JP2004335151A - セラミックヒータ - Google Patents

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Yasutaka Ito
康隆 伊藤
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Abstract

【課題】加熱面の温度が均一になるまでにかかる時間を短縮することができるセラミックヒータを提供する。
【解決手段】その内部または底面に抵抗発熱体が設けられたセラミック基板からなるセラミックヒータにおいて、セラミック基板の表面には粗化面が形成されてなり、さらに、粗化面上にプラズマ耐食層が形成されてなり、プラズマ耐食層が下記式(1)の条件を満たすことを特徴とするセラミックヒータ。
0.015(mm)≦ D×D/R ≦20000(mm)・・・(1)
(式(1)中、D(μm)は、セラミック基板の表面における前記プラズマ耐食層の厚さであり、D(mm)は、セラミック基板の厚さであり、Ry(μm)は、セラミック基板の表面粗さを示すJIS B 0601に基づく最大高さである。)
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種被加熱物の加熱に使用することができるセラミックヒータに関する。より詳しくは、主に半導体産業におけるシリコンウエハの加熱等の用途や、光分野における液晶基板の加熱等の用途に好適に使用することができるセラミックヒータに関する。
【0002】
【従来の技術】
プラズマエッチング装置やプラズマ化学的気相成長装置等を含むプラズマ利用の半導体製造装置等においては、窒化アルミニウムからなるセラミックヒータが用いられてきた。窒化アルミニウムは、プラズマに対する耐食性に優れるからである。
また、窒化アルミニウムの耐食性をより向上させるために、窒化アルミニウムからなる基板の表面にフッ素化合物層をコートする技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
さらに、窒化アルミニウムからなる基板の表面に、特定配向を有する炭化ケイ素をコートしてハロゲンプラズマに対する耐食性を改善する技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特許第3362113号公報
【特許文献2】
特開2000−355779号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなプラズマ耐食層をセラミックヒータの表面に形成した場合、加熱面の温度が均一になるまでに時間がかかってしまうという問題を抱えていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、鋭意研究を行った結果、このような問題は、プラズマ耐食層の熱伝導率が低いことに起因していることを知見するに至った。さらに、本発明者らは、この問題を解決することを目的に研究を進めた結果、セラミック基板の表面を粗化し、プラズマ耐食層との接触面積を拡大させることにより、加熱面の温度が均一化するまでの時間を短縮することができることを知見し、本発明を完成するに至った。
【0006】
本発明は、その内部または底面に抵抗発熱体が設けられたセラミック基板からなるセラミックヒータであって、
上記セラミック基板の表面には粗化面が形成されてなり、
さらに、上記粗化面上にプラズマ耐食層が形成されてなり、上記プラズマ耐食層が下記の式(1)の条件を満たすことを特徴とするセラミックヒータである。
0.015(mm)≦ D×D/R ≦20000(mm)・・・(1)
(式(1)中、D(μm)は、上記セラミック基板の表面における上記プラズマ耐食層の厚さであり、D(mm)は、上記セラミック基板の厚さであり、R(μm)は、上記セラミック基板の表面粗さを示すJIS B 0601に基づく最大高さである。)
【0007】
本発明のセラミックヒータによれば、セラミック基板の表面にプラズマ耐食層が形成されているため、上記プラズマ耐食層がセラミック基板等の表面保護膜として機能し、セラミック基板のプラズマ耐食性を向上させる。これにより、セラミック基板は、反応性ガスやハロゲンガス等のプラズマに長期間曝され続けた場合であっても、表面が腐食されず、セラミック基板からセラミック粒子が脱落してパーティクルが発生し、シリコンウエハ等の被処理物に付着して、汚染が発生することを防止することができる。
【0008】
また、本発明のセラミックヒータによれば、セラミック基板上には、粗化面が形成され、その上にプラズマ耐食層が形成されて、プラズマ耐食層とセラミック基板との接触面積が大きいため、セラミック基板からプラズマ耐食層への熱伝導が良好となり、加熱面の温度が均一化するまでの時間を短縮することができる。
【0009】
なお、上記式(1)において、セラミック基板の表面における上記プラズマ耐食層の厚さDとしては、例えば、セラミックヒータにおける任意の箇所の断面SEM写真を10枚撮影し、撮影された1枚のSEM写真におけるプラズマ耐食層の表面からセラミック基板までの距離のうち、最も大きいものを選択してdとし、10枚のSEM写真についての選択された距離d〜d10の平均値をDとして用いることができる。
【0010】
また、セラミック基板の表面粗さを示すJIS B 0601に基づく最大高さ(以下、単に最大高さともいう)Rについても、例えば、セラミックヒータにおける任意の箇所の断面SEM写真を10枚撮影し、撮影された1枚のSEM写真における最大高さrを求めた後、10枚のSEM写真について求められた最大高さr〜r10の平均値をRとして用いることができる。
【0011】
プラズマ耐食層としては特に限定されないが、例えば、イットリウム化合物からなる層、フッ素化合物からなる層、配向性を示す炭化ケイ素等からなる層等が望ましい。
【0012】
なお、上述したイットリウム化合物および/またはフッ素化合物からなる層は、例えば、スパッタリング法等により形成することができる。具体的には、例えば、試料を真空槽にセットし、1×10−3Paまで排気した後、分圧が0.5PaのHeガス、0.1PaのOガスを上記真空槽に導入し、NaAlFと三フッ化塩化エチレン樹脂の複合体をカソード上に配置したものをターゲットとして用い、高周波マグネトロンスパッタリング法により、AlFからなる層を形成することができる。
【0013】
また、上述した配向性を示す炭化ケイ素からなる層は、例えば、化学気相蒸着法等により形成することができる。上記化学気相蒸着法では、例えば、CVD法により、温度1300℃、真空度250Torrの条件下、反応ガスとしてメチルトリクロロシラン(CHSiCl、濃度:4〜7%)、キャリアガスとして水素およびアルゴンを供給し、熱分解させることにより、厚み4mm程度のβ−SiCの結晶構造を有するCVD−SiC(炭化ケイ素)層を形成することができる。
【0014】
上記配向性を示す炭化ケイ素からなる層は、(111)配向性を示すことが望ましい。なお、(111)配向性を示すとは、炭化ケイ素の(111)面が被膜面の表面に対してほぼ平行に配向していることを意味し、炭化ケイ素の(111)面が被膜面の表面に対して完全な平行から多少ずれた状態で配向している場合も含む。また、炭化ケイ素からなる層の大部分が(111)配向性を示している場合も含む。
CVD−SiC(炭化ケイ素)膜は、形成条件によって異なった配向性を示し、例えば、反応ガスであるメチルトリクロロシラン(CHSiCl)の濃度が4%であると、(220) 配向性を示すCVD−SiC(炭化ケイ素)膜が形成され、メチルトリクロロシランの濃度が7%であると、(111)配向性を示すCVD−SiC(炭化ケイ素)膜が形成される。
【0015】
CVD−SiC(炭化ケイ素)膜の配向性の分析には、X線回折法を利用する。測定に利用するX線回折装置としては、リガクRINT−2000型等を挙げることができる。X線管回折の光源は、CuKα1である。測定方法としては、まず、炭化ケイ素からなる層によって被覆された大きさ10mm×10mm×15mmのセラミックス基板を炭化ケイ素からなる層にX線が照射されるように金属製の試料ホルダーに固定し、この試料が固定された試料ホルダーをゴニオメーターの試料台にセットする。なお、ゴニオメーターでは、検出器が試料台の2倍の速さで回転するようにできているので、結晶に対するX線の入射角と反射角とは常に等しい。次に、X線管球に冷却水を流して装置の電源を入れ、電圧を徐々に上げて40kVとし、電流調節つまみを回して30mAに設定する。その後、各条件を設定して測定を行う。なお、測定条件としては、例えば、発散スリットは1°、スキャッタスリットは1.26mm、受光スリットは0.3mm、モノクロメータ受光スリットは0.8mm、カウンタはシンチレーションカウンタ、モノクロメータは湾曲型モノクロメータ、走査角度範囲は30〜70°、スキャン速度は3°/min, サンプリング幅 は0.02°とする。測定時に、X線管球から一次X線は発散スリットを通って、ゴニオメーターの回転軸上にある試料面を照射する。回折X線は受光スリットと発散スリットを通って計数管に達する。
なお、上述した測定方法により、(111)配向性を示すCVD−SiC(炭化ケイ素)膜について測定を行った結果を図10に示した。
【0016】
また、本発明のセラミックヒータでは、表面保護膜であるプラズマ耐食層は、上記式(1)の関係を満たすように形成される。
上記式(1)は、プラズマ耐食層の厚さDがセラミック基板の厚さDに対して大きくなると、最大高さRを大きくする必要があることを意味する。プラズマ耐食層の厚さDがセラミック基板の厚さDに対して大きくなると熱伝導率が低下して、加熱面の温度を均一にするまでの時間が長くなってしまうことから、粗化面を粗くしてセラミック基板の表面とプラズマ耐食層との接触面積を大きくし、加熱面の温度均一化に必要な時間を短縮するのである。
また、プラズマ耐食層の厚さDがセラミック基板の厚さDに対して大きくなった場合、最大高さRを大きくすることで、プラズマ耐食層が剥離したり、プラズマ耐食層にクラックが発生したりすることを防止することができる。
【0017】
