JP2004296309A - 成膜装置及びこれを用いて製造される有機el素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】成膜用マスク2を用いて基板への成膜処理を行なう成膜装置において、前記成膜用マスク2が上面に配置されると共に、前記成膜用マスクに形成されたマスクパターン2a部分を臨む開口部1bが形成されたマスクフレーム1を備えている。前記マスクフレーム1に、水平方向に所定の面積を有する段差部1aが設けられていることを特徴としている。
【選択図】 図8
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マスクフレームに配置された成膜用マスクを介して基板に成膜する成膜装置及びこれを用いて製造される有機EL素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機ELディスプレイの製造工程において、その発光素子となる有機EL層をガラス基板等の基板に成膜する方法として、一般的に蒸着による成膜が行なわれている。
この蒸着工程においては、複数のパターンが形成された金属製の成膜用マスクが用いられる。この成膜用マスクは、マスクフレーム上に配置されて使用されるが、非常に薄く形成されており、単に配置しただけではマスク表面に撓みが生じることがある。そのため、この成膜用マスクをマスクフレームに配置する際には、例えば、成膜用マスクに水平方向の張力を加え、撓みのない状態にしている。
このようにして、配置した成膜用マスク上に基板を密着して重ね、その下方から有機EL材料等を加熱して蒸発させることによって、基板表面への成膜が行なわれる。
【0003】
この蒸着工程における基板の成膜用マスク上への載置について更に説明する。基板を成膜用マスク上へ載置するための構成は、例えば特許文献1(特開2001−3155号)に示されている。尚、図1に前記特許文献1に示された構成を示す。
図1に示すように、予めマスクフレーム30上に成膜用マスク31が配置されている。基板32は、その両端下面部を基板保持部33によって支持された状態で前記成膜用マスク31上に搬送され、成膜用マスク31上に載置される。なお、特許文献1にあっては、成膜用マスク31は磁性体材料で形成され、基板32上に磁石35を載置することによって、成膜用マスク31と基板32とを密着させている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001―3155号公報(第3頁左欄第14行乃至第45行、第4図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図1に示すような基板保持部を用いて基板を搬送する場合、基板保持部が基板の両端下面部を支持しているため、成膜用マスク(マスクフレーム)の大きさより小さな基板を用いると、基板保持部が成膜用マスク(マスクフレーム)と干渉するという弊害があった。
即ち、図2に示すように成膜用マスク(マスクフレーム)より小さな基板を用いた場合、基板22を成膜用マスク20上に載置する際、図3に示すように基板保持部23と成膜用マスク20とが干渉する。
また、基板保持部23を水平方向に引き抜いた際、図4に示すように、基板22が成膜用マスク20上に倒れる(落下)する。これによって、成膜用マスク20に擦れ等の損傷が生じることがあり、また成膜用マスク20と基板22との正確な位置合わせができない等の不具合が生じていた。
【0006】
かかる問題を解決する第一の方法として、成膜用マスク(マスクフレーム)の大きさより、大きな基板を用いることが考えられる。しかしながら、このように大きな基板を用いた場合には、蒸着されない部分が広く残ってしまい、生産効率が低下するという新たな課題が生じる。
【0007】
また、かかる問題を解決する第二の方法として、マスクフレーム14の隅部に切り欠き部を設け、マスクフレーム14と基板保持部23との干渉を回避する方法が考えられる。即ち、図5に示すように、マスクフレーム14の四つの隅部に切り欠き部14aを設け、この切り欠き部14aの部分に基板保持部23を位置させ、マスクフレーム14と基板保持部23との干渉を回避する方法が考えられる。
【0008】
しかしながら、前記した切り欠き部14aを形成すると、マスクフレーム14の開口部14bと切り欠き部14aとの間隔が狭く、マスクフレームの機械的強度が弱くなる。そのため、張力が加えられた成膜用マスク15をマスクフレーム14上に配置すると、マスクフレーム14の強度が保てず、マスクフレーム14が湾曲するという新たな課題が生じる。
