JP2004244301A - 圧電磁器組成物及びその製造方法並びに圧電素子及び誘電素子 - Google Patents

圧電磁器組成物及びその製造方法並びに圧電素子及び誘電素子 Download PDF

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Abstract

【課題】鉛を含まず,高い圧電特性及び誘電特性を有し,特に圧電d31定数,電気機械結合係数Kp,及び比誘電率のいずれか一つ以上に優れた圧電磁器組成物及びその製造方法,並びに該圧電磁器組成物を利用した圧電素子及び誘電素子を提供すること。
【解決手段】一般式{Lix(K1-yNay1-x}(Nb1-z-wTazSbw)O3で表され,かつx,y,z,wがそれぞれ0≦x≦0.2,0≦y≦1,0<z≦0.4,0<w≦0.2の組成範囲にある化合物を主成分とする圧電磁器組成物である。該圧電磁器組成物は,Mg,Ca,Sr,Baから選ばれるいずれか1種以上の金属元素を添加元素として含有してなる。そして,上記添加元素の含有量の合計は,上記一般式で表される化合物1molに対して,0.0001mol〜0.10molである。
【選択図】なし

Description

本発明は,組成物中に鉛を含有しない圧電磁器組成物及びその製造方法,並びに該圧電磁器組成物を材料とする圧電素子及び誘電素子に関する。
従来より,圧電磁器組成物としては,鉛を含んだPZT(PbTiO3−PbZrO3)成分系磁器が用いられてきた。上記PZTは,大きな圧電性を示し,かつ高い機械的品質係数を有しており,センサ,アクチュエータ,フィルター等の各用途に要求されるさまざまな特性の材料を容易に作製できるからである。
また,上記PZTは高い比誘電率を有するためコンデンサ等としても利用することができる。
ところが,上記PZTからなる圧電磁器組成物は,優れた特性を有する一方で,その構成元素に鉛を含んでいるため,PZTを含んだ製品の産業廃棄物から有害な鉛が溶出し,環境汚染を引き起こすおそれがあった。そして,近年の環境問題に対する意識の高まりは,PZTのように環境汚染の原因となりうる製品の製造を困難にしてきた。そのため,組成物中に鉛を含有しない圧電磁器組成物の開発が求められ,一般式(K1-xNax)NbO3(但し,0<x<1)で表される圧電磁器組成物(非特許文献1参照)が注目されてきた。
しかしながら,上記一般式(K1-xNax)NbO3(但し,0<x<1)で表される圧電磁器組成物は,圧電d31定数,電気機械結合係数Kp,圧電g31定数,機械的品質係数Qm等の圧電特性が低いという問題があった。そのため,例えば高い圧電d31定数,電気機械結合係数Kpを必要とする圧電アクチュエータ,圧電フィルター,圧電振動子,圧電トランス,圧電超音波モータ,圧電ジャイロセンサ,ノックセンサ,ヨーレートセンサ,エアバッグセンサ,バックソナー,コーナーソナー,圧電ブザー,圧電スピーカー,圧電着火器等の圧電素子への適用が困難であった。
また,上記一般式で表される圧電磁器組成物は,比誘電率ε33T/ε0,誘電損失tanδ等の誘電特性が低いため,コンデンサ等の誘電素子への適用が困難であるという問題があった。
"Journal of the American Ceramic Society",米国,1962,Vol.45,No.5,p.209
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,鉛を含まず,高い圧電特性及び誘電特性を有し,特に圧電d31定数,電気機械結合係数Kp,及び比誘電率のいずれか一つ以上に優れた圧電磁器組成物及びその製造方法,並びに該圧電磁器組成物を利用した圧電素子及び誘電素子を提供しようとするものである。
第1の発明は,一般式{Lix(K1-yNay1-x}(Nb1-z-wTazSbw)O3で表され,かつx,y,z,wがそれぞれ0≦x≦0.2,0≦y≦1,0<z≦0.4,0<w≦0.2の組成範囲にある化合物を主成分とする圧電磁器組成物であって,
該圧電磁器組成物は,Mg,Ca,Sr,Baから選ばれるいずれか1種以上の金属元素を添加元素として含有してなり,
上記添加元素の含有量の合計は,上記一般式で表される化合物1molに対して,0.0001mol〜0.10molであることを特徴とする圧電磁器組成物にある(請求項1)。
また,第2の発明は,一般式{Lix(K1-yNay1-x}(Nb1-z-wTazSbw)O3で表され,かつx,y,z,wがそれぞれ0≦x≦0.2,0≦y≦1,0<z≦0.4,0<w≦0.2の組成範囲にある化合物を主成分とする圧電磁器組成物であって,
該圧電磁器組成物は,Si,In,Scから選ばれるいずれか1種以上の金属元素を添加元素として含有してなり,
上記添加元素の含有量の合計は,上記一般式で表される化合物1molに対して,0.08mol以下であることを特徴とする圧電磁器組成物にある(請求項3)。
また,第3の発明は,一般式{Lix(K1-yNay1-x}(Nb1-z-wTazSbw)O3で表され,かつx,y,z,wがそれぞれ0≦x≦0.2,0≦y≦1,0<z≦0.4,0<w≦0.2の組成範囲にある化合物を主成分とする圧電磁器組成物であって,
該圧電磁器組成物は,Biを添加元素として含有してなり,
上記添加元素の含有量は,上記一般式で表される化合物1molに対して,0.0001mol〜0.004molであることを特徴とする圧電磁器組成物にある(請求項5)。
次に,上記第1〜第3の発明の作用効果につき説明する。
上記第1〜第3の発明の圧電磁器組成物は,その組成中に鉛を含有していない。
そのため,上記圧電磁器組成物は,その廃棄物等から有害な鉛が自然界に流出することがなく,安全である。
また,上記圧電磁器組成物は,上記一般式で表される化合物を主成分とし,かつ上記一般式におけるx,y,z,wがそれぞれ上記の範囲にある。
そのため,上記圧電磁器組成物は,圧電d31定数,電気機械結合係数Kp,圧電g31定数,機械的品質係数Qm等の圧電特性,また比誘電率ε33T/ε0及び誘電損失tanδ等の誘電特性,またキュリー温度Tcに優れている。
なお,上記添加元素を含有しておらず,上記一般式{Lix(K1-yNay1-x}(Nb1-z-wTazSbw)O3で表される組成を,以下適宜,「基本組成」という。
上記第1の発明の圧電磁器組成物は,上記一般式で表される基本組成の化合物に加えて,Mg,Ca,Sr,Baから選ばれるいずれか1種以上の金属元素を添加元素として,上記含有量の範囲で含有している。
また,上記第2の発明の圧電磁器組成物は,上記一般式で表される基本組成の化合物に加えて,Si,In,Scから選ばれるいずれか1種以上の金属元素を添加元素として,上記含有量の範囲で含有している。
また,上記第3の発明の圧電磁器組成物は,上記一般式で表される基本組成の化合物に加えて,Biを添加元素として,上記含有量の範囲で含有している。
そのため,上記第1〜第3発明の圧電磁器組成物は,特に圧電d31定数,電気機械結合係数Kp,比誘電率ε33T/ε0のいずれか一つ以上の特性が一層向上しており,上記一般式で表される,上記添加元素を含有しない圧電磁器組成物に比べてもより一層優れたものとなる。
なお,上記第1〜第3の発明において,上記圧電磁器組成物は,上記添加元素を,上記一般式で表される化合物に対して置換添加させて含有していてもよく,また,上記一般式で表される化合物に対して外添加させて含有していてもよい。
このように,上記第1〜第3の発明の圧電磁器組成物は,鉛を含有していないため環境に対して安全であり,また優れた圧電特性を有するため,高性能な圧電素子として利用することができる。
また,上記圧電磁器組成物は,上記圧電特性に加えて比誘電率及び誘電損失等の誘電特性にも優れている。そのため,上記第1〜第3の発明の圧電磁器組成物は,高性能な誘電素子としても利用することができる。即ち,上記圧電磁器組成物は,圧電特性を有する圧電磁器組成物に限らず,誘電特性を有する誘電磁器組成物をも含む概念である。
次に,第4の発明は,一般式{Lix(K1-yNay1-x}(Nb1-z-wTazSbw)O3で表され,かつx,y,z,wがそれぞれ0≦x≦0.2,0≦y≦1,0<z≦0.4,0<w≦0.2の組成範囲にある化合物と,Mg,Ca,Sr,Baから選ばれる1種以上の金属元素を含む添加物とを混合し,焼成することを特徴とする圧電磁器組成物の製造方法にある(請求項26)。
また,第5の発明は,一般式{Lix(K1-yNay1-x}(Nb1-z-wTazSbw)O3で表され,かつx,y,z,wがそれぞれ0≦x≦0.2,0≦y≦1,0<z≦0.4,0<w≦0.2の組成範囲にある化合物と,Si,In,Scから選ばれる1種以上の金属元素を含む添加物とを混合し,焼成することを特徴とする圧電磁器組成物の製造方法(請求項27)。
また,第6の発明は,一般式{Lix(K1-yNay1-x}(Nb1-z-wTazSbw)O3で表され,かつx,y,z,wがそれぞれ0≦x≦0.2,0≦y≦1,0<z≦0.4,0<w≦0.2の組成範囲にある化合物と,Biを含む添加物とを混合し,焼成することを特徴とする圧電磁器組成物の製造方法にある(請求項28)。
上記第4〜第6の発明において,上記一般式で表される化合物と上記添加物とを混合して得られる混合物は,いずれも常圧下にて焼結することができる。そのため,簡単かつ低コストにて焼成を行うことができる。そして,上記焼成後に得られる圧電磁器組成物は,鉛を含有せず,圧電d31定数及び電気機械結合係数Kp等の圧電特性,また比誘電率及び誘電損失等の誘電特性に優れたものとなる。そのため,高性能な圧電素子又は誘電素子等の材料として利用することができる。
また,上記第4〜第6の発明の製造方法においては,上記一般式で表される化合物に対して,上記の金属元素を置換添加させてもよく,また外添加させてもよい。
また,上記第4の発明において,上記焼成後に得られる上記圧電磁器組成物には,上記添加物が添加された結果,上記一般式で表される化合物のLi,K,Naのいずれか1種以上の少なくとも一部を,Mg,Ca,Sr,Baから選ばれるいずれか一種以上の金属元素が置換して含有されたり,上記金属元素又はこれを含む酸化物乃至はペロブスカイト構造化合物等の化合物として,上記圧電磁器組成物中の粒内や粒界等に含有されたりする。
また,上記第5の発明においては,上記焼成後に得られる上記圧電磁器組成物には,上記添加物が添加された結果,上記一般式で表される化合物のNb,Ta,Sbのいずれか1種以上の少なくとも一部を,Si,In,Scから選ばれるいずれか一種以上の金属元素に置換して含有されたり,上記金属元素又はこれを含む酸化物乃至はペロブスカイト構造化合物等の化合物として,上記圧電磁器組成物中の粒内や粒界等に含有されたりする。
