JP2004257294A - ハイブリッドシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】ハイブリッドシステムにおいて、電動機器による充分なエンジンアシストを追従性よく行うこと。
【解決手段】ハイブリッドシステムにおいて、エンジン2の駆動力を、モータ5の駆動力によりアシストして動力伝達装置3を駆動して加速アシストによる航走を行う場合には、操作レバー9の操作速度と、エンジン2のスロットル開度速度と、操作レバー9の操作時間と、エンジン2の回転変動時間とに基づいて、モータ5の出力を調節する。
【選択図】 図8

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハイブリッドシステムに関し、特に、エンジンの駆動力を、電動機器の駆動力によりアシストする駆動形態を有するハイブリッドシステムに関する。なお、本発明における「ハイブリッド」とは、エンジンと電動機器から機械的駆動力を得るという意味である。
【0002】
【従来の技術】
従来、動力伝達装置の駆動源として、エンジンの他に、電動機器等を備えたハイブリッドシステムが知られており、例えば、自動車や船舶等の移動体に搭載されている。このハイブリッドシステムにおいては、エンジンのみの駆動力により移動(走行または航走)を行う形態と、エンジンの駆動力を電動機器の駆動力によりアシストして移動を行う形態とを、移動体が移動する際の条件によって切り換えることを可能としていた(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−8639号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、エンジンの駆動力を電動機器の駆動力によりアシストして移動を行う場合には、次のような不具合があった。
レバーやアクセル等の操作具を操作することによって、エンジンおよび電動機器の回転数制御(調速制御)を行っていたが、レバー等の操作速度とエンジンのスロットル開度(スロットル位置)との間には、応答性に違いがあり、レバー等の操作速度に見合うだけのスロットル開度に達するのに時間を要し、十分な電動機器によるアシストを行うことができなかった。
また、エンジン回転数を検出し、検出されたエンジン回転数に基づいて、電動機器への回転数指示を行い、電動機器に供給する電機子電流を調節していたため、電動機器の追従性が十分でないという問題があった。そして、この追従性の問題に伴い、移動体の加減速時においては、次のような不具合があった。これについて、図12を用いて説明する。図12には、船舶に適用された従来のハイブリッドシステムにおけるエンジン回転数、電動機器に供給される電機子電流等の経時変化を示している。電動機器に供給される電機子電流により、電動機器の出力は、主として決定されるため、電動機器の出力の経時変化は、図12に示す電機子電流の経時変化と、略同様となる。
図12に示すように、移動体の減速時に、エンジンの回転数が減少すると、電動機器の追従性が不十分なために、エンジンが電動機器の負荷となり、電機子電流が瞬時に増加し、電動機器が余分な仕事をしてしまうという不具合が発生していた。逆に、加速時には、エンジンの回転数が増加すると、電動機器の追従性が不十分なために、電動機器の負荷が軽くなり、エンジンにより電動機器が回される回生状態になるという不具合が発生していた。
そこで、本発明では、レバー等の操作速度とエンジンのスロットル開度速度を検出し、検出された操作速度とスロットル開度速度に基づいて電動機器の出力を制御することにより、電動機器の追従性の向上を図り、電動機器による充分なアシストを実現することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
すなわち、請求項1においては、エンジン、電動機器、および動力伝達装置からなり、動力伝達装置の駆動を、エンジンのみの駆動力により駆動する形態と、エンジンの駆動力を電動機器の駆動力によりアシストして駆動する形態とを有するハイブリッドシステムにおいて、移動体の進行方向を切り換える操作具の操作位置を検出する操作位置検出手段と、操作具の操作時間を検出する操作時間検出手段と、操作具の操作位置と操作時間とにより操作具の操作速度を演算する操作速度演算手段と、エンジンのスロットル位置を検出するスロットル位置検出手段と、エンジンのスロットル位置からスロットルの開度速度を演算するスロットル開度速度演算手段と、エンジンの回転数の変動時間を検出する回転変動時間検出手段と、電動機器の出力を調節する電動機器出力調節手段とを備えるとともに、移動体の加速時に、エンジンの駆動力を電動機器の駆動力によりアシストして、動力伝達装置を駆動する場合には、操作具の操作速度と、エンジンのスロットル開度速度と、操作具の操作時間と、エンジンの回転変動時間とに基づいて、電動機器の出力を調節するものである。
【0006】
請求項2においては、請求項1記載のハイブリッドシステムにおいて、移動体の減速時には、電動機器を停止させるものである。
【0007】
請求項3においては、エンジン、電動機器、および動力伝達装置からなり、動力伝達装置の駆動を、エンジンのみの駆動力により駆動する形態と、エンジンの駆動力を電動機器の駆動力によりアシストして駆動する形態とを有するハイブリッドシステムにおいて、移動体の進行方向を切り換える操作具の操作位置を検出する操作位置検出手段と、エンジンのスロットル位置を調節するスロットル位置調節手段と、該スロットル位置調節手段の作動位置を検出する作動位置検出手段と、該作動位置検出手段により検出されるスロットル位置調節手段の作動位置を操作具の操作位置に換算する操作位置換算手段と、前記操作位置検出手段により検出される操作具の操作位置と操作位置換算手段により換算される操作具の操作位置との偏差を演算する操作位置偏差演算手段と、操作具の操作位置の偏差に基づいてスロットル位置調節手段の作動位置を多段階に変更する作動位置調節手段とを備えるものである。
【0008】
請求項4においては、請求項3記載のハイブリッドシステムにおいて、前記操作具の操作位置の偏差が0となる目標値付近にて、作動位置調節手段を構成するモータを停止させないものである。
【0009】
請求項5においては、エンジン、電動機器、および動力伝達装置からなり、通常の駆動域と、電動機器にとってエンジンが負荷となるエンジンブレーキ域と、電動機器がエンジンにより回される回生域とを有する制御マップに基づいて、電動機器の出力を制御するハイブリッドシステムにおいて、移動体の加速時に、エンジンの駆動力を、電動機器の駆動力によりアシストして動力伝達装置を駆動する際に、前記制御マップ上で、通常の駆動域とエンジンブレーキ域との境界線を超えて、エンジンブレーキ域にて電動機器が駆動される場合には、エンジンブレーキ域での電動機器の駆動を、所定時間経過前までは許容し、該所定時間経過後は、加速を継続しているならば、エンジンブレーキ域から前記境界線上まで引き戻し、該境界線上にて、電動機器を駆動させ、加速を終了しているならば、エンジンブレーキ域から前記境界線を超えて通常の駆動域まで引き戻し、通常の駆動域にて、電動機器を駆動させるものである。
【0010】
請求項6においては、エンジン、電動機器、および動力伝達装置からなり、通常の駆動域と、電動機器にとってエンジンが負荷となるエンジンブレーキ域と、電動機器がエンジンにより回される回生域とを有する制御マップに基づいて、電動機器の出力を制御するハイブリッドシステムにおいて、移動体の進行方向を切り換える操作具の操作位置を検出する操作位置検出手段と、移動体の船体の減速時に、操作具の操作位置に基づいてエンジンの減速目標回転数を演算する減速目標回転数演算手段と、減速目標回転数から電動機器の減速目標出力を演算する減速目標出力演算手段と前記制御マップ上で、エンジンの減速目標回転数における電動機器の減速目標出力が、通常の駆動域と回生域との境界線を下回るか否かを判定する判定手段とを備えるとともに、移動体の減速時に、エンジンの駆動力を、電動機器の駆動力によりアシストして動力伝達装置を駆動する際に、前記判定手段により、予め制御マップ上で、電動機器の減速目標出力が前記境界線を下回ると判定された場合には、電動機器の減速目標出力として、演算された減速目標出力に替えて、新たに前記境界線上の値を採用するものである。
【0011】
請求項7においては、エンジン、電動機器、および動力伝達装置からなり、動力伝達装置の駆動を、エンジンのみの駆動力により駆動する形態と、エンジンの駆動力を電動機器の駆動力によりアシストして駆動する形態とを有するハイブリッドシステムにおいて、移動体の進行方向を切り換える操作具の操作位置を検出する操作位置検出手段と、エンジンの回転数を検出するエンジン回転数検出手段と、操作具の操作位置とエンジン回転数とに基づいてクラッシュアスターンを判定するクラッシュアスターン判定手段と、電動機器の出力を調節する電動機器出力調節手段とを備えるとともに、クラッシュアスターン判定手段によりクラッシュアスターンと判定された場合には、電動機器を最大出力にて逆回転で駆動させて、エンジンの駆動力をアシストするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について添付の図面を用いて説明する。
図1は本発明の一つである「エンジン、発電機、モータ、および動力伝達装置」よりなるハイブリッドシステム(以下、「ハイブリッドシステムA」という。)を示す図、図2はハイブリッドシステムAの動作モードの一例を示す図、図3はエンジンアシスト(定常アシスト)制御を示す図、図4はモータ出力の制御マップを示す図、図5はスロットルアクチュエータの制御を示すブロック図、図6はレバー位置と出力電圧の関係を示す図、図7はレバー位置の偏差とPWM出力の関係を示す図、図8はエンジンアシスト(加速アシスト)制御を示す図、図9はエンジンのスロットル変位の演算を示す図、図10はスロットルアクチュエータのスロットルモータへの指令値の演算を示す図、図11はエンジン回転数、モータ回転数、電機子電流、モータ指令値等の経時変化を示す図、図12は従来のシステムのエンジン回転数、電機子電流等の経時変化を示す図、図13はエンジンの回転数についての目標値制御の手順を示す図、図14はエンジンのスロットル位置についての目標値制御の手順を示す図、図15は通常航走時とクラッシュアスターン時の動力伝達方向を示す図、図16はクラッシュアスターン時のモータ指令値を示す図、図17はクラッシュアスターン時の制御の手順を示す図、図18は本発明の一つである「エンジン、モータジェネレータ、および動力伝達装置」よりなるハイブリッドシステム(以下、「ハイブリッドシステムB」という。)を示す図、図19はハイブリッドシステムBの動作モードの一例を示す図、図20はハイブリッドシステムBのスタータ機能を示す図、図21はハイブリッドシステムBのモータジェネレータによる動力アシスト機能を示す図、図22はハイブリッドシステムBの電力供給(発電あり)機能を示す図、図23はハイブリッドシステムBの電力供給(発電なし)機能を示す図である。
【0013】
本発明の一つであるハイブリッドシステムAについて説明する。
ハイブリッドシステムAは、図1に示すような構成である。ハイブリッドシステムAでは、水中推進用に備えられるプロペラ4の駆動をエンジン2とモータ5との両方により可能としている。なお、後述するように、図18に示すハイブリッドシステムBのような構成とすることも可能である。また、以下では、ハイブリッドシステムを船舶について適用した実施例について説明しているが、その他の移動体(例えば、自動車等)に適用することも可能である。
【0014】
図1において、システム1は、エンジン2および動力伝達装置3を有しており、該動力伝達装置3としてはセイルドライブが用いられ、その後下部にはプロペラ4が接続されている。これにより、システム1は船舶の推進システムとして利用することができる。
