JP2004272552A - 課金装置及びそのプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】ETCシステムの利用者の拡大並びに有料道路の利便性の向上を実現する。
【課題を解決するための手段】連続する複数回の通行に係る通行情報を参照し、これら複数回の通行を当該複数回の通行のうち最先のものの起点から最後のものの終点まで通行した一回の通行と見なすか否かを判断する判断手段12と、前記判断手段12による判断に応じて前記複数回の通行に対する課金額を決定する課金額決定手段13とを具備する課金装置1を構成した。当該課金装置1により、有料道路における「途中下車」を認めるシステムをETCシステムに実装できる。
【選択図】図1
【課題を解決するための手段】連続する複数回の通行に係る通行情報を参照し、これら複数回の通行を当該複数回の通行のうち最先のものの起点から最後のものの終点まで通行した一回の通行と見なすか否かを判断する判断手段12と、前記判断手段12による判断に応じて前記複数回の通行に対する課金額を決定する課金額決定手段13とを具備する課金装置1を構成した。当該課金装置1により、有料道路における「途中下車」を認めるシステムをETCシステムに実装できる。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有料道路の通行料金を収受する料金収受システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
既に、有料道路の料金所で車両を停止させることなく自動的に通行料金を支払うことができるETC(Electronic Toll Collection)システムが実用化されている(例えば、下記特許文献1、特許文献2を参照)。現在、日本国内で稼働しているETCシステムは、路側機と車載機との間で5.8GHz帯を用いた無線通信を行い、料金収受に必要となる各種情報を送受信するものである。因みに、光波、例えば近赤外光を用いて無線通信を行うようなシステムも検討されている(例えば、下記特許文献3を参照)。ETCシステムを利用するユーザは、料金所のノンストップ通過や有料道路通行のキャッシュレス化といったメリットを享受できる。そして、ETCシステムを利用するユーザが増加することにより、料金所での渋滞の解消や料金所周辺の大気汚染、騒音の軽減等の効果が期待される。
【0003】
【特許文献1】特開2002−279461号公報
【特許文献2】特開2000−113257号公報
【特許文献3】特開平10−063896号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、平成14年の時点でETC車載機の普及率は未だ一桁%に止まっており、その効果は顕在化していない。これは、ETC車載機が比較的高価である割にユーザメリットが小さいためと考えられる。ただ、新たな製品は、普及率が10%を超えたあたりから爆発的に普及していくことが多い。従って、ユーザにETC車載機の積極的な導入を促すような有効な施策を実行することが不可欠である。
【0005】
また、首都高速道路等で顕著であるが、高速道路上であるにもかかわらず渋滞してスムーズに移動ができないことがある。しかし、渋滞に巻き込まれた状況下であっても、ユーザは渋滞箇所を越えるまで我慢することが専らである。何故ならば、高速道路から一旦降りて渋滞箇所を回避しその先にあるランプから再び高速道路に乗り直そうとすれば、二回分の通行料金を支払わされることになるからである。決して安価でない通行料金を支払いながらしかも渋滞を甘受しなければならないことから、ユーザが高速道路の現状に少なからぬ不満を抱いていることは事実である。
【0006】
以上に鑑みて、本発明は、ETCシステムの利用者の拡大、並びに、高速道路に代表される有料道路の利便性の向上の双方を実現しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決すべく、本発明では、図1に示すように、有料道路の通行料金を収受する料金収受システムにおいて用いられるものとして、有料道路の一回の通行の事実を示しその通行の起点、終点または経路上の中途点のうち少なくとも一つを識別する情報を含む通行情報を取得する通行情報取得手段11と、前記通行情報取得手段11が取得した、連続する複数回の通行に係る通行情報を参照し、これら複数回の通行を一回の通行と見なすか否かを判断する判断手段12と、前記判断手段12による判断に応じて前記複数回の通行に対する課金額を決定する課金額決定手段13と、前記課金額決定手段13が決定した課金額に関する情報を含む課金情報を出力する課金情報出力手段14とを具備する課金装置1を構成した。
【0008】
現在、高速道路の利用の際に「途中下車」を認めるような仕組みは存在していない。つまり、高速道路から一般道路へ一旦降りてしまえば、再び高速道路に乗る時に新たな通行料金の課金が行われてしまう。よって、例えば、恒常的に渋滞している箇所、あるいは事故等により渋滞が惹起された箇所を一般道路を利用して迂回しようとすると、通行料金を二回支払わざるを得なくなる。通常、通行料金の支払い回数が多い方が、支払金額の合計も大きい。とりわけ、首都高速道路等の均一料金制を採用している有料道路では、支払金額の合計が支払い回数に比例する。結果として、一度高速道路に乗ったユーザは、たとえ途中経路に渋滞箇所が存在していようとも、迂回することなく我慢して目的地まで乗り続けることとなる。上記のような問題に初めて着目してなされた本発明は、料金収受システムにおいて有料道路を通行するユーザの特定が可能であることを応用して、「途中下車」を認める仕組みを構築するものである。即ち、同一ユーザによる連続する複数回の通行が、別々の機会におけるものでなく「途中下車」したことで生じたものであるかどうか(言い換えるならば、有料道路を利用した移動を一時中断した若しくは途中経路の一部を一般道路を通行することで代替したものであるかどうか)を判断し、「途中下車」したことで生じたものと判断したときには、これら複数回の通行に個別に課金した場合における合計金額よりも支払いが低額となるように課金額を割り引くものとした。このようなものであれば、有料道路を通行しているユーザが必要に応じて当該有料道路を「途中下車」できるようになる。
【0009】
本発明に係る課金装置1は、有料道路の「途中下車」を認める仕組みを料金収受システムに実装するものであり、その奏し得る効果は多岐に渡る。まず、有料道路上に渋滞箇所が存在するとき、当該渋滞箇所に流入する交通量の一部を一般道路に分散させることができる。このことから、巨視的に見て道路網の利用がより効率化され、局地的な渋滞の緩和ないし解消が期待できる。次に、有料道路上を走行している最中に食事、休憩等を取りたくなったとき、有料道路の外に一旦出て、一般道路の沿線に存在する飲食店や宿泊施設その他種々の施設を利用することが可能となる。従来ならば、有料道路上に間欠的に設けられたサービスエリアやパーキングエリアの施設を利用する以外には手段がなく、そのことがユーザに不便を強いる要因の一つとなっていたが、「途中下車」を認めることで他の選択肢を提供でき、ユーザにとっての利便性を向上させることが可能となる。同時に、今までは単に通り過ぎてゆくのみであった人々が立ち寄る機会が増えることから、有料道路が通っている地域にとっては活性化や雇用の拡大につながる。そして、当該地域の物産、飲食、観光、祭事その他の文化的催物等の地場産業の新たな可能性を模索できる。さらに、サービスエリアやパーキングエリアを有料道路上に整備する必要性が低減するため、その設置、維持、管理のコストを削減することができる。加えて、サービスエリアやパーキングエリアを有料道路の外に設けることも可能となる。その上で、「途中下車」をETCシステム利用者に限って認めることとすれば、「途中下車」がもたらす利便性の大きさから、ETCシステム利用、ETC車載機導入へのインセンティブが高められ、利用者が大きく拡大するものと思われる。ETCシステムの利用者が拡大すれば、料金所におけるETCレーンの増加(逆に、一般レーンの縮減)が可能となり、かねてから期待されていたETCシステムの効用、即ち、料金所渋滞の解消や料金所周辺の環境の改善が期待できる。並びに、各料金所ブースに人員を配置する必要がなくなるため、より効果的な人的資源の分配を実現できる。
【0010】
但し、ここに言う料金収受システムとは、あるユーザまたはある走行体(各種自動車や自動二輪車、その他有料道路を走行できる乗物)が有料道路を一回通行した事実を示す通行情報を取得しこの通行情報を基に通行料金の課金を行うシステムをおしなべて包含する概念であって、現存するETCシステムはあくまでその一典型例であるに過ぎない。課金額の割引を検討すべき、連続する複数回の通行は、同一ユーザ若しくは同一課金対象者及び/または同一移動体による通行である。因みに、実際に有料道路を通行したユーザと、当該ユーザによる通行の対価を支払うべき課金対象者とが一致しないこともあり得る。
【0011】
具体的には、前記判断手段12が、少なくとも前記複数回の通行が全体として後戻りのない一方向への通行であることを条件として、これら複数回の通行を当該複数回の通行のうち最先のものの起点から最後のものの終点まで通行した一回の通行と見なす旨の判断を下すものとすることが望ましい。言葉を換えると、ある回の通行の起点がその直前の回の通行の終点から見て反進行方向側になく、かつ、ある回の通行の終点がその起点から見て反進行方向側にない(直前の回の終点から見て進行方向側にある)という条件を満たす複数回の通行を、「途中下車」を介在させた一回の通行と見なすものとしている。ある回の通行の起点が、その直前の回の通行の終点と一致しなくとも構わない。例を挙げて述べると、東名高速道路を利用して東京から名古屋まで下り方向を進行方向として移動しようとするユーザは、大井松田インターチェンジで降りた後、同じ大井松田インターチェンジから高速道路に復帰してもよく、大井松田インターチェンジから見て下り方面にある清水インターチェンジから復帰してもよい。
【0012】
課金額を割り引くためには、前記判断手段12による判断が前記複数回の通行を前記一回の通行と見なす旨のものであり、前記複数回の通行に対する料金の合計が前記一回の通行に対する料金を上回るとき、前記課金額決定手段13が、前記合計より低額となるように前記複数回の通行に対する課金額を決定するものとする。なお、前記合計が前記一回の通行に対する料金を下回るかあるいは前記一回の通行に対する料金と同額となるときは、前記複数回の通行に対する料金をそのまま課金するか、さらに割り引いた額を課金する。勿論、前記判断手段12が前記複数回の通行を前記一回の通行と見なさない、言い換えるならば前記複数回の通行を別々の機会における通行と見なす旨の判断を下したときには、前記複数回の通行に対する料金を個別に課金すればよい。
【0013】
また、前記判断手段12による判断が前記複数回の通行を前記一回の通行と見なす旨のものであるとき、前記課金額決定手段13が、前記複数回の通行に対する料金の合計と前記一回の通行に対する料金とのうち安い方と同額となるように前記複数回の通行に対する課金額を決定するものとすることが簡便であり、ユーザにとっても課金額の決定ルールが明快となるため好ましい。
【0014】
しかして、有料道路を通行するユーザ若しくは走行体が通過した入口料金所を識別する情報を含む起点情報、出口料金所を識別する情報を含む終点情報または経路上の中途点を識別する情報を含む中途点情報のうち少なくとも一つを生成することにより、有料道路の一回の通行の事実を示しその通行の起点、終点または経路上の中途点のうち少なくとも一つを識別する情報を含む通行情報を構成する通行情報提供装置と、前記通行情報提供装置より通行情報を取得する課金装置1とを具備してなる料金収受システムを構築すれば、所期の目的を達成することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
<第1実施形態>以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図2に示すように、本実施形態における料金収受システムは、有料道路Wの一回の通行の事実を示しその通行の起点、終点または経路上の中途点のうち少なくとも一つを識別する情報を含む通行情報PIを構成する通行情報提供装置2と、通行情報提供装置2より通行情報PIを取得して有料道路Wの通行に対する課金額を決定する課金装置1とを主要な構成要素とする。
【0016】
