JP2004315552A - 熱可塑性樹脂組成物および成形体 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物および成形体 Download PDF

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Kazuya Noda
和弥 野田
Takaaki Miyoshi
貴章 三好
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Abstract

【課題】ポリアミド/ポリフェニレンエーテルアロイの衝撃強度および流動性を保持しながら高荷重下での耐熱変形性が著しく改良された熱可塑性樹脂組成物組成物の提供。
【解決手段】(A)ポリアミド、(B)ポリフェニレンエーテルおよび(C)ブロック共重合体からなる組成物において、該ブロック重合体が、(C1)芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックを55重量%以上90重量%未満の量で含有するブロック共重合体と、(C2)芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックを20重量%以上55重量%未満の量で含有するブロック共重合体から構成され、(C1)成分と(C2)成分のモル比率NC1/NC2が0.4〜1.0の範囲内であるものを使用する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、射出成形により電気・電子部品、OA部品、自動車の電装部品および内外装部品等好適に利用できる熱可塑性樹脂に関する。さらに詳しくは、ポリアミドとポリフェニレンエーテルからなるポリマーアロイ組成物において、特定のブロック共重合体からなるゴム含有物質を特定の範囲で2種類以上配合することにより、衝撃強度および流動性を保持しながら高荷重下での耐熱変形性の著しく改良された樹脂組成物および射出成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリフェニレンエーテルは機械的性質・電気的性質及び耐熱性が優れており、しかも寸法安定性に優れるため幅広い用途で使用されているが、単独では耐油性および成形加工性に劣るという大きな欠点を有している。これを改良するためにポリアミドを配合する技術が提案され、現在では非常に多種多様な用途に使用される材料となっている。(特許文献1参照)
【0003】
ポリアミドとポリフェニレンエーテルからなるポリマーアロイは、耐熱変形性に優れた樹脂であるが、耐熱変形性付与の為に、ポリアミドに対するポリフェニレンエーテルの配合比率を上げる技術、あるいはポリアミドの種類としてポリアミド6の代わりにポリアミド66を用いる技術は既に開示されている。(特許文献2参照)
【0004】
また、ポリフェニレンエーテルとして、2,6−ジメチルフェノールおよび2,3,6−トリメチルフェノールから誘導される単位からなるPPE共重合体を用いることにより、耐熱変形性を向上させる技術が開示されている。(特許文献3参照)
【0005】
最近、ポリアミド/ポリフェニレンエーテルアロイからなる組成物は、自動車用電装部品の一つであるリレーブロック、あるいは自動車外装部材であるドアおよびフェンダーなどの用途向けに使用される。これらの用途においては、特に剛性、耐衝撃性、耐熱性および流動性のバランスにより一層の向上が望まれる。しかしながら、この高荷重下での耐熱変形性の改善は、流動性および耐衝撃性のような他の重要な特性を実質的に保持しながら達成しなければならない点で従来技術では十分に解決することはできない。
【0006】
したがって、こうした用途の拡大には、従来技術であるポリアミドとポリフェニレンエーテルの配合比、ポリアミドおよびポリフェニレンエーテルの種類を変えることなく、優れた高荷重下での耐熱変形性を示し、流動性と耐衝撃性を実質的に保持するようなポリアミド/ポリフェニレンエーテル組成物が望まれてきた。
【0007】
【特許文献1】
特公昭45−997号公報
【特許文献2】
特開平6−240130号公報
【特許文献3】
特開平8−253674号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ポリアミド/ポリフェニレンエーテルアロイの衝撃強度および流動性を保持しながら、高荷重下での耐熱変形性を向上させた熱可塑性樹脂組成物およびその成形体を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、特定のブロック共重合体からなるゴム含有物質を最適な範囲で2種類以上配合することにより、衝撃強度および流動性を保持しながら、高荷重下での耐熱変形性の著しく改良された熱可塑性樹脂組成物およびその成形体が得られることを見いだした。
【0010】
すなわち本発明は、
