JP2004269762A - フェノール樹脂成形材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、機械的強度を実用的レベルに維持しつつ、成形収縮やベーキング後収縮、耐湿寸法変化を抑えることに優れたフェノール樹脂成形材料を提供することである。
【解決手段】フェノール樹脂の少なくとも一部としてアルキルベンゼン変性ノボラック型フェノール樹脂およびシリコーンゲル変性ノボラック型フェノール樹脂を含有することを特徴とするフェノール樹脂成形材料であり、好ましくは、前記アルキルベンゼン変性率がフェノール樹脂全体の10〜20モル%、前記シリコーンゲルの割合がシリコーンゲル含むフェノール樹脂の合計100重量部に対し、0.05〜10重量部である。
【選択図】 なし
【解決手段】フェノール樹脂の少なくとも一部としてアルキルベンゼン変性ノボラック型フェノール樹脂およびシリコーンゲル変性ノボラック型フェノール樹脂を含有することを特徴とするフェノール樹脂成形材料であり、好ましくは、前記アルキルベンゼン変性率がフェノール樹脂全体の10〜20モル%、前記シリコーンゲルの割合がシリコーンゲル含むフェノール樹脂の合計100重量部に対し、0.05〜10重量部である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フェノール樹脂成形材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
フェノール樹脂成形材料は機械的強度、寸法安定性、耐熱性、電気特性などのバランスに優れ、主にガラス繊維で強化されたフェノール樹脂成形材料はモーターのコンミテーターや自動車の機構部品など広範囲の分野に利用されている。
【0003】
しかしながら近年、フェノール樹脂成形材料に対する要求レベルは益々高度化しており、特にコンミテーターおいてはこのようなガラス繊維強化フェノール樹脂成形材料をもってしても成形収縮や吸湿寸法変化に関して満足する特性を得られない場合がある。耐湿性改良のために、アルキル変性ノボラック型フェノール樹脂を使用することが検討されている(例えば、特許文献1)が、成形収縮やベーキング後の収縮に関して充分とはいえず、この点の改良が望まれていた。
【0004】
【特許文献1】
特開平07−309997号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、機械的強度を実用的レベルに維持しつつ、成形収縮やベーキング後収縮、耐湿寸法変化を抑え、優れた特性を有するフェノール樹脂成形材料を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(8)に記載の本発明により達成される。
(1) アルキルベンゼン変性ノボラック型フェノール樹脂を含むフェノール樹脂とシリコーンゲルとを含有することを特徴とするフェノール樹脂成形材料。
(2) アルキルベンゼン変性率がフェノール樹脂全体の3〜40モル%である上記(1)記載のフェノール樹脂成形材料。
(3) シリコーンゲルがフェノール樹脂と予め溶融混練されたものである上記(1)または(2)に記載のフェノール樹脂成形材料。
(4) シリコーンゲルの割合が、フェノール樹脂とシリコーンゲルの合計量100重量部に対し、0.05〜10重量部である上記(1)ないし(3)に記載のフェノール樹脂成形材料。
(5) ガラス繊維を含む無機充填材を含有する上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のフェノール樹脂成形材料。
(6) 無機充填材としてクレー、炭酸カルシウム、ウォラストナイト、タルクの中から選ばれた1種以上を含有する上記(5)に記載のフェノール樹脂成形材料。
(7) フェノール樹脂とシリコーンゲルの合計量が、成形材料全体に対して20〜50重量%である上記(1)ないし(6)のいずれかに記載のフェノール樹脂成形材料。
(8) コンミテーター用である上記(1)ないし(7)のいずれかに記載のフェノール樹脂成形材料。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のフェノール樹脂成形材料(以下、単に「成形材料」という)について詳細に説明する。
本発明の成形材料は、アルキルベンゼン変性ノボラック型フェノール樹脂(以下、アルキルベンゼン変性ノボラック樹脂という)を含むフェノール樹脂とシリコーンゲルとを含有することを特徴とするものである。また、本発明の成形材料は、アルキルベンゼン変性ノボラック樹脂を含むフェノール樹脂とシリコーンゲル、及びガラス繊維を含む無機充填材を含有することを特徴とするものである。さらに、本発明の成形材料は、コンミテーターに好適に使用されるものである。
【0008】
