JP2004324774A - 車輌用差動歯車装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】フロントデフ4とセンターデフ6とを一体化した構造の車輌用差動歯車装置をコンパクト化し軽量化を図る。
【解決手段】ハウジング2内に遊星歯車式センターデフの内歯歯車8を収容し、その内周側に太陽歯車10を配置する。これら内歯歯車と太陽歯車との間にプラネタリキャリアに保持された複数の遊星歯車12を配置して、内外の両歯車8、10に噛み合わせる。太陽歯車の歯10aが形成されている部分内に直径方向の貫通孔10bを形成し、フロントデフのピニオンピン14を挿通する。このピニオンピンの軸線L3上に遊星歯車が交差して配置される。ピニオンピンの両端側にピニオンギヤ16を嵌合し、これらピニオンギヤに左右一対のサイドギヤ18を噛み合わせる。エンジンからの駆動力が、遊星歯車から内歯歯車を介してリア側に伝達され、また遊星歯車から太陽歯車、ピニオンピンおよびピニオンギヤを介して左右のサイドギヤに伝達される。
【選択図】 図1
【解決手段】ハウジング2内に遊星歯車式センターデフの内歯歯車8を収容し、その内周側に太陽歯車10を配置する。これら内歯歯車と太陽歯車との間にプラネタリキャリアに保持された複数の遊星歯車12を配置して、内外の両歯車8、10に噛み合わせる。太陽歯車の歯10aが形成されている部分内に直径方向の貫通孔10bを形成し、フロントデフのピニオンピン14を挿通する。このピニオンピンの軸線L3上に遊星歯車が交差して配置される。ピニオンピンの両端側にピニオンギヤ16を嵌合し、これらピニオンギヤに左右一対のサイドギヤ18を噛み合わせる。エンジンからの駆動力が、遊星歯車から内歯歯車を介してリア側に伝達され、また遊星歯車から太陽歯車、ピニオンピンおよびピニオンギヤを介して左右のサイドギヤに伝達される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、車輌用差動歯車装置に係り、特に、ベベルギヤ式フロントデフと遊星歯車式センターデフとを一体にした構造を有する車輌用差動歯車装置に関するものである。
【0002】
ベベルギヤ式デフは、一般に、2個または4個のピニオンギヤと、これらピニオンギヤに噛み合う一対のサイドギヤとによって構成される。前記ピニオンギヤは、ピニオンピンによってデフケースに取付けられており、これらピニオンギヤに一対のサイドギヤが噛み合っている。両サイドギヤは、それぞれスプラインにより左右両側のアクスルシャフトに結合されている。
【0003】
前記ベベルギヤ式デフは、自動車が平坦路を直進するような場合は、左右の駆動ホイールの回転抵抗が等しいので、左右のサイドギヤは同じ回転数でピニオンギヤの公転に従って一体的に回転する。一方、コーナリング時等には、ピニオンギヤが自転をすることにより左右の駆動ホイールの回転差を補正するようになっている。
【0004】
また、遊星歯車式デフは、内歯歯車と、この内歯歯車の内周側の同心円上に配置された太陽歯車と、前記内歯歯車と太陽歯車との間に配置され、これら両歯車に噛み合う複数の遊星歯車と、これら遊星歯車を保持して、前記内歯歯車および太陽歯車の回転軸線を中心に公転させるとともに、各遊星歯車の自転を許容するプラネタリキャリアとを備えている。
【0005】
前記構成のベベルギヤ式デフと遊星歯車式デフとを一体化した構造、例えば、エンジン横置きレイアウトの4輪自動車において、ベベルギヤ式デフをフロントデフとし、遊星歯車式デフをセンターデフとした構造の車輌用差動歯車装置がすでに知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ベベルギヤ式フロントデフと遊星歯車式センターデフとを一体化した車輌用差動歯車装置は、従来は、遊星歯車式デフの太陽歯車とベベルギヤ式デフのピニオンピンを取り付けたデフケースとを、その一部をオーバーラップさせて配置し、このオーバーラップした部分をスプラインにより回転方向に連結する構造になっている。従って、ピニオンピンと太陽歯車とを平行に並べたレイアウトであり、長手方向の寸法をコンパクト化することが困難であった。また、前記ピニオンピンと太陽歯車とを別の部品(デフケースに相当する部品)を介して連結するようにしているので、構成部品数が増加するという問題があった。