(A)ポリアミド50〜90重量部、(B)ポリフェニレンエーテル50〜10重量部の合計100重量部に対して、(C)少なくとも1個の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックと、少なくとも1個の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックからなる水素添加されたブロック共重合体1〜35重量部からなる組成物において、(C)成分が(C1)芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックを55重量%以上90重量%未満の量で含有するブロック共重合体と、(C2)芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックを20重量%以上55重量%未満の量で含有するブロック共重合体から構成され、(C1)成分と(C2)成分のモル比率NC1/NC2が0.4〜1.0の範囲内であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物およびその成形体に関する。
【0011】
次に本発明で使用することのできる各成分について詳しく述べる。
本発明に用いる(A)成分のポリアミド樹脂としては、二塩基酸とジアミンの重縮合物、環状ラクタム開環重合物、アミノカルボン酸の重縮合物、および、これらのコポリマー、ブレンド物が挙げられる。より具体的には、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン612、ナイロン610、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、などの脂肪族ポリアミド樹脂、ポリメタキシレンアジパミド(ナイロンMXD6)、ポリヘキサメチレンテレフタラミド(ナイロン6T)、ポリヘキサメチレンイソフタラミド(ナイロン6I)などの脂肪族、芳香族ポリアミド樹脂、および、これらの共重合体やブレンド物を用いることができる。本発明では、耐熱性、機械的強度の点でより優れることからナイロン66、ナイロン6、ナイロン66/6、ナイロン66/6Iが特に好ましく用いられるが、最も好ましくはポリアミド66である。
【0012】
本発明で使用される(A)ポリアミド樹脂の重合度については、特に限定されないが、通常の射出成形加工性の面から、JIS K6810に準じた98%硫酸溶液で測定される25℃での相対粘度が2.0以上であることがより好ましく、より好ましくは2.2〜3.0である。本発明における(A)ポリアミド樹脂はこれらに限定されるものではなく、分子量の異なる複数のポリアミド樹脂の混合物であっても良い。
【0013】
本発明に用いるポリアミド樹脂の重合方法は特に限定されず、溶融重合、界面重合、溶液重合、塊状重合、固相重合、および、これらを組み合わせた方法のいずれでもよい。これらの中では、溶融重合がより好ましく用いられる。
ポリアミドの末端基は、官能化ポリフェニレンエーテルとの反応に関与する。ポリアミド樹脂は末端基として一般にアミノ基、カルボキシル基を有しているが、一般的にカルボキシル基濃度が高くなると、一般的に耐衝撃性が低下し、流動性が向上し、逆にアミノ基濃度が高くなると耐衝撃性が向上し、流動性が低下する。
本願における、これらの好ましい比はアミノ基/カルボキシル基濃度比で、9/1〜1/9であり、より好ましくは8/2〜1/9、更に好ましくは6/4〜1/9である。
【0014】
また、末端のアミノ基の濃度としては少なくとも10ミリ当量/kgであることが好ましい。更に好ましくは30ミリ当量/kg以上である。
これらポリアミド樹脂の末端基の調整方法は、当業者には明らかであるような公知の方法を用いることができる。例えばポリアミド樹脂の重合時に所定の末端濃度となるようにジアミン類やジカルボン酸類、モノカルボン酸類などを添加する方法が挙げられる。
【0015】
また、本発明に使用されるポリアミド樹脂は、本発明の目的を損なわない範囲において、1種または2種以上の添加物、例えば、他の樹脂ポリマー、無機充填材、安定剤および禁止剤(酸化劣化、熱劣化、紫外線劣化に対する)、滑剤および離形剤、着色剤(染料および顔料を含む)、核形成剤、可塑剤、発泡剤、難燃剤、帯電防止剤などを目的に応じて適宜加えたものを含む。
【0016】
本発明では、熱安定剤として、銅化合物、例えばヨウ化銅、臭化第一銅、臭化第二銅、塩化第一銅、酢酸銅、プロピオン酸銅、安息香酸銅、アジピン酸銅、テレフタル酸銅、イソフタル酸銅等を使用することができる。またキレート剤に配位した銅錯塩等も好ましい。これらの銅化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。なかでもヨウ化銅がより効果的であり、特に好ましい。さらに本発明では、耐熱性改良剤として作用するハロゲン化アルカリ、より具体的にはヨウ化カリウム、臭化カリウム、塩化カリウム、塩化ナトリウムを用いることが好ましい。これらのハロゲン化アルカリは単独で用いてもよく、また併用してもよい。
【0017】
さらに、上記の他にポリアミドに添加することが可能な公知の添加剤等もポリアミド100重量部に対して10重量部未満の量で添加してもかまわない。
本発明で使用できる(B)ポリフェニレンエーテルとは、式(1)の構造単位からなる、ホモ重合体及び/または共重合体である。
【化1】
Figure 2004315552