通行情報提供装置2は、起点情報SI、終点情報EIまたは中途点情報MIのうち少なくとも一つを生成する機能を有する。起点情報SIは、有料道路Wを通行するユーザ若しくは(ユーザが乗っている)走行体Cが通過した入口料金所、即ち通行の起点を識別する情報を含む。終点情報EIは、有料道路Wを通行するユーザ若しくは走行体Cが通過した出口料金所、即ち通行の終点を識別する情報を含む。中途点情報MIは、有料道路Wを通行するユーザ若しくは走行体Cが通過した経路上の中途点を識別する情報を含む。
【0017】
より具体的に述べると、通行情報提供装置2は、例えば、走行体Cに搭載した車載機24と、有料道路Wの沿線に設置した路側機21、22、23とを具備してなる。車載機24と路側機21、22、23とは、無線通信を行うことができる。車載機24は、それが搭載された走行体C及び/または通行料金を支払うべき課金対象者を識別する固有情報UIを少なくとも記憶する。固有情報UIの例として、走行体Cの車両ナンバー、車種(普通車、大型車等の車種区分。通常、車種区分に応じた通行料金が課される)、車載機24を識別する車載機24識別子、走行体Cに乗車しているユーザ若しくは当該ユーザによる有料道路W通行に対し課される通行料金を支払うべき課金対象者を識別するユーザ識別子、等を挙げることができる。因みに、ICカードの如き着脱可能な補助記憶デバイスを車載機24に接続して用いる場合には、車両ナンバー等を車載機24に、ユーザ識別子等をICカードに、というように、固有情報UIの要素を分散させて記憶させることができる。路側機21、22、23は、入口料金所、出口料金所、有料道路Wの本線上の所要地点に設置する。これら路側機21、22、23は、無線通信により、車載機24若しくはICカードが記憶している情報を読み出したり、車載機24若しくはICカードへ情報を書き込んだりすることができる。
【0018】
本実施形態では、東名高速道路、名神高速道路等の対距離料金制を採用している有料道路Wを想定する。但し、首都高速道路、阪神高速道路等の均一料金制を採用している有料道路Wに本実施形態を適用することを妨げない。既存のETCシステムにおいて、有料道路Wを通行すべく走行体Cが入口料金所を通過する時、当該入口料金所の路側機21が、入口料金所を識別する入口料金所識別子や入口料金所を通過した日時等の情報を含む入口情報を車載機24側に記憶させる書き込み命令を送信する。これを受信した車載機24は、車載機24若しくはICカードに入口情報を記憶する。また、有料道路Wを通行中の走行体Cが路側機23を設置した中途点を通過する時、当該中途点の路側機23が、中途点を識別する中途点識別子や中途点を通過した日時等の情報を含む経路情報を車載機24側に記憶させる書き込み命令を送信する。これを受信した車載機24は、車載機24若しくはICカードに経路情報を記憶する。そして、走行体Cが出口料金所を通過する時、車載機24が、記憶している入口情報、経路情報や固有情報UI等を出口料金所の路側機22に向けて送信し、路側機22がこれを受信する。出口料金所に設置した路側機22は、電気通信回線を介して課金装置1と接続しており、車載機24より受信した入口情報、経路情報や固有情報UI等を課金装置1に送信する。かつ、出口料金所の路側機22が車載機24より入口情報、経路情報や固有情報UI等を受け取った時に、当該路側機22が、出口料金所識別子や走行体Cが出口料金所を通過した日時等の情報を含む出口情報を生成して課金装置1に送信する。但し、入口情報、経路情報や固有情報UI等を受け取った課金装置1が、これらの情報を発信した路側機22のある出口料金所を識別する出口情報識別子やこれらの情報を受け取った日時(走行体Cが出口料金所を通過した日時と同義となる)等の情報を含む出口情報を生成するものとすることを妨げない。因みに、出口情報は、出口料金所の路側機22より車載機24に向けて送信され、車載機24若しくはICカードに記憶される。
【0019】
上記より、課金装置1が入口情報、出口情報、経路情報等を取得できる。このとき、入口情報を前記起点情報SI、出口情報を前記終点情報EI、経路情報を前記中途点情報MIとすることができる。結果として、課金装置1が、一回の通行の事実を示す通行情報PIを、通行情報提供装置2より取得することとなる。なお、起点情報SI、終点情報EI、中途点情報MIの取得の態様は、上述したようなものには限られない。起点情報SI、経路情報は、出口料金所の路側機22で取得され課金装置1にもたらされるとは限られない。よって、走行体Cの通過を認識した入口料金所の路側機21が起点情報SIを生成し電気通信回線を経由して課金装置1に送信するものとしてもよく、走行体Cの通過を認識した中途点の路側機23が中途点情報MIを生成し電気通信回線を経由して課金装置1に送信するものとしてもよい。加えて、有料道路Wの通行に係る起点情報SI、終点情報EI、中途点情報MIは、一回一回の通行の都度路側機21、22、23を介して課金装置1に取得させてもよく、あるいは、一回一回の通行に係る起点情報SI、終点情報EI、中途点情報MIを車載機24に蓄積しておき、必要に応じて複数回分の情報をまとめて取得させても構わない。
【0020】
また、通行情報提供装置2は、既存のETCシステムにおける車載機、路側機を応用して構築することができるが、ETCシステムにおける車載機、路側機とは異なる構成のものとすることを妨げない。例えば、RFID(Radio Frequency IDentification;カード状若しくはタグ状の記録媒体に対し、電磁波を用いて情報の記録または読出を行う認識方法)を利用して通行情報提供装置2を構築することが考えられる。即ち、非接触で情報の読出や書換が可能な記録媒体であるRFIDタグを走行体Cに搭載しておくとともに、当該RFIDタグに記憶されている情報を読み出したりRFIDタグに情報を書き込んだりするための無線デバイスを包含する路側機21、22、23を入口料金所、出口料金所や本線上の中途点に設置しておけば、当該路側機21、22、23が有料道路Wを通行するユーザ若しくは走行体Cを認識して起点情報SI、終点情報EIや中途点情報MIを生成することができる。さらには、走行体Cに車載機24を搭載することなく通行情報提供装置2を構築することも可能である。例えば、走行体Cの車両ナンバーを撮影するカメラ及び撮影画像を処理して車両ナンバーを読みとるコンピュータを包含する路側機21、22、23を入口料金所、出口料金所や本線上の中途点に設置しておけば、当該路側機21、22、23が有料道路Wを通行する走行体Cの車両ナンバーを読みとって起点情報SI、終点情報EIや中途点情報MIを生成することができる。
【0021】
課金装置1は、同一ユーザ若しくは同一走行体Cによる連続する複数回の通行が、別々の機会におけるものでなく「途中下車」したことで生じたものであるか否かを判断し、その判断に応じて前記複数回の通行に対する課金額を決定する機能を有する。課金装置1は、例えば、図3に示すように、プロセッサ1a、メインメモリ1b、ハードディスクドライブに代表される補助記憶デバイス1c、NIC(Network Interface Card)その他の、電気通信回線を介して情報の送受信を行うための通信インタフェース1d、等のハードウェア資源を少なくとも具備する。通常、プロセッサ1aによって実行されるべきプログラムが補助記憶デバイス1cに格納されており、プログラムの実行の際には補助記憶デバイス1cからメインメモリ1bに読み込まれ、プロセッサ1aによって解読される。そして、該プログラムに従って上記のハードウェア資源を作動し、図1に示す通行情報取得手段11、判断手段12、課金額決定手段13、課金情報出力手段14としての機能を発揮するようにしている。
【0022】
各部の動作について説明する。通行情報取得手段11は、通信インタフェース1dの機能を利用し、起点情報SI、終点情報EI、中途点情報MIのうち少なくとも一つを含む通行情報PIを、電気通信回線を介して接続している路側機21、22、23より取得する。通行情報取得手段11が取得する通行情報PIを、図4に例示する。通行情報PIの要素たる起点情報SIは、ユーザ若しくは走行体Cが通過した入口料金所を識別する入口料金所識別子、当該入口料金所を通過した日時、通過した料金所レーンを識別するレーン番号、等を含む。入口料金所識別子は、通行の起点を識別する情報となる。終点情報EIは、ユーザ若しくは走行体Cが通過した出口料金所を識別する出口料金所識別子、当該出口料金所を通過した日時、通過した料金所レーンを識別するレーン番号、等を含む。出口料金所識別子は、通行の終点を識別する情報となる。中途点情報MIは、ユーザ若しくは走行体Cが通過した経路上の中途点を識別する中途点識別子、当該中途点を通過した日時、等を含む。通常、これら起点情報SI、終点情報EI若しくは中途点情報MI、または通行情報PIは、有料道路Wを通行したユーザ若しくは課金対象者及び/または走行体Cを識別する固有情報UIと関連づけられ、通行情報PIが示す有料道路W通行の事実の主体を事後的に確認することが可能となっている。因みに、取得した通行情報PIは、課金装置1のメインメモリ1b若しくは補助記憶デバイス1cの所要の記憶領域に格納される。本実施形態では、通行情報PIに起点情報SIと終点情報EIとがともに含まれるものとしているが、中途点情報MIは含まれないことがある。なお、起点から終点まで移動するための経路が複数存在するような場合には、通行情報PIが経路情報をも取得するものとして、何れの経路を通行したかに応じて通行料金を決定できるようにしてもよい。
【0023】
判断手段12は、通行情報取得手段11が取得した、連続する複数回の通行に係る通行情報PIを参照し、これら複数回の通行を一回の通行と見なすか否かを判断する。即ち、同一の固有情報UIに関連づけられている通行情報PIを参照して、連続する複数回の有料道路Wの通行に対する課金額を割り引くことができるか否かを判断する。通常、判断手段12は、ソフトウェアを主体として構成される。連続する複数回の通行を一回の通行と見なすための条件の設定には、種々の態様が考えられる。以降、条件設定の例を列挙する。
(i)所定の期間内での利用を条件とする。これは、連続する複数回の通行のうち最先の通行の開始時点、言い換えるならば初めて入口料金所を通過した時点が属する所定の期間内において有料道路Wからの一時退出及び有料道路Wへの復帰を容認するものである。典型例としては、「一日乗り放題」あるいは「定期券」方式を挙げることができる。所定期間を一日若しくは複数日単位で定める場合、一日の定義を、午前0時から午後24時までとしてもよく、一般に通行量が増え始める時刻に合わせて例えば午前6時から翌日午前6時までとしてもよい。判断が容易であり、ユーザにとっても分かり易いが、事故等による渋滞はいつ発生するか分からないことから、この条件設定は突発的な渋滞の緩和には必ずしも効果的でない。
(ii)制限時間内での利用を条件とする。これは、初めて入口料金所を通過した時点より始まる所定の制限時間内において有料道路Wからの一時退出及び復帰を容認するものである。比較的短距離、小規模の有料道路Wで有効である反面、大規模な高速道路等を利用して長距離移動しようとするユーザにとっては時間制限が負担となる。加えて、制限時間ぎりぎりの状況での駆け込み利用が事故の要因となりかねない危険性を孕む。従って、この条件を採用するときには、
(iii)前回の利用終了時点より所定の時間内での利用再開を条件とする。これは、最後に出口料金所を通過した時点より所定の時間内に入口料金所を通過して通行を再開した場合に、その出口料金所通過より入口料金所通過までの間の一時退出を容認するものである。大規模な高速道路等を利用して長距離移動しようとするユーザにとっても便利であるが、駆け込み利用による事故の危険性の問題が残る。
(iv)前回の利用終了地点より所定の地域内での利用再開を条件とする。これは、前回の通行の終点を基に定められる所定範囲内にある起点より通行を再開、言い換えるならば最後に通過した出口料金所を基に選定される入口料金所を通過して通行を再開した場合に、その出口料金所通過より入口料金所通過までの間の一時退出を容認するものである。大規模な高速道路等を利用して長距離移動しようとするユーザにとっても便利である。因みに、通行の終点と、次回通行時に有料道路Wに再入場することを許される一若しくは複数の起点とを対応づけたテーブル情報(図示しない)を課金装置1のメインメモリ1b若しくは補助記憶デバイス1cの所要の記憶領域に予め格納しておき、判断手段12が当該テーブル情報をも参照して判断を行い得るように構成することが好ましい。
