JP4102220B2 - ハイブリッドシステム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハイブリッドシステムに関し、特に、エンジンによる航走、エンジンおよび電動機器による航走、並びに電動機器による航走の駆動形態を切換可能としたハイブリッドシステムに関する。なお、本発明における「ハイブリッド」とは、エンジンと電動機器から機械的駆動力を得るという意味である。
【0002】
【従来の技術】
従来、エンジンによる航走、エンジンおよび電動機器による航走、並びに電動機器による航走の駆動形態を切換可能としたハイブリッドシステムが知られており、例えば、電気自動車や船舶等に用いられている。このハイブリッドシステムにおいて、電動機器による航走(モータ単独航走)を行う場合、中立状態では、モータを停止させる制御を行っていた。つまり、動力伝達装置のクラッチ中立時においては、モータを回転させないことにより、動力伝達を停止させていた(例えば図5の破線)。また、エンジンおよび電動機器による航走(エンジンアシスト)を行う場合、動力伝達装置のクラッチの嵌入を次のように制御していた。クラッチ嵌入の操作と同時にエンジンの回転数を制御し、エンジン回転数がモータ回転数と一致、または、エンジン回転数がモータ回転数を上回ったときに、クラッチの嵌入を行うように制御していた。そして、レギュレータレバーのような1つの操作具で、エンジン回転数とモータ回転数を制御することとしていた(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−304513号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のハイブリッドシステムにおいては、次のような不具合があった。前述のモータ単独航走の場合には、エンジン駆動時の航走の場合と比べて、操船者にとって操作感覚が異なり、違和感を生じていた。このため、本発明においては、モータ単独航走の場合にも、エンジン駆動時の航走の場合と、略同様の操作感覚を得ることを課題とする。また、前述のエンジンアシストの場合には、要求するトルク(回転数)になるまでの応答時間が遅く、立ち上がりが緩やかなエンジンと、応答時間が早く、立ち上がりも機敏な電動機器との異なる特性の2つの動力源を利用するため、航走駆動力が不連続でスムースさに欠けていた。また、レギュレータレバー1つでエンジン回転数とモータ回転数を制御して動力伝達装置のクラッチの嵌入を行うとき、この応答性の違いのため、嵌入タイミングが合わず、嵌入ショックが大きく、そのショック音も大きなものとなっていた。このため、本発明においては、エンジンアシストを行う場合に、動力伝達装置のクラッチを嵌入するタイミングの制御と、エンジンおよび電動機器の回転数の制御とを適切に行うことにより、クラッチの嵌入ショック等の低減を図ることを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
請求項1においては、エンジンと出力軸とを動力伝達装置を介して連結し、電動機器と出力軸とは常時連結とし、エンジンのみによる航走、エンジンおよび電動機器による航走、並びに電動機器のみによる航走の駆動形態を有するハイブリッドシステムにおいて、電動機器の回転数を調節する電動機器回転数調節手段を備えるとともに、前進・中立・後進を切り換える操作具を備えて、電動機器のみによる航走を行う場合には、動力伝達装置にてエンジンの駆動力を断って、操作具を中立位置に操作した中立状態においても、予め設定された目標回転数にて電動機器を駆動して出力軸へ最低限の駆動力を伝達するものである。
【0006】
請求項2においては、請求項1記載のハイブリッドシステムにおいて、中立状態での目標回転数を手動により調整する目標回転数調整手段を備えるものである。
【0007】
請求項3においては、エンジンと出力軸とを動力伝達装置を介して連結し、電動機器と出力軸とは常時連結とし、エンジンのみによる航走、エンジンおよび電動機器による航走、並びに電動機器のみによる航走の駆動形態を有するハイブリッドシステムにおいて、船体の進行方向を切り換える操作具の操作速度を検出する操作速度検出手段と、エンジンの回転数を一定に維持可能なエンジン回転数調節手段と、電動機器の回転数を増減する電動機器回転数調節手段とを備え、エンジンおよび電動機器による航走時に、操作具の中立位置では動力伝達装置のクラッチにてエンジンの駆動力を断って、電動機器の駆動力を出力軸に伝達し、操作具の中立位置からの操作速度が所定速度以上であった場合には、クラッチの嵌入の開始から完了までの間は、エンジンの回転数をエンジン回転数調節手段により予め設定されたアイドル回転数に維持するとともに、電動機器回転数調節手段により電動機器の回転数がエンジンのアイドル回転数よりも低い目標回転数となった時に、クラッチの嵌入を開始して、電動機の回転数がエンジンのアイドル回転数まで増加した時にクラッチの嵌入を完了するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について添付の図面を用いて説明する。図1は本発明の「エンジン、モータ、および動力伝達装置」よりなるハイブリッドシステムを示す図、図2はハイブリッドシステムの動作モードの一例を示す図、図3はハイブリッドシステムの操作部と動力伝達装置内部を示す図、図4は操作レバーの動作を示す説明図、図5は操作レバーの操作位置とモータ回転数の関係を示す図、図6は操作レバーのレバー位置、クラッチ嵌入のショック音、クラッチの切換位置、およびエンジンとモータの回転数の時間変化を示す図である。
