JP2004359889A - シリコーン/アクリル複合ゴム系グラフト共重合体および熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
シリコーン/アクリル複合ゴム系グラフト共重合体および熱可塑性樹脂組成物 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】少量の添加で樹脂の耐衝撃性、特に低温衝撃強度を向上させることができ、しかも、樹脂に添加しても発色性が低下せず、良好であるシリコーン/アクリル複合ゴム系グラフト共重合体を提供する。
【解決手段】本発明のシリコーン/アクリル複合ゴム系グラフト共重合体は、ポリオルガノシロキサンおよびポリアルキル(メタ)アクリレートを含む複合ゴムに、1種以上のビニル系単量体単位から構成されるビニル系重合体がグラフトしたシリコーン/アクリル複合ゴム系グラフト共重合体であって、該グラフト共重合体の数平均粒子径が300〜2000nmであり、ポリオルガノシロキサン含有量が20〜70質量%、複合ゴム含有量が70〜90質量%である。
【選択図】 なし
【解決手段】本発明のシリコーン/アクリル複合ゴム系グラフト共重合体は、ポリオルガノシロキサンおよびポリアルキル(メタ)アクリレートを含む複合ゴムに、1種以上のビニル系単量体単位から構成されるビニル系重合体がグラフトしたシリコーン/アクリル複合ゴム系グラフト共重合体であって、該グラフト共重合体の数平均粒子径が300〜2000nmであり、ポリオルガノシロキサン含有量が20〜70質量%、複合ゴム含有量が70〜90質量%である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車分野、電気・電子機器分野、OA機器等などの成形体に使用されるシリコーン/アクリル複合ゴム系グラフト共重合体およびこれを含有する熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車分野、電気・電子機器分野、プリンタ等のOA機器をはじめとする種々の分野には、熱可塑性樹脂組成物からなる成形体が広く用いられている。この成形体をなす熱可塑性樹脂組成物には、耐衝撃性改質剤が含まれることがある。
耐衝撃性改質剤としては、例えば、特許文献1に、ポリオルガノシロキサンゴムとポリ(メタ)アクリルゴムとからなる複合ゴムにビニル系単量体をグラフト重合させた複合ゴム系グラフト共重合体が提案されている。また、特許文献2には、ポリオルガノシロキサンゴムとポリ(メタ)アクリルゴムとからなる複合ゴムに芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体をグラフト重合させた複合ゴム系グラフト共重合体が提案されている。さらに、特許文献3には、粒子径が0.1μm以下のオルガノシロキサンゴムとポリ(メタ)アクリルゴムとからなる複合ゴムにビニル系単量体をグラフト重合させた複合ゴム系グラフト共重合体が提案されている。
【0003】
【特許文献1】
特開昭63−69859号公報
【特許文献2】
特開昭64−79257号公報
【特許文献3】
特開平5−279434号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、熱可塑性樹脂組成物に耐衝撃性改質剤を配合した場合には、顔料着色性が低下するため、耐衝撃性と顔料着色性のバランスが問題になる。
具体的には、特許文献1に記載のグラフト共重合体は、低屈折率のポリオルガノシロキサンを含有するために発色性(顔料着色性)が他の耐衝撃性改質剤と比べて著しく劣るという問題があった。
また、特許文献2に記載のグラフト共重合体を用いた場合には、発色性は少し改善されるものの十分なレベルではない上に、耐衝撃性、特に低温下における耐衝撃性が十分ではなかった。
また、特許文献3に記載のグラフト共重合体を用いた場合には、発色性は改善されるものの、耐衝撃性、特に低温下に耐衝撃性が著しく劣るという問題があった。
このように、従来の耐衝撃性改質剤を用いた場合には、耐衝撃性および発色性を両立できなかった。そのため、耐衝撃性および発色性を両立できる耐衝撃性改質剤が求められていた。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、少量の添加で樹脂の耐衝撃性、特に低温衝撃強度を向上させることができ、しかも、樹脂に添加しても発色性が低下せず、良好であるシリコーン/アクリル複合ゴム系グラフト共重合体を提供することを目的とする。さらには、これを含有する熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ポリオルガノシロキサンを特定量含有するとともに、特定量のシリコーン/アクリル複合ゴムを含有し、数平均粒子径が特定範囲であるシリコーン/アクリル複合ゴム系グラフト共重合体が上記課題を解決することを見出し、以下のシリコーン/アクリル複合ゴム系グラフト共重合体および熱可塑性樹脂組成物を発明した。
すなわち、本発明のシリコーン/アクリル複合ゴム系グラフト共重合体は、ポリオルガノシロキサンおよびポリアルキル(メタ)アクリレートを含む複合ゴムに、1種以上のビニル系単量体単位から構成されるビニル系重合体がグラフトしたシリコーン/アクリル複合ゴム系グラフト共重合体であって、
該グラフト共重合体の数平均粒子径が300〜2000nmであり、
ポリオルガノシロキサン含有量が20〜70質量%、複合ゴム含有量が70〜90質量%であることを特徴とする。
本発明のシリコーン/アクリル複合ゴム系グラフト共重合体においては、ポリオルガノシロキサンは、粒子径10〜250nmの範囲の粒子0〜15質量%と、粒子径250〜2000nmの範囲の粒子85〜100質量%とからなることが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂と、請求項1または2に記載のシリコーン/アクリル複合ゴム系グラフト共重合体とを含有し、シリコーン/アクリル複合ゴム系グラフト共重合体の含有量が熱可塑性樹脂100質量部に対して1〜100質量部であることを特徴とする。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂が、ポリカーボネート系樹脂を含有する場合にとりわけ効果を発揮する。
【0007】
【発明の実施の形態】
<シリコーン/アクリル複合ゴム系グラフト共重合体>
本発明のシリコーン/アクリル複合ゴム系グラフト共重合体(以下、複合ゴム系グラフト共重合体と略す)は、複合ゴムに1種以上のビニル系単量体単位から構成されるビニル系重合体がグラフトしたものである。
【0008】
複合ゴム系グラフト共重合体の複合ゴムは、ポリオルガノシロキサンとポリアルキル(メタ)アクリレートとが互いに分離できないように絡み合った構造を有するものである。
複合ゴムを構成するポリオルガノシロキサンとしては、ジメチルシロキサン単位を構成単位として含有する重合体である。ポリオルガノシロキサンを構成するジメチルシロキサンとしては、3員環以上のジメチルシロキサン系環状体が挙げられ、3〜7員環のものが好ましい。具体的にはヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上混合して用いられる。これらの中でも、粒子径分布を制御しやすいことから、主成分がオクタメチルシクロテトラシロキサンであることが好ましい。
【0009】
ポリオルガノシロキサンとしては、ビニル重合性官能基含有シロキサンを構成成分として含有するものが好ましい。ここで、ビニル重合性官能基含有シロキサンとは、ビニル重合性官能基を含有しかつジメチルシロキサンとシロキサン結合を介して結合しうるものである。ビニル重合性官能基含有シロキサンの中でも、ジメチルシロキサンとの反応性を考慮するとビニル重合性官能基を含有する各種アルコキシシラン化合物が好ましい。具体的には、β−メタクリロイルオキシエチルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメトキシジメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルエトキシジエチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルエトキシジエトキシメチルシランおよびδ−メタクリロイルオキシブチルジエトキシメチルシラン等のメタクリロイルオキシシラン、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン等のビニルシロキサン、p−ビニルフェニルジメトキシメチルシラン等のビニルフェニルシラン、さらにγ−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシロキサンが挙げられる。これらビニル重合性官能基含有シロキサンは単独でまたは2種以上の混合物として用いることができる。
【0010】