最大高さRが大きすぎて、D×D/Rが0.015(mm)よりも小さくなってしまうと、粗化面が粗すぎるため、粗化面部分の温度上昇に時間を要してしまうこととなる。また、プラズマ耐食層の厚さDが小さすぎて、D×D/Rが0.015(mm)よりも小さくなってしまうと、プラズマ耐食層の厚さが薄すぎるため、プラズマ耐食層が剥離したり、プラズマ耐食層にクラックが発生したりしてしまう。
【0018】
一方、最大高さRが小さすぎて、D×D/Rが20000(mm)を超えてしまうと、粗化面が平坦すぎるため、プラズマ耐食層が剥離したり、プラズマ耐食層にクラックが発生したりしてしまう。
また、Dが大きすぎて、D×D/Rが20000(mm)を超えてしまうと、プラズマ耐食層が厚すぎるため、温度上昇に時間を要してしまう。
【0019】
また、本発明のセラミックヒータでは、プラズマ耐食層の厚さDが最大高さR以上であることが望ましい。プラズマ耐食層の厚さDが最大高さR未満の値であると、プラズマ耐食層の表面が平滑とならずに、セラミックヒータの加熱面に凹凸が形成されてしまい、半導体ウエハ等の被加熱物と、セラミックヒータの加熱面との密着性が低下したり、反応性ガスやハロゲンガス等の滞留を招きやすくなったりしてしまうからである。
【0020】
また、本発明のセラミックヒータでは、セラミック基板に高周波電極が埋設されていることが望ましい。セラミックヒータ上に載置した半導体ウエハ等を処理する際、雰囲気ガスのプラズマを発生させることができるからである。
【0021】
さらに、本発明のセラミックヒータでは、セラミック基板の底面に、略筒状のセラミック体が接合されていることが望ましい。抵抗発熱体等からの配線を上記セラミック体の内部に格納することにより、上記配線が反応性ガスやハロゲンガス等の腐食性ガスに曝されて、腐食してしまうことを防止することができるからである。
【0022】
本発明のセラミックヒータでは、上記セラミック基板には、さらに静電電極が設けられていることが望ましい。
静電チャックは、腐食性の雰囲気で使用されることが多いので、上述のセラミック基板とセラミック体とが接合され、表面保護膜としてプラズマ耐食層が、上記式(1)の関係を満たすように形成された構造が好適だからである。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施の形態に則して説明する。なお、本発明は、この記載に限定されることはない。
【0024】
本発明のセラミックヒータは、その内部または底面に抵抗発熱体が設けられたセラミック基板からなるセラミックヒータであって、
上記セラミック基板の表面には粗化面が形成されてなり、
さらに、上記粗化面上にプラズマ耐食層が形成されてなり、上記プラズマ耐食層が下記の式(1)の条件を満たすことを特徴とするセラミックヒータである。
0.015(mm)≦ D×D/R ≦20000(mm)・・・(1)
(式(1)中、D(μm)は、上記セラミック基板の表面における上記プラズマ耐食層の厚さであり、D(mm)は、上記セラミック基板の厚さであり、Ry(μm)は、上記セラミック基板の表面粗さを示すJIS B 0601に基づく最大高さである。)
【0025】
図1は、本発明のセラミックヒータの一例を模式的に示す垂直断面図である。図2は、図1に示したセラミックヒータのA−A線断面図である。
なお、セラミック基板11およびセラミック体17とプラズマ耐食層200との境界は、粗化されているのだが、図1は模式図であるため、粗面としての表現を省略している。
【0026】
図1に示すように、本発明のセラミックヒータ10は、セラミック基板11の底面11bの中央付近に、略筒状のセラミック体17が接合されて構成されており、本発明のセラミックヒータ10の表面には、プラズマ耐食層200としてイットリウム化合物および/またはフッ素化合物からなる層、または、配向性を示す炭化ケイ素からなる層が上記式(1)の関係を満たすように形成されており、セラミック基板11の内部には、抵抗発熱体12、抵抗発熱体12の端部の直下に形成されたスルーホール13、および、スルーホール13をセラミック基板11の底面11bに露出させるための袋孔(図示せず)が形成されている。また、セラミック基板11の内部には、高周波電極112が形成されるとともに、高周波電極112の端部の直下に、スルーホール113、および、スルーホール113をセラミックヒータ11の底面11bに露出させるため袋孔(図示せず)が形成されている。
スルーホール13、113は、半田層(図示せず)を介してT字形状の外部端子23と接続されている。なお、本明細書において、スルーホールとは、抵抗発熱体や、後述する高周波電極や、静電電極等と、外部端子とを接続するために形成された孔の内部に導体が充填されたものをいう。
また、外部端子23には導電線24を有するソケット25が取り付けられてセラミック体17の内部に収納されており、導電線24は、支持容器の底板(図示せず)に形成された貫通孔から外部に引き出され、電源等(図示せず)と接続されている。さらに、セラミック基板11の底面11bには、セラミック基板11の温度を測定するためのリード線26が接続された測温素子180が埋設された有底孔14が形成されている。
なお、プラズマ耐食層200は、セラミック体17を含むセラミックヒータ10の全体に形成されていてもよく、セラミック基板11の表面のみに形成されていてもよい。
【0027】
また、図2に示すように、本発明のセラミックヒータ10では、セラミック基板11の内部に埋設された抵抗発熱体12は、セラミック基板11の中心付近から外周方向へ同心円状に連続する回路を形成し、抵抗発熱体12の端部は、セラミック基板11の中心付近に形成されている。
【0028】
本発明のセラミックヒータ10を半導体製造・検査装置に応用する場合には、セラミック基板11は、通常、底板を備えた支持容器の上部に、セラミック体17のセラミック基板11と対向する側の端部が上記底板に密着するように固定される。これにより、セラミック体17の内側と外側とは完全に隔離され、反応容器の内部にセラミックヒータ10が設置され、セラミック基板11の周囲が反応性ガスやハロゲンガス等の腐食性ガス雰囲気とされた場合であっても、セラミック体17の内部に収納された外部端子23等は、直接上記腐食性ガスと触れることがなく、腐食されることがない。さらに、セラミック体17は、セラミック基板11をしっかりと支持する働きも有するので、セラミック基板11が高温に加熱された際にも、自重により反ることを防止することができ、その結果、半導体ウエハ等の被加熱物の破損を防止するとともに、被加熱物を均一な温度になるように加熱することができる。
【0029】
また、セラミック基板11の温度を測定するための測温素子180に接続されたリード線26は、セラミック体17の内部に収納されていることが望ましく、セラミック体17の外部に設けられる場合には、碍子等により保護されることが望ましい。セラミックヒータ10の周囲が反応性ガスやハロゲンガス等を含む雰囲気となっている状態であっても、リード線26が腐食されることがないようにするためである。
【0030】
本発明のセラミックヒータでは、セラミック基板の表面にプラズマ耐食層が上記(1)式を満たすように形成されている。上記プラズマ耐食層としては特に限定されず、例えば、イットリウム化合物、フッ素化合物、配向性を有する炭化ケイ素等を挙げることができる。
【0031】
上記イットリウム化合物としては特に限定されず、例えば、窒化イットリウム(YN)、炭化イットリウム(YC)、酸化イットリウム、フッ化イットリウム等を挙げることができる。
上記フッ素化合物としては特に限定されず、例えば、フッ化マグネシウム、フッ化アルミニウム、フッ化カルシウム等を挙げることができる。
【0032】
上記イットリウム化合物および/またはフッ素化合物からなる層、または、配向性を示す炭化ケイ素からなる層(プラズマ耐食層)の厚さDとしては特に限定されないが、望ましい下限は0.1μm、望ましい上限は100μmである。0.1μm未満であると、プラズマ耐食層としての効果を充分に得ることができずにセラミック基板等の耐腐食性が劣ったり、加熱面における温度の均一性が低下したりすることがある。一方、100μmを超えると、セラミック基板の内部に設けられた抵抗発熱体からプラズマ耐食層の表面への伝熱性が低下したり、プラズマ耐食層の形成工程の作業効率が低下したりすることがある。
【0033】
上記プラズマ耐食層を形成する方法としては特に限定されず、原料水溶液を塗布する等して、セラミック基板等の表面に直接形成してもよいし、セラミック基板等の内部に含有されるイットリウム化合物および/またはフッ素化合物をセラミック基板等の表面に露出させて層状にしてもよいが、例えば、化学蒸着法(化学気相成長法、CVD法)や、スパッタリング法等が好適に用いられる。
上記化学蒸着法は、高温に加熱されたセラミック基板等を含む雰囲気中にイットリウム原子および/またはフッ素原子を含む化合物ガス、または、ケイ素原子と炭素原子とを含む化合物ガスを流し、化学反応を利用して目的の組成のイットリウム化合物および/またはフッ素化合物からなる層、または、配向性を示す炭化ケイ素からなる層をセラミック基板等の表面に析出させる方法である。また、セラミック基板をハロゲンプラズマ中に曝露することによりプラズマ耐食層を形成してもよい。
【0034】
なお、上記イットリウム化合物および/またはフッ素化合物からなる層、または、配向性を示す炭化ケイ素からなる層(プラズマ耐食層)の厚さは、イットリウム原子および/またはフッ素原子を含む化合物ガス、または、ケイ素原子と炭素原子とを含む化合物ガスの組成、その流量および層の析出時間により調整することができる。
【0035】
本発明のセラミックヒータにおいて、セラミック基板11を構成するセラミック材料としては特に限定されず、例えば、窒化物セラミック、炭化物セラミック、酸化物セラミック等が挙げられる。