エンジン2からの駆動力は動力伝達装置3によりプロペラ4に伝達され、その結果プロペラ4が回転駆動される。動力伝達装置3内にはクラッチが備えられており、該クラッチによりエンジン2からの駆動力の断接と動力伝達の回転方向(プロペラ4の回転方向)の切り換えを行うようにしている。
なお、本実施例においては、システム1は動力伝達装置3がエンジン2の下方へ大きく延出し、該動力伝達装置3に直接プロペラ4が取り付けられたセイルドライブに構成されているが、動力伝達装置3の後端部に、プロペラ4のプロペラ軸が装着されるマリンギアに構成することもできる。
【0015】
また、本システムにおいては、エンジン2と動力伝達装置(セイルドライブ)3との間に、発電機器である発電機10を介装している。エンジン2により発電機10を駆動して、該発電機10により発電された電力は、電動機駆動用に用いられたり、船内電力として供給されたりするようにしている。
【0016】
発電機10は、例えば、高周波発電機に構成されており、該発電機10の出力部には、リレー(電磁開閉器)11、整流機器12、インバータ15が接続されている。
また、発電機10は前記整流機器12を介して、DC/DCコンバータ(直流/直流コンバータ)13と接続されている。
【0017】
整流機器12は、例えば、平滑用コンデンサで構成されており、発電機10により発電された交流電力を整流・平滑化して、直流に変換する。整流機器12からDC/DCコンバータ13に送られた電力は、該DC/DCコンバータ13により所定の電圧に変圧されて、リレー17を介してバッテリ14を充電する。
【0018】
一方、整流機器12からインバータ15に送られた電力は、該インバータ15により交流に変換されて、切換機器19を介して出力ソケット20から交流電力として船内供給可能とされ、商用電源(外部電源)から電力を供給できない場合であっても、船室内に備えられた電化製品等に対しても電力を供給することができる。また、切換機器19にて商用電源とインバータ15により変換された交流電力とを切換可能としている。このように、インバータ15を介して電気負荷(AC出力)が接続できるようにしている。なお、切換機器19を切換スイッチで構成して手動により切り換えを行ってもよく、また、電磁接触器で構成してインバータ出力と商用電源との切り換えを自動で行ってもよい。電磁接触器で構成する場合には、該電磁接触器にシステムコントローラ7からオン・オフ信号が入力されるように、システムコントローラ7と接続しておく。そして、インバータ15には、リレー15aが内蔵されており、該リレー15aはシステムコントローラ7と接続されている。
【0019】
動力伝達装置3の上端部には電動機器(モータ)5が設置されており、該モータ5の出力軸は動力伝達装置3の伝達軸と接続されている。モータ5はモータコントローラ6と接続されており、該モータコントローラ6によりモータ5を制御する構成としている。また、モータコントローラ6はシステムコントローラ7と接続されており、該システムコントローラ7からの指令がモータコントローラ6へ入力されるようにしている。
また、モータコントローラ6は、リレー18を介して、前記DC/DCコンバータ13とバッテリ14に接続されており、バッテリ14、またはDC/DCコンバータ13を介して発電機10から電力供給を受けて、フィールド電流(界磁電流)で発生させた磁界とアマチュア電流(電機子電流)によりモータ5を駆動する。そして、モータコントローラ6がこれらの電流または電圧を制御してモータ5の回転数およびトルクを制御する。モータコントローラ6は、モータ5の出力調節手段として機能する。
【0020】
船体の前後進の切り換えやエンジン2の駆動力の調節は、船舶の操作部8に配設されるモード切換スイッチ(図示せず)や操作レバー9等の操作具を操作することによって行われる。また、操作レバー9の近傍には、該操作レバー9の操作位置を検出する位置センサ(図示せず)が付設されており、該位置センサはシステムコントローラ7と接続されている。位置センサは、操作レバー9の操作位置検出手段として機能する。
【0021】
モード切換スイッチはシステムコントローラ7と接続されており、該モード切換スイッチを操作すると、モード切換スイッチの切換位置に対応したモード信号がシステムコントローラ7に入力され、該システムコントローラ7により本システムの航走モード(駆動形態)が切り換えられて、各航走モードに対応した制御が行われるようにしている。
具体的には、図2に示すように、モード切換スイッチの操作による「航走モード」の切り換えにより、プロペラ4をエンジン2のみにより駆動するモードと、プロペラ4をエンジン2により駆動しつつ、モータ5により駆動をアシストするモードと、プロペラ4をモータ5のみにより駆動するモードと、の3種類のパターンにより行うことを可能としている。
【0022】
操作レバー9を操作すると、該操作レバー9の操作位置が位置センサにより検出され、操作位置に応じた信号がシステムコントローラ7に入力され、該システムコントローラ7は入力された信号に基づいてシフトアクチュエータ21およびスロットルアクチュエータ22を作動させる。
シフトアクチュエータ21は動力伝達装置3のクラッチに接続されており、該シフトアクチュエータ21の作動によりクラッチを作動させるように制御している。こうして、前述したように、クラッチを作動させることにより、エンジン2の駆動力が断接され、あるいは正転・逆転を切り換えられて、プロペラ4へ伝達される。なお、シフトアクチュエータ21には、該シフトアクチュエータ21の作動位置を検出するポテンショ(図示せず)が付設されている。ポテンショは、システムコントローラ7と接続されており、該ポテンショにより検出されたシフトアクチュエータ21の作動位置がシステムコントローラ7に入力される。
【0023】
スロットルアクチュエータ22はエンジン2のスロットルに接続されており、該スロットルアクチュエータ22の作動により、エンジン2のスロットル位置(スロットル開度)を調節して、燃料噴射量を調節し、エンジン2の駆動力(回転数)を調節可能としている。スロットルアクチュエータ22は、エンジン2のスロットル位置調節手段として機能する。なお、スロットルアクチュエータ22には、該スロットルアクチュエータ22の作動位置を検出するポテンショ(図示せず)が付設されている。ポテンショは、システムコントローラ7と接続されており、該ポテンショにより検出されたスロットルアクチュエータ22の作動位置がシステムコントローラ7に入力される。ポテンショは、スロットルアクチュエータ22の作動位置検出手段として機能する。
ただし、本システムの航走モードがモータ単独航走となっている場合には、スロットルアクチュエータ22の作動によるエンジン2の燃料噴射量の調節は行われない。モータ単独航走の場合には、スロットルアクチュエータ22の作動に替えて、モータコントローラ6の制御が行われる。モータコントローラ6の制御により、前述したように界磁電流で発生させた磁界と電機子電流を制御してモータ5の回転数を調節する。
このように、操作レバー51を操作して、その操作位置を調節することにより、船体の前進・中立・後進を切り換えるとともに、エンジン2の駆動力(回転数)またはモータ5の駆動力(回転数)の調節を行っている。なお、本システムの航走モードがエンジンアシストとなっている場合には、モータ5の回転数をエンジン2の回転数に連動させて制御することとしている。
【0024】
エンジン2内にはエンジン2始動用のスタータモータ2aと機関付発電機であるオルタネータ2bが備えられており、該スタータモータ2aはリレー25を介してスタータバッテリ24と接続され、該スタータバッテリ24はオルタネータ2bと接続されている。また、スタータモータ2a、オルタネータ2b、スタータバッテリ24はメインリレー26を介して前記システムコントローラ7と接続されている。オルタネータ2bからの発電出力は、エンジン2のスタータモータ2aを駆動するためのスタータバッテリ24に充電され、該スタータバッテリ24に蓄積された電力をエンジン2始動の際に用いるようにしている。
【0025】
以上のように構成される本システムにおいて、メインコントローラとしてのシステムコントローラ7は次のように機能して、本システムの制御を行う。前述したように、システムコントローラ7は操作部8の操作レバー9に付設される位置センサおよびモード切換スイッチと接続されている。また、システムコントローラ7は、パワーユニット61・62(図5)を介してシフトアクチュエータ21およびスロットルアクチュエータ22、並びに該シフトアクチュエータ21およびスロットルアクチュエータ22にそれぞれ付設されるポテンショと接続されている。
【0026】
また、システムコントローラ7はエンジン2と接続されており、該エンジン2からシステムコントローラ7にエンジン回転数が入力される。エンジン2の回転数は、エンジン2に付設される回転数センサ35により検出される。回転数センサ35は、エンジン2の回転数検出手段として機能する。
【0027】
また、システムコントローラ7はモータ5と接続されており、該モータ5からシステムコントローラ7にモータ回転数およびモータ5の温度が入力される。モータ5の回転数は、モータ5に付設される回転数センサ36により検出され、モータ5の温度は、サーミスタ等の温度センサ(図示せず)により検出される。
【0028】
また、システムコントローラ7はモータコントローラ6と接続されており、該システムコントローラ7はモータコントローラ6に対して回転方向信号、出力信号、モード信号等を出力する。一方、モータコントローラ6は、モータ5に異常が発生した場合には、アラーム信号をシステムコントローラ7へ送る。
また、システムコントローラ7は発電機10と接続されており、該発電機10からシステムコントローラ7に発電機10の温度が入力される。発電機10の温度は、サーミスタ等の温度センサ(図示せず)により検出される。
【0029】
また、システムコントローラ7はリレー11・15a・17・18と接続されており、該システムコントローラ7は、図2に示すように、リレー11・15a・17・18のオン・オフ(開閉)を制御する。このオン・オフ制御は、船舶の航走状態、バッテリ14の充放電状態、インバータ15に接続される電気負荷(インバータ負荷)等の状態に基づいて行われている。また、システムコントローラ7はDC/DCコンバータ13に接続されており、該システムコントローラ7はDC/DCコンバータ13に対して充電電流指示を送る。
【0030】
また、システムコントローラ7はバッテリ14と接続されており、該バッテリ14からシステムコントローラ7にバッテリ14の充放電状態を表す電圧値・電流値が入力される。バッテリ14の電圧値および電流値はそれぞれ、電圧センサ33、電流センサ34により検出される。
【0031】
また、システムコントローラ7はインバータ15に接続されており、該システムコントローラ7はインバータ15(リレー15a)に対してオン・オフ信号を出力する。一方、インバータ15はシステムコントローラ7に対してインバータ15に接続される電気負荷の状態を表すインバータ入力電圧値、インバータ入力電流値、アラーム信号を出力する。インバータ入力電圧値およびインバータ入力電流値は、それぞれ、電圧センサ31および電流センサ32により検出される。
【0032】
また、システムコントローラ7は表示モニタ23と接続されており、該表示モニタ23はシステムコントローラ7に入力される種々の検出値等を表示して、操船者が本システムの状態を把握できるようにしている。
【0033】
更に、システムコントローラ7は、後述するように、本システムにおいて、操作レバー9の操作時間を検出する操作時間検出手段、操作レバー9の操作位置と操作時間とにより操作レバー9の操作速度を演算する操作速度演算手段、エンジン2のスロットル位置からスロットル開度速度を演算するスロットル開度速度演算手段、エンジン2の回転数の変動時間を検出する回転変動時間検出手段、スロットルアクチュエータ22の作動位置を操作レバー9の操作位置に換算する操作位置換算手段、操作レバー9の操作位置の偏差を演算する操作位置偏差演算手段、スロットルアクチュエータ22の作動位置を多段階に変更する作動位置調節手段、操作レバー9の操作位置に基づいてエンジン2の減速目標回転数を演算する減速目標回転数演算手段、減速目標回転数からモータ5の減速目標出力を演算する減速目標出力演算手段、操作レバー9の操作位置とエンジン2の回転数とに基づいてクラッシュアスターンを判定するクラッシュアスターン判定手段としても機能している。
