JP2004247031A - 情報記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】
電子情報記録媒体に熱影響を及ぼすことなく、比較的低温度で記録可能な高感度の可視情報記録層であって、しかも表示記録の耐久性にも優れている可視情報記録層を有する情報記録媒体を提供する。
【解決手段】
少なくとも可視情報を記録するための可視情報記録層及び基板を有する情報記録媒体において、可視情報記録層が融点50℃以上、180℃以下であり、且つ平均粒径が0.5μm以上、2.0μm以下である有機物粒子を含み、加熱または光照射によって該有機物粒子の実質的な化学的変化を伴わずに記録可能なことを特徴とする情報記録媒体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、可視情報の熱または光による記録が可能な情報記録媒体に関する。詳しくは、電子情報の光学的な記録/再生ができると共に、該電子情報記録領域以外の領域に、加熱または光照射により可視情報の記録が可能な情報記録媒体に関する。
多くの情報を記録、保存、書き換えするための電子情報記録媒体は、コンピューター周辺機器としての重要性が近年ますます高まっている。中でも、レーザー光を用いて記録、再生を行う情報記録媒体は、高密度の情報記録、保存、再生が可能なことから、大容量記録媒体として注目されている。このような情報記録媒体の例としては、CD−RW、DVD−RWなどに代表される相変化型情報記録媒体、CD−R、DVD−Rに代表される有機色素系情報記録媒体などが挙げられる。
ところで、このような情報記録媒体に記録された電子情報の内容は、該情報を光学的に再生することにより確認できる。一方、該情報を光学的に再生せずに容易に確認するために、媒体のレーベル面に、インクジェットプリンターや感熱転写型プリンターなどで印刷記録したり、情報内容を記録したラベル等を貼り付けるなどの方法が取られている。いずれにしても、電子情報の内容を可視情報として媒体表面に表示することは、情報管理上重要なことである。
しかし、インクジェット法または感熱転写法にて印刷するためには、電子情報の記録装置の他に別途、専用プリンターが必要であり、個人等で少量の媒体に可視情報を記録しようとする人にとっては必ずしも簡便な方法とは言えない。また、ラベル等を貼る方法については、接着剤の耐久性の問題で、使用中に剥離したり、張り合わせの際の芯ズレで、媒体回転中のアンバランスが大きくなり、極端な場合、記録、再生ができなくなる場合がある。
最近、レーザー光照射により可視情報を記録する方法も提案されている(特開2000−105947号公報)。レーザー光を用いる記録の場合は、光照射で発生する熱による記録層含有物の反応、溶融、析出等の変化を利用する。そのため、過度のレーザー光照射は、同じ媒体の光学的に記録される電子情報の記録層へ悪影響を及ぼす虞があるので、レーザー光の照射方法には十分注意が払われなくてはならない。
また、サーマルヘッドを使用して可視情報を記録/消去するための装置も提案されている(特開平11−283356号公報)が、光照射の場合と同様に電子情報の記録層への悪影響が懸念され、特に、何度も書き換える場合は、更に注意が必要である。
一方、電子情報記録層につき、比較的熱影響を受けにくい相変化型記録層を有する媒体に限定して、可視情報の可逆表示記録層における表示温度を、基板材料のガラス転移温度との相関で規定することにより、電子情報記録層への悪影響を防ぐ方法も提案されている(特開2000−105947号公報)。しかし、この可逆表示記録層の場合、記録感度を上げる(表示温度を下げる)ことと、表示記録部の耐熱性とは、一般的に相反することになり、記録感度が良好で、耐久性が高い記録層として満足するものではない。
特開2000−105947号公報 特開平11−283356号公報
本発明の目的は、電子情報記録媒体に熱影響を及ぼすことなく、比較的低温度で記録可能な高感度の可視情報記録層であって、しかも表示記録の耐久性にも優れている可視情報記録層を有する情報記録媒体を提供することである。
本発明者らは、高感度と高耐久性を併せ持った可視情報の記録層を得るため、鋭意検討を行った結果、可視情報記録層中に所定の物性を有する有機物粒子を分散させておくことが有効であることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明の要旨は、少なくとも可視情報を記録するための可視情報記録層及び基板を有する情報記録媒体において、可視情報記録層が融点50℃以上、180℃以下であり、且つ平均粒径が0.5μm以上、2.0μm以下である有機物粒子を含み、加熱または光照射によって該有機物粒子の実質的な化学的変化を伴わずに記録可能なことを特徴とする情報記録媒体に存する。
なお、本発明において平均粒径とは体積平均粒径のことをいう。
本発明により、可視情報記録層に特定物性の有機物粒子を含有させることにより、低出力のレーザー照射により安定したフォーカスが得られ、高感度で鮮明な視認性の良い可視情報の記録が可能であり、しかもその保存安定性においても優れた記録が可能となる。
また、情報記録用レーザーを用いてレーベル面の可視情報記録層への記録が可能であることから、情報記録後、レーベル面に情報記録の内容を、情報記録用レーザーと同一のレーザーで表示記録可能であり、消費者の利便性を一層向上させることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明における「可視情報」とは、文字、記号、イラストや写真等の画像、幾何学的な模様など、目視で読み取る情報であり、「電子情報」とは、デジタル信号で記録されている情報など、その内容を何らかの再生装置で読み取る情報を意味する。
本発明の情報記録媒体は、少なくとも基板及び可視情報を記録するための可視情報記録層を有する情報記録媒体において、該可視情報記録層は融点50℃以上、180℃以下であり、且つ平均粒径が0.5μm以上、2.0μm以下である有機物粒子を含み、加熱または光照射によって該有機物粒子の実質的な化学的変化を伴わずに記録が可能なものであり、比較的低温度での記録が可能な高感度で、しかも表示記録の耐久性にも優れた特性を有するものである。
ここで、「有機物粒子の実質的な化学的変化を伴わない」とは、有機物粒子を構成する化合物が、他の化合物(例えば顕色剤や色素など)と化学的に反応して、発色・変色・消色する現象を実質的に生起しないことを意味する。
本発明の情報記録媒体において、通常レーベル面に設けられる可視情報記録層は、分散した有機物粒子を含有することを必須としているが、記録層中に有機物粒子を分散させておくことにより可視光線を乱反射させて、半透明ないし不透明の適度に不透明な記録層を形成することが出来る。そして、この記録層に、サーマルヘッドで加熱するか、または、レーザー光を照射することにより、記録層中の有機物粒子を溶融して透明化する、即ち実質的な化学的変化を伴わないで可視情報を記録し、記録部を形成する。この記録部は、粒子が溶融されていて、後述する層を形成する他の成分と相溶して、可視的に透明化しているので、非記録部と目視で識別が可能となる。なお、可視情報記録前後の可視情報記録層の透明度の変化は、目視でその変化が確認される程度の変化であればあればよいが、好ましく透過率が5%以上変化することであり、さらに好ましくは10%以上変化することである。