上記窒化物セラミックとしては、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等が挙げられる。上記炭化物セラミックとしては、例えば、炭化ケイ素、炭化ジルコニウム、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化タンタル、炭化タングステン等が挙げられる。上記酸化物セラミックとしては、例えば、アルミナ、シリカ、コージェライト、ムライト、ジルコニア、ベリリア等が挙げられる。これらのセラミック材料は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0036】
これらのなかでも、窒化物セラミックや炭化物セラミックが望ましい。上記窒化物セラミックや炭化物セラミックは、熱膨張係数が金属より小さく、機械的な強度が金属に比べて格段に高いので、セラミック基板の厚さを薄くしても加熱により反ったり歪んだりせず、セラミック基板を薄くて軽いものとすることができる。また、セラミック基板を薄くすることにより、セラミック基板は熱伝導率が高いので、電圧、電流量を変えて抵抗発熱体の温度を変化させると、セラミック基板の表面温度が抵抗発熱体の温度変化に迅速に追従し、セラミックヒータの表面温度の制御が容易になる。
より望ましくは、窒化アルミニウムまたは炭化ケイ素である。耐熱性や機械的特性に優れるとともに、熱伝導率も高いからである。さらに望ましくは窒化アルミニウムである。熱膨張率が180W/m・Kと高く、セラミック基板の温度追従性が最も優れたものとなるからである。
【0037】
上記セラミック材料は、焼結助剤を含有していてもよい。上記焼結助剤としては、例えば、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、希土類酸化物等が挙げられる。これらのなかでは、CaO、Y、NaO、LiO、RbOが望ましい。また、セラミック材料として炭化ケイ素を用いる場合には、BC、C、AlNが望ましい。上記焼結助剤の含有量の望ましい下限は0.1重量%、望ましい上限は20重量%である。なお、上記セラミック材料は、アルミナを含有していてもよい。
【0038】
上記セラミック基板は、カーボンを100〜5000ppm含有することが望ましい。カーボンを100〜5000ppm含有することにより、上記セラミック基板は、明度をJIS Z 8721の規定に基づく値でN6以下にすることができるからであり、このような明度を有するセラミック基板は、輻射熱量、隠蔽性に優れる。また、このようなセラミック基板から構成されるセラミックヒータは、サーモビュアにより、正確な表面温度測定が可能となる。
ここで、明度のNは、理想的な黒の明度を0とし、理想的な白の明度を10とし、これらの黒の明度と白の明度との間で、その色の明るさの知覚が等歩度となるように各色を10分割し、N0〜N10の記号で表示したものである。
そして、実際の測定は、N0〜N10に対応する色票と比較して行う。この場合の小数点1位は0または5とする。
【0039】
上記カーボンとしては、非晶質のものと結晶質のものとがある。上記非晶質のカーボンは、セラミック基板の高温における体積抵抗率の低下を抑制することでき、上記結晶質のカーボンは、セラミック基板の高温における熱伝導率の低下を抑制することができるため、製造するセラミック基板の目的等に応じて適宜カーボンの種類を選択することができる。
【0040】
上記非晶質のカーボンは、例えば、C、H、Oだけからなる炭化水素、望ましくは糖類を空気中で焼成することにより得ることができ、上記結晶質のカーボンとしては、例えば、グラファイト粉末等を用いることができる。
また、アクリル系樹脂を不活性雰囲気下で熱分解した後、加熱加圧することによりカーボンを得ることができるが、熱分解に用いるアクリル系樹脂の酸価を変化させることにより、結晶性(非晶性)の程度を調整することもできる。
【0041】
セラミック基板11の気孔率は、0または5%以下であることが望ましい。高温での熱伝導率の低下、反りの発生を抑制することができるからである。
上記気孔率はアルキメデス法により測定することができる。
【0042】
セラミック基板11の形状は、図2〜4に示したような円板形状が望ましく、その直径は200mm以上であることが望ましく、より望ましくは250mm以上である。このような大きな直径を持つセラミック基板は、上記セラミックヒータを半導体製造・検査装置用セラミックヒータとして用いる場合に、大口径の半導体ウエハを載置することができるからである。
【0043】
セラミック基板11の厚さDの望ましい下限は2mmであり、望ましい上限は20mmである。2mm未満であると、セラミック基板の強度自体が低下するため破損しやすくなる。一方、20mmを超えると、温度追従性が低下することがある。より望ましい下限は3mmであり、より望ましい上限は16mmである。3mm未満であると、セラミック基板中を伝搬する熱が充分に拡散しないため加熱面に温度のばらつきが発生することがあり、また、セラミック基板の強度が低下して破損する場合がある。一方、16mmを超えると、セラミック基板中を熱が伝搬しにくくなり、加熱の効率が低下する傾向がある。
【0044】
セラミック基板11のJIS B 0601に基づく表面の最大高さRの望ましい下限は0.1μmであり、望ましい上限は100μmである。0.1μm未満であると、プラズマ耐食層が剥離しやすくなる。100μmを超えると、プラズマ耐食層の表面が平滑とならずに被処理物を均一な面で加熱することができなくなったり、セラミック基板が破損しやすくなったりする。
【0045】
本発明のセラミックヒータにおいて、セラミック基板の内部に抵抗発熱体を形成する際には、導体ペーストを用いることが好ましい。
即ち、セラミック基板の内部に抵抗発熱体を形成する際には、グリーンシート上に導体ペースト層を形成した後、グリーンシートを積層、焼成することにより、セラミック基板の内部に抵抗発熱体を作製することが望ましい。
【0046】
上記導体ペーストとしては特に限定されないが、導電性を確保するため金属粒子または導電性セラミック粒子を含有しており、さらに樹脂、溶剤、増粘剤等を含有しているものが望ましい。
【0047】
上記金属粒子としては、例えば、金、銀、白金、パラジウム等の貴金属;鉛、タングステン、モリブデン、ニッケル等からなる粒子であることが望ましい。これらの金属は、比較的酸化しにくく、発熱するに充分な抵抗値を有するからである。これらの金属粒子は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記導電性セラミック粒子としては、例えば、タングステン、モリブデンの炭化物等からなる粒子が挙げられる。これらの導電性セラミック粒子は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0048】
上記金属粒子または導電性セラミック粒子の粒径の望ましい下限は0.1μm、望ましい上限は100μmである。0.1μm未満であると、酸化されやすくなる。一方、100μmを超えると、焼結しにくくなり、抵抗値が大きくなる。
【0049】
上記金属粒子または導電性セラミック粒子の形状としては特に限定されず、例えば、球状、リン片状等が挙げられる。上記球状物と上記リン片状物との混合物であってもよい。上記金属粒子がリン片状物、または、球状物とリン片状物との混合物である場合には、金属粒子間の金属酸化物を保持しやすくなり、抵抗発熱体とセラミック基板との密着性を向上し、かつ、抵抗値を大きくすることができるため有利である。
【0050】
上記導体ペーストに使用される樹脂としては特に限定されず、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。上記導体ペーストに使用される溶剤としては特に限定されず、例えば、イソプロピルアルコール等が挙げられる。上記導体ペーストに使用される増粘剤としては特に限定されず、例えば、セルロース等が挙げられる。
【0051】
本発明のセラミックヒータにおいて、セラミック基板の内部に高周波電極を形成する際には、導体ペーストを用いることが望ましい。即ち、上述した抵抗発熱体と同様に、セラミック基板の内部に高周波電極を形成する際には、グリーンシート上に導体ペースト層を形成した後、グリーンシートを積層、焼成することにより、セラミック基板の内部に高周波電極を作成することが望ましい。
なお、高周波電極の形成に用いられる導体ペーストとしては、抵抗発熱体を形成する際に用いられる導体ペーストと同様の導体ペーストを用いることが可能である。
【0052】
図3、図4は、本発明のセラミックヒータを構成する抵抗発熱体の別の一例をそれぞれ模式的に示す水平断面図である。
上記抵抗発熱体のパターンとしては特に限定されず、例えば、図2に示す略同心円状の抵抗発熱体12のほかに、図3に示す略扇型のパターンをセラミック基板の円周方向に等間隔に配置した抵抗発熱体32(32a〜32e)、図4に示す同心円形状と屈曲線状とを組み合わせた抵抗発熱体42(42a〜42p)、渦巻き形状、偏心円形状、これらを組み合わせたもの等が挙げられる。
【0053】
図3に示すセラミックヒータ30では、セラミック基板31の内部に抵抗発熱体32が埋設されており、抵抗発熱体32は、略扇型の抵抗発熱体32a〜32eに分割されてセラミック基板31の円周方向に等間隔で配置されている。
各抵抗発熱体32a〜32eは、それぞれセラミック基板31の中心付近から外周方向に向かって形成された大きさの異なる複数の屈曲線の繰り返しパターンにより略扇型となっており、各略扇型の抵抗発熱体32a〜32e内で隣り合う屈曲線の繰り返しパターンは、それぞれ接続されて一の回路を形成し、抵抗発熱体32a〜32eの端部は、セラミック基板31の中心付近に形成されている。
【0054】
図4に示すセラミックヒータ40では、セラミック基板41の内部に複数の回路からなる抵抗発熱体42が埋設されており、抵抗発熱体42は、セラミック基板41の最外周に、円周方向に分割された屈曲線の繰り返しパターンからなる抵抗発熱体42a〜42hが形成され、その内周に、同様の屈曲線の繰り返しパターンからなる抵抗発熱体42i〜42lが形成されており、さらに、その内周に、同心円形状からなる抵抗発熱体42m〜42pが形成されている。
また、各抵抗発熱体42a〜42pの端部は、セラミック基板41の全体に広がって形成されている。
【0055】
