JPH06264992A - ステアリングラック軸 - Google Patents

ステアリングラック軸

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JPH06264992A
JPH06264992A JP7910293A JP7910293A JPH06264992A JP H06264992 A JPH06264992 A JP H06264992A JP 7910293 A JP7910293 A JP 7910293A JP 7910293 A JP7910293 A JP 7910293A JP H06264992 A JPH06264992 A JP H06264992A
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rack tooth
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Hideji Sakamoto
秀二 坂本
Masayoshi Ozawa
正義 小沢
Seiji Kanuki
誠治 鹿貫
Kenji Hoshino
憲司 星野
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Yamada Seisakusho KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ステアリングラック軸において、部分的な調
質により歪を低減し、ラック歯等の加工を良好にし、製
造効率を向上させ、製造コストを低廉とし、且つ剛性,
靭性,強度性を高くすること。 【構成】 ステアリングラック軸Aの軸本体1のラック
歯形成部位1aの少なくとも一部の軸方向箇所は調質4
として熱処理されてなること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、部分的な調質により歪
を低減し、ラック歯等の加工を良好にし、製造効率を向
上させ、製造コストを低廉とし、且つ剛性,靭性,強度
性を高くしたステアリングラック軸に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、炉内において軸の全体に調質
なる熱処理を行なって、軸の強度及び靱性を高めたステ
アリングラック軸は存在している。その全体が調質され
ているステアリングラック軸とは、素材の全体に調質を
して、ステアリングラック軸を形成するもので、ラック
歯のような耐磨耗性の必要なところには後から焼入の熱
処理がなされ、該焼入れ箇所以外は、そのまま調質され
ている。
【0003】ここで、調質とは、焼入後、比較的高い温
度(略400℃以上)に焼戻して、トルースタイト組
織、あるいはソルバイト組織にする操作をいう。その調
質における焼入処理は、鋼材の心部まで一様に硬化ある
いは強化することを目的として行うもので、焼入後は約
400℃以上の適当な温度に高温の焼戻を施すのが普通
である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来のステアリングラ
ック軸のように、全体調質を行なった場合、図21の熱
処理の歪線比較グラフの従来の点線に示すように、その
調質による軸の歪(曲がり)は弓形状に大きくなる欠点
があった。このため、歪取り作業に時間が掛かり、製造
効率を低下させ、製造コストを高める弊害があった。さ
らに、全体調質によって生じた歪を矯正しても、鋼材
(ステアリングラック軸の素材)内の残留応力により、
その後の熱処理(ラック歯部、軸部等)のたびに、大き
な歪が発生する欠点があった。
【0005】また、ラック歯形成部位のラック歯等の加
工性を良好にして、加工効率、工具寿命を向上させるた
め、調質の硬度を比較的低くする必要があった。これが
ため、ステアリングラック軸の強度及び靱性を向上さ
せ、且つ剛性を高くすることが難しかった。すなわち、
図22(軸内部硬度と曲げ荷重との関係)に示すよう
に、加工性を良好にするために、内部硬度を減少させる
と、今度は、負荷に対する曲げ荷重が弱くなる。また、
曲げ荷重に強くして、工作物(ステアリングラック軸)
が硬くなればなるほど(内部硬度が高くなる)、工具損
傷が早まり、加工精度が悪くなったり、切削抵抗が増大
して、切削温度を高め、磨耗の進行を早める欠点があっ
た。