【0009】
本発明のハイブリッドシステムについて説明する。ハイブリッドシステムは、図1に示すような構成である。本システムでは、水中推進用に備えられるプロペラ4の駆動を、エンジン2とモータ5との両方により可能としている。図1において、システム1は、エンジン2および動力伝達装置3を有しており、該動力伝達装置3としてはセイルドライブが用いられ、その後下部にはプロペラ4が接続されている。これにより、システム1は船舶の推進システムとして利用することができる。
【0010】
エンジン2からプロペラ4までの動力伝達経路を説明する。図3に示すように、エンジン2のクランク軸2cと、略水平方向に配置される動力伝達装置3の入力軸3aとが接続されている。動力伝達装置3内部において、入力軸3aは、クラッチ3dを介してクランク軸2cに連結され、第一ギア部3eで、入力軸3a・3gおよび伝達軸3bの上端部が噛み合っており、伝達軸3bの下端部と出力軸3cとが第二ギア部3fで噛み合っている。クラッチ3dは、ドグクラッチやコーンクラッチ等の機械式クラッチで構成されている。動力伝達装置3の出力軸3cは、プロペラ4の駆動軸4aと接続されている。そして、エンジン2の駆動力は、クランク軸2cからクラッチ3dを介して動力伝達装置3の入力軸3aに伝達され、その後、第一ギア部3e、伝達軸3b、第二ギア部3fおよび出力軸3cを通じて、プロペラ4の駆動軸4aに伝えられる。クラッチ3dは、入力軸3aと伝達軸3bとの連結・非連結(断接)を切り換えるとともに、入力軸3aの回転を伝達軸3bへ伝達する際に、その回転方向(正転・逆転)を切り換える機能を有している。すなわち、エンジン2の駆動力は、クラッチ3dにより断接され、または正転・逆転を切り換えられてプロペラ4へ伝達されることとしている。クラッチ3dの切換操作は、後述するように操作部8に配設される操作レバー51により行われる。
【0011】
なお、本実施例においては、システム1は動力伝達装置3がエンジン2の下方へ大きく延出し、該動力伝達装置3に直接プロペラ4が取り付けられたセイルドライブに構成されているが、動力伝達装置3の後端部に、プロペラ4のプロペラ軸が装着されるマリンギアに構成することもできる。
【0012】
また、本システムにおいては、エンジン2と動力伝達装置(セイルドライブ)3との間に、発電機器である発電機10を介装している。エンジン2により発電機10を駆動して、該発電機10により発電された電力は、電動機駆動用に用いられたり、船内電力として供給されたりするようにしている。
【0013】
発電機10は、例えば、高周波発電機に構成されており、該発電機10の出力部には、リレー(電磁開閉器)11、整流機器12、インバータ15が接続されている。また、発電機10は前記整流機器12を介して、DC/DCコンバータ(直流/直流コンバータ)13と接続されている。
【0014】
整流機器12は、例えば、平滑用コンデンサで構成されており、発電機10により発電された交流電力を整流・平滑化して、直流に変換する。整流機器12からDC/DCコンバータ13に送られた電力は、該DC/DCコンバータ13により所定の電圧に変圧されて、リレー17を介してバッテリ14を充電する。
【0015】
一方、整流機器12からインバータ15に送られた電力は、該インバータ15により交流に変換されて、切換機器19を介して出力ソケット20から交流電力として船内供給可能とされ、商用電源(外部電源)から電力を供給できない場合であっても、船室内に備えられた電化製品等に対しても電力を供給することができる。また、切換機器19にて商用電源とインバータ15により変換された交流電力とを切換可能としている。このように、インバータ15を介して電気負荷(AC出力)が接続できるようにしている。なお、切換機器19を切換スイッチで構成して手動により切り換えを行ってもよく、また、電磁接触器で構成してインバータ出力と商用電源との切り換えを自動で行ってもよい。電磁接触器で構成する場合には、該電磁接触器にシステムコントローラ7からオン・オフ信号が入力されるように、システムコントローラ7と接続しておく。そして、インバータ15には、リレー15aが内蔵されており、該リレー15aはシステムコントローラ7と接続されている。
【0016】
