JP2004135191A - 表面実装型sawデバイス、及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】配線基板上に導体バンプを介してSAWチップを搭載した構造のSAWデバイスにおいて、接着性樹脂フィルムによってSAWチップ外面の被覆と、SAWチップ裾部と配線基板上面との間での気密空間形成を行う場合に、大がかりな真空槽等の設備を用いることなく、接着性樹脂フィルムが接触する面に気体が浸入することを防止しながらも、配線基板SAWチップとの結合強度を確実にする。
【解決手段】配線基板2と、AWチップ15と、SAWチップ下面と配線基板上面との間に気密空間Sを形成するように配線基板とSAWチップとを一体化する接着性樹脂フィルム20と、を備えた表面実装型SAWデバイスにおいて、接着性樹脂フィルムは、SAWチップの下面を除いた外面全体に密着してこれを覆うと共に、その外周縁が配線基板上面に達する面積を有した平板状であり、加熱により溶融軟化してSAWチップ下面を除いた外面全体及び配線基板上面に密着固定してSAWチップ下面と配線基板上面との間に気密空間を形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】配線基板2と、AWチップ15と、SAWチップ下面と配線基板上面との間に気密空間Sを形成するように配線基板とSAWチップとを一体化する接着性樹脂フィルム20と、を備えた表面実装型SAWデバイスにおいて、接着性樹脂フィルムは、SAWチップの下面を除いた外面全体に密着してこれを覆うと共に、その外周縁が配線基板上面に達する面積を有した平板状であり、加熱により溶融軟化してSAWチップ下面を除いた外面全体及び配線基板上面に密着固定してSAWチップ下面と配線基板上面との間に気密空間を形成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、弾性表面波チップを配線基板上にバンプを用いて搭載してから弾性表面波チップを樹脂にて封止した構造の弾性表面波デバイスを製造する工程において発生する種々の不具合を解決した表面実装型弾性表面波デバイス、及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
弾性表面波デバイス(SAWデバイス)は、水晶等の圧電基板上に櫛歯状の電極指(IDT)を配置した構成を備え、例えばIDTに高周波電界を印加することによって弾性表面波を励起し、弾性表面波を圧電作用によって高周波電界に変換することによってフィルタ特性を得るものである。
ところで、SAWデバイスの占有面積の小型化を図るために、特開平2−186662号公報、WO97/02596等には、図7に示すように、SAWチップ110を構成する圧電基板111とほぼ同等の面積を備えた表面実装用の配線基板101の上面に、IDT112を形成した面を下向きにした状態のSAWチップ110を導体バンプ113によってフリップチップ実装し、更にSAWチップの下面と配線基板上面との間にSAW伝搬用の気密空間Sを確保しつつSAWチップ外面から配線基板上面にかけて液状の封止樹脂115を被覆してから硬化させた樹脂封止型SAWデバイス100が提案されている。
しかし、樹脂封止型SAWデバイス100にあっては、配線基板101上のSAWチップ110を樹脂被覆する際に、液状の封止樹脂115の一部がSAWチップ110の裾部と配線基板101との間の間隙から気密空間S内に浸透してSAWチップ下面のIDT112に付着し易くなり、その結果挿入損失を劣化させ、フィルタとして十分に機能し得なくする虞がある。特に、大面積の配線基板母材上に所定のピッチにてSAWチップを搭載した状態で、全てのSAWチップに対する樹脂被覆を行うためにはスクリーン印刷による一括処理が効率的ではあるが、この場合には比較的粘度の低い液状樹脂を使用する必要があるため、液状樹脂が気密空間内へ浸入する可能性が増大する。
このような不具合を解消するためには、例えば粘度の高い液状樹脂によってSAWチップの裾部全周にダムを形成して気密空間を確保してから、粘性の低い液状樹脂をSAWチップ外面に被覆する対策が考えられるが、この方法は工程数が増大するばかりでなく、微量の樹脂を特定部位に精度よく塗布する作業はきわめて煩雑であり、生産性低下、コストアップをもたらす原因となる。
【0003】
これに対して、特開2001−176995には、図8(a)に示すように、液状樹脂をSAWチップ外面に被覆するのではなく、配線基板母材上101Aにフェイスダウンで搭載した複数のSAWチップ110の上面に対して、一枚の大面積の変形プラスチックフィルム等の接着性樹脂フィルム120を接着してから加熱することにより、接着性樹脂フィルム120を溶融軟化させてSAWチップ外面(上面、及び側面)に密着させると共に、SAWチップの裾部全周と配線基板上面との間隙に充填させて前記気密空間Sを形成する方法が開示されている(図8(a)の点線部)。この方法によれば、液状樹脂が気密空間内に浸入してIDT112に付着する虞はなくなる。
しかし、この方法によった場合、各SAWチップ上に接着された接着性樹脂フィルム部分は隣接する他のSAWチップ上に接着された他の接着性樹脂フィルム部分と連続一体化しているため、SAWチップ間に張り出した樹脂フィルム部分が溶融軟化してSAWチップ間に垂れ下がった時に、垂れ下がり部分が変形してその形状にばらつきが発生したり、また硬化収縮時に互いに引っ張り合いが発生して変形し易くなる(図8(a)の点線部)。このため、接着性樹脂フィルム120とSAWチップ外面及び配線基板上面との接触面に空気、又は空気が置換された不活性ガスが介在し易くなり、これらの気体が浸入しないように接着性フィルムを被覆することが容易でなくなる。即ち、接着性樹脂フィルムによる密着性を高めるためには、接触面に気体が介在することを厳に回避する必要があるが、気体の浸入を防ぐためには被覆工程を真空、或いは真空に近い雰囲気中で実施するか、或いは図8(b)のように配線基板母材101Aの適所に吸引孔105を形成しておき、吸引孔105から負圧を導入して、接着性樹脂フィルム120と配線基板との間の空間を負圧に保つ必要がある。いずれの場合も、真空ポンプ、真空槽が必要となり、設備の大型化、高コスト化、工程の複雑化による生産性の低下といった問題が発生する。
【特許文献1】特開平2−186662号公報
【特許文献2】WO97/02596
【特許文献3】特開2001−176995公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、表面実装用の配線基板上の配線パターン上に導体バンプを介してSAWチップを搭載した構造のSAWデバイスにおいて、接着性樹脂フィルムによってSAWチップ外面の被覆と、SAWチップ裾部と配線基板上面との間での気密空間形成を行う場合に、真空ポンプ等の設備を用いずに接着性樹脂フィルムが接触する面に気体が浸入することを確実に防止することができる表面実装型SAWデバイス、及びその製造方法を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は次の如き手段を備える。
即ち、請求項1の表面実装型SAWデバイスは、絶縁基板、該絶縁基板の底部に設けた表面実装用の外部電極、及び該絶縁基板の上面に設けられ且つ該外部電極と導通した配線パターン、を備えた配線基板と、圧電基板、該圧電基板下面に形成されたIDT、及び前記配線パターン上に導体バンプを介してフリップチップ実装される接続パッド、を備えたSAWチップと、前記SAWチップ下面と前記配線基板上面との間に気密空間を形成するように配線基板とSAWチップとを一体化する接着性樹脂フィルムと、を備えた表面実装型SAWデバイスにおいて、前記接着性樹脂フィルムは、前記SAWチップの下面を除いた外面全体に密着してこれを覆うと共に、その外周縁が配線基板上面に達する面積を有した平板状であり、加熱により溶融軟化してSAWチップ下面を除いた外面全体及び配線基板上面に密着固定して前記SAWチップ下面と前記配線基板上面との間に気密空間を形成することを特徴とする。
配線基板上にSAWチップをフェイスダウン状態でフリップチップ実装した場合、熱可塑性樹脂等から成る極薄シート状の接着性樹脂フィルムを用いて、SAWチップ上面及び側面に密着させると共にSAWチップ下面と配線基板上面との間に気密空間を形成するように樹脂フィルムの外周縁を配線基板上面に固着することにより、SAWチップと配線基板との結合強度を高めながらも、気密空間内に樹脂が浸入してIDTに付着する不具合を防止できる。しかし、従来のように大面積の接着性樹脂フィルムを複数のSAWチップ上に跨って添設して溶融加熱すると、SAWチップ間の間隙に相当する位置にある樹脂フィルム部分が溶融軟化して自重によって垂れ下がった時に、垂れ下がり形状にばらつきが発生し、硬化収縮時に互いに引っ張り合いが発生して変形し易くなる。このため、接着性樹脂フィルムとSAWチップ外面及び配線基板上面との接触面に空気等の気体が介在し易くなる。また、接着面に介在する気体の量が多い場合には、配線基板とSAWチップとの結合強度の低下をもたらす原因ともなる。
本発明では、使用する接着性樹脂フィルムの形状を、SAWチップ個片単位で被覆可能な小面積としたので、SAWチップ間に位置する張り出し部分が溶融軟化時に同一形状で垂れ下がることが可能となり、しかも隣接する樹脂フィルムとは干渉し合わないで垂れ下がり、且つ硬化するので、互いに影響を及ぼすことがなくなり、空気等の気体を巻き込むことが無くなる。
