JPH0538166Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は可動部屋に係り、詳しくは、間仕切壁
を廃した一住居室内の広い床面の大半を回転プレ
ートとなし、その上面を間仕切パネルで分割して
各用途部屋となすことにより居住室内での各部屋
の向き、部屋全体の広さを可変ならしめた特にマ
ンシヨン、プレフアブ住宅等に好適な可動部屋に
関する。

（従来の技術） 現代、とくに最近における各種住宅の質の向上
は著しく、とりわけ土地事情の極めて劣悪な都市
部にあつては、日照、騒音面等様々な制約下にあ
る狭隘な宅地をフルに活用すべくその設計、使用
諸建材ならびに施行技術、工法等あらゆる面で
種々工夫、改良が加えられて、夫々の制約を克服
し、かつより快適な居住性を追及せる様々の間取
り、設備になる中、高層マンシヨン、木造、鉄筋
コンクリート或いはプレフアブの連棟或いは一戸
建て等々各種の新規住宅の建築ならびに増、改築
が相次いでなされている。

そしてこれら各住宅は、夫々その外観、形状、
様式を始め、広さ間取り等については多種多様な
相違するにしても、いずれも、玄関、バスユニツ
トを始め他の各部屋、押し入れ、廊下に至るま
で、ドア、襖、引戸等を有して固設せる間仕切壁
によつて、すべて完全に固形分割されており、こ
れら各部屋のうち、床下等のガス、上下水道管及
び電気配線等と固結された設備コアに直結するバ
スユニツトや、キツチンユニツトのあるダイニン
グキツチン又はリビングルーム、或いは玄関等は
当初より、その位置ならびに用途が既に設定され
ている部屋となつているが、他の各部屋について
は夫々の居住者の意向により、例えば南面には寝
室が、また、北面には応接間等が夫々適宜充当さ
れ、各用途に応じた家具、調度類が配備されて
夫々寝室、応接間、書斎、居間更には子供部屋等
として使用されている。

また、最近、上記固形部屋を有する住宅の下方
に適宜回転機構を設け、該機構の駆動により住宅
全体を回転せしめるユニークな回転住宅も提案さ
れているが、これらは既設のビル屋上等の、設備
コア等のある固定中枢部外周を回転せしめる回転
展望室等の思想とも相俟つて将来の住宅を示唆す
る一例として注目されている。

（考案の解決しようとする問題点） ところで、叙上の如く従来のすべて固設せる間
仕切壁によつて夫々完全に固形分割された各部屋
は、何れも住宅内で夫々定形状、定面積、定位置
を以て不変、不動に形成されており、従つて各部
屋自体の夫々当面する方角ならびに窓の有無、大
小、開設位置ならびに日照の有無等もまた、すべ
建築時のまま一定不変となつている。

そのために居住者の都合により部屋の用途変更
を希望するときは、夫々に配備せる家具、調度類
をすべて移動し入れ替えることにより可能である
としても、この場合、煩労な入れ替え作業を要す
るという問題がある。

また、部屋面積の拡張を希望するときは、間仕
切壁の除去或いは移設、更には建て増し等により
可能であるとしても、これには当然費用の嵩む
増、改築を要することになり、しかもマンシヨン
等の場合、増築はむつかしいという問題がある。

更にまた以上の如く、例えば家具等入れ替えに
よる部屋の用途変更、或いは部屋面積の拡張がで
きたとしても、各部屋自体の夫々当面する方角は
所詮そのままであり、従つて北向きの部屋は永久
に日照は期待できない等の根本的な問題を有して
いる。

そしてまた、家全体を回転せしめるものは、
夫々の部屋の方角は変え得るとしても、各部屋の
間取り、広さはそのままであり、かる何よりも家
全体の大荷重を支承し回転せしめる回転機構その
ものに大なる費用を要するのみならず、個々の敷
地を有しないマンシヨン等集合住宅には適用でき
ないという大きな問題がある。

本考案は叙上の如き実状に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは間仕切壁を廃した居
住室内の広々とした床面の大半を回転プレートと
なし該プレート上面に間仕切パネルにより分割形
成し、各用途毎の家具類を配備してなる各用途部
屋の向きを随意プレートを回転せしめる所望の方
角に変位し固定でき、部屋全体の広さの変化もす
る凡ゆる住宅内に適用可能な可動部屋を提供する
ことにある。

（問題点を解決するための手段） 上記の目的を達成するための手段としては本考
案に係る可動部屋は、一居住室内の床面に、その
中心より適宜一側寄りの偏心位置を中心とする略
最大円形の開口部を穿設し、該開口部内に、同形
状のプレートをその中心部に設備コアを有して床
面と同一平面を以つて嵌装し、かつ該プレート
を、適宜の回転手段より左右夫々に一回転、なら
びに任意の位置での固定可能ならしめると共に、
上記プレートの上面に、該プレート上を少なくと
も２つの部屋スペースに分割する自由な上端の間
仕切パネルを、Ｙ字状、Ｔ字状、十字状或いは一
字状等に立設せしめてなる構成が採り入れられて
いる。