【0006】このように、製造効率、コストから加工性
が良く、且つ軸の強度及び靱性の高いステアリングラッ
ク軸を製作することが要望されている。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで本発明は、前記課
題を解決すべく、鋭意,研究を重ねた結果、その発明
を、軸本体のラック歯形成部位の少なくとも一部の軸方
向箇所は調質として熱処理されてなるステアリングラッ
ク軸等としたことにより、部分的な調質によって歪が低
減され、ラック歯等の加工を良好にし、製造効率が向上
し、製造コストを低廉にでき、且つ剛性の高いステアリ
ングラック軸を提供でき、前記の課題を解決したもので
ある。
【0008】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説
明すると、図1,図2には、本実施例に係るステアリン
グラック軸Aの全体が示されている。図1にはノーマル
ステアリング装置が、図2にはパワーステアリング装置
が示されている。このステアリングラック軸Aの軸本体
1には、必要に応じて貫通孔2が形成されている。従っ
て、ステアリングラック軸Aは断面略円形の中実の場合
と、断面略円形の中空の場合とが存在する。
【0009】また、軸本体1の端部寄りの適宜の箇所に
は、絞り加工又はプレス加工等の塑性加工或いは切削加
工による平坦部3が形成されている。その軸本体1の両
側は、長さの長い軸部1cと短い軸部1cとされ、この
間に、平坦部3を有するラック歯形成部位1aと背面部
1bとが形成されている。ラック歯形成部位1aには複
数のラック歯1a1,1a1,…が形成されている。背面部
1bは、そのラック歯形成部位1aの直径方向の反対側
の半円状部を指し、この軸方向の長さは、前記平坦部3
の長さと同等である。
【0010】前記ラック歯形成部位1aの少なくとも一
部の軸方向箇所が調質4され、該少なくとも一部のラッ
ク歯形成部位1aとその直径方向の背面部1bとを硬度
が異なるように熱処理されている。
【0011】その一部の調質4とは、図3に示すよう
に、ステアリングラック軸Aのギヤボックス10から最
大突出時に、該ギヤボックス10の端部10aからラッ
ク支持部11との間の対応箇所を指す。該対応箇所の範
囲をSとして表す。図4も図3と調質4の一部の範囲S
は同一である。
【0012】また、ステアリングラック軸Aのギヤボッ
クス10から最大突出時に、該ギヤボックス10の端部
10aからラック支持弾発装置12との間の対応箇所を
指す場合もあり、これは図3と略同一である。この構成
を言い換えると、ステアリングラック軸Aのギヤボック
ス10から最大突出時に、該ギヤボックス10の端部1
0aからラック支持部材(ラックガイド)11aとの間
の対応箇所を指すものである。
【0013】また、図5に示すように、ステアリングラ
ック軸Aのギヤボックス10から最大突出時に、該ギヤ
ボックス10の端部10aとラック支持部11との対応
箇所を指す。この場合の対応箇所は2箇所存在し、範囲
S1 ,S2 として表す。この構成を言い換えると、ステ
アリングラック軸Aのギヤボックス10から最大突出時
に、該ギヤボックス10の端部10aとラック支持部材
(ラックガイド)11aとの対応箇所を指す。図6も図
5と調質4の一部の範囲S1 ,S2 は同一である。
【0014】また、図7に示したのは、ステアリングラ
ック軸Aのギヤボックス10から最大突出時に、ラック
支持部材(ラックガイド)11a箇所付近の支持部を対
応箇所として一部の調質4として形成されている。その
対応箇所の範囲をSとして表す。図8も図7と調質4の
一部の範囲Sは同一である。
【0015】また、図9に示したのは、ラック歯形成部
位1aの全体(ラック軸の長手方向の長さの一部)に亘
って調質4が形成されている。この範囲をSとして表
す。図10も図9と調質4の一部の範囲Sは同一であ
る。
【0016】なお、図1及び図2において、13はピニ
オン、14は継手、15はタイロット、16は蛇腹、1
7はピストン、18はポートである。
【0017】その調質4なる熱処理する場合には、40
0℃以上の高温で焼戻処理を行なう必要がある。
【0018】その調質4の実験例としては、材質がS4
5C材(JIS)の中空のステアリングラック加工材A
0 (外径約25mm、全長約800mm、貫通孔径約10m