【0006】
請求項2の発明に係る表面実装型SAWデバイスは、請求項1において、前記接着性樹脂フィルムの外面を、さらに樹脂層にて被覆したことを特徴とする。
接着性樹脂フィルムによる気密接合、及び結合強度を高めるために、更に樹脂被覆することも有効な手段である。
請求項3の発明に係る製造方法は、絶縁基板、該絶縁基板の底部に設けた表面実装用の外部電極、及び該絶縁基板の上面に設けられ且つ該外部電極と導通した配線パターン、を備えた配線基板と、圧電基板、該圧電基板下面に形成されたIDT、及び前記配線パターン上に導体バンプを介してフリップチップ実装される接続パッド、を備えたSAWチップと、前記SAWチップ下面と前記配線基板上面との間に気密空間を形成するように配線基板とSAWチップとを一体化する接着性樹脂フィルムと、を備えた表面実装型SAWデバイスの製造方法において、前記配線基板上面の配線パターン上に前記SAWチップの接続パッドを導体バンプを介して実装するフリップチップ実装工程と、前記SAWチップの下面を除いた外面全体に密着してこれを覆うと共に、外周縁が配線基板上面に達する面積を有した平板状の接着性樹脂フィルムを、SAWチップ上面に添設する添設工程と、前記接着性樹脂フィルムを加熱することにより溶融軟化させて、SAWチップ下面を除いた外面全体及び配線基板上面に密着固定させて前記SAWチップ下面と前記配線基板上面との間に気密空間を形成する加熱工程と、から成ることを特徴とする。
配線基板上にSAWチップをフリップチップ実装したSAWデバイスにおいて、SAWチップの下面に位置するIDTと配線基板との間に気密空間を確保しながらSAWチップを配線基板に強固に固定する手段として接着性樹脂フィルムを用いることは有効であるが、大面積の樹脂フィルムを複数のSAWチップに跨って添設した上で、加熱工程を実施すると、SAWチップ間の間隙内に垂れ下がる樹脂フィルム部分の形状ばらつきを回避することができない。そこで、本発明では、SAWチップ毎に被覆するに足る面積を有した接着性樹脂フィルムを用いて個片単位で添設、加熱工程を実施するようにした。この結果、溶融軟化後の樹脂フィルムの被覆形状が均一化し、気体の巻き込み、接着不良を回避することが可能となる。
【0007】
請求項4の製造方法は、絶縁基板、該絶縁基板の底部に設けた表面実装用の外部電極、及び該絶縁基板の上面に設けられ且つ該外部電極と導通した配線パターンを備えた配線基板を、複数個シート状に連結した大面積の配線基板母材を用いた、表面実装型SAWデバイスの製造方法において、下面に接続パッドとIDTを備えたSAWチップの該接続パッドを、前記配線基板上の配線パターン上に導体バンプを介して接続するフリップチップ実装工程と、前記SAWチップの下面を除いた外面全体に密着してこれを覆うと共に、外周縁が配線基板上面に達する面積を有した平板状の接着性樹脂フィルムを、各SAWチップ上面に添設する添設工程と、前記接着性樹脂フィルムを加熱することにより溶融軟化させて、SAWチップ下面を除いた外面全体及び配線基板上面に密着固定して前記SAWチップ下面と前記配線基板上面との間に気密空間を形成する加熱工程と、前記配線基板母材を、配線基板個片毎に切断する切断工程と、から成ることを特徴とする。請求項3に示した接着性樹脂フィルムによるSAWチップの被覆作業は、大面積の配線基板母材上に所定の間隔でフリップチップ実装したSAWチップに対して行ってもよい。これによれば、溶融軟化によりSAWチップ外面に被覆した樹脂フィルムの形状を均一化しながら量産することが可能となる。
請求項5の発明は、請求項3に記載の前記添設工程において、保持面に前記接着性樹脂フィルムの非接着面側を添設保持したキャリアテープを用い、該キャリアテープにより保持された接着性樹脂フィルムの接着面の中央部を前記SAWチップ上面に接着してから前記キャリアテープを接着性樹脂フィルムから剥離することを特徴とする。
接着性樹脂フィルムをSAWデバイス個片毎に被覆する場合、薄肉であるために変形、撓み易い樹脂フィルムの取り扱いは極めて煩雑である。そこで、十分な保形性を有したキャリアテープに樹脂フィルムを保持させておくことにより、樹脂フィルムをSAWチップ上に添設する作業が容易化し、添設位置不良等が発生することが無くなる。
【0008】
請求項6の発明は、請求項4に記載の前記添設工程において、保持面に複数の前記接着性樹脂フィルムの非接着面側を添設保持したキャリアテープを用い、該キャリアテープにより保持された各接着性樹脂フィルムの接着面の中央部を前記各SAWチップ上面に接着してから前記キャリアテープを各接着性樹脂フィルムから一括剥離することを特徴とする。
配線基板母材上に実装された複数のSAWチップに対して小面積の樹脂フィルムを添設する作業を個片単位で行うとした場合には生産性が悪化する虞がある。そこで、大面積のキャリアテープに予め所定の配置で樹脂フィルムを保持しておき、このキャリアテープを用いて複数のSAWチップ上に各樹脂フィルムを一括して添設することにより、添設工程を簡略化、正確化することが可能となる。
請求項7の発明は、絶縁基板、該絶縁基板の底部に設けた表面実装用の外部電極、及び該絶縁基板の上面に設けられ且つ該外部電極と導通した配線パターンを備えた配線基板を、複数個シート状に連結した大面積の配線基板母材を用いた、表面実装型SAWデバイスの製造方法において、下面に接続パッドとIDTを備えたSAWチップの該接続パッドを、前記各配線基板上の配線パターン上に導体バンプを介して接続するフリップチップ実装工程と、前記複数のSAWチップに跨ってそれらの上面を覆うと共に、全てのSAWチップの側面から配線基板上面に達する面積を有し、且つ複数の通気穴を備えた平板状の接着性樹脂フィルムを、各SAWチップ上面に添設する添設工程と、前記接着性樹脂フィルムを加熱することにより溶融軟化させる過程で前記通気穴から気体を排気すると共に全ての通気穴を閉止し、且つSAWチップ下面を除いた外面全体及び配線基板上面に密着固定して前記SAWチップ下面と前記配線基板上面との間に気密空間を形成する加熱工程と、前記配線基板母材を、配線基板個片毎に切断する切断工程と、から成ることを特徴とする。
複数のSAWチップを一括して被覆する従来タイプの大面積の接着性樹脂フィルムを用いてSAWチップへの添設、加熱工程を実施した場合には、隣接するSAWチップ間の間隙に垂れ下がる樹脂フィルム部分の形状にばらつきが発生したり、樹脂フィルム間での引張りによって、気体の巻き込み、固着不良等が発生する余地があったが、樹脂フィルムを変形させやすくするための通気穴を多数貫通形成しておくことにより、垂れ下がり部の形状が安定化し、しかも通気穴からの排気作用によって気体の巻き込みを解消できる。更に、加熱後の硬化時には、通気穴は閉止状態となる。
【0009】
請求項8の発明は、請求項7において、前記通気穴の直径は、1mm以下であることを特徴とする。
通気穴の最大直径を1mm程度とすることにより、排気機能と加熱後の通気穴閉止機能を併有させることが可能となる。
請求項9の発明は、請求項7又は8において、前記接着性樹脂フィルムの単位面積内に含まれる前記通気穴の合計開口面積Aと、単位面積内における非通気穴部分の面積Bとの比(B/(A+B))を、B/(A+B)≧0.5としたことを特徴とする。
このように合計開口面積と非通気穴部分の面積比を設定することにより、排気機能と加熱後の通気穴閉止機能を両立させることが更に確実となる。
請求項10の発明は、請求項3、4、5、6、7、又は8に記載の前記加熱工程によって前記SAWチップ下面を除いた外面全体及び配線基板上面に密着固定された前記接着性樹脂フィルムの外面を、さらに樹脂層にて被覆する樹脂被覆工程を備えたことを特徴とする表面実装型SAWデバイスの製造方法。
接着性樹脂フィルムによる気密接合、及び結合強度を高めるために、更に樹脂被覆することは有効な手段である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
図1(a)及び(b)は本発明の一実施形態に係る表面実装型弾性表面波デバイス(以下、SAWデバイス、という)の外観斜視図、及びその縦断面図である。
このSAWデバイス1は、絶縁基板3、絶縁基板3の底部に設けた表面実装用の外部電極4、及び、絶縁基板3の上面に設けられ且つ内部導体6を介して外部電極4と導通した配線パターン5、から成る配線基板2と、配線パターン5と導体バンプ10を介して電気的機械的に接続される接続パッド16、及びIDT17を夫々圧電基板18の下面に備えたSAWチップ15と、SAWチップ15の下面を除いた外面(上面、及び側面)に内面側の接着面にて密着すると共に、その外周縁部20bを配線基板1上に密着固定させた接着性樹脂フィルム20と、を備えている。
SAWチップを構成するIDT17は、図示しない給電側のリード端子から高周波電界を印加されることによって弾性表面波を励起し、弾性表面波を圧電作用によって高周波電界に変換することによってフィルタ特性を得ることができる。接着性樹脂フィルム20は、例えば約100μm程度の厚さの変形プラスチックフィルム(例えば、エポキシ系フィルム)等の熱可塑性絶縁樹脂フィルムであり、片面にのみ接着剤が塗布されている。この接着性樹脂フィルム20は、SAWチップ15の下面と配線基板2の上面との間に、樹脂が充填されていないSAW伝搬用の気密空間Sが確保されるように、その外周縁20bを配線基板2の上面に密着固定される。この例では、SAWチップの平面形状が矩形であるため、それに対応して接着性樹脂フィルム20の形状も矩形となっている。
