配置されている。
【0035】
そして室装置F2では、可動床12のフローリング28a上にソファ26及びダイニングテーブル25が配置され、床下収納空間7aの底盤3上に応接ソファ27が配置され、床下収納空間7bの底盤3上にテーブル13及び座布団15が載置され、床下収納空間7cの底盤3上にソファ30が配置されている。更に、通常室10のフローリング28上にはテレビ受像器31及び座布団15が配置されており、通常室11のフローリング28上には、パソコン17が載置されたデスク16、及び椅子19が配置されている。
【0036】
そして室装置F3では、可動床12のフローリング28a上にテーブル13及び座布団15が配置され、床下収納空間7aの底盤3上にテーブル25及びソファ26が配置され、床下収納空間7bの底盤3上に応接ソファ27が配置され、床下収納空間7cの底盤3上にベッド29が配置されている。また、通常室10のフローリング28上には、パソコン17が載置されたデスク16、及び椅子19が配置されており、通常室11のフローリング28上には鏡台18及び椅子19が配置されている。
【0037】
また室装置F4では、可動床12のフローリング28a上に応接ソファ27が配置され、床下収納空間7aの底盤3上にテーブル25及びソファ26が配置され、床下収納空間7bの底盤3上にテーブル13及び座布団15が配置され、床下収納空間7cの底盤3上にソファ30が配置されている。また、通常室10のフローリング28上には鏡台18及び椅子19が配置されており、通常室11のフローリング28上には座布団15及びテレビ受像器31が配置されている。
【0038】
上述したソファ26、ダイニングテーブル25、応接ソファ27及びベッド29等の家具類はいずれも、それぞれの下部に延設された上述のレール23等からなる上記移動装置の、リモートコントローラを用いた遠隔操作に基づく作動により、床下空間8と床下収納空間7a〜7cとの間を自動で出入りし得るように構成される。また、図示は省略しているが、室装置F2〜F4における床下収納空間7a〜7c内の底盤3上には、適宜フローリングが敷かれている。
【0039】
また、上記マンションビル1では、固定基床6bが、居住者(使用者)と共に家具類29,30等を強固に担持できるようにコンクリートスラブ等で構成されている。また、底盤3を、例えば室装置F1における固定基床5と同様、大梁4に囲まれた空間内で固定床6下方の略々全域に亘るように該大梁4と一体的に堅固に構築した場合には、固定基床6bを無くして、当該底盤3そのものを固定基床として構成することができる。
【0040】
ついで、図2に沿って上記支持・昇降装置Lについて説明する。該支持・昇降装置Lは、室装置F1〜F4における不図示の壁部分に配置されて、可動床12を支持しつつ昇降駆動するもので、互いに平行に立設配置された支柱41,41と、該支柱41,41の上下部分にそれぞれ互いに平行に配置された回転軸37,42と、回転軸37の軸方向に所定の距離をあけて該軸37に固定されたスプロケット39,39と、回転軸42の軸方向に所定の距離をあけて該軸42に固定されたスプロケット43,43と、を有している。
【0041】
更に支持・昇降装置Lは、スプロケット39,39とスプロケット43,43との間に巻回されたチェーン40,40と、上記支柱41,41の長手方向と直交するように支持された状態で上記チェーン40,40の移動に伴い上記支柱41,41に沿って昇降移動するフォーク35,35と、該フォーク35,35により片持ち支持された状態で可動床12を担持する床担持部材44と、回転軸42の一端部に連結された減速機36と、該減速機36にトルクを付与する不図示の電動モータ34と、を有している。なお、図2中の符号47はベースアームである。また、図3において上記減速機36及び電動モータ34の配置位置は、便宜上、図2の場合と逆になっているが、電動モータ34の駆動時の支持・昇降装置Lの作動状態は同様であることは勿論である。
【0042】
また、図5及び図6に沿って後に詳述する、支柱41の3本の構成例或いは4本の構成例において、上記フォーク35は、増加分の支柱41に対応してその本数が増加するが、その場合には、各2本の支柱41,41毎に対応して具備する回転軸37,42をその軸方向に延長し、各支柱41に対応するスプロケット39同士及びスプロケット43同士を互いに連動連結する構造とされる。従って、床担持部材44が長くなって、対応する支柱41が例えば4本配置されるような構成となっても、対応する電動モータ34は1個で足りる。このように1個の電動モータ34の駆動により、長尺の回転軸37,42を介して、各フォーク35に対応するスプロケット39及びスプロケット43を同期して回転させ得ることにより、縦長の床担持部材44(つまり可動床12)を極めて安定して昇降駆動することができる。
【0043】
また、上記支持・昇降装置Lは、図2及び図5(a)から理解できるように、機械駆動部の大部分がその前後方向寸法(つまり厚さ)を薄く構成されているので、図5(a)に符号68で示す壁や押入れ等の収納部に略々全体を収納することができる。これにより、該収納部68に大部分を収納された支持・昇降装置Lから突出するフォーク35,35にて、床担持部材44を安定にかつ確実に担持する構造が得られる。
【0044】
次に、上記床担持部材44を図2及び図3に沿って詳細に説明する。両図に示すように、床担持部材44は、互いに所定の間隔をあけて略々平行に延びる状態にて、フォーク35,35に支柱41,41側から順に支持された第1の側梁32a及び中間梁32bと、これら第1の側梁32a及び中間梁32bの各端部に固定支持されて互いに略々平行に延びる第2の側梁33a及び第3の側梁33bと、これら第2の側梁33a及び第3の側梁33bにおける支柱41とは逆側の各端部に固定支持されて中間梁32bと略々平行に延びる第4の側梁32cと、を有している。更に、中間梁32bと第4の側梁32cとの間には、側梁33a,33bと略々平行に配列された複数の支持部材(根太)45が掛け渡されており、またこれら側梁33a,33bの間には、側梁32a及び中間梁32bと略々平行に配列された複数の支持部材(根太)46が掛け渡されている。
【0045】