動力伝達装置3の上端部には電動機器(モータ)5が設置されており、該モータ5の駆動力によりプロペラ4を回転可能としている。図3に示すように、モータ5の出力軸5aと、略垂直方向に配置される動力伝達装置3の入力軸3gとが接続され、該入力軸3gは伝達軸3bと第一ギア部3eを介して連結されている。モータ5の回転方向(正転・逆転)を切り換えることにより、正転・逆転を切り換えてプロペラ4へ動力を伝達する。モータ5からプロペラ4までの動力伝達経路は、モータ5の出力軸5a→入力軸3g→第一ギア部3e→伝達軸3b→第二ギア部3f→出力軸3c→プロペラ4の駆動軸4aとなっている。
【0017】
また、モータ5はモータコントローラ6と接続されており、該モータコントローラ6によりモータ5を制御する構成としている。また、モータコントローラ6はシステムコントローラ7と接続されており、該システムコントローラ7からの指令がモータコントローラ6へ入力されるようにしている。モータコントローラ6は、リレー18を介して、前記DC/DCコンバータ13とバッテリ14に接続されており、バッテリ14、またはDC/DCコンバータ13を介して発電機10から電力供給を受けて、フィールド電流(界磁電流)で発生させた磁界とアマチュア電流(電機子電流)によりモータ5を駆動する。そして、モータコントローラ6がこれらの電流または電圧を制御してモータ5の回転数およびトルクを制御する。モータコントローラ6はモータ5の回転数調節手段として機能する。
【0018】
船体の前後進の切り換えやエンジン2の駆動力の調節は、船舶の操作部8に配設されるレバー等の操作具を操作することによって行われる。図3に示すように、操作部8には操作レバー51、モード切換スイッチ52、および後述する調整つまみ53が配置されており、それぞれシステムコントローラ7と接続されている。また、操作レバー51の近傍には、該操作レバー51の操作位置を検出する位置センサ(図示略)が付設されており、該位置センサはシステムコントローラ7と接続されている。
【0019】
モード切換スイッチ52を操作すると、該モード切換スイッチ52の切換位置に対応したモード信号がシステムコントローラ7に入力され、該システムコントローラ7により本システムの航走モード(駆動形態)が切り換えられて、各航走モードに対応した制御が行われるようにしている。モード切換スイッチ52の切換位置には、「エンジンドライブ」、「エンジン+モータ」、および「モータドライブ」の三位置がある。モード切換スイッチ52を「エンジンドライブ」の位置に切り換えると、プロペラ4の駆動をエンジン2のみにより駆動するエンジン単独航走を行うモードとなり、また、「エンジン+モータ」の位置に切り換えると、エンジン2により駆動しつつモータ5により駆動をアシストするエンジンアシストを行うモードとなり、さらに、「モータドライブ」の位置に切り換えると、モータ5のみにより駆動するモータ単独航走を行うモードとなる(図2参照)。
【0020】
操作レバー51を操作すると、該操作レバー51の操作位置が位置センサにより検出され、操作位置に応じた信号がシステムコントローラ7に入力され、該システムコントローラ7は入力された信号に基づいてシフトアクチュエータ21およびレギュレータアクチュエータ22を作動させる。シフトアクチュエータ21は動力伝達装置3のクラッチ3dに接続されており、該シフトアクチュエータ21の作動によりクラッチ3dを作動させるように制御している。こうして、前述したように、クラッチ3dを作動させることにより、エンジン2の駆動力が断接され、あるいは正転・逆転を切り換えられて、プロペラ4へ伝達される。モータ5の駆動力についても同様である。レギュレータアクチュエータ22はエンジン2のレギュレータに接続されており、該レギュレータアクチュエータ22の作動により、エンジン2における燃料噴射量を調節して、エンジン2の駆動力(回転数)を調節可能としている。レギュレータアクチュエータ22は、エンジン2の回転数調節手段として機能する。ただし、後述するように本システムの航走モードがモータ単独航走となっている場合には、レギュレータアクチュエータ22の作動によるエンジン2の燃料噴射量の調節は行われない。モータ単独航走の場合には、レギュレータアクチュエータ22の作動に替えて、モータコントローラ6の制御が行われる。モータコントローラ6の制御により、前述したように界磁電流で発生させた磁界と電機子電流を制御してモータ5の回転数を調節する。このように、操作レバー51を操作して、その操作位置を調節することにより、船体の前進・中立・後進を切り換えるとともに、エンジン2の駆動力(回転数)またはモータ5の駆動力(回転数)の調節を行っている。なお、本システムの航走モードがエンジンアシストとなっている場合には、モータ5の回転数をエンジン2の回転数に連動させて制御することとしている。
【0021】
エンジン2内にはエンジン2始動用のスタータモータ2aと機関付発電機であるオルタネータ2bが備えられており、該スタータモータ2aはリレー25を介してスタータバッテリ24と接続され、該スタータバッテリ24はオルタネータ2bと接続されている。また、スタータモータ2a、オルタネータ2b、スタータバッテリ24はメインリレー26を介して前記システムコントローラ7と接続されている。オルタネータ2bからの発電出力は、エンジン2のスタータモータ2aを駆動するためのスタータバッテリ24に充電され、該スタータバッテリ24に蓄積された電力をエンジン2始動の際に用いるようにしている。