(v)複数回の通行が全体として後戻りのない一方向への通行であることを条件とする。これは、ある回の通行の起点がその直前の回の通行の終点から見て反進行方向側になく、かつ、ある回の通行の終点がその起点から見て反進行方向側にない場合に、その複数回の通行の合間に介在する一時退出及び復帰を容認するものである。とりわけ、起点情報SI、終点情報EIまたは中途点情報MIに、ユーザ若しくは走行体Cの進行方向を示す情報(例えば、入口料金所識別子若しくは出口料金所識別子が上り方面と下り方面とで異なるときの入口料金所識別子若しくは出口料金所識別子、あるいは料金所で通過する料金所レーンの番号が上り方面と下り方面とで異なるときのレーン番号、他)が含まれているならば、これを参照することでユーザ若しくは走行体Cが何れの方向を進行方向としているのかを把握でき、当該条件判断に資する。因みに、通行の終点と、次回通行時に有料道路Wに再入場することを許される一若しくは複数の起点、即ち、後戻りとはならない起点とを対応づけたテーブル情報を課金装置1のメインメモリ1b若しくは補助記憶デバイス1cの所要の記憶領域に予め格納しておき、判断手段12が当該テーブル情報を参照して判断を行い得るように構成することが好ましい。
【0024】
判断手段12は、上記の条件のうち少なくとも一つの条件または複数を組み合わせた複合条件を満足する場合に、連続する複数回の利用を一回の通行と見なす旨の判断を下すものとする。判断手段12が判断を行う際の処理を図5に示す。複数回の通行に関する判断を行う必要が生じたとき、判断手段12は、有料道路W通行の主体を識別する固有情報UIと関連づけられている、連続する複数回の通行に係る通行情報PIを参照する(ステップS1)。既に述べたように、通行情報PIは、通行情報取得手段11により取得され、課金装置1のメインメモリ1b若しくは補助記憶デバイス1cに格納される。判断手段12は、通行情報取得手段11が取得した通行情報PI並びに格納した通行情報PIのうち、同一の固有情報UIに関連づけられている通行情報PIを抽出して参照する。但し、複数回の通行に係る通行情報PIが走行体Cに搭載された車載機24の補助記憶デバイスに蓄積されており、これを通行情報取得手段11が取得して判断手段12が参照するという態様を妨げない。そして、通行情報PIに含まれる起点情報SI、終点情報EI及び/または中途点情報MIを基に、これら複数回の通行を一回の通行と見なすか否かを判断する(ステップS2)。判断手段12による判断の手順の詳細を、図6に例示する。判断手段12は、ある回の通行に係る通行情報PI及びその前の回の通行に係る通行情報PIを参照し、ある回に通行した有料道路Wが、同じユーザ若しくは走行体Cが前回通行した有料道路Wと同一系統の道路であるか否かを判断する(ステップS21)。ある回と前回とで相異なる系統の有料道路Wを通行している場合、これら複数回の通行は別個のものと見なされる(ステップS24)。ある回と前回とで同一系統の有料道路Wを通行している場合には、これら複数回の通行が全体として後戻りのない一方向への通行であるか否かを判断する(ステップS22)。ここでは、前回の通行の終点を示す出口料金所識別子と次に再入場することを許される入口料金所識別子とを対応づけるテーブル情報を参照し、ある回の通行の起点を示す入口料金所識別子が再入場を許される入口料金所識別子に該当するものであるかどうかを調べる。ある回の通行の起点である入口料金所が、前回の通行の終点である出口料金所を基に定められる再入場を許された料金所でない場合、ある回の通行と前回の通行とは別個のものと見なされる。さらにこのステップS22で、ある回の通行情報PIに含まれる中途点情報MIを参照して判断材料とすることも可能である。ある回の通行と前回の通行とが全体として後戻りのない一方向への通行であると判断できる場合には、基本的にこれら複数回の通行を一回の通行と見なすことができる。一回の通行と見なす旨の判断をしたとき、これら複数回の通行に係る通行情報PIをリンクを張る等により関連づけすることが望ましい。但し、複数回の通行を一回の通行と見なすための条件をさらに加えることを妨げない。例えば、図6に示しているように、ステップS22に引き続いて、前回の通行に係る通行情報PIとリンクしている以前の通行情報PIのうち最先のもの(言い換えるならば、前回以前の通行であって前回の通行と連続する一回の通行と見なされる通行のうち最先のものに係る通行情報PI)に含まれる起点情報SIを参照し、最先の通行の開始時点(即ち、最先の通行において入口料金所を通過した時点)からある回の通行の開始時点(即ち、ある回の通行において入口料金所を通過した時点)までの間に経過した時間が所定時間(24時間、48時間、等)を超えているかどうかを判断する(ステップS23)。ステップS23にあって、前回の通行に係る通行情報PIとリンクしている以前の通行情報PIが存在しないときは、前回の通行を最先の通行とし、前回の通行に係る通行情報PIに含まれる起点情報SIを参照して、前回の通行における入口料金所通過時点からある回の通行における入口料金所通過時点までの間に経過した時間が所定時間を超えているかどうかを判断する。ある回の通行における入口料金所通過時点が、最先の通行(上述したように、前回の通行であることがある)における入口料金所通過時点より所定時間を経過した後にある場合には、ある回の通行と前回以前の通行とは別個のものと見なされる。一方で、ある回の通行における入口料金所通過時点が、最先の通行における入口料金所通過時点より所定時間を経過する以前にある場合には、ある回の通行と前回以前の通行とを一回の通行と見なす旨の判断を下す(ステップS25)。このとき、ある回の通行に係る通行情報PIと、前回以前の通行に係る通行情報PIとをリンクを張る等により関連づけする。なお、判断手段12が複数回の通行に関する判断を行うタイミングは特に限定されない。判断手段12が判断を行うタイミングは、ユーザ若しくは走行体Cが出口料金所を通過する時でもよく、入口料金所を通過するときでもよい。また、通行料金の課金処理を実行する時(料金所通過時には限られない。有料道路Wの通行より後に実行されることもあり得る)に、判断手段12による判断を行うものとしてもよい。
【0025】
課金額決定手段13は、判断手段12による判断に応じて、前記複数回の通行に対する課金額を決定する。通常、判断手段12は、ソフトウェアを主体として構成される。判断手段12により一回の通行と見なす旨の判断を下された複数回の有料道路W通行に対する課金額の決定の態様について詳述する。対距離料金制を採用している有料道路Wの通行料金の例を、図7に示す。一般に、対距離料金制を採用している有料道路Wでは、通行の起点と終点とを基に定められる通行料金が課される。因みに、有料道路Wを通行した走行体Cの車種により通行料金が異なることが普通である。図7に示す料金テーブルは、通行の起点を識別する情報である入口料金所識別子、通行の終点を識別する情報である出口料金所識別子並びに走行体Cの車種(図示例は、車種が普通車である場合の通行料金)を識別する情報と、通行料金とを関連づけてなるものである。通常、このような料金テーブルが、課金装置1のメインメモリ1b若しくは補助記憶デバイス1cの所要の記憶領域に予め格納されている。通行情報取得手段11が取得する、有料道路Wの一回の通行の事実を示す通行情報PIには、その通行区間を識別する情報が含まれている。課金額決定手段13は、一回の通行と見なすことができる複数回の通行に係る通行情報PIに含まれる起点情報SI及び終点情報EI、固有情報UIを参照し、複数回の通行の各々についてその起点と終点を調べ、さらに走行体Cの車種を調べる。加えて、経路に応じて通行料金が変わるような場合には、中途点情報MIをも参照する。そして、料金テーブルを参照し、通行料金を決定する。ここで、課金額決定手段13は、一回の通行と見なすことができる複数回の通行の各々に対し個別に課金した場合の通行料金の合計が、一回の通行と見なして課金した場合の通行料金を上回るとき、前記合計より低額となるように、複数回の通行に対する課金額を決定する。前記合計が、一回の通行と見なして課金した場合の通行料金を下回る(あるいは、同額となる)ときには、複数回の通行に対する料金をそのまま課金するか、さらに割り引いた額を課金する。本実施形態では、複数回の通行に対する料金の合計と、見なし一回の通行に対する料金とのうち安い方と同額となるように、複数回の通行に対する課金額を決定するものとしている。以降、具体例を列挙する。ユーザは、東京インターチェンジより出発し、清水インターチェンジを目的地として移動すると仮定する。東京インターチェンジより清水インターチェンジまでの通行料金は、図7の料金テーブルにあるように、3850円である。
(i)厚木インターチェンジで一旦有料道路W外に出て、厚木インターチェンジより有料道路Wに復帰、清水インターチェンジに至る。東京〜厚木、厚木〜清水の二回の通行を一回の通行と見なすとした場合;東京〜厚木の通行料金が1250円、厚木〜清水の通行料金が3000円で、合計4250円。東京〜清水の通行料金3850円を上回ることから、これら二回の通行に対する課金額を3850円と決定する。
(ii)厚木インターチェンジで一旦有料道路W外に出て、途中観光し、秦野中井インターチェンジより有料道路Wに復帰、清水インターチェンジに至る。東京〜厚木、秦野中井〜清水の二回の通行を一回の通行と見なすとした場合;東京〜厚木の通行料金が1250円、秦野中井〜清水の通行料金が2700円で、合計3950円。東京〜清水の通行料金3850円を上回ることから、これら二回の通行に対する課金額を3850円と決定する。
(iii)厚木インターチェンジで一旦有料道路W外に出て、途中観光し、大井松田インターチェンジより有料道路Wに復帰、清水インターチェンジに至る。東京〜厚木、大井松田〜清水の二回の通行を一回の通行と見なすとした場合;東京〜厚木の通行料金が1250円、大井松田〜清水の通行料金が2500円で、合計3750円。東京〜清水の通行料金3850円を下回ることから、これら二回の通行に対する課金額を3750円と決定する。あるいは、これら二回の通行を、そのまま二回の通行として処理する。
即ち、複数回の通行を、当該複数回の通行のうち最先のものの起点から最後のものの終点まで通行した一回の通行と見なし、当該一回の通行に対する料金と比較して合計金額が上回るときには見なし一回の通行に対する料金を採用するものとしている。勿論、判断手段12により別個の通行と見なす旨の判断を下された複数回の有料道路W通行に対する料金については、従前の通り決定してよい。なお、課金額決定手段13が複数回の通行に対する課金額を決定するタイミングは特に限定されない。課金額決定手段13が課金額の決定を行うタイミングは、ユーザ若しくは走行体Cが出口料金所を通過する時には限られない。
【0026】
課金情報出力手段14は、課金額決定手段13が決定した課金額に関する情報を含む課金情報を出力する。課金情報の出力の態様としては、外部への送信、ディスプレイへの表示、ハードディスクやフレキシブルディスクその他の記憶デバイスへの書き込み、プリントアウト、等を挙げることができる。従って、課金額出力手段の具体的構成は、課金情報の出力の態様に依存する。本実施形態では、課金情報を補助記憶デバイス1cの所要の記憶領域に書き込むとともに、必要に応じて外部のコンピュータ3に通信インタフェース1dの機能を利用して送信するという態様で、課金情報の出力を行うものとしている。課金情報の送信の宛先は、例えばクレジットカード会社や銀行等の金融機関その他の決済系のコンピュータ3や、路側機21、22、23(ユーザに課金情報をフィードバックするため)である。
【0027】
因みに、上記の各部の機能が複数のハードウェアに分担され、これらが協働することにより課金装置1として成立するものとしてもよい。
【0028】
本実施形態によれば、有料道路Wの通行料金を収受する料金収受システムにおいて用いられるものとして、有料道路Wの一回の通行の事実を示しその通行の起点、終点または経路上の中途点のうち少なくとも一つを識別する情報を含む通行情報PIを取得する通行情報取得手段11と、前記通行情報取得手段11が取得した、連続する複数回の通行に係る通行情報PIを参照し、これら複数回の通行を一回の通行と見なすか否かを判断する判断手段12と、前記判断手段12による判断に応じて前記複数回の通行に対する課金額を決定する課金額決定手段13と、前記課金額決定手段13が決定した課金額に関する情報を含む課金情報を出力する課金情報出力手段14とを具備する課金装置1を構成したため、有料道路Wの一時退出、いわば「途中下車」を認める仕組みを料金収受システムに実装可能となる。その結果、顕著な効果がもたらされる。まず、有料道路W上に渋滞箇所が存在するとき、当該渋滞箇所に流入する交通量の一部を一般道路に分散させることができる。このことから、巨視的に見て道路網の利用がより効率化され、局地的な渋滞の緩和ないし解消が期待できる。次に、有料道路W上を走行している最中に食事、休憩等を取りたくなったとき、有料道路Wの外に一旦出て、一般道路の沿線に存在する飲食店や宿泊施設その他種々の施設を利用することが可能となる。従来ならば、有料道路W上に間欠的に設けられたサービスエリアやパーキングエリアの施設を利用する以外には手段がなく、そのことがユーザに不便を強いる要因の一つとなっていたが、「途中下車」を認めることで他の選択肢を提供でき、ユーザにとっての利便性を向上させることが可能となる。同時に、今までは単に通り過ぎてゆくのみであった人々が立ち寄る機会が増えることから、有料道路Wが通っている地域にとっては活性化や雇用の拡大につながる。そして、当該地域の物産、飲食、観光、祭事その他の文化的催物等の地場産業の新たな可能性を模索できる。さらに、サービスエリアやパーキングエリアを有料道路W上に整備する必要性が低減するため、その設置、維持、管理のコストを削減することができる。加えて、サービスエリアやパーキングエリアを有料道路Wの外に設けることも可能となる。その上で、「途中下車」をETCシステム利用者に限って認めることとすれば、「途中下車」がもたらす利便性の大きさから、ETCシステム利用、ETC車載機導入へのインセンティブが高められ、利用者が大きく拡大するものと思われる。ETCシステムの利用者が拡大すれば、料金所におけるETCレーンの増加(逆に、一般レーンの縮減)が可能となり、かねてから期待されていたETCシステムの効用、即ち、料金所渋滞の解消や料金所周辺の環境の改善が期待できる。並びに、各料金所ブースに人員を配置する必要がなくなるため、より効果的な人的資源の分配を実現できる。