【0034】
本システムでは、例えば、図2に示すようなH1からH16までの動作モードがある。以下、各モードについて説明する。
【0035】
H1およびH2は、モータ5のみでセイルドライブ3およびプロペラ4を駆動するモードであり、モータ5の駆動源はバッテリ14である。これらのモードによりエンジン停止状態でも航行可能となる。
【0036】
H3およびH8は、エンジン2およびモータ5の両方によりセイルドライブ3およびプロペラ4を駆動するモードであり、モータ5の駆動源はバッテリ14である。これらのモードにより、発電機10が損傷等でその電力が使用できない場合であっても、モータ5によるエンジンアシストが可能となる。なお、本実施例で「エンジンアシスト」とは、セイルドライブ3およびプロペラ4の駆動負荷の一部をモータ5により賄うことを意味し、エンジンアシストには、「定常アシスト」と「加速アシスト」がある。
【0037】
H4およびH9は、エンジン2およびモータ5の両方によりセイルドライブ3およびプロペラ4を駆動するモードであり、モータ5の駆動源は発電機10の電力である。これらのモードにより、バッテリ14が損傷等でその電力が使用できない場合であっても、モータ5によるエンジンアシストが可能となる。
【0038】
H5およびH10は、エンジン2およびモータ5の両方によりセイルドライブ3およびプロペラ4を駆動し、モータ5を駆動するに当たって発電機10の電力が不足するときはバッテリ14の放電により不足電力を補い、発電機10の電力に余裕があるときはバッテリ14を充電するモードである。これらのモードにより、モータ5の所要駆動力を確保してバッテリ14の充電が可能となる。
【0039】
H6およびH11は、エンジン2および発電機10の電力により駆動されるモータ5の両方によりセイルドライブ3およびプロペラ4を駆動しつつ、インバータ15を介して発電機10の電力を供給するモードである。これらのモードにより、インバータ15の電気負荷への電力供給とモータ5によるエンジンアシストの両立が可能となる。
【0040】
H7およびH12は、エンジン2およびモータ5の両方によりセイルドライブ3およびプロペラ4を駆動しつつ、インバータ15を介して発電機10の電力を供給し、モータ5を駆動するに当たって発電機10の電力が不足するときはバッテリ14の放電により不足電力を補い、モータ5の駆動およびインバータ15を介しての電力供給に当たって発電機10の電力に余裕があるときはバッテリ14を充電するモードである。これらのモードにより、インバータ15を介しての電力供給を安定化できるとともに、モータ5の所要駆動力を確保してエンジンアシストが可能となる。
【0041】
H13はエンジン2のみでセイルドライブ3およびプロペラ4を駆動するのみであり発電機10はエンジン2と同期回転するが実質停止しているモードである。このモードにより、インバータ15を介しての電力供給およびモータ5の駆動が不要またはこれらの機器の損傷等により不能の場合にあってもエンジン航行が可能となる。
【0042】
H14はエンジン2のみでセイルドライブ3およびプロペラ4を駆動しつつ、発電機10の電力でバッテリ14を充電するモードである。このモードにより、航行しながらバッテリ14の充電が可能となる。
【0043】
H15はエンジン2のみでセイルドライブ3およびプロペラ4を駆動しつつ、発電機10の電力でバッテリ14を充電およびインバータ15を介して電力供給を行うモードである。このモードにより、航行、インバータ15を介しての電力供給およびバッテリ14の充電を並立できる。
【0044】
H16はエンジン2のみでセイルドライブ3およびプロペラ4を駆動しつつ、インバータ15を介して発電機10の電力を供給するモードである。このモードにより、航行およびインバータ15を介しての電力供給を並立できる。
【0045】
なお、H1とH2との違いは、本システムを搭載した船舶が定常(=定速)航行状態(定常アシスト)か、加速航行状態(加速アシスト)かの違いである。H3とH8との違い、H4とH9との違い、H5とH10との違い、H6とH11との違い、およびH7とH12との違いについても同様である。
また、モータ5によるエンジンアシストによりエンジン2を燃費の良い回転域で使用することができ、かつ、モータ5の駆動源もバッテリ14またはエンジン2により駆動される発電機10の電力であるので本システムの燃費性を向上できる。
一方、エンジン2により駆動される発電機10の電力を、インバータ15を介して電気負荷へ供給できるので別個の発電機が不要とでき、本システムを搭載した船舶の空間利用性を向上できる。
【0046】
次に、エンジンアシストによる航走を行う場合の本システムの制御について説明する。この制御は、図2の動作モードH3からH12までにおける制御である。エンジンアシストによる航走を行う場合には、エンジン2の駆動とともに、モータ5を駆動させて、該モータ5の駆動力を動力伝達装置3に伝達することにより、動力伝達装置3およびプロペラ4を駆動する。
モータ5の駆動力(モータ出力)は、モータ5の回転数を調節することによって、制御される。モータ5の回転数の制御は、該モータ5にモータコントローラ6から供給される電流(主として電機子電流)を調節することにより制御される。このように、モータコントローラ6からモータ5への電機子電流を調節することにより、モータ5のアシスト量およびアシスト時間が決定されて、エンジンアシストによる円滑な航走が行われる。この場合、システムコントローラ7からモータコントローラ6に、モータ5の出力特性(アシスト量およびアシスト時間)を決定するモータ指令値が出力されており、該モータコントローラ6はこのモータ指令値に基づいて電機子電流を制御する。また、システムコントローラ7からスロットルアクチュエータ22に、エンジン2のスロットル位置(スロットル開度)を変化させて燃料噴射量を調節する指令(PWM信号)が出力されており、該スロットルアクチュエータ22はこの指令に基づいて作動する。
【0047】
図3を用いて、定常アシスト時(図2のH3からH7まで)のモータ5の制御について説明する。この制御は、エンジン2の回転数に見合ったモータ指令値を演算する制御である。
操作レバー9の操作位置(レバー位置)は、位置センサにより検出されて、システムコントローラ7に入力される。操作レバー9が、例えば、中立位置P1から前進側(F側)のP2まで、操作されると、該操作レバー9の作動が検出されて、操作レバー9の操作量がシステムコントローラ7に入力される。システムコントローラ7からの指令により、スロットルアクチュエータ22が作動すると、エンジン2のスロットル位置(スロットル開度)が変化する。エンジン2のスロットル位置は、位置センサ(図示せず)により検出されて、システムコントローラ7に入力される。位置センサは、エンジン2のスロットル位置検出手段として機能する。システムコントローラ7は、入力されたエンジン2のスロットル位置を操作レバー9のレバー位置に換算する。また、システムコントローラ7は、操作レバー9の位置センサにより検出されたレバー位置から、エンジン2のスロットル位置から換算されたレバー位置を、差し引くことによりレバー位置の偏差を演算する。
なお、図3において、C11、C12は所定の定数であり、位置センサにより検出されるエンジン2のスロットル位置に対してリミット処理を行う場合の下限値および上限値を表している。スロットル位置に対するリミット処理とは、スロットル位置が、予め設定された下限値C11と上限値C12との間に属するか否かを判定し、属する場合には、そのまま検出されたスロットル位置を採用し、属しない場合には、検出されたスロットル位置に替えて下限値C11(下回る場合)、または上限値C12(上回る場合)を採用するという処理である。
【0048】
次に、システムコントローラ7は、演算されたレバー位置の偏差が0となるように、スロットルアクチュエータ22を作動させることにより、エンジン2のスロットル位置を調節し、エンジン2の調速制御(回転数制御)を行う。つまり、スロットルアクチュエータ22の作動位置に応じて、エンジン2のスロットル位置が調節されて(燃料噴射量が調節されて)、エンジン2の回転数が増減される。エンジン2の回転数は、回転数センサ35により検出されて、システムコントローラ7に入力される。
【0049】
スロットルアクチュエータ22を作動させてのエンジン回転数、およびこれに伴うモータ回転数(モータ指令値)の調節は、図3中の制御マップに基づいて行われる。この制御マップは、図4と同様の制御マップであり、この制御マップには、左上にエンジンブレーキ域、右下に回生域がそれぞれ表されており、エンジンブレーキ域および回生域に入らないように、モータ指令値およびエンジン回転数が調節される。詳しくは、後述する。そして、検出されたエンジン回転数に基づいて、モータ指令値は、例えば、次の(式1)のように算出される。
(モータ指令値)=C21×(エンジン回転数)+C22 ・・・ (式1)
【0050】
なお、C21、C22は所定の定数であり、この(式1)は、図3中の制御マップでは、直線L1として表されている。このように、定常アシスト時には、操作レバー9のレバー位置の偏差が0となるように一連の制御を行って、エンジン2の回転数に見合ったモータ指令値を算出することとしている。そして、システムコントローラ7は、モータコントローラ6にモータ指令値を出力し、該モータコントローラ6はこのモータ指令値に基づいて、モータ5に供給する電機子電流を制御する。
図11においては、定常アシスト航走を時刻t6から時刻t7まで行っており、このとき、エンジン回転数、モータ回転数、およびモータ5に供給される電機子電流は略一定となっている。
【0051】
図5、図6、図7を用いて、スロットルアクチュエータ22の制御について詳しく説明する。この制御により、エンジン2のスロットル位置(スロットル開度)が調節される。
図5に示すように、システムコントローラ7は、シフトアクチュエータ21およびスロットルアクチュエータ22と、パワーユニット61・62を介してそれぞれ接続されている。システムコントローラ7はパワーユニット61・62に対して、PWM(パルス幅変調)出力の電流信号および接点出力信号を送る。これにより、システムコントローラ7は、パワーユニット61を介してシフトアクチュエータ21を制御し、また、パワーユニット62を介してスロットルアクチュエータ22を制御する。
【0052】
操作レバー9を操作すると、該操作レバー9の操作位置(レバー位置)が位置センサにより検出されて、システムコントローラ7に入力される。このとき、操作レバー9の操作位置が電圧値として、システムコントローラ7へ出力される。操作レバー9の操作位置と、該操作レバー9の出力電圧との間には、図6に示すような関係があり、操作レバー9の位置(前進・中立・後進)に対応する電圧値がシステムコントローラ7に出力される。システムコントローラ7に、入力された操作レバー9の操作位置を、目標値として記憶させておく。
システムコントローラ7は入力された電圧値に基づいて、パワーユニット62にPWM信号および接点出力信号を送る。パワーユニット62は、スロットルアクチュエータ22にPWM出力の電流信号を送り、該スロットルアクチュエータ22を作動させる。スロットルアクチュエータ22の作動位置は、ポテンショにより検出されて、システムコントローラ7に入力される。
【0053】
