JP2004291492A - 光反射板、及びこの光反射板を備えた照明器具 - Google Patents

光反射板、及びこの光反射板を備えた照明器具 Download PDF

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Abstract

【課題】熱及び紫外線を発する光源と隣接して長期使用しても、銀又は銀合金からなる高輝性光反射膜が変色しない、耐熱性・耐候性に優れた、着色された光反射板を提供する。
【解決手段】光源6に対向設置される光反射板5に関する。基材1の光源6に対向設置される側の面に銀若しくは銀合金からなる高輝性光反射膜2を形成する。この高輝性光反射膜2の上に透明樹脂のトップコート3を形成する。前記基材1が、少なくともポリブチレンテレフタレート系樹脂(A)を含む熱可塑性樹脂成分、酸化防止剤(B)、着色剤(C)及び分散剤(D)を含有する熱可塑性樹脂組成物で形成される。前記熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂成分100重量部に対し、分散剤(D)を0.005〜0.3重量部含有する。前記酸化防止剤(B)がフェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤のうち少なくとも一方からなる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光反射板、および、この光反射板を用いた照明器具に関し、具体的には、樹脂材料で成形された基材を有し、同基材に高輝性光反射膜が形成され、さらに、同高輝性光反射膜の表面にトップコートが形成された光反射板、および、この光反射板を用いた照明器具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、照明器具の分野、特にダウンライト、スポットライト、投光器等においては、ガラス、プラスチック、金属、セラミック等を所要の形状に成形した基材上に、アンダーコート(一般に塗装膜)を形成した後、その上に高輝性光反射膜(銀或いは銀合金、アルミニウムなど)を真空蒸着法、イオンプレーティング法或いはスパッタリング法等により成膜し、更にその上にトップコート(透明有機塗膜或いはSiO、Al、MgF、TiOなどの透明誘電体薄膜)を施してなる光反射板が開発されている。尚、ガラス、プラスチック基材は、成形方法の工夫により平滑な基材面が得られるため、高輝性光反射膜にアルミニウムを用いる場合は、アンダーコートを形成しない場合もある。
【0003】
上記の高輝性光反射膜の形成のための材料のうち、銀はアルミニウムよりも6〜8%程度反射特性が優れており、上記の光反射板に用いることにより、アルマイト処理及びアルミニウム蒸着品と比較して10〜50%程度の器具効率アップを図ることができ、高効率な照明器具を得るための有効な手段となっている。特に繰り返し反射の多い器具(例:深型ダウンライト反射板器具)での効果は顕著である。
【0004】
しかし、銀は高輝性金属として上記のような優れた反射特性及び電気化学性質を有するが、もともと化学的に非常に不安定で、空気中の酸素、水分、亜硫酸ガス、硫化水素、アンモニアガス等と容易に反応して、酸化銀、硫化銀を生成し、表面が褐色或いは黒色に変色(腐食)するという欠点を持つ。従って銀の変色を防ぎ、本来の特性を維持するためには、腐食性ガスとの接触を無くす必要があった。
【0005】
そのために、従来、上記のような構成の光反射板の高輝性光反射膜には、殆どアルミニウムが用いられていた。特に、近年の高出力コンパクト蛍光灯、白熱灯、メタルハライドランプを使用する照明器具で反射板温度が100℃以上になるようなものに対しては、銀製の高輝性光反射膜は全く使用されていない。これは、器具温度の上昇とランプからの紫外線強度のアップにより銀が反応し易くなるためである。
【0006】
また、反射板温度が100℃以上になる器具の場合、基材に従来の耐熱プラスチック成形品を用いると樹脂中の残留物(未反応モノマー、プロセスオイル、水分など)がガス化し、銀と反応して変色するケースが多かった。このような変色は、アンダーコートのガスバリヤー特性でカバーできるものもあるが、アンダーコートは膜厚管理が難しく、塗料調合・焼付けなどの製造工程が必要となるために、製造コストの上昇を招くという問題があった。また、器具温度が上昇すればするほど、アンダーコートそのものの耐久性が不安定になり、長期の使用においては、銀の変色スピードを緩める程度の効果しかなかった。
【0007】
また、銀膜を変色させ難い樹脂を反射板として基材に用いたとしても、この基材の線熱膨張係数が大きい場合、トップコートの種類によっては、成膜時の焼付け/冷却工程の温度変化による基材の膨張・収縮の影響で、銀膜に皺が発生する場合もあり、これが外観不良の原因となる場合があった。この雛を防ぐために、例えば工程管理を細かくしたり、成膜温度を低下させたりすることも考えられるが、生産性の大幅な低下を招くことになり、製造コストが上昇するため現実的ではなかった。
【0008】
このような理由から、従来、光反射板の温度が100℃以上に上昇する照明器具について、下からプラスチック基材/アンダーコート/高輝性光反射膜/トップコートといった構成の光反射板は存在しないものであった。