本発明の成形材料は、アルキルベンゼン変性ノボラック樹脂を含むフェノール樹脂とシリコーンゲルを含有する。これにより機械的強度を実用的レベルに維持しつつ、成形収縮、ベーキング後の収縮および耐湿寸法変化を低減することができる。アルキルベンゼン変性ノボラック樹脂以外のフェノール樹脂としては、特に限定されないがノボラック型フェノール樹脂(以下、ノボラック樹脂という)を用いることが好ましく、さらに、ノボラック樹脂はハイオルソノボラック樹脂であることが好ましい。ノボラック樹脂を用いることにより、シリコーンゲルの柔軟性を効果的に発現させることができ、ハイオルソノボラック樹脂を用いることにより、成形材料製造時の作業性が向上する。ノボラック樹脂を使用する場合、通常硬化剤としてヘキサメチレンテトラミンを使用する。この場合、その含有量は特に限定されないが、通常ノボラック樹脂100重量部に対して、10〜30重量部配合することが好ましく、特に15〜25重量部配合することが好ましい。ヘキサメチレンテトラミンの配合量が前記上限値より多いと、成形品の機械的強度が低下する場合があり、前記下限値より少ないと、成形収縮を充分低減することができず、成形品の機械的強度が低下する場合がある。
【0009】
本発明の成形材料は、アルキルベンゼン変性ノボラック樹脂を使用する。これによりアルキルベンゼン変性でないフェノール樹脂に比べ機械的強度を実用的レベルに維持しつつ、耐湿寸法変化を低減することができる。その理由は、親水性であるフェノール樹脂の水酸基を疎水性であるアルキルベンゼンに置換することで吸水源が減少するためである。
【0010】
前記アルキルベンゼン変性率は、フェノール樹脂とアルキルベンゼン変性ノボラック樹脂の合計に対して3〜40モル%が好ましく、特に10〜20モル%が好ましい。アルキルベンゼン変性率が前記上限値より高いと、成形材料製造時の作業性や成形時の硬化性、成形品の機械的強度が低下する場合がある。アルキルベンゼン変性率が前記下限値より低いと、耐湿寸法変化を充分に低減することが難しい場合がある。また、一般にアルキルベンゼン変性ノボラック樹脂はフェノール樹脂に比べ硬化が遅いため、硬化を速くする目的でハイオルソノボラック樹脂を併用することが好ましい。
【0011】
本発明においては、シリコーンゲルを使用する。これにより機械的強度を実用的レベルに維持しつつ成形収縮を低減することができる。その理由は明確ではないが、シリコーンゲルは緩やかな3次元構造であり、適度な柔軟性を有していることから、成形時、冷却にともなう収縮を吸収することにより緩和することができるためと推測される。また、ベーキング後収縮を低減するためには、シリコーンゲルとノボラック樹脂を併用することが好ましい。その理由は明確ではないが、ノボラック樹脂はレゾール型フェノール樹脂に比べ架橋密度が低くなりやすいため、シリコーンゲルの柔軟性を効果的に活用でき、上記の成形収縮低減と同様の理由でベーキング後の収縮も低減することができると推測される。
【0012】
本発明において使用するシリコーンゲルは、付加反応型ポリオルガノシロキサン組成物をベースとしたゲル状物質である。かかるシリコーンゲルは適度な柔軟性を有していて、フェノール樹脂とともに使用されると、耐衝撃性、機械的強度、耐水性等に優れている上に、常温域からコンミテーターとして使用される際の高温域に至るまでの広い温度範囲において、これらの特性を維持することができる。かかるシリコーンゲルは、針入度(JIS K 2530−1976−50g加重)が10〜300であることが好ましい。かかる針入度のシリコーンゲルは、特に適度な柔軟性を持ち、耐衝撃性、振動吸収性に優れている。
【0013】
本発明においては、フェノール樹脂とシリコーンゲルとが予め溶融混練されたものであることが好ましい。これにより、フェノール樹脂とシリコーンゲルとを無機充填材など他の配合剤とともに溶融混練した場合に比べて、シリコーンゲルがフェノール樹脂中によりミクロに分散することから、上記の特長を高度に発現させることができる。この場合、フェノール樹脂中に分散したシリコーンゲルの大きさは、実質的に10μmより大きい粒径である。10μm以下では、却ってシリコーンゲルの特長が現れにくくなる。また、50μmを越える大きさでは、均一分散が損なわれやすくなる。溶融混練する場合、フェノール樹脂としてはノボラック樹脂を使用することが好ましい。これは溶融混練の際にフェノール樹脂がゲル化するおそれがないからである。
【0014】
前記シリコーンゲルの配合割合は、特に限定されないが、フェノール樹脂とシリコーンゲルの合計100重量部に対して0.05〜10重量部が好ましく、特に0.5〜5重量部が好ましい。シリコーンゲルの割合が前記上限値より多いと、成形材料製造時の作業性や成形品の機械的強度が低下する場合がある。シリコーンゲルの割合が前期下限値より少ないと、充分に成形収縮の低減することが難しい場合がある。
【0015】
前記アルキルベンゼン変性ノボラック樹脂を含むフェノール樹脂とシリコーンゲルの合計含有量は特に限定されないが、成形材料全体に対して20〜50重量%が好ましく、特に28〜36重量%が好ましい。前記含有量が前記下限値より少ないと、成形材料製造時の作業性や成形物の機械的強度が低下する場合があり、前記上限値より多いと、成形品の耐熱性、寸法安定性などが充分でない場合がある。