【0007】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、長手方向の寸法を短縮して、コンパクト化、軽量化を図るとともに、構成部品数を削減することができる車輌用差動歯車装置を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載された発明に係る車輌用差動歯車装置は、ベベルギヤ式フロントデフと遊星歯車式センターデフとを一体化したものであって、特に、前記フロントデフのピニオンピンの軸線上に、センターデフの遊星歯車を交差させて配置したことを特徴とするものである。
【0009】
この発明に係る車輌用差動歯車装置では、フロントデフのピニオンピンと遊星歯車とが、ピニオンピンの軸線上で重なり合っているので、長手方向のサイズが短縮され、コンパクト化および軽量化を図ることができる。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、前記太陽歯車の歯が設けられている部分に貫通孔を形成し、この孔内に前記ピニオンピンを挿入したことを特徴とするものである。
【0011】
さらに、請求項3に記載の発明は、前記太陽歯車の歯が設けられている部分の内面側に溝を形成し、この溝内に前記ピニオンピンを挿入したことを特徴とするものである。
【0012】
前記請求項2および請求項3に記載の発明に係る車輌用差動歯車装置では、太陽歯車の歯が形成されている部分の内部にピニオンピンを組み付けているので、コンパクト化が図れるとともに、太陽歯車の内部に形成した貫通孔または溝にピニオンピンを組み付けているので、太陽歯車とピニオンピンとを連結するための部品を削減することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示す実施の形態により本発明を説明する。図1は本発明の一実施の形態に係る車輌用差動歯車装置の縦断面図、図2は図1のII−II線に沿う断面図である。この車輌用差動歯車装置は、第1ハウジング2Aと第2ハウジング2Bとを突き合わせて構成されたハウジング2の内部に、ベベルギヤ式のフロントデフ4と遊星歯車式のセンターデフ6とが一体的に組み付けられている。
【0014】
前記ハウジング2の内部に、内周面に内歯8aが形成された内歯歯車8が回転自在に嵌合している。この内歯歯車8の内周側に、内歯歯車8の回転軸線L1と同一軸線を中心に回転する太陽歯車10が配置されている。この太陽歯車10は、外周面に歯10aが形成された外歯歯車である。さらに、前記内歯歯車8と太陽歯車10との間に、プラネタリキャリア(図示せず)に保持された複数の遊星歯車12が配置されてこれら内歯歯車8および太陽歯車10に噛み合っている。遊星歯車12は、プラネタリキャリアの円周方向等間隔に形成された複数の保持空間内にそれぞれ保持されており、その歯先が保持空間の内面に摺接している。なお、この実施の形態では、プラネタリキャリアは、第1ハウジング2Aに連結されて一体的に回転する。
【0015】
プラネタリキャリアは、前記内歯歯車8および太陽歯車10の回転軸線L1を中心に回転し、このプラネタリキャリアに保持されている遊星歯車12は、プラネタリキャリアの回転によって、その中心軸線L2が前記プラネタリキャリアの回転軸線L1を中心に回転、つまり公転するとともに、プラネタリキャリアの保持空間内で、自らの軸線L2を中心に回転(自転)できるようになっている。この実施の形態では、これら内歯歯車8、太陽歯車10および遊星歯車12はいずれも捩れ歯を有しており、各遊星歯車12がそれぞれ外周側の内歯歯車8と、内周側の太陽歯車10に噛み合っている。また、前記内歯歯車8の内周側に円筒部8bが形成されてハウジング2から外部に延びており、この円筒部8bにリヤ側の車軸が接続されている。
【0016】
前記太陽歯車10には、円筒状の壁面を直径方向に貫通する二つの円孔10aが形成され、これら上下の円孔10a内にピニオンピン14の両端が挿入されている。太陽歯車10の壁面を貫通する円孔10aは、太陽歯車10の歯が設けられている部分に形成されており、従って、ピニオンピン14の両端部は、太陽歯車10の歯面上に突出しないように円孔10aの内部に位置している。このように太陽歯車10の歯が設けられている部分の内部にピニオンピン14を組み付けているので、ピニオンピン14の軸線L3上に、太陽歯車10と噛み合う遊星歯車12の端部を重ね合わせることができる。つまり、ピニオンピン14の軸線L3と遊星歯車12とを、ピニオンピン14の軸線L3上で交差させて配置することができる。