また、ポリオルガノシロキサンは、シロキサン系架橋剤によって架橋されていてもよい。シロキサン系架橋剤としては、3官能性または4官能性のシラン系架橋剤、例えば、トリメトキシメチルシラン、トリエトキシフェニルシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。
【0011】
ポリオルガノシロキサンの製造方法としては特に制限はなく、例えば、以下の製造方法を採用できる。
まず、ジメチルシロキサンと、必要に応じてビニル重合性官能基含有シロキサンとを含む混合物またはさらにシロキサン系架橋剤を含む混合物を乳化剤と水によって乳化させてラテックスを調製し、そのラテックスを微粒子化した後、酸触媒を用いて高温下で重合させ、次いでアルカリ性物質により酸を中和してポリオルガノシロキサンラテックスを得る。
この製造方法において、ラテックスの調製方法としては、高速回転による剪断力で微粒子化するホモミキサーを用いる方法、高圧発生機による噴出力で微粒子化するホモジナイザー等を使用して高速攪拌により混合する方法などが挙げられる。これらの中でも、ホモジナイザーを使用する方法は、ポリオルガノシロキサンラテックスの粒子径の分布が狭くなるので好ましい方法である。
【0012】
重合の際の酸触媒の混合方法としては、シロキサン混合物、乳化剤および水とともに一括して添加し、混合する方法と、シロキサン混合物が微粒子化したラテックスを高温の酸水溶液中に一定速度で滴下して混合する方法等が挙げられるが、ポリオルガノシロキサンの粒子径を制御しやすいことから、ミセル形成能のない酸水溶液を一括して添加し混合する方法が好ましい。
【0013】
重合温度は、50℃以上が好ましく、70℃以上であることがさらに好ましい。また、重合時間は、酸触媒をシロキサン混合物、乳化剤および水とともに混合し、微粒子化させて重合する場合には、通常2時間以上、好ましくは5時間以上である。
重合の停止の際に添加されるアルカリ性物質としては、例えば、苛性ソーダ、苛性カリ、炭酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0014】
また、上記製造方法で使用される乳化剤としてはジメチルシロキサンを乳化できれば特に制限されないが、アニオン系乳化剤が好ましい。アニオン系乳化剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸エステルナトリウム等が挙げられ、これらの中でも、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルスルホン酸ナトリウムが好ましい。
【0015】
ポリオルガノシロキサンの重合に用いられる酸触媒としては、脂肪族スルホン酸、脂肪族置換ベンゼンスルホン酸、脂肪族置換ナフタレンスルホン酸などのスルホン酸類および硫酸、塩酸、硝酸などの鉱酸類が挙げられる。これらの酸触媒は、1種でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。これらの中でも、ミセル形成能のない硫酸、塩酸、硝酸などの鉱酸を使用すると、ポリオルガノシロキサンラテックスの粒子径分布を狭くすることができ、さらに、ポリオルガノシロキサンラテックス中の乳化剤成分に起因する成形品の外観不良を低減させることができるという点で好ましい。
【0016】
ポリオルガノシロキサンの数平均粒子径は、複合ゴム中のポリオルガノシロキサンゴム含有量を高くしつつ複合ゴム系グラフト共重合体の数平均粒子径を300〜2000nmにするためには、150nm〜2000nmであることが好ましく、250〜1000nmであることがより好ましい。ポリオルガノシロキサンの数平均粒子径が150nm未満の場合、上記粒子径の複合ゴム系グラフト共重合体を得るのに要するポリアルキル(メタ)アクリレート量が多くなるため、耐衝撃性が損なわれることがあり、2000nmを越えると、成形品の外観や耐衝撃性が低下するおそれがある。
また、ポリオルガノシロキサンは、複合ゴム系グラフト共重合体の数平均粒子径を300〜2000nmにするために、粒子径10〜250nmの範囲の粒子0〜15質量%と、粒子径250〜2000nmの範囲の粒子85〜100質量%とからなることが好ましい。
【0017】
複合ゴムを構成するポリアルキル(メタ)アクリレートは、アルキル(メタ)アクリレート単位と多官能性アルキル(メタ)アクリレート単位とを構成成分として含有する重合体である。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレートおよびヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−ラウリルメタクリレート等のアルキルメタクリレートが挙げられ、これらを単独でまたは2種以上併用できる。
これらの中でも、熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性および成形品の光沢を考慮すると、特にn−ブチルアクリレートが好ましい。
【0018】
多官能性アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、アリルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられ、これらを単独でまたは2種以上併用できる。
【0019】
多官能性アルキル(メタ)アクリレート単位の含有量には特に制限はないが、ポリアルキル(メタ)アクリレート100質量%中の0.1〜2.0質量%であることが好ましく、0.3〜1.0質量%であることがより好ましい。多官能性アルキル(メタ)アクリレートの含有量が0.1質量%未満では、複合ゴムのモルフォロジーが変化して、かえって衝撃強度が低下する傾向があり、さらに、多官能性アルキル(メタ)アクリレートがグラフト交叉剤を兼ねている場合、粉体回収性、粉体特性などが低下することがある。また、多官能性アルキル(メタ)アクリレートの含有量が2.0質量%を超えると、衝撃強度が低下するおそれがある。
【0020】
上述したポリオルガノシロキサンとポリアルキル(メタ)アクリレートからなる複合ゴムを製造するには、まず、ポリオルガノシロキサン成分のラテックス中に、上記アルキル(メタ)アクリレート成分および多官能性アルキル(メタ)アクリレート成分を添加し、ポリオルガノシロキサン中に含浸させた後、公知のラジカル重合開始剤を作用させて重合する。
この製造方法において、ポリオルガノシロキサンラテックスにアルキル(メタ)アクリレートを添加する方法としては、ポリオルガノシロキサンラテックスに全量を一括して添加する方法、ポリオルガノシロキサンラテックス中に一定速度で滴下して添加する方法が挙げられる。
また、重合に用いるラジカル重合開始剤としては、過酸化物、アゾ系開始剤または酸化剤・還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤が用いられる。この中でも、レドックス系開始剤が好ましく、特に硫酸第一鉄・エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩・ロンガリット・ハイドロパーオキサイドを組み合わせたレドックス系開始剤が好ましい。
【0021】
上記複合ゴムの存在下で1種以上のビニル系単量体をラジカル重合して、複合ゴムにビニル系重合体からなるグラフト部を形成することで複合ゴム系グラフト共重合体が得られる。
具体的な製造方法としては、乳化グラフト重合による製造方法が挙げられる。この乳化グラフト重合による製造方法では、複合ゴムのラテックスにビニル系単量体を加え、ラジカル重合法により一段であるいは多段でグラフト重合して、複合ゴム系グラフト共重合体ラテックスを得る。次いで、この複合ゴム系グラフト共重合体ラテックスを、凝固剤を溶解した熱水中に投入し、塩析、固化することによりグラフト共重合体を分離し、粉末状で回収する。
【0022】
ここで、ビニル系単量体としては特に限定はないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族アルケニル化合物、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等のメタアクリル酸エステル、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアクリル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物などが挙げられ、これらを単独で使用または2種以上併用できる。
【0023】
上記ラジカル重合に用いるラジカル重合開始剤としては、過酸化物、アゾ系開始剤、または酸化剤・還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤が用いられる。これらの中でも、レドックス系開始剤が好ましく、特に硫酸第一鉄・エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩・ロンガリット・ハイドロパーオキサイドを組み合わせたレドックス系開始剤が好ましい。
【0024】
