JP4747561B2 - ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、優れた表面平滑性と強度を有する成形品が得られるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物に関するものであり、さらに詳しくは、金属膜を形成するための表面平滑性が優れ、かつ、機械的特性、低ガス性、摺動性が優れるなどの特性バランスに優れるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物に関するものである。
ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下PPS樹脂と略す。)は優れた耐熱性、剛性、寸法安定性、および難燃性などエンジニアリングプラスチックとしては好適な性質を有していることから、射出成形用を中心として各種電気・電子部品、機械部品および自動車部品などに広く使用されている。
しかしながら、表面平滑性に優れ、強度を必要とする成形品に使用する場合、無機充填材を配合するが、粒径の大きい無機充填材を配合すると表面平滑性が悪くなる。そこで、表面平滑性を向上させるために、無機充填材の粒径を小さくする必要があった。しかし、無機充填材の粒径を小さくすると衝撃強度が低下するなどの問題があったために、成形品の表面平滑性と衝撃強度の両立はこれまで困難であった。
また、アルミニウム等の金属を成形品の表面に被覆して鏡面を形成する際、樹脂の成形後、何の表面処理もせずに該金属を蒸着等の方法により被覆すると、ガスの表面固着、あるいは表面に存在する充填材に起因する微細な凹凸等により充分な表面平滑性が得られない問題があり、これらを満足できるPPS樹脂組成物は未だ得られていないのが現状である。
この高い表面平滑性の向上を目的にこれまでにいくつかの充填材の検討が成されている。例えば、特許文献1ではPPS樹脂に繊維状充填材および硫酸バリウムを配合する組成物が開示されている。しかしながら、本発明者らの検討によれば繊維状充填材の配合量が多すぎ、かつ具体的に記載された硫酸バリウムを使用すると、粒径が大きすぎるため充分な表面平滑性が得られないことがわかった。また、単に硫酸バリウムと繊維状充填材を併用するのみでは金属膜を形成した後に熱処理すると曇りが発生し充分な表面外観が得られないことがわかった。特許文献2では、PPS樹脂に硫酸バリウムを配合するコーテイング組成物が記載されているが、このコーティング組成物は分散液としてコイルコーティングあるいはスプレーコーティングされ、加熱硬化させることにより、被塗装物との接着性に優れた塗膜が得られるというものであり、本発明のような各成分を溶融混練して得られる組成物とは全く異なるものである。特許文献3では、PPS樹脂に硫酸バリウムを配合する組成物が開示されているが、具体的に記載された硫酸バリウムを使用しても粒径が大きすぎるため、充分な表面平滑性や外観が得られず、さらに耐衝撃性等の機械的特性にも劣ることが判った。
特許第2772342号公報(第1−4頁) 特公平5−5870号公報(第1−2頁) 特開平3−185069号公報(第1−4頁)
本発明は上述した従来のポリフェニレンスルフィド樹脂の優れた耐熱性、剛性、寸法安定性、および難燃性などを維持し、強度、低ガス性、摺動性に優れ、特に優れた衝撃強度、金属膜を形成するための表面平滑性を両立させたPPS樹脂組成物の提供を課題とするものである。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定組成の特定大きさの硫酸バリウムおよび特定の大きさの炭酸カルシウムまたはカオリンを配合したPPS樹脂組成物とすることにより上記問題点が解決されることを見出し、本発明に想到した。
すなわち、本発明は、
(1)(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、(B)ワラステナイト繊維5〜25重量部、(C)平均粒径2.5μm未満の硫酸バリウムを10〜250重量部、(D)平均粒径1μm〜15μmの炭酸カルシウムおよび平均粒径0.5μm〜15μmのカオリンから選択された一種以上の非繊維状無機充填材を0.1〜150部溶融混練してなるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物、
(2)(B)ワラステナイト繊維の平均繊維径が8μm以下である(1)記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物、
(3)ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の320℃、2時間での加熱減量が0.4重量%以下である(1)または(2)のいずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物、
(4)ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物のメルトフローレート(315.5℃、5分滞留、荷重2160g(オリフィス直径2.095mm、長さ8.00mm)の条件下でメルトインデクサーを用いて測定する)が15g/10分〜150g/10分である(1)〜(3)のいずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物、