また,上記第6の発明においては,上記焼成後に得られる上記圧電磁器組成物には,上記添加物が添加された結果,上記一般式で表される化合物のNb,Ta,Sbのいずれか1種以上の少なくとも一部を,Biに置換して含有されたり,Bi又はこれを含む酸化物乃至はペロブスカイト構造化合物等の化合物として,上記圧電磁器組成物中の粒内や粒界等に含有されたりする。
次に,第7の発明は,Liを含有する化合物と,Naを含有する化合物と,Kを含有する化合物と,Nbを含有する化合物と,Taを含有する化合物と,Sbを含有する化合物とを,焼成後に一般式{Lix(K1-yNay1-x}(Nb1-z-wTazSbw)O3で表され,かつx,y,z,wがそれぞれ0≦x≦0.2,0≦y≦1,0<z≦0.4,0<w≦0.2の組成範囲にある化合物となるような化学量論比にて,又は下記の添加物に含有される金属元素による置換を考慮した化学量論比にて用意し,さらにMg,Ca,Sr,Baから選ばれるいずれか1種以上の金属元素を含む添加物を混合し,焼成することを特徴とする圧電磁器組成物の製造方法にある(請求項29)。
また,第8の発明は,Liを含有する化合物と,Naを含有する化合物と,Kを含有する化合物と,Nbを含有する化合物と,Taを含有する化合物と,Sbを含有する化合物とを,焼成後に一般式{Lix(K1-yNay1-x}(Nb1-z-wTazSbw)O3で表され,かつx,y,z,wがそれぞれ0≦x≦0.2,0≦y≦1,0<z≦0.4,0<w≦0.2の組成範囲にある化合物となるような化学量論比にて,又は下記の添加物に含有される金属元素による置換を考慮した化学量論比にて用意し,さらにSi,In,Scから選ばれるいずれか1種以上の金属元素を含む添加物を混合し,焼成することを特徴とする圧電磁器組成物の製造方法にある(請求項31)。
また,第9の発明は,Liを含有する化合物と,Naを含有する化合物と,Kを含有する化合物と,Nbを含有する化合物と,Taを含有する化合物と,Sbを含有する化合物とを,焼成後に一般式{Lix(K1-yNay1-x}(Nb1-z-wTazSbw)O3で表され,かつx,y,z,wがそれぞれ0≦x≦0.2,0≦y≦1,0<z≦0.4,0<w≦0.2の組成範囲にある化合物となるような化学量論比にて,又は下記の添加物に含有されるBi原子による置換を考慮した化学量論比にて用意し,さらにBiを含む添加物を混合し,焼成することを特徴とする圧電磁器組成物の製造方法にある(請求項33)。
上記第7,第8,又は第9の発明によれば,それぞれ上記第1,第2,又は第3の発明の圧電磁器組成物を簡単に作製することができる。
さらに,上記第7〜第9の発明において,上記焼成は,常圧下にて行うことができる。
そのため,簡単かつ低コストにて上記圧電磁器組成物を製造することができる。そして,上記焼成後に得られる圧電磁器組成物は,鉛を含有せず,圧電特性や誘電特性に優れたものとなる。そのため,高性能な圧電素子及び誘電素子等の材料として用いることができる。
また,上記第7の発明において,上記焼成後に得られる上記圧電磁器組成物には,上記添加物が添加された結果,上記一般式で表される化合物のLi,K,Naのいずれか1種以上の少なくとも一部を,Mg,Ca,Sr,Baから選ばれるいずれか1種以上の金属元素が置換して含有されたり,該金属元素又はこれらを含む酸化物乃至はペロブスカイト構造化合物等の化合物として,上記圧電磁器組成物中の粒内や粒界等に含有されたりする。
また,上記第8の発明において,上記焼成後に得られる上記圧電磁器組成物には,上記添加物が添加された結果,上記一般式で表される化合物のNb,Ta,Sbのいずれか1種以上の少なくとも一部を,Si,In,Scから選ばれるいずれか1種以上の金属元素が置換して含有されたり,該金属元素又はこれらを含む酸化物乃至はペロブスカイト構造化合物等の化合物として,上記圧電磁器組成物中の粒内や粒界等に含有されたりする。
また,上記第9の発明において,上記焼成後に得られる上記圧電磁器組成物には,上記添加物が添加された結果,上記一般式で表される化合物のNb,Ta,Sbのいずれか1種以上の少なくとも一部を,Biが置換して含有されたり,Bi原子又はこれを含む酸化物乃至はペロブスカイト構造化合物等の化合物として,上記圧電磁器組成物中の粒内や粒界等に含有されたりする。
上記第7〜第9の発明において,Liを含有する化合物と,Naを含有する化合物と,Kを含有する化合物と,Nbを含有する化合物と,Taを含有する化合物と,Sbを含有する化合物と,上記添加物とを,該添加物に含有される金属元素又はBi原子による置換を考慮した化学量論比にて混合した場合には,上記一般式で表される化合物中のLi,Na,K,Nb,Ta,及びSbのいずれか1種以上の少なくとも一部を,上記添加物が含有する金属元素やBi原子に積極的に置換させることができる。
上記第7の発明及び第8の発明における「添加物に含有される金属元素による置換を考慮した化学量論比にて用意」,及び上記第9の発明における「添加物に含有されるBi原子による置換を考慮した化学量論比にて用意」は,例えば上記一般式で表される化合物のLiに上記添加物の金属元素又はBi原子を置換させる場合には,Liを含む化合物の量を減らし,その減らした分だけ上記添加物を添加して混合すると共に,全体としては,焼成後に一般式{Lix(K1-yNay1-x}(Nb1-z-wTazSbw)O3で表される化合物が合成されるような化学量論比にて用意すること等により,実現することができる。
上記一般式中の,K,Na,Nb,Ta,Sbという他の原子に置換させる場合にもこれらを含む化合物の量を減らし,その分だけ置換させたい金属元素又はBi原子を含む添加物を添加すること等により実現することができる。
一方,焼成後乃至は焼成前に,上記一般式{Lix(K1-yNay1-x}(Nb1-z-wTazSbw)O3で表される化合物となるような化学量論比にて,Liを含有する化合物と,Naを含有する化合物と,Kを含有する化合物と,Nbを含有する化合物と,Taを含有する化合物と,Sbを含有する化合物とを用意し,ここに上記添加物をさらに混合することにより,上記金属元素,Bi又はこれらを含む酸化物乃至はペロブスカイト構造化合物等の化合物として上記添加物を含有する圧電磁器組成物を積極的に作製することができる。
第10の発明は,上記第1〜第3の発明の圧電磁器組成物よりなる圧電体を有することを特徴とする圧電素子にある(請求項35)。
上記第10の発明の圧電素子は,上記第1〜第3の発明の圧電磁器組成物よりなる圧電体を有している。そのため,上記圧電素子は,鉛を含有せず,環境に対して安全である。
また,上記圧電素子は,上記圧電磁器組成物が有する,圧電d31定数等の圧電特性が優れるという性質をそのまま利用することができる。そのため,上記圧電素子は,感度の高い圧電センサ素子,高い電気機械エネルギー変換効率を有する圧電アクチュエータ,圧電フィルター,圧電振動子,圧電トランス,圧電超音波モータ,圧電ジャイロセンサ,ノックセンサ,ヨーレートセンサ,エアバッグセンサ,バックソナー,コーナーソナー,圧電ブザー,圧電スピーカー,圧電着火器等の圧電素子等として利用することができる。
第11の発明は,上記第4〜第9の発明の製造方法により製造された圧電磁器組成物よりなる圧電体を有することを特徴とする圧電素子(請求項36)。
上記第11の発明の圧電素子は,上記第4〜第9の発明の製造方法により得られる圧電磁器組成物よりなる圧電体を有している。そのため,上記圧電素子は,上記圧電磁器組成物の優れた特性をそのまま生かして,感度の高い圧電センサ素子,高い電気機械エネルギー変換効率を有する圧電アクチュエータ,圧電フィルター,圧電振動子,圧電トランス,圧電超音波モータ,圧電ジャイロセンサ,ノックセンサ,ヨーレートセンサ,エアバッグセンサ,バックソナー,コーナーソナー,圧電ブザー,圧電スピーカー,圧電着火器等の圧電素子等として利用することができる。
第12の発明は,上記第1〜第3の発明の圧電磁器組成物よりなる誘電体を有することを特徴とする誘電素子(請求項37)
上記第12の発明の誘電素子は,上記第1〜第3の発明の圧電磁器組成物よりなる誘電体を有している。そのため,上記誘電素子は,鉛を含有せず,環境に対して安全である。また,上記誘電素子は,上記圧電磁器組成物が有する,比誘電率及び誘電損失に優れるという性質をそのまま利用することができる。そのため,静電容量の大きいコンデンサ等として利用することができる。
第13の発明は,上記第4〜第9の発明の製造方法により製造された圧電磁器組成物よりなる誘電体を有することを特徴とする誘電素子(請求項38)。
上記第13の発明の誘電素子は,上記第4〜第9の発明の製造方法により得られる圧電磁器組成物よりなる誘電体を有している。そのため,上記誘電素子は,上記圧電磁器組成物の優れた特性をそのまま生かして,静電容量の大きいコンデンサ等として利用することができる。
上記第1の発明〜第9の発明において,上記一般式{Lix(K1-yNay1-x}(Nb1-z-wTazSbw)O3で表される化合物は,x,y,z,wの範囲がそれぞれ0≦x≦0.2,0≦y≦1,0<z≦0.4,0<w≦0.2にある。
ここで,x>0.2,z>0.4,w>0.2,z=0,又はw=0の場合には,圧電d31定数等の圧電特性及び誘電特性が低下し,所望の特性の圧電磁器組成物を得ることができないおそれがある。
また,上記一般式{Lix(K1-yNay1-x}(Nb1-z-wTazSbw)O3で表される化合物において、yの範囲は、0≦y≦0.85であることがより好ましく、0.05≦y≦0.75であることがさらに好ましい。これらの場合には,上記圧電磁器組成物の圧電d31定数及び電気機械結合係数Kpを一層向上させることができる。さらに一層好ましくは,0.05≦y<0.75がよく、さらには0.35≦y≦0.65がよく、さらには0.35≦y<0.65がより好ましい。また,最も好ましくは,0.42≦y≦0.60がよい。
上記圧電磁器組成物は,上記のごとく,ペロブスカイト構造(ABO3)の化合物を主成分としている。本発明において,上記ペロブスカイト構造(ABO3)におけるAサイトの元素構成は,K,Na乃至はK,Na,Liに相当し,Bサイトの元素構成は,Nb,Ta,Sbに相当する。このペロブスカイト構造の組成式においては,Aサイトを構成する原子とBサイト構成する原子が1:1となる化学量論比のとき,完全なペロブスカイト構造となるが,上記圧電磁器組成物の場合には,特にK,Na,Li,Sbが焼成工程等で数%,具体的には3%程度揮発したり,また全構成元素が混合粉砕や造粒工程等にて数%,具体的には3%程度変動することがある。即ち,製法のバラツキにより,化学量論組成からの変動が起こる場合がある。
このような製造工程上の組成変動への対応として,意図的に配合組成比を変えることにより,焼成後の圧電磁器組成物の組成比を,±数%,より具体的には±3〜5%程度変動させることができる。このことは,例えば従来のチタン酸ジルコン酸塩(PZT)の場合でも同様であり,焼成時の鉛の蒸発や,粉砕メディアであるジルコニアボールからのジルコニアの混入を考慮して配合比を調整することができる。
