JP2004349345A - 電子制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い放熱効果を維持しながらも、部品実装等にかかる自由度を大幅に向上することのできる汎用性の高い電子制御装置を提供する。
【解決手段】この電子制御装置は基本的に、各種電子部品が実装された基板10と、該基板10が内装される筐体としてのケース11およびその蓋12とを有している。そして、発熱素子PEが実装された上記基板10の実装裏面10aとケース11との間には、基板10の面方向と平行方向への位置変更が可能に介在されて、基板10に蓄積された熱をケース11に放熱する放熱プレート100が設けられている。
【選択図】 図1
【解決手段】この電子制御装置は基本的に、各種電子部品が実装された基板10と、該基板10が内装される筐体としてのケース11およびその蓋12とを有している。そして、発熱素子PEが実装された上記基板10の実装裏面10aとケース11との間には、基板10の面方向と平行方向への位置変更が可能に介在されて、基板10に蓄積された熱をケース11に放熱する放熱プレート100が設けられている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種電子部品が実装された基板を有して構成される電子制御装置に関し、特にその放熱構造の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、上記基板に実装される電子部品には、その駆動に伴って発熱する部品も少なくなく、上記電子制御装置としての信頼性を維持する上でも、その放熱対策は重要である。
【0003】
特に、この種の電子制御装置に採用される電子部品のパワー素子等には、通常、素子内部の接合部温度について絶対最大定格が設定されており、接合部温度が絶対最大定格を超える高温となった場合、素子の誤動作や故障等のおそれがあり、電子制御装置としての信頼性が大きく損なわれるようになる。
【0004】
そこで従来は、こうして基板に蓄積される熱や、発熱素子から発せられる熱を電子制御装置自身の筐体等に放熱する放熱構造を備えることによって、該電子制御装置としての信頼性の維持を図るようにしている。図21に、こうした放熱構造を備える電子制御装置について、その一例を示す。
【0005】
図21に例示する電子制御装置は、基本的には、パワー素子等の発熱素子PEや各種の電子部品Eが表面実装されている基板(回路基板)10と、この基板10が内装されるケース50およびその蓋51からなる筐体とを備えて構成されている。上記ケース50には、その内底面50aと所定の間隔Lを隔てた状態にて、上記基板10が内装されるとともに、これらを覆うように蓋51が取り付けられて、その内部が密閉されるようになっている。
【0006】
ここで、上記ケース50の内底面50aのうち、上記発熱素子PEと対向する位置には、上記基板10とケース50との間隔Lを部分的に短縮するとともに、放熱面積を拡大するヒートシンクとしても機能する凸部50bが形成されている。そして、この凸部50bと上記基板10との間には、例えばシリコン材をベースとしたグリース・ゲル・シートなどの弾性を有する熱伝導材52が介在されて、それらの間隙が該熱伝導材52の弾性変形を通じて吸収されるようになっている。
【0007】
このような態様をもって基板10(発熱素子PE)とケース50とを密着させることにより、発熱素子PEから発せられた熱は、同図21に白抜きの矢印にて示すように、「発熱素子PE→基板10→熱伝導材52→凸部50b→ケース50」といった経路を経て放熱されるようになる。
【0008】
また従来は、基板から筐体に直接放熱する構造を備えた電子制御装置も知られている。
この電子制御装置は、例えば図22に示されるように、筐体を構成する上部ケース61および下部ケース62に、それぞれフランジ61aおよび62aが形成されており、これらフランジ61aおよび62aによって端部が固定されるかたちで上記基板10が装着される。そして、特に下部ケース62のフランジ62aは、上部ケース61のフランジ61aに比べて、基板10の内側に延伸したかたちで形成されており、このフランジ62aに当接する基板10の上面に、上記発熱素子PEが配設される構造となっている。こうした構造により、この電子制御装置では、発熱素子PEから発せられた熱は、同図22に白抜きの矢印にて示すように、「発熱素子PE→基板10→フランジ62a→下部ケース62」といった経路を経て放熱されるようになる。
【0009】
【特許文献1】
特開平2001−160608号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで近年、こうした放熱構造を有する電子制御装置にあっては、さらなる多機能化やノイズ対策等のニーズに応えるべく、上記発熱素子を含む電子部品の配置やパターン配線のレイアウトなどが変更されることも少なくない。
【0011】
しかしながら、先の図21に例示した電子制御装置の場合、上記凸部50bがケース50自体に対するプレス加工等によって該ケース50と一体に形成されていることから、こうした変更に際しては、ケース50そのものを変更する必要が生じる。また、こうした問題を解消すべく、上記凸部50bを設けることなく、ケース50そのものを嵩上げして上記基板10との間隔Lを短縮することも考えられるが、この場合、基板10に表面実装する発熱素子PEやその他の電子部品Eの高さが制約されることともなり、別の意味でその自由度が妨げられるようになる。
【0012】
他方、先の図22に例示した電子制御装置の場合も、その放熱構造により、自ずと発熱素子PEの配設位置が特定されることとなり、やはり電子部品の配置変更やパターン配線のレイアウト変更には対応しにくい構造となっている。
【0013】
なお従来、例えば特許文献1にみられるように、筐体に放熱板を一体に形成し、この放熱板を基板に組み付けることによって、該基板上に実装された発熱素子にこの放熱板を当接させるようにした放熱構造なども提案されている。しかし、このような放熱構造であれ、上記電子部品の配置変更やパターン配線のレイアウト変更に際しては、筐体そのものの形状変更が避けられない。
【0014】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、高い放熱効果を維持しながらも、部品実装等にかかる自由度を大幅に向上することのできる汎用性の高い電子制御装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
こうした目的を達成するため、請求項1に記載の電子制御装置では、各種の電子部品が実装された基板と、該基板が内装される筐体とを有して構成される電子制御装置として、前記基板および該基板に実装された電子部品の少なくとも一方と前記筐体との間に前記基板の面方向と平行な方向への位置変更が可能に介在されて、前記基板に蓄積される熱および該基板に実装された電子部品から発せられる熱の少なくとも一方を前記筐体に放熱する放熱プレートを備える構造とする。
【0016】
上記構造によれば、基板および該基板に実装された電子部品の少なくとも一方と筐体との間に介在される放熱プレートにより、基板に蓄積された熱および該基板に実装された電子部品から発せられる熱の少なくとも一方が、該放熱プレートを通じて筐体へ放熱される構造となる。また、上記放熱プレートは、前記基板および該基板に実装された電子部品の少なくとも一方と前記筐体との間において、基板の面方向と平行な方向への位置変更が可能に介在されるため、電子部品の配置やパターン配線のレイアウトなどが変更されるような場合であれ、それらの変更に合わせてその配設位置を変更することができる。すなわち、こうした変更に際しては、従来のように筐体そのものを変更しなくとも、上記放熱プレートの位置を変更することのみによって、上記放熱構造を簡易且つ確実に実現することができるようになる。このように、上記放熱プレートによる放熱構造を採用することで、より汎用性に富んだ、しかもより効率のよい放熱構造を実現することができ、ひいては、部品実装やパターン配線のレイアウト等にかかる自由度を大幅に向上することができるようになる。ちなみに、上記放熱プレートの形状は、所望する放熱態様に応じて任意に設定することができる。
【0017】
また、請求項2に記載の電子制御装置では、この放熱プレートを、基板および該基板に実装された電子部品の少なくとも一方と対向する面を底とする有底筒状に形成されてなるとともに、上記基板および該基板に実装された電子部品の少なくとも一方と対向する面に熱伝導性の弾性体を備え、該弾性体の弾性変形を通じて同基板および該基板に実装された電子部品の少なくとも一方と密着される構造としている。
【0018】
上記構造によれば、上記放熱プレートとしての剛性が高く維持されるとともに、同放熱プレートの、前記基板および該基板に実装された電子部品の少なくとも一方と対向する面、並びに該面を底として筒状に形成される側面は、放熱面積を拡大するヒートシンクとしても機能するようになる。このため、熱抵抗が低減されて、より好適な放熱構造が実現されるようになる。また、同放熱プレートの上記基板や電子部品との対向面に熱伝導性の弾性体を設けることにより、それら基板や電子部品との間の密着性を確保することができるようになるため、該基板に蓄積される熱や電子部品から発せられる熱をこの放熱プレートを通じて効率よく前記筐体へ放熱することができるようになる。特に、上記放熱プレートに密着される電子部品が発熱素子であったような場合には、この発熱素子から発せられる熱そのものを筐体に直接放熱することも可能となる。
【0019】
なお、上述した放熱構造を備える放熱プレートとしては、その機能上、その材料(材質)としても例えばアルミニウムや銅、鉄等の熱伝導性金属を用いることが望ましい。そしてその加工を、特にプレス成型にて行う場合には、同材料(材質)としても、アルミニウムや銅などの比較的可塑性に優れた材料(材質)であることが望ましい。
【0020】
また、上記弾性体は、例えば請求項3に記載のように、ばね機構によって実現することができる。
また、このばね機構としては、請求項4に記載のように、上記放熱プレートの基板および該基板に実装された電子部品の少なくとも一方と対向する面を突出加工した多数の板ばねからなる構造を採用することができる。この場合、放熱プレートの前記基板および該基板に実装された電子部品の少なくとも一方と対向する面そのものが上記熱伝導性の弾性体として機能するようになるため、部品点数の削減には特に有効である。
【0021】
一方、請求項5に記載のように、上記弾性体としては、放熱プレートの表面に設けられた絶縁ゴムパッドを採用することもできる。この場合には、上記放熱プレートと基板や電子部品との間隙が該ゴムパッドの弾性変形を通じて吸収されるようになる。しかもこの場合には、上記放熱プレートと基板や電子部品とが面接触することとなってその密着性が向上されるため、該部分における放熱性も自ずと向上されるようになる。また、同弾性体として、絶縁性に優れたゴムパッドを採用することにより、放熱プレートが特に上記基板と筐体との間に設けられる場合には、該基板の表裏面にパターン配線が露出された導電部などがある場合であれ、これら基板の導電部間、あるいはそれら導電部と放熱プレート(筐体)間での電気的な短絡を防止することができるようにもなる。すなわち、上記放熱プレートを配設するに際しての自由度をより向上することができ、ひいては、部品実装やパターン配線のレイアウト等にかかる自由度についてもこれをさらに向上することができるようになる。
【0022】
他方、請求項1〜5に記載のいずれかの構造においてさらに、請求項6に記載のように、放熱プレートの上記筐体と当接される縁部に、同筐体に密着されるフランジを設ける構造とすることで、上記放熱プレートと筐体との当接面積が拡大されるようになり、放熱構造としても、より完成度の高いものとなる。
【0023】
また、発熱素子を含む電子部品が基板上の予め定められた範囲内で実装(または変更)されるものである場合には、請求項7に記載のように、筐体の放熱プレートとの当接面に、放熱プレートの位置決めを補助するための1乃至複数のガイド手段を設けることが有効である。こうしたガイド手段を設けることにより、筐体の各々定められた位置に上記放熱プレートを配設することが容易となり、該位置決めにかかる手間を格段に低減することができるようになる。また、その位置決めにかかる精度についてもこれを高く維持することができるようになる。
【0024】
ここで、このガイド手段としては、例えば請求項8に記載のように、前記筐体の前記放熱プレートとの当接面に形成された凸部と、該凸部に係合するように前記放熱プレートに設けられた切り欠きもしくは凹部とによって実現することができる。この場合には、筐体に形成された上記凸部と放熱プレートに設けられた切り欠きもしくは凹部との係合を通じて、放熱プレートの上記筐体内における配設位置を規定することができるようになる。
【0025】
なお、筐体内に上記ガイド手段を構成する凸部を複数設ける構造とすれば、電子部品の配置やパターン配線のレイアウトなどが変更されるような場合であっても、それら変更された位置に対して直近の領域にある凸部に上記放熱プレートの切り欠き若しくは凹部を係合させることによって、放熱プレートの上記筐体内での位置決めを的確に行うことができるようになる。すなわち、放熱プレートの配設精度に併せて、同配設にかかる自由度も同時に確保することができるようになる。ここで、筐体内における上記凸部の配設態様については、上記放熱プレートの形状に応じて任意に設定することができる。例えば、放熱プレートの上記筐体との当接面の形状が略四角形状である場合には、筐体内にもその形状、寸法に応じて上記凸部を格子点状あるいはその対角に配設することで、これら凸部によって区画される略四角形状の領域のいずれかに、上記切り欠き若しくは凹部が設けられている略四角形状の放熱プレートを任意に配設することができるようになる。またちなみに、請求項6に記載のように、放熱プレートに上述したフランジが設けられている場合には、上記切り欠き若しくは凹部を該フランジに形成することもできる。
【0026】
一方、上記ガイド手段についてはこれを、請求項9に記載のように、前記筐体の前記放熱プレートとの当接面に形成された凹部と、該凹部に係合するように前記放熱プレートに設けられた凸部とによって実現することもできる。こうした場合でも、筐体に形成された上記凹部と放熱プレートに設けられた凸部との係合を通じて、放熱プレートの上記筐体内における配設位置を規定することができるようになる。
【0027】
そしてこの場合も、筐体内に上記ガイド手段を構成する凹部を複数設ける構造とすれば、電子部品の配置やパターン配線のレイアウトなどが変更されるような場合であっても、放熱プレートの配設にかかる自由度を確保しつつ、同配設精度を高く維持することができるようになる。なお、ガイド手段のこのような構造においても、請求項8の構造に関して上述したガイド態様(位置決め態様)は同様に実現される。
【0028】
また一方、上記ガイド手段についてはこれを、請求項10に記載のように、前記筐体の前記放熱プレートとの当接面に形成されたリブによって実現することもできる。この構造によれば、筐体内に設けられたリブを指標として、上記放熱プレートを配設することができるようになるため、この場合も、同放熱プレートの配設にかかる手間を格段に低減することができるようになる。なおこの場合も、リブの配設態様は上記放熱プレートの外形形状に応じて任意に設定することが可能であるが、特にこのリブを放熱プレートの外輪を囲繞するかたちで形成する場合には、同放熱プレートの配設にかかる精度も高く維持されるようになる。ちなみにこの場合、放熱プレートの外形形状が略四角形状であれば、上記リブを格子状に設けることとなり、また放熱プレートの外形形状が略六角形状であれば、上記リブも六角柱形状に設けることとなる。
【0029】
そしてこの場合も、こうしたリブを筐体内に複数設けるようにすれば、請求項8に記載のガイド手段や、請求項9に記載のガイド手段と同様、電子部品の配置やパターン配線のレイアウトなどが変更されるような場合であれ、それら変更された位置に対して直近の領域にあるリブを選択することにより、高い自由度と高い精度をもって上記放熱プレートを配設することができるようになる。また、こうして筐体に複数のリブが配設される場合には、筐体自体の強度の向上も併せて図られるようになる。
【0030】
また、上記請求項1に記載の放熱構造を実現する上では他に、請求項11に記載のように、前記放熱プレートを、前記基板および該基板に実装された電子部品の少なくとも一方と対向する面の裏面に補強リブを備えるとともに、該裏面の両側から同裏面側に略「ハ」の字状に延設されて板ばねとして機能する脚部を備え、該脚部の弾性変形を通じて前記基板および該基板に実装された電子部品の少なくとも一方と密着させる構造とすることも有効である。
