JP2004519473A - Hivプロテアーゼ阻害剤の中間体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、ラジカル開始剤非存在下、光を利用して分子内環化反応を行わせることで有用な多環式化合物を製造する方法について記載する。
Description
【0001】
発明の背景
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は、後天性免疫不全症候群(AIDS)の原因物質である。この疾患は、免疫系、特にCD4+ T−細胞の破壊により特徴付けられ、日和見感染およびその前駆状態であるAIDS関連症候群(ARC)(継続的な全身のリンパ節腫脹、発熱および体重減少等の症状により特徴付けられる症候群)を伴う。
【0002】
ヒトにおいてHIV感染を治療するために現在使用されている薬剤には、HIV酵素アスパルチルプロテアーゼを阻害するものが存在する。プロテアーゼ阻害剤として使用されている薬剤は、通常、化学的に複雑であり、経済的かつ効率的に製造することが困難である。これら分子固有の複雑さを理由に、新しくより効率的なプロテアーゼ阻害剤の製造方法は意義深いものである。
【0003】
ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−オール(HIVアスパルチルプロテアーゼ阻害剤の合成中間体)の合成が、Ghoshらにより記載されている(J. Med. Chem. 1996, 39 (17), p. 3278)。ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン環系の製造における主要な工程は、ラジカル環化条件下での2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフラニル誘導体の環化である。例えば、Ghoshらは、化学量論的量のラジカル開始剤として作用可能な化合物(例えば、水素化ホウ素ナトリウムとコバロキシムとの混合物)を使用して、3−ヨード−2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフランを所望の3−メチレンヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン誘導体へ環化させることができることを報告している。
【0004】
あるいは、化学量論的量の水素化トリアルキルスズ(例えば水素化トリブチルスズ)を使用して、同じ環化反応を行うことができる。医薬中間体の合成のためには、上記方法は、例えば微量金属(例えば、コバルトまたはスズ)の毒性といった欠点を有する。毒性を考慮することにより、本発明者らは、重要である環化工程において毒性金属の使用を回避し得る、ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン環系の新しい製造方法を開発した。
【0005】
O−アルケニルアリール基の環化によりジヒドロベンゾフランが生成されることが、Beckwithら (J. Chem. Soc., Chem. Comm. 1981, p. 136) により記載されている。これらの反応では、2−ハロ−O−アリルフェノール前駆物質を調製し、水素化トリブチルスズを使用して必須のアリールラジカル中間体を生成している。
【0006】
O−アリル−2−ハロゲン糖誘導体のラジカル環化によりα−C(2)−分枝鎖状糖が生成されることが、Mesmaekerら(Synlett 1990, p. 201)により記載されている。この方法は、所望の環化を行わせるために、光の使用に加えて、ラジカル開始化合物(例えば、AIBNと水素化トリブチルスズとの組合せ)を利用している。
【0007】
発明の概要
本発明は、ラジカル開始剤非存在下で光を利用して分子内環化反応を行って、有用な多環式化合物を製造する方法を含む。さらに本発明は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)のアスパルチルプロテアーゼ酵素阻害剤として機能する化合物の合成において有用な中間体の製造方法を提供する。本発明の方法は、化学量論的量のラジカル開始剤を使用することなく、光を使用することにより、2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフラニル誘導体からヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン環系への環化を行うことを特徴とする。ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン誘導体を一連のさらなる反応によって変換することにより、HIVアスパルチルプロテアーゼ阻害剤として有効である化合物の合成中間体ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−オールを生成することができる。
【0008】
詳細な説明
本発明の方法は、ペンダントオレフィン置換基またはアルキニル置換基を含む、適当に置換された有機ハロゲン化合物の分子内環化を行わせるために光を使用することを伴う。本発明をスキームI、II、およびIVに概説する:
【化3】
[式中、
Aは、同一であっても、異なるものであってもよく、互いに独立して、−CH2−、−CHR10−、−CR10R11−、−O−、−NH−、−NR10−、および−S−からなる群より選択され、この場合、R10およびR11は、同一であっても、異なるものであってもよく、水素、C6−14アリール、およびC1−6アルキルからなる群より選択され;
R1は、水素、C1−6アルキル、C6−14アリール、C1−6アルキル複素環、および複素環からなる群より選択され;
R2は、水素、C6−14アリール、C1−6アルキル、C6−14アリール、C1−6アルキル複素環、および複素環からなる群より選択され;
R3は、水素、C6−14アリール、C1−6アルキル、C1−6アルキル複素環、および複素環からなる群より選択され;
R4は、水素、C6−14アリール、C1−6アルキル、C1−6アルキル複素環、および複素環からなる群より選択され;
R5は、水素、C6−14アリール、C1−6アルキル、C1−6アルキル複素環、複素環、−OR12、および−CH2OR12からなる群より選択され、この場合、R12は、C1−6アルキルおよび−C(O)R10からなる群より選択され;
R6は、水素、C6−14アリール、C1−6アルキル、C1−6アルキル複素環、複素環、−OR12、および−CH2OR12からなる群より選択され、この場合、R12は、C1−6アルキルおよび−C(O)R10からなる群より選択され;
R7、R8およびR9は、同一であっても、異なるものであってもよく、水素、C6−14アリール、C1−6アルキル、C1−6アルキル複素環、および複素環からなる群より選択され;
Xはハロゲンであり; かつ
n = 1〜4である。]
【0009】
本発明は、以下の式:
【化4】
[式中、
Aは、同一であっても、異なるものであってもよく、互いに独立して、−CH2−、−CHR10−、−CR10R11−、−O−、−NH−、−NR10−、および−S−からなる群より選択され、この場合、R10およびR11は、同一であっても、異なるものであってもよく、水素、C6−14アリール、およびC1−6アルキルからなる群より選択され;
R1は、水素、C1−6アルキル、C6−14アリール、C1−6アルキル複素環、および複素環からなる群より選択され;
R4は、水素、C6−14アリール、C1−6アルキル、C1−6アルキル複素環、および複素環からなる群より選択され;
R5は、水素、C6−14アリール、C1−6アルキル、C1−6アルキル複素環、複素環、−OR12、および−CH2OR12からなる群より選択され、この場合、R12は、C1−6アルキルおよび−C(O)R10からなる群より選択され;
R6は、水素、C6−14アリール、C1−6アルキル、C1−6アルキル複素環、複素環、−OR12、および−CH2OR12からなる群より選択され; かつ
n = 1〜4である]
で表される化合物の製造方法であって、以下の式:
【化5】
[式中、R1〜R6は上記の定義のとおりである]
で表される化合物を、式NR7R8R9(この場合、R7、R8およびR9は、互いに独立して、水素、C6−14アリール、C1−6アルキル、C1−6アルキル複素環、および複素環からなる群より選択される)で表される化合物の存在下、200〜400ナノメートルの波長の光に曝露することを含んでなる上記方法、を特徴とする。
【0010】
さらに、本発明は、ラジカル開始剤の非存在下で3−メチレンヘキサヒドロフロ[2,3−b]フランを製造する方法であって、式NR7R8R9(この場合、R7、R8およびR9は、互いに独立して、水素、C6−14アリール、C1−6アルキル、C1−6アルキル複素環、および複素環からなる群より選択される)で表される化合物を含む溶媒の存在下、3−ハロ−2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフラニル誘導体を200〜400ナノメートルの波長の光に曝露することにより該誘導体を環化して3−メチレンヘキサヒドロフロ[2,3−b]フランを生成させることを含んでなる上記方法、を特徴とする。
【0011】
さらに本発明は、以下の工程からなるヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−オールの製造方法により特徴付けられる:
a) 式NR7R8R9(この場合、R7、R8およびR9は、互いに独立して、水素、C6−14アリール、C1−6アルキル、C1−6アルキル複素環、および複素環からなる群より選択される)で表される化合物を含む溶媒の存在下、3−ハロ−2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフラニル誘導体を200〜400ナノメートルの波長の光に曝露することにより該誘導体を環化させて3−メチレンヘキサヒドロフロ[2,3−b]フランを生成する工程;
