JP2004243546A - 塗装金属板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】金属基板の表面に、下記の下塗り塗料及び上塗り塗料を順に塗付積層する。
下塗り塗料:アルキルアミン鎖を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂(A)と、アダクト型ブロックイソシアネート化合物(B)を含有する塗料。
上塗り塗料:有機質樹脂(M)、及びテトラアルコキシシラン化合物(N)を含有し、硬化塗膜のガラス転移温度が20〜80℃の塗料。
【選択図】なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に屋外建材や屋外で使用される電気製品等に好適な塗装金属板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
壁材、屋根材等の屋外建材や、エアコン室外機、自動販売機等の電気製品等に用いられる金属板においては、その美観性や防食性等を高める目的で各種の塗装が施されている。このような金属板では、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂等の有機樹脂をバインダーとした塗料によって塗膜が形成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、近年、都市部等においては、自動車等からの排出ガスによって大気中に油性の汚染物質が浮遊している状況であり、上述のような一般的な塗料を用いた金属板では、その塗膜表面が汚染され、美観性が損われるという問題がある。
塗膜の耐汚染性を改善する手段のひとつとして、樹脂のガラス転移温度を高く設定する方法が挙げられる。しかし、樹脂のガラス転移温度を上げると、折り曲げ加工時や切断加工時において、塗膜に割れ、剥れ等の欠損が発生しやすくなる。塗膜に衝撃が加わった場合にも、割れ、剥れ等が発生しやすくなる。このような欠損は、美観性を損なうだけでなく、金属基板の腐食を招くおそれもある。
【0004】
特開平5−77356号公報には、耐汚染性と加工性を両立するために、ガラス転移温度の低い内層塗膜と、ガラス転移温度の高い外層塗膜を積層した塗装金属板が提案されている。しかしながら、該公報の塗装金属板では、油性の汚染物質に起因する雨筋汚染を抑制することができない。また、耐衝撃性の点においても十分とは言えず、塗膜に割れや剥れ等の欠損が発生する場合がある。
本発明は、このような問題点に鑑みなされたもので、耐汚染性に優れるとともに、塗膜の割れ、剥れ等の発生を防止することができる塗装金属板を得ることを目的とするものである。
【0005】
【特許文献1】特開平5−77356号公報
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討した結果、特定組成の下塗り塗料及び上塗り塗料を塗付積層した塗装金属板に想到し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち、本発明は以下の特徴を有するものである。
1.金属基板の表面に、下塗り塗料及び上塗り塗料が順に塗付積層された塗装金属板であって、
該下塗り塗料が、アルキルアミン鎖を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂(A)と、アダクト型ブロックイソシアネート化合物(B)を含有する塗料であり、
該上塗り塗料が、有機質樹脂(M)、及びテトラアルコキシシラン化合物(N)を含有し、硬化塗膜のガラス転移温度が20〜80℃の塗料であることを特徴とする塗装金属板。
2.下塗り塗料における(A)成分がウレタン架橋構造を有するものであることを特徴とする1.に記載の塗装金属板。
3.下塗り塗料における(B)成分のブロック化剤が活性メチレン系化合物であることを特徴とする1.または2.に記載の塗装金属板。
4.下塗り塗料におけるNCO/OH比率が1/1以下であることを特徴とする1.〜3.のいずれかに記載の塗装金属板。
5.上塗り塗料における(M)成分が、ポリオール及びイソシアネート化合物を含有するものであることを特徴とする1.〜4.のいずれかに記載の塗装金属板。
6.上塗り塗料における(N)成分が、炭素数が1〜3のアルコキシル基と、炭素数が4〜12のアルコキシル基を含有するテトラアルコキシシラン化合物であることを特徴とする1.〜5.のいずれかに記載の塗装金属板。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳述する。
【0009】
本発明における金属基板としては、例えば、冷延鋼板、アルミニウム板、アルミニウム合金板、亜鉛板、ステンレス鋼板、鉄板、亜鉛メッキ鋼板、アルミニウム・亜鉛合金メッキ鋼板等を使用することができる。これらは、加工性や防食性等の要求レベルに合わせて適宜選択すればよい。
