JP2004253937A - 弾性表面波フィルタとその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】SAWフィルタ素子の表面近傍に中空部を必要とする弾性表面波フィルタに関し、容易に中空部を形成でき、且つ、小型化、低背化された弾性表面波フィルタとその製造方法を提供する。
【解決手段】圧電基板の主面上にIDT及びボンディングパッド等で形成されるフィルタ機能部を配置し、該フィルタ機能部を取り囲むように樹脂を塗布して支持枠を形成し、該支持枠の開口部に蓋体を被せることでフィルタ機能部上に中空部を設けたSAWフィルタの製造方法において、該蓋体の外形形成を、前記支持枠に貼り合わせた後に成形する。
【選択図】図1
【解決手段】圧電基板の主面上にIDT及びボンディングパッド等で形成されるフィルタ機能部を配置し、該フィルタ機能部を取り囲むように樹脂を塗布して支持枠を形成し、該支持枠の開口部に蓋体を被せることでフィルタ機能部上に中空部を設けたSAWフィルタの製造方法において、該蓋体の外形形成を、前記支持枠に貼り合わせた後に成形する。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、弾性表面波フィルタに関し、特にSAWフィルタ素子の表面近傍に中空部を必要とする弾性表面波フィルタ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、弾性表面波(Surface Acoustic Wave:以下、SAW)フィルタは移動体通信分野で幅広く用いられ、高性能、小型、量産性等の点で優れた特徴を有することから特に携帯電話等に多く用いられている。また、SAWフィルタは移動体通信機器の発展に伴い、小型化、低背化、高品質化が強く求められている。図4(a)は従来のワイヤボンディング構造のSAWフィルタを示したものであり、SAWフィルタ素子52は接着剤を介してパッケージ51の底面に接着固定され、SAWフィルタ素子52の主面上に設けられたボンディングパッド54とパッケージ51に設けられた端子電極55とを金やアルミニウムからなるワイヤにて接続することにより電気的導通をとり、金属製の蓋体56をシーム溶接等によりパッケージ51と接合封止することでパッケージ内を気密状態にしている。このようなワイヤボンディング構造においては、SAWフィルタ素子とパッケージ間の接着強度やパッケージ内の気密性は十分確保できるが、パッケージの内側面部にワイヤを接続するための端子電極を設けなければならないため、パッケージの小型化に関しては限界があった。
【0003】更なる小型化を図る為、近年、フリップチップボンディング工法によるSAWフィルタの製造方法が試みられてきた。図4(b)はフリップチップボンディング工法によるSAWフィルタの構造を示しており、SAWフィルタ素子62上に設けられたボンディングパッド63とパッケージ上に設けられた端子電極64とを金属バンプ65を介して導通固定し、金属製の蓋体66をシーム溶接等によりパッケージ61に接合封止することでパッケージ内を気密状態にしている。しかしながら、このようなフリップチップボンディング工法においては、数個の金属バンプのみでSAWフィルタ素子を支持するため、SAWフィルタ素子とパッケージ間の接合強度が弱く信頼性に欠けるという問題があった。
【0004】そこで、SAWフィルタ素子とパッケージ間の接合強度を高めるために、図4(c)に示すようなアルミナまたはガラスセラミックからなる基板71上にSAWフィルタ素子72を金属バンプ75にてフリップチップボンディング実装した後、SAWの励振に必要な中空部76を残してSAWフィルタ素子全体を封止樹脂77でコーティングすることでSAWフィルタ素子とパッケージの接合を強化した樹脂封止型SAWフィルタが知られている。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】しかしながら、前記のような樹脂封止型SAWフィルタにおいて、パッケージとSAWフィルタ素子の接合強度を高めようとすると、どうしても中空部の容積を犠牲にして樹脂でSAWフィルタ素子を固定しなければならず、接合強度と中空部の確保はトレードオフの関係にあった。また、製造過程において樹脂がSAWの励振領域に侵入し易いため、IDTに樹脂が接触して特性不良を引き起こす可能性がある。
