JP2004308011A - 部分的に硬化された機能的先端部を有するねじとその製造方法 - Google Patents

Abstract

【課題】 硬化処理を連続通過工程で実行する可能性を与え、製造手順を実質的に容易にかつ安価にする。
【解決手段】 低合金炭素鋼からなり、頭部と、隣接する保持部と、半径方向の限られた深さの外部領域において前記保持部より高い硬度の機能的先端部とを有し、ねじ本体は、プレスと転造によって形成し、機能的先端部は硬化処理を行なう、ねじの製造方法において、高度のエネルギー伝達で瞬間に加熱し、続いて冷却することで硬化し、その硬化は機能的先端部の周辺部に限る。
【選択図】 図２

Description

本発明はねじの製造方法に関する。該ねじは、低合金炭素鋼からなり、頭部と、隣接する保持部と、半径方向の限られた深さの外部領域において前記保持部より高い硬度の機能的先端部とを有する。ねじ本体は、プレスと転造によって形成し、機能的先端部は硬化処理を行なう。また本発明はこのようなねじに関する。

セルフタッピングねじはドイツ特許第２２１１６０８号の明細書で公知である。このセルフタッピングねじでは、高硬度のねじ山は、セルフタッピング部に限られ、ねじ山のコア部に達している。ねじ山の硬化領域は、誘導コイルで加熱して焼入れすることにより形成する。これはその硬度を得る唯一の方法であり、当業者が達成しようと意図する方法である。硬度は外周面で均一である。しかし結果として、個々のねじに対して複雑な処理操作で、断続的な操作手順となる。したがって、エネルギー伝達率が実行可能なものに及ばず、さらに付加的なコア部の硬化が熱伝導により外部領域で生じる。しかし、頭部のプレス及びねじの転造により生じるコア部の硬化は十分であり、付加的な硬化の効果によりねじの水素誘起脆性破壊が増加する。最後に、硬化領域は軸方向に比較的長い。しかし、硬化領域は保持される部材に残さずに、貫通させて突き出さなければならないため、特に軸方向に長い機能的部分は外観を害する。

ドイツ特許第２２１１６０８号 ドイツ特許公報（ＤＥ１９８５３７３３Ｃ１） ヨーロッパ特許公報（ＥＰ０１３０７４９Ｂ１）

本発明は前記従来の問題の解決手段を求めるものである。

この明細書の冒頭に述べた方法に基づいて、本発明は、高度のエネルギー伝達で瞬間に加熱し、続いて冷却することで硬化し、その硬化は機能的先端部の周辺部に限る方法を提供する。この手段は、ねじの機能的先端部の硬度がその周辺部全体ではないがその周辺部の部分にわたって延びていて、他の周辺部がその基本的強度を保持していれば、ねじの機能的先端部は実際には不利に作用しないという理解に基づいている。同時に、前記手段はそのような硬化処理を連続通過工程で実行する可能性を与え、製造手順を実質的に容易にかつ安価にする。また、硬化の効果はねじの短い縦方向部分に集中させることができ、その取付状態ではそれに対応して短い機能的先端部のみが突出する。

ある要素部分の部分硬化のために低合金鋼を短時間でオーステナイト化することが公知であるが、そのような手段を適用する前述の特定方法は公知ではない。

機能的先端部をその周辺部の部分にわたって加熱する処理は、ラインインダクタを介してねじを直線横向前進運動させて、誘導的に行なうことができる。しかし、レーザビームの作用を利用することは、エネルギー伝達が速くてねじのコア部への熱伝導が低レベルであるために、特に有利である。この場合、複数のレーザビームをねじの機能的先端部の周辺部に向けることができる。

局地レーザ硬化は、例えばドイツ特許公報（ＤＥ１９８５３７３３Ｃ１）またはヨーロッパ特許公報（ＥＰ０１３０７４９Ｂ１）に見ることができるように公知であるが、ねじには関係しないし、本発明の方法の特定の形態には関係しない。