スロットルアクチュエータ22はラックピニオン式のDCモータ(スロットルモータ)により構成され、パワーユニット62から入力されるPWM信号の電流の向きにより、該スロットルモータの回転方向(正転・逆転)が切り換わる。なお、システムコントローラ7からパワーユニット62へのPWM信号については、電流の向きを一定としており、前記接点出力信号によりパワーユニット62から出力されるPWM信号の電流の向きを決定して、スロットルモータの回転方向を切り換えるようにしている。スロットルアクチュエータ22が作動されると、エンジン2のスロットルが作動され、該スロットルの位置が変化する。つまり、スロットルモータに電流(PWM信号)を流すことにより、スロットルアクチュエータ22を作動させ、エンジン2のスロットル位置を変化させて、燃料噴射量を変化させ、エンジン回転数を変動させる。
【0054】
システムコントローラ7からのPWM出力の電流信号は、図7に示すように出力される。図7においては、縦軸をPWM出力のDUTY(デューティー)とし、横軸をレバー位置の偏差としている。このレバー位置の偏差は、操作レバー9の実際の操作位置(目標値)と、スロットルアクチュエータ22の作動位置から換算される操作レバー9の操作位置との差である。前述したように、操作レバー9の操作位置は電圧値としてシステムコントローラ7に入力され、レバー位置の目標値として記憶される。また、スロットルアクチュエータ22の作動位置はポテンショにより検出されて、システムコントローラ7に入力され、操作レバー9の操作位置に換算される。レバー位置の偏差は、目標値として記憶されたレバー位置から、換算されたレバー位置を差し引くことにより演算される。
【0055】
そして、このように演算されるレバー位置の偏差の大きさに従って、システムコントローラ7は、PWM出力の電流信号のDUTYを多段階(図7では4段階)に変更する。PWM出力の大きさは、DUTYによって決定され、DUTYが大きいほどPWM出力の電流量が多くなり、スロットルアクチュエータ22に供給される電流量が多くなる。また、レバー位置の偏差の正負によって、システムコントローラ7は、スロットルアクチュエータ22へのPWM出力の電流信号の向きを制御するように、パワーユニット62への接点出力信号を制御する。偏差が正の場合にはスロットルモータを正回転させて、エンジン2のスロットル開度を大きくし、逆に、負の場合にはスロットルモータを逆回転させて、スロットル開度を小さくする。
【0056】
図7では、PWM出力のDUTYは、4段階(100%、50%、25%、5%)に変更可能となっており、偏差が大きい場合にはDUTYを大きくしてスロットルアクチュエータ22に供給される電流量を多くし、偏差が小さい場合にはDUTYを小さくしてスロットルアクチュエータ22に供給される電流量を少なくする制御としている。スロットルアクチュエータ22に供給される電流量、つまり、PWM出力のDUTYによってスロットルアクチュエータ22の作動量が決定する。また、PWM出力の向きによってスロットルアクチュエータ22の作動方向が決定する。これにより、スロットルアクチュエータ22の作動位置が定まり、エンジン2のスロットル位置が決定される。このように、レバー位置の偏差の大きさに従って、PWM出力のDUTYを変更している。偏差が大きいほどDUTYを大きくし、スロットルアクチュエータ22を大きく作動させて、偏差ができる限り小さくなるような制御としている。このとき、スロットルアクチュエータ22の作動位置はポテンショにより検出されて、システムコントローラ7に入力され、操作レバー9の操作位置に換算される。そして、再度、目標値との偏差が演算されて、この偏差の大きさに従いPWM出力のDUTYが変更される。この制御を繰り返して行うことにより、レバー位置の偏差をできる限り0に近づけることが可能である。レバー位置の偏差が小さくなると、PWM出力は小さくなる(DUTYは小さくなる)。このように、レバー位置の偏差に従いPWM出力のDUTYを多段階に変更して、エンジン2のスロットル位置を変化させることにより、操作レバー9の操作位置に対するエンジン2のスロットル位置の追従性を向上させることができ、操作性の向上が図れる。
【0057】
また、演算されたレバー位置の偏差に応じたPWM出力を行う場合、PWM出力のDUTYを0%とはせず、最低でも数%(図7では、5%)としている。図7では、レバー位置の偏差0となる目標値付近の偏差が−2から+2までの範囲では、PWM出力のDUTYは最小である5%としている。ここで、スロットルアクチュエータ22のスロットルモータは、該スロットルモータに電流が流れていない状態では停止し、電流が流れている状態では作動する。このため、PWM出力のDUTYを0%としないようにすると、スロットルモータに対して常に電流(PWM出力)が流れている状態となり、該スロットルモータは作動し続ける。
ここで、スロットルモータを停止させた場合には、次に作動させるためには静摩擦力よりも大きい力が必要となるが、スロットルモータを常に作動し続けた場合には、動摩擦力(<静摩擦力)よりも大きい力を作用させればよい。
【0058】
また、スロットルモータの作動方向は、レバー位置の偏差の正負によって決定され、偏差が正の場合には、エンジン2のスロットル開度を大きくする正転方向となり、逆に、偏差が負の場合には、スロットル開度を小さくする逆転方向となる。よって、レバー位置の偏差が、−2から0までの範囲においては、PWM出力のDUTYが5%で、スロットルモータは逆転方向に作動し、偏差が、0から+2までの範囲においては、PWM出力のDUTYが5%で、スロットルモータは正転方向に作動する。そして、レバー位置の偏差の目標値制御を行う場合、偏差が0となる目標値を挟んで、偏差の正負が切り換わると、スロットルモータの正転逆転が切り換わる。本システムでは、レバー位置の偏差が目標値(偏差0)を挟んで、正→負→正→負→・・・のように交互に切り換わるように制御している。これにより、スロットルモータは停止することなく、正転→逆転→正転→逆転→・・・を交互に切り換えて作動する。このような状態から、例えば操作レバー9が操作されて、レバー位置の偏差が変化して、PWM出力のDUTYが5%から10%(図7)に増加したとすると、スロットルモータの追従は、スロットルモータの停止時に比べて、速くなる。つまり、静摩擦力が働く停止時よりも、動摩擦力が働く作動時のほうが、スロットルモータの応答性が速くなる。
このように、レバー位置の偏差が小くなる範囲においても、PWM出力を0としてスロットルモータを停止させず、PWM出力を0とせずにスロットルモータを作動し続けていることにより、レバー位置の偏差が変化してPWM出力が大きくなった場合に、スロットルモータを応答性よく作動させることができる。
【0059】
次に、加速アシスト時(図2のH8からH12まで)のモータ5の制御等について説明する。この制御は、加速アシスト時においてのモータ5の出力特性を決定するモータ指令値(アシスト量およびアシスト時間)を演算する制御である。加速アシストによる航走を行う場合、モータ指令値は、操作レバー9の操作速度、エンジン2のスロットルの開度速度、操作レバー9の操作時間、およびエンジン2の回転変動時間に基づいて、モータ5のアシスト量およびアシスト時間が演算される。
【0060】
操作レバー9の操作速度は、操作レバー9の操作量の時間変化率である。操作レバー9の操作位置は位置センサにより検出され、電圧値としてシステムコントローラ7に入力される(図5、図6)。図8に示すように、操作レバー9が中立位置P1から前進側(F側)のP2まで操作されると、操作位置P1とP2に対応する電圧値が出力されて、システムコントローラ7に入力される。システムコントローラ7は、入力された操作レバー9の操作位置(P1とP2とに対応する電圧値)と操作時間から操作レバー9の操作速度を演算する。操作レバー9の操作速度dP/dtは、図8に示すように、操作レバー9の操作量(P2−P1)の時間変化率として演算され、次の(式2)により表される。
dP/dt=(P2−P1)/(ta−tb) ・・・ (式2)
【0061】
操作レバー9の操作時間は、操作レバー9の操作開始時刻taから操作完了時刻tbまでに要する時間であり、システムコントローラ7により計測される。なお、このとき、システムコントローラ7により演算された操作レバー9の操作速度dP/dtが、予め設定された所定速度(図8では、Va)以上である場合、「加速アシスト」と判定され、所定速度Va未満である場合には、「定常アシスト」と判定される。
【0062】
そして、図8に示すように、加速アシスト時のモータ指令値(モータ指令電圧値)は、定常アシスト時のモータ指令値に対して、演算された操作レバー9の操作速度dP/dtに見合う分だけの上乗せをして演算される。つまり、加速アシスト時のモータ指令値は、Gを係数として、定常状態でのモータ指令値に、G・(dP/dt)を加えた値となっている。ただし、モータ指令値の上限をMAXとして設定しており、この上限値MAXを超えないようにしている。モータ指令値が上限値MAXのときは、モータ5は最大出力で駆動する。
【0063】
このように、システムコントローラ7は、操作レバー9の操作速度dP/dtに見合う値を、定常アシスト時のモータ指令値に上乗せすることにより、加速アシスト時のモータ指令値を算出している。また、システムコントローラ7は、モータコントローラ6に算出されたモータ指令値を出力し、該モータコントローラ6はこのモータ指令値に基づいて、モータ5に供給する電機子電流を制御する。
【0064】
図8においては、時刻taから時刻tbまでが、モータ5のアシスト時間であり、これは、操作レバー9の操作開始時刻taから操作完了時刻tbまでである。
また、図11では、操作レバー9の操作速度に基づくモータ上乗せ指令により、(ロ)の部分が上乗せ分として表されている。時刻t1から時刻t2までがアシスト時間となっており、時刻t2の後に、モータコントローラ6からモータ5に供給される電機子電流が増加し、モータ5の回転数が上昇し始める。なお、図11では、エンジン2の回転数は動力伝達装置3のクラッチの嵌入まで、アイドル回転数を維持している。
【0065】
エンジン2のスロットル開度速度は、エンジン2のスロットル位置の変化量(スロットル変位)の時間変化率である。加速アシスト時には、スロットル開度が大きくなるようにスロットル位置が変化して、燃料噴射量が増加し、回転数が上昇する。エンジン2のスロットル位置は位置センサにより検出され、システムコントローラ7に入力される(図5)。図9に示すようにして、エンジン2のスロットル変位は演算される。エンジン2のスロットル位置は、所定時間tc毎に検出され、システムコントローラ7に入力される。スロットル変位は、現在のスロットル位置から前回のスロットル位置を差し引いた量である。そして、このように求められたスロットル変位を、時間tcで除することにより、エンジン2のスロットル開度速度が演算される。
【0066】
操作レバー9の操作速度の場合と同様に、加速アシスト時のモータ指令値は、定常アシスト時のモータ指令値に対して、演算されたエンジン2のスロットル開度速度に見合う分だけの上乗せをして演算される(図8参照)。つまり、加速アシスト時のモータ指令値は、定常状態でのモータ指令値に、スロットル開度速度の上乗せ分を加えた値となっている。なお、この場合にも、モータ指令値に対して上限値が設けられている。また、エンジン2のスロットル位置の検出を所定時間tc毎に行うため、スロットル開度速度は時間tc毎に変化し、これに従い、モータ指令値も時間tc毎に変化する。
エンジン2の回転変動時間は、スロットル位置が変化することによるエンジン2の回転数の変動開始時刻(例えば図11のt4)から、変動終了時刻(例えば図11のt6)までの時間であり、システムコントローラ7により計測される。
【0067】
このように、システムコントローラ7は、エンジン2のスロットル開度速度に見合う値を、定常アシスト時のモータ指令値に上乗せすることにより、加速アシスト時のモータ指令値を演算している。また、システムコントローラ7は、モータコントローラ6に演算されたモータ指令値を出力し、該モータコントローラ6はこのモータ指令値に基づきモータ5に供給する電機子電流を制御する。