【0022】
以上のように構成される本システムにおいて、メインコントローラとしてのシステムコントローラ7は次のように機能して、本システムの制御を行う。前述したように、システムコントローラ7は操作部8の操作レバー51、モード切換スイッチ52、調整つまみ53、および操作レバー51に付設される位置センサと接続されている。また、システムコントローラ7はシフトアクチュエータ21およびレギュレータアクチュエータ22と接続されている。
【0023】
また、システムコントローラ7はエンジン2と接続されており、該エンジン2からシステムコントローラ7にエンジン回転数が入力される。エンジン2の回転数は、エンジン2に付設される回転数センサ35により検出される。また、システムコントローラ7はモータ5と接続されており、該モータ5からシステムコントローラ7にモータ回転数およびモータ5の温度が入力される。モータ5の回転数は、モータ5に付設される回転数センサ36により検出され、モータ5の温度は、サーミスタ等の温度センサ(図示せず)により検出される。
【0024】
また、システムコントローラ7はモータコントローラ6と接続されており、該システムコントローラ7はモータコントローラ6に対して回転方向信号、出力信号、モード信号等を出力する。一方、モータコントローラ6は、モータ5に異常が発生した場合には、アラーム信号をシステムコントローラ7へ送る。また、システムコントローラ7は発電機10と接続されており、該発電機10からシステムコントローラ7に発電機10の温度が入力される。発電機10の温度は、サーミスタ等の温度センサ(図示せず)により検出される。
【0025】
また、システムコントローラ7はリレー11・15a・17・18と接続されており、該システムコントローラ7は、図2に示すように、リレー11・15a・17・18のオン・オフ(開閉)を制御する。このオン・オフ制御は、船舶の航走状態、バッテリ14の充放電状態、インバータ15に接続される電気負荷(インバータ負荷)等の状態に基づいて行われている。また、システムコントローラ7はDC/DCコンバータ13に接続されており、該システムコントローラ7はDC/DCコンバータ13に対して充電電流指示を送る。
【0026】
また、システムコントローラ7はバッテリ14と接続されており、該バッテリ14からシステムコントローラ7にバッテリ14の充放電状態を表す電圧値・電流値が入力される。バッテリ14の電圧値および電流値はそれぞれ、電圧センサ33、電流センサ34により検出される。
【0027】
また、システムコントローラ7はインバータ15に接続されており、該システムコントローラ7はインバータ15(リレー15a)に対してオン・オフ信号を出力する。一方、インバータ15はシステムコントローラ7に対してインバータ15に接続される電気負荷の状態を表すインバータ入力電圧値、インバータ入力電流値、アラーム信号を出力する。インバータ入力電圧値およびインバータ入力電流値は、それぞれ、電圧センサ31および電流センサ32により検出される。
【0028】
また、システムコントローラ7は表示モニタ23と接続されており、該表示モニタ23はシステムコントローラ7に入力される種々の検出値等を表示して、操船者が本システムの状態を把握できるようにしている。
【0029】
本システムでは、例えば、図2に示すようなH1からH16までの動作モードがある。以下、各モードについて説明する。
【0030】
H1およびH2は、モータ5のみでセイルドライブ3およびプロペラ4を駆動してモータ単独航走を行うモードであり、モータ5の駆動源はバッテリ14である。これらのモードによりエンジン停止状態でも航行可能となる。
【0031】
H3およびH8は、エンジン2およびモータ5の両方によりセイルドライブ3およびプロペラ4を駆動するモードであり、モータ5の駆動源はバッテリ14である。これらのモードにより、発電機10が損傷等でその電力が使用できない場合であっても、モータ5によるエンジンアシストが可能となる。なお、本実施例で「エンジンアシスト」とは、セイルドライブ3およびプロペラ4の駆動負荷の一部をモータ5により賄うことを意味し、エンジンアシストには、「定常アシスト」と「加速アシスト」がある。
【0032】
H4およびH9は、エンジン2およびモータ5の両方によりセイルドライブ3およびプロペラ4を駆動するモードであり、モータ5の駆動源は発電機10の電力である。これらのモードにより、バッテリ14が損傷等でその電力が使用できない場合であっても、モータ5によるエンジンアシストが可能となる。
【0033】
H5およびH10は、エンジン2およびモータ5の両方によりセイルドライブ3およびプロペラ4を駆動し、モータ5を駆動するに当たって発電機10の電力が不足するときはバッテリ14の放電により不足電力を補い、発電機10の電力に余裕があるときはバッテリ14を充電するモードである。これらのモードにより、モータ5の所要駆動力を確保してバッテリ14の充電が可能となる。