本発明の圧電磁器組成物においては,上記のように意図的に配合組成比を変えても,圧電特性等の電気的特性は大きく変化しない。
したがって,本発明においては,上記一般式Lix(K1-yNay1-x}(Nb1-z-wTazSbw)O3で表される化合物は,これをペロブスカイト構造の組成式ABO3にあてはめたときに,Aサイト原子とBサイト原子の構成比を1:1に対してそれぞれ±5モル%程度までずれた構成比とすることができる。なお,構成される結晶中の格子欠陥をより少なくし,高い電気的特性を得るためには,好ましくは±3%程度までの組成がよい。
即ち,上記圧電磁器組成物の主成分としての上記一般式で表される化合物は,[Lix(K1-yNay1-xa{(Nb1-z-wTazSbw)}b3(0≦x≦0.2,0≦y≦1,0<z≦0.4,0<w≦0.2,0.95≦a,b≦1.05)となる範囲を含むものである。また,上述のごとく,上記の式において,a及びbの範囲は0.97≦a,b≦1.03であることが好ましい。
また,上記一般式{Lix(K1-yNay1-x}(Nb1-z-wTazSbw)O3におけるxの範囲は,0<x≦0.2であることが好ましい。
この場合には,Liが必須成分となるので,上記圧電磁器組成物は,その作製時の焼成を一層容易に行うことができると共に,圧電特性をより向上させ,キュリー温度Tcを一層高くすることができる。これはLiを上記の範囲内において必須成分とすることにより,焼成温度が低下すると共に,Liが焼成助剤の役割を果たし,空孔の少ない焼成を可能とするからである。
また,上記一般式{Lix(K1-yNay1-x}(Nb1-z-wTazSbw)O3におけるxの値は,x=0とすることができる。
この場合には,上記一般式は(K1-yNay)(Nb1-z-wTazSbw)O3で表される。そしてこの場合には,上記圧電磁器組成物を作製する際に,その原料中に例えばLiCO3のように,最も軽量なLiを含有してなる化合物を含まないので,原料を混合し上記圧電磁器組成物を作製するときに原料粉の偏析による特性のばらつきを小さくすることができる。また,この場合には,高い比誘電率と比較的大きな圧電g定数を実現できる。
また,上記第1の発明(請求項1)において,上記圧電磁器組成物は,Mg,Ca,Sr,Baから選ばれるいずれか1種以上の金属元素を添加元素として含有してなり,上記添加元素の含有量の合計は,上記一般式で表される化合物1molに対して,0.0001mol〜0.10molである。上記圧電磁器組成物は,上記添加元素を,上記一般式で表される化合物に対して置換添加させて含有していてもよく,また,上記一般式で表される化合物に対して外添加させて含有していてもよい。
上記添加元素の含有量の合計が,0.0001mol未満の場合,又は0.10molを超える場合には,上記圧電磁器組成物の圧電d31定数,電気機械結合係数Kp,比誘電率ε33T/ε0等が低下し,所望の圧電特性及び誘電特性を有する圧電磁器組成物を得ることができないおそれがある。
なお,上記添加元素の含有量は,Mg,Ca,Sr,Baの各金属元素のモル数である。
また,上記添加元素は,上記一般式{Lix(K1-yNay1-x}(Nb1-z-wTazSbw)O3で表される化合物のLi,K,Naの少なくとも一部を,上記Mg,Ca,Sr,Baから選ばれるいずれか1種以上の金属元素に置換して配置する形態をとることができる。上記Mg,Ca,Sr,Baのような+2価となりうる原子は,上記一般式で表される化合物のLi,K,Naの少なくとも一部に置換して配置されやすい。
一方,上記添加元素は,上記金属元素又はこれを含む酸化物乃至はペロブスカイト構造化合物等の化合物として,上記圧電磁器組成物の粒内や粒界等に存在する形態をとることもできる。
好ましくは,上記添加元素は,上記一般式で表される化合物のLi,K,Naの少なくとも一部に置換して含有されていることがよい(請求項2)。
この場合には,上記圧電磁器組成物の圧電d31定数及び電気機械結合係数Kp等の圧電特性,及び比誘電率ε33T/ε0等の誘電特性を一層向上させることができる。
特に好ましくは,上記添加元素としてのMg,Ca,Sr,Baから選ばれる1種以上の金属元素が,上記一般式で表される化合物のK又は/及びNaの少なくとも一部に置換して,上記圧電磁器組成物が,一般式{Lix(K1-yNay1-x-2uMau}(Nb1-z-wTazSbw)O3(但し,MaはMg,Ca,Sr,Baから選ばれる1種以上の金属元素であり,x,y,z,w,uはそれぞれ0≦x≦0.2,0≦y≦1,0<z≦0.4,0<w≦0.2,0.0005≦u≦0.1)で表される化合物よりなるのがよい。
この場合には,上記圧電磁器組成物の圧電d31定数及び電気機械結合係数Kp等の圧電特性,及び比誘電率ε33T/ε0等の誘電特性をさらに一層向上させることができる。
また,上記第2の発明(請求項3)において,上記圧電磁器組成物は,Si,In,Scから選ばれるいずれか1種以上の金属元素を添加元素として含有してなり,上記添加元素の含有量の合計は,上記一般式で表される化合物1molに対して,0.08mol以下である。上記圧電磁器組成物は,上記添加元素を,上記一般式で表される化合物に対して置換添加させて含有していてもよく,また,上記一般式で表される化合物に対して外添加させて含有していてもよい。
上記添加元素の含有量の合計が,0.08molを超える場合には,上記圧電磁器組成物の圧電d31定数及び電気機械結合係数Kp等の圧電特性,及び比誘電率ε33T/ε0等の誘電特性が低下し,所望の圧電特性及び誘電特性を有する圧電磁器組成物を得ることができないおそれがある。
また,上記添加元素の含有量の合計は,上記一般式で表される化合物1molに対して,0.0001mol以上であることが好ましい(請求項4)。
この場合には,上記添加元素による効果を充分に得ることができる。
なお,上記添加元素の含有量は,Si,In,Scの各金属元素のモル数である。
また,上記添加元素は,上記一般式{Lix(K1-yNay1-x}(Nb1-z-wTazSbw)O3で表される化合物のNb,Ta,Sbの少なくとも一部を,上記Si,In,Scから選ばれるいずれか1種以上の金属元素に置換して配置する形態をとることができる。上記Si,In,Scのように+3価や+4価になりうる金属元素は,上記一般式で表される化合物のNb,Ta,Sbの少なくとも一部に置換されやすい。
一方,上記添加元素は,上記金属元素又はこれを含む酸化物乃至はペロブスカイト構造化合物等の化合物として,上記圧電磁器組成物の粒内や粒界等に存在する形態をとることもできる。即ち,上記圧電磁器組成物は,上記添加元素を,上記一般式で表される化合物に対して置換添加させて含有していてもよく,また,上記一般式で表される化合物に対して外添加させて含有していてもよい。
そして,上記第2の発明の圧電磁器組成物は,上述した2つの形態のうち,いずれの形態で上記添加元素を含有していても,同様に優れた圧電特性及び誘電特性を示すことができる。
また,上記第3の発明(請求項5)において,上記圧電磁器組成物は,Biを添加元素として含有してなり,上記添加元素の含有量は,上記一般式で表される化合物1molに対して,0.0001mol〜0.004molである。
上記第3の発明の圧電磁器組成物においては,0.0001mol〜0.004molという少ない量のBiを含有することにより,圧電d31定数等の特性が向上する。
上記含有量の合計が,0.0001未満の場合,又は0.004molを超える場合には,上記圧電磁器組成物の圧電d31定数,電気機械結合係数Kp,及び比誘電率ε33T/ε0等が低下し,所望の圧電特性及び誘電特性を有する圧電磁器組成物を得ることができないおそれがある。
なお,上記添加元素の含有量は,金属元素Biのモル数である。
また,上記添加元素は,上記一般式{Lix(K1-yNay1-x}(Nb1-z-wTazSbw)O3で表される化合物のNb,Ta,Sbの少なくとも一部を,Bi原子に置換して配置する形態をとることができる。Biのように+3価になりうる金属元素は,上記一般式で表される化合物のNb,Ta,Sbの少なくとも一部に置換されやすい。
一方,上記添加元素は,Bi原子又はこれを含む酸化物乃至はペロブスカイト構造化合物等の化合物として,上記圧電磁器組成物の粒内や粒界等に存在する形態をとることもできる。即ち,上記圧電磁器組成物は,上記添加元素を,上記一般式で表される化合物に対して置換添加させて含有していてもよく,また,上記一般式で表される化合物に対して外添加させて含有していてもよい。
そして,上記第3の発明の圧電磁器組成物は,上述した2つの形態のうち,いずれの形態で上記添加元素を含有していても,同様に優れた圧電特性及び誘電特性を示すことができる。
次に,上記第1〜第3の発明において,上記圧電磁器組成物の圧電d31定数は,上記一般式で表され,上記添加元素を含有していない圧電磁器組成物の圧電d31定数よりも,大きいことが好ましい(請求項6)。
上述の「上記一般式で表され,上記添加元素を含有していない圧電磁器組成物の圧電d31定数よりも大きい」とは,上記添加元素を含有する圧電磁器組成物の圧電d31定数が,この圧電磁器組成物の基本組成を有し上記添加元素を含有していない圧電磁器組成物(以下適宜基本圧電磁器組成物という)に比べて,大きいことを意味するものであり,後述する電気機械結合係数Kp,圧電g31定数,機械的品質係数Qm,比誘電率,誘電損失,及びキュリー温度Tcについても同様である。
また,上記圧電磁器組成物の電気機械結合係数Kpは,上記一般式で表され,上記添加元素を含有していない圧電磁器組成物の電気機械結合係数Kpよりも大きいことが好ましい(請求項7)。
また,上記圧電磁器組成物の圧電g31定数は,上記一般式で表され,上記添加元素を含有していない圧電磁器組成物の圧電g31定数よりも大きいことが好ましい(請求項8)。
さらに,上記圧電磁器組成物の機械的品質係数Qmは,上記一般式で表され,上記添加元素を含有していない圧電磁器組成物の機械的品質係数Qmよりも大きいことが好ましい(請求項9)。
上記圧電磁器組成物の圧電d31定数,電気機械結合係数Kp,圧電g31定数,機械的品質係数Qmが,上記一般式で表され,上記添加元素を含有していない基本圧電磁器組成物のものよりも大きい場合には,上記添加元素の効果を充分に得ることができ,圧電アクチュエータ,圧電フィルター,圧電振動子,圧電トランス,圧電超音波モータ,圧電ジャイロセンサ,ノックセンサ,ヨーレートセンサ,エアバッグセンサ,バックソナー,コーナーソナー,圧電ブザー,圧電スピーカー,圧電着火器等の圧電素子への適用がより容易になる。
次に,上記圧電磁器組成物の比誘電率は,上記一般式で表され,上記添加元素を含有していない圧電磁器組成物の比誘電率よりも大きいことが好ましい(請求項10)。