従って、上記支持・昇降装置Lでは、不図示の電動モータの回転駆動でチェーン40,40が同速で移動することに基づき、床担持部材44で担持された可動床12が、フォーク35,35を介して固定基床5又は6bに対して平行に昇降移動し得る。これにより、可動床12及び該可動床12を担持した床担持部材44の荷重を、第1の側梁32a及び中間梁32bを介してフォーク35,35で受け、かつ第2の側梁33a及び第3の側梁33bが中間梁32bより張り出すことで可動床12及び該可動床12上に載置される家具類の荷重を、応力集中することなく分散して担持し得る。従って、床担持部材44を片持ち支持する比較的簡単でかつコンパクトな構造により、所要の家具類を載せた可動床12を堅固に担持できると共に、該床担持部材44を構成する部品点数が比較的少ないことから、コストアップを抑え得る比較的小型の支持・昇降装置Lが実現する。そして、可動床12を有する室内のスペースを無駄にすることなく、可動床12の円滑な昇降駆動を図ることができる。
【0046】
ここで、支持・昇降装置Lの実際の各部寸法について図4に例を挙げて説明する。即ち同図の表(標準サイズ表)では、縦軸に、床担持部材44(つまり可動床12)の広さをそれぞれ、4.5帖、縦長の6帖、横長の6帖、8帖、9帖、10帖、1タイプの12帖(12帖の1)、2タイプの12帖(12帖の2)、15帖、16帖、20帖として示している。また横軸には、図3に示す、床担持部材44の幅A、床担持部材44の奥行きB、フォーク35,35間の距離C、ベースアーム47の長さD、第1の側梁32aから中間梁32bまでの距離(奥行き)E、支柱41の本数F、電動モータ34の出力(定格)G、及びベースアーム47間の距離(幅)Hをそれぞれ示している。なお同表において、一間は1.81mとし、床担持部材44(つまり可動床12)の周囲部分と固定床6の開口部6aの縁部6e(図1、図9(b)参照)との間の隙間を10mmとしている。
【0047】
同表から分かるように、床担持部材44の広さが、4.5帖から、6帖、8帖、9帖、10帖、1タイプの12帖、2タイプの12帖、15帖、16帖、20帖と広くなるにつれて、床担持部材44の幅Aが次第に広くなるが、それに応じて、フォーク35,35間の距離C、並びにベースアーム47間の距離Hが適宜段階的に大きくされ、支柱41の本数も適宜段階的に増加されていることが分かる。
【0048】
ついで、図5に沿って、支持・昇降装置Lの具体的な設置状況について説明する。同図は、支持・昇降装置Lを模式的に示す斜視図であり、(a)は室内への組込み態様を示し、(b)は床担持部材44(つまり可動床12)を3本の支柱41で担持する構成例を示し、(c)は床担持部材44(つまり可動床12)を4本の支柱41で担持する構成例を示している。
【0049】
図5(a)に示すように、支持・昇降装置Lは、前述したように、固定床6の開口部6a周囲の縁部6e(図1、図9参照)側に設けられた壁部や押入れ等の収納部68に収容されて、フォーク35のみを開口部6aの略々中央側に突出した状態となっている。また図5(b)に示すように、支持・昇降装置Lにおける床担持部材44(つまり可動床12)の支持構造として、床担持部材44の縁部6eに対して等間隔で3本配置した支柱41からなる基本形が挙げられる。更に図5(c)に示すように、支持・昇降装置Lにおける床担持部材44の支持構造として、床担持部材44の縁部6eに対して等間隔で4本配置した支柱41からなる基本形が挙げられる。これらの場合、隣接する支柱41,41の間にはそれぞれ、床担持部材44を担持するフォーク35が2本ずつ設けられる。
【0050】
図6は、複数の支持・昇降装置Lによる複数の可動床の配置例を示す斜視図であり、(a)は2枚の可動床12a,12bを互いに近接対向させる構成例を示し、(b)は2枚の可動床12a,12bを所定距離離して配置した構成例を示し、(c)は3枚の可動床12a〜12cを逆コの字状をなすように配置した構成例を示し、(d)は4枚の可動床12a〜12dを矩形状をなすように配置した構成例を示している。
【0051】
すなわち、図6(a)に示した構成例では、例えば開口部6aの面積が可動床12の略々2倍ある場合に、2枚の可動床12a,12bの長辺同士を近接対向させた状態で、開口部6aの全体を閉塞している。この場合、可動床12a,12bのそれぞれに対応して、支柱41を縁部6e側に3本ずつ配置した支持・昇降装置Lが設けられており、該支持・昇降装置Lは、フォーク35を突出させた状態で、上述したように収納部68等に収納される。また、対向する可動床12a,12bの間には、昇降動作時に相互に接触しないように、例えば10mm程度の隙間を設けている。
【0052】
また、図6(b)に示した構成例は、例えば開口部6aの面積が可動床12の2倍以上ある場合に、2枚の可動床12a,12bの長辺同士を所定距離離して対向させた状態で、開口部6aの中央に空きスペースを残したままで該開口部6aの縁部6e(図1、図9参照)側を閉塞し得るようにしたものである。この場合、同図に示す開口部6aは、図6(a)に示す開口部6aより長辺及び短辺方向がいずれも長く構成されて、可動床12a,12bのそれぞれには、支柱41を4本ずつ配置した支持・昇降装置Lが設けられる。
【0053】
また、図6(c)に示した構成例は、例えば開口部6aの面積が可動床12の3倍以上ある場合に、2枚の可動床12a,12bの長辺同士を所定距離離して対向させると共に、これら可動床12a,12bの同じ側の一端部に共通に対向するように可動床12cを配置した状態で、開口部6aの中央に空きスペースを残したままで該開口部6aの縁部6e側を閉塞し得るようにしたものである。この場合、同図に示す開口部6aは、図6(b)に示す開口部6aより長辺方向がやや長く構成されて、可動床12a,12bのそれぞれには、開口部6aをなす3つの縁部6eそれぞれの側に支柱41を4本ずつ配置した支持・昇降装置L・・が用意される。この場合、可動床12a,12bの各一端部とその対向する開口部6aの縁部6eとの間には、例えば10mm程度の隙間が介在される。
【0054】
