JP2004306405A - 木質樹脂発泡成形体及び化粧材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも一部の表面が非発泡又は低発泡であり、芯部が高発泡であり、非発泡又は低発泡の表面と芯部が同一組成の熱可塑性樹脂10〜70wt%と木質系充填剤5〜50wt%とタルク5〜50wt%を含有している樹脂からなるセルカ構造を有していることを特徴とする木質樹脂発泡成形体などを提供する。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は床材、壁材、天井材等の建築内装材、建具、家電品の表面材等に用いられる木質樹脂発泡成形体及び化粧材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、化粧材は合板やファイバーボード等の木質基材に天然突き板や紙または合成樹脂シートに印刷にて意匠を施した化粧紙または化粧シートなどを貼り合わせたものが多く使われている。しかし、これらの化粧材は木質基材の虫食い、腐食といった物性上の問題があるほか、リサイクルが困難でほとんどが埋め立てや焼却によって処理されている。
【0003】
また、異形押出等による樹脂の基材に化粧シート貼りしたものもあるが、これらの化粧材は木質基材による欠点はなく、木目意匠の化粧シートで見た目は木のようであっても、比重や剛性等の点から木質感がなく、また切削や釘打ちなどの加工性が困難であるなどの問題があり、限られた部位にしか使用できない。
【0004】
また、近年建築内装材、床材、建具、家電品の表面材等の用途に熱可塑性樹脂と木質系充填剤とを含有する木質樹脂成形体を供する試みが数多くなされている。しかしこれらの成形体は単体ではリサイクル性や切削、釘打ちなどの加工性、木質感などに優れているものの意匠が悪い。またこれらの成形体に天然突き板や化粧紙、化粧シート等の表面材を貼り合わせることも考えられるが、成形体と表面材との分離が困難であるために、折角の成形体のリサイクル性が十分に活かされないという問題が発生する懸念があった。
【0005】
これに対して発明者らは、熱可塑性樹脂と木質系充填剤を含有する木質樹脂成形体の表面に、前記木質樹脂成形体に含有される熱可塑性樹脂と同系の熱可塑性樹脂を主体とする化粧シートが積層されてなることを特徴とする化粧材及びこれを発泡させ、木質感、切削や釘打ち等の加工性が良く、且つ、優れた意匠とリサイクル性を併せ持つ化粧材及び発泡成形をセルカプロセスにて行う化粧材を発明したが、非発泡のタイプについては木粉の含有率が上がるほど比重が高くなり、木質材料の利点である軽さや断熱性が損なわれていた。また、発泡タイプについては製法がシート成形や樹脂が金型を出て発泡した後サイジングダイにはいる通常の異形発泡で成形した場合、表面からのガス抜けによる発泡のばらつきや成形物自体の剛性の不足で使用できる部位が限定されるなどの問題があった。また、セルカプロセスを用いた成形でもガス抜けによる発泡の不均一が原因による寸法精度の低下による表面の艶むらが問題になっていた。
【特許文献1】
特開2001−098114号公報
【特許文献2】
特開2001−260292号公報
【特許文献3】
特開2001−353815号公報
【特許文献4】
特開2002−120347号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が課題とするところは、木質感、断熱性、切削や釘打ち等の加工性が良く、且つ、軽量で優れたリサイクル性とを併せ持ちさらに表面の平滑性に優れ艶むらなどの欠点の無い木質樹脂発泡成形体及び化粧材を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本願の請求項1に係る課題を解決するための手段は、少なくとも一部の表面が非発泡又は低発泡であり、芯部が高発泡であり、非発泡又は低発泡の表面と芯部が同一組成の熱可塑性樹脂10〜70wt%と木質系充填剤5〜50wt%とタルク5〜50wt%を含有している樹脂からなるセルカ構造を有していることを特徴とする木質樹脂発泡成形体を提供するものである。