また、グラフト重合においては、ビニル系単量体の重合によって形成されるグラフトポリマーの分子量やグラフト率を調整するために各種連鎖移動剤、グラフト交叉剤、架橋剤を添加することができる。
さらに、グラフト重合の際には、ラテックスを安定化させ、さらにグラフト共重合体の平均粒子径を制御するために乳化剤を添加することができる。用いる乳化剤としては特に限定されないが、好ましいものとしてはカチオン系乳化剤、アニオン系乳化剤およびノニオン系乳化剤が挙げられ、さらに好ましいものとしてはスルホン酸塩乳化剤あるいは硫酸塩乳化剤とカルボン酸塩乳化剤との併用が挙げられる。
【0025】
複合ゴム系グラフト共重合体ラテックスの塩析の際に添加される凝固剤としては、例えば、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、硫酸アルミニウムなどの金属塩が挙げられる。
【0026】
複合ゴム系グラフト共重合体の平均粒子径は、数平均粒子径が300〜2000nmである必要がある。複合ゴム系グラフト共重合体の数平均粒子径が300nm未満の場合、熱可塑性樹脂組成物から得られる成形物の発色と低温時の耐衝撃性とのバランスが低下し、数平均粒子径が2000nmを越えると、熱可塑性樹脂組成物から得られる成形物の耐衝撃性が低下するとともに成形表面外観が損なわれる。
ここで、複合ゴム系グラフト共重合体の数平均粒子径は、通常、乳化重合して得られた複合ゴム系グラフト共重合体のラテックスを測定して求めた値である。
【0027】
複合ゴム系グラフト共重合体中の複合ゴム含有量は、複合ゴム系グラフト共重合体100質量%中の70〜90質量%である必要がある。複合ゴムの含有量が70質量%未満では耐衝撃性が十分でなく、90質量%を越えると、耐衝撃性は優れるものの、発色性が低下することがある上に、熱可塑性樹脂への分散性が低下することがある。
【0028】
また、複合ゴム系グラフト共重合体中のポリオルガノシロキサン含有量は、複合ゴム系グラフト共重合体100質量%中の20〜70質量%である必要がある。ポリオルガノシロキサン含有量が20質量%未満では耐衝撃性が十分でなく、70質量%を越えると耐衝撃性は優れるものの、発色性が低下する。
さらに、複合ゴム系グラフト共重合体中のポリアルキル(メタ)アクリレートの含有量は、ポリオルガノシロキサン含有量が20〜70質量%、シリコーン/アクリル複合ゴム含有量が70〜90質量%であることから、10質量%〜70質量%である。
【0029】
以上説明した複合ゴム系グラフト共重合体は、数平均粒子径が特定範囲に限定され、さらに、ポリオルガノシロキサン含有量および複合ゴム含有量が特定範囲に限定されており、耐衝撃性改質剤として最適化されているので、耐衝撃性を向上させる効果が大きく、添加量が少量であっても耐衝撃性、特に低温の耐衝撃性を高くできる。その上、この複合ゴム系グラフト共重合体は発色性の低下を防止できる。したがって、この複合ゴム系グラフト共重合体によれば、耐衝撃性および発色性をともに高くできる。
【0030】
<熱可塑性樹脂組成物>
次に、本発明の熱可塑性樹脂組成物について説明する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上述した複合ゴム系グラフト共重合体と、熱可塑性樹脂とを含有するものである。
この熱可塑性樹脂組成物において、複合ゴム系グラフト共重合体の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して0.5〜100質量部であり、好ましくは1〜50質量部である。複合ゴム系グラフト共重合体の含有量が0.5質量部未満では衝撃強度の改質効果が十分に発揮されず、100質量部を超えると熱可塑性樹脂本来の性質が損なわれるおそれがあり、また耐衝撃性および成形品外観が低下するおそれがある。
【0031】
熱可塑性樹脂としては、一般に知られている熱可塑性樹脂を使用できる。熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)などのオレフィン系樹脂、ポリスチレン(PS)、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)、(メタ)アクリル酸エステル・スチレン共重合体(MS)、スチレン・アクリロニトリル共重合体(SAN)、スチレン・無水マレイン酸共重合体(SMA)、ABS、ASA、AES、などのスチレン系樹脂(St系樹脂)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)などのアクリル系樹脂(Ac系樹脂)、ポリカーボネート系樹脂(PC系樹脂)、ポリアミド系樹脂(PA系樹脂)、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル系樹脂(PEs系樹脂)、(変性)ポリフェニレンエーテル系樹脂(PPE系樹脂)、ポリオキシメチレン系樹脂(POM系樹脂)、ポリスルフォン系樹脂(PSO系樹脂)、ポリアリレート系樹脂(PAr系樹脂)、ポリフェニレン系樹脂(PPS系樹脂)、熱可塑性ポリウレタン系樹脂(PU系樹脂)などのエンジニアリングプラスチックス、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、フッ素系エラストマー、1,2−ポリブタジエン、トランス1,4−ポリイソプレンなどの熱可塑性エラストマー(TPE)、PC/ABSなどのPC系樹脂/St系樹脂アロイ、PVC/ABSなどのPVC系樹脂/St系樹脂アロイ、PA/ABSなどのPA系樹脂/St系樹脂アロイ、PA系樹脂/TPEアロイ、PA/PPなどのPA系樹脂/ポリオレフィン系樹脂アロイ、PBT系樹脂/TPE、PC/PBTなどのPC系樹脂/PEs系樹脂アロイ、ポリオレフィン系樹脂/TPE、PP/PEなどのオレフィン系樹脂どうしのアロイ、PPE/HIPS、PPE/PBT、PPE/PAなどのPPE系樹脂アロイ、PVC/PMMAなどのPVC系樹脂/Ac系樹脂アロイなどのポリマーアロイ等や、硬質、半硬質、軟質塩化ビニル樹脂等が挙げられる。これらは2種以上の成分を併せて使用することもできる。さらに、グラフトコポリマーの様な相溶化剤を併用することもできる。
これらの中でも、熱可塑性樹脂がポリカーボネート系樹脂である場合に、本発明の効果をとりわけ発揮する。
【0032】
また、熱可塑性樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で添加剤を適宜配合できる。添加剤としては、例えば、顔料や染料、ガラス繊維、金属繊維、金属フレーク、炭素繊維などの補強剤や充填剤、2,6−ジ−ブチル−4−メチルフェノール、4,4´−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)などのフェノール系酸化防止剤、トリス(ミックスド、モノおよびジニルフェニル)ホスファイト、ジフェニル・イソデシルホスファイトなどのホスファイト系酸化防止剤、ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネートジアステリアルチオジプロピオネートなどの硫黄系酸化防止剤、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ビス(2,2,6,6)−テトラメチル−4−ピペリジニル)などの光安定剤、ヒドロキシルアルキルアミン、スルホン酸塩などの帯電防止剤、エチレンビスステアリルアミド、金属石鹸などの滑剤、およびテトラブロムフェノールA、デカブロモフェノールオキサイド、TBAエポキシオリゴマー、TBAポリカーボネートオリゴマー、三酸化アンチモン、TPP、リン酸エステルなどの難燃剤などが挙げられる。これらの各種添加剤を配合することにより、さらに望ましい物性、特性に調節することができる。
【0033】
熱可塑性樹脂組成物の製造方法としては特に制限はないが、上述した必須成分及び必要に応じて任意成分を所定量配合し、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、単軸押出機、2軸押出機等の通常の混練機で回分的または連続的に混練する溶融混合方法が好ましい。溶融混合法においては、必要に応じて少量の溶剤を使用しても良い。また、各成分の混合順は特に限定されない。
なお、このようにして製造される熱可塑性樹脂組成物の形状は、ペレット状であることが好ましい。
【0034】
この熱可塑性樹脂組成物は、上述した複合ゴム系グラフト共重合体を含有しているから、耐衝撃性と発色性とがともに優れ、特に低温の耐衝撃性が優れる。
熱可塑性樹脂組成物の用途としては特に制限はなく、例えば、建材、自動車、玩具、文房具などの雑貨、さらにはOA機器、家電機器などの耐衝撃性が必要とされる成形品に広く利用される。
【0035】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。なお、以下の製造例と実施例において、「部」及び「%」は特に断らない限り「質量部」及び「質量%」を意味する。
【0036】