この実施形態に係るSAWデバイス1によれば、一つのSAWデバイスに対して一枚の接着性樹脂フィルム20を用い、しかもこの接着性樹脂フィルム20は、SAWチップ15の下面18cを除いた外面全体(上面18a、側面18b)に密着してこれを覆うと共に、その外周縁20bが配線基板2の上面に達する面積を有した平板状である。更に、この接着性樹脂フィルム20は、加熱により溶融軟化してSAWチップ下面を除いた外面全体及び配線基板上面に密着固定してSAWチップ下面と配線基板上面との間に気密空間Sを形成すると同時に、配線基板上とSAWチップ15との固定を強固にする補強機能を発揮する。
このため、従来のように大面積の配線基板母材上に隣接配置した複数のSAWチップ全体を覆う大面積の接着性樹脂フィルムを用いて加熱を行い、溶融軟化した接着性樹脂フィルムによって個々のSAWチップ外面を一括被覆させる場合に発生しやすかったSAWチップ間に位置する樹脂フィルム形状のばらつきと、それに起因した接着面への気体の浸入という不具合を解決することができる。
【0011】
次に、図2は本発明のSAWデバイスの変形例の断面図であり、このSAWデバイス1は、接着性樹脂フィルム20の外表面に更に絶縁樹脂膜21を被覆形成した構成を備えている。絶縁樹脂膜21は、スクリーン印刷、ディスペンサを用いた充填等によって形成され、気密性、及び配線基板に対するSAWチップの固定力を補強する上で有効である。
【0012】
次に、図3は本発明のSAWデバイスの製造手順を示す図である。
尚、この例では複数の配線基板個片2をシート状に連結一体化した配線基板母材25を用いたバッチ処理によるSAWデバイスの生産方法を例示するが、この製造工程は独立した配線基板個片に対して個別に加工を加えてSAWデバイスを単品生産する方法にも適用できる。
まず、図3(a)に示した如く、絶縁基板3の下面に外部電極4を有すると共に上面に配線パターン5を備えた配線基板個片2を複数個、シート状に連結した大面積の配線基板母材25を用意し、各個片領域に対して、下面18cに接続パッド16とIDT17を備えたSAWチップ15の接続パッド16を、配線パターン5上に導体バンプ10を介して電気的機械的に接続する(フリップチップボンディング)。導体バンプ10は、予め接続パッド16側に形成しておいてもよいし、配線パターン5上に形成してもよい。導体バンプ10は、例えば金属ボール、或いはボール状の樹脂の外面に導体を被覆したものを使用する。
次いで、図3(b)の添設工程では、各SAWチップ15の下面18cを除いた外面全体に密着してこれを覆うと共に、外周縁20bが配線基板2上面に達する面積を有した平板状の接着性樹脂フィルム20の接着面を、各SAWチップ上面18aに個別に添設(接着)する。なお、添設時に、接着性樹脂フィルム20の接着面がSAWチップ15の上面18aに確実に接着するように図4(a)(b)に示した如き加圧手段22によって加圧するようにしてもよい。或いは、図4(b)のように、SAWチップ15の上面のみならず、樹脂フィルムの張り出し部分20aがチップの側面18b側に確実に垂れ下がるように押さえ込む突起22aを加圧手段22に設けるようにしてもよい。
また、SAWチップ15間の間隔は、隣接し合うSAWチップ上に添設された接着性樹脂フィルム20の外周縁20b同士が干渉し合わない程度の近接した間隔に設定することができ、図8(a)に示した従来例におけるSAWチップ間隔と同等に設定することができる。
【0013】
次いで、図3(c)の加熱工程では、接着性樹脂フィルム20を図示しない加熱手段によって溶融温度以上に加熱することにより溶融軟化させて、SAWチップ上面18aと接する部分を除いた張り出し部分20aを自重によって垂れ下げ変形させ、SAWチップ下面18cを除いた外面全体及び配線基板上面に密着固定させてSAWチップ下面と配線基板上面との間に気密空間Sを形成する。即ち、接着性樹脂フィルム20の接着面のうちSAWチップ上面18aと接している部分を除き、SAWチップ15上面から側方に張り出している部分20aは加熱によって垂れ下がり、SAWチップ側面18bに密着すると同時に、外周縁部20bは配線基板上面に密着し、硬化時に固定された状態となる。
各接着性樹脂フィルム20は隣接する他の樹脂フィルムから独立しており、各樹脂フィルムは均一に加熱することによって同一の挙動により(c)の状態となる。この際、隣接する樹脂フィルムからの応力の影響を受けて引っ張られることがないため、空気、ガス等が接着面に入り込む余地が無くなり、密着面を得ることができる。
なお、加熱工程においても、図4(a)(b)に示すごとき加圧手段(加圧用型)22によって、各接着性樹脂フィルム20を各SAWチップ外面(上面、及び側面)に加圧しながら加熱することにより、密着性を高めるようにしてもよい。
気密空間Sを真空化したい場合には、真空槽内にて上記加熱工程を実施するが、この場合の加熱方法はホットプレート等による配線基板側からの加熱、或いは輻射熱を利用した加熱による。
最後に、ダイシング等にて配線基板個片間の境界線に沿って切断することにより、SAWデバイス個片1を得ることとなる。
【0014】
この製造方法によれば、接着性樹脂フィルム20の張り出し部20aの突出長が配線基板上面に達する程度の長さであるため、接着性樹脂フィルム20の全体面積を必要最小限に極限することができ、樹脂フィルムの軟化時に気体を巻き込むことなく、SAWチップ側面及び配線基板上面に接着することが可能となる。また、封止時に気密空間内を真空置換する場合には、配線基板等に貫通孔を形成することなく、簡単な真空槽内に配置して置換作業を行えばよく、設備費を低く抑えることができる。即ち、前述の如く、真空槽内において加熱工程を実施する際に、配線基板側からのホットプレート等による加熱、或いは輻射熱を利用した加熱によって接着性樹脂フィルムを加熱して軟化させることにより、気密空間を形成すると同時に、気密空間を真空にすることができる。
【0015】
次に、上記添設工程において、各SAWチップ15上に接着性樹脂フィルムを添設する作業を効率化するためには、複数のSAWチップ上に一括して接着性樹脂フィルムを添設することが有効である。
即ち、図5は、添設工程を効率化するために使用するキャリアテープの構成及び添設手順を示す図である。
このキャリアテープ30は、接着性樹脂フィルムを支持するに足る十分な強度を備えた樹脂等から成る大面積のテープであり、その一面(保持面)には、接着性樹脂フィルム20の非接着面を接着面の接着力よりも弱い接着力にて保持し得る接着剤が塗布されている。この保持面上に複数の接着性樹脂フィルム20を予め所定の配置(配線基板母材25上のSAWチップ15と同配置)にて保持しておき、添設時には、キャリアテープ30により保持された接着性樹脂フィルム20の接着面の中央部をSAWチップ上面18aに接着してからキャリアテープを各接着性樹脂フィルムから一括剥離する。これにより、キャリアテープ30により保持された複数の接着性樹脂フィルムが一括して対応する全てのSAWチップ上面に転写され、個片ごとに接着性樹脂フィルム20を接着する手間が省ける。なお、SAWチップ個片毎に接着性樹脂フィルム20を添設する場合にも、一枚ずつ接着性樹脂フィルム20を保持した所要の小面積のキャリアテープを使用すれば、添設作業が効率化する。
次に、図2に示したごとき絶縁樹脂膜21を、接着性樹脂フィルム20の外面に被覆形成する場合には、図3(c)に示した加熱工程の後に、接着性樹脂フィルム20の外面をさらに樹脂層21にて被覆する樹脂被覆工程を追加すればよい。
【0016】
次に、図6(a)(b)及び(c)は本発明の他の実施形態に係る接着性樹脂フィルムの平面図、及びSAWデバイスのバッチ処理による製造工程を示す図である。
本実施形態に係る接着性樹脂フィルムを用いて製造されるSAWデバイスの構造は、図1に示したものと同等である。
本発明による製造方法の特徴的な構成は、大面積の配線基板母材25を用いた表面実装型SAWデバイスの製造方法において、複数のSAWチップ15に跨って被覆される大面積の接着性樹脂フィルム20を用いると共に、接着性樹脂フィルム20に多数の円形の通気穴23を等間隔、或いはランダムな配置にて貫通形成した点にある。
即ち、本製造方法は、下面に接続パッド16とIDT17を備えたSAWチップ15の該接続パッド16を、各配線基板2上の配線パターン5上に導体バンプ10を介して接続するフリップチップ実装工程と、複数のSAWチップ15に跨ってそれらの上面を覆うと共に、全てのSAWチップの側面から配線基板上面に達する面積を有し、且つ複数の通気穴23を備えた平板状の接着性樹脂フィルム20を、各SAWチップ上面に添設する添設工程と、接着性樹脂フィルム20を加熱することにより溶融軟化させる過程で通気穴23から気体を排気すると共に全ての通気穴23を閉止し、且つSAWチップ15下面を除いた外面全体及び配線基板上面に密着固定してSAWチップ下面と配線基板上面との間に気密空間Sを形成する加熱工程と、前記各工程を経た配線基板母材25を配線基板個片毎に切断する切断工程と、から成る。
【0017】
加熱工程において、接着性樹脂フィルム20の内側に位置する気体を円形の通気穴23から排気させる機能と、排気完了後に全ての通気穴23を閉止する機能の良否は、加熱温度、樹脂フィルムの肉厚、通気穴の開口面積比、及び個々の通気穴の開口面積等によって決定される。