【0031】
上記構造によれば、放熱プレートは、脚部の弾性変形により、前記基板および該基板に実装された電子部品の少なくとも一方と密着されるようになる。またこのとき、前記基板および該基板に実装された電子部品の少なくとも一方と対向する面に補強リブを配設することにより、放熱プレートが弾性変形する場合であっても、その撓みが抑制されて、上記密着された状態を維持することができる。
【0032】
また、上記放熱プレートのうち、前記基板および該基板に実装された電子部品の少なくとも一方と対向する面、並びに該面に連結される上記脚部は、この場合も放熱面積を拡大するヒートシンクとして機能するようになる。このため、熱抵抗が低減されて、より好適な放熱構造が実現されるようになる。
【0033】
なお、こうした放熱構造を備える放熱プレートとしても、その機能上、その材料(材質)としては、例えばアルミニウムや銅、鉄等の熱伝導性に優れた材料(材質)であることが望ましい。そしてその加工についてもこれをプレス成型によって行うようにすれば、こうした構造を比較的容易に実現することができる。
【0034】
また、こうした脚部を備える放熱プレートは、請求項12に記載のように、該脚部の筐体と当接される先端縁部に、同脚部の弾性変形を補助する平滑部を設けることが望ましい。このような平滑部の配設によって、上記脚部の筐体内での水平方向への弾性変形が促進されるようになる。
【0035】
一方、請求項13に記載のように、前記放熱プレートの前記基板および該基板に実装された電子部品の少なくとも一方と対向する面に、絶縁ゴムパッドを設ける構造も有効である。この場合にも、請求項5に記載の弾性体と同様、上記放熱プレートと基板や電子部品との間隙が該ゴムパッドの弾性変形を通じて吸収されるようになる。そしてこの場合にも、上記放熱プレートと基板や電子部品とが面接触することとなってその密着性が向上されるため、該部分における放熱性も自ずと向上されるようになる。また、こうした絶縁性に優れたゴムパッドを採用することにより、放熱プレートが特に上記基板と筐体との間に設けられる場合には、該基板の表裏面にパターン配線が露出された導電部などがある場合であれ、これら基板の導電部間、あるいはそれら導電部と放熱プレート(筐体)間での電気的な短絡を防止することができるようにもなる。したがってこの場合も、上記放熱プレートを配設するに際しての自由度をより向上することができ、ひいては、部品実装やパターン配線のレイアウト等にかかる自由度についてもこれをさらに向上することができるようになる。
【0036】
また、これら請求項11〜13のいずれかに記載の構造においても、さらに請求項14に記載のように、前記筐体の前記放熱プレートとの当接面に、該放熱プレートの位置決めを補助するための1乃至複数のリブを設けるようにすることで、上記請求項10に準じたガイド機能が実現されるようになる。ちなみにこの場合、上記放熱プレートの脚部は、筐体に設けられた上記リブによって、例えばその弾性変形後の配設位置が規定されるようになる。したがってこの場合も、放熱プレートの位置決めにかかる手間が低減されるとともに、同位置決め精度も高く維持される。
【0037】
なおこの場合も、こうしたリブを筐体内に複数設けるようにすれば、上述同様、電子部品の配置やパターン配線のレイアウトなどが変更されるような場合であれ、それら変更された位置に対して直近の領域にあるリブを選択することにより、高い自由度と高い精度をもって上記放熱プレートを配設することができるようになる。そしてこの場合、こうして筐体に複数のリブが配設されることで、筐体自体の強度の向上も併せて図られるようになる。
【0038】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、本発明にかかる電子制御装置の第1の実施の形態について、図1〜図3を参照して詳細に説明する。
【0039】
この実施の形態にかかる電子制御装置も、基本的には先の図21および図22に例示した電子制御装置と同様、基板に実装された電子部品から発せられる熱を基板を介して筐体に放熱する放熱構造を有している。また、この電子制御装置としては、車両に搭載されて、その原動機等の運転を制御する装置を想定している。
【0040】
はじめに、図1を参照して、この実施の形態にかかる電子制御装置の概略構成について説明する。
同図1に示されるように、この電子制御装置は、大きくは、パワー素子等からなる発熱素子PEや電子部品Eが表面実装された例えばガラスエポキシ材等からなる基板10と、該基板10が内装される筐体としてのケース11およびその蓋12とを備えて構成される。ここで、基板10には、該基板10を上記ケース11に内装するための図示しない開口が形成されている。そして、これらの開口を介してケース11の内底面11aに設けられた基板支持部13にねじ14が螺入されることで、基板10が上記ケース11の内底面11aと所定の距離L1を隔てて固定される。
【0041】
そして、この実施の形態にかかる電子制御装置では、基板10における発熱素子PEの実装面と対向する面、すなわち基板10の実装裏面10aとケース11の内底面11aとの間に、放熱プレート100を介在させる構造を採っている。
【0042】
ここで、この放熱プレート100は、その上記基板10の実装裏面10aに対向する面、すなわち熱伝導面100aに、熱伝導性の弾性体としての複数のばね機構Sを備えている。
【0043】
他方、この放熱プレート100の上記ばね機構Sを含めた全体の高さは、該ばね機構Sが弾性変形していない状態において、上記基板10の実装裏面10aとケース11の内底面11aとの距離L1よりも高くなるように設定されている。これにより、この放熱プレート100は、上記ばね機構Sの弾性変形を通じて、熱伝導面100aと上記基板10の実装裏面10aとが密着された状態で、基板10の実装裏面10aとケース11の内底面11aとの間に固定されるようになる。
【0044】
ところで、上述したように、この種の電子制御装置に採用される電子部品のパワー素子等には、通常、素子内部の接合部温度について絶対最大定格が設定されており、接合部温度が絶対最大定格を超える高温となった場合、素子の誤動作や故障等のおそれがあり、電子制御装置としての信頼性が大きく損なわれるようになる。
【0045】
この点、この実施の形態の電子制御装置にあっては、上述の態様で放熱プレート100を配設することにより、発熱素子PEから発せられる熱が、放熱プレート100を通じて筐体へ放熱されるようになる。すなわち、同図1に白抜きの矢印で示すように、上記熱は、「発熱素子PE→基板10→放熱プレート100→ケース11」といった態様で、確実にケース11へと放熱されるようになる。これにより、発熱素子PEの蓄熱を抑制することができ、ひいては発熱素子PEの誤動作、故障等の発生も抑制することができる。
【0046】
また、こうした放熱構造を実現する放熱プレート100は、ケース11に基板10が内装される以前であれば、基板10の面方向と平行な方向への自在な位置変更が可能であり、該基板10とケース11との間の任意の位置に同放熱プレート100を配設することができる。したがって、この実施の形態によれば、基板10に実装される発熱素子PEの配置やパターン配線のレイアウトなどが変更される場合であれ、それらの変更に合わせて放熱プレート100の配設位置を変更することのみによって、上記放熱構造を簡易且つ確実に実現することができる。
【0047】
次に、図2および図3を併せ参照して、この実施の形態の電子制御装置に使用する上記放熱プレート100の構造(形状)、およびその材質等について詳述する。
【0048】
図2にその平面構造を示すように、上記放熱プレート100は、略四角形状の熱伝導面100aと、複数のばね機構Sと、フランジ100bとを備えて構成されている。上記ばね機構Sは、上記熱伝導面100aの中央部をそれぞれ片持ち支持されるかたちで突出加工した多数の板ばねからなり、該熱伝導面100aの左右方向に均等に形成されている。また、上記フランジ100bは、放熱プレート100と上記ケース11との当接面積を拡大するためのものであり、上記熱伝導面100aを周回する態様にて形成されている。
【0049】
また、図3は、図2のA−A線に沿った断面構造を示している。
同図3からも明らかなように、上記放熱プレート100は、ばね機構Sが形成された熱伝導面100aを底とした有底筒状となっており、筒状に形成される側面の先端縁部に上記フランジ100bが形成されている。ちなみに、放熱プレート100は、先の図1に示されるように、このフランジ100bが上記ケース11の内底面11aに当接するかたちで基板10とケース11との間に配設される。このようにフランジ100bが上記ケース11の内底面11aに当接されて配設されることにより、上記放熱プレート100とケース11(筐体)との当接面積が上述のように拡大されるようになるため、放熱構造としてもより完成度の高いものとなる。
【0050】
なお、こうした放熱構造を備える放熱プレート100としては、その機能上、材料(材質)としてもアルミニウムや銅、鉄などの熱伝導性金属を用いることが望ましい。そしてこの加工を、特にプレス成型にて行う場合には、同材料としても、アルミニウムや銅などの比較的可塑性に優れた材料であることが望ましい。また、振動等による放熱プレート100の位置ずれが懸念される場合には、接着剤等を用いて該放熱プレート100を上記ケース11に固定することなども考えられる。
【0051】
以上説明したように、この第1の実施の形態にかかる電子制御装置によれば、以下に列記するような効果を得ることができる。
(1)この実施の形態では、放熱プレート100を、基板10の実装裏面10aとケース11の内底面11aとの間に介在させることとした。これにより、基板10に蓄積される熱や発熱素子PEから発せられる熱は、上記放熱プレート100を通じてケース11へ放熱されるようになる。また、この実施の形態の放熱プレート100は、基板10の面方向と平行な方向への位置変更が可能であるため、発熱素子PEやパターン配線のレイアウトの変更に合わせてその配設位置を変更することができる。すなわち、こうした変更に際しては、従来のように筐体(ケース11および蓋12)そのものを変更しなくとも、それらの変更に合わせて上記放熱プレート100の配設位置を変更することのみによって、上記放熱構造を簡易且つ確実に実現することができる。したがって、より汎用性に富んだ、しかもより効率のよい放熱構造を実現することができ、ひいては、部品実装やパターン配線のレイアウト等にかかる自由度を大幅に向上することができる。
【0052】
(2)また、この実施の形態では、上記放熱プレート100を、基板10と対向する熱伝導面100aを底とした有底筒状に形成することとした。こうした構造により、上記基板10と対向する熱伝導面100a、並びに該面を底として筒状に形成される側面が、放熱面積を拡大するヒートシンクとしても機能するようになるため、熱抵抗が低減されて、より好適な放熱構造が実現されるようになる。また、上記放熱プレート100の熱伝導面100aに、ばね機構Sを設ける構造としたことで、上記基板10の実装裏面10aと放熱プレート100との間に高い密着性を確保することができ、ひいては、上記熱を該放熱プレート100を通じて効率よくケース11へ放熱することができる。
【0053】
(3)さらに、上記ばね機構Sとして、上記放熱プレート100の熱伝導面100aを突出加工して形成することで、部品点数も最小限とすることができる。
(4)また、この実施の形態では特に、上記放熱プレート100を発熱素子PEの実装面と対向する基板10の実装裏面10aに配設することから、該発熱素子PEから発せられる熱そのものを筐体に放熱することができる。
【0054】
(5)上記放熱プレート100のケース11の内底面11aと当接される縁部にフランジ100bを設けたことで、放熱プレート100とケース11との当接面積が拡大されることから、その放熱効果をさらに向上させることができる。
【0055】
なお、上記第1の実施の形態では、放熱プレート100を発熱素子PEが実装された基板10の実装裏面10aに当接するようにケース11の内底面11aに配設することとした。しかし、この発熱素子PEが基板上の予め定められた範囲内で実装(または変更)される場合等には、予め放熱プレート100の位置決めを補助するためのガイド手段を設けるようにすることが有効である。そうした変形例のいくつかを以下に示す。
【0056】
(変形例1)
図1に例示した形状のケース11に代えて、図4および図5に例示するケース21を用いる。
【0057】
すなわち、図4にその全体の断面構造を模式的に示すように、このケース21も、基本的には先の図1に例示したケース11と同様、その内底面21aに設けられた基板支持部23およびねじ24によって前記基板10を固定する。そして、これらを覆うように蓋22が取り付けられることで、その内部が密閉される。
【0058】
ただし、このケース21の上記内底面21aには、上記ガイド手段として、複数のリブ21bが形成されている。このリブ21bは、その高さが、上記放熱プレート100のフランジ100bの厚さよりも若干高く設定されている。これにより、上記放熱プレート100は、そのフランジ100bの縁部が上記リブ21bに当接されることでその配設位置が規定されるようになる。すなわち、上記リブ21bを指標として、放熱プレート100をケース21内に配設することができることから、該放熱プレート100の配設にかかる手間を格段に低減することができるようになる。
【0059】
次に、図5を参照して、ケース21内における上記リブ21bの配設態様について詳述する。なお、この図5は、図4のA−A線に沿った断面図に相当する。
図5に示されるように、この変形例にかかるケース21の内底面21aには、それぞれピッチP1およびピッチP2を隔てて上記リブ21bが縦横に(格子状に)形成されている。そしてこの例では、それらリブ21bによって区画される領域の各辺の長さが、上記放熱プレート100の最外周の各辺の長さと同等、もしくは若干長めとなるようにそれら領域の寸法を設定している。これにより、上記放熱プレート100は、リブ21bによって区画される領域のうち、基板10の発熱素子PEの実装位置に対して直近の領域にあるリブ21bに上記フランジ100bの縁部を当接させるかたちで、ケース21内に載置されることとなる。
【0060】
このためこの例では、図4に二点鎖線で示すように、発熱素子PEの実装位置が変更される場合であれ、この変更された発熱素子PE’の実装位置に合わせて、放熱プレート100の載置(配設)位置を変更することができる。すなわち、同図4あるいは図5に同じく二点鎖線で示すように、発熱素子PE’の実装位置に対して直近の領域にあるリブ21bを選択し、該選択したリブ21bに放熱プレート100を当接させることで、簡易且つ的確に放熱プレート100の配置を変更することができる。このように、この変形例によれば、発熱素子PEやパターン配線のレイアウトが変更される場合であれ、放熱プレート100の配設にかかる自由度を確保しつつ、その配設精度を高く維持することができるようになる。
【0061】
なお、この変形例では、リブ21bによって区画される領域の各辺の長さを、上記放熱プレート100の最外周の各辺の長さと同等、もしくは若干長めとなるように設定したが、それら設定は任意である。要は、リブ21bに上記放熱プレート100の少なくとも一部が当接される態様であれば、同放熱プレート100の位置決めのためのガイドを行うことはできる。
【0062】
また、この変形例では、上記リブ21bを格子状に配設したが、このリブ21bの配設態様は放熱プレートの形状に合わせて適宜変更することができる。ちなみに、放熱プレートが例えば略六角形状である場合などには、リブ21bについてもこれを六角柱形状(ハニカム状)とすることが、放熱プレートの配置変更効率を維持する上で有効である。いずれにしろ、リブ21bがこのように複数設けられる場合には、筐体であるケース21自体の強度の向上も併せて図られるようになる。
【0063】
(変形例2)
また、上記ガイド手段について、図6〜図8に例示する態様での実現も有効である。ちなみにこの例では、図1に例示したケース11に代えて、図6および図8に例示するケース31を用い、放熱プレートについても、図1〜図3に例示した放熱プレート100に代えて、図6〜図8に例示する放熱プレート110を用いる。
【0064】