b) 該3−メチレンヘキサヒドロフロ[2,3−b]フランを酸化してテトラヒドロフロ[2,3−b]フラン−3(2H)−オンを生成する工程;および
c) 該テトラヒドロフロ[2,3−b]フラン−3(2H)−オンを還元してヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−オールを生成する工程。
【0012】
本発明は、3−ハロ−2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフラニル誘導体が、3−ヨード−2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフラン、3−ブロモ−2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフラン、または3−クロロ−2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフランであり、光が254 ナノメートルの波長であり、かつ、式NR7R8R9で表される化合物がトリエチルアミンである、上記方法を含む。
【0013】
本発明の方法では、まず初めに、分子内光環化反応のための適当な基質を製造することが必要である。これらの基質は、当業者に公知である様々な方法によって製造することができる。例えば、3−ハロ−2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフラニル誘導体の製造は、適当な活性化剤の存在下、2,3−ジヒドロフランと2−プロピン−1−オールとを反応させることにより、3−ハロ−2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフラン誘導体を得ることにより行われる。例えば、かかる3−ハロ−2−(2プロピニルオキシ)テトラヒドロフラン誘導体としては、3−ヨード−2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフラン、3−ブロモ−2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフランまたは3−クロロ−2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフランが挙げられる。この反応は、2−プロピン−1−オール誘導体のアルコール部分による求核付加反応のために2,3−ジヒドロフラン環を活性化させることができる物質を用いて行うことができる。例えば、この反応は、非求核溶媒(例えばジクロロメタン)中、N−ブロモスクシンイミド(NBS)またはN−ヨードスクシンイミド(NIS)を使用して、−10℃〜25℃、好ましくは0℃、次いで25℃まで加温することにより行うことができる。例えば、2,3−ジヒドロフランを、ジクロロメタン中、NBSの存在下、2−プロピン−1−オールと反応させることにより、3−ブロモ−2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフランが得られる(スキームIII)。
【0014】
【化6】
【0015】
3−ハロ−2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフラン誘導体(例えば、3−ヨード−2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフラン、3−ブロモ−2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフランまたは3−クロロ−2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフラン)は、トリアルキルアミンの存在下、かつ適当な溶媒の存在下、光を利用して環化させることができる。この反応は、3−ハロ−2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフラン誘導体において炭素−ハロゲン結合の均一開裂を生じさせるのに十分な光源を使用して行うことができる。例えば、使用する光源は、所望の炭素−ハロゲン結合の均一開裂を生じさせるのに十分な強度の紫外光を提供することができる。好ましくは、254ナノメートルの波長の光を提供する光源が使用され、これは低圧水銀灯によりもたらされる。これらの反応は適当な溶媒(光分解条件下で十分に安定であるもの)中で行うことができる。例えば、該反応は極性溶媒(例えばアセトニトリル)中で行うことができる。さらに該環化反応は、式NR7R8R9(この場合、R7、R8、およびR9は、互いに独立して、水素、C1−6アルキル、C6−14アリール、複素環、およびC1−6アルキル複素環からなる群より選択され、好ましくはC1−6アルキルである)で表される適当なトリアルキルアミンの存在下で行うことができることも見出されている。好ましくは、該アミンはトリエチルアミンである。本発明者等は、上記反応を水の存在下で有利に行うことができることを見出した。使用しうる水の量は、選択する溶媒とトリアルキルアミンにより様々である。
【0016】
上記反応は、十分な量の好ましい波長の光が通過しうるいずれかの適当な反応容器中で行うことができる。上記反応は、フローセル(flow−cell)反応器として適当な容器中で有利に行うことができる。
【0017】
例えば、3−ブロモ−2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフランを、アセトニトリル、トリエチルアミンおよび水(比率3: 7: 5)中で、254ナノメートルの波長の光を使用して20℃で15〜20時間光分解することにより、3−メチレンヘキサヒドロフロ[2,3−b]フランを得ることができる(スキームIV)。
【0018】
【化7】
【0019】
次に、中間体メチレンヘキサヒドロフロ[2,3−b]フランを酸化することにより、 所望のテトラヒドロフロ[2,3−b]フラン−3(2H)−オンを生成することができる。酸化は、当業者に公知の様々な方法を使用して行うことができる。例えば、オレフィンを、酸化オスミウム(IV)と反応させ、次いで、得られたジオールを切断することができる物質(例えば過ヨウ素酸ナトリウム)で処理してもよい。あるいは、オレフィンを、適当な溶媒中にてオゾンで処理し、得られたオゾン化物を切断することができる物質を添加してもよい。これらの反応は、通常、反応条件に対して安定な有機溶媒(例えばジクロロメタン)中で、−75℃〜25℃、有利には−30℃〜20℃の温度で行われる。例えば、メチレンヘキサヒドロフロ[2,3−b]フランを、塩化メチレン中でオゾンと−30℃にて反応させて、次いで、−20℃まで加温し、トリエチルアミンを添加することにより、テトラヒドロフロ[2,3−b]フラン−3(2H)−オンが得られる(スキームV)。
【0020】
【化8】
【0021】
次に、中間体テトラヒドロフロ[2,3−b]フラン−3(2H)−オンを還元することにより、ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−オールが得られる。還元は、非プロトン性有機溶媒、好ましくは、ジクロロメタンの存在下、0℃〜40℃の温度にて、好ましくは、20〜30℃の範囲の温度にて、適当な還元剤、例えば、水素化ホウ素ナトリウムまたは水素化ジイソブチルアルミニウム、またはより好ましくは、水素化リチウムアルミニウムを使用して行うことができる。適当な還元剤の選択は、当業者に公知の要素によって左右され、そのような要素としては、還元しようとする特定の化合物の特性、および反応を行う溶媒の特性等が挙げられる。例えば、テトラヒドロフロ[2,3−b]フラン−3(2H)−オンを、溶媒としてのジクロロメタン中で水素化リチウムアルミニウムと20〜30℃の範囲の温度で反応させることにより、ラセミ混合物としてヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−オールが得られる(スキームVI)。
【0022】
【化9】
【0023】
さらに、エナンチオマー富化ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−オールを、いわゆる「キラル還元剤」を使用することにより得ることができる。これらの物質は、ケトンまたはアルデヒドをエナンチオ選択的に還元することにより、エナンチオマー富化アルコールを生成することができる。この反応は、当業者に公知の条件を使用して、化学量論的量のまたは触媒的量のキラル還元剤を使用して行うことができる。例えば、Ernest L. Eliel、「有機化合物の立体化学(Stereochemistry of Organic Compounds)」, John Wiley & Sons, Inc., 1994, p. 941.を参照されたい。
【0024】
あるいは、ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−オールのラセミ混合物を分割することにより、各エナンチオマーのエナンチオマー富化混合物が得られる。当業者に公知であるこのタイプの分割を達成するためのいくつかの異なる方法が存在する。
【0025】
第一に、ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−オールのラセミ混合物は、そのエナンチオマー混合物をジアステレオマー混合物に変換し、次いで、従来からある分離方法(例えばシリカクロマトグラフィー)により分割することができる。このタイプの分割では、ラセミアルコールをキラル非ラセミ化合物(分割剤)と反応させることにより、ジアステレオマー混合物を形成させることができる。通常、キラル非ラセミ化合物は、酸塩化物またはクロロギ酸エステル(chloroformate)のいずれかであり、それぞれエステルまたは尿素のジアステレマー混合物が形成される。キラル非ラセミ分割剤の選択は、当業者に公知である要素に依存しうる。例えば、Elielら、p. 322を参照されたい。
【0026】