更に、図6(d)に示した構成例は、例えば開口部6aの面積が可動床12の4倍以上ある場合に、2枚の可動床12a,12bの長辺同士を所定距離離して対向させると共に、これら可動床12a,12bの同じ側の一端部に共通に対向するように可動床12cを配置し、かつ可動床12a,12bの他端部に共通に対向するように可動床12dを配置した状態で、開口部6aの中央に空きスペースを残したままで該開口部6aの縁部6e側を閉塞し得るようにしたものである。この場合、同図に示す開口部6aは、図6(b)に示す開口部6aより長辺方向が更に長く構成されており、また可動床12a,12bのそれぞれには、開口部6aをなす4つの縁部6eそれぞれの側に支柱41を4本ずつ配置した支持・昇降装置L…が用意される。この場合、可動床12a,12bの一端部及び他端部とそれぞれ対向する開口部6aの各縁部6eとの間には、例えば10mm程度の隙間が介在される。
【0055】
なお、図6(a)〜(d)において、可動床12a〜12d(従って床担持部材44)の周囲に位置する開口部6aは図示省略しているが、図1及び図9(a),(b)等を併せて参照することにより、可動床12a〜12dをそれぞれ担持する床担持部材44(の少なくとも長辺)が、1つの開口部6aの縁部6eに対し平行な状態で昇降し得るように支持(配置)されていることが理解できる。
【0056】
以上のように、1つの開口部6aに対して少なくとも2つの床担持部材44(つまり可動床)が該開口部6aの縁部6eに対して平行な状態で昇降し得るように配置されるので、開口部6aのサイズに応じ、かつ可動床12間に開口部6aの空きスペースをどの程度残すかに応じて、開口部6a内に適宜サイズの可動床12を配置することで、開口部6aの縁部6e側にて可動床12を用途に応じて昇降動作させ得る構造を具備した室装置F1,F2,F3,F4を実現することができる。
【0057】
続いて、上述した室装置F1〜F4を図7乃至図12に沿ってより詳細に説明する。図7は、例えば図1の室装置F3に対応する室構成を示す平面図であり、図8は、図7の室構成に床下収納空間7dを更に加えた室構成を概念的に示す平面図である。また室装置F1〜F4において、1階部分の室装置F1は地中梁2(図1参照)にて所定空間Sを囲繞され、室装置F2〜F4は大梁4(図1参照)にて所定空間Sを囲繞されている点で異なるが、他には家具類の配置以外に差異が無い。従って、ここでは室装置F3を例に挙げて室構成を説明するが、その室構成が他の室装置F1,F2及びF4においても共通することは勿論である。なお図7では、固定床6を図示省略し、床下収納空間7a〜7cを透過した状態として描いている。
【0058】
図7に示すように、室装置F3にあっては、固定床6(図1参照)の下方に、床下空間8の図7左右に隣接するように床下収納空間7a,7bが、また可動床12の同図上方に隣接するように床下収納空間7cが、それぞれ位置している。床下収納空間7aには、図1に示したダイニングテーブル25及びソファ26以外にアイロン台49等が配置され、また床下収納空間7bには、図1に示した応接ソファ27以外に、マッサージ機50及びオーディオセット51が配置されている。そして、床下収納空間7cには、図1に示したベッド29が配置されている。これらの家具類は、前述したように、それぞれの下部に延設されたレール23(図1参照)に沿って移動し得るように構成されている。なお、図7中の符号64は、固定床6上に配置されたトイレルームである。
【0059】
図7に示した上記構成は、床下空間8の図中左右及び上方の隣接する三方に床下収納空間7a,7b,7cを設けた例であるが、これに限らず、例えば図8に示すように、床下空間8の図中左右及び上下の四方にそれぞれ隣接するように床下収納空間7a,7b,7c,7dを設けることもできる。この場合、上記三方に設ける場合に比して、収容可能な家具類の個数及び種類を増やすことができるので、可変室9の用途を選択する際のバリエーションが更に広がる。また例えば、床下空間8の図中左部分にのみ床下収納空間7aを設け(図13参照)、或いは、床下空間8の図中左右部分にのみ床下収納空間7a,7bを設けるような構成(図示せず)とすることもできる。
【0060】
図9は、室装置F3をその固定床6を透過しない状態で示したもので、(a)は、可動床12を下降位置D(図1参照)に下降させて開口部6aを閉塞し、第1の室9Aを現出した状態を示す平面図、(b)は、可動床12と開口部6aの縁部6eとの関係を示すIXb−IXb線に沿った断面図である。該構成では、同図(a)に示すように、可動床12上に畳55が敷かれて、第1の室9Aが和室として使用されている。また、床下収納空間7c(図7及び図8参照)上には通常室14が配置されており、該通常室14と上記第1の室9Aとは間仕切り20にて仕切られている。該間仕切り20には通路20aが形成されており、該通路20aは、間仕切り20に回動自在に支持されたドア20bによって開閉される。また、床下収納空間7bのマッサージ機50(図7参照)上にはバルコニー52が構築されており、通常室14とトイレルーム48との間にはアコーディオンカーテン56が配置されている。
【0061】
なお、図9において、第1の室9Aと通常室11とを仕切る図1中の間仕切り22は、図示を省略している。また、図9(b)に示すように、固定床6における開口部6aの縁部6eには段差部6dが設けられており、下降位置Dに移動した可動床12(従って床担持部材44)は、縁部6eと平行にされた状態で、段差部6dにて安定して担持される。当該段差部6dは、開口部6aの内周全体に形成されていることは勿論である。
【0062】
図10は、室装置F3をその固定床6を透過しない状態で示したもので、可動床12を上昇位置U(図1参照)に上昇させて開口部6aを開放し、第2の室9Bを現出した状態を示す平面図である。該構成では、移動装置の作動により、通常室14下方の床下収納空間7c(図7及び図8参照)から固定基床6b上にベッド29が引き出されて、第2の室9Bが寝室(ベッドルーム)として使用されている。また、上記固定基床6b上における開口部6aの一隅には階段57が配置されており、第2の室9Bを使用する使用者は、該階段57を利用することにより、通常室10,11,14への出入りを簡便に行なうことができる。
【0063】
図11は、図10と同様、開口部6aを開放して第2の室9Bを現出した状態で示す平面図であるが、該第2の室9Bの固定基床6b上には、ダイニングテーブル25及びソファ26からなる応接セットが配置され、該第2の室9Bが応接室として使用されている。
【0064】