また、これら金属基板は、何らかの化成処理が施されたものであってもよい。化成処理としては、例えば、クロメート処理
、燐酸亜鉛処理、ノンクロムのシリカ系処理等が挙げられる。
本発明の塗装金属板は、金属基板に対し、上述の下塗り塗料及び上塗り塗料を順に塗装することによって製造することができる。
【0010】
(I)下塗り塗料
本発明における下塗り塗料は、アルキルアミン鎖を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂(A)と、アダクト型ブロックイソシアネート化合物(B)を含有する1液型の塗料である。
【0011】
[(A)アルキルアミン鎖を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂]
(A)成分としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂にアルキルアミン鎖を有していれば特に限定されないが、ビスフェノールA型エポキシ樹脂主鎖骨格中にアルキルアミン鎖を有していることが望ましい。このような(A)成分は、未変性エポキシ樹脂の本来の性能である耐水性及び密着性をさらに向上させることができ、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とアルキルアミン類を反応せしめて得ることができる。
【0012】
前記ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノール類とエピクロルヒドリンまたはβ−メチルエピクロルヒドリン等のハロエポキシドとの反応により得ることができる。ビスフェノール類としてはフェノールまたは2,6−ジハロフェノールとホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、アセトフェノン、シクロヘキサノン、ベンゾフェノン等のアルデヒド類もしくはケトン類との反応の他、ジヒドロキシフェニルスルフィドの過酸による酸化、ハイドロキノン同士のエーテル化反応等により得られるものがあげられる。これらビスフェノール類は、一種または二種以上を特に制限なく使用することができる。
【0013】
また、アルキルアミン類としては、アルカノールアミン類、脂肪族アミン類、芳香族アミン類、脂環族アミン類、芳香核置換脂肪族アミン類等が挙げられる。例えば、アルカノールアミン類としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、n−プロパノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ジ−2−ヒドロキシブチルアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−ベンジルエタノールアミン等があげられ、脂肪族アミン類としてはエチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、パルミチルアミン、オレイルアミン、エルシルアミン等の一級アミン類やジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン等の二級アミン類があげられ、芳香族アミン類としてはトルイジン類、キシリジン類、クミジン(イソプロピルアニリン)類、ヘキシルアニリン類、ノニルアニリン類、ドデシルアニリン類等があげられ、脂環族アミン類としてはシクロペンチルアミン類、シクロヘキシルアミン類、ノルボニルアミン類があげられ、芳香核置換脂肪族アミン類としてはベンジルアミン、フェネチルアミン等があげられる。これらアルキルアミン類は、一種または二種以上を特に制限なく使用することができる。
【0014】
さらに、(A)成分は、ウレタン架橋構造を有することが望ましい。このような(A)成分は、公知の方法で得ることができる。例えば、
▲1▼ポリイソシアネート化合物と前記ビスフェノールA型エポキシ樹脂とを反応させる方法、
▲2▼ポリエーテルポリオールまたはポリエステルポリオール等のポリオールとポリイソシアネート化合物とを反応させることによって得られるウレタンプレポリマーと、前記ビスフェノールA型エポキシ樹脂とを反応させる方法、
等によって得ることができる。
【0015】
(A)成分にウレタン架橋構造を導入する際のポリイソシアネート化合物としては、脂肪族ポリイソシアネート化合物、脂環族ポリイソシアネート化合物、芳香族ポリイソシアネート化合物等を使用することができる。
また、ポリオールとしては、ポリウレタンの合成において使用可能なものであれば特に限定されないが、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等が好適である。