上記一般式で表され,上記添加元素を含有していない圧電磁器組成物(基本圧電磁器組成物)の比誘電率よりも小さい場合には,上記添加元素の効果を充分に得ることができないだけでなく,コンデンサ等の誘電素子への適用が困難になるおそれがある。
次に,上記圧電磁器組成物の誘電損失は,上記一般式で表され,上記添加元素を含有していない圧電磁器組成物の誘電損失よりも小さいことが好ましい(請求項11)。
上記一般式で表され,上記添加元素を含有していない圧電磁器組成物(基本圧電磁器組成物)の誘電損失よりも大きい場合には,上記添加元素の効果を充分に得ることができないだけでなく,コンデンサ等の誘電素子への適用が困難になるおそれがある。
次に,上記圧電磁器組成物のキュリー温度Tcは,上記一般式で表され,上記添加元素を含有していない圧電磁器組成物のキュリー温度Tcよりも大きいことが好ましい(請求項12)。
上記一般式で表され,上記添加元素を含有していない圧電磁器組成物(基本圧電磁器組成物)のキュリー温度よりも大きい場合には,上記添加元素の効果を充分に得ることができ,例えば自動車のエンジン付近等のように100℃を超える高温度の環境下における利用がより容易になる。
次に,上記圧電磁器組成物は,圧電d31定数が30pm/V以上であることが好ましい(請求項13)。
この場合には,30pm/V以上という高い圧電d31定数を生かして,上記圧電磁器組成物を,圧電アクチュエータ,圧電フィルター,圧電振動子,圧電トランス,圧電超音波モータ,圧電ジャイロセンサ,ノックセンサ,ヨーレートセンサ,エアバッグセンサ,バックソナー,コーナーソナー,圧電ブザー,圧電スピーカー,圧電着火器等として利用することができる。
上記圧電d31定数が30pm/V未満の場合には,実用に充分耐えうる特性の圧電素子として利用できないおそれがある。
また,より感度に優れた圧電センサ特性又はより大きな圧電アクチュエータ特性を得るために,上記圧電d31定数は40pm/V以上であることがより好ましい。更に好ましくは80pm/V以上がよい。さらに一層好ましくは,100pm/V以上がよい。
次に,上記圧電磁器組成物は,電気機械結合係数Kpが0.30以上であることが好ましい(請求項14)。
この場合には,0.30以上という高い電気機械結合係数Kpを生かして,上記圧電磁器組成物を機械エネルギーと電気エネルギーの変換効率に優れた圧電アクチュエータ,圧電フィルター,圧電振動子,圧電トランス,圧電超音波モータ,圧電ジャイロセンサ,ノックセンサ,ヨーレートセンサ,エアバッグセンサ,バックソナー,コーナーソナー,圧電ブザー,圧電スピーカー,圧電着火器等として利用することができる。
上記電気機械結合係数Kpが0.30未満の場合には,上記圧電磁器組成物を,上記機械エネルギーと電気エネルギーの優れた変換効率を必要とする圧電素子に利用することができなくなるおそれがある。
また,機械エネルギーと電気エネルギーの変換効率がより一層優れたものを得るためには,上記電気機械結合係数Kpは0.34以上であることがより好ましい。さらに好ましくは0.4以上がよい。さらに一層好ましくは,0.45以上がよい。
次に,上記圧電磁器組成物は,圧電g31定数が7×10-3Vm/N以上であることが好ましい(請求項15)。
この場合には,上記7×10-3Vm/N以上という高い圧電g31定数を活かして,上記圧電磁器組成物を昇圧比の優れた圧電トランス,超音波モータ素子,センサ素子等として利用することができる。
上記圧電g31定数が7×10-3Vm/N未満の場合には,上記圧電磁器組成物を優れた昇圧比を必要とする圧電素子に利用することができないおそれがある。
また,さらに昇圧比の優れたものを得るために,上記圧電g31定数は,8×10-3Vm/N以上であることがより好ましい。
次に,上記圧電磁器組成物は,機械的品質係数Qmが50以上であることが好ましい(請求項16)。
この場合には,50以上という高い機械的品質係数Qmを生かして,上記圧電磁器組成物を,発熱が少なく電気エネルギーと機械的エネルギーの変換効率に優れた圧電素子,例えば圧電アクチュエータ,圧電フィルター,圧電振動子,圧電トランス,圧電超音波モータ,圧電ジャイロセンサ,ノックセンサ,ヨーレートセンサ,エアバッグセンサ,バックソナー,コーナーソナー,圧電ブザー,圧電スピーカー,圧電着火器等として利用することができる。
上記機械的品質係数Qmが50未満の場合には,上記圧電磁器組成物を上記機械エネルギーと電気エネルギーの優れた変換効率を必要とする圧電素子に利用することができないおそれがある。
また,機械エネルギーと電気エネルギーの変換効率がより一層優れたものを得るためには,上記機械的品質係数Qmは,40以上であることがより好ましい。さらに好ましくは,50以上がよい。
次に,上記圧電磁器組成物は,比誘電率が400以上であることが好ましい(請求項7)。
この場合には,400以上という高い比誘電率を活かして,上記圧電磁器組成物を静電容量の大きなコンデンサなどの誘電素子として利用することができる。
上記比誘電率が400未満の場合には,静電容量が低下し,上記圧電磁器組成物をコンデンサ等の誘電素子等として利用することができないおそれがある。
また,上記比誘電率は,430以上であることが好ましい。さらに好ましくは,600以上がよい。
次に,上記圧電磁器組成物は,誘電損失が0.09以下であることが好ましい(請求項18)。
この場合には,0.09以下という低い誘電損失を生かして,上記圧電磁器組成物をコンデンサ等の誘電素子,圧電アクチュエータ,圧電フィルター,圧電振動子,圧電トランス,圧電超音波モータ,圧電ジャイロセンサ,ノックセンサ,ヨーレートセンサ,エアバッグセンサ,バックソナー,コーナーソナー,圧電ブザー,圧電スピーカー,圧電着火器等として利用することができる。
上記誘電損失が0.09を超える場合には,上記圧電磁器組成物を上記コンデンサ等誘電素子,圧電トランス素子,超音波モータ素子等として利用することができないおそれがある。そのため,より好ましくは,上記誘電損失は0.035以下がよい。更に好ましくは,0.03以下がよい。
次に,上記圧電磁器組成物は,キュリー温度Tcが200℃以上であることが好ましい(請求項19)。
この場合には,200℃以上という高いキュリー温度Tcを活かして,上記圧電磁器組成物を,例えば自動車のエンジン付近等のように100℃を超える高温度の環境下にて利用することができる。
上記キュリー温度Tcが200℃未満の場合には,上記圧電磁器組成物を例えば自動車のエンジン付近のように高温の場所に用いると,その圧電d31定数や電気機械結合係数Kp等の特性が低下するおそれがある。そのため,より好ましくは,上記キュリー温度Tcは250℃以上であることがよい。
次に,上記圧電磁器組成物は,圧電d31定数が30pm/V以上で,かつキュリー温度Tcが200℃以上であることが好ましい(請求項20)。
この場合には,温度100℃を超える高温度環境下において,上記圧電磁器組成物を感度の高いセンサ素子,超音波モータ素子,アクチュエータ素子,圧電トランス素子,圧電振動子等として利用することができる。
また,より感度の優れた圧電センサ特性又はより大きな圧電アクチュエータ特性を得るために,上記圧電d31定数は40pm/V以上であることが好ましい。さらに好ましくは80pm/V以上がよい。さらに一層好ましくは,上記圧電d31定数は100pm/V以上がよい。
また,上記キュリー温度Tcは250℃以上であることがより好ましい。
次に,上記圧電磁器組成物は,圧電g31定数が7×10-3Vm/N以上で,かつキュリー温度Tcが200℃以上であることが好ましい(請求項21)。
この場合には,温度100℃を超える高温度環境下において,上記圧電磁器組成物を昇圧比の優れた圧電トランス,超音波モータ素子,センサ素子等として利用することができる。
また,さらに昇圧比の優れたものを得るために,上記圧電g31定数は8×10-3Vm/N以上であることがより好ましい。
また,上記キュリー温度Tcは250℃以上であることがより好ましい。
次に,上記圧電磁器組成物は,電気機械結合係数Kpが0.3以上で,かつキュリー温度Tcが200℃以上であることが好ましい(請求項22)。
この場合には,温度100℃を超える高温度環境下において,上記圧電磁器組成物を機械エネルギーと電気エネルギーの変換効率に優れた圧電アクチュエータ素子,圧電振動子,センサ素子,圧電トランス素子,超音波モータ素子等として利用することができる。
また,機械エネルギーと電気エネルギーの変換効率がより一層優れたものを得るためには,上記電気機械結合係数Kpは0.34以上であることがより好ましい。さらに好ましくは,0.4以上がよい。
また,上記キュリー温度Tcは250℃以上であることがより好ましい。
次に,上記圧電磁器組成物は,機械的品質係数Qmが50以上で,かつキュリー温度Tcが200℃以上であることが好ましい(請求項23)。
この場合には,温度100℃を超える高温度環境下において,上記圧電磁器組成物を,発熱が少なく機械エネルギーと電気エネルギーの変換効率に優れた圧電素子,例えば圧電アクチュエータ,圧電フィルター,圧電振動子,圧電トランス,圧電超音波モータ,圧電ジャイロセンサ,ノックセンサ,ヨーレートセンサ,エアバッグセンサ,バックソナー,コーナーソナー,圧電ブザー,圧電スピーカー,圧電着火器等として利用することができる。
また,機械エネルギーと電気エネルギーの変換効率がより一層優れたものを得るためには,上記機械的品質係数Qmは40以上であることがより好ましい。さらに好ましくは,50以上がよい。
また,上記キュリー温度Tcは250℃以上であることがより好ましい。
次に,上記圧電磁器組成物は,誘電損失が0.09以下で,かつキュリー温度Tcが200℃以上であることが好ましい(請求項24)。
この場合には,温度100℃を超える高温度環境下において,上記圧電磁器組成物をコンデンサ等の誘電素子,圧電トランス素子,超音波モータ素子,センサ素子等として利用することができる。
また,上記誘電損失は0.035以下であることがより好ましい。更に好ましくは,0.03以下がよい。
また,上記キュリー温度Tcは250℃以上であることがより好ましい。
次に,上記圧電磁器組成物は,圧電d31定数が30pm/V以上で,かつ電気機械結合係数Kpが0.3以上で,かつキュリー温度Tcが200℃以上であることが好ましい(請求項25)。
この場合には,上記圧電磁器組成物を,温度100℃を超える高温度環境下において使用することができ,感度及び機械エネルギーと電気エネルギーの変換効率に優れたものとすることができる。
また,より感度の優れた圧電センサ特性,又はより大きな圧電アクチュエータ特性を得るために,上記圧電d31定数は40pm/V以上であることがより好ましい。また,上記電気機械結合係数Kpは,0.34以上であることがより好ましい。
また,上記第4(請求項26)又は第7の発明(請求項29)において,上記添加物としては,Mg,Ca,Sr,Baから選ばれるいずれか1種以上の金属元素又はこれらの金属元素を含む化合物等がある。
