JP2005014859A

JP2005014859A - 空気入りタイヤ

Info

Publication number: JP2005014859A
Application number: JP2003186211A
Authority: JP
Inventors: Hiroyuki Matsumoto; 弘行松本
Original assignee: Toyo Tire and Rubber Co Ltd
Current assignee: Toyo Tire Corp
Priority date: 2003-06-30
Filing date: 2003-06-30
Publication date: 2005-01-20
Anticipated expiration: 2023-06-30
Also published as: JP4281901B2

Abstract

【課題】ドライ性能を維持し、スノー性能を向上させ、チャンキングを防止する。
【解決手段】トレッド表面に主溝１と主溝１同士を連通する主スリット２によって区画されたブロック３を備えた空気入りタイヤにおいて、ブロック３をタイヤ周方向Ｒに略二分割する副スリット４が刻まれ、副スリット４のタイヤ周方向Ｒ両側に波形サイプ６、副スリット４の底部に直線サイプ５がそれぞれ刻まれ、副スリット４の幅がブロック３を区画する主スリット２の幅の４０％〜６０％であり、かつ、副スリット４の深さがブロック３を区画する主スリット２の深さの４０％〜６０％である空気入りタイヤとする。
【選択図】図１

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブロックに波形サイプが刻まれた空気入りタイヤに関し、ドライ性能とスノー性能との両立及びチャンキングの防止に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、タイヤのスノー性能を向上させるために、トレッド表面に多数のサイプを刻むことで、サイプのエッジ効果を利用してきた。その一方、ドライ路面で満足な性能を得るためには、ブロックの剛性が高いほうがよい。この両方の性能を両立させるため、サイプ形状を波形とすることにより、サイプの動きを制限し（ロッキング効果）、ブロックの剛性を高くする対策が採られてきた。例えば、波形サイプが刻まれた空気入りタイヤとして、特許文献１に記載された空気入りタイヤが知られている。
【０００３】
【特許文献１】
特開平１０−１１４２０５号公報（第３〜４頁、第３〜４図）。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる空気入りタイヤにおいては、ブロック中央部の剛性は高く、その一方、ブロック端部の剛性が低くなるため、接地面積が低下し、十分なトラクションを得ることができないことがあった。この相反する特性を解決する方法として、ブロック中央部のサイプを深くし、逆にブロック端部のサイプを浅くする方法が考えられる。しかし、かかる方法では、サイプが波形であるため、サイプ底部の波の頂点部分にブロックの変形による応力が集中し、ブロックが千切れるチャンキングが発生することがあった。
【０００５】
したがって、本発明の目的は、ドライ性能を維持し、スノー性能を向上させ、チャンキングを防止することにある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、本発明では、トレッド表面に主溝と前記主溝同士を連通する主スリットによって区画されたブロックを備えた空気入りタイヤにおいて、
前記ブロックをタイヤ周方向に略二分割する副スリットが刻まれ、前記副スリットのタイヤ周方向両側に波形サイプ、前記副スリットの底部に直線サイプがそれぞれ刻まれ、前記副スリットの幅が当該ブロックを区画する前記主スリットの幅の４０％〜６０％であり、かつ、前記副スリットの深さが当該ブロックを区画する前記主スリットの深さの４０％〜６０％である空気入りタイヤとした。
【０００７】
ブロックをタイヤ周方向に略二分割する副スリットを刻むことにより、ブロック中央部の周方向の剛性が低下し、倒れ込みが容易となるのでスノー路面でのトラクションが増大する。また、副スリットの幅及び深さが当該ブロックを区画する主スリットの幅及び深さの４０％〜６０％であるので、剛性が極端に低下することがなくドライ路面での性能も維持される。
【０００８】
また、副スリットの底部に直線サイプが刻まれているので、倒れ込みによる変形があっても、副スリットの底部と直線サイプの底部に応力が分散され、しかも波の頂部に応力が集中する波形サイプとは異なり応力が一箇所に集中しないのでチャンキングを防止することができる。
【０００９】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて、本発明に係る空気入りタイヤの実施形態を説明する。図１は、本発明に係る空気入りタイヤのトレッドパターンの概略展開図である図において、トレッドＴの表面にはタイヤ周方向Ｒに延びる主溝１と、主溝１同士を連通する主スリット２が刻まれ、主溝１及び主スリット２によりブロック３が区画されている。ブロック３のタイヤ周方向Ｒに略二分割するように副スリット４が刻まれ、スリット４の底部４ａには直線サイプ５が刻まれている。スリット４のタイヤ周方向Ｒ両側には波形サイプ６が刻まれている。
【００１０】
図２は説明のためにブロックを概念的に示す斜視図であり、形状は図１のブロックとは一致していない。ブロック３をタイヤ周方向Ｒに略二分割する副スリット４により、ブロック３中央部の周方向の剛性が低下し、倒れ込みが容易となる。その結果、スノー路面でのトラクションが増大する。
【００１１】
また、倒れ込みによるブロック３の変形があっても、副スリット４の底部４ａと直線サイプ５の底部５ａに応力が分散される。しかも波の頂部６ａに応力が集中する波形サイプ６とは異なり応力が一箇所に集中しないのでチャンキングを防止することができる。
【００１２】
副スリット４の幅Ｗ及び深さＤは、それぞれブロック３を区画する主スリット２の幅及び深さの４０％〜６０％とすることが好適である。４０％未満であると剛性が依然として高くトラクションを上げることができない。一方、６０％を越えると剛性が低下しすぎてドライ路面での性能が低下する。
【００１３】
サイプ５の深さは主スリット２より深く刻まれていなければよい。図示した両オープン以外に、片オープンや両クローズドであってもよく、２以上の部分に分割されて刻まれていてもよい。また、波形サイプ６はスリット４の片側に１本ではなく複数本であってもよい。また、副スリット４も図示した両オープン以外に、片オープンや両クローズドであってもよい。図３には、これらブロック３に刻まれた副スリット４、直線サイプ５及び波型６サイプのバリエーションを示した。図３（ａ）は副スリット４、直線サイプ５ともにオープンの基本形である。図３（ｂ）は直線サイプ５の片側がクローズドである。図３（ｃ）は副スリット４の両側がクローズドである。図３（ｄ）は直線サイプ５の両側がクローズドである。図３（ｅ）は副スリット４の片側がクローズドである。図３（ｆ）は直線サイプ５が副スリット４中央部で片側クローズドである。図３（ｇ）は直線サイプ５が副スリット４中央部と両端でクローズドである。なお、ブロック形状は、図示した略平行四辺形の他、くさび形のブロック形状であってもよい。
【００１４】
【実施例】
本発明に係る空気入りタイヤの実施例として、図１に示すトレッドパターンを備えたタイヤ、従来例として図４に示すようにブロック形状は実施例と同じで、副スリット及び直線サイプを備えていないタイヤ、比較例１〜３として副スリットを備えるが幅及び深さが範囲外であるタイヤ、比較例４とし副スリットを備えるが直線サイプを備えていないタイヤを、それぞれ試作し後輪駆動乗用車に装着し性能評価を行った。なお、主スリット、副スリット及びサイプの寸法は表１に示す通りで、いずれのタイヤサイズも１９５／６５Ｒ１５とした。
【００１５】
評価結果は、表１に示す通りである。ドライ操安性能はハンドリングコース（乾燥路）を走行したラップタイムの逆数を、スノー制動性能はスノー路面上で４０ｋｍ／ｈから停止距離の逆数をそれぞれ示し、従来例を１００とした指数で示している。したがって、数字が大きいほど性能が良いことを示す。チャンキングの試験は、ＪＩＳ規格Ｄ４２３０の高速性能試験Ａに準拠して行った。台上試験機にて内圧２８０ｋＰａのタイヤに４７２ｋｇの負荷を与えて、まず初めの１０分で初速度１７０ｋｍ／ｈまで加速し、以後１０分ごとに１０ｋｍ／ｈづつ加速し、最大２３０ｋｍ／ｈまで８ステップの試験を行った。表１に記載したチャンキングの有無は、当該試験終了後のタイヤにおいて、チャンキング発生を目視にて確認した結果である。
【００１６】
【表１】