【0006】この問題を解決すべく、例えば、特開平10‐270975号公報にて、SAWの励振領域を取り囲むように支持枠を設けて、該支持枠の開口部に蓋体をのせて密閉空間を形成し中空部を設けたSAWフィルタとその製造方法が開示されている。図5は該特許発明によるSAWフィルタの形成方法を示したものである。まず、圧電基板81上にSAWを励振させるためのIDT82とボンディングパッド83を形成し(a)、圧電基板81の主面上のIDT82を取り囲むように合成樹脂膜で支持枠84を形成する(b)。また、SAWフィルタ素子を形成するのとは別に、基台85上に支持枠84と同材料の合成樹脂膜86を塗布し、該合成樹脂膜上にレジスト87を塗布する(c)。次にフォトマスク88を介して露光を行い(d)、現像、エッチング工程を経て蓋体89を形成する(e)。SAWフィルタ素子、蓋体のパターン形成が完了したら、前記SAWフィルタ素子に設けた支持枠84と蓋体89が対面するように基台85を反転させて貼り付け(f)、加熱加圧することによって蓋体89を支持枠84に転写して(g)、SAWフィルタ素子のSAWの励振領域上に中空部90を形成したSAWフィルタ及びその製造方法が知られている。
【0007】しかしながら、特開平10−270975号公報にて開示されている中空部の形成方法においては、蓋体のパターン形成を支持枠に転写する前に行うため、蓋体と支持枠とを重ね合わせる際に精密に位置を合わせることが困難であり、支持枠と蓋体がずれて気密性が失われる可能性がある。本発明は、前記問題を解決するためになされたものであって、SAWフィルタ素子のSAWの励振領域を保護する中空部を容易に形成し、且つ、小型化、低背化されたSAWフィルタ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】上記目的を達成するために本発明に係るSAWフィルタとその製造方法の請求項1記載の発明は、 圧電基板の主面上にフィルタ機能部を形成し、該フィルタ機能部を取り囲むように樹脂を塗布して支持枠を形成し、該支持枠の開口部に蓋体を被せることでフィルタ機能部上に中空部を設けたSAWフィルタの製造方法において、該蓋体の外形形状を前記支持枠に貼り合わせた後に成形することを特徴としたSAWフィルタの製造方法である。請求項2記載の発明は、請求項1記載のSAWフィルタの製造方法において、前記蓋体は、透明基板上にレジスト、感光性樹脂の順に塗布して、該感光性樹脂と前記支持枠の開口部とを貼り合わせ、透明基板の上部からフォトマスクを介して露光し、蓋体を形成する感光性樹脂のみを硬化させることによって中空部の蓋体を形成したことを特徴とするSAWフィルタの製造方法である。請求項3記載の発明は、請求項2記載のSAWフィルタの製造方法において、前記透明基板は、紫外線を透過しうる材質からなることを特徴とするSAWフィルタの製造方法である。請求項4記載の発明は、請求項2記載のSAWフィルタの製造方法において、前記レジストはポジ型レジストからなることを特徴とするSAWフィルタの製造方法である。請求項5記載の発明は、請求項2記載のSAWフィルタの製造方法において、前記感光性樹脂はネガ型感光性樹脂からなることを特徴とするSAWフィルタの製造方法である。請求項6記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の発明にて製造したSAWフィルタにおいて、SAWフィルタ素子上のボンディングパッドと回路基板上の電極パッドとを金属バンプ及び金属ワイヤ等の導通用部材で接続し、SAWフィルタ素子と回路基板とを樹脂で被覆して固定したことを特徴としたSAWフィルタである。
【発明の実施の形態】
【0009】以下、本発明を図面に図示した実施の形態例に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明に係るSAWフィルタの製造方法を示したものである。まず、圧電基板1の主面上にAlあるいはAl合金の金属膜を成膜し、それぞれ互いに間挿し合う複数本の電極指を有する一対の櫛型電極により構成されたIDT2と電気的導通をとる為のボンディングパッド3を形成しフィルタ機能部10を構成する(a)。フィルタ機能部10は、例えばIDTの両側にグレーティング反射器を配置したSAW共振子を直列、並列、直列と接続した所謂ラダー型SAWフィルタ、あるいは、SAWの伝搬方向に対して平行(縦方向)にIDTを複数個配置して縦方向の振動モードを利用した所謂縦結合型SAWフィルタ、またSAWの伝搬方向に対して垂直(横方向)にIDTを複数個配置して横方向の振動モードを利用した所謂横結合型SAWフィルタ等、所望な特性が得られるように構成したものである。圧電基板1上にフィルタ機能部10を形成後、圧電基板1の主面上に支持枠4を形成する(b)。図2は圧電基板1上に支持枠4を形成した後の平面図を示したものであり、IDT2を取り囲むように樹脂を塗布して支持枠4を形成する。