【0016】
(A)成分においては、ウレタン架橋構造を導入することにより分子量が増大し、低分子量成分を減少させることができ、強靭な塗膜を得ることができる。また、ウレタン架橋構造のもつ柔軟性により、塗膜の可とう性を高めることができる。
【0017】
下塗り塗料における(A)成分のガラス転移温度は70℃以上であることが望ましい。ガラス転移温度が70℃以上であることにより、十分な塗膜強度を得ることができる。
また、(A)成分の重量平均分子量は、通常5000〜100000、好ましくは10000〜50000である。
【0018】
[(B)アダクト型ブロックイソシアネート化合物]
下塗り塗料における(B)成分はアダクト型のブロックイソシアネート化合物である。
【0019】
イソシアネート構造としては、一般的に、次に示すような、アダクト型構造(化1)、ビウレット型構造(化2)及びイソシアヌレート型構造(化3)に分類される。
【0020】
アダクト型構造
【化1】
【0021】
ビウレット型構造
【化2】
【0022】
イソシアヌレート型構造
【化3】
【0023】
このうち、本発明の下塗り塗料では上記(化1)で示されるアダクト型構造を有するブロックイソシアネート化合物(B)と、前述の(A)成分とを組み合わせることにより、上塗り及び金属基板への優れた密着性を確保することができる。したがって、折り曲げ加工時や切断加工時、あるいは塗膜に衝撃が加わった場合における塗膜の割れ発生や剥れ発生等を効果的に防止することができる。さらに、優れた可とう性を有する塗膜を形成することもできる。
【0024】
下塗り塗料における(B)成分としては、特に、脂肪族ジオール及び/または脂肪族トリオールからなるアダクト型イソシアネート化合物であって、イソシアネート基がブロック化剤でブロックされたものが好適である。このような(B)成分は、脂肪族ジオール及び/または脂肪族トリオールとアダクト型イソシアネート化合物を公知の方法で反応させて得ることができる。
脂肪族ジオール、脂肪族トリオールとしては、例えば、脂肪族炭化水素ポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール類、エポキシ樹脂類、ポリカーボネートポリオール類等が挙げられる。
【0025】
ブロック化剤としては、例えば、フェノール系化合物、アルコール系化合物、活性メチレン系化合物、メルカプタン系化合物、酸アミド系化合物、酸イミド系化合物、イミダゾール系化合物、尿素系化合物、オキシム系化合物、ラクタム系化合物、アミン系化合物、イミド系化合物等が挙げられる。
【0026】
このうちフェノール系化合物としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、ブチルフェノール等;アルコール系化合物としては、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール、ベンジルアルコール、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、2−エチルヘキサノール等;活性メチレン系化合物としては、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン等;メルカプタン系化合物としては、ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン等;酸アミド系化合物としては、アセトアニリド、酢酸アミド、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム等;酸イミド系化合物としては、コハク酸イミド、マレイン酸イミド等;イミダゾール系化合物としては、イミダゾール、2−メチルイミダゾール等;尿素系化合物としては、尿素、チオ尿素、エチレン尿素等;オキシム系化合物としては、ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシム等;ラクタム系化合物としては、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、β−ブチロラクタム、β−プロピオラクタム、アミン系としては、ジフェニルアミン、アニリン、カルバゾール等;イミン系化合物としてはエチレンイミン、ポリエチレンイミン等が挙げられる。
このようなブロック化剤のうち、オキシム系化合物、活性メチレン系化合物を用いた場合は、短時間で焼付可能である点において好適である。特に、活性メチレン系化合物を用いた場合は、160℃以上の高温領域ではもちろん、90℃以上160℃以下の比較的低温領域でも短時間で焼付可能となるため、エネルギーコストの点でも非常に有利である。