〔式中、Oは酸素原子、Rは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、第一級もしくは第二級の低級アルキル、フェニル、ハロアルキル、アミノアルキル、炭化水素オキシ、又はハロ炭化水素オキシ(但し、少なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子を隔てている)を表わす。〕
【0018】
本発明の(B)ポリフェニレンエーテルの具体的な例としては、例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)等が挙げられ、さらに2,6−ジメチルフェノールと他のフェノール類との共重合体(例えば、特公昭52−17880号公報に記載されてあるような2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体や2−メチル−6−ブチルフェノールとの共重合体)のごときポリフェニレンエーテル共重合体も挙げられる。
【0019】
これらの中でも特に好ましいポリフェニレンエーテルとしては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体、またはこれらの混合物である。
【0020】
本発明で用いる(B)ポリフェニレンエーテルの製造方法は公知の方法で得られるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、米国特許第3306874号明細書、同第3306875号明細書、同第3257357号明細書及び同第3257358号明細書、特開昭50−51197号公報及び同63−152628号公報等に記載された製造方法等が挙げられる。
【0021】
本発明で使用することのできる(B)ポリフェニレンエーテルの還元粘度(ηsp/c:0.5g/dl、クロロホルム溶液、30℃測定)は、0.15〜0.70dl/gの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは0.20〜0.60dl/gの範囲、より好ましくは0.40〜0.55dl/gの範囲である。
【0022】
本発明においては、2種以上の還元粘度の異なるポリフェニレンエーテルをブレンドしたものであっても、何ら問題なく使用することができる。例えば、還元粘度0.45dl/g以下のポリフェニレンエーテルと還元粘度0.50dl/g以上のポリフェニレンエーテルの混合物、還元粘度0.40dl/g以下の低分子量ポリフェニレンエーテルと還元粘度0.50dl/g以上のポリフェニレンエーテルの混合物等が挙げられるが、もちろん、これらに限定されることはない。
【0023】
また、本発明で使用できる(B)ポリフェニレンエーテルは、全部又は一部が変性されたポリフェニレンエーテルであっても構わない。
ここでいう変性されたポリフェニレンエーテルとは、分子構造内に少なくとも1個の炭素−炭素二重結合または、三重結合及び少なくとも1個のカルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、水酸基、又はグリシジル基を有する、少なくとも1種の変性化合物で変性されたポリフェニレンエーテルを指す。
【0024】
該変性されたポリフェニレンエーテルの製法としては、(1)ラジカル開始剤の存在下、非存在下で100℃以上、ポリフェニレンエーテルのガラス転移温度未満の範囲の温度でポリフェニレンエーテルを溶融させることなく変性化合物と反応させる方法、(2)ラジカル開始剤の存在下、非存在下でポリフェニレンエーテルのガラス転移温度以上360℃以下の範囲の温度で変性化合物と溶融混練し反応させる方法、(3)ラジカル開始剤の存在下、非存在下でポリフェニレンエーテルのガラス転移温度未満の温度で、ポリフェニレンエーテルと変性化合物を溶液中で反応させる方法等が挙げられ、これらいずれの方法でも構わないが、(1)及び、(2)の方法が好ましい。
【0025】
次に分子構造内に少なくとも1個の炭素−炭素二重結合または、三重結合及び少なくとも1個のカルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、水酸基、又はグリシジル基を有する少なくとも1種の変性化合物について具体的に説明する。
分子内に炭素−炭素二重結合とカルボン酸基、酸無水物基を同時に有する変性化合物としては、マレイン酸、フマル酸、クロロマレイン酸、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸及びこれらの酸無水物などが挙げられる。特にフマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が良好で、フマル酸、無水マレイン酸が特に好ましい。
【0026】
また、これら不飽和ジカルボン酸のカルボキシル基の、1個または2個のカルボキシル基がエステルになっているものも使用可能である。
分子内に炭素−炭素二重結合とグリシジル基を同時に有する変性化合物としては、アリルグリシジルエーテル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレート、エポキシ化天然油脂等が挙げられる。
これらの中でグリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレートが特に好ましい。
【0027】