(5)(C)硫酸バリウムが表面処理されたものである(1)〜(4)のいずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物、
(6)(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂の371℃、1時間での加熱減量が1.0重量%以下である(1)〜(5)のいずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物、
(7)成形品にした後、その表面に金属膜を形成して光反射部品に用いるための(1)〜(6)のいずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物である。
本発明は上述した従来のポリフェニレンスルフィド樹脂の優れた耐熱性、剛性、寸法安定性、および難燃性などを維持し、強度、低ガス性、摺動性に優れ、特に優れた金属膜を蒸着するための表面平滑性と衝撃強度を両立させたPPS樹脂組成物の提供を課題とするものである。
次に、本発明についてさらに具体的に説明する。
本発明で用いるPPS樹脂とは、下記構造式(I)で示される繰り返し単位を有する重合体であり、
Figure 0004747561
耐熱性の点から、好ましくは上記構造式で示される繰り返し単位を含む重合体を70モル%以上、より好ましくは90モル%以上含む重合体である。またPPSはその繰り返し単位の30モル%以下程度が、下記の構造を有する繰り返し単位等で構成されていてもよい。
Figure 0004747561
上記PPS樹脂は、特公昭45−3368号公報で代表される製造方法により得られる比較的分子量の小さな重合体を得る方法、或いは特公昭52−12240号公報や特開昭61−7332号公報に記載される比較的分子量の大きな重合体を得る方法などの公知の方法によって製造できる。
上記により得られたPPS樹脂は、そのまま使用してもよく、また空気中加熱による架橋/高分子量化、窒素などの不活性ガス雰囲気下或は減圧下での熱処理、また、有機溶媒、熱水、酸水溶液などによる洗浄を施した上で使用することも可能である。さらに、2種類以上の異なる分子量分布のものを混合して使用することも可能である。
本発明で用いられるPPS樹脂のMFRは、溶融混練が可能であれば特に制限はないが、315.5℃、5分滞留、荷重5000g(オリフィス直径2.095mm、長さ8.00mm)の条件下でメルトインデクサーを用いた測定値として10000g/10分以下であることが好ましく、5000g/10分以下であることがより好ましく、2000g/10分以下であることがさらに好ましい。下限としては特に制限はないが、溶融粘度の点から10g/10分以上であるのがよく、50g/10分以上であることがより好ましい。
本発明で用いられるPPS樹脂の371℃、1時間の加熱減量は1.0重量%以下であると発生ガス量が抑制できる点で好ましく、なかでも0.8重量%以下であることが好ましく、0.7重量%以下であるのがさらに好ましい。下限については低い方が好ましいが、通常0.05重量%以上で十分な効果が得られる。加熱減量は、PPS樹脂1gをアルミカップに入れ、150℃の雰囲気で1時間予備乾燥した後、重量を測定し、371℃の空気中で1時間処理し、再度重量を測定する。371℃の処理による重量の減量を処理前の重量で除してパーセント表示したのが加熱減量である。
上記特性を有するPPS樹脂を得るための製造方法としては、上記特性が得られる限り特に制限はないが、ポリマーは実質的に直鎖状で不純物が少ない未架橋の重合体を用い、所望の特性となるまで有機溶媒、熱水、酸水溶液などにより洗浄を施す方法が挙げられる。なかでもPPS樹脂の371℃、1時間の加熱減量が、0.5重量%以下まで洗浄を強化したものがより好ましい。
有機溶媒で洗浄する場合、用いる有機溶媒としてはPPSを分解する作用を有しないものであれば特に制限はない。例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホラスアミド、ピペラジノン類などの含窒素極性溶媒、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、スルホランなどのスルホキシド・スルホン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、ジメチルエ−テル、ジプロピルエ−テル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエ−テル系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、トリクロロエチレン、2塩化エチレン、パ−クロルエチレン、モノクロルエタン、ジクロルエタン、テトラクロルエタン、パ−クロルエタン、クロルベンゼンなどのハロゲン系溶媒、メタノ−ル、エタノ−ル、プロパノ−ル、ブタノ−ル、ペンタノ−ル、エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、フェノ−ル、クレゾ−ル、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ルなどのアルコ−ル・フェノ−ル系溶媒、及びベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒などが挙げられる。
洗浄温度についても特に制限はなく、通常、常温〜300℃程度が選択される。酸水溶液で洗浄する場合、用いる酸としてはPPSを分解する作用を有しないものであれば特に制限はなく、例えば、酢酸、塩酸、硫酸、リン酸、珪酸、炭酸及びプロピル酸などが挙げられる。また、酸無水物基、エポキシ基、イソシアネ−ト基などの官能基含有化合物による活性化などの種々の処理を施した上で使用することも可能である。