図6にその全体の断面構造を模式的に示すように、この例において、ケース31の内底面31aには、前記基板10の面方向に突出する凸部31bが形成されており、この凸部31bに位置決めされるかたちで、放熱プレート110が基板10とケース31の内底面31aとの間に配設されている。
【0065】
次に、図7および図8を併せ参照して、上記放熱プレート110および該放熱プレート110の配設態様について詳述する。図7は、放熱プレート110の平面構造を示しており、図8は、図6のA−A線に沿った断面構造を示している。
【0066】
まず、図7に示すように、放熱プレート110も、基本的には先の図2に示した放熱プレート100と同様、略四角形状の熱伝導面110aと、複数のばね機構Sと、フランジ110bとを備えて構成されている。ただし、この放熱プレート110は、そのフランジ110bの4隅に、該放熱プレート110を上記ケース31に載置する際に上記凸部31bと係合される切り欠きCを備えている。
【0067】
他方、上記ケース31の内底面31aには、図8に示す態様で、ピッチP3およびピッチP4を隔てて凸部31bが格子点状に形成されている。
これにより、上記放熱プレート110は、基板10に実装された発熱素子PEに対して直近の領域にある凸部31bに上記フランジ110bに形成されている切り欠きCを係合させるかたちで、ケース31内に載置されることとなる。すなわち、放熱プレート110は、上記ケース31の凸部31bと、フランジ110bに設けられた切り欠きCとの協働のもとにその配設位置が規定(ガイド)されるようになる。
【0068】
そしてこの例にあっても、図6に二点鎖線で示すように、発熱素子PEの実装位置が変更される場合であれ、この変更された発熱素子PE’の実装位置に合わせて、放熱プレート110の載置(配設)を変更することができる。すなわちこの場合、図6あるいは図8に同じく二点鎖線で示すように、発熱素子PE’の実装位置に対して直近の領域にある凸部31bに上記放熱プレート110の切り欠きCを係合させることとなる。したがってこの場合も、該放熱プレート110の上記ケース31内での位置決めを自由に、しかも的確に行うことができるようになる。
【0069】
なお、この変形例では、上記ケース31の内底面31aに格子点状に凸部31bを形成したが、これら凸部31bの形成態様も、放熱プレートの外形形状に応じて任意に設定することができる。また、放熱プレート110側に形成するガイド手段の形状も任意であり、上記切り欠きCに限らず、例えば上記凸部31bの形状に応じた凹形状とすることもできる。
【0070】
また、ケース31側にしろ、あるいは放熱プレート110側にしろ、上記ガイド手段の形成位置やその数もまた適宜に変更することができる。例えば、上記格子を形成する領域の対角部のみにガイド手段を構成する凸部31bや切り欠きC等を備える構造であってもよい。
【0071】
(変形例3)
また、上記変形例2においてガイド手段を構成する凸部と切り欠きもしくは凹部との関係は逆であってもよい。すなわち、ケース側に凹部を設けるとともに、放熱プレート側に凸部を設けるようにしても上記と同様の効果を得ることはできる。
【0072】
すなわちこの場合、図6および図8に例示したケース31に代えて、図9および図11に例示するケース41を用い、放熱プレートについても、図6〜図8に例示した放熱プレート110に代えて、図9〜11に例示する放熱プレート120を用いる。
【0073】
より具体的には、図9に断面構造を模式的に示すように、ケース41には、内装された基板10の面方向と離間する方向に突出する凹部41bが形成されるとともに、この凹部41bと係合する凸部Tが形成された放熱プレート120が、基板10とケース41の内底面41aとの間に配設される。このような構造を有する電子制御装置にあっても、放熱プレート120をケース41内に的確且つ簡便に配設することができるようになることから、それらの配設にかかる手間を格段に低減することができるようになる。
【0074】
ここで、図10および図11を併せ参照して、上記放熱プレート120とその配設態様について詳述する。
図10(a)にその平面構造を示すように、放熱プレート120も、略四角形状の熱伝導面120aと、複数のばね機構Sと、フランジ120bとを備えて構成される。そしてこの放熱プレート120のフランジ120bには特に、その対角部に、該放熱プレート120を上記ケース41に装着する際にその上記凹部41bと係合される2つの凸部Tが設けられている。図10(b)は、このような放熱プレート120の図10(a)に対応する側面図である。
【0075】
他方、上記ケース41の内底面41aには、図11に示すように、ピッチP5およびピッチP6を隔てて上記凹部41bが格子点状に形成されている。これにより、放熱プレート120は、基板10に実装された発熱素子PEに対して直近の領域にある凹部41bに上記フランジ120bに形成されている凸部Tを係合させるかたちで、ケース41内に載置されることとなる。すなわち、放熱プレート120は、上記ケース41の凹部41bと、そのフランジ120bの対角部に設けられた上記凸部Tとの協働のもとに、その配設位置が規定(ガイド)されるようになる。
【0076】
そしてこの例にあっても、図9に二点鎖線で示すように発熱素子PEの実装位置等が変更される場合であれ、この変更された発熱素子PE’の実装位置に合わせて、放熱プレート120の載置(配設)位置を変更することができる。すなわちこの場合も、図9あるいは図11に同じく二点鎖線で示すように、放熱プレート120を発熱素子PE’の実装位置に対して直近の領域にある凹部41bに係合される位置に変更することで、その配設位置が規定されるようになる。このため、この変形例においても、配設にかかる自由度を確保しつつ、同配設精度を高く維持することができるようになる。
【0077】
なお、この変形例では、ケース41の内底面41aに格子状に凹部41bを形成したが、これら凹部41bの形成態様も、上記放熱プレート120の外形形状に応じて任意に設定することができる。また、上記放熱プレート120の凸部Tの形成位置やその数もまた適宜に変更することができる。要は、ケース41に設けられた凹部41bと協働して放熱プレート120自身の載置(配設)位置をガイドすることができる構造であればよい。
【0078】
(第2の実施の形態)
次に、図12〜図14を参照して、本発明にかかる電子制御装置の第2の実施の形態について説明する。なお、これら図12〜図14において、先の図1〜図3に示した第1の実施の形態の要素と同一の要素については同一の符号を付して示しており、それら要素についての重複する説明は割愛する。
【0079】
図12に示されるように、この実施の形態にかかる電子制御装置も、基本的には先に例示した電子制御装置と同様、基板10に実装された発熱素子PEなどから発せられる熱を、放熱プレート200を介して、ケース11に放熱する放熱構造を有している。
【0080】
すなわち、同図12に示されるように、この電子制御装置も、大きくは、パワー素子等からなる発熱素子PEや電子部品Eが表面実装された例えばガラスエポキシ材等からなる基板10と、該基板10が内装される筐体としてのケース11およびその蓋12とを備えて構成されている。
【0081】
そして、この実施の形態においても、基板10における発熱素子PE実装面と対向する面、すなわち基板10の実装裏面10aとケース11の内底面11aとの間には、基板10に蓄えられた熱をケース11に放熱する放熱プレート200が、該基板10の面方向と平行な方向への位置変更が可能な態様で介在されている。
【0082】
ここで、この第2の実施の形態では、放熱プレート200として、前記ばね機構Sに代えて、その熱伝導面200aに弾性並びに熱伝導性に優れた絶縁ゴムパッド210が装着されたものを使用するようにしている。そして、この絶縁ゴムパッド210を含む放熱プレート200全体の高さは、該絶縁ゴムパッド210が弾性変形していない状態において、記基板10の実装裏面10aとケース11の内底面11aとの距離L1よりも高くなるように設定されている。これにより、放熱プレート200は、上記基板10の実装裏面10aとケース11の内底面11aとの間に、上記絶縁ゴムパッド210の弾性変形を通じて圧接されるかたちで配設されるようになる。またこのように、絶縁ゴムパッド210が上記基板10の実装裏面10aと熱伝導面200aとの間にて弾性変形することにより、放熱プレート200と基板10の実装裏面10aとの間により広い当接面積を確保することができるようにもなる。
【0083】
こうした構造を有する第2の実施の形態の電子制御装置によれば、発熱素子PEから発せられる熱は、同図12に白抜きの矢印にて示すように、「発熱素子PE→基板10→絶縁ゴムパッド210→放熱プレート200→ケース11」といった経路を経て放熱されるようになる。したがって、この実施の形態においても、発熱素子PEの蓄熱を抑制することができ、ひいては発熱素子PEの誤動作、故障等の発生も抑制することができる。
【0084】
また、こうした放熱構造を実現する放熱プレート200も、ケース11に基板10が内装される以前であれば、基板10の面方向と平行な方向への自在な位置変更が可能であり、該基板10とケース11との間の任意の位置に同放熱プレート200を配設することができる。したがって、この実施の形態によっても、基板10に実装される発熱素子PEの配置やパターン配線のレイアウトなどが変更される場合であれ、それらの変更に合わせて放熱プレート200の配設位置を変更することのみによって、上記放熱構造を簡易且つ確実に実現することができるようになる。
【0085】
また、特にこの実施の形態の場合、上記基板10と放熱プレート200との間に絶縁ゴムパッド210を介在させる構造とした。これにより、基板10の表裏面にパターン配線が露出された導電部などがある場合であれ、それら基板10の導電部間、あるいはそれら導電部と放熱プレート200(ケース11)間での電気的な短絡を防止することもできる。
【0086】
次に、図13および図14を併せ参照して、この実施の形態の電子制御装置に採用されている上記放熱プレート200の構造(形状)について詳述する。
図13に、その平面構造が示されるように、放熱プレート200は、略四角形状の熱伝導面200aを周回するかたちでフランジ200bが形成されている。そして、上記熱伝導面200aには、同図13に破線で示すように、孔200cが形成されており、該孔200cを通じて上記絶縁ゴムパッド210が固定されるようになっている。
【0087】
ここで、図13のA−A線に沿った断面図として図14に示すように、上記放熱プレート200も、上記孔200cを有する熱伝導面200aを底とした有底筒状となっており、その縁部には、上述の態様でフランジ200bが形成されている。また、同図14に示すように、上記絶縁ゴムパッド210には、上記熱伝導面200aの孔200cの形状に対応した突起210aが形成されており、この突起210aが、上記放熱プレート200の孔200cに嵌合されることにより、絶縁ゴムパッド210が放熱プレート200に固定されるようになる。
【0088】
以上説明したように、この実施の形態によっても、先の第1の実施の形態の前記(1)、(2)、(4)、および(5)の効果に準じた効果を得ることができるようになる。
【0089】
また、特にこの第2の実施の形態では、基板10と放熱プレート200の熱伝導面200aとの間に絶縁ゴムパッド210を介在させたことで、それらの間により広い当接面積を確保することができ、放熱性能のさらなる向上が期待できるようにもなる。さらに、このような態様で絶縁ゴムパッド210を介在させたことで、基板10内での、あるいは基板10と放熱プレート200(ケース11)との間での電気的な短絡なども防止される。このため、上記放熱プレート200を配設するにあたっての自由度がより高められるようになり、ひいては、部品実装やパターン配線のレイアウト等にかかる自由度もさらに向上されるようになる。
【0090】
なお、この第2の実施の形態にかかる電子制御装置に関しても、先の第1の実施の形態について補足した前記変形例1〜3については、それらを全て適用することができるとともに、それら変形例特有の効果についても、これを併せて得ることができるようになる。
【0091】
(第3の実施の形態)
次に、この発明にかかる電子制御装置の第3の実施の形態について、先の第1および第2の実施の形態と異なる点を中心に、図15〜図17を参照して詳細に説明する。なお、これら図15〜図17においても、先の第1あるいは第2の実施の形態の要素と同一の要素については同一の符号を付して示しており、それら要素についての重複する説明は割愛する。
【0092】
図15に示されるように、この実施の形態にかかる電子制御装置も、基本的には先に例示した電子制御装置と同様、基板10の面方向と平行な方向への位置変更が可能に介在された放熱プレート300を通じて、発熱素子PEから発せられる熱をケース11に放熱する。
【0093】
ただし、この第3の実施の形態にて採用される上記放熱プレート300は、前記基板10と対向する熱伝導面300aの裏面に補強リブ300bを備えるとともに、該裏面の両側から同裏面側に略「ハ」の字状に延設されて板ばねとして機能する脚部300cを備えた構造となっている。そして、この脚部300cの先端縁部には、上記脚部300cの弾性変形を補助する平滑部300dが形成されている。
【0094】
ここで、この平滑部300dを含む放熱プレート300全体の高さは、脚部300cが弾性変形していない状態において、基板10の実装裏面10aとケース11の内底面11aとの距離L1よりも高くなるように設定されている。これにより、この放熱プレート300は、その取り付けに際して、上記脚部300cの弾性変形を通じて、基板10の実装裏面10aとケース11の内底面11aとに圧接されるかたちで配設されるようになる。すなわち、基板10の実装裏面10aとケース11の内底面11aとの間に放熱プレート300を介在させることで、それらの密着性が確保されるようになっている。
【0095】
また、この放熱プレート300の材料(材質)としても、その機能上、例えばアルミニウムや銅、鉄等の熱伝導性に優れた材料(材質)であることが望ましい。そしてその加工についてもこれをプレス成型によって行うようにすれば、こうした構造を比較的容易に実現することができる。また前述のように、振動等による放熱プレート300の位置ずれが懸念される場合には、この放熱プレート300を基板10の実装裏面10aに接着剤等によって固定することも考えられる。
【0096】
いずれにしろ、このような態様をもって上記基板10の実装裏面10aとケース11の内底面11aとを密着させることにより、発熱素子PEから発せられる熱は、同図15に白抜きの矢印にて示すように、「発熱素子PE→基板10→放熱プレート300→ケース11」といった経路を経て放熱されるようになる。したがって、この実施の形態においても、発熱素子PEの蓄熱を抑制することができ、ひいては発熱素子PEの誤動作、故障等の発生も抑制することができる。
【0097】
また、こうした放熱構造を実現する放熱プレート300も、ケース11に基板10が内装される以前であれば、基板10の面方向と平行な方向への自在な位置変更が可能であり、該基板10とケース11との間の任意の位置に同放熱プレート300を配設することができる。したがって、この実施の形態によっても、基板10に実装される発熱素子PEの配置やパターン配線のレイアウトなどが変更される場合であれ、それらの変更に合わせて放熱プレート300の配設位置を変更することのみによって、上記放熱構造を簡易且つ確実に実現することができる。すなわち、これらの変更に際して、従来のように、筐体であるケース11や蓋12そのものを変更しなくとも、その放熱経路を簡易且つ確実に確保することができる。
【0098】
次に、図16および図17を併せ参照して、この実施の形態の電子制御装置に採用されている上記放熱プレート300の構造(形状)について詳述する。
図16にその平面構造を示すように、上記放熱プレート300は、略四角形状の熱伝導面300aを有しており、その裏面には、3本の補強リブ300bがそれぞれ平行に形成されている。そして、熱伝導面300aの補強リブ300bが延伸された側の両端には、板ばねとして機能する上記脚部300cが形成されており、さらにこの脚部300cの先端縁部には上記平滑部300dが形成されている。
【0099】