本発明の情報記録媒体は、上記の如く有機物粒子の溶融により可視情報の記録を行うので、該粒子の融点は記録感度に直接影響する。サーマルヘッドを用いたり、レーザー光を用いたりして、レーベル面の可視情報記録層に可視情報を記録する際、高温度での記録は、反対面側にある電子情報記録層への熱影響があり好ましくなく、粒子の融点は180℃以下である必要がある。他方、記録した表示内容が通常の使用環境で、吸湿や熱によって消滅しやすいことは好ましくないので、粒子の融点は50℃以上であることも必要である。そして、情報記録層への加熱或いは光照射等の記録手法に従い、耐熱性を要求される場合は、粒子の融点は100℃以上が好ましく、また、高感度の記録特性を要求される場合は、粒子の融点は100℃以下の範囲で選ばれるのが好ましい。
また、本発明に使用する有機物粒子の平均粒径は0.5μm以上、2.0μm以下である。0.5μm未満の場合、可視光波長の光に対して透明となる、粒径約0.2μm以下の微細な粒子の割合が増えるため、記録前の記録層の透明性が高くなり、記録前後のコントラストが低下して視認性が下がる。2.0μmを超えると粒子が溶融し難くなり、熱または光による記録感度が低下する。
本発明において、良好な記録感度を実現するためには、平均粒径が0.5μm以上、2.0μmの間の有機物粒子を可視情報記録層中に、好ましくは25重量%以上、より好ましくは30重量%以上、好ましくは70重量%以下、より好ましくは65重量%以下含有していることである。
本発明に使用する有機物粒子の最小粒径は0.01μm以上であり、好ましくは0.1μm以上である。この下限値以上に有機物粒子の粒径がある場合、記録層を適度な半透明状態に保つことができ、記録前後のコントラストを明瞭にすることができる。また、最大粒径は20μm以下であり、好ましくは10μm以下である。この上限値以下に有機物粒子の粒径がある場合、サーマルヘッドやレーザー光により有機物粒子を溶融させることができるため、記録層に可視情報を記録をすることが可能となる。
更に、本発明の可視情報の記録部は、従来の可視情報の記録法によるものに比べ耐久性においても優れている。
従来、サーマルヘッドまたはレーザー光で可視情報を記録するための記録層は、例えば、記録部を発色させるために、色素と色素の発色助剤とを含む組成となっている。そのため、例えば、該記録層が吸湿したり、電子情報の記録/再生装置で連続的に使用したりする高温度の環境に曝されると、色素と発色助剤が徐々に作用して、未記録部が発色したり、記録して発色した部分が消色したりする問題がある。また、他の従来例として、可視情報記録層に含まれる脂肪酸エステル等の結晶状態を可逆的に変化させ、結晶状態/非結晶状態の乱反射光量の差で記録するタイプの媒体が挙げられる。しかし、この場合熱作用で、結晶/非結晶を可逆的に変化することが必要とされるため、耐熱性が劣る欠点がある。
これに対し、本発明の情報記録媒体における可視情報記録層は、有機物粒子がその融点以上の温度で溶融して記録されるため、記録後に融点以上に加熱されなければ、徐々に反応してS/N比が低下するようなことはなく、耐久性に優れた可視情報を得ることが出来る。
本発明の情報記録媒体は、少なくとも基板および可視情報記録層を有すればよく、どのような基材、どのような媒体にも適用することができるが、電子情報記録層に可視情報記録層を併設した情報記録媒体において、最もその効果が有効に発揮される。
以下、本発明の情報記録媒体を、電子情報記録層(領域)と可視情報記録層(領域)とを有する情報記録媒体を例に説明する。
本発明の情報記録媒体において、可視情報記録領域は、光学的に記録される電子情報の記録領域以外の部分に設けられる。例えば、円盤状またはカード状などの媒体において、同一面内に両領域を設けたり、電子情報記録領域と、可視情報記録領域を別層に設けてもよい。さらに、基板に対して、電子情報記録領域と可視情報記録領域を同じ側に設けても良いし、反対側に設けても良い。
本発明の情報記録媒体は、通常の基本構成として、基板、電子情報記録層、反射層、及び可視情報記録層を有し、これらの各層が上記の順に積層されているのが好ましく、反射層と可視情報記録層との間に保護層を有するのが更に好ましい。保護層は、通常金属や合金で形成される反射層を、湿度などから保護するために役立つ層であり、上述の基本構成においては、反射層を、通常湿式製膜法にて形成する可視情報記録層と隔てることにより、反射層の劣化を防ぐことができる。
また、可視情報記録層の表面(該層への記録用の熱を印加したり、光を照射する面)に、オーバーコート層を有するのが好ましい。オーバーコート層は、物理的な擦過や過剰な圧力から媒体を保護するために、また、該記録層が光照射により記録される場合には、記録光のフォーカスのためにも役立つ層である。
上記層構成からなる情報記録媒体の一例の断面図を図1に示す、図1中、基板1から保護層4までの各層からなる情報記録媒体10は、通常のCD−Rを示す。
更に、可視情報記録層の下に着色層または反射層を有するのが好ましい。特に光照射により記録を行う場合には、可視情報記録層の下に反射層を有することがより好ましい。反射光を利用することにより、記録光(通常、記録用レーザー光)のフォーカスを合わせることが出来る。なお、必要に応じて、着色層及び反射層と可視情報記録層の間に任意の透明な層を有していても良い。
具体的には、可視情報記録層に対し、可視情報記録用の光入射面または熱印加面とは逆側の面に、着色層または反射層を設ける。着色層を設ける場合、例えば図1の構成では、保護層4自体が着色されていてもよいし、保護層4と可視情報記録層5との間に、着色層を設けても良い。反射層を設ける場合、例えば図1の構成では、保護層4と可視情報記録層5との間に、(反射層3とは別に)反射層を設けても良いし、保護層4を透明な層とすることにより、反射層3が、電子情報記録層と可視情報記録層の両方に対して有効となる。可視情報は、被記録部分が透明化することにより記録されるので、下地である着色層や反射層が明瞭に見えるようになると、視認性やデザイン性が高まるので好ましい。
本発明の着色層は、着色された層であれば良く、特に制限されないが、例えば色素または顔料等を含んだ紫外線硬化性樹脂を塗布、硬化して形成することができる。
本発明の情報記録媒体における可視情報記録層は、分散した有機物粒子を含むものであり、好ましくは該粒子を分散させたバインダ樹脂を用いて形成される。また、可視情報を光照射により記録するための記録層の場合には、光熱変換剤を含有するのが好ましい。その他、本発明の情報記録媒体の性能を損なわない限り、分散剤や任意の添加剤を含有していてもよい。
可視情報記録層としては、後述の融点50〜180℃の有機物粒子、バインダー樹脂、並びに必要に応じて添加される光熱変換剤及び/又はその他の添加剤を適当な貧溶媒に分散させて調製した塗布液を塗布する事によって、有機物粒子を含有する層を形成することができる。
本発明で使用する有機物粒子としては、基本的に、融点50℃以上、180℃以下の要件を満たし、且つその平均粒径が0.5μm以上、2.0μm以下のものであればよい。なお、最小粒径(0.01μm)より小さい微粉や最大粒径(20μm)より大粒子の有機物粒子は、篩い等の物理的手法により出来るだけ除いておくことが望ましい。
融点50℃以上、180℃以下の有機物粒子としては、脂肪族化合物や芳香族化合物等から適宜選択される。具体的には、重量平均分子量90以上、1500以下程度の低分子量の芳香族化合物、重量平均分子量90以上、2000以下程度の脂肪族化合物、ワックス類、色素等が挙げられるが、中でも、50℃以上、100℃以下程度の低融点で且つ白色の溶融後のコントラストが大きい化合物が好ましい。
芳香族化合物の例としては、没食子酸ブチル、没食子酸n−プロピル、没食子酸イソアミル、没食子酸ラウリル、p−ヒドロキシ安息香酸nブチル、5−スルホサリチル酸、パラオキシ安息香酸ベンジル、3,5−ジヒドロキシ安息香酸メチル等の芳香族カルボン酸及びそのエステル類が挙げられ、その他の例としては、ビスフェノールA、
