JP2004253839A - 表面実装型sawデバイスの製造方法及び表面実装型sawデバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】表面実装用の配線基板上の配線パターン上に導体バンプを介してSAWチップを搭載した構造のSAWデバイスにおいて、樹脂フィルムによってSAWチップ外面の被覆と、SAWチップ下面と配線基板上面との間の気密空間形成を行う場合に、真空ポンプ等の設備を用いずに、樹脂フィルムの外周縁と配線基板上面との密着不良によるボイド発生を防止する。
【解決手段】配線基板2、25上面の配線パターン上にSAWチップ15を実装するフリップチップ実装工程と、SAWチップの下面を除いた外面全体に密着してこれを覆うと共に外周縁が配線基板上面に達する面積を有した平板状の樹脂フィルム20を、SAWチップ上面に添設する添設工程と、樹脂フィルム上面をヒートローラによって加熱しながら加圧することにより樹脂フィルムを溶融軟化させて、SAWチップ下面を除いた外面全体及び配線基板上面に密着固定させる加熱加圧工程と、から成り、加熱加圧工程においては、SAWチップを包囲する堰き止め枠体30を配置した状態で加熱加圧工程を実施する。
【選択図】 図2
【解決手段】配線基板2、25上面の配線パターン上にSAWチップ15を実装するフリップチップ実装工程と、SAWチップの下面を除いた外面全体に密着してこれを覆うと共に外周縁が配線基板上面に達する面積を有した平板状の樹脂フィルム20を、SAWチップ上面に添設する添設工程と、樹脂フィルム上面をヒートローラによって加熱しながら加圧することにより樹脂フィルムを溶融軟化させて、SAWチップ下面を除いた外面全体及び配線基板上面に密着固定させる加熱加圧工程と、から成り、加熱加圧工程においては、SAWチップを包囲する堰き止め枠体30を配置した状態で加熱加圧工程を実施する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、弾性表面波チップを配線基板上にバンプを用いて搭載してから弾性表面波チップを樹脂にて封止した構造の弾性表面波デバイスを製造する工程において発生する種々の不具合を解決した表面実装型SAWデバイスの製造方法及び表面実装型SAWデバイスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
弾性表面波デバイス(SAWデバイス)は、水晶等の圧電基板上に櫛歯状の電極指(IDT)を配置した構成を備え、例えばIDTに高周波電界を印加することによって弾性表面波を励起し、弾性表面波を圧電作用によって高周波電界に変換することによってフィルタ特性を得るものである。
ところで、SAWデバイスの占有面積の小型化を図るために、特開平2−186662号公報、WO97/02596等には、図6に示すように、SAWチップ110を構成する圧電基板111とほぼ同等の面積を備えた表面実装用の配線基板101の上面に、IDT112を形成した面を下向きにした状態のSAWチップ110を導体バンプ113によってフリップチップ実装し、更にSAWチップの下面と配線基板上面との間にSAW伝搬用の気密空間Sを確保しつつSAWチップ外面から配線基板上面にかけて封止樹脂115を被覆してから硬化させた樹脂封止型SAWデバイス100が提案されている。
図7(a)(b)及び(c)は、このような樹脂封止型SAWデバイス100を製造する従来方法を示す図である。この製造方法では、大面積且つシート状の樹脂フィルム121を、配線基板母材120上に搭載された全てのSAWチップ110の上面に跨って添設(接着)した状態で、ヒートローラ122にて加熱しながら加圧して溶融させることによって、各SAWチップ110の外周を溶融樹脂にて一括被覆する。具体的には、図7(a)に示すように、ヒートローラ122と対向ローラ123(或いは対向プレート)との間に、SAWチップ110を搭載完了した配線基板母材120を通過させる際に、予めSAWチップ上に添設しておいた樹脂フィルム121をヒートローラ122により加熱しながら加圧することによって、樹脂フィルム121を溶融軟化させてSAWチップ外面(上面、及び側面)に密着させると共に、各SAWチップの裾部全周と配線基板上面との間隙に充填させて気密空間Sを形成する。次いで、モールド型125内にて加熱して樹脂を硬化させた後で、個片に分割することによって製造される。この方法によれば、液状樹脂が気密空間内に浸入してIDT112に付着する虞はなくなる。
【0003】
このような従来技術は、例えば特開2001−176995に開示されている。
しかし、この従来方法によった場合、ヒートローラからの圧力によって溶融樹脂フィルムが最外周縁列を構成する各SAWチップの外側へスカート状に拡開し、各SAWチップの裾部と配線基板上面との間の空間に充填されなくなる。その結果、図8(a)及び(b)の平面図、及び縦断面図に示すように、スカート状に拡開した樹脂フィルム外周縁と配線基板上面との間にボイド(気泡)130が発生する。ボイド130の発生態様はヒートローラによる加圧状況によって一様ではなく、四角い外周縁に沿った全てのSAWチップの外側壁に沿って発生することもあるし、一部のSAWチップの外側壁に沿って発生することもある。ボイド130が形成された場合、樹脂フィルム外周縁と配線基板上面との接触面に空気、又は空気が置換された不活性ガスが介在し易くなり、これらの気体が浸入しないように樹脂フィルムを被覆することが容易でなくなる。即ち、樹脂フィルムによる密着性を高めるためには、接触面に気体が介在することを厳に回避する必要があるが、気体の侵入を防ぐためには被覆工程を真空、或いは真空に近い雰囲気中で実施するか、或いは配線基板母材の適所に吸引孔を形成しておき、吸引孔から負圧を導入して、樹脂フィルムと配線基板との間の空間を負圧に保つ必要がある。いずれの場合も、真空ポンプ、真空槽が必要となり、設備の大型化、高コスト化、工程の複雑化による生産性の低下といった問題が発生する。