分子内に炭素−炭素二重結合と水酸基を同時に有する変性化合物としては、アリルアルコール、4−ペンテン−1−オール、1,4−ペンタジエン−3−オールなどの一般式C2n−3OH(nは正の整数)の不飽和アルコール、一般式C2n−5OH、C2n−7OH(nは正の整数)等の不飽和アルコール等が挙げられる。
上述した変性化合物は、それぞれ単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0028】
変性されたポリフェニレンエーテルを製造する際の変性化合物の添加量は、ポリフェニレンエーテル100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましく、更に好ましくは0.3〜5重量部である。
ラジカル開始剤を用いて変性されたポリフェニレンエーテルを製造する際の好ましいラジカル開始剤の量は、ポリフェニレンエーテル100重量部に対して0.001〜1重量部である。
また、変性されたポリフェニレンエーテル中の変性化合物の付加率は、0.01〜5重量%が好ましい。より好ましくは0.1〜3重量%である。
【0029】
該変性されたポリフェニレンエーテル中には、未反応の変性化合物及び/または、変性化合物の重合体が残存していても構わない。
また、変性されたポリフェニレンエーテル中に残存する変性化合物及び/または、変性化合物の重合体の量を減少させるために、該変性されたポリフェニレンエーテルを製造する際に、必要に応じてアミド結合及び/またはアミノ基を有する化合物を添加しても構わない。
【0030】
ここでいうアミド結合を有する化合物とは、分子構造中にアミド結合{−NH−C(=O)−}構造を有する化合物であり、アミノ基を有する化合物とは末端に{−NH2}構造を有する化合物である。これら化合物の具体例としては、オクチルアミン、ノニルアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族アミン類、アニリン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン等の芳香族アミン類、上記アミン類とカルボン酸、ジカルボン酸等との反応物、ε−カプロラクタム等のラクタム類及び、ポリアミド樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
これらアミド結合またはアミノ基を有する化合物を添加する際の好ましい添加量は、ポリフェニレンエーテル100重量部に対し0.001重量部以上、5重量部未満である。好ましくは0.01重量部以上、1重量部未満、より好ましくは0.01重量部以上、0.1重量部未満である。
【0032】
また、本発明では、スチレン系熱可塑性樹脂を(A)ポリアミドと(B)ポリフェニレンエーテルの合計100重量部に対し、50重量部未満の量であれば配合しても構わない。
本発明でいうスチレン系熱可塑性樹脂とは、ホモポリスチレン、ゴム変性ポリスチレン(HIPS)、スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、スチレン−ゴム質重合体−アクリロニトリル共重合体(ABS樹脂)等が挙げられる。
更に、ポリフェニレンエーテルに添加することが可能な公知の添加剤等もポリフェニレンエーテル100重量部に対して10重量部未満の量で添加しても構わない。
【0033】
次に、本発明で使用することのできる(C)ブロック共重合体について説明する。
本発明で使用することのできる(C)ブロック共重合体とは、少なくとも2個の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックと少なくとも1個の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックからなる水素添加されたブロック共重合体である。
【0034】
芳香族ビニル化合物の具体例としてはスチレン、αメチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられ、これらから選ばれた1種以上の化合物が用いられるが、中でもスチレンが特に好ましい。
共役ジエン化合物の具体例としては、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、1,3−ペンタジエン等が挙げられ、これらから選ばれた1種以上の化合物が用いられるが、中でもブタジエン、イソプレンおよびこれらの組み合わせが好ましい。
【0035】
ブロック共重合体の共役ジエン化合物としてブタジエンを使用する場合は、ポリブタジエンブロック部分のミクロ構造は1,2−ビニル含量もしくは1,2−ビニル含量と3,4−ビニル含量の合計量が5〜80%が好ましく、さらには10〜50%が好ましく、15〜40%が最も好ましい。
【0036】
本発明におけるブロック共重合体は、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック(a)と共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(b)がa−b型、a−b−a型、a−b−a−b型のから選ばれる結合形式を有するブロック共重合体である事が好ましい。