本発明では(B)繊維状充填材として、ワラステナイト繊維を用いる。
上記(B)の平均繊維径は、8μm以下であることが好ましく、7μm以下であることがより好ましい。下限に特に制限はなく、小さいほど好ましいが、通常0.1μm以上であれば十分効果を得ることができる。平均繊維径が8μmを超えると表面平滑性が低下する傾向にある。一般的に平均繊維径は、レーザー回折式粒度分布測定機を用いて常法に従って測定した径分布に基づき求められる体積基準平均繊維径である。しかし、繊維長Lと繊維径Dの比(L/D)が25以上と大きくレーザー回折式粒度分布測定に適さないウイスカなどの平均繊維径は電子走査顕微鏡を用いて常法にて測定した重量平均繊維径を用いる。また、純度については特に制限がない。
上記(B)のワラステナイト繊維のL/Dに特に制限はないが、3〜25であることが好ましく、4〜25であることがより好ましい。L/Dが大きくなるほど強度、剛性は高くなるが、繊維径が大きくかつL/Dが大きいと表面平滑性が低下するのでワラステナイトのように繊維径の大きなものを用いる場合はL/Dが3〜25程度が好ましい。
上記(B)繊維状充填材の配合量は(A)PPS樹脂100重量部に対して5〜25重量部であり、5〜15重量部であることが好ましい。25重量部を超えると表面平滑性が低下するため好ましくない。また、(B)繊維状充填材の添加効果を十分に得るためには10重量部以上であることがより好ましい。
上記(B)のワラステナイト繊維は本発明の効果を損なわない範囲において表面処理をすることが可能であり、その処理剤としては、表面処理剤、収束剤が挙げられ、具体的には、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、シラン系化合物、チタネート系化合物、ボラン処理等があげられる。
本発明で用いる(C)硫酸バリウムは重晶石を粉砕したバライト粉や化学反応で製造した沈降性硫酸バリウムどちらでもよいが、好ましくは沈降性硫酸バリウムを用いるのがよい。
上記(C)硫酸バリウムの平均粒径は2.5μm未満であり、好ましくは平均粒径は1.5μm以下であるのがよい。下限に特に制限はないが、通常0.1μm以上であれば十分効果を得ることができる。平均粒径が、2.5μmを超えると表面平滑性および衝撃強度がともに低下するので好ましくない。平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定機を用いて常法に従って測定した粒径分布に基づき求められる体積基準平均粒径である。また、純度については特に制限がない。
上記(C)の形状は、立方形、紡錘形、柱状形、針状形、球形、不定形であってもよいが、好ましくは不定形または球状がよい。
上記(C)の硫酸バリウムの配合量は(A)PPS樹脂100重量部に対して10〜250重量部であり、20〜210重量部であることが好ましい。10重量部未満では強度と表面平滑性のバランスが悪いため好ましくなく、250重量部を超えると、表面平滑性が低下するため好ましくない。
上記(C)の硫酸バリウムは表面処理されていることが好ましく、その処理剤としてはコーテイング剤、分散剤、改質剤などを挙げることができ、具体的には脂肪酸、ワックス、非イオン系界面活性剤、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、シラン系化合物、チタネート系化合物、リン系化合物、アルミナなどのアルミニウム塩、二酸化ケイ素などのケイ酸塩、二酸化チタンなどのチタニウム塩等が挙げられる。さらにこれらは2種以上を併用して使用することもできる。
本発明で用いる(D)成分は、炭酸カルシウム、カオリンから選択される。これらの非繊維状無機充填材は2種以上を併用して使用することもできる。炭酸カルシウムは、沈降および重質のいずれを用いてもよいが、重質炭酸カルシウムを用いるのが好ましい。カオリンとしては、焼成カオリン、非焼成カオリンなどがあるが焼成カオリンを用いるのが好ましい。
上記(D)炭酸カルシウムの平均粒径は1〜15μmであり、好ましくは1〜10μmがよい。平均粒径が1μm未満ではフィラーの分散が悪く、フィラー浮きが発生しやすくかつ衝撃強度が低下する。15μmを超えると表面平滑性が低下する。
カオリンの平均粒径は0.5〜15μmであり、好ましくは0.7〜10μmがよい。平均粒径が0.5μm未満では衝撃強度が低下する。15μmを超えると表面平滑性が低下する。
平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定機を用いて常法に従って測定した粒度分布に基づき求められる体積基準平均粒径である。また、純度については特に制限がない。
上記(D)非繊維状充填材の形状は、立方形、紡錘形、柱状形、球形、不定形であってもよいが、好ましくは不定形または球状がよい。
上記(D)非繊維状無機充填材は本発明の効果を損なわない範囲で表面処理されていてもよく、表面処理を施すための処理剤としては、表面改質剤、収束剤が挙げられ、具体的には、脂肪酸、ワックス、非イオン系界面活性剤、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、シラン系化合物、チタネート系化合物、リン系化合物、アルミナなどのアルミニウム塩、二酸化ケイ素などのケイ酸塩、二酸化チタンなどのチタニウム塩等があげられる。