【特許文献1】特開平2−186662号公報
【特許文献2】WO97/02596
【特許文献3】特開2001−176995公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、表面実装用の配線基板上の配線パターン上に導体バンプを介してSAWチップを搭載した構造のSAWデバイスにおいて、樹脂フィルムによってSAWチップ外面の被覆と、SAWチップ下面と配線基板上面との間の気密空間形成を行う場合に、真空ポンプ等の設備を用いずに、樹脂フィルムの外周縁と配線基板上面との密着不良によるボイド発生を防止することができる表面実装型SAWデバイスの製造方法及び表面実装型SAWデバイスを提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は次の如き手段を備える。
即ち、請求項1の表面実装型SAWデバイスの製造方法は、絶縁基板、該絶縁基板の底部に設けた表面実装用の外部電極、及び該絶縁基板の上面に設けられ且つ該外部電極と導通した配線パターン、を備えた配線基板と、圧電基板、該圧電基板下面に形成されたIDT、及び前記配線パターン上に導体バンプを介してフリップチップ実装される接続パッド、を備えたSAWチップと、前記SAWチップ下面と前記配線基板上面との間に気密空間を形成するように配線基板とSAWチップとを一体化する樹脂フィルムと、を備えた表面実装型SAWデバイスの製造方法において、前記配線基板上面の配線パターン上に前記SAWチップの接続パッドを導体バンプを介して実装するフリップチップ実装工程と、前記SAWチップの下面を除いた外面全体に密着してこれを覆うと共に、外周縁が配線基板上面に達する面積を有した平板状の樹脂フィルムを、SAWチップ上面に添設する添設工程と、前記配線基板下面を支持部材により支持した状態で、前記樹脂フィルム上面をヒートローラによって加熱しながら加圧することにより樹脂フィルムを溶融軟化させて、SAWチップ下面を除いた外面全体及び配線基板上面に密着固定させて前記SAWチップ下面と前記配線基板上面との間に気密空間を形成する加熱加圧工程と、から成り、前記加熱加圧工程においては、前記配線基板上面であって前記SAWチップの外周面から所定距離離間した位置にSAWチップを包囲する堰き止め枠体を配置した状態で前記ヒートローラによる加熱加圧工程を実施することにより、SAWチップ裾部と配線基板上面との間の隙間に樹脂フィルムを充填することを特徴とする。
【0006】
SAWチップ個片、或いは複数配列されたSAWチップ群の外周を包囲するように配線基板(配線基板個片、或いは配線基板母材)上に堰き止め枠体を配置した際に、その環状枠体部がSAWチップ個片、或いはSAWチップ群の外周縁との間に所定の隙間を有した状態で配置されることにより、SAWチップ上面に添設した樹脂フィルムを加熱加圧装置(ヒートローラ)により加熱・加圧して平坦化する際に、樹脂フィルム外周縁部が外側にスカート状に拡開することが防止され、SAWチップ裾部と配線基板上面との間に充填されることができる。その充填量は、樹脂フィルムの面積によって限界があるので、樹脂がSAWチップ下方に過剰に入り込んで気密空間を狭くする、IDTに付着する等の不具合がない。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1において、前記配線基板は、複数の配線基板個片をシート状に連結した大面積の配線基板母材であり、前記堰き止め枠体は、前記配線基板母材上に搭載されたSAWチップ群を包囲する外側位置に配置されることを特徴とする。
配線基板母材上に複数のSAWチップを配列した場合には、SAWチップ間の谷間には溶融した樹脂が十分に充填される一方で、SAWチップ群の外周縁においては樹脂フィルムの外周縁部が堰き止め枠体によって押さえ込まれるので、各SAWチップ裾部と配線基板上面との間に隙間に入り込むことができる。
請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記堰き止め枠体は、予め前記配線基板上面に固定されていることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1又は2において、前記堰き止め枠体は、前記配線基板とは別体の環状枠体であることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1又は2において、前記堰き止め枠体は、前記配線基板とは別体構成であり、環状枠体部と、該環状枠体部の上面開口を閉止する上板と、を備えていることを特徴とする。
請求項6の発明に係る表面実装型SAWデバイスは、請求項1乃至5の何れか一項に記載の製造方法によって製造されたことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
図1は本発明の製造方法によって製造されるSAWデバイスの構成を示す縦断面図であり、図2は本発明の一実施形態に係る表面実装型弾性表面波デバイス(以下、SAWデバイス、という)の製造手順を示す図であり、(a)及び(b)はSAWチップを搭載した配線基板母材の平面図及び縦断面図であり、(c)乃至(e)はヒートローラを用いた加熱加圧工程を説明する図である。
図1に示すように、このSAWデバイス1は、絶縁基板3、絶縁基板3の底部に設けた表面実装用の外部電極4、及び、絶縁基板3の上面に設けられ且つ内部導体6を介して外部電極4と導通した配線パターン5、から成る配線基板2と、配線パターン5と導体バンプ10を介して電気的機械的に接続される接続パッド16、及びIDT17を夫々圧電基板18の下面に備えたSAWチップ15と、SAWチップ15の下面を除いた外面(上面、及び側面)に内面側にて密着すると共に、その外周縁部20aを配線基板1上に密着固定させた熱可塑性の樹脂フィルム(樹脂シート)20と、を備えている。