【0016】
本発明では、フェノール樹脂とシリコーンゲルとともにエラストマーを配合する。これにより機械的強度を維持しつつ成形収縮率を低減することができる。エラストマーとしては、アクリロニトリルブタジエンゴム、ポリビニルブチラール、酢酸ビニル樹脂などを、単独または二種以上を用いることができる。特にアクリロニトリルブタジエンゴムまたはアクリロニトリルブタジエンゴムとポリビニルブチラールとを用いるのが好ましい。これにより、熱時強度や靭性をより向上させることができる。エラストマーは成形材料全体に対して、1〜6重量%配合するのが好ましい。1重量%より少ないと成形収縮低減の効果が小さい場合があり、6重量%より多いと機械的強度が低下することがある。
【0017】
本発明の成形材料は、ガラス繊維を含む無機充填材を含有することが好ましい。カラス繊維を含有することにより、得られる成形物の機械的強度が向上する。ガラス繊維の繊維径は、特に限定されないが、10〜15μmが好ましい。これにより、成形材料化段階での作業性を向上させることができる。また、ガラス繊維の繊維長は、特に限定されないが、1〜3mmのチョップドストランドタイプのものを使用することが好ましい。これにより、成形材料化時の作業性、成形性及び成形物の強度を向上させることができる。
【0018】
前記ガラス繊維の含有量は、特に限定されないが、成形材料全体に対して30〜60重量%が好ましく、特に40〜55重量%が好ましい。ガラス繊維の含有量が前記下限値よりも少ないと、成形品の機械的強度が不十分となる場合があり、前記上限値よりも多いと、成形材料製造時の作業性が低下する場合がある。
【0019】
本発明の成形材料は、前記ガラス繊維以外の無機充填材を含有することが好ましい。これにより、得られる成形物の強度を向上させるとともに寸法安定性を向上させることができる。
前記無機充填材としては、例えば水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物、炭酸カルシウム、タルク、ウォラストナイト、アルミナ、シリカ、未焼成クレー、焼成クレー、硫酸バリウム等を挙げることができる。これらの中でもクレー、炭酸カルシウム、ウォラストナイト、タルクが好ましく、これらの中から1種以上を選択し使用する。これにより成形品の寸法安定性をさらに向上させることができる。
【0020】
前記ガラス繊維以外の無機充填材の含有量は、特に限定されないが、成形材料全体の5〜35重量%が好ましく、特に9〜25重量%が好ましい。かかる含有量が前記下限値未満であると成形品の耐熱性、寸法安定性などが充分でない場合があり、前記上限値を超えると成形材料製造時の作業性や、成形品の機械的強度が低下する場合がある。
【0021】
本発明のフェノール樹脂成形材料には、本発明の目的を損なわない範囲で離型剤、硬化助剤、顔料、エラストマー等の添加剤を添加することができる。
【0022】
本発明のフェノール樹脂成形材料を得る場合、例えば、フェノール樹脂の一部又は全部とシリコーンゲルとをニーダー、ロール等で溶融混練し、次いで他の原料と均一に混合した後、あるいは、配合する全原料をロール、コニーダ、二軸押出し機等の混錬機単独またはロールと他の混合機との組み合わせで加熱混練した後、粉砕して得られる。
【0023】
本発明の成形材料は、成形収縮率及びベーキング後の収縮が小さいという特性を有している。従って、コンミテーターのように銅リング内部にインサート成形される成形品に使用された場合、銅と樹脂との間に隙間が生じにくくなるため、切削加工や高速回転による銅セグメント間の段差(片間段差)が低減される。また本発明の成形材料は吸湿寸法変化が小さいという特性を有している。従って、コンミテーターに使用されたとき、吸湿による片間段差が低減される。以上の理由から、本発明の成形材料は、コンミテーターの用途として好適に使用されるものである。
【0024】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
アルキルベンゼン変性ノボラック樹脂はPR−51992(住友ベークライト(株)製)(アルキルベンゼン変性率はアルキルベンゼン変性ノボラック樹脂中40重量%)を使用した。一般にアルキルベンゼン変性ノボラック樹脂はフェノール樹脂に比べ硬化が遅いので、硬化を速くする目的でノボラック樹脂はハイオルソノボラック樹脂(酢酸亜鉛触媒、重量平均分子量800、O/P結合比1.2)を使用した。
シリコーンゲルは、ノボラック樹脂と予め溶融混練したシリコーンゲル含有フェノール樹脂として使用した。シリコーンゲル含有フェノール樹脂はRT−54529(住友ベークライト(株)製、シリコーンゲル含有率はシリコーンゲル含有フェノール樹脂中20重量%)である。
【0025】
(実施例1)