【0027】
下塗り塗料における(A)成分と(B)成分の混合比率は、(A)成分の水酸基と(B)成分のイソシアネート基について、NCO/OH比率が1/1以下とすることが好ましく、さらに好ましくは1/100以上1/2以下である。このような比率で(A)成分と(B)成分を混合することにより、上塗り塗料及び金属基板との密着性が向上する。
【0028】
本発明における下塗り塗料は、通常、媒体としては非水系溶剤を含むものである。
また、上述の(A)成分及び(B)成分以外に、通常塗料で使用可能な成分を混合することもできる。このような成分としては、防錆顔料、体質顔料、着色顔料、ブロック解離触媒、沈降防止剤、消泡剤、レベリング剤等が挙げられる。
このうち、防錆顔料としては、例えば、リン酸塩、亜リン酸塩、タングステン塩、ホウ酸塩、ニトロ化合物等が挙げられる。
ブロック解離触媒としては、例えば、オクチル酸錫、ジブチル錫ジ(2−エチルヘキサノエート)、ジオクチル錫ジ(2−エチルヘキサノエート)、ジオクチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイド等が挙げられる。
【0029】
下塗り塗料における塗装方法としては、例えば、ロールコート、カーテンコート、スプレーコート、バーコート等が挙げられる。
下塗り塗料の乾燥膜厚は、特に限定されないが、通常10〜30μm程度である。
下塗り塗料の焼付温度は適宜設定することができるが、本発明の下塗り塗料は160℃以上の高温領域ではもちろん、90℃以上160℃以下の低温領域においても焼付が可能であるという利点を有する。
【0030】
(II)上塗り塗料
本発明における上塗り塗料は、有機質樹脂(M)、及びテトラアルコキシシラン化合物(N)を含有し、硬化塗膜のガラス転移温度が20〜80℃の塗料である。
【0031】
この上塗り塗料では、必須成分としてテトラアルコキシシラン化合物(N)が含まれることにより、耐汚染性、特に耐雨筋汚染性に優れた塗膜を形成することができる。さらに、硬化塗膜のガラス転移温度が20〜80℃の範囲内であることにより、折り曲げ加工時や切断加工時、あるいは塗膜に衝撃が加わった場合における塗膜の割れ発生や剥れ発生等を効果的に防止することができる。
【0032】
[(M)有機質樹脂]
上塗り塗料における(M)成分である有機質樹脂は、塗料の結合剤として用いるものであり、公知の有機質樹脂を使用することができる。
【0033】
(M)成分の樹脂の種類としては、特に限定されず、例えば、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、アルキド系樹脂等、あるいはアルキド変性アクリル樹脂、シリコン変性アクリル樹脂、ポリエステル変性アクリル樹脂等の変性樹脂等があげられ、各種樹脂の1種または2種以上が使用可能である。また、樹脂の形態としては、溶液形、分散形、あるいはこれらの混合形が使用可能である。
【0034】
(M)成分の重量平均分子量は、通常5000〜200000程度である。重量平均分子量が5000より小さい場合は、塗料として適度な粘性が得られず、また各塗膜物性に劣ることとなる。逆に200000より大きい場合は、塗膜の鮮映性や光沢の低下が発生するおそれがある。
【0035】
上塗り塗料における(M)成分としては、特に、上述の下塗り塗料の塗膜への密着性に優れる点等から、官能基として水酸基を含有する化合物、即ちポリオール化合物(以下「(m)成分」ともいう)が好適である。(m)成分としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、フッ素含有アクリルポリオール、シリコーン含有アクリルポリオール等があげられる。以下に(m)成分の具体例を示す。
【0036】
(1)ポリエーテルポリオール
ポリエーテルポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グルコース、ソルビトール、シュークロース等の多価アルコールの1種又は2種以上にプロピレンオキサイド、エチレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド等の1種又は2種以上を付加して得られるポリオール類、および、前記多価アルコールにテトラヒドロフランを開環重合により付加して得られるポリオキシテトラメチレンポリオール類が例示できる。
【0037】
(2)ポリエステルポリオール
ポリエステルポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールあるいはその他の低分子量多価アルコールの1種又は2種以上とグルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸あるいはその他の低分子ジカルボン酸やオリゴマー酸の1種又は2種以上との縮合重合体、プロピオラクトン、カプロラクトン、バレロラクトン等開環エステル類の開環重合体等のポリオール類が例示できる。