【0009】
そこで、本出願人は、銀製の高輝性光反射膜の変色防止を図るために、熱可塑性樹脂組成物中に低融点金属及び金属粉末、または金属繊維、または金属粉末と金属繊維の混合物を50〜70体積%含有させることで、腐食性ガスの発生がきわめて少ない熱可塑性樹脂組成物を得て、この熱可塑性樹脂組成物により、光反射板のプラスチック基材を形成することを提案している(特許文献1参照)。
【0010】
【特許文献1】
特開2001−004816号公報(特許請求の範囲参照)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、光反射板を照明器具等に用いる場合には、高輝性光反射膜が形成されない部分は基材が露出して外部から視認されることとなり、この露出部分には、意匠性の理由から一般的に着色が求められることが多い。このため、基材に所望の色を発現させるために、熱可塑性樹脂組成物に着色剤を含有させる場合があり、またこの着色剤を均一に分散させるためには分散剤を含有させる必要がある。このように熱可塑性樹脂組成物に分散剤を含有させると、分散剤から腐食性ガスが発生して、銀製等の高輝性光反射膜の変色等の原因となるものであったが、特許文献1等に示される従来技術においては、このような分散剤からの腐食性ガスの発生は注目されていなかった。
【0012】
更に、特許文献1に示されるような従来技術では、プラスチック基材の線熱膨脹係数を十分に低減されておらず、トップコートの成膜時の焼付け/冷却工程の温度変化による基材の膨張・収縮の影響で発生する銀膜の皺の発生を、十分に抑制することができないものであった。
【0013】
本発明は、上記の点に鑑みて為されたものであり、基材として腐食性ガスの発生が極めて少ない着色された熱可塑性樹脂組成物を用いることにより、熱及び紫外線を発する光源と隣接して長期使用しても、銀又は銀合金からなる高輝性光反射膜が変色しない、耐熱性・耐候性に優れた、着色された光反射板、および、この光反射板を用いた照明器具を提供することを目的とするものである。
【0014】
更に本発明は、線熱膨張係数が小さい熱可塑性樹脂組成物を用いることにより、トップコートの焼付け/冷却工程において銀製の高輝性光反射膜に皺が発生しない光反射板、および、この光反射板を用いた照明器具を提供するものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
すなわち請求項1に係る光反射板は、光源6に対向設置される光反射板5において、基材1の光源6に対向設置される側の面に銀若しくは銀合金からなる高輝性光反射膜2が形成されると共にこの高輝性光反射膜2の上に透明樹脂のトップコート3が形成された光反射板5であって、前記基材1が、少なくともポリブチレンテレフタレート系樹脂(A)を含む熱可塑性樹脂成分、酸化防止剤(B)、着色剤(C)及び分散剤(D)を含有する熱可塑性樹脂組成物で形成されたものであり、前記熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂成分100重量部に対し、分散剤(D)を0.005〜0.3重量部含有するものであり、且つ前記酸化防止剤(B)がフェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤のうち少なくとも一方からなるものであることを特徴とするものである。
【0016】
また請求項2の発明は、請求項1において、上記熱可塑性樹脂組成物が無機充填材(E)を含有し、前記熱可塑性樹脂組成物の100〜150℃における線熱膨張係数が、12×10−5/K以下であることを特徴とするものである。
【0017】
また請求項3の発明は、請求項2において、上記熱可塑性樹脂組成物は、上記熱可塑性樹脂成分100重量部に対し、上記無機充填材(E)を10〜30重量部含有することを特徴とするものである。
【0018】
また請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、上記熱可塑性樹脂組成物中に、熱可塑性樹脂成分として上記ポリブチレンテレフタレート系樹脂(A)を20〜70重量%、それ以外の他の熱可塑性樹脂(F)を30〜80重量%含有するものであることを特徴とするものである。
【0019】
また請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれかにおいて、上記基材1の光源6に対向設置される側の面にアンダーコート4が形成され、このアンダーコート4の上に上記高輝性光反射膜2が形成されていることを特徴とするものである。
【0020】
また請求項6に係る照明器具は、光源6と、この光源6に対して対向設置された請求項1乃至5のいずれかに記載の光反射板5とを具備することを特徴とするものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0022】
本発明の光反射板5は、光源6に対向設置される面で、基材1に銀もしくは銀合金からなる高輝性光反射膜2が形成され、さらに、この高輝性光反射膜2の上に透明樹脂のトップコート3が形成された光反射板5である。前記基材1は、少なくともポリブチレンテレフタレート系樹脂(A)を含む熱可塑性樹脂成分、酸化防止剤(B)、着色剤(C)、分散剤(D)を必須成分として含有する熱可塑性樹脂組成物で形成する。