上記添加物は,その添加物に含まれる上記金属元素を添加元素として,上記焼成後に一般式{Lix(K1-yNay1-x}(Nb1-z-wTazSbw)O3で表される化合物のLi,K,Naの少なくとも一部に置換して,上記圧電磁器組成物中に含有される場合がある。また,上記金属元素又は該金属元素を含む酸化物乃至はペロブスカイト構造化合物等の化合物として,上記圧電磁器組成物中の粒内や粒界等に含有される場合もある。
また,上記第5(請求項27)又は第8の発明(請求項31)において,上記添加物としては,Si,In,Scから選ばれるいずれか1種以上の金属元素又はこれらの金属元素を含む化合物等がある。
上記添加物は,その添加物に含まれる上記金属元素を添加元素として,上記焼成後に一般式{Lix(K1-yNay1-x}(Nb1-z-wTazSbw)O3で表される化合物のNb,Ta,Sbの少なくとも一部に置換して,上記圧電磁器組成物中に含有される場合がある。また,上記金属元素又は該金属元素を含む酸化物乃至はペロブスカイト構造化合物等の化合物として,上記圧電磁器組成物中の粒内や粒界等に含有される場合もある。
また,上記第6(請求項28)又は第9の発明(請求項33)において,上記添加物としては,Bi原子又はBi原子を含む化合物等がある。
上記添加物は,その添加物に含まれるBiを添加元素として,上記焼成後に一般式{Lix(K1-yNay1-x}(Nb1-z-wTazSbw)O3で表される化合物のNb,Ta,Sbの少なくとも一部に置換して,上記圧電磁器組成物中に含有される場合がある。また,上記Bi原子又はBi原子を含む酸化物乃至はペロブスカイト構造化合物等の化合物として,上記圧電磁器組成物中の粒内や粒界等に含有される場合もある。
次に,上記第7〜第9の発明において,上記リチウムを含有する化合物としては,例えばLi2CO3,Li2O,LiNO3,LiOH等がある。また,上記ナトリウムを含有する化合物としては,Na2CO3,NaHCO3,NaNO3等がある。
また,上記カリウムを含有する化合物としては,K2CO3,KNO3,KNbO3,KTaO3等がある。また,上記ニオブを含有する化合物としては,例えばNb25,Nb23,NbO2等がある。また,上記タンタルを含有する化合物としては,Ta25等がある。また,上記アンチモンを含有する化合物としては,例えばSb25,Sb23,Sb24等がある。
次に,上記第7の発明(請求項29)において,上記Liを含有する化合物はLi2CO3,上記Naを含有する化合物はNa2CO3,上記Kを含有する化合物はK2CO3,上記Nbを含有する化合物はNb25,上記Taを含有する化合物はTa25,上記Sbを含有する化合物はSb25又はSb23,上記添加物はMgO,MgCO3,CaO,CaCO3,SrO,SrCO3,BaO,及びBaCO3から選ばれるいずれか1種以上であることが好ましい(請求項30)。
この場合には,上記第1の発明の圧電磁器組成物を容易に作製することができる。
また,上記第8の発明(請求項31)において,上記Liを含有する化合物はLi2CO3,上記Naを含有する化合物はNa2CO3,上記Kを含有する化合物はK2CO3,上記Nbを含有する化合物はNb25,上記Taを含有する化合物はTa25,上記Sbを含有する化合物はSb25又はSb23,上記添加物はSiO2,In23,及びSc23から選ばれるいずれか1種以上であることが好ましい(請求項32)。
この場合には,上記第2の発明の圧電磁器組成物を容易に作製することができる。
また,上記第9の発明(請求項33)において,上記Liを含有する化合物はLi2CO3,上記Naを含有する化合物はNa2CO3,上記Kを含有する化合物はK2CO3,上記Nbを含有する化合物はNb25,上記Taを含有する化合物はTa25,上記Sbを含有する化合物はSb25又はSb23,上記添加物はBi23であることが好ましい(請求項34)。
この場合には,上記第3の発明の圧電磁器組成物を容易に作製することができる。
次に,上記第10(請求項35)又は第11の発明(請求項36)において,上記圧電素子としては,例えば圧電アクチュエータ,圧電フィルター,圧電振動子,圧電トランス,圧電超音波モータ,圧電ジャイロセンサ,ノックセンサ,ヨーレートセンサ,エアバッグセンサ,バックソナー,コーナーソナー,圧電ブザー,圧電スピーカー,圧電着火器等がある。
次に,上記第12(請求項37)又は第13の発明(請求項38)において,上記誘電素子としては,例えばコンデンサ,積層コンデンサ等がある。
(実施例1)
次に,本発明の実施例にかかる圧電磁器組成物について説明する。
本例では,上記第1の発明(請求項1)の圧電磁器組成物を製造し,その特性を測定する。
本例の圧電磁器組成物は,一般式{Lix(K1-yNay1-x}(Nb1-z-wTazSbw)O3で表され,かつx,y,z,wがそれぞれ0≦x≦0.2,0≦y≦1,0<z≦0.4,0<w≦0.2の組成範囲にある化合物を主成分とする圧電磁器組成物である。該圧電磁器組成物は,Mg,Ca,Sr,Baから選ばれるいずれか1種以上の金属元素を添加元素として含有してなる。そして,上記添加元素の含有量の合計は,上記一般式で表される化合物1molに対して,0.01molである。
本例の圧電磁器組成物の製造方法は,Liを含有する化合物と,Naを含有する化合物と,Kを含有する化合物と,Nbを含有する化合物と,Taを含有する化合物と,Sbを含有する化合物とを,焼成後に一般式{Lix(K1-yNay1-x}(Nb1-z-wTazSbw)O3で表され,かつx,y,z,wがそれぞれ0≦x≦0.2,0≦y≦1,0<z≦0.4,0<w≦0.2の組成範囲にある化合物となるような化学量論比にて用意し,さらにMg,Ca,Sr,Baから選ばれるいずれか1種以上の金属元素を含む添加物とを,混合し,焼成する。
以下,本例の圧電磁器組成物の製造方法につき,詳細に説明する。
まず,圧電磁器組成物の基本組成の原料として,純度99%以上の高純度のLi2CO3,Na2CO3,K2CO3,Nb25,Ta25,Sb25,及び上記添加物としてのCaO,SrO,MgO,BaOを準備した。
これらの原料のうち,Li2CO3,Na2CO3,K2CO3,Nb25,Ta25,Sb25を,焼成後に上記一般式{Lix(K1-yNay1-x}(Nb1-z-wTazSbw)O3において,x,y,z,wがそれぞれx=0.04,y=0.5,z=0.1,w=0.04となるような化学量論比,即ち上記一般式が{Li0.04(K0.5Na0.50.96}(Nb0.86Ta0.1Sb0.04)O3となるような化学量論比にて配合し,さらに上記添加物としてのCaO,SrO,MgO,又はBaOをそれぞれ配合して,8種類の配合物を得た。
上記添加物の配合量については,上記化学量論比にて配合して焼成後に得られると予想される化合物{Li0.04(K0.5Na0.50.96}(Nb0.86Ta0.1Sb0.04)O31molに対して,上記添加物としてのCaO,SrO,MgO,又はBaOをそれぞれ0.01mol及び0.005molずつ配合した。このとき,各添加物の金属元素の配合量も,0.01mol及び0.005molとなる。
また,上記の各添加物のうち,CaOについては,さらに0.02mol,0.04mol,0.10molずつ配合した配合物も準備した。
そして,上記の各配合物をそれぞれボールミルによりアセトン中で24時間混合して混合物を作製した。
次に,各混合物をそれぞれ750℃にて5時間仮焼し,続いてこの仮焼後の各混合物をそれぞれボールミルにて24時間粉砕した。続いて,バインダーとしてポリビニールブチラールを添加し,造粒した。
造粒後の各粉体を圧力2ton/cm2にて,直径13mm,厚さ2mmの円盤状に加圧成形し,得られる成形体を温度1000〜1300℃にて1時間焼成し,焼成体を作製した。なお,このときの具体的な焼成温度は,上記の1000℃〜1300℃という温度範囲のうち,1時間の焼成によって最大密度の焼成体が得られる温度を選定した。そしてこのとき,上記焼成体は,すべて相対密度98%以上に緻密化されていた。
次に,各焼成体の両面を平行研磨し,円形研磨した後,この円盤試料の両面にスパッタ法により金電極を設けた。そして,100℃のシリコーンオイル中にて1〜5kV/mmの直流電圧を10分間電極間に印加し,厚み方向に分極を施して圧電磁器組成物とした。
このようにして,11種類の圧電磁器組成物(試料E1〜E4及び試料F1〜F4及び試料G1〜G3)を作製した。各試料における原料及び添加物の配合比を表1に示す。
上記の各試料は,{Li0.04(K0.5Na0.50.95}(Nb0.86Ta0.1Sb0.04)O3で表される化合物中のK及びNaに対して金属元素が置換添加する方法で作製した。即ち,例えば試料E1においては,その組成が{Li0.04(K0.5Na0.50.94Ca0.01}(Nb0.86Ta0.1Sb0.04)O3となるようにした。
なお,本例の製造方法と異なる方法として,上記{Li0.04(K0.5Na0.50.96}(Nb0.86Ta0.1Sb0.04)O3で表される化合物を焼成により作製し,これを粉砕して上記添加物と混合し,その後本例の製造方法と同様に,仮焼,造粒,成形,焼成を行っても,上記試料E1〜E4及び試料F1〜F4及び試料G1〜試料G3と同様の圧電磁器組成物を作製することができる。
本例にて作製した試料E1〜E4及び試料F1〜F4及び試料G1〜試料G3において,上記添加物としてのCaO,SrO,MgO,又はBaOは,一部が酸化物乃至はペロブスカイト構造化合物等の化合物として,各圧電磁器組成物の粒内や粒界に含まれ,また一部は,上記{Li0.04(K0.5Na0.50.96}(Nb0.86Ta0.1Sb0.04)O3で表される化合物のLi,K,Naの少なくとも一部に,各添加物中のCa,Sr,Mg,又はBa原子を置換した状態で含まれていると考えられる。
次に,本例では,上記圧電磁器組成物の優れた特性を明らかにするため,以下のようにして比較品(試料C1及び試料C2)を作製した。
まず,比較品の原料として,純度99%以上の高純度のLi2CO3,Na2CO3,K2CO3,Nb25,Ta25,及びSb25を準備した。
これらの原料うちK2CO3,Na2CO3,及びNb25を,上記一般式{Lix(K1-yNay1-x}(Nb1-z-wTazSbw)O3において,x=z=w=0及びy=0.5となるような化学量論比,即ち上記一般式が(K0.5Na0.5)NbO3となるような化学量論比にて,配合し,ボールミルによりアセトン中で24時間混合して混合物を得た。
この混合物を上記試料E1〜E4及び試料F1〜F4及び試料G1〜試料G3と同様にして,仮焼,造粒,成形,焼成し,分極を施して,比較品としての圧電磁器組成物(試料C1)を作製した。
試料C1は,(K0.5Na0.5)NbO3を含有してなる圧電磁器組成物である。