上記(D)非繊維状無機充填材は(A)PPS樹脂100重量部に対して0.1〜150重量部であり、0.1〜100重量部であることが好ましく、更に好ましくは5〜80重量部であることが好ましい。150重量部を超えると、表面平滑性が低下する傾向にある。
本発明においては(A)PPS樹脂に(C)成分および(D)成分を配合し、さらに任意成分として(B)成分を配合するが、これら(B)〜(D)は平均粒径、平均繊維径が小さいほど一般に表面平滑性が良好になる。しかしながら、同程度の平均粒径、平均繊維径であっても(C)成分および(D)成分あるいはこれらと(B)成分以外のフィラーを用いても必ずしも均一に分散せず、フィラー浮きなどが発生しやすい傾向にある。本発明においては、PPS樹脂に配合する成分として、単に小さいだけでなく(A)PPS樹脂とのぬれ性が良好な成分を選択したことにより、表面平滑性、寸法精度に優れた組成物が得られるものと考えられる。また、(C)成分および(D)成分を併用することにより金属膜を表面に形成した場合に表面外観が優れ、特に金属膜を形成したものを熱処理した後の外観変化が小さいものが得られる。
本発明の樹脂組成物には、本発明における効果を損なわない範囲で他の熱可塑性樹脂を配合してもよい。具体例としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリアセタール樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリアリルサルフォン樹脂、ポリケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアリレート樹脂、液晶ポリマー、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリチオエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、四フッ化ポリエチレン樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリアミドエラストマ、ポリエステルエラストマ、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、SAN樹脂、アクリル樹脂、SBS、SEBS、各種エラストマー等等を、本発明の効果を損なわない範囲において配合することができる。さらにこれらは2種以上を併用して使用することもできる。
さらに、本発明の樹脂組成物には本発明の効果を損なわない範囲において、カーボンブラックを配合することが可能である。カーボンブラックとしては、C(炭素)が主成分であれば導電性付与用、着色剤用など何れの種類でも用いることができるが、好ましくは着色剤として用いるチャンネル型、ファーネス型がよい。また、カーボンブラックは、コンパウンド添加(押出混練時に原料に配合することにより添加する方法)、マスターバッチ添加(射出成形などの成形前にカーボンブラックマスターをブレンドすることにより添加する方法)、ドライカラー(樹脂組成物ペレットの表面にカーボンブラックをまぶすことにより添加する方法)のいずれの添加方法で使用してもよい。
さらに、本発明の樹脂組成物には本発明の効果を損なわない範囲において、イソシアネート系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などのカップリング剤、ポリアルキレンオキサイドオリゴマ系化合物、チオエーテル系化合物、エステル系化合物、有機リン系化合物などの可塑剤、無機微粒子、有機リン化合物、金属酸化物、ポリエーテルエーテルケトンなどの結晶核剤、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、モンタン酸ワックス類、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸アルミ等の金属石鹸、エチレンジアミン・ステアリン酸・セバシン酸重縮合物、シリコーン系化合物などの離型剤、次亜リン酸塩などの着色防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤等の酸化防止剤、耐候剤および紫外線防止剤(レゾルシノール系、サリシレート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系等)、熱安定剤、滑剤(モンタン酸及びその金属塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミド、各種ビスアミド、ビス尿素及びポリエチレンワックス等)、発泡剤、顔料(硫化カドミウム、フタロシアニン、カーボンブラック、メタリック顔料等)、染料(ニグロシン等)、帯電防止剤(アルキルサルフェート型アニオン系帯電防止剤、4級アンモニウム塩型カチオン系帯電防止剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートのような非イオン系帯電防止剤、ベタイン系両性帯電防止剤等)、難燃剤などの通常の添加剤を添加することができる。