m)を、高周波焼入装置の焼入用誘導コイル19にて、
焼入時の加熱温度、すなわち、焼入温度約800℃乃至
900℃で、数秒乃至十数秒間加熱して冷却し、焼入
し、そのとき金属組織をマルテンサイト組織とする。そ
の後に、ラック歯形成部位(加工箇所部)を高周波によ
る調質用誘導コイル20にて焼戻温度を約500℃乃至
約700℃で、加熱時間を数秒乃至十数秒として焼戻処
理を行い、これによって、調質4を形成し、金属組織を
調質組織(トルースタイト、ソルバイト組織)とする。
【0019】前記ラック歯形成部位1aとその直径方向
の背面部1bとを硬度が異なるように調質4すること
は、図16(a)及び図17に示すように、焼戻工程の
場合に、ステアリングラック加工材A0 の断面半円部の
みを加熱する調質用誘導コイル20にて、ステアリング
ラック加工材A0 を固定状態として、そのラック歯形成
部位1a側のみを所定時間加熱することで、背面部1b
側は、その熱影響により焼戻作用によりラック歯形成部
位1a側よりも焼戻温度が低くなる。これによって硬度
が異なるようになる。けだし、調質4は400℃以上の
高温で焼戻処理を行なうが、焼戻温度が高ければ高い
程、硬度は低くなるためである。
【0020】実施例において、そのラック歯形成部位1
a(硬度低い)と背面部1b(硬度高い)との硬度が異
なる断面としては、図3,図5,図7,図9に示されて
おり、何れも、歯面側の組織は背面側よりも密度が高く
なっており、密度が高いと硬度は低くなる。その図3,
図5,図7,図9における(b)が調質4を施した状態
の断面であり、図3(c)及び図5(c)は、その
(b)の状態を保持しつつラック歯1a1が最終的に高周
波焼入されて歯部焼入層5として形成された断面を示
す。
【0021】以上のように、ラック歯形成部位1aと背
面部1bとの硬度が異なるように調質4されたことで、
背面部1bは使用時における強度性を保持でき、他面、
ラック歯形成部位1aにラック歯1a1を成形するときに
著しく加工性を良好にできるものである。
【0022】上記実験例での調質4では、例えば、ラッ
ク歯形成部位1aの調質硬度をHRC約15〜約28と
して、その背面部1bの調質硬度がHRC約30〜約5
0と高くできた。この場合の実験例として、ステアリン
グラック軸Aの全体を固定状態とし、ラック歯1a1を有
する側の一端を押し曲げたときに、ラック歯形成部位1
aの一部に部分調質4を設け、調質硬度の歯側でHRC
23、背面側でHRC35で、従来のステアリングラッ
ク軸を全体調質とし、この調質硬度がHRC21の条件
にて、部分調質の場合が従来の全体調質よりも曲げ荷重
が約5割増加した。
【0023】他のステアリングラック軸Aの実施例とし
ては、そのラック歯形成部位1aの一部の軸方向箇所が
調質4として熱処理されている。すなわち、この熱処理
は、ラック歯形成部位1aと背面部1bとが調質4の焼
戻温度が400℃以上で、この温度の近傍(400℃〜
約500℃)であり、しかも、硬度及び加工性の両方を
満足したものである。この場合のラック歯形成部位1a
と背面部1bとの硬度は同一である。このように同一硬
度にするには、図16(b)に示すように、ステアリン
グラック加工材A0 の断面半円部のみを加熱する焼入用
誘導コイル19にて、ステアリングラック加工材A0 を
回転状態として、軸全体を加熱して調質4処理を行な
う。
【0024】実施例において、そのラック歯形成部位1
aと背面部1bとの硬度が同じになる断面としては、図
4,図6,図8,図10に示されており、何れも、断面
全体の組織の密度は均一に構成されている。その図4,
図6,図8,図10における(b)が調質4を施した状
態の断面であり、図4(c)及び図6(c)は、その
(b)の状態を保持しつつラック歯1a1が最終的に高周
波焼入されて歯部焼入層5として形成された断面を示
す。
【0025】さらに、他のステアリングラック軸Aの実
施例としては、ラック歯形成部位1aの少なくとも一部
の軸方向箇所が焼入,焼戻され、該ラック歯形成部位1
aのみが調質4され、該調質4された少なくとも一部の
ラック歯形成部位1aとその直径方向の背面部1b(焼
戻のみ)との硬度が異なるように熱処理されている。こ
の熱処理は、焼戻工程の場合に、図3,図5,図7,図
9の実施例と同様に、ステアリングラック軸Aの断面半
円部のみを加熱する調質用誘導コイル20にて、ステア