以下の製造例においてラテックス中のポリオルガノシロキサン及び複合ゴム系グラフト共重合体の粒子径は以下のように測定した。すなわち、得られたポリオルガノシロキサンラテックスあるいは複合ゴム系グラフト共重合体ラテックスを蒸留水で希釈した濃度約3%の希釈ラテックス0.1mlを試料とし、米国MATEC社製CHDF2000型粒度分布計を用いて測定した。この測定では、粒子分離用キャピラリー式カートリッジおよびほぼ中性のキャリア液を用い、流速1.4ml/分、圧力約2.76MPa(約4000psi)、温度35℃の条件とした。なお、測定前には、米国DUKE社製の粒子径既知の単分散ポリスチレンを標準粒子径物質とし、0.02μmから0.8μmの合計12点の粒子径を測定して、検量線を作成した。
【0037】
(製造例1)ポリオルガノシロキサンラテックス(L−1)の製造
テトラエトキシシラン2部、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン0.5部及びオクタメチルシクロテトラシロキサン97.5部を混合して、シロキサン系混合物100部を得た。これにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.00部を溶解した蒸留水150部を添加し、ホモミキサーにて10000rpm で5分間攪拌した後、ホモジナイザーに20MPaの圧力で2回通して、安定な予備混合オルガノシロキサンエマルションを得た。
次いで、冷却コンデンサーを備えたセパラブルフラスコに、上記エマルションを入れた後、硫酸0.20部と蒸留水49.8部との混合物を3分間にわたり投入した。次いで、80℃に加熱した状態で7時間温度を維持してから冷却し、続いて、得られた反応物を室温で6時間保持した後、苛性ソーダ水溶液で中和して、ポリオルガノシロキサンラテックス(L−1)を得た。
このようにして得られたラテックスを180℃で30分間乾燥して固形分を求めたところ、29.8%であった。また、このラテックスの数平均粒子径dnは384nm、質量平均粒子径dw は403nmであり、粒子径分布を示すdw /dn は1.05であった。
【0038】
(製造例2)ポリオルガノシロキサンラテックス(L−2)の製造
シロキサン系混合物の組成を、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン0.4部及びオクタメチルシクロテトラシロキサン99.6部に変更した以外は、製造例1と同様の方法でポリオルガノシロキサンラテックス(L−2)を得た。このラテックスの固形分は30.1%、数平均粒子径dn は395nm、質量平均粒子径dw は404nmであった。
【0039】
(製造例3)ポリオルガノシロキサンラテックス(L−3)の製造
製造例1と同じシロキサン系混合物100部に対し、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.67部およびドデシルベンゼンスルホン酸0.67部を溶解した蒸留水200部を添加し、ホモミキサーにて10000rpmで5分間攪拌した後、ホモジナイザーに20MPaの圧力で2回通して、安定な予備混合オルガノシロキサンエマルションを得た。
次いで、このエマルションを、冷却コンデンサーを備えたセパラブルフラスコに入れ、80℃に加熱した状態で、7時間温度を維持し、冷却した。次いで、得られた反応物を室温で6時間保持した後、苛性ソーダ水溶液で中和してポリオルガノシロキサンラテックス(L−3)を得た。
このラテックスの固形分は29.3%、数平均粒子径dn は104nm、質量平均粒子径dw は214nmであり、dw /dn は2.06であった。
【0040】
(実施例1)複合ゴム系グラフト共重合体(S−1)および熱可塑性樹脂組成物の製造
製造例1によって得られたポリオルガノシロキサンラテックス(L−1)20部(ポリマー換算)をセパラブルフラスコに採取し、これに蒸留水200部を添加し混合した。続いて、ブチルアクリレート59.5部、アリルメタクリレート0.5部、キュメンヒドロパーオキサイド0.15部からなる混合物を添加した。
次いで、このセパラブルフラスコに窒素気流を通じることによりフラスコ内雰囲気を窒素置換してから、50℃まで昇温した。液温が50℃となった時点で硫酸第一鉄0.0003部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.0009部、ロンガリット0.18部を蒸留水10部に溶解させた水溶液を添加してラジカル重合を開始させた。アクリレート成分の重合を完結させるため、1時間この状態を維持して、ポリオルガノシロキサンとポリブチルアクリレートとからなる複合ゴムのラテックスを得た。
【0041】
このラテックスの液温が60℃に低下した後、メチルメタクリレート13部、ブチルアクリレート1.95部、アリルメタクリレート0.05部およびキュメンヒドロパーオキサイド0.08部からなる混合物を30分間にわたって滴下し重合した。滴下終了後、温度60℃以上の状態を1時間保ったのち冷却し、ポリジメチルシロキサンとポリブチルアクリレートとからなる複合ゴムにメチルメタクリレート・アクリル酸エチル共重合体をグラフトした複合ゴム系グラフト共重合体のラテックスを得た。
次いで、酢酸カルシウムを1質量%の割合で溶解した水溶液500部を60℃に加熱、攪拌し、この中に複合ゴム系グラフト共重合体のラテックス340部を徐々に滴下し凝固した。そして、得られた固形物を分離し、水洗、乾燥して粉体状の複合ゴム系グラフト共重合体を得た。
【0042】
次いで、得られた複合ゴム系グラフト共重合体(S−1)を、表1に示すように熱可塑性樹脂と配合した。そして、ヘンシェルミキサーで4分間混合した後、30mm二軸押し出し機にて溶融混練し、ペレット状に賦型して熱可塑性樹脂組成物を得た。
なお、熱可塑性樹脂としては以下の樹脂を使用した。
ポリカーボネート系樹脂(PC):粘度平均分子量約22000のビスフェノールAタイプポリカーボネート
ポリエステル系樹脂(PBT):極限粘度[η]が1.05のポリテトラブチレンテレフタレート
ABS系樹脂:三菱レイヨン製ダイヤペット3001
SAN樹脂:スチレン・アクリロニトリル共重合体(旭化成(株)製、商品名AP789)
ポリスチレン樹脂(HIPS):トーボレックス876−HF(三井化学製ハイインパクトポリスチレン)
ポリアミド樹脂(PA66):東レ製CM3001N
PPE樹脂:ノリル(日本ジーイープラスチックス(株)製)
【0043】
【表1】
【0044】
(実施例2〜5,比較例1〜4)
表2に示す組成にしたこと以外は実施例1と同様にして、複合ゴム系グラフト共重合体(S−2)〜(S−9)を得て、実施例1と同様に、この複合ゴム系グラフト共重合体を配合して熱可塑性樹脂組成物を得た。なお、表2には、複合ゴム系グラフト共重合体の数平均粒子径の測定結果についても示す。
【0045】
【表2】
【0046】
得られた熱可塑性樹脂組成物を射出成形して、1/4インチアイゾット試験片および10cm角の平板を得て、以下のように評価した。その評価結果を表3、表4に示す。
[アイゾット衝撃強度の測定]
アイゾット衝撃強度の測定は、ASTM D 258に準じた。
また、耐候性についても評価するために、試験片を、60℃に調温した大日本プラスチックス(株)製アイスーパーUVテスターで8時間処理してから、60℃、95%に調温および調湿した恒温恒湿器に16時間入れる操作を5回繰り返した。そして、その試験片のアイゾット衝撃強度を測定した。
[発色性の測定]
発色性の測定は、JIS Z 8729(L* a* b* 表色系による物体色の表示方法)に準じた。
[難燃性]
米国アンダーライターズ・ラボラトリーズ(UL)規格のUL94に規定されている垂直燃焼試験(UL94V)に準拠し、厚み1.6mmの射出成形試験片を用いた燃焼試験時の燃焼時間および燃焼時のドリップ性にて評価した。
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】
実施例1〜5の熱可塑性樹脂組成物は、本発明の複合ゴム系グラフト共重合体が配合されていたので、耐衝撃性、特に低温下での耐衝撃性に優れていた。また、発色性もL*値で12以下であり良好であった。しかも、耐候試験後の衝撃強度もほとんど低下せず、さらに、難燃性にも優れていた。
一方、比較例1の熱可塑性樹脂組成物は、複合ゴム系グラフト共重合体の数平均粒子径が300nm未満であったので、衝撃強度および発色性が低かった。
比較例2の熱可塑性樹脂組成物は、複合ゴム系グラフト共重合体中のポリオルガノシロキサンの含有量が20質量%未満であったので、衝撃強度が低かった。比較例3の熱可塑性樹脂組成物は、複合ゴム系グラフト共重合体中のポリオルガノシロキサンの含有量が70質量%を越えていたので、衝撃強度および発色性が低かった。
比較例4の熱可塑性樹脂組成物は、複合ゴム系グラフト共重合体中の複合ゴムの含有量が70質量%未満であったので、衝撃強度が低かった。
【0050】
【発明の効果】