本発明で用いられる樹脂組成物の調製方法は特に制限はないが、(A)、(C)、(D)成分及びその他必要に応じて添加される原料を溶融混練することにより得られる。具体的には原料の混合物を単軸あるいは2軸の押出機、バンバリ−ミキサ−、ニ−ダ−、ミキシングロ−ルなど通常公知の溶融混合機に供給して280〜450℃の温度で混練する方法などを例として挙げることができる。また、原料の混合順序にも特に制限はなく、全ての原材料を配合後上記の方法により溶融混練する方法、一部の原材料を配合後上記の方法により溶融混練しさらに残りの原材料を配合し溶融混練する方法、あるいは一部の原材料を配合後単軸あるいは二軸の押出機により溶融混練中にサイドフィーダーを用いて残りの原材料を混合する方法など、いずれの方法を用いてもよい。また、少量添加剤成分については、他の成分を上記の方法などで混練しペレット化した後、成形前に添加して成形に供することももちろん可能である。
本発明のPPS樹脂組成物は、320℃、2時間、空気中で加熱したときの加熱減量が0.4重量%以下であることが好ましく、0.3重量%以下であることが特に好ましい。このようなPPS樹脂組成物としては、加熱減量が少ないPPS樹脂をベースポリマーに(C)成分、(D)成分、その他任意の成分等をコンパウンドすることにより得ることができる。
本発明で得られるPPS樹脂組成物のMFRは、成形が可能であれば特に制限はないが、315.5℃、5分滞留、荷重2160g(オリフィス直径2.095mm、長さ8.00mm)の条件下でメルトインデクサーを用いた測定値として、強度の点から150g/10分以下であることが好ましく、100g/10分以下であることがより好ましい。下限としては流動性の点から15g/10分以上であるのがよく、25g/10分以上であることがより好ましく、30g/10分以上であることがさらに好ましい。PPS樹脂組成物のMFRは、主として用いるPPS樹脂のMFR、(B)〜(D)成分などの量に左右され、MFRの低いPPSを用いることにより、もしくは(B)〜(D)成分などの量が多くなることにより、MFRが下がる傾向にあるので、これらを適宜調整することにより、上記範囲を有するPPS樹脂組成物を得ることができる。
本発明の樹脂組成物は、射出成形、射出圧縮成形、二色成形、DSI成形など各種公知の射出成形法、押出し成形、ブロー成形により成形することが可能であり、なかでも射出成形により成形することが表面平滑性が優れる点で好ましい。
本発明の樹脂組成物は、強度、低ガス性、摺動性に優れ、特に表面平滑性と強度に優れていることから外観を要求される部品、特に外側に使用されるカバー部品、摺動部品、光反射用成形品に適している。例えば、フェンダーやドアなど自動車の外装部品、各種ギア、ピストン、ローラー、ガイドなどの摺動部品、二輪および四輪自動車のエンジンカバー、シリンダーヘッドカバーおよびその集積部品、電装品ケース、その他容器類などの成形品に好適であるだけでなく、その他の構造材料にも適している。具体的には、ノートパソコンのハウジング、プリンターのハウジングなどのOA機器部品、家庭電器機器のハウジング、カバー、インテークマニホールド、ドアミラーステイ、ホイールキャップ、リレーブロック、インヒビタースイッチ、コンビネションスイッチレバー、等の自動車内外装部品の用途がある。なかでも光反射用成形品、特に金属膜を成形品表面に形成した光反射用成形品に極めて適している。光反射用成形品を使用する製品としては、サーチライト、スポットライト、プロジェクター反射鏡、OHP反射鏡、自動車ヘッドランプリフレクター、フォグランプリフレクター、二輪ヘッドランプリフレクターなどが挙げられる。金属膜は成形品表面に直接形成しても改質剤を塗布した上に形成してもよいが、成形品表面に金属膜を直接形成して使用することが好ましい。金属膜の形成は、スパッタリング、真空蒸着、イオンプレーティングなどの方法により行うことが可能であるが、スパッタリングまたは真空蒸着が好ましい。
以下、実施例、比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。
実施例および比較例の中で述べられるMFR、加熱減量、中心線平均粗さ、衝撃強度、表面外観は各々次の方法に従って測定した。
[組成物のMFRの測定]
ペレットをメルトインデクサーを用いて315.5℃、5分滞留、荷重2160g(オリフィス直径2.095mm、長さ8.00mm)の条件下で測定した値。
[加熱減量の測定]
樹脂組成物のペレット10gをアルミカップに入れ、150℃の雰囲気で1時間予備乾燥する。ペレット重量を測定し、320℃の雰囲気で2時間処理後、再度ペレット重量を測定する。320℃の処理による重量の減量を処理前のペレットの重量で除してパーセント表示したのが加熱減量である。この加熱減量が少ない樹脂組成物ほど、低ガスと言え、表面曇りが少なくなる。
[表面粗さ(中心線平均粗さRa)の測定]
シリンダー温度320℃、金型温度150℃で、鏡面角板(70mm×100mm×3mm厚み、フィルムゲート)を成形した。鏡面角板の鏡面部分(金型鏡面粗度0.03s)の任意の10部分をミツトヨ(株)製の表面粗さ測定器にて、JISB0601に規定されている中心線平均粗さRaを測定し、平均したものである。35nm以下であるとアルミニウム等の金属を表面に被覆させて鏡面を形成する際、樹脂を成形後何も表面を処理せずに該金属を蒸着等により被覆させても、鏡面として実用できるレベル、30nm以下であると好ましいレベルといえる。上記数値が低いほど表面平滑性が優れていることになる。
[衝撃強度の測定]
シリンダー温度320℃、金型温度150℃にて、ASTMD256に準じた衝撃試験片(1/8インチ(3.2mm)幅、ノッチなし)を成形し、23℃の温度条件下で測定したものである。10kJ/m以上あれば実用上問題のない製品強度レベルといえるが、この値が高いほど靭性が優れ、好ましい。
[表面外観]