【0038】
(3)アクリルポリオール
アクリルポリオールは、水酸基含有アクリル系単量体と、その他の重合性単量体を共重合することにより得られるものである。
水酸基含有アクリル系単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル、グリセリン、トリメチロールプロパン等多価アルコールの(メタ)アクリル酸モノエステル、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等があげられる。
【0039】
その他の重合性単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどのアルキル基含有(メタ)アクリル系単量体;(メタ)アクリル酸などのエチレン性不飽和カルボン酸;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどのアミノ基含有(メタ)アクリル系単量体;(メタ)アクリルアミド、エチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド含有(メタ)アクリル系単量体;アクリロニトリルなどのニトリル基含有(メタ)アクリル系単量体;グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有(メタ)アクリル系単量体;スチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族炭化水素系ビニル単量体;スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸などのスルホン酸含有ビニル単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニルなどのビニルエステル等があげられる。
【0040】
さらに、反応性シリル基含有ビニル系単量体を共重合することにより、アクリルポリオールをシリコン変性することも可能である。反応性シリル基含有ビニル系単量体としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ−n−ブトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、アリルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルエチルビニルエーテル、トリエトキシシリルエチルビニルエーテル、トリメトキシシリルプロピルビニルエーテル、トリエトキシシリルプロピルビニルエーテル、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、メチルジメトキシシリルエチルビニルエーテル、メチルジメトキシシリルプロピルビニルエーテル等があげられる。
【0041】
(4)フッ素含有ポリオール
フッ素含有ポリオールは、フルオロオレフィン単量体、フルオロアルキル基含有アクリル系単量体等のフッ素系単量体と、水酸基含有ビニル系単量体と、必要に応じて他の重合性単量体とを共重合することにより得られるものである。
フルオロオレフィン単量体としては、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン等のパーフルオロオレフィン類、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等があげられる。フルオロアルキル基含有アクリル系単量体としては、パーフルオロメチルメタクリレート、パーフルオロイソノニルメチルメタクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルアクリレート、2−パーフルオロオクチルエチルメタクリレート等があげられる。
【0042】
水酸基含有ビニル系単量体としては、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシペンチルビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル;エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノアリルエーテル、トリエチレングリコールモノアリルエーテル等のヒドロキシアリルエーテル等があげられる。
他の重合性単量体としては、上記アクリルポリオールで示した単量体等を適宜使用することができる。
【0043】
(5)シリコーン含有ポリオール