本発明の複合ゴム系グラフト共重合体によれば、耐衝撃性および発色性をともに高くできる。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上述した複合ゴム系グラフト共重合体を含有しているから、耐衝撃性と発色性とがともに優れ、特に低温の耐衝撃性が優れる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車分野、電気・電子機器分野、OA機器等などの成形体に使用されるシリコーン/アクリル複合ゴム系グラフト共重合体およびこれを含有する熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車分野、電気・電子機器分野、プリンタ等のOA機器をはじめとする種々の分野には、熱可塑性樹脂組成物からなる成形体が広く用いられている。この成形体をなす熱可塑性樹脂組成物には、耐衝撃性改質剤が含まれることがある。
耐衝撃性改質剤としては、例えば、特許文献1に、ポリオルガノシロキサンゴムとポリ(メタ)アクリルゴムとからなる複合ゴムにビニル系単量体をグラフト重合させた複合ゴム系グラフト共重合体が提案されている。また、特許文献2には、ポリオルガノシロキサンゴムとポリ(メタ)アクリルゴムとからなる複合ゴムに芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体をグラフト重合させた複合ゴム系グラフト共重合体が提案されている。さらに、特許文献3には、粒子径が0.1μm以下のオルガノシロキサンゴムとポリ(メタ)アクリルゴムとからなる複合ゴムにビニル系単量体をグラフト重合させた複合ゴム系グラフト共重合体が提案されている。
【0003】
【特許文献1】
特開昭63−69859号公報
【特許文献2】
特開昭64−79257号公報
【特許文献3】
特開平5−279434号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、熱可塑性樹脂組成物に耐衝撃性改質剤を配合した場合には、顔料着色性が低下するため、耐衝撃性と顔料着色性のバランスが問題になる。
具体的には、特許文献1に記載のグラフト共重合体は、低屈折率のポリオルガノシロキサンを含有するために発色性(顔料着色性)が他の耐衝撃性改質剤と比べて著しく劣るという問題があった。
また、特許文献2に記載のグラフト共重合体を用いた場合には、発色性は少し改善されるものの十分なレベルではない上に、耐衝撃性、特に低温下における耐衝撃性が十分ではなかった。
また、特許文献3に記載のグラフト共重合体を用いた場合には、発色性は改善されるものの、耐衝撃性、特に低温下に耐衝撃性が著しく劣るという問題があった。
このように、従来の耐衝撃性改質剤を用いた場合には、耐衝撃性および発色性を両立できなかった。そのため、耐衝撃性および発色性を両立できる耐衝撃性改質剤が求められていた。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、少量の添加で樹脂の耐衝撃性、特に低温衝撃強度を向上させることができ、しかも、樹脂に添加しても発色性が低下せず、良好であるシリコーン/アクリル複合ゴム系グラフト共重合体を提供することを目的とする。さらには、これを含有する熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ポリオルガノシロキサンを特定量含有するとともに、特定量のシリコーン/アクリル複合ゴムを含有し、数平均粒子径が特定範囲であるシリコーン/アクリル複合ゴム系グラフト共重合体が上記課題を解決することを見出し、以下のシリコーン/アクリル複合ゴム系グラフト共重合体および熱可塑性樹脂組成物を発明した。
すなわち、本発明のシリコーン/アクリル複合ゴム系グラフト共重合体は、ポリオルガノシロキサンおよびポリアルキル(メタ)アクリレートを含む複合ゴムに、1種以上のビニル系単量体単位から構成されるビニル系重合体がグラフトしたシリコーン/アクリル複合ゴム系グラフト共重合体であって、
該グラフト共重合体の数平均粒子径が300〜2000nmであり、
ポリオルガノシロキサン含有量が20〜70質量%、複合ゴム含有量が70〜90質量%であることを特徴とする。
本発明のシリコーン/アクリル複合ゴム系グラフト共重合体においては、ポリオルガノシロキサンは、粒子径10〜250nmの範囲の粒子0〜15質量%と、粒子径250〜2000nmの範囲の粒子85〜100質量%とからなることが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂と、請求項1または2に記載のシリコーン/アクリル複合ゴム系グラフト共重合体とを含有し、シリコーン/アクリル複合ゴム系グラフト共重合体の含有量が熱可塑性樹脂100質量部に対して1〜100質量部であることを特徴とする。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂が、ポリカーボネート系樹脂を含有する場合にとりわけ効果を発揮する。
【0007】
【発明の実施の形態】
<シリコーン/アクリル複合ゴム系グラフト共重合体>
本発明のシリコーン/アクリル複合ゴム系グラフト共重合体(以下、複合ゴム系グラフト共重合体と略す)は、複合ゴムに1種以上のビニル系単量体単位から構成されるビニル系重合体がグラフトしたものである。
【0008】
複合ゴム系グラフト共重合体の複合ゴムは、ポリオルガノシロキサンとポリアルキル(メタ)アクリレートとが互いに分離できないように絡み合った構造を有するものである。
複合ゴムを構成するポリオルガノシロキサンとしては、ジメチルシロキサン単位を構成単位として含有する重合体である。ポリオルガノシロキサンを構成するジメチルシロキサンとしては、3員環以上のジメチルシロキサン系環状体が挙げられ、3〜7員環のものが好ましい。具体的にはヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等が挙げられる。これらは単独でまたは2種以上混合して用いられる。これらの中でも、粒子径分布を制御しやすいことから、主成分がオクタメチルシクロテトラシロキサンであることが好ましい。
【0009】
ポリオルガノシロキサンとしては、ビニル重合性官能基含有シロキサンを構成成分として含有するものが好ましい。ここで、ビニル重合性官能基含有シロキサンとは、ビニル重合性官能基を含有しかつジメチルシロキサンとシロキサン結合を介して結合しうるものである。ビニル重合性官能基含有シロキサンの中でも、ジメチルシロキサンとの反応性を考慮するとビニル重合性官能基を含有する各種アルコキシシラン化合物が好ましい。具体的には、β−メタクリロイルオキシエチルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメトキシジメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルエトキシジエチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルエトキシジエトキシメチルシランおよびδ−メタクリロイルオキシブチルジエトキシメチルシラン等のメタクリロイルオキシシラン、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン等のビニルシロキサン、p−ビニルフェニルジメトキシメチルシラン等のビニルフェニルシラン、さらにγ−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシロキサンが挙げられる。これらビニル重合性官能基含有シロキサンは単独でまたは2種以上の混合物として用いることができる。
【0010】
また、ポリオルガノシロキサンは、シロキサン系架橋剤によって架橋されていてもよい。シロキサン系架橋剤としては、3官能性または4官能性のシラン系架橋剤、例えば、トリメトキシメチルシラン、トリエトキシフェニルシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。
【0011】
ポリオルガノシロキサンの製造方法としては特に制限はなく、例えば、以下の製造方法を採用できる。
まず、ジメチルシロキサンと、必要に応じてビニル重合性官能基含有シロキサンとを含む混合物またはさらにシロキサン系架橋剤を含む混合物を乳化剤と水によって乳化させてラテックスを調製し、そのラテックスを微粒子化した後、酸触媒を用いて高温下で重合させ、次いでアルカリ性物質により酸を中和してポリオルガノシロキサンラテックスを得る。
この製造方法において、ラテックスの調製方法としては、高速回転による剪断力で微粒子化するホモミキサーを用いる方法、高圧発生機による噴出力で微粒子化するホモジナイザー等を使用して高速攪拌により混合する方法などが挙げられる。これらの中でも、ホモジナイザーを使用する方法は、ポリオルガノシロキサンラテックスの粒子径の分布が狭くなるので好ましい方法である。
【0012】
重合の際の酸触媒の混合方法としては、シロキサン混合物、乳化剤および水とともに一括して添加し、混合する方法と、シロキサン混合物が微粒子化したラテックスを高温の酸水溶液中に一定速度で滴下して混合する方法等が挙げられるが、ポリオルガノシロキサンの粒子径を制御しやすいことから、ミセル形成能のない酸水溶液を一括して添加し混合する方法が好ましい。
