JP2004283147A - パン用呈味素材及び呈味素材含有パン - Google Patents
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Abstract
【課題】多様な嗜好に応ずることができると共に、熟練や特別な設備を必要とすることがなく、リテイル及びホールベーカリーに応ずることができるように使用の簡素化を図り得るパン用呈味素材を提供する。また、この呈味素材を含有することにより新規で優れた食味及び食感を有するパンを提供する。
【解決手段】本発明のパン用呈味素材は、可塑性油脂組成物中に、天然ガム質、及び、または増粘剤を用いて凝固したゼリー状素材を分散してあることを特徴とする。
【解決手段】本発明のパン用呈味素材は、可塑性油脂組成物中に、天然ガム質、及び、または増粘剤を用いて凝固したゼリー状素材を分散してあることを特徴とする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パン生地練り込み用の呈味素材、及びこの呈味素材を含有したパンに関する。
【0002】
【従来の技術】
現在市販されているパン類は、各種のフィリングの使用により多種に亘っている。これには、呈味材料の異なるパン生地をそれぞれ混在させ、これを組み合わせて食味や色が異なる様に焼き上げたパンも含まれる。
【0003】
従来、パン類の生地に添加される呈味材料としては、ココア、コーヒー、粉末野菜、粉末化したフルーツ等の粉末材料、レーズン、クルミ、栗、ナッツ類、ミックスベジタブル、イモ類、チーズ、チョコレートチップ等の固形材料、及び練乳等の液体材料が一般的である。
【0004】
前記した従来の粉末材料や固形材料及び液体材料をパン生地に混在させて得られるパン類については、その素材そのものを混合させるという手法に止まるものである。しかし、このようにして得られるパン類は、パン生地と呈味材料が一体化してしまい、また、焼成時において焼き上げの熱による風味の揮発のために、全体に希薄な状態となり、特に粉末材料、液体材料においては、その呈味材料の特徴が出難いという欠点がある。それを避けるために、呈味材料の量を多く配合すると、価格が高いという欠点のみならず、呈味材料の種類によっては、パン生地のpHを変化させ、パン生地に特有な弾力性の喪失等の必要な性状が変化したり、発酵が阻害され、ふっくらとしたパン類が得られない。
【0005】
この問題を解決するために、公知の技術では、マーガリン類に風味付けし、これをパン生地に混在させ、練りパイの手法に準じた製造方法で層状食品(ペストリー)を製造する方法や、シート状マーガリン類に風味付けし、パン生地に折り込み、折りパイの手法に準じた製造方法で層状食品(ペストリー)を製造する方法、呈味材料を練り込んだフラワーペースト類をパン生地に折り込み、パン類を製造する方法がある。また、マーガリンをチップ状とし、パン生地に練り込み、パン焼成時にその油脂が溶けた状態となることに特徴とする方法(例えば特許文献1参照。)や、整形した呈味ペーストに、手粉を塗されたものを冷凍固化したことを特徴とする呈味フィリングを練り込む方法などがある。(例えば特許文献2参照。)
【0006】
しかし、前記した方法の内、層状食品を製造する方法では、パンの内相が層状となり、本来のパン類の食感とは異なったものとなる。フラワーペースト類をパン生地に折り込む方法では、パン生地中に十分呈味材料が分散しないため、風味のある部分とない部分の差がかなりあり、全体として満足のいくパンとは言い難い。また、層状食品を製造する方法や、フラワーペースト類を折り込む方法でパンを、リテールベーカリーで製造しようとすれば、相当な手間と熟練が必要であり、また、量産する場合には、リバースシーター等の設備が必要となり、経済的な負担が大となる。
【0007】
また、特許文献1に記載の方法では、パン焼成時にその油脂が溶けた状態となり、本来のフィリングを混在させたパンとは異質なものである。また、特許文献2に記載の方法では、呈味ペーストを冷凍固化したものを保管、使用しなければならず、作業的に困難であった。また、この方法では殺菌した呈味フィリングに未殺菌の手粉を塗していることから、冷蔵、常温時においては細菌の増殖が心配され、賞味期限を長くできないという問題があった。
【0008】
【特許文献1】
特開平6−233649号公報(第2頁)
【0009】
【特許文献2】
