JP2004502047A - 抄紙マシーン布物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】経糸ヤーンと緯糸ヤーンとにより形成され、ペーパー側の面を形成しているヤーンシステムと、経糸ヤーンと緯糸ヤーンとにより形成され、マシーン側の面を形成しているヤーンシステムとの互いに分離した2つの層を有する抄紙マシーン布物。ペーパー側の面を形成している前記ヤーンシステムは、2つの経糸システムと、2つの緯糸システムとを有するように配置されている。ペーパー側の面を形成している前記層の頂部経糸により形成された前記経糸システムは、結合ヤーンが、ペーパー側の面の結合ポイントで実質的に織物の表面の下方にあるように、織物内に頂部経糸を押圧するように配置されていることによって、マシーン側の面を形成している前記構造体の経糸システムと互いに結合されている。
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、経糸ヤーンと緯糸ヤーンとにより形成され、ペーパー側の面を形成しているヤーンシステムと、経糸ヤーンと緯糸ヤーンとにより形成され、マシーン側の面を形成しているヤーンシステムとの互いに分離した2つのヤーンシステムにより形成された互いに分離した2つの層を具備し、これらヤーンシステムは、織物の経糸及び緯糸の方向に、互いに独立している複数の構造体を形成するように配置されており、これら構造体は、結合ヤーンによって互いに結合されている抄紙マシーン布物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の三層の抄紙マシーン布物は、ペーパー側の面の層とマシーン側の面の層との互いに分離した2つの層を有し、これら層は、主に結合緯糸によって互いに結合されている。ペーパー側の面で、結合は、結合ヤーンとして働く前記結合緯糸が、横方向ヤーンの相内で交互に、また、この横方向ヤーンの異なった相内で交互に延びている(run alternately in phase with the cross yarn and alternately in different phase with said yarn)ように、なされている。この結果、前記結合ヤーンは、横方向へとまっすぐ延びていない。さらに、ペーパー側の面の結合ポイントで、前記結合ヤーンは、表面の他のヤーンとほぼ同じレベルにある。そして、マシーン側の面で、前記結合ヤーンは、織物の僅かに内側にある。この結果また、前記結合ヤーンは、z方向に撚られた状態にある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この横方向及びz方向の結合ヤーンの撚りにより、結合ヤーンと、横方向及び縦方向のヤーンとは、互いに摩擦される。この摩擦の結果、これらヤーンは、最初に、前記結合ヤーンの結合ポイントで磨耗され、その後、織物が、摩擦の結果緩められたとき、ペーパー側及びマシーン側の面の内部構造体が、互いに益々摩擦される。織物内部の磨耗により、織物は、当初の内部厚さよりも薄くなるが、前記結合ヤーンは、当初のディメンジョンのままであるので、前記結合ヤーンは、ペーパーの表面にマーキングパターンを残し始める。また、長期に渡る内部磨耗によって、前記複数の層は、互いに分離され得る。
【0004】
このように、前記結合緯糸は、織物を内部中央から磨耗する。これは、ペーパー側の面の前記層と、マシーン側の面の前記層との周速度が、抄紙マシーンにおいて互いに異なっているという事実のためである。もう1つの理由が、抄紙マシーンですき網(wire)に入れられる充填材(filler)である。これら充填材及び結合緯糸は、経糸ヤーンの凹部を磨耗し、織物は、平らにされる。このため、前記結合緯糸は、比較的緩められた状態にあり、例えば、マーキング(marking)を生じさせる。最悪の場合、複数の前記層は、上述したように互いに分離され得る。さらに別の問題は、前記結合緯糸が、これと結合されている経糸ヤーンを、ペーパー側の面で僅かに内向きに引っ張っていることである。このくぼみは、マーキングを生じさせる。また、前記結合緯糸は、ペーパー側の織物の表面で、余分な流れるようなヤーン(yarn flow)を生じさせる。この部分で、織物の密度が、増大されており、ペーパーウェブから排水される水は、すき網から均一に流出し得ず、この結果、マーキングを生じさせる。従来の織物で、前記結合緯糸は、織物のペーパー側の面からマシーン側の面へと撚られ、そして、戻されている。この撚りは、急激なものであり、このため、ペーパー側の面の前記層と、マシーン側の面の前記層とは、互いに近づき得ず、従って、織物は、厚くされている。こういうわけで、織物は、水を含む大きなスペース(large water space)を有する。上述した構造を有するすき網は、大量の水を運び、このため、抄紙マシーンで、飛散を生じさせ得る。この飛散は、抄紙マシーンの構造体を汚し、ペーパーウェブに欠陥を生じさせ、最悪の場合には、孔さえも生じさせ得る。また、すき網の、水を含む大きなスペースは、再度、湿りを与え、この場合、すき網からの水は、ペーパーウェブに再度流入し、内部の乾燥した部分(dry content)を縮小させる。