【0029】
前記判断手段12が、少なくとも前記複数回の通行が全体として後戻りのない一方向への通行であることを条件として、これら複数回の通行を当該複数回の通行のうち最先のものの起点から最後のものの終点まで通行した一回の通行と見なす旨の判断を下すものであるため、有料道路Wの「途中下車」を認める制度を適切に導入することができる。
【0030】
前記判断手段12による判断が前記複数回の通行を前記一回の通行と見なす旨のものであり、前記複数回の通行に対する料金の合計が前記一回の通行に対する料金を上回るとき、前記課金額決定手段13が、前記合計より低額となるように前記複数回の通行に対する課金額を決定するものであるため、ユーザによる有料道路Wの「途中下車」を促進できる。
【0031】
また、前記判断手段12による判断が前記複数回の通行を前記一回の通行と見なす旨のものであるとき、前記課金額決定手段13が、前記複数回の通行に対する料金の合計と前記一回の通行に対する料金とのうち安い方と同額となるように前記複数回の通行に対する課金額を決定するものとすることが簡便であり、ユーザにとっても課金額の決定ルールが明快となるため好ましい。
【0032】
しかして、有料道路Wを通行するユーザ若しくは走行体Cが通過した入口料金所を識別する情報を含む起点情報SI、出口料金所を識別する情報を含む終点情報EIまたは経路上の中途点を識別する情報を含む中途点情報MIのうち少なくとも一つを生成することにより、有料道路Wの一回の通行の事実を示しその通行の起点、終点または経路上の中途点のうち少なくとも一つを識別する情報を含む通行情報PIを構成する通行情報提供装置2と、前記通行情報提供装置2より通行情報PIを取得する課金装置1とを具備してなる料金収受システムを構築すれば、所期の目的、即ちETCシステムの利用者の拡大並びに有料道路Wの利便性の向上を達成することが可能となる。
【0033】
<第2実施形態>続いて述べる本実施形態は、首都高速道路、阪神高速道路等の均一料金制を採用している有料道路Wを想定したものである。以下、第1実施形態との相違点に主眼を置いて説明する。本実施形態におけるシステムもまた、有料道路Wの一回の通行の事実を示しその通行の起点、終点または経路上の中途点のうち少なくとも一つを識別する情報を含む通行情報PIを構成する通行情報提供装置2と、通行情報提供装置2より通行情報PIを取得して有料道路Wの通行に対する課金額を決定する課金装置1とを主要な構成要素とする。通行情報提供装置2、課金装置1の基本的な構成は、第1実施形態と同様とすることができるため、ここでは説明を省略する。
【0034】
しかし、本実施形態では、通行情報提供装置2が取得する通行情報PIに、必ずしも起点情報SIと終点情報EIとの両方が含まれない。均一料金制を採用している有料道路Wでは、ユーザ若しくは走行体Cが通行した料金圏、即ち通行料金が一定の圏域を識別できればよく、起点情報SI、終点情報EIまたは中途点情報MIのうち少なくとも一つを参照することで一回の通行の事実を知得できるからである。よって、路側機21、22、23が入口料金所にのみ、出口料金所にのみまたは経路上の中途点にのみ設置され、他の場所には設置されないことがある。既存のETCシステムにおいて、走行体Cが路側機21、22、23を設置している入口料金所、出口料金所または有料道路W上の中途点を通過する時、走行体Cに搭載した車載機24が、記憶している固有情報UI等を路側機21、22、23に向けて送信し、路側機21、22、23がこれを受信する。しかる後、路側機21、22、23は、車載機24より受信した固有情報UI等とともに、路側機が存在する入口料金所、出口料金所または中途点を識別する情報を含む通行情報PIを課金装置1に送信する。
【0035】
課金装置1は、プログラムに従ってハードウェア資源を作動し、図1に示す通行情報取得手段11、判断手段12、課金額決定手段13、課金情報出力手段14としての機能を発揮するものである。各部の動作は、第1実施形態におけるそれと概ね同じである。だが、判断手段12による判断の態様、並びに課金額決定手段13による課金額の決定の態様について補足すべき点があるため、ここで述べることとする。通行情報取得手段11が取得する、有料道路Wの一回の通行の事実を示す通行情報PIには、その料金圏を識別する情報となる、起点情報SI、終点情報EIまたは中途点情報MIが含まれている。しかしながら、その通行区間即ち何れの起点より何れの終点まで実際に通行したのかは必ずしも特定することができない。例を挙げて述べると、首都高速道路では、入口料金所にのみ路側機21を設置することとなるため、有料道路W通行の起点のみを特定可能である。従って、ユーザ若しくは走行体Cの進行方向を把握して適切な判断を下すために、起点情報SI、終点情報EIまたは中途点情報MIに含まれるユーザ若しくは走行体Cの進行方向を示す情報(例えば、入口料金所識別子若しくは出口料金所識別子が上り方面と下り方面とで異なるときの入口料金所識別子若しくは出口料金所識別子、あるいは料金所で通過する料金所レーンの番号が上り方面と下り方面とで異なるときのレーン番号、他)を援用するか、因みに、前回の通行の起点(または終点、中途点)と、次回通行時に有料道路Wに再入場することを許される一若しくは複数の起点(または次回通行時に通過することを許される終点、中途点)とを対応づけたテーブル情報(図示しない)を課金装置1のメインメモリ1b若しくは補助記憶デバイス1cの所要の記憶領域に予め格納しておき、判断手段12が当該テーブル情報をも参照して判断を行うようにすることが好ましい。加えて、環状線が存在している有料道路W網にあっては、環状線のランプより入場することで有料道路Wの不正な往復利用が可能となってしまう。よって、環状線上の複数箇所(外回り、内回り)、環状線と支線とのジャンクションその他任意の中途点に路側機23を設置しておき、不正利用を防止できるようにすることが好ましい。勿論、入口料金所と出口料金所との双方に路側機21、23を設置してもよい。
【0036】
また、均一料金制を採用している有料道路Wでは、料金圏毎に定められた通行料金が課される。課金額決定手段13は、一回の通行と見なすことができる複数回の通行に係る通行情報PIに含まれる起点情報SI、終点情報EIまたは中途点情報MIを参照し、複数回の通行の各々についてその料金圏を調べ、さらに走行体Cの車種を調べる。そして、通行料金を決定する。ここで、課金額決定手段13は、一回の通行と見なすことができる複数回の通行の各々に対し個別に課金した場合の通行料金の合計が、一回の通行と見なして課金した場合の通行料金を上回るとき、前記合計より低額となるように、複数回の通行に対する課金額を決定する。前記合計が、一回の通行と見なして課金した場合の通行料金を下回る(あるいは、同額となる)ときには、複数回の通行に対する料金をそのまま課金するか、さらに割り引いた額を課金する。本実施形態では、複数回の通行に対する料金の合計と、見なし一回の通行に対する料金とのうち安い方と同額となるように、複数回の通行に対する課金額を決定するものとしている。以降、具体例を示す。ユーザは、高井戸インターチェンジより出発し、首都高速5号北池袋ランプを目的地として移動すると仮定する。高井戸インターチェンジより首都高速5号北池袋ランプまでの通行料金は、700円である。
(iv)新宿ランプで一旦有料道路W外に出て、渋滞箇所を迂回し、霞ヶ関ランプより有料道路Wに復帰、首都高速5号北池袋ランプに至る。高井戸〜新宿、霞ヶ関〜5号北池袋の二回の通行を一回の通行と見なすとした場合;高井戸〜新宿、霞ヶ関〜5号北池袋の通行料金がそれぞれ700円で、合計1400円。高井戸〜5号北池袋の通行料金700円を上回ることから、これら二回の通行に対する課金額を700円と決定する。
即ち、複数回の通行を、当該複数回の通行のうち最先のものの起点から最後のものの終点まで通行した一回の通行と見なし、当該一回の通行に対する料金と比較して合計金額が上回るときには見なし一回の通行に対する料金を採用するものとしている。均一料金制を採用している有料道路Wでは、通行料金の合計金額が通行の回数に比例する。よって、所定の条件を満たす場合に複数回の通行を一回の通行と見なす本システムが、ユーザによる有料道路Wの「途中下車」を大いに促すこととなる。勿論、判断手段12により別個の通行と見なす旨の判断を下された複数回の有料道路W通行に対する料金については、従前の通り決定してよい。
【0037】
その他、特に言及しなかった事項に関しては、上記第1実施形態と同様である。本実施形態によれば、有料道路Wの一時退出、いわば「途中下車」を認める仕組みを料金収受システムに実装可能となり、その結果、既に述べたような顕著な効果がもたらされる。
【0038】
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。各部の具体的構成や、図5、図6に示す処理の手順等もまた、上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。言うまでもなく、汎用的なコンピュータにプログラムをインストールして本発明に係る課金装置1を構成可能であって、専用の装置を製造することが必須であるわけではない。
【0039】
【発明の効果】
以上に詳述した本発明によれば、ETCシステムの利用者の拡大並びに有料道路の利便性の向上の双方を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る課金装置の機能ブロック図。
【図2】本発明の一実施形態における料金収受システムの構成を示す図。
【図3】同実施形態における課金装置が具備するハードウェア資源を示す図。
【図4】通行情報を例示する図。
【図5】課金装置が実行する処理の手順を示すフローチャート。
【図6】同フローチャート。
【図7】対距離料金制を採用している有料道路の料金テーブルを例示する図。
【符号の説明】
1…課金装置
11…通行情報取得手段
12…判断手段
13…課金額決定手段
14…課金情報出力手段
2…通行情報提供装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、有料道路の通行料金を収受する料金収受システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
既に、有料道路の料金所で車両を停止させることなく自動的に通行料金を支払うことができるETC(Electronic Toll Collection)システムが実用化されている(例えば、下記特許文献1、特許文献2を参照)。現在、日本国内で稼働しているETCシステムは、路側機と車載機との間で5.8GHz帯を用いた無線通信を行い、料金収受に必要となる各種情報を送受信するものである。因みに、光波、例えば近赤外光を用いて無線通信を行うようなシステムも検討されている(例えば、下記特許文献3を参照)。ETCシステムを利用するユーザは、料金所のノンストップ通過や有料道路通行のキャッシュレス化といったメリットを享受できる。そして、ETCシステムを利用するユーザが増加することにより、料金所での渋滞の解消や料金所周辺の大気汚染、騒音の軽減等の効果が期待される。
【0003】
【特許文献1】特開2002−279461号公報
【特許文献2】特開2000−113257号公報