4−ヒドロキシフェニル(4' −n−-プロポキシフェニル)スルホン、2−2'−メチレンビス1−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)等のフェノール類が挙げられる。
脂肪族化合物としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、リシノール酸バリウム等の金属セッケン類が挙げられる。
ワックス類としては、例えば、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジフェノキシエタン、p−ベンジルビフェニル、2−ナフチルベンジルエーテル、ベンジル−4−メチルチオフェニルエーテル、シュウ酸ジベンジルエステル、シュウ酸−ジ−p−メチルベンジルエステル、シュウ酸−ジ−p−クロロベンジルエステル、テレフタル酸ジブチルエステル、テレフタル酸ジベンジルエステル、ステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、p−トリルビフェニルエーテル、ジ(p−メトキシフェノキシエチル)エーテル、1,2−ジ(4−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジ(4−クロロフェノキシ)エタン、1,2−ジフェノキシエタン、1−(4−メチルフェノキシ)−2−(3−メチルフェノキシ)エタン、1,4−ジ(フェニルチオ)ブタン、p−アセトトルイジド、p−アセトフェネチジド、N−アセトアセチル−p−トルイジン、ジ(β−ビフェニルエトキシ)ベンゼン、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
色素としては無色のロイコ色素が挙げられる。具体的には、例えばトリフェニルメタン系、トリフェニルメタン−フタリド系、フルオラン系、フェノチアジン系、ロイコオーラミン系、インドリン系、インドリノフタリド系、ジフェニルメタン系、スプロピラン系、インジゴ系などの各種化合物が挙げられるが、中でもフタリド化合物が好ましい。
これらの中で、融点50℃以上、180℃以下のものを選択する。
ここで、有機物粒子として色素も使用し得るが、本発明の情報記録媒体では、前述の如く、可視情報記録層中の有機物粒子が溶融により透明化することで記録部が形成され、可視情報記録層の透明部(記録部)と半透明或いは不透明部(非記録部)との差で視認可能であるので、色素を使用しなくても目的は達せられる。
有機物粒子の融点は50℃以上、180℃以下である。融点が50℃未満の場合には、記録した表示内容が通常の使用環境下での吸湿や熱等により消滅し易く、耐久性に劣るので好ましくない。他方、180℃を超え高温に過ぎると高温下で記録を行うことになり、この事は反対面の電子情報記録層への熱影響を及ぼす虞があり好ましくない。融点は、好ましくは80℃以上、170℃以下である。又、可視情報記録層への加熱或いは光照射等の記録手法により、使用する有機物粒子の融点は異なるが、耐熱性を要求される場合は、粒子の融点は100℃以上が好ましく、また、高感度の記録特性を要求される場合は、粒子の融点は100℃以下の範囲で選ばれるのが好ましい。
可視情報記録層における前記有機物粒子の含有量は、好ましくは25重量%以上、より好ましくは30重量%以上であり、好ましくは70重量%以下、より好ましくは65重量%以下程度である。
また、可視情報記録層は、有機物粒子が、後述するように、バインダ樹脂中に分散された状態で可視情報記録層中に含まれているのが好ましい。
可視情報記録層の形成に用いられるバインダ樹脂としては、有機物粒子を良好に分散でき、また溶融した有機物粒子との相溶性が高いものが好ましい。
バインダ樹脂として、具体的には、例えばポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−アルコール共重合体等の塩化ビニル系(共)重合体;ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体等の塩化ビニリデン系(共)重合体;ポリエステル樹脂:ポリウレタン樹脂;アクリル樹脂;ポリアミド樹脂などが挙げられ、これらを単独もしくは2種以上を混合して用いることができる。
これらの樹脂に、電子線または紫外線などの放射線硬化性樹脂を混合すると、高温領域での弾性率が高くなり、耐久性の向上を図ることができる。該硬化性樹脂には、例えばテトラエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等の硬化性に優れた多官能アクリレートモノマーが良好に使用できる。紫外線硬化性樹脂の場合は、ベンゾイン系、アセトフェノン系、チオキサンソン系、パーオキシド系等の光重合開始剤を適量添加して硬化重合させる。
また前述のバインダー樹脂に、イソシアネート化合物、および該化合物により熱架橋する樹脂を併用してもよい。熱架橋性樹脂の含有率は、バインダー樹脂に対して、70重量%以下、好ましくは50重量%以下である。
熱架橋の方法については特に限定されず、例えばバインダー樹脂等と一緒に調製した塗布液を塗布する際に加熱等して架橋させればよい。
熱架橋する樹脂としては、水酸基やカルボキシル基などの官能基を有するポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂およびポリアミド樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は未架橋の場合、レーザ光による印字時の瞬間的な加熱により当該可視情報記録層が軟化または溶融し、そのため媒体各層に歪を生じ、結果的に割れの発生や破壊、変形を起こす虞がある。しかし、熱架橋で三次元的に硬化させることにより、高温時での弾性率が向上して変形を抑え得るため、レーザ光印字時の瞬間的な加熱によっても各層の破壊や変形が小さく、耐久性に優れた情報記録媒体を得ることが可能になる。
イソシアネート化合物としては、イソシアネート基を多数持つポリイソシアネート化合物が挙げられ、具体的にはヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、およびこれらポリイソシアネート化合物のトリメチロールプロパンなどによるアダクト型、ビューレット型またはトリマー型を採用することができる。
バインダー樹脂及び熱架橋性樹脂は、有機物粒子の材料や各樹脂の性質を勘案し、適宜選択すればよい。
本発明における可視情報記録層は、光照射または加熱により記録可能な層であるが、光照射により記録する場合、照射された光を熱に変換し、有機物粒子を溶融させるので、光熱変換剤を含有することが好ましい。
光熱変換剤としては、可視情報記録用の光を吸収し、熱エネルギーに変換する化合物であればよく、記録光の波長に応じて適宜選択される。例えば波長700〜900nm程度の光で可視情報を記録するなら、赤外線吸収色素を用いることができる。また、より短波長の光で記録するなら、該記録光波長における吸光量が大きく、また熱エネルギーへの変換効率が高い化合物を選択すればよい。
光熱変換剤として用いる化合物としては、例えば、トリアリールメタン系色素、アゾ系色素、シアニン系色素、スクワリリウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、ナフトキノン系色素、ポルフィリン系色素、インジゴ系色素、ジチオール錯体系色素、アズレニウム系色素、キノンイミン系色素、キノンジミイン系色素等の有機色素が挙げられる。