次に,以下のようにして試料C2を作製する。
まず,上記にて準備した原料のLi2CO3,Na2CO3,K2CO3,Nb25,Ta25,及びSb25を,焼成後に上記一般式{Lix(K1-yNay1-x}(Nb1-z-wTazSbw)O3において,x=0.04,y=0.5,z=0.1,及びw=0.04となるような化学量論比,即ち上記一般式が{Li0.04(K0.5Na0.50.96}(Nb0.86Ta0.1Sb0.04)O3で表される化合物となるような化学量論比にて,混合し,ボールミルによりアセトン中で24時間混合して混合物を得た。
この混合物を上記試料E1〜E4及び試料F1〜F4及び試料G1〜試料G3と同様にして,仮焼,造粒,成形,焼成し,分極を施して,比較品としての圧電磁器組成物(試料C2)を作製した。
試料C2は,上記試料E1〜E4及び試料F1〜F4及び試料G1〜試料G3と同様に化合物{Li0.04(K0.5Na0.50.96}(Nb0.86Ta0.1Sb0.04)O3を主成分として含有するが,その一方で上記添加元素を含有してない圧電磁器組成物である。
上記試料C1及び試料C2の組成比を表1に示す。
Figure 2004244301
次に,上記試料E1〜E4,試料F1〜F4,試料G1〜試料G3,試料C1及び試料C2について,圧電d31定数,電気機械結合係数Kp,圧電g31定数,機械的品質係数Qm,比誘電率ε33T/ε0,誘電損失tanδ,及びキュリー温度Tcをそれぞれ測定した。
上記圧電d31定数,圧電g31定数,電気機械結合係数Kp,及び機械的品質係数Qmは,インピーダンスアナライザー(Agilent社製のプレシジョンインピーダンスアナライザ4294A)を用いて共振−***振法により測定した。
また,上記誘電損失tanδ及び比誘電率ε33T/ε0は,上記と同様のインピーダンスアナライザーを用いて,測定周波数1kHzにて測定した。
また,キュリー温度Tcは,比誘電率ε33T/ε0が最も高いときの温度をもってキュリー温度Tcとした。
その結果を表2に示す。
Figure 2004244301
表2より知られるごとく,上記試料E1〜試料E4及び試料F1〜試料F4及び試料G1〜試料G3は,試料C1に比べて,圧電d31定数,電気機械結合係数Kp,比誘電率ε33T/ε0,及び誘電損失tanδが向上していた。
また,上記試料E1〜試料E4及び試料F1〜試料F4及び試料G1〜試料G3は,試料C2と比較しても,圧電d31定数,電気機械結合係数Kp,圧電g31定数,機械的品質係数Qm,比誘電率ε33T/ε0,誘電損失tanδ,及びキュリー温度Tcのいずれか一つ以上が同等以上の優れた特性を有していた。
なお,表2においては,CaOについてのみ0.02mol以上添加したときの効果を示している。表2には明示してないが,他の添加元素(Mg,Sr,Ba)についてもCaと同様の効果が得られることを確認している。
ここで,圧電d31定数に注目すると,表2より知られるごとく,試料F2の圧電d31定数が,121.0pm/Vというもっとも高い値を示した。
電荷検出型回路或いは電流検出型回路を用いた場合には,一般に上記圧電d31定数は,加速度センサ,加重センサ,衝撃センサ及びノックセンサ等の圧電型センサの出力電圧に比例する。その点からみると,圧電d31定数が高い圧電磁器組成物ほど電荷センサ出力の大きなセンサ素子を作ることができる。そして,比較品としての試料C1と同等以上の特性を有するセンサ素子を作製するには,少なくとも30pm/V以上の圧電d31定数を有することが好ましいといえる。さらに信号雑音比(SN比)及び出力電圧を高めて高感度なセンサ素子を作製するためには,上記圧電d31定数は80pm/V以上のものがよい。さらに好ましくは100pm/V以上のものがよい。
また,アクチュエータとして使用する場合には,一般に上記圧電d31定数は圧電アクチュエータの発生歪或いは変位量に比例する。その点からみると,圧電d31定数が高い圧電磁器組成物ほど発生歪或いは変位量の大きなアクチュエータ素子を作ることができる。そして比較品と同等以上の特性を有するアクチュエータ素子を作製するには,少なくとも30pm/V以上の圧電d31定数を有することが好ましいといえる。より好ましくは40pm/V以上がよい。さらに変位量の大きなアクチュエータを作製するためには,上記圧電d31定数は80pm/V以上のものがよい。さらに好ましくは100pm/V以上のものがよい。
また,電気機械結合係数Kpに注目すると,表2より知られるごとく,試料F2の電気機械結合係数Kpが,0.551というもっとも高い値を示した。
一般に,上記電気機械結合係数Kpは,圧電トランス素子,超音波モータ素子,アクチュエータ素子,又は超音波振動子等の電気機械エネルギー変換効率に比例する。その点からみると,電気機械結合係数Kpが高い圧電磁器組成物ほど電気機械エネルギー変換効率の高い圧電トランス素子,超音波モータ素子,アクチュエータ素子,又は超音波振動子を作ることができる。そして,比較品である試料C1と同等以上の特性を有する圧電トランス素子,超音波モータ素子,アクチュエータ素子,又は超音波振動子を作製するには,少なくとも0.3以上の電気機械結合係数Kpを有することが好ましいといえる。より好ましくは0.34以上がよい。さらに好ましくは,0.4以上がよい。また,さらに一層好ましくは0.45以上がよい。
また,機械的品質係数Qmに注目すると,表2より知られるごとく,上記試料E1〜E4及び試料G1〜試料G3の機械的品質係数Qmは,試料C1及び試料C2と同等又は同等以上の優れた値を示した。
一般に,上記機械的品質係数Qmは,上記電気機械結合係数Kpと同様に,圧電トランス素子,超音波モータ素子,アクチュエータ素子,又は超音波振動子等の電気機械エネルギー変換効率に比例する。その点からみると,電気機械結合係数Kpが高い圧電磁器組成物ほど電気機械エネルギー変換効率の高い圧電トランス素子,超音波モータ素子,アクチュエータ素子,又は超音波振動子を作ることができる。そして,比較品である試料C1と同等以上の特性を有する圧電トランス素子,超音波モータ素子,アクチュエータ素子,又は超音波振動子を作製するには,少なくとも50以上の機械的品質係数Qmを有することが好ましいといえる。
また,キュリー温度Tcに注目すると,上記試料E1〜E4及び試料F1〜F4及び試料G1〜試料G3のキュリー温度Tcは,すべて200℃以上という高い値をとっている。そのため,本例の圧電磁器組成物(試料E1〜E4及び試料F1〜F4及び試料G1〜試料G3)は,例えば自動車のエンジン付近等の高温度部においても長時間安定に使用することができるノックセンサ等の高温用のセンサ部品,アクチュエータ部品,超音波モータ部品等として利用することができる。
また,上記高温用のセンサ部品,アクチュエータ部品,超音波モータ部品等としてさらに長時間安定に使用するためには,上記キュリー温度Tcは,200℃以上であることが好ましい。さらに好ましくは,250℃以上のものがよい。
また,圧電g31定数に注目すると,表2より知られるごとく,試料F2の圧電g31定数は,8.81×10-3Vm/Nというもっとも高い値を示した。
圧電g31定数は,上記圧電d31定数と同様に,圧電型センサ,圧電トランス素子,超音波モータ素子等の出力電圧に比例する。そのため,圧電g31定数が高い圧電磁器組成物ほど電圧センサ出力の大きなセンサを作ることができる。そして,比較品と同等以上の特性を有するセンサを作製するには,少なくとも7×10-3Vm/N以上の圧電g31定数を有することが好ましいといえる。さらに好ましくは,8×10-3Vm/N以上のものがよい。
また,比誘電率ε33T/ε0に注目すると,試料E1〜E4及び試料F1〜F4及び試料G1〜試料G3の比誘電率ε33T/ε0は,1300以上という非常に高い値をとっている。
上記比誘電率ε33T/ε0は,一般に積層コンデンサ部品等のコンデンサの静電容量に比例する。その点からみると,上記比誘電率が高い圧電磁器組成物ほど静電容量の大きなコンデンサを作ることができる。コンデンサを作製するためには,少なくとも400以上の比誘電率を有することが好ましいといえる。また,より好ましくは,430以上のものがよい。さらに好ましくは,1000以上のものがよい。
また,誘電損失tanδに注目すると,試料E1〜E4及び試料F1〜F4及び試料G1〜試料G3の誘電損失tanδは,0.034以下という非常に低い値をとっている。
上記誘電損失は,コンデンサ部品等のコンデンサ,圧電超音波モータ,圧電アクチュエータ,圧電トランス等の部品に交流電圧を印加した際に,該部品が損失する熱エネルギーに比例する。その点からみると,上記誘電損失が小さい圧電磁器組成物ほどエネルギー損失の少ないコンデンサ及び発熱の少ない圧電超音波モータ,圧電アクチュエータ,圧電トランスを作製することができる。そして,エネルギー損失の少ない上記部品を作製するためには,0.09以下の誘電損失を有することが好ましい。より好ましくは,0.035以下のものがよい。さらに好ましくは0.03以下がよい。
以上のごとく,本例の圧電磁器組成物(試料E1〜試料E4及び試料F1〜試料F4及び試料G1〜試料G3)は,組成中に鉛を含有せず,上記のように優れた圧電特性及び誘電特性を有している。そのため,環境に対して安全で,かつ高性能な圧電素子及び誘電素子に利用することができる。
(実施例2)
本例では,上記第2の発明(請求項4)の圧電磁器組成物を製造し,その特性を測定する。
本例の圧電磁器組成物は,一般式{Lix(K1-yNay1-x}(Nb1-z-wTazSbw)O3で表され,かつx,y,z,wがそれぞれ0≦x≦0.2,0≦y≦1,0<z≦0.4,0<w≦0.2の組成範囲にある化合物を主成分とする圧電磁器組成物である。該圧電磁器組成物は,Si,In,Scから選ばれるいずれか1種以上の金属元素を添加元素として含有してなる。そして,上記添加元素の含有量の合計は,上記一般式で表される化合物1molに対して,0.01molである。
本例の圧電磁器組成物の製造方法は,Liを含有する化合物と,Naを含有する化合物と,Kを含有する化合物と,Nbを含有する化合物と,Taを含有する化合物と,Sbを含有する化合物とを,焼成後に一般式{Lix(K1-yNay1-x}(Nb1-z-wTazSbw)O3で表され,かつx,y,z,wがそれぞれ0≦x≦0.2,0≦y≦1,0<z≦0.4,0<w≦0.2の組成範囲にある化合物となるような化学量論比にて用意し,さらにSi,In,Scから選ばれるいずれか1種以上の金属元素を含む添加物を混合し,焼成する。
以下,本例の圧電磁器組成物の製造方法につき,説明する。
まず,圧電磁器組成物の基本組成の原料として,純度99%以上の高純度のLi2CO3,Na2CO3,K2CO3,Nb25,Ta25,Sb25,及び上記添加物としてのSiO2,Sc23,In23を準備した。