【0023】
そして本発明では、上記の熱可塑性樹脂組成物中において、熱可塑性樹脂成分100重量部に対し、分散剤(D)を0.005〜0.3重量部の範囲で含有させ、更に前記酸化防止剤(B)としてフェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤のうち少なくとも一方からなるものを用いるものであり、これにより、着色された光反射板5からの腐食性ガスの発生を抑制し、熱及び紫外線を発する光源6と隣接して長期使用しても、銀又は銀合金からなる高輝性光反射膜2が変色しないようにして、光反射板5の耐熱性・耐候性を向上するものである。
【0024】
上記の熱可塑性樹脂成分の必須成分であるポリブチレンテレフタレート系樹脂(A)とは、テレフタル酸或いはそのエステル形成性誘導体と、1,4−ブタンジオール或いはそのエステル形成性誘導体とを主成分とする反応性混合物を重縮合反応させる等といった、通常の重合方法によって得られる重合体から成る樹脂である。ポリブチレンテレフタレート系樹脂が有する特性を損なわない範囲であれば、上記以外の他の共重合成分を用いても良いが、この他の共重合成分は、共重合成分の全量に対して20重量%程度以下であることが好ましい。
【0025】
このような重合体の好ましい例としては、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレン(テレフタレート/イソフタネート)、ポリブチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリブチレン(テレフタレート/セバケート)、ポリブチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)、ポリブチレン(テレフタレート/ナフタレート)、ポリ(ブチレン/エチレン)テレフタレート等が挙げられる。これらの重合体は単独で用いても2種以上混合しても良い。
【0026】
このようなポリブチレンテレフタレート系樹脂(A)を用いることで、光反射板5に十分な耐熱性や強度を付与することができる。
【0027】
また熱可塑性樹脂成分としては、上記のようなポリブチレンテレフタレート系樹脂(A)のみを含有させても良いが、ポリブチレンテレフタレート系樹脂(A)以外の熱可塑性樹脂(F)を含有させても良い。特に熱可塑性樹脂成分全量に対して、ポリブチレンテレフタレート系樹脂(A)を20〜70重量%含有させると共にそれ以外の熱可塑性樹脂(F)を30〜80重量%の範囲で含有させるようにすると、熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる基材1の表面平滑性を向上させることができる。この熱可塑性樹脂(F)の含有量が30重量%未満であると、上記の表面平滑性の向上効果が十分に発揮されなくなるおそれがあり、またこの含有量が80重量%を超えると、成形時の溶融粘度が著しく高くなり、薄肉で、特に大型の成形体の成形が困難になる。
【0028】
ここでいう、他の熱可塑性樹脂(F)としては、ポリブチレンテレフタレート系樹脂(A)以外の熱可塑性樹脂を適宜選択して用いることができるが、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、ポリアリレート、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリイミド、ポリアミドイミド等を挙げることができる。中でポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート等が好ましい。これらは単独で使用する他、2種類以上を混合してもよい。
【0029】
また酸化防止剤(B)は、上記のように腐食性ガスの発生が極めて少ないフェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤のうちの一方又は双方を用いるものであり、これにより腐食性ガスの発生の抑制に寄与するものである。フェノール系酸化防止剤としては、例えば2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、テトラキス(メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキジフェニル)プロピオネート)メタン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキジベンジル)イソシアヌレート等のフェノール系化合物を挙げることができ、またリン系酸化防止剤としては、例えばトリスノニルフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト等のリン系化合物等が挙げられる。
【0030】
酸化防止剤(B)の含有量は、基材1の酸化防止の作用が十分得られるように適宜の範囲に設定することができるが、好ましくは熱可塑性樹脂組成物中に、熱可塑性樹脂成分100重量部に対して0.05〜0.4重量部の範囲で含有させるものである。
【0031】