【００１７】
【発明の効果】
以上の通り、本発明の空気入りタイヤにおいて、ブロックをタイヤ周方向に略二分割する副スリットが刻まれ、前記副スリットのタイヤ周方向両側に波形サイプ、前記副スリットの底部に直線サイプがそれぞれ刻まれ、前記副スリットの幅及び深さを所定の寸法としたので、ドライ性能を維持し、スノー性能を向上でき、しかもチャンキングを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係る空気入りタイヤのトレッドパターン概略展開図である。
【図２】ブロックを概念的に示す斜視図である。
【図３】１ブロックにおけるスリット及びサイプバリエーションを示す図である。
図３（ａ）は副スリット４、直線サイプ５ともにオープンの基本形である。
図３（ｂ）は直線サイプ５の片側がクローズドである。
図３（ｃ）は副スリット４の両側がクローズドである。
図３（ｄ）は直線サイプ５の両側がクローズドである。
図３（ｅ）は副スリット４の片側がクローズドである。
図３（ｆ）は直線サイプ５が副スリット４中央部で片側クローズドである。
図３（ｇ）は直線サイプ５が副スリット４中央部と両端でクローズドである。
【図４】従来例に係る空気入りタイヤのトレッドパターン概略展開図である。
【符号の説明】
１主溝
２主スリット
３ブロック
４副スリット
５直線サイプ
６波形サイプ

Claims

トレッド表面に主溝と前記主溝同士を連通する主スリットによって区画されたブロックを備えた空気入りタイヤにおいて、
前記ブロックをタイヤ周方向に略二分割する副スリットが刻まれ、前記副スリットのタイヤ周方向両側に波形サイプ、前記副スリットの底部に直線サイプがそれぞれ刻まれ、前記副スリットの幅が当該ブロックを区画する前記主スリットの幅の４０％〜６０％であり、かつ、前記副スリットの深さが当該ブロックを区画する前記主スリットの深さの４０％〜６０％である空気入りタイヤ。