【0034】
H6およびH11は、エンジン2および発電機10の電力により駆動されるモータ5の両方によりセイルドライブ3およびプロペラ4を駆動しつつ、インバータ15を介して発電機10の電力を供給するモードである。これらのモードにより、インバータ15の電気負荷への電力供給とモータ5によるエンジンアシストの両立が可能となる。
【0035】
H7およびH12は、エンジン2およびモータ5の両方によりセイルドライブ3およびプロペラ4を駆動しつつ、インバータ15を介して発電機10の電力を供給し、モータ5を駆動するに当たって発電機10の電力が不足するときはバッテリ14の放電により不足電力を補い、モータ5の駆動およびインバータ15を介しての電力供給に当たって発電機10の電力に余裕があるときはバッテリ14を充電するモードである。これらのモードにより、インバータ15を介しての電力供給を安定化できるとともに、モータ5の所要駆動力を確保してエンジンアシストが可能となる。
【0036】
H13はエンジン2のみでセイルドライブ3およびプロペラ4を駆動するのみであり発電機10はエンジン2と同期回転するが実質停止しているモードである。このモードにより、インバータ15を介しての電力供給およびモータ5の駆動が不要またはこれらの機器の損傷等により不能の場合にあってもエンジン航行が可能となる。
【0037】
H14はエンジン2のみでセイルドライブ3およびプロペラ4を駆動しつつ、発電機10の電力でバッテリ14を充電するモードである。このモードにより、航行しながらバッテリ14の充電が可能となる。
【0038】
H15はエンジン2のみでセイルドライブ3およびプロペラ4を駆動しつつ、発電機10の電力でバッテリ14を充電およびインバータ15を介して電力供給を行うモードである。このモードにより、航行、インバータ15を介しての電力供給およびバッテリ14の充電を並立できる。
【0039】
H16はエンジン2のみでセイルドライブ3およびプロペラ4を駆動しつつ、インバータ15を介して発電機10の電力を供給するモードである。このモードにより、航行およびインバータ15を介しての電力供給を並立できる。
【0040】
なお、H1とH2との違いは、本システムを搭載した船舶が定常(=定速)航行状態(定常アシスト)か、加速航行状態(加速アシスト)かの違いである。H3とH8との違い、H4とH9との違い、H5とH10との違い、H6とH11との違い、およびH7とH12との違いについても同様である。また、モータ5によるエンジンアシストによりエンジン2を燃費の良い回転域で使用することができ、かつ、モータ5の駆動源もバッテリ14またはエンジン2により駆動される発電機10の電力であるので本システムの燃費性を向上できる。一方、エンジン2により駆動される発電機10の電力を、インバータ15を介して電気負荷へ供給できるので別個の発電機が不要とでき、本システムを搭載した船舶の空間利用性を向上できる。
【0041】
次に、本システムにおけるモータ単独航走を行う場合の制御について、図3、図4、図5を用いて説明する。この制御は、前述した本システムにおける動作モードH1およびH2(図2)における制御である。図3に示すように、モータ単独航走を行う場合には、モード切換スイッチ52を「モータドライブ」の位置に切り換える。前述したようにモータ単独航走では、操作レバー51はモータ5の回転数調節レバーとしても機能し、該操作レバー51を操作することにより、モータ5の回転数を調節することを可能としている。
【0042】
図4に示すように、操作レバー51を基準位置(図4の「0」の位置)から操作すると、その操作位置(レバー位置)が位置センサにより検出され、このとき、検出されたレバー位置に応じた信号がシステムコントローラ7に入力される。システムコントローラ7は入力されたレバー位置の信号に基づいて、船体の前進・中立・後進が切り換わる。図4おいては、操作レバー51のレバー位置に対応させて、基準位置を挟んでその前後に中立位置、中立位置から向こう側(図4の「Fmax」側)を前進位置、中立位置から手前側(図4の「Rmax」側)を後進位置としている。
【0043】
図5では、操作レバー51のレバー位置とモータ5の回転数との関係を示しており、実線を本システムにおける場合、破線を従来のシステムにおける場合としている。図5に示すように、操作レバー51が前進位置にある場合には、レバー位置がFmaxに近づくに比例してモータ5の回転数が増加し、船体の前進速度が大きくなる。一方、操作レバー51が後進位置にある場合には、レバー位置が、Rmaxに近づくに比例してモータ5の回転数が増加し、船体の後進速度が大きくなる。
【0044】