次に、ラセミアルコールを、アルコールの一方のエナンチオマーをエステルに変換させることができる酵素リパーゼと反応させることができる。次に、このエステルと残ったアルコールとを当業者に公知の方法により分離することができる。Elielら、p. 413を参照されたい。
【0027】
最終的に、ラセミアルコールは、エステラーゼを使用することにより、2種類のエナンチオマー富化混合物に分離することができる。これらの反応は、通常、初めにラセミアルコールを適当なエステル(例えば対応するアセテート)に変換することからなる。アルコールから対応するエステルへの変換は、アルコールと適当な物質(例えば、酸塩化物または無水物)とを反応させることにより達成することができる。これらの反応は、通常、塩基として機能することができる化合物(例えば炭酸ナトリウム)の存在下、非プロトン性溶媒(例えばテトラヒドロフラン)中で行うことができる。この他に、触媒として機能することができる化合物(例えば4−N,N−ジメチルアミノピリジン)を有利に使用することができる。次に、エステルのラセミ混合物を、適当なエステラーゼ酵素と、該エステルの一方のラセミ体を優先的に反応させる条件下で反応させることにより、主に一方のエナンチオマーからなるアルコールと、主にもう一方のエナンチオマーからなる残ったエステルとの混合物を得ることができる。次いで、アルコールとエステルの混合物を当業者に公知の方法(例えばシリカゲルクロマトグラフィー)を用いて分離することができる。適当なエステラーゼ酵素の選択、および適当な反応条件の選択は、当業者に公知の様々な要素によって左右される。Elielら、p. 409. を参照されたい。例えば、ラセミヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−オールを、炭酸ナトリウムおよび4−N,N−ジメチルアミノピリジンの存在下、テトラヒドロフランと水の混合物中で無水酢酸と反応させることにより、酢酸ヘキサヒドロフロ[2,3b]フラン−3−イルを得ることができる。次に、得られたアセテートを、リン酸水素ナトリウムのバッファー混合液中で、必要に応じて15%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを6.2〜7.2の間に維持しながら、PS−800と反応させることにより、(3R,3aS,6aR)−ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−イルアセテートと(3S,3aR,6aS)−ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−オールとの混合物を得ることができる(スキームVII)。
【0028】
【化10】
【0029】
「アルキル」という用語は、単独でまたは他の用語と組合せて、特定の数の炭素原子を含む、直鎖状または分枝鎖状の飽和脂肪族炭化水素基を意味する。アルキル基の例としては、限定するものではないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソアミル、n−ヘキシル等が挙げられる。
【0030】
「アリール」という用語は、単独でまたは他の用語と組合せて、特定の数の炭素原子、好ましくは6〜14個の炭素原子、より好ましくは6〜10個の炭素原子を含む、芳香族炭素環基(例えば、フェニルまたはナフチル)を意味する。アリール基の例としては、限定するものではないが、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、アズレニル、フルオレニル、アントラセニル等が挙げられる。さらに、該アリール環は、ハロゲン、C1−6アルキル、−CF3、複素環、−OCH3、アリール、C1−6アルキルアリール、およびC1−6アルキル複素環からなる群より独立して選択される1個以上の基で置換されていてもよい。
【0031】
「ハロゲン」という用語は、塩素、臭素またはヨウ素の基を意味する。
【0032】
本明細書中で使用する場合、「複素環」または「複素環式」という用語は、3〜7員の単環式複素環または8〜11員の二環式複素環を意味し、複素環は、飽和、部分的に飽和、または不飽和のいずれかであり、単環式の場合、ベンゼン環と縮合していてもよい。各複素環は、1個以上の炭素原子および1〜4個のN、OおよびSからなる群より選択されるヘテロ原子からなり、この場合、窒素および硫黄ヘテロ原子は酸化されていてもよく、また、上記定義の複素環とベンゼン環とが縮合している二環式の基が含まれる。この複素環は任意の炭素またはヘテロ原子の位置で結合させることができ、これにより安定した構造が形成される。好ましい複素環には、5〜7員の単環式複素環および8〜10員の二環式複素環が含まれる。かかる基の例としては、イミダゾリル、イミダゾリノイル、イミダゾリジニル、キノリル、イソキノリル、インドリル、インダゾリル、インダゾリノリル、ペルヒドロピリダジル、ピリダジル、ピリジル、ピロリル、ピロリニル、ピロリジニル、ピラゾリル、ピラジニル、キノキソリル、ピペリジニル、ピラニル、ピラゾリニル、ピペラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、モルホリニル、チアモルホリニル、フリル、チエニル、トリアゾリル、チアゾリル、カルボリニル、テトラゾリル、チアゾリジニル、ベンゾフラノイル、チアモルホリニルスルホン、オキサゾリル、ベンゾキサゾリル、オキソピペリジニル、オキソピロリジニル、オキソアゼピニル、アゼピニル、イソオキソゾリル、イソチアゾリル、フラザニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、チアゾリル、チアジアゾイル、ジオキソリル、ジオキシニル、オキサチオリル、ベンゾジオキソリル、ジチオリル、チオフェニル、テトラヒドロチオフェニル、スルホラニル、ジオキサニル、ジオキソラニル、テトラヒドロフロジヒドロフラニル、テトラヒドロピラノジヒドロフラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロフロフラニルおよびテトラヒドロピラノフラニルが挙げられる。
【0033】
「フローセル反応器」という用語は、化学反応で使用するのに適した容器を意味する。通常、光分解化学反応用フローセル反応器として使用するのに適した容器は、適当な材料、好ましくはステンレススチールで製造された、なめらかな、反射する内部を有する中空状の容器と、化学反応混合物の導入および除去に適した流入口および流出口と、200〜400ナノメートルの範囲、好ましくは254ナノメートルの波長の光を供給することができる光源とを含んでなる。
【0034】
以下の実施例は、単なる例示を目的としたものであり、本発明の範囲を何らか限定するものとしてみなすべきではない。
【0035】
【実施例】
実施例 1
A. 3− ブロモ −2−(2− プロピニルオキシ ) テトラヒドロフラン
反応器にN−ブロモスクシンイミド(NBS、1.05当量(eq.)、2.67重量部(wt))、次いで塩化メチレン(10 容量)を充填した。得られたスラリーを0℃に冷却し、2,3−ジヒドロフラン(1当量、1.0重量)とプロパルギルアルコール(1.5当量、1.2重量)の混合物を40分間かけて添加した。得られた透明な溶液を0℃で1時間攪拌し、30分間かけて25℃まで加熱し、その温度で一晩維持した。次に、溶液を、水(1 x 10 容量)、25% メタ−亜硫酸水素ナトリウム(2 x 5 容量) および飽和重炭酸ナトリウム(25 容量)で洗浄した。次いで、得られた溶液を油状物になるまで減圧下で濃縮した。アセトニトリル(1 容量)を添加し、溶液を油状物になるまで減圧下で濃縮することにより、3−ブロモ−2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフランが得られた。標題化合物の1H NMRスペクトルは、文献(Ghosh, et. al., J. Med. Chem. 1996, 39 (17), p. 3278)に記載されているものと同一であった。
【0036】
B. 3− メチレンヘキサヒドロフロ [2,3−b] フラン
3−ブロモ−2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフラン(1当量、1重量)を、ジャケット付反応器中のアセトニトリル(3容量)、トリエチルアミン(10.3当量、7容量)および水(5容量)に溶解させた。得られた溶液を20℃で攪拌し、10個の13.8W 低圧水銀灯(254 nm 波長照射)を備えたステンレス製光反応器を用いて15〜20時間循環させた。適当な反応時間の後、混合物を油状物になるまで濃縮した。標題化合物の1H NMRスペクトルは、文献(Ghosh, et. al., J. Med. Chem. 1996, 39 (17), p. 3278)に記載されているものと同一であった。反応の進行は、以下の条件下でガスクロマトグラフを用いて追跡した。
【0037】
カラム : DB−624 30 m x 0.53 mm カラム、フィルム厚3ミクロン;
キャリアーガス: ヘリウム、流速5 mL/分;
注入器温度: 250℃;
検出器タイプおよび温度: FID、300℃;
開始時オーブン温度: 100℃;
温度ランプ: 250℃まで20℃/分、その後7.5分間維持;
3−メチレンヘキサヒドロフロ[2,3−b]フランの保持時間= 4.9分。
【0038】
C. テトラヒドロフロ [2,3−b] フラン −3(2H)− オン
