JP2006176630A - ポリカーボネート樹脂組成物、それを用いた成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】 良好な難燃性を発揮し、同時に優れた光反射特性を発揮する成形品が得られるポリカーボネート樹脂組成物、およびこの樹脂組成物から得られる光反射板またはそのフレーム材などの成形品を提供する。
【解決手段】 第一発明では、(a)芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、(b)ガラスフィラー1〜150重量部、(c)酸化チタン3〜50重量部、および、(d)特定の一般式で表わされるパーフルオロアルカンジスルホンイミド化合物のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも1種の難燃剤0.01〜5重量部を、配合してなることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物を提供し、第二発明ではこの樹脂組成物から製造された成形品を提供する。
【選択図】 なし
【解決手段】 第一発明では、(a)芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、(b)ガラスフィラー1〜150重量部、(c)酸化チタン3〜50重量部、および、(d)特定の一般式で表わされるパーフルオロアルカンジスルホンイミド化合物のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも1種の難燃剤0.01〜5重量部を、配合してなることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物を提供し、第二発明ではこの樹脂組成物から製造された成形品を提供する。
【選択図】 なし
Description
本発明は、ポリカーボネート樹脂組成物、およびそれを用いた成形品に関する。さらに詳しくは、ハロゲン類や燐などを有する難燃剤を配合しなくても良好な難燃性を発揮し、同時に優れた光反射特性を発揮する成形品が得られるポリカーボネート樹脂組成物、およびこの樹脂組成物から得られる光線反射板またはそのフレーム材などの成形品に関する。
ポリカーボネート樹脂は、優れた機械的特性を有しているので、自動車分野、OA機器分野、電気・電子分野などで広く利用されている。近年、TFTをはじめとするコンピューターの表示装置、またはテレビジョンなどでは、液晶表示装置のバックライト、照光式プッシュスイッチ、光電スイッチの光反射板など、高度の光反射特性が要求される表示装置が一般的になりつつある。光反射板製造用材料として、ポリカーボネート樹脂に酸化チタンなどの白色顔料を添加した樹脂組成物が、種々提案されている。
例えば、基体樹脂としてのポリカーボネート樹脂に、特定の物質で処理された酸化チタン、特定の珪素化合物、および特定の有機リン酸ジエステルと、特定の有機リン酸ジエステルのアルカリ金属塩との混合物などを配合し、光線反射特性の優れた成形品が得られる難燃性ポリカーボネート樹脂組成物が提案されている(特許文献1参照。)しかしながら、本発明者らの実験によれば、この公報に記載の樹脂組成物から得られる成形品の外観は、黄色味を帯び、しかも光線反射率が低く、光線反射特性は十分とはいえなかった。
近年、安全性の面から、電気部品製造用に使用される樹脂材料には、難燃性が要求されており、UL規格で規定されるような高度の難燃性と、燃焼物の滴下を生じないことなどが要求されている。従来、ポリカーボネート樹脂を難燃化するには、主として臭素系化合物、または臭素系化合物に三酸化アンチモンとを組合せた難燃剤が使用されている。しかしこのような樹脂組成物は、燃焼時に発生する臭素ガスによる環境汚染、作業環境汚染の問題、および臭素系化合物を添加したものは熱安定性が若干劣るなどの問題があるため、臭素などのハロゲンを含まない非ハロゲン系化合物による難燃化技術が希求されている。非ハロゲン系の難燃剤としては、リン酸エステル系化合物が知られている。しかし、リン酸エステル系化合物を配合すると、ポリカーボネート樹脂の優れた特性である機械的強度や、荷重たわみ温度などの耐熱性を低下させる欠点があり、また環境汚染の問題を完全に解消するものでもない。
特許文献2には、ポリカーボネート樹脂に酸化チタンおよび特定構造のリン酸エステル系難燃剤を配合した組成物が、酸化チタンとリン酸エステル系難燃剤との相乗効果により、少量の難燃剤を配合することにより優れた難燃効果を発揮し、機械的強度や耐熱性の低下が少なく、光線反射板製造用原料として好適であると記載されている。一方、バックライト液晶のフレームなどでは、近年、薄肉化、軽量化される傾向があり、非臭素系の難燃剤を用い、耐熱性の低下がなく光反射特性に優れ、かつ、強度および剛性に優れた樹脂材料が希求されている。ポリカーボネート樹脂の剛性を向上させるために、ガラス繊維などの無機質充填材を配合する方法が知られているが、無機質充填材を配合した樹脂組成物では、特許文献2に記載されている程度の量の酸化チタンとリン酸エステル系化合物を配合しても、充分に難燃化された成形品を得ることはできず、難燃性を向上させる目的で難燃化剤の量を増やすと、成形品の機械的強度や耐熱性が低下する。
特許文献3には、ペルフルオロジスルフォン酸化合物のアルカリ金属塩、またはアルカリ土類金属塩を配合した難燃性樹脂組成物が開示されている。
特開平6−207092号公報
特開平10−1600号公報
特開2003−246986号公報
本発明の目的は、次のとおりである。