【0010】フィルタ機能部を形成する工程とは別に、図1(c)から(d)に示すように蓋体を形成する工程を行う。透明基板5の主面上に露光すると感光するポジ型レジスト6を塗布し(c)、該ポジ型レジスト層の上に露光すると硬化するネガ型感光性樹脂7を塗布する(d)。なお、透明基板5は紫外線を透過しうる材質、例えばガラスや水晶などの基板を用いる。このように透明基板5の主面上の1層目にポジ型レジスト6、2層目にネガ型感光性樹脂7を塗布して蓋体部8を形成する。
【0011】フィルタ機能部及び蓋体部を各々形成した後、蓋体部8の感光性樹脂7とフィルタ機能部10上に設けた支持枠4が対面するように、蓋体部8を反転させて支持枠4の開口部にのせる(e)。蓋体部8を支持枠4にのせた後、フォトマスク9を介して露光を行い(f)、支持枠4の外周縁の内側に相当する領域のポジ型レジスト6が感光してネガ型感光性樹脂7が硬化する。また同時に蓋体部8と支持枠4は完全に固着される。露光工程終了後、硬化していない感光性樹脂をエッチング除去し、現像液を浸すことにより感光レジストを除去した後、透明基板5を取り外す(g)。以上の工程を経てSAWの励振領域を保護する中空部11が完成する。
【0012】本発明は以上のような製造方法で、SAWの励振領域を保護する中空部11を形成したものであって、蓋体部8と支持枠4とを貼り合わせた後に中空部11の蓋体のパターン形成を行ったので、蓋体部と支持枠とを重ね合わせる際に精密な位置合わせをする必要がなく、容易に中空部を形成することができる。
【0013】以上に述べた製造方法にて製造したSAWフィルタ素子を、回路基板に実装した時の実施例を図3に示す。図3(a)はSAWフィルタ素子21の中空部25の上面と回路基板31を対面させるようにSAWフィルタ素子21を回路基板31にフェイスダウン実装し、SAWフィルタ素子21のボンディングパッド23と回路基板の端子電極32とを金属バンプ等の導通用部材24を介して導通固定し、少なくともSAWフィルタ素子21の中空部25と回路基板31とを樹脂35で封止した構造である。また、他の実装実施例として、図3(b)に示すように、SAWフィルタ素子21と回路基板31とを接着剤で固定し、SAWフィルタ素子21上に設けたボンディングパッド23と回路基板31上に設けた端子電極32を金属ワイヤ34にて接続することにより両者の電気的導通をとり、樹脂35でSAWフィルタ素子21、金属ワイヤ34をコーティングする。図3(a)、(b)に示すような構造にすることにより、SAWフィルタ素子と回路基板とを樹脂で固定しているので良好な接着強度が得られ、また、SAWの励振領域を中空部で完全に保護しているので樹脂の流れ込みを防止でき、且つ、小型化、低背化されたSAWフィルタを提供できる。
【0014】
【発明の効果】本発明は以上のように構成したものであって、SAWの励振領域を保護する中空部を有したSAWフィルタ素子において、フィルタ機能部上に設けた支持枠に蓋体部を貼り合わせた後に中空部の蓋体のパターン形成を行ったので容易に中空部の形成が可能であり、且つ、小型化、低背化されたSAWフィルタを提供できるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るSAWフィルタの製造方法を示す図である。
【図2】本発明に係るSAWフィルタの支持枠形成後の平面図である。
【図3】本発明に係るSAWフィルタを回路基板に実装した時の図であって、図3(a)はフリップチップボンディング実装したときの断面図、図3(b)はワイヤボンディング実装したときの断面図である。
【図4】従来のSAWフィルタの構造を示した図であって、図4(a)はワイヤボンディング構造のSAWフィルタの断面図、図4(b)はフリップチップボンディング構造のSAWフィルタの断面図、図4(c)は樹脂封止構造のSAWフィルタの断面図である。
【図5】従来のSAWフィルタの製造方法を示した図である。
【符号の説明】
1…圧電基板
2…IDT
3、23…ボンディングパッド
4…支持枠
5…透明基板
6…ポジ型レジスト
7…ネガ型感光性樹脂
8…蓋体部
9…フォトマスク
10…フィルタ機能部
11…中空部
21…SAWフィルタ素子
24…導通用部材
31…回路基板
32…端子電極
34…金属ワイヤ
35…封止樹脂