【0008】
本願の請求項2に係る課題を解決するための手段は、請求項1記載の木質樹脂発泡成形体の表面の一部もしくは全部に、前記木質樹脂発泡成形体に含有される熱可塑性樹脂と同系の熱可塑性樹脂を主体とする化粧シートが積層されていることを特徴とする化粧材を提供するものである。
【0009】
本願の請求項3に係る課題を解決するための手段は、請求項1記載の木質樹脂発泡成形体の表面の一部もしくは全部に、前記木質樹脂発泡成形体に含有される熱可塑性樹脂と同系の熱可塑性樹脂を主体とする化粧シートが積層され、且つ、化粧シートを積層していない面の一部もしくは全部に前記木質樹脂発泡成形体に含有される熱可塑性樹脂と同系の熱可塑性樹脂を主体とする発泡層が積層されていることを特徴とする化粧材を提供するものである。
【0010】
本願の請求項4に係る課題を解決するための手段は、前記木質系充填剤の平均粒径が1〜200μmであることを特徴とする請求項1〜3何れかに記載の木質樹脂発泡成形体及び化粧材を提供するものである。
【0011】
本願の請求項5に係る課題を解決するための手段は、前記タルクの平均粒径が1〜20μmであることを特徴とする請求項1〜3何れかに記載の木質樹脂発泡成形体及び化粧材を提供するものである。
【0012】
本願の請求項6に係る課題を解決するための手段は、前記熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項1〜5何れかに記載の木質樹脂発泡成形体及び化粧材を提供するものである。
【0013】
本願の請求項7に係る課題を解決するための手段は、前記木質樹脂発泡成形体の芯部における発泡倍率が1.4〜4.0倍であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の木質樹脂発泡成形体及び化粧材を提供するものである。
【0014】
本願の請求項8に係る課題を解決するための手段は、前記化粧シートが木目意匠を有することを特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載の化粧材を提供するものである。
【0015】
本願の請求項9に係る課題を解決するための手段は、前記化粧シートが透明性を有することを特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載の化粧材を提供するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
まず、少なくとも一部の表面が非発泡又は低発泡であり、芯部が高発泡であり、非発泡又は低発泡の表面と芯部が同一組成の熱可塑性樹脂10〜70wt%と木質系充填剤5〜50wt%とタルク5〜50wt%を含有している樹脂からなるセルカ構造を有していることを特徴とする木質樹脂発泡成形体を説明する。
木質系充填剤を含有することにより優れた切削、釘打ち性があり、タルクを含有することで表面平滑性が高く意匠性に優れ、また同系の樹脂を主体とする化粧シートを貼り合わせた化粧材はリサイクル時には化粧シートと木質樹脂成形体を分離することなく再度木質樹脂成形体の材料として利用することが可能であり、リサイクル品も木質感を損なわない。
また、木質樹脂成形体は木質系充填剤を含有しているため、化粧シートが木目意匠であると、切削や溝きりなどで見える木口にも木質感があり、また、発泡体であるため、軽量で断熱性が高く、またセルカプロセスで成形されるためスキン層が形成され、表面の平滑性や傷付き性が高いという特徴がある。
【0017】
木質系充填剤及びタルクの素材としては特に制限されることなく選択が可能であるが、木質系充填剤の平均粒径は1〜200μm好ましく、5〜100μmである場合が特に好ましい。平均粒径が1μm未満のものは取り扱いが困難である上に特に木質系充填材の配合量が多い場合は樹脂への分散が悪いと機械強度の低下が発生するからである。また、200μmより大きいと成形品の均質性、平面性、機械的強度が低下するからである。
また、タルクの平均粒径は1〜20μmが好ましく、2〜10μmが特に好ましい。平均粒径が1μmを下回ったり20μmを上回ると発泡の安定性を向上させる効果が低下し、表面平滑性が悪化するからである。