反応器に、3−メチレンヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン(1当量、1.0重量)および塩化メチレン(10容量)を充填した。溶液を攪拌し、−30℃まで冷却した。オゾンを表面直下の添加ライン(subsurface addition line)から導入し、温度は−30±5℃に維持した。溶液が青色に変わったら、窒素でパージし、トリエチルアミン(2.0当量)をゆっくりと添加し、温度は−30〜−20℃に維持した。添加が完了した後、溶液を20℃まで加温し、一晩攪拌した。一晩攪拌した後、3 N HClおよび5% ブライン溶液(3.2 容量)を、反応混合物の温度が30℃より低く維持されるような割合で添加した。次いで、層分離し、有機層を5% ブライン溶液で洗浄し、次に、減圧下(15 mbar)で濃縮することにより、油状物としてテトラヒドロフロ[2,3−b]フラン−3(2H)−オンが得られた。標題化合物の1H NMRスペクトルは、文献(Ghosh, et. al., J. Med. Chem. 1996, 39 (17), p. 3278)に記載されているものと同一であった。
【0039】
D. ヘキサヒドロフロ [2,3−b] フラン −3− オール
反応器にテトラヒドロフロ[2,3−b]フラン−3(2H)−オン(1.0当量、1.0重量)および塩化メチレン(5容量)を充填した。水素化アルミニウムリチウム(テトラヒドロフラン中1 M、0.45当量、5.9容量)を、反応温度が30℃より低く維持されるようにゆっくりと添加した。添加が完了した後、この反応物をさらに30分間攪拌し、次いで、氷浴中で冷却した。以下の物質を、反応混合物の温度が20℃より低く維持されるような割合で連続的に添加した:THF中25% 水(LAH固体重量に対して4容量)、15% w/v 水酸化ナトリウム(LAH固体重量に対して3容量)、および水(LAH固体重量に対して1容量)。水の添加が完了した後、直ちに、セライトを添加し、得られたスラリーを1時間攪拌した。次に、このスラリーを目の粗いフリット漏斗(fritted funnel)でろ過し、フィルターケーキをTHF(2容量)で洗浄した。濾液と洗浄液を合わせて、さらなる精製または操作を行うことなく、次の工程に使用した。標題化合物の1H NMRスペクトルは、文献(Ghosh, et. al., J. Med. Chem. 1996, 39 (17), p. 3278)に記載されているものと同一であった。
【0040】
E. 酢酸ヘキサヒドロフロ [2,3−b] フラン −3− イル
反応器に、炭酸ナトリウム(2.5当量、2.0重量)、上記工程Dの濾液、および4,4−N,N−ジメチルアミノピリジン(0.05当量、0.04重量)を充填した。得られた混合物を氷浴中で冷却し、無水酢酸(1.5当量、1.1容量)を、反応混合物が10℃より低い温度で維持されるような割合で添加した。次に、混合物を室温まで加温し、一晩攪拌した。得られたスラリーを目の粗いフリット漏斗でろ過し、フィルターケーキを塩化メチレン(2容量)で洗浄した。濾液および洗浄液を合わせて、さらに1 N HCl(1 容量)で抽出した。次いで、この混合物を減圧下で濃縮することにより、油状物として酢酸ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−イルが得られた。標題化合物の1H NMRスペクトルは、文献(Ghosh, et. al., J. Med. Chem. 1996, 39 (17), p. 3278)に記載されているものと同一であった。
【0041】
F. (3R,3aS,6aR)− ヘキサヒドロフロ [2,3−b] フラン −3− イルアセテート
反応器に、0.1 N NaHPO4 (pH = 7.0、7.5容量)および酢酸 ヘキサヒドロフロ[2,3b]フラン−3−イル(1当量、1重量)を充填した。次に、15% 水酸化ナトリウムを添加することにより、溶液のpHを7.0に調整し、この溶液を35±3℃に加熱した。次に、PS−800 (500単位/mmol)を添加し、15% 水酸化ナトリウムを断続的に添加することによりpHを6.8〜7.2に維持した。反応の進行を、不要なアセテートのすべてが加水分解されるまで、キラルガスクロマトグラフィーにより追跡した。次に、セライト(0.5 重量)、次いで、塩化メチレン(4.0 容量)を添加し、得られたスラリーを15分間攪拌した。次に、この混合物をセライトパッドでろ過し、次いで、塩化メチレンを使用してセライトパッドを数回洗浄した。有機層を分離し、この有機層を水(1 容量)で3回、10% 塩化ナトリウム(2 容量)で1回洗浄し、次いで、減圧下で濃縮することにより、油状物として(3R,3aS,6aR)−ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−イルアセテートが得られた。標題化合物の1H NMRスペクトルは、文献(Ghosh, et. al., J. Med. Chem. 1996, 39 (17), p. 3278)に記載されているものと同一であった。得られた(3R,3aS,6aR)−ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−イルアセテートの典型的な光学的純度は、> 98% eeであった。光学的純度は、以下の条件のもと、キラルGCを使用して測定した:
カラム: Astec Chiraldex β−シクロデキストリントリフルオロアセチル (B−TA) 20 m x 0.25 mm;
キャリアーガス: He、1 mL/分;
補給ガス: He、30 mL/分;
検出: FID、300℃
注入: 1μL、250℃ (スプリット)
スプリットフロー: 100 mL/分
合計操作時間: 30 分間
温度プログラム: 恒温、115℃
サンプル調製: 10 mL アセトニトリル中、約25〜50 mg サンプル (1〜2滴)。
【0042】
サンプル調製物1μLを注入。適当な感度を得るために、または、カラムへのオーバーロードを防ぐために、必要に応じてサンプル濃度に調整することができる。
【0043】
保持時間:(3S,3aR,6aS)−ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−イルアセテート= 11.43分;(3R,3aS,6aR)−ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−イルアセテート= 12.20分。
【0044】
G. (3R,3aS,6aR)− ヘキサヒドロフロ [2,3−b] フラン −3− オール
反応器に、酢酸(3R,3aS,6aR)−ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−イルアセテート(1当量、1重量)、メタノール(3容量)および炭酸カリウム(0.001当量、0.001重量)を充填した。反応混合物を室温で18〜20時間攪拌し、次いで、反応混合物を濃縮することにより、油状物として(3R,3aS,6aR)−ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−オールが得られた。標題化合物の1H NMRスペクトルは、文献(Ghosh, et. al., J. Med. Chem. 1996, 39 (17), p. 3278)に記載されているものと同一であった。反応の進行は、以下の条件でのガスクロマトグラフを用いて追跡した。
【0045】
カラム : DB−624、30 m x 0.53 mm、フィルム厚3 ミクロン;
キャリアーガス: ヘリウム、5 mL/分;
補給ガス: ヘリウム、25 mL/分;
検出器: FID、300℃;
開始時オーブン温度: 100℃、0分;
温度ランプ: 250℃まで20℃/分、その後7.5分間維持;
(3R,3aS,6aR)−ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−オールの保持時間= 6.55分。
発明の背景
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)は、後天性免疫不全症候群(AIDS)の原因物質である。この疾患は、免疫系、特にCD4+ T−細胞の破壊により特徴付けられ、日和見感染およびその前駆状態であるAIDS関連症候群(ARC)(継続的な全身のリンパ節腫脹、発熱および体重減少等の症状により特徴付けられる症候群)を伴う。
【0002】
ヒトにおいてHIV感染を治療するために現在使用されている薬剤には、HIV酵素アスパルチルプロテアーゼを阻害するものが存在する。プロテアーゼ阻害剤として使用されている薬剤は、通常、化学的に複雑であり、経済的かつ効率的に製造することが困難である。これら分子固有の複雑さを理由に、新しくより効率的なプロテアーゼ阻害剤の製造方法は意義深いものである。
【0003】
ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−オール(HIVアスパルチルプロテアーゼ阻害剤の合成中間体)の合成が、Ghoshらにより記載されている(J. Med. Chem. 1996, 39 (17), p. 3278)。ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン環系の製造における主要な工程は、ラジカル環化条件下での2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフラニル誘導体の環化である。例えば、Ghoshらは、化学量論的量のラジカル開始剤として作用可能な化合物(例えば、水素化ホウ素ナトリウムとコバロキシムとの混合物)を使用して、3−ヨード−2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフランを所望の3−メチレンヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン誘導体へ環化させることができることを報告している。
【0004】
あるいは、化学量論的量の水素化トリアルキルスズ(例えば水素化トリブチルスズ)を使用して、同じ環化反応を行うことができる。医薬中間体の合成のためには、上記方法は、例えば微量金属(例えば、コバルトまたはスズ)の毒性といった欠点を有する。毒性を考慮することにより、本発明者らは、重要である環化工程において毒性金属の使用を回避し得る、ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン環系の新しい製造方法を開発した。