シリコーン含有ポリオールは、ポリオールにシリコーン成分を導入したものである。このようなシリコーン成分を導入する方法としては、特に限定されず各種の方法を採用することができるが、例えば、
▲1▼重合性二重結合を有するシリコーン化合物を共重合する方法、
▲2▼樹脂中の官能基と、該官能基と反応可能な官能基を有するシリコーン化合物とを反応させる方法、
▲3▼反応性シリル基含有ビニル系単量体を共重合した樹脂に、反応性シリル基含有化合物を反応させる方法、
▲4▼樹脂中の官能基と、該官能基と反応可能な官能基を有するカップリング剤を反応させた後、反応性シリル基含有化合物を反応させる方法、
等があげられる。
【0044】
▲2▼、▲4▼における官能基の組み合わせとしては、水酸基とイソシアネート基、水酸基とカルボン酸無水物基、アミノ基とイソシアネート基、カルボキシル基とエポキシ基、アミノ基とエポキシ基、アルコキシシリル基どうし等があげられる。
【0045】
▲3▼、▲4▼における反応性シリル基としては、珪素原子にアルコキシル基、フェノキシ基、メルカプト基、アミノ基、ハロゲン等が結合したものである。反応性シリル基含有化合物としては、反応性シリル基を一分子中に2個以上有するものが用いられ、例えば、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラブトキシシラン等の4官能アルコキシシラン類;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン等の3官能アルコキシシラン類;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等の2官能アルコキシシラン類;テトラクロロシラン、メチルトリクロロシラン等のクロロシラン類;テトラアセトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン等のアセトキシシラン類などがあげられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。また、反応性シリル基を一分子中に1個有する化合物を併用することもできる。
【0046】
▲3▼における反応性シリル基含有ビニル系単量体としては、アクリルポリオールを変性する際と同様の単量体をあげることができる。
【0047】
▲4▼におけるカップリング剤は、例えば、一分子中に、少なくとも1個以上のアルコキシシリル基とそのほかの置換基を有する化合物である。カップリング剤としては具体的には、例えば、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、イソシアネート官能性シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等があげられる。
【0048】
(6)その他のポリオール
その他、フェノールレジンポリオール、エポキシポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、ポリエステル−ポリエーテルポリオール、アクリロニトリルやスチレン等の重合体をビニル付加ないし分散せしめたポリマーポリオール、ウレア分散ポリオール、カーボネートポリオール等が本発明のポリオールとして使用することが可能である。
【0049】
以上に例示した(m)成分は1種または2種以上で使用することができる。このうち、アクリルポリオール、シリコン変性アクリルポリオール、フッ素含有ポリオール、及びシリコーン含有ポリオールから選ばれる1種以上を使用した場合は、塗膜の耐候性を向上させることができる点等において特に好適である。
【0050】
上述のようなポリオールを用いる場合、その水酸基価としては、15〜100KOHmg/gのものを使用することが望ましい。水酸基価が15KOHmg/gより小さい場合には、架橋密度が低いため、各種塗膜物性、耐汚染性が劣り、逆に、100KOHmg/gより大きい場合は、架橋密度が高くなり(N)テトラアルコキシシラン化合物の表面配向性が阻害されるため好ましくない。
【0051】
[(m’)硬化剤類]
上塗り塗料における有機質樹脂として(m)成分を使用する場合は、硬化剤としてイソシアネート化合物(以下、「(m’−1)成分」という)を併用して硬化塗膜を得る。さらに有機金属化合物(以下、「(m’−2)成分」という)等を配合することもできる。
【0052】
(m’−1)成分としては、トルエンジイソシアネート(TDI)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(pure−MDI)、ポリメリックMDI、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水添XDI、水添MDI等のイソシアネートモノマーをアロファネート化、ビウレット化、2量化(ウレチジオン化)、3量化(イソシアヌレート化)、アダクト化、カルボジイミド化反応等により、誘導体化したもの、および、それらの混合物が使用可能である。特に、形成される塗膜の黄変を考慮すると、脂肪族系もしくは脂環族系のポリイソシアネート、又はこれらの混合物を使用することが望ましい。