これらの中でもa−b−a型がより好ましい。これらはもちろん混合物であっても構わない。
【0037】
また、水素添加されたブロック共重合体とは、上述の芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物のブロック共重合体を水素添加処理することにより、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックの脂肪族二重結合を0を越えて100%の範囲で制御したものをいう。該水素添加されたブロック共重合体の好ましい水素添加率は50%以上であり、より好ましくは80%以上、最も好ましくは98%以上である。
【0038】
本発明において、(C)成分のブロック共重合体は、(C1)芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックを55重量%以上90重量%未満の量で含有するブロック共重合体と、(C2)芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックを20重量%以上55重量%未満の量で含有するブロック共重合体の混合物である必要がある。さらに具体的には、(C1)成分と(C2)成分のモル比率NC1/NC2が0.4〜1.0の範囲内である必要がある。
【0039】
また、(C1)成分と(C2)成分のモル比率NC1/NC2が0.4より小さい場合は、高荷重下での耐熱変形性の向上が発現しない。また、モル比率NC1/NC2が1.0より大きい場合は、衝撃強度の低下が顕著になる。
(C1)成分と(C2)成分のモル比率NC1/NC2は、各ブロック共重合体の数平均分子量を用いて、下式により求めることができる。
C1/NC2=Σ(C1,n/Mn(C1,n))/Σ(C2,n/Mn(C2,n)
上式中において、Mn(C1,n)はC1成分のブロック共重合体nの数平均分子量、Mn(C2,n)はC2成分のブロック共重合体nの数平均分子量、C1,nはC1成分のブロック共重合体nの重量分率、C2,nはC2成分のブロック共重合体nの重量分率を表す。
【0040】
具体的には、(C)成分の各ブロック共重合体の数平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定装置[GPC SYSTEM21:昭和電工(株)製]を用いて、紫外分光検出器[UV−41:昭和電工(株)製]で測定し、標準ポリスチレンで換算した数平均分子量の事を指す。[溶媒:クロロホルム、温度:40℃、カラム:サンプル側(K−G,K−800RL,K−800R)、リファレンス側(K−805L×2本)、流量10ml/分、測定波長:254nm,圧力15〜17kg/cm]。この時、重合時の触媒失活による低分子量成分が検出されることがあるが、その場合は分子量計算に低分子量成分は含めない。通常、計算された正しい分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)は1.0〜1.2の範囲内である。
【0041】
本発明において、(C)成分のブロック共重合体は、数平均分子量120,000未満のブロック共重合体から構成されることにより、流動性、衝撃強度および高荷重下での耐熱変形性のバランスが高いレベルで効果的に発現される。
これら芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物の水素添加されたブロック共重合体は、本発明の趣旨に反しない限り、結合形式の異なるもの、芳香族ビニル化合物種の異なるもの、共役ジエン化合物種の異なるもの、1,2−結合ビニル含有量もしくは1,2−結合ビニル含有量と3,4−結合ビニル含有量の異なるもの、芳香族ビニル化合物成分含有量の異なるもの、水素添加率の異なるもの等混合して用いても構わない。
【0042】
また、本発明で使用するブロック共重合体は、全部又は一部が変性されたブロック共重合体であっても構わない。
ここでいう変性されたブロック共重合体とは、分子構造内に少なくとも1個の炭素−炭素二重結合または、三重結合及び少なくとも1個のカルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、水酸基、又はグリシジル基を有する、少なくとも1種の変性化合物で変性されたブロック共重合体を指す。
【0043】
該変性されたブロック共重合体の製法としては、(1)ラジカル開始剤の存在下、非存在下でブロック共重合体の軟化点温度以上250℃以下の範囲の温度で変性化合物と溶融混練し反応させる方法、(2)ラジカル開始剤の存在下、非存在下でブロック共重合体の軟化点以下の温度で、ブロック共重合体と変性化合物を溶液中で反応させる方法、(3)ラジカル開始剤の存在下、非存在下でブロック共重合体の軟化点以下の温度で、ブロック共重合体と変性化合物を溶融させることなく反応させる方法等が挙げられ、これらいずれの方法でも構わないが、(1)の方法が好ましく、更には(1)の中でもラジカル開始剤存在下で行う方法が最も好ましい。
【0044】
ここでいう分子構造内に少なくとも1個の炭素−炭素二重結合または、三重結合及び少なくとも1個のカルボン酸基、酸無水物基、アミノ基、水酸基、又はグリシジル基を有する少なくとも1種の変性化合物とは、変性されたポリフェニレンエーテルで述べた変性化合物と同じものが使用できる。