【0013】
重合温度は、50℃以上が好ましく、70℃以上であることがさらに好ましい。また、重合時間は、酸触媒をシロキサン混合物、乳化剤および水とともに混合し、微粒子化させて重合する場合には、通常2時間以上、好ましくは5時間以上である。
重合の停止の際に添加されるアルカリ性物質としては、例えば、苛性ソーダ、苛性カリ、炭酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0014】
また、上記製造方法で使用される乳化剤としてはジメチルシロキサンを乳化できれば特に制限されないが、アニオン系乳化剤が好ましい。アニオン系乳化剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸エステルナトリウム等が挙げられ、これらの中でも、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルスルホン酸ナトリウムが好ましい。
【0015】
ポリオルガノシロキサンの重合に用いられる酸触媒としては、脂肪族スルホン酸、脂肪族置換ベンゼンスルホン酸、脂肪族置換ナフタレンスルホン酸などのスルホン酸類および硫酸、塩酸、硝酸などの鉱酸類が挙げられる。これらの酸触媒は、1種でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。これらの中でも、ミセル形成能のない硫酸、塩酸、硝酸などの鉱酸を使用すると、ポリオルガノシロキサンラテックスの粒子径分布を狭くすることができ、さらに、ポリオルガノシロキサンラテックス中の乳化剤成分に起因する成形品の外観不良を低減させることができるという点で好ましい。
【0016】
ポリオルガノシロキサンの数平均粒子径は、複合ゴム中のポリオルガノシロキサンゴム含有量を高くしつつ複合ゴム系グラフト共重合体の数平均粒子径を300〜2000nmにするためには、150nm〜2000nmであることが好ましく、250〜1000nmであることがより好ましい。ポリオルガノシロキサンの数平均粒子径が150nm未満の場合、上記粒子径の複合ゴム系グラフト共重合体を得るのに要するポリアルキル(メタ)アクリレート量が多くなるため、耐衝撃性が損なわれることがあり、2000nmを越えると、成形品の外観や耐衝撃性が低下するおそれがある。
また、ポリオルガノシロキサンは、複合ゴム系グラフト共重合体の数平均粒子径を300〜2000nmにするために、粒子径10〜250nmの範囲の粒子0〜15質量%と、粒子径250〜2000nmの範囲の粒子85〜100質量%とからなることが好ましい。
【0017】
複合ゴムを構成するポリアルキル(メタ)アクリレートは、アルキル(メタ)アクリレート単位と多官能性アルキル(メタ)アクリレート単位とを構成成分として含有する重合体である。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレートおよびヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−ラウリルメタクリレート等のアルキルメタクリレートが挙げられ、これらを単独でまたは2種以上併用できる。
これらの中でも、熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性および成形品の光沢を考慮すると、特にn−ブチルアクリレートが好ましい。
【0018】
多官能性アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、アリルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられ、これらを単独でまたは2種以上併用できる。
【0019】
多官能性アルキル(メタ)アクリレート単位の含有量には特に制限はないが、ポリアルキル(メタ)アクリレート100質量%中の0.1〜2.0質量%であることが好ましく、0.3〜1.0質量%であることがより好ましい。多官能性アルキル(メタ)アクリレートの含有量が0.1質量%未満では、複合ゴムのモルフォロジーが変化して、かえって衝撃強度が低下する傾向があり、さらに、多官能性アルキル(メタ)アクリレートがグラフト交叉剤を兼ねている場合、粉体回収性、粉体特性などが低下することがある。また、多官能性アルキル(メタ)アクリレートの含有量が2.0質量%を超えると、衝撃強度が低下するおそれがある。
【0020】
上述したポリオルガノシロキサンとポリアルキル(メタ)アクリレートからなる複合ゴムを製造するには、まず、ポリオルガノシロキサン成分のラテックス中に、上記アルキル(メタ)アクリレート成分および多官能性アルキル(メタ)アクリレート成分を添加し、ポリオルガノシロキサン中に含浸させた後、公知のラジカル重合開始剤を作用させて重合する。
この製造方法において、ポリオルガノシロキサンラテックスにアルキル(メタ)アクリレートを添加する方法としては、ポリオルガノシロキサンラテックスに全量を一括して添加する方法、ポリオルガノシロキサンラテックス中に一定速度で滴下して添加する方法が挙げられる。
また、重合に用いるラジカル重合開始剤としては、過酸化物、アゾ系開始剤または酸化剤・還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤が用いられる。この中でも、レドックス系開始剤が好ましく、特に硫酸第一鉄・エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩・ロンガリット・ハイドロパーオキサイドを組み合わせたレドックス系開始剤が好ましい。
【0021】
上記複合ゴムの存在下で1種以上のビニル系単量体をラジカル重合して、複合ゴムにビニル系重合体からなるグラフト部を形成することで複合ゴム系グラフト共重合体が得られる。
具体的な製造方法としては、乳化グラフト重合による製造方法が挙げられる。この乳化グラフト重合による製造方法では、複合ゴムのラテックスにビニル系単量体を加え、ラジカル重合法により一段であるいは多段でグラフト重合して、複合ゴム系グラフト共重合体ラテックスを得る。次いで、この複合ゴム系グラフト共重合体ラテックスを、凝固剤を溶解した熱水中に投入し、塩析、固化することによりグラフト共重合体を分離し、粉末状で回収する。
【0022】
ここで、ビニル系単量体としては特に限定はないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族アルケニル化合物、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等のメタアクリル酸エステル、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアクリル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物などが挙げられ、これらを単独で使用または2種以上併用できる。
【0023】
上記ラジカル重合に用いるラジカル重合開始剤としては、過酸化物、アゾ系開始剤、または酸化剤・還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤が用いられる。これらの中でも、レドックス系開始剤が好ましく、特に硫酸第一鉄・エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩・ロンガリット・ハイドロパーオキサイドを組み合わせたレドックス系開始剤が好ましい。
【0024】
また、グラフト重合においては、ビニル系単量体の重合によって形成されるグラフトポリマーの分子量やグラフト率を調整するために各種連鎖移動剤、グラフト交叉剤、架橋剤を添加することができる。
さらに、グラフト重合の際には、ラテックスを安定化させ、さらにグラフト共重合体の平均粒子径を制御するために乳化剤を添加することができる。用いる乳化剤としては特に限定されないが、好ましいものとしてはカチオン系乳化剤、アニオン系乳化剤およびノニオン系乳化剤が挙げられ、さらに好ましいものとしてはスルホン酸塩乳化剤あるいは硫酸塩乳化剤とカルボン酸塩乳化剤との併用が挙げられる。
【0025】
複合ゴム系グラフト共重合体ラテックスの塩析の際に添加される凝固剤としては、例えば、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、硫酸アルミニウムなどの金属塩が挙げられる。
【0026】
複合ゴム系グラフト共重合体の平均粒子径は、数平均粒子径が300〜2000nmである必要がある。複合ゴム系グラフト共重合体の数平均粒子径が300nm未満の場合、熱可塑性樹脂組成物から得られる成形物の発色と低温時の耐衝撃性とのバランスが低下し、数平均粒子径が2000nmを越えると、熱可塑性樹脂組成物から得られる成形物の耐衝撃性が低下するとともに成形表面外観が損なわれる。
ここで、複合ゴム系グラフト共重合体の数平均粒子径は、通常、乳化重合して得られた複合ゴム系グラフト共重合体のラテックスを測定して求めた値である。
【0027】