光熱変換剤の含有率は、光熱変換剤の種類によって吸収濃度が異なることから、塗布された塗布面の反射率が使用するレーザー波長域で50%以下、好ましくは30%以下になるように含有させれば良い。具体的な含有率としては、0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、10重量%以下、好ましくは5重量%以下である。
可視情報の記録光として、光学的な電子情報記録に広く採用されている波長700〜900nm程度のレーザー光を利用する場合には、上記有機色素の中でも、該波長領域に最大吸収波長を有すること、また可視光波長領域に殆ど吸収を持たないため、記録された可視情報の視認性が良いこと等の点から、下記一般式〔I〕で表される化合物が特に好ましい。
Figure 2004247031
[式中、環A,B,C,D及びEは任意の置換基を有していてもよく、また、環A,B,C,D及びEのいずれに対しても、更に環が縮合していてもよい。X及びYは各々独立に酸素原子、硫黄原子、下記式で示されるシアノメチレン基類、
Figure 2004247031
またはN−C≡N(但し、RおよびR’は各々独立に水素原子または任意の置換基を表す。)を表し、XおよびYは、同時に酸素原子であることはない。ZおよびZ’は各々独立に酸素原子、硫黄原子または−NR’’−(但し、R’’は水素原子または任意の置換基を表す。)を表す。]
上記一般式〔I〕における環A,B,C,DおよびEが有していても良い置換基としては、例えばアルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基またはカルボニル基などが挙げられる。これらのアルキル基、アルコキシ基およびアルコキシアルコキシ基におけるアルキル基部分の炭素数は、通常、炭素数1〜8であり、鎖状でも環状でもよく、また直鎖であっても分岐していてもよい。
また、環A,B,C,DまたはEについては、さらに環が縮合していてもよい。縮合する環としては芳香族環、中でもフェニル基などの芳香族炭化水素環が望ましい。
一般式〔I〕で表される化合物の重量平均分子量は、通常600以上、2000以下である。
一般式〔I〕におけるXおよびYは各々独立に酸素原子、硫黄原子、上記式で示されるシアノメチレン基類、またはN−C≡N(但し、XおよびYは、同時に酸素原子であることはない)を表し、ZおよびZ’は各々独立に酸素原子、硫黄原子または−NR’’−(但し、R’’は水素原子または任意の置換基を表す。)を表す。
ここでR、R’およびR’’は各々独立に水素原子または任意の置換基を表すが、いずれもより好ましくは、水素原子、あるいは直鎖または分岐のアルキル基(炭素数1〜5)である。
XおよびYとして、特に好ましくは、下記式のジシアノメチレン基である。
Figure 2004247031
ZおよびZ’として好ましくは酸素原子または硫黄原子である。
一般式〔I〕で表される化合物として、好ましくは下記一般式〔II〕で表される化合物が挙げられる。
Figure 2004247031
(式中、R1〜R10 は、水素原子または一般式〔I〕における環A,B,C,D及びEが有し得る任意の置換基と同義であり、またZおよびZ’は一般式〔I〕におけると同義である。)。
一般式〔II〕におけるR1〜R8は、それぞれ独立に水素原子または一般式〔I〕における環A,B,C,D及びEが有し得る任意の置換基と同義の任意の置換基である。これらの任意の置換基として具体的には、前記一般式〔I〕で述べた置換基と同種のものが挙げられ、好ましい置換基及びより好ましい置換基も前述の置換基が挙げられる。
9およびR10は各々独立に水素原子または一般式〔I〕におけると同義の任意の置換基を表すが、この置換基として、好ましくはハロゲン原子、あるいは直鎖または分岐のアルキル基(炭素数1〜5)が挙げられる。
なお、一般式〔I〕で表される化合物を含め、光熱変換剤は単独で使用してもよいし、複数種併用してもよい。
本発明における可視情報記録層には、その性能を損なわない限り、上記以外の各種添加剤や、有機物粒子を均一に分散させるための分散剤などを含有させても良い。例えば、可視情報記録層の耐光性向上のためには、光安定剤を使用することが好ましい。光安定剤としては、紫外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤、一重項酸素のクエンチャーなどが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,1,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オキシベンジルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−クロロベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−クロロベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ヘプトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−3,6−ジクロル−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−3,6−ジクロル−4−エトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−メチルアクリルオキシ)プロポキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系紫外線吸収剤が挙げられる。
他の紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジターシャリーブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−ターシャリーブチル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシ)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジターシャリーブチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−ターシャリーブチル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5−エトキシフェニル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;フェニルサリシレート、pーオクチルフェニルサリシレート、pーターシャリーブチルフェニルサリシレート、カルボキシルフェニルサリシレート、メチルフェニルサリシレート、ドデシルフェニルサリシレートなどのサルチル酸フェニルエステル系紫外線吸収剤;あるいはpーメトキシベンジリデンマロン酸ジメチルエステル、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレートなどのエステル系紫外線吸収剤;3,5−ジターシャリーブチル−pーヒドロキシ安息香酸、紫外線により転位してベンゾフェノンとなるレゾルシノールモノベンゾエート、2,4−ジターシャリーブチルフェニル、3,5−ジターシャリーブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