機能的先端部の部分的硬化の前に、ねじ本体は全体的に熱処理または焼入れすることができる。熱処理（heat treatment）は、オーステナイト温度まで加熱し、冷却（quenching）し、焼き戻す（tempering）ことによって達成され、一方焼入れ(case-hardening)は、オーステナイト温度まで加熱する間に炭化（carburisation）または炭窒化（carbonitriding）し、その後もう一度冷却し、焼き戻すことによって達成される。

好ましくは、周辺に限定した硬化の効果は、機能的先端部のねじ形成ねじ山の先端および側面に限られる。機能的先端部が穿孔または流れ孔形成用の切刃を有しているなら、硬化処理は、機能的先端部の孔形成部の切刃に限ることが有利である。全ての場合において、硬化の効果を増加させる瞬間加熱の半径方向深さは、機能的先端部の始まりから頭部に向かって軸方向に減少させることが有利である。

本発明の主題は、低合金炭素鋼からなり、頭部と、隣接する保持部と、半径方向の限られた深さの外部領域において前記保持部より高い硬度の機能的先端部とを有するねじにおいて、機能的先端部の周辺部のみが硬化されていることを特徴とするねじにある。機能的先端部の半径方向に互いに対向する２つの周辺部が硬化されていれば、特に有利であり、生産技術の観点からも遅れているものではない。しかし、硬化処理がレーザビームによって達成されるときには特に、機能的先端部の２以上の部分であって周辺にわたって均一に分布している部分を硬化することができる。

図面は、本発明の実施形態のねじを示している。

図１に示すねじは工具係合凹部２を備えた頭部１を有している。その軸３はねじ山４を備えている。最初のねじ山は、機能的先端部５の領域で先細になっており、その一部分８の先端６と側面７の領域において本発明による方法で硬化されており、２つの隣接するねじ山も同様である。図３ａから図３ｃは、図１のＩＩＩ−ＩＩＩ線における断面図であり、周囲の硬化部分８を示し、その形状は、ハッチングで示すように、使用する硬化方法の性質に依存する。図３ａに示す部分８は、ラインインダクタ（line inductor）を介してねじを直線横向前進運動させ、誘導加熱により形成される。一方、図３ｂおよび図３ｃの硬化部分８は、それぞれ３つまたは２つのレーザビームにより加熱することで形成されている。

図４に示すねじは、外部工具係合形状１１を備えた頭部１０と、ねじ１３を備えた軸１２とを有している。その機能的先端部１４は、切刃１６と、それに続くねじ形成ねじ山１７とを備えた穿孔部１５を有している。ねじ山１７の形状は、図１に示すねじのねじ山に対応している（図４のＩＩＩ−ＩＩＩ線における断面図を参照）。穿孔部１５の硬化された周辺部１８は、図５のＶＩ−ＶＩ線における断面図である図６に見られ、その軸方向の範囲は、図５に直接見ることができる。

図７に示すねじは、工具係合凹部２１を備えた頭部２０を有する。ねじ２３を備えた軸２２は、孔形成先端部２５を備えた機能的先端部２４を有し、その硬化は図９の周辺部２６に見られる。その周辺部２６の軸方向の範囲は図８に見ることができる。ねじ２３のねじ山２７は、孔形成先端部２５に隣接しているが、図１を参照して説明し、図２と図３から分かるように、周辺部８において再び硬化されている（図７のＩＩＩ−ＩＩＩ線における断面図を参照）。

本発明による機能的先端部の硬化は、機能的先端部の始まりに向かって軸方向に、その半径方向深さを増加することができる。図１０と関連した図１３に示すように、第１ねじ山の領域で最大であり、次のねじ山ではねじ山に向かって減少する（図１２および図１１）。同様の配慮は、穿孔部又は流れ孔形成部を備えた機能的先端部にも適用される（それぞれ図４と図７）。これにより、最大程度の硬度とねじの係合能力をそれぞれの作業手順の初期に利用することができる。