1.難燃剤として環境汚染、作業環境の汚染の問題や、性能劣化の原因となる臭素系化合物を使用しなくても優れた難燃性を発揮する、ポリカーボネート樹脂組成物を提供すること。
2.成形性などに優れ、剛性などの機械的強度、遮光性、光反射特性、表面外観、寸法安定性などの諸特性に優れた成形品が得られる、ポリカーボネート樹脂組成物を提供すること。
3.薄肉化、軽量化が要求される成形品、例えば、照明装置、液晶表示バックライト反射板、光学スイッチ反射板、またはそれらのフレーム材などの製造用に適した、ポリカーボネート樹脂組成物を提供すること。
4.薄肉化、軽量化された照明装置、液晶表示バックライト反射板、光学スイッチ反射板、またはそれらのフレーム材など光反射特性に優れた成形品を提供すること。
1.難燃剤として環境汚染、作業環境の汚染の問題や、性能劣化の原因となる臭素系化合物を使用しなくても優れた難燃性を発揮する、ポリカーボネート樹脂組成物を提供すること。
2.成形性などに優れ、剛性などの機械的強度、遮光性、光反射特性、表面外観、寸法安定性などの諸特性に優れた成形品が得られる、ポリカーボネート樹脂組成物を提供すること。
3.薄肉化、軽量化が要求される成形品、例えば、照明装置、液晶表示バックライト反射板、光学スイッチ反射板、またはそれらのフレーム材などの製造用に適した、ポリカーボネート樹脂組成物を提供すること。
4.薄肉化、軽量化された照明装置、液晶表示バックライト反射板、光学スイッチ反射板、またはそれらのフレーム材など光反射特性に優れた成形品を提供すること。
本発明は、上記課題を解決するため、第一発明では、(a)芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、(b)ガラスフィラー1〜150重量部、(c)酸化チタン3〜50重量部、および、(d)下記一般式(I)またはい一般式(II)で示されるパーフルオロアルカンジスルホンイミド化合物のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩から選ばれる少なくとも1種の難燃剤0.01〜5重量部を、配合してなることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物を提供する。
第二発明では、上記第一発明に係るポリカーボネート樹脂組成物を原料として製造されたものであることを特徴とする、成形品を提供する。
本発明は、以下に詳細に説明するとおりであり、次のような特別に有利な効果を奏し、その産業上の利用価値は極めて大である。1.本発明に係るポリカーボネート樹脂組成物は、非臭素系化合物によって難燃化した、優れた難燃性を発揮するポリカーボネート樹脂組成物である。2.本発明に係るポリカーボネート樹脂組成物は、臭素系難燃剤やリン系難燃剤を使用しなくても優れた難燃性を発揮するので、環境汚染や作業環境汚染の問題が生起しない。3.本発明に係るポリカーボネート樹脂組成物は、難燃性のみならず、成形性などに優れ、剛性などの機械的強度、遮光性、光反射特性、表面外観、寸法安定性などの諸特性に優れた成形品が得られる4.本発明に係るポリカーボネート樹脂組成物は、照明装置、液晶表示バックライト反射板、光学スイッチ反射板、またはそれらのフレーム材などの薄肉化、軽量化の要求される成形品製造用原料として好適である。5.本発明に係るポリカーボネート樹脂組成物を成形材料とした成形品は、薄肉、軽量でありながら、優れた機械的強度、遮光性、光反射特性、寸法安定性を発揮する。
以下、本発明を詳細に説明する。 本発明に係る樹脂組成物において、基体樹脂としての(a)芳香族ポリカーボネート樹脂(単にポリカーボネート樹脂と記すことがある。)は、芳香族ヒドロキシ化合物、またはこれと少量のポリヒドロキシ化合物と、ホスゲンまたは炭酸ジエステルなどとを反応させることによって得られる、分岐していてもよい熱可塑性芳香族ポリカーボネート重合体、または共重合体をいう。ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、従来から知られている方法、例えば、ホスゲン法(界面重合法)または溶融法(エステル交換法)などによって製造することができる。さらに溶融法で製造された、末端のOH基量を調整した芳香族ポリカーボネート樹脂であってもよい。
原料の芳香族ジヒドロキシ化合物は、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4−ジヒドロキシジフェニルなどが挙げられる。中でも好ましいのは、ビスフェノールAである。さらに、本発明の目的でもある難燃性を一層向上させる目的で、上記の芳香族ジヒドロキシ化合物に、スルホン酸テトラアルキルホスホニウムを1個以上結合させた化合物であってもよい。
分岐したポリカーボネート樹脂を得るには、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−3、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどのポリヒドロキシ化合物、または、3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール(=イサチンビスフェノール)、5−クロルイサチン、5,7−ジクロルイサチン、5−ブロムイサチンなどを、前記芳香族ジヒドロキシ化合物の一部に代えて使用すればよい。その際の使用量は、総芳香族ジヒドロキシ化合物のうちの0.01〜10モル%であり、好ましくは0.1〜2モル%である。