【0005】
従来の三層すき網のさらに別の問題は、すき網が、抄紙マシーンにおいて伸ばされることである。ペーパー側の面の前記層と、マシーン側の面の前記層とを別々に試験したとき、ペーパー側の面の前記層が、マシーン側の前記層よりもかなり伸ばされることが、観察され得、これは、例えば、従来の構造で、経糸の密度が、ペーパー側の面と、マシーン側の面とで同じであり、かつ、ペーパー側の面の経糸が、マシーン側の面の経糸よりも細いという事実のためである。加えて、マシーン側の面の前記層の伸びに対するペーパー側の面の前記層の伸びは、ペーパー側の面の前記層での経糸の撚りの密度の増加によって増大される。すき網が、マシーン方向に伸ばされれば伸ばされるほど、横方向の幅がより狭くされる。複数の前記層間の伸びの相違のため、ペーパー側の面の前記層の幅は、マシーン側の面の前記層の幅よりも狭くされるだろう。これによって、すき網は、筋をつけられ、ペーパーウェブに、不規則な外形を生じさせる場合がある。すき網の頂部と底部との速度の相違は、すき網のペーパー側の面を磨耗させ、ひどく磨耗されたマシーン側の面と共に、すき網の破損を生じさせる。
【0006】
【課題を解決するための手段】
従来技術の欠点を排除し得る抄紙マシーン布物を提供することが、本発明の目的であり、これは、ペーパー側の面を形成しているヤーンシステムが、頂部経糸と追加経糸とにより夫々形成された2つの経糸システムと、頂部緯糸と追加緯糸とにより夫々形成された2つの緯糸システムとを有するように配置されており、前記頂部緯糸は、前記頂部経糸のみに、また、前記追加緯糸は、前記追加経糸のみに結合されるように配置されており、また、結合ヤーンが、ペーパー側の面の結合ポイントで織物の表面の実質的に下にあるように、この結合ポイントにおいて、織物内に前記頂部経糸を押圧しているように前記結合ヤーンを配置していることによって、ペーパー側の面を形成している前記層の頂部経糸により形成された前記経糸システムは、前記結合ヤーンによって、マシーン側の面を形成している前記構造体の経糸システムと互いに結合されており、そして、前記追加緯糸は、複数の前記結合ポイント間で、ペーパー側の面を形成している前記層と、マシーン側の面を形成している前記層との間で延びるように配置されていることを特徴とする本発明の抄紙マシーン用すき網によって達成される。
【0007】
本発明は、とりわけ、結合ヤーンが、従来よりも横方向及びz方向に撚られておらず、従って、内部磨耗を生じさせないという利点を提供する。加えて、前記結合ヤーンが、z方向に従来よりもまっすぐ延びているため、すき網は、実質的により薄くされ得る。これに関して、抄紙マシーンで、すき網は、戻されるサイクル中、洗浄されることを思い起こすべきである。パルプの噴射が、すき網に与えられるとき、すき網の作動について、含まれる水が、可能な限り少なく、均一に分布されることが、好ましい。本発明の薄いすき網構造は、容易に洗浄され、また、現在の抄紙マシーンで使用される衝突捕集乾燥(impingement drying)は、このようなすき網構造を均一に乾燥させる。本発明のすき網の前記複数の層間のマシーン方向の伸びの相違は、従来の三層すき網よりも小さい。これは、例えば、ペーパー側の面の前記層の経糸の密度が、マシーン側の面よりも大きく、従って、負荷は、従来の三層すき網よりも均一に、前記複数の層間に与えられるという事実のためである。本発明の解決手段は、非常にフレキシブルであり、また、結合は、必要に応じて適切に改良され得、例えば、前記結合ヤーンに代わって、結合ヤーンの組を使用することが可能である。さらに別の利点は、前記結合ヤーンは、織物内部にある、即ち、前記結合ヤーンは、ペーパー側の表面に表れず、従って、マーキングを生じさせないことである。本発明の織物は、ペーパー側の面の経糸が、この面における磨耗に直接さらされないため、容易には破損されない。また、ペーパー側の面のヤーンの大きな密度により、ペーパーウェブに良好な支持(support)が、与えられるために、本発明の抄紙マシーン布物は、有利である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下で、本発明は、添付した図面に示されている好ましい実施形態により、より詳細に示されるだろう。