特開2001−145454号公報(第2頁)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明では、第一に、多様な嗜好に応ずることができると共に、作業者の熟練及び設備の増設を必要とすることなく、リテールや、ホールセールベーカリーに応ずることができるように使用の簡素化を図り得るパン用呈味素材を提供すること及びこの呈味素材を含有させることにより新規で優れた食味及び食感を有するパン類を提供することを目的とした。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らが検討を重ねた結果、あらかじめゼリー状の呈味素材を可塑性油脂組成物中に分散することにより、パン生地練り合わせの段階で、生地と呈味素材が一体化することなく、また、ハンドリングにも優れ、使用の簡素化が図れた。さらに、呈味素材が焼成したパン中に不均一に分散することにより、呈味素材の特徴がより発揮できるという知見を得た。
【0012】
上記知見に基づく本発明は、可塑性油脂組成物中に、天然ガム質、及び、または増粘剤をを用いて凝固したゼリー状素材を分散してあることを特徴とするパン用呈味素材を要旨とする。
【0013】
また、本発明の別の要旨は、上記パン用呈味素材において、ゼリー状素材の含有率が5〜80重量%であって、不均一に分散していることを特徴とするパン用呈味素材である。
【0014】
また、本発明の別の要旨は、上記パン用呈味素材において、ゼリー状素材が、糖度20〜85であることを特徴とするパン用呈味素材である。
【0015】
また、本発明の別の要旨は、上記パン用呈味素材を生地の練り合わせ時に混合されてなることを特徴とするパンである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明でいう可塑性油脂組成物とは、バター、マーガリン、ショートニング、バタークリームなどが例示でき、固体であるが力を加えると変形する性質を有する油脂組成物である。本発明の可塑性油脂組成物は、その用途、物性、油脂組成等に特に限定は受けないが、油脂の融点については、パンへの練り込み用途と、ハンドリングの良さから、常温で固体を保つ25℃以上が好ましい。融点が25℃以下では、常温で液体油が多くなり、ゼリー状素材の分散が悪く、ハンドリングが悪い。また、融点が低くなると、パンへの油脂練り込み効果が弱くなり、パンのボリュームが小さくなる可能性がある。本発明の可塑性油脂組成物は、窒素ガス、炭酸ガス等により、比重を軽くし、クリーム状にしても構わない。
【0017】
本発明でいうゼリー状素材とは、ココア、コーヒー、紅茶、緑茶、ワイン、ビール、日本酒などの飲料類や、リンゴ、オレンジ、桃、ブドウ、バナナ、苺、梨、メロン、レモン、ブルーベリー、プラム、グレープフルーツ、パイナップル、マンゴー、パパイヤ、パッションフルーツなどの果汁類、蜂蜜、黒糖、メープルシロップなどの砂糖類、牛乳、ヨーグルト、チーズなどの乳類、卵類などの風味付け素材を寒天、ゼラチン、ローカストビーンガム、ペクチン、キサンタンガム、グアーガム、ジェランガム、カラギナン、タマリンドシードガム等の天然ガム質、及び、または、澱粉、デキストリン、グルコマンナン、卵白、コラーゲン、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロースナトリウム等の増粘剤を用い、ゼリー状に凝固させた物である。天然ガム質、増粘剤は単独で使用しても、併用しても構わない。本発明のゼリー状素材は、その成分、物性等に特に限定を受けないが、冷蔵、常温での保管、流通において、細菌の増殖を防ぐ観点から、糖度を20〜85とすることが望ましい。また、本発明のゼリー状素材中に、香料等を添加することも可能である。
【0018】
本発明のパン用呈味素材は、可塑性油脂組成物中に、ゼリー状素材を破砕、細断等により、細片化したものを不均一に分散させて得ることができる。ゼリー状素材の含有率は、5〜80重量%であることが望ましく、より好ましくは、7〜70重量%、最も好ましくは10〜60重量%である。ゼリー状素材が5重量%未満であると、パンに練り込んだときの量が少なく、風味に乏しくなる。また、80重量%以上であると、可塑性油脂組成物の量が相対的に少なくなり、パンの製造におけるハンドリングが難しくなり、また、ゼリー状素材がパン生地中に練り込まれてしまい、ゼリー状素材の特徴が十分に発揮できないため好ましくない。
【0019】
次に、本発明に係る呈味素材含有パンは、上記したパン用呈味素材が、パン生地中に混在されることを特徴とする。
【0020】