ここで、図16のA−A線に沿った断面図である図17(a)に示されるように、上記脚部300cは、熱伝導面300aに略「ハ」の字状に延設されており、その先端に断面略半円状の平滑部300dが形成されている。この平滑部300dは、ケース11の内底面11aとの間でいわゆる滑りを生じさせることによって上記脚部300cの該内底面11a上での摺動を促進する機能を有している。これにより、図17(b)に示されるように、上記熱伝導面300aに垂直方向の荷重Fが加えられた場合には、この荷重Fに応じて、上記脚部300cの水平方向に拡がるかたちでの弾性変形が促進されるようになる。またこのとき、上記熱伝導面300aには、その裏面に補強リブ300bが形成されていることから、こうした荷重Fが加えられる場合であっても、熱伝導面300a自体の撓みが抑制されて、上記密着された状態を維持することができるようになる。
【0100】
以上説明したように、この第3の実施の形態にかかる電子制御装置によれば、以下のような効果が得られるようになる。
(1)この実施の形態では、上記放熱プレート300を、基板10の実装裏面10aとケース11の内底面11aとの間に基板10の面方向と平行な方向への位置変更が可能に介在させるようにした。そのため、発熱素子PEやパターン配線のレイアウトが変更される場合であれ、従来のように筐体そのものの変更を不要として、発熱素子PEから発せられる熱を確実にケース11に放熱することができる。
【0101】
(2)上記放熱プレート300を、基板10と対向する熱伝導面300aの裏面に補強リブ300bを備えるとともに、該裏面の両側から同裏面側に略「ハ」の字状に延設されて板ばねとして機能する脚部300cを備える構造とした。これにより、上記放熱プレート300は、脚部300cの弾性変形を通じて、基板10の実装裏面10aとケース11の内底面11aとに圧接されるかたちで配設されるようになることから、それらの密着性を確保することができるようになる。またこのとき、上記熱伝導面300aの裏面に補強リブ300bを配設したことにより、放熱プレート300が弾性変形する場合であっても、その撓みが抑制されて、上記密着された状態を維持することができる。
【0102】
(3)また、この実施の形態では、上記脚部300cの先端縁部に平滑部300dを配設したことで、上記脚部300cの上記ケース11の内底面11aにて水平方向に拡がるかたちでの弾性変形を好適に促進することができるようになる。
【0103】
(4)また、この実施の形態においても、上記放熱プレート300を、基板10における発熱素子PE実装面と対向する実装裏面10aに配設することから、発熱素子PEから発せられる熱そのものを筐体に放熱することが可能となる。
【0104】
なお、この第3の実施の形態にかかる電子制御装置に関しては、先の第1の実施の形態について補足した前記変形例1を適用することが可能であり、この変形例1特有の効果についても、これを併せて得ることができるようになる。ちなみにこの場合には、先の図4および図5に示したリブ21bの配設間隔、すなわちピッチP1およびピッチP2のいずれか一方を、上記脚部300cの弾性変形後の開脚幅を見込んで、予め長めに設定しておくこととなる。
【0105】
(第4の実施の形態)
次に、この発明にかかる電子制御装置の第4の実施の形態について、先の第3の実施の形態と異なる点を中心に、図18〜図20を参照して詳細に説明する。なお、これら図18〜図20においても、先の図15〜図17に示した第3の実施の形態の要素と同一若しくは対応する要素についてはそれぞれ同一若しくは対応する符号を付して示しており、それら要素についての重複する説明は割愛する。
【0106】
図18に示されるように、この実施の形態にかかる電子制御装置も、基本的には先に例示した電子制御装置と同様、基板10の面方向と平行な方向への位置変更が可能に介在された放熱プレート400を通じて、発熱素子PEから発せられる熱をケース11に放熱する。そして、上記放熱プレート400も、前記基板10と対向する熱伝導面400aの裏面に補強リブ400bを備えるとともに、該裏面の両側から同裏面側に略「ハ」の字状に延設されて板ばねとして機能する脚部400cを備えた構造となっている。またこの脚部400cの先端縁部にも、上記脚部400cの弾性変形を補助する平滑部400dが形成されている。
【0107】
ここで、上記金属からなる放熱プレートを特に基板10とケース11との間に配設する場合、基板10の実装裏面10aにパターン配線が露出された導電部などがあると、これら基板10の導電部間、あるいはそれら導電部と放熱プレート400(ケース11)との間で電気的な短絡を引き起こす可能性がある。
【0108】
そこで、この第4の実施の形態では、放熱プレート400として、その熱伝導面400aに弾性並びに熱伝導性に優れた絶縁ゴムパッド410が装着されたものを使用するようにしている。すなわち、上記基板10と放熱プレート400との間に絶縁ゴムパッド410を介在させることで、これらの絶縁性を確保することができる。これにより、放熱プレート400を配設するに際しての自由度をより向上させることができ、ひいては部品実装や配線のレイアウト等にかかる自由度についてもさらに向上させることができるようになる。
【0109】
なお、この実施の形態によっても、発熱素子PEから発せられる熱は、同図18に白抜きの矢印にて示すように、「発熱素子PE→基板10→絶縁ゴムパッド410→放熱プレート400→ケース11」といった経路を経て放熱されるようになる。こうした放熱構造により、発熱素子PEの蓄熱を抑制することができ、ひいては発熱素子PEの誤動作、故障等の発生も抑制することができる。
【0110】
また、こうした放熱構造を実現する放熱プレート400も、ケース11に基板10が内装される以前であれば、基板10の面方向と平行な方向への自在な位置変更が可能であり、該基板10とケース11との間の任意の位置に同放熱プレート400を配設することができる。したがって、この実施の形態によっても、基板10に実装される発熱素子PEの配置やパターン配線のレイアウトなどが変更される場合であれ、それらの変更に合わせて放熱プレート400の配設位置を変更することのみによって、上記放熱構造を簡易且つ確実に実現することができる。
【0111】
また、この第4の実施の形態では、上述のように、放熱プレート400の熱伝導面400aに上記絶縁ゴムパッド410を備える構造としたことで、基板10の実装裏面10aとの密着性も高められることとなり、その放熱性能のさらなる向上が期待される。
【0112】
次に、図19および図20を併せ参照して、この実施の形態の電子制御装置に採用されている放熱プレート400の構造(形状)についてさらに詳述する。
図19にその平面構造を示すように、上記放熱プレート400は、略四角形状の熱伝導面400aを有しており、その裏面には、同図に破線で示すように3本の補強リブ400bがそれぞれ平行に形成されている。そして、熱伝導面400aの補強リブ400bが延伸された側の両端には、板ばねとして機能する上記脚部400cが形成されており、さらにこの脚部400cの先端縁部には平滑部400dが形成されている。また、上記熱伝導面400aの上面には、絶縁ゴムパッド410が配設されている。この絶縁ゴムパッド410は、上記熱伝導面400aに形成されている孔400eを通じて該熱伝導面400aに固定されるようになる。
【0113】
ここで、図19のA−A線に沿った断面図として図20に示されるように、上記脚部400cは、熱伝導面400aに略「ハ」の字状に延設されており、その先端に断面略半円状の平滑部400dが形成されている。この平滑部400dも前述したように、ケース11の内底面11aとの間で滑りを生じさせることによって上記脚部400cの該内底面11a上での摺動を促進する。
【0114】
また、同じく図20に示されるように、上記絶縁ゴムパッド410には、上記熱伝導面400aの孔400eの形状に対応した突起410aが形成されている。そして、この突起410aが、上記放熱プレート400の孔400eに嵌合されることにより、上記絶縁ゴムパッド410が放熱プレート400に固定される。
【0115】
以上説明したように、この第4の実施の形態によっても、先の第3の実施の形態の前記(1)〜(4)の効果に準じた効果を得ることができるようになる。
また、特にこの第4の実施の形態では、基板10と放熱プレート400との間に絶縁ゴムパッド410を介在させる構造としたことにより、基板10内での、あるいは基板10と放熱プレート400(ケース11)との間での電気的な短絡なども防止される。このため、上記放熱プレート400を配設するに際しての自由度がより高められるようになり、ひいては部品実装やパターン配線のレイアウト等にかかる自由度もさらに向上されるようになる。さらに、この第4の実施の形態では、絶縁ゴムパッド410によって、基板10の実装裏面10aと放熱プレート400の熱伝導面400aとの密着性も高められるようになり、放熱性能のさらなる向上も期待できる。
【0116】
なお、この第4の実施の形態にかかる電子制御装置に関しても、先の第1の実施の形態について補足した前記変形例1を適用することが可能であり、この変形例1特有の効果についても、これを併せて得ることができるようになる。そしてこの場合にも、先の図4および図5に示したリブ21bの配設間隔、すなわちピッチP1およびピッチP2のいずれか一方を、上記脚部400cの弾性変形後の開脚幅を見込んで予め長めに設定しておくこととなる。
【0117】
(他の実施の形態)
なお、以上説明した各実施の形態は、例えば次のように変形して実施することもできる。
【0118】
・上記第1の実施の形態では、放熱プレート100の熱伝導面100aに突出加工したばね機構Sを設けるようにした。しかし、ばね機構Sはこうした態様に限らず、例えば適宜のばね機構を別途、上記熱伝導面100aに装着するようにしてもよい。要は、弾性変形を通じて基板10の実装裏面10aとケース11の内底面11aとを密着させることができるものであれば、適宜採用することができる。
【0119】
・上記第1および第2の実施の形態では、放熱プレート(100、200)に設けられたフランジ(100b、200b)とケース11の内底面11aとを当接させる構造としたが、放熱プレート(100、200)のケース11への取り付け態様はこれに限らず適宜に変更してもよい。すなわち、放熱プレート(100、200)に必ずしも上記フランジ(100b、200b)を形成しなくとも、上記放熱構造を実現することは可能である。
【0120】
・上記第3および第4の実施の形態では、放熱プレート(300、400)のの脚部(300c、400c)の先端縁部に断面略半円状の平滑部(300d、400d)を設ける構造とした。しかし、こうした平滑部(300d、400d)は、上記脚部(300c、400c)の筐体内での水平方向への弾性変形を促進することができる形状であれば、適宜に変更してもよい。
【0121】
・一方、上記平滑部(300d、400d)に代えて、上記放熱プレート(300、400)の脚部(300c、400c)の先端縁部にフランジを形成する構造としてもよい。ちなみにこの場合、上記フランジは、上記脚部(300c、400c)の弾性変形後にケース11の内底面11aに密着されるようにその配設角度が調整されることが望ましい。
【0122】
・他方、上記放熱プレート(300、400)において、上記脚部(300c、400c)としての弾性変形が十分に維持される場合には、上記平滑部(300d、400d)の配設を割愛した構造とすることもできる。
【0123】
・上記各実施の形態では、放熱プレートの形状として、有底筒状の放熱プレート(100、110、120、200)や、脚部を有する放熱プレート(300、400)を採用した。しかし、こうした放熱プレートの形状はこれに限ることなく、適宜変更することができる。要は、基板10の実装裏面10aとケース11の内底面11aとの間に、基板10の面方向と平行な方向への位置変更が可能に介在される態様であれば、上記放熱構造を実現することは可能である。
【0124】
・上記各実施の形態では、筐体を構成するケース内に基板10が内装される構造の電子制御装置を例に説明した。しかし、この発明にかかる電子制御装置は、これに限らず、例えば先の図22に例示したような基板から筐体に直接放熱する構造を備えた電子制御装置などにも適用することができる。
【0125】
・また、上記各実施の形態では、説明の便宜上、放熱プレートの熱伝導面の形状を略四角形状としたが、この熱伝導面の形状は所望する放熱構造に応じて適宜変更して実施することができる。なおこの場合には、先の変形例1〜3として例示したガイド手段に関しても、それらの変更に応じてその配設態様を決定することが望ましい。
【0126】
・上記実施の形態では、放熱プレートを基板10の実装裏面10aとケース11の内底面11aとの間に配設する場合について説明したが、この放熱プレートは、発熱素子PEと筐体(ケース11または蓋12)との間に配設するようにしてもよい。この場合であっても、発熱素子PEから発せられる熱を直接筐体に放熱することができるようになるため、発熱素子PEの蓄熱を抑制することができ、ひいては発熱素子PEの誤動作、故障等の発生も抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかる電子制御装置の第1の実施の形態について、その全体の断面構造を模式的に示す断面図。
【図2】同第1の実施の形態に用いられる放熱プレートの平面構造を示す平面図。
【図3】図2のA−A線に沿った断面図。
【図4】上記電子制御装置の変形例1について、その全体の断面構造を模式的に示す断面図。
【図5】図4のA−A線に沿った断面図。
【図6】上記電子制御装置の変形例2について、その全体の断面構造を模式的に示す断面図。
【図7】同変形例2に用いられる放熱プレートの平面構造を示す平面図。
【図8】図6のA−A線に沿った断面図。
【図9】上記電子制御装置の変形例3について、その全体の断面構造を模式的に示す断面図。
【図10】(a)は、同変形例3に用いられる放熱プレートの平面構造を示す平面図。(b)は、同放熱プレートの側面構造を示す側面図。
【図11】図9のA−A線に沿った断面図。
【図12】この発明にかかる電子制御装置の第2の実施の形態について、その全体の断面構造を模式的に示す断面図。
【図13】同第2の実施の形態に用いられる放熱プレートの平面構造を示す平面図。
【図14】図13のA−A線に沿った断面図。
【図15】この発明にかかる電子制御装置の第3の実施の形態について、その全体の断面構造を模式的に示す断面図。
【図16】同第3の実施の形態に用いられる放熱プレートの平面構造を示す平面図。
【図17】(a)は、図16のA−A線に沿った断面図。(b)は、同放熱プレートの作動態様を示す側面図。
【図18】この発明にかかる電子制御装置の第4の実施の形態について、その全体の断面構造を模式的に示す断面図。
【図19】同第4の実施の形態に用いられる放熱プレートの平面構造を示す平面図。
【図20】図19のA−A線に沿った断面図。
【図21】従来の電子制御装置の放熱構造の一例を模式的に示す断面図。
【図22】従来の電子制御装置の放熱構造の一例を模式的に示す断面図。
【符号の説明】
10…基板、10a…実装裏面、11、21、31、41…ケース、11a、21a、31a、41a…内底面、12、22、32、42…蓋、21b…リブ、31b…凸部、41b…凹部、13、23、33、43…基板支持部、14、24、34、44…ねじ、100、110、120、200、300、400…放熱プレート、100a、110a、120a、200a、300a、400a…熱伝導面、100b、110b、120b、200b、…フランジ、210、410…絶縁ゴムパッド、200c…孔、300b、400b…補強リブ、300c、400c…脚部、300d、400d…平滑部、400e…孔、210a、410a…突起、C…切り欠き、S…ばね機構、T…凸部。
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種電子部品が実装された基板を有して構成される電子制御装置に関し、特にその放熱構造の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、上記基板に実装される電子部品には、その駆動に伴って発熱する部品も少なくなく、上記電子制御装置としての信頼性を維持する上でも、その放熱対策は重要である。
【0003】
特に、この種の電子制御装置に採用される電子部品のパワー素子等には、通常、素子内部の接合部温度について絶対最大定格が設定されており、接合部温度が絶対最大定格を超える高温となった場合、素子の誤動作や故障等のおそれがあり、電子制御装置としての信頼性が大きく損なわれるようになる。
【0004】
そこで従来は、こうして基板に蓄積される熱や、発熱素子から発せられる熱を電子制御装置自身の筐体等に放熱する放熱構造を備えることによって、該電子制御装置としての信頼性の維持を図るようにしている。図21に、こうした放熱構造を備える電子制御装置について、その一例を示す。