これらの原料のうち,Li2CO3,Na2CO3,K2CO3,Nb25,Ta25,Sb25を,焼成後に上記一般式{Lix(K1-yNay1-x}(Nb1-z-wTazSbw)O3において,x,y,z,wがそれぞれx=0.04,y=0.5,z=0.1,w=0.04となるような化学量論比,即ち上記一般式が{Li0.04(K0.5Na0.50.96}(Nb0.86Ta0.1Sb0.04)O3となるような化学量論比にて配合し,さらに上記添加物としてのSiO2,Sc23,又はIn23をそれぞれ配合して,3種類の配合物を得た。
上記添加物の配合量については,上記化学量論比にて配合して焼成後に得られると予想される化合物{Li0.04(K0.5Na0.50.96}(Nb0.86Ta0.1Sb0.04)O31molに対して,上記添加物としてのSiO2,Sc23,又はIn23を,それぞれ0.01mol,0.005mol,0.005mol配合した。即ち,上記添加物の配合量は,添加元素としてのSi,Sc,及びInの配合量が0.01molとなるようにした。
そして,上記の各配合物をそれぞれボールミルによりアセトン中で24時間混合して混合物を作製した。
次に,この混合物を,上記実施例1の試料E1〜E4と同様にして,仮焼,造粒,成形,焼成し,分極を施して,3種類の圧電磁器組成物(試料E5〜試料E7)を得た。各試料の原料及び添加物の配合比を表3に示す。
なお,本例の製造方法と異なる方法として,上記{Li0.04(K0.5Na0.50.96}(Nb0.86Ta0.1Sb0.04)O3で表される化合物を焼成により作製し,これを粉砕して上記添加物と混合し,その後本例の製造方法と同様に,仮焼,造粒,成形,焼成を行っても,上記試料E5〜E7と同様の圧電磁器組成物を作製することができる。
本例にて作製した試料E5〜E7において,上記添加物としてのSiO2,Sc23,又はIn23は,一部が酸化物乃至はペロブスカイト構造化合物等の化合物として,各圧電磁器組成物の粒界に含まれ,また一部は,上記{Li0.04(K0.5Na0.50.96}(Nb0.86Ta0.1Sb0.04)O3で表される化合物のNb,Ta,Sbの少なくとも一部に,各添加物中のSi,Sc,又はIn原子を置換した状態で含まれていると考えられる。
Figure 2004244301
次に,上記試料E5〜E7について,実施例1と同様にして,圧電d31定数,電気機械結合係数Kp,圧電g31定数,機械的品質係数Qm,比誘電率ε33T/ε0,誘電損失tanδ,及びキュリー温度Tcをそれぞれ測定した。
その結果を表4に示す。なお,表4には,比較のため,実施例1で作製した試料C1及び試料C2の各種圧電特性及び誘電特性も併せて示してある。
Figure 2004244301
表4より知られるごとく,上記試料E5〜試料E7は,試料C1に比べて,圧電d31定数,電気機械結合係数Kp,比誘電率ε33T/ε0,及び誘電損失tanδが著しく向上していた。
また,上記試料E5〜試料E7は,試料C2と比較しても,圧電d31定数,電気機械結合係数Kp,圧電g31定数,機械的品質係数Qm,及び誘電損失tanδが向上しており,比誘電率ε33T/ε0及びキュリー温度Tcも同等以上に優れていた。
なお,表4においては,上記添加元素を0.01mol含有させた圧電磁器組成物についてその圧電特性が優れることを示した。表4においては,明示してないが,添加元素の含有量を0.001〜0.08molの範囲で変えても,上記と同様の効果を得られることを確認している。
このように,本例の圧電磁器組成物(試料E5〜試料E7)は,組成中に鉛を含有せず,上記のように優れた圧電特性及び誘電特性を有している。そのため,環境に対して安全で,かつ高性能な圧電素子及び誘電素子に利用することができる。
(実施例3)
本例では,上記第3の発明(請求項4)の圧電磁器組成物を製造し,その特性を測定する。
本例の圧電磁器組成物は,一般式{Lix(K1-yNay1-x}(Nb1-z-wTazSbw)O3で表され,かつx,y,z,wがそれぞれ0≦x≦0.2,0≦y≦1,0<z≦0.4,0<w≦0.2の組成範囲にある化合物を主成分とする圧電磁器組成物である。該圧電磁器組成物は,Biを添加元素として含有してなる。そして,上記添加元素の含有量は,上記一般式で表される化合物1molに対して,0.0001mol〜0.004molである。
本例の圧電磁器組成物の製造方法は,Liを含有する化合物と,Naを含有する化合物と,Kを含有する化合物と,Nbを含有する化合物と,Taを含有する化合物と,Sbを含有する化合物とを,焼成後に一般式{Lix(K1-yNay1-x}(Nb1-z-wTazSbw)O3で表され,かつx,y,z,wがそれぞれ0≦x≦0.2,0≦y≦1,0<z≦0.4,0<w≦0.2の組成範囲にある化合物となるような化学量論比にて準備し,さらにBiを含む添加物を混合し,焼成する。
以下,本例の圧電磁器組成物の製造方法につき,説明する。
まず,圧電磁器組成物の基本組成の原料として,純度99%以上の高純度のLi2CO3,Na2CO3,K2CO3,Nb25,Ta25,Sb25,及び上記添加物としてのBi23を準備した。
これらの原料のうち,Li2CO3,Na2CO3,K2CO3,Nb25,Ta25,Sb25を,焼成後に上記一般式{Lix(K1-yNay1-x}(Nb1-z-wTazSbw)O3において,x,y,z,wがそれぞれx=0.04,y=0.5,z=0.1,w=0.04となるような化学量論比,即ち上記一般式が{Li0.04(K0.5Na0.50.96}(Nb0.86Ta0.1Sb0.04)O3となるような化学量論比にて配合し,さらに上記添加物としてのBi23を添加量を変えて配合し,4種類の配合物を得た。
上記添加物の配合量については,上記化学量論比にて配合して焼成後に得られると予想される化合物{Li0.04(K0.5Na0.50.96}(Nb0.86Ta0.1Sb0.04)O31molに対して,上記添加物としてのBi23を,0.00025mol,0.0005mol,0.0025mol,又は0.005mol配合した。即ち,上記添加物の配合量は,ビスマスがそれぞれ0.0005mol,0.001mol,0.005mol,又は0.01mol含まれるようにした。
そして,上記の各配合物をそれぞれボールミルによりアセトン中で24時間混合して混合物を作製した。
次に,この混合物を,上記実施例1の試料E1〜E4及び試料F1〜F4と同様にして,仮焼,造粒,成形,焼成し,分極を施して,4種類の圧電磁器組成物(試料E8〜試料E11)を得た。各試料の原料及び添加物の配合比を表5に示す。
なお,本例の製造方法と異なる方法として,上記{Li0.04(K0.5Na0.50.96}(Nb0.86Ta0.1Sb0.04)O3で表される化合物を焼成により作製し,これを粉砕して上記添加物と混合し,その後本例の製造方法と同様に,仮焼,造粒,成形,焼成を行っても,上記試料E8〜E11と同様の圧電磁器組成物を作製することができる。
また,本例にて作製した試料E8〜E11において,上記添加元素としてのBiは,一部が酸化物乃至はペロブスカイト構造化合物等の化合物として,各圧電磁器組成物の粒内や粒界に含まれ,また一部は,上記{Li0.04(K0.5Na0.50.96}(Nb0.86Ta0.1Sb0.04)O3で表される化合物のNb,Ta,Sbの少なくとも一部に,Bi原子を置換した状態で含まれていると考えられる。
Figure 2004244301
次に,上記試料E8〜E11について,実施例1と同様にして,圧電d31定数,電気機械結合係数Kp,圧電g31定数,機械的品質係数Qm,比誘電率ε33T/ε0,誘電損失tanδ,及びキュリー温度Tcをそれぞれ測定した。
その結果を表6に示す。なお,表6には,比較のため,実施例1で作製した試料C1及び試料C2の各種圧電特性及び誘電特性も併せて示してある。
Figure 2004244301
表6より知られるごとく,上記試料E8及び試料E9は,試料C1に比べて,圧電d31定数,電気機械結合係数Kp,比誘電率ε33T/ε0,及び誘電損失tanδが,著しく向上していた。
また,上記試料C8及びE9は,試料C2と比較しても,圧電d31定数,電気機械結合係数Kp,及び比誘電率ε33T/ε0が向上しており,その他の特性も同等又は同等以上に優れていた。及び誘電損失tanδ圧電g31定数,機械的品質係数Qm,誘電損失tanδ,及びキュリー温度Tcについても,試料C1と同等以上の優れた特性を示した。
一方,試料E10は,試料C1に比べて,圧電d31定数,比誘電率ε33T/ε0,及び誘電損失tanδが著しく向上していた。また,試料C2と比較しても機械的品質係数Qm及び比誘電率ε33T/ε0が向上していた。しかし,その反面で電気機械結合係数Kp及び圧電g31定数が大きく低下していた。
また,上記試料E11は,試料C1と比べると,機械的品質係数Qm,比誘電率ε33T/ε0及び誘電損失tanδが向上しており,試料C2と比べても,機械的品質係数Qmが向上していたが,その反面,圧電d31定数や電気機械結合係数Kp,圧電g31定数等が著しく低下していた。
このように,本例の圧電磁器組成物(試料E8及び試料E9)は,組成中に鉛を含有せず,上記のように優れた圧電特性及び誘電特性を有している。そのため,環境に対して安全で,かつ高性能な圧電素子及び誘電素子に利用することができる。
また,本例においては,具体的には明示していないが,上記の添加元素による効果は,0.0001molという少ない含有量でも同様に発揮されることを確認している。さらに,上記の添加元素による効果は,置換添加であっても外添加であっても同様に圧電特性を向上させることができことを確認している。
また,本例においては,特定組成の化合物を主成分とする圧電磁器組成物について,上記添加元素による圧電特性の向上効果を確認したが,上記一般式{Lix(K1-yNay1-x}(Nb1-z-wTazSbw)O3で表されるその他の化合物を主成分とする圧電磁器組成物についても,同様の効果を発揮できることを確認している。

Claims (38)

  1. 一般式{Lix(K1-yNay1-x}(Nb1-z-wTazSbw)O3で表され,かつx,y,z,wがそれぞれ0≦x≦0.2,0≦y≦1,0<z≦0.4,0<w≦0.2の組成範囲にある化合物を主成分とする圧電磁器組成物であって,
    該圧電磁器組成物は,Mg,Ca,Sr,Baから選ばれるいずれか1種以上の金属元素を添加元素として含有してなり,
    上記添加元素の含有量の合計は,上記一般式で表される化合物1molに対して,0.0001mol〜0.10molであることを特徴とする圧電磁器組成物。
  2. 請求項1において,上記添加元素は,上記一般式で表される化合物のLi,K,Naの少なくとも一部に置換して含有されていることを特徴とする圧電磁器組成物。
  3. 一般式{Lix(K1-yNay1-x}(Nb1-z-wTazSbw)O3で表され,かつx,y,z,wがそれぞれ0≦x≦0.2,0≦y≦1,0<z≦0.4,0<w≦0.2の組成範囲にある化合物を主成分とする圧電磁器組成物であって,