図12も、図10と同様、開口部6aを開放して第2の室9Bを現出した状態で示す平面図であるが、該第2の室9Bの固定基床6b上では、階段57、ダイニングテーブル25及びソファ26の各配置が変更されていると共に、応接ソファ27が更に配置されている。
【0065】
以上のマンションビル1では、可動床12の下降状態にて該可動床12を床面とした第1の室9Aと、可動床12の上昇状態にて固定基床5又は6bを床面とした第2の室9Bと、を現出できると共に、可動床12を上昇位置Uに保持した状態にて、第2の室9Bに隣接する床下収納空間7a〜7dから所要の家具類を該第2の室9Bに移動させて使用することができる。従って、可動床12上に予め配置しておいた家具類により、第1の室9Aを和室や洋室等として活用し、また床下収納空間7a〜7dに予め収納しておいた家具類を適宜選択的に移動させることにより、第2の室9Bを、和室、洋室、応接間或いは寝室等として、より広い用途にて活用することができる。
【0066】
これにより、積層される複数の室装置F1〜F4のそれぞれにて、固定床6下方の略々全域に亘って設けられる広い所定空間Sを家具類の床下収納空間7a〜7dとして利用しつつ、可動床12の上昇状態では、開口部6a直下の床下空間8を第2の室9Bとして活用することができる。そして、床下収納空間7a〜7dに収納した家具類から、第2の室9Bを今現在どのような用途で使用するかに応じたものを任意に選択し、リモートコントローラによる前記移動装置の遠隔操作で移動させることにより、固定床6と固定基床5(又は6b)との間の床下空間を有効利用しつつ、同じ投影面積でありながら、用途の異なる居住空間を可及的に増大させることができる。
【0067】
しかも、これらの使用態様は、積層された複数の室装置F1〜F4の全てにおいて同様に実施できるので、同じ空間を最大限に有効利用したマンションビル1を実現して、大きな経済効果をもたらすことができる。また、室装置F1〜F4のそれぞれにおいて、例えば可動床12を有さない他の室空間10,11,14に洗面台や浴槽等が配置されている場合、これら洗面台や浴槽等に連結された配管類を、第2の室9B側から容易に視認することができ、従って、該視認に基づいた修理等の作業を容易に行うことができる。
【0068】
ついで、図13に沿って、可動床12の昇降移動によって現出する第1の室9Aと第2の室9Bとを使い分ける手法等について説明する。同図は、図1に示した室装置F1におけるように可動床12を上昇位置Uに上昇させた状態で、固定基床5上に現出する第2の室9Bを使用する際の具体的な様子を示す構成例である。
【0069】
上記構成例は、固定床6の下方に設けられた所定空間Sと、固定床6上に配置された通常室10及びこれに隣接する可変室9と、固定床6の開口部6aの上方に昇降自在に設置された可動床12と、固定床6下方に設けられたコンクリートスラブからなる固定基床5と、を有している。可動床12は、図示しない支持・昇降装置Lにより昇降自在に支持されている。
【0070】
また、上記所定空間Sのうちの上記開口部6a直下の床下空間8を除く他の空間により、家具類を収納する床下収納空間7aが構成されている。上記固定基床5は、地中梁2(図1参照)に囲まれた空間内にて固定床6下方の略々全域に亘るように、固定基床5が、該地中梁2の内側に一体的に構築されている。なお、本室装置にあっても勿論、可動床12の上昇状態にて床下空間8と床下収納空間7aとの間で、移動装置の遠隔操作でレール23に沿って家具類を自在に出し入れできるように構成されるが、該移動装置の図示は省略している。
【0071】
そして上記構成例においては、可動床12のフローリング28a上にテーブル13が載置され、床下収納空間7a内には何も配置されていない。また、通常室10のフローリング28上には、パソコン17が載置されたデスク16が配置され、該デスク16の前方にはソファ65が配置され、床下空間8における固定基床5上のフローリング24には、椅子19が2つ配置されている。なお、図中の符号66は、第1の室9A及び第2の室9Bで共通に使用できるように構成した窓である。
【0072】
また、可変室9の1つの壁部に設けられた収納棚は、上下3段の上段収納棚61、下段収納棚62及び共通収容棚63により構成されている。可動床12が同図上昇位置Uにある場合には、上段収納棚61は使用不能となり、下段収納棚62及び共通収容棚63のみが使用可能となる。一方、可動床12が同図下降位置Dにある場合には、下段収納棚62は使用不能となり、上段収納棚61及び共通収容棚63が使用可能となる。
【0073】
このように上記収納棚は、可動床12が下降位置Dにある第1の室9A(図1参照)のみにて使用可能となる上段収納棚61、及び可動床12が上昇位置Uにある第2の室9Bのみにて使用可能となる下段収納棚62と共に、可動床12の上昇下降位置に拘らず、第1の室9A及び第2の室9Bにおいて共通に使用できる中段収納棚63を有するので、収容棚全体の構成が簡略化されている。
【0074】
以上のように本実施の形態では、床下収納部を建築物の1層として位置づけ、地中梁2及び大梁4を利用した各階の梁空間を設けることにより、床下収納面積を全床面積に拡大し、家具、生活機器(例えば、ベッド、応接セット、パソコン、オーディオセット、マージャン台)の種類や、サイズの拡大に繋げ、また生活者によって新たな物品を収納して各種用途(例えば、洗顔器を収納してエステルームとして活用、或いは、複数の机や椅子を収納して各種集会や稽古教室として活用)に活用することを提案している。これにより、実質使用の生活空間を、単に空間的に倍増するだけでなく、必要な時間帯に可動床12を昇降移動させることで幅を広げた空間(いわば多次元空間)により、「多様化」「個性化」「24時間生活時代」の新しいライフスタイルを創造できる。
【0075】
本実施の形態における2層構造は、平面的な広がりだけでなく、可動床12の垂直面をなす壁部と可動床12との間に所定の隙間(スペース)を作り(図13参照)、当該隙間に上段収納棚61、下段収納棚62と共に、可動床12の昇降作動で形成し得る第1及び第2の室9A,9Bの双方で共通に使用できる共通収容棚63を設けることで、限られた空間を無駄なく有効に活用して、快適な部屋空間を得ている。また例えば、上記所定の隙間における共通収容棚63の位置に、テレビ受像器やエアーコンディショナー等を設置することで、用途の異なる第1及び第2の室9A,9Bの双方でテレビ受像器やエアーコンディショナー等を共用化することができ、これにより、省エネルギー、省設備化に寄与することも可能である。