また上記の着色剤(C)は、基材1を着色するために含有される。ここで、光反射板5を照明器具7等に用いる場合には、高輝性光反射膜2が形成されない部分は基材1が露出して外部から視認されることとなり、この露出部分には、意匠性の理由から一般的に着色が求められることが多い。このため、基材1に所望の色を発現させるために、熱可塑性樹脂組成物に着色剤(C)を含有させるものである。
【0032】
この着色剤(C)としては、有機染料、有機顔料、無機顔料等が挙げられ、これらは公知のものを制限なく使用できる。
【0033】
この着色剤(C)の含有量も、基材1を所望の色に着色できるように適宜の範囲に設定することができるが、好ましくは熱可塑性樹脂組成物中に、熱可塑性樹脂成分100重量部に対して3〜8重量部の範囲で含有させるものである。
【0034】
また上記の分散剤(D)は、熱可塑性樹脂組成物中における着色剤(C)の分散性を向上して、不均一分散による色むらの発生を抑制するために、含有される。このような分散剤(D)としては、例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛等のステアリン酸金属塩や、ラウリン酸金属塩等が挙げられる。
【0035】
ここで、本発明では、上記の通り、熱可塑性樹脂組成物中における分散剤(D)の含有量を、熱可塑性樹脂成分100重量部に対して0.005〜0.3重量部の範囲とすることで、分散剤(D)に起因する基材1からの腐食ガスの発生量を低減するものである。この含有量を0.005重量部以上とすることで、組成物中における着色剤(C)の分散性を十分に向上することができて、色むらの発生を抑制することができる。またこの含有量を0.3重量部以下とすることで、分散剤(D)から腐食性ガスが発生した場合におけるその発生量を十分に抑制することができ、光反射板5を熱及び紫外線を発する光源6と近接させた状態で長期間使用した場合でも、銀若しくは銀合金からなる高輝性光反射膜2の腐食による変色を抑制することができ、このような変色による外観の悪化や光線反射率の低下を抑制することができるものである。
【0036】
また熱可塑性樹脂組成物中には、無機充填材(E)を含有させることもできる。このような無機充填材(E)としては、適宜の種類を用いることができ、またその形状も適宜の形状のものを用いることができるが、例えばガラス、ウィスカー、セラミック、金属、天然植物等の繊維状、球状、板状又は無定形の粉粒状の天然もしくは合成の充填材などが挙げられる。具体的なウィスカーとしては、ホウ素、アルミナ、シリカ、炭化ケイ素等、セラミックとしては、セッコウ、チタン酸カリウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム等、金属としては、銅、アルミニウム、鋼等、またガラスビーズ、ガラスフレーク、タルク、雲母、水酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、ケイ酸カルシウム、クレー等が挙げられるが、本発明の目的を満足すれば特に限定されるものではない。また、これらの無機充填材は単独で使用しても複数を混合して使用してもよい。
【0037】
無機充填材(E)の含有量は適宜調整されるが、熱可塑性樹脂組成物の線熱膨張係数が所望の値となるように含有量を調整することが好ましく、特に熱可塑性樹脂組成物の100〜150℃における線熱膨脹係数が12×10−5/K以下となるようにすることが好ましい。
【0038】
ここで、上記のように熱可塑性樹脂組成物の100〜150℃における線熱膨脹係数を12×10−5/K以下となるようにすると、基材1に対して銀或いは銀合金からなる高輝性光反射膜2を設けると共に更にトップコート3を焼き付け/冷却工程を経て形成するに際し、高輝性光反射膜2と基材1との間の線熱膨脹率差を低減して、温度変化による基材1の膨張・収縮の影響により高輝性光反射膜2に皺が生じるなどの外観不良の発生を抑制することができるものである。この熱可塑性樹脂組成物の線熱膨脹係数の下限は特に制限されず、高輝性光反射膜2における皺の発生等を防止できる範囲で適宜設定すれば良いが、好ましくは100〜150℃における線熱膨脹係数が5×10−5/K以上となるようにする。
【0039】
上記のように無機充填材(E)の含有量は熱可塑性樹脂組成物の100〜150℃における線熱膨脹係数が12×10−5/K以下となるように調整することが好ましいが、具体的には組成物中の熱可塑性樹脂成分100重量部に対して、無機充填材(E)を10〜30重量部の割合で含有させることが好ましい。この含有量が10重量部に満たないと熱可塑性樹脂組成物の線熱膨張係数を十分に低減することが困難となって、トップコート3を焼き付け/冷却工程を経て形成するに際し、高輝性光反射膜2と基材1との間の線熱膨脹率差により高輝性光反射膜2に皺が生じるなどの外観不良が発生するおそれがある。またこの含有量が30重量部を超えると、線熱膨張係数は低減できるものの、成形される基材1の表面平滑性が損なわれるおそれがあり、また成形時の熱可塑性樹脂組成物の溶融粘度が著しく高くなって、薄肉で、特に大型の成形体の成形が困難になるだけでなく、機械強度の著しい低下により、成形時の金型からの脱型時にクラックが発生する傾向が強くなる。
【0040】