また、図5に示すように、操作レバー51の中立位置にある場合には、モータ5は所定の目標回転数Nで回転している。つまり、モータ単独航走における中立状態の場合、モータ5を停止させずに作動させて、最低回転数である目標回転数Nを維持するように制御している。このとき、モータ5が一定の目標回転数を維持するように、モータコントローラ6からモータ5に供給される電流量を一定量としている。そしてこの目標回転数Nの中立状態から、モータ5の回転数を増加させた回転数の前進または後進の状態に移行できるようにしている。つまり、エンジン2のアイドル状態と同様に、モータ5を最低回転数である目標回転数Nにて作動させている。従来のシステムでは、モータ単独航走における中立状態ではモータを停止させていたが、本システムでは、モータ5を目標回転数Nにて回転させる制御とすすることにより、モータ単独航走を行なう場合に、船体に最低限の行き足をつけることでエンジン2の駆動時と同様な操作感覚が得られる。また、操船者にとって違和感を低減でき、船体を安定させて航行することができる。
【0045】
そして、図3に示す操作部8に配設されている目標回転数調整手段としてとしての調整つまみ53を操作することで、モータ5の目標回転数Nを手動により調整することができる。このとき、目標回転数Nの調整範囲は、0からNmaxの範囲となっている。目標回転数が0の場合には、従来の場合と同様に、モータ5は回転せず、停止する。このようにして、目標回転数Nを操船者の手元で調整できるようにしている。これにより、本システムでは、モータ単独航走を行う場合に、操船者の感覚に応じた船体に最低限の行き足をつけることができ、船体を安定させて航行することができる。
【0046】
次に、本システムにおけるエンジンアシストを行う場合のクラッチ嵌入制御について、図3、図6を用いて説明する。この制御は、主として、前述した本システムにおける動作モードH8からH12までの加速アシスト(図2)を行う場合の制御である。ただし、このクラッチ嵌入制御は、動作モードH3からH7までの定常アシスト(図2)を行う場合にも適用可能である。「クラッチ嵌入」とは、操作レバー51を操作することにより、クラッチ3dを、「断」である中立の状態から、「接」である前進または後進の状態に切り換えることをいう。クラッチ3dが「断」である中立状態の場合にはエンジン2はアイドル状態にある。クラッチ3dの嵌入により、該クラッチ3dを介してエンジン2の駆動力がプロペラ4に伝達される。そして、クラッチ3dの嵌入完了後には加速アシストによる航走を行う。なお、本実施例のクラッチ嵌入制御は、モータ5の駆動力を、プロペラ4に伝達している状態で、エンジン2の駆動力をクラッチ3dの嵌入によりプロペラ4に伝達する制御である。クラッチ3dの嵌入により、クラッチ3dを介してエンジン2の駆動力がプロペラ4に伝達可能となり、エンジン2とモータ5との駆動力によりプロペラ4が回転される。そして、このとき、後述するようにクラッチ3dを嵌入するタイミングの制御と、エンジン2およびモータ5の回転数の制御とが行われる。
【0047】
図6に示すように、操作レバー51を中立位置から前進位置に切り換えることにより、クラッチ3dを嵌入し、加速アシストへの切り換えが検出された時刻をt1としている。加速アシストへの切り換えは、操船者による該操作レバー51の操作速度を検出することにより、検出する。操作レバー51を操作すると、該操作レバー51の操作位置が位置センサにより検出され、該位置センサにより検出された操作位置がシステムコントローラ7に入力される。そして、操作レバー51の操作位置の時間変化率、つまり操作レバー51の操作速度が算出され、操作レバー51の操作速度が予め設定された所定値を超えたとき、加速アシストへの切り換えと検知し、このときの時刻をt1とする。システムコントローラ7および位置センサは、操作レバー51の操作速度検出手段として機能する。
【0048】
時刻t1においては、クラッチ3dの嵌入をただちに始めないこととしている。クラッチ3dの嵌入は、時刻t2において開始し、時刻t3において完了するように制御している。後述するように、時刻t2はモータ5の回転数が目標回転数Rmとなる時刻、時刻t3はエンジン2の回転数とモータ5の回転数とがエンジン2のアイドル回転数Reとなる時刻である。
【0049】
操作レバー51が操作された時刻t1では、エンジン2の回転数とモータ5の回転数の制御が開始される。エンジン2の回転数は、エンジン2のレギュレータを制御して、エンジン2の燃料噴射量を調節することにより制御される。前述したように、レギュレータアクチュエータ22を作動させることにより燃料噴射量を調節する。モータ5の回転数は、該モータ5にモータコントローラ6から供給される電流量を調節することにより制御される。加速アシストを行う場合、クラッチ嵌入制御を行わない通常航走時においては、モータ5の回転数をエンジン2の回転数に連動させて制御するが、クラッチ嵌入制御を行うときには、エンジン2の回転数とモータ5の回転数を、それぞれ制御することとしている。
【0050】
クラッチ3dの嵌入を開始する前は、エンジン2はアイドル状態にあり、一定のアイドル回転数Reで作動している。そして、時刻t1からt3の間では、エンジン2の回転数がアイドル回転数Reを維持するように制御する。このとき、エンジン2の燃料噴射量を一定量に調節して、エンジン回転数をアイドル回転数Reに保つようにする。