【0009】
この課題を解決する方法として、図6に示すようにマスクフレーム14の開口部14bの四隅を湾曲形状とし、前記開口部14bと切り欠き部14aとの間隔を大きくする方法が考えられる。或いは、開口部14bに補強線を架設する方法(図示しない)が考えられる。
しかしながら前者の方法の場合、これにより、マスクフレーム14の強度は維持できるが、成膜用マスク15に形成されたマスクパターンのうち、破線で示すように四隅のマスクパターン15aがマスクフレーム14と重なる。即ち、前記重なり合った部分においては蒸着することができないため、有機EL素子等の生産効率が低下するという新たな課題が生じる。また、後者の方法の場合も、マスクフレーム14の強度は維持できるが、前記補強線とマスクパターンとが重なり合う部分においては蒸着できず、同様の課題が生じる。
【0010】
以上説明したように、第一の解決方法、第二の解決方法のいずれを採用しても、生産効率が低下するという課題は拭い去ることができない。そこで、本願発明者らは、前記した第二の解決方法であるマスクフレーム14の隅部に切り欠き部を設け、マスクフレーム14と基板保持部23との干渉を回避する方法を更に鋭意検討し、マスクフレームの変形を防止できる構成を想到し得るに至った。
【0011】
本発明は、前記したような事情の下になされたものであり、成膜用マスク上への基板の搬送及び載置作業が容易に行なえると共に、搬送手段の基板保持部がマスクフレームあるいは成膜用マスクと干渉することなく、成膜用マスクと基板とを適正に密着させることのできる成膜装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、この成膜装置を用いて製造される有機EL素子を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる成膜装置は、成膜用マスクを用いて基板への成膜処理を行なう成膜装置において、前記成膜用マスクが上面に配置されると共に、前記成膜用マスクに形成されたマスクパターン部分を臨む開口部が形成されたマスクフレームを少なくとも備え、前記マスクフレームに、水平方向に所定の面積を有する段差部が設けられていることを特徴としている。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る成膜装置の一実施形態に基づいて、図7乃至図13に基づいて説明する。図7は、一実施形態に係る成膜装置の全体構成の概略を示すブロック図、図8は、一実施形態に係る成膜装置のマスクフレームの斜視図、図9は、一実施形態に係る成膜装置のマスクフレームの平面図、図10は、図9のマスクフレームの側面図である。図11は、一実施形態に係る成膜装置の基板保持部によって基板を支持した状態を示す斜視図、図12は、本発明に係る成膜装置の搬送部(基板保持部)の平面図、図13は、図12の側面図である。
【0014】
図7に示すように、成膜装置100は、図示しない排気手段を有する真空容器5を備え、この内部に、例えば有機EL材料を加熱して蒸発させる蒸発手段4と、張力が加えられた成膜用マスク2を上面に配置するマスクフレーム1とを備えている。また、前記真空容器5の外部からガラス基板3を保持(支持)して搬送し、成膜用マスク2上に載置する搬送手段10を備えている。
【0015】
この成膜装置100は、前記マスクフレーム1の構造に特徴を有するため、図8乃至図10に基づいて、マスクフレーム1の構造を中心に説明する。
このマスクフレーム1は、例えば、ステンレス、チタン、ニッケル等の材料で略矩形板状に形成される。そして、前記マスクフレーム1には、図8において点線で示すように、成膜用マスク2に形成された複数のマスクパターン2aの部分を臨む開口部1bが形成されている。
なお、この開口部1bは、全てのマスクパターン2aがその開口部内に位置する大きさの矩形形状に形成されている。
【0016】
またマスクフレーム1の四つの隅部には、段差部1aが設けられている。この段差部1aは、図10に示すように所定の深さhに形成されている。また、図9では、この段差部1aは平面視で角部を含む五角形に形成されているが、特にこれに限定するものではなく、円形、四角形等の水平方向に所定の面積を有しているものであればよい。
【0017】