【0005】
O−アルケニルアリール基の環化によりジヒドロベンゾフランが生成されることが、Beckwithら (J. Chem. Soc., Chem. Comm. 1981, p. 136) により記載されている。これらの反応では、2−ハロ−O−アリルフェノール前駆物質を調製し、水素化トリブチルスズを使用して必須のアリールラジカル中間体を生成している。
【0006】
O−アリル−2−ハロゲン糖誘導体のラジカル環化によりα−C(2)−分枝鎖状糖が生成されることが、Mesmaekerら(Synlett 1990, p. 201)により記載されている。この方法は、所望の環化を行わせるために、光の使用に加えて、ラジカル開始化合物(例えば、AIBNと水素化トリブチルスズとの組合せ)を利用している。
【0007】
発明の概要
本発明は、ラジカル開始剤非存在下で光を利用して分子内環化反応を行って、有用な多環式化合物を製造する方法を含む。さらに本発明は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)のアスパルチルプロテアーゼ酵素阻害剤として機能する化合物の合成において有用な中間体の製造方法を提供する。本発明の方法は、化学量論的量のラジカル開始剤を使用することなく、光を使用することにより、2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフラニル誘導体からヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン環系への環化を行うことを特徴とする。ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン誘導体を一連のさらなる反応によって変換することにより、HIVアスパルチルプロテアーゼ阻害剤として有効である化合物の合成中間体ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−オールを生成することができる。
【0008】
詳細な説明
本発明の方法は、ペンダントオレフィン置換基またはアルキニル置換基を含む、適当に置換された有機ハロゲン化合物の分子内環化を行わせるために光を使用することを伴う。本発明をスキームI、II、およびIVに概説する:
【化3】
[式中、
Aは、同一であっても、異なるものであってもよく、互いに独立して、−CH2−、−CHR10−、−CR10R11−、−O−、−NH−、−NR10−、および−S−からなる群より選択され、この場合、R10およびR11は、同一であっても、異なるものであってもよく、水素、C6−14アリール、およびC1−6アルキルからなる群より選択され;
R1は、水素、C1−6アルキル、C6−14アリール、C1−6アルキル複素環、および複素環からなる群より選択され;
R2は、水素、C6−14アリール、C1−6アルキル、C6−14アリール、C1−6アルキル複素環、および複素環からなる群より選択され;
R3は、水素、C6−14アリール、C1−6アルキル、C1−6アルキル複素環、および複素環からなる群より選択され;
R4は、水素、C6−14アリール、C1−6アルキル、C1−6アルキル複素環、および複素環からなる群より選択され;
R5は、水素、C6−14アリール、C1−6アルキル、C1−6アルキル複素環、複素環、−OR12、および−CH2OR12からなる群より選択され、この場合、R12は、C1−6アルキルおよび−C(O)R10からなる群より選択され;
R6は、水素、C6−14アリール、C1−6アルキル、C1−6アルキル複素環、複素環、−OR12、および−CH2OR12からなる群より選択され、この場合、R12は、C1−6アルキルおよび−C(O)R10からなる群より選択され;
R7、R8およびR9は、同一であっても、異なるものであってもよく、水素、C6−14アリール、C1−6アルキル、C1−6アルキル複素環、および複素環からなる群より選択され;
Xはハロゲンであり; かつ
n = 1〜4である。]
【0009】
本発明は、以下の式:
【化4】
[式中、
Aは、同一であっても、異なるものであってもよく、互いに独立して、−CH2−、−CHR10−、−CR10R11−、−O−、−NH−、−NR10−、および−S−からなる群より選択され、この場合、R10およびR11は、同一であっても、異なるものであってもよく、水素、C6−14アリール、およびC1−6アルキルからなる群より選択され;
R1は、水素、C1−6アルキル、C6−14アリール、C1−6アルキル複素環、および複素環からなる群より選択され;
R4は、水素、C6−14アリール、C1−6アルキル、C1−6アルキル複素環、および複素環からなる群より選択され;
R5は、水素、C6−14アリール、C1−6アルキル、C1−6アルキル複素環、複素環、−OR12、および−CH2OR12からなる群より選択され、この場合、R12は、C1−6アルキルおよび−C(O)R10からなる群より選択され;
R6は、水素、C6−14アリール、C1−6アルキル、C1−6アルキル複素環、複素環、−OR12、および−CH2OR12からなる群より選択され; かつ
n = 1〜4である]
で表される化合物の製造方法であって、以下の式:
【化5】
[式中、R1〜R6は上記の定義のとおりである]
で表される化合物を、式NR7R8R9(この場合、R7、R8およびR9は、互いに独立して、水素、C6−14アリール、C1−6アルキル、C1−6アルキル複素環、および複素環からなる群より選択される)で表される化合物の存在下、200〜400ナノメートルの波長の光に曝露することを含んでなる上記方法、を特徴とする。
【0010】
さらに、本発明は、ラジカル開始剤の非存在下で3−メチレンヘキサヒドロフロ[2,3−b]フランを製造する方法であって、式NR7R8R9(この場合、R7、R8およびR9は、互いに独立して、水素、C6−14アリール、C1−6アルキル、C1−6アルキル複素環、および複素環からなる群より選択される)で表される化合物を含む溶媒の存在下、3−ハロ−2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフラニル誘導体を200〜400ナノメートルの波長の光に曝露することにより該誘導体を環化して3−メチレンヘキサヒドロフロ[2,3−b]フランを生成させることを含んでなる上記方法、を特徴とする。
【0011】
さらに本発明は、以下の工程からなるヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−オールの製造方法により特徴付けられる:
a) 式NR7R8R9(この場合、R7、R8およびR9は、互いに独立して、水素、C6−14アリール、C1−6アルキル、C1−6アルキル複素環、および複素環からなる群より選択される)で表される化合物を含む溶媒の存在下、3−ハロ−2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフラニル誘導体を200〜400ナノメートルの波長の光に曝露することにより該誘導体を環化させて3−メチレンヘキサヒドロフロ[2,3−b]フランを生成する工程;
b) 該3−メチレンヘキサヒドロフロ[2,3−b]フランを酸化してテトラヒドロフロ[2,3−b]フラン−3(2H)−オンを生成する工程;および
c) 該テトラヒドロフロ[2,3−b]フラン−3(2H)−オンを還元してヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−オールを生成する工程。
【0012】
本発明は、3−ハロ−2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフラニル誘導体が、3−ヨード−2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフラン、3−ブロモ−2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフラン、または3−クロロ−2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフランであり、光が254 ナノメートルの波長であり、かつ、式NR7R8R9で表される化合物がトリエチルアミンである、上記方法を含む。
【0013】
本発明の方法では、まず初めに、分子内光環化反応のための適当な基質を製造することが必要である。これらの基質は、当業者に公知である様々な方法によって製造することができる。例えば、3−ハロ−2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフラニル誘導体の製造は、適当な活性化剤の存在下、2,3−ジヒドロフランと2−プロピン−1−オールとを反応させることにより、3−ハロ−2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフラン誘導体を得ることにより行われる。例えば、かかる3−ハロ−2−(2プロピニルオキシ)テトラヒドロフラン誘導体としては、3−ヨード−2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフラン、3−ブロモ−2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフランまたは3−クロロ−2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフランが挙げられる。この反応は、2−プロピン−1−オール誘導体のアルコール部分による求核付加反応のために2,3−ジヒドロフラン環を活性化させることができる物質を用いて行うことができる。例えば、この反応は、非求核溶媒(例えばジクロロメタン)中、N−ブロモスクシンイミド(NBS)またはN−ヨードスクシンイミド(NIS)を使用して、−10℃〜25℃、好ましくは0℃、次いで25℃まで加温することにより行うことができる。例えば、2,3−ジヒドロフランを、ジクロロメタン中、NBSの存在下、2−プロピン−1−オールと反応させることにより、3−ブロモ−2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフランが得られる(スキームIII)。