上記抵抗発熱体が、図2に示した抵抗発熱体12や、図3に示した抵抗発熱体32のようなパターンである場合、抵抗発熱体の端部がセラミック基板の中心付近に形成されているため、抵抗発熱体の端部の直下にスルーホールを形成し、上記スルーホールに外部端子を接続することで、全ての外部端子をセラミック基板の底面の中央付近に接合されたセラミック体の内部に収納することができる。
【0056】
上記抵抗発熱体は、本発明のセラミックヒータの加熱面を均一に加熱するために、複数の回路に分割されていることが望ましい。従って、上記抵抗発熱体が、図4に示した抵抗発熱体42であると、抵抗発熱体が非常に多くの回路に分割されているため、本発明のセラミックヒータの加熱面を均一に加熱することが容易となる。
【0057】
上記抵抗発熱体が、図4に示した抵抗発熱体42のようなパターンである場合、抵抗発熱体の端部がセラミック基板の全体に広がって形成されているため、抵抗発熱体の端部の直下にスルーホールを形成すると、上記スルーホールに接続される外部端子もセラミック基板の全体に広がって形成されることとなる。このため、外部端子をセラミック基板の底面の中央付近に接合されたセラミック体の内部に収納するためには、セラミック体の内部領域の上方に形成されていない抵抗発熱体の端部にバイアホールを介して導体回路等を接続し、上記導体回路を上記セラミック体の内部領域の上方にまで延設する。そして、このセラミック体の内部領域の上方にまで延設された導体回路の端部の直下にスルーホールを形成し、上記スルーホールに外部端子を接続することにより、全ての外部端子等をセラミック体の内部に収納することができる。
【0058】
上記抵抗発熱体の断面は、方形、楕円形、紡錘形、蒲鉾形状のいずれでもよいが、偏平であることが望ましい。偏平である方が加熱面に向かって放熱しやすいため、加熱面への熱伝搬量を多くすることができ、加熱面の温度分布ができにくいからである。なお、上記抵抗発熱体は螺旋形状でもよい。
【0059】
上記抵抗発熱体の厚さの望ましい下限は1μm、望ましい上限は50μmであり、抵抗発熱体の幅の望ましい下限は5μm、望ましい上限は20μmである。上記抵抗発熱体は、その厚さや幅を変化させることにより、その抵抗値を変化させることができるが、この範囲が最も実用的だからである。なお、上記抵抗発熱体の抵抗値は、その厚さが薄く、また、その幅が狭くなるほど大きくなる。
【0060】
上記抵抗発熱体のセラミック基板の内部における形成位置は特に限定されないが、セラミック基板の底面からその厚さの60%までの位置に少なくとも1層形成されていることが望ましい。加熱面まで熱が伝搬する間に拡散し、加熱面での温度が均一になりやすいからである。
【0061】
本発明のセラミックヒータにおいて、上記スルーホールを構成する材料としては特に限定されず、例えば、金、銀、白金、パラジウム等の貴金属;鉛、タングステン、モリブデン、ニッケル等の金属またはこれらの合金、タングステン、モリブデンの炭化物等の導電性セラミック等が挙げられる。
【0062】
上記スルーホールと抵抗発熱体の端部との間、および、上記スルーホールと高周波電極との間には、スルーホールと抵抗発熱体との接続面積を大きくしてこれらの導通を確実に確保するためにパッド部が形成されていてもよい。
上記パッド部を構成する材料としては導電性を有する材料であれば特に限定されず、例えば、抵抗発熱体と同様の材料やスルーホールと同様の材料等が挙げられ、さらに、これらの材料の混合物(合金)等であってもよい。
【0063】
上記スルーホールに接続される外部端子は、図1に示すような断面視T字形状のものであってもよいが、例えば、棒状部材、その一端にねじ溝が切られたものであってもよい。なお、上記外部端子がねじ溝が切られたものである場合、スルーホールに上記外部端子のねじ溝を螺合させることができるねじ孔を形成することが望ましい。
【0064】
上記外部端子の材料としては特に限定されず、例えば、ニッケル、コバール等の金属を挙げることができる。
上記外部端子の大きさは、使用するセラミック基板、抵抗発熱体およびスルーホールの大きさ等によって適宜調整されるため特に限定されないが、上記外部端子がT字形状である場合、その軸部分の直径の好ましい下限は0.5mm、好ましい上限は5mmであり、軸部分の長さの好ましい下限は1mm、好ましい上限は10mmである。
【0065】
本発明のセラミックヒータにおいて、上記外部端子とソケットを介して接続される導電線は、他の導電線との間の短絡等を防止するために、耐熱性の絶縁性部材で被覆されていることが望ましい。このような絶縁性部材としては特に限定されず、例えば、窒化アルミニウムや、その他、アルミナ、シリカ、ムライト、コージェライト等の酸化物セラミック、窒化ケイ素、および、炭化ケイ素等が挙げられる。
【0066】
上記セラミック基板の底面には、図1に示すように、セラミック基板の底面から、被加熱物を載置する加熱面に向けて有底孔を設けるとともに、該有底孔の底を抵抗発熱体よりも相対的に加熱面に近く形成し、この有底孔に熱電対等の測温素子を設けることが望ましい。
上記測温素子により抵抗発熱体の温度を測定し、そのデータをもとに電圧、電流量を変えて、温度を制御することができるからである。
【0067】
また、本発明のセラミックヒータにおいて、上記有底孔の底とセラミック基板の加熱面との距離は、0.1mm〜セラミック基板の厚さの1/2であることが望ましい。0.1mm未満であると、有底孔から放熱してしまい、加熱面に温度分布が形成されてしまうことがあり、セラミック基板の厚さの1/2を超えると、抵抗発熱体の温度の影響を受けやすくなるため正確な温度制御ができなくなり、やはり加熱面に温度分布が形成されてしまうことがあるからである。
上記有底孔の底とセラミック基板の加熱面との距離が0.1mm〜セラミック基板の厚さの1/2であることにより、測温場所が抵抗発熱体よりも加熱面に近くなり、より正確な半導体ウエハ等の被加熱物の温度測定が可能となる。
【0068】
上記有底孔の直径の望ましい下限は0.3mm、望ましい上限は5mmである。0.3mm未満であると、加工性が低下して加熱面との距離を均等にすることができなくなるからである。5mmを超えると、放熱性が大きくなりすぎるため、加熱面に温度分布が形成されてしまうことがあるからである。
【0069】
このような有底孔は、セラミック基板の中心に対して対称で、かつ、十字を形成するように複数配列されることが望ましい。これは、加熱面全体の温度を測定することができるからである。
【0070】
上記測温素子としては、例えば、熱電対、白金測温抵抗体、サーミスタ等が挙げられる。
上記熱電対としては、例えば、JIS C 1602(1980)に挙げられるように、K型、R型、B型、S型、E型、J型、T型熱電対等が挙げられるが、これらのなかでは、K型熱電対が好ましい。
【0071】
上記熱電対の接合部の大きさの望ましい下限は素線の径であり、望ましい上限は0.5mmである。0.5mmを超えると、熱容量が大きくなって応答性が低下してしまうからである。なお、素線の径より小さくすることは困難である。
【0072】
上記測温素子は、金ろう、銀ろう等を使用して、有底孔の底に接着してもよく、有底孔に挿入した後、耐熱性樹脂、セラミック(シリカゲル等)等で封止してもよく、両者を併用してもよい。
上記金ろうとしては、37〜80.5重量%Au−63〜19.5重量%Cu合金、81.5〜82.5重量%Au−18.5〜17.5重量%Ni合金から選ばれる少なくとも1種が望ましい。これらは、溶融温度が、900℃以上であり、高温領域でも溶融しにくいためである。
上記銀ろうとしては、例えば、Ag−Cu系のものを使用することができる。
上記耐熱性樹脂としては、例えば、熱硬化性樹脂、特にはエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド−トリアジン樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0073】
また、本発明のセラミックヒータの測温手段として、サーモビュア等の光学的な測温手段を用いることも可能である。
上記サーモビュアを用いた場合には、セラミック基板の加熱面の温度を測定することができるほか、シリコンウエハ等の被処理物表面の温度を直接測定することができるため、被処理物の温度制御の精度が向上する。
【0074】
また、本発明のセラミックヒータにおいて、セラミック基板の中央に近い部分には、図1に示すように、リフターピン(図示せず)を挿通するための貫通孔15が設けられていることが望ましい。
【0075】
上記リフターピンは、その上に半導体ウエハ等の被加熱物を載置して上下させることができるようになっており、これにより、上記半導体ウエハを搬送機(図示せず)に渡したり、搬送機から半導体ウエハを受け取ったりするとともに、半導体ウエハをセラミック基板の加熱面に載置して加熱したり、半導体ウエハを加熱面から10〜2000μm程度離間させた状態で支持し、加熱することができるようになる。
【0076】
また、上記セラミック基板に貫通孔を設けたり、加熱面に凹部を設けたりし、この貫通孔または凹部に先端が尖塔状または半球状の支持ピンを挿入した後、支持ピンをセラミック基板よりわずかに突出させた状態で固定し、上記支持ピンで半導体ウエハを支持することにより、加熱面から10〜2000μm離間させた状態で加熱してもよい。
【0077】
本発明のセラミックヒータを構成するセラミック体は、上述したように外部端子23や導電線24等をその内部に収納して腐食性ガス等から保護する役割を果たすとともに、セラミック基板を底面から支え、セラミック基板が自重により反ることを防止する役割も果たす。
【0078】
このようなセラミック体を構成するセラミック材料としては特に限定されず、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等の窒化物セラミック;炭化ケイ素、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タンタル、炭化タングステン等の炭化物セラミック;アルミナ、ジルコニア、コージュライト、ムライト等の酸化物セラミック等が挙げられる。これらのなかでは、窒化アルミニウムが最も好ましい。熱伝導率が180W/m・Kと最も高く、温度追従性に優れるからである。