また、熱可塑性樹脂組成物中の機械的強度や耐熱性を確保するためには、例えば本発明の目的が損なわれない範囲において、無機充填材(E)の表面をカップリング剤で処理したり、或いはポリブチレンテレフタレート系樹脂(A)と相溶化可能で且つ無機充填材(E)(前記のように無機充填材(E)をカップリング剤で処理する場合はカップリング剤)と接着性を有する樹脂を熱可塑性樹脂組成物中に含有させたりするなどして、ポリブチレンテレフタレート系樹脂(A)と無機充填材(E)との接着性を向上させたり無機充填材(E)の分散性を向上したりすることが好ましい。
【0041】
上記のカップリング剤としては、シラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤など従来公知のものの中から適宜選択して用いることができる。このなかでも、シラン系カップリング剤としては、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのアミノシラン、エポキシシラン等が好ましい。また、チタン系カップリング剤については、イソプロピルトリ(N−アミドエチル、アミノエチル)チタネート等が好適である。
【0042】
上記のようなカップリング剤を用いた無機充填材(E)の表面処理は、通常の方法で行うことができ、特に制限はない。例えば、サイジング処理、或いはヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、レーディゲミキサー、V型ブレンダーなどを用いての乾燥混合、スプレー法、インテグラルブレンド法、トライコンセントレート法など、充填材の形状により適宜な方法にて行うことができるが、サイジング処理、乾式混合、スプレー法により行うことが望ましい。
【0043】
また、上記のカップリング剤と共に、ガラス用フイルム形成性物質を併用することができる。このフイルム形成性物質には、特に制限はなく、例えばポリエステル系、ウレタン系、エポキシ系、アクリル系、酢酸ビニル系、イソシアネート系などの重合体が挙げられる。
【0044】
また本発明の熱可塑性樹脂組成物には、上記成分以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で各種の添加剤、例えば、安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、帯電防止剤、滑剤、可塑剤、難燃剤、難燃助剤、衝撃改良剤、結晶化促進剤等を配合してもよく、それらは公知のものを制限なく使用できる。
【0045】
例えば安定剤としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールを含むベンゾトリアゾール系化合物;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンのようなベンゾフェノン系化合物;モノまたはジステアリルホスフェート、トリメチルホスフェート等のリン酸エステル等を挙げることができる。
【0046】
また紫外線吸収剤としては、例えば2−ヒドロキシ−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキジフェニル)メタン等に代表されるベンゾフェノン系紫外線吸収剤;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α’−ジメチルベンジル)フェニルベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、メチル−3−[3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニルプロピオネート−ポリエチレングリコールに代表されるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノール、2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシフェノール等のヒドロキシフェニルトリアジン系化合物等を挙げることができる。
【0047】
また、組成物中には、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ポリ〔[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチルピペリジル)イミノ]〕、ポリメチルプロピル−3−オキシ−[4−(2,2,6,6−テトラメチル)ピペリジニル]シロキサン等に代表されるヒンダードアミン系の光安定剤も含むことができる。かかる光安定剤は上記紫外線吸収剤や各種酸化防止剤との併用において、耐候性等の点においてより良好な性能を発揮する。
【0048】
尚、例えば酸化防止剤(B)として例示した添加剤は、安定剤や紫外線吸収剤として作用することもある。また、安定剤として例示したものについても酸化防止作用や紫外線吸収作用のあるものがある。すなわち前記分類は便宜的なものであり、作用を限定したものではない。
【0049】
離型剤としては、カルナウバワックス、ライスワックス等の植物系ワックス;蜜ろう、ラノリン等の動物系ワックス、モンタンワックス等の鉱物系ワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等の石油系ワックス、ひまし油及びその誘導体、脂肪酸及びその誘導体等の油脂系ワックスが挙げられる。