例えば、円形の通気穴23の直径は、例えば1mm以下とすることにより、樹脂フィルムが溶融して冷却するまでの間に通気穴23が確実に埋められて閉止された状態となる。しかも、通気穴23の直径を1mmの範囲で適切に調整することにより、加熱によって通気穴23が塞がれる前に、内部の気体を確実に外部へ押し出すことが可能となる。
また、接着性樹脂フィルム20の単位面積内に含まれる通気穴23の合計開口面積をAとし、単位面積内における非通気穴部分の面積をBとした場合の両者の比(B/(A+B))を、B/(A+B)≧0.5とすることにより、加熱によって通気穴が塞がれる前における気体の排出と、気体排出完了後の通気穴の閉止を安定して行うことが可能となる。例えば、非通気穴部分の面積Bが過小であって通気穴32の合計開口面積Aが過大な場合には、通気穴の閉止が確実に行われないか、或いは通気穴を閉止した後の当該部分の肉厚が薄くなって十分な被覆を実現できなくなる一方で、非通気穴部分の面積Bが過大な場合には排気が十分に行われないうちに通気穴の閉止が行われるため、通気穴の合計開口面積Aと非通気穴部分の面積Bとの比を上記の範囲内となるように設定することが好ましい。更に、通気穴23と非通気穴部分との面積に関する上記比率は、同時に、SAWチップ間に位置する樹脂フィルムの張り出し部分20Bが加熱工程中に溶融軟化することにより自重によって確実にSAWチップ間の間隙内に垂れ下がって落ち込み、SAWチップ間に露出した配線基板上面部分に接触することを保証する比率であることが必要である。つまり、通気穴23を形成することによって、加熱による軟化時に樹脂フィルムの張り出し部分20Bの変形が容易化するため、SAWチップ間の間隙内への落ち込みが確実となり、張り出し部分20Bを均一形状にSAWチップの側面と配線基板上面に夫々密着させることが可能となる。
【0018】
なお、通気穴23の形状は、円形である必要はなく、楕円形、長円形、小判形、多角形、長方形等、スリット形状、排気機能と、加熱冷却後の閉止機能を有した形状であれば円形に限定されない。また、上記機能を実現できるのであれば、単なる切り込みであってもよい。
また、SAWチップの上面18aと接する樹脂フィルム部分の通気穴と、SAWチップ間に位置する樹脂フィルム部分の通気穴の開口径、合計開口面積を異ならせるようにしてもよい。
【0019】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、表面実装用の配線基板上の配線パターン上に導体バンプを介してSAWチップを搭載した構造のSAWデバイスにおいて、接着性樹脂フィルムによってSAWチップ外面の被覆と、SAWチップ裾部と配線基板上面との間での気密空間形成を行う場合に、大がかりな真空槽等の設備を用いることなく、接着性樹脂フィルムが接触する面に気体が浸入することを防止しながらも、配線基板SAWチップとの結合強度を確実にすることができる。
即ち、請求項1の表面実装型SAWデバイスにおいては、接着性樹脂フィルムは、SAWチップの下面を除いた外面全体に密着してこれを覆うと共に、その外周縁が配線基板上面に達する面積を有した平板状であり、加熱により溶融軟化してSAWチップ下面を除いた外面全体及び配線基板上面に密着固定して前記SAWチップ下面と前記配線基板上面との間に気密空間を形成する。つまり、本発明では、使用する接着性樹脂フィルムの形状を、SAWチップ個片単位で被覆可能な小面積としたので、SAWチップ間に位置する張り出し部分が溶融軟化時に同一形状で垂れ下がることが可能となり、しかも隣接する樹脂フィルムとは干渉し合わないで垂れ下がり、且つ硬化するので、互いに影響を及ぼすことがなくなり、空気等の気体を巻き込むことが無くなる。
請求項2の発明に係る表面実装型SAWデバイスは、接着性樹脂フィルムの外面を、さらに樹脂層にて被覆したので、接着性樹脂フィルムによる気密接合、及び結合強度を高めることができる。
【0020】
請求項3の発明に係る製造方法では、SAWチップ毎に被覆するに足る面積を有した接着性樹脂フィルムを用いて個片単位で添設、加熱工程を実施するようにした。この結果、溶融軟化後の樹脂フィルムの被覆形状が均一化し、気体の巻き込み、接着不良を回避することが可能となる。
請求項4の製造方法では、接着性樹脂フィルムによるSAWチップの被覆作業を、大面積の配線基板母材上に所定の間隔でフリップチップ実装したSAWチップに対して行うので、溶融軟化によりSAWチップ外面に被覆した樹脂フィルムの形状を均一化しながら量産することが可能となる。
請求項5の発明では、十分な保形性を有したキャリアテープに樹脂フィルムを保持させておくことにより、樹脂フィルムをSAWチップ上に添設する作業が容易化し、添設位置不良等が発生することが無くなる。
請求項6の発明では、大面積のキャリアテープに予め所定の配置で樹脂フィルムを保持しておき、このキャリアテープを用いて複数のSAWチップ上に各樹脂フィルムを一括して添設することにより、添設工程を簡略化、正確化することが可能となる。
請求項7の発明では、樹脂フィルムを変形させやすくするための通気穴を多数貫通形成しておくことにより、垂れ下がり部の形状が安定化し、しかも通気穴からの排気作用によって気体の巻き込みを解消できる。更に、加熱後の硬化時には、通気穴は閉止状態となる。
請求項8の発明では、通気穴の最大直径を1mm程度とすることにより、排気機能と加熱後の通気穴閉止機能を併有させることが可能となる。
請求項9の発明では、合計開口面積と非通気穴部分の面積比を所定に設定することにより、排気機能と加熱後の通気穴閉止機能を両立させることが更に確実となる。
請求項10の発明では、樹脂被覆することにより、更に接着性樹脂フィルムによる気密接合、及び結合強度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)及び(b)は本発明の一実施形態に係る表面実装型弾性表面波デバイスの外観斜視図、及びその縦断面図。
【図2】本発明のSAWデバイスの変形例の構成を示す断面図。
【図3】(a)(b)及び(c)は本発明のSAWデバイスの製造手順を示す図。
【図4】(a)及び(b)は加圧手段の構成例を示す図。
【図5】本発明の他の実施形態に係る製造手順を示す図。
【図6】(a)(b)及び(c)は本発明の他の実施形態に係る接着性樹脂フィルムの平面図、及び製造手順の説明図。
【図7】従来例のSAWデバイスの構成図。
【図8】(a)及び(b)は従来例のSAWデバイスの製造手順を説明する図。
【符号の説明】
1 SAWデバイス、2 配線基板、3 絶縁基板、4 外部電極、5 配線パターン、6 内部導体、10 導体バンプ、15 SAWチップ、16 接続パッド、17 IDT、18 圧電基板、18a 上面、18b 側面、18c下面、20 接着性樹脂フィルム、20a 張り出し部分、20b 外周縁部、22 加圧手段、23 通気穴、S 気密空間、30 キャリアテープ
【発明の属する技術分野】
本発明は、弾性表面波チップを配線基板上にバンプを用いて搭載してから弾性表面波チップを樹脂にて封止した構造の弾性表面波デバイスを製造する工程において発生する種々の不具合を解決した表面実装型弾性表面波デバイス、及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
弾性表面波デバイス(SAWデバイス)は、水晶等の圧電基板上に櫛歯状の電極指(IDT)を配置した構成を備え、例えばIDTに高周波電界を印加することによって弾性表面波を励起し、弾性表面波を圧電作用によって高周波電界に変換することによってフィルタ特性を得るものである。
ところで、SAWデバイスの占有面積の小型化を図るために、特開平2−186662号公報、WO97/02596等には、図7に示すように、SAWチップ110を構成する圧電基板111とほぼ同等の面積を備えた表面実装用の配線基板101の上面に、IDT112を形成した面を下向きにした状態のSAWチップ110を導体バンプ113によってフリップチップ実装し、更にSAWチップの下面と配線基板上面との間にSAW伝搬用の気密空間Sを確保しつつSAWチップ外面から配線基板上面にかけて液状の封止樹脂115を被覆してから硬化させた樹脂封止型SAWデバイス100が提案されている。
しかし、樹脂封止型SAWデバイス100にあっては、配線基板101上のSAWチップ110を樹脂被覆する際に、液状の封止樹脂115の一部がSAWチップ110の裾部と配線基板101との間の間隙から気密空間S内に浸透してSAWチップ下面のIDT112に付着し易くなり、その結果挿入損失を劣化させ、フィルタとして十分に機能し得なくする虞がある。特に、大面積の配線基板母材上に所定のピッチにてSAWチップを搭載した状態で、全てのSAWチップに対する樹脂被覆を行うためにはスクリーン印刷による一括処理が効率的ではあるが、この場合には比較的粘度の低い液状樹脂を使用する必要があるため、液状樹脂が気密空間内へ浸入する可能性が増大する。
このような不具合を解消するためには、例えば粘度の高い液状樹脂によってSAWチップの裾部全周にダムを形成して気密空間を確保してから、粘性の低い液状樹脂をSAWチップ外面に被覆する対策が考えられるが、この方法は工程数が増大するばかりでなく、微量の樹脂を特定部位に精度よく塗布する作業はきわめて煩雑であり、生産性低下、コストアップをもたらす原因となる。
【0003】