【0045】
また、本発明では、組成物の製造の際に相溶化剤を添加しても構わない。相溶化剤を使用する主な目的は、ポリアミド−ポリフェニレンエーテル混合物の物理的性質を改良することである。本発明で使用できる相溶化剤とは、ポリフェニレンエーテル、ポリアミドまたはこれら両者と相互作用する多官能性の化合物を指すものである。この相互作用は化学的(たとえばグラフト化)であっても、または物理的(たとえば分散相の表面特性の変化)であってもよい。
いずれにしても得られるポリアミド−ポリフェニレンエーテル混合物は改良された相溶性を示す。
【0046】
本発明において使用することのできる相溶化剤の例としては、特開平8−048869号公報及び特開平9−124926号公報等に詳細に記載されており、これら公知の相溶化剤はすべて使用可能であり、併用使用も可能である。
これら、種々の相溶化剤の中でも、特に好適な相溶化剤の例としては、マレイン酸、無水マレイン酸、クエン酸が挙げられる。
本発明における相溶化剤の好ましい量は、ポリアミドとポリフェニレンエーテルの混合物100重量部に対して0.01〜20重量部であり、より好ましくは0.1〜10重量部である。
【0047】
更に、本発明において、(D)成分としてカーボンブラックを配合することにより、高荷重下での耐熱変形性をより高めることができる。
本発明でいうカーボンブラックは、主に着色剤および導電性付与剤として用いられるものである。
本発明において、(D)カーボンブラックの好ましい量比は、(A)〜(C)成分の合計100重量部に対して3重量部未満の量である。より好ましくは2重量部未満である。カーボンブラックの量が3重量部以上になると、熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性および流動性が著しく低下する。
【0048】
本発明では、上記した成分のほかに、本成分の効果を損なわない範囲で必要に応じて付加的成分を添加しても構わない。
付加的成分の例を以下に挙げる。
ポリエステル、ポリオレフィン等の他の熱可塑性樹脂、無機充填材(タルク、カオリン、ゾノトライト、ワラストナイト、酸化チタン、チタン酸カリウム、炭素繊維、ガラス繊維など、)、無機充填材と樹脂との親和性を高める為の公知のシランカップリング剤、難燃剤(ハロゲン化された樹脂、シリコーン系難燃剤、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、有機燐酸エステル化合物、ポリ燐酸アンモニウム、赤燐など)、滴下防止効果を示すフッ素系ポリマー、可塑剤(オイル、低分子量ポリオレフィン、ポリエチレングリコール、脂肪酸エステル類等)および、三酸化アンチモン等の難燃助剤、WO94/023433号公報に記載されているようなカーボンフィブリル等の導電性付与材、帯電防止剤、各種過酸化物、酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等である。これらの成分の具体的な添加量は、(A)〜(C)成分の合計量100重量部に対して、合計で100重量部を越えない範囲である。
【0049】
本発明の組成物を得るための具体的な加工機械としては、例えば、単軸押出機、二軸押出機、ロール、ニーダー、ブラベンダープラストグラフ、バンバリーミキサー等が挙げられるが、中でも二軸押出機が好ましく、特に、上流側供給口と1カ所以上の下流側供給口を備えた二軸押出機が最も好ましい。
この際の溶融混練温度は特に限定されるものではないが、通常240〜360℃の中から好適な組成物が得られる条件を任意に選ぶことができる。
【0050】
本発明の具体的な製造方法は、上流側供給口と1カ所以上の下流側供給口を備えた二軸押出機を用い、(1)上流側供給口よりブロック共重合体、及びポリフェニレンエーテルを供給し溶融混練した後、下流側供給口よりポリアミドを供給し溶融混練する方法、(2)上流側供給口よりブロック共重合体の一部、及びポリフェニレンエーテルを供給し溶融混練した後、下流側供給口よりポリアミド及び残りのブロック共重合体を溶融混練する方法、(3)上流側供給口よりポリフェニレンエーテルを供給し溶融混練した後、下流側供給口よりブロック共重合体及びポリアミドを供給し溶融混練する方法等が挙げられるが、いずれの方法を用いても構わない。
【0051】
このようにして得られる本発明の組成物は、従来より公知の種々の方法、例えば、射出成形により各種部品の成形体として成形できる。
これら各種部品としては、例えばリレーブロック材料等に代表される自動車電装部品、ICトレー材料、各種ディスクプレーヤー等のシャーシー、キャビネット等の電気・電子部品、各種コンピューターおよびその周辺機器等のOA部品や機械部品、さらにはオートバイのカウルや、自動車のバンパー・フェンダー・ドアーパネル・各種モール・エンブレム・アウタードアハンドル・ドアミラーハウジング・ホイールキャップ・ルーフレール及びそのステイ材・スポイラー等の自動車外装品や、インストゥルメントパネル、コンソールボックス、トリム等に代表される内装部品等に好適に使用できる。
【0052】
以下、本発明を実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明する。