複合ゴム系グラフト共重合体中の複合ゴム含有量は、複合ゴム系グラフト共重合体100質量%中の70〜90質量%である必要がある。複合ゴムの含有量が70質量%未満では耐衝撃性が十分でなく、90質量%を越えると、耐衝撃性は優れるものの、発色性が低下することがある上に、熱可塑性樹脂への分散性が低下することがある。
【0028】
また、複合ゴム系グラフト共重合体中のポリオルガノシロキサン含有量は、複合ゴム系グラフト共重合体100質量%中の20〜70質量%である必要がある。ポリオルガノシロキサン含有量が20質量%未満では耐衝撃性が十分でなく、70質量%を越えると耐衝撃性は優れるものの、発色性が低下する。
さらに、複合ゴム系グラフト共重合体中のポリアルキル(メタ)アクリレートの含有量は、ポリオルガノシロキサン含有量が20〜70質量%、シリコーン/アクリル複合ゴム含有量が70〜90質量%であることから、10質量%〜70質量%である。
【0029】
以上説明した複合ゴム系グラフト共重合体は、数平均粒子径が特定範囲に限定され、さらに、ポリオルガノシロキサン含有量および複合ゴム含有量が特定範囲に限定されており、耐衝撃性改質剤として最適化されているので、耐衝撃性を向上させる効果が大きく、添加量が少量であっても耐衝撃性、特に低温の耐衝撃性を高くできる。その上、この複合ゴム系グラフト共重合体は発色性の低下を防止できる。したがって、この複合ゴム系グラフト共重合体によれば、耐衝撃性および発色性をともに高くできる。
【0030】
<熱可塑性樹脂組成物>
次に、本発明の熱可塑性樹脂組成物について説明する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上述した複合ゴム系グラフト共重合体と、熱可塑性樹脂とを含有するものである。
この熱可塑性樹脂組成物において、複合ゴム系グラフト共重合体の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して0.5〜100質量部であり、好ましくは1〜50質量部である。複合ゴム系グラフト共重合体の含有量が0.5質量部未満では衝撃強度の改質効果が十分に発揮されず、100質量部を超えると熱可塑性樹脂本来の性質が損なわれるおそれがあり、また耐衝撃性および成形品外観が低下するおそれがある。
【0031】
熱可塑性樹脂としては、一般に知られている熱可塑性樹脂を使用できる。熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)などのオレフィン系樹脂、ポリスチレン(PS)、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)、(メタ)アクリル酸エステル・スチレン共重合体(MS)、スチレン・アクリロニトリル共重合体(SAN)、スチレン・無水マレイン酸共重合体(SMA)、ABS、ASA、AES、などのスチレン系樹脂(St系樹脂)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)などのアクリル系樹脂(Ac系樹脂)、ポリカーボネート系樹脂(PC系樹脂)、ポリアミド系樹脂(PA系樹脂)、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル系樹脂(PEs系樹脂)、(変性)ポリフェニレンエーテル系樹脂(PPE系樹脂)、ポリオキシメチレン系樹脂(POM系樹脂)、ポリスルフォン系樹脂(PSO系樹脂)、ポリアリレート系樹脂(PAr系樹脂)、ポリフェニレン系樹脂(PPS系樹脂)、熱可塑性ポリウレタン系樹脂(PU系樹脂)などのエンジニアリングプラスチックス、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、フッ素系エラストマー、1,2−ポリブタジエン、トランス1,4−ポリイソプレンなどの熱可塑性エラストマー(TPE)、PC/ABSなどのPC系樹脂/St系樹脂アロイ、PVC/ABSなどのPVC系樹脂/St系樹脂アロイ、PA/ABSなどのPA系樹脂/St系樹脂アロイ、PA系樹脂/TPEアロイ、PA/PPなどのPA系樹脂/ポリオレフィン系樹脂アロイ、PBT系樹脂/TPE、PC/PBTなどのPC系樹脂/PEs系樹脂アロイ、ポリオレフィン系樹脂/TPE、PP/PEなどのオレフィン系樹脂どうしのアロイ、PPE/HIPS、PPE/PBT、PPE/PAなどのPPE系樹脂アロイ、PVC/PMMAなどのPVC系樹脂/Ac系樹脂アロイなどのポリマーアロイ等や、硬質、半硬質、軟質塩化ビニル樹脂等が挙げられる。これらは2種以上の成分を併せて使用することもできる。さらに、グラフトコポリマーの様な相溶化剤を併用することもできる。
これらの中でも、熱可塑性樹脂がポリカーボネート系樹脂である場合に、本発明の効果をとりわけ発揮する。
【0032】
また、熱可塑性樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で添加剤を適宜配合できる。添加剤としては、例えば、顔料や染料、ガラス繊維、金属繊維、金属フレーク、炭素繊維などの補強剤や充填剤、2,6−ジ−ブチル−4−メチルフェノール、4,4´−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)などのフェノール系酸化防止剤、トリス(ミックスド、モノおよびジニルフェニル)ホスファイト、ジフェニル・イソデシルホスファイトなどのホスファイト系酸化防止剤、ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネートジアステリアルチオジプロピオネートなどの硫黄系酸化防止剤、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ビス(2,2,6,6)−テトラメチル−4−ピペリジニル)などの光安定剤、ヒドロキシルアルキルアミン、スルホン酸塩などの帯電防止剤、エチレンビスステアリルアミド、金属石鹸などの滑剤、およびテトラブロムフェノールA、デカブロモフェノールオキサイド、TBAエポキシオリゴマー、TBAポリカーボネートオリゴマー、三酸化アンチモン、TPP、リン酸エステルなどの難燃剤などが挙げられる。これらの各種添加剤を配合することにより、さらに望ましい物性、特性に調節することができる。
【0033】
熱可塑性樹脂組成物の製造方法としては特に制限はないが、上述した必須成分及び必要に応じて任意成分を所定量配合し、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、単軸押出機、2軸押出機等の通常の混練機で回分的または連続的に混練する溶融混合方法が好ましい。溶融混合法においては、必要に応じて少量の溶剤を使用しても良い。また、各成分の混合順は特に限定されない。
なお、このようにして製造される熱可塑性樹脂組成物の形状は、ペレット状であることが好ましい。
【0034】
この熱可塑性樹脂組成物は、上述した複合ゴム系グラフト共重合体を含有しているから、耐衝撃性と発色性とがともに優れ、特に低温の耐衝撃性が優れる。
熱可塑性樹脂組成物の用途としては特に制限はなく、例えば、建材、自動車、玩具、文房具などの雑貨、さらにはOA機器、家電機器などの耐衝撃性が必要とされる成形品に広く利用される。
【0035】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。なお、以下の製造例と実施例において、「部」及び「%」は特に断らない限り「質量部」及び「質量%」を意味する。
【0036】
以下の製造例においてラテックス中のポリオルガノシロキサン及び複合ゴム系グラフト共重合体の粒子径は以下のように測定した。すなわち、得られたポリオルガノシロキサンラテックスあるいは複合ゴム系グラフト共重合体ラテックスを蒸留水で希釈した濃度約3%の希釈ラテックス0.1mlを試料とし、米国MATEC社製CHDF2000型粒度分布計を用いて測定した。この測定では、粒子分離用キャピラリー式カートリッジおよびほぼ中性のキャリア液を用い、流速1.4ml/分、圧力約2.76MPa(約4000psi)、温度35℃の条件とした。なお、測定前には、米国DUKE社製の粒子径既知の単分散ポリスチレンを標準粒子径物質とし、0.02μmから0.8μmの合計12点の粒子径を測定して、検量線を作成した。
【0037】
(製造例1)ポリオルガノシロキサンラテックス(L−1)の製造
テトラエトキシシラン2部、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン0.5部及びオクタメチルシクロテトラシロキサン97.5部を混合して、シロキサン系混合物100部を得た。これにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.00部を溶解した蒸留水150部を添加し、ホモミキサーにて10000rpm で5分間攪拌した後、ホモジナイザーに20MPaの圧力で2回通して、安定な予備混合オルガノシロキサンエマルションを得た。