SAWチップを構成するIDT17は、図示しない給電側のリード端子から高周波電界を印加されることによって弾性表面波を励起し、弾性表面波を圧電作用によって高周波電界に変換することによってフィルタ特性を得ることができる。樹脂フィルム20は、図3に示すように例えば約5mm程度の厚さの変形プラスチックフィルム(例えば、エポキシ系フィルム)等の熱可塑性絶縁樹脂フィルムであり、厚さ50μm程度のベースフィルム21の上面に順次エポキシシート22(100〜500μm)、カバーフィルム23(80μm)を積層一体化した構成を備えている。この樹脂フィルム20は、SAWチップ15の下面と配線基板2の上面との間に、樹脂が充填されていないSAW伝搬用の気密空間Sが確保されるように、その外周縁部20aを配線基板2の上面に密着固定される。樹脂フィルム20は、ベースフィルム21側をSAWチップ側に向けて添設される。なお、カバーフィルム23は、耐熱性シートであり、溶けたエポキシシートがローラに吸着しないようにするための手段であり、ローラ側に配置される。
この実施形態に係るSAWデバイス1によれば、この樹脂フィルム20は、SAWチップ15の下面18cを除いた外面全体(上面18a、側面18b)に密着してこれを覆うと共に、その外周縁20bが配線基板2の上面に達して密着する。更に、この樹脂フィルム20は、加熱により溶融軟化してSAWチップ下面を除いた外面全体及び配線基板上面に密着固定してSAWチップ下面と配線基板上面との間に気密空間Sを形成すると同時に、配線基板上とSAWチップ15との固定を強固にする補強機能を発揮する。
【0009】
次に、図2に基づいて本発明のSAWデバイスの製造手順を説明する。
尚、この例では複数の配線基板個片2をシート状に連結一体化した配線基板母材25を用いたバッチ処理によるSAWデバイスの生産方法を例示するが、この製造工程は独立した配線基板個片に対して個別に加工を加えてSAWデバイス1を単品生産する方法にも適用できる。
まず、図2(a)(b)に示した如く、絶縁基板3の下面に外部電極4を有すると共に上面に配線パターン5を備えた配線基板個片2を複数個、シート状に連結した大面積の配線基板母材25を用意し、各個片領域に対して、下面18cに接続パッド16とIDT17を備えたSAWチップ15の接続パッド16を、配線パターン5上に導体バンプ10を介して電気的機械的に接続する(フリップチップボンディング)。導体バンプ10は、予め接続パッド16側に形成しておいてもよいし、配線パターン5上に形成してもよい。導体バンプ10は、例えば金属ボール、或いはボール状の樹脂の外面に導体を被覆したものを使用する。
なお、この実施形態に係る矩形の配線基板母材25は、その外周縁全周に亘って所定高さを有した矩形環状の堰き止め枠体30を予め一体化した構成を備えている。この堰き止め枠体30は、絶縁基板3と同材質であってもよいし、異なった材質であっても良いが、同材質である場合には絶縁基板母材と一体的に製造する。また、堰き止め枠体30の高さは、各SAWチップ15の上面よりも所定長高く設定することにより、SAWチップ上面に被覆される樹脂フィルムの膜厚が適正値となるように設定する。
【0010】
次いで、図2(c)の添設工程では、全てのSAWチップ15の上面18aに跨って添設されてこれらを覆うように平板状の樹脂フィルム20の下面を、全てのSAWチップ上面18aに添設する。なお、添設時に、樹脂フィルム20の下面が全てのSAWチップ15の上面18aに確実に密着するように樹脂フィルム下面に接着剤層を予め形成しておいてもよい。また、樹脂フィルム20の外形寸法は、図示のように堰き止め枠体30の内周形状に整合するように予め寸法設定する。
次いで、図2(c)(e)の加熱加圧工程では、配線基板母材25の上面に載置した樹脂フィルム20を加熱加圧装置40を用いて溶融させつつ加圧することによって、溶融した樹脂フィルム20をSAWチップ15の上面及び側面に密着させると共に、IDT17と配線基板上面との間に気密空間Sを形成するようにSAWチップ15間に樹脂を充填させる。この際、堰き止め枠体30が外周縁に沿った列を構成する各SAWチップ15の外側に所定の間隔を隔てて配置されているため、これらのSAWチップ15の外側面と堰き止め枠体30の内壁との間に充填される溶融樹脂は堰き止め枠体30の内壁によって外側への拡開を阻止され、各SAWチップ15の裾部と配線基板上面との間の空間に確実に充填される。従って、外周縁に沿った列を構成する各SAWチップ15の外側にボイドが形成されることがなくなる。
加熱加圧装置40は、配線基板下面を支持する支持ローラ、或いは支持プレート等から成る支持部材41と、支持部材41と所定のギャップを隔てて対向配置され且つ一定温度(樹脂フィルムを構成するエポキシシートの溶融温度)以上に加熱されたヒートローラ42と、を備え、矢印方向へ回転する両ローラ41、42のギャップに沿って、樹脂フィルム20を載置した配線基板母材25を矢印方向へ一定速度で移動させることによって、樹脂フィルム20の上面を平坦化して各SAWチップ上面に密着させながら、溶融軟化した樹脂フィルムをSAWチップ間に充填させる。この結果、樹脂フィルムを、SAWチップ下面を除いた外面全体及び配線基板上面に密着固定させてSAWチップ下面と配線基板上面との間に気密空間Sを形成する。
最後に、ダイシング等にて配線基板個片間の境界線に沿って切断することにより、SAWデバイス個片1を得ることとなる。
【0011】
次に、図4(a)及び(b)は本発明の第2の実施形態に係る製造方法の説明図であり、この実施形態では堰き止め枠体30として、配線基板母材25とは別体の部材を用い、堰き止め枠体30を配線基板母材25上面の所定位置に固定した状態で、図2に示した如き各工程を実施する。