【0018】
また、木質系充填材及びタルクの配合量については各々5〜50wt%で適宜選択が可能であるが、成型性や、均質性を高めるために木質系充填剤とタルクの合計で20〜80wt%より好ましくは25〜60重量部とすることが望ましい。さらに木質系充填剤による木質感を維持し、特に切削性などを良好に保ちたい場合は木質系充填剤の配合重量比をタルクより多くすることが好ましい。
【0019】
熱可塑性樹脂についてはポリオレフィン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアルコール、アクリル、ポリ塩化ビニル等の樹脂から適宜選択が可能であるが、焼却時のダイオキシンの発生や埋め立て時等の環境ホルモンの流出、部材としての耐候性や耐熱性、薬品や溶剤に対する耐性等の性能を満たすためには熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂であることが望ましい。
【0020】
ここで用いられるポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソプレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢ビ共重合体、エチレン−αオレフィン共重合体、プロピレン−αオレフィン共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体やこれらを接着性の向上の目的で酸変成したもの、アイオノマー等から適宜選択が可能で単一でも複数種の混合でもかまわない。
ただしリサイクル後の物性を維持するためには出来るだけ相溶性が良い方が良好な結果を示すため、たとえばポリエチレンとポリプロピレンの場合、積層等、非相溶系の樹脂が混在する場合は、これらを相溶させるたとえばエチレン−プロピレン共重合体などを配合することがより望ましい。また特に接着性を高めるためには、酸変成した樹脂の配合比を高め、樹脂自体に極性を持たせると共に木質系充填剤との接着性を高めることが望ましい。
また、発泡性を良くするには溶融張力が高いことが望ましいが、セルカプロセスにおいてはシート成形や通常の異形発泡押出成形に比べると低溶融張力の樹脂でも良好な発泡が可能である。ただし特に木粉を高充填したときのガス抜けなどが気になる場合は電子線架橋による長鎖分岐を導入したグレードの利用や、分子量分布のコントロール、また溶融張力を上昇させるフッ素系添加剤のブレンドなど公知の方法で必要に応じて溶融張力を調整することが望ましい。
また、必要の応じて熱安定剤、酸中和剤、紫外線吸収剤、光安定剤、顔料、染料などの着色剤、充填剤、帯電防止剤、滑剤、造核剤、難燃剤、ブロッキング防止剤、半透明化のための光散乱剤、艶調整剤等を添加することもできる。
これらの添加剤のうち、熱安定剤としてはヒンダードフェノール系、硫黄系、リン系等、酸中和剤としてはステアリン酸金属塩、ハイドロタルサイト等、紫外線吸収剤としてはベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系、ベンゾフェノン系、トリアジン系等、光安定剤としてはヒンダードアミン系等、難燃剤としてはハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、塩素系難燃剤等、充填剤としては炭酸カルシウム、シリカ、酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、アルミナ、タルク、マイカ、珪酸マグネシウム、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化鉄、カーボンブラック、金属粉等、滑剤としては炭化水素系滑剤、脂肪酸、高級アルコール系、脂肪酸アマイド系、金属石鹸系、エステル系、フッ素系等、造核剤としてはカルボン酸金属塩系、ソルビトール系、リン酸エステル金属塩系等、顔料としては縮合アゾ、不溶性アゾ、キナクリドン、イソインドリノン、アンスラキノン、イミダゾロン、コバルト、フタロシアニン、カーボン、酸化チタン、酸化鉄、雲母等のパール顔料等があり、これらの添加剤を任意の組み合わせで用いるのが一般的である。