次いで、冷却コンデンサーを備えたセパラブルフラスコに、上記エマルションを入れた後、硫酸0.20部と蒸留水49.8部との混合物を3分間にわたり投入した。次いで、80℃に加熱した状態で7時間温度を維持してから冷却し、続いて、得られた反応物を室温で6時間保持した後、苛性ソーダ水溶液で中和して、ポリオルガノシロキサンラテックス(L−1)を得た。
このようにして得られたラテックスを180℃で30分間乾燥して固形分を求めたところ、29.8%であった。また、このラテックスの数平均粒子径dnは384nm、質量平均粒子径dw は403nmであり、粒子径分布を示すdw /dn は1.05であった。
【0038】
(製造例2)ポリオルガノシロキサンラテックス(L−2)の製造
シロキサン系混合物の組成を、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン0.4部及びオクタメチルシクロテトラシロキサン99.6部に変更した以外は、製造例1と同様の方法でポリオルガノシロキサンラテックス(L−2)を得た。このラテックスの固形分は30.1%、数平均粒子径dn は395nm、質量平均粒子径dw は404nmであった。
【0039】
(製造例3)ポリオルガノシロキサンラテックス(L−3)の製造
製造例1と同じシロキサン系混合物100部に対し、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.67部およびドデシルベンゼンスルホン酸0.67部を溶解した蒸留水200部を添加し、ホモミキサーにて10000rpmで5分間攪拌した後、ホモジナイザーに20MPaの圧力で2回通して、安定な予備混合オルガノシロキサンエマルションを得た。
次いで、このエマルションを、冷却コンデンサーを備えたセパラブルフラスコに入れ、80℃に加熱した状態で、7時間温度を維持し、冷却した。次いで、得られた反応物を室温で6時間保持した後、苛性ソーダ水溶液で中和してポリオルガノシロキサンラテックス(L−3)を得た。
このラテックスの固形分は29.3%、数平均粒子径dn は104nm、質量平均粒子径dw は214nmであり、dw /dn は2.06であった。
【0040】
(実施例1)複合ゴム系グラフト共重合体(S−1)および熱可塑性樹脂組成物の製造
製造例1によって得られたポリオルガノシロキサンラテックス(L−1)20部(ポリマー換算)をセパラブルフラスコに採取し、これに蒸留水200部を添加し混合した。続いて、ブチルアクリレート59.5部、アリルメタクリレート0.5部、キュメンヒドロパーオキサイド0.15部からなる混合物を添加した。
次いで、このセパラブルフラスコに窒素気流を通じることによりフラスコ内雰囲気を窒素置換してから、50℃まで昇温した。液温が50℃となった時点で硫酸第一鉄0.0003部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.0009部、ロンガリット0.18部を蒸留水10部に溶解させた水溶液を添加してラジカル重合を開始させた。アクリレート成分の重合を完結させるため、1時間この状態を維持して、ポリオルガノシロキサンとポリブチルアクリレートとからなる複合ゴムのラテックスを得た。
【0041】
このラテックスの液温が60℃に低下した後、メチルメタクリレート13部、ブチルアクリレート1.95部、アリルメタクリレート0.05部およびキュメンヒドロパーオキサイド0.08部からなる混合物を30分間にわたって滴下し重合した。滴下終了後、温度60℃以上の状態を1時間保ったのち冷却し、ポリジメチルシロキサンとポリブチルアクリレートとからなる複合ゴムにメチルメタクリレート・アクリル酸エチル共重合体をグラフトした複合ゴム系グラフト共重合体のラテックスを得た。
次いで、酢酸カルシウムを1質量%の割合で溶解した水溶液500部を60℃に加熱、攪拌し、この中に複合ゴム系グラフト共重合体のラテックス340部を徐々に滴下し凝固した。そして、得られた固形物を分離し、水洗、乾燥して粉体状の複合ゴム系グラフト共重合体を得た。
【0042】
次いで、得られた複合ゴム系グラフト共重合体(S−1)を、表1に示すように熱可塑性樹脂と配合した。そして、ヘンシェルミキサーで4分間混合した後、30mm二軸押し出し機にて溶融混練し、ペレット状に賦型して熱可塑性樹脂組成物を得た。
なお、熱可塑性樹脂としては以下の樹脂を使用した。
ポリカーボネート系樹脂(PC):粘度平均分子量約22000のビスフェノールAタイプポリカーボネート
ポリエステル系樹脂(PBT):極限粘度[η]が1.05のポリテトラブチレンテレフタレート
ABS系樹脂:三菱レイヨン製ダイヤペット3001
SAN樹脂:スチレン・アクリロニトリル共重合体(旭化成(株)製、商品名AP789)
ポリスチレン樹脂(HIPS):トーボレックス876−HF(三井化学製ハイインパクトポリスチレン)
ポリアミド樹脂(PA66):東レ製CM3001N
PPE樹脂:ノリル(日本ジーイープラスチックス(株)製)
【0043】
【表1】
【0044】
(実施例2〜5,比較例1〜4)
表2に示す組成にしたこと以外は実施例1と同様にして、複合ゴム系グラフト共重合体(S−2)〜(S−9)を得て、実施例1と同様に、この複合ゴム系グラフト共重合体を配合して熱可塑性樹脂組成物を得た。なお、表2には、複合ゴム系グラフト共重合体の数平均粒子径の測定結果についても示す。
【0045】
【表2】
【0046】
得られた熱可塑性樹脂組成物を射出成形して、1/4インチアイゾット試験片および10cm角の平板を得て、以下のように評価した。その評価結果を表3、表4に示す。
[アイゾット衝撃強度の測定]
アイゾット衝撃強度の測定は、ASTM D 258に準じた。
また、耐候性についても評価するために、試験片を、60℃に調温した大日本プラスチックス(株)製アイスーパーUVテスターで8時間処理してから、60℃、95%に調温および調湿した恒温恒湿器に16時間入れる操作を5回繰り返した。そして、その試験片のアイゾット衝撃強度を測定した。
[発色性の測定]
発色性の測定は、JIS Z 8729(L* a* b* 表色系による物体色の表示方法)に準じた。
[難燃性]
米国アンダーライターズ・ラボラトリーズ(UL)規格のUL94に規定されている垂直燃焼試験(UL94V)に準拠し、厚み1.6mmの射出成形試験片を用いた燃焼試験時の燃焼時間および燃焼時のドリップ性にて評価した。
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】
実施例1〜5の熱可塑性樹脂組成物は、本発明の複合ゴム系グラフト共重合体が配合されていたので、耐衝撃性、特に低温下での耐衝撃性に優れていた。また、発色性もL*値で12以下であり良好であった。しかも、耐候試験後の衝撃強度もほとんど低下せず、さらに、難燃性にも優れていた。
一方、比較例1の熱可塑性樹脂組成物は、複合ゴム系グラフト共重合体の数平均粒子径が300nm未満であったので、衝撃強度および発色性が低かった。
比較例2の熱可塑性樹脂組成物は、複合ゴム系グラフト共重合体中のポリオルガノシロキサンの含有量が20質量%未満であったので、衝撃強度が低かった。比較例3の熱可塑性樹脂組成物は、複合ゴム系グラフト共重合体中のポリオルガノシロキサンの含有量が70質量%を越えていたので、衝撃強度および発色性が低かった。
比較例4の熱可塑性樹脂組成物は、複合ゴム系グラフト共重合体中の複合ゴムの含有量が70質量%未満であったので、衝撃強度が低かった。
【0050】
【発明の効果】
本発明の複合ゴム系グラフト共重合体によれば、耐衝撃性および発色性をともに高くできる。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上述した複合ゴム系グラフト共重合体を含有しているから、耐衝撃性と発色性とがともに優れ、特に低温の耐衝撃性が優れる。
Claims (4)
- ポリオルガノシロキサンおよびポリアルキル(メタ)アクリレートを含む複合ゴムに、1種以上のビニル系単量体単位から構成されるビニル系重合体がグラフトしたシリコーン/アクリル複合ゴム系グラフト共重合体であって、
該グラフト共重合体の数平均粒子径が300〜2000nmであり、
ポリオルガノシロキサン含有量が20〜70質量%、複合ゴム含有量が70〜90質量%であることを特徴とするシリコーン/アクリル複合ゴム系グラフト共重合体。 - ポリオルガノシロキサンは、粒子径10〜250nmの範囲の粒子0〜15質量%と、粒子径250〜2000nmの範囲の粒子85〜100質量%とからなることを特徴とする請求項1に記載のシリコーン/アクリル複合ゴム系グラフト共重合体。
- 熱可塑性樹脂と、請求項1または2に記載のシリコーン/アクリル複合ゴム系グラフト共重合体とを含有し、シリコーン/アクリル複合ゴム系グラフト共重合体の含有量が熱可塑性樹脂100質量部に対して1〜100質量部であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
- 熱可塑性樹脂が、ポリカーボネート系樹脂を含有することを特徴とする請求項3に記載の熱可塑性樹脂組成物。
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