【発明の属する技術分野】本発明は、弾性表面波フィルタに関し、特にSAWフィルタ素子の表面近傍に中空部を必要とする弾性表面波フィルタ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、弾性表面波(Surface Acoustic Wave:以下、SAW)フィルタは移動体通信分野で幅広く用いられ、高性能、小型、量産性等の点で優れた特徴を有することから特に携帯電話等に多く用いられている。また、SAWフィルタは移動体通信機器の発展に伴い、小型化、低背化、高品質化が強く求められている。図4(a)は従来のワイヤボンディング構造のSAWフィルタを示したものであり、SAWフィルタ素子52は接着剤を介してパッケージ51の底面に接着固定され、SAWフィルタ素子52の主面上に設けられたボンディングパッド54とパッケージ51に設けられた端子電極55とを金やアルミニウムからなるワイヤにて接続することにより電気的導通をとり、金属製の蓋体56をシーム溶接等によりパッケージ51と接合封止することでパッケージ内を気密状態にしている。このようなワイヤボンディング構造においては、SAWフィルタ素子とパッケージ間の接着強度やパッケージ内の気密性は十分確保できるが、パッケージの内側面部にワイヤを接続するための端子電極を設けなければならないため、パッケージの小型化に関しては限界があった。
【0003】更なる小型化を図る為、近年、フリップチップボンディング工法によるSAWフィルタの製造方法が試みられてきた。図4(b)はフリップチップボンディング工法によるSAWフィルタの構造を示しており、SAWフィルタ素子62上に設けられたボンディングパッド63とパッケージ上に設けられた端子電極64とを金属バンプ65を介して導通固定し、金属製の蓋体66をシーム溶接等によりパッケージ61に接合封止することでパッケージ内を気密状態にしている。しかしながら、このようなフリップチップボンディング工法においては、数個の金属バンプのみでSAWフィルタ素子を支持するため、SAWフィルタ素子とパッケージ間の接合強度が弱く信頼性に欠けるという問題があった。
【0004】そこで、SAWフィルタ素子とパッケージ間の接合強度を高めるために、図4(c)に示すようなアルミナまたはガラスセラミックからなる基板71上にSAWフィルタ素子72を金属バンプ75にてフリップチップボンディング実装した後、SAWの励振に必要な中空部76を残してSAWフィルタ素子全体を封止樹脂77でコーティングすることでSAWフィルタ素子とパッケージの接合を強化した樹脂封止型SAWフィルタが知られている。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】しかしながら、前記のような樹脂封止型SAWフィルタにおいて、パッケージとSAWフィルタ素子の接合強度を高めようとすると、どうしても中空部の容積を犠牲にして樹脂でSAWフィルタ素子を固定しなければならず、接合強度と中空部の確保はトレードオフの関係にあった。また、製造過程において樹脂がSAWの励振領域に侵入し易いため、IDTに樹脂が接触して特性不良を引き起こす可能性がある。
【0006】この問題を解決すべく、例えば、特開平10‐270975号公報にて、SAWの励振領域を取り囲むように支持枠を設けて、該支持枠の開口部に蓋体をのせて密閉空間を形成し中空部を設けたSAWフィルタとその製造方法が開示されている。図5は該特許発明によるSAWフィルタの形成方法を示したものである。まず、圧電基板81上にSAWを励振させるためのIDT82とボンディングパッド83を形成し(a)、圧電基板81の主面上のIDT82を取り囲むように合成樹脂膜で支持枠84を形成する(b)。また、SAWフィルタ素子を形成するのとは別に、基台85上に支持枠84と同材料の合成樹脂膜86を塗布し、該合成樹脂膜上にレジスト87を塗布する(c)。次にフォトマスク88を介して露光を行い(d)、現像、エッチング工程を経て蓋体89を形成する(e)。SAWフィルタ素子、蓋体のパターン形成が完了したら、前記SAWフィルタ素子に設けた支持枠84と蓋体89が対面するように基台85を反転させて貼り付け(f)、加熱加圧することによって蓋体89を支持枠84に転写して(g)、SAWフィルタ素子のSAWの励振領域上に中空部90を形成したSAWフィルタ及びその製造方法が知られている。