アルキルベンゼン変性ノボラック樹脂11重量%、ハイオルソノボラック樹脂11重量%、シリコーンゲル含有ノボラック樹脂5重量%、ヘキサメチレンテトラミン5重量%、ガラス繊維としてチョップドストランド(日本板硝子製RES03−BM38)52重量%、無機充填材として未焼成クレー((株)ECC製、ECKALITE)10重量%、および硬化助剤(水酸化カルシウム)1重量%、離型剤(ステアリン酸)1重量%、顔料(カーボンブラック)1重量%を約90℃の加熱ロールで約15分間混練し、冷却後粉砕して成形材料を得た。
【0026】
(実施例2)
アルキルベンゼン変性ノボラック樹脂13重量%、ハイオルソノボラック樹脂13.5重量%、シリコーンゲル含有ノボラック樹脂0.5重量%とした以外は、実施例1と同様にして成形材料を得た。
【0027】
(実施例3)
アルキルベンゼン変性ノボラック樹脂10重量%、ハイオルソノボラック樹脂10重量%、シリコーンゲル含有ノボラック樹脂7重量%とした以外は、実施例1と同様にした。
【0028】
(実施例4)
アルキルベンゼン変性ノボラック樹脂6重量%、ハイオルソノボラック樹脂16重量%とした以外は、実施例1と同様にした。
【0029】
(実施例5)
アルキルベンゼン変性ノボラック樹脂15重量%、ハイオルソノボラック樹脂7重量%とした以外は、実施例1と同様にした。
【0030】
(比較例1)
アルキルベンゼン変性ノボラック樹脂、ハイオルソノボラック樹脂、シリコーンゲル含有ノボラック樹脂を用いずに、ノボラック樹脂(秋田住友ベーク(株)製、A−1087:重量平均分子量1,000)27重量%とした以外は、実施例1と同様にした。
【0031】
(比較例2)
アルキルベンゼン変性ノボラック樹脂、ハイオルソノボラック樹脂、シリコーンゲル含有ノボラック樹脂を用いずに、ノボラック樹脂21重量%、以下の反応により得たレゾール型フェノール樹脂6重量%とした以外は、実施例1と同様にした。
〈レゾール型フェノール樹脂の反応〉
還流コンデンサー撹拌機、加熱装置、真空脱水装置を備えた反応釜内に、フェノール(P)とホルムアルデヒド(F)とをモル比(F/P)=1.7で仕込み、これに酢酸亜鉛をフェノール100重量部に対して0.5重量部添加した。この反応系のpHを5.5に調整し、還流反応を3時間行った。その後、真空度100Torr、温度100℃で2時間水蒸気蒸留を行って未反応フェノールを除去し、さらに、真空度100Torr、温度115℃で1時間反応させ、数平均分子量800のジメチレンエーテル型レゾールフェノール樹脂(固形)を得た。
【0032】
(比較例3)
シリコーンゲル含有ノボラック樹脂を用いずに、アルキルベンゼン変性ノボラック樹脂13重量%、ハイオルソノボラック樹脂14重量%とした以外は、実施例1と同様にした。
【0033】
(比較例4)
シリコーンゲル含有ノボラック樹脂を用いずに、アルキルベンゼン変性ノボラック樹脂10重量%、ハイオルソノボラック樹脂11重量%、レゾール樹脂6重量%とした以外は、実施例1と同様にした。
【0034】
実施例および比較例により得られた成形材料を用いて、次の評価を行った。評価項目を、その内容とともに示す。得られた結果を表1に示す。
▲1▼ シャルピー衝撃強さ、曲げ強さ:試験片は、トランスファ成形(175℃,3分間)により作製し、JIS K 6911に基づいて測定した。
▲2▼ 成形収縮率:トランスファ成形(175℃,3分)にて図1に示す円筒型試験片を作製し、試験片の外径を測定することで金型からの変化率として求めた。試験片の形状をコンミテーターの形状に近づけたことから、外径収縮率について精度の高い評価となっていると考えられる。
▲3▼ ベーキング後収縮率:▲2▼と同じく円筒型試験片を用いた。ベーキングは180℃雰囲気中に8時間放置することで行った。ベーキング後収縮率は次式より求めた。(ベーキング後収縮率)=(ベーキング後試験片の金型からの収縮率)−(成形収縮率)
▲4▼ 吸湿寸法変化率:▲2▼と同じく円筒型試験片を用いた。吸湿寸法変化率は、120℃(2.1気圧)のプレッシャークッカー中に100時間放置したときの寸法変化より求めた。
【0035】
【表1】
【0036】
表1から明らかなように、実施例1ないし5は、機械的強度を実用的なレベルに維持しつつ、成形収縮率、ベーキング後収縮率が低減されていた。また吸湿寸法変化率については、比較例3および4に示したアルキルベンゼン変性ノボラック樹脂を用いた従来の材料のレベルを維持している。
【0037】
【発明の効果】
本発明により、機械的強度を実用的レベルに維持しつつ、成形収縮やベーキング後収縮が小さいという特性を有している。また、吸湿寸法変化が低く抑えられていて、インサート成形品用として優れた特性を有するフェノール樹脂成形材料を得ることができる。特に、コンミテーターの用途として好適に使用されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】成形収縮率測定用試験片の断面図
【発明の属する技術分野】
本発明は、フェノール樹脂成形材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