【0076】
本実施の形態によると、いわば多次元空間の実現により、下階居室と上階居室とを連通する吹き抜けを設ける等の所謂メゾネット化で得られる部屋機能をはるかに上回る部屋機能を得ることができる。例えば、14坪の平面床面積で9通りの部屋として活用でき、当該構造により不要となる廊下を含め、実質使用床面積を48坪とし、従来のメゾネット方式住宅とするよりもはるかに高い住機能を得ることができる。
【0077】
本実施の形態では、例えば、部屋用途を和室(6帖+フローリング)とする場合、広さは例えば8帖として活用できる(この際、可動床12は下降)。また、部屋用途をダイニングルームとする場合、広さは例えば8帖として活用できる(この際、可動床12は上昇させ、床下収納空間7からダイニングセットを引き出す)。更に、部屋用途を応接室とする場合、広さは例えば8帖として活用できる(この際、可動床12は上昇させ、床下収納空間7から応接セットを引き出す。又は壁の引き出し式机を利用する)。そして、部屋用途をベッドールームとする場合、広さは例えば8帖として活用できる(この際、可動床12は上昇させ、床下収納空間7からベッド29を引き出す)。
【0078】
また、部屋用途を家事室とする場合、広さは例えば8帖として活用できる(この際、可動床12は上昇させ、床下収納空間7からアイロン台、裁縫セット等を引き出す)。更に、部屋用途を趣味やトレーニング室とする場合、広さは例えば8帖×2として活用できる(この際、可動床12は上昇させ、オーディオセットを引き出してオーディオルームとし、マッサージ機を引き出してマッサージ室とし、トレーニング機器を引き出してトレーニング等とする)。そして、部屋用途をホームパーティルームとする場合、広さは例えば14帖として活用できる(この際、可動床12は上昇させ、間仕切りを開放し、子供部屋をステージとする)。以上を総計すると、本室装置を備える建物では44坪として活用できることが分かるが、更に、在来工法において必要であった4坪程度の廊下が不要になることから、実質的にはこの4坪を加えた48坪が在来実質等価面積となる。
【0079】
また、階高に関して考える場合、在来のメゾネット方式住宅では、通常の住宅の1階の階高の2倍、即ち少なくとも
2.8×2=5.6[m]
が必要であるのに対し、本室装置を備える建物(マンションビル1)によると、
2.8+1.0=3.8[m]
のみで上記の住機能を得ることができる。法的に高さ制限を受ける建物において、このメリットは同一高さでの戸数増加に繋がり、供給側の採算性向上、市場側の購入価格帯の低減等に寄与することができる。また、所定の戸数を得るための材料、工事費が低減でき、これも供給側の採算性の向上、市場側の購入価格帯低減に寄与することになる。
【0080】
そして、本実施形態の室装置を備える建物により上記住機能を提供できるので、在来のメゾネット方式の住宅に比して階段室や廊下の間接空間が不要となり、その面積分を直接の生活空間に充当でき、従って、上記部屋機能と同様の利益を供給側、市場側の双方にもたらすことができる。そして、可動床12の存在により、用途を「可動空間仕切り」によって広さを変え、床下収納空間7に対する家具類の出し入れにより、生活用具を調え、自分好みの空間を自由に創ることができる。
【0081】
本実施の形態によると、支持・昇降装置Lが、開口部6aの縁部6e側に立設配置された支柱41と、一端が該支柱41に昇降自在に支持されると共に他端が開口部6aの略々中央側に延びるフォーク35と、該フォーク35により片持ち支持された状態にて可動床12を担持する床担持部材44とを備えるので、可動床12の昇降によりその上方及び下方にそれぞれ有効な空間を形成して居住空間を有効に拡大することができると共に、従来の4柱方式の可動床支持構造に比して構造を大幅に簡略化させて装置小型化及び製造コスト低減を実現し、寸法上の自由度を高くしてニーズに個別に対応することを可能にする効果が得られる。また、従来のように標準寸法を2種類程度に限定して用途を限定するような問題も回避することができる。
【0082】
また、支持・昇降装置Lにおいて点検が必要な機械装置を全て壁部や押入れ等の収納部68に収納することができるので、支柱41,梁,チェーン40等に対する煩雑な仕上げ工程が一切不要になると共に、収納部68に簡便な引き戸や開き戸等を設けて開閉式にするだけで点検も簡便に行えるようになり、施工費を格安としながらも、見栄えを良好にすることができる。
【0083】
また本実施形態によると、支持・昇降装置Lにおける床担持部材44(図3、図4参照)のみを標準化すればよく、当該床担持部材44は、機械装置である電動モータ34、支柱41及びチェーン40等の部分の製造ラインとは分離(通常の小規模鉄工所等の下請け加工で可)できるため、寸法だけでなく、その形状(例えば三角形や楕円形等でもよい)についても自由に対応することができ、その場合でも価格、品質、納期等に殆ど影響が出ることはない。
【0084】
更に、床担持部材44の長手方向に支柱41を増やしていけば、例えば1基で10m程度の可動床12を床担することもでき(図4参照)、それ以上のサイズの場合には、適宜のサイズのものを何基でも並べて配置すればよく、従って、遊歩道のようにかなり長尺なものに対しても充分に対処することができる。床担持部材44の奥行きは、例えば図6(a)に示したように、2基の支持・昇降装置Lを並列的に配置することにより8m程度まで可能となる。空間がそれ以上の場合には、例えば図6(b)〜(d)に示したように、中間に吹き抜け部(空きスペース)を設けることにより適用可能となる。以上の片持ち式の支持・昇降装置Lにより、種々の構造を備えた建築諸施設への新しい適用が可能になる。
【0085】
また前述したように、固定床6の下方における少なくとも開口部6aと対向する位置に固定基床5又は6bを備え、室空間9が、下降状態の可動床12を床面とした第1の室9Aと、可動床12の上昇状態にて固定基床5又は6bを床面とした第2の室9Bと、を現出し、かつ所定空間のうちの開口部6a直下の空間8を除く他の空間が家具類の床下収納空間7a〜7dを構成するので、第1の室9Aと第2の室9Bとを選択的に現出することができる。これにより、固定床6下方の略々全域に亘って現出する広い空間を家具類の床下収納空間7a〜7dとして利用しつつ、可動床6上昇状態にあっては、固定床6の開口部6a直下の床下空間を第2の室9Bとして活用し、かつ床下収納空間内にある家具類のうちから、第2の室9Bを今現在どのように使用するかに応じたものを選択的に移動させることにより、同じ投影面積でありながら、用途の異なる居住空間を可及的に増大させて、大きな経済効果をもたらすことができる。