【0007】しかしながら、特開平10−270975号公報にて開示されている中空部の形成方法においては、蓋体のパターン形成を支持枠に転写する前に行うため、蓋体と支持枠とを重ね合わせる際に精密に位置を合わせることが困難であり、支持枠と蓋体がずれて気密性が失われる可能性がある。本発明は、前記問題を解決するためになされたものであって、SAWフィルタ素子のSAWの励振領域を保護する中空部を容易に形成し、且つ、小型化、低背化されたSAWフィルタ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】上記目的を達成するために本発明に係るSAWフィルタとその製造方法の請求項1記載の発明は、 圧電基板の主面上にフィルタ機能部を形成し、該フィルタ機能部を取り囲むように樹脂を塗布して支持枠を形成し、該支持枠の開口部に蓋体を被せることでフィルタ機能部上に中空部を設けたSAWフィルタの製造方法において、該蓋体の外形形状を前記支持枠に貼り合わせた後に成形することを特徴としたSAWフィルタの製造方法である。請求項2記載の発明は、請求項1記載のSAWフィルタの製造方法において、前記蓋体は、透明基板上にレジスト、感光性樹脂の順に塗布して、該感光性樹脂と前記支持枠の開口部とを貼り合わせ、透明基板の上部からフォトマスクを介して露光し、蓋体を形成する感光性樹脂のみを硬化させることによって中空部の蓋体を形成したことを特徴とするSAWフィルタの製造方法である。請求項3記載の発明は、請求項2記載のSAWフィルタの製造方法において、前記透明基板は、紫外線を透過しうる材質からなることを特徴とするSAWフィルタの製造方法である。請求項4記載の発明は、請求項2記載のSAWフィルタの製造方法において、前記レジストはポジ型レジストからなることを特徴とするSAWフィルタの製造方法である。請求項5記載の発明は、請求項2記載のSAWフィルタの製造方法において、前記感光性樹脂はネガ型感光性樹脂からなることを特徴とするSAWフィルタの製造方法である。請求項6記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の発明にて製造したSAWフィルタにおいて、SAWフィルタ素子上のボンディングパッドと回路基板上の電極パッドとを金属バンプ及び金属ワイヤ等の導通用部材で接続し、SAWフィルタ素子と回路基板とを樹脂で被覆して固定したことを特徴としたSAWフィルタである。
【発明の実施の形態】
【0009】以下、本発明を図面に図示した実施の形態例に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明に係るSAWフィルタの製造方法を示したものである。まず、圧電基板1の主面上にAlあるいはAl合金の金属膜を成膜し、それぞれ互いに間挿し合う複数本の電極指を有する一対の櫛型電極により構成されたIDT2と電気的導通をとる為のボンディングパッド3を形成しフィルタ機能部10を構成する(a)。フィルタ機能部10は、例えばIDTの両側にグレーティング反射器を配置したSAW共振子を直列、並列、直列と接続した所謂ラダー型SAWフィルタ、あるいは、SAWの伝搬方向に対して平行(縦方向)にIDTを複数個配置して縦方向の振動モードを利用した所謂縦結合型SAWフィルタ、またSAWの伝搬方向に対して垂直(横方向)にIDTを複数個配置して横方向の振動モードを利用した所謂横結合型SAWフィルタ等、所望な特性が得られるように構成したものである。圧電基板1上にフィルタ機能部10を形成後、圧電基板1の主面上に支持枠4を形成する(b)。図2は圧電基板1上に支持枠4を形成した後の平面図を示したものであり、IDT2を取り囲むように樹脂を塗布して支持枠4を形成する。
【0010】フィルタ機能部を形成する工程とは別に、図1(c)から(d)に示すように蓋体を形成する工程を行う。透明基板5の主面上に露光すると感光するポジ型レジスト6を塗布し(c)、該ポジ型レジスト層の上に露光すると硬化するネガ型感光性樹脂7を塗布する(d)。なお、透明基板5は紫外線を透過しうる材質、例えばガラスや水晶などの基板を用いる。このように透明基板5の主面上の1層目にポジ型レジスト6、2層目にネガ型感光性樹脂7を塗布して蓋体部8を形成する。
【0011】フィルタ機能部及び蓋体部を各々形成した後、蓋体部8の感光性樹脂7とフィルタ機能部10上に設けた支持枠4が対面するように、蓋体部8を反転させて支持枠4の開口部にのせる(e)。蓋体部8を支持枠4にのせた後、フォトマスク9を介して露光を行い(f)、支持枠4の外周縁の内側に相当する領域のポジ型レジスト6が感光してネガ型感光性樹脂7が硬化する。また同時に蓋体部8と支持枠4は完全に固着される。露光工程終了後、硬化していない感光性樹脂をエッチング除去し、現像液を浸すことにより感光レジストを除去した後、透明基板5を取り外す(g)。以上の工程を経てSAWの励振領域を保護する中空部11が完成する。
【0012】本発明は以上のような製造方法で、SAWの励振領域を保護する中空部11を形成したものであって、蓋体部8と支持枠4とを貼り合わせた後に中空部11の蓋体のパターン形成を行ったので、蓋体部と支持枠とを重ね合わせる際に精密な位置合わせをする必要がなく、容易に中空部を形成することができる。