この呈味素材含有パンにおいては、ゼリー状素材が混在した状態で製造され、パンの製造過程において、パン生地に何ら悪影響を及ぼすことはない。従来の工程、条件を変更することなく、呈味素材含有パンとして製造することができる。本発明のパン用呈味素材中には、可塑性油脂組成物が含まれているため、パン生地中に通常練り込む油脂量を低減することもできる。従って、この呈味素材含有パンは、パン生地に基づく本来の弾力性があってふっくらとした食感の食味と、呈味素材本来の良好な風味、食感及び食味を備えるものとして得られる。
【0021】
また、本発明の呈味素材含有パンについては、菓子パン生地のほか、食パン生地、スイートロール生地、ブリオッシュ生地等の多様なパンに使用することができる。また、パンの製造時の加熱処理には、焼成のほか、フライ、蒸上げ等一般的な処理方法によるものが含まれる。従って、本発明は、菓子パンのほか、食パン、テーブルロール、ドーナツ等諸種のパン類に適応し得るものである。
【0022】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明する。
【0023】
実施例1〜7
表1に示した配合量の配合材料を攪拌機で混合し均質機を通した後、100℃前後の温度下で加熱し、その後、室温で放冷することにより、ゼリー状素材1〜7をそれぞれ調製した。次いで、このゼリー状素材を3〜10mm程度の賽の目状に細断し、これをショートニングに50重量%の割合で混入し、パン用呈味素材8〜14を得た。
【0024】
【表1】
【0025】
上記ゼリー状素材1を3〜10mm程度の賽の目状に細断し、室温で軟らかくしたバターに50重量%の割合で混入し、パン用呈味素材15を得た。
【0026】
上記ゼリー状素材1を3〜10mm程度の賽の目上に細断し、これをマーガリンに15、50、60重量%の割合で混入し、パン用呈味素材16〜18を得た。
【0027】
実施例19〜29
先ず、パン生地の配合材料のうち、表2に示した中種の配合材料を練合し、捏上げ温度24℃とし、その後これを4時間に亘り発酵させた。
【表2】
【0028】
次いで、上記した中種に表3の本捏の配合材料を、パン用呈味素材を除いて、添加して練合作業を開始した。この練合作業の過程の途中でパン用呈味素材8〜18を添加して本捏作業を実行してパン生地とした後、常法により食パンを焼成した。この食パン中にはそれぞれの呈味物質が不定形状に分散し、その部分で風味がはっきりわかり、呈味素材の特長が十分に発揮された食パンとなった。
【0029】
【表3】
【0030】
比較例1〜2
上記食パンの製造において、パン用呈味素材の代わりに、コーヒーを1重量%、ショートニングを10重量%添加した物を比較例1、実施例1のゼリー状素材1を10重量%、ショートニングを10重量%添加した物を比較例2として、常法により食パンを焼成した。比較例1の食パンでは、コーヒーの味が分散し、食パン中ではほとんどコーヒーの味がしない平凡な物であった。比較例2においては、パン生地練り合わせ中にゼリー状素材が練り込まれ、生地が軟化し、非常にハンドリングの悪い物となった。また、焼成品においても、食パン中にコーヒーの味が分散し、特長の薄い物となった。
【0031】
【発明の効果】
本発明に係るパン用呈味素材によれば、通常パンに特長を付けづらい呈味材料の風味を容易に付けることができるため、経済的に有利である。また、パンの製造段階においても、通常の練り込み用油脂と同様にパン生地に練り込むだけで足りるから、特別な設備や熟練を必要とせず、簡易な作業で経済的に新規なパンを製造することが可能である。
【0032】
また、このようなパン用呈味素材が含有されてなるパンについては、パン中にまんべんなく呈味素材が分散するから、従来なかった外観と、食感、さらに呈味素材の風味を保持する新規なパンを得ることができる。
【0033】
本発明のパン用呈味素材は、従来のフィリングとは異なる新たなタイプの風味素材であり、パン業界における利用価値は高い。
【発明の属する技術分野】
本発明は、パン生地練り込み用の呈味素材、及びこの呈味素材を含有したパンに関する。
【0002】
【従来の技術】
現在市販されているパン類は、各種のフィリングの使用により多種に亘っている。これには、呈味材料の異なるパン生地をそれぞれ混在させ、これを組み合わせて食味や色が異なる様に焼き上げたパンも含まれる。
【0003】
従来、パン類の生地に添加される呈味材料としては、ココア、コーヒー、粉末野菜、粉末化したフルーツ等の粉末材料、レーズン、クルミ、栗、ナッツ類、ミックスベジタブル、イモ類、チーズ、チョコレートチップ等の固形材料、及び練乳等の液体材料が一般的である。
【0004】