酸化防止剤、老化防止剤としては、例えば、2,6−ジターシャリーブチル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリターシャリーブチルフェノール、スチレン化フェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)、4,4’−イソプロピリデンビスフェノール、2,6−ビス(2’−ヒドロキシ−3’−ターシャリーブチル−5’−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−ターシャリーブチルフェノール)、テトラキス−{メチレン(3,5−ジターシャリーブチル−4−ヒドロキシハイドロシンナメート)}メタン、p−ヒドロキシフェニル−3−ナフチルアミン、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、チオビス(β−ナフトール)、メルカプトベンゾチアゾール、メルカプトベンズイミダゾール、アルドール−2−ナフチルアミン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、トリス(4−ノニルフェノール)ホスファイト等が挙げられる。
一重項酸素のクエンチャーとしては、例えばカロティン類、色素類、アミン類、フェノール類、ニッケル錯体類、スルフィド類等があるが、例えば、1,4−ジアザビシクロ(2,2,2)オクタン、β−カロティン、1,3−シクロヘキサジエン、2−ジエチルアミノメチルフラン、2−フェニルアミノメチルフラン、9−ジエチルアミノメチルアントラセン、5−ジエチルアミノメチル−6−フェニル−3,4−ジヒドロキシピラン、ニッケルジメチルジチオカルバメート、ニッケルジブチルジチオカルバメート、ニッケル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル−o−エチルホスホナート、ニッケル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル−o−ブチルホスホナート、ニッケル{2,2’−チオビス(4−t−オクチルフェノラート)}(n−ブチルアミン)、ニッケル{2,2’−チオビス(4−t−オクチルフェノラート)}(2−エチルヘキシルアミン)、ニッケルビス(2,2’−チオビス(4−t−オクチルフェノラート)}、ニッケルビス{2,2’−スルホンビス(4−オクチルフェノラート)}、ニッケルビス(2−ヒドロキシ−5−メトキシフェニル−N−n−ブチルアルドイミン)、ニッケルビス(ジチオベンジル)、ニッケルビス(ジチオビアセチル)等が挙げられる。
更に、可視情報記録層の記録特性、視認性、記録感度など各種性能を損なわない範囲で、上記以外の成分を含有していても良い。これらの任意成分は、1種類のみ使用しても、また複数種併用しても良い。
これらの添加剤や分散剤は、塗布液に対して、全体で20重量%以下、好ましくは10重量%以下である。
可視情報記録層は、上記の可視情報記録層形成材料を用いて記録層塗布液を調製し、該塗布液を可視情報記録層を設けたい領域に塗布乾燥することにより形成される。
可視情報記録層塗布液の調製は、有機物粒子、バインダー樹脂、各種の任意添加剤等がバインダー樹脂を溶解する適当な有機溶媒中に均一分散されれば良く、その添加順序は制限されない。例えば、有機物粒子のみを有機溶剤中で均一に分散し、次いでバインダー樹脂を均一混合して調製するか、有機溶剤にバインダー樹脂を溶解したバインダー樹脂溶液中で有機物粒子を均一混合して分散調製するか、或いは有機物粒子をバインダー樹脂と共に有機溶剤中で均一に分散して調製するかなど、いずれの方法でも良い。
バインダー樹脂を溶解する有機溶媒としては、ジブチルエーテル、イソプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルプロピルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル等のエステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類が挙げられ、これらは単独で又は混合して用いられる。
可視情報記録層の形成方法としては、公知の湿式薄膜形成方法が適用でき、好ましくはスピンコート法またはスクリーン印刷法であるが、より好ましくはスピンコート法である。
可視情報記録層の膜厚は、通常10nm以上、好ましくは50nm以上であり、また通常500nm以下、好ましくは300nm以下である。
可視情報記録層が、光照射により情報を記録するものである場合、光熱変換剤と有機物粒子を同一層内に含有していても良いし、或いは可視情報記録層に有機物粒子を含み、該記録層に接して光熱変換剤を含有する光熱変換層を設けても良い。光熱変換層は、可視情報記録層のどちら側の面に接して設けても良いが、記録光の入射側に設ける場合には、可視光波長領域において透明であるものが好ましく、例えば該波長領域における吸光度が5%以下であるものが好ましい。
本発明の情報記録媒体においては、通常、可視情報記録層の上に紫外線硬化性樹脂を用いてオーバーコート層が設けられる。オーバーコート層は、物理的な擦過や過剰な圧力、大気中の湿度等から可視情報記録層を保護する目的で設けられる。また、可視情報を加熱により記録する場合には、サーマルヘッドの付着防止にも役立ち、可視情報が光照射により記録される場合には、記録光のフォーカスのためにも役立つ層である。
オーバーコート層は、可視情報を光照射にて記録する場合には、該記録光波長において透明であるものが好ましく、例えば該波長における吸光度が5%以下であるものが好ましい。また、記録光のフォーカシングする(効率よく集光する)ためには、10μm以上のある程度の厚みがあることが好ましい。オーバーコート層は必ずしも透明である必要はなく、該記録層が透けて見える、透明または半透明のものであれば良いが、好ましくは可視光波長領域において透明であるものが好ましい。具体的には、例えば該波長領域における吸光度が5%以下であるものが好ましい。なお、可視情報記録層が光照射により情報を記録するものである場合、オーバーコート層の該記録光波長における吸光度は小さい程好ましく、例えば5%以下であることが好ましい。
オーバーコート層形成用の紫外線硬化性樹脂は、上記条件を満たしていれば良く、特に制限はないが、例えばウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、エステルアクリレートなどのアクリル系樹脂が挙げられる。
具体的には、下記(1)のアクリレートオリゴマー20〜80重量%と、下記(2)のアクリル系モノマー10〜70重量%と、下記(3)の光ラジカル開始剤1〜10重量%などから構成される紫外線硬化性樹脂が好ましい。
(1)アクリレートオリゴマー
ビスフェノールA、F、S、ノボラック等を原料とするエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸が反応してなるエポキシアクリレートオリゴマー;
ヘキサメチレンジイソシアネートと1,6−ヘキサンジオールから成るポリウレタンと2−ヒドロキシエチルアクリレートとの反応物、アジピン酸と1,6−ヘキサンジオールから成るポリエステルジオールとトリレンジイソシアネートとを反応させたジイソシアネートオリゴマーに2−ヒドロキシエチルアクリレートを反応させたもの等の、(ジ)イソシアネート化合物、多価アルコール、及び(メタ)アクリル酸が反応してなるウレタンアクリレートオリゴマー;
無水フタル酸とプロピレンオキサイドの開環重合物から成るポリエステルジオールとアクリル酸とのエステル、アジピン酸と1,6−ヘキサンジオールから成るポリエステルジオールとアクリル酸とのエステル、トリメリット酸とジエチレングリコールとの反応物から成るトリオールとアクリル酸とのエステル、δ−バレロラクトンの開環重合物とアクリル酸とのエステル等の、多価アルコール、多塩基酸又はその無水物、及び(メタ)アクリル酸が反応してなるエステルアクリレートオリゴマー;