【0009】
図1及び2は、本発明の抄紙マシーン布物を、異なった方向から概略的に示している。図で見られ得るように、本発明の抄紙マシーン布物は、互いに分離した2つのヤーンシステムにより形成された互いに分離した2つの層を有している。即ち、経糸ヤーンと緯糸ヤーンとで形成されたヤーンシステム1が、ペーパー側の面を形成しており、また、経糸ヤーンと緯糸ヤーンとで形成されたヤーンシステム2が、マシーン側の面を形成している。ペーパー側の面を形成している前記層は、図において、頂部層として、また、これに対応して、マシーン側の面を形成している前記層は、底部層として示されている。上述した両ヤーンシステムは、織物の経糸及び緯糸の方向に、互いに独立な夫々の構造体を形成するように配置されている。前記ヤーンシステム1、2によって形成されている両構造体は、結合ヤーンによって、互いに結合されている。
上述した事実は、当業者にそれ自身知られており、従って、ここでは、より詳細には説明されていない。
【0010】
本発明の本質的な思想に従えば、ペーパー側の面を形成している前記ヤーンシステム1は、頂部経糸3と追加経糸4とにより夫々形成された2つの経糸システムと、頂部緯糸5と追加緯糸6とにより夫々形成された2つの緯糸システムとを有するように配置されている。前記頂部緯糸5は、前記頂部経糸3のみに、また、前記追加緯糸6は、前記追加経糸4のみに結合されるように配置されている。図の例で、前記追加経糸4は、マシーン側の面を形成している前記構造体の経糸システムの経糸、換言すれば底部経糸7と同じライン上に配置されている。マシーン側の面を形成している前記層の緯糸、換言すれば底部緯糸は、図で参照符号8を付されている。ペーパー側の面を形成している前記層の頂部経糸3により形成された経糸システムは、結合ヤーン9によって、マシーン側の面を形成している前記構造体の経糸システムと互いに結合されている。前記結合ヤーン9は、ペーパー側の面の結合ポイントにおいて、織物内に前記頂部経糸3を押圧するように配置されており、織物の表面の下方にある。さらに、前記追加経糸4は、前記結合ポイントにおいて、ペーパー側の面を形成している前記層と、マシーン側の面を形成している前記層との間で延びるように配置されている。
【0011】
マシーン側の面の織物を試験するとき、マシーン側の面の前記経糸ヤーン7は、ペーパー側の面の前記経糸ヤーン3、4のいずれかのラインの下方に配置され得ることが示され得る。しかしながらまた、前記経糸ヤーン7、3、4は、必要と考えられる場合、互いに重なるように配置され得る。
【0012】
さらに、図の適用で、ペーパー側の面を形成している前記層の経糸の密度は、マシーン側の面を形成している前記層の2倍である。また、ペーパー側の面の緯糸の密度は、マシーン側の面の少なくとも2倍であり得る。
【0013】
本発明の抄紙マシーン布物の本質的事項は、前記結合ヤーン9が、織物のペーパー側の表面に全く現れておらず、ペーパー側の面の結合は、すき網の垂直方向に見て、ペーパー側の表面の下で実質的になされていることである。経糸が、ペーパー側の表面の実質的に下に押圧され得るように分離されているペーパー側の面の経糸システムによって、このタイプの構造は、可能にされている。こういうわけで、また、前記結合ヤーンは、従来の解決手段よりもz方向によりまっすぐに延ばされており、この結合ヤーンと他のヤーンとの摩擦は、排除され、そして、ペーパー側の面とマシーン側の面との間の周速度の相違は、前記結合ヤーンを磨耗しない。前記結合ヤーンは、ペーパー側の表面に全く現れていないため、マーキングを生じさせる結合ヤーンの結合ポイントは、存在しない。
【0014】
また、本発明の構造は、ペーパー側の表面からマシーン側の面への結合ヤーンの撚りが、排除されているため、すき網を可能な限り薄くさせ得る。今日使用されている三層すき網で、ペーパー側の面とマシーン側の面との経糸方向の伸びは、互いにかなり異なっている。本発明の構造で、表面側の面の経糸の、底部側の面と比較して大きい密度は、経糸方向の伸び及び横方向の縮みを、ペーパー側の面とマシーン側の面とで同じにする。従って、抄紙マシーンのすき網の締まり(tightness)の相違の影響は、最小化されており、また、形成されるペーパーの等級(grade)に悪影響を与えるすき網の筋は、排除される。
【0015】