ポリカーボネート樹脂は、好ましくは、2,2ービス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから誘導されるポリカーボネート樹脂、または、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンと、他の芳香族ジヒドロキシ化合物とから誘導されるポリカーボネート共重合体が挙げられ、さらに、シロキサン構造を有するポリマーまたはオリゴマーを共重合させたものなどが挙げられる。基体のポリカーボネート樹脂は、これらのうち組成の異なる二種以上の樹脂の混合物であってもよい。
ポリカーボネート樹脂の分子量を調節するには、一価芳香族ヒドロキシ化合物を使用すればよい。一価芳香族ヒドロキシ化合物としては、m−またはp−メチルフェノール、m−またはp−プロピルフェノール、p−t−ブチルフェノール、およびp−長鎖アルキル置換フェノールなどが挙げられる。ポリカーボネート樹脂の分子量は、メチレンクロライドを溶媒とし、温度25℃で測定した溶液粘度より換算した粘度平均分子量で、16,000〜30,000が好ましく、より好ましくは17,000〜25,000である。
本発明に係る樹脂組成物において(b)ガラスフィラーは、ポリカーボネート樹脂組成物から得られる成形品の剛性、寸法安定性などを向上させる。(b)ガラスフィラーとしては、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズが挙げられ、これらは一種または二種以上を併用することができる。ガラスフィラーの配合量は、基体のポリカーボネート樹脂100重量部に対し、1〜150重量部の範囲で選ぶものとする。ガラスフィラーの配合量が1重量部未満では、補強効果が不十分であり、150重量部を越えると成形性、難燃性に難が生じるので、いずれも好ましくない。好ましいガラスフィラーの配合量は5〜120重量部であり、中でも好ましいのは9〜100重量部である。
ガラスフィラーは、Aガラス、Cガラス、Eガラスなどのガラス組成からなり、特に、Eガラス(無アルカリガラス)がポリカーボネート樹脂に悪影響を及ぼさないので好ましい。ガラス繊維とは、長さ方向に直角に切断した断面形状が真円状、多角形状で繊維状外嵌を呈するものをいう。ガラス繊維は、単繊維の平均繊維径が1〜25μm、好ましくは5〜17μmである。平均繊維系が1μm未満であると、樹脂組成物の成形加工性が損なわれ、平均繊維系が25μmを超えると、成形品の外観が損なわれ、補強効果も十分ではない。ガラス繊維は、単繊維または単繊維を複数本撚り合わせたものであってもよい。ガラス繊維の形態は、単繊維や複数本撚り合わせたものを連続的に巻き取った「ガラスロービング」、長さ1〜10mmに切りそろえた「チョップドストランド」、長さ10〜500μm程度に粉砕した「ミルドファイバー」などのいずれであってもよい。かかるガラス繊維としては、旭ファイバーグラス社より、「グラスロンチョップドストランド」や「グラスロンミルドファイバー」の商品名で市販されており、容易に入手可能である。ガラス繊維は、形態が異なるものを併用することもできる。
ガラスビーズとは、外径10〜100μmの球状のものであり、例えば、ポッターズ・バロティーニ社より、商品名「EGB731」として市販されており、容易に入手可能である。また、ガラスフレークとは、厚さ1〜20μm、一辺の長さが0.05〜1mmの燐片状のものであり、例えば、日本板硝子社より、「フレカ」の商品名で市販されており、容易に入手可能である。これら(a)ガラスフィラーは、本発明に係る樹脂組成物の特性を損なわない限り、基体樹脂との親和性を向上させるために、例えばシラン系化合物、エポキシ系化合物、ウレタン系化合物などで表面処理したもの、酸化処理したものであってもよい。
本発明に係る樹脂組成物において(c)酸化チタンは、ポリカーボネート樹脂組成物から得られる成形品の白色度、遮光性、光反射特性を向上させるように機能する。酸化チタンの製造方法、結晶形態および平均粒径などは、特に限定されるものではない。酸化チタンは、硫酸法、塩素法いずれの方法で製造されたものでもよい。中でも、塩素法で製造された酸化チタンが好ましい。塩素法で製造された酸化チタンは、硫酸法で製造された酸化チタンに比べて、白度の点で優れている。酸化チタンの結晶形態としては、ルチル型とアナターゼ型があるが、ルチル型の酸化チタンが好ましく、アナターゼ型の酸化チタンに比べ、白度、光反射特性および耐候性の点で優れている。また、酸化チタンの粒子径は、0.05〜0.5μmのものが好ましい。粒子径が0.05μm未満であると遮光性および光反射特性が劣る傾向があり、0.5μmを越えると、遮光性および光反射特性が劣ると共に、成形品表面に肌荒れを起こしやすく、また衝撃強度低下の原因になりやすい。酸化チタンの粒子径は、より好ましくは0.15〜0.35μmである。
市販されている酸化チタンは、耐光性や取り扱い易さの観点から、通常アルミナ、シリカ、ジルコニアなどの含水化合物である無機系化合物により表面処理が行われており、その表面処理量は一般的に2〜5重量%である。しかしながら、表面処理量が増えると、特に酸化チタン中のシリカ成分の量が増加すると、無機系化合物による表面処理層に含まれる吸着水により、樹脂組成物から得られる成形品の外観不良、または、燃焼時のドリッピングなどの不具合を生じる。これらの不具合は酸化チタンの無機系化合物による表面処理量を少なくするか、または処理しないことによって改良することができる。したがって酸化チタンの無機系化合物による表面処理としては、アルミナ、ジルコニアなどによる処理が好ましく、シリカを他の無機物と併用したとしても、処理量が少ないことが好ましい。無機系化合物による表面処理量としては4重量%以下が好ましく、より好ましいのは3重量%以下であり、とりわけ好ましいのは2.5重量%以下であり、無機系化合物による表面処理を行わない酸化チタンが最も好ましい。無機系化合物による表面処理量が少なくなると、滞留熱安定性や外観が改良される。無機系化合物による表面処理を行う場合には、処理の方法などは特に限定されるものではなく、任意の方法によることができる。