次に、図5(a)(b)及び(c)は本発明の第3の実施形態に係る製造方法の説明図であり、この実施形態に使用する堰き止め枠体30は、配線基板母材25とは別体構成であり、環状枠体部35と、環状枠体部35の上面開口を閉止する上板36と、を備えている。堰き止め枠体30は、熱伝導性の良好な金属等から構成する。また、樹脂に対する離型性の良好な材質を用いる。
樹脂フィルム20は、全てのSAWチップ15の上面を覆い、且つ外周縁に沿って配列される各SAWチップよりも外側に所定幅はみ出す程度に大きい面積とする。このように樹脂フィルム20の外周縁がSAWチップ群よりも外側へはみ出すように寸法設定することにより、加熱加圧工程においてこのはみ出し部分が垂れ下がり、外周縁に沿って配列された各SAWチップの外側から配線基板上面までに達することができる。
この堰き止め枠体30を用いた樹脂被覆作業においては、図5(a)(b)に示すように、配線基板母材25上の各SAWチップ15の上面に跨って樹脂フィルム20を添設した状態で、樹脂フィルム20上面に堰き止め枠体30をその凹所を下向きにしてかぶせてから、(c)に示すように加熱加圧装置40を構成する支持ローラ41とヒートローラ42によって加圧を行う。この際、ヒートローラ42は内蔵或いは外部に配置されたヒータによって樹脂の溶融温度にまで昇温されているので、上板36を介して樹脂フィルムを十分に加熱することができ、また下面がフラットな上板36を介して加圧することによって樹脂の上面を平坦度よくフラット化することができる。また、樹脂がある程度冷却して硬化するまで堰き止め枠体をかぶせた状態を維持してから取り外すことにより、樹脂フィルムの上面全体を同時に加圧し続けることができるので、硬化後のフラット性を更に高めることができる。
また、環状枠体部36は、上記の各実施形態の場合と同様に、樹脂フィルムの外周縁部の外側への拡開によるボイド発生を防止するために有効に機能する。
【0012】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、表面実装用の配線基板(配線基板個片、配線基板母材)上の配線パターン上に導体バンプを介してSAWチップ(SAWチップ個片、SAWチップ群)を搭載した構造のSAWデバイスにおいて、樹脂フィルムによってSAWチップ外面の被覆と、SAWチップ下面と配線基板上面との間の気密空間形成を行う場合に、真空ポンプ等の設備を用いずに、樹脂フィルムの外周縁と配線基板上面との密着不良によるボイド発生を防止することができる。
SAWチップ個片、或いは複数配列されたSAWチップ群の外周を包囲するように配線基板上に堰き止め枠体を配置した際に、その環状枠体部がSAWチップ個片、或いはSAWチップ群の外周縁との間に所定の隙間を有した状態で配置されることにより、SAWチップ上面に添設した樹脂フィルムを加熱加圧装置(ヒートローラ)により加熱・加圧して平坦化する際に、樹脂フィルム外周縁部が外側にスカート状に拡開することが防止され、SAWチップ裾部と配線基板上面との間に充填されることができる。樹脂がSAWチップ下方に過剰に入り込んで気密空間を狭くする、IDTに付着する等の不具合もない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法によって製造されるSAWデバイスの構成を示す縦断面図。
【図2】本発明の一実施形態に係る表面実装型弾性表面波デバイスの製造手順を示す図であり、(a)及び(b)はSAWチップを搭載した配線基板母材の平面図及び縦断面図であり、(c)乃至(e)はヒートローラを用いた加熱加圧工程を説明する図。
【図3】樹脂フィルムの一例を示す断面図。
【図4】(a)及び(b)は本発明の第2の実施形態を説明するための図。
【図5】(a)(b)及び(c)は本発明の第3の実施形態を説明するための図。
【図6】従来例に係るSAWデバイスの構成を示す断面図。
【図7】(a)(b)及び(c)は従来例のSAWデバイスの製造方法の説明図。
【図8】(a)及び(b)は従来例に係るSAWデバイスの欠点を説明する図。
【符号の説明】
1 SAWデバイス、2 配線基板、3 絶縁基板、4 外部電極、5 配線パターン、10 導体バンプ、15 SAWチップ、16 接続パッド、17 IDT、18 圧電基板、20 樹脂フィルム、25 配線基板母材(配線基板)、30 堰き止め枠体、35 環状枠体部、36 上板、40 加熱加圧装置、41 支持部材、42 ヒートローラ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、弾性表面波チップを配線基板上にバンプを用いて搭載してから弾性表面波チップを樹脂にて封止した構造の弾性表面波デバイスを製造する工程において発生する種々の不具合を解決した表面実装型SAWデバイスの製造方法及び表面実装型SAWデバイスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
弾性表面波デバイス(SAWデバイス)は、水晶等の圧電基板上に櫛歯状の電極指(IDT)を配置した構成を備え、例えばIDTに高周波電界を印加することによって弾性表面波を励起し、弾性表面波を圧電作用によって高周波電界に変換することによってフィルタ特性を得るものである。
ところで、SAWデバイスの占有面積の小型化を図るために、特開平2−186662号公報、WO97/02596等には、図6に示すように、SAWチップ110を構成する圧電基板111とほぼ同等の面積を備えた表面実装用の配線基板101の上面に、IDT112を形成した面を下向きにした状態のSAWチップ110を導体バンプ113によってフリップチップ実装し、更にSAWチップの下面と配線基板上面との間にSAW伝搬用の気密空間Sを確保しつつSAWチップ外面から配線基板上面にかけて封止樹脂115を被覆してから硬化させた樹脂封止型SAWデバイス100が提案されている。