水酸基含有化合物にエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた多価アルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどに(メタ)アクリル酸が反応してなるエーテルアクリレートオリゴマー等。
(2)アクリル系モノマー
2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、N−ビニルピロリドン、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルオキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルオキシヘキサノリドアクリレート、1,3−ジオキサンアルコールのε−カプロラクトン付加物のアクリレート、1,3−ジオキソランアクリレート等の単官能モノマー;
シクロペンテニールアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートのジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン付加物のジアクリレート、2−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−5−ヒドロキシメチル−5−エチル−1,3−ジオキサンジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールのε−カプロラクトン付加物のジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、プロピオン酸・ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリアクリレート、プロピオン酸・ジペンタエリスリトールのテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート等などの多官能モノマー等。
(3)光ラジカル開始剤
アセトフェノン系化合物、プロピオフェノン系化合物、アントラキノン系化合物、チオキサントン系化合物等。
なお、この紫外線硬化性樹脂には、上述したオーバーコート層に求められる性能を著しく損なわない限り、シリカや顔料、染料などの色材、重合停止剤、保存安定剤、分散剤、消泡剤、界面活性剤、紫外線硬化性樹脂以外のバインダー樹脂などを含有していてもよい。
オーバーコート層の硬度は、該層形成に用いられる紫外線硬化性樹脂に含まれるモノマーやオリゴマーの種類、含有比率、バインダー樹脂等の任意成分の含有量などにより異なるが、モノマーとしては多官能モノマーより単官能モノマーを比較的多く含む方が硬度は低くなる傾向があり、またオリゴマーとしてウレタンアクリレートオリゴマーを多く含むと硬度が低くなる傾向がある。
オーバーコート層の形成方法としては、スピンコート法、ディップコート法、バーコート法、ブレードコート法、エアナイフコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法などにより、可視情報記録層上の可視情報記録用の光照射または加熱がなされる面側に紫外線硬化性樹脂をそのまま、或いは適当な溶剤に溶解して調製した塗布液を塗布した後、紫外線照射により硬化する方法が挙げられる。上記塗布方法のうち、生産性の高さや、得られるオーバーコート層の表面平滑性等の点から、スピンコート法が好ましい。
紫外線照射の光源としては、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等が使用される。そして、照射エネルギー量は、通常150〜2000mJ/cm、好ましくは250〜1000mJ/cmの範囲から選択される。この際、数秒で塗膜が硬化するため、生産性に優れている。
オーバーコート層の膜厚は、1.0〜100μm程度が好ましいが、可視情報の記録手法に応じて膜厚は適宜調整される。可視情報記録層の保護という観点からは、通常1.0μm以上、好ましくは3.0μm以上であり、また通常15μm以下、好ましくは10μm以下程度であればよい。
前述したように、光照射により可視情報を記録する場合には、記録光のフォーカシングのためには、ある程度の厚みがあることが好ましく、具体的には10μm以上、より好ましくは20μm以上であり、厚みの上限は通常100μm程度、より好ましくは80μm程度である。オーバーコート層の厚さが、10μmより小さい場合、記録光のフォーカス安定化効果が不十分となり、安定して記録を行うことができなくなる虞がある。また、該層の厚さが、100μmより大きい場合は、塗布膜の硬化収縮による媒体の反り、オーバーコート層と後述する基板材料との吸湿性の違いによる媒体の反り等の影響が大きくなり、安定した反りの情報記録媒体を得ることができなくなる可能性がある。
オーバーコート層により、記録光を効率的に集光して安定的にフォーカシングするためには、該層の屈折率は0.4以上、2.6以下、特に0.5以上、1.9以下であることが好ましい。
以下に、本発明の情報記録媒体を図面を参照して説明する。図1は、本発明の情報記録媒体の実施の形態の一例を示す断面図であり、図1中、基板1の上に電子情報記録層2,反射層3及び保護層4が設けられ、その上に可視情報記録層5及びオーバーコート層6が形成されたものである。基板1〜保護層4からなる光情報記録媒体10は、通常のCD−Rを示す。
基板1を構成する材料は、基本的には記録光及び再生光の波長に対して透明なものであればよく、このような材料としては、例えば、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、非晶質ポリオレフィン樹脂等の高分子材料の他、ガラス等の無機材料が使用される。特に、ポリカーボネート樹脂は、光の透過性が高く、且つ光学的異方性が小さく、また強度が高いなどの点で優れており、好ましい。耐薬品性、耐吸湿性、光学特性などの点からは、非晶質ポリオレフィンが好ましい。
基板1の電子情報記録層2に接する面には、記録再生用の案内溝やピットを設けても良い。このような案内溝やピットは、基板1の形成時に付与することが好ましいが、基板1の上に紫外線(UV)硬化樹脂を用いて付与することも出来る。
基板1の厚さの下限は通常1.1mm、好ましくは1.15mmであり、上限は通常1.3mm、好ましくは1.25mmである。
電子情報記録層2は、基板1上に直接形成されていても良く、必要に応じて任意の層を介して形成されていても良い。
電子情報記録層2は、レーザー光の照射により記録可能なものであれば良く、特に制限されず、有機物質よりなる電子情報記録層、無機物質よりなる電子情報記録層のいずれでも良い。
有機物質よりなる電子情報記録層には、主として有機色素が使用される。かかる有機色素としては、大環状アザアヌレン系色素(フタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素、ポリフィリン色素など)、ポリメチン系色素(シアニン色素、メロシアニン色素、スクワリリウム色素など)、アントラキノン系色素、アズレニウム系色素、アゾ系色素、含金属アゾ系色素、含金属インドアニリン系色素などが挙げられる。中でも含金属アゾ系色素、シアニン系色素、フタロシアニン系色素が好ましい。特に、含金属アゾ系色素は、耐久性及び耐光性に優れているため好ましい。