前記した従来の粉末材料や固形材料及び液体材料をパン生地に混在させて得られるパン類については、その素材そのものを混合させるという手法に止まるものである。しかし、このようにして得られるパン類は、パン生地と呈味材料が一体化してしまい、また、焼成時において焼き上げの熱による風味の揮発のために、全体に希薄な状態となり、特に粉末材料、液体材料においては、その呈味材料の特徴が出難いという欠点がある。それを避けるために、呈味材料の量を多く配合すると、価格が高いという欠点のみならず、呈味材料の種類によっては、パン生地のpHを変化させ、パン生地に特有な弾力性の喪失等の必要な性状が変化したり、発酵が阻害され、ふっくらとしたパン類が得られない。
【0005】
この問題を解決するために、公知の技術では、マーガリン類に風味付けし、これをパン生地に混在させ、練りパイの手法に準じた製造方法で層状食品(ペストリー)を製造する方法や、シート状マーガリン類に風味付けし、パン生地に折り込み、折りパイの手法に準じた製造方法で層状食品(ペストリー)を製造する方法、呈味材料を練り込んだフラワーペースト類をパン生地に折り込み、パン類を製造する方法がある。また、マーガリンをチップ状とし、パン生地に練り込み、パン焼成時にその油脂が溶けた状態となることに特徴とする方法(例えば特許文献1参照。)や、整形した呈味ペーストに、手粉を塗されたものを冷凍固化したことを特徴とする呈味フィリングを練り込む方法などがある。(例えば特許文献2参照。)
【0006】
しかし、前記した方法の内、層状食品を製造する方法では、パンの内相が層状となり、本来のパン類の食感とは異なったものとなる。フラワーペースト類をパン生地に折り込む方法では、パン生地中に十分呈味材料が分散しないため、風味のある部分とない部分の差がかなりあり、全体として満足のいくパンとは言い難い。また、層状食品を製造する方法や、フラワーペースト類を折り込む方法でパンを、リテールベーカリーで製造しようとすれば、相当な手間と熟練が必要であり、また、量産する場合には、リバースシーター等の設備が必要となり、経済的な負担が大となる。
【0007】
また、特許文献1に記載の方法では、パン焼成時にその油脂が溶けた状態となり、本来のフィリングを混在させたパンとは異質なものである。また、特許文献2に記載の方法では、呈味ペーストを冷凍固化したものを保管、使用しなければならず、作業的に困難であった。また、この方法では殺菌した呈味フィリングに未殺菌の手粉を塗していることから、冷蔵、常温時においては細菌の増殖が心配され、賞味期限を長くできないという問題があった。
【0008】
【特許文献1】
特開平6−233649号公報(第2頁)
【0009】
【特許文献2】
特開2001−145454号公報(第2頁)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明では、第一に、多様な嗜好に応ずることができると共に、作業者の熟練及び設備の増設を必要とすることなく、リテールや、ホールセールベーカリーに応ずることができるように使用の簡素化を図り得るパン用呈味素材を提供すること及びこの呈味素材を含有させることにより新規で優れた食味及び食感を有するパン類を提供することを目的とした。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らが検討を重ねた結果、あらかじめゼリー状の呈味素材を可塑性油脂組成物中に分散することにより、パン生地練り合わせの段階で、生地と呈味素材が一体化することなく、また、ハンドリングにも優れ、使用の簡素化が図れた。さらに、呈味素材が焼成したパン中に不均一に分散することにより、呈味素材の特徴がより発揮できるという知見を得た。
【0012】
上記知見に基づく本発明は、可塑性油脂組成物中に、天然ガム質、及び、または増粘剤をを用いて凝固したゼリー状素材を分散してあることを特徴とするパン用呈味素材を要旨とする。
【0013】
また、本発明の別の要旨は、上記パン用呈味素材において、ゼリー状素材の含有率が5〜80重量%であって、不均一に分散していることを特徴とするパン用呈味素材である。
【0014】
また、本発明の別の要旨は、上記パン用呈味素材において、ゼリー状素材が、糖度20〜85であることを特徴とするパン用呈味素材である。
【0015】