【0086】
また可動床6の上昇状態にて、開口部6a直下の空間8と該空間8に隣接する床下収納空間7a〜7dとの間で家具類13,15,25〜27,29,30を出し入れし得る移動手段(23,48,58)を備えるので、該移動手段の作動により、第2の室9B側に既に出ている家具類を床下収納空間7a〜7dに速やかに退避させ、それに代えて、用途に応じて適宜選択した家具類を第2の室9B側に容易に移動させることにより、用途に対応した状態で第2の室9Bを使用することができる。
【0087】
更に移動手段が、開口部6a直下の空間8と該空間8に隣接する床下収納空間7a〜7dとに亘るように延設されたレール23と、家具類13,15,25〜27,29,30をレール23上にて移動させ得る電動モータ48と、家具類の移動・停止位置を検知する位置検知センサ58とを備え、リモートコントローラ(図示せず)の遠隔操作により駆動されるように構成されるので、家具類の移動が必要な際にはリモートコントローラを適宜操作するだけで、所要の家具類に対応する電動モータ48を作動させて該家具類をレール23に沿って移動させ、位置検知センサ58により検知された停止位置で電動モータ48を停止して、必要とする家具類を第2の室9B側に極めて簡単に移動、位置決めすることができる。
【0088】
上記のように、家具類の出し入れを、レール23、電動モータ48及び位置検知センサ58を備えた移動装置をリモートコントローラで遠隔操作するだけで簡便に行なうことができる。つまり、例えば開口部6a直下の床下空間8と床下収納空間7a〜7dとにおける各床面間に亘るようにレール23を予め延設すると共に、該レール23上を電動モータ48にて移動可能な台車等に家具類を固定し、レール23に沿った移動軌跡上の所定の位置に位置検知センサ58を適宜配置するだけで、上記移動装置が実現する。これにより、家具類の出し入れを、人手を煩わせることなく迅速に行なうことができる。
【0089】
なお、家具類の移動は、上記リモートコントローラで遠隔操作する構造の移動装置に限らず、必要に応じて家具類の下部にキャスタを装着しておくことにより、当該キャスタ付きの家具類を使用者が押したり引いたりすることで、容易に移動させるようにすることもできる。
【0090】
更に、支持・昇降装置Lにて担持される可動床6を開口部6aに対して昇降させ得る構造が複数の室装置F1,F2,F3,F4の全てに設けられることにより、可動床12の昇降にて居住空間を倍増し得るという付加価値をマンションビル1等の各階に具備することになり、該マンションビル1等の分譲や賃貸において、価格上有利な条件が得られる。
【0091】
ついで、本実施の形態の変形例について図14乃至図16に沿って説明する。図14は、可動床を用いた遊歩道と屋台(露天)との兼用構造を概略的に示す斜視図、図15は、図14を概略的に示す断面図であり、(a)は、可動床の上昇状態を示す図14のXV−XV線に沿った断面図、(b)は、可動床の下降状態を概略的に示す図14のXV−XV線に沿った断面図である。
【0092】
即ち図14に示すように、地上レベルGL上には、屋台(露天)55をそれぞれに形成し得るように略々コの字状に構成された複数の間仕切り53bが配置されており、これら間仕切り53bの上方において、可動床12を昇降自在に支持し得るように支持・昇降装置L(図14中ではフォーク35,支柱41,可動床12のみを概略的に示す)が配置されている。ここで用いられる可動床12は、図5(c)に示した3本の支柱41で支持されるタイプのものであり、各支柱41がそれぞれ屋台55に対応するように立設配置されている。そして、可動床12の長さ方向に沿って複数の支持・昇降装置Lが配置されることになるが、この場合、各支持・昇降装置Lは、相互にタイミングを合わせて昇降して、複数の可動床12により形成される遊歩道の高さレベルを一定状態に維持する。
【0093】
図15(a)に示すように、地上レベルGL上の端部に立設された支柱41は、図2等に示した構造にて可動床12を上下方向に移動可能に支持する構成を備えている。そして可動床12の下部には、地上レベルGL側の上記間仕切り53bに対応する形状の間仕切り53aが固定されている。また、可動床12上の各端部には、花壇56が載置されている。そして、図15(b)に示すように、間仕切り53aを下部に固定した可動床12を支持・昇降装置Lの下降動作で下降させた際に、間仕切り53aが下方の間仕切り53bと重なるように構成されている。
【0094】
また、図16は、上記構成の可動床12を有する遊歩道及び屋台の使用状況を説明するための図であり、(a)は、長手方向に連続する複数の可動床12…を全て上昇させた状態を示す。可動床12が上昇したことにより、図15においては大きく重なっていた間仕切り53a,53bが、互いにその端部だけを僅かにオーバラップさせている。これにより、間仕切り53a,53b間に形成された各空間に、屋台55がそれぞれに形成される。
【0095】
一方、図16(b)は、長手方向に連続する複数の可動床12…を全て下降させた状態を示している。可動床12が下降したことにより、図16(a)にあっては離間していた間仕切り53a,53bが、互いにその略々全体をオーバラップさせている。これにより、図16(a)において可動床12の下方に形成されていた屋台55としての空間がなくなり、可動床12上は、遊歩道或いは野外劇場観覧席等として利用可能となる。
【0096】
ついで、別の変形例について図17に沿って説明する。同図は、レストラン等の飲食店において可動床12にて構成された空中客席を示す斜視図である。同図に示すように、店の床面67上には、テーブル59、及び該テーブル59に対応する複数の椅子60が配置されている。そして、店の壁部54に沿って2本の支柱41,41が立設配置されており、該支柱41,41の上部には、図示しないフォークで支持された床担持部材44により可動床12が担持されている。該可動床12の周囲には、手摺り57が張り巡らされている。