有機物質よりなる電子情報記録層2の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法などの乾式の薄膜形成法や、キャスト法、スピンコート法、浸漬法など一般に行われている湿式薄膜形成法が挙げられるが、量産性、コスト面からスピンコート法が特に好ましい。
無機物質よりなる電子情報記録層には、例えば、光磁気効果により記録を行うTb、Te、CoやDy・Fe・Co等の希土類遷移金属合金が使用される。また、相変化するGe・Te、Ge・Sb・Teのようなカルコゲン系合金も使用し得る。これらの層は、単層であっても良く、2層以上の複層で構成されていても良い。
無機物質よりなる電子情報記録層2の形成方法としては、蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法などが挙げられるが、量産性、コスト面からスパッタリング法が特に好ましい。
電子情報記録層2の厚さは、記録層の種類により異なるが、下限は通常5nm、好ましくは10nmであり、上限は通常500nm、好ましくは300nmである。
電子情報記録層2の上に反射層3が設けられるが、反射層3の材料としては、再生光の波長で反射率の十分高いもの、例えば、Au、Al、Ag、Cu、Ti、Cr、Ni、Pt、Ta、Pd等の金属を単独あるいは合金にして用いることが可能である。中でもAu、Al、Agは反射率が高く反射層の材料として適している。特に、Agを主成分としているものはコストが安い、反射率が高いなどの点から特に好ましい。
反射層3の形成方法としては、蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法などが挙げられるが、量産性、コスト面からスパッタリング法が特に好ましい。
反射層3の厚さの下限は通常30nm、好ましくは50nmであり、上限は通常150nm、好ましくは120nmである。
通常、情報記録媒体10においては、その電子情報記録層2及び反射層3の表面側(上面)に、保護層4が設けられている。本発明の情報記録媒体では反射層3と可視情記録層5との間に何等層が無くても良いが、可視情報記録層5を通常の情報記録媒体の表面に形成する場合には、反射層3と可視情報記録層5との間に保護層4が存在することになる。そこで、可視情報を光照射により記録する場合、保護層4は、レーザー光透過性の物質よりなることが好ましい。
この保護層を形成するレーザー光透過物質としては特に制限はなく、レーザー光透過性のものであれば良い。一般に情報記録媒体の保護層として多く用いられているものは、紫外線(UV)硬化性樹脂であるが、これらの樹脂の殆どは、レーザー光透過物質であるため、本発明に好適である。
UV硬化性樹脂としては、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレートなどのアクリレート系樹脂を用いることが出来、具体的には、前記オーバーコート層の形成に使用されるものと同様な材料を適宜選択して用いることが出来る。これらのUV硬化性樹脂は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。また、保護層4は一層の単層膜でも良く、2層以上の多層膜であっても良い。
UV硬化性樹脂よりなる保護層4は、UV硬化性樹脂そのまま若しくは適当な溶剤に溶解して塗布液を調製した後、この塗布液を反射層3の上に塗布し、UV光を照射して硬化させることによって形成することが出来る。この場合、塗布方法としては、スピンコート法やキャスト法等を採用することが出来る。保護層は、その他、スクリーン印刷法等の印刷法により形成することも出来、用いる材料に応じて適宜選択された方法で形成される。中でも、特にスピンコート法が好ましく、一般的にはスピンコート法が用いられている。
保護層4の厚さの下限は通常1.0μm、好ましくは3.0μmであり、上限は通常15μm、好ましくは10μmである。
本発明の情報記録媒体においては、通常、前述の方法により保護層4の上に有機物粒子を含む可視情報記録層5及び紫外線硬化性樹脂からなるオーバーコート層6が設けられる。
図1は本発明の情報記録媒体の実施の形態の一例を示すものであって、本発明の情報記録媒体は何ら図1に示す層構成のものに限定されるものではなく、好ましくは、本発明の情報記録媒体では、可視情報記録層の下に着色層または反射層が設けられる。具体的には、可視情報記録層5に対し、可視情報記録用の光入射面または熱印加面とは反対の面側に、着色層または反射層を設ける。
着色層を設ける場合、例えば図1の構成では、保護層4自体を着色して着色層としてもよいし、保護層4と可視情報記録層5との間に着色層を別に設けても良い。
着色層は、保護層と同様にレーザー光透過性の材料、例えばUV硬化性樹脂を用い、染料等の着色剤により所望の色に着色して層を形成することができる。可視情報は、被記録部分が透明化することにより記録されるので、着色層を設けることにより被記録個所の下地である着色層が明瞭に見えるようになり、視認性やデザイン性を高めることができるので好ましい。
可視情報記録層の下側(可視情報記録用レーザー光の入射面と反対側)に可視情報記録用レーザー光を反射するための反射層を設けることにより、光照射による可視情報記録時に、反射光を用いて安定的にフォーカシングすることができ、好ましい。
反射層を設ける場合、例えば図1の構成では、保護層4と可視情報記録層5との間に、(反射層3とは別に)反射層を設けても良いし、保護層4を透明な層とすることにより、反射層3が、電子情報記録層と可視情報記録層の両方に対して機能するようにすることも出来るが、光情報記録媒体の構成を簡素化して製造コストを低減する上で、この反射層は、可視情報記録層と電子情報記録層との双方のための反射層であることが好ましい。
本発明の情報記録媒体の電子情報記録は、記録/消去が可能な相変化型記録層であっても良く、可視情報記録層5と反射層3の間の保護層は、レーザー光に対して透過性であれば、2層以上であっても良く、また無くても良い。
また、本発明においては,CD−R等の光情報記録媒体の最表面層(保護層4)の上に、直接可視情報記録層5を形成しても良く、例えば接着層などのレーザー光に透過性の層を介して可視情報記録層5を形成しても良い。
更に、本発明は上記CD−R等の構成からなる光情報記録媒体に限定されるものではなく、種々の変形を行うことができる。例えば、光情報記録媒体が複数の電子記録層を有していても良い。また、厚さが0.6mm程度の案内溝及び/又はピットを有する基板(第1の基板)と案内溝及び/又はピットを有さないいわゆるダミー基板(第2の基板)を用いた記録媒体であれば、第1の基板/電子情報記録層/反射層/接着層/第2の基板/可視情報記録層/オーバーコート層からなる積層構造、又は第1の基板/電子情報記録層/反射層/接着層/可視情報記録層/第2の基板/からなる積層構造とすることにより本発明を適用できる。なお、各層間や最外層として必要に応じて他の層を設けてもよい。
更に、いわゆる基板面入射型光情報記録媒体に限られず、保護層側(即ち、膜面側)からレーザ光を照射して情報の記録・再生を行なう、いわゆる膜面入射型光記録媒体であれば、オ−バーコート層/可視情報記録層/基板/反射層/電子情報記録層/保護層からなる積層構造とすることにより本発明を適用できる。なお、各層間や最外層として必要に応じて他の層を設けてもよい。
更に、本発明の情報記録媒体に設けられる可視情報記録領域は、例えば円盤状の情報記録媒体の一方の面全体でも良いし、一方の面の一部分であっても良く、さらに両面に設けられていても良い。