なお、上記セラミック体を構成するセラミック材料は、上述するセラミック基板を構成するセラミック材料と同じものであることが望ましい。セラミック基板とセラミック体とを拡散接合により接合することができるからである。
【0079】
上記セラミック体は、焼結助剤を含有していてもよい。上記焼結助剤としては特に限定されず、例えば、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、希土類酸化物等が挙げられる。これらのなかでも、CaO、Y、NaO、LiO、RbOが望ましい。上記焼結助剤の含有量の望ましい下限は0.1重量%、望ましい上限は20重量%である。また、上記セラミック体は、アルミナを含有していてもよい。
【0080】
上記セラミック体は略筒状であるが、筒の壁面に垂直な断面における外壁の輪郭形状としては特に限定されず、例えば、円形、楕円形、多角形等の形状を挙げることができる。通常、セラミック基板が円板形状であることから、セラミック体の断面における外壁の輪郭形状は、円形であることが望ましい。
【0081】
セラミック基板11とセラミック体17とを接合する方法については、後で詳述することにする。
【0082】
本発明のセラミックヒータは、セラミック基板の内部に抵抗発熱体が設けられた装置であり、これにより、半導体ウエハ等の被処理物をセラミック基板の表面に載置または離間させて保持し、所定の温度に加熱したり洗浄を行ったりすることができ、半導体の製造や半導体の検査を行うための装置として好適に用いることができる。
この際、本発明のセラミックヒータは、所定の支持容器に載置される。
【0083】
上記支持容器としては特に限定されず、例えば、その内側上部に円環形状の基板支持部を有する有底円筒状の容器であり、上記基板支持部上に断熱リング等を介して本発明のセラミックヒータを載置、固定し、セラミック体を底板に密着するように固定するものや、その内部の底板上または内壁に支持部材が設けられた有底円筒状の容器であり、本発明のセラミックヒータが壁面と非接触な状態で、上記支持部材によりセラミック基板の底面を支持、固定し、セラミック体を底板に密着するように固定するもの等が挙げられる。
【0084】
本発明のセラミックヒータのセラミック基板に、さらに静電電極が形成されている場合には、本発明のセラミックヒータは、加熱手段を備えた静電チャックとして機能する。
【0085】
図5は、本発明に係る静電チャックを模式的に示す垂直断面図である。
図6は、図5に示した静電チャックを構成するセラミック基板に形成された静電電極付近を模式的に示す水平断面図である。
なお、セラミック基板11およびセラミック体17とプラズマ耐食層200との境界は、粗化されているのだが、図5は模式図であるため、粗面としての表現を省略している。
【0086】
この静電チャック50では、セラミック基板11の底面11bの中央付近に略筒状のセラミック体17が接合されており、セラミック基板11の内部にチャック正負極静電層52a、52bからなる静電電極52が埋設され、それぞれその一部が袋孔(図示せず)を介してセラミック基板11の底面11bに露出したスルーホール53と接続され、静電電極52上にセラミック誘電体膜54が形成されている。また、セラミック基板11およびセラミック体17の表面には、プラズマ耐食層200が形成されている。
セラミック基板11の内部には、抵抗発熱体12が埋設され、抵抗発熱体12の端部の直下にスルーホール13が形成されており、抵抗発熱体12は、端部がスルーホール13および袋孔(図示せず)を介してセラミック基板11の底面11bに露出している。また、セラミック基板11の内部には、高周波電極112が埋設され、高周波電極112の端部の直下にスルーホール113が形成されており、高周波電極112は、端部がスルーホール113および袋孔(図示せず)を介してセラミック基板11の底面11bに露出している。
そして、これらのスルーホール13、53およびスルーホール113は、それぞれ半田層(図示せず)を介してT字形状の外部端子23と接続されている。
【0087】
外部端子23は、導電線を有するソケット25が取り付けられてセラミック体17の内部に収納されており、この導電線24は、支持容器の底板(図示せず)に形成された貫通孔から外部に引き出され、電源等(図示せず)と接続されており、抵抗発熱体12や静電電極52に電力を供給することで、半導体ウエハ等の被加熱物を加熱したり、吸着したりすることができるようになっている。
さらに、セラミック基板11の底面には、セラミック基板11の温度を測定するための有底孔14が形成されており、有底孔14内には、リード線26が接続された測温素子180が埋設される。
【0088】
図5に示した静電チャック50では、セラミック基板11の内部に静電電極52(チャック正負極静電層52a、52b)および静電電極52に接続されたスルーホール53が形成されているほかは、上述した本発明のセラミックヒータ10と略同様に構成されている。従って、ここでは、静電電極52およびスルーホール53以外についての詳細な説明は省略することとする。
【0089】
セラミック基板11の内部に形成された静電電極52は、図6に示すように半円状のチャック正極静電層52aとチャック負極静電層52bとが対向して配設されたものであり、これらチャック正負極静電層52a、52bは、それぞれその一部が袋孔(図示せず)を介してセラミック基板11の底面11bに露出したスルーホール53に接続されている。
【0090】
静電電極52を構成する材料としては特に限定されないが、例えば、金、銀、白金、パラジウム等の貴金属;鉛、タングステン、モリブデン、ニッケル等の金属、または、タングステン、モリブデンの炭化物等の導電性セラミック等が好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0091】
また、静電電極52に接続されたスルーホール53は、その接続される対象が異なるほかは、本発明のセラミックヒータにおいて説明した抵抗発熱体と高周波電極とに接続されたスルーホール13と同様の構造および材料のものを用いることができる。
【0092】
このような静電チャックを作動させる場合には、チャック正極静電層、チャック負極静電層、および、抵抗発熱体に接続された外部端子をそれぞれ直流電源の+側と−側とに接続して電圧を印加する。これにより、静電チャック上に載置された半導体ウエハ等の被処理物が所定温度に加熱されるとともに、静電的にセラミック基板に吸着されることになる。
【0093】
図7は、他の静電チャックのセラミック基板に形成された静電電極付近を模式的に示す水平断面図である。
図7に示す静電チャック60では、セラミック基板11の内部に半円弧状部62aと櫛歯部62bとからなるチャック正極静電層62と、同じく半円弧状部63aと櫛歯部63bとからなるチャック負極静電層63とが、互いに櫛歯部62b、63bを交差するように対向して配置されている。
【0094】
また、図8は、さらに別の静電チャックのセラミック基板に形成された静電電極付近を模式的に示す水平断面図である。
図8に示す静電チャック70では、セラミック基板11の内部に円を4分割した扇型のチャック正極静電層72a、72bとチャック負極静電層73a、73bとが形成されている。また、2枚のチャック正極静電層72a、72bおよび2枚のチャック負極静電層73a、73bは、それぞれ交差するように形成されている。
【0095】
なお、本発明に係る静電チャックにおいて、静電電極が円形等の電極が分割された形態である場合、その分割数は特に限定されず、5分割以上であってもよく、その形状も扇形に限定されない。
【0096】
次に、本発明のセラミックヒータの製造方法の一例として、図1に示したセラミックヒータ10の製造方法について、図9を参照しながら説明する。
図9(a)〜(d)は、本発明のセラミックヒータ10の製造方法の一例を模式的に示す断面図である。
【0097】
(1)グリーンシートの作製工程
まず、セラミック粉末をバインダ、溶剤等と混合してペーストを調製し、これをドクターブレード法でシート状に成形してグリーンシート110を作製する。
上記セラミック粉末としては、窒化アルミニウム等を使用することができ、必要に応じて、イットリア等の焼結助剤、Na、Caを含む化合物等を加えてもよい。
上記バインダとしては、アクリル系バインダ、エチルセルロース、ブチルセロソルブおよびポリビニルアルコールからなる群より選択される少なくとも1種であることが望ましい。
上記溶媒としては、α−テルピネオールおよび/またはグリコールが望ましい。
【0098】
グリーンシート110の厚さの望ましい下限は0.1mm、望ましい上限は5mmである。
また、所定のグリーンシート110に抵抗発熱体および高周波電極と接続するためのスルーホールとなる部分を形成する。
さらに、必要に応じて、グリーンシート110に半導体ウエハ等の被処理物を運搬するためのリフターピンを挿入する貫通孔となる部分、半導体ウエハ等の被処理物を支持するための支持ピンを挿入する貫通孔や凹部となる部分、熱電対等の測温素子を埋め込むための有底孔となる部分等を形成する。なお、貫通孔や有底孔は、後述するグリーンシート積層体を作製した後、または、上記積層体を作製し、焼成した後に形成してもよい。
【0099】
(2)グリーンシート上に導体ペーストを印刷する工程
グリーンシート110上に導体ペーストを印刷して抵抗発熱体12となる導体ペースト層120を形成し、スルーホールとなる部分に導体ペーストを充填して導体ペースト充填層130を形成する。また、グリーンシート110上に、導体ペーストを印刷して高周波電極112となる導体ペースト層122を形成し、スルーホールとなる部分に導体ペーストを充填して導体ペースト充填層133を形成する。
このとき、抵抗発熱体12となる導体ペースト層120は、その端部とスルーホールとなる部分に充填した導体ペースト充填層130とが重なるように印刷し、また、高周波電極112となる導体ペースト層122は、その端部とスルーホールとなる部分に充填した導体ペースト充填層133とが重なるように印刷する。これらの導体ペースト中には、金属粒子または導電性セラミック粒子が含まれている。