表面粗さ測定に用いた鏡面角板の外観を目視にて観察し、外観を判定した。判定は、◎:曇り、フィラー浮きなく良好、○:実用レベルであるが目立たない曇り、フィラー浮きあり、×:曇り、フィラー浮きあり実用レベルでない。
[金属蒸着外観]
表面外観を判定した鏡面角板にアルミニウムを直接真空蒸着した試験片の外観を観察した。判定は、◎:曇り、凹凸目立たなく良好、○:実用レベルの曇り、凹凸あり、×:曇り、凹凸大きく実用レベルでない。外観が良好なものほど製品特性の光反射性に優れている。
さらに、その試験片を180℃で2hr時間熱処理し、再度外観を観察した。その判定は前記と同じとした。
熱処理前後の外観変化がなく良外観であるものを◎とし、熱処理後に若干変化するが実用レベルのものを○とし、熱処理後の外観が実用レベルでないものを×とした。熱処理により熱処理前後の外観変化が小さいものほど実使用環境下での製品特性(光反射)の低下が小さく良好であり、製品寿命が長くなる。
[成形収縮率の測定]
表面粗さ測定に用いた鏡面角板(70×100×3mm厚み)のゲートから流れ方向および直角方向の各2箇所を測定し、成形収縮率を算出した。測定には、ニコン製万能投影機V−24Bを用いた。成形収縮率(%)は、((金型寸法−成形品寸法)/金型寸法)×100で算出した。成形成形収縮率が小さい程寸法安定性に優れており、さらに直角方向と流れ方向の成形収縮率の差が小さい程、金属膜蒸着成形品を熱処理した際の外観変化が小さく鏡面性に優れている。成形収縮率の値が1.0%以下、直角方向、流れ方向の差が0.15%以下であれば実用上問題ないレベルといえる。それらの値が小さいほど好ましい。
[参考例]
(PPS−1の製造)
攪拌機付きオートクレーブに硫化ナトリウム9水塩6.005kg(25モル)、酢酸ナトリウム0.205kg(2.5モル)およびN−メチル−2−ピロリドン(以下NMPと略す。)5kgを仕込み、窒素を通じながら徐々に205℃まで昇温し、水3.6リットルを留出した。次に反応容器を180℃に冷却後、1,4−ジクロロベンゼン3.719kg(25.3モル)ならびにNMP3.7kgを加えて、窒素下に密閉し、270℃まで昇温後、270℃で2.5時間反応した。冷却後、反応生成物を温水で5回洗浄し、次に100℃に加熱されNMP10kg中に投入して、約1時間攪拌し続けたのち、濾過し、さらに熱湯で数回洗浄した。これを90℃に加熱されたpH4の酢酸水溶液25リットル中に投入し、約1時間攪拌し続けたのち、濾過し、濾過のpHが7になるまで約90℃のイオン交換水で洗浄後、80℃で24時間減圧乾燥して、MFR600(g/10min)のPPS樹脂を得た。なお、MFRは、315.5℃、5分滞留、荷重5000g(オリフィス直径2.095mm、長さ8.00mm)の条件下でメルトインデクサーを用いて測定した。またPPS樹脂の加熱減量は、0.5重量%であった。なお、加熱減量は、PPS樹脂を1gをアルミカップに入れ、150℃の雰囲気で1時間予備乾燥した後、重量を測定し、371℃の空気中で1時間処理し、再度重量を測定した。371℃の処理による重量の減量を処理前の重量で除してパーセント表示して加熱減量とした。
(PPS−2の製造)
攪拌機付きオートクレーブに47%水流化ナトリウム水溶液2.98kg(25モル)、48%水酸化ナトリウム2.17kg(26モル)、酢酸ナトリウム656g(8モル)ならびにNMP5kgを仕込み、徐々に205℃まで昇温し、水2.7kgを含む抽出水2.8リットルを除去した。残留混合物に1,4−ジクロロベンゼン3.75kg(25.5モル)ならびにNMP2.5kgを加えて、270℃で1時間加熱した。反応生成物を温水で2回洗浄し、120℃で24時間減圧乾燥、後に230℃で16時間加熱処理してMFR120(g/10min)のPPS−2を得た。
なお、MFRは、315.5℃、5分滞留、荷重5000g(オリフィス直径2.095mm、長さ8.00mm)の条件下でメルトインデクサーを用いて測定した。またPPS樹脂の加熱減量は、0.5重量%であった。なお、加熱減量は、PPS樹脂を1gをアルミカップに入れ、150℃の雰囲気で1時間予備乾燥した後、重量を測定し、371℃の空気中で1時間処理し、再度重量を測定した。371℃の処理による重量の減量を処理前の重量で除してパーセント表示して加熱減量とした。
(PPS−3の製造)
攪拌機付きオートクレーブに水硫化ナトリウム水溶液4.67kg(25モル)、50%水酸化ナトリウム2.00kg(25モル)ならびにN−メチル−2−ピロリドン(以下NMPと略す。)8kgを仕込み、攪拌しながら徐々に205℃まで昇温し、水3.8kgを含む留出水4.1リットルを除去した。残留混合物に1,4−ジクロロベンゼン3.75kg(25.5モル)ならびにNMP2kgを加えて、230℃で1時間、更に260℃で30分加熱した。冷却後、反応生成物を温水で5回洗浄し、80℃で24時間減圧乾燥してMFR3000(g/10min)のPPS樹脂を得た。なお、MFRは、315.5℃、5分滞留、荷重5000g(オリフィス直径2.095mm、長さ8.00mm)の条件下でメルトインデクサーを用いて測定した。またPPS樹脂の加熱減量は、0.7重量%であった。なお、加熱減量は、PPS樹脂を1gをアルミカップに入れ、150℃の雰囲気で1時間予備乾燥した後、重量を測定し、371℃の空気中で1時間処理し、再度重量を測定した。371℃の処理による重量の減量を処理前の重量で除してパーセント表示して加熱減量とした。
(PPS−4の製造)