【0017】
ピニオンピン14の両端部寄りの外周に、それぞれピニオンギヤ16が嵌合している。これら一対のピニオンギヤ16は、前記遊星歯車式デフ6の内歯歯車8および太陽歯車10の回転軸線L1を中心として、左右両側に配置された一対のサイドギヤ18に噛み合っている。前記太陽歯車10の円孔10aに挿通されたピニオンピン14、このピニオンピン14に固定された一対のピニオンギヤ16および左右両側に配置されてピニオンギヤ16に噛み合う一対のサイドギヤ18等によりベベルギヤ式のフロントデフ4が構成されており、左右のサイドギヤ18がそれぞれフロント側の左右車軸に接続されている。
【0018】
フロントデフ4とセンターデフ6とを一体化した構成の前記車輌用差動歯車装置は、例えば、エンジンの駆動力がハウジング2に入力されると、このハウジング2と一体のプラネタリキャリアが回転し、このプラネタリキャリアに保持されている遊星歯車12を介して、前記内歯歯車8および太陽歯車10が前記回転軸線L1を中心に回転する。内歯歯車8の中心部寄りに形成された円筒部8bはリヤ側の車軸に接続されており、この内歯歯車8を介して駆動力がリアホイールに伝達される。
【0019】
また、前記太陽歯車10の回転によりピニオンピン14が回転すると、このピニオンピン14に嵌合されている2個のピニオンギヤ16が、前記内歯歯車8および太陽歯車10の回転軸線(フロントの左右両車軸の中心軸線)L1を中心に回転(公転)する。自動車が平坦路を直進するような場合には、左右の駆動ホイールの回転抵抗が等しいので、左右のサイドギヤ18は同じ回転数でピニオンギヤ16の公転に従って動き、全体が一つのブロックとなって回転する。また、コーナリング時等には、両ピニオンギヤ16がピニオンピン14を中心に回転(自転)することにより、左右両ホイールつまり左右両サイドギヤ18の回転差を補正する。
【0020】
この実施の形態に係る車輌用差動歯車装置は、ベベルギヤ式フロントデフ4のピニオンピン14を、遊星歯車式センターデフ6の太陽歯車10の、歯10aが形成されている部分内に、この太陽歯車10の中心軸線L1と直交させて取り付けているので、従来の構成のようにフロントデフのピニオンピンとセンターデフの太陽歯車とを平行に配置した構成に比べて、長手方向の寸法を大幅に短縮することができ、コンパクト化、軽量化を図ることができる。また、太陽歯車10の歯10aが設けられている部分にピニオンピン14を組み付けているので、ピニオンピン14の軸線L3上に前記遊星歯車12の端部を重ね合わせる配置が可能であり、従って、この差動歯車装置の軸線方向の長さをさらに短縮することができる。しかも、従来の構成では、ピニオンピンと太陽歯車とを連結する別部品が必要であったが、この実施の形態の構成では、太陽歯車10に直接ピニオンピン14を取り付けているので、別の連結部品が必要なく、構成部品数を削減することができる。
【0021】
図3および図4は第2の実施の形態に係る車輌用差動歯車装置を示すもので、図3はその縦断面図、図4は図3のIV−IV線に沿う断面図である。前記第1の実施の形態とは一部の構成を除き共通するので、相違する部分についてだけ説明し、同一の部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0022】
この実施の形態では、ベベルギヤ式フロントデフ4のピニオンギヤ16が4個であり、これら各ピニオンギヤ16が十字状のピニオンピン114の各端部側にそれぞれ嵌合している。そして、これら4個のピニオンギヤ16に、左右一対のサイドギヤ18が噛み合っている。
【0023】
また、遊星歯車式センターデフ6の内歯歯車8と同心に配置され、プラネタリキャリアに保持された遊星歯車12の内周側に噛み合っている太陽歯車110の形状が、前記第1の実施の形態の太陽歯車10の形状と異なっている。この実施の形態では、太陽歯車110の内周面に、円周方向等間隔で4本の軸方向溝110bが形成されている。この軸方向溝110bは、太陽歯車110の一方の端部(図3の左端)から内部側に延び、太陽歯車110の歯110aが形成されている部分の範囲内に終端があり、この軸方向溝110a内に挿入された十字状のピストンピン114が、この終端の段部110baに当たって保持されるようになっている。
【0024】