図7(a)(b)及び(c)は、このような樹脂封止型SAWデバイス100を製造する従来方法を示す図である。この製造方法では、大面積且つシート状の樹脂フィルム121を、配線基板母材120上に搭載された全てのSAWチップ110の上面に跨って添設(接着)した状態で、ヒートローラ122にて加熱しながら加圧して溶融させることによって、各SAWチップ110の外周を溶融樹脂にて一括被覆する。具体的には、図7(a)に示すように、ヒートローラ122と対向ローラ123(或いは対向プレート)との間に、SAWチップ110を搭載完了した配線基板母材120を通過させる際に、予めSAWチップ上に添設しておいた樹脂フィルム121をヒートローラ122により加熱しながら加圧することによって、樹脂フィルム121を溶融軟化させてSAWチップ外面(上面、及び側面)に密着させると共に、各SAWチップの裾部全周と配線基板上面との間隙に充填させて気密空間Sを形成する。次いで、モールド型125内にて加熱して樹脂を硬化させた後で、個片に分割することによって製造される。この方法によれば、液状樹脂が気密空間内に浸入してIDT112に付着する虞はなくなる。
【0003】
このような従来技術は、例えば特開2001−176995に開示されている。
しかし、この従来方法によった場合、ヒートローラからの圧力によって溶融樹脂フィルムが最外周縁列を構成する各SAWチップの外側へスカート状に拡開し、各SAWチップの裾部と配線基板上面との間の空間に充填されなくなる。その結果、図8(a)及び(b)の平面図、及び縦断面図に示すように、スカート状に拡開した樹脂フィルム外周縁と配線基板上面との間にボイド(気泡)130が発生する。ボイド130の発生態様はヒートローラによる加圧状況によって一様ではなく、四角い外周縁に沿った全てのSAWチップの外側壁に沿って発生することもあるし、一部のSAWチップの外側壁に沿って発生することもある。ボイド130が形成された場合、樹脂フィルム外周縁と配線基板上面との接触面に空気、又は空気が置換された不活性ガスが介在し易くなり、これらの気体が浸入しないように樹脂フィルムを被覆することが容易でなくなる。即ち、樹脂フィルムによる密着性を高めるためには、接触面に気体が介在することを厳に回避する必要があるが、気体の侵入を防ぐためには被覆工程を真空、或いは真空に近い雰囲気中で実施するか、或いは配線基板母材の適所に吸引孔を形成しておき、吸引孔から負圧を導入して、樹脂フィルムと配線基板との間の空間を負圧に保つ必要がある。いずれの場合も、真空ポンプ、真空槽が必要となり、設備の大型化、高コスト化、工程の複雑化による生産性の低下といった問題が発生する。
【特許文献1】特開平2−186662号公報
【特許文献2】WO97/02596
【特許文献3】特開2001−176995公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、表面実装用の配線基板上の配線パターン上に導体バンプを介してSAWチップを搭載した構造のSAWデバイスにおいて、樹脂フィルムによってSAWチップ外面の被覆と、SAWチップ下面と配線基板上面との間の気密空間形成を行う場合に、真空ポンプ等の設備を用いずに、樹脂フィルムの外周縁と配線基板上面との密着不良によるボイド発生を防止することができる表面実装型SAWデバイスの製造方法及び表面実装型SAWデバイスを提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は次の如き手段を備える。
即ち、請求項1の表面実装型SAWデバイスの製造方法は、絶縁基板、該絶縁基板の底部に設けた表面実装用の外部電極、及び該絶縁基板の上面に設けられ且つ該外部電極と導通した配線パターン、を備えた配線基板と、圧電基板、該圧電基板下面に形成されたIDT、及び前記配線パターン上に導体バンプを介してフリップチップ実装される接続パッド、を備えたSAWチップと、前記SAWチップ下面と前記配線基板上面との間に気密空間を形成するように配線基板とSAWチップとを一体化する樹脂フィルムと、を備えた表面実装型SAWデバイスの製造方法において、前記配線基板上面の配線パターン上に前記SAWチップの接続パッドを導体バンプを介して実装するフリップチップ実装工程と、前記SAWチップの下面を除いた外面全体に密着してこれを覆うと共に、外周縁が配線基板上面に達する面積を有した平板状の樹脂フィルムを、SAWチップ上面に添設する添設工程と、前記配線基板下面を支持部材により支持した状態で、前記樹脂フィルム上面をヒートローラによって加熱しながら加圧することにより樹脂フィルムを溶融軟化させて、SAWチップ下面を除いた外面全体及び配線基板上面に密着固定させて前記SAWチップ下面と前記配線基板上面との間に気密空間を形成する加熱加圧工程と、から成り、前記加熱加圧工程においては、前記配線基板上面であって前記SAWチップの外周面から所定距離離間した位置にSAWチップを包囲する堰き止め枠体を配置した状態で前記ヒートローラによる加熱加圧工程を実施することにより、SAWチップ裾部と配線基板上面との間の隙間に樹脂フィルムを充填することを特徴とする。
【0006】
SAWチップ個片、或いは複数配列されたSAWチップ群の外周を包囲するように配線基板(配線基板個片、或いは配線基板母材)上に堰き止め枠体を配置した際に、その環状枠体部がSAWチップ個片、或いはSAWチップ群の外周縁との間に所定の隙間を有した状態で配置されることにより、SAWチップ上面に添設した樹脂フィルムを加熱加圧装置(ヒートローラ)により加熱・加圧して平坦化する際に、樹脂フィルム外周縁部が外側にスカート状に拡開することが防止され、SAWチップ裾部と配線基板上面との間に充填されることができる。その充填量は、樹脂フィルムの面積によって限界があるので、樹脂がSAWチップ下方に過剰に入り込んで気密空間を狭くする、IDTに付着する等の不具合がない。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1において、前記配線基板は、複数の配線基板個片をシート状に連結した大面積の配線基板母材であり、前記堰き止め枠体は、前記配線基板母材上に搭載されたSAWチップ群を包囲する外側位置に配置されることを特徴とする。