酸化チタンは、熱安定性の向上、基体樹脂のポリカーボネートの樹脂組成物中での均一分散性、および分散状態の安定性向上の目的で、有機化合物によって表面処理をしたものが好ましい。有機化合物の表面処理剤としては、アルコキシ基、エポキシ基、アミノ基、または、Si−H結合を有する有機シラン化合物、または有機シリコーン化合物などが挙げられる。特に好ましいのは、ハイドロジェンポリシロキサン(Si−H結合を有するシリコーン化合物)である。有機化合物による表面処理量は、酸化チタンに対して1〜5重量%、好ましくは1.5〜3重量%である。
酸化チタンの配合量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、3〜50重量部の範囲で選ぶものとする。酸化チタン配合量が3重量部未満では、本発明に係る樹脂組成物から選られる成形品の光反射特性が不十分になり易く、50重量部を超えると衝撃性が不十分になり、成形品外観に悪影響を及ぼすおそれがあり、いずれも好ましくない。好ましい酸化チタン配合量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して4〜30重量部であり、さらに好ましいのは5〜20重量部である。なお、酸化チタン配合量は、酸化チタンが、無機物で前処理されていたり、有機化合物で表面処理されていたりしている場合は、これら処理剤も含めた重量を意味する。
本発明に係る樹脂組成物における(d)パーフルオロアルカンジスルホンイミド化合物の金属塩は、樹脂組成物の難燃性を向上させるように機能する。(d)パーフルオロアルカン
ジスルホンイミド化合物の金属塩としては、次の一般式(I)または一般式(II)で示されるような環状構造を有するものをいう。
ジスルホンイミド化合物の金属塩としては、次の一般式(I)または一般式(II)で示されるような環状構造を有するものをいう。
一般式(I)および一般式(II)において、Mで示されるアルカリ金属、アルカリ土類金属としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムおよびバリウムなどが挙げられる。
一般式(I)で示される化合物の具体例としては、ビス(パーフルオロエタン)ジスルホンイミド、ビス(パーフルオロプロパン)ジスルホンイミド、ビス(パーフルオロブタン)ジスルホンイミド、ビス(パーフルオロペンタン)ジスルホンイミド、ビス(パーフルオロヘキサン)ジスルホンイミドなどの塩が挙げられる。これらの中では、ビス(パーフルオロプロパン)ジスルホンイミド、ビス(パーフルオロブタン)ジスルホンイミドの塩が、ポリカーボネート樹脂との相溶性および難燃性付与の観点からより好ましい。
一般式(II)で示される化合物の具体例としては、環状パーフルオロエタンジスルホンイミド、環状1,3−パーフルオロプロパンジスルホンイミド、環状1,4−パーフルオロブタンジスルホンイミド、環状1,5−パーフルオロペンタンジスルホンイミドなどの塩が挙げられる。これらの中では、環状1,3−パーフルオロプロパンジスルホンイミドの塩が、ポリカーボネート樹脂との相溶性および難燃性付与の観点からより好ましい。
パーフルオロアルカンジスルホンイミドの金属塩の配合量は、基体のポリカーボネート樹脂100重量部に対し、0.01〜5重量部の範囲で選ぶものとする。パーフルオロアルカンジスルホンイミド塩の配合量が0.01重量部未満であると、樹脂組成物は充分な難燃性を発揮しにくく、5重量部を超えると樹脂組成物の熱安定性が低下しやすく、いずれも好ましくない。パーフルオロアルカンジスルホンイミド塩の好ましい配合量は、0.02〜3重量部であり、より好ましいのは0.03〜2重量部である。
本発明に係る樹脂組成物は、所定量の(a)芳香族ポリカーボネート樹脂に対して、(b)ガラスフィラー、(c)酸化チタン、および、(d)パーフルオロアルカンジスルホンイミドの金属塩を配合した組成物であり、難燃性、剛性などの強度、遮光性、寸法安定性などに優れている。しかし、ガラスフィラーが成形品表面に浮き出すという強化樹脂材料特有の外観不良が生じやすい。このような外観不良を抑える目的で、上記四成分を含む組成物に、さらに(e)芳香族ポリカーボネートオリゴマーを配合するのが好ましい。(e)芳香族ポリカーボネートオリゴマーとしては、下記一般式(III)で示される繰り返し単位を有し、粘度平均分子量が1,000〜10,000のものが好ましい。分子量が1,000未満では機械的強度が低下し、10,000を超えると外観の改良効果が小さい。オリゴマーの粘度平均分子量は、2,000〜8,000のものがより好ましい。
上記(e)芳香族ポリカーボネートオリゴマーは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパンに代表される芳香族二価フェノール系化合物と、ホスゲンに代表されるカーボネート前駆体との反応や、芳香族二価フェノールとジフェニルカーボネートなどとのエステル交換反応によって得られる。芳香族二価フェノール系化合物は、一種でも二種以上の混合物であってもよい。
上記(e)芳香族ポリカーボネートオリゴマーの重合度を調整するには、ホスゲンを用いる界面重合法では、フェノールおよび/またはアルキル置換フェノールを重合系に添加して、末端封止すればよい。芳香族ポリカーボネートオリゴマーの配合量は、配合する(b)ガラスフィラーの種類や物性により異なるが、配合量が50重量部を超えると、強度や耐熱性が低下するので、基体のポリカーボネート樹脂100重量部に対し、1〜50重量部で選ぶのが好ましい。中でも、2〜30重量部が好ましく、とりわけ4〜20重量部が好ましい。