【0013】以上に述べた製造方法にて製造したSAWフィルタ素子を、回路基板に実装した時の実施例を図3に示す。図3(a)はSAWフィルタ素子21の中空部25の上面と回路基板31を対面させるようにSAWフィルタ素子21を回路基板31にフェイスダウン実装し、SAWフィルタ素子21のボンディングパッド23と回路基板の端子電極32とを金属バンプ等の導通用部材24を介して導通固定し、少なくともSAWフィルタ素子21の中空部25と回路基板31とを樹脂35で封止した構造である。また、他の実装実施例として、図3(b)に示すように、SAWフィルタ素子21と回路基板31とを接着剤で固定し、SAWフィルタ素子21上に設けたボンディングパッド23と回路基板31上に設けた端子電極32を金属ワイヤ34にて接続することにより両者の電気的導通をとり、樹脂35でSAWフィルタ素子21、金属ワイヤ34をコーティングする。図3(a)、(b)に示すような構造にすることにより、SAWフィルタ素子と回路基板とを樹脂で固定しているので良好な接着強度が得られ、また、SAWの励振領域を中空部で完全に保護しているので樹脂の流れ込みを防止でき、且つ、小型化、低背化されたSAWフィルタを提供できる。
【0014】
【発明の効果】本発明は以上のように構成したものであって、SAWの励振領域を保護する中空部を有したSAWフィルタ素子において、フィルタ機能部上に設けた支持枠に蓋体部を貼り合わせた後に中空部の蓋体のパターン形成を行ったので容易に中空部の形成が可能であり、且つ、小型化、低背化されたSAWフィルタを提供できるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るSAWフィルタの製造方法を示す図である。
【図2】本発明に係るSAWフィルタの支持枠形成後の平面図である。
【図3】本発明に係るSAWフィルタを回路基板に実装した時の図であって、図3(a)はフリップチップボンディング実装したときの断面図、図3(b)はワイヤボンディング実装したときの断面図である。
【図4】従来のSAWフィルタの構造を示した図であって、図4(a)はワイヤボンディング構造のSAWフィルタの断面図、図4(b)はフリップチップボンディング構造のSAWフィルタの断面図、図4(c)は樹脂封止構造のSAWフィルタの断面図である。
【図5】従来のSAWフィルタの製造方法を示した図である。
【符号の説明】
1…圧電基板
2…IDT
3、23…ボンディングパッド
4…支持枠
5…透明基板
6…ポジ型レジスト
7…ネガ型感光性樹脂
8…蓋体部
9…フォトマスク
10…フィルタ機能部
11…中空部
21…SAWフィルタ素子
24…導通用部材
31…回路基板
32…端子電極
34…金属ワイヤ
35…封止樹脂
Claims (6)
- 圧電基板の主面上にフィルタ機能部を形成し、該フィルタ機能部を取り囲むように樹脂を塗布して支持枠を形成し、該支持枠の開口部に蓋体を被せることでフィルタ機能部上に中空部を設けたSAWフィルタの製造方法において、該蓋体の外形形状を前記支持枠に貼り合わせた後に成形することを特徴としたSAWフィルタの製造方法。
- 請求項1記載のSAWフィルタの製造方法において、前記蓋体は、透明基板上にレジスト、感光性樹脂の順に塗布して、該感光性樹脂と前記支持枠の開口部とを貼り合わせ、透明基板の上部からフォトマスクを介して露光し、蓋体を形成する感光性樹脂のみを硬化させることによって中空部の蓋体を形成したことを特徴とするSAWフィルタの製造方法。
- 請求項2記載のSAWフィルタの製造方法において、前記透明基板は、紫外線を透過しうる材質からなることを特徴とするSAWフィルタの製造方法。
- 請求項2記載のSAWフィルタの製造方法において、前記レジストはポジ型レジストからなることを特徴とするSAWフィルタの製造方法。
- 請求項2記載のSAWフィルタの製造方法において、前記感光性樹脂はネガ型感光性樹脂からなることを特徴とするSAWフィルタの製造方法。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載の発明にて製造したSAWフィルタにおいて、SAWフィルタ素子上のボンディングパッドと回路基板上の電極パッドとを金属バンプ及び金属ワイヤ等の導通用部材で接続し、SAWフィルタ素子と回路基板とを樹脂で被覆して固定したことを特徴としたSAWフィルタ。
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---|---|---|---|
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