これに対して、特開2001−176995には、図8(a)に示すように、液状樹脂をSAWチップ外面に被覆するのではなく、配線基板母材上101Aにフェイスダウンで搭載した複数のSAWチップ110の上面に対して、一枚の大面積の変形プラスチックフィルム等の接着性樹脂フィルム120を接着してから加熱することにより、接着性樹脂フィルム120を溶融軟化させてSAWチップ外面(上面、及び側面)に密着させると共に、SAWチップの裾部全周と配線基板上面との間隙に充填させて前記気密空間Sを形成する方法が開示されている(図8(a)の点線部)。この方法によれば、液状樹脂が気密空間内に浸入してIDT112に付着する虞はなくなる。
しかし、この方法によった場合、各SAWチップ上に接着された接着性樹脂フィルム部分は隣接する他のSAWチップ上に接着された他の接着性樹脂フィルム部分と連続一体化しているため、SAWチップ間に張り出した樹脂フィルム部分が溶融軟化してSAWチップ間に垂れ下がった時に、垂れ下がり部分が変形してその形状にばらつきが発生したり、また硬化収縮時に互いに引っ張り合いが発生して変形し易くなる(図8(a)の点線部)。このため、接着性樹脂フィルム120とSAWチップ外面及び配線基板上面との接触面に空気、又は空気が置換された不活性ガスが介在し易くなり、これらの気体が浸入しないように接着性フィルムを被覆することが容易でなくなる。即ち、接着性樹脂フィルムによる密着性を高めるためには、接触面に気体が介在することを厳に回避する必要があるが、気体の浸入を防ぐためには被覆工程を真空、或いは真空に近い雰囲気中で実施するか、或いは図8(b)のように配線基板母材101Aの適所に吸引孔105を形成しておき、吸引孔105から負圧を導入して、接着性樹脂フィルム120と配線基板との間の空間を負圧に保つ必要がある。いずれの場合も、真空ポンプ、真空槽が必要となり、設備の大型化、高コスト化、工程の複雑化による生産性の低下といった問題が発生する。
【特許文献1】特開平2−186662号公報
【特許文献2】WO97/02596
【特許文献3】特開2001−176995公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、表面実装用の配線基板上の配線パターン上に導体バンプを介してSAWチップを搭載した構造のSAWデバイスにおいて、接着性樹脂フィルムによってSAWチップ外面の被覆と、SAWチップ裾部と配線基板上面との間での気密空間形成を行う場合に、真空ポンプ等の設備を用いずに接着性樹脂フィルムが接触する面に気体が浸入することを確実に防止することができる表面実装型SAWデバイス、及びその製造方法を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は次の如き手段を備える。
即ち、請求項1の表面実装型SAWデバイスは、絶縁基板、該絶縁基板の底部に設けた表面実装用の外部電極、及び該絶縁基板の上面に設けられ且つ該外部電極と導通した配線パターン、を備えた配線基板と、圧電基板、該圧電基板下面に形成されたIDT、及び前記配線パターン上に導体バンプを介してフリップチップ実装される接続パッド、を備えたSAWチップと、前記SAWチップ下面と前記配線基板上面との間に気密空間を形成するように配線基板とSAWチップとを一体化する接着性樹脂フィルムと、を備えた表面実装型SAWデバイスにおいて、前記接着性樹脂フィルムは、前記SAWチップの下面を除いた外面全体に密着してこれを覆うと共に、その外周縁が配線基板上面に達する面積を有した平板状であり、加熱により溶融軟化してSAWチップ下面を除いた外面全体及び配線基板上面に密着固定して前記SAWチップ下面と前記配線基板上面との間に気密空間を形成することを特徴とする。
配線基板上にSAWチップをフェイスダウン状態でフリップチップ実装した場合、熱可塑性樹脂等から成る極薄シート状の接着性樹脂フィルムを用いて、SAWチップ上面及び側面に密着させると共にSAWチップ下面と配線基板上面との間に気密空間を形成するように樹脂フィルムの外周縁を配線基板上面に固着することにより、SAWチップと配線基板との結合強度を高めながらも、気密空間内に樹脂が浸入してIDTに付着する不具合を防止できる。しかし、従来のように大面積の接着性樹脂フィルムを複数のSAWチップ上に跨って添設して溶融加熱すると、SAWチップ間の間隙に相当する位置にある樹脂フィルム部分が溶融軟化して自重によって垂れ下がった時に、垂れ下がり形状にばらつきが発生し、硬化収縮時に互いに引っ張り合いが発生して変形し易くなる。このため、接着性樹脂フィルムとSAWチップ外面及び配線基板上面との接触面に空気等の気体が介在し易くなる。また、接着面に介在する気体の量が多い場合には、配線基板とSAWチップとの結合強度の低下をもたらす原因ともなる。
本発明では、使用する接着性樹脂フィルムの形状を、SAWチップ個片単位で被覆可能な小面積としたので、SAWチップ間に位置する張り出し部分が溶融軟化時に同一形状で垂れ下がることが可能となり、しかも隣接する樹脂フィルムとは干渉し合わないで垂れ下がり、且つ硬化するので、互いに影響を及ぼすことがなくなり、空気等の気体を巻き込むことが無くなる。
【0006】
請求項2の発明に係る表面実装型SAWデバイスは、請求項1において、前記接着性樹脂フィルムの外面を、さらに樹脂層にて被覆したことを特徴とする。
接着性樹脂フィルムによる気密接合、及び結合強度を高めるために、更に樹脂被覆することも有効な手段である。
請求項3の発明に係る製造方法は、絶縁基板、該絶縁基板の底部に設けた表面実装用の外部電極、及び該絶縁基板の上面に設けられ且つ該外部電極と導通した配線パターン、を備えた配線基板と、圧電基板、該圧電基板下面に形成されたIDT、及び前記配線パターン上に導体バンプを介してフリップチップ実装される接続パッド、を備えたSAWチップと、前記SAWチップ下面と前記配線基板上面との間に気密空間を形成するように配線基板とSAWチップとを一体化する接着性樹脂フィルムと、を備えた表面実装型SAWデバイスの製造方法において、前記配線基板上面の配線パターン上に前記SAWチップの接続パッドを導体バンプを介して実装するフリップチップ実装工程と、前記SAWチップの下面を除いた外面全体に密着してこれを覆うと共に、外周縁が配線基板上面に達する面積を有した平板状の接着性樹脂フィルムを、SAWチップ上面に添設する添設工程と、前記接着性樹脂フィルムを加熱することにより溶融軟化させて、SAWチップ下面を除いた外面全体及び配線基板上面に密着固定させて前記SAWチップ下面と前記配線基板上面との間に気密空間を形成する加熱工程と、から成ることを特徴とする。
配線基板上にSAWチップをフリップチップ実装したSAWデバイスにおいて、SAWチップの下面に位置するIDTと配線基板との間に気密空間を確保しながらSAWチップを配線基板に強固に固定する手段として接着性樹脂フィルムを用いることは有効であるが、大面積の樹脂フィルムを複数のSAWチップに跨って添設した上で、加熱工程を実施すると、SAWチップ間の間隙内に垂れ下がる樹脂フィルム部分の形状ばらつきを回避することができない。そこで、本発明では、SAWチップ毎に被覆するに足る面積を有した接着性樹脂フィルムを用いて個片単位で添設、加熱工程を実施するようにした。この結果、溶融軟化後の樹脂フィルムの被覆形状が均一化し、気体の巻き込み、接着不良を回避することが可能となる。
【0007】
請求項4の製造方法は、絶縁基板、該絶縁基板の底部に設けた表面実装用の外部電極、及び該絶縁基板の上面に設けられ且つ該外部電極と導通した配線パターンを備えた配線基板を、複数個シート状に連結した大面積の配線基板母材を用いた、表面実装型SAWデバイスの製造方法において、下面に接続パッドとIDTを備えたSAWチップの該接続パッドを、前記配線基板上の配線パターン上に導体バンプを介して接続するフリップチップ実装工程と、前記SAWチップの下面を除いた外面全体に密着してこれを覆うと共に、外周縁が配線基板上面に達する面積を有した平板状の接着性樹脂フィルムを、各SAWチップ上面に添設する添設工程と、前記接着性樹脂フィルムを加熱することにより溶融軟化させて、SAWチップ下面を除いた外面全体及び配線基板上面に密着固定して前記SAWチップ下面と前記配線基板上面との間に気密空間を形成する加熱工程と、前記配線基板母材を、配線基板個片毎に切断する切断工程と、から成ることを特徴とする。請求項3に示した接着性樹脂フィルムによるSAWチップの被覆作業は、大面積の配線基板母材上に所定の間隔でフリップチップ実装したSAWチップに対して行ってもよい。これによれば、溶融軟化によりSAWチップ外面に被覆した樹脂フィルムの形状を均一化しながら量産することが可能となる。
請求項5の発明は、請求項3に記載の前記添設工程において、保持面に前記接着性樹脂フィルムの非接着面側を添設保持したキャリアテープを用い、該キャリアテープにより保持された接着性樹脂フィルムの接着面の中央部を前記SAWチップ上面に接着してから前記キャリアテープを接着性樹脂フィルムから剥離することを特徴とする。
接着性樹脂フィルムをSAWデバイス個片毎に被覆する場合、薄肉であるために変形、撓み易い樹脂フィルムの取り扱いは極めて煩雑である。そこで、十分な保形性を有したキャリアテープに樹脂フィルムを保持させておくことにより、樹脂フィルムをSAWチップ上に添設する作業が容易化し、添設位置不良等が発生することが無くなる。
【0008】