本発明に係る樹脂組成物には、滴下防止性を付与する目的で、(f)フッ化ポリオレフィンを配合するのが好ましい。フッ化ポリオレフィンとしては、ポリオレフィンの水素原子の総て、または大部分がフッ素原子に置換された構造の重合体をいう。具体的には、ポリテトラフルオロエチレン、四フッ化エチレンと六フッ化プロピレンとの共重合体などが挙げられ、中でも好ましいのはポリテトラフルオロエチレンである。ポリテトラフルオロエチレンとしては、例えば、フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン、すなわち、重合体同士を結合して繊維状構造を形成する傾向を示すポリテトラフルオロエチレンが挙げられる。フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンは、ASTM規格でタイプ3に分類され、燃焼時の滴下を防止する。フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンとしては、例えば、三井・デュポンフロロケミカル社より、テフロン(R)6Jまたはテフロン(R)30Jとして、または、ダイキン化学工業社よりポリフロンとして市販されている。
フッ化ポリオレフィンの配合量は、基体のポリカーボネート樹脂100重量部に対し、0.01〜5重量部の範囲が好ましい。フッ化ポリオレフィンの配合量が0.01重量部未満であると、滴下防止効果が低く難燃性が不十分となる傾向があり、5重量部を超えると押出し性、成形性が損なわれる傾向がある。フッ化ポリオレフィンの好ましい配合量は0.02〜3重量部であり、より好ましいのは0.05〜2重量部である。
本発明に係る樹脂組成物には、特に優れた耐熱安定性が要求される場合には、(g)リン系熱安定剤を配合するのが好ましい。リン系熱安定剤としては、従来から知られているものが制限なしに使用できる。例えば、旭電化社よりPEP−36、2112との商品名で販売されているフォスファイト系の安定剤、AX−71との商品名で販売されているフォスフェート系の安定剤や、リン酸系の安定剤が挙げられる。
リン系熱安定剤の配合量は、(a)芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、0.01〜2重量部が好ましい。リン系熱安定剤が0.01重量部未満では耐熱安定性の改良効果が充分ではなく、2重量部を超えるとガスの発生などが顕著になり好ましくない。上記配合量内で好ましいのは0.02〜1.5重量部であり、とりわけ好ましいのは0.02〜1重量部である。このような少量の配合では、難燃剤として用いられるリン系化合物に起因する機械的強度低下のおそれはない。
本発明に係る樹脂組成物には、さらに(h)蛍光増白剤および/または(i)紫外線吸収剤を配合するのが好ましい。蛍光増白剤は、本発明に係る樹脂組成物から得られる成形品の黄色味を目立たなくし、明るさを増加させるように機能する顔料または染料であり、成形品を明るく視認させることができる。成形品の黄色味を目立たなくするという点では、機能が青色着色剤と類似しているが、青色着色剤は、単に成形品の黄色光を目立たなくするのに対し、蛍光増白剤は紫外線を吸収し、そのエネルギーを可視部の青紫色の光線に変えて放射する点で異なっている。
上記(h)蛍光増白剤としては、クマリン系化合物、ナフトトリアゾリルスチルベン系化合物、ベンズオキサゾール系化合物、ジアミノスチルベン−ジスルホネート系化合物が挙げられる。具体的には、ハッコールケミカル社の「ハッコール PSR」、ヘキストAG社の「Hostalux KCB」、住友化学社の「Whiteflour PSNCONC」などの市販品が挙げられる。
蛍光増白剤の配合量は、基体のポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.005〜0.1重量部の範囲とするのが好ましい。蛍光増白剤の配合量が0.005重量部未満では、成形品の黄色味を目立たなくし、明るさを増加させるという機能が充分に発揮されず、0.1重量部を越えると、他の着色剤を使用する場合の調色性が劣るので、何れも好ましくない。上記範囲内で好ましい配合量は、0.01〜0.05重量部である。
上記(i)紫外線吸収剤は、紫外線の作用に起因する成形品の劣化を改良する。具体的には、成形品は太陽光や蛍光灯の光線下に長時間曝すことによって黄色味を帯びるようになるが、紫外線吸収剤を配合することによって、成形品が黄色味を帯びる時期を大幅に遅らせることができる。紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸フェニル系、ヒンダードアミン系などが挙げられる。ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の具体例としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジターシャリブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−ターシャリブチル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。サリチル酸フェニル系紫外線吸収剤の具体例としては、例えば、フェニルサルチレート、2,4−ジターシャリブチルフェニル−3,5−ジターシャリブチル−4−ヒドロキシベンゾエートなどが挙げられる。ヒンダードアミン系紫外線吸収剤の具体例としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケートなどが挙げられる。