フェノール樹脂成形材料は機械的強度、寸法安定性、耐熱性、電気特性などのバランスに優れ、主にガラス繊維で強化されたフェノール樹脂成形材料はモーターのコンミテーターや自動車の機構部品など広範囲の分野に利用されている。
【0003】
しかしながら近年、フェノール樹脂成形材料に対する要求レベルは益々高度化しており、特にコンミテーターおいてはこのようなガラス繊維強化フェノール樹脂成形材料をもってしても成形収縮や吸湿寸法変化に関して満足する特性を得られない場合がある。耐湿性改良のために、アルキル変性ノボラック型フェノール樹脂を使用することが検討されている(例えば、特許文献1)が、成形収縮やベーキング後の収縮に関して充分とはいえず、この点の改良が望まれていた。
【0004】
【特許文献1】
特開平07−309997号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、機械的強度を実用的レベルに維持しつつ、成形収縮やベーキング後収縮、耐湿寸法変化を抑え、優れた特性を有するフェノール樹脂成形材料を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(8)に記載の本発明により達成される。
(1) アルキルベンゼン変性ノボラック型フェノール樹脂を含むフェノール樹脂とシリコーンゲルとを含有することを特徴とするフェノール樹脂成形材料。
(2) アルキルベンゼン変性率がフェノール樹脂全体の3〜40モル%である上記(1)記載のフェノール樹脂成形材料。
(3) シリコーンゲルがフェノール樹脂と予め溶融混練されたものである上記(1)または(2)に記載のフェノール樹脂成形材料。
(4) シリコーンゲルの割合が、フェノール樹脂とシリコーンゲルの合計量100重量部に対し、0.05〜10重量部である上記(1)ないし(3)に記載のフェノール樹脂成形材料。
(5) ガラス繊維を含む無機充填材を含有する上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のフェノール樹脂成形材料。
(6) 無機充填材としてクレー、炭酸カルシウム、ウォラストナイト、タルクの中から選ばれた1種以上を含有する上記(5)に記載のフェノール樹脂成形材料。
(7) フェノール樹脂とシリコーンゲルの合計量が、成形材料全体に対して20〜50重量%である上記(1)ないし(6)のいずれかに記載のフェノール樹脂成形材料。
(8) コンミテーター用である上記(1)ないし(7)のいずれかに記載のフェノール樹脂成形材料。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のフェノール樹脂成形材料(以下、単に「成形材料」という)について詳細に説明する。
本発明の成形材料は、アルキルベンゼン変性ノボラック型フェノール樹脂(以下、アルキルベンゼン変性ノボラック樹脂という)を含むフェノール樹脂とシリコーンゲルとを含有することを特徴とするものである。また、本発明の成形材料は、アルキルベンゼン変性ノボラック樹脂を含むフェノール樹脂とシリコーンゲル、及びガラス繊維を含む無機充填材を含有することを特徴とするものである。さらに、本発明の成形材料は、コンミテーターに好適に使用されるものである。
【0008】
本発明の成形材料は、アルキルベンゼン変性ノボラック樹脂を含むフェノール樹脂とシリコーンゲルを含有する。これにより機械的強度を実用的レベルに維持しつつ、成形収縮、ベーキング後の収縮および耐湿寸法変化を低減することができる。アルキルベンゼン変性ノボラック樹脂以外のフェノール樹脂としては、特に限定されないがノボラック型フェノール樹脂(以下、ノボラック樹脂という)を用いることが好ましく、さらに、ノボラック樹脂はハイオルソノボラック樹脂であることが好ましい。ノボラック樹脂を用いることにより、シリコーンゲルの柔軟性を効果的に発現させることができ、ハイオルソノボラック樹脂を用いることにより、成形材料製造時の作業性が向上する。ノボラック樹脂を使用する場合、通常硬化剤としてヘキサメチレンテトラミンを使用する。この場合、その含有量は特に限定されないが、通常ノボラック樹脂100重量部に対して、10〜30重量部配合することが好ましく、特に15〜25重量部配合することが好ましい。ヘキサメチレンテトラミンの配合量が前記上限値より多いと、成形品の機械的強度が低下する場合があり、前記下限値より少ないと、成形収縮を充分低減することができず、成形品の機械的強度が低下する場合がある。
【0009】
本発明の成形材料は、アルキルベンゼン変性ノボラック樹脂を使用する。これによりアルキルベンゼン変性でないフェノール樹脂に比べ機械的強度を実用的レベルに維持しつつ、耐湿寸法変化を低減することができる。その理由は、親水性であるフェノール樹脂の水酸基を疎水性であるアルキルベンゼンに置換することで吸水源が減少するためである。
【0010】