また、図11では、エンジン2のスロットル変位によるモータ上乗せ指令により、(ハ)の部分が上乗せ分として表されている。時刻t4から時刻t6までがアシスト時間となっており、この間に、モータコントローラ6からモータ5に供給される電機子電流が増加して、モータ5の回転数は、エンジン2の回転数とともに上昇する。
【0068】
また、加速アシスト時のスロットルアクチュエータ22を作動させるPWM用のモータ指令値は、図10に示すように演算される。システムコントローラ7は、前述のように上乗せされたモータ指令値とエンジン2のスロットル変位とにより、PWM用のモータ指令値を演算する。PWM用のモータ指令値とは、スロットルアクチュエータ22のスロットルモータへのPWM出力の電流信号に対する指令値であり、PWM出力のDUTYを変更可能としている。PWM出力のDUTYは、図7に示す場合と同様に、多段階(4段階)に変更可能である。これにより、スロットルモータに供給される電流量が変更され、スロットルアクチュエータ22の作動位置が定まり、エンジン2のスロットル位置が決定される。なお、図10において、C31、C32、C33、C34、C35、C36、C37は所定の定数である。また、リミッター(下限値C36、上限値C37)は、図3における場合と同様に、リミット処理を行うものである。
【0069】
そして、モータ5のアシストにより加速を行って、船体が充分な速度に達した場合には、加速アシスト航走を終了して、定常アシストによる航走に切り換える。図11では、時刻t6において、切り換えを行っている。また、逆に、加速が必要な場合に、定常アシスト航走から加速アシスト航走に切り換えることも可能である。加速が必要な場合とは、操作レバー9の操作により加速アシストと判定された場合であり、前述したように操作レバー9の操作速度を検出することにより行う。
更に、エンジン単独のみによる航走時に、加速が必要な場合に、モータ5を駆動させて、加速アシスト航走に切り換えて、加速を行うことも可能である。そして、加速アシスト航走の終了後に、モータ5を停止させて、エンジン単独航走に切り換えることも可能である。
【0070】
そして、本システムの減速時における制御を、次のように行っている。船体の減速は、操作レバー9を、前進側の位置から中立側へ引き戻すことにより行う。減速時に、定常アシストを行わない場合には、モータコントローラ6からモータ5に電機子電流を供給せず、モータ5を停止させて、モータ出力をオフとする。また、このとき、前述した界磁電流も0としている。図11では、時刻t7において、定常アシスト航走から減速させており、モータ5に電機子電流を流さないようにしている。このため、モータ5の回転数は徐々に下がっている。減速時に、定常アシストを行う場合については、後述する。
このように、減速時にモータ5を停止させることにより、モータ5がエンジン2に回される回生状態に陥ることを回避し、モータ5の損傷を防止できる。
【0071】
図11には、エンジンアシスト時の操作レバー9の操作位置(レバー位置)、エンジン2のスロットル位置、エンジン2の回転数、モータ指令値、モータ5の回転数、およびモータ5に供給される電機子電流の経時変化を示している。この図11を用いて、エンジンアシスト(定常アシスト、加速アシスト)時の制御について説明する。
時刻t1において、操作レバー9が中立位置から前進側へ操作され、操作レバー9の操作速度が所定速度以上である場合には、加速アシストと判定されて、該操作レバー9の操作速度に基づいてモータ指令値の上乗せが行われる(図11の(ロ)の部分)。これにより、モータコントローラ6からモータ5に供給される電機子電流が増加して、モータ5の回転数の上昇が始まり、モータ5の回転数の上昇による分の加速が行われ、船体の加速がアシストされる。このとき、モータ5のアシスト時間は、操作レバー9の操作が開始される時刻t1から操作完了の時刻t2までとなっている。
【0072】
操作レバー9の操作に伴うモータ指令値の上乗せの後、時刻t3で動力伝達装置3のクラッチが嵌入開始され、時刻t5で嵌入完了されている。クラッチが嵌入されるまでの間は、エンジン2の回転数は最低回転数であるアイドル回転数に維持されている。また、クラッチ嵌入の間は、モータ5の回転数は上昇をやめ、略一定に保たれている。
【0073】
時刻t3で、エンジン2のスロットル位置が変化し(スロットル開度が大きくなり)、これにより、クラッチが嵌入されている時刻t3から時刻t5の間の時刻t4で、エンジン2の回転数が上昇し始める。このエンジン2のスロットル開度速度に応じて、モータ指令値の上乗せが行われる(図11の(ハ)の部分)。これにより、モータコントローラ6からモータ5に供給される電機子電流が再び増加し、モータ5の回転数はエンジン2の回転数とともに上昇する。このとき、モータ5のアシスト時間は、エンジン2の回転数が変動(上昇)している時刻t4から時刻t6までとなっている。
【0074】
時刻t6において、加速アシストから定常アシストによる航走に切り換わる。このため、時刻t6から時刻t7までの間は、エンジン2の回転数、モータ5の回転数、およびモータ5に供給される電機子電流はそれぞれ略一定の値で推移する。また、時刻t7において、操作レバー9が前進側の位置から中立側へ操作され、船体の減速が開始される。減速状態では、電機子電流は0になり、モータ5は回転数を下げ、停止し、また、エンジン2の回転数も下降する。減速状態は、時刻t8を経て、時刻t9まで続く。
【0075】
このように、本システムでは、操作レバー9を操作した時刻t1に遅れて、時刻t3でスロットル位置が変化し始めることに対応させて、操作レバー9の操作速度に基づくモータ指令値の上乗せを時刻t1から時刻t2まで行い、エンジン2のスロットル開度速度に基づくモータ指令値の上乗せを時刻t4から時刻t6まで行っている。つまり、レバー操作と、エンジン回転のそれぞれと連動したモータ指令値の上乗せを行っている。これにより、レバー操作とエンジン回転変動への追従性を向上させたモータ5の出力制御が可能となり、充分かつ円滑な加速アシスト航走の実現を図ることができる。
【0076】
以上のように、エンジンアシストによる航走を行う場合において、操作レバー9の操作量から目標値(目標回転数、目標スロットル位置)を定め、この目標値に対する実際の操作量(実回転数、実スロットル位置)の偏差を0に近づける制御(目標値制御)を行うことも可能である。この目標値制御について説明する。なお、前述した操作レバー9のレバー位置の偏差を0に近づけるという制御も目標値制御の一つである。
【0077】
まず、図13を用いて、エンジン2の回転数の偏差を0に近づける目標値制御について説明する。操作レバー9が操作されると、スロットルアクチュエータ22が作動され、エンジン2のスロットルが作動し、エンジン2の回転数が変動する。エンジン2の回転数(実回転数)Nrpmが回転数センサ35により検出されて、システムコントローラ7に入力される(ステップS1)。また、システムコントローラ7は、位置センサにより検出された操作レバー9の操作位置に基づいてエンジン2の目標回転数Nsetを演算する(ステップS2)。次に、システムコントローラ7は補正係数Kを設定する(ステップS3)。補正係数Kは、後述するステップS9での補正のとき用いる値であり、エンジン2の回転数が低い場合には、大きく設定され、エンジン2の回転数が高い場合には、小さく設定される値である。
【0078】
次に、システムコントローラ7は、目標回転数Nsetから実回転数Nrpmを減ずることにより、回転数の偏差ΔNを演算する(ステップS4)。そして、この偏差ΔNが予め設定されたΔNmax以下であるか否かが判定される(ステップS5)。偏差ΔNがΔNmax以下でない場合には(ΔN>ΔNmax)、偏差ΔNをΔNmaxとして(ステップS7)、ステップS9へ移行し、補正を実行する。一方、偏差ΔNがΔNmax以下である場合には(ΔN≦ΔNmax)、偏差ΔNが予め設定されたΔNmin以上であるか否かが判定される(ステップS6)。偏差ΔNがΔNmin以上でない場合には(ΔN<ΔNmin)、偏差ΔNをΔNminとして(ステップS8)、ステップS9へ移行し、補正を実行する。一方、偏差ΔNがΔNmin以上である場合には(ΔN≧ΔNmin)、ステップS9へ移行する。このように、ステップS5、S6、S7、S8により、偏差ΔNの値が、ΔNmin≦ΔN≦ΔNmax、となるようにしている。
【0079】
そして、システムコントローラ7は、次の(式3)に従ってPWM出力の補正を実行する(ステップS9)。
PWMn=PWMn−1+ΔN・K ・・・ (式3)
PWMn−1は前回(補正前)のPWM出力であり、PWMnは現在(補正後)のPWM出力である。つまり、(式3)では、前回のPWM出力にΔN・Kを加えた値を、現在のPWM出力としている。補正係数Kは、エンジン回転数が低い場合には、大きい値に設定されてスロットル開度補正値ΔN・Kの変化量を大きくする。逆に、エンジン回転数が高い場合には、小さい値に設定されてスロットル開度補正値ΔN・Kの変化量を小さくする。システムコントローラ7は、補正後のPWM出力をスロットルアクチュエータ22に送り、この補正後のPWM出力に基づいてスロットルアクチュエータ22のスロットルモータを作動させる(ステップS10)。スロットルモータが作動することにより、エンジン2のスロットル位置が変化して、エンジン2の回転数が変動する。このとき、回転数センサ35により検出されるエンジン2の回転数をNrpm´とすると、この回転数Nrpm´と目標回転数Nsetとの偏差ΔN´は、回転数NrpmとNsetとの偏差ΔNよりも0に近い値となっている。つまり、エンジン2の回転数は目標回転数に近づき、その偏差は0に近づいている。
そして、このようなエンジン2の回転数に対する目標値制御を、繰り返して行うことにより、更にエンジン2の回転数を目標回転数に近づけ、その偏差を0に近づけることができ、操作レバー9のレバー操作に対する追従性を向上させることができる。
【0080】
次に、図14を用いて、エンジン2のスロットル位置の偏差を0に近づける目標値制御について説明する。操作レバー9が操作されると、スロットルアクチュエータ22が作動され、エンジン2のスロットル位置が変化する。エンジン2のスロットル位置Sn(実スロットル位置)は、位置センサにより検出されて、システムコントローラ7に入力される。また、システムコントローラ7は、位置センサにより検出された操作レバー9の操作位置に基づいてエンジン2の目標スロットル位置Smを演算する(ステップT1)。システムコントローラ7は、位置センサにより検出されたエンジン2の現在の実スロットル位置Snに対して、リミット処理を施す(ステップT2)。このリミット処理は、前述したエンジン回転数の目標値制御におけるステップS5〜ステップS8(図13)と同様の制御である。この処理では、まず、実スロットル位置Snが、予め設定された下限値Sminと上限値Smaxとの間に属するか否かを判定する。そして、属する場合には(Smin≦Sn≦Smax)、そのまま検出されたSnを採用し、Snが上限値Smaxを上回る場合には(Sn>Smax)、Snの値として上限値Smaxを採用し、Snが下限値Sminを下回る場合に(Sn<Smin)、Snの値として下限値Sminを採用している。
【0081】
次に、システムコントローラ7は、目標スロットル位置Smから、リミット処理後の実スロットル位置Snを減ずることにより、スロットル位置の偏差ΔSを演算する(ステップT3)。そして、この偏差ΔSが、正であるか負であるかの判定を行う(ステップT4)。つまり、目標スロットル位置Smが実スロットル位置Snより大きいか否かの判定を行う。偏差ΔSが負でない場合には(Sm≧Sn)、スロットルアクチュエータ22のスロットルモータの回転方向を正回転とし(ステップT5)、一方、偏差ΔSが負である場合には(Sm<Sn)、スロットルモータの回転方向を逆回転とする(ステップT6)。そして、システムコントローラ7は、偏差ΔSに基づいてPWM出力を決定し(ステップT7)、このPWMの出力信号をスロットルアクチュエータ22に送り、スロットルモータを作動させる(ステップT8)。スロットルモータが正回転にて作動する場合には、エンジン2の燃料噴射量が増加するようにスロットル位置が変化し、エンジン回転数が上昇する。一方、逆回転にて作動する場合には、エンジン2の燃料噴射量が減少するようにスロットル位置が変化し、エンジン回転数が下降する。このとき、位置センサにより検出されるエンジン2のスロットル位置をSn´とすると、このスロットル位置Sn´と目標スロットル位置Smとの偏差ΔS´は、偏差ΔSよりも0に近い値となっている。つまり、エンジン2のスロットル位置は目標スロットル位置に近づき、その偏差は0に近づいている。