    該圧電磁器組成物は,Si,In,Scから選ばれるいずれか1種以上の金属元素を添加元素として含有してなり,
    上記添加元素の含有量の合計は,上記一般式で表される化合物1molに対して,0.08mol以下であることを特徴とする圧電磁器組成物。
  4. 請求項3において,上記添加元素の含有量の合計は,上記一般式で表される化合物1molに対して,0.0001mol以上であることを特徴とする圧電磁器組成物。
  5. 一般式{Lix(K1-yNay1-x}(Nb1-z-wTazSbw)O3で表され,かつx,y,z,wがそれぞれ0≦x≦0.2,0≦y≦1,0<z≦0.4,0<w≦0.2の組成範囲にある化合物を主成分とする圧電磁器組成物であって,
    該圧電磁器組成物は,Biを添加元素として含有してなり,
    上記添加元素の含有量は,上記一般式で表される化合物1molに対して,0.0001mol〜0.004molであることを特徴とする圧電磁器組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項において,上記圧電磁器組成物の圧電d31定数は,上記一般式で表され,上記添加元素を含有していない圧電磁器組成物の圧電d31定数よりも,大きいことを特徴とする圧電磁器組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項において,上記圧電磁器組成物の電気機械結合係数Kpは,上記一般式で表され,上記添加元素を含有していない圧電磁器組成物の電気機械結合係数Kpよりも,大きいことを特徴とする圧電磁器組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項において,上記圧電磁器組成物の圧電g31定数は,上記一般式で表され,上記添加元素を含有していない圧電磁器組成物の圧電g31定数よりも,大きいことを特徴とする圧電磁器組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項において,上記圧電磁器組成物の機械的品質係数Qmは,上記一般式で表され,上記添加元素を含有していない圧電磁器組成物の機械的品質係数Qmよりも,大きいことを特徴とする圧電磁器組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項において,上記圧電磁器組成物の比誘電率は,上記一般式で表され,上記添加元素を含有していない圧電磁器組成物の比誘電率よりも大きいことを特徴とする圧電磁器組成物。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項において,上記圧電磁器組成物の誘電損失は,上記一般式で表され,上記添加元素を含有していない圧電磁器組成物の誘電損失よりも小さいことを特徴とする圧電磁器組成物。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項において,上記圧電磁器組成物のキュリー温度Tcは,上記一般式で表され,上記添加元素を含有していない圧電磁器組成物のキュリー温度Tcよりも大きいことを特徴とする圧電磁器組成物。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項において,上記圧電磁器組成物は,圧電d31定数が30pm/V以上であることを特徴とする圧電磁器組成物。
  14. 請求項1〜13のいずれか一項において,上記圧電磁器組成物は,電気機械結合係数Kpが0.30以上であることを特徴とする圧電磁器組成物。
  15. 請求項1〜14のいずれか一項において,上記圧電磁器組成物は,圧電g31定数が7×10-3Vm/N以上であることを特徴とする圧電磁器組成物。
  16. 請求項1〜15のいずれか一項において,上記圧電磁器組成物は,機械的品質係数Qmが50以上であることを特徴とする圧電磁器組成物。
  17. 請求項1〜16のいずれか一項において,上記圧電磁器組成物は,比誘電率が400以上であることを特徴とする圧電磁器組成物。
  18. 請求項1〜17のいずれか1項において,上記圧電磁器組成物は,誘電損失が0.09以下であることを特徴とする圧電磁器組成物。
  19. 請求項1〜18のいずれか1項において,上記圧電磁器組成物は,キュリー温度Tcが200℃以上であることを特徴とする圧電磁器組成物。
  20. 請求項1〜12のいずれか一項において,上記圧電磁器組成物は,圧電d31定数が30pm/V以上で,かつキュリー温度Tcが200℃以上であることを特徴とする圧電磁器組成物。
  21. 請求項1〜12のいずれか一項において,上記圧電磁器組成物は,圧電g31定数が7×10-3Vm/Nで,かつキュリー温度Tcが200℃以上であることを特徴とする圧電磁器組成物。
  22. 請求項1〜12のいずれか一項において,上記圧電磁器組成物は,電気機械結合係数Kpが0.3以上で,かつキュリー温度Tcが200℃以上であることを特徴とする圧電磁器組成物。
  23. 請求項1〜12のいずれか一項において,上記圧電磁器組成物は,機械的品質係数Qmが50以上で,かつキュリー温度がTcが200以上であることを特徴とする圧電磁器組成物。
  24. 請求項1〜12のいずれか一項において,上記圧電磁器組成物は,誘電損失が0.09以下で,かつキュリー温度Tcが200℃以上であることを特徴とする圧電磁器組成物。
  25. 請求項1〜12のいずれか一項において,上記圧電磁器組成物は,圧電d31定数が30pm/V以上で,かつ電気機械結合係数Kpが0.3以上で,かつキュリー温度Tcが200℃以上であることを特徴とする圧電磁器組成物。
  26. 一般式{Lix(K1-yNay1-x}(Nb1-z-wTazSbw)O3で表され,かつx,y,z,wがそれぞれ0≦x≦0.2,0≦y≦1,0<z≦0.4,0<w≦0.2の組成範囲にある化合物と,Mg,Ca,Sr,Baから選ばれる1種以上の金属元素を含む添加物とを混合し,焼成することを特徴とする圧電磁器組成物の製造方法。
  27. 一般式{Lix(K1-yNay1-x}(Nb1-z-wTazSbw)O3で表され,かつx,y,z,wがそれぞれ0≦x≦0.2,0≦y≦1,0<z≦0.4,0<w≦0.2の組成範囲にある化合物と,Si,In,Scから選ばれる1種以上の金属元素を含む添加物とを混合し,焼成することを特徴とする圧電磁器組成物の製造方法。
  28. 一般式{Lix(K1-yNay1-x}(Nb1-z-wTazSbw)O3で表され,かつx,y,z,wがそれぞれ0≦x≦0.2,0≦y≦1,0<z≦0.4,0<w≦0.2の組成範囲にある化合物と,Biを含む添加物とを混合し,焼成することを特徴とする圧電磁器組成物の製造方法。
  29. Liを含有する化合物と,Naを含有する化合物と,Kを含有する化合物と,Nbを含有する化合物と,Taを含有する化合物と,Sbを含有する化合物とを,焼成後に一般式{Lix(K1-yNay1-x}(Nb1-z-wTazSbw)O3で表され,かつx,y,z,wがそれぞれ0≦x≦0.2,0≦y≦1,0<z≦0.4,0<w≦0.2の組成範囲にある化合物となるような化学量論比にて,又は下記の添加物に含有される金属元素による置換を考慮した化学量論比にて用意し,さらにMg,Ca,Sr,Baから選ばれるいずれか1種以上の金属元素を含む添加物を混合し,焼成することを特徴とする圧電磁器組成物の製造方法。
  30. 請求項29において,上記Liを含有する化合物はLi2CO3,上記Naを含有する化合物はNa2CO3,上記Kを含有する化合物はK2CO3,上記Nbを含有する化合物はNb25,上記Taを含有する化合物はTa25,上記Sbを含有する化合物はSb25又はSb23,上記添加物はMgO,MgCO3,CaO,CaCO3,SrO,SrCO3,BaO,及びBaCO3から選ばれるいずれか1種以上であることを特徴とする圧電磁器組成物の製造方法。
  31. Liを含有する化合物と,Naを含有する化合物と,Kを含有する化合物と,Nbを含有する化合物と,Taを含有する化合物と,Sbを含有する化合物とを,焼成後に一般式{Lix(K1-yNay1-x}(Nb1-z-wTazSbw)O3で表され,かつx,y,z,wがそれぞれ0≦x≦0.2,0≦y≦1,0<z≦0.4,0<w≦0.2の組成範囲にある化合物となるような化学量論比にて,又は下記の添加物に含有される金属元素による置換を考慮した化学量論比にて用意し,さらにSi,In,Scから選ばれるいずれか1種以上の金属元素を含む添加物を混合し,焼成することを特徴とする圧電磁器組成物の製造方法。
  32. 請求項31において,上記Liを含有する化合物はLi2CO3,上記Naを含有する化合物はNa2CO3,上記Kを含有する化合物はK2CO3,上記Nbを含有する化合物はNb25,上記Taを含有する化合物はTa25,上記Sbを含有する化合物はSb25又はSb23,上記添加物はSiO2,In23,及びSc23から選ばれるいずれか1種以上であることを特徴とする圧電磁器組成物の製造方法。
  33. Liを含有する化合物と,Naを含有する化合物と,Kを含有する化合物と,Nbを含有する化合物と,Taを含有する化合物と,Sbを含有する化合物とを,焼成後に一般式{Lix(K1-yNay1-x}(Nb1-z-wTazSbw)O3で表され,かつx,y,z,wがそれぞれ0≦x≦0.2,0≦y≦1,0<z≦0.4,0<w≦0.2の組成範囲にある化合物となるような化学量論比にて,又は下記の添加物に含有されるBi原子による置換を考慮した化学量論比にて用意し,さらにBiを含む添加物を混合し,焼成することを特徴とする圧電磁器組成物の製造方法。
  34. 請求項33において,上記Liを含有する化合物はLi2CO3,上記Naを含有する化合物はNa2CO3,上記Kを含有する化合物はK2CO3,上記Nbを含有する化合物はNb25,上記Taを含有する化合物はTa25,上記Sbを含有する化合物はSb25又はSb23,上記添加物はBi23であることを特徴とする圧電磁器組成物の製造方法。
  35. 請求項1〜25のいずれか一項に記載の圧電磁器組成物よりなる圧電体を有することを特徴とする圧電素子。
  36. 請求項26〜34のいずれか一項に記載の製造方法により製造された圧電磁器組成物よりなる圧電体を有することを特徴とする圧電素子。
  37. 請求項1〜25のいずれか一項に記載の圧電磁器組成物よりなる誘電体を有することを特徴とする誘電素子。
  38. 請求項26〜34のいずれか一項に記載の製造方法により製造された圧電磁器組成物よりなる誘電体を有することを特徴とする誘電素子。
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