前記アルキルベンゼン変性率は、フェノール樹脂とアルキルベンゼン変性ノボラック樹脂の合計に対して3〜40モル%が好ましく、特に10〜20モル%が好ましい。アルキルベンゼン変性率が前記上限値より高いと、成形材料製造時の作業性や成形時の硬化性、成形品の機械的強度が低下する場合がある。アルキルベンゼン変性率が前記下限値より低いと、耐湿寸法変化を充分に低減することが難しい場合がある。また、一般にアルキルベンゼン変性ノボラック樹脂はフェノール樹脂に比べ硬化が遅いため、硬化を速くする目的でハイオルソノボラック樹脂を併用することが好ましい。
【0011】
本発明においては、シリコーンゲルを使用する。これにより機械的強度を実用的レベルに維持しつつ成形収縮を低減することができる。その理由は明確ではないが、シリコーンゲルは緩やかな3次元構造であり、適度な柔軟性を有していることから、成形時、冷却にともなう収縮を吸収することにより緩和することができるためと推測される。また、ベーキング後収縮を低減するためには、シリコーンゲルとノボラック樹脂を併用することが好ましい。その理由は明確ではないが、ノボラック樹脂はレゾール型フェノール樹脂に比べ架橋密度が低くなりやすいため、シリコーンゲルの柔軟性を効果的に活用でき、上記の成形収縮低減と同様の理由でベーキング後の収縮も低減することができると推測される。
【0012】
本発明において使用するシリコーンゲルは、付加反応型ポリオルガノシロキサン組成物をベースとしたゲル状物質である。かかるシリコーンゲルは適度な柔軟性を有していて、フェノール樹脂とともに使用されると、耐衝撃性、機械的強度、耐水性等に優れている上に、常温域からコンミテーターとして使用される際の高温域に至るまでの広い温度範囲において、これらの特性を維持することができる。かかるシリコーンゲルは、針入度(JIS K 2530−1976−50g加重)が10〜300であることが好ましい。かかる針入度のシリコーンゲルは、特に適度な柔軟性を持ち、耐衝撃性、振動吸収性に優れている。
【0013】
本発明においては、フェノール樹脂とシリコーンゲルとが予め溶融混練されたものであることが好ましい。これにより、フェノール樹脂とシリコーンゲルとを無機充填材など他の配合剤とともに溶融混練した場合に比べて、シリコーンゲルがフェノール樹脂中によりミクロに分散することから、上記の特長を高度に発現させることができる。この場合、フェノール樹脂中に分散したシリコーンゲルの大きさは、実質的に10μmより大きい粒径である。10μm以下では、却ってシリコーンゲルの特長が現れにくくなる。また、50μmを越える大きさでは、均一分散が損なわれやすくなる。溶融混練する場合、フェノール樹脂としてはノボラック樹脂を使用することが好ましい。これは溶融混練の際にフェノール樹脂がゲル化するおそれがないからである。
【0014】
前記シリコーンゲルの配合割合は、特に限定されないが、フェノール樹脂とシリコーンゲルの合計100重量部に対して0.05〜10重量部が好ましく、特に0.5〜5重量部が好ましい。シリコーンゲルの割合が前記上限値より多いと、成形材料製造時の作業性や成形品の機械的強度が低下する場合がある。シリコーンゲルの割合が前期下限値より少ないと、充分に成形収縮の低減することが難しい場合がある。
【0015】
前記アルキルベンゼン変性ノボラック樹脂を含むフェノール樹脂とシリコーンゲルの合計含有量は特に限定されないが、成形材料全体に対して20〜50重量%が好ましく、特に28〜36重量%が好ましい。前記含有量が前記下限値より少ないと、成形材料製造時の作業性や成形物の機械的強度が低下する場合があり、前記上限値より多いと、成形品の耐熱性、寸法安定性などが充分でない場合がある。
【0016】
本発明では、フェノール樹脂とシリコーンゲルとともにエラストマーを配合する。これにより機械的強度を維持しつつ成形収縮率を低減することができる。エラストマーとしては、アクリロニトリルブタジエンゴム、ポリビニルブチラール、酢酸ビニル樹脂などを、単独または二種以上を用いることができる。特にアクリロニトリルブタジエンゴムまたはアクリロニトリルブタジエンゴムとポリビニルブチラールとを用いるのが好ましい。これにより、熱時強度や靭性をより向上させることができる。エラストマーは成形材料全体に対して、1〜6重量%配合するのが好ましい。1重量%より少ないと成形収縮低減の効果が小さい場合があり、6重量%より多いと機械的強度が低下することがある。
【0017】
本発明の成形材料は、ガラス繊維を含む無機充填材を含有することが好ましい。カラス繊維を含有することにより、得られる成形物の機械的強度が向上する。ガラス繊維の繊維径は、特に限定されないが、10〜15μmが好ましい。これにより、成形材料化段階での作業性を向上させることができる。また、ガラス繊維の繊維長は、特に限定されないが、1〜3mmのチョップドストランドタイプのものを使用することが好ましい。これにより、成形材料化時の作業性、成形性及び成形物の強度を向上させることができる。
【0018】
前記ガラス繊維の含有量は、特に限定されないが、成形材料全体に対して30〜60重量%が好ましく、特に40〜55重量%が好ましい。ガラス繊維の含有量が前記下限値よりも少ないと、成形品の機械的強度が不十分となる場合があり、前記上限値よりも多いと、成形材料製造時の作業性が低下する場合がある。