そして、このようなエンジン2のスロットル位置に対する目標値制御を、繰り返して行うことにより、更にエンジン2のスロットル位置を目標スロットル位置に近づけ、その偏差を0に近づけることができ、操作レバー9のレバー操作に対する追従性を向上させることができる。
なお、本システムで、エンジン2の回転数に対する目標値制御と、スロットル位置に対する目標値制御とを同時に行うこともできる。
【0082】
次に、本システムのモータ出力制御について、図4を用いて説明する。
図4には、モータ出力の制御マップを示しており、この制御マップには、回生域とエンジンブレーキ域とが表されている。回生域とは、モータ5が回生状態となる領域であり、例えば、船体の減速時等にモータ5がエンジン2によって回され得る領域である。モータ5にとっては、この回生域での駆動を回避することが不可欠である。また、エンジンブレーキ域とは、例えば船体の加速時等にモータ5にとってエンジンが負荷となり得る領域である。モータ5にとっては、このエンジンブレーキ域での長時間の駆動を回避することが望ましい。
このため、モータ5の駆動を、回生域とエンジンブレーキ域とに挟まれた領域(イ)にて行わせるように制御する。図4に示すように、領域(イ)と回生域との境界を限度値ラインL2、領域(イ)とエンジンブレーキ域との境界を限度値ラインL3としている。また、直線L1は、定常アシスト時における所定のモータ出力(例えば、60アンペア)を示すラインである。
【0083】
加速アシストによる航走時には、加速アシストへの切り換え後、前述したモータアシスト量の上乗せ等のため、モータ5の出力が上昇し、限度値ラインL3を超えて、領域(イ)を逸脱し、エンジンブレーキ域に突入する場合がある。この場合に、エンジンブレーキ域での長時間のモータ5の駆動を回避するために、次のような制御を行う。
エンジンブレーキ域に突入した後、所定時間経過前は、モータ5のエンジンブレーキ域での駆動を許容する。つまり、エンジンブレーキ域に突入しても所定時間経過するまでに、エンジンブレーキ域から領域(イ)に戻る場合もあるため、この間は、モータ5に対して特に指令を行わず、放置しておく。
【0084】
しかし、所定時間経過しても、モータ5がエンジンブレーキ域での駆動を続けている場合には、エンジンブレーキ域から領域(イ)に戻す制御を行う。加速アシストによる航走を続けている場合には、限度値ラインL3に戻し、これ以降の加速アシストは限度値ラインL3上で行うようにする。
加速アシストを終了し、定常アシストに切り換えられて航走を行っている場合には、前述した定常時における直線L1のラインまで引き戻す。また、加速アシストを終了している場合には、定常アシストによる航走に替えて、モータ5を停止させて、エンジン単独による航走に切り換えることも可能である。こうして、エンジンブレーキ域での長時間のモータ5の駆動を回避して、モータ5の保護を図っている。
【0085】
減速時には、エンジン2の応答性よりもモータ5の応答性の方が速いため、エンジン2の回転数が下降するよりも、モータ5の回転数が下降する方が速くなり、限度値ラインL2を超えて、領域(イ)を逸脱し、回生域に突入する場合がある。この場合に、回生域でのモータ駆動を回避して、モータ5の損傷を防止するために、次のように、限度値ラインL2に漸近させる制御を行う。
【0086】
減速時には、操作レバー9を前進側の位置から中立側に引き戻す。このレバー操作は、位置センサにより検出され、システムコントローラ7に入力される。システムコントローラ7は、検出されたレバー操作に基づいて減速時におけるエンジン2の減速目標回転数を演算し、また、この減速目標回転数でのモータ指令値(目標指令値)を演算する。演算された目標指令値からは、モータ出力(モータ回転数)を演算できる。そして、減速目標回転数において、演算されたモータ出力と、限度値ラインL2上の限度値とを比較する。モータ出力が限度値を下回ると判定された場合には、このまま減速を続けると、限度値ラインL2を超えて、回生域に入るため、目標指令値として、演算された指令値に替えて、限度値に相当する指令値を採用する。限度値に相当する指令値とは、モータ出力としての限度値ラインL2上の限度値を、モータ指令値に換算したものである。目標指令値として限度値に相当する指令値を採用すると、モータ出力は限度値を目標として減少することとなり、つまり限度値ラインL2に漸近することとなり、限度値ラインL2を下回ることはなくなる。このとき、システムコントローラ7が判定手段として機能する。
【0087】
このように、減速時にモータ出力が減少することにより、限度値ラインL2を下回るか否かを予め判定して、下回ると判定された場合にも、実際には限度値ラインL2に漸近することとなり、限度値ラインL2を下回って回生域に入らないようにしている。こうして、回生域でのモータ5の駆動を避けることができ、モータ5の損傷を防止することができる。
なお、減速終了後には、定常アシスト(直線L1のライン)による航走やエンジン単独による航走に切り換わり、減速前の状態にて航走を行うようにできる。
【0088】
次に、本システムのクラッシュターン時における制御について、図15、図16、図17を用いて説明する。「クラッシュアスターン」とは、前進側に操作されていた操作レバー9を減速側へ急激に操作し、さらに中立位置で止めることなく、後進側まで急速に切り換える操作を行って、船体を急減速させることである。エンジン2が所定の回転数以上で航走している場合に、船体を急減速させると、エンストを起こす危険性があるために、この制御では、操作レバー9を一気に前進位置から後進位置まで切り換えたときに、機敏な応答性を有するモータ5を逆回転で駆動させて、エンストを防止しようとしている。
【0089】
操作レバー9を前進側から後進側へ切り換えることにより、シフトアクチュエータ21が作動し、動力伝達装置3のクラッチの切り換えが行われ、エンジン2の駆動力の伝達方向が、正転(前進する方向)から逆転(後進する方向)に切り換えられる(図15)。このとき、正転方向から逆転方向へ急速な切り換えを行うと、エンジン2に負荷がかかり、エンストを引き起こす可能性がある。特に、エンジン2の回転数が所定の回転数以上である場合には、エンジン2にかかる負荷が大きくなり、エンストを誘発し易くなる。
このとき、モータ5を逆回転で駆動させて、この駆動力を動力伝達装置3に伝達して、動力伝達装置3内でエンジン2から伝達された駆動力(逆転方向)をアシストすることにより(図15)、エンジン2の負荷を軽くして、エンストの防止を図ることができる。この場合、モータ5はエンジン2と比べて機敏な応答性を有するため、モータ5を高速で逆回転させることにより、スムースにエンジン2の負荷を軽減することができる。
【0090】
クラッシュアスターン時のモータ指令値は、図16に示すように、変化する。システムコントローラ7は、後述するようにクラッシュアスターンと判定された場合には、モータ指令値を上限値MAXとして、モータコントローラ6に出力する。モータコントローラ6は、モータ5への電機子電流等を制御して、該モータ5を逆回転、最大出力で駆動させる。
【0091】
図17を用いて、クラッシュアスターン時の制御について詳しく説明する。
図17のステップU1からステップU5までは、クラッシュアスターンの判定を行っており、前進航走時に、急速に操作レバー9を前進側の位置から、後進側の位置へ切り換えた場合に、以下の条件に当てはまるとクラッシュアスターンと判定される。なお、以下の前進フラグおよび後進フラグは、このクラッシュアスターンの判定に用いられる信号である。
【0092】
前進航走時に、急速に操作レバー9を前進側の位置から、後進側の位置へ切り換えて、クラッシュアスターンを行う場合には、まず、エンジン2の回転数は、回転数センサ35により検出されて、システムコントローラ7に入力される。システムコントローラ7は、検出されるエンジン2の回転数が所定の回転数(図17では、1500rpm)以上であるか否かを判定する(ステップU1)。所定の回転数以上でない場合には、急減速をしたとしてもエンストの可能性が低いため、クラッシュアスターンを行わずに、この制御を終了する。一方、所定の回転数以上である場合には、操作レバー9の操作位置が検出され、前進位置にあるか否かが判定される(ステップU2)。前進位置にある場合には、システムコントローラ7は、前進フラグをオン、後進フラグをオフとして(ステップU3)、ステップU1へ移行する。一方、ステップU2において、前進位置にない場合、つまり、中立位置または後進位置にある場合には、システムコントローラ7は、操作レバー9の操作位置が後進位置、かつ、前進フラグがオンであるか否かを判定する(ステップU4)。操作レバー9の操作位置が後進位置でない場合、または、前進フラグがオンでない場合には、ステップU1へ移行する。一方、操作レバー9の操作位置が後進位置、かつ、前進フラグがオンである場合には、次に、システムコントローラ7は、前進フラグをオフ、後進フラグをオンとする(ステップU5)。
【0093】
以上のように、エンジン2の回転数が所定の回転数以上であり、操作レバー9が前進位置から後進位置に切り換えられて、前進フラグがオンの状態から後進フラグがオンの状態に移った場合に、クラッシュアスターンの条件を満たし、以下のステップU6以降の制御が行われる。
なお、ステップU1、U2、U4の判定は、所定の周期にて行われているため、操作レバー9を前進位置から急速に後進位置に切り換える際に、今回の判定では、クラッシュアスターンと判定されなかったとしても、その後の判定で、クラッシュアスターンと判定される場合もあり得る。
【0094】
次に、モータ5の回転方向を逆回転とする(ステップU6)。モータ5を駆動する際には、システムコントローラ7は、モータ指令値を上限値MAXとして(図16)、モータコントローラ6に出力し、該モータコントローラ6はモータ5に電機子電流を供給する。こうして、モータ5は逆方向に最大出力で駆動する。この場合、電流センサ(図示せず)により検出される電機子電流が、所定値(図17では、60アンペア)以上であるか否かが判定される(ステップU7)。電機子電流が所定値以上でない場合には、この制御を終了する。一方、電機子電流が所定値以上である場合には、モータ指令値を上限値MAXとして(ステップU8)、ステップU7へ移行する。このステップU7、U8では、電機子電流が所定値以上ではなくなるまで、モータ指令値を上限値MAXとして、モータ5を駆動している。このとき、所定値としては、定常アシスト時のモータ5に供給される電機子電流の値が採用されており、電機子電流が所定値を下回った場合には、モータ5にかかる負荷が軽くなったものとして、クラッシュアスターンの制御を終了している。言い換えれば、電機子電流が所定値以下の軽負荷となるまで、モータ5のアシスト量をMAXとして、クラッシュアスターンの制御を行っている。
このように、クラッシュアスターン時に、モータ5を高速で逆回転させて、この駆動力でエンジン2の駆動力(逆転方向)をアシストすることにより、エンジン2の負荷をスムースに軽減して、エンストの防止を図ることができる。
【0095】
以上に述べたハイブリッドシステムAに替えて、図18に示すようなハイブリッドシステムBでも前述したような制御を行うことが可能である。