【特許文献3】特開平10−063896号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、平成14年の時点でETC車載機の普及率は未だ一桁%に止まっており、その効果は顕在化していない。これは、ETC車載機が比較的高価である割にユーザメリットが小さいためと考えられる。ただ、新たな製品は、普及率が10%を超えたあたりから爆発的に普及していくことが多い。従って、ユーザにETC車載機の積極的な導入を促すような有効な施策を実行することが不可欠である。
【0005】
また、首都高速道路等で顕著であるが、高速道路上であるにもかかわらず渋滞してスムーズに移動ができないことがある。しかし、渋滞に巻き込まれた状況下であっても、ユーザは渋滞箇所を越えるまで我慢することが専らである。何故ならば、高速道路から一旦降りて渋滞箇所を回避しその先にあるランプから再び高速道路に乗り直そうとすれば、二回分の通行料金を支払わされることになるからである。決して安価でない通行料金を支払いながらしかも渋滞を甘受しなければならないことから、ユーザが高速道路の現状に少なからぬ不満を抱いていることは事実である。
【0006】
以上に鑑みて、本発明は、ETCシステムの利用者の拡大、並びに、高速道路に代表される有料道路の利便性の向上の双方を実現しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決すべく、本発明では、図1に示すように、有料道路の通行料金を収受する料金収受システムにおいて用いられるものとして、有料道路の一回の通行の事実を示しその通行の起点、終点または経路上の中途点のうち少なくとも一つを識別する情報を含む通行情報を取得する通行情報取得手段11と、前記通行情報取得手段11が取得した、連続する複数回の通行に係る通行情報を参照し、これら複数回の通行を一回の通行と見なすか否かを判断する判断手段12と、前記判断手段12による判断に応じて前記複数回の通行に対する課金額を決定する課金額決定手段13と、前記課金額決定手段13が決定した課金額に関する情報を含む課金情報を出力する課金情報出力手段14とを具備する課金装置1を構成した。
【0008】
現在、高速道路の利用の際に「途中下車」を認めるような仕組みは存在していない。つまり、高速道路から一般道路へ一旦降りてしまえば、再び高速道路に乗る時に新たな通行料金の課金が行われてしまう。よって、例えば、恒常的に渋滞している箇所、あるいは事故等により渋滞が惹起された箇所を一般道路を利用して迂回しようとすると、通行料金を二回支払わざるを得なくなる。通常、通行料金の支払い回数が多い方が、支払金額の合計も大きい。とりわけ、首都高速道路等の均一料金制を採用している有料道路では、支払金額の合計が支払い回数に比例する。結果として、一度高速道路に乗ったユーザは、たとえ途中経路に渋滞箇所が存在していようとも、迂回することなく我慢して目的地まで乗り続けることとなる。上記のような問題に初めて着目してなされた本発明は、料金収受システムにおいて有料道路を通行するユーザの特定が可能であることを応用して、「途中下車」を認める仕組みを構築するものである。即ち、同一ユーザによる連続する複数回の通行が、別々の機会におけるものでなく「途中下車」したことで生じたものであるかどうか(言い換えるならば、有料道路を利用した移動を一時中断した若しくは途中経路の一部を一般道路を通行することで代替したものであるかどうか)を判断し、「途中下車」したことで生じたものと判断したときには、これら複数回の通行に個別に課金した場合における合計金額よりも支払いが低額となるように課金額を割り引くものとした。このようなものであれば、有料道路を通行しているユーザが必要に応じて当該有料道路を「途中下車」できるようになる。
【0009】
本発明に係る課金装置1は、有料道路の「途中下車」を認める仕組みを料金収受システムに実装するものであり、その奏し得る効果は多岐に渡る。まず、有料道路上に渋滞箇所が存在するとき、当該渋滞箇所に流入する交通量の一部を一般道路に分散させることができる。このことから、巨視的に見て道路網の利用がより効率化され、局地的な渋滞の緩和ないし解消が期待できる。次に、有料道路上を走行している最中に食事、休憩等を取りたくなったとき、有料道路の外に一旦出て、一般道路の沿線に存在する飲食店や宿泊施設その他種々の施設を利用することが可能となる。従来ならば、有料道路上に間欠的に設けられたサービスエリアやパーキングエリアの施設を利用する以外には手段がなく、そのことがユーザに不便を強いる要因の一つとなっていたが、「途中下車」を認めることで他の選択肢を提供でき、ユーザにとっての利便性を向上させることが可能となる。同時に、今までは単に通り過ぎてゆくのみであった人々が立ち寄る機会が増えることから、有料道路が通っている地域にとっては活性化や雇用の拡大につながる。そして、当該地域の物産、飲食、観光、祭事その他の文化的催物等の地場産業の新たな可能性を模索できる。さらに、サービスエリアやパーキングエリアを有料道路上に整備する必要性が低減するため、その設置、維持、管理のコストを削減することができる。加えて、サービスエリアやパーキングエリアを有料道路の外に設けることも可能となる。その上で、「途中下車」をETCシステム利用者に限って認めることとすれば、「途中下車」がもたらす利便性の大きさから、ETCシステム利用、ETC車載機導入へのインセンティブが高められ、利用者が大きく拡大するものと思われる。ETCシステムの利用者が拡大すれば、料金所におけるETCレーンの増加(逆に、一般レーンの縮減)が可能となり、かねてから期待されていたETCシステムの効用、即ち、料金所渋滞の解消や料金所周辺の環境の改善が期待できる。並びに、各料金所ブースに人員を配置する必要がなくなるため、より効果的な人的資源の分配を実現できる。
【0010】
但し、ここに言う料金収受システムとは、あるユーザまたはある走行体(各種自動車や自動二輪車、その他有料道路を走行できる乗物)が有料道路を一回通行した事実を示す通行情報を取得しこの通行情報を基に通行料金の課金を行うシステムをおしなべて包含する概念であって、現存するETCシステムはあくまでその一典型例であるに過ぎない。課金額の割引を検討すべき、連続する複数回の通行は、同一ユーザ若しくは同一課金対象者及び/または同一移動体による通行である。因みに、実際に有料道路を通行したユーザと、当該ユーザによる通行の対価を支払うべき課金対象者とが一致しないこともあり得る。
【0011】
具体的には、前記判断手段12が、少なくとも前記複数回の通行が全体として後戻りのない一方向への通行であることを条件として、これら複数回の通行を当該複数回の通行のうち最先のものの起点から最後のものの終点まで通行した一回の通行と見なす旨の判断を下すものとすることが望ましい。言葉を換えると、ある回の通行の起点がその直前の回の通行の終点から見て反進行方向側になく、かつ、ある回の通行の終点がその起点から見て反進行方向側にない(直前の回の終点から見て進行方向側にある)という条件を満たす複数回の通行を、「途中下車」を介在させた一回の通行と見なすものとしている。ある回の通行の起点が、その直前の回の通行の終点と一致しなくとも構わない。例を挙げて述べると、東名高速道路を利用して東京から名古屋まで下り方向を進行方向として移動しようとするユーザは、大井松田インターチェンジで降りた後、同じ大井松田インターチェンジから高速道路に復帰してもよく、大井松田インターチェンジから見て下り方面にある清水インターチェンジから復帰してもよい。
【0012】
課金額を割り引くためには、前記判断手段12による判断が前記複数回の通行を前記一回の通行と見なす旨のものであり、前記複数回の通行に対する料金の合計が前記一回の通行に対する料金を上回るとき、前記課金額決定手段13が、前記合計より低額となるように前記複数回の通行に対する課金額を決定するものとする。なお、前記合計が前記一回の通行に対する料金を下回るかあるいは前記一回の通行に対する料金と同額となるときは、前記複数回の通行に対する料金をそのまま課金するか、さらに割り引いた額を課金する。勿論、前記判断手段12が前記複数回の通行を前記一回の通行と見なさない、言い換えるならば前記複数回の通行を別々の機会における通行と見なす旨の判断を下したときには、前記複数回の通行に対する料金を個別に課金すればよい。
【0013】
また、前記判断手段12による判断が前記複数回の通行を前記一回の通行と見なす旨のものであるとき、前記課金額決定手段13が、前記複数回の通行に対する料金の合計と前記一回の通行に対する料金とのうち安い方と同額となるように前記複数回の通行に対する課金額を決定するものとすることが簡便であり、ユーザにとっても課金額の決定ルールが明快となるため好ましい。
【0014】
しかして、有料道路を通行するユーザ若しくは走行体が通過した入口料金所を識別する情報を含む起点情報、出口料金所を識別する情報を含む終点情報または経路上の中途点を識別する情報を含む中途点情報のうち少なくとも一つを生成することにより、有料道路の一回の通行の事実を示しその通行の起点、終点または経路上の中途点のうち少なくとも一つを識別する情報を含む通行情報を構成する通行情報提供装置と、前記通行情報提供装置より通行情報を取得する課金装置1とを具備してなる料金収受システムを構築すれば、所期の目的を達成することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
<第1実施形態>以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図2に示すように、本実施形態における料金収受システムは、有料道路Wの一回の通行の事実を示しその通行の起点、終点または経路上の中途点のうち少なくとも一つを識別する情報を含む通行情報PIを構成する通行情報提供装置2と、通行情報提供装置2より通行情報PIを取得して有料道路Wの通行に対する課金額を決定する課金装置1とを主要な構成要素とする。
【0016】
通行情報提供装置2は、起点情報SI、終点情報EIまたは中途点情報MIのうち少なくとも一つを生成する機能を有する。起点情報SIは、有料道路Wを通行するユーザ若しくは(ユーザが乗っている)走行体Cが通過した入口料金所、即ち通行の起点を識別する情報を含む。終点情報EIは、有料道路Wを通行するユーザ若しくは走行体Cが通過した出口料金所、即ち通行の終点を識別する情報を含む。中途点情報MIは、有料道路Wを通行するユーザ若しくは走行体Cが通過した経路上の中途点を識別する情報を含む。
【0017】
より具体的に述べると、通行情報提供装置2は、例えば、走行体Cに搭載した車載機24と、有料道路Wの沿線に設置した路側機21、22、23とを具備してなる。車載機24と路側機21、22、23とは、無線通信を行うことができる。車載機24は、それが搭載された走行体C及び/または通行料金を支払うべき課金対象者を識別する固有情報UIを少なくとも記憶する。固有情報UIの例として、走行体Cの車両ナンバー、車種(普通車、大型車等の車種区分。通常、車種区分に応じた通行料金が課される)、車載機24を識別する車載機24識別子、走行体Cに乗車しているユーザ若しくは当該ユーザによる有料道路W通行に対し課される通行料金を支払うべき課金対象者を識別するユーザ識別子、等を挙げることができる。因みに、ICカードの如き着脱可能な補助記憶デバイスを車載機24に接続して用いる場合には、車両ナンバー等を車載機24に、ユーザ識別子等をICカードに、というように、固有情報UIの要素を分散させて記憶させることができる。路側機21、22、23は、入口料金所、出口料金所、有料道路Wの本線上の所要地点に設置する。これら路側機21、22、23は、無線通信により、車載機24若しくはICカードが記憶している情報を読み出したり、車載機24若しくはICカードへ情報を書き込んだりすることができる。
【0018】