【0051】
また、時刻t1において、モータ5の回転数が予め設定された目標回転数Rmと異なっている場合には、モータ5の回転数を増減させて、目標回転数Rmになるように制御する。モータ5の回転数が目標回転数Rmよりも低い場合には(図6の太い実線)、モータ5の回転数を増加させる制御を行う。一方、高い場合には(図6の太い破線)、モータ5の回転数を減少させる制御を行う。目標回転数Rmはエンジン2のアイドル回転数よりも低い回転数に設定しておく(Rm<Re)。このとき、モータ5へ供給される電流量を増減させて、モータ5の回転数を増減するようにする。
【0052】
モータ5の回転数が変化して目標回転数Rmと等しくなった時刻をt2とする。このとき、クラッチ3dの嵌入を開始する。なお、時刻t1において、モータ5の回転数が目標回転数Rmと等しい場合には、この時刻t1でクラッチ3dの嵌入を開始する。時刻t1で開始されたクラッチ3dの嵌入は、時刻t3において完了される。時刻t2から時刻t3までは、モータ5の回転数を増加させて、エンジン2のアイドル回転数Reと等しくなるように制御する。このとき、モータ5へ供給される電流量を増加させて、モータ5の回転数を増加するようにする。そして、モータ5の回転数がエンジン2のアイドル回転数Reと等しくなった時刻t3で、クラッチ3dの嵌入を完了する。これにより、クラッチ3dが「接」の状態になり、該クラッチ3dを介してエンジン2の駆動力がプロペラ4に伝達される。なお、クラッチ3dの嵌入完了後の時刻t3以降においては、加速アシストによる通常航走となり、モータ5の回転数をエンジン2の回転数に連動させて制御する。図6においては、モータ5の回転数をエンジン2の回転数の増加に合わせて、増加するようにしている。また、操作レバー51を中立位置から後進位置に切り換えた場合にも略同様の制御を行うこととしている。
【0053】
本システムでは、以上のようなタイミングでクラッチ3dの嵌入制御を行っている。つまり、エンジン2の回転数とモータ5の回転数とを調節して、モータ5の回転数が目標回転数Rmとなったときにクラッチ3dの嵌入を開始し、モータ5の回転数がエンジン2のアイドル回転数Reとなったときにクラッチ3dの嵌入を完了するようにしている。これにより、クラッチ3dを嵌入する際のショックを低減することができる。クラッチ3dの嵌入によるショック音は図6に示すように変化する。図6において、細い実線はエンジン単独航走の場合、太い実線は加速アシストによる航走の場合、破線は定常アシストによる通常航走の場合である。クラッチ3dの嵌入によるショック音は、クラッチ3dの嵌入が完了した時刻t3において発生している。このときのショック音は、エンジン単独航走の場合に比べて加速アシストの場合は、低減している。加速アシストの場合には、モータ5の駆動力を、プロペラ4に伝達している状態で、エンジン2の駆動力をクラッチ3dの嵌入によりプロペラ4に伝達する制御としているため、モータ5を作動させないエンジン単独航走の場合に比べて、クラッチ3dの嵌入ショックを低減できる。また、従来のシステムにおけるクラッチ嵌入制御では、エンジン回転数がモータ回転数を上回った場合に、エンジン回転数を制御して、モータ回転数に近づけるように制御していた。これに対し、本システムでは、エンジン2の回転数を一定に制御して、モータ5の回転数をエンジン2の回転数に近づけるように制御している。エンジン2とモータ5を比較すると、モータ5のほうが応答性がよいので、エンジン2に比べてモータ5は、目標とする回転数に達するまでの時間が短く、立ち上がりが早いため、本システムでは、クラッチ3dの嵌入が早くなる。また、モータ5の回転数により、クラッチ3dの嵌入タイミングをとるため、モータ5がエンジン2によって回されたり、エンジンが負荷となったりすることがなく、スムースにクラッチ3dの嵌入を行うことができる。なお、図6に示すように、定常アシストの場合は、加速アシストの場合よりも、クラッチ3dの嵌入完了後の通常航走時のショック音が低減される。
【0054】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成したので、以下に示すような効果を奏する。
請求項1に示す如く、エンジンと出力軸とを動力伝達装置を介して連結し、電動機器と出力軸とは常時連結とし、エンジンのみによる航走、エンジンおよび電動機器による航走、並びに電動機器のみによる航走の駆動形態を有するハイブリッドシステムにおいて、電動機器の回転数を調節する電動機器回転数調節手段を備えるとともに、前進・中立・後進を切り換える操作具を備えて、電動機器のみによる航走を行う場合には、動力伝達装置にてエンジンの駆動力を断って、操作具を中立位置に操作した中立状態においても、予め設定された目標回転数にて電動機器を駆動して出力軸へ最低限の駆動力を伝達するので、モータ単独航走を行う場合に、船体に最低限の行き足をつけることでエンジン駆動時と同様な操作感覚が得られ、また、操船者にとって違和感を低減でき、船体を安定させて航行することができる。