【0097】
上記構成の空中客席は、下降位置で可動床12上に適正な人数の客を乗り込ませた状態で、支持・昇降装置Lの作動で支柱41,41の最上部に上昇する。これにより、可動床12上の客は、図示しない椅子に腰掛けかつテーブルに向かった状態で団欒することができる。このような場合、楽曲を奏でたり劇を行なう等のステージが店内に設けられていれば、客は、上方の可動床12上からリラックスした気分で観覧することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施の形態におけるマンションビルの全体を概略的に示す正面断面図。
【図2】本実施の形態における支持・昇降装置を概略的に示す斜視図。
【図3】支持・昇降装置を上方から見た状態で示す平面図。
【図4】図3における実寸法の具体例を示す標準サイズ表。
【図5】支持・昇降装置を模式的に示す斜視図であり、(a)は室内への組込み状況を示し、(b)は床担持部材を3本の支柱で支持する構成例を示し、(c)は床担持部材を4本の支柱で支持する構成例を示している。
【図6】複数の支持・昇降装置による複数の可動床の配置例を示す斜視図であり、(a)は2枚の可動床を互いに近接対向させる構成例を示し、(b)は2枚の可動床を所定距離離して配置した構成例を示し、(c)は3枚の可動床を逆コの字状に配置した構成例を示し、(d)は4枚の可動床を矩形状をなすように配置した構成例を示している。
【図7】図1の室装置F3に対応する室構成を示す平面図。
【図8】図7の室構成に床下収納空間7dを更に加えた室構成を概念的に示した平面図。
【図9】可動床を下降させて第1の室を現出した状態を示す平面図。
【図10】可動床を上昇させて第2の室を現出した状態を示す平面図。
【図11】現出した第2の室内に図10と異なる家具類を配置した状態を示す平面図。
【図12】現出した第2の室内に図10と異なる家具類を配置した状態を示す平面図。
【図13】可動床の上昇状態で固定基床上に現出する第2の室を示す斜視図。
【図14】可動床を用いた遊歩道兼屋台を概略的に示す変形例の斜視図。
【図15】図14を概略的に示す断面図であり、(a)は可動床の上昇状態を示す断面図、(b)は可動床の下降状態を概略的に示す断面図。
【図16】可動床を有する遊歩道及び屋台の使用状況を説明するための図であり、(a)は、長手方向に連続する複数の可動床を全て上昇させた状態を示し、(b)は、長手方向に連続する複数の可動床を全て下降させた状態を示している。
【図17】可動床を用いて構成した空中客席を示す斜視図。
【符号の説明】
1 建物(マンションビル)
2 地中梁
4 大梁
5,6b 固定基床
6 固定床
6a 開口部
6e 開口部の縁部
7a,7b,7c,7d 床下収納空間
8 床下空間
9 室空間(可変室)
9A 第1の室
9B 第2の室
10,11,14 室空間(通常室)
12,12a,12b,12c,12d 可動床
13 家具類(テーブル)
15 家具類(座布団)
23 移動装置(レール)
25 家具類(ダイニングテーブル)
26,30 家具類(ソファ)
27 家具類(応接ソファ)
29 家具類(ベッド)
32a 第1の側梁
32b 中間梁
32c 第4の側梁
33a 第2の側梁
33b 第3の側梁
35 フォーク
41 支柱
44 床担持部材
48 移動装置(電動モータ)
58 移動装置(位置検知センサ)
68 壁や押入れ等の収納部
D 下降状態(下降位置)
F1,F2,F3,F4 室装置
L 支持・昇降装置
S 所定空間
U 上昇状態(上昇位置)

Claims (7)

  1. 室装置を備える建物において、
    前記室装置は、開口部を有する固定床と、該固定床の下方の所定空間と、前記固定床上に配置された室空間と、前記開口部を開放又は閉塞し得るように前記室空間に昇降自在に配置された可動床と、該可動床を支持しつつ昇降駆動し得る支持・昇降装置と、を備え、
    前記支持・昇降装置は、前記開口部の縁部側に立設配置された支柱と、一端が該支柱に昇降自在に支持されると共に他端が前記開口部の略々中央側に延びるフォークと、該フォークにより片持ち支持された状態にて前記可動床を前記開口部上で昇降し得るように担持する床担持部材と、を備えてなる、
    ことを特徴とする室装置を備える建物。
  2. 前記床担持部材は、前記1つの開口部に対して少なくとも2つが該開口部の縁部に対し平行な状態で昇降し得るように配置されてなる、
    ことを特徴とする請求項1記載の室装置を備える建物。
  3. 前記床担持部材は、
    互いに所定の間隔をあけて略々平行に延びる状態にて、前記フォークに前記支柱側から順に支持された第1の側梁及び中間梁と、
    これら第1の側梁及び中間梁の各端部に固定支持されて互いに略々平行に延びる第2の側梁及び第3の側梁と、
    これら第2の側梁及び第3の側梁における前記支柱とは逆側の各端部に固定支持されて前記中間梁と略々平行に延びる第4の側梁と、を備えてなる、
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の室装置を備える建物。
  4. 前記固定床の下方における少なくとも前記開口部と対向する位置に固定基床を備え、
    前記室空間が、下降状態の前記可動床を床面とした第1の室と、前記可動床の上昇状態にて前記固定基床を床面とした第2の室と、を現出し、かつ前記所定空間のうちの前記開口部直下の空間を除く他の空間が家具類の床下収納空間を構成してなる、
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の室装置を備える建物。
  5. 前記可動床の上昇状態にて、前記開口部直下の空間と該空間に隣接する前記床下収納空間との間で家具類を出し入れし得る移動手段を備えてなる、
    ことを特徴とする請求項4記載の室装置を備える建物。
  6. 前記移動手段は、
    前記開口部直下の空間と該空間に隣接する前記床下収納空間とに亘るように延設されたレールと、
    前記家具類を前記レール上にて移動させ得る電動モータと、
    前記家具類の移動・停止位置を検知する位置検知センサと、を備え、
    リモートコントローラの遠隔操作により移動駆動されてなる、