【0019】
本発明の成形材料は、前記ガラス繊維以外の無機充填材を含有することが好ましい。これにより、得られる成形物の強度を向上させるとともに寸法安定性を向上させることができる。
前記無機充填材としては、例えば水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物、炭酸カルシウム、タルク、ウォラストナイト、アルミナ、シリカ、未焼成クレー、焼成クレー、硫酸バリウム等を挙げることができる。これらの中でもクレー、炭酸カルシウム、ウォラストナイト、タルクが好ましく、これらの中から1種以上を選択し使用する。これにより成形品の寸法安定性をさらに向上させることができる。
【0020】
前記ガラス繊維以外の無機充填材の含有量は、特に限定されないが、成形材料全体の5〜35重量%が好ましく、特に9〜25重量%が好ましい。かかる含有量が前記下限値未満であると成形品の耐熱性、寸法安定性などが充分でない場合があり、前記上限値を超えると成形材料製造時の作業性や、成形品の機械的強度が低下する場合がある。
【0021】
本発明のフェノール樹脂成形材料には、本発明の目的を損なわない範囲で離型剤、硬化助剤、顔料、エラストマー等の添加剤を添加することができる。
【0022】
本発明のフェノール樹脂成形材料を得る場合、例えば、フェノール樹脂の一部又は全部とシリコーンゲルとをニーダー、ロール等で溶融混練し、次いで他の原料と均一に混合した後、あるいは、配合する全原料をロール、コニーダ、二軸押出し機等の混錬機単独またはロールと他の混合機との組み合わせで加熱混練した後、粉砕して得られる。
【0023】
本発明の成形材料は、成形収縮率及びベーキング後の収縮が小さいという特性を有している。従って、コンミテーターのように銅リング内部にインサート成形される成形品に使用された場合、銅と樹脂との間に隙間が生じにくくなるため、切削加工や高速回転による銅セグメント間の段差(片間段差)が低減される。また本発明の成形材料は吸湿寸法変化が小さいという特性を有している。従って、コンミテーターに使用されたとき、吸湿による片間段差が低減される。以上の理由から、本発明の成形材料は、コンミテーターの用途として好適に使用されるものである。
【0024】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
アルキルベンゼン変性ノボラック樹脂はPR−51992(住友ベークライト(株)製)(アルキルベンゼン変性率はアルキルベンゼン変性ノボラック樹脂中40重量%)を使用した。一般にアルキルベンゼン変性ノボラック樹脂はフェノール樹脂に比べ硬化が遅いので、硬化を速くする目的でノボラック樹脂はハイオルソノボラック樹脂(酢酸亜鉛触媒、重量平均分子量800、O/P結合比1.2)を使用した。
シリコーンゲルは、ノボラック樹脂と予め溶融混練したシリコーンゲル含有フェノール樹脂として使用した。シリコーンゲル含有フェノール樹脂はRT−54529(住友ベークライト(株)製、シリコーンゲル含有率はシリコーンゲル含有フェノール樹脂中20重量%)である。
【0025】
(実施例1)
アルキルベンゼン変性ノボラック樹脂11重量%、ハイオルソノボラック樹脂11重量%、シリコーンゲル含有ノボラック樹脂5重量%、ヘキサメチレンテトラミン5重量%、ガラス繊維としてチョップドストランド(日本板硝子製RES03−BM38)52重量%、無機充填材として未焼成クレー((株)ECC製、ECKALITE)10重量%、および硬化助剤(水酸化カルシウム)1重量%、離型剤(ステアリン酸)1重量%、顔料(カーボンブラック)1重量%を約90℃の加熱ロールで約15分間混練し、冷却後粉砕して成形材料を得た。
【0026】
(実施例2)
アルキルベンゼン変性ノボラック樹脂13重量%、ハイオルソノボラック樹脂13.5重量%、シリコーンゲル含有ノボラック樹脂0.5重量%とした以外は、実施例1と同様にして成形材料を得た。
【0027】
(実施例3)
アルキルベンゼン変性ノボラック樹脂10重量%、ハイオルソノボラック樹脂10重量%、シリコーンゲル含有ノボラック樹脂7重量%とした以外は、実施例1と同様にした。
【0028】
(実施例4)
アルキルベンゼン変性ノボラック樹脂6重量%、ハイオルソノボラック樹脂16重量%とした以外は、実施例1と同様にした。
【0029】
(実施例5)
アルキルベンゼン変性ノボラック樹脂15重量%、ハイオルソノボラック樹脂7重量%とした以外は、実施例1と同様にした。
【0030】
(比較例1)
アルキルベンゼン変性ノボラック樹脂、ハイオルソノボラック樹脂、シリコーンゲル含有ノボラック樹脂を用いずに、ノボラック樹脂(秋田住友ベーク(株)製、A−1087:重量平均分子量1,000)27重量%とした以外は、実施例1と同様にした。
【0031】
(比較例2)
アルキルベンゼン変性ノボラック樹脂、ハイオルソノボラック樹脂、シリコーンゲル含有ノボラック樹脂を用いずに、ノボラック樹脂21重量%、以下の反応により得たレゾール型フェノール樹脂6重量%とした以外は、実施例1と同様にした。