ねじ山を形成するのに役立つ機能的先端部を備えたねじの側面図。 図１の機能的先端部の拡大図で、硬化されたねじ山領域をハッチングで示す。 ａ）〜ｃ）は図１のＩＩＩ−ＩＩＩ線における断面図の変形例で、硬化領域をハッチングで示す。 穿孔およびねじ切りの機能的先端部を備えた他のねじの側面図 図４の機能的先端部の拡大図で、硬化領域をハッチングで示す。 図５のＶＩ−ＶＩ線における断面図。 ねじ孔形成の機能的先端部を備えたさらに他の構造の側面図。 図７の機能的先端部の拡大図で、硬化領域をハッチングで示す。 図８のＩＸ−ＩＸ線における断面図。 ３つのねじ山を備えたねじ孔形成の機能的先端部の図２に対応する図。 図１０のＡ−Ａ線における断面図。 図１０のＢ−Ｂ線における断面図。 図１０のＣ−Ｃ線における断面図。

符号の説明

１ 頭部
２ 工具係合凹部
３ 軸
４ ねじ山
５ 機能的先端部
６ 先端
７ 側面
８ 硬化部分
１０ 頭部
１１ 外部工具係合形状
１２ 軸
１３ ねじ
１４ 機能的先端部
１５ 穿孔部
１６ 切刃
１７ ねじ形成ねじ山
１８ 外周部
２０ 頭部
２１ 工具係合凹部
２２ 軸
２３ ねじ
２４ 機能的先端部
２５ 孔形成先端部
２６ 部分
２７ ねじ山

Claims (15)

1. 低合金炭素鋼からなり、頭部と、隣接する保持部と、半径方向の限られた深さの外部領域において前記保持部より高い硬度の機能的先端部とを有し、
   ねじ本体は、プレスと転造によって形成し、機能的先端部は硬化処理を行なう、ねじの製造方法において、
   高度のエネルギー伝達で瞬間に加熱し、続いて冷却することで硬化し、その硬化は機能的先端部の周辺部に限ることを特徴とするねじの製造方法。
2. 硬度を増加させる瞬間的加熱の半径方向深さは、機能的先端部の始まりから頭部に向かって軸方向に減少させることを特徴とする請求項１に記載の方法。
3. 前記加熱処理は、ラインインダクタを介してねじを直線横向前進運動させて、誘導的に行なうことを特徴とする請求項１または２に記載の方法。
4. 前記加熱処理は、レーザビームの作用により行なう請求項１または２に記載の方法。
5. 複数のレーザビームをねじの機能的先端部の周辺部に向けることを特徴とする請求項４に記載の方法。
6. 機能的先端部の硬化の前に、ねじ本体を全体的に熱処理することを特徴とする請求項１から５のいずれかに記載の方法。
7. 前記熱処理は、オーステナイト温度まで加熱し、冷却し、焼き戻すことによって達成する特徴とする請求項６に記載の方法。
8. 機能的先端部の硬化の前に、ねじ本体を全体的に焼入れすることを特徴とする請求項１から５のいずれかに記載の方法。
9. 前記焼入れは、オーステナイト温度まで加熱して炭化または炭窒化し、冷却し、焼き戻すことによって達成することを特徴とする請求項８に記載の方法。
10. 前記硬化効果は、機能的先端部のねじ形成ねじ山の先端および側面に限ることを特徴とする請求項１から９のいずれかに記載の方法。
11. 前記硬化処理は、機能的先端部の孔形成部の切刃に限ることを特徴とする請求項１から９のいずれかに記載の方法。
12. 低合金炭素鋼からなり、頭部と、隣接する保持部と、半径方向の限られた深さの外部領域において前記保持部より高い硬度の機能的先端部とを有するねじにおいて、機能的先端部の周辺部のみが硬化されていることを特徴とするねじ。
13. 高硬度の半径方向の深さは、機能的先端部の始まりから頭部に向かって軸方向に減少していることを特徴とする請求項１２に記載のねじ。
14. 機能的先端部の半径方向に互いに対向する２つの周辺部が硬化されていることを特徴とする請求項１２または１３に記載のねじ。
15. 機能的先端部の２以上の部分であって周辺にわたって均一に分布している部分が硬化されていることを特徴とする請求項１２または１３に記載のねじ。

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