【0021】
また、発泡の手法についても公知の手法がいずれも利用できる。
一般的には熱分解や化学反応によってガスを発生する化学発泡と、低沸点の液体に熱をかけて気化させる物理発泡に分類できる。化学発泡剤としては無機系の重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、ホウ化水素ナトリウム、軽金属、アジド化合物等、また、有機発泡剤としてはアゾ系、ニトロソ系、ヒドラジド系等が任意の組み合わせで使用できる。また、特に2倍を越える高発泡倍率での発泡には主に物理発泡が用いられ、発泡剤としては炭酸ガスや脂肪族炭化水素が主に用いられる。また、物理発泡に際しても発泡体のセル形状を整えるため化学発泡剤を併用することが多い。
【0022】
また、本発明において同系の熱可塑性樹脂とは混合しても大きな物性変化を伴わずリサイクルが可能であることが好ましい。具体的にはポリオレフィン系、ポリスチレン系、ポリカーボネート系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリビニルアルコール系、アクリル系、ポリ塩化ビニル系が挙げられ、たとえばポリオレフィン系樹脂であればポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソプレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢ビ共重合体、エチレン−αオレフィン共重合体、プロピレン−αオレフィン共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体やこれらを接着性の向上の目的で酸変成したもの、アイオノマー等から適宜選択が可能でこれらの中から選ばれる同種又は異種の樹脂を、木質樹脂成形体用及び化粧シート用として使用することができる。
【0023】
積層される化粧シートについて重要な点は主に成形体と同系の熱可塑性樹脂を用いることと木目、石目、布目、抽象柄などの意匠の印刷が施されていることで、化粧シート自体の構成については何ら制約を受けるものではない。たとえば着色シートに印刷を施した単層化粧シート、着色シートに印刷を施したシートに透明シートをドライラミネート法、エクストルージョンラミネート法、熱ラミ法などによって貼り合わせた復層化粧シート、透明シートの裏面に印刷を施したバック刷り単層化粧シートなどから用途に応じて適宜選択が可能である。このとき化粧シートに十分な隠蔽性があれば安定な意匠の再現が達成され、逆に化粧シートが透明性を有する場合は木質樹脂成形体の木質感を生かした意匠表現が可能になる。
印刷に用いるインキはバインダーとしては硝化綿、セルロース、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、アクリル、ポリエステル等の単独もしくは各変性物の中から適宜選定すればよい。これらは水性、溶剤系、エマルジョンタイプのいずれでも問題なく、また1液タイプでも硬化剤を使用した2液タイプでも任意に選定可能である。中でも最も一般的な方法はウレタン系のインキでイソシアネートで硬化させる方法である。
これらバインダー以外には通常のインキに含まれている顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、各種添加剤が添加されている。特によく用いられる顔料には縮合アゾ、不溶性アゾ、キナクリドン、イソインドリノン、アンスラキノン、イミダゾロン、コバルト、フタロシアニン、カーボン、酸化チタン、酸化鉄、雲母等のパール顔料等がある。また、いずれの化粧シートにおいても成形体への貼り合わせのためのプライマーコートや表面保護や艶調整のためのトップコート、エンボス法やグロスマット法等による導管表現等が施されていてもかまわない。また、熱可塑性樹脂層に用いる添加剤も成形体と同様なものが使用可能である。
【0024】