この実施の形態でも、ベベルギヤ式フロントデフ4のピニオンピン114が、遊星歯車式センターデフ6の太陽歯車110の内部に、この太陽歯車110の中心軸線L1と直交するように配置されているので、ベベルギヤ式デフと遊星歯車式デフとを一体化した車輌用差動歯車装置の長手方向の長さを短縮して、コンパクト化、軽量化を図ることができ、しかも、ピニオンピン114を太陽歯車110に直接組み付けているので、構成部品数を削減することができる。なお、この実施の形態では、4個のピニオンギヤ16を備えているのでピニオンピン114として十字ピンを用いているが、第1実施の形態と同様に2個のピニオンギヤを有する一本のピニオンピンを、この第2の実施の形態と同様に、太陽歯車110の内部に溝を形成し、この溝内に挿入するようにしても良い。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、ベベルギヤ式フロントデフと遊星歯車式センターデフとを一体化した車輌用差動歯車装置において、前記フロントデフのピニオンピンの軸線上に、センターデフの遊星歯車を交差させて配置したことにより、長手方向の寸法を短縮してコンパクト化、軽量化を図ることができる。また、ベベルギヤ式デフのピニオンピンと遊星歯車式デフの太陽歯車とを連結する部品が不要になり、構成部品数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る車輌用差動歯車装置の縦断面図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】第2の実施の形態に係る車輌用差動歯車装置の縦断面図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿う断面図である。
【符号の説明】
4 ベベルギヤ式フロントデフ
6 遊星歯車式センターデフ
14 ピニオンピン
10 太陽歯車
10a 太陽歯車の貫通孔(円孔)
110a 太陽歯車の溝(軸方向溝)
【発明が属する技術分野】
本発明は、車輌用差動歯車装置に係り、特に、ベベルギヤ式フロントデフと遊星歯車式センターデフとを一体にした構造を有する車輌用差動歯車装置に関するものである。
【0002】
ベベルギヤ式デフは、一般に、2個または4個のピニオンギヤと、これらピニオンギヤに噛み合う一対のサイドギヤとによって構成される。前記ピニオンギヤは、ピニオンピンによってデフケースに取付けられており、これらピニオンギヤに一対のサイドギヤが噛み合っている。両サイドギヤは、それぞれスプラインにより左右両側のアクスルシャフトに結合されている。
【0003】
前記ベベルギヤ式デフは、自動車が平坦路を直進するような場合は、左右の駆動ホイールの回転抵抗が等しいので、左右のサイドギヤは同じ回転数でピニオンギヤの公転に従って一体的に回転する。一方、コーナリング時等には、ピニオンギヤが自転をすることにより左右の駆動ホイールの回転差を補正するようになっている。
【0004】
また、遊星歯車式デフは、内歯歯車と、この内歯歯車の内周側の同心円上に配置された太陽歯車と、前記内歯歯車と太陽歯車との間に配置され、これら両歯車に噛み合う複数の遊星歯車と、これら遊星歯車を保持して、前記内歯歯車および太陽歯車の回転軸線を中心に公転させるとともに、各遊星歯車の自転を許容するプラネタリキャリアとを備えている。
【0005】
前記構成のベベルギヤ式デフと遊星歯車式デフとを一体化した構造、例えば、エンジン横置きレイアウトの4輪自動車において、ベベルギヤ式デフをフロントデフとし、遊星歯車式デフをセンターデフとした構造の車輌用差動歯車装置がすでに知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ベベルギヤ式フロントデフと遊星歯車式センターデフとを一体化した車輌用差動歯車装置は、従来は、遊星歯車式デフの太陽歯車とベベルギヤ式デフのピニオンピンを取り付けたデフケースとを、その一部をオーバーラップさせて配置し、このオーバーラップした部分をスプラインにより回転方向に連結する構造になっている。従って、ピニオンピンと太陽歯車とを平行に並べたレイアウトであり、長手方向の寸法をコンパクト化することが困難であった。また、前記ピニオンピンと太陽歯車とを別の部品(デフケースに相当する部品)を介して連結するようにしているので、構成部品数が増加するという問題があった。