【0014】
【化6】
【0015】
3−ハロ−2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフラン誘導体(例えば、3−ヨード−2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフラン、3−ブロモ−2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフランまたは3−クロロ−2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフラン)は、トリアルキルアミンの存在下、かつ適当な溶媒の存在下、光を利用して環化させることができる。この反応は、3−ハロ−2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフラン誘導体において炭素−ハロゲン結合の均一開裂を生じさせるのに十分な光源を使用して行うことができる。例えば、使用する光源は、所望の炭素−ハロゲン結合の均一開裂を生じさせるのに十分な強度の紫外光を提供することができる。好ましくは、254ナノメートルの波長の光を提供する光源が使用され、これは低圧水銀灯によりもたらされる。これらの反応は適当な溶媒(光分解条件下で十分に安定であるもの)中で行うことができる。例えば、該反応は極性溶媒(例えばアセトニトリル)中で行うことができる。さらに該環化反応は、式NR7R8R9(この場合、R7、R8、およびR9は、互いに独立して、水素、C1−6アルキル、C6−14アリール、複素環、およびC1−6アルキル複素環からなる群より選択され、好ましくはC1−6アルキルである)で表される適当なトリアルキルアミンの存在下で行うことができることも見出されている。好ましくは、該アミンはトリエチルアミンである。本発明者等は、上記反応を水の存在下で有利に行うことができることを見出した。使用しうる水の量は、選択する溶媒とトリアルキルアミンにより様々である。
【0016】
上記反応は、十分な量の好ましい波長の光が通過しうるいずれかの適当な反応容器中で行うことができる。上記反応は、フローセル(flow−cell)反応器として適当な容器中で有利に行うことができる。
【0017】
例えば、3−ブロモ−2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフランを、アセトニトリル、トリエチルアミンおよび水(比率3: 7: 5)中で、254ナノメートルの波長の光を使用して20℃で15〜20時間光分解することにより、3−メチレンヘキサヒドロフロ[2,3−b]フランを得ることができる(スキームIV)。
【0018】
【化7】
【0019】
次に、中間体メチレンヘキサヒドロフロ[2,3−b]フランを酸化することにより、 所望のテトラヒドロフロ[2,3−b]フラン−3(2H)−オンを生成することができる。酸化は、当業者に公知の様々な方法を使用して行うことができる。例えば、オレフィンを、酸化オスミウム(IV)と反応させ、次いで、得られたジオールを切断することができる物質(例えば過ヨウ素酸ナトリウム)で処理してもよい。あるいは、オレフィンを、適当な溶媒中にてオゾンで処理し、得られたオゾン化物を切断することができる物質を添加してもよい。これらの反応は、通常、反応条件に対して安定な有機溶媒(例えばジクロロメタン)中で、−75℃〜25℃、有利には−30℃〜20℃の温度で行われる。例えば、メチレンヘキサヒドロフロ[2,3−b]フランを、塩化メチレン中でオゾンと−30℃にて反応させて、次いで、−20℃まで加温し、トリエチルアミンを添加することにより、テトラヒドロフロ[2,3−b]フラン−3(2H)−オンが得られる(スキームV)。
【0020】
【化8】
【0021】
次に、中間体テトラヒドロフロ[2,3−b]フラン−3(2H)−オンを還元することにより、ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−オールが得られる。還元は、非プロトン性有機溶媒、好ましくは、ジクロロメタンの存在下、0℃〜40℃の温度にて、好ましくは、20〜30℃の範囲の温度にて、適当な還元剤、例えば、水素化ホウ素ナトリウムまたは水素化ジイソブチルアルミニウム、またはより好ましくは、水素化リチウムアルミニウムを使用して行うことができる。適当な還元剤の選択は、当業者に公知の要素によって左右され、そのような要素としては、還元しようとする特定の化合物の特性、および反応を行う溶媒の特性等が挙げられる。例えば、テトラヒドロフロ[2,3−b]フラン−3(2H)−オンを、溶媒としてのジクロロメタン中で水素化リチウムアルミニウムと20〜30℃の範囲の温度で反応させることにより、ラセミ混合物としてヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−オールが得られる(スキームVI)。
【0022】
【化9】
【0023】
さらに、エナンチオマー富化ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−オールを、いわゆる「キラル還元剤」を使用することにより得ることができる。これらの物質は、ケトンまたはアルデヒドをエナンチオ選択的に還元することにより、エナンチオマー富化アルコールを生成することができる。この反応は、当業者に公知の条件を使用して、化学量論的量のまたは触媒的量のキラル還元剤を使用して行うことができる。例えば、Ernest L. Eliel、「有機化合物の立体化学(Stereochemistry of Organic Compounds)」, John Wiley & Sons, Inc., 1994, p. 941.を参照されたい。
【0024】
あるいは、ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−オールのラセミ混合物を分割することにより、各エナンチオマーのエナンチオマー富化混合物が得られる。当業者に公知であるこのタイプの分割を達成するためのいくつかの異なる方法が存在する。
【0025】
第一に、ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−オールのラセミ混合物は、そのエナンチオマー混合物をジアステレオマー混合物に変換し、次いで、従来からある分離方法(例えばシリカクロマトグラフィー)により分割することができる。このタイプの分割では、ラセミアルコールをキラル非ラセミ化合物(分割剤)と反応させることにより、ジアステレオマー混合物を形成させることができる。通常、キラル非ラセミ化合物は、酸塩化物またはクロロギ酸エステル(chloroformate)のいずれかであり、それぞれエステルまたは尿素のジアステレマー混合物が形成される。キラル非ラセミ分割剤の選択は、当業者に公知である要素に依存しうる。例えば、Elielら、p. 322を参照されたい。
【0026】
次に、ラセミアルコールを、アルコールの一方のエナンチオマーをエステルに変換させることができる酵素リパーゼと反応させることができる。次に、このエステルと残ったアルコールとを当業者に公知の方法により分離することができる。Elielら、p. 413を参照されたい。
【0027】
最終的に、ラセミアルコールは、エステラーゼを使用することにより、2種類のエナンチオマー富化混合物に分離することができる。これらの反応は、通常、初めにラセミアルコールを適当なエステル(例えば対応するアセテート)に変換することからなる。アルコールから対応するエステルへの変換は、アルコールと適当な物質(例えば、酸塩化物または無水物)とを反応させることにより達成することができる。これらの反応は、通常、塩基として機能することができる化合物(例えば炭酸ナトリウム)の存在下、非プロトン性溶媒(例えばテトラヒドロフラン)中で行うことができる。この他に、触媒として機能することができる化合物(例えば4−N,N−ジメチルアミノピリジン)を有利に使用することができる。次に、エステルのラセミ混合物を、適当なエステラーゼ酵素と、該エステルの一方のラセミ体を優先的に反応させる条件下で反応させることにより、主に一方のエナンチオマーからなるアルコールと、主にもう一方のエナンチオマーからなる残ったエステルとの混合物を得ることができる。次いで、アルコールとエステルの混合物を当業者に公知の方法(例えばシリカゲルクロマトグラフィー)を用いて分離することができる。適当なエステラーゼ酵素の選択、および適当な反応条件の選択は、当業者に公知の様々な要素によって左右される。Elielら、p. 409. を参照されたい。例えば、ラセミヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−オールを、炭酸ナトリウムおよび4−N,N−ジメチルアミノピリジンの存在下、テトラヒドロフランと水の混合物中で無水酢酸と反応させることにより、酢酸ヘキサヒドロフロ[2,3b]フラン−3−イルを得ることができる。次に、得られたアセテートを、リン酸水素ナトリウムのバッファー混合液中で、必要に応じて15%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを6.2〜7.2の間に維持しながら、PS−800と反応させることにより、(3R,3aS,6aR)−ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−イルアセテートと(3S,3aR,6aS)−ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−オールとの混合物を得ることができる(スキームVII)。
【0028】
【化10】
【0029】
「アルキル」という用語は、単独でまたは他の用語と組合せて、特定の数の炭素原子を含む、直鎖状または分枝鎖状の飽和脂肪族炭化水素基を意味する。アルキル基の例としては、限定するものではないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソアミル、n−ヘキシル等が挙げられる。