このように、マスクフレーム1の隅部に切欠き部ではなく、段差部1aを形成したため、マスクフレーム1の下方部分は、切欠きのない矩形形状の維持されている。したがって、段差部1aの形成されていないマスクフレーム1の下方部分は機械的強度が大きく、マスクフレーム1全体の機械的強度も大きく低下することはない。
なお、前記マスクフレーム1は、成膜用マスク2に対して水平方向の張力を加えた状態で成膜用マスク2を固定する図示しない固定手段を備えている。
【0018】
このような構造のマスクフレーム1には、マスクフレーム1と同様の材料で形成された成膜用マスク2が、水平4方向あるいは2方向から張力が加えられ、撓みのない状態で配置されている。
また、この成膜用マスク2には、前記したように複数のマスクパターン2aが形成されている。夫々のマスクパターン2aには、スリット等(図示省略)からなるパターンが形成され、このパターンを介してガラス基板3に蒸着による成膜が行なわれる。
更に、ガラス基板3が、成膜用マスク2上に載置された際には、図9,10に示すように、マスクフレーム1の段差部1aが設けられているために、ガラス基板3の四つの隅部3aが段差部1a側に突出した状態となる。
【0019】
続いて、前記のような成膜用マスク2が配置されたマスクフレーム1上に、ガラス基板3を搬送して載置する基板保持部11(搬送手段10)について、図11乃至図13に基づいて説明する。なお、図11は基板保持部が基板を保持する状態を示す斜視図、図12は基板保持部の平面図、図13は基板保持部の側面図である。
【0020】
図11に示すように、基板保持部11は、搬送手段10に対して四つ設けられ、基板を保持する際には、4つの基板保持部11によってガラス基板3の四隅を保持(支持)するように構成されている。
この基板保持部11は、図12、13に示すように、前記搬送手段10の図示しないアームに接続されたアーム接続部材11eと、このアーム接続部材11eに形成された切り欠き部11bの下方に所定の空間11fを形成して、ボルト11cによって固定される支持部11dとを備えている。
【0021】
この支持部11dの厚さHは、図13に示すように、段差部1aの深さhよりも小さな寸法に形成されている。即ち、支持部11dの厚さHは、ガラス基板3を成膜マスク1上に載置する際、ガラス基板3を支持する基板保持部11dはマスクフレーム1上に突出することなく、前記段差部1a内に収容される寸法に形成されている。
その結果、ガラス基板3及び成膜マスク1に衝撃を与えることなくガラス基板3を載置することができる。
【0022】
また、図12の平面図に示すように、前記空間11fに面する支持部11dの2つの側面には、ガラス基板3の隅部3aを固定するガイド部材11aが夫々形成されている。このガイド部材11aは、その平面視が台形の柱体に形成されているが、前記隅部3aを固定して保持する形状であれば、円形、多角形等の柱体でもよく、あるいはローラー等の回転部材に形成してもよい。さらに、基板保持部11dに対し、着脱自在な部材に形成してもよい。
【0023】
この基板保持部11によってガラス基板3を保持する場合には、ガラス基板3の隅部3aが2つのガイド部材11aに接触した状態で、支持部11dがガラス基板3の下面を支持する。このとき、ガイド部材11aによってガラス基板2の隅部3aが基板保持部11に固定されるため、ガラス基板2の水平方向位置の位置ずれが防止される。
なお、アーム接続部材11eは、搬送手段10において図示しないロボットアームと接続され、動作制御される。
【0024】
このように構成された成膜装置100において、ガラス基板3を成膜マスク2上に載置する際には、先ず、図11に示すように基板保持部11によってガラス基板3の隅部3aが保持(支持)される。
そして、真空容器5の図示しない基板搬送口が開かれた状態で、ガラス基板3が成膜マスク2の配置されたマスクフレーム1上に搬送され、図12、図13に示す状態になるように載置される。
このとき、前記したように、支持部11dの厚さHが、段差部1aの深さhよりも小さな寸法に形成されているため、前記基板保持部11dはマスクフレーム1上に突出することなく、前記段差部1a内に収容される。その結果、ガラス基板3及び成膜マスク1に衝撃を与えることなくガラス基板3を載置することができる。
【0025】
その後、基板保持部11は、ガラス基板3と離れる方向で水平方向に移動してガラス基板3と分離され、真空容器5の前記基板搬送口が閉じられる。この後に蒸発手段4が作動して、蒸着によるガラス基板3への成膜作業が行なわれる。