攪拌機付きオートクレーブに硫化ナトリウム9水塩6.005kg(25モル)、酢酸ナトリウム0.787kg(9.6モル)およびNMP5kgを仕込み、窒素を通じながら徐々に205℃まで昇温し、水3.6リットルを留出した。次に反応容器を180℃に冷却後、1,4−ジクロロベンゼン3.712kg(25.25モル)ならびにNMP2.4kgを加えて、窒素下に密閉し、270℃まで昇温後、270℃で2.5時間反応した。次に100℃に加熱されNMP10kg中に投入して、約1時間攪拌し続けたのち、濾過し、さらに80℃の熱水で30分の洗浄を3回繰り返した。これを濾過し、酢酸カルシウムを10.4g入れた水溶液25リットル中に投入し、密閉されたオートクレープ中で192℃で約1時間攪拌し続けたのち、濾過し、濾過のpHが7になるまで約90℃のイオン交換水で洗浄後、80℃で24時間減圧乾燥して、MFR100(g/10min)のPPS樹脂を得た。なお、MFRは、315.5℃、5分滞留、荷重5000g(オリフィス直径2.095mm、長さ8.00mm)の条件下でメルトインデクサーを用いて測定した。またPPS樹脂の加熱減量は、0.35重量%であった。なお、加熱減量は、PPS樹脂を1gをアルミカップに入れ、150℃の雰囲気で1時間予備乾燥した後、重量を測定し、371℃の空気中で1時間処理し、再度重量を測定した。371℃の処理による重量の減量を処理前の重量で除してパーセント表示して加熱減量とした。
[実施例および比較例で用いた配合材]
(繊維状充填材)
ワラステナイト繊維A:“FPW#800”平均繊維径4.6μm、L/D=3(キンセイマテック社製)
ワラステナイト繊維B:“NYGLOS 4”平均繊維径4.0μm、L/D=8(NYCO社製
ラス繊維:“T−717”平均繊維径13μm(日本電気硝子製)
なお、上記において、ワラステナイト繊維の平均繊維径はレーザー回折式の粒度分布測定機を用いて常法に従って測定した繊維径分布に基づき求めた体積基準平均繊維径である。チタン酸カリウム繊維およびガラス繊維の平均繊維径は電子走査顕微鏡を用いて常法にて測定した重量平均繊維径である。
(硫酸バリウム)
硫酸バリウムC1:“B−30”平均粒径0.3μm、沈降性硫酸バリウム、アルミナ−二酸化ケイ素表面処理品(堺化学製)
硫酸バリウムC2:“B−54”平均粒径1.2μm、沈降性硫酸バリウム、未処理品(堺化学製)
硫酸バリウムC3:“BMH−D”平均粒径3.5μm、沈降性硫酸バリウム、未処理品(堺化学製)
なお、上記において、平均粒径はレーザー回折式の粒度分布測定機を用いて常法に従って測定した粒径分布に基づき求めた体積基準平均粒径である。
(非繊維状無機充填材)
カオリンA:“ASP600” 平均粒径3.0μm(ENGELHARD社製)
カオリンB:“トランスリンク555” 平均粒径0.8μm(ENGELHARD社製)
重質炭酸カルシウム:“KS1300”平均粒径3.8μm(同和カルファイン製)
沈降炭酸カルシウム:“ブリリアント−1500”平均粒径0.2μm、(白石工業製)
タルク:“ミクロンホワイト5000A” 平均粒径6.7μm(林化成製)
なお、上記において、平均粒径はレーザー回折式の粒度分布測定機を用いて常法に従って測定した粒径分布に基づき求めた体積基準平均粒径である。
実施例1〜12、比較例1〜9
前述のようにして用意したPPS(A)、繊維状充填材(B)、硫酸バリウム(C)、非繊維状無機充填材(D)を表1〜表4に示す割合でドライブレンドした後、350℃の押出条件に設定したスクリュ−式二軸押出機により溶融混練後ペレタイズした。得られたペレットを乾燥後、射出成形機を用いて、シリンダ−温度320℃、金型温度150℃の条件で射出成形することにより、所定の特性評価用試験片を得た。得られた試験片およびペレットについて、前述した方法でMFR、加熱減量、中心線表面粗さ、衝撃強度、外観、金属蒸着外観を測定した。その結果を表1〜表4に示す。
ここで得られた樹脂組成物および成形体は、表面平滑性、靭性を有しており実用性の高いものであった。また、表面平滑性が向上していることから摺動性も向上しているものと考えられる。表面平滑性は、アルミニウムを表面に被覆させて鏡面を形成する際、樹脂を成形後何も表面を処理せずに該金属を真空蒸着により被覆させても、鏡面として実用できるレベルのものであった。また、蒸着成形品を熱処理しても外観の変化が小さく実用性の高いものであった。
比較例10
充填材として平均粒径0.3μmの硫酸バリウムのみを用いて、実施例と同様にして、表4に示す割合でドライブレンドした後、溶融混練、ペレタイズ、成形、評価を行った。その結果を表4に示す。
充填材として硫酸バリウムのみを300重量部配合した場合、衝撃強度が低くかつ外観が悪く実用レベルではなかった。
比較例11
充填材として平均粒径3.5μmの硫酸バリウムと平均粒径3.8μmの重質炭酸カルシウムを用いて、実施例と同様にして、表4に示す割合でドライブレンドした後、溶融混練、ペレタイズ、成形、評価を行った。その結果を表4に示す。
充填材として平均粒径3.5μmの硫酸バリウムを用いた場合、表面粗さおよび外観が悪く実用レベルではなかった。
比較例12
充填材として平均粒径1.2μmの硫酸バリウムおよび平均繊維径13μmのガラス繊維を用いて、実施例と同様にして、表4に示す割合でドライブレンドした後、溶融混練、ペレタイズ、成形、評価を行った。その結果を表4に示す。
充填材として(D)成分を配合せず、(C)成分およびガラス繊維を配合した場合、表面粗さが悪く、成形収縮率の差が大きく実用レベルではなかった。
比較例13
充填材として平均粒径3.8μmの炭酸カルシウムを用いて、実施例と同様にして、表4に示す割合でドライブレンドした後、溶融混練、ペレタイズ、成形、評価を行った。その結果を表4に示す。