【0053】
さらに、これらの(m’−1)成分は、アルコール類、フェノール類、ε−カプロラクタム、オキシム類、活性メチレン化合物類などのブロック剤を用いたブロックイソシアネートの形態でも使用できる。
【0054】
これらの(m’−1)成分と(m)成分との混合は、NCO/OH比率で0.7〜2.0、好ましくは0.8〜1.5となるような比率で行う。このときNCO/OH比率が0.7より小さいと、塗膜の架橋率が低くなり、硬化性、耐久性が劣るほか、汚染物質が塗膜の密度の粗い分子内へ潜り込むため、塗膜の洗浄を行っても汚染物質が除去しにくく、汚染回復性に劣る傾向となる。逆に、2.0よりも大きいと、未反応のイソシアネートが残存し、初期の乾燥性を悪化させるため、タックと呼ばれる表面のべたつきが発生し、汚染物質が物理的に付着しやすくなる。
【0055】
(m’−2)成分としては、例えば、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジマレート、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジマレート、オクチル酸スズ等の有機スズ化合物;アルミニウムトリス(アセチルアセトナート)、チタニウムビス(アセチルアセトナート)、ジルコニウムビス(ブトキシ)ビス(アセチルアセトナート)などの金属キレート化合物類等があげられる。
【0056】
(m’−2)成分を配合する場合、その配合量は、(M)成分100重量部に対し、通常、0.02〜10重量部の範囲内が好適である。(M’−2)成分の配合量が10重量部を超えると、得られる塗膜の仕上り性が低下する傾向となる。
【0057】
[(N)テトラアルコキシシラン化合物]
(N)成分は、上塗り塗料の塗膜形成途上において表面に局在化し、上塗り塗膜表面を親水性にすることができるものである。したがって、本発明では、(M)成分として比較的軟らかい樹脂を使用しても、上塗り塗膜の耐汚染性を確保することができる。
なお、(N)成分の平均縮合度は、通常4〜20程度である。平均縮合度が20より大きいものは、製造が難しく、粘度上昇等により取り扱いが不便である。
【0058】
本発明では、塗膜表面への局在化のしやすさと表面親水化の早期発現の点から、特に、(N)成分として、(N−1)炭素数が1〜3のアルコキシル基と、炭素数が4〜12のアルコキシル基を含有するテトラアルコキシシラン化合物(以下、「(N−1)成分」という。)、
を使用することが望ましい。さらに、(N−1)成分においては、全体のアルコキシル基のうち、5〜50%が炭素数4〜12のアルコキシル基となるようにしたものが(M)成分との相溶性、塗膜の耐汚染性の点で好適である。
【0059】
(N−1)成分は、以下のような方法により製造することが可能であるが、これに限定されるものではない。
▲1▼一般式
Si(OR1)(OR2)(OR3)(OR4)
(式中、R1〜R4は炭素数1〜3のアルキル基と炭素数4〜12のアルキル基が混在しているものとする)で表されるテトラアルコキシシランを平均縮合度4〜20、重量平均分子量が500〜3500となるように縮合させる。縮合方法は、公知の方法による。
【0060】
式中、R1〜R4のアルキル基の部分が、炭素数1〜3のものと炭素数4〜12のものが混在していることにより、(M)成分との相溶性が飛躍的に向上し、表面配向性に優れ、塗膜物性の優れた塗膜が形成できるものである。
このようなテトラアルコキシシランを縮合して、低縮合物とした際に、全体のアルキル基のうち、約5〜50%が炭素数4〜12のアルキル基となるようにしたものが(M)成分との相溶性、塗膜の耐汚染性に優れるため好ましいものとなるが、炭素数4〜12のアルキル基が全体の約5〜50%となるようにするために、縮合の際に、他のアルキルシリケート(アルキル基の炭素数は1〜3であるもの)を混合して縮合するのは有効な手段である。
【0061】
具体例としては、モノブトキシトリメトキシシラン、モノペントキシトリメトキシシラン、モノヘトキシトリメトキシシラン、ジブトキシジエトキシシラン等の低縮合物があげられるが、これに限定されるものではない。
【0062】
▲2▼(a)一般式
R5O(Si(OR5)2O)nR5
(式中、R5は炭素数1〜3のアルキル基とし、nは4〜20の整数とする)で表されるアルキルシリケート低縮合物(以下、「(a)成分」という)を、
(b)一般式
R6OH