木質系充填剤とタルクと熱可塑性樹脂の混練はとくに方法を問わないが、バンバリーミキサーやヘンシェルミキサーによって混練し、ペレタイザーでペレット化する方法や2軸押出混練機によって混合、ペレット化する方法が一般的である。また、木質系充填材及びタルクは含水率が大きいと成形時に発泡の原因となるために混練前にあらかじめ乾燥機やホッパードライヤーで含水率8%以下に押さえることが望ましい。また、木質系充填剤とタルクを別々に混練、ペレット化し、成形時に適宜ブレンドしてもかまわない。
また本発明品をリサイクルする場合は破砕した発明品に必要に応じて木質系充填剤、タルク、熱可塑性樹脂、各種添加剤などを加えて再度ペレット化する。この場合も特に方法は問わない。
また、木質樹脂成形体を成形するのと同時に木質系充填剤と樹脂を混練してもかまわない。
【0025】
セルカ構造は、セルカ法により得られる構造や、それと同等の構造のことである。
セルカ法とは、冷却サイジング金型の入口寸法とほぼ同一若しくは若干小さめの出口寸法を有する押出金型を使用して、押出金型の出口と冷却サイジング金型の入口とをほぼ密着させた状態で、押出金型から発泡性の樹脂組成物を押し出すことで、発泡性の樹脂組成物を発泡が殆ど進行していない状態で冷却サイジング金型に導入して、主に該冷却サイジング金型の内部で発泡させる発泡押出成形法である。
セルカ構造は、上記方法による構造に限らず、少なくとも一部の表面が非発泡又は低発泡であり、芯部が高発泡であり、非発泡又は低発泡の表面と芯部が同一組成の熱可塑性樹脂からなり、芯部と表面が連続構造を有していることが特徴である。
セルカ法により得られた場合で説明すれば、構造としては図1に示す様に、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂13と、木粉等の木質系充填剤14と、タルク15を主成分とする木質樹脂組成物16を、適宜発泡剤の添加等により発泡(芯部に気泡17を形成)させつつ所望の形状に成形してなるものである。
なお、図1では表面と芯部が別層を形成する様に表現しているが、実際は芯部と表面とは連続的であり、界面は存在しない。
また、図1に示した例では、表面12は芯部11の全表面を囲繞する様に設けられているが、複層構造としてはこれに限定されるものではなく、表面12は木質樹脂発泡成形体1の表面における剛性や表面強度等が要求される部分に少なくとも形成されていれば良い。例えば、平板状の壁材や床材の場合には、表面12は芯部11の室内側面(上面)のみ、或いは室内側面(上面)から端面の一部又は全部にかけて形成されていても良い。
なお、単一種類の発泡性木質樹脂組成物15を使用して単一の工程で連続的且つ安定的に成形可能な成形方法として、セルカ法によることが最も好適である。
【0026】
これには、成形体の厚みや発泡倍率に応じて、押出金型の内部にトーピード(マンドレル又は中子ともいう)が装着された押出金型を使用したり、さらにトーピードに設けた穴から樹脂を押し出したりする手法が採用される場合もある。
なお、この場合の芯部は、全体として表面まで連続的構造を有しているので明確に他の部分と区別するのは困難であるが、実質的には表面から離れている発泡率の高い部分や、それと同等程度の発泡率の部分を指す。
【0027】
このセルカ法は、成形体の表層部は押出金型から押し出された直後に冷却サイジング金型の内面に押し付けられて急冷されるために殆ど発泡せず、発泡は主として成形体の内部において(内部に向かって)進行するため、表面に非発泡又は低発泡倍率の表層部、内部に高発泡倍率の芯部が自動的に形成される特徴があり、別名をインワードフォーミングプロセスとも称されている。
【0028】
なお、上記セルカ法において、押出金型の出口形状と冷却サイジング金型の入口形状との差を、断面の部分によって相違させ、押出金型から押し出された発泡性樹脂組成物の表面が冷却サイジング金型の内面に接触するタイミングを、表面の部分によって相違させるなどの手法により、表面の部分によって冷却速度を変えることによって、発泡成形体の表面の一部のみに非発泡又は低発泡倍率の表面を形成することも可能である。
【0029】
