JP3851048B2 - フェノール樹脂成形材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フェノール樹脂成形材料の特長である耐熱性及び耐湿性を損なうことなく、硬化収縮の少ないフェノール樹脂成形材料を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、フェノール樹脂成形材料は耐熱性、寸法安定性、成形性等に優れ、自動車、電気、電子等の基幹産業分野において長期にわたり使用されてきた実績がある。特に最近では、金属部品を、ガラス繊維で強化した高強度のフェノール樹脂からなる成形品に置換することにより、大幅なコストダウン及び軽量化が可能となることから、積極的な代替の検討が行われている。ガラス繊維強化フェノール樹脂成形材料は、高強度である上、成形時の硬化収縮が比較的小さい材料である。しかしながら、部品としての必要性から、金属インサートと一体成形するものにおいては、このようなガラス繊維強化フェノール樹脂成形材料をもってしても、硬化収縮により金属と樹脂との間に隙間を生じてしまい、このことが原因で、部品での信頼性評価で満足する特性が得られない場合がある。
このような問題に対し、成形時の硬化収縮を低減する目的で、フェノール樹脂成形材料にアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)や酢酸ビニル樹脂を配合することが従来より知られている。NBRを配合して所望の特性を得ようとした場合、成形材料化の段階で流動性が低下するため、射出成形のような流動性を必要とする成形方法に適する材料を作りにくく、また酢酸ビニル樹脂を配合した場合では、耐湿性が低下するため、吸湿による寸法変化を嫌う部品には適さない場合がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、ガラス繊維強化フェノール樹脂成形材料において、成形材料化の段階で流動性の低下を出来るだけ抑え、耐熱性及び耐湿性を損なうことなく成形時の硬化収縮を低減させることを目的とし、種々検討した結果、フェノール樹脂にNBRとポリビニルブチラールをある比率で用いることにより、所期の目的が達成されることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、フェノール樹脂の少なくとも一部としてレゾール型フェノール樹脂を使用するフェノール樹脂成形材料において、NBR及びポリビニルブチラールを配合し、これらの合計量がフェノール樹脂100重量部に対し、10〜30重量部であることを特徴とするフェノール樹脂成形材料に関すものであり、好ましくは、NBRとポリビニルブチラールとの割合は、両者の合計100重量部に対してポリビニルブチラールが20〜80重量部、NBRが80〜20重量部である。さらには、成形材料全体に対し、フェノール樹脂が30〜50重量%、アクリロニトリルブタジエンゴム及びポリビニルブチラールが3〜15重量%、及び無機基材が40〜60重量%配合されている特徴とするフェノール樹脂成形材料に関するものである。
【0005】
本発明において、フェノール樹脂は、レゾール型フェノール樹脂(以下、レゾール樹脂という)を単独、又はノボラック型フェノール樹脂(以下、ノボラック樹脂という)とレゾール樹脂を併用する。ノボラック樹脂とレゾール樹脂を併用する場合、通常ノボラック樹脂の量の15〜20重量%のヘキサメチレンテトラミンを配合する。常温及び熱時ともに高い機械的強度を有するという観点から、ノボラック樹脂とレゾール樹脂を併用し、ヘキサメチレンテトラミンを配合することが好ましい。
【0006】
ノボラック樹脂とレゾール樹脂を併用する場合は、ノボラック樹脂は、重量平均分子量が2000〜8000で、フェノール核のOH基に対するオルソ結合対パラ結合の割合(O/P比)が1以下のものが、成形材料化段階での作業性、成形性(特に射出成形における)が良好であり、得られた成形物の特性が比較的良好であることから、好ましい。また、レゾール樹脂は、重量平均分子量が5000〜9000の固形のジメチレンエーテル型レゾール樹脂を用いることが常温及び熱時の機械強度をともに向上させるために好ましい。
レゾール樹脂の割合は、フェノール樹脂全体100重量部に対して20〜40重量部の割合で用いることが好ましい。この範囲内において常温及び熱時ともに高い機械的強度を有するのである。硬化剤として用いるヘキサメチレンテトラミンの量は、通常ノボラック樹脂に対し15〜20重量部である。
【0007】
本発明のフェノール樹脂成形材料は、その製造段階で流動性の低下を出来るだけ抑えるとともに、耐湿性を損なうことなく、硬化収縮を低減させることを目的とする。この目的のために、NBRとポリビニルブチラールを併用することが効果的であるが、製造時の流動性低下を抑えることができる理由は、未だ明確ではないが、ポリビニルブチラールはレゾール樹脂と反応することが知られており、加熱混練時、ポリビニルブチラールがレゾール樹脂の架橋構造内に組み込まれることで、レゾール樹脂の3次元架橋が抑制され、このことにより成形材料化の段階での流動性低下が抑制されると推測される。
【0008】
本発明で用いているNBRは特に限定されるものでなく、変性NBRや部分架橋NBRでもよい。またポリビニルブチラールも特に限定されるものではないが、好ましくは、重合度が250〜2500、ブチラール化度が60〜80モル%のものである。また、これらは100メッシュ以下の粒状のものが好ましい。