リングラック軸Aを固定状態として、そのラック歯形成
部位1a側のみを所定時間加熱するものであり、このと
きのラック歯形成部位1a側を焼戻温度が400℃以上
で、この温度の近傍(400℃〜約500℃)とする
と、ラック歯形成部位1aは調質4され、背面部1bの
加熱温度は400℃よりも低く、例えば300℃の低温
度で焼戻すると、マルテンサイト組織のままで、あまり
硬度を下げないで、組織の安定化ができる。これによっ
て、背面部1bは単なる焼戻処理となる。
【0026】また、図11(a)〜(f)に示したもの
は、さらに他の中空のステアリングラック軸Aの実施例
の断面図であり、(a)はラック歯形成部位1aが非調
質部(生材状態等)で、その背面部1bが調質4された
ものである。(b)は、その(a)の状態を保持しつつ
ラック歯1a1が最終的に高周波焼入されて歯部焼入層5
として形成された断面を示す。さらに(c)はラック歯
形成部位1a及び背面部1b全体、すなわち、軸本体1
の断面の外周のみが調質4され、且つラック歯形成部位
1a(硬度低い)と背面部1b(硬度高い)との硬度が
異なるように形成されたものである。その中心部は非調
質部(生材状態等)である。(d)は、その(c)の状
態を保持しつつラック歯1a1が最終的に高周波焼入され
て歯部焼入層5として形成された断面を示す。また、
(e)はラック歯形成部位1a及び背面部1b全体、す
なわち、軸本体1の断面の外周のみが調質4され、且つ
ラック歯形成部位1aと背面部1bとの硬度が同じにな
るように形成されたものである。その中心部は非調質部
(生材状態等)である。(f)は、その(e)の状態を
保持しつつラック歯1a1が最終的に高周波焼入されて歯
部焼入層5として形成された断面を示す。
【0027】また、図12(a)〜(f)に示したもの
は、さらに他の中実のステアリングラック軸Aの実施例
の断面図であり、その具体的態様は、図11の(a)〜
(f)と同一である。
【0028】図18,図20に示すように、軸本体1の
軸部1cの適宜の箇所に部分的な調質4を行なうことも
ある。すなわち、ステアリングラック軸Aのギヤボック
ス10から最大突出時に、該ギヤボックス10の端部1
0a箇所の支持対応箇所であり、該対応箇所の範囲をS
として表す。図19は図18おける調質4を一部の範囲
S1 ,S2 を2つに分けたものである。
【0029】軸部1cにおける調質4についても、断面
的にみて2分の1づつの硬度が異なる場合〔図18
(b)参照〕と、全体が同一硬度の場合〔図19(b)
及び図20(b)参照〕とがある。
【0030】なお、図2のパワーステアリング装置の場
合には、ラック歯1a1側と、軸部1c側とがあり、両方
に調質4が設けられるものである。
【0031】また、ステアリングラック軸Aの製造方法
について簡単に述べると、図13に示すように、まず、
ステアリングラック加工材A0 〔図13(a)参照〕に
対して、その適宜の箇所に平坦部3をプレス加工し〔図
13(b)参照〕、次いで、ステアリング加工材A0
を、高周波焼入装置の焼入用誘導コイル19にて、加熱
し、冷却して焼入し、次いでラック歯形成部位1a(加
工箇所部)を高周波による調質用誘導コイル20にて加
熱温度500℃乃至約700℃にて焼戻す。これによっ
て調質4を形成する〔図13(c)参照〕。その後に、
ラック歯1a1を加工し〔図13(d)参照〕、最後に、
そのラック歯1a1箇所のみを高周波焼入装置にて焼入し
て〔図13(e)参照〕ステアリングラック軸Aを製造
するものである。
【0032】また、図14に示したステアリングラック
軸Aの別の製造方法は、ラック歯1a1を加工し〔図14
(c)参照〕した後に、ラック歯形成部位1a(加工箇
所部)にラック歯1a1を有した箇所を調質用誘導コイル
20にて加熱温度500℃乃至約700℃にて焼戻して
調質4を形成する〔図14(d)参照〕。すなわち、図
13の順序とは一部において逆であるがその他は図13
と同様の工程によってステアリングラック軸Aを製造す
る。
【0033】
【発明の効果】請求項1の発明においては、まず、ステ
アリングラック軸Aの調質4後の歪(曲がり)を大幅に
低減させることができる。これによって、調質4の硬度
を高めると(加熱温度を400℃に近づけること)一般
に軸に歪が大きくなるが、本発明では、部分的な調質4
であるため、調質4の硬度を高めても軸の歪(曲がり)