今日使用されている三層すき網で、ペーパー側の面の起こり得る磨耗は、直接、経糸ヤーンに影響を与える。本発明の解決手段で、これは、磨耗から防護するように、表面側の面の経糸ヤーンを配置させることにより排除される。磨耗は、最初に、追加ヤーンシステムの前記追加緯糸6と、通常の前記頂部緯糸ヤーン5とに影響を与える。
【0016】
図の例で、前記結合ヤーン9は、単一のヤーンの結合緯糸であるが、これのみが可能であるということはなく、結合ヤーンに代わって、結合ヤーンの組、例えば、結合緯糸の組を使用することが可能である。
【0017】
上述した実施形態は、如何なるようにも、本発明を限定するようには意図されておらず、本発明は、特許請求の範囲内で自由に改良され得る。さらに、本発明の抄紙マシーン布物又はその詳細は、必ずしも、厳密に、図で示されているようなものである必要はなく、他の種類の解決手段が、可能である。本発明は、例えば、3/3枚織(3/3−shed)構造のような、所定の構造に如何なるようにも限定されるものではなく、本発明は、他の解決手段にも適用され得る。ヤーンの太さも、特定の直径に拘束されるものではなく、直径は、必要とあれば変化され得、例えば、ペーパー側の面の複数の経糸ヤーンは、互いに異なった太さであり得る。ペーパー側の面の経糸の直径からなる全面積は、例えば、マシーン側の面の経糸の直径からなる面積の少なくとも60%であり得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、緯糸ヤーンの方向で、本発明の抄紙マシーン布物を示している。
【図2】
図2は、経糸ヤーンの方向で、本発明の抄紙マシーン布物を示している。
Claims (9)
- 経糸ヤーンと緯糸ヤーンとにより形成され、ペーパー側の面を形成しているヤーンシステム(1)と、経糸ヤーンと緯糸ヤーンとにより形成され、マシーン側の面を形成しているヤーンシステム(2)との互いに分離した2つのヤーンシステムにより形成された互いに分離した2つの層を具備し、これらヤーンシステムは、織物の経糸及び緯糸の方向に、互いに独立している夫々の構造体を形成するように配置されており、これら構造体は、結合ヤーンによって互いに結合されている抄紙マシーン布物において、ペーパー側の面を形成している前記ヤーンシステムは、頂部経糸(3)と追加経糸(4)とにより夫々形成された2つの経糸システムと、頂部緯糸(5)と追加緯糸(6)とにより夫々形成された2つの緯糸システムとを有するように配置されており、前記頂部緯糸(5)は、前記頂部経糸(3)のみに、また、前記追加緯糸(6)は、前記追加経糸(4)のみに結合されるように配置されており、また、前記結合ヤーン(9)が、ペーパー側の面の結合ポイントで織物の表面の実質的に下にあるように、この結合ポイントにおいて、織物内に前記頂部経糸(3)を押圧しているように前記結合ヤーン(9)を配置していることによって、ペーパー側の面を形成している前記層の頂部経糸(3)により形成された前記経糸システムは、前記結合ヤーン(9)によって、マシーン側の面を形成している前記構造体の経糸システムと互いに結合されており、そして、前記追加緯糸(4)は、複数の前記結合ポイント間で、ペーパー側の面を形成している前記層と、マシーン側の面を形成している前記層との間で延びるように配置されていることを特徴とする抄紙マシーン布物。
- 前記結合ヤーン(9)は、結合ヤーンの組であることを特徴とする請求項1の抄紙マシーン布物。
- 前記結合ヤーン(9)は、結合緯糸であることを特徴とする請求項1又は2の抄紙マシーン布物。
- ペーパー側の面を形成している前記層の経糸の密度は、マシーン側の面を形成している前記層の経糸の密度の2倍であることを特徴とする請求項1の抄紙マシーン布物。
- ペーパー側の面の緯糸の密度は、マシーン側の面の緯糸の密度の少なくとも2倍であることを特徴とする請求項1の抄紙マシーン布物。
- ペーパー側の面の経糸の直径部分からなる全面積は、マシーン側の経糸の直径部分からなる面積の少なくとも60%であることを特徴とする請求項1の抄紙マシーン布物。
- ペーパー側の面の織物構造と、マシーン側の面の織物構造との両方は、3/3枚織であることを特徴とする請求項1の抄紙マシーン布物。
- マシーン側の面の前記経糸ヤーン(7)は、ペーパー側の面の複数の前記経糸ヤーン(3、4)のいずれかのラインの下方にあることを特徴とする請求項1の抄紙マシーン布物。
- 複数の前記経糸ヤーン(7、3、4)は、互いに重なるように配置されていることを特徴とする請求項1の抄紙マシーン布物。
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