化粧材の基材としての木質樹脂発泡成形体の側面には、化粧材同士を相互に連結するための雄雌実などの嵌合構造が設けられる場合も少なくないが、この場合には、嵌合構造部分は入り組んだ構造の薄肉部となるために、セルカ法では冷却サイジング金型との接触面積が増し、容易に非発泡又は低発泡状態の嵌合構造部分を形成することができる利点がある。
なお、この様に嵌合構造部分を設けた場合には、少なくとも嵌合連結状態において化粧面(外部に露出する表面)側から見える部分の木質樹脂発泡成形体の表面にかけて、化粧面から連続して化粧シートを積層しておくことが望ましい。
【0030】
木質樹脂発泡成形体の芯部の発泡倍率については、目的とする用途に応じて任意であるが、例えば住宅等の室内用の床材であれば、剛性や表面強度、耐傷付き性、耐圧痕性、断熱性、柔軟性、触感、歩行感、撓み性、施工性等の諸面のバランスを考慮すると、芯部の発泡倍率は1.4〜4.0倍が好ましい。
【0031】
【実施例】
ホモポリプロピレン樹脂70重量部、マレイン酸変性したホモポリプロピレン30重量部、木材をカッターミルで破断し、これをボールミルにより粉砕して微粉状にした平均粒径20μmの木質系充填剤を60重量部、平均粒径5μmのタルク40重量部を2軸押出混練機によって混合、ペレット化し木質樹脂組成物を作成した。この木質樹脂組成物を重曹−クエン酸系発泡剤による化学発泡にて1.4倍に発泡させてセルカプロセスにより断面が5mm×300mmの長方形である立方体形状に成形し、さらに表面にコロナ放電処理をしてバージン品の木質樹脂発泡成形体を作成した。
一方、ランダムポリプロピレンに酸化鉄、酸化チタン等の顔料を配合して製膜した100μmの着色ポリプロピレンシートにウレタン系インキで木目印刷をして、エクストルージョンラミネート法にてホモPPを100μmの厚みでエンボス同時ラミネートした化粧シートを作成し、この裏面にプライマーコート、表面にトップコートを施してポリオレフィン樹脂化粧シートを作成した。
かかる後、木質ポリオレフィン樹脂発泡成形体の表面にラッピング加工法にてポリオレフィン樹脂化粧シートを貼り合わせ、実施例のバージン品の化粧材を作成した。
また、このバージン品の化粧材を破砕した後、1軸押出機によって再ペレット化し、これを再度重曹−クエン酸系発泡剤による化学発泡にて1.4倍に発泡させてセルカプロセスにより断面が5mm×300mmの長方形である直方体形状に成形し、さらに表面にコロナ放電処理をしてリサイクル品の木質樹脂発泡成形体を作成した。
かかる後、リサイクル品の木質ポリオレフィン樹脂成形体の表面にラッピング加工法にてポリオレフィン樹脂化粧シートを貼り合わせ、実施例のリサイクル品の化粧材を作成した。
【0032】
(比較例1)
ホモポリプロピレン樹脂70重量部、マレイン酸変性したホモポリプロピレン30重量部、木材をカッターミルで破断し、これをボールミルにより粉砕して微粉状にした平均粒径20μmの木質系充填剤60重量部を2軸押出混練機によって混合、ペレット化し木質樹脂組成物を作成した。この樹脂組成物を重曹−クエン酸系発泡剤による化学発泡にて1.4倍に発泡させてセルカプロセスにより断面が5mm×300mmの長方形である直方体形状に成形し、さらに表面にコロナ放電処理をしてバージン品の樹脂発泡成形体を作成した。
一方、ランダムポリプロピレンに酸化鉄、酸化チタン等の顔料を配合して製膜した100μmの着色ポリプロピレンシートにウレタン系インキで木目印刷をして、エクストルージョンラミネート法にてホモPPを100μmの厚みでエンボス同時ラミネートした化粧シートを作成し、この裏面にプライマーコート、表面にトップコートを施してポリオレフィン樹脂化粧シートを作成した。
かかる後、ポリオレフィン樹脂成形体の表面にラッピング加工法にてポリオレフィン樹脂化粧シートを貼り合わせ、比較例1のバージン品の化粧材を作成した。
また、このバージン品の化粧材を破砕した後、1軸押出機によって再ペレット化し、これを再度重曹−クエン酸系発泡剤による化学発泡にて1.4倍に発泡させてセルカプロセスにより断面が5mm×300mmの長方形である直方体形状に成形し、さらに表面にコロナ放電処理をしてリサイクル品の樹脂発泡成形体を作成した。