【0005】
図21に例示する電子制御装置は、基本的には、パワー素子等の発熱素子PEや各種の電子部品Eが表面実装されている基板(回路基板)10と、この基板10が内装されるケース50およびその蓋51からなる筐体とを備えて構成されている。上記ケース50には、その内底面50aと所定の間隔Lを隔てた状態にて、上記基板10が内装されるとともに、これらを覆うように蓋51が取り付けられて、その内部が密閉されるようになっている。
【0006】
ここで、上記ケース50の内底面50aのうち、上記発熱素子PEと対向する位置には、上記基板10とケース50との間隔Lを部分的に短縮するとともに、放熱面積を拡大するヒートシンクとしても機能する凸部50bが形成されている。そして、この凸部50bと上記基板10との間には、例えばシリコン材をベースとしたグリース・ゲル・シートなどの弾性を有する熱伝導材52が介在されて、それらの間隙が該熱伝導材52の弾性変形を通じて吸収されるようになっている。
【0007】
このような態様をもって基板10(発熱素子PE)とケース50とを密着させることにより、発熱素子PEから発せられた熱は、同図21に白抜きの矢印にて示すように、「発熱素子PE→基板10→熱伝導材52→凸部50b→ケース50」といった経路を経て放熱されるようになる。
【0008】
また従来は、基板から筐体に直接放熱する構造を備えた電子制御装置も知られている。
この電子制御装置は、例えば図22に示されるように、筐体を構成する上部ケース61および下部ケース62に、それぞれフランジ61aおよび62aが形成されており、これらフランジ61aおよび62aによって端部が固定されるかたちで上記基板10が装着される。そして、特に下部ケース62のフランジ62aは、上部ケース61のフランジ61aに比べて、基板10の内側に延伸したかたちで形成されており、このフランジ62aに当接する基板10の上面に、上記発熱素子PEが配設される構造となっている。こうした構造により、この電子制御装置では、発熱素子PEから発せられた熱は、同図22に白抜きの矢印にて示すように、「発熱素子PE→基板10→フランジ62a→下部ケース62」といった経路を経て放熱されるようになる。
【0009】
【特許文献1】
特開平2001−160608号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで近年、こうした放熱構造を有する電子制御装置にあっては、さらなる多機能化やノイズ対策等のニーズに応えるべく、上記発熱素子を含む電子部品の配置やパターン配線のレイアウトなどが変更されることも少なくない。
【0011】
しかしながら、先の図21に例示した電子制御装置の場合、上記凸部50bがケース50自体に対するプレス加工等によって該ケース50と一体に形成されていることから、こうした変更に際しては、ケース50そのものを変更する必要が生じる。また、こうした問題を解消すべく、上記凸部50bを設けることなく、ケース50そのものを嵩上げして上記基板10との間隔Lを短縮することも考えられるが、この場合、基板10に表面実装する発熱素子PEやその他の電子部品Eの高さが制約されることともなり、別の意味でその自由度が妨げられるようになる。
【0012】
他方、先の図22に例示した電子制御装置の場合も、その放熱構造により、自ずと発熱素子PEの配設位置が特定されることとなり、やはり電子部品の配置変更やパターン配線のレイアウト変更には対応しにくい構造となっている。
【0013】
なお従来、例えば特許文献1にみられるように、筐体に放熱板を一体に形成し、この放熱板を基板に組み付けることによって、該基板上に実装された発熱素子にこの放熱板を当接させるようにした放熱構造なども提案されている。しかし、このような放熱構造であれ、上記電子部品の配置変更やパターン配線のレイアウト変更に際しては、筐体そのものの形状変更が避けられない。
【0014】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、高い放熱効果を維持しながらも、部品実装等にかかる自由度を大幅に向上することのできる汎用性の高い電子制御装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
こうした目的を達成するため、請求項1に記載の電子制御装置では、各種の電子部品が実装された基板と、該基板が内装される筐体とを有して構成される電子制御装置として、前記基板および該基板に実装された電子部品の少なくとも一方と前記筐体との間に前記基板の面方向と平行な方向への位置変更が可能に介在されて、前記基板に蓄積される熱および該基板に実装された電子部品から発せられる熱の少なくとも一方を前記筐体に放熱する放熱プレートを備える構造とする。
【0016】
上記構造によれば、基板および該基板に実装された電子部品の少なくとも一方と筐体との間に介在される放熱プレートにより、基板に蓄積された熱および該基板に実装された電子部品から発せられる熱の少なくとも一方が、該放熱プレートを通じて筐体へ放熱される構造となる。また、上記放熱プレートは、前記基板および該基板に実装された電子部品の少なくとも一方と前記筐体との間において、基板の面方向と平行な方向への位置変更が可能に介在されるため、電子部品の配置やパターン配線のレイアウトなどが変更されるような場合であれ、それらの変更に合わせてその配設位置を変更することができる。すなわち、こうした変更に際しては、従来のように筐体そのものを変更しなくとも、上記放熱プレートの位置を変更することのみによって、上記放熱構造を簡易且つ確実に実現することができるようになる。このように、上記放熱プレートによる放熱構造を採用することで、より汎用性に富んだ、しかもより効率のよい放熱構造を実現することができ、ひいては、部品実装やパターン配線のレイアウト等にかかる自由度を大幅に向上することができるようになる。ちなみに、上記放熱プレートの形状は、所望する放熱態様に応じて任意に設定することができる。
【0017】
また、請求項2に記載の電子制御装置では、この放熱プレートを、基板および該基板に実装された電子部品の少なくとも一方と対向する面を底とする有底筒状に形成されてなるとともに、上記基板および該基板に実装された電子部品の少なくとも一方と対向する面に熱伝導性の弾性体を備え、該弾性体の弾性変形を通じて同基板および該基板に実装された電子部品の少なくとも一方と密着される構造としている。
【0018】
上記構造によれば、上記放熱プレートとしての剛性が高く維持されるとともに、同放熱プレートの、前記基板および該基板に実装された電子部品の少なくとも一方と対向する面、並びに該面を底として筒状に形成される側面は、放熱面積を拡大するヒートシンクとしても機能するようになる。このため、熱抵抗が低減されて、より好適な放熱構造が実現されるようになる。また、同放熱プレートの上記基板や電子部品との対向面に熱伝導性の弾性体を設けることにより、それら基板や電子部品との間の密着性を確保することができるようになるため、該基板に蓄積される熱や電子部品から発せられる熱をこの放熱プレートを通じて効率よく前記筐体へ放熱することができるようになる。特に、上記放熱プレートに密着される電子部品が発熱素子であったような場合には、この発熱素子から発せられる熱そのものを筐体に直接放熱することも可能となる。
【0019】
なお、上述した放熱構造を備える放熱プレートとしては、その機能上、その材料(材質)としても例えばアルミニウムや銅、鉄等の熱伝導性金属を用いることが望ましい。そしてその加工を、特にプレス成型にて行う場合には、同材料(材質)としても、アルミニウムや銅などの比較的可塑性に優れた材料(材質)であることが望ましい。
【0020】
また、上記弾性体は、例えば請求項3に記載のように、ばね機構によって実現することができる。
また、このばね機構としては、請求項4に記載のように、上記放熱プレートの基板および該基板に実装された電子部品の少なくとも一方と対向する面を突出加工した多数の板ばねからなる構造を採用することができる。この場合、放熱プレートの前記基板および該基板に実装された電子部品の少なくとも一方と対向する面そのものが上記熱伝導性の弾性体として機能するようになるため、部品点数の削減には特に有効である。
【0021】
一方、請求項5に記載のように、上記弾性体としては、放熱プレートの表面に設けられた絶縁ゴムパッドを採用することもできる。この場合には、上記放熱プレートと基板や電子部品との間隙が該ゴムパッドの弾性変形を通じて吸収されるようになる。しかもこの場合には、上記放熱プレートと基板や電子部品とが面接触することとなってその密着性が向上されるため、該部分における放熱性も自ずと向上されるようになる。また、同弾性体として、絶縁性に優れたゴムパッドを採用することにより、放熱プレートが特に上記基板と筐体との間に設けられる場合には、該基板の表裏面にパターン配線が露出された導電部などがある場合であれ、これら基板の導電部間、あるいはそれら導電部と放熱プレート(筐体)間での電気的な短絡を防止することができるようにもなる。すなわち、上記放熱プレートを配設するに際しての自由度をより向上することができ、ひいては、部品実装やパターン配線のレイアウト等にかかる自由度についてもこれをさらに向上することができるようになる。
【0022】
他方、請求項1〜5に記載のいずれかの構造においてさらに、請求項6に記載のように、放熱プレートの上記筐体と当接される縁部に、同筐体に密着されるフランジを設ける構造とすることで、上記放熱プレートと筐体との当接面積が拡大されるようになり、放熱構造としても、より完成度の高いものとなる。
【0023】
また、発熱素子を含む電子部品が基板上の予め定められた範囲内で実装(または変更)されるものである場合には、請求項7に記載のように、筐体の放熱プレートとの当接面に、放熱プレートの位置決めを補助するための1乃至複数のガイド手段を設けることが有効である。こうしたガイド手段を設けることにより、筐体の各々定められた位置に上記放熱プレートを配設することが容易となり、該位置決めにかかる手間を格段に低減することができるようになる。また、その位置決めにかかる精度についてもこれを高く維持することができるようになる。
【0024】
ここで、このガイド手段としては、例えば請求項8に記載のように、前記筐体の前記放熱プレートとの当接面に形成された凸部と、該凸部に係合するように前記放熱プレートに設けられた切り欠きもしくは凹部とによって実現することができる。この場合には、筐体に形成された上記凸部と放熱プレートに設けられた切り欠きもしくは凹部との係合を通じて、放熱プレートの上記筐体内における配設位置を規定することができるようになる。
【0025】
なお、筐体内に上記ガイド手段を構成する凸部を複数設ける構造とすれば、電子部品の配置やパターン配線のレイアウトなどが変更されるような場合であっても、それら変更された位置に対して直近の領域にある凸部に上記放熱プレートの切り欠き若しくは凹部を係合させることによって、放熱プレートの上記筐体内での位置決めを的確に行うことができるようになる。すなわち、放熱プレートの配設精度に併せて、同配設にかかる自由度も同時に確保することができるようになる。ここで、筐体内における上記凸部の配設態様については、上記放熱プレートの形状に応じて任意に設定することができる。例えば、放熱プレートの上記筐体との当接面の形状が略四角形状である場合には、筐体内にもその形状、寸法に応じて上記凸部を格子点状あるいはその対角に配設することで、これら凸部によって区画される略四角形状の領域のいずれかに、上記切り欠き若しくは凹部が設けられている略四角形状の放熱プレートを任意に配設することができるようになる。またちなみに、請求項6に記載のように、放熱プレートに上述したフランジが設けられている場合には、上記切り欠き若しくは凹部を該フランジに形成することもできる。
【0026】
一方、上記ガイド手段についてはこれを、請求項9に記載のように、前記筐体の前記放熱プレートとの当接面に形成された凹部と、該凹部に係合するように前記放熱プレートに設けられた凸部とによって実現することもできる。こうした場合でも、筐体に形成された上記凹部と放熱プレートに設けられた凸部との係合を通じて、放熱プレートの上記筐体内における配設位置を規定することができるようになる。
【0027】
そしてこの場合も、筐体内に上記ガイド手段を構成する凹部を複数設ける構造とすれば、電子部品の配置やパターン配線のレイアウトなどが変更されるような場合であっても、放熱プレートの配設にかかる自由度を確保しつつ、同配設精度を高く維持することができるようになる。なお、ガイド手段のこのような構造においても、請求項8の構造に関して上述したガイド態様(位置決め態様)は同様に実現される。
【0028】
また一方、上記ガイド手段についてはこれを、請求項10に記載のように、前記筐体の前記放熱プレートとの当接面に形成されたリブによって実現することもできる。この構造によれば、筐体内に設けられたリブを指標として、上記放熱プレートを配設することができるようになるため、この場合も、同放熱プレートの配設にかかる手間を格段に低減することができるようになる。なおこの場合も、リブの配設態様は上記放熱プレートの外形形状に応じて任意に設定することが可能であるが、特にこのリブを放熱プレートの外輪を囲繞するかたちで形成する場合には、同放熱プレートの配設にかかる精度も高く維持されるようになる。ちなみにこの場合、放熱プレートの外形形状が略四角形状であれば、上記リブを格子状に設けることとなり、また放熱プレートの外形形状が略六角形状であれば、上記リブも六角柱形状に設けることとなる。
【0029】
そしてこの場合も、こうしたリブを筐体内に複数設けるようにすれば、請求項8に記載のガイド手段や、請求項9に記載のガイド手段と同様、電子部品の配置やパターン配線のレイアウトなどが変更されるような場合であれ、それら変更された位置に対して直近の領域にあるリブを選択することにより、高い自由度と高い精度をもって上記放熱プレートを配設することができるようになる。また、こうして筐体に複数のリブが配設される場合には、筐体自体の強度の向上も併せて図られるようになる。
【0030】
また、上記請求項1に記載の放熱構造を実現する上では他に、請求項11に記載のように、前記放熱プレートを、前記基板および該基板に実装された電子部品の少なくとも一方と対向する面の裏面に補強リブを備えるとともに、該裏面の両側から同裏面側に略「ハ」の字状に延設されて板ばねとして機能する脚部を備え、該脚部の弾性変形を通じて前記基板および該基板に実装された電子部品の少なくとも一方と密着させる構造とすることも有効である。
【0031】
上記構造によれば、放熱プレートは、脚部の弾性変形により、前記基板および該基板に実装された電子部品の少なくとも一方と密着されるようになる。またこのとき、前記基板および該基板に実装された電子部品の少なくとも一方と対向する面に補強リブを配設することにより、放熱プレートが弾性変形する場合であっても、その撓みが抑制されて、上記密着された状態を維持することができる。
【0032】
また、上記放熱プレートのうち、前記基板および該基板に実装された電子部品の少なくとも一方と対向する面、並びに該面に連結される上記脚部は、この場合も放熱面積を拡大するヒートシンクとして機能するようになる。このため、熱抵抗が低減されて、より好適な放熱構造が実現されるようになる。
【0033】
なお、こうした放熱構造を備える放熱プレートとしても、その機能上、その材料(材質)としては、例えばアルミニウムや銅、鉄等の熱伝導性に優れた材料(材質)であることが望ましい。そしてその加工についてもこれをプレス成型によって行うようにすれば、こうした構造を比較的容易に実現することができる。
【0034】
また、こうした脚部を備える放熱プレートは、請求項12に記載のように、該脚部の筐体と当接される先端縁部に、同脚部の弾性変形を補助する平滑部を設けることが望ましい。このような平滑部の配設によって、上記脚部の筐体内での水平方向への弾性変形が促進されるようになる。
【0035】
一方、請求項13に記載のように、前記放熱プレートの前記基板および該基板に実装された電子部品の少なくとも一方と対向する面に、絶縁ゴムパッドを設ける構造も有効である。この場合にも、請求項5に記載の弾性体と同様、上記放熱プレートと基板や電子部品との間隙が該ゴムパッドの弾性変形を通じて吸収されるようになる。そしてこの場合にも、上記放熱プレートと基板や電子部品とが面接触することとなってその密着性が向上されるため、該部分における放熱性も自ずと向上されるようになる。また、こうした絶縁性に優れたゴムパッドを採用することにより、放熱プレートが特に上記基板と筐体との間に設けられる場合には、該基板の表裏面にパターン配線が露出された導電部などがある場合であれ、これら基板の導電部間、あるいはそれら導電部と放熱プレート(筐体)間での電気的な短絡を防止することができるようにもなる。したがってこの場合も、上記放熱プレートを配設するに際しての自由度をより向上することができ、ひいては、部品実装やパターン配線のレイアウト等にかかる自由度についてもこれをさらに向上することができるようになる。