配線基板母材上に複数のSAWチップを配列した場合には、SAWチップ間の谷間には溶融した樹脂が十分に充填される一方で、SAWチップ群の外周縁においては樹脂フィルムの外周縁部が堰き止め枠体によって押さえ込まれるので、各SAWチップ裾部と配線基板上面との間に隙間に入り込むことができる。
請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記堰き止め枠体は、予め前記配線基板上面に固定されていることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1又は2において、前記堰き止め枠体は、前記配線基板とは別体の環状枠体であることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1又は2において、前記堰き止め枠体は、前記配線基板とは別体構成であり、環状枠体部と、該環状枠体部の上面開口を閉止する上板と、を備えていることを特徴とする。
請求項6の発明に係る表面実装型SAWデバイスは、請求項1乃至5の何れか一項に記載の製造方法によって製造されたことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
図1は本発明の製造方法によって製造されるSAWデバイスの構成を示す縦断面図であり、図2は本発明の一実施形態に係る表面実装型弾性表面波デバイス(以下、SAWデバイス、という)の製造手順を示す図であり、(a)及び(b)はSAWチップを搭載した配線基板母材の平面図及び縦断面図であり、(c)乃至(e)はヒートローラを用いた加熱加圧工程を説明する図である。
図1に示すように、このSAWデバイス1は、絶縁基板3、絶縁基板3の底部に設けた表面実装用の外部電極4、及び、絶縁基板3の上面に設けられ且つ内部導体6を介して外部電極4と導通した配線パターン5、から成る配線基板2と、配線パターン5と導体バンプ10を介して電気的機械的に接続される接続パッド16、及びIDT17を夫々圧電基板18の下面に備えたSAWチップ15と、SAWチップ15の下面を除いた外面(上面、及び側面)に内面側にて密着すると共に、その外周縁部20aを配線基板1上に密着固定させた熱可塑性の樹脂フィルム(樹脂シート)20と、を備えている。
SAWチップを構成するIDT17は、図示しない給電側のリード端子から高周波電界を印加されることによって弾性表面波を励起し、弾性表面波を圧電作用によって高周波電界に変換することによってフィルタ特性を得ることができる。樹脂フィルム20は、図3に示すように例えば約5mm程度の厚さの変形プラスチックフィルム(例えば、エポキシ系フィルム)等の熱可塑性絶縁樹脂フィルムであり、厚さ50μm程度のベースフィルム21の上面に順次エポキシシート22(100〜500μm)、カバーフィルム23(80μm)を積層一体化した構成を備えている。この樹脂フィルム20は、SAWチップ15の下面と配線基板2の上面との間に、樹脂が充填されていないSAW伝搬用の気密空間Sが確保されるように、その外周縁部20aを配線基板2の上面に密着固定される。樹脂フィルム20は、ベースフィルム21側をSAWチップ側に向けて添設される。なお、カバーフィルム23は、耐熱性シートであり、溶けたエポキシシートがローラに吸着しないようにするための手段であり、ローラ側に配置される。
この実施形態に係るSAWデバイス1によれば、この樹脂フィルム20は、SAWチップ15の下面18cを除いた外面全体(上面18a、側面18b)に密着してこれを覆うと共に、その外周縁20bが配線基板2の上面に達して密着する。更に、この樹脂フィルム20は、加熱により溶融軟化してSAWチップ下面を除いた外面全体及び配線基板上面に密着固定してSAWチップ下面と配線基板上面との間に気密空間Sを形成すると同時に、配線基板上とSAWチップ15との固定を強固にする補強機能を発揮する。
【0009】
次に、図2に基づいて本発明のSAWデバイスの製造手順を説明する。
尚、この例では複数の配線基板個片2をシート状に連結一体化した配線基板母材25を用いたバッチ処理によるSAWデバイスの生産方法を例示するが、この製造工程は独立した配線基板個片に対して個別に加工を加えてSAWデバイス1を単品生産する方法にも適用できる。
まず、図2(a)(b)に示した如く、絶縁基板3の下面に外部電極4を有すると共に上面に配線パターン5を備えた配線基板個片2を複数個、シート状に連結した大面積の配線基板母材25を用意し、各個片領域に対して、下面18cに接続パッド16とIDT17を備えたSAWチップ15の接続パッド16を、配線パターン5上に導体バンプ10を介して電気的機械的に接続する(フリップチップボンディング)。導体バンプ10は、予め接続パッド16側に形成しておいてもよいし、配線パターン5上に形成してもよい。導体バンプ10は、例えば金属ボール、或いはボール状の樹脂の外面に導体を被覆したものを使用する。
なお、この実施形態に係る矩形の配線基板母材25は、その外周縁全周に亘って所定高さを有した矩形環状の堰き止め枠体30を予め一体化した構成を備えている。この堰き止め枠体30は、絶縁基板3と同材質であってもよいし、異なった材質であっても良いが、同材質である場合には絶縁基板母材と一体的に製造する。また、堰き止め枠体30の高さは、各SAWチップ15の上面よりも所定長高く設定することにより、SAWチップ上面に被覆される樹脂フィルムの膜厚が適正値となるように設定する。