【0050】
難燃剤としては、ハロゲン系、リン酸エステル系、金属塩系、赤リン、シリコン系、金属水和物系等の適宜のものを用いることができ、また滴下防止剤も含む。
【0051】
またその他の添加剤として、蛍光増白剤、蓄光顔料、蛍光染料、流動改質剤、無機及び有機の抗菌剤、光触媒系防汚剤、赤外線吸収剤、フォトクロミック剤等を挙げることができる。
【0052】
本発明の熱可塑性樹脂組成物はこれら配合成分が均一に分散されていることが好ましく、その配合方法は任意の方法を用いることができる。代表例として、単軸或いは2軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダー或いはミキシングロール等、公知の溶融混練機を用いて、200〜350℃の温度で、溶融混練する方法を挙げることができる。このとき各成分は、予め一括して混合しておき、それから溶融混練してもよい。また熱可塑性樹脂成分100重量部に対し、例えば1重量部以下であるような少量添加剤成分については、他の成分を上記の方法等で混練しペレット化した後、成形前に添加することもできる。
【0053】
尚、各成分に付着している水分は少ない方がよく、予め事前乾燥しておくことが望ましいが、必ずしも全ての成分を乾燥させる必要がある訳ではない。
【0054】
好ましい製造方法の例としては、シリンダ温度230〜300℃の2軸押出機を用い、ポリブチレンテレフタレート系樹脂(A)及びその他の添加物を配合した原料を該押出機に供給して混練する方法が挙げられる。
【0055】
上記熱可塑性樹脂組成物を所要の形状に成形することで、光反射板5の基材1が得られる。この基材1の光反射面(光源6に対する面)は、所要の配光が得られるように曲面形状、段形状等に光学設計された形状とすることが好ましい。
【0056】
成形法としては射出成形法、押出成形法、圧縮成形法、ブロー成形法、トランスファー成形法、注型法、真空成形法等一般に熱可塑性樹脂の公知の成形法が挙げられるが、上記のような光学設計された形状を精度よく再現でき、加えて生産性の高い射出成形法が望ましい。
【0057】
以上のようにして形成された基材1の光源6に対向設置される面(光反射面)に、図1に示すように直接高輝性光反射膜2を形成し、或いは図2に示すように光反射面にアンダーコート4を形成してから高輝性光反射膜2を形成し、更にトップコート3を形成することにより、光反射板5を得ることができる。ここで、熱可塑性樹脂組成物にて形成される基材1の表面は、十分に平滑に形成することができるため、アンダーコート4を形成しなくても基材1と高輝性光反射膜2との間に十分な密着性が得られる。また基材1表面の上記光反射面にアンダーコート4を形成し、このアンダーコート4の上に高輝性光反射膜2を形成すると、アンダーコート4にて基材1表面の平滑性をより一層向上させることができる。
【0058】
アンダーコート4を形成する場合、アンダーコート4形成用の塗料としては、基材1との密着性及び濡れ性がよく、高輝性光反射膜2を成膜後に良好な鏡面性と密着性が得られ、且つ、光反射鏡として要求される耐熱性能を満足するものであれば、特に限定する必要はないが、耐熱性があって銀製の高輝性光反射膜2と良好な密着性能が得られる塗料として一液もしくは二液性のエポキシ系、アクリル・メラミン系、シリコン変性アクリル系、シリコンアルキッド系、ウレタン系等の塗料が望ましい。
【0059】
アンダーコート4の膜厚は、基材1の表面の粗さを平滑にし、高輝性光反射膜2との良好な密着性が得られるように適宜設定することができるが、厚さ5〜20μmの範囲が好ましいものである。
【0060】
アンダーコート4の形成は、上記のような塗料を基材1の反射面に均一に塗布した後、焼き付けることにより行うことができる。
【0061】
塗料の塗布は、例えば上記のような塗料を所定のシンナー等の溶剤で濃度調整した後、エアースプレーガンを用いて基材1の反射面に均一に塗装した後に焼付けることにより行うことができるが、均一な塗装膜が得られるならば、このような塗装方法に限定されるものではない。また、焼き付けは、塗膜中にシンナー等の溶剤の残留がなく、且つゲル分率90%以上の硬化が得られるように行うことが好ましく、このように焼き付け後の塗膜が所望の特性を得ることができる条件であれば、特に焼き付け方法は制限されるものではない。
【0062】
また高輝性光反射膜2は、上記のようにアンダーコート4を形成しない場合は基材1の反射面上に、アンダーコート4を形成する場合はこのアンダーコート4上に、形成される。この高輝性光反射膜2の材質としては、フォーナイン(4N)等の高純度の銀や、或いは所要の反射特性が得られれば銀と他金属との合金(銀合金)、例えばAg−Mg、Ag−Pd、Ag−Pt、Ag−Rh、Ag−Nd−Au、Ag−Nd−Cu等の銀合金を用いることができる。
【0063】
高輝性光反射膜2の膜厚は、所要の光学特性が得られるものであれば、特に制限されないが、150.0〜300.0nm(1500〜3000Å)の範囲が好ましい。なぜならば、膜厚が150.0nmより薄い場合は、十分な反射特性を得ることが難しく、逆に、3000nmを越えると高輝性光反射膜2が白濁し、むしろ反射率が低下する傾向にあるからである。