【0030】
「アリール」という用語は、単独でまたは他の用語と組合せて、特定の数の炭素原子、好ましくは6〜14個の炭素原子、より好ましくは6〜10個の炭素原子を含む、芳香族炭素環基(例えば、フェニルまたはナフチル)を意味する。アリール基の例としては、限定するものではないが、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、アズレニル、フルオレニル、アントラセニル等が挙げられる。さらに、該アリール環は、ハロゲン、C1−6アルキル、−CF3、複素環、−OCH3、アリール、C1−6アルキルアリール、およびC1−6アルキル複素環からなる群より独立して選択される1個以上の基で置換されていてもよい。
【0031】
「ハロゲン」という用語は、塩素、臭素またはヨウ素の基を意味する。
【0032】
本明細書中で使用する場合、「複素環」または「複素環式」という用語は、3〜7員の単環式複素環または8〜11員の二環式複素環を意味し、複素環は、飽和、部分的に飽和、または不飽和のいずれかであり、単環式の場合、ベンゼン環と縮合していてもよい。各複素環は、1個以上の炭素原子および1〜4個のN、OおよびSからなる群より選択されるヘテロ原子からなり、この場合、窒素および硫黄ヘテロ原子は酸化されていてもよく、また、上記定義の複素環とベンゼン環とが縮合している二環式の基が含まれる。この複素環は任意の炭素またはヘテロ原子の位置で結合させることができ、これにより安定した構造が形成される。好ましい複素環には、5〜7員の単環式複素環および8〜10員の二環式複素環が含まれる。かかる基の例としては、イミダゾリル、イミダゾリノイル、イミダゾリジニル、キノリル、イソキノリル、インドリル、インダゾリル、インダゾリノリル、ペルヒドロピリダジル、ピリダジル、ピリジル、ピロリル、ピロリニル、ピロリジニル、ピラゾリル、ピラジニル、キノキソリル、ピペリジニル、ピラニル、ピラゾリニル、ピペラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、モルホリニル、チアモルホリニル、フリル、チエニル、トリアゾリル、チアゾリル、カルボリニル、テトラゾリル、チアゾリジニル、ベンゾフラノイル、チアモルホリニルスルホン、オキサゾリル、ベンゾキサゾリル、オキソピペリジニル、オキソピロリジニル、オキソアゼピニル、アゼピニル、イソオキソゾリル、イソチアゾリル、フラザニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、チアゾリル、チアジアゾイル、ジオキソリル、ジオキシニル、オキサチオリル、ベンゾジオキソリル、ジチオリル、チオフェニル、テトラヒドロチオフェニル、スルホラニル、ジオキサニル、ジオキソラニル、テトラヒドロフロジヒドロフラニル、テトラヒドロピラノジヒドロフラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロフロフラニルおよびテトラヒドロピラノフラニルが挙げられる。
【0033】
「フローセル反応器」という用語は、化学反応で使用するのに適した容器を意味する。通常、光分解化学反応用フローセル反応器として使用するのに適した容器は、適当な材料、好ましくはステンレススチールで製造された、なめらかな、反射する内部を有する中空状の容器と、化学反応混合物の導入および除去に適した流入口および流出口と、200〜400ナノメートルの範囲、好ましくは254ナノメートルの波長の光を供給することができる光源とを含んでなる。
【0034】
以下の実施例は、単なる例示を目的としたものであり、本発明の範囲を何らか限定するものとしてみなすべきではない。
【0035】
【実施例】
実施例 1
A. 3− ブロモ −2−(2− プロピニルオキシ ) テトラヒドロフラン
反応器にN−ブロモスクシンイミド(NBS、1.05当量(eq.)、2.67重量部(wt))、次いで塩化メチレン(10 容量)を充填した。得られたスラリーを0℃に冷却し、2,3−ジヒドロフラン(1当量、1.0重量)とプロパルギルアルコール(1.5当量、1.2重量)の混合物を40分間かけて添加した。得られた透明な溶液を0℃で1時間攪拌し、30分間かけて25℃まで加熱し、その温度で一晩維持した。次に、溶液を、水(1 x 10 容量)、25% メタ−亜硫酸水素ナトリウム(2 x 5 容量) および飽和重炭酸ナトリウム(25 容量)で洗浄した。次いで、得られた溶液を油状物になるまで減圧下で濃縮した。アセトニトリル(1 容量)を添加し、溶液を油状物になるまで減圧下で濃縮することにより、3−ブロモ−2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフランが得られた。標題化合物の1H NMRスペクトルは、文献(Ghosh, et. al., J. Med. Chem. 1996, 39 (17), p. 3278)に記載されているものと同一であった。
【0036】
B. 3− メチレンヘキサヒドロフロ [2,3−b] フラン
3−ブロモ−2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフラン(1当量、1重量)を、ジャケット付反応器中のアセトニトリル(3容量)、トリエチルアミン(10.3当量、7容量)および水(5容量)に溶解させた。得られた溶液を20℃で攪拌し、10個の13.8W 低圧水銀灯(254 nm 波長照射)を備えたステンレス製光反応器を用いて15〜20時間循環させた。適当な反応時間の後、混合物を油状物になるまで濃縮した。標題化合物の1H NMRスペクトルは、文献(Ghosh, et. al., J. Med. Chem. 1996, 39 (17), p. 3278)に記載されているものと同一であった。反応の進行は、以下の条件下でガスクロマトグラフを用いて追跡した。
【0037】
カラム : DB−624 30 m x 0.53 mm カラム、フィルム厚3ミクロン;
キャリアーガス: ヘリウム、流速5 mL/分;
注入器温度: 250℃;
検出器タイプおよび温度: FID、300℃;
開始時オーブン温度: 100℃;
温度ランプ: 250℃まで20℃/分、その後7.5分間維持;
3−メチレンヘキサヒドロフロ[2,3−b]フランの保持時間= 4.9分。
【0038】
C. テトラヒドロフロ [2,3−b] フラン −3(2H)− オン
反応器に、3−メチレンヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン(1当量、1.0重量)および塩化メチレン(10容量)を充填した。溶液を攪拌し、−30℃まで冷却した。オゾンを表面直下の添加ライン(subsurface addition line)から導入し、温度は−30±5℃に維持した。溶液が青色に変わったら、窒素でパージし、トリエチルアミン(2.0当量)をゆっくりと添加し、温度は−30〜−20℃に維持した。添加が完了した後、溶液を20℃まで加温し、一晩攪拌した。一晩攪拌した後、3 N HClおよび5% ブライン溶液(3.2 容量)を、反応混合物の温度が30℃より低く維持されるような割合で添加した。次いで、層分離し、有機層を5% ブライン溶液で洗浄し、次に、減圧下(15 mbar)で濃縮することにより、油状物としてテトラヒドロフロ[2,3−b]フラン−3(2H)−オンが得られた。標題化合物の1H NMRスペクトルは、文献(Ghosh, et. al., J. Med. Chem. 1996, 39 (17), p. 3278)に記載されているものと同一であった。
【0039】
D. ヘキサヒドロフロ [2,3−b] フラン −3− オール
反応器にテトラヒドロフロ[2,3−b]フラン−3(2H)−オン(1.0当量、1.0重量)および塩化メチレン(5容量)を充填した。水素化アルミニウムリチウム(テトラヒドロフラン中1 M、0.45当量、5.9容量)を、反応温度が30℃より低く維持されるようにゆっくりと添加した。添加が完了した後、この反応物をさらに30分間攪拌し、次いで、氷浴中で冷却した。以下の物質を、反応混合物の温度が20℃より低く維持されるような割合で連続的に添加した:THF中25% 水(LAH固体重量に対して4容量)、15% w/v 水酸化ナトリウム(LAH固体重量に対して3容量)、および水(LAH固体重量に対して1容量)。水の添加が完了した後、直ちに、セライトを添加し、得られたスラリーを1時間攪拌した。次に、このスラリーを目の粗いフリット漏斗(fritted funnel)でろ過し、フィルターケーキをTHF(2容量)で洗浄した。濾液と洗浄液を合わせて、さらなる精製または操作を行うことなく、次の工程に使用した。標題化合物の1H NMRスペクトルは、文献(Ghosh, et. al., J. Med. Chem. 1996, 39 (17), p. 3278)に記載されているものと同一であった。
【0040】
E. 酢酸ヘキサヒドロフロ [2,3−b] フラン −3− イル
反応器に、炭酸ナトリウム(2.5当量、2.0重量)、上記工程Dの濾液、および4,4−N,N−ジメチルアミノピリジン(0.05当量、0.04重量)を充填した。得られた混合物を氷浴中で冷却し、無水酢酸(1.5当量、1.1容量)を、反応混合物が10℃より低い温度で維持されるような割合で添加した。次に、混合物を室温まで加温し、一晩攪拌した。得られたスラリーを目の粗いフリット漏斗でろ過し、フィルターケーキを塩化メチレン(2容量)で洗浄した。濾液および洗浄液を合わせて、さらに1 N HCl(1 容量)で抽出した。次いで、この混合物を減圧下で濃縮することにより、油状物として酢酸ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−イルが得られた。標題化合物の1H NMRスペクトルは、文献(Ghosh, et. al., J. Med. Chem. 1996, 39 (17), p. 3278)に記載されているものと同一であった。