紫外線吸収剤には、上記4種類の化合物類の外に、紫外線の保有するエネルギーを、分子内で振動エネルギーに変換し、その振動エネルギーを熱エネルギーなどとして放出する機能を有する化合物が含まれる。さらに、酸化防止剤または着色剤などと併用することによって、相乗効果を発揮する化合物、クエンチャーと呼ばれる、光エネルギー変換剤的に作用する光安定剤などを併用することもできる。
紫外線吸収剤の配合量は、基体のポリカーボネート樹脂100重量部に対し、0.01〜2重量部の範囲で選ぶのが好ましい。紫外線吸収剤の配合量が0.01重量部未満であると、本発明に係る樹脂組成物から得られる成形品の耐光性が不十分であり、2重量部を超えると成形品の黄色味が強くなるので、調色性に劣りばかりでなく、成形品表面にブリードアウトしやすくなり、いずれも好ましくない。紫外線吸収剤の好ましい配合量は、0.05〜1.8重量部であり、とりわけ好ましいのは0.1〜1.5重量部である。
本発明に係るポリカーボネート樹脂組成物は、所望の物性を発揮させるため、前記四種の必須成分に、必要に応じて上記(e)ないし(i)を配合し、さらに樹脂組成物の性能を著しく損なわない範囲で、他の追加成分を配合することができる。他の追加成分としては、例えば、酸化防止剤などの安定剤、顔料、染料、滑剤、その他の難燃剤、離型剤、摺動性改良剤などの添加剤、エラストマーなどが挙げられる。
本発明に係る樹脂組成物には、芳香族ポリカーボネート樹脂以外の他の熱可塑性樹脂を配合することができる。他の熱可塑性樹脂の種類は、成形性、耐薬品性などの性能を向上する目的に応じて適宜選択できる。他の熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリス
ルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアクリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミドなどが挙げられる。
ルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアクリレート、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミドなどが挙げられる。
ポリエステル樹脂としては、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンナフタレートなどが挙げられる。ポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが挙げられる。ポリフェニレンエーテル系樹脂としては、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンエーテルとポリスチレンおよび/またはHIPS(耐衝撃性ポリスチレン)との混合樹脂などが挙げられる。スチレン系樹脂としては、ポリスチレン、HIPS、AS樹脂、ABS樹脂などが挙げられる。芳香族ポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂で好ましいのは、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル系樹脂、HIPS、ABS樹脂などである。芳香族ポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂の配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂と芳香族ポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂合計量の50重%未満が好ましく、より好ましいのは40重量%以下であり、とりわけ好ましいのは30重量%以下である。
本発明に係る樹脂組成物の調整方法は、特に制限なく、例えば、(1)予め総ての成分を秤量し、同時に混合し、同時に溶融・混練する方法、(2)ガラスフィラーを除いた成分を予め秤量・混合し、溶融・混練したものに、ガラスフィラーを後添加する方法などが挙げられる。本発明に係る樹脂組成物は、熱可塑性樹脂の成形に適用される射出成形法、押出成形法などの各種成形方法により、種々の成形品に成形することができる。特に、本発明に係る樹脂組成物は、難燃剤として(d)パーフルオロアルカンジスルホンイミドの金属塩が配合されているので、従来のブロム系難燃剤が配合された難燃性樹脂組成物、またはリン酸エステル系難燃剤が配合された難燃性樹脂組成物と比較して、成形加工時の熱安定性が大幅に改善される。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の記載例によって限定されることはない。なお、実施例および比較例において使用した原材料は、次のような特性のものであり、樹脂組成物の評価試験は以下に記載の方法によって行った。
<原材料の特性>(1)PC:粘度平均分子量が21,500のポリ−4,4−イソプロピリデンジフェニルカーボネー(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名:ユーピロンS−3000)である。(2)CS:直径13μm、長さ3mmのガラス繊維チョップドストランド(日本電気硝子社製、商品名:T−571)である。(3)GF:平均粒径1mmのガラスフレーク(日本板硝子社製、商品名:REFG101)である。