また、本発明の別の要旨は、上記パン用呈味素材を生地の練り合わせ時に混合されてなることを特徴とするパンである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明でいう可塑性油脂組成物とは、バター、マーガリン、ショートニング、バタークリームなどが例示でき、固体であるが力を加えると変形する性質を有する油脂組成物である。本発明の可塑性油脂組成物は、その用途、物性、油脂組成等に特に限定は受けないが、油脂の融点については、パンへの練り込み用途と、ハンドリングの良さから、常温で固体を保つ25℃以上が好ましい。融点が25℃以下では、常温で液体油が多くなり、ゼリー状素材の分散が悪く、ハンドリングが悪い。また、融点が低くなると、パンへの油脂練り込み効果が弱くなり、パンのボリュームが小さくなる可能性がある。本発明の可塑性油脂組成物は、窒素ガス、炭酸ガス等により、比重を軽くし、クリーム状にしても構わない。
【0017】
本発明でいうゼリー状素材とは、ココア、コーヒー、紅茶、緑茶、ワイン、ビール、日本酒などの飲料類や、リンゴ、オレンジ、桃、ブドウ、バナナ、苺、梨、メロン、レモン、ブルーベリー、プラム、グレープフルーツ、パイナップル、マンゴー、パパイヤ、パッションフルーツなどの果汁類、蜂蜜、黒糖、メープルシロップなどの砂糖類、牛乳、ヨーグルト、チーズなどの乳類、卵類などの風味付け素材を寒天、ゼラチン、ローカストビーンガム、ペクチン、キサンタンガム、グアーガム、ジェランガム、カラギナン、タマリンドシードガム等の天然ガム質、及び、または、澱粉、デキストリン、グルコマンナン、卵白、コラーゲン、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロースナトリウム等の増粘剤を用い、ゼリー状に凝固させた物である。天然ガム質、増粘剤は単独で使用しても、併用しても構わない。本発明のゼリー状素材は、その成分、物性等に特に限定を受けないが、冷蔵、常温での保管、流通において、細菌の増殖を防ぐ観点から、糖度を20〜85とすることが望ましい。また、本発明のゼリー状素材中に、香料等を添加することも可能である。
【0018】
本発明のパン用呈味素材は、可塑性油脂組成物中に、ゼリー状素材を破砕、細断等により、細片化したものを不均一に分散させて得ることができる。ゼリー状素材の含有率は、5〜80重量%であることが望ましく、より好ましくは、7〜70重量%、最も好ましくは10〜60重量%である。ゼリー状素材が5重量%未満であると、パンに練り込んだときの量が少なく、風味に乏しくなる。また、80重量%以上であると、可塑性油脂組成物の量が相対的に少なくなり、パンの製造におけるハンドリングが難しくなり、また、ゼリー状素材がパン生地中に練り込まれてしまい、ゼリー状素材の特徴が十分に発揮できないため好ましくない。
【0019】
次に、本発明に係る呈味素材含有パンは、上記したパン用呈味素材が、パン生地中に混在されることを特徴とする。
【0020】
この呈味素材含有パンにおいては、ゼリー状素材が混在した状態で製造され、パンの製造過程において、パン生地に何ら悪影響を及ぼすことはない。従来の工程、条件を変更することなく、呈味素材含有パンとして製造することができる。本発明のパン用呈味素材中には、可塑性油脂組成物が含まれているため、パン生地中に通常練り込む油脂量を低減することもできる。従って、この呈味素材含有パンは、パン生地に基づく本来の弾力性があってふっくらとした食感の食味と、呈味素材本来の良好な風味、食感及び食味を備えるものとして得られる。
【0021】
また、本発明の呈味素材含有パンについては、菓子パン生地のほか、食パン生地、スイートロール生地、ブリオッシュ生地等の多様なパンに使用することができる。また、パンの製造時の加熱処理には、焼成のほか、フライ、蒸上げ等一般的な処理方法によるものが含まれる。従って、本発明は、菓子パンのほか、食パン、テーブルロール、ドーナツ等諸種のパン類に適応し得るものである。
【0022】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明する。
【0023】
実施例1〜7
表1に示した配合量の配合材料を攪拌機で混合し均質機を通した後、100℃前後の温度下で加熱し、その後、室温で放冷することにより、ゼリー状素材1〜7をそれぞれ調製した。次いで、このゼリー状素材を3〜10mm程度の賽の目状に細断し、これをショートニングに50重量%の割合で混入し、パン用呈味素材8〜14を得た。
【0024】
【表1】
【0025】
上記ゼリー状素材1を3〜10mm程度の賽の目状に細断し、室温で軟らかくしたバターに50重量%の割合で混入し、パン用呈味素材15を得た。
【0026】
上記ゼリー状素材1を3〜10mm程度の賽の目上に細断し、これをマーガリンに15、50、60重量%の割合で混入し、パン用呈味素材16〜18を得た。
【0027】
実施例19〜29