【0100】
上記金属粒子として用いるタングステン粒子、モリブデン粒子等の平均粒径の望ましい下限は0.1μm、望ましい上限は5μmである。0.1μm未満であるか、5μmを超えると、導体ペーストを印刷しにくいからである。
【0101】
このような導体ペーストとしては、例えば、金属粒子または導電性セラミック粒子85〜87重量部;アクリル系、エチルセルロース、ブチルセロソルブ、ポリビニルアルコールからなる群より選択される少なくとも1種のバインダ1.5〜10重量部;α−テルピネオールおよび/またはグリコールからなる溶媒1.5〜10重量部を混合した組成物(ペースト)等が挙げられる。
なお、スルーホールとなる部分に充填した導体ペースト充填層130、133に使用する導体ペーストと、導体ペースト層120、122に使用する導体ペーストとは、同じ組成であってもよく、異なる組成であってもよい。
【0102】
(3)グリーンシートの積層工程
導体ペースト層122を形成したグリーンシート110の上に、導体ペースト層120を形成していないグリーンシート110を積層し、その下に、導体ペースト充填層133のみを形成したグリーンシート110を重ねる。そして、このグリーンシート110の下に、導体ペースト層120を形成したグリーンシート110を重ね、さらにその下に、導体ペースト充填層130、133を形成したグリーンシート110を積層し、さらに何の加工もしていないグリーンシート110を積層する(図9(a))。
【0103】
このとき、導体ペースト層120を形成したグリーンシート110の上側に積層するグリーンシート110の数を下側に積層するグリーンシート110の数よりも多くして、製造する抵抗発熱体の形成位置を底面側の方向に偏芯させる。
具体的には、上側のグリーンシート110の積層数は20〜50枚が、下側のグリーンシート110の積層数は5〜20枚が望ましい。
【0104】
(4)グリーンシート積層体の焼成工程
次に、グリーンシート積層体の加熱、加圧を行い、グリーンシート110および内部の導体ペースト層120、122等を焼結させ、セラミック基板11、抵抗発熱体12、112およびスルーホール13、113等を製造する。(図9(b))
加熱温度の望ましい下限は1000℃、望ましい上限は2100℃である。加熱は、不活性ガス雰囲気中または真空中で行う。上記不活性ガスとしては、例えば、アルゴン、窒素等を使用することができる。加圧の圧力の望ましい下限は10MPa、望ましい上限は20MPaである。
【0105】
なお、予めグリーンシート110に半導体ウエハ等の被加熱物を運搬するためのリフターピンを挿入する貫通孔となる部分、半導体ウエハ等の被加熱物を支持するための支持ピンを挿入する貫通孔や凹部となる部分、熱電対等の測温素子を埋め込むための有底孔となる部分を形成しなかった場合、上記貫通孔や有底孔等は、セラミック基板11に表面研磨等の処理を施した後、ドリル加工やサンドブラスト等のブラスト処理等を行うことにより形成することができる。
【0106】
次に、セラミック基板11の底面11bに、ドリル加工やサンドブラスト等のブラスト処理を行うことにより袋孔19を形成して、スルーホール13、113を外部に露出させる。
【0107】
(5)略筒状のセラミック体の製造工程
窒化アルミニウム粉末等のセラミック粉末を、略筒状の成形型に入れて成形し、必要に応じて切断加工を施した後、これを加熱温度1000〜2100℃、常圧で焼結させることで略筒状のセラミック体17を製造することができる。このとき、製造する略筒状のセラミック体は、略円筒状であることが望ましい。
上記焼結は、不活性ガス雰囲気中または真空中で行う。上記不活性ガスとしては、例えば、アルゴン、窒素等を使用することができる。
次いで、セラミック体17の端面を研磨して平坦化する。
【0108】
(6)セラミック基板とセラミック体との接合工程
セラミック基板11の底面の中央付近とセラミック体17の端面とを接触させた状態で、セラミック基板11とセラミック体17とを加熱して、これらを接合する。このとき、セラミック体17の内径の内側にセラミック基板11内のスルーホール13、113が収まるようにして、セラミック体17をセラミック基板11の底面に接合する(図9(c))。
【0109】
セラミック基板11およびセラミック体17を接合する方法としては特に限定されないが、セラミック基板11とセラミック体17との接合強度が優れることから、セラミック基板11内部の焼結助剤の濃度とセラミック体17の内部の焼結助剤の濃度とが異なるように焼結助剤を含有させ、両者を接合位置で接触させた後、加熱することにより接合させる方法が望ましい。この場合、焼結助剤の濃度の高い部材から濃度の低い部材の方に焼結助剤が移動するとともに、界面を横切るように粒子が成長し、しっかりとした接合面が形成される。
【0110】
また、セラミック基板11とセラミック体17とを接合するその他の方法としては、例えば、セラミック基板11およびセラミック体17の接合面に、これらを構成するセラミック材料の焼結助剤を含有する溶液を塗布し、これを焼結させる方法(拡散接合);セラミック基板11およびセラミック体17の接合面に、これらを構成するセラミックと主成分が同じセラミックペーストを塗布し、これを焼結させる方法;金ろう、銀ろう等を用いてろう付けする方法;酸化物系ガラス等の接着剤を用いて接合する方法等が挙げられる。
【0111】
(7)プラズマ耐食層の形成工程
セラミック基板11とセラミック体17との接合体の表面にサンドブラスト処理を行い、粗化面を形成し、最大高さRを調整する。次に、この接合体を加熱し、その表面にイットリウム原子および/またはフッ素原子を含む化合物ガスを流し、プラズマ耐食層200としてイットリウム化合物および/またはフッ素化合物からなる層をセラミック基板11及びセラミック基板11とセラミック体17との接合体の表面に析出させる。上述したように、プラズマ耐食層の形成方法は、上記した方法のほか、種々の方法を挙げることができる。また、プラズマ耐食層は、上記化合物に限られない。
上記粗化処理の方法としては、上述したサンドブラスト処理の他、例えば、ガラスビーズやセラミック粉末を用いたブラスト処理等が挙げられる。
【0112】
(8)外部端子等の取り付け
セラミック体17の内径の内側に形成した袋孔19に、半田やろう材を介してニッケル、コバール等の金属からなるT字形状の外部端子23を挿入し、加熱してリフローすることにより、外部端子23をスルーホール13、113に接続する(図9(d))。
上記加熱温度は、半田処理の場合には90〜450℃が好適であり、ろう材での処理の場合には、900〜1100℃が好適である。
【0113】
次に、この外部端子23にソケット25を介して電源に接続される導電線24に接続する(図1参照)。
さらに、測温素子としての熱電対等をセラミック基板の底面に形成した有底孔に挿入し、耐熱性樹脂等で封止することで、本発明のセラミックヒータ10の製造を終了する。
【0114】
上記セラミックヒータを製造する際に、セラミック基板の内部に静電電極を設けることにより静電チャックを製造することができる。ただし、この場合には、静電電極と外部端子とを接続するためのスルーホールを形成する必要があり、支持ピンを挿入するための貫通孔を形成する必要はない。
セラミック基板の内部に静電電極を設ける場合には、抵抗発熱体を形成する場合と同様にグリーンシートの表面に静電電極となる導体ペースト層を形成すればよい。
【0115】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0116】
【実施例】
(実施例1〜5)セラミックヒータの製造(図1、2、9参照)
(1)窒化アルミニウム粉末(トクヤマ社製、平均粒径1.1μm)100重量部、酸化イットリウム(Y:イットリア、平均粒径0.4μm)6重量部、アクリル系樹脂バインダ11.5重量部、分散剤0.5重量部および1−ブタノールとエタノールとからなるアルコール53重量部を混合したペーストを用い、ドクターブレード法により成形を行って、厚さ0.47mmのグリーンシートを作製した。
【0117】
(2)次に、このグリーンシートを80℃で5時間乾燥させた後、図1に示すようなシリコンウエハを運搬等するためのリフターピンを挿入するための貫通孔15となる部分、および、スルーホールとなる部分をパンチングにより形成した。
【0118】
(3)平均粒径1μmのタングステンカーバイト粒子100重量部、アクリル系バインダ3.0重量部、α−テルピネオール溶媒3.5重量部および分散剤0.3重量部を混合して導体ペーストAを調製した。
【0119】
平均粒径3μmのタングステン粒子100重量部、アクリル系バインダ1.9重量部、α−テルピネオール溶媒3.7重量部および分散剤0.2重量部を混合して導体ペーストBを調製した。
【0120】
この導体ペーストBを、スルーホールとなる部分に充填して導体ペースト充填層130、133を形成した。
【0121】
続いて、導体ペーストAを、導体ペースト充填層130と導体ペースト層133とを形成したグリーンシート上にスクリーン印刷で印刷し、抵抗発熱体用の導体ペースト層120を形成した。印刷パターンは、図3に示したような略同心円状パターンとし、導体ペースト層120の幅を10mm、その厚さを12μmとした。さらに、導体ペーストAを、導体ペースト充填層133のみを形成したグリーンシート上にスクリーン印刷法により印刷し、パンチングメタル形状の高周波電極用の導体ペースト層122を形成した。
【0122】
上記処理が終わった導体ペースト層120を印刷したグリーンシートの上に、導体ペースト充填層133のみを形成したグリーンシートを30枚重ね、その上に、導体ペースト層122を印刷したグリーンシートを重ねた後、さらにその上に、何の加工もしていないグリーンシートを6枚重ねた。そして、このように積層したグリーンシートの下に、導体ペースト充填層130および導体ペースト充填層133を形成したグリーンシートを重ねた後、さらにその下に、何の加工もしていないグリーンシートを12枚重ねて、130℃、8MPaの圧力で圧着した。
【0123】