【0055】
請求項2に示す如く、請求項1記載のハイブリッドシステムにおいて、中立状態での目標回転数を手動により調整する目標回転数調整手段を備えるので、モータ単独航走を行う場合に、操船者の手元で目標回転数を調整でき、また、船体に最低限の行き足をつけることができ、船体を安定させて航行することができる。
【0056】
請求項3に示す如く、エンジンと出力軸とを動力伝達装置を介して連結し、電動機器と出力軸とは常時連結とし、エンジンのみによる航走、エンジンおよび電動機器による航走、並びに電動機器のみによる航走の駆動形態を有するハイブリッドシステムにおいて、船体の進行方向を切り換える操作具の操作速度を検出する操作速度検出手段と、エンジンの回転数を一定に維持可能なエンジン回転数調節手段と、電動機器の回転数を増減する電動機器回転数調節手段とを備え、エンジンおよび電動機器による航走時に、操作具の中立位置では動力伝達装置のクラッチにてエンジンの駆動力を断って、電動機器の駆動力を出力軸に伝達し、操作具の中立位置からの操作速度が所定速度以上であった場合には、クラッチの嵌入の開始から完了までの間は、エンジンの回転数をエンジン回転数調節手段により予め設定されたアイドル回転数に維持するとともに、電動機器回転数調節手段により電動機器の回転数がエンジンのアイドル回転数よりも低い目標回転数となった時に、クラッチの嵌入を開始して、電動機の回転数がエンジンのアイドル回転数まで増加した時にクラッチの嵌入を完了するので、電動機器の駆動力を、クラッチを介してプロペラに伝達している状態で、エンジンの駆動力をクラッチの嵌入によりプロペラに伝達する制御としているため、電動機器を作動させないエンジン単独航走の場合に比べて、クラッチの嵌入ショックを低減できる。
また、電動機器の回転数により、クラッチの嵌入タイミングをとるため、電動機器がエンジンによって回されたり、エンジンが負荷となったりすることがなく、スムースにクラッチの嵌入を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のハイブリッドシステムを示す図。
【図2】 ハイブリッドシステムの動作モードの一例を示す図。
【図3】 ハイブリッドシステムの操作部と動力伝達装置内部を示す図。
【図4】 操作レバーの動作を示す説明図。
【図5】 操作レバーの操作位置とモータ回転数の関係を示す図。
【図6】 操作レバーのレバー位置、クラッチ嵌入のショック音、クラッチの切換位置、およびエンジンとモータの回転数の時間変化を示す図。
【符号の説明】
1 システム
2 エンジン
3 動力伝達装置
3d クラッチ
4 プロペラ
5 電動機器
6 モータコントローラ
7 システムコントローラ
8 操作部
22 レギュレータアクチュエータ
51 操作レバー
52 モード切換スイッチ
Claims (3)
- エンジンと出力軸とを動力伝達装置を介して連結し、電動機器と出力軸とは常時連結とし、エンジンのみによる航走、エンジンおよび電動機器による航走、並びに電動機器のみによる航走の駆動形態を有するハイブリッドシステムにおいて、電動機器の回転数を調節する電動機器回転数調節手段を備えるとともに、前進・中立・後進を切り換える操作具を備えて、電動機器のみによる航走を行う場合には、動力伝達装置にてエンジンの駆動力を断って、操作具を中立位置に操作した中立状態においても、予め設定された目標回転数にて電動機器を駆動して出力軸へ最低限の駆動力を伝達することを特徴とするハイブリッドシステム。
- 請求項1記載のハイブリッドシステムにおいて、中立状態での目標回転数を手動により調整する目標回転数調整手段を備えることを特徴とするハイブリッドシステム。
- エンジンと出力軸とを動力伝達装置を介して連結し、電動機器と出力軸とは常時連結とし、エンジンのみによる航走、エンジンおよび電動機器による航走、並びに電動機器のみによる航走の駆動形態を有するハイブリッドシステムにおいて、船体の進行方向を切り換える操作具の操作速度を検出する操作速度検出手段と、エンジンの回転数を一定に維持可能なエンジン回転数調節手段と、電動機器の回転数を増減する電動機器回転数調節手段とを備え、エンジンおよび電動機器による航走時に、操作具の中立位置では動力伝達装置のクラッチにてエンジンの駆動力を断って、電動機器の駆動力を出力軸に伝達し、操作具の中立位置からの操作速度が所定速度以上であった場合には、クラッチの嵌入の開始から完了までの間は、エンジンの回転数をエンジン回転数調節手段により予め設定されたアイドル回転数に維持するとともに、電動機器回転数調節手段により電動機器の回転数がエンジンのアイドル回転数よりも低い目標回転数となった時に、クラッチの嵌入を開始して、電動機の回転数がエンジンのアイドル回転数まで増加した時にクラッチの嵌入を完了することを特徴とするハイブリッドシステム。
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