かかる後、リサイクル品のポリオレフィン樹脂成形体の表面にラッピング加工法にてポリオレフィン樹脂化粧シートを貼り合わせ、比較例1のリサイクル品の化粧材を作成した。
【0033】
実施例及び比較例1〜比較例3のバージン品及びリサイクル品について切削、釘打ちなどの加工性、成形品の発泡倍率のばらつき、リサイクル品の成形性について評価した。また、目視及び触感にて意匠性、木質感についても評価した。
評価結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
熱可塑性樹脂10〜70wt%、木質系充填剤5〜50wt%、タルク5〜50wt%を含有し、且つセルカプロセスにより発泡していることを特徴とする木質樹脂発泡成形体の表面に、前記木質樹脂発泡成形体に含有される熱可塑性樹脂と同系の熱可塑性樹脂を主体とする化粧シートが積層されてなることを特徴とする化粧材は木質感があり、切削や釘打ち等の加工性が良く、且つ、優れた表面平滑性や意匠と木質感、リサイクル性、安定した発泡性とを併せ持つ化粧材であることが確認された。
【0036】
【発明の効果】
本発明品の化粧シートによる高意匠性を生かしてこれまで木質樹脂成形品の意匠では用いにくかった建築内装材、建具、家電品の表面材などにも使用しやすくなった。また公知の各種後加工がおこなえ、これまでのMDFや合板と同等の使いやすさを実現した。また同種の樹脂の発泡層を設けたものについては床材として不陸を吸収することや断熱効果の性能向上、遮音効果等もリサイクル性を犠牲にすることなく期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の木質樹脂発泡成形体及び化粧材の実施の形態を示す側断面図である。
【符号の説明】
1 木質樹脂発泡成形体
11 芯部
12 表面
13 ポリオレフィン系樹脂
14 木質系充填剤
15 タルク
16 木質樹脂組成物
17 気泡
2 化粧シート
Claims (9)
- 少なくとも一部の表面が非発泡又は低発泡であり、芯部が高発泡であり、非発泡又は低発泡の表面と芯部が同一組成の熱可塑性樹脂10〜70wt%と木質系充填剤5〜50wt%とタルク5〜50wt%を含有している樹脂からなるセルカ構造を有していることを特徴とする木質樹脂発泡成形体。
- 請求項1記載の木質樹脂発泡成形体の表面の一部もしくは全部に、前記木質樹脂発泡成形体に含有される熱可塑性樹脂と同系の熱可塑性樹脂を主体とする化粧シートが積層されていることを特徴とする化粧材。
- 請求項1記載の木質樹脂発泡成形体の表面の一部もしくは全部に、前記木質樹脂発泡成形体に含有される熱可塑性樹脂と同系の熱可塑性樹脂を主体とする化粧シートが積層され、且つ、化粧シートを積層していない面の一部もしくは全部に前記木質樹脂発泡成形体に含有される熱可塑性樹脂と同系の熱可塑性樹脂を主体とする発泡層が積層されていることを特徴とする化粧材。
- 前記木質系充填剤の平均粒径が1〜200μmであることを特徴とする請求項1〜3何れかに記載の木質樹脂発泡成形体及び化粧材。
- 前記タルクの平均粒径が1〜20μmであることを特徴とする請求項1〜3何れかに記載の木質樹脂発泡成形体及び化粧材。
- 前記熱可塑性樹脂がポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項1〜5何れかに記載の木質樹脂発泡成形体及び化粧材。
- 前記木質樹脂発泡成形体の芯部における発泡倍率が1.4〜4.0倍であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の木質樹脂発泡成形体及び化粧材。
- 前記化粧シートが木目意匠を有することを特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載の化粧材。
- 前記化粧シートが透明性を有することを特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載の化粧材。
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