(4)次に、得られた積層体を窒素ガス中、600℃で5時間脱脂し、1890℃、圧力15MPaで10時間ホットプレスした。
これを230mmの円板状に切り出し、内部に厚さ5μm、幅2.4mmの抵抗発熱体12、および、スルーホール13を有する厚さDが15mmのセラミック基板11とした。
【0124】
(5)次に、(4)で得られたセラミック基板11を、ダイヤモンド砥石で研磨した後、マスクを載置し、ガラスビーズによるブラスト処理で表面に熱電対のための有底孔14を設け、セラミック基板11の底面11bで、スルーホール13、113が形成されている部分をえぐりとって袋孔19を形成した。
【0125】
(6)窒化アルミニウム粉末(トクヤマ社製、平均粒径1.1μm)100重量部、酸化イットリウム(平均粒径0.4μm)2重量部、アクリル系樹脂バインダ11.5重量部、分散剤0.5重量部および1−ブタノールとエタノールとからなるアルコール53重量部を混合した組成物を用い、スプレードライ法により顆粒を製造し、この顆粒をほぼ円筒状の金型に入れ、常圧、1890℃で焼結させることにより、セラミック体17を製造した。
【0126】
(7)セラミック基板11の底面であって、外部端子23がその内径の内側に収まるような位置に、セラミック体17の端面を接触させ、1890℃に加熱することで、セラミック基板11とセラミック体17とを接合した。加熱により、セラミック基板11からセラミック体17に焼結助剤が移動するとともに、接合界面を横切るように粒成長が発生し、しっかりとした接合が形成された。
【0127】
(8)炭化ケイ素粒子(粒子径:5〜150μm)を用いて、セラミック基板11にサンドブラスト処理を施し、最大高さRを表1に示す値とした。
さらに、硝酸イットリウム水溶液の濃度を、表1のD形成条件に調整し、これをセラミックヒータ10の表面に塗布して1600℃、大気中で焼成した。この処理により、プラズマ耐食層200の厚さDが表1に示す値のイットリアからなる層を形成した。
なお、D、Rについては、セラミックヒータの断面を1000倍の電子顕微鏡にて観察し、その断面における任意の箇所の写真を10枚撮影し、1枚の写真においてイットリア層の最大厚さ、および、セラミック粗化面の最大高さをそれぞれ求め、10枚のSEM写真について求められたイットリア層の最大厚さd〜d10の平均値をDとして用い、最大高さr〜r10の平均値をRとして用いた。
【0128】
(9)次に、セラミック体17の内部の袋孔19に、銀ろう(Ag:40重量%、Cu:30重量%、Zn:28重量%、Ni:1.8重量%、残部:その他の元素、リフロー温度:800℃)を用いて、外部端子23を取り付けた。そして、外部端子23にソケット25を介して導電線24を接続した。
【0129】
(10)そして、温度制御のための熱電対を有底孔14に挿入し、シリカゾルを充填し、190℃で2時間硬化、ゲル化させることで、その内部に抵抗発熱体およびスルーホールが設けられたセラミック基板の底面にセラミック体が接合されたセラミックヒータを製造した。
【0130】
(比較例1〜2)
サンドブラスト処理に用いる炭化ケイ素粒子の粒子径を変えてセラミック基板表面の最大高さRを変更し、表1のD形成条件に示したように、硝酸イットリウム水溶液の濃度を変えてプラズマ耐食層の厚さDを変更した以外は、実施例1と同様にしてセラミックヒータを製造した。
【0131】
(実施例6〜10、比較例3〜4)
セラミック基板11の厚さDを表1に示す値(5mm)に変更し、プラズマ耐食層として、フッ化アルミニウムを採用した以外は、実施例1〜5、比較例1〜2と同様にしてセラミックヒータを製造した。すなわち、試料を真空槽にセットし、1×10−3Paまで排気した後、分圧が0.5PaのHeガス、分圧が0.1PaのOガスを真空槽に導入した。NaAlFと三フッ化塩化エチレン樹脂の複合体をカソード上に配置したものをターゲットとして用い、高周波マグネトロンスパッタリング法により表1に示す厚さのフッ化アルミニウムからなるプラズマ耐食層を形成した。スパッタリング時間をD形成条件として示す。D、Rの測定は、実施例1と同様に、セラミックヒータの断面を1000倍の電子顕微鏡にて観察し、その断面における任意の箇所の写真を10枚撮影し、1枚の写真においてイットリア層の最大厚さ、および、セラミック粗化面の最大高さをそれぞれ求め、10枚のSEM写真について求められたイットリア層の最大厚さd〜d10の平均値をDとして用い、最大高さr〜r10の平均値をRとして用いた。
【0132】
(実施例11〜15、比較例5〜6)
セラミック基板11の厚さDを表1に示す値(20mm)に変更し、プラズマ耐食層として、(111)面配向の炭化ケイ素を採用した以外は、実施例1〜5、比較例1〜2と同様にしてセラミックヒータを製造した。すなわち、CVD法により、温度1300℃、真空度250Torrの条件下、反応ガスとしてメチルトリクロロシラン(濃度:7%)、キャリアガスとして水素とアルゴンとを供給し、熱分解させることにより、表1に示す厚さDのβ−SiCの結晶構造を有するCVD−SiC層からなるプラズマ耐食層を形成した。また、熱分解の時間を、表1にD形成条件として示す。
、Rの測定は、実施例1と同様に、セラミックヒータの断面を1000倍の電子顕微鏡にて観察し、その断面における任意の箇所の写真を10枚撮影し、1枚の写真においてイットリア層の最大厚さ、および、セラミック粗化面の最大高さをそれぞれ求め、10枚のSEM写真について求められたイットリア層の最大厚さd〜d10の平均値をDとして用い、最大高さr〜r10の平均値をRとして用いた。
【0133】
(実施例16)静電チャックの製造(図5、6参照)
(1)窒化アルミニウム粉末(トクヤマ社製、平均粒径1.1μm)100重量部、酸化イットリウム(平均粒径0.4μm)4重量部、アクリル系樹脂バインダ12重量部、分散剤0.5重量部および1−ブタノールとエタノールとからなるアルコール53重量部を混合した組成物を用い、ドクターブレード法を用いて成形することにより厚さ0.47mmのグリーンシートを得た。
【0134】
(2)次に、このグリーンシートを80℃で5時間乾燥した後、何も加工を施していないグリーンシートA、静電電極と外部端子とを接続するためのスルーホール用貫通孔を設けたグリーンシートB、静電電極と外部端子とを接続するためのスルーホール用貫通孔、静電電極と外部端子を接続するためのスルーホール用貫通孔を設けたグリーンシートC、および、抵抗発熱体と外部端子とを接続するためのスルーホール用貫通孔、静電電極と外部端子とを接続するためのスルーホール用貫通孔、高周波電極と外部端子とを接続するためのスルーホール用貫通孔を設けたグリーンシートDを作製した。
【0135】
(3)平均粒径1μmのタングステンカーバイド粒子100重量部、アクリル系バインダ3.0重量部、α−テルピネオール溶媒3.5重量部、および、分散剤0.3重量部を混合して導体ペーストAを調製した。
また、平均粒径3μmのタングステン粒子100重量部、アクリル系バインダ1.9重量部、α−テルピネオール溶媒3.7重量部、および、分散剤0.2重量部を混合して導体ペーストBを調製した。
【0136】
(4)上記(2)で作製したグリーンシートB〜Dに形成したスルーホール用貫通孔に導体ペーストBを充填し、導体ペースト充填層を形成した。
【0137】
続いて、グリーンシートDの表面に導体ペーストAをスクリーン印刷法より印刷して図3に示した回路パターンからなる抵抗発熱体となる導体ペースト層を形成した。また、同様にして、グリーンシートCの表面に高周波電極となる導体ペースト層を印刷した。さらに、グリーンシートBの表面に図6に示した形状の静電電極パターンからなる導体ペースト層を形成した。
【0138】
次に、上記処理の終わった各グリーンシートを積層した。
まず、抵抗発熱体となる導体ペースト層が印刷されたグリーンシートDの上側(加熱面側)に、グリーンシートCを16枚積層し、その上側に高周波電極となる導体ペースト層が印刷されたグリーンシートCを積層し、さらにその上側に、グリーンシートBを17枚積層した。そして、積層したグリーンシートの下側(底面側)に、グリーンシートDを重ねた後、さらにその下側に、グリーンシートAを12枚積層した。
このように積層したグリーンシートの最上部に、静電電極バターンからなる導体ペーストを印刷したグリーンシートBを積層し、さらにその上にグリーンシートAを2枚積層し、これらを130℃、8MPaの圧力で圧着して積層体を形成した。
【0139】
(5)次に、得られた積層体を窒素ガス中、600℃で5時間脱脂し、その後、1890℃、圧力15MPaの条件で3時間ホットプレスした。
これを直径230mmの円板状に切り出し、内部に、厚さが5μm、幅が2.4mmの抵抗発熱体12、厚さ6μmのチャック正極静電層52a、チャック負極静電層52b、高周波電極112、および、スルーホール13、53、113を有する厚さDが15mmのセラミック基板11とした。
【0140】
(6)次に、(5)で得られたセラミック基板11を、ダイヤモンド砥石で研磨した後、マスクを載置し、ガラスビーズによるブラスト処理で表面に熱電対のための有底孔14を設け、セラミック基板11の底面で、スルーホール13、53、113が形成されている部分をえぐりとって袋孔を形成した。
【0141】
(7)窒化アルミニウム粉末(トクヤマ社製、平均粒径1.1μm)100重量部、酸化イットリウム(平均粒径0.4μm)4重量部、アクリル系樹脂バインダ11.5重量部、分散剤0.5重量部および1−ブタノールとエタノールとからなるアルコール53重量部を混合した組成物を用い、スプレードライ法により顆粒を製造し、この顆粒をほぼ円筒状の金型に入れ、常圧、1890℃で焼結させることにより、セラミック体17を製造した。
【0142】
(8)セラミック基板11およびセラミック体17の接合面に硝酸イットリウム(2.61×10−1mol/L)水溶液を塗布した後、セラミック基板11の底面11bであって、外部端子23がその内径の内側に収まるような位置に、セラミック体17の端面を接触させ、1890℃に加熱することで、セラミック基板11とセラミック体17とを接合した。
【0143】