請求項6の発明は、請求項4に記載の前記添設工程において、保持面に複数の前記接着性樹脂フィルムの非接着面側を添設保持したキャリアテープを用い、該キャリアテープにより保持された各接着性樹脂フィルムの接着面の中央部を前記各SAWチップ上面に接着してから前記キャリアテープを各接着性樹脂フィルムから一括剥離することを特徴とする。
配線基板母材上に実装された複数のSAWチップに対して小面積の樹脂フィルムを添設する作業を個片単位で行うとした場合には生産性が悪化する虞がある。そこで、大面積のキャリアテープに予め所定の配置で樹脂フィルムを保持しておき、このキャリアテープを用いて複数のSAWチップ上に各樹脂フィルムを一括して添設することにより、添設工程を簡略化、正確化することが可能となる。
請求項7の発明は、絶縁基板、該絶縁基板の底部に設けた表面実装用の外部電極、及び該絶縁基板の上面に設けられ且つ該外部電極と導通した配線パターンを備えた配線基板を、複数個シート状に連結した大面積の配線基板母材を用いた、表面実装型SAWデバイスの製造方法において、下面に接続パッドとIDTを備えたSAWチップの該接続パッドを、前記各配線基板上の配線パターン上に導体バンプを介して接続するフリップチップ実装工程と、前記複数のSAWチップに跨ってそれらの上面を覆うと共に、全てのSAWチップの側面から配線基板上面に達する面積を有し、且つ複数の通気穴を備えた平板状の接着性樹脂フィルムを、各SAWチップ上面に添設する添設工程と、前記接着性樹脂フィルムを加熱することにより溶融軟化させる過程で前記通気穴から気体を排気すると共に全ての通気穴を閉止し、且つSAWチップ下面を除いた外面全体及び配線基板上面に密着固定して前記SAWチップ下面と前記配線基板上面との間に気密空間を形成する加熱工程と、前記配線基板母材を、配線基板個片毎に切断する切断工程と、から成ることを特徴とする。
複数のSAWチップを一括して被覆する従来タイプの大面積の接着性樹脂フィルムを用いてSAWチップへの添設、加熱工程を実施した場合には、隣接するSAWチップ間の間隙に垂れ下がる樹脂フィルム部分の形状にばらつきが発生したり、樹脂フィルム間での引張りによって、気体の巻き込み、固着不良等が発生する余地があったが、樹脂フィルムを変形させやすくするための通気穴を多数貫通形成しておくことにより、垂れ下がり部の形状が安定化し、しかも通気穴からの排気作用によって気体の巻き込みを解消できる。更に、加熱後の硬化時には、通気穴は閉止状態となる。
【0009】
請求項8の発明は、請求項7において、前記通気穴の直径は、1mm以下であることを特徴とする。
通気穴の最大直径を1mm程度とすることにより、排気機能と加熱後の通気穴閉止機能を併有させることが可能となる。
請求項9の発明は、請求項7又は8において、前記接着性樹脂フィルムの単位面積内に含まれる前記通気穴の合計開口面積Aと、単位面積内における非通気穴部分の面積Bとの比(B/(A+B))を、B/(A+B)≧0.5としたことを特徴とする。
このように合計開口面積と非通気穴部分の面積比を設定することにより、排気機能と加熱後の通気穴閉止機能を両立させることが更に確実となる。
請求項10の発明は、請求項3、4、5、6、7、又は8に記載の前記加熱工程によって前記SAWチップ下面を除いた外面全体及び配線基板上面に密着固定された前記接着性樹脂フィルムの外面を、さらに樹脂層にて被覆する樹脂被覆工程を備えたことを特徴とする表面実装型SAWデバイスの製造方法。
接着性樹脂フィルムによる気密接合、及び結合強度を高めるために、更に樹脂被覆することは有効な手段である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
図1(a)及び(b)は本発明の一実施形態に係る表面実装型弾性表面波デバイス(以下、SAWデバイス、という)の外観斜視図、及びその縦断面図である。
このSAWデバイス1は、絶縁基板3、絶縁基板3の底部に設けた表面実装用の外部電極4、及び、絶縁基板3の上面に設けられ且つ内部導体6を介して外部電極4と導通した配線パターン5、から成る配線基板2と、配線パターン5と導体バンプ10を介して電気的機械的に接続される接続パッド16、及びIDT17を夫々圧電基板18の下面に備えたSAWチップ15と、SAWチップ15の下面を除いた外面(上面、及び側面)に内面側の接着面にて密着すると共に、その外周縁部20bを配線基板1上に密着固定させた接着性樹脂フィルム20と、を備えている。
SAWチップを構成するIDT17は、図示しない給電側のリード端子から高周波電界を印加されることによって弾性表面波を励起し、弾性表面波を圧電作用によって高周波電界に変換することによってフィルタ特性を得ることができる。接着性樹脂フィルム20は、例えば約100μm程度の厚さの変形プラスチックフィルム(例えば、エポキシ系フィルム)等の熱可塑性絶縁樹脂フィルムであり、片面にのみ接着剤が塗布されている。この接着性樹脂フィルム20は、SAWチップ15の下面と配線基板2の上面との間に、樹脂が充填されていないSAW伝搬用の気密空間Sが確保されるように、その外周縁20bを配線基板2の上面に密着固定される。この例では、SAWチップの平面形状が矩形であるため、それに対応して接着性樹脂フィルム20の形状も矩形となっている。
この実施形態に係るSAWデバイス1によれば、一つのSAWデバイスに対して一枚の接着性樹脂フィルム20を用い、しかもこの接着性樹脂フィルム20は、SAWチップ15の下面18cを除いた外面全体(上面18a、側面18b)に密着してこれを覆うと共に、その外周縁20bが配線基板2の上面に達する面積を有した平板状である。更に、この接着性樹脂フィルム20は、加熱により溶融軟化してSAWチップ下面を除いた外面全体及び配線基板上面に密着固定してSAWチップ下面と配線基板上面との間に気密空間Sを形成すると同時に、配線基板上とSAWチップ15との固定を強固にする補強機能を発揮する。
このため、従来のように大面積の配線基板母材上に隣接配置した複数のSAWチップ全体を覆う大面積の接着性樹脂フィルムを用いて加熱を行い、溶融軟化した接着性樹脂フィルムによって個々のSAWチップ外面を一括被覆させる場合に発生しやすかったSAWチップ間に位置する樹脂フィルム形状のばらつきと、それに起因した接着面への気体の浸入という不具合を解決することができる。
【0011】
次に、図2は本発明のSAWデバイスの変形例の断面図であり、このSAWデバイス1は、接着性樹脂フィルム20の外表面に更に絶縁樹脂膜21を被覆形成した構成を備えている。絶縁樹脂膜21は、スクリーン印刷、ディスペンサを用いた充填等によって形成され、気密性、及び配線基板に対するSAWチップの固定力を補強する上で有効である。
【0012】
次に、図3は本発明のSAWデバイスの製造手順を示す図である。
尚、この例では複数の配線基板個片2をシート状に連結一体化した配線基板母材25を用いたバッチ処理によるSAWデバイスの生産方法を例示するが、この製造工程は独立した配線基板個片に対して個別に加工を加えてSAWデバイスを単品生産する方法にも適用できる。
まず、図3(a)に示した如く、絶縁基板3の下面に外部電極4を有すると共に上面に配線パターン5を備えた配線基板個片2を複数個、シート状に連結した大面積の配線基板母材25を用意し、各個片領域に対して、下面18cに接続パッド16とIDT17を備えたSAWチップ15の接続パッド16を、配線パターン5上に導体バンプ10を介して電気的機械的に接続する(フリップチップボンディング)。導体バンプ10は、予め接続パッド16側に形成しておいてもよいし、配線パターン5上に形成してもよい。導体バンプ10は、例えば金属ボール、或いはボール状の樹脂の外面に導体を被覆したものを使用する。
次いで、図3(b)の添設工程では、各SAWチップ15の下面18cを除いた外面全体に密着してこれを覆うと共に、外周縁20bが配線基板2上面に達する面積を有した平板状の接着性樹脂フィルム20の接着面を、各SAWチップ上面18aに個別に添設(接着)する。なお、添設時に、接着性樹脂フィルム20の接着面がSAWチップ15の上面18aに確実に接着するように図4(a)(b)に示した如き加圧手段22によって加圧するようにしてもよい。或いは、図4(b)のように、SAWチップ15の上面のみならず、樹脂フィルムの張り出し部分20aがチップの側面18b側に確実に垂れ下がるように押さえ込む突起22aを加圧手段22に設けるようにしてもよい。
また、SAWチップ15間の間隔は、隣接し合うSAWチップ上に添設された接着性樹脂フィルム20の外周縁20b同士が干渉し合わない程度の近接した間隔に設定することができ、図8(a)に示した従来例におけるSAWチップ間隔と同等に設定することができる。
【0013】
次いで、図3(c)の加熱工程では、接着性樹脂フィルム20を図示しない加熱手段によって溶融温度以上に加熱することにより溶融軟化させて、SAWチップ上面18aと接する部分を除いた張り出し部分20aを自重によって垂れ下げ変形させ、SAWチップ下面18cを除いた外面全体及び配線基板上面に密着固定させてSAWチップ下面と配線基板上面との間に気密空間Sを形成する。即ち、接着性樹脂フィルム20の接着面のうちSAWチップ上面18aと接している部分を除き、SAWチップ15上面から側方に張り出している部分20aは加熱によって垂れ下がり、SAWチップ側面18bに密着すると同時に、外周縁部20bは配線基板上面に密着し、硬化時に固定された状態となる。