【0036】
また、これら請求項11〜13のいずれかに記載の構造においても、さらに請求項14に記載のように、前記筐体の前記放熱プレートとの当接面に、該放熱プレートの位置決めを補助するための1乃至複数のリブを設けるようにすることで、上記請求項10に準じたガイド機能が実現されるようになる。ちなみにこの場合、上記放熱プレートの脚部は、筐体に設けられた上記リブによって、例えばその弾性変形後の配設位置が規定されるようになる。したがってこの場合も、放熱プレートの位置決めにかかる手間が低減されるとともに、同位置決め精度も高く維持される。
【0037】
なおこの場合も、こうしたリブを筐体内に複数設けるようにすれば、上述同様、電子部品の配置やパターン配線のレイアウトなどが変更されるような場合であれ、それら変更された位置に対して直近の領域にあるリブを選択することにより、高い自由度と高い精度をもって上記放熱プレートを配設することができるようになる。そしてこの場合、こうして筐体に複数のリブが配設されることで、筐体自体の強度の向上も併せて図られるようになる。
【0038】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、本発明にかかる電子制御装置の第1の実施の形態について、図1〜図3を参照して詳細に説明する。
【0039】
この実施の形態にかかる電子制御装置も、基本的には先の図21および図22に例示した電子制御装置と同様、基板に実装された電子部品から発せられる熱を基板を介して筐体に放熱する放熱構造を有している。また、この電子制御装置としては、車両に搭載されて、その原動機等の運転を制御する装置を想定している。
【0040】
はじめに、図1を参照して、この実施の形態にかかる電子制御装置の概略構成について説明する。
同図1に示されるように、この電子制御装置は、大きくは、パワー素子等からなる発熱素子PEや電子部品Eが表面実装された例えばガラスエポキシ材等からなる基板10と、該基板10が内装される筐体としてのケース11およびその蓋12とを備えて構成される。ここで、基板10には、該基板10を上記ケース11に内装するための図示しない開口が形成されている。そして、これらの開口を介してケース11の内底面11aに設けられた基板支持部13にねじ14が螺入されることで、基板10が上記ケース11の内底面11aと所定の距離L1を隔てて固定される。
【0041】
そして、この実施の形態にかかる電子制御装置では、基板10における発熱素子PEの実装面と対向する面、すなわち基板10の実装裏面10aとケース11の内底面11aとの間に、放熱プレート100を介在させる構造を採っている。
【0042】
ここで、この放熱プレート100は、その上記基板10の実装裏面10aに対向する面、すなわち熱伝導面100aに、熱伝導性の弾性体としての複数のばね機構Sを備えている。
【0043】
他方、この放熱プレート100の上記ばね機構Sを含めた全体の高さは、該ばね機構Sが弾性変形していない状態において、上記基板10の実装裏面10aとケース11の内底面11aとの距離L1よりも高くなるように設定されている。これにより、この放熱プレート100は、上記ばね機構Sの弾性変形を通じて、熱伝導面100aと上記基板10の実装裏面10aとが密着された状態で、基板10の実装裏面10aとケース11の内底面11aとの間に固定されるようになる。
【0044】
ところで、上述したように、この種の電子制御装置に採用される電子部品のパワー素子等には、通常、素子内部の接合部温度について絶対最大定格が設定されており、接合部温度が絶対最大定格を超える高温となった場合、素子の誤動作や故障等のおそれがあり、電子制御装置としての信頼性が大きく損なわれるようになる。
【0045】
この点、この実施の形態の電子制御装置にあっては、上述の態様で放熱プレート100を配設することにより、発熱素子PEから発せられる熱が、放熱プレート100を通じて筐体へ放熱されるようになる。すなわち、同図1に白抜きの矢印で示すように、上記熱は、「発熱素子PE→基板10→放熱プレート100→ケース11」といった態様で、確実にケース11へと放熱されるようになる。これにより、発熱素子PEの蓄熱を抑制することができ、ひいては発熱素子PEの誤動作、故障等の発生も抑制することができる。
【0046】
また、こうした放熱構造を実現する放熱プレート100は、ケース11に基板10が内装される以前であれば、基板10の面方向と平行な方向への自在な位置変更が可能であり、該基板10とケース11との間の任意の位置に同放熱プレート100を配設することができる。したがって、この実施の形態によれば、基板10に実装される発熱素子PEの配置やパターン配線のレイアウトなどが変更される場合であれ、それらの変更に合わせて放熱プレート100の配設位置を変更することのみによって、上記放熱構造を簡易且つ確実に実現することができる。
【0047】
次に、図2および図3を併せ参照して、この実施の形態の電子制御装置に使用する上記放熱プレート100の構造(形状)、およびその材質等について詳述する。
【0048】
図2にその平面構造を示すように、上記放熱プレート100は、略四角形状の熱伝導面100aと、複数のばね機構Sと、フランジ100bとを備えて構成されている。上記ばね機構Sは、上記熱伝導面100aの中央部をそれぞれ片持ち支持されるかたちで突出加工した多数の板ばねからなり、該熱伝導面100aの左右方向に均等に形成されている。また、上記フランジ100bは、放熱プレート100と上記ケース11との当接面積を拡大するためのものであり、上記熱伝導面100aを周回する態様にて形成されている。
【0049】
また、図3は、図2のA−A線に沿った断面構造を示している。
同図3からも明らかなように、上記放熱プレート100は、ばね機構Sが形成された熱伝導面100aを底とした有底筒状となっており、筒状に形成される側面の先端縁部に上記フランジ100bが形成されている。ちなみに、放熱プレート100は、先の図1に示されるように、このフランジ100bが上記ケース11の内底面11aに当接するかたちで基板10とケース11との間に配設される。このようにフランジ100bが上記ケース11の内底面11aに当接されて配設されることにより、上記放熱プレート100とケース11(筐体)との当接面積が上述のように拡大されるようになるため、放熱構造としてもより完成度の高いものとなる。
【0050】
なお、こうした放熱構造を備える放熱プレート100としては、その機能上、材料(材質)としてもアルミニウムや銅、鉄などの熱伝導性金属を用いることが望ましい。そしてこの加工を、特にプレス成型にて行う場合には、同材料としても、アルミニウムや銅などの比較的可塑性に優れた材料であることが望ましい。また、振動等による放熱プレート100の位置ずれが懸念される場合には、接着剤等を用いて該放熱プレート100を上記ケース11に固定することなども考えられる。
【0051】
以上説明したように、この第1の実施の形態にかかる電子制御装置によれば、以下に列記するような効果を得ることができる。
(1)この実施の形態では、放熱プレート100を、基板10の実装裏面10aとケース11の内底面11aとの間に介在させることとした。これにより、基板10に蓄積される熱や発熱素子PEから発せられる熱は、上記放熱プレート100を通じてケース11へ放熱されるようになる。また、この実施の形態の放熱プレート100は、基板10の面方向と平行な方向への位置変更が可能であるため、発熱素子PEやパターン配線のレイアウトの変更に合わせてその配設位置を変更することができる。すなわち、こうした変更に際しては、従来のように筐体(ケース11および蓋12)そのものを変更しなくとも、それらの変更に合わせて上記放熱プレート100の配設位置を変更することのみによって、上記放熱構造を簡易且つ確実に実現することができる。したがって、より汎用性に富んだ、しかもより効率のよい放熱構造を実現することができ、ひいては、部品実装やパターン配線のレイアウト等にかかる自由度を大幅に向上することができる。
【0052】
(2)また、この実施の形態では、上記放熱プレート100を、基板10と対向する熱伝導面100aを底とした有底筒状に形成することとした。こうした構造により、上記基板10と対向する熱伝導面100a、並びに該面を底として筒状に形成される側面が、放熱面積を拡大するヒートシンクとしても機能するようになるため、熱抵抗が低減されて、より好適な放熱構造が実現されるようになる。また、上記放熱プレート100の熱伝導面100aに、ばね機構Sを設ける構造としたことで、上記基板10の実装裏面10aと放熱プレート100との間に高い密着性を確保することができ、ひいては、上記熱を該放熱プレート100を通じて効率よくケース11へ放熱することができる。
【0053】
(3)さらに、上記ばね機構Sとして、上記放熱プレート100の熱伝導面100aを突出加工して形成することで、部品点数も最小限とすることができる。
(4)また、この実施の形態では特に、上記放熱プレート100を発熱素子PEの実装面と対向する基板10の実装裏面10aに配設することから、該発熱素子PEから発せられる熱そのものを筐体に放熱することができる。
【0054】
(5)上記放熱プレート100のケース11の内底面11aと当接される縁部にフランジ100bを設けたことで、放熱プレート100とケース11との当接面積が拡大されることから、その放熱効果をさらに向上させることができる。
【0055】
なお、上記第1の実施の形態では、放熱プレート100を発熱素子PEが実装された基板10の実装裏面10aに当接するようにケース11の内底面11aに配設することとした。しかし、この発熱素子PEが基板上の予め定められた範囲内で実装(または変更)される場合等には、予め放熱プレート100の位置決めを補助するためのガイド手段を設けるようにすることが有効である。そうした変形例のいくつかを以下に示す。
【0056】
(変形例1)
図1に例示した形状のケース11に代えて、図4および図5に例示するケース21を用いる。
【0057】
すなわち、図4にその全体の断面構造を模式的に示すように、このケース21も、基本的には先の図1に例示したケース11と同様、その内底面21aに設けられた基板支持部23およびねじ24によって前記基板10を固定する。そして、これらを覆うように蓋22が取り付けられることで、その内部が密閉される。
【0058】
ただし、このケース21の上記内底面21aには、上記ガイド手段として、複数のリブ21bが形成されている。このリブ21bは、その高さが、上記放熱プレート100のフランジ100bの厚さよりも若干高く設定されている。これにより、上記放熱プレート100は、そのフランジ100bの縁部が上記リブ21bに当接されることでその配設位置が規定されるようになる。すなわち、上記リブ21bを指標として、放熱プレート100をケース21内に配設することができることから、該放熱プレート100の配設にかかる手間を格段に低減することができるようになる。
【0059】
次に、図5を参照して、ケース21内における上記リブ21bの配設態様について詳述する。なお、この図5は、図4のA−A線に沿った断面図に相当する。
図5に示されるように、この変形例にかかるケース21の内底面21aには、それぞれピッチP1およびピッチP2を隔てて上記リブ21bが縦横に(格子状に)形成されている。そしてこの例では、それらリブ21bによって区画される領域の各辺の長さが、上記放熱プレート100の最外周の各辺の長さと同等、もしくは若干長めとなるようにそれら領域の寸法を設定している。これにより、上記放熱プレート100は、リブ21bによって区画される領域のうち、基板10の発熱素子PEの実装位置に対して直近の領域にあるリブ21bに上記フランジ100bの縁部を当接させるかたちで、ケース21内に載置されることとなる。
【0060】
このためこの例では、図4に二点鎖線で示すように、発熱素子PEの実装位置が変更される場合であれ、この変更された発熱素子PE’の実装位置に合わせて、放熱プレート100の載置(配設)位置を変更することができる。すなわち、同図4あるいは図5に同じく二点鎖線で示すように、発熱素子PE’の実装位置に対して直近の領域にあるリブ21bを選択し、該選択したリブ21bに放熱プレート100を当接させることで、簡易且つ的確に放熱プレート100の配置を変更することができる。このように、この変形例によれば、発熱素子PEやパターン配線のレイアウトが変更される場合であれ、放熱プレート100の配設にかかる自由度を確保しつつ、その配設精度を高く維持することができるようになる。
【0061】
なお、この変形例では、リブ21bによって区画される領域の各辺の長さを、上記放熱プレート100の最外周の各辺の長さと同等、もしくは若干長めとなるように設定したが、それら設定は任意である。要は、リブ21bに上記放熱プレート100の少なくとも一部が当接される態様であれば、同放熱プレート100の位置決めのためのガイドを行うことはできる。
【0062】
また、この変形例では、上記リブ21bを格子状に配設したが、このリブ21bの配設態様は放熱プレートの形状に合わせて適宜変更することができる。ちなみに、放熱プレートが例えば略六角形状である場合などには、リブ21bについてもこれを六角柱形状(ハニカム状)とすることが、放熱プレートの配置変更効率を維持する上で有効である。いずれにしろ、リブ21bがこのように複数設けられる場合には、筐体であるケース21自体の強度の向上も併せて図られるようになる。
【0063】
(変形例2)
また、上記ガイド手段について、図6〜図8に例示する態様での実現も有効である。ちなみにこの例では、図1に例示したケース11に代えて、図6および図8に例示するケース31を用い、放熱プレートについても、図1〜図3に例示した放熱プレート100に代えて、図6〜図8に例示する放熱プレート110を用いる。
【0064】
図6にその全体の断面構造を模式的に示すように、この例において、ケース31の内底面31aには、前記基板10の面方向に突出する凸部31bが形成されており、この凸部31bに位置決めされるかたちで、放熱プレート110が基板10とケース31の内底面31aとの間に配設されている。
【0065】
次に、図7および図8を併せ参照して、上記放熱プレート110および該放熱プレート110の配設態様について詳述する。図7は、放熱プレート110の平面構造を示しており、図8は、図6のA−A線に沿った断面構造を示している。
【0066】
まず、図7に示すように、放熱プレート110も、基本的には先の図2に示した放熱プレート100と同様、略四角形状の熱伝導面110aと、複数のばね機構Sと、フランジ110bとを備えて構成されている。ただし、この放熱プレート110は、そのフランジ110bの4隅に、該放熱プレート110を上記ケース31に載置する際に上記凸部31bと係合される切り欠きCを備えている。
【0067】
他方、上記ケース31の内底面31aには、図8に示す態様で、ピッチP3およびピッチP4を隔てて凸部31bが格子点状に形成されている。
これにより、上記放熱プレート110は、基板10に実装された発熱素子PEに対して直近の領域にある凸部31bに上記フランジ110bに形成されている切り欠きCを係合させるかたちで、ケース31内に載置されることとなる。すなわち、放熱プレート110は、上記ケース31の凸部31bと、フランジ110bに設けられた切り欠きCとの協働のもとにその配設位置が規定(ガイド)されるようになる。
【0068】
そしてこの例にあっても、図6に二点鎖線で示すように、発熱素子PEの実装位置が変更される場合であれ、この変更された発熱素子PE’の実装位置に合わせて、放熱プレート110の載置(配設)を変更することができる。すなわちこの場合、図6あるいは図8に同じく二点鎖線で示すように、発熱素子PE’の実装位置に対して直近の領域にある凸部31bに上記放熱プレート110の切り欠きCを係合させることとなる。したがってこの場合も、該放熱プレート110の上記ケース31内での位置決めを自由に、しかも的確に行うことができるようになる。
【0069】