充填材として硫酸バリウムの代わりに炭酸カルシウムを用いた場合、表面粗さが悪く衝撃強度にも劣り実用レベルではなかった。
比較例14
充填材として平均粒径0.3μmの硫酸バリウム、繊維径4.6μmのワラステナイトおよび平均粒径0.8μmのカオリンを用いて、実施例と同様にして、表5に示す割合でドライブレンドした後、溶融混練、ペレタイズ、成形、評価を行った。その結果を表5に示す。
硫酸バリウムを300重量部を用いた場合、加熱減量が大きく、衝撃強度にも劣り実用レベルではなかった。
比較例15
PPS−3に充填材として平均粒径1.2μmの硫酸バリウムを用いて、実施例と同様にして、表5に示す割合でドライブレンドした後、溶融混練、ペレタイズ、成形、評価を行った。その結果を表5に示す。
PPS−3と充填材として硫酸バリウムのみを配合した場合、衝撃強度が低く、かつ金属蒸着後に熱処理した表面に曇りが発生し外観が悪く実用レベルではなかった。
比較例16
充填材として平均粒径1.2μmの硫酸バリウムおよび平均繊維径4.6μmのワラステナイトAを用いて、実施例と同様にして、表5に示す割合でドライブレンドした後、溶融混練、ペレタイズ、成形、評価を行った。その結果を表5に示す。
充填材としてワラステナイト繊維の量が多すぎる場合、表面粗さが悪く表面平滑性、鏡面性が劣り実用レベルではなかった。
比較例17
充填材として平均粒径0.3μmの硫酸バリウムのみを用いて、実施例と同様にして、表5に示す割合でドライブレンドした後、溶融混練、ペレタイズ、成形、評価を行った。その結果を表5に示す。
硫酸バリウムのみの場合、表面粗さ、外観は良好であるが、衝撃強度が低く、製品として実用レベルではなかった。
比較例18
充填材として平均粒径1.2μmの硫酸バリウム、繊維径4.0μmのワラステナイト繊維および平均粒径0.2μmの沈降炭酸カルシウムを用いて、実施例と同様にして、表5に示す割合でドライブレンドした後、溶融混練、ペレタイズ、成形、評価を行った。その結果を表5に示す。
平均粒径0.2μmの沈降炭酸カルシウムを用いた場合、フィラー浮きが発生し外観が劣り実用レベルではなかった。
比較例19
充填材として平均粒径1.2μmの硫酸バリウムおよび平均粒径0.2μmの沈降炭酸カルシウムを用いて、実施例と同様にして、表5に示す割合でドライブレンドした後、溶融混練、ペレタイズ、成形、評価を行った。その結果を表5に示す。
平均粒径0.2μmの沈降炭酸カルシウムを用いた場合、衝撃強度が低く、フィラー浮が発生し外観が劣り実用レベルではなかった。
比較例20
充填材として平均粒径1.2μmの硫酸バリウム、繊維径4.0μmのワラステナイトおよび平均粒径6.7μmのタルクを用いて、実施例と同様にして、表5に示す割合でドライブレンドした後、溶融混練、ペレタイズ、成形、評価を行った。その結果を表5に示す。
充填材として(D)成分のかわりにタルクを用いた場合、表面粗さが劣りフィラー浮きが発生し外観が悪く実用レベルではなかった。
Figure 0004747561
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Claims (7)

  1. (A)ポリフェニレンスルフィド樹脂100重量部に対し、(B)ワラステナイト繊維5〜25重量部、(C)平均粒径2.5μm未満の硫酸バリウムを10〜250重量部、(D)平均粒径1μm〜15μmの炭酸カルシウムおよび平均粒径0.5μm〜15μmのカオリンから選択された一種以上の非繊維状無機充填材を0.1〜150部溶融混練してなるポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  2. (B)ワラステナイト繊維の平均繊維径が8μm以下である請求項1記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  3. ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物の320℃、2時間での加熱減量が0.4重量%以下である請求項1または2のいずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  4. ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物のメルトフローレート(315.5℃、5分滞留、荷重2160g(オリフィス直径2.095mm、長さ8.00mm)の条件下でメルトインデクサーを用いて測定する)が15g/10分〜150g/10分である請求項1〜3のいずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  5. (C)硫酸バリウムが表面処理されたものである請求項1〜4のいずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  6. (A)ポリフェニレンスルフィド樹脂の371℃、1時間での加熱減量が1.0重量%以下である請求項1〜5のいずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
  7. 成形品にした後、その表面に金属膜を形成して光反射部品に用いるための請求項1〜6のいずれか記載のポリフェニレンスルフィド樹脂組成物。
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