先ず、パン生地の配合材料のうち、表2に示した中種の配合材料を練合し、捏上げ温度24℃とし、その後これを4時間に亘り発酵させた。
【表2】
【0028】
次いで、上記した中種に表3の本捏の配合材料を、パン用呈味素材を除いて、添加して練合作業を開始した。この練合作業の過程の途中でパン用呈味素材8〜18を添加して本捏作業を実行してパン生地とした後、常法により食パンを焼成した。この食パン中にはそれぞれの呈味物質が不定形状に分散し、その部分で風味がはっきりわかり、呈味素材の特長が十分に発揮された食パンとなった。
【0029】
【表3】
【0030】
比較例1〜2
上記食パンの製造において、パン用呈味素材の代わりに、コーヒーを1重量%、ショートニングを10重量%添加した物を比較例1、実施例1のゼリー状素材1を10重量%、ショートニングを10重量%添加した物を比較例2として、常法により食パンを焼成した。比較例1の食パンでは、コーヒーの味が分散し、食パン中ではほとんどコーヒーの味がしない平凡な物であった。比較例2においては、パン生地練り合わせ中にゼリー状素材が練り込まれ、生地が軟化し、非常にハンドリングの悪い物となった。また、焼成品においても、食パン中にコーヒーの味が分散し、特長の薄い物となった。
【0031】
【発明の効果】
本発明に係るパン用呈味素材によれば、通常パンに特長を付けづらい呈味材料の風味を容易に付けることができるため、経済的に有利である。また、パンの製造段階においても、通常の練り込み用油脂と同様にパン生地に練り込むだけで足りるから、特別な設備や熟練を必要とせず、簡易な作業で経済的に新規なパンを製造することが可能である。
【0032】
また、このようなパン用呈味素材が含有されてなるパンについては、パン中にまんべんなく呈味素材が分散するから、従来なかった外観と、食感、さらに呈味素材の風味を保持する新規なパンを得ることができる。
【0033】
本発明のパン用呈味素材は、従来のフィリングとは異なる新たなタイプの風味素材であり、パン業界における利用価値は高い。
Claims (4)
- 可塑性油脂組成物中に、天然ガム質、及び、または増粘剤を用いて凝固したゼリー状素材を分散してあることを特徴とするパン用呈味素材。
- ゼリー状素材の含有率が5〜80重量%であって、不均一に分散している請求項1に記載のパン用呈味素材。
- ゼリー状素材が、糖度20〜85である請求項1又は2に記載のパン用呈味素材。
- 請求項1〜3の何れかに記載のパン用呈味素材が、パン生地の練り合わせ時に混合されてなることを特徴とする呈味素材含有パン。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003117610A JP2004283147A (ja) | 2003-03-19 | 2003-03-19 | パン用呈味素材及び呈味素材含有パン |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003117610A JP2004283147A (ja) | 2003-03-19 | 2003-03-19 | パン用呈味素材及び呈味素材含有パン |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004283147A true JP2004283147A (ja) | 2004-10-14 |
Family
ID=33296306
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003117610A Pending JP2004283147A (ja) | 2003-03-19 | 2003-03-19 | パン用呈味素材及び呈味素材含有パン |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004283147A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006288315A (ja) * | 2005-04-13 | 2006-10-26 | Adeka Corp | ベーカリー生地 |
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WO2009107659A1 (ja) * | 2008-02-28 | 2009-09-03 | Saito Shinichi | 製菓製パン用材料及びそれを用いた穀粉加熱加工食品 |
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