【0064】
上記の高輝性光反射膜2を形成する方法としてのPVD(Physical Vapor Deposition)には、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、ビーム法等があるが、所定の膜厚を確保でき、成膜後の高輝性光反射膜2の光学特性を満足できるものであれば、特に制限されない。
【0065】
また、上記高輝性光反射膜2の上に,更に透明樹脂のトップコート3を形成すると、このトップコート3にて高輝性光反射膜2の高輝性を保持させながら、この高輝性光反射膜2の変退色、剥離などを抑止することができるものである。すなわち、以上のようにして形成された高輝性光反射膜2上に、この高輝性光反射膜2の(酸化劣化紫外線劣化等による)変退色、剥離等を抑止するべく、トップコート3を形成することができる。
【0066】
ここで用いられるトップコート3の材質としては、熱硬化アクリル系、熱硬化シリコン変性アクリル系、アクリル・メラミン系、シリコン系等を挙げることができるが、高輝性光反射膜2との良好な密着性が得られ、所要の光学特性、耐熱性、耐光性が得られる透明塗料であれば、特に制限されない。
【0067】
またトップコート3の膜厚は、所要の光学特性が得られる厚さであれば特に制限されないが、高輝性光反射膜2との良好な密着性、ガスバリヤー効果及び耐久性を得るためには、8〜25μmの範囲が望ましい。
【0068】
トップコート3を形成するにあたっての透明樹脂の塗装法としては、スプレーガンを用いた吹きつけ塗装、ディッピング法等があるが、所要の膜厚を均一に得ることができ、耐熱性、耐光性、密着性、光学特性等を満足できるものであれば、特に制限されない。
【0069】
以上のように、本発明では、着色され、且つ腐食性ガスの発生が極めて少ない熱可塑性樹脂組成物を反射板基材1に適用することによって、熱及び紫外線を発する光源6と隣接して長期使用しても、銀製の高輝性光反射膜2が変色しない、耐熱性・耐候性に優れた光反射板5を得ることができ、更にこの光反射板5を用いた照明器具7を得ることができるものである。
【0070】
さらには、線熱膨張係数が小さい熱可塑性樹脂組成物を反射板基材1に適用することによって、トップコート3の焼付け/冷却工程において高輝性光反射膜2に皺が発生しない光反射板5、および、この光反射板5を用いた照明器具7とすることができるものである。
【0071】
図3は、光反射板5を有する照明器具7の一例を示すものである。図示の照明器具7は、ダウンライト型のものであり、筒状に形成された基材1の内面に高輝性光反射膜2及びトップコート3を形成し、或いはこの基材1の内面にアンダーコート4、高輝性光反射膜2及びトップコート3を形成して光反射板5が形成され、この筒状の光反射板5の内側に光源6を配設することにより、光反射板5が光源6に対向設置されている。勿論、照明器具7の構成は図3に示すようなものに限られず、光源6に対して光反射板5を対向設置したものであれば良い。
【0072】
【実施例】
以下、本発明の実施例および比較例を説明する。
(実施例1〜7及び比較例1〜3)
下記の表1及び表2に示したような構成により、実施例1〜7及び比較例1〜3のそれぞれで光反射板5を形成した。
【0073】
【表1】
Figure 2004291492
【0074】
【表2】
Figure 2004291492
【0075】
次に、実施例1〜7及び比較例1〜3の各光反射板5について、下記の評価を行った。
<評価方法>
[1]耐候牲(実用点灯試験)
図3に示したような照明器具7(コンパクト蛍光灯32W;松下電子工業製;「FHT32EXN」)における光反射板5として、各実施例及び比較例に示すものを使用し、24時間連続点灯(反射板最高温度130℃)を3ヶ月間行った。
【0076】
この試験前後において、光反射板5の波長λ=555nmの全光線反射率を日立社製自記分光光度計(品番「U−4000」)により測定し、その反射率の低下に基づき、変色度合を下記の通り、◎、○、△、×で判定した。
◎…反射率低下3%未満:変色(腐食)は全く認められない。
○…反射率低下3%以上:10%未満:変色(腐食)が若干認められる。
△…反射率低下10%以上:20%未満:変色(腐食)が認められる。
×…反射率低下20%以上:著しい変色(腐食)が認められる。
[2]外観(皺発生度合)
上述した[1]耐候性(実用点灯試験)に供したものと同形状の反射板を作製する工程において、トップコート3の焼付け/冷却工程終了後の光反射面の外観を目視で確認し、光反射膜の皺の発生度合を下記の通り、◎、○、△、×で判定した。
◎…皺の発生は全く認められない。
○…雛の発生が若干認められる。
△…皺の発生が認められる。
×…著しい雛の発生が認められる。
[3]線熱膨張係数
ASTMD696(TMA法)に準拠して求めた。
【0077】
上記の[1]耐候牲(実用点灯試験)、[2]外観(雛発生度合)、[3]線熱膨張係数の、各評価結果を、下記の表3に実施例1〜7及び比較例1〜3のそれぞれについてまとめた。
【0078】
【表3】
Figure 2004291492
【0079】