各接着性樹脂フィルム20は隣接する他の樹脂フィルムから独立しており、各樹脂フィルムは均一に加熱することによって同一の挙動により(c)の状態となる。この際、隣接する樹脂フィルムからの応力の影響を受けて引っ張られることがないため、空気、ガス等が接着面に入り込む余地が無くなり、密着面を得ることができる。
なお、加熱工程においても、図4(a)(b)に示すごとき加圧手段(加圧用型)22によって、各接着性樹脂フィルム20を各SAWチップ外面(上面、及び側面)に加圧しながら加熱することにより、密着性を高めるようにしてもよい。
気密空間Sを真空化したい場合には、真空槽内にて上記加熱工程を実施するが、この場合の加熱方法はホットプレート等による配線基板側からの加熱、或いは輻射熱を利用した加熱による。
最後に、ダイシング等にて配線基板個片間の境界線に沿って切断することにより、SAWデバイス個片1を得ることとなる。
【0014】
この製造方法によれば、接着性樹脂フィルム20の張り出し部20aの突出長が配線基板上面に達する程度の長さであるため、接着性樹脂フィルム20の全体面積を必要最小限に極限することができ、樹脂フィルムの軟化時に気体を巻き込むことなく、SAWチップ側面及び配線基板上面に接着することが可能となる。また、封止時に気密空間内を真空置換する場合には、配線基板等に貫通孔を形成することなく、簡単な真空槽内に配置して置換作業を行えばよく、設備費を低く抑えることができる。即ち、前述の如く、真空槽内において加熱工程を実施する際に、配線基板側からのホットプレート等による加熱、或いは輻射熱を利用した加熱によって接着性樹脂フィルムを加熱して軟化させることにより、気密空間を形成すると同時に、気密空間を真空にすることができる。
【0015】
次に、上記添設工程において、各SAWチップ15上に接着性樹脂フィルムを添設する作業を効率化するためには、複数のSAWチップ上に一括して接着性樹脂フィルムを添設することが有効である。
即ち、図5は、添設工程を効率化するために使用するキャリアテープの構成及び添設手順を示す図である。
このキャリアテープ30は、接着性樹脂フィルムを支持するに足る十分な強度を備えた樹脂等から成る大面積のテープであり、その一面(保持面)には、接着性樹脂フィルム20の非接着面を接着面の接着力よりも弱い接着力にて保持し得る接着剤が塗布されている。この保持面上に複数の接着性樹脂フィルム20を予め所定の配置(配線基板母材25上のSAWチップ15と同配置)にて保持しておき、添設時には、キャリアテープ30により保持された接着性樹脂フィルム20の接着面の中央部をSAWチップ上面18aに接着してからキャリアテープを各接着性樹脂フィルムから一括剥離する。これにより、キャリアテープ30により保持された複数の接着性樹脂フィルムが一括して対応する全てのSAWチップ上面に転写され、個片ごとに接着性樹脂フィルム20を接着する手間が省ける。なお、SAWチップ個片毎に接着性樹脂フィルム20を添設する場合にも、一枚ずつ接着性樹脂フィルム20を保持した所要の小面積のキャリアテープを使用すれば、添設作業が効率化する。
次に、図2に示したごとき絶縁樹脂膜21を、接着性樹脂フィルム20の外面に被覆形成する場合には、図3(c)に示した加熱工程の後に、接着性樹脂フィルム20の外面をさらに樹脂層21にて被覆する樹脂被覆工程を追加すればよい。
【0016】
次に、図6(a)(b)及び(c)は本発明の他の実施形態に係る接着性樹脂フィルムの平面図、及びSAWデバイスのバッチ処理による製造工程を示す図である。
本実施形態に係る接着性樹脂フィルムを用いて製造されるSAWデバイスの構造は、図1に示したものと同等である。
本発明による製造方法の特徴的な構成は、大面積の配線基板母材25を用いた表面実装型SAWデバイスの製造方法において、複数のSAWチップ15に跨って被覆される大面積の接着性樹脂フィルム20を用いると共に、接着性樹脂フィルム20に多数の円形の通気穴23を等間隔、或いはランダムな配置にて貫通形成した点にある。
即ち、本製造方法は、下面に接続パッド16とIDT17を備えたSAWチップ15の該接続パッド16を、各配線基板2上の配線パターン5上に導体バンプ10を介して接続するフリップチップ実装工程と、複数のSAWチップ15に跨ってそれらの上面を覆うと共に、全てのSAWチップの側面から配線基板上面に達する面積を有し、且つ複数の通気穴23を備えた平板状の接着性樹脂フィルム20を、各SAWチップ上面に添設する添設工程と、接着性樹脂フィルム20を加熱することにより溶融軟化させる過程で通気穴23から気体を排気すると共に全ての通気穴23を閉止し、且つSAWチップ15下面を除いた外面全体及び配線基板上面に密着固定してSAWチップ下面と配線基板上面との間に気密空間Sを形成する加熱工程と、前記各工程を経た配線基板母材25を配線基板個片毎に切断する切断工程と、から成る。
【0017】
加熱工程において、接着性樹脂フィルム20の内側に位置する気体を円形の通気穴23から排気させる機能と、排気完了後に全ての通気穴23を閉止する機能の良否は、加熱温度、樹脂フィルムの肉厚、通気穴の開口面積比、及び個々の通気穴の開口面積等によって決定される。
例えば、円形の通気穴23の直径は、例えば1mm以下とすることにより、樹脂フィルムが溶融して冷却するまでの間に通気穴23が確実に埋められて閉止された状態となる。しかも、通気穴23の直径を1mmの範囲で適切に調整することにより、加熱によって通気穴23が塞がれる前に、内部の気体を確実に外部へ押し出すことが可能となる。
また、接着性樹脂フィルム20の単位面積内に含まれる通気穴23の合計開口面積をAとし、単位面積内における非通気穴部分の面積をBとした場合の両者の比(B/(A+B))を、B/(A+B)≧0.5とすることにより、加熱によって通気穴が塞がれる前における気体の排出と、気体排出完了後の通気穴の閉止を安定して行うことが可能となる。例えば、非通気穴部分の面積Bが過小であって通気穴32の合計開口面積Aが過大な場合には、通気穴の閉止が確実に行われないか、或いは通気穴を閉止した後の当該部分の肉厚が薄くなって十分な被覆を実現できなくなる一方で、非通気穴部分の面積Bが過大な場合には排気が十分に行われないうちに通気穴の閉止が行われるため、通気穴の合計開口面積Aと非通気穴部分の面積Bとの比を上記の範囲内となるように設定することが好ましい。更に、通気穴23と非通気穴部分との面積に関する上記比率は、同時に、SAWチップ間に位置する樹脂フィルムの張り出し部分20Bが加熱工程中に溶融軟化することにより自重によって確実にSAWチップ間の間隙内に垂れ下がって落ち込み、SAWチップ間に露出した配線基板上面部分に接触することを保証する比率であることが必要である。つまり、通気穴23を形成することによって、加熱による軟化時に樹脂フィルムの張り出し部分20Bの変形が容易化するため、SAWチップ間の間隙内への落ち込みが確実となり、張り出し部分20Bを均一形状にSAWチップの側面と配線基板上面に夫々密着させることが可能となる。
【0018】
なお、通気穴23の形状は、円形である必要はなく、楕円形、長円形、小判形、多角形、長方形等、スリット形状、排気機能と、加熱冷却後の閉止機能を有した形状であれば円形に限定されない。また、上記機能を実現できるのであれば、単なる切り込みであってもよい。
また、SAWチップの上面18aと接する樹脂フィルム部分の通気穴と、SAWチップ間に位置する樹脂フィルム部分の通気穴の開口径、合計開口面積を異ならせるようにしてもよい。
【0019】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、表面実装用の配線基板上の配線パターン上に導体バンプを介してSAWチップを搭載した構造のSAWデバイスにおいて、接着性樹脂フィルムによってSAWチップ外面の被覆と、SAWチップ裾部と配線基板上面との間での気密空間形成を行う場合に、大がかりな真空槽等の設備を用いることなく、接着性樹脂フィルムが接触する面に気体が浸入することを防止しながらも、配線基板SAWチップとの結合強度を確実にすることができる。
即ち、請求項1の表面実装型SAWデバイスにおいては、接着性樹脂フィルムは、SAWチップの下面を除いた外面全体に密着してこれを覆うと共に、その外周縁が配線基板上面に達する面積を有した平板状であり、加熱により溶融軟化してSAWチップ下面を除いた外面全体及び配線基板上面に密着固定して前記SAWチップ下面と前記配線基板上面との間に気密空間を形成する。つまり、本発明では、使用する接着性樹脂フィルムの形状を、SAWチップ個片単位で被覆可能な小面積としたので、SAWチップ間に位置する張り出し部分が溶融軟化時に同一形状で垂れ下がることが可能となり、しかも隣接する樹脂フィルムとは干渉し合わないで垂れ下がり、且つ硬化するので、互いに影響を及ぼすことがなくなり、空気等の気体を巻き込むことが無くなる。
請求項2の発明に係る表面実装型SAWデバイスは、接着性樹脂フィルムの外面を、さらに樹脂層にて被覆したので、接着性樹脂フィルムによる気密接合、及び結合強度を高めることができる。
【0020】
請求項3の発明に係る製造方法では、SAWチップ毎に被覆するに足る面積を有した接着性樹脂フィルムを用いて個片単位で添設、加熱工程を実施するようにした。この結果、溶融軟化後の樹脂フィルムの被覆形状が均一化し、気体の巻き込み、接着不良を回避することが可能となる。