ハイブリッドシステムBの構成は、ハイブリッドシステムAの構成を変更したものとなっており、その機能は略同様のものとなっている。すなわち、ハイブリッドシステムBにおけるモータジェネレータ(M/G)40が、ハイブリッドシステムAのモータ5と発電機10に相当する。また、ハイブリッドシステムBにおけるVVVFインバータコンバータ(可変電圧可変周波数インバータコンバータ)42と単相CVCFインバータ(単相定電圧定周波数インバータ)43と昇降圧チョッパ44とにより構成されるインバータ部41が、ハイブリッドシステムAにおけるモータコントローラ6とDC/DCコンバータ13と整流機器12とインバータ15に相当する。また、ハイブリッドシステムBは、後述するようにスタータ機能を備えているため、ハイブリッドシステムAにおけるエンジン2始動用のスタータモータ2a、スタータバッテリ24等に相当するものを備えていない。
【0096】
図18に示すように、モータジェネレータ40は、システム1において、エンジン2と動力伝達装置3との間に介装されている。モータジェネレータ40が発電機器として機能する場合(図19のM4からM7、および図22の電力供給機能の場合)には、エンジン2の駆動によりモータジェネレータ40が作動され、該モータジェネレータ40により発電された電力(発電機出力)はインバータ部41に入力され、該インバータ部41からバッテリ14への充電や、切換機器19、出力ソケット20を介して船内供給を行っている。また、モータジェネレータ40が、モータとして機能する場合(図19のM1からM3、図20のスタータ機能、および図21のアシスト機能の場合)には、エンジン2の始動や、航走のアシストを行っている。
【0097】
インバータ部41のVVVFインバータコンバータ42は、モータジェネレータ40が発電機器として機能する場合にはインバータ部41に入力される発電機出力の整流・平滑を行い、また、モータジェネレータ40がモータとして機能する場合にはモータ制御を行う。また、VVVFインバータコンバータ42はシステムコントローラ7と接続されており、該システムコントローラ7はVVVFインバータコンバータ42に対し、モータとしてのモータジェネレータ40の起動(回転数)指示、およびアシスト(トルク)指令を出力する。一方、VVVFインバータコンバータ42はシステムコントローラ7へモータとしてのモータジェネレータ40の回転数、トルク、アラーム、直流電圧を送る。エンジン2の回転数は回転数センサ35により検出される。
【0098】
単相CVCFインバータ43は、該単相CVCFインバータ43に接続される電気負荷に電力を供給するときに作動して、その供給電力を所定の周波数の交流電力として供給できるようにしている。単相CVCFインバータ43には、該単相CVCFインバータ43に接続される電気負荷に供給される電流および電圧を検出するための電流センサおよび電圧センサ(図示せず)が備えられている。また、単相CVCFインバータ43はシステムコントローラ7と接続されており、該システムコントローラ7は単相CVCFインバータ43に対し、運転・停止指示を出力する。一方、単相CVCFインバータ43はシステムコントローラ7へ前記電圧センサにより検出した交流電圧、電流センサにより検出した交流電流、交流電力、アラームを送る。
【0099】
昇降圧チョッパ44はバッテリ14と接続されており、該バッテリ14が放電を行う場合には、昇圧チョッパとして機能してバッテリ14の放電電圧を所定の電圧に昇圧し、また、バッテリ14への充電を行う場合には、降圧チョッパとして機能して、バッテリ14への充電電圧を所定の電圧に降圧する。また、昇降圧チョッパ44はシステムコントローラ7と接続されており、該システムコントローラ7は昇降圧チョッパ44に対し、運転・停止指示、充電電流指示、充電指示、バッテリ温度検出指示を出力する。一方、昇降圧チョッパ44はシステムコントローラ7へバッテリ電圧、バッテリ充放電電流、バッテリ温度(バッテリ雰囲気温度)、アラームを送る。バッテリ電圧およびバッテリ充放電電流は電圧センサおよび電流センサにより検出される。また、バッテリ温度は、バッテリ14に付設される温度センサにより検出される。
【0100】
ハイブリッドシステムBの動作モードを図19から図23により詳しく説明する。
図20には、エンジン2を始動するときの電気回路の作動および駆動力の伝達状態が示されている。バッテリ14から昇降圧チョッパ44により昇圧された電力がVVVFインバータコンバータ42により所要の電圧および周波数に変換されて、モータジェネレータ40に供給され、モータジェネレータ40がモータとして機能してエンジン2を始動する。これは、ハイブリッドシステムAと比べてハイブリッドシステムB特有のモードである。ハイブリッドシステムAに用いられる発電機10並びにハイブリッドシステムBに用いられるモータジェネレータ40は、エンジン2のクランク軸と常時同期回転する構成である。このため、モータジェネレータ40をモータとして駆動すればエンジン2の始動が可能となる。一方、ハイブリッドシステムAの場合、モータ5はセイルドライブ3およびプロペラ4と常時同期回転する構成であり、エンジン2とはセイルドライブ3に内装されるクラッチにより断接されるからである。これにより、エンジン2を始動するためのスタータバッテリ24等を削減できる。
【0101】
図21には、モータジェネレータ40によりエンジンアシストを行うときの電気回路の作動および駆動力の伝達状態が示されている。バッテリ14からモータジェネレータ40までの電気回路の作動状態は図15と同様である。モータジェネレータ40およびエンジン2の駆動力の和が、セイルドライブ3およびプロペラ4の駆動力となる。これにより、モータジェネレータ40によるエンジンアシストによりエンジン2を燃費の良い回転域で使用することができ、かつ、モータジェネレータ40の駆動源もバッテリ14であるので本システムの燃費性を向上できる。
【0102】
図22には、モータジェネレータ40により発電された電力により単相CVCFインバータ43を介して電力供給、またはバッテリ14の充電を行うときの電気回路の作動および駆動力の伝達状態が示されている。エンジン2によりセイルドライブ3およびプロペラ4並びにモータジェネレータ40が駆動される。これにより、モータジェネレータ40が発電を行い、その電力がVVVFインバータコンバータ42により整流・平滑され、その後、単相CVCFインバータ43により所定の電圧および周波数に変換されて電気負荷へ供給される。このとき、整流・平滑後の電力に余剰があれば昇降圧チョッパ44により降圧されてバッテリ14の充電に費やされる。これにより、航行および単相CVCFインバータ43の電気負荷への電力供給が並立できる。更にバッテリ14の充電も可能となる。
【0103】
図23には、バッテリ14により昇降圧チョッパ44および単相CVCFインバータ43を介して電力供給を行うときの電気回路の作動状態が示されている。バッテリ14から昇降圧チョッパ44により昇圧された電力が単相CVCFインバータ43により所定の電圧および周波数に変換されて電気負荷へ供給される。これは、ハイブリッドシステムAと比べてハイブリッドシステムB特有のモードである。これにより、モータジェネレータ40で発電される電力が不足するときにその補償が可能となる。また、エンジン2の停止中でも単相CVCFインバータ43の電気負荷への電力供給が可能となる。
【0104】
そして、図19で示すM1は、図20または図21で表される動作モードである。M2は、図21で表される動作モードである。M3は、図20または図21、および図23で表される動作モードの組合せモードである。M4は、図2のH13と同様の動作モードである。M5は、図22の内、単相CVCFインバータ43による電力供給が停止している動作モードである。M6は、図22で表される動作モードである。M7は、図22の内、バッテリ14の充電が停止している動作モードである。M8は、図23で表される動作モードである。
【0105】
ハイブリッドシステムBでは、ハイブリッドシステムAと比べてきめ細かなモードは実現できない代わりに配線を低減できるので本質的に生産性(特に組立性)および信頼性が向上できる。更に、ハイブリッドシステムAと比べてエンジン2の始動のためのスタータバッテリ24等が削減できるので、本システムを搭載した船舶の空間利用性を向上できる。また、モータジェネレータ40で発電される電力が不足するときにその補償が可能となるとともに、エンジン2の停止中でも単相CVCFインバータ43の電気負荷への電力供給が可能となるので、電力使用の利便性が向上する。
【0106】
ハイブリッドシステムBには、システム1にモータとして機能するモータジェネレータ40が備えられており、前述したハイブリッドシステムAと略同様の制御を行っている(図3乃至図14参照)。
エンジンアシストによる航走を行う場合のモータジェネレータ40の出力制御において、操作レバー9に付設される位置センサが操作レバー9の操作位置検出手段として、エンジン2のスロットルに付設される位置センサがエンジン2のスロットル位置検出手段として、VVVFインバータコンバータ42がモータとしてのモータジェネレータ40の出力調節手段として、スロットルアクチュエータ22がエンジン2のスロットル位置調節手段として、スロットルアクチュエータ22に付設されるポテンショがスロットルアクチュエータ22の作動位置検出手段として、それぞれ機能している。
また、システムコントローラ7が、操作レバー9の操作時間を検出する操作時間検出手段、操作レバー9の操作位置と操作時間とにより操作レバー9の操作速度を演算する操作速度演算手段、エンジン2のスロットル位置からスロットル開度速度を演算するスロットル開度速度演算手段、エンジン2の回転数の変動時間を検出する回転変動時間検出手段、スロットルアクチュエータ22の作動位置を操作レバー9の操作位置に換算する操作位置換算手段、操作レバー9の操作位置の偏差を演算する操作位置偏差演算手段、スロットルアクチュエータ22の作動位置を多段階に変更する作動位置調節手段として機能している。
【0107】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成したので、以下に示すような効果を奏する。
すなわち、請求項1に示す如く、エンジン、電動機器、および動力伝達装置からなり、動力伝達装置の駆動を、エンジンのみの駆動力により駆動する形態と、エンジンの駆動力を電動機器の駆動力によりアシストして駆動する形態とを有するハイブリッドシステムにおいて、移動体の進行方向を切り換える操作具の操作位置を検出する操作位置検出手段と、操作具の操作時間を検出する操作時間検出手段と、操作具の操作位置と操作時間とにより操作具の操作速度を演算する操作速度演算手段と、エンジンのスロットル位置を検出するスロットル位置検出手段と、エンジンのスロットル位置からスロットルの開度速度を演算するスロットル開度速度演算手段と、エンジンの回転数の変動時間を検出する回転変動時間検出手段と、電動機器の出力を調節する電動機器出力調節手段とを備えるとともに、移動体の加速時に、エンジンの駆動力を電動機器の駆動力によりアシストして、動力伝達装置を駆動する場合には、操作具の操作速度と、エンジンのスロットル開度速度と、操作具の操作時間と、エンジンの回転変動時間とに基づいて、電動機器の出力を調節するので、操作具の操作と、エンジン回転のそれぞれと連動した電動機器への指令値の上乗せを行うことにより、操作具の操作とエンジン回転変動への追従性を向上させた電動機器の出力制御が可能となり、充分かつ円滑な加速時のアシストの実現を図ることができる。
【0108】
請求項2に示す如く、請求項1記載のハイブリッドシステムにおいて、移動体の減速時には、電動機器を停止させるので、電動機器がエンジンに回される回生状態に陥ることを回避することができ、電動機器の損傷を防止できる。
【0109】