本発明の情報記録媒体における可視情報記録層は、非接触で記録できるため、電子情報記録層への加圧による影響が少ない点、またより微細な記録が可能となる点から、光照射による可視情報記録が可能である場合がより好ましい。
以下に本発明を実施例及び比較例を挙げてより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これら実施例により制限されるものではない。
なお、以下の実施例及び比較例において、光情報記録媒体への可視情報の記録は、図2に示す記録装置を用いて行った。
図2に示す装置は、可視情報記録層を有する光ディスクに、通常の光ディスクドライブで可視情報記録を行えるようにしたものであり、光ディスク11をスピンドル12に装着してスピンドルモーター13で回転させると共に、フィード送り用のステッピングモーター14でねじ軸15を回転させ、任意の位置にピックアップを移動させる。スピンドルモーター13をFGパルス信号にてサーボを行い、ディスク11を任意の回転数に合わせる。フォーカスサーボにてディスク11面に焦点を合わせ、レーザー光17を集光させてディスク11に可視情報を書き込む。
このときレーザーパワーはフロントモニターにより適度なパワーで書き込めるように制御しておく。書き込み信号は、デューティー約50%のパルスをディスク面にて40〜50mWの出力で照射する。スピンドル回転数は160〜2560rpmである。
実施例1
射出成形により、幅0.45μm、深さ155nmのグルーブを有する1.2mm厚さのポリカーボネート基板を得た。この基板1に、含金アゾ色素のフッ素アルコール溶液をスピンコートにより塗布し、90℃で15分乾燥して膜厚100nmの電子情報記録層2を形成した。さらに、この電子情報記録層2の上にAgをスパッタリングして、70nm厚さの反射層3を形成した。
この反射層3の上に、アクリレート系モノマーを主体にした紫外線硬化性樹脂(大日本インキ社製 「SD−374」)をスピンコートにより塗布した後、紫外線を照射して硬化し、保護層4を形成した。
このようにして作製したCD−R10の保護層4の上に、可視情報記録層として、下記表1に記載の成分からなるトルエン溶液(可視情報記録層形成用の塗布液)を調整し、この塗布液をスピンコート法で塗布し、50℃で30分間乾燥し、厚さ約2μmの可視情報記録層5を形成した。
Figure 2004247031
<可視情報記録層形成用トルエン塗布液の調製>
2,4−ジヒドロキシ安息香酸(山田化学(株)製)0.60g、光熱変換剤(下記構造式)0.07g、バインダ樹脂溶液3.90g、トルエン1.95g及び粒径0.5mmのジルコニアビーズ15mlを、50mlのガラス容器に添加し、ペイントシェーカーで3時間振とうした。その後、ジルコニアビーズを濾別し、2,4−ジヒドロキシ安息香酸の微粒子分散液を作成した。
得られた分散液の2,4−ジヒドロキシ安息香酸の粒度分布を、マイクロトラック9340UPA(日機装(株)製)にて測定した結果、その平均粒径は1.5μmであった。
Figure 2004247031
(式中、RaおよびRbは各々独立に、tert−アミル基またはsec−アミル基であり、RaおよびRbそれぞれtert:sec=1:1である。)
上記の如く形成した可視情報記録層5上に、保護層4の形成に使用したものと同じアクリレート系モノマーを主体にした紫外線硬化性樹脂(大日本インキ社製「SD−374」)をスピンコートで塗布し、紫外線を照射して硬化することにより、厚さ7μmのオーバーコート層を形成した。
斯かる方法で作成した情報記録媒体に、図2に示す記録装置を用いて、オーバーコート層形成面(レーベル面)に50mWレーザーを照射して文字記録(可視情報)を行った。
安定したフォーカスが得られて所望の記録がを行うことが出来、また電子情報記録にも何ら問題を生じることはなかった。その結果を表3に示す。
尚、表中、記録視認性の評価は下記の基準を表す。
<記録視認性評価>
良 : 記録部が明瞭に認識できる。
やや良: 記録部が認識できる。
不良 : 記録部がほとんど認識できない。
実施例2〜4、比較例1〜3
実施例1の可視情報記録層における、有機物粒子の種類および/または量を下記表2に記載のように変更した他は、実施例1と同様にして情報記録媒体を作成し、可視情報記録層のレーベル面に記録を行った。
なお、実施例2〜4及び比較例1〜3においても、実施例1と同様にして、有機物粒子の分散液の平均粒径を測定した。
その結果、実施例2〜4は実施例1と同様に良好に記録が行え、また電子情報記録にも何等の問題を生ずることは無かった。比較例1および2は、有機物粒子が可視情報記録層中に均一に分散せず(粗大粒子)、記録できなかった。比較例3は、有機物粒子の融点が高すぎるため、記録光照射による光熱変換剤の発熱では記録することができなかった。以上の結果を、表3に纏めて示す。
Figure 2004247031
上記表中の略称で記載した有機物粒子は、下記を表す。
2,4−DHBA:山田化学(株)製;2,4−ジヒドロキシ安息香酸
3,4−DHBA:山田化学(株)製;3,4−ジヒドロキシ安息香酸
CVL:商品名 山田化学(株)製、ロイコ染料
ETAC:商品名 山田化学(株)製、ロイコ染料
BLMB:商品名 山田化学(株)製、ロイコ染料
試験例
<耐熱性試験>
実施例1〜4において良好に記録を行うことができた情報記録媒体について、以下の3つの条件下に置いたのち、その記録視認性により耐熱性評価を行った。その結果を表3に示す。
温度:60℃、70℃、80℃
湿度:30%RH
時間:5時間
<加湿試験>
実施例1〜4において良好に記録を行うことができた情報記録媒体について、以下の条件下に置いたのち、その記録視認性により加湿評価を行った。その結果を表3に示す。
温度:30℃
湿度:90%RH
時間:16時間
Figure 2004247031
なお、比較例1〜3は、記録直後ですでに視認性が不良のため、耐熱性試験及び加湿試験は行わなかった。
本発明の情報記録媒体の実施の形態の一例を示す断面図である。 実施例及び比較例において使用した情報記録装置の記録機構を示す模式図である。
符号の説明
1 基板
2 電子情報記録層
3 反射層
4 保護層
5 可視情報記録層
6 オーバーコート層
10 CD−R
11 光ディスク
13 スピンドルモータ
14 ステッピングモータ
16 アクチュエータ
17 レーザー光

Claims (5)

  1. 少なくとも可視情報を記録するための可視情報記録層及び基板を有する情報記録媒体において、可視情報記録層が融点50℃以上、180℃以下であり、且つ平均粒径が0.5μm以上、2.0μm以下である有機物粒子を含み、加熱または光照射によって該有機物粒子の実質的な化学的変化を伴わずに記録可能なことを特徴とする情報記録媒体。
  2. 前記可視情報記録層が前記有機物粒子を分散させたバインダ樹脂を用いて形成されており、可視情報記録層における前記有機物粒子の重量割合が、25%以上、70%以下であることを特徴とする請求項1記載の情報記録媒体。
  3. 加熱または光照射により、前記可視情報記録層中の前記有機物粒子が溶融し、透明化することにより可視情報が記録されることを特徴とする請求項1または2に記載の情報記録媒体。
  4. 前記の可視情報記録層中に光熱変換剤を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の情報記録媒体。
  5. 前記可視情報記録層はその基板側の面に着色層または反射層を有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の情報記録媒体。
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