(9)真空容器内で、セラミック基板11とセラミック体17との接合体を、CFダウンフロープラズマ中、650℃で30分間保持した。但し、CFガスをICP(流量:50sccm、13.56Hz、2kW)で励起し、ガス圧力を5Torrとした。この処理により、プラズマ耐食層200として、厚さDが30μmのフッ化アルミニウムとフッ化イットリウムとの複合体からなる層を形成した。
【0144】
(10)次に、セラミック体17の内部の袋孔に、銀ろう(Ag:40重量%、Cu:30重量%、Zn:28重量%、Ni:1.8重量%、残部:その他の元素、リフロー温度:800℃)を用いて、外部端子23を取り付けた。そして、外部端子23にソケット25を介して導電線24を接続した。
【0145】
(11)そして、温度制御のための熱電対を有底孔14に挿入し、シリカゾルを充填し、190℃で2時間硬化、ゲル化させることで、その内部に静電電極、抵抗発熱体およびスルーホールが設けられたセラミック基板の底面にセラミック体が接合され、静電チャックとして機能するセラミックヒータを製造した。
【0146】
(実施例17)
(1)炭化ケイ素粉末(屋久島電工社製SiC粉末、平均粒径50μm、70%、屋久島電工社製SiC粉末、平均粒径3μm、30%)100重量部、アクリル系バインダー5重量部を混合した組成物を用い、スプレードライ法により顆粒を製造し、この顆粒を用いてCIP成形により成形体を製造し、厚さ0.50mmのグリーン成形体を作製した。
【0147】
(2)次に、実施例1〜5の(2)〜(3)と同様の工程によってグリーン成形体を圧着した積層体を作製した。
【0148】
(3)次に、得られた積層体をアルゴン雰囲気、大気圧、2100℃、5時間で焼結させた。
これを230mmの円板状に切り出し、内部に厚さ5μm、幅2.4mmの抵抗発熱体、および、スルーホールを有する厚さDが15mmのセラミックス基板とした。なお、このセラミックス基板は、多孔質セラミックスであるため、絶縁性を示す。
【0149】
(4)次に、実施例1〜5の(5)と同様の工程によって袋孔を形成した。
【0150】
(5)炭化ケイ素粉末(屋久島電工社製SiC粉末、平均粒径50μm、70%、屋久島電工社製SiC粉末、平均粒径3μm、30%)100重量部、アクリル系バインダー5重量部を混合した組成物を用い、スプレードライ法により顆粒を製造し、この顆粒をほぼ円筒型の金型に入れ、円筒型のグリーン成形体を作製した。この円筒型のグリーン成形体をアルゴン雰囲気、大気圧、2100℃、5時間で焼結させることによって、円筒型セラミックス体を製造した。
【0151】
(6)セラミックス基板の底面であって、外部端子がその内側に収まるような位置に、円筒型セラミックス体のSiCペーストを塗布した端部を接触させ、2000℃に加熱することで、セラミックス基板と円筒型セラミックス体とを接合した。接合界面を横切るように粒成長が発生し、しっかりとした接合が形成された。
【0152】
(7)炭化ケイ素粒子(粒子径:5〜150μm)を用いて、セラミックス基板にサンドブラスト処理を施し、最大高さRを表1に示す値とした。
さらに、CVD法により、温度1300℃、真空度250Torrの条件下、反応ガスとしてのメチルトリクロロシラン(CHSiCl、濃度:7%)、キャリアガスとして水素およびアルゴンガスを供給し、熱分解させることにより、厚さDが表1に示す値のβ―SiCの結晶構造を有するCVD−SiC(炭化ケイ素)層からなるプラズマ耐食層を形成した。また、熱分解の時間を、表1にD形成条件として示した。
なお、D、Rの測定は、実施例1と同様に、セラミックヒータの断面を1000倍の電子顕微鏡にて観察し、その断面における任意の箇所の写真を10枚撮影し、1枚の写真において(111)面配向の炭化ケイ素層の最大厚さ、および、セラミック粗化面の最大高さをそれぞれ求め、10枚のSEM写真について求められた(111)面配向の炭化ケイ素層の最大厚さd〜d10の平均値をDとして用い、最大高さr〜r10の平均値をRとして用いた。
【0153】
(8)次に、実施例1〜5の(9)〜(10)と同様の工程によって、セラミックス基板の底面にセラミックス体が接合されたセラミックスヒータを製造した。
【0154】
(評価)
実施例1〜17および比較例1〜6に係るセラミックヒータについて、以下の評価試験を行った。その結果を下記の表1に示す。
【0155】
(1)プラズマ耐食層の剥離および腐食の有無
ICPで励起した0.1TorrのClFガス中で、熱サイクル試験を実施した。ClFの流量は75sccmであり、アルゴンの流量は5sccmとした。200℃と100℃との間で昇温と降温とを5サイクル繰り返し、1サイクルの昇温と降温とを行う毎に、1000℃で一定時間の保持を行い、5サイクルで、合計78時間保持した。
腐食の有無は、セラミックヒータの構成部材の重量減少を測定することにより確認した。また、剥離の有無は電子顕微鏡観察により確認した。結果を表1に示す。
【0156】
(2)温度均一化時間の測定
大気中で450℃までセラミックヒータを昇温し、加熱面の温度に450℃の領域が現われた時刻を0とし、加熱面全体の温度差が90℃以下になるまでの時間(秒)を測定した。結果を表1に示す。
【0157】
【表1】
Figure 2004335151
【0158】
表1に示したように、本発明では、D×D/Rの値が0.015〜20000の範囲内であれば、加熱面の温度を迅速に均一化することができる。
特に、表1では、D≧Rの場合、すなわち、プラズマ耐食層の厚さが粗化面の最大高さよりも大きい方が温度均一化が速いという意外な事実が示されている。この理由は明確ではないが、プラズマ耐食層は熱伝導性に劣り、それが逆に、保温効果を奏し、セラミック基板の粗化面における低い熱伝導性を補うことで、加熱面の温度均一化速度を向上させているのではないかと推定される。
さらに、D×D/Rの値は、5以上であることが望ましい。5以上であると、温度の均一化速度が特に速くなるからである。
また、実施例17で作製された、プラズマ耐食層(緻密質炭化ケイ素からなる層)と、セラミック基板(多孔質炭化ケイ素からなる層)とから構成されるセラミックヒータの表面付近のSEM断面写真を図11として示した。
【0159】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のセラミックヒータは、耐腐食性に優れ、反応性ガスやハロゲンガスに長期間曝され続けた場合であっても、表面が腐食されないので、セラミック基板等からセラミック粒子が脱落してパーティクルが発生し、シリコンウエハ等の被処理物に付着して汚染が発生することがない。
また、本発明のセラミックヒータは、加熱面の温度を迅速に均一化させることができるため、スループット時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセラミックヒータの一例を模式的に示す垂直断面図である。
【図2】図1に示したセラミックヒータのA−A線断面図である。
【図3】本発明のセラミックヒータを構成する抵抗発熱体の別の一例を模式的に示す水平断面図である。
【図4】本発明のセラミックヒータを構成する抵抗発熱体のさらに別の一例を模式的に示す水平断面図である。
【図5】本発明のセラミックヒータを静電チャックとして機能させる場合の一例を模式的に示す垂直断面図である。
【図6】静電チャックを構成するセラミック基板に埋設されている静電電極の一例を模式的に示す水平断面図である。
【図7】静電チャックを構成するセラミック基板に埋設されている静電電極の別の一例を模式的に示す水平断面図である。
【図8】静電チャックを構成するセラミック基板に埋設されている静電電極のさらに別の一例を模式的に示す水平断面図である。
【図9】(a)〜(d)は、本発明のセラミックヒータの製造方法の一例を模式的に示す断面図である。
【図10】(111)配向性を示すCVD−SiC(炭化ケイ素)膜のX線回折測定結果を示す図である。
【図11】プラズマ耐食層(緻密質炭化ケイ素からなる層)と、セラミック基板(多孔質炭化ケイ素からなる層)とから構成される本発明のセラミックヒータの表面付近のSEM断面写真である。
【符号の説明】
10、30、40 セラミックヒータ
11、31、41 セラミック基板
11a 加熱面
11b 底面
12、32、42 抵抗発熱体
13、53 スルーホール
14 有底孔
15 貫通孔
17 セラミック体
19 袋孔
23 外部端子
24 導電線
25 ソケット
26 リード線
50、60、70 静電チャック
52 静電電極
52a 正極静電層
52b 負極静電層
54 セラミック誘電体膜
110 グリーンシート
120 導電ペースト層
130 導電ペースト充填層
180 側温素子
200 プラズマ耐食層

Claims (6)

  1. その内部または底面に抵抗発熱体が設けられたセラミック基板からなるセラミックヒータであって、
    前記セラミック基板の表面には粗化面が形成されてなり、
    さらに、前記粗化面上にプラズマ耐食層が形成されてなり、前記プラズマ耐食層が下記の式(1)の条件を満たすことを特徴とするセラミックヒータ。
    0.015(mm)≦ D×D/R ≦20000(mm)・・・(1)
    (式(1)中、D(μm)は、前記セラミック基板の表面における前記プラズマ耐食層の厚さであり、D(mm)は、前記セラミック基板の厚さであり、R(μm)は、前記セラミック基板の表面粗さを示すJIS B 0601に基づく最大高さである。)
  2. 前記セラミック基板には、静電電極が設けられてなる請求項1に記載のセラミックヒータ。
  3. 前記セラミック基板には、高周波電極が埋設されてなる請求項1または2に記載のセラミックヒータ。
  4. 前記セラミック基板の底面には、略筒状のセラミック体が接合されてなる請求項1〜3のいずれか1に記載のセラミックヒータ。
  5. 前記プラズマ耐食層は、フッ素化合物および/またはイットリウム化合物からなる層である請求項1〜4のいずれか1に記載のセラミックヒータ。
  6. 前記プラズマ耐食層は、配向性を示す炭化ケイ素からなる層である請求項1〜4のいずれか1に記載のセラミックヒータ。
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