【0041】
F. (3R,3aS,6aR)− ヘキサヒドロフロ [2,3−b] フラン −3− イルアセテート
反応器に、0.1 N NaHPO4 (pH = 7.0、7.5容量)および酢酸 ヘキサヒドロフロ[2,3b]フラン−3−イル(1当量、1重量)を充填した。次に、15% 水酸化ナトリウムを添加することにより、溶液のpHを7.0に調整し、この溶液を35±3℃に加熱した。次に、PS−800 (500単位/mmol)を添加し、15% 水酸化ナトリウムを断続的に添加することによりpHを6.8〜7.2に維持した。反応の進行を、不要なアセテートのすべてが加水分解されるまで、キラルガスクロマトグラフィーにより追跡した。次に、セライト(0.5 重量)、次いで、塩化メチレン(4.0 容量)を添加し、得られたスラリーを15分間攪拌した。次に、この混合物をセライトパッドでろ過し、次いで、塩化メチレンを使用してセライトパッドを数回洗浄した。有機層を分離し、この有機層を水(1 容量)で3回、10% 塩化ナトリウム(2 容量)で1回洗浄し、次いで、減圧下で濃縮することにより、油状物として(3R,3aS,6aR)−ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−イルアセテートが得られた。標題化合物の1H NMRスペクトルは、文献(Ghosh, et. al., J. Med. Chem. 1996, 39 (17), p. 3278)に記載されているものと同一であった。得られた(3R,3aS,6aR)−ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−イルアセテートの典型的な光学的純度は、> 98% eeであった。光学的純度は、以下の条件のもと、キラルGCを使用して測定した:
カラム: Astec Chiraldex β−シクロデキストリントリフルオロアセチル (B−TA) 20 m x 0.25 mm;
キャリアーガス: He、1 mL/分;
補給ガス: He、30 mL/分;
検出: FID、300℃
注入: 1μL、250℃ (スプリット)
スプリットフロー: 100 mL/分
合計操作時間: 30 分間
温度プログラム: 恒温、115℃
サンプル調製: 10 mL アセトニトリル中、約25〜50 mg サンプル (1〜2滴)。
【0042】
サンプル調製物1μLを注入。適当な感度を得るために、または、カラムへのオーバーロードを防ぐために、必要に応じてサンプル濃度に調整することができる。
【0043】
保持時間:(3S,3aR,6aS)−ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−イルアセテート= 11.43分;(3R,3aS,6aR)−ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−イルアセテート= 12.20分。
【0044】
G. (3R,3aS,6aR)− ヘキサヒドロフロ [2,3−b] フラン −3− オール
反応器に、酢酸(3R,3aS,6aR)−ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−イルアセテート(1当量、1重量)、メタノール(3容量)および炭酸カリウム(0.001当量、0.001重量)を充填した。反応混合物を室温で18〜20時間攪拌し、次いで、反応混合物を濃縮することにより、油状物として(3R,3aS,6aR)−ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−オールが得られた。標題化合物の1H NMRスペクトルは、文献(Ghosh, et. al., J. Med. Chem. 1996, 39 (17), p. 3278)に記載されているものと同一であった。反応の進行は、以下の条件でのガスクロマトグラフを用いて追跡した。
【0045】
カラム : DB−624、30 m x 0.53 mm、フィルム厚3 ミクロン;
キャリアーガス: ヘリウム、5 mL/分;
補給ガス: ヘリウム、25 mL/分;
検出器: FID、300℃;
開始時オーブン温度: 100℃、0分;
温度ランプ: 250℃まで20℃/分、その後7.5分間維持;
(3R,3aS,6aR)−ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−オールの保持時間= 6.55分。
Claims (10)
- 式:
Aは、同一であっても、異なるものであってもよく、互いに独立して、−CH2−、−CHR10−、−CR10R11−、−O−、−NH−、−NR10−、および−S−からなる群より選択され、この場合、R10およびR11は、同一であっても、異なるものであってもよく、水素、C6−14アリール、およびC1−6アルキルからなる群より選択され;
R1は、水素、C1−6アルキル、C6−14アリール、C1−6アルキル複素環、および複素環からなる群より選択され;
R4は、水素、C6−14アリール、C1−6アルキル、C1−6アルキル複素環、および複素環からなる群より選択され;
R5は、水素、C6−14アリール、C1−6アルキル、C1−6アルキル複素環、複素環、−OR12、および−CH2OR12からなる群より選択され、この場合、R12は、C1−6アルキルおよび−C(O)R10からなる群より選択され;
R6は、水素、C6−14アリール、C1−6アルキル、C1−6アルキル複素環、複素環、−OR12、および−CH2OR12からなる群より選択され; かつ
n = 1〜4 である]
で表される化合物の製造方法であって、式:
で表される化合物を、式NR7R8R9(この場合、R7、R8およびR9は、互いに独立して、水素、C6−14アリール、C1−6アルキル、C1−6アルキル複素環、および複素環からなる群より選択される)で表される化合物の存在下、200〜400ナノメートルの波長の光に曝露することを含んでなる、上記方法。 - ラジカル開始剤の非存在下で3−メチレンヘキサヒドロフロ[2,3−b]フランを製造する方法であって、式NR7R8R9(この場合、R7、R8およびR9は、互いに独立して、水素、C6−14アリール、C1−6アルキル、C1−6アルキル複素環、および複素環からなる群より選択される)で表される化合物を含む溶媒の存在下、3−ハロ−2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフラニル誘導体を200〜400ナノメートルの波長の光に曝露することにより該誘導体を環化させて3−メチレンヘキサヒドロフロ[2,3−b]フランを生成することを含んでなる、上記方法。
- 以下の工程:
a) 式NR7R8R9(この場合、R7、R8およびR9は、互いに独立して、水素、C6−14アリール、C1−6アルキル、C1−6アルキル複素環、および複素環からなる群より選択される)で表される化合物を含む溶媒の存在下、3−ハロ−2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフラニル誘導体を200〜400ナノメートルの波長の光に曝露することにより該誘導体を環化させて3−メチレンヘキサヒドロフロ[2,3−b]フランを生成する工程;
b) 該3−メチレンヘキサヒドロフロ[2,3−b]フランを酸化してテトラヒドロフロ[2,3−b]フラン−3(2H)−オンを生成する工程;および
c) 該テトラヒドロフロ[2,3−b]フラン−3(2H)−オンを還元してヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−オールを生成する工程、
からなるヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−オールの製造方法。 - 3−ハロ−2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフラニル誘導体が、3−ヨード−2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフラン、3−ブロモ−2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフラン、および3−クロロ−2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフランからなる群より選択される、請求項2または3に記載の方法。
- 光が紫外線である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- 光が254ナノメートルの波長である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- 式NR7R8R9で表される化合物がトリエチルアミンである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- 溶媒が水を含有する、請求項2または3に記載の方法。
- 3−ハロ−2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフラニル誘導体が、3−ヨード−2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフラン、3−ブロモ−2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフラン、および3−クロロ−2−(2−プロピニルオキシ)テトラヒドロフランからなる群より選択され; 光が254ナノメートルの波長であり; かつ、式NR7R8R9で表される化合物がトリエチルアミンである、請求項2または3に記載の方法。
- フローセル反応器としての使用に適した装置で実施することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
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