請求項3に示す如く、エンジン、電動機器、および動力伝達装置からなり、動力伝達装置の駆動を、エンジンのみの駆動力により駆動する形態と、エンジンの駆動力を電動機器の駆動力によりアシストして駆動する形態とを有するハイブリッドシステムにおいて、移動体の進行方向を切り換える操作具の操作位置を検出する操作位置検出手段と、エンジンのスロットル位置を調節するスロットル位置調節手段と、該スロットル位置調節手段の作動位置を検出する作動位置検出手段と、該作動位置検出手段により検出されるスロットル位置調節手段の作動位置を操作具の操作位置に換算する操作位置換算手段と、前記操作位置検出手段により検出される操作具の操作位置と操作位置換算手段により換算される操作具の操作位置との偏差を演算する操作位置偏差演算手段と、操作具の操作位置の偏差に基づいてスロットル位置調節手段の作動位置を多段階に変更する作動位置調節手段とを備えるので、操作具の操作位置の偏差に基づいて、エンジンのスロットル開度を多段階に変化させることにより、操作具の操作位置に対するエンジンのスロットル開度の追従性を向上させることができ、操作性の向上が図れる。
【0110】
請求項4に示す如く、請求項3記載のハイブリッドシステムにおいて、前記操作具の操作位置の偏差が0となる目標値付近にて、作動位置調節手段を構成するモータを停止させないので、操作具の操作位置の偏差が小くなる範囲においても、前記モータを停止させず、作動させ続けていることにより、操作具が操作されることにより操作位置の偏差が大きく変化した場合にも、モータを応答性よく作動させることができる。
【0111】
請求項5に示す如く、エンジン、電動機器、および動力伝達装置からなり、通常の駆動域と、電動機器にとってエンジンが負荷となるエンジンブレーキ域と、電動機器がエンジンにより回される回生域とを有する制御マップに基づいて、電動機器の出力を制御するハイブリッドシステムにおいて、移動体の加速時に、エンジンの駆動力を、電動機器の駆動力によりアシストして動力伝達装置を駆動する際に、前記制御マップ上で、通常の駆動域とエンジンブレーキ域との境界線を超えて、エンジンブレーキ域にて電動機器が駆動される場合には、エンジンブレーキ域での電動機器の駆動を、所定時間経過前までは許容し、該所定時間経過後は、加速を継続しているならば、エンジンブレーキ域から前記境界線上まで引き戻し、該境界線上にて、電動機器を駆動させ、加速を終了しているならば、エンジンブレーキ域から前記境界線を超えて通常の駆動域まで引き戻し、通常の駆動域にて、電動機器を駆動させるので、エンジンブレーキ域での長時間の電動機器の駆動を回避でき、電動機器の保護を図ることができる。
【0112】
請求項6に示す如く、エンジン、電動機器、および動力伝達装置からなり、通常の駆動域と、電動機器にとってエンジンが負荷となるエンジンブレーキ域と、電動機器がエンジンにより回される回生域とを有する制御マップに基づいて、電動機器の出力を制御するハイブリッドシステムにおいて、移動体の進行方向を切り換える操作具の操作位置を検出する操作位置検出手段と、移動体の船体の減速時に、操作具の操作位置に基づいてエンジンの減速目標回転数を演算する減速目標回転数演算手段と、減速目標回転数から電動機器の減速目標出力を演算する減速目標出力演算手段と前記制御マップ上で、エンジンの減速目標回転数における電動機器の減速目標出力が、通常の駆動域と回生域との境界線を下回るか否かを判定する判定手段とを備えるとともに、移動体の減速時に、エンジンの駆動力を、電動機器の駆動力によりアシストして動力伝達装置を駆動する際に、前記判定手段により、予め制御マップ上で、電動機器の減速目標出力が前記境界線を下回ると判定された場合には、電動機器の減速目標出力として、演算された減速目標出力に替えて、新たに前記境界線上の値を採用するので、回生域での電動機器の駆動を避けることができ、電動機器の損傷を防止することができる。
【0113】
請求項7に示す如く、エンジン、電動機器、および動力伝達装置からなり、動力伝達装置の駆動を、エンジンのみの駆動力により駆動する形態と、エンジンの駆動力を電動機器の駆動力によりアシストして駆動する形態とを有するハイブリッドシステムにおいて、移動体の進行方向を切り換える操作具の操作位置を検出する操作位置検出手段と、エンジンの回転数を検出するエンジン回転数検出手段と、操作具の操作位置とエンジン回転数とに基づいてクラッシュアスターンを判定するクラッシュアスターン判定手段と、電動機器の出力を調節する電動機器出力調節手段とを備えるとともに、クラッシュアスターン判定手段によりクラッシュアスターンと判定された場合には、電動機器を最大出力にて逆回転で駆動させて、エンジンの駆動力をアシストするので、クラッシュアスターン時に、電動機器を高速で逆回転させて、この駆動力でエンジンの駆動力(逆転方向)をアシストすることにより、エンジンの負荷をスムースに軽減でき、エンストの防止を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ハイブリッドシステムAを示す図。
【図2】ハイブリッドシステムAにおける動作モードの一例を示す図。
【図3】エンジンアシスト(定常アシスト)制御を示す図。
【図4】モータ出力の制御マップを示す図。
【図5】スロットルアクチュエータの制御を示すブロック図。
【図6】レバー位置と出力電圧の関係を示す図。
【図7】レバー位置の偏差とPWM出力の関係を示す図。
【図8】エンジンアシスト(加速アシスト)制御を示す図。
【図9】エンジンのスロットル変位の演算を示す図。
【図10】スロットルアクチュエータのスロットルモータへの指令値の演算を示す図。
【図11】エンジン回転数、モータ回転数、電機子電流、モータ指令値等の経時変化を示す図。
【図12】従来のシステムのエンジン回転数、電機子電流等の経時変化を示す図。
【図13】エンジンの回転数についての目標値制御の手順を示す図。
【図14】エンジンのスロットル位置についての目標値制御の手順を示す図。
【図15】通常航走時とクラッシュアスターン時の動力伝達方向を示す図。
【図16】クラッシュアスターン時のモータ指令値を示す図。
【図17】クラッシュアスターン時の制御の手順を示す図。
【図18】ハイブリッドシステムBを示す図。
【図19】ハイブリッドシステムBにおける動作モードの一例を示す図。
【図20】ハイブリッドシステムBにおけるスタータ機能を示す図。
【図21】ハイブリッドシステムBにおけるモータジェネレータによる動力アシスト機能を示す図。
【図22】ハイブリッドシステムBにおける電力供給(発電あり)機能を示す図。
【図23】ハイブリッドシステムBにおける電力供給(発電なし)機能を示す図。
【符号の説明】
1 システム
2 エンジン
3 動力伝達装置
5 モータ
6 モータコントローラ
7 システムコントローラ
9 操作レバー
22 スロットルアクチュエータ

Claims (7)

  1. エンジン、電動機器、および動力伝達装置からなり、動力伝達装置の駆動を、エンジンのみの駆動力により駆動する形態と、エンジンの駆動力を電動機器の駆動力によりアシストして駆動する形態とを有するハイブリッドシステムにおいて、
    移動体の進行方向を切り換える操作具の操作位置を検出する操作位置検出手段と、操作具の操作時間を検出する操作時間検出手段と、操作具の操作位置と操作時間とにより操作具の操作速度を演算する操作速度演算手段と、エンジンのスロットル位置を検出するスロットル位置検出手段と、エンジンのスロットル位置からスロットルの開度速度を演算するスロットル開度速度演算手段と、エンジンの回転数の変動時間を検出する回転変動時間検出手段と、電動機器の出力を調節する電動機器出力調節手段とを備えるとともに、
    移動体の加速時に、エンジンの駆動力を電動機器の駆動力によりアシストして、動力伝達装置を駆動する場合には、操作具の操作速度と、エンジンのスロットル開度速度と、操作具の操作時間と、エンジンの回転変動時間とに基づいて、電動機器の出力を調節することを特徴とするハイブリッドシステム。
  2. 請求項1記載のハイブリッドシステムにおいて、移動体の減速時には、電動機器を停止させることを特徴とするハイブリッドシステム。
  3. エンジン、電動機器、および動力伝達装置からなり、動力伝達装置の駆動を、エンジンのみの駆動力により駆動する形態と、エンジンの駆動力を電動機器の駆動力によりアシストして駆動する形態とを有するハイブリッドシステムにおいて、
    移動体の進行方向を切り換える操作具の操作位置を検出する操作位置検出手段と、エンジンのスロットル位置を調節するスロットル位置調節手段と、該スロットル位置調節手段の作動位置を検出する作動位置検出手段と、該作動位置検出手段により検出されるスロットル位置調節手段の作動位置を操作具の操作位置に換算する操作位置換算手段と、前記操作位置検出手段により検出される操作具の操作位置と操作位置換算手段により換算される操作具の操作位置との偏差を演算する操作位置偏差演算手段と、操作具の操作位置の偏差に基づいてスロットル位置調節手段の作動位置を多段階に変更する作動位置調節手段とを備えることを特徴とするハイブリッドシステム。
  4. 請求項3記載のハイブリッドシステムにおいて、前記操作具の操作位置の偏差が0となる目標値付近にて、作動位置調節手段を構成するモータを停止させないことを特徴とするハイブリッドシステム。
  5. エンジン、電動機器、および動力伝達装置からなり、通常の駆動域と、電動機器にとってエンジンが負荷となるエンジンブレーキ域と、電動機器がエンジンにより回される回生域とを有する制御マップに基づいて、電動機器の出力を制御するハイブリッドシステムにおいて、
    移動体の加速時に、エンジンの駆動力を、電動機器の駆動力によりアシストして動力伝達装置を駆動する際に、前記制御マップ上で、通常の駆動域とエンジンブレーキ域との境界線を超えて、エンジンブレーキ域にて電動機器が駆動される場合には、
    エンジンブレーキ域での電動機器の駆動を、所定時間経過前までは許容し、該所定時間経過後は、加速を継続しているならば、エンジンブレーキ域から前記境界線上まで引き戻し、該境界線上にて、電動機器を駆動させ、加速を終了しているならば、エンジンブレーキ域から前記境界線を超えて通常の駆動域まで引き戻し、通常の駆動域にて、電動機器を駆動させることを特徴とするハイブリッドシステム。
  6. エンジン、電動機器、および動力伝達装置からなり、通常の駆動域と、電動機器にとってエンジンが負荷となるエンジンブレーキ域と、電動機器がエンジンにより回される回生域とを有する制御マップに基づいて、電動機器の出力を制御するハイブリッドシステムにおいて、
    移動体の進行方向を切り換える操作具の操作位置を検出する操作位置検出手段と、移動体の船体の減速時に、操作具の操作位置に基づいてエンジンの減速目標回転数を演算する減速目標回転数演算手段と、減速目標回転数から電動機器の減速目標出力を演算する減速目標出力演算手段と前記制御マップ上で、エンジンの減速目標回転数における電動機器の減速目標出力が、通常の駆動域と回生域との境界線を下回るか否かを判定する判定手段とを備えるとともに、
    移動体の減速時に、エンジンの駆動力を、電動機器の駆動力によりアシストして動力伝達装置を駆動する際に、前記判定手段により、予め制御マップ上で、電動機器の減速目標出力が前記境界線を下回ると判定された場合には、
    電動機器の減速目標出力として、演算された減速目標出力に替えて、新たに前記境界線上の値を採用することを特徴とするハイブリッドシステム。
  7. エンジン、電動機器、および動力伝達装置からなり、動力伝達装置の駆動を、エンジンのみの駆動力により駆動する形態と、エンジンの駆動力を電動機器の駆動力によりアシストして駆動する形態とを有するハイブリッドシステムにおいて、
    移動体の進行方向を切り換える操作具の操作位置を検出する操作位置検出手段と、エンジンの回転数を検出するエンジン回転数検出手段と、操作具の操作位置とエンジン回転数とに基づいてクラッシュアスターンを判定するクラッシュアスターン判定手段と、電動機器の出力を調節する電動機器出力調節手段とを備えるとともに、
    クラッシュアスターン判定手段によりクラッシュアスターンと判定された場合には、電動機器を最大出力にて逆回転で駆動させて、エンジンの駆動力をアシストすることを特徴とするハイブリッドシステム。
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