（作用） しかして、上記の如き構成によれば、本考案の
可動部屋は、一居住室内の床面に、その中心から
偏心せしめて略最大円形の開口部を穿設し、該開
口部内に、同形状のプレートをその中心部に設備
コアを有して床面と同一平面を以つて嵌装し、か
つ該プレートを適宜の回転手段により左右夫々に
一回転ならびに任意の位置での固定可能ならしめ
たものであるから、上記居住室内の床面は、その
全面積の大半が円形プレートとなつており、かつ
該プレートは左右夫々に一回転でき、また、任意
の位置で固定できることになる。

この場合、プレートが左右夫々に一回転、即ち
360°までしか回転し得ないことからプレート中心
部の設備コアと床下の夫々ガス、上、下水道管等
を連結する屈曲自在な可撓管等の連結具は、ねじ
切れる等のこともなく、保全されることになる。

また、前記プレートの上面に該プレート上を少
なくとも２つの部屋スペースに分割する自由上端
の間仕切パネルをＹ字状、十字状、Ｔ字状、一字
状に立設したことから該パネルによりプレート上
面には複数の部屋がスペースが分割形成されるこ
とになり、従つてこれら各部屋スペースは、前記
プレートの回転に伴つて各スペース内のプレート
上に配備せる夫々の用途に応じた家具類とともに
居住室内での全方角に変位でき、かつその各外周
が夫々異なる広さの床面の各コーナーと合致して
部屋全体の広さも変化することなり、前記の課題
は解決されるに至る。

（実施例） 以下、添付図面に示した実施例に基いて本考案
を更に詳細に説明する。

第１図は本考案に係る可動部屋を居住室内に適
用せる一例を示す平面図であり、第２図は第１図
のＡ−Ａ線断側面図、第３図は第１図の可動部屋
の一変位態様を示す平面図である。

これら第１〜第３図においてＨはプレフアブ構
造の居住室、Ｓはその室内一側の付室であり、床
面Ｐには、図に示す如く、その中心より左側寄り
の偏心位置を中心として、可能な限り最大円形の
開口部１′が穿設され、該開口部１′内には同形状
のプレート１が床面Ｐと同一平面を以つて嵌装さ
れ、その下面に設けた回転手段により左右夫々に
一回転、即ち360°まで回転でき、また任意の位置
で固定できるようになつている。

上記プレート１の上面には、居住室Ｈ内の天井
とは固定されていない自由な上端を有する間仕切
パネル２……が第１図及び第３図に示す如くＹ字
状に立設されており、これによつてプレート１上
面には二面のパネル２，２で夫々へ字状に囲まれ
た３つの扇形状の部屋スペースに分割され、また
パネル２にはドア４が設けられている。

これら該スペース内には適宜寝具セツト、食卓
セツト、居間セツト及び夫々に必要な調度類がす
べてプレート１上にのみ配備されて、プレート１
の回転時には寝室ｂ、食堂ｄ、居間ｌとして、そ
のままの態様で回転せしめられる可動部屋Ｒとな
つている。

そして、この場合、居住室Ｈ内のソフアー５を
備えた広い床面コーナーと当面する部分、例えば
第１図における居間ｌまたは第３図における食堂
ｄは、部屋全体としての実用面積が広くなつてお
り、他の２つの床面コーナーと当面する部分はい
ずれも狭い実用面積となつている。

また、プレート１の中心部には設備コア３が設
けられており、該コア３内と床下の、ガス、上、
下水道管は夫々例えば水平な渦巻状、Ｓ字状等に
捲回されている所要長さの屈曲自在な可撓管６を
介して強固に連結されており、また、他の電線、
アース線、電話線等の夫々充分な余剰長さを有し
て結線されている。

そして、前記プレート１を回転せしめるための
回転手段としては、この場合、第２図に略示する
如くプレート１の下面中心は、床下の基盤上に立
設せる基端８上に軸受８′を介して回転可能に、
かつ、床面Ｐとプレート１上面とを同一平面を以
つて支承されており、他方、プレート１の端縁部
下面には６個の車輪９……が、該部分の床下の基
盤上にプレート１と同心円状に敷設せるガイドレ
ール９′上での走行可能に所定の間隔で固着され
ており、そのうち１個の車輪９には可逆回転駆動
装置Ｍが直結され、該装置Ｍの正、逆駆動によ
り、レール９′上を左、右に自走し、プレート１
を左右に回転せしめる如く構成されている。