を低減させることができる〔図21の熱処理の歪線比較
グラフ(従来品として、全体調質で調質硬度HRC2
0、本発明の一実施例として、部分調質で調質硬度:歯
側HRC23、背面側HRC35)の実線参照〕。すな
わち、従来のラック軸全体の調質よりも高い調質硬度と
することができ、所望位置を極めて強固にできる。
【0034】また、一部の調質4であるために、従来の
全体調質とは異なり、歪取りが容易となり、製造効率を
向上させ、ひいては製造コストの低廉化ができる。
【0035】また、請求項2の発明においては、ラック
歯形成部位1aの少なくとも一部の軸方向箇所を調質4
し、該少なくとも一部のラック歯形成部位1aとその直
径方向の背面部1bとを硬度が異なるように熱処理した
ことにより、調質4後にラック歯1a1の加工を行なう場
合、そのラック歯形成部位1a箇所は、比較的硬度が低
くなり、加工しやすくなり、他面、背面部1bは、硬度
が高く、使用時における曲げ荷重等の負荷に充分に耐え
うる剛性と靱性,強度性を得ることができる利点があ
る。
【0036】また、請求項3の場合にも、請求項2と略
同等の効果を奏する。
【0037】次に、請求項4の場合には、ステアリング
ラック軸Aに貫通孔2を設けて、中空とした場合には、
一般に、軸が中空の場合、断面積が小さく中実より軸剛
性が劣ってしまうが、調質4の硬度によっては、ラック
歯形成部位1a箇所を強固にでき、軸径を最小限にでき
る。
【0038】また、請求項5の場合には、特に、中空と
しても、ラック歯形成部位1aよりも背面部1bの調質
硬度が高くできるので、軸径を大きくすることなく、よ
り効果的に軽量化した中空のステアリングラック軸Aを
提供できる。
【0039】次に、請求項6の場合には、請求項5と略
同等の効果を奏する。
【0040】また、請求項7乃至9については、最終製
品としてラック歯1a1箇所に高周波焼入処理されている
ため、歯としての対磨耗性に優れたものにでき、且つ前
記の請求項1乃至3の効果をも有する。
【0041】次に、請求項10については、ラック歯形
成部位1a以外であるが、調質4として熱処理されてい
るのは軸方向の一部の軸部1cであるため、調質4の硬
度を高めても軸の歪を僅かにでき、これによって、従来
のラック軸全体の調質よりも高い調質硬度とすることが
でき、所望位置を強固にできるし、さらには、歪取りも
簡単にでき、製造コストが低廉となる等の効果を奏す
る。
【0042】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を設けたノーマルステアリング装置の要
部断面図
【図2】本発明を設けたパワーステアリング装置の要部
断面図
【図3】(a)は本発明の要部側面図 (b)は(a)のP3 矢視拡大断面図 (c)は(a)のP3 矢視箇所でラック歯を高周波焼入
した拡大断面図
【図4】(a)は本発明の要部側面図 (b)は(a)のP4 矢視拡大断面図 (c)は(a)のP4 矢視箇所でラック歯を高周波焼入
した拡大断面図
【図5】(a)は本発明の要部側面図 (b)は(a)のP5 矢視拡大断面図 (c)は(a)のP5 矢視箇所でラック歯を高周波焼入
した拡大断面図
【図6】(a)は本発明の要部側面図 (b)は(a)のP6 矢視拡大断面図 (c)は(a)のP6 矢視箇所でラック歯を高周波焼入
した拡大断面図
【図7】(a)は本発明の要部側面図 (b)は(a)のP7 矢視拡大断面図
【図8】(a)は本発明の要部側面図 (b)は(a)のP8 矢視拡大断面図
【図9】(a)は本発明の要部側面図 (b)は(a)のP9 矢視拡大断面図
【図10】(a)は本発明の要部側面図 (b)は(a)のP10矢視拡大断面図
【図11】(a)は中空のステアリングラック軸の他の
実施例の拡大断面図 (b)は(a)でラック歯を高周波焼入した拡大断面図 (c)は中空のステアリングラック軸の他の実施例の拡
大断面図 (d)は(c)でラック歯を高周波焼入した拡大断面図 (e)は中空のステアリングラック軸の他の実施例の拡
大断面図 (f)は(e)でラック歯を高周波焼入した拡大断面図
【図12】(a)は中実のステアリングラック軸の他の
実施例の拡大断面図 (b)は(a)でラック歯を高周波焼入した拡大断面図 (c)は中実のステアリングラック軸の他の実施例の拡
大断面図 (d)は(c)でラック歯を高周波焼入した拡大断面図 (e)は中実のステアリングラック軸の他の実施例の拡