(4)酸化チタン:下記の方法で処理されたもので、粒子径が0.15〜0.35μmである。・酸化チタン1:無機物による処理していない酸化チタン(石原産業社製、CR−EL)に対し、3重量%のメチルハイドロジェンポリシロキサン(有機処理剤)を配合し、スーパーミキサーによって、攪拌しながら温度を120℃まで上昇させこの温度で1時間保持した後に、常温に降温して得られた酸化チタンである。・酸化チタン2:無機系化合物としてアルミナとシリカで処理され、処理量が0.8重量%の酸化チタン(石原産業社製、PF−671)に対し、3重量%のメチルハイドロジェンポリシロキサンを配合し、スーパーミキサーによって、攪拌しながら温度を120℃まで上昇させこの温度で1時間保持した後に、常温に降温して得た酸化チタンである。
・酸化チタン3:無機系化合物としてアルミナとジルコニアで処理され、処理量が1重量%の酸化チタン(石原産業社製、PF−739)に対し、3重量%のメチルハイドロジェンポリシロキサンを配合し、スーパーミキサーによって、攪拌しながら温度を120℃まで上昇させこの温度で1時間保持した後に、常温に降温して得られた酸化チタンである。・酸化チタン4:無機系化合物としてアルミナで処理され、処理量が2重量%の酸化チタン(石原産業社製、CR−60)に対し、3重量%のメチルハイドロジェンポリシロキサンを配合し、スーパーミキサーによって、攪拌しながら温度を120℃まで上昇させこの温度で1時間保持した後に、常温に降温して得られた酸化チタンである。・酸化チタン5:無機系化合物としてアルミナとシリカで処理され、処理量が3重量%の酸化チタン(石原産業社製、PF−726)に対し、3重量%のメメチルハイドロジェンポリシロキサンを配合し、スーパーミキサーによって、攪拌しながら温度を120℃まで上昇させこの温度で1時間保持した後に、常温に降温して得られた酸化チタンである。
(5)FR−1:ビス(パーフルオロプロパンジスルホンイミドのカリウム塩(三菱マテリアル社製、商品名:EF−N442)である。(6)FR−2:環状1,3−パーフルオロプロパンジスルホンイミドのカリウム塩(三菱マテリアル社製、商品名:EF−N302)である。
(7)PCオリゴマー:粘度平均分子量が5,000のポリカーボネートオリゴマー(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、商品名:ユーピロンAL071)である。
(8)PTFE:ポリテトラフルオロエチレン(ダイキン社製、商品名:ポリフロンF−201L)である。
(9)リン系安定剤1:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト(旭電化社製、商品名:2112)である。(10)リン系安定剤2:下記式(IV)構造を有する化合物であって、nの平均値が7のリン系安定剤(旭電化社製、商品名:AX−71)である。
(8)PTFE:ポリテトラフルオロエチレン(ダイキン社製、商品名:ポリフロンF−201L)である。
(9)リン系安定剤1:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト(旭電化社製、商品名:2112)である。(10)リン系安定剤2:下記式(IV)構造を有する化合物であって、nの平均値が7のリン系安定剤(旭電化社製、商品名:AX−71)である。
(11)紫外線吸収剤:2−(2‘−ヒドロキシ−5‘−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール(シプロ化成社製、商品名:シーソーブ709)である。(12)蛍光増白剤:3−フェニル−7−(2H−ナフト(1,2−d)−トリアゾール−2−イル)クマリン((ハッコーケミカル社製、商品名:ハッコールPSR)である。
<評価試験方法>(1)曲げ弾性率(MPa):ISO 178による曲げ試験法に従い、三点曲げ試験を行った。(2)荷重たわみ温度(℃):ISO 75に従い、1.80MPaでの熱変形温度を測定した。
(3)難燃性:射出成形機(日本製鋼所社製、型式:J50−EP)によって厚さ1.5mmの試験片を成形し、この試験片につきUL−94垂直燃焼試験に基づき測定した。
(4)光線反射率(%):射出成形機(上に同じ)で成形した、厚さが2mm、大きさが50mm×100mmの角型試験片につき、分光光度計(島津製作所製、型式:UV 3100)によって、波長700nmでの光線反射率を測定した。
(5)全光線透過率(%):射出成形機(上に同じ)で成形した、厚さが1mm、大きさが50mm×100mmの角板試験片につき、濁度計(日本電飾工業社製、型式:NDH2000)によって、光源にD65を用いて全光線透過率を測定した。
(3)難燃性:射出成形機(日本製鋼所社製、型式:J50−EP)によって厚さ1.5mmの試験片を成形し、この試験片につきUL−94垂直燃焼試験に基づき測定した。
(4)光線反射率(%):射出成形機(上に同じ)で成形した、厚さが2mm、大きさが50mm×100mmの角型試験片につき、分光光度計(島津製作所製、型式:UV 3100)によって、波長700nmでの光線反射率を測定した。
(5)全光線透過率(%):射出成形機(上に同じ)で成形した、厚さが1mm、大きさが50mm×100mmの角板試験片につき、濁度計(日本電飾工業社製、型式:NDH2000)によって、光源にD65を用いて全光線透過率を測定した。
(6)外観:射出成形機(上に同じ)で、シリンダー温度300℃、成形サイクルを55秒(通常)、300秒(滞留)のニ条件で、厚さ3mmの角板試験片を成形し、これら成形品の外観を目視によって観察し、シルバーストリークスなどがなく良好であるものを「◎」、シルバーストリークスが発生し、外観不良のものを「×」、シルバーストリークスが僅かに発生したものを「○」で表示した。