本実施形態では、東名高速道路、名神高速道路等の対距離料金制を採用している有料道路Wを想定する。但し、首都高速道路、阪神高速道路等の均一料金制を採用している有料道路Wに本実施形態を適用することを妨げない。既存のETCシステムにおいて、有料道路Wを通行すべく走行体Cが入口料金所を通過する時、当該入口料金所の路側機21が、入口料金所を識別する入口料金所識別子や入口料金所を通過した日時等の情報を含む入口情報を車載機24側に記憶させる書き込み命令を送信する。これを受信した車載機24は、車載機24若しくはICカードに入口情報を記憶する。また、有料道路Wを通行中の走行体Cが路側機23を設置した中途点を通過する時、当該中途点の路側機23が、中途点を識別する中途点識別子や中途点を通過した日時等の情報を含む経路情報を車載機24側に記憶させる書き込み命令を送信する。これを受信した車載機24は、車載機24若しくはICカードに経路情報を記憶する。そして、走行体Cが出口料金所を通過する時、車載機24が、記憶している入口情報、経路情報や固有情報UI等を出口料金所の路側機22に向けて送信し、路側機22がこれを受信する。出口料金所に設置した路側機22は、電気通信回線を介して課金装置1と接続しており、車載機24より受信した入口情報、経路情報や固有情報UI等を課金装置1に送信する。かつ、出口料金所の路側機22が車載機24より入口情報、経路情報や固有情報UI等を受け取った時に、当該路側機22が、出口料金所識別子や走行体Cが出口料金所を通過した日時等の情報を含む出口情報を生成して課金装置1に送信する。但し、入口情報、経路情報や固有情報UI等を受け取った課金装置1が、これらの情報を発信した路側機22のある出口料金所を識別する出口情報識別子やこれらの情報を受け取った日時(走行体Cが出口料金所を通過した日時と同義となる)等の情報を含む出口情報を生成するものとすることを妨げない。因みに、出口情報は、出口料金所の路側機22より車載機24に向けて送信され、車載機24若しくはICカードに記憶される。
【0019】
上記より、課金装置1が入口情報、出口情報、経路情報等を取得できる。このとき、入口情報を前記起点情報SI、出口情報を前記終点情報EI、経路情報を前記中途点情報MIとすることができる。結果として、課金装置1が、一回の通行の事実を示す通行情報PIを、通行情報提供装置2より取得することとなる。なお、起点情報SI、終点情報EI、中途点情報MIの取得の態様は、上述したようなものには限られない。起点情報SI、経路情報は、出口料金所の路側機22で取得され課金装置1にもたらされるとは限られない。よって、走行体Cの通過を認識した入口料金所の路側機21が起点情報SIを生成し電気通信回線を経由して課金装置1に送信するものとしてもよく、走行体Cの通過を認識した中途点の路側機23が中途点情報MIを生成し電気通信回線を経由して課金装置1に送信するものとしてもよい。加えて、有料道路Wの通行に係る起点情報SI、終点情報EI、中途点情報MIは、一回一回の通行の都度路側機21、22、23を介して課金装置1に取得させてもよく、あるいは、一回一回の通行に係る起点情報SI、終点情報EI、中途点情報MIを車載機24に蓄積しておき、必要に応じて複数回分の情報をまとめて取得させても構わない。
【0020】
また、通行情報提供装置2は、既存のETCシステムにおける車載機、路側機を応用して構築することができるが、ETCシステムにおける車載機、路側機とは異なる構成のものとすることを妨げない。例えば、RFID(Radio Frequency IDentification;カード状若しくはタグ状の記録媒体に対し、電磁波を用いて情報の記録または読出を行う認識方法)を利用して通行情報提供装置2を構築することが考えられる。即ち、非接触で情報の読出や書換が可能な記録媒体であるRFIDタグを走行体Cに搭載しておくとともに、当該RFIDタグに記憶されている情報を読み出したりRFIDタグに情報を書き込んだりするための無線デバイスを包含する路側機21、22、23を入口料金所、出口料金所や本線上の中途点に設置しておけば、当該路側機21、22、23が有料道路Wを通行するユーザ若しくは走行体Cを認識して起点情報SI、終点情報EIや中途点情報MIを生成することができる。さらには、走行体Cに車載機24を搭載することなく通行情報提供装置2を構築することも可能である。例えば、走行体Cの車両ナンバーを撮影するカメラ及び撮影画像を処理して車両ナンバーを読みとるコンピュータを包含する路側機21、22、23を入口料金所、出口料金所や本線上の中途点に設置しておけば、当該路側機21、22、23が有料道路Wを通行する走行体Cの車両ナンバーを読みとって起点情報SI、終点情報EIや中途点情報MIを生成することができる。
【0021】
課金装置1は、同一ユーザ若しくは同一走行体Cによる連続する複数回の通行が、別々の機会におけるものでなく「途中下車」したことで生じたものであるか否かを判断し、その判断に応じて前記複数回の通行に対する課金額を決定する機能を有する。課金装置1は、例えば、図3に示すように、プロセッサ1a、メインメモリ1b、ハードディスクドライブに代表される補助記憶デバイス1c、NIC(Network Interface Card)その他の、電気通信回線を介して情報の送受信を行うための通信インタフェース1d、等のハードウェア資源を少なくとも具備する。通常、プロセッサ1aによって実行されるべきプログラムが補助記憶デバイス1cに格納されており、プログラムの実行の際には補助記憶デバイス1cからメインメモリ1bに読み込まれ、プロセッサ1aによって解読される。そして、該プログラムに従って上記のハードウェア資源を作動し、図1に示す通行情報取得手段11、判断手段12、課金額決定手段13、課金情報出力手段14としての機能を発揮するようにしている。
【0022】
各部の動作について説明する。通行情報取得手段11は、通信インタフェース1dの機能を利用し、起点情報SI、終点情報EI、中途点情報MIのうち少なくとも一つを含む通行情報PIを、電気通信回線を介して接続している路側機21、22、23より取得する。通行情報取得手段11が取得する通行情報PIを、図4に例示する。通行情報PIの要素たる起点情報SIは、ユーザ若しくは走行体Cが通過した入口料金所を識別する入口料金所識別子、当該入口料金所を通過した日時、通過した料金所レーンを識別するレーン番号、等を含む。入口料金所識別子は、通行の起点を識別する情報となる。終点情報EIは、ユーザ若しくは走行体Cが通過した出口料金所を識別する出口料金所識別子、当該出口料金所を通過した日時、通過した料金所レーンを識別するレーン番号、等を含む。出口料金所識別子は、通行の終点を識別する情報となる。中途点情報MIは、ユーザ若しくは走行体Cが通過した経路上の中途点を識別する中途点識別子、当該中途点を通過した日時、等を含む。通常、これら起点情報SI、終点情報EI若しくは中途点情報MI、または通行情報PIは、有料道路Wを通行したユーザ若しくは課金対象者及び/または走行体Cを識別する固有情報UIと関連づけられ、通行情報PIが示す有料道路W通行の事実の主体を事後的に確認することが可能となっている。因みに、取得した通行情報PIは、課金装置1のメインメモリ1b若しくは補助記憶デバイス1cの所要の記憶領域に格納される。本実施形態では、通行情報PIに起点情報SIと終点情報EIとがともに含まれるものとしているが、中途点情報MIは含まれないことがある。なお、起点から終点まで移動するための経路が複数存在するような場合には、通行情報PIが経路情報をも取得するものとして、何れの経路を通行したかに応じて通行料金を決定できるようにしてもよい。
【0023】
判断手段12は、通行情報取得手段11が取得した、連続する複数回の通行に係る通行情報PIを参照し、これら複数回の通行を一回の通行と見なすか否かを判断する。即ち、同一の固有情報UIに関連づけられている通行情報PIを参照して、連続する複数回の有料道路Wの通行に対する課金額を割り引くことができるか否かを判断する。通常、判断手段12は、ソフトウェアを主体として構成される。連続する複数回の通行を一回の通行と見なすための条件の設定には、種々の態様が考えられる。以降、条件設定の例を列挙する。
(i)所定の期間内での利用を条件とする。これは、連続する複数回の通行のうち最先の通行の開始時点、言い換えるならば初めて入口料金所を通過した時点が属する所定の期間内において有料道路Wからの一時退出及び有料道路Wへの復帰を容認するものである。典型例としては、「一日乗り放題」あるいは「定期券」方式を挙げることができる。所定期間を一日若しくは複数日単位で定める場合、一日の定義を、午前0時から午後24時までとしてもよく、一般に通行量が増え始める時刻に合わせて例えば午前6時から翌日午前6時までとしてもよい。判断が容易であり、ユーザにとっても分かり易いが、事故等による渋滞はいつ発生するか分からないことから、この条件設定は突発的な渋滞の緩和には必ずしも効果的でない。
(ii)制限時間内での利用を条件とする。これは、初めて入口料金所を通過した時点より始まる所定の制限時間内において有料道路Wからの一時退出及び復帰を容認するものである。比較的短距離、小規模の有料道路Wで有効である反面、大規模な高速道路等を利用して長距離移動しようとするユーザにとっては時間制限が負担となる。加えて、制限時間ぎりぎりの状況での駆け込み利用が事故の要因となりかねない危険性を孕む。従って、この条件を採用するときには、
(iii)前回の利用終了時点より所定の時間内での利用再開を条件とする。これは、最後に出口料金所を通過した時点より所定の時間内に入口料金所を通過して通行を再開した場合に、その出口料金所通過より入口料金所通過までの間の一時退出を容認するものである。大規模な高速道路等を利用して長距離移動しようとするユーザにとっても便利であるが、駆け込み利用による事故の危険性の問題が残る。
(iv)前回の利用終了地点より所定の地域内での利用再開を条件とする。これは、前回の通行の終点を基に定められる所定範囲内にある起点より通行を再開、言い換えるならば最後に通過した出口料金所を基に選定される入口料金所を通過して通行を再開した場合に、その出口料金所通過より入口料金所通過までの間の一時退出を容認するものである。大規模な高速道路等を利用して長距離移動しようとするユーザにとっても便利である。因みに、通行の終点と、次回通行時に有料道路Wに再入場することを許される一若しくは複数の起点とを対応づけたテーブル情報(図示しない)を課金装置1のメインメモリ1b若しくは補助記憶デバイス1cの所要の記憶領域に予め格納しておき、判断手段12が当該テーブル情報をも参照して判断を行い得るように構成することが好ましい。
(v)複数回の通行が全体として後戻りのない一方向への通行であることを条件とする。これは、ある回の通行の起点がその直前の回の通行の終点から見て反進行方向側になく、かつ、ある回の通行の終点がその起点から見て反進行方向側にない場合に、その複数回の通行の合間に介在する一時退出及び復帰を容認するものである。とりわけ、起点情報SI、終点情報EIまたは中途点情報MIに、ユーザ若しくは走行体Cの進行方向を示す情報(例えば、入口料金所識別子若しくは出口料金所識別子が上り方面と下り方面とで異なるときの入口料金所識別子若しくは出口料金所識別子、あるいは料金所で通過する料金所レーンの番号が上り方面と下り方面とで異なるときのレーン番号、他)が含まれているならば、これを参照することでユーザ若しくは走行体Cが何れの方向を進行方向としているのかを把握でき、当該条件判断に資する。因みに、通行の終点と、次回通行時に有料道路Wに再入場することを許される一若しくは複数の起点、即ち、後戻りとはならない起点とを対応づけたテーブル情報を課金装置1のメインメモリ1b若しくは補助記憶デバイス1cの所要の記憶領域に予め格納しておき、判断手段12が当該テーブル情報を参照して判断を行い得るように構成することが好ましい。
【0024】