【0007】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、長手方向の寸法を短縮して、コンパクト化、軽量化を図るとともに、構成部品数を削減することができる車輌用差動歯車装置を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載された発明に係る車輌用差動歯車装置は、ベベルギヤ式フロントデフと遊星歯車式センターデフとを一体化したものであって、特に、前記フロントデフのピニオンピンの軸線上に、センターデフの遊星歯車を交差させて配置したことを特徴とするものである。
【0009】
この発明に係る車輌用差動歯車装置では、フロントデフのピニオンピンと遊星歯車とが、ピニオンピンの軸線上で重なり合っているので、長手方向のサイズが短縮され、コンパクト化および軽量化を図ることができる。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、前記太陽歯車の歯が設けられている部分に貫通孔を形成し、この孔内に前記ピニオンピンを挿入したことを特徴とするものである。
【0011】
さらに、請求項3に記載の発明は、前記太陽歯車の歯が設けられている部分の内面側に溝を形成し、この溝内に前記ピニオンピンを挿入したことを特徴とするものである。
【0012】
前記請求項2および請求項3に記載の発明に係る車輌用差動歯車装置では、太陽歯車の歯が形成されている部分の内部にピニオンピンを組み付けているので、コンパクト化が図れるとともに、太陽歯車の内部に形成した貫通孔または溝にピニオンピンを組み付けているので、太陽歯車とピニオンピンとを連結するための部品を削減することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示す実施の形態により本発明を説明する。図1は本発明の一実施の形態に係る車輌用差動歯車装置の縦断面図、図2は図1のII−II線に沿う断面図である。この車輌用差動歯車装置は、第1ハウジング2Aと第2ハウジング2Bとを突き合わせて構成されたハウジング2の内部に、ベベルギヤ式のフロントデフ4と遊星歯車式のセンターデフ6とが一体的に組み付けられている。
【0014】
前記ハウジング2の内部に、内周面に内歯8aが形成された内歯歯車8が回転自在に嵌合している。この内歯歯車8の内周側に、内歯歯車8の回転軸線L1と同一軸線を中心に回転する太陽歯車10が配置されている。この太陽歯車10は、外周面に歯10aが形成された外歯歯車である。さらに、前記内歯歯車8と太陽歯車10との間に、プラネタリキャリア(図示せず)に保持された複数の遊星歯車12が配置されてこれら内歯歯車8および太陽歯車10に噛み合っている。遊星歯車12は、プラネタリキャリアの円周方向等間隔に形成された複数の保持空間内にそれぞれ保持されており、その歯先が保持空間の内面に摺接している。なお、この実施の形態では、プラネタリキャリアは、第1ハウジング2Aに連結されて一体的に回転する。
【0015】
プラネタリキャリアは、前記内歯歯車8および太陽歯車10の回転軸線L1を中心に回転し、このプラネタリキャリアに保持されている遊星歯車12は、プラネタリキャリアの回転によって、その中心軸線L2が前記プラネタリキャリアの回転軸線L1を中心に回転、つまり公転するとともに、プラネタリキャリアの保持空間内で、自らの軸線L2を中心に回転(自転)できるようになっている。この実施の形態では、これら内歯歯車8、太陽歯車10および遊星歯車12はいずれも捩れ歯を有しており、各遊星歯車12がそれぞれ外周側の内歯歯車8と、内周側の太陽歯車10に噛み合っている。また、前記内歯歯車8の内周側に円筒部8bが形成されてハウジング2から外部に延びており、この円筒部8bにリヤ側の車軸が接続されている。
【0016】
前記太陽歯車10には、円筒状の壁面を直径方向に貫通する二つの円孔10aが形成され、これら上下の円孔10a内にピニオンピン14の両端が挿入されている。太陽歯車10の壁面を貫通する円孔10aは、太陽歯車10の歯が設けられている部分に形成されており、従って、ピニオンピン14の両端部は、太陽歯車10の歯面上に突出しないように円孔10aの内部に位置している。このように太陽歯車10の歯が設けられている部分の内部にピニオンピン14を組み付けているので、ピニオンピン14の軸線L3上に、太陽歯車10と噛み合う遊星歯車12の端部を重ね合わせることができる。つまり、ピニオンピン14の軸線L3と遊星歯車12とを、ピニオンピン14の軸線L3上で交差させて配置することができる。