【0010】
次いで、図2(c)の添設工程では、全てのSAWチップ15の上面18aに跨って添設されてこれらを覆うように平板状の樹脂フィルム20の下面を、全てのSAWチップ上面18aに添設する。なお、添設時に、樹脂フィルム20の下面が全てのSAWチップ15の上面18aに確実に密着するように樹脂フィルム下面に接着剤層を予め形成しておいてもよい。また、樹脂フィルム20の外形寸法は、図示のように堰き止め枠体30の内周形状に整合するように予め寸法設定する。
次いで、図2(c)(e)の加熱加圧工程では、配線基板母材25の上面に載置した樹脂フィルム20を加熱加圧装置40を用いて溶融させつつ加圧することによって、溶融した樹脂フィルム20をSAWチップ15の上面及び側面に密着させると共に、IDT17と配線基板上面との間に気密空間Sを形成するようにSAWチップ15間に樹脂を充填させる。この際、堰き止め枠体30が外周縁に沿った列を構成する各SAWチップ15の外側に所定の間隔を隔てて配置されているため、これらのSAWチップ15の外側面と堰き止め枠体30の内壁との間に充填される溶融樹脂は堰き止め枠体30の内壁によって外側への拡開を阻止され、各SAWチップ15の裾部と配線基板上面との間の空間に確実に充填される。従って、外周縁に沿った列を構成する各SAWチップ15の外側にボイドが形成されることがなくなる。
加熱加圧装置40は、配線基板下面を支持する支持ローラ、或いは支持プレート等から成る支持部材41と、支持部材41と所定のギャップを隔てて対向配置され且つ一定温度(樹脂フィルムを構成するエポキシシートの溶融温度)以上に加熱されたヒートローラ42と、を備え、矢印方向へ回転する両ローラ41、42のギャップに沿って、樹脂フィルム20を載置した配線基板母材25を矢印方向へ一定速度で移動させることによって、樹脂フィルム20の上面を平坦化して各SAWチップ上面に密着させながら、溶融軟化した樹脂フィルムをSAWチップ間に充填させる。この結果、樹脂フィルムを、SAWチップ下面を除いた外面全体及び配線基板上面に密着固定させてSAWチップ下面と配線基板上面との間に気密空間Sを形成する。
最後に、ダイシング等にて配線基板個片間の境界線に沿って切断することにより、SAWデバイス個片1を得ることとなる。
【0011】
次に、図4(a)及び(b)は本発明の第2の実施形態に係る製造方法の説明図であり、この実施形態では堰き止め枠体30として、配線基板母材25とは別体の部材を用い、堰き止め枠体30を配線基板母材25上面の所定位置に固定した状態で、図2に示した如き各工程を実施する。
次に、図5(a)(b)及び(c)は本発明の第3の実施形態に係る製造方法の説明図であり、この実施形態に使用する堰き止め枠体30は、配線基板母材25とは別体構成であり、環状枠体部35と、環状枠体部35の上面開口を閉止する上板36と、を備えている。堰き止め枠体30は、熱伝導性の良好な金属等から構成する。また、樹脂に対する離型性の良好な材質を用いる。
樹脂フィルム20は、全てのSAWチップ15の上面を覆い、且つ外周縁に沿って配列される各SAWチップよりも外側に所定幅はみ出す程度に大きい面積とする。このように樹脂フィルム20の外周縁がSAWチップ群よりも外側へはみ出すように寸法設定することにより、加熱加圧工程においてこのはみ出し部分が垂れ下がり、外周縁に沿って配列された各SAWチップの外側から配線基板上面までに達することができる。
この堰き止め枠体30を用いた樹脂被覆作業においては、図5(a)(b)に示すように、配線基板母材25上の各SAWチップ15の上面に跨って樹脂フィルム20を添設した状態で、樹脂フィルム20上面に堰き止め枠体30をその凹所を下向きにしてかぶせてから、(c)に示すように加熱加圧装置40を構成する支持ローラ41とヒートローラ42によって加圧を行う。この際、ヒートローラ42は内蔵或いは外部に配置されたヒータによって樹脂の溶融温度にまで昇温されているので、上板36を介して樹脂フィルムを十分に加熱することができ、また下面がフラットな上板36を介して加圧することによって樹脂の上面を平坦度よくフラット化することができる。また、樹脂がある程度冷却して硬化するまで堰き止め枠体をかぶせた状態を維持してから取り外すことにより、樹脂フィルムの上面全体を同時に加圧し続けることができるので、硬化後のフラット性を更に高めることができる。
また、環状枠体部36は、上記の各実施形態の場合と同様に、樹脂フィルムの外周縁部の外側への拡開によるボイド発生を防止するために有効に機能する。
【0012】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、表面実装用の配線基板(配線基板個片、配線基板母材)上の配線パターン上に導体バンプを介してSAWチップ(SAWチップ個片、SAWチップ群)を搭載した構造のSAWデバイスにおいて、樹脂フィルムによってSAWチップ外面の被覆と、SAWチップ下面と配線基板上面との間の気密空間形成を行う場合に、真空ポンプ等の設備を用いずに、樹脂フィルムの外周縁と配線基板上面との密着不良によるボイド発生を防止することができる。
SAWチップ個片、或いは複数配列されたSAWチップ群の外周を包囲するように配線基板上に堰き止め枠体を配置した際に、その環状枠体部がSAWチップ個片、或いはSAWチップ群の外周縁との間に所定の隙間を有した状態で配置されることにより、SAWチップ上面に添設した樹脂フィルムを加熱加圧装置(ヒートローラ)により加熱・加圧して平坦化する際に、樹脂フィルム外周縁部が外側にスカート状に拡開することが防止され、SAWチップ裾部と配線基板上面との間に充填されることができる。樹脂がSAWチップ下方に過剰に入り込んで気密空間を狭くする、IDTに付着する等の不具合もない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法によって製造されるSAWデバイスの構成を示す縦断面図。