なお、この変形例では、上記ケース31の内底面31aに格子点状に凸部31bを形成したが、これら凸部31bの形成態様も、放熱プレートの外形形状に応じて任意に設定することができる。また、放熱プレート110側に形成するガイド手段の形状も任意であり、上記切り欠きCに限らず、例えば上記凸部31bの形状に応じた凹形状とすることもできる。
【0070】
また、ケース31側にしろ、あるいは放熱プレート110側にしろ、上記ガイド手段の形成位置やその数もまた適宜に変更することができる。例えば、上記格子を形成する領域の対角部のみにガイド手段を構成する凸部31bや切り欠きC等を備える構造であってもよい。
【0071】
(変形例3)
また、上記変形例2においてガイド手段を構成する凸部と切り欠きもしくは凹部との関係は逆であってもよい。すなわち、ケース側に凹部を設けるとともに、放熱プレート側に凸部を設けるようにしても上記と同様の効果を得ることはできる。
【0072】
すなわちこの場合、図6および図8に例示したケース31に代えて、図9および図11に例示するケース41を用い、放熱プレートについても、図6〜図8に例示した放熱プレート110に代えて、図9〜11に例示する放熱プレート120を用いる。
【0073】
より具体的には、図9に断面構造を模式的に示すように、ケース41には、内装された基板10の面方向と離間する方向に突出する凹部41bが形成されるとともに、この凹部41bと係合する凸部Tが形成された放熱プレート120が、基板10とケース41の内底面41aとの間に配設される。このような構造を有する電子制御装置にあっても、放熱プレート120をケース41内に的確且つ簡便に配設することができるようになることから、それらの配設にかかる手間を格段に低減することができるようになる。
【0074】
ここで、図10および図11を併せ参照して、上記放熱プレート120とその配設態様について詳述する。
図10(a)にその平面構造を示すように、放熱プレート120も、略四角形状の熱伝導面120aと、複数のばね機構Sと、フランジ120bとを備えて構成される。そしてこの放熱プレート120のフランジ120bには特に、その対角部に、該放熱プレート120を上記ケース41に装着する際にその上記凹部41bと係合される2つの凸部Tが設けられている。図10(b)は、このような放熱プレート120の図10(a)に対応する側面図である。
【0075】
他方、上記ケース41の内底面41aには、図11に示すように、ピッチP5およびピッチP6を隔てて上記凹部41bが格子点状に形成されている。これにより、放熱プレート120は、基板10に実装された発熱素子PEに対して直近の領域にある凹部41bに上記フランジ120bに形成されている凸部Tを係合させるかたちで、ケース41内に載置されることとなる。すなわち、放熱プレート120は、上記ケース41の凹部41bと、そのフランジ120bの対角部に設けられた上記凸部Tとの協働のもとに、その配設位置が規定(ガイド)されるようになる。
【0076】
そしてこの例にあっても、図9に二点鎖線で示すように発熱素子PEの実装位置等が変更される場合であれ、この変更された発熱素子PE’の実装位置に合わせて、放熱プレート120の載置(配設)位置を変更することができる。すなわちこの場合も、図9あるいは図11に同じく二点鎖線で示すように、放熱プレート120を発熱素子PE’の実装位置に対して直近の領域にある凹部41bに係合される位置に変更することで、その配設位置が規定されるようになる。このため、この変形例においても、配設にかかる自由度を確保しつつ、同配設精度を高く維持することができるようになる。
【0077】
なお、この変形例では、ケース41の内底面41aに格子状に凹部41bを形成したが、これら凹部41bの形成態様も、上記放熱プレート120の外形形状に応じて任意に設定することができる。また、上記放熱プレート120の凸部Tの形成位置やその数もまた適宜に変更することができる。要は、ケース41に設けられた凹部41bと協働して放熱プレート120自身の載置(配設)位置をガイドすることができる構造であればよい。
【0078】
(第2の実施の形態)
次に、図12〜図14を参照して、本発明にかかる電子制御装置の第2の実施の形態について説明する。なお、これら図12〜図14において、先の図1〜図3に示した第1の実施の形態の要素と同一の要素については同一の符号を付して示しており、それら要素についての重複する説明は割愛する。
【0079】
図12に示されるように、この実施の形態にかかる電子制御装置も、基本的には先に例示した電子制御装置と同様、基板10に実装された発熱素子PEなどから発せられる熱を、放熱プレート200を介して、ケース11に放熱する放熱構造を有している。
【0080】
すなわち、同図12に示されるように、この電子制御装置も、大きくは、パワー素子等からなる発熱素子PEや電子部品Eが表面実装された例えばガラスエポキシ材等からなる基板10と、該基板10が内装される筐体としてのケース11およびその蓋12とを備えて構成されている。
【0081】
そして、この実施の形態においても、基板10における発熱素子PE実装面と対向する面、すなわち基板10の実装裏面10aとケース11の内底面11aとの間には、基板10に蓄えられた熱をケース11に放熱する放熱プレート200が、該基板10の面方向と平行な方向への位置変更が可能な態様で介在されている。
【0082】
ここで、この第2の実施の形態では、放熱プレート200として、前記ばね機構Sに代えて、その熱伝導面200aに弾性並びに熱伝導性に優れた絶縁ゴムパッド210が装着されたものを使用するようにしている。そして、この絶縁ゴムパッド210を含む放熱プレート200全体の高さは、該絶縁ゴムパッド210が弾性変形していない状態において、記基板10の実装裏面10aとケース11の内底面11aとの距離L1よりも高くなるように設定されている。これにより、放熱プレート200は、上記基板10の実装裏面10aとケース11の内底面11aとの間に、上記絶縁ゴムパッド210の弾性変形を通じて圧接されるかたちで配設されるようになる。またこのように、絶縁ゴムパッド210が上記基板10の実装裏面10aと熱伝導面200aとの間にて弾性変形することにより、放熱プレート200と基板10の実装裏面10aとの間により広い当接面積を確保することができるようにもなる。
【0083】
こうした構造を有する第2の実施の形態の電子制御装置によれば、発熱素子PEから発せられる熱は、同図12に白抜きの矢印にて示すように、「発熱素子PE→基板10→絶縁ゴムパッド210→放熱プレート200→ケース11」といった経路を経て放熱されるようになる。したがって、この実施の形態においても、発熱素子PEの蓄熱を抑制することができ、ひいては発熱素子PEの誤動作、故障等の発生も抑制することができる。
【0084】
また、こうした放熱構造を実現する放熱プレート200も、ケース11に基板10が内装される以前であれば、基板10の面方向と平行な方向への自在な位置変更が可能であり、該基板10とケース11との間の任意の位置に同放熱プレート200を配設することができる。したがって、この実施の形態によっても、基板10に実装される発熱素子PEの配置やパターン配線のレイアウトなどが変更される場合であれ、それらの変更に合わせて放熱プレート200の配設位置を変更することのみによって、上記放熱構造を簡易且つ確実に実現することができるようになる。
【0085】
また、特にこの実施の形態の場合、上記基板10と放熱プレート200との間に絶縁ゴムパッド210を介在させる構造とした。これにより、基板10の表裏面にパターン配線が露出された導電部などがある場合であれ、それら基板10の導電部間、あるいはそれら導電部と放熱プレート200(ケース11)間での電気的な短絡を防止することもできる。
【0086】
次に、図13および図14を併せ参照して、この実施の形態の電子制御装置に採用されている上記放熱プレート200の構造(形状)について詳述する。
図13に、その平面構造が示されるように、放熱プレート200は、略四角形状の熱伝導面200aを周回するかたちでフランジ200bが形成されている。そして、上記熱伝導面200aには、同図13に破線で示すように、孔200cが形成されており、該孔200cを通じて上記絶縁ゴムパッド210が固定されるようになっている。
【0087】
ここで、図13のA−A線に沿った断面図として図14に示すように、上記放熱プレート200も、上記孔200cを有する熱伝導面200aを底とした有底筒状となっており、その縁部には、上述の態様でフランジ200bが形成されている。また、同図14に示すように、上記絶縁ゴムパッド210には、上記熱伝導面200aの孔200cの形状に対応した突起210aが形成されており、この突起210aが、上記放熱プレート200の孔200cに嵌合されることにより、絶縁ゴムパッド210が放熱プレート200に固定されるようになる。
【0088】
以上説明したように、この実施の形態によっても、先の第1の実施の形態の前記(1)、(2)、(4)、および(5)の効果に準じた効果を得ることができるようになる。
【0089】
また、特にこの第2の実施の形態では、基板10と放熱プレート200の熱伝導面200aとの間に絶縁ゴムパッド210を介在させたことで、それらの間により広い当接面積を確保することができ、放熱性能のさらなる向上が期待できるようにもなる。さらに、このような態様で絶縁ゴムパッド210を介在させたことで、基板10内での、あるいは基板10と放熱プレート200(ケース11)との間での電気的な短絡なども防止される。このため、上記放熱プレート200を配設するにあたっての自由度がより高められるようになり、ひいては、部品実装やパターン配線のレイアウト等にかかる自由度もさらに向上されるようになる。
【0090】
なお、この第2の実施の形態にかかる電子制御装置に関しても、先の第1の実施の形態について補足した前記変形例1〜3については、それらを全て適用することができるとともに、それら変形例特有の効果についても、これを併せて得ることができるようになる。
【0091】
(第3の実施の形態)
次に、この発明にかかる電子制御装置の第3の実施の形態について、先の第1および第2の実施の形態と異なる点を中心に、図15〜図17を参照して詳細に説明する。なお、これら図15〜図17においても、先の第1あるいは第2の実施の形態の要素と同一の要素については同一の符号を付して示しており、それら要素についての重複する説明は割愛する。
【0092】
図15に示されるように、この実施の形態にかかる電子制御装置も、基本的には先に例示した電子制御装置と同様、基板10の面方向と平行な方向への位置変更が可能に介在された放熱プレート300を通じて、発熱素子PEから発せられる熱をケース11に放熱する。
【0093】
ただし、この第3の実施の形態にて採用される上記放熱プレート300は、前記基板10と対向する熱伝導面300aの裏面に補強リブ300bを備えるとともに、該裏面の両側から同裏面側に略「ハ」の字状に延設されて板ばねとして機能する脚部300cを備えた構造となっている。そして、この脚部300cの先端縁部には、上記脚部300cの弾性変形を補助する平滑部300dが形成されている。
【0094】
ここで、この平滑部300dを含む放熱プレート300全体の高さは、脚部300cが弾性変形していない状態において、基板10の実装裏面10aとケース11の内底面11aとの距離L1よりも高くなるように設定されている。これにより、この放熱プレート300は、その取り付けに際して、上記脚部300cの弾性変形を通じて、基板10の実装裏面10aとケース11の内底面11aとに圧接されるかたちで配設されるようになる。すなわち、基板10の実装裏面10aとケース11の内底面11aとの間に放熱プレート300を介在させることで、それらの密着性が確保されるようになっている。
【0095】
また、この放熱プレート300の材料(材質)としても、その機能上、例えばアルミニウムや銅、鉄等の熱伝導性に優れた材料(材質)であることが望ましい。そしてその加工についてもこれをプレス成型によって行うようにすれば、こうした構造を比較的容易に実現することができる。また前述のように、振動等による放熱プレート300の位置ずれが懸念される場合には、この放熱プレート300を基板10の実装裏面10aに接着剤等によって固定することも考えられる。
【0096】
いずれにしろ、このような態様をもって上記基板10の実装裏面10aとケース11の内底面11aとを密着させることにより、発熱素子PEから発せられる熱は、同図15に白抜きの矢印にて示すように、「発熱素子PE→基板10→放熱プレート300→ケース11」といった経路を経て放熱されるようになる。したがって、この実施の形態においても、発熱素子PEの蓄熱を抑制することができ、ひいては発熱素子PEの誤動作、故障等の発生も抑制することができる。
【0097】
また、こうした放熱構造を実現する放熱プレート300も、ケース11に基板10が内装される以前であれば、基板10の面方向と平行な方向への自在な位置変更が可能であり、該基板10とケース11との間の任意の位置に同放熱プレート300を配設することができる。したがって、この実施の形態によっても、基板10に実装される発熱素子PEの配置やパターン配線のレイアウトなどが変更される場合であれ、それらの変更に合わせて放熱プレート300の配設位置を変更することのみによって、上記放熱構造を簡易且つ確実に実現することができる。すなわち、これらの変更に際して、従来のように、筐体であるケース11や蓋12そのものを変更しなくとも、その放熱経路を簡易且つ確実に確保することができる。
【0098】
次に、図16および図17を併せ参照して、この実施の形態の電子制御装置に採用されている上記放熱プレート300の構造(形状)について詳述する。
図16にその平面構造を示すように、上記放熱プレート300は、略四角形状の熱伝導面300aを有しており、その裏面には、3本の補強リブ300bがそれぞれ平行に形成されている。そして、熱伝導面300aの補強リブ300bが延伸された側の両端には、板ばねとして機能する上記脚部300cが形成されており、さらにこの脚部300cの先端縁部には上記平滑部300dが形成されている。
【0099】
ここで、図16のA−A線に沿った断面図である図17(a)に示されるように、上記脚部300cは、熱伝導面300aに略「ハ」の字状に延設されており、その先端に断面略半円状の平滑部300dが形成されている。この平滑部300dは、ケース11の内底面11aとの間でいわゆる滑りを生じさせることによって上記脚部300cの該内底面11a上での摺動を促進する機能を有している。これにより、図17(b)に示されるように、上記熱伝導面300aに垂直方向の荷重Fが加えられた場合には、この荷重Fに応じて、上記脚部300cの水平方向に拡がるかたちでの弾性変形が促進されるようになる。またこのとき、上記熱伝導面300aには、その裏面に補強リブ300bが形成されていることから、こうした荷重Fが加えられる場合であっても、熱伝導面300a自体の撓みが抑制されて、上記密着された状態を維持することができるようになる。
【0100】
以上説明したように、この第3の実施の形態にかかる電子制御装置によれば、以下のような効果が得られるようになる。
(1)この実施の形態では、上記放熱プレート300を、基板10の実装裏面10aとケース11の内底面11aとの間に基板10の面方向と平行な方向への位置変更が可能に介在させるようにした。そのため、発熱素子PEやパターン配線のレイアウトが変更される場合であれ、従来のように筐体そのものの変更を不要として、発熱素子PEから発せられる熱を確実にケース11に放熱することができる。
【0101】
(2)上記放熱プレート300を、基板10と対向する熱伝導面300aの裏面に補強リブ300bを備えるとともに、該裏面の両側から同裏面側に略「ハ」の字状に延設されて板ばねとして機能する脚部300cを備える構造とした。これにより、上記放熱プレート300は、脚部300cの弾性変形を通じて、基板10の実装裏面10aとケース11の内底面11aとに圧接されるかたちで配設されるようになることから、それらの密着性を確保することができるようになる。またこのとき、上記熱伝導面300aの裏面に補強リブ300bを配設したことにより、放熱プレート300が弾性変形する場合であっても、その撓みが抑制されて、上記密着された状態を維持することができる。
【0102】
(3)また、この実施の形態では、上記脚部300cの先端縁部に平滑部300dを配設したことで、上記脚部300cの上記ケース11の内底面11aにて水平方向に拡がるかたちでの弾性変形を好適に促進することができるようになる。
【0103】