耐熱性を損なわずに硬化収縮の低減させるためには、フェノール樹脂の全体量100重量部に対して、NBR及びポリビニルブチラールを合計で10〜30重量部の割合で用いることが好ましい。10重量部未満では硬化収縮低減の効果が不十分であり、30重量部を越えると耐熱性、特に熱時強度の低下につながるからである。NBRとポリビニルブチラールの併用比率は、NBRとポリブチラールの合計量100重量部に対してポリビニルブチラールが20〜80重量部、NBRが80〜20重量部であることが好ましい。ポリビニルブチラールが20重量部未満では、成形材料化の段階での流動性低下を抑制する効果が不十分であり、80重量部を越えると強度低下につながるからである。
【0009】
補強基材としては、ガラス繊維、クレー、炭酸カルシウム、ワォラストナイト、タルク等の無機基材を使用する。ガラス繊維は、繊維径が10〜15μm、繊維長が1〜3mmのチョップドストランドタイプのものを使用することが成形材料化段階での作業性、得られた成形物の強度が比較的良好であるので好ましい。また寸法安定性をより向上させる場合にはクレーのような無機粉末を併用して用いることが好ましい。これらの無機基材の配合量については、成形材料全体に対し40〜60重量%が望ましい。40重量%未満では満足し得る強度が得られにくく、寸法変化が大きくなり、60重量%を越えると成形材料化段階での作業性が困難となり、強度低下につながることがある。以上のことから、各成分の配合割合は、好ましくは、成形材料全体に対し、フェノール樹脂が30〜50重量%、アクリロニトリルブタジエンゴム及びポリビニルブチラールが3〜15重量%、及び無機基材が40〜60重量%である。
【0010】
本発明のフェノール樹脂成形材料を得るには、上記各原料を均一に混合後、ロール、コニーダ、二軸押出し機等の混練機単独又はロールと他の混合機との組合せで加熱混練し、粉砕して得られる。本発明のフェノール樹脂成形材料は、フェノール樹脂成形材料の特長である耐熱性及び耐湿性を損なうことなく、成形時の硬化収縮が少ないという特長をもっており、自動車、電気、電子等の金属代替を大幅に促進するためには有効な手段となり得る。
【0011】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明する。実施例及び比較例の配合と特性を表1に示す。表1において、配合量は重量%である。
【0012】
【表1】
【0013】
(表の注)
※1 ノボラック樹脂:重量平均分子量4000
※2 レゾール樹脂:ジメチレンエーテル型レゾール樹脂、重量平均分子量7000
※3 部分架橋NBR:JSR(株)製 PNC−38
※4 ポリビニルブチラール:積水化学工業(株)製 エスレックBL−1
※5 酢酸ビニル樹脂:電気化学工業(株)製 サクノールASR CH−09
※6 ガラス繊維:径10μm、長さ3mm
【0014】
(測定方法)
1.射出成形性:JIS曲げ試験片が2個成形できる金型を用い射出成形にて充填性を評価した。
(成形条件:金型温度180℃、シリンダーヘッド温度90℃、硬化時間30秒)○:良好、△:やや未充填あり、×:未充填あり
2.成形収縮率、シャルピー衝撃強さ、曲げ強さ、荷重たわみ温度:試験片はトランスファー成形(175℃、3分)により作製し、JIS K 6911に基づいて測定した。
4.加湿内径寸法変化率:圧縮成形(175℃、3分)にて図1に示す試験片を作製し、試験片を85℃/85RH%の条件で100時間加湿処理し、処理前後の内径寸法を測定し、その変化率を求めた。
【0015】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明のフェノール樹脂成形材料は、成形材料化の段階での流動性低下が少なく、ガラス繊維強化フェノール樹脂成形材料の耐熱性及び耐湿性を損なうことなく硬化収縮を低減させるものであり、自動車、電気、電子分野における金属代替を大幅に促進するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 加湿内径寸法変化率測定用試験片の断面図
Claims (3)
- フェノール樹脂の少なくとも一部としてレゾール型フェノール樹脂を使用するフェノール樹脂成形材料において、アクリロニトリルブタジエンゴム及びポリビニルブチラールを配合し、これらの合計量がフェノール樹脂100重量部に対し、10〜30重量部であり、前記レゾール型フェノール樹脂の割合は、フェノール樹脂全体100重量部に対し、20〜40重量部であることを特徴とするフェノール樹脂成形材料。
- アクリロニトリルブタジエンゴムとポリビニルブチラールとの割合が、両者の合計100重量部に対してポリビニルブチラールが20〜80重量部、アクリロニトリルブタジエンゴムが80〜20重量部である請求項1記載のフェノール樹脂成形材料。
- 成形材料全体に対し、フェノール樹脂が30〜50重量%、アクリロニトリルブタジエンゴム及びポリビニルブチラールが3〜15重量%、及び無機基材が40〜60重量%配合されている請求項1または2記載のフェノール樹脂成形材料。
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