【図2】本発明の一実施形態に係る表面実装型弾性表面波デバイスの製造手順を示す図であり、(a)及び(b)はSAWチップを搭載した配線基板母材の平面図及び縦断面図であり、(c)乃至(e)はヒートローラを用いた加熱加圧工程を説明する図。
【図3】樹脂フィルムの一例を示す断面図。
【図4】(a)及び(b)は本発明の第2の実施形態を説明するための図。
【図5】(a)(b)及び(c)は本発明の第3の実施形態を説明するための図。
【図6】従来例に係るSAWデバイスの構成を示す断面図。
【図7】(a)(b)及び(c)は従来例のSAWデバイスの製造方法の説明図。
【図8】(a)及び(b)は従来例に係るSAWデバイスの欠点を説明する図。
【符号の説明】
1 SAWデバイス、2 配線基板、3 絶縁基板、4 外部電極、5 配線パターン、10 導体バンプ、15 SAWチップ、16 接続パッド、17 IDT、18 圧電基板、20 樹脂フィルム、25 配線基板母材(配線基板)、30 堰き止め枠体、35 環状枠体部、36 上板、40 加熱加圧装置、41 支持部材、42 ヒートローラ。
Claims (6)
- 絶縁基板、該絶縁基板の底部に設けた表面実装用の外部電極、及び該絶縁基板の上面に設けられ且つ該外部電極と導通した配線パターン、を備えた配線基板と、
圧電基板、該圧電基板下面に形成されたIDT、及び前記配線パターン上に導体バンプを介してフリップチップ実装される接続パッド、を備えたSAWチップと、
前記SAWチップ下面と前記配線基板上面との間に気密空間を形成するように配線基板とSAWチップとを一体化する樹脂フィルムと、
を備えた表面実装型SAWデバイスの製造方法において、
前記配線基板上面の配線パターン上に前記SAWチップの接続パッドを導体バンプを介して実装するフリップチップ実装工程と、
前記SAWチップの下面を除いた外面全体に密着してこれを覆うと共に、外周縁が配線基板上面に達する面積を有した平板状の樹脂フィルムを、SAWチップ上面に添設する添設工程と、
前記配線基板下面を支持部材により支持した状態で、前記樹脂フィルム上面をヒートローラによって加熱しながら加圧することにより樹脂フィルムを溶融軟化させて、SAWチップ下面を除いた外面全体及び配線基板上面に密着固定させて前記SAWチップ下面と前記配線基板上面との間に気密空間を形成する加熱加圧工程と、
から成り、
前記加熱加圧工程においては、前記配線基板上面であって前記SAWチップの外周面から所定距離離間した位置にSAWチップを包囲する堰き止め枠体を配置した状態で前記ヒートローラによる加熱加圧工程を実施することにより、SAWチップ裾部と配線基板上面との間の隙間に樹脂フィルムを充填することを特徴とする表面実装型SAWデバイスの製造方法。 - 前記配線基板は、複数の配線基板個片をシート状に連結した大面積の配線基板母材であり、
前記堰き止め枠体は、前記配線基板母材上に搭載されたSAWチップ群を包囲する外側位置に配置されることを特徴とする請求項1に記載の表面実装型SAWデバイスの製造方法。 - 前記堰き止め枠体は、予め前記配線基板上面に固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の表面実装型SAWデバイスの製造方法。
- 前記堰き止め枠体は、前記配線基板とは別体の環状枠体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の表面実装型SAWデバイスの製造方法。
- 前記堰き止め枠体は、前記配線基板とは別体構成であり、環状枠体部と、該環状枠体部の上面開口を閉止する上板と、を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の表面実装型SAWデバイスの製造方法。
- 請求項1乃至5の何れか一項に記載の製造方法によって製造されたことを特徴とする表面実装型SAWデバイス。
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JP2003039021A JP2004253839A (ja) | 2003-02-17 | 2003-02-17 | 表面実装型sawデバイスの製造方法及び表面実装型sawデバイス |
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US7261792B2 (en) * | 2002-12-06 | 2007-08-28 | Murata Manufacturing Co., Ltd. | Method of producing piezoelectric component and piezoelectric component |
US7940146B2 (en) | 2006-11-13 | 2011-05-10 | Murata Manufacturing Co., Ltd. | Boundary acoustic wave element, boundary acoustic wave device, and manufacturing methods for the same |
CN113380645A (zh) * | 2021-07-06 | 2021-09-10 | 深圳市德明新微电子有限公司 | 一种封装产品及其制备方法 |
-
2003
- 2003-02-17 JP JP2003039021A patent/JP2004253839A/ja active Pending
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