【発明の実施の形態】
(使用した原料)
成分(A)ポリアミド
ポリアミド6,6樹脂(以下PAと略記)
相対粘度(98%硫酸/25℃)=2.7(JIS K6810)
末端アミノ基濃度=30ミリ等量/kg
末端カルボキシル基濃度=100ミリ等量/kg
成分(B)ポリフェニレンエーテル
還元粘度=0.42dl/g(以下PPEと略記)
【0053】
成分(C)ブロック共重合体
(C1−1)
構造:ポリスチレン−水素添加ポリブタジエン−ポリスチレン
数平均分子量=58,000
スチレン成分合計含有量=67%
1,2−ビニル含有量=41%
ポリブタジエン部の水素添加率=98%以上
(C1−2)
構造:ポリスチレン−水素添加ポリブタジエン−ポリスチレン
数平均分子量=97,000
スチレン成分合計含有量=60%
1,2−ビニル含有量=36%
ポリブタジエン部の水素添加率=98%以上
【0054】
(C2−1)
構造:ポリスチレン−水素添加ポリブタジエン−ポリスチレン
数平均分子量=88,000
スチレン成分合計含有量=28%
1,2−ビニル含有量=32%
ポリブタジエン部の水素添加率=98%以上
成分(D)カーボンブラック
ケッチエンブラックEC600JD(ライオン(株))
【0055】
実施例及び比較例で行った各評価試験は、以下のようにして行った。
(1)試験片の作成
Izod衝撃試験片は、射出成形機(日精樹脂工業(株)製:PS40E)を用い、シリンダー温度290℃、金型温度80℃で、ASTM D638に記載のTYPE I試験片を作成した。
【0056】
(2)Izod衝撃試験の測定
ノッチ付きIzod衝撃試験は、ASTM D256に準拠して測定した。
(3)荷重たわみ温度(DTUL)の測定
荷重たわみ温度は、ASTM D648(1.82MPaの荷重下)に準拠して測定した。試験片は、厚み3mmのものを用いた。
(4)流動性の測定
流動性は、メルトフローレイト(MFR)をASTM D1238に準拠して温度280℃、荷重5kgの条件下で10分間あたりの流出量を測定した。
【0057】
【実施例1〜3および比較例1〜5】
これらの組成物は、上流側に1カ所と、押出機中央部に1カ所の供給口を有する二軸押出機[ZSK−58MC:ウェルナー&フライデラー社製(ドイツ)]を用いて、所要成分を乾式配合し、かつ、溶融混練してペレットを得た。相溶化剤として無水マレイン酸0.5重量部添加した。また、ポリフェニレンエーテル、ブロック共重合体および無水マレイン酸は上流部供給口より添加した。
次に、得られたペレットを前記した方法により、成形し、各種試験を行った。
測定結果について,表1に示した。
【0058】
【表1】
Figure 2004315552
【0059】
【発明の効果】
本発明の組成物は、従来技術に比べ、衝撃強度および流動性を保持しながら高荷重下での耐熱変形性を著しく改良することができる。

Claims (5)

  1. (A)ポリアミド50〜90重量部、(B)ポリフェニレンエーテル50〜10重量部の合計100重量部に対して、(C)少なくとも1個の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックと、少なくとも1個の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックからなる水素添加されたブロック共重合体1〜35重量部からなる組成物において、(C)成分が(C1)芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックを55重量%以上90重量%未満の量で含有するブロック共重合体と、(C2)芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックを20重量%以上55重量%未満の量で含有するブロック共重合体から構成され、(C1)成分と(C2)成分のモル比率NC1/NC2が0.4〜1.0の範囲内であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. (C)成分が少なくとも2個の芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックと、少なくとも1個の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックからなる水素添加されたブロック共重合体である請求項1の熱可塑性樹脂組成物。
  3. (C)成分が数平均分子量120,000未満のブロック共重合体から構成されることを特徴とする請求項1または2記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. (D)成分としてカーボンブラックを、(A)〜(C)成分の合計100重量部に対して3重量部未満の量で含む請求項1〜3記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4いずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物からなる射出成形体。
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