そして、成膜されたガラス基板3を取り出す際には、前記基板保持部11dが前記段差部1a内に移動し、その後、上方へ移動する。その結果、ガラス基板3の下面が基板保持部11dによって支持される。
支持されたガラス基板3は、前記搬送手段10によって真空容器5外に取り出される。
【0026】
以上のように、本実施形態によれば、マスクフレーム1の隅部に段差部1aを設けたことによって、ガラス基板3を載置する際に、該ガラス基板3あるいは成膜用マスク2に損傷を与えることがない。
【0027】
また、本実施形態によれば、マスクフレーム1の隅部に切欠き部ではなく、段差部1aを形成したため、マスクフレーム1の下方部分は、切欠きのない矩形形状の維持されている。したがって、段差部1aの形成されていないマスクフレーム1の下方部分は機械的強度が大きく、マスクフレーム1全体の機械的強度も大きく低下することはない。
その結果、成膜マスク2に張力が加えられた状態で、成膜マスク2がマスクフレーム1に固定配置された場合であっても、マスクフレーム1の変形は防止される。
しかも、機械的強度を確保するために、マスクフレーム1に形成する開口部1bを小さく形成する必要がなく、また開口部1bの四隅部分を湾曲形状にする必要はない。したがって、成膜マスク2上の全てのマスクパターン2aについて有機EL素子を形成できるため、生産効率の低下を防ぐことができる。
【0028】
なお、前記本実の形態において、基板をガラス基板として説明したが、本発明の成膜装置に用いる基板はこれに限定されるものではなく、例えばプラスチック基板等を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、従来の成膜装置の要部を示す概略断面図である。
【図2】図2は、基板載置を示す斜視図である。
【図3】図3は、図2の側面図である。
【図4】図4は、図3の状態から基板保持部を引き抜く状態を示す側面図である。
【図5】図5は、切り欠き部を設けたマスクフレームの斜視図である。
【図6】図6は、図5に示すマスクフレームの開口部の四隅を湾曲形状とした斜視図である。
【図7】図7は、本発明の一実施形態に係る成膜装置の概略構成を示すブロック図である。
【図8】図8は、本発明の一実施形態に係る成膜装置のマスクフレームの斜視図である。
【図9】図9は、本発明の一実施形態に係る成膜装置のマスクフレームの平面図である。
【図10】図10は、本発明の一実施形態に係る成膜装置のマスクフレームの側面図である。
【図11】図11は、本発明の一実施形態に係る成膜装置の基板保持部によって基板を保持する状態を示す斜視図である。
【図12】図12は、本発明の一実施形態に係る成膜装置の基板保持部の平面図である。
【図13】図13は、本発明の一実施形態に係る成膜装置の基板保持部の側面図である。
【符号の説明】
1 マスクフレーム
1a 段差部
1b 開口部
2 成膜用マスク
2a マスクパターン
3 ガラス基板
4 蒸発手段
5 真空容器
10 搬送手段
11 基板保持部
11a ガイド部材
11d 支持部
11f 空間
H 支持部の厚さ
h 段差部の深さ
Claims (5)
- 成膜用マスクを用いて基板への成膜処理を行なう成膜装置において、
前記成膜用マスクが上面に配置されると共に、前記成膜用マスクに形成されたマスクパターン部分を臨む開口部が形成されたマスクフレームを少なくとも備え、前記マスクフレームに、水平方向に所定の面積を有する段差部が設けられていることを特徴とする成膜装置。 - 前記段差部は、矩形状のマスクフレームの四つの隅部に形成されることを特徴とする請求項1に記載された成膜装置。
- 前記成膜用マスクが配置されたマスクフレーム上に前記基板を搬送して載置する搬送手段を備え、
前記搬送手段は、前記基板を支持する支持部が形成された基板保持部を有し、
前記マスクフレームの段差部の高さ寸法よりも、小さな厚さ寸法を有する前記支持部によって、前記基板を下方から支持することを特徴とする請求項1または請求項2に記載された成膜装置。 - 前記マスクフレームは、前記成膜用マスクに水平方向の張力を加えた状態で、上面に成膜用マスクを配置、固定する固定手段を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載された成膜装置。
- 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載された成膜装置を用いて製造されることを特徴とする有機EL素子。
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