〈レゾール型フェノール樹脂の反応〉
還流コンデンサー撹拌機、加熱装置、真空脱水装置を備えた反応釜内に、フェノール(P)とホルムアルデヒド(F)とをモル比(F/P)=1.7で仕込み、これに酢酸亜鉛をフェノール100重量部に対して0.5重量部添加した。この反応系のpHを5.5に調整し、還流反応を3時間行った。その後、真空度100Torr、温度100℃で2時間水蒸気蒸留を行って未反応フェノールを除去し、さらに、真空度100Torr、温度115℃で1時間反応させ、数平均分子量800のジメチレンエーテル型レゾールフェノール樹脂(固形)を得た。
【0032】
(比較例3)
シリコーンゲル含有ノボラック樹脂を用いずに、アルキルベンゼン変性ノボラック樹脂13重量%、ハイオルソノボラック樹脂14重量%とした以外は、実施例1と同様にした。
【0033】
(比較例4)
シリコーンゲル含有ノボラック樹脂を用いずに、アルキルベンゼン変性ノボラック樹脂10重量%、ハイオルソノボラック樹脂11重量%、レゾール樹脂6重量%とした以外は、実施例1と同様にした。
【0034】
実施例および比較例により得られた成形材料を用いて、次の評価を行った。評価項目を、その内容とともに示す。得られた結果を表1に示す。
▲1▼ シャルピー衝撃強さ、曲げ強さ:試験片は、トランスファ成形(175℃,3分間)により作製し、JIS K 6911に基づいて測定した。
▲2▼ 成形収縮率:トランスファ成形(175℃,3分)にて図1に示す円筒型試験片を作製し、試験片の外径を測定することで金型からの変化率として求めた。試験片の形状をコンミテーターの形状に近づけたことから、外径収縮率について精度の高い評価となっていると考えられる。
▲3▼ ベーキング後収縮率:▲2▼と同じく円筒型試験片を用いた。ベーキングは180℃雰囲気中に8時間放置することで行った。ベーキング後収縮率は次式より求めた。(ベーキング後収縮率)=(ベーキング後試験片の金型からの収縮率)−(成形収縮率)
▲4▼ 吸湿寸法変化率:▲2▼と同じく円筒型試験片を用いた。吸湿寸法変化率は、120℃(2.1気圧)のプレッシャークッカー中に100時間放置したときの寸法変化より求めた。
【0035】
【表1】
【0036】
表1から明らかなように、実施例1ないし5は、機械的強度を実用的なレベルに維持しつつ、成形収縮率、ベーキング後収縮率が低減されていた。また吸湿寸法変化率については、比較例3および4に示したアルキルベンゼン変性ノボラック樹脂を用いた従来の材料のレベルを維持している。
【0037】
【発明の効果】
本発明により、機械的強度を実用的レベルに維持しつつ、成形収縮やベーキング後収縮が小さいという特性を有している。また、吸湿寸法変化が低く抑えられていて、インサート成形品用として優れた特性を有するフェノール樹脂成形材料を得ることができる。特に、コンミテーターの用途として好適に使用されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】成形収縮率測定用試験片の断面図
Claims (8)
- アルキルベンゼン変性ノボラック型フェノール樹脂を含むフェノール樹脂とシリコーンゲルとを含有することを特徴とするフェノール樹脂成形材料。
- アルキルベンゼン変性率がフェノール樹脂全体の3〜40モル%である請求項1に記載のフェノール樹脂成形材料。
- シリコーンゲルがフェノール樹脂と予め溶融混練されたものである請求項1または2に記載のフェノール樹脂成形材料。
- シリコーンゲルの割合が、フェノール樹脂とシリコーンゲルの合計量100重量部に対し、0.05〜10重量部である請求項1ないし3のいずれかに記載のフェノール樹脂成形材料。
- ガラス繊維を含む無機充填材を含有する請求項1ないし4のいずれかに記載のフェノール樹脂成形材料。
- 無機充填材としてクレー、炭酸カルシウム、ウォラストナイト、タルクの中から選ばれた1種以上を含有する請求項5に記載のフェノール樹脂成形材料。
- フェノール樹脂とシリコーンゲルの合計量が、成形材料全体に対して20〜50重量%である請求項1ないし6のいずれかに記載のフェノール樹脂成形材料。
- コンミテーター用である請求項1ないし7のいずれかに記載のフェノール樹脂成形材料。
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JP2011068705A (ja) * | 2009-09-24 | 2011-04-07 | Sumitomo Bakelite Co Ltd | フェノール樹脂成形材料 |
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- 2003-03-11 JP JP2003064500A patent/JP2004269762A/ja active Pending
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