【0017】
ピニオンピン14の両端部寄りの外周に、それぞれピニオンギヤ16が嵌合している。これら一対のピニオンギヤ16は、前記遊星歯車式デフ6の内歯歯車8および太陽歯車10の回転軸線L1を中心として、左右両側に配置された一対のサイドギヤ18に噛み合っている。前記太陽歯車10の円孔10aに挿通されたピニオンピン14、このピニオンピン14に固定された一対のピニオンギヤ16および左右両側に配置されてピニオンギヤ16に噛み合う一対のサイドギヤ18等によりベベルギヤ式のフロントデフ4が構成されており、左右のサイドギヤ18がそれぞれフロント側の左右車軸に接続されている。
【0018】
フロントデフ4とセンターデフ6とを一体化した構成の前記車輌用差動歯車装置は、例えば、エンジンの駆動力がハウジング2に入力されると、このハウジング2と一体のプラネタリキャリアが回転し、このプラネタリキャリアに保持されている遊星歯車12を介して、前記内歯歯車8および太陽歯車10が前記回転軸線L1を中心に回転する。内歯歯車8の中心部寄りに形成された円筒部8bはリヤ側の車軸に接続されており、この内歯歯車8を介して駆動力がリアホイールに伝達される。
【0019】
また、前記太陽歯車10の回転によりピニオンピン14が回転すると、このピニオンピン14に嵌合されている2個のピニオンギヤ16が、前記内歯歯車8および太陽歯車10の回転軸線(フロントの左右両車軸の中心軸線)L1を中心に回転(公転)する。自動車が平坦路を直進するような場合には、左右の駆動ホイールの回転抵抗が等しいので、左右のサイドギヤ18は同じ回転数でピニオンギヤ16の公転に従って動き、全体が一つのブロックとなって回転する。また、コーナリング時等には、両ピニオンギヤ16がピニオンピン14を中心に回転(自転)することにより、左右両ホイールつまり左右両サイドギヤ18の回転差を補正する。
【0020】
この実施の形態に係る車輌用差動歯車装置は、ベベルギヤ式フロントデフ4のピニオンピン14を、遊星歯車式センターデフ6の太陽歯車10の、歯10aが形成されている部分内に、この太陽歯車10の中心軸線L1と直交させて取り付けているので、従来の構成のようにフロントデフのピニオンピンとセンターデフの太陽歯車とを平行に配置した構成に比べて、長手方向の寸法を大幅に短縮することができ、コンパクト化、軽量化を図ることができる。また、太陽歯車10の歯10aが設けられている部分にピニオンピン14を組み付けているので、ピニオンピン14の軸線L3上に前記遊星歯車12の端部を重ね合わせる配置が可能であり、従って、この差動歯車装置の軸線方向の長さをさらに短縮することができる。しかも、従来の構成では、ピニオンピンと太陽歯車とを連結する別部品が必要であったが、この実施の形態の構成では、太陽歯車10に直接ピニオンピン14を取り付けているので、別の連結部品が必要なく、構成部品数を削減することができる。
【0021】
図3および図4は第2の実施の形態に係る車輌用差動歯車装置を示すもので、図3はその縦断面図、図4は図3のIV−IV線に沿う断面図である。前記第1の実施の形態とは一部の構成を除き共通するので、相違する部分についてだけ説明し、同一の部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0022】
この実施の形態では、ベベルギヤ式フロントデフ4のピニオンギヤ16が4個であり、これら各ピニオンギヤ16が十字状のピニオンピン114の各端部側にそれぞれ嵌合している。そして、これら4個のピニオンギヤ16に、左右一対のサイドギヤ18が噛み合っている。
【0023】
また、遊星歯車式センターデフ6の内歯歯車8と同心に配置され、プラネタリキャリアに保持された遊星歯車12の内周側に噛み合っている太陽歯車110の形状が、前記第1の実施の形態の太陽歯車10の形状と異なっている。この実施の形態では、太陽歯車110の内周面に、円周方向等間隔で4本の軸方向溝110bが形成されている。この軸方向溝110bは、太陽歯車110の一方の端部(図3の左端)から内部側に延び、太陽歯車110の歯110aが形成されている部分の範囲内に終端があり、この軸方向溝110a内に挿入された十字状のピストンピン114が、この終端の段部110baに当たって保持されるようになっている。