尚、実施例7については、基材1の表面に若干の平滑性の低下が認められたが、これは、熱可塑性樹脂成分中におけるポリエチレンテレフタレートの含有量が低く、且つ無機充填材の含有量が多いためと考えられる。また比較例3では、無機充填材の含有量が多いことから、基材1を成形する際、離型時に割れが発生した。
【0080】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1に係る光反射板によると、基材が着色され、且つ腐食性ガスの発生が極めて少ない熱可塑性樹脂組成物により形成されることから、熱及び紫外線を発する光源と隣接して長期使用しても、高輝性光反射膜の変色が抑制され、耐熱性及び耐侯性に優れた信頼性の高い光反射板を得ることができ、この光反射膜にて照明器具を形成することができるものである。
【0081】
また、トップコートによって高輝性光反射膜の高輝性を維持することができ、高輝性光反射膜の変退色、剥離などを更に抑止することができるものである。
【0082】
しかも、アンダーコートが特に不要であり、膜厚管理などの品質管理が必要なくなり、品質が向上するものであり、工程削減、コストダウンを図ることができるものである。
【0083】
また本発明の請求項2に係る光反射板によると、線熱膨張係数が小さい熱可塑性樹脂組成物を用いて基材が形成されることから、トップコートの焼付け/冷却工程における高輝性光反射膜の皺の発生を抑制することができるものである。
【0084】
また本発明の請求項3に係る光反射板によると、無機充填材(E)の含有量を調整することにより線熱膨張係数が確実に小さい熱可塑性樹脂組成物が得られ、この熱可塑性樹脂組成物にて基材を形成することにより、トップコートの焼付け/冷却工程における高輝性光反射膜の皺の発生を一層確実に防止することができるものである。
【0085】
また本発明の請求項4に係る光反射板によると、基材の光反射面の平滑性を向上させる必要がある場合に、ポリブチレンテレフタレート系樹脂(A)以外の熱可塑性樹脂(F)を含有させることで、基材の平滑性を一層向上させることができるものである。
【0086】
また本発明の請求項5に係る光反射板によると、アンダーコートを形成することによって、高輝性光反射膜の平滑性を更に向上することができ、しかも鏡面性を一層向上して、更に優れた光反射性が得られるものである。
【0087】
また本発明の請求項6に係る照明器具によると、着色された光反射板を有する照明器具が得られ、且つ、光反射板を熱及び紫外線を発する光源と隣接させた状態で長期使用しても、高輝性光反射膜の変色が抑制され、耐熱性・耐侯性に優れた光反射板を有する照明器具を得ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態の他例を示す断面図である。
【図3】照明器具の全体構成の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 基材
2 高揮性光反射膜
3 トップコート
4 アンダーコート
5 光反射板
6 光源
7 照明器具

Claims (6)

  1. 光源に対向設置される光反射板において、基材の光源に対向設置される側の面に銀若しくは銀合金からなる高輝性光反射膜が形成されると共にこの高輝性光反射膜の上に透明樹脂のトップコートが形成された光反射板であって、前記基材が、少なくともポリブチレンテレフタレート系樹脂(A)を含む熱可塑性樹脂成分、酸化防止剤(B)、着色剤(C)及び分散剤(D)を含有する熱可塑性樹脂組成物で形成されたものであり、前記熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂成分100重量部に対し、分散剤(D)を0.005〜0.3重量部含有するものであり、且つ前記酸化防止剤(B)がフェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤のうち少なくとも一方からなるものであることを特徴とする光反射板。
  2. 上記熱可塑性樹脂組成物が無機充填材(E)を含有し、前記熱可塑性樹脂組成物の100〜150℃における線熱膨張係数が、12×10−5/K以下であることを特徴とする請求項1に記載の光反射板。
  3. 上記熱可塑性樹脂組成物は、上記熱可塑性樹脂成分100重量部に対し、上記無機充填材(E)を10〜30重量部含有することを特徴とする請求項2に記載の光反射板。
  4. 上記熱可塑性樹脂組成物中に、熱可塑性樹脂成分として上記ポリブチレンテレフタレート系樹脂(A)を20〜70重量%、それ以外の他の熱可塑性樹脂(F)を30〜80重量%含有するものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光反射板。
  5. 上記基材の光源に対向設置される側の面にアンダーコートが形成され、このアンダーコートの上に上記高輝性光反射膜が形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の光反射板。
  6. 光源と、この光源に対して対向設置された請求項1乃至5のいずれかに記載の光反射板とを具備することを特徴とする照明器具。
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