請求項4の製造方法では、接着性樹脂フィルムによるSAWチップの被覆作業を、大面積の配線基板母材上に所定の間隔でフリップチップ実装したSAWチップに対して行うので、溶融軟化によりSAWチップ外面に被覆した樹脂フィルムの形状を均一化しながら量産することが可能となる。
請求項5の発明では、十分な保形性を有したキャリアテープに樹脂フィルムを保持させておくことにより、樹脂フィルムをSAWチップ上に添設する作業が容易化し、添設位置不良等が発生することが無くなる。
請求項6の発明では、大面積のキャリアテープに予め所定の配置で樹脂フィルムを保持しておき、このキャリアテープを用いて複数のSAWチップ上に各樹脂フィルムを一括して添設することにより、添設工程を簡略化、正確化することが可能となる。
請求項7の発明では、樹脂フィルムを変形させやすくするための通気穴を多数貫通形成しておくことにより、垂れ下がり部の形状が安定化し、しかも通気穴からの排気作用によって気体の巻き込みを解消できる。更に、加熱後の硬化時には、通気穴は閉止状態となる。
請求項8の発明では、通気穴の最大直径を1mm程度とすることにより、排気機能と加熱後の通気穴閉止機能を併有させることが可能となる。
請求項9の発明では、合計開口面積と非通気穴部分の面積比を所定に設定することにより、排気機能と加熱後の通気穴閉止機能を両立させることが更に確実となる。
請求項10の発明では、樹脂被覆することにより、更に接着性樹脂フィルムによる気密接合、及び結合強度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)及び(b)は本発明の一実施形態に係る表面実装型弾性表面波デバイスの外観斜視図、及びその縦断面図。
【図2】本発明のSAWデバイスの変形例の構成を示す断面図。
【図3】(a)(b)及び(c)は本発明のSAWデバイスの製造手順を示す図。
【図4】(a)及び(b)は加圧手段の構成例を示す図。
【図5】本発明の他の実施形態に係る製造手順を示す図。
【図6】(a)(b)及び(c)は本発明の他の実施形態に係る接着性樹脂フィルムの平面図、及び製造手順の説明図。
【図7】従来例のSAWデバイスの構成図。
【図8】(a)及び(b)は従来例のSAWデバイスの製造手順を説明する図。
【符号の説明】
1 SAWデバイス、2 配線基板、3 絶縁基板、4 外部電極、5 配線パターン、6 内部導体、10 導体バンプ、15 SAWチップ、16 接続パッド、17 IDT、18 圧電基板、18a 上面、18b 側面、18c下面、20 接着性樹脂フィルム、20a 張り出し部分、20b 外周縁部、22 加圧手段、23 通気穴、S 気密空間、30 キャリアテープ
Claims (10)
- 絶縁基板、該絶縁基板の底部に設けた表面実装用の外部電極、及び該絶縁基板の上面に設けられ且つ該外部電極と導通した配線パターン、を備えた配線基板と、
圧電基板、該圧電基板下面に形成されたIDT、及び前記配線パターン上に導体バンプを介してフリップチップ実装される接続パッド、を備えたSAWチップと、
前記SAWチップ下面と前記配線基板上面との間に気密空間を形成するように配線基板とSAWチップとを一体化する接着性樹脂フィルムと、
を備えた表面実装型SAWデバイスにおいて、
前記接着性樹脂フィルムは、前記SAWチップの下面を除いた外面全体に密着してこれを覆うと共に、その外周縁が配線基板上面に達する面積を有した平板状であり、加熱により溶融軟化してSAWチップ下面を除いた外面全体及び配線基板上面に密着固定して前記SAWチップ下面と前記配線基板上面との間に気密空間を形成することを特徴とする表面実装型SAWデバイス。 - 前記接着性樹脂フィルムの外面を、さらに樹脂層にて被覆したことを特徴とする請求項1に記載の表面実装型SAWデバイス。
- 絶縁基板、該絶縁基板の底部に設けた表面実装用の外部電極、及び該絶縁基板の上面に設けられ且つ該外部電極と導通した配線パターン、を備えた配線基板と、
圧電基板、該圧電基板下面に形成されたIDT、及び前記配線パターン上に導体バンプを介してフリップチップ実装される接続パッド、を備えたSAWチップと、
前記SAWチップ下面と前記配線基板上面との間に気密空間を形成するように配線基板とSAWチップとを一体化する接着性樹脂フィルムと、
を備えた表面実装型SAWデバイスの製造方法において、
前記配線基板上面の配線パターン上に前記SAWチップの接続パッドを導体バンプを介して実装するフリップチップ実装工程と、
前記SAWチップの下面を除いた外面全体に密着してこれを覆うと共に、外周縁が配線基板上面に達する面積を有した平板状の接着性樹脂フィルムを、SAWチップ上面に添設する添設工程と、
前記接着性樹脂フィルムを加熱することにより溶融軟化させて、SAWチップ下面を除いた外面全体及び配線基板上面に密着固定させて前記SAWチップ下面と前記配線基板上面との間に気密空間を形成する加熱工程と、
から成ることを特徴とする表面実装型SAWデバイスの製造方法。 - 絶縁基板、該絶縁基板の底部に設けた表面実装用の外部電極、及び該絶縁基板の上面に設けられ且つ該外部電極と導通した配線パターンを備えた配線基板を、複数個シート状に連結した大面積の配線基板母材を用いた、表面実装型SAWデバイスの製造方法において、
下面に接続パッドとIDTを備えたSAWチップの該接続パッドを、前記配線基板上の配線パターン上に導体バンプを介して接続するフリップチップ実装工程と、
前記SAWチップの下面を除いた外面全体に密着してこれを覆うと共に、外周縁が配線基板上面に達する面積を有した平板状の接着性樹脂フィルムを、各SAWチップ上面に添設する添設工程と、
前記接着性樹脂フィルムを加熱することにより溶融軟化させて、SAWチップ下面を除いた外面全体及び配線基板上面に密着固定して前記SAWチップ下面と前記配線基板上面との間に気密空間を形成する加熱工程と、
前記配線基板母材を、配線基板個片毎に切断する切断工程と、
から成ることを特徴とする表面実装型SAWデバイスの製造方法。 - 請求項3に記載の前記添設工程においては、保持面に前記接着性樹脂フィルムの非接着面側を添設保持したキャリアテープを用い、該キャリアテープにより保持された接着性樹脂フィルムの接着面の中央部を前記SAWチップ上面に接着してから前記キャリアテープを接着性樹脂フィルムから剥離することを特徴とする表面実装型SAWデバイスの製造方法。
- 請求項4に記載の前記添設工程においては、保持面に複数の前記接着性樹脂フィルムの非接着面側を添設保持したキャリアテープを用い、該キャリアテープにより保持された各接着性樹脂フィルムの接着面の中央部を前記各SAWチップ上面に接着してから前記キャリアテープを各接着性樹脂フィルムから一括剥離することを特徴とする表面実装型SAWデバイスの製造方法。
- 絶縁基板、該絶縁基板の底部に設けた表面実装用の外部電極、及び該絶縁基板の上面に設けられ且つ該外部電極と導通した配線パターンを備えた配線基板を、複数個シート状に連結した大面積の配線基板母材を用いた、表面実装型SAWデバイスの製造方法において、
下面に接続パッドとIDTを備えたSAWチップの該接続パッドを、前記各配線基板上の配線パターン上に導体バンプを介して接続するフリップチップ実装工程と、
前記複数のSAWチップに跨ってそれらの上面を覆うと共に、全てのSAWチップの側面から配線基板上面に達する面積を有し、且つ複数の通気穴を備えた平板状の接着性樹脂フィルムを、各SAWチップ上面に添設する添設工程と、
前記接着性樹脂フィルムを加熱することにより溶融軟化させる過程で前記通気穴から気体を排気すると共に全ての通気穴を閉止し、且つSAWチップ下面を除いた外面全体及び配線基板上面に密着固定して前記SAWチップ下面と前記配線基板上面との間に気密空間を形成する加熱工程と、
前記配線基板母材を、配線基板個片毎に切断する切断工程と、
から成ることを特徴とする表面実装型SAWデバイスの製造方法。 - 前記通気穴の直径は、1mm以下であることを特徴とする請求項7に記載の表面実装型SAWデバイスの製造方法。
- 前記接着性樹脂フィルムの単位面積内に含まれる前記通気穴の合計開口面積Aと、単位面積内における非通気穴部分の面積Bとの比(B/(A+B))を、
B/(A+B)≧0.5
としたことを特徴とする請求項7又は8に記載の表面実装型SAWデバイスの製造方法。 - 請求項3、4、5、6、7、又は8に記載の前記加熱工程によって前記SAWチップ下面を除いた外面全体及び配線基板上面に密着固定された前記接着性樹脂フィルムの外面を、さらに樹脂層にて被覆する樹脂被覆工程を備えたことを特徴とする表面実装型SAWデバイスの製造方法。
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JP2006032478A (ja) * | 2004-07-13 | 2006-02-02 | Nippon Steel Chem Co Ltd | 半導体装置の製造方法 |
JP2008108782A (ja) * | 2006-10-23 | 2008-05-08 | Nec Electronics Corp | 電子装置およびその製造方法 |
JP2012138430A (ja) * | 2010-12-25 | 2012-07-19 | Kyocera Corp | 電子装置 |
-
2002
- 2002-10-11 JP JP2002299636A patent/JP2004135191A/ja active Pending
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