判断手段12は、上記の条件のうち少なくとも一つの条件または複数を組み合わせた複合条件を満足する場合に、連続する複数回の利用を一回の通行と見なす旨の判断を下すものとする。判断手段12が判断を行う際の処理を図5に示す。複数回の通行に関する判断を行う必要が生じたとき、判断手段12は、有料道路W通行の主体を識別する固有情報UIと関連づけられている、連続する複数回の通行に係る通行情報PIを参照する(ステップS1)。既に述べたように、通行情報PIは、通行情報取得手段11により取得され、課金装置1のメインメモリ1b若しくは補助記憶デバイス1cに格納される。判断手段12は、通行情報取得手段11が取得した通行情報PI並びに格納した通行情報PIのうち、同一の固有情報UIに関連づけられている通行情報PIを抽出して参照する。但し、複数回の通行に係る通行情報PIが走行体Cに搭載された車載機24の補助記憶デバイスに蓄積されており、これを通行情報取得手段11が取得して判断手段12が参照するという態様を妨げない。そして、通行情報PIに含まれる起点情報SI、終点情報EI及び/または中途点情報MIを基に、これら複数回の通行を一回の通行と見なすか否かを判断する(ステップS2)。判断手段12による判断の手順の詳細を、図6に例示する。判断手段12は、ある回の通行に係る通行情報PI及びその前の回の通行に係る通行情報PIを参照し、ある回に通行した有料道路Wが、同じユーザ若しくは走行体Cが前回通行した有料道路Wと同一系統の道路であるか否かを判断する(ステップS21)。ある回と前回とで相異なる系統の有料道路Wを通行している場合、これら複数回の通行は別個のものと見なされる(ステップS24)。ある回と前回とで同一系統の有料道路Wを通行している場合には、これら複数回の通行が全体として後戻りのない一方向への通行であるか否かを判断する(ステップS22)。ここでは、前回の通行の終点を示す出口料金所識別子と次に再入場することを許される入口料金所識別子とを対応づけるテーブル情報を参照し、ある回の通行の起点を示す入口料金所識別子が再入場を許される入口料金所識別子に該当するものであるかどうかを調べる。ある回の通行の起点である入口料金所が、前回の通行の終点である出口料金所を基に定められる再入場を許された料金所でない場合、ある回の通行と前回の通行とは別個のものと見なされる。さらにこのステップS22で、ある回の通行情報PIに含まれる中途点情報MIを参照して判断材料とすることも可能である。ある回の通行と前回の通行とが全体として後戻りのない一方向への通行であると判断できる場合には、基本的にこれら複数回の通行を一回の通行と見なすことができる。一回の通行と見なす旨の判断をしたとき、これら複数回の通行に係る通行情報PIをリンクを張る等により関連づけすることが望ましい。但し、複数回の通行を一回の通行と見なすための条件をさらに加えることを妨げない。例えば、図6に示しているように、ステップS22に引き続いて、前回の通行に係る通行情報PIとリンクしている以前の通行情報PIのうち最先のもの(言い換えるならば、前回以前の通行であって前回の通行と連続する一回の通行と見なされる通行のうち最先のものに係る通行情報PI)に含まれる起点情報SIを参照し、最先の通行の開始時点(即ち、最先の通行において入口料金所を通過した時点)からある回の通行の開始時点(即ち、ある回の通行において入口料金所を通過した時点)までの間に経過した時間が所定時間(24時間、48時間、等)を超えているかどうかを判断する(ステップS23)。ステップS23にあって、前回の通行に係る通行情報PIとリンクしている以前の通行情報PIが存在しないときは、前回の通行を最先の通行とし、前回の通行に係る通行情報PIに含まれる起点情報SIを参照して、前回の通行における入口料金所通過時点からある回の通行における入口料金所通過時点までの間に経過した時間が所定時間を超えているかどうかを判断する。ある回の通行における入口料金所通過時点が、最先の通行(上述したように、前回の通行であることがある)における入口料金所通過時点より所定時間を経過した後にある場合には、ある回の通行と前回以前の通行とは別個のものと見なされる。一方で、ある回の通行における入口料金所通過時点が、最先の通行における入口料金所通過時点より所定時間を経過する以前にある場合には、ある回の通行と前回以前の通行とを一回の通行と見なす旨の判断を下す(ステップS25)。このとき、ある回の通行に係る通行情報PIと、前回以前の通行に係る通行情報PIとをリンクを張る等により関連づけする。なお、判断手段12が複数回の通行に関する判断を行うタイミングは特に限定されない。判断手段12が判断を行うタイミングは、ユーザ若しくは走行体Cが出口料金所を通過する時でもよく、入口料金所を通過するときでもよい。また、通行料金の課金処理を実行する時(料金所通過時には限られない。有料道路Wの通行より後に実行されることもあり得る)に、判断手段12による判断を行うものとしてもよい。
【0025】
課金額決定手段13は、判断手段12による判断に応じて、前記複数回の通行に対する課金額を決定する。通常、判断手段12は、ソフトウェアを主体として構成される。判断手段12により一回の通行と見なす旨の判断を下された複数回の有料道路W通行に対する課金額の決定の態様について詳述する。対距離料金制を採用している有料道路Wの通行料金の例を、図7に示す。一般に、対距離料金制を採用している有料道路Wでは、通行の起点と終点とを基に定められる通行料金が課される。因みに、有料道路Wを通行した走行体Cの車種により通行料金が異なることが普通である。図7に示す料金テーブルは、通行の起点を識別する情報である入口料金所識別子、通行の終点を識別する情報である出口料金所識別子並びに走行体Cの車種(図示例は、車種が普通車である場合の通行料金)を識別する情報と、通行料金とを関連づけてなるものである。通常、このような料金テーブルが、課金装置1のメインメモリ1b若しくは補助記憶デバイス1cの所要の記憶領域に予め格納されている。通行情報取得手段11が取得する、有料道路Wの一回の通行の事実を示す通行情報PIには、その通行区間を識別する情報が含まれている。課金額決定手段13は、一回の通行と見なすことができる複数回の通行に係る通行情報PIに含まれる起点情報SI及び終点情報EI、固有情報UIを参照し、複数回の通行の各々についてその起点と終点を調べ、さらに走行体Cの車種を調べる。加えて、経路に応じて通行料金が変わるような場合には、中途点情報MIをも参照する。そして、料金テーブルを参照し、通行料金を決定する。ここで、課金額決定手段13は、一回の通行と見なすことができる複数回の通行の各々に対し個別に課金した場合の通行料金の合計が、一回の通行と見なして課金した場合の通行料金を上回るとき、前記合計より低額となるように、複数回の通行に対する課金額を決定する。前記合計が、一回の通行と見なして課金した場合の通行料金を下回る(あるいは、同額となる)ときには、複数回の通行に対する料金をそのまま課金するか、さらに割り引いた額を課金する。本実施形態では、複数回の通行に対する料金の合計と、見なし一回の通行に対する料金とのうち安い方と同額となるように、複数回の通行に対する課金額を決定するものとしている。以降、具体例を列挙する。ユーザは、東京インターチェンジより出発し、清水インターチェンジを目的地として移動すると仮定する。東京インターチェンジより清水インターチェンジまでの通行料金は、図7の料金テーブルにあるように、3850円である。
(i)厚木インターチェンジで一旦有料道路W外に出て、厚木インターチェンジより有料道路Wに復帰、清水インターチェンジに至る。東京〜厚木、厚木〜清水の二回の通行を一回の通行と見なすとした場合;東京〜厚木の通行料金が1250円、厚木〜清水の通行料金が3000円で、合計4250円。東京〜清水の通行料金3850円を上回ることから、これら二回の通行に対する課金額を3850円と決定する。
(ii)厚木インターチェンジで一旦有料道路W外に出て、途中観光し、秦野中井インターチェンジより有料道路Wに復帰、清水インターチェンジに至る。東京〜厚木、秦野中井〜清水の二回の通行を一回の通行と見なすとした場合;東京〜厚木の通行料金が1250円、秦野中井〜清水の通行料金が2700円で、合計3950円。東京〜清水の通行料金3850円を上回ることから、これら二回の通行に対する課金額を3850円と決定する。
(iii)厚木インターチェンジで一旦有料道路W外に出て、途中観光し、大井松田インターチェンジより有料道路Wに復帰、清水インターチェンジに至る。東京〜厚木、大井松田〜清水の二回の通行を一回の通行と見なすとした場合;東京〜厚木の通行料金が1250円、大井松田〜清水の通行料金が2500円で、合計3750円。東京〜清水の通行料金3850円を下回ることから、これら二回の通行に対する課金額を3750円と決定する。あるいは、これら二回の通行を、そのまま二回の通行として処理する。
即ち、複数回の通行を、当該複数回の通行のうち最先のものの起点から最後のものの終点まで通行した一回の通行と見なし、当該一回の通行に対する料金と比較して合計金額が上回るときには見なし一回の通行に対する料金を採用するものとしている。勿論、判断手段12により別個の通行と見なす旨の判断を下された複数回の有料道路W通行に対する料金については、従前の通り決定してよい。なお、課金額決定手段13が複数回の通行に対する課金額を決定するタイミングは特に限定されない。課金額決定手段13が課金額の決定を行うタイミングは、ユーザ若しくは走行体Cが出口料金所を通過する時には限られない。
【0026】
課金情報出力手段14は、課金額決定手段13が決定した課金額に関する情報を含む課金情報を出力する。課金情報の出力の態様としては、外部への送信、ディスプレイへの表示、ハードディスクやフレキシブルディスクその他の記憶デバイスへの書き込み、プリントアウト、等を挙げることができる。従って、課金額出力手段の具体的構成は、課金情報の出力の態様に依存する。本実施形態では、課金情報を補助記憶デバイス1cの所要の記憶領域に書き込むとともに、必要に応じて外部のコンピュータ3に通信インタフェース1dの機能を利用して送信するという態様で、課金情報の出力を行うものとしている。課金情報の送信の宛先は、例えばクレジットカード会社や銀行等の金融機関その他の決済系のコンピュータ3や、路側機21、22、23(ユーザに課金情報をフィードバックするため)である。
【0027】
因みに、上記の各部の機能が複数のハードウェアに分担され、これらが協働することにより課金装置1として成立するものとしてもよい。
【0028】
本実施形態によれば、有料道路Wの通行料金を収受する料金収受システムにおいて用いられるものとして、有料道路Wの一回の通行の事実を示しその通行の起点、終点または経路上の中途点のうち少なくとも一つを識別する情報を含む通行情報PIを取得する通行情報取得手段11と、前記通行情報取得手段11が取得した、連続する複数回の通行に係る通行情報PIを参照し、これら複数回の通行を一回の通行と見なすか否かを判断する判断手段12と、前記判断手段12による判断に応じて前記複数回の通行に対する課金額を決定する課金額決定手段13と、前記課金額決定手段13が決定した課金額に関する情報を含む課金情報を出力する課金情報出力手段14とを具備する課金装置1を構成したため、有料道路Wの一時退出、いわば「途中下車」を認める仕組みを料金収受システムに実装可能となる。その結果、顕著な効果がもたらされる。まず、有料道路W上に渋滞箇所が存在するとき、当該渋滞箇所に流入する交通量の一部を一般道路に分散させることができる。このことから、巨視的に見て道路網の利用がより効率化され、局地的な渋滞の緩和ないし解消が期待できる。次に、有料道路W上を走行している最中に食事、休憩等を取りたくなったとき、有料道路Wの外に一旦出て、一般道路の沿線に存在する飲食店や宿泊施設その他種々の施設を利用することが可能となる。従来ならば、有料道路W上に間欠的に設けられたサービスエリアやパーキングエリアの施設を利用する以外には手段がなく、そのことがユーザに不便を強いる要因の一つとなっていたが、「途中下車」を認めることで他の選択肢を提供でき、ユーザにとっての利便性を向上させることが可能となる。同時に、今までは単に通り過ぎてゆくのみであった人々が立ち寄る機会が増えることから、有料道路Wが通っている地域にとっては活性化や雇用の拡大につながる。そして、当該地域の物産、飲食、観光、祭事その他の文化的催物等の地場産業の新たな可能性を模索できる。さらに、サービスエリアやパーキングエリアを有料道路W上に整備する必要性が低減するため、その設置、維持、管理のコストを削減することができる。加えて、サービスエリアやパーキングエリアを有料道路Wの外に設けることも可能となる。その上で、「途中下車」をETCシステム利用者に限って認めることとすれば、「途中下車」がもたらす利便性の大きさから、ETCシステム利用、ETC車載機導入へのインセンティブが高められ、利用者が大きく拡大するものと思われる。ETCシステムの利用者が拡大すれば、料金所におけるETCレーンの増加(逆に、一般レーンの縮減)が可能となり、かねてから期待されていたETCシステムの効用、即ち、料金所渋滞の解消や料金所周辺の環境の改善が期待できる。並びに、各料金所ブースに人員を配置する必要がなくなるため、より効果的な人的資源の分配を実現できる。
【0029】
前記判断手段12が、少なくとも前記複数回の通行が全体として後戻りのない一方向への通行であることを条件として、これら複数回の通行を当該複数回の通行のうち最先のものの起点から最後のものの終点まで通行した一回の通行と見なす旨の判断を下すものであるため、有料道路Wの「途中下車」を認める制度を適切に導入することができる。
【0030】
前記判断手段12による判断が前記複数回の通行を前記一回の通行と見なす旨のものであり、前記複数回の通行に対する料金の合計が前記一回の通行に対する料金を上回るとき、前記課金額決定手段13が、前記合計より低額となるように前記複数回の通行に対する課金額を決定するものであるため、ユーザによる有料道路Wの「途中下車」を促進できる。
【0031】
また、前記判断手段12による判断が前記複数回の通行を前記一回の通行と見なす旨のものであるとき、前記課金額決定手段13が、前記複数回の通行に対する料金の合計と前記一回の通行に対する料金とのうち安い方と同額となるように前記複数回の通行に対する課金額を決定するものとすることが簡便であり、ユーザにとっても課金額の決定ルールが明快となるため好ましい。
【0032】