【0024】
この実施の形態でも、ベベルギヤ式フロントデフ4のピニオンピン114が、遊星歯車式センターデフ6の太陽歯車110の内部に、この太陽歯車110の中心軸線L1と直交するように配置されているので、ベベルギヤ式デフと遊星歯車式デフとを一体化した車輌用差動歯車装置の長手方向の長さを短縮して、コンパクト化、軽量化を図ることができ、しかも、ピニオンピン114を太陽歯車110に直接組み付けているので、構成部品数を削減することができる。なお、この実施の形態では、4個のピニオンギヤ16を備えているのでピニオンピン114として十字ピンを用いているが、第1実施の形態と同様に2個のピニオンギヤを有する一本のピニオンピンを、この第2の実施の形態と同様に、太陽歯車110の内部に溝を形成し、この溝内に挿入するようにしても良い。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、ベベルギヤ式フロントデフと遊星歯車式センターデフとを一体化した車輌用差動歯車装置において、前記フロントデフのピニオンピンの軸線上に、センターデフの遊星歯車を交差させて配置したことにより、長手方向の寸法を短縮してコンパクト化、軽量化を図ることができる。また、ベベルギヤ式デフのピニオンピンと遊星歯車式デフの太陽歯車とを連結する部品が不要になり、構成部品数を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る車輌用差動歯車装置の縦断面図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】第2の実施の形態に係る車輌用差動歯車装置の縦断面図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿う断面図である。
【符号の説明】
4 ベベルギヤ式フロントデフ
6 遊星歯車式センターデフ
14 ピニオンピン
10 太陽歯車
10a 太陽歯車の貫通孔(円孔)
110a 太陽歯車の溝(軸方向溝)
Claims (3)
- ベベルギヤ式フロントデフと遊星歯車式センターデフとを一体化した車輌用差動歯車装置において、
前記フロントデフのピニオンピンの軸線上に、センターデフの遊星歯車を交差させて配置したことを特徴とする車輌用差動歯車装置。 - 前記太陽歯車の歯が設けられている部分に貫通孔を形成し、この孔内に前記ピニオンピンを挿入したことを特徴とする請求項1に記載の車輌用差動歯車装置。
- 前記太陽歯車の歯が設けられている部分の内面側に溝を形成し、この溝内に前記ピニオンピンを挿入したことを特徴とする請求項1に記載の車輌用差動歯車装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003120603A JP2004324774A (ja) | 2003-04-24 | 2003-04-24 | 車輌用差動歯車装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003120603A JP2004324774A (ja) | 2003-04-24 | 2003-04-24 | 車輌用差動歯車装置 |
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JP2004324774A true JP2004324774A (ja) | 2004-11-18 |
Family
ID=33499457
Family Applications (1)
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Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004324774A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113412376A (zh) * | 2019-02-08 | 2021-09-17 | 加特可株式会社 | 动力传递装置 |
-
2003
- 2003-04-24 JP JP2003120603A patent/JP2004324774A/ja active Pending
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