    ことを特徴とする請求項5記載の室装置を備える建物。
  7. 前記室装置を複数積層して備え、かつ、
    前記支持・昇降装置にて担持される前記可動床を前記開口部に対して昇降させ得る構造が前記複数の室装置の全てに設けられてなる、
    ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の室装置を備える建物。
JP2003183096A 2003-06-26 2003-06-26 室装置を備える建物 Pending JP2005016178A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003183096A JP2005016178A (ja) 2003-06-26 2003-06-26 室装置を備える建物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003183096A JP2005016178A (ja) 2003-06-26 2003-06-26 室装置を備える建物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005016178A true JP2005016178A (ja) 2005-01-20
JP2005016178A5 JP2005016178A5 (ja) 2006-06-01

Family

ID=34183293

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003183096A Pending JP2005016178A (ja) 2003-06-26 2003-06-26 室装置を備える建物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005016178A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006133623A1 (fr) * 2005-06-15 2006-12-21 Beijing Liweisi Kaiya Real Estate Development Co. Ltd. Bâtiment soulevé
WO2012164145A1 (en) * 2011-05-27 2012-12-06 Dsign Space Alive Oy Method and arrangement for converting a room
CN107401221A (zh) * 2017-07-31 2017-11-28 邱锦进 一种可升降楼板的房屋结构及其升降控制***

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006133623A1 (fr) * 2005-06-15 2006-12-21 Beijing Liweisi Kaiya Real Estate Development Co. Ltd. Bâtiment soulevé
WO2012164145A1 (en) * 2011-05-27 2012-12-06 Dsign Space Alive Oy Method and arrangement for converting a room
CN107401221A (zh) * 2017-07-31 2017-11-28 邱锦进 一种可升降楼板的房屋结构及其升降控制***
CN107401221B (zh) * 2017-07-31 2019-10-08 邱锦进 一种可升降楼板的房屋结构及其升降控制***

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3612589B2 (ja) 集合住宅
WO2007079655A1 (fr) Residence avec jardin
JP4392014B2 (ja) 建物の空間構造
JP2005016178A (ja) 室装置を備える建物
JP2006083691A (ja) 既存共同住宅のバリアフリー増築構造
JP4728044B2 (ja) 建造物
JP2003138761A (ja) 階段室付き住宅
JP4031452B2 (ja) ユニット式建物およびそのユニット式建物の施工方法
JP2520014B2 (ja) 室内空間二重利用システム
JP2015083754A (ja) 建物
JP3686732B2 (ja) ユニット式建物
JP5198670B1 (ja) 木造住宅および木造住宅の設計方法
JP7381704B1 (ja) 住宅
JP3494372B2 (ja) 建 物
JP7401959B1 (ja) 住宅
JPH07269005A (ja) 床下空間を利用した住宅
JPH1171918A (ja) 建築物およびその建築方法
JPH0538166Y2 (ja)
JP2002004595A (ja) 多層型収納付き建物
KR101281853B1 (ko) 공간 활용 건축물 시공방법
JP2016118048A (ja) 建物
JP2006063699A (ja) 立体駐車場付き建築物
JP3333692B2 (ja) 床下空間を利用した住宅
TWM654020U (zh) 可拆式升降機
JP2024087785A (ja) 住宅

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060331

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060331

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20071225

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080812

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081014

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081209

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090407