しかして、有料道路Wを通行するユーザ若しくは走行体Cが通過した入口料金所を識別する情報を含む起点情報SI、出口料金所を識別する情報を含む終点情報EIまたは経路上の中途点を識別する情報を含む中途点情報MIのうち少なくとも一つを生成することにより、有料道路Wの一回の通行の事実を示しその通行の起点、終点または経路上の中途点のうち少なくとも一つを識別する情報を含む通行情報PIを構成する通行情報提供装置2と、前記通行情報提供装置2より通行情報PIを取得する課金装置1とを具備してなる料金収受システムを構築すれば、所期の目的、即ちETCシステムの利用者の拡大並びに有料道路Wの利便性の向上を達成することが可能となる。
【0033】
<第2実施形態>続いて述べる本実施形態は、首都高速道路、阪神高速道路等の均一料金制を採用している有料道路Wを想定したものである。以下、第1実施形態との相違点に主眼を置いて説明する。本実施形態におけるシステムもまた、有料道路Wの一回の通行の事実を示しその通行の起点、終点または経路上の中途点のうち少なくとも一つを識別する情報を含む通行情報PIを構成する通行情報提供装置2と、通行情報提供装置2より通行情報PIを取得して有料道路Wの通行に対する課金額を決定する課金装置1とを主要な構成要素とする。通行情報提供装置2、課金装置1の基本的な構成は、第1実施形態と同様とすることができるため、ここでは説明を省略する。
【0034】
しかし、本実施形態では、通行情報提供装置2が取得する通行情報PIに、必ずしも起点情報SIと終点情報EIとの両方が含まれない。均一料金制を採用している有料道路Wでは、ユーザ若しくは走行体Cが通行した料金圏、即ち通行料金が一定の圏域を識別できればよく、起点情報SI、終点情報EIまたは中途点情報MIのうち少なくとも一つを参照することで一回の通行の事実を知得できるからである。よって、路側機21、22、23が入口料金所にのみ、出口料金所にのみまたは経路上の中途点にのみ設置され、他の場所には設置されないことがある。既存のETCシステムにおいて、走行体Cが路側機21、22、23を設置している入口料金所、出口料金所または有料道路W上の中途点を通過する時、走行体Cに搭載した車載機24が、記憶している固有情報UI等を路側機21、22、23に向けて送信し、路側機21、22、23がこれを受信する。しかる後、路側機21、22、23は、車載機24より受信した固有情報UI等とともに、路側機が存在する入口料金所、出口料金所または中途点を識別する情報を含む通行情報PIを課金装置1に送信する。
【0035】
課金装置1は、プログラムに従ってハードウェア資源を作動し、図1に示す通行情報取得手段11、判断手段12、課金額決定手段13、課金情報出力手段14としての機能を発揮するものである。各部の動作は、第1実施形態におけるそれと概ね同じである。だが、判断手段12による判断の態様、並びに課金額決定手段13による課金額の決定の態様について補足すべき点があるため、ここで述べることとする。通行情報取得手段11が取得する、有料道路Wの一回の通行の事実を示す通行情報PIには、その料金圏を識別する情報となる、起点情報SI、終点情報EIまたは中途点情報MIが含まれている。しかしながら、その通行区間即ち何れの起点より何れの終点まで実際に通行したのかは必ずしも特定することができない。例を挙げて述べると、首都高速道路では、入口料金所にのみ路側機21を設置することとなるため、有料道路W通行の起点のみを特定可能である。従って、ユーザ若しくは走行体Cの進行方向を把握して適切な判断を下すために、起点情報SI、終点情報EIまたは中途点情報MIに含まれるユーザ若しくは走行体Cの進行方向を示す情報(例えば、入口料金所識別子若しくは出口料金所識別子が上り方面と下り方面とで異なるときの入口料金所識別子若しくは出口料金所識別子、あるいは料金所で通過する料金所レーンの番号が上り方面と下り方面とで異なるときのレーン番号、他)を援用するか、因みに、前回の通行の起点(または終点、中途点)と、次回通行時に有料道路Wに再入場することを許される一若しくは複数の起点(または次回通行時に通過することを許される終点、中途点)とを対応づけたテーブル情報(図示しない)を課金装置1のメインメモリ1b若しくは補助記憶デバイス1cの所要の記憶領域に予め格納しておき、判断手段12が当該テーブル情報をも参照して判断を行うようにすることが好ましい。加えて、環状線が存在している有料道路W網にあっては、環状線のランプより入場することで有料道路Wの不正な往復利用が可能となってしまう。よって、環状線上の複数箇所(外回り、内回り)、環状線と支線とのジャンクションその他任意の中途点に路側機23を設置しておき、不正利用を防止できるようにすることが好ましい。勿論、入口料金所と出口料金所との双方に路側機21、23を設置してもよい。
【0036】
また、均一料金制を採用している有料道路Wでは、料金圏毎に定められた通行料金が課される。課金額決定手段13は、一回の通行と見なすことができる複数回の通行に係る通行情報PIに含まれる起点情報SI、終点情報EIまたは中途点情報MIを参照し、複数回の通行の各々についてその料金圏を調べ、さらに走行体Cの車種を調べる。そして、通行料金を決定する。ここで、課金額決定手段13は、一回の通行と見なすことができる複数回の通行の各々に対し個別に課金した場合の通行料金の合計が、一回の通行と見なして課金した場合の通行料金を上回るとき、前記合計より低額となるように、複数回の通行に対する課金額を決定する。前記合計が、一回の通行と見なして課金した場合の通行料金を下回る(あるいは、同額となる)ときには、複数回の通行に対する料金をそのまま課金するか、さらに割り引いた額を課金する。本実施形態では、複数回の通行に対する料金の合計と、見なし一回の通行に対する料金とのうち安い方と同額となるように、複数回の通行に対する課金額を決定するものとしている。以降、具体例を示す。ユーザは、高井戸インターチェンジより出発し、首都高速5号北池袋ランプを目的地として移動すると仮定する。高井戸インターチェンジより首都高速5号北池袋ランプまでの通行料金は、700円である。
(iv)新宿ランプで一旦有料道路W外に出て、渋滞箇所を迂回し、霞ヶ関ランプより有料道路Wに復帰、首都高速5号北池袋ランプに至る。高井戸〜新宿、霞ヶ関〜5号北池袋の二回の通行を一回の通行と見なすとした場合;高井戸〜新宿、霞ヶ関〜5号北池袋の通行料金がそれぞれ700円で、合計1400円。高井戸〜5号北池袋の通行料金700円を上回ることから、これら二回の通行に対する課金額を700円と決定する。
即ち、複数回の通行を、当該複数回の通行のうち最先のものの起点から最後のものの終点まで通行した一回の通行と見なし、当該一回の通行に対する料金と比較して合計金額が上回るときには見なし一回の通行に対する料金を採用するものとしている。均一料金制を採用している有料道路Wでは、通行料金の合計金額が通行の回数に比例する。よって、所定の条件を満たす場合に複数回の通行を一回の通行と見なす本システムが、ユーザによる有料道路Wの「途中下車」を大いに促すこととなる。勿論、判断手段12により別個の通行と見なす旨の判断を下された複数回の有料道路W通行に対する料金については、従前の通り決定してよい。
【0037】
その他、特に言及しなかった事項に関しては、上記第1実施形態と同様である。本実施形態によれば、有料道路Wの一時退出、いわば「途中下車」を認める仕組みを料金収受システムに実装可能となり、その結果、既に述べたような顕著な効果がもたらされる。
【0038】
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。各部の具体的構成や、図5、図6に示す処理の手順等もまた、上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。言うまでもなく、汎用的なコンピュータにプログラムをインストールして本発明に係る課金装置1を構成可能であって、専用の装置を製造することが必須であるわけではない。
【0039】
【発明の効果】
以上に詳述した本発明によれば、ETCシステムの利用者の拡大並びに有料道路の利便性の向上の双方を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る課金装置の機能ブロック図。
【図2】本発明の一実施形態における料金収受システムの構成を示す図。
【図3】同実施形態における課金装置が具備するハードウェア資源を示す図。
【図4】通行情報を例示する図。
【図5】課金装置が実行する処理の手順を示すフローチャート。
【図6】同フローチャート。
【図7】対距離料金制を採用している有料道路の料金テーブルを例示する図。
【符号の説明】
1…課金装置
11…通行情報取得手段
12…判断手段
13…課金額決定手段
14…課金情報出力手段
2…通行情報提供装置
Claims (9)
- 有料道路の通行料金を収受する料金収受システムにおいて用いられるものであって、
有料道路の一回の通行の事実を示しその通行の起点、終点または経路上の中途点のうち少なくとも一つを識別する情報を含む通行情報を取得する通行情報取得手段と、
前記通行情報取得手段が取得した、連続する複数回の通行に係る通行情報を参照し、これら複数回の通行を一回の通行と見なすか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段による判断に応じて前記複数回の通行に対する課金額を決定する課金額決定手段と、
前記課金額決定手段が決定した課金額に関する情報を含む課金情報を出力する課金情報出力手段と
を具備する課金装置。 - 前記判断手段は、少なくとも前記複数回の通行が全体として後戻りのない一方向への通行であることを条件として、これら複数回の通行を当該複数回の通行のうち最先のものの起点から最後のものの終点まで通行した一回の通行と見なす旨の判断を下すものである請求項1記載の課金装置。
- 前記判断手段による判断が前記複数回の通行を前記一回の通行と見なす旨のものであり、前記複数回の通行に対する料金の合計が前記一回の通行に対する料金を上回るとき、
前記課金額決定手段が、前記合計より低額となるように前記複数回の通行に対する課金額を決定する請求項1又は2記載の課金装置。 - 前記判断手段による判断が前記複数回の通行を前記一回の通行と見なす旨のものであるとき、
前記課金額決定手段が、前記複数回の通行に対する料金の合計と前記一回の通行に対する料金とのうち安い方と同額となるように前記複数回の通行に対する課金額を決定する請求項1、2又は3記載の課金装置。 - 請求項1、2、3又は4記載の課金装置を構成するために用いられるものであって、コンピュータを、
有料道路の一回の通行の事実を示しその通行の起点、終点または経路上の中途点のうち少なくとも一つを識別する情報を含む通行情報を取得する通行情報取得手段、
前記通行情報取得手段が取得した、連続する複数回の通行に係る通行情報を参照し、これら複数回の通行を一回の通行と見なすか否かを判断する判断手段、
前記判断手段による判断に応じて前記複数回の通行に対する課金額を決定する課金額決定手段、及び、
前記課金額決定手段が決定した課金額に関する情報を含む課金情報を出力する課金情報出力手段
として機能させるプログラム。 - 前記判断手段は、少なくとも前記複数回の通行が全体として後戻りのない一方向への通行であることを条件として、これら複数回の通行を当該複数回の通行のうち最先のものの起点から最後のものの終点まで通行した一回の通行と見なす旨の判断を下すものである請求項5記載のプログラム。
- 前記判断手段による判断が前記複数回の通行を前記一回の通行と見なす旨のものであり、前記複数回の通行に対する料金の合計が前記一回の通行に対する料金を上回るとき、
前記課金額決定手段が、前記合計より低額となるように前記複数回の通行に対する課金額を決定する請求項5又は6記載のプログラム。 - 前記判断手段による判断が前記複数回の通行を前記一回の通行と見なす旨のものであるとき、
前記課金額決定手段が、前記複数回の通行に対する料金の合計と前記一回の通行に対する料金とのうち安い方と同額となるように前記複数回の通行に対する課金額を決定する請求項5、6又は7記載のプログラム。 - 有料道路を通行するユーザ若しくは走行体が通過した入口料金所を識別する情報を含む起点情報、出口料金所を識別する情報を含む終点情報または経路上の中途点を識別する情報を含む中途点情報のうち少なくとも一つを生成することにより、有料道路の一回の通行の事実を示しその通行の起点、終点または経路上の中途点のうち少なくとも一つを識別する情報を含む通行情報を構成する通行情報提供装置と、
前記通行情報提供装置より通行情報を取得する請求項1、2、3又は4記載の課金装置と
を具備してなる料金収受システム。
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