(7)滞留熱安定性:上記(6)の外観試験で成形したサイクル55秒(通常)の成形品と、サイクル300秒(滞留)の成形品からとして成形した試験片から採取した樹脂につき分子量を測定し、前者から後者を引いた値を分子量低下値で表示した。この値が小さいほど、滞留熱安定性が良好であるといえる。
(7)滞留熱安定性:上記(6)の外観試験で成形したサイクル55秒(通常)の成形品と、サイクル300秒(滞留)の成形品からとして成形した試験片から採取した樹脂につき分子量を測定し、前者から後者を引いた値を分子量低下値で表示した。この値が小さいほど、滞留熱安定性が良好であるといえる。
[実施例1〜実施例9、比較例1〜比較例5] 原材料を、表−1、表−2(実施例)および表−3(比較例)に掲げた割合で秤量し、ブレンダーによって混合し、得られた混合物を40mm単軸押出機(田辺プラスチック機械社製、型式:VS−40)のホッパーに供給し、バレル温度300℃で混練、ペレット化した。得られたペレットを120℃に調節した熱風乾燥機中で、5時間乾燥した後、射出成形機(上に同じ)によって、シリンダー温度300℃の条件下で、各種試験片を成形し評価した。得られた試験片につき、上記評価試験方法によって評価試験を行い、その結果を表−1、表−2(実施例)および表−3(比較例)に記載した。
表−1〜表−3より、次のことが明らかになる。1.特許請求の範囲の請求項1で必須とする前記(a)ないし(d)の四成分が配合されてなる樹脂組成物は、難燃性、成形性などに優れ、剛性などの機械的強度、遮光性、光反射特性、表面外観などに優れている(実施例1〜実施例12参照)。2.請求項1で必須とする前記(a)の酸化チタンが配合されていない比較例1と比較例4の樹脂組成物は、光反射率が低く、かつ遮光性にも劣る。3.また、前記(d)難燃剤を含んでいても請求項1で必須とする範囲を超える比較例2の樹脂組成物は、成形性に劣る。4.さらに、前記(b)の配合量が請求項1で必須とする範囲未満であると、樹脂組成物は曲げ弾性率が劣る(比較例3参照)。
本発明に係るポリカーボネート樹脂組成物は、照明装置や液晶表示バックライト反射板、光学スイッチ反射板などの光線反射板、またはそれらのフレーム材など成形品製造用原料として使用可能である。この樹脂組成物を成形品製造用原料として使用できる。薄肉化、軽量化に優れ、かつ、機械的強度、表面外観、遮光性、寸法安定性、光反射特性などに優れた成形品を得ることができる。
Claims (11)
- (a)芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が、15,000〜30,000である、請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- (b)ガラスフィラーが、ガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスフレークよりなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1または請求項2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- (c)酸化チタンが、無機系化合物による表面処理量が酸化チタンに対して4重量%以下の酸化チタンである、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- (c)酸化チタンが、シロキサン系化合物によって表面処理された酸化チタンである、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- (d)パーフルオロアルカンジスルホンイミド化合物が、環状構造を持つパーフルオロアルカンジスルホンイミド化合物である、請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- (a)芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、さらに(e)芳香族ポリカーボネートオリゴマーを1〜50重量部配合してなる、請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- (e)芳香族ポリカーボネートオリゴマーの粘度平均分子量が1,000〜10,000である、請求項7に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- (a)芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、さらに(f)フッ化ポリオレフィンを0.01〜5重量部配合してなる、請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- (a)芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、さらに(g)リン系熱安定剤を0.01〜2重量部配合してなる、請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項1ないし請求項10のいずれか一項記載されたポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる光線反射性に優れた成形品。
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