大断面図 (f)は(e)でラック歯を高周波焼入した拡大断面図
【図13】(a)〜(e)は本発明品を製造するための
工程略示図
【図14】(a)〜(e)は本発明品を製造するための
別の実施例の工程略示図
【図15】(a)は焼入用誘導コイルの斜視図 (b)は焼入用誘導コイルにて焼入処理している状態図
【図16】(a)はワークが非回転状態の調質処理の略
示図 (b)はワークが回転状態の調質処理の略示図
【図17】(a)は調質用誘導コイルの斜視図 (b)は調質用誘導コイルにて調質処理している状態図
【図18】(a)はステアリングラック軸の要部側面図 (b)は(a)のP18矢視拡大断面図
【図19】(a)はステアリングラック軸の要部側面図 (b)は(a)のP19矢視拡大断面図
【図20】(a)はステアリングラック軸を設けた別の
実施例のパワーステアリング装置の要部断面図 (b)は(a)のP20矢視拡大断面図
【図21】熱処理による歪線比較グラフ
【図22】軸内部硬度と曲げ荷重との関係グラフ
【符号の説明】
A…ステアリングラック軸 1…軸本体 1a…ラック歯形成部位 1a1…ラック歯 1b…背面部 2…貫通孔 4…調質 5…歯部焼入層
【手続補正書】
【提出日】平成6年1月26日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図20
【補正方法】変更
【補正内容】
【図20】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 星野 憲司 群馬県桐生市広沢町1丁目2757番地 株式 会社山田製作所内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸本体のラック歯形成部位の少なくとも
    一部の軸方向箇所は調質として熱処理されてなることを
    特徴としたステアリングラック軸。
  2. 【請求項2】 軸本体のラック歯形成部位の少なくとも
    一部の軸方向箇所は調質され、該少なくとも一部のラッ
    ク歯形成部位とその直径方向の背面部とを硬度が異なる
    ように熱処理されてなることを特徴としたステアリング
    ラック軸。
  3. 【請求項3】 軸本体のラック歯形成部位の少なくとも
    一部の軸方向箇所は焼入,焼戻され、そのラック歯形成
    部位のみが調質され、該調質した少なくとも一部のラッ
    ク歯形成部位とその直径方向の背面部とを硬度が異なる
    ように熱処理されてなることを特徴としたステアリング
    ラック軸。
  4. 【請求項4】 軸本体に貫通孔が設けられていることを
    特徴とする請求項1記載のステアリングラック軸。
  5. 【請求項5】 軸本体に貫通孔が設けられていることを
    特徴とする請求項2記載のステアリングラック軸。
  6. 【請求項6】 軸本体に貫通孔が設けられていることを
    特徴とする請求項3記載のステアリングラック軸。
  7. 【請求項7】 軸本体のラック歯形成部位の少なくとも
    一部の軸方向箇所は調質として熱処理され、前記ラック
    歯形成部位に高周波焼入されてラック歯に歯部焼入層を
    有してなることを特徴としたステアリングラック軸。
  8. 【請求項8】 軸本体のラック歯形成部位の少なくとも
    一部の軸方向箇所は調質され、該少なくとも一部のラッ
    ク歯形成部位とその直径方向の背面部とを硬度が異なる
    ように熱処理され、前記ラック歯形成部位に高周波焼入
    されてラック歯に歯部焼入層を有してなることを特徴と
    したステアリングラック軸。
  9. 【請求項9】 軸本体のラック歯形成部位の少なくとも
    一部の軸方向箇所は焼入,焼戻され、そのラック歯形成
    部位のみが調質され、該調質した少なくとも一部のラッ
    ク歯形成部位とその直径方向の背面部とを硬度が異なる
    ように熱処理され、前記ラック歯形成部位に高周波焼入
    されてラック歯に歯部焼入層を有してなることを特徴と
    したステアリングラック軸。
  10. 【請求項10】 軸本体のラック歯形成部位以外の軸方
    向の一部の軸部は調質として熱処理されてなることを特
    徴としたステアリングラック軸。
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