更に、上記装置Ｍの下方両側にはリミツトスイ
ツチが穿設され、他方床面Ｐの下面基盤上の適宜
位置にはストツパー１０が、上記リミツトスイツ
チと当接可能に突設されており、プレート１の左
右夫々一回転毎にストツパー１０がリミツトスイ
ツチを押圧し、停止せしめる如く構成されている
が、マンシヨン等床下の余裕のない場合、可逆回
転駆動装置Ｍの上面を適宜プレート１上に突設せ
しめてもよく、この場合、上記リミツトスイツチ
は当然装置Ｍの下方に延設され、その当接可能な
高さにストツパー１０が立設される。

そして、以上の如き可動部屋Ｒが組込まれてな
る居住室Ｈ内の、該可動部屋Ｒ上面部分の天井の
照明は、すべて埋込式のダウンライトとすること
が必要であり、また、前記可逆回転駆動装置Ｍの
作動、停止用スイツチは可動部屋Ｒ内の任意の間
仕切パネル２の１箇所或いは各部屋スペース毎に
夫々付設されるが、併せて回転時の危険防止のた
めにセンサースイツチ等を各パネル２……の外端
縁部或いはドア４，４部分等に設け、またプレー
ト１にチエツク用の点検孔７を開設することも好
適である。

更に、プレート１の外周及び床面Ｐの開口部
１′内周に夫々帯状リング材等を周設することも
好適である。

なお、以上の説明において居住室Ｈの構造、種
類は勿論、床面Ｐ及びその開口部１′、プレート
１更には間仕切パネル２及びそれに組込まれるド
ア４を始め、設備コア３ならびに可撓管６、更に
また回転手段に至るまで、すべてその寸法、形
状、構成ならびに夫々の材質、更には機能構成、
各取付態様等については何ら限定されるものでは
なく、要は前述せる本考案の必須とする各構成要
件を全て満たし、かつ、それによつて前記本考案
の目的を達成し得るものであればすべて好適であ
る。

（考案の効果） 以上の如く本考案は、居住室内の広々とした床
面の一側寄りの殆どを左右一回転ならびに任意の
位置での固定可能な回転プレートとなし、該プレ
ート上面には自由な上端の間仕切パネルにより複
数の部屋スペースを分割せしめてなる可動部屋で
あるから、上記回転プレートは広、狭夫々の種々
な居住室内の床面形状に応じて夫々それなりに可
能限での最大円形を以つて形成することができ、
また、その上面に間仕切パネルによりプレートの
広さに応じて２〜４分割して形成される複数の部
屋スペースは、夫々所要とする家具類を備えてご
く普通の各用途部屋として起居することができ
る。そして、これらの部屋は、居住者が随意スイ
ツチを押すだけで設備コアや家具もろとも居住室
内での任意の方角に回転してその方向を変えるこ
とができ、また、それに伴つて部屋の広さも変化
することから居住者は、晝夜、季節或いはフイー
リングに応じて部屋感覚を自由に調整し快的なら
しめることができる。

しかも、本考案は、特にマンシヨン、平家建プ
レフアブ住宅内等の元来、その構造上、部屋重量
を支承、補強することもなく、単に狭苦しい複数
の部屋を形成するためのみに固設されていた間仕
切壁を廃し、それによつて得られた居住室内の
広々とした床面の大半を可動部屋とするのみであ
るから、きわめて容易に、かつ、低費用での形成
が可能であるのみならず、既存住宅における広い
一室内等への併設も可能であり、従来の住宅とし
ての固定概念を超えて、凡ゆる住宅内に適用で
き、その住居性をより快適ならしめる等の効果も
併せ有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る可動部屋を居住室内に適
用せる一例を示す平面図、第２図は第１図のＡ−
Ａ線断側面図、第３図は第１図の可動部屋の一変
位態様を示す平面図である。 Ｈ……居住室、Ｍ……可逆回転駆動装置、Ｐ…
…床面、Ｓ……付室、｛ｂ……寝室、ｄ……ダイ
ニングキツチン、ｌ……居間｝Ｒ……可動部屋、
１……プレート、１′……開口部、２……間仕切
パネル、３……設備コア、４……ドア、５……ソ
フアー、６……可撓管、７……点検孔、８……基
軸、８′……軸受、９……車輪、９′……レール、
１０……ストツパー。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 一居住室内の床面に、その中心より適宜一側
   寄りの偏心位置を中心とする略最大円形の開口
   部を穿設し、該開口部内に、同形状のプレート
   をその中心部に設備コアを有して床面と同一平
   面を以つて嵌装し、かつ該プレートを、適宜の
   回転手段より左右夫々に一回転、ならびに任意
   の位置での固定可能ならしめると共に、上記プ
   レートの上面に、該プレート上を少なくとも２
   つの部屋スペースに分割する自由な上端の間仕
   切パネルを、Ｙ字状、Ｔ字状、十字状或いは一
   字状等に立設せしめてなることを特徴とする可
   動部屋。 ２ 設備コアが、その内部と床下とのガス、上・
   下水道管を夫々所要長さの屈曲自在な各可撓管
   を介して連結せしめてなる実用新案登録請求の
   範囲第１項記載の可動部屋。