(4)また、この実施の形態においても、上記放熱プレート300を、基板10における発熱素子PE実装面と対向する実装裏面10aに配設することから、発熱素子PEから発せられる熱そのものを筐体に放熱することが可能となる。
【0104】
なお、この第3の実施の形態にかかる電子制御装置に関しては、先の第1の実施の形態について補足した前記変形例1を適用することが可能であり、この変形例1特有の効果についても、これを併せて得ることができるようになる。ちなみにこの場合には、先の図4および図5に示したリブ21bの配設間隔、すなわちピッチP1およびピッチP2のいずれか一方を、上記脚部300cの弾性変形後の開脚幅を見込んで、予め長めに設定しておくこととなる。
【0105】
(第4の実施の形態)
次に、この発明にかかる電子制御装置の第4の実施の形態について、先の第3の実施の形態と異なる点を中心に、図18〜図20を参照して詳細に説明する。なお、これら図18〜図20においても、先の図15〜図17に示した第3の実施の形態の要素と同一若しくは対応する要素についてはそれぞれ同一若しくは対応する符号を付して示しており、それら要素についての重複する説明は割愛する。
【0106】
図18に示されるように、この実施の形態にかかる電子制御装置も、基本的には先に例示した電子制御装置と同様、基板10の面方向と平行な方向への位置変更が可能に介在された放熱プレート400を通じて、発熱素子PEから発せられる熱をケース11に放熱する。そして、上記放熱プレート400も、前記基板10と対向する熱伝導面400aの裏面に補強リブ400bを備えるとともに、該裏面の両側から同裏面側に略「ハ」の字状に延設されて板ばねとして機能する脚部400cを備えた構造となっている。またこの脚部400cの先端縁部にも、上記脚部400cの弾性変形を補助する平滑部400dが形成されている。
【0107】
ここで、上記金属からなる放熱プレートを特に基板10とケース11との間に配設する場合、基板10の実装裏面10aにパターン配線が露出された導電部などがあると、これら基板10の導電部間、あるいはそれら導電部と放熱プレート400(ケース11)との間で電気的な短絡を引き起こす可能性がある。
【0108】
そこで、この第4の実施の形態では、放熱プレート400として、その熱伝導面400aに弾性並びに熱伝導性に優れた絶縁ゴムパッド410が装着されたものを使用するようにしている。すなわち、上記基板10と放熱プレート400との間に絶縁ゴムパッド410を介在させることで、これらの絶縁性を確保することができる。これにより、放熱プレート400を配設するに際しての自由度をより向上させることができ、ひいては部品実装や配線のレイアウト等にかかる自由度についてもさらに向上させることができるようになる。
【0109】
なお、この実施の形態によっても、発熱素子PEから発せられる熱は、同図18に白抜きの矢印にて示すように、「発熱素子PE→基板10→絶縁ゴムパッド410→放熱プレート400→ケース11」といった経路を経て放熱されるようになる。こうした放熱構造により、発熱素子PEの蓄熱を抑制することができ、ひいては発熱素子PEの誤動作、故障等の発生も抑制することができる。
【0110】
また、こうした放熱構造を実現する放熱プレート400も、ケース11に基板10が内装される以前であれば、基板10の面方向と平行な方向への自在な位置変更が可能であり、該基板10とケース11との間の任意の位置に同放熱プレート400を配設することができる。したがって、この実施の形態によっても、基板10に実装される発熱素子PEの配置やパターン配線のレイアウトなどが変更される場合であれ、それらの変更に合わせて放熱プレート400の配設位置を変更することのみによって、上記放熱構造を簡易且つ確実に実現することができる。
【0111】
また、この第4の実施の形態では、上述のように、放熱プレート400の熱伝導面400aに上記絶縁ゴムパッド410を備える構造としたことで、基板10の実装裏面10aとの密着性も高められることとなり、その放熱性能のさらなる向上が期待される。
【0112】
次に、図19および図20を併せ参照して、この実施の形態の電子制御装置に採用されている放熱プレート400の構造(形状)についてさらに詳述する。
図19にその平面構造を示すように、上記放熱プレート400は、略四角形状の熱伝導面400aを有しており、その裏面には、同図に破線で示すように3本の補強リブ400bがそれぞれ平行に形成されている。そして、熱伝導面400aの補強リブ400bが延伸された側の両端には、板ばねとして機能する上記脚部400cが形成されており、さらにこの脚部400cの先端縁部には平滑部400dが形成されている。また、上記熱伝導面400aの上面には、絶縁ゴムパッド410が配設されている。この絶縁ゴムパッド410は、上記熱伝導面400aに形成されている孔400eを通じて該熱伝導面400aに固定されるようになる。
【0113】
ここで、図19のA−A線に沿った断面図として図20に示されるように、上記脚部400cは、熱伝導面400aに略「ハ」の字状に延設されており、その先端に断面略半円状の平滑部400dが形成されている。この平滑部400dも前述したように、ケース11の内底面11aとの間で滑りを生じさせることによって上記脚部400cの該内底面11a上での摺動を促進する。
【0114】
また、同じく図20に示されるように、上記絶縁ゴムパッド410には、上記熱伝導面400aの孔400eの形状に対応した突起410aが形成されている。そして、この突起410aが、上記放熱プレート400の孔400eに嵌合されることにより、上記絶縁ゴムパッド410が放熱プレート400に固定される。
【0115】
以上説明したように、この第4の実施の形態によっても、先の第3の実施の形態の前記(1)〜(4)の効果に準じた効果を得ることができるようになる。
また、特にこの第4の実施の形態では、基板10と放熱プレート400との間に絶縁ゴムパッド410を介在させる構造としたことにより、基板10内での、あるいは基板10と放熱プレート400(ケース11)との間での電気的な短絡なども防止される。このため、上記放熱プレート400を配設するに際しての自由度がより高められるようになり、ひいては部品実装やパターン配線のレイアウト等にかかる自由度もさらに向上されるようになる。さらに、この第4の実施の形態では、絶縁ゴムパッド410によって、基板10の実装裏面10aと放熱プレート400の熱伝導面400aとの密着性も高められるようになり、放熱性能のさらなる向上も期待できる。
【0116】
なお、この第4の実施の形態にかかる電子制御装置に関しても、先の第1の実施の形態について補足した前記変形例1を適用することが可能であり、この変形例1特有の効果についても、これを併せて得ることができるようになる。そしてこの場合にも、先の図4および図5に示したリブ21bの配設間隔、すなわちピッチP1およびピッチP2のいずれか一方を、上記脚部400cの弾性変形後の開脚幅を見込んで予め長めに設定しておくこととなる。
【0117】
(他の実施の形態)
なお、以上説明した各実施の形態は、例えば次のように変形して実施することもできる。
【0118】
・上記第1の実施の形態では、放熱プレート100の熱伝導面100aに突出加工したばね機構Sを設けるようにした。しかし、ばね機構Sはこうした態様に限らず、例えば適宜のばね機構を別途、上記熱伝導面100aに装着するようにしてもよい。要は、弾性変形を通じて基板10の実装裏面10aとケース11の内底面11aとを密着させることができるものであれば、適宜採用することができる。
【0119】
・上記第1および第2の実施の形態では、放熱プレート(100、200)に設けられたフランジ(100b、200b)とケース11の内底面11aとを当接させる構造としたが、放熱プレート(100、200)のケース11への取り付け態様はこれに限らず適宜に変更してもよい。すなわち、放熱プレート(100、200)に必ずしも上記フランジ(100b、200b)を形成しなくとも、上記放熱構造を実現することは可能である。
【0120】
・上記第3および第4の実施の形態では、放熱プレート(300、400)のの脚部(300c、400c)の先端縁部に断面略半円状の平滑部(300d、400d)を設ける構造とした。しかし、こうした平滑部(300d、400d)は、上記脚部(300c、400c)の筐体内での水平方向への弾性変形を促進することができる形状であれば、適宜に変更してもよい。
【0121】
・一方、上記平滑部(300d、400d)に代えて、上記放熱プレート(300、400)の脚部(300c、400c)の先端縁部にフランジを形成する構造としてもよい。ちなみにこの場合、上記フランジは、上記脚部(300c、400c)の弾性変形後にケース11の内底面11aに密着されるようにその配設角度が調整されることが望ましい。
【0122】
・他方、上記放熱プレート(300、400)において、上記脚部(300c、400c)としての弾性変形が十分に維持される場合には、上記平滑部(300d、400d)の配設を割愛した構造とすることもできる。
【0123】
・上記各実施の形態では、放熱プレートの形状として、有底筒状の放熱プレート(100、110、120、200)や、脚部を有する放熱プレート(300、400)を採用した。しかし、こうした放熱プレートの形状はこれに限ることなく、適宜変更することができる。要は、基板10の実装裏面10aとケース11の内底面11aとの間に、基板10の面方向と平行な方向への位置変更が可能に介在される態様であれば、上記放熱構造を実現することは可能である。
【0124】
・上記各実施の形態では、筐体を構成するケース内に基板10が内装される構造の電子制御装置を例に説明した。しかし、この発明にかかる電子制御装置は、これに限らず、例えば先の図22に例示したような基板から筐体に直接放熱する構造を備えた電子制御装置などにも適用することができる。
【0125】
・また、上記各実施の形態では、説明の便宜上、放熱プレートの熱伝導面の形状を略四角形状としたが、この熱伝導面の形状は所望する放熱構造に応じて適宜変更して実施することができる。なおこの場合には、先の変形例1〜3として例示したガイド手段に関しても、それらの変更に応じてその配設態様を決定することが望ましい。
【0126】
・上記実施の形態では、放熱プレートを基板10の実装裏面10aとケース11の内底面11aとの間に配設する場合について説明したが、この放熱プレートは、発熱素子PEと筐体(ケース11または蓋12)との間に配設するようにしてもよい。この場合であっても、発熱素子PEから発せられる熱を直接筐体に放熱することができるようになるため、発熱素子PEの蓄熱を抑制することができ、ひいては発熱素子PEの誤動作、故障等の発生も抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかる電子制御装置の第1の実施の形態について、その全体の断面構造を模式的に示す断面図。
【図2】同第1の実施の形態に用いられる放熱プレートの平面構造を示す平面図。
【図3】図2のA−A線に沿った断面図。
【図4】上記電子制御装置の変形例1について、その全体の断面構造を模式的に示す断面図。
【図5】図4のA−A線に沿った断面図。
【図6】上記電子制御装置の変形例2について、その全体の断面構造を模式的に示す断面図。
【図7】同変形例2に用いられる放熱プレートの平面構造を示す平面図。
【図8】図6のA−A線に沿った断面図。
【図9】上記電子制御装置の変形例3について、その全体の断面構造を模式的に示す断面図。
【図10】(a)は、同変形例3に用いられる放熱プレートの平面構造を示す平面図。(b)は、同放熱プレートの側面構造を示す側面図。
【図11】図9のA−A線に沿った断面図。
【図12】この発明にかかる電子制御装置の第2の実施の形態について、その全体の断面構造を模式的に示す断面図。
【図13】同第2の実施の形態に用いられる放熱プレートの平面構造を示す平面図。
【図14】図13のA−A線に沿った断面図。
【図15】この発明にかかる電子制御装置の第3の実施の形態について、その全体の断面構造を模式的に示す断面図。
【図16】同第3の実施の形態に用いられる放熱プレートの平面構造を示す平面図。
【図17】(a)は、図16のA−A線に沿った断面図。(b)は、同放熱プレートの作動態様を示す側面図。
【図18】この発明にかかる電子制御装置の第4の実施の形態について、その全体の断面構造を模式的に示す断面図。
【図19】同第4の実施の形態に用いられる放熱プレートの平面構造を示す平面図。
【図20】図19のA−A線に沿った断面図。
【図21】従来の電子制御装置の放熱構造の一例を模式的に示す断面図。
【図22】従来の電子制御装置の放熱構造の一例を模式的に示す断面図。
【符号の説明】
10…基板、10a…実装裏面、11、21、31、41…ケース、11a、21a、31a、41a…内底面、12、22、32、42…蓋、21b…リブ、31b…凸部、41b…凹部、13、23、33、43…基板支持部、14、24、34、44…ねじ、100、110、120、200、300、400…放熱プレート、100a、110a、120a、200a、300a、400a…熱伝導面、100b、110b、120b、200b、…フランジ、210、410…絶縁ゴムパッド、200c…孔、300b、400b…補強リブ、300c、400c…脚部、300d、400d…平滑部、400e…孔、210a、410a…突起、C…切り欠き、S…ばね機構、T…凸部。
Claims (14)
- 各種の電子部品が実装された基板と、該基板が内装される筐体とを有して構成される電子制御装置において、
前記基板および該基板に実装された電子部品の少なくとも一方と前記筐体との間に前記基板の面方向と平行な方向への位置変更が可能に介在されて、前記基板に蓄積される熱および該基板に実装された電子部品から発せられる熱の少なくとも一方を前記筐体に放熱する放熱プレートを備える
ことを特徴とする電子制御装置。 - 前記放熱プレートは、前記基板および該基板に実装された電子部品の少なくとも一方と対向する面を底とする有底筒状に形成されてなるとともに、前記基板および該基板に実装された電子部品の少なくとも一方と対向する面に熱伝導性の弾性体を備え、該弾性体の弾性変形を通じて前記基板および該基板に実装された電子部品の少なくとも一方と密着される
請求項1に記載の電子制御装置。 - 前記弾性体が、ばね機構からなる
請求項2に記載の電子制御装置。 - 前記ばね機構が、前記放熱プレートの前記基板および該基板に実装された電子部品の少なくとも一方と対向する面を突出加工した多数の板ばねからなる
請求項3に記載の電子制御装置。 - 前記弾性体が、前記放熱プレートの表面に設けられた絶縁ゴムパッドからなる
請求項2に記載の電子制御装置。 - 前記放熱プレートの前記筐体と当接される縁部には、同筐体に密着されるフランジが設けられてなる
請求項1〜5のいずれかに記載の電子制御装置。 - 前記筐体の前記放熱プレートとの当接面には、前記放熱プレートの位置決めを補助するための1乃至複数のガイド手段が設けられてなる
請求項1〜6のいずれかに記載の電子制御装置。 - 前記ガイド手段が、前記筐体の前記放熱プレートとの当接面に形成された凸部と、該凸部に係合するように前記放熱プレートに設けられた切り欠きもしくは凹部とを有して構成される
請求項7に記載の電子制御装置。 - 前記ガイド手段が、前記筐体の前記放熱プレートとの当接面に形成された凹部と、該凹部に係合するように前記放熱プレートに設けられた凸部とを有して構成される
請求項7に記載の電子制御装置。 - 前記ガイド手段が、前記筐体の前記放熱プレートとの当接面に形成されたリブを有して構成される
請求項7に記載の電子制御装置。 - 前記放熱プレートは、前記基板および該基板に実装された電子部品の少なくとも一方と対向する面の裏面に補強リブを備えるとともに、該裏面の両側から同裏面側に略「ハ」の字状に延設されて板ばねとして機能する脚部を備え、該脚部の弾性変形を通じて前記基板および該基板に実装された電子部品の少なくとも一方と密着される
請求項1に記載の電子制御装置。 - 前記脚部の前記筐体と当接される先端縁部には、該脚部の弾性変形を補助する平滑部が設けられてなる
請求項11に記載の電子制御装置。 - 前記放熱プレートの前記基板および該基板に実装された電子部品の少なくとも一方と対向する面には、絶縁ゴムパッドが設けられてなる
請求項11または12に記載の電子制御装置。 - 前記筐体の前記放熱プレートとの当接面には、該放熱プレートの位置決めを補助するための1乃至複数のリブが設けられてなる
請求項11〜13のいずれかに記載の電子制御装置。
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