(式中、R6は炭素数4〜12のアルキル基とする)で表されるアルコール(以下、「(b)成分」という)を用いて、(a)成分のアルキル基部分の約5〜50%をエステル交換する。
【0063】
(a)成分としては、具体的にはテトラメチルシリケート、テトラエチルシリケート、テトラ−n−プロピルシリケート、テトラ−i−プロピルシリケートなどの低縮合物があげられる。特に、テトラメチルシリケートやテトラエチルシリケートが一般的である。
平均縮合度は4〜20が好ましく、平均縮合度が大きくても小さくても、取り扱いが不便になるので好ましくない。
(b)成分としては、具体的にはn−ブチルアルコール、n−アミルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、n−ノニルアルコール、n−デシルアルコール、n−ウンデシルアルコール、n−ドデシルアルコールが例示できる。
【0064】
(a)成分を(b)成分によりエステル交換する際には、(a)成分の全てのアルキル基(R5)を(b)成分のアルキル基(R6)にエステル交換してしまうのではなく、(a)成分のアルキル基のうち全体の約5〜50%をエステル交換したものを使用する。
その交換比率は、(a)成分1モルに対して、(b)成分を1〜12モル用いて、エステル交換させるとよい。この交換比率は、(a)成分の平均縮合度によって適宜調整するが(a)成分のアルキル基のうち全体の約5〜50%をエステル交換することにより、(M)成分との相溶性や、塗膜の耐汚染性が優れたものとすることができる。このエステル交換率が低くなると、相溶性が悪くなり、表面配向性が十分でなくなる。また、エステル交換率が高くなると、加水分解反応を起こしにくくなり、塗膜が親水性になりにくく、耐汚染性が悪くなる傾向にある。
【0065】
このようにして製造した(N)成分は、(M)成分の樹脂固形分100重量部に対して、SiO2換算で1.0〜50.0重量部、好適には2.0〜30.0重量部の比率で配合することができる。(N)成分が1.0重量部未満では、塗膜に親水性が発現されないため耐汚染性が不十分となる。(N)成分が50.0重量部を越えると、硬化塗膜の外観が悪化したり、塗膜に割れが発生しやすくなったりする。
【0066】
ここでSiO2換算とは、アルコキシシランやシリケートなどのSi−O結合をもつ化合物を、完全に加水分解した後に、900℃で焼成した際にシリカ(SiO2)となって残る重量分にて表したものである。
一般に、アルコキシシランやシリケートは、水と反応して加水分解反応が起こりシラノールとなり、さらにシラノール同士やシラノールとアルコキシにより縮合反応を起こす性質を持っている。この反応を究極まで行うと、シリカ(SiO2)となる。これらの反応は
RO(Si(OR)2O)nR+(n+1)H2O→nSiO2+(2n+2)ROH
(Rはアルキル基を示す。nは整数。)
という反応式で表されるが、この反応式をもとに残るシリカ成分の量を換算したものである。
【0067】
[その他]
本発明の上塗り塗料は、着色顔料を配合して、着色(エナメル)塗膜としてもよい、このような着色顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、酸化第二鉄(ベンガラ)、クロム酸鉛(モリブデートオレンジ)、黄鉛、黄色酸化鉄、オーカー、群青、コバルトグリーン等の無機系顔料、アゾ系、ナフトール系、ピラゾロン系、アントラキノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジスアゾ系、イソインドリノン系、ベンゾイミダゾール系、フタロシアニン系、キノフタロン系等の有機顔料等が使用できる。
【0068】
また、重質炭酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、ホワイトカーボン、珪藻土等の体質顔料を使用することも可能である。特に、艶消し塗膜を形成する場合には、塗膜表面における耐汚染効果を損なうことの最も少ないホワイトカーボン、珪藻土を使用することが最適である。なお、これらの無機物質を塗料に添加する際に、粉体表面をカップリング剤で処理したり、塗料にカップリング剤を添加することは好ましい手段である。
【0069】
この他、上塗り塗料には、通常塗料に配合することが可能な各種添加剤を本発明の効果に影響しない程度に配合することが可能である。このような添加剤としては、例えば、可塑剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、消泡剤、レベリング剤、顔料分散剤、沈降防止剤、たれ防止剤、艶消し剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0070】
本発明の上塗り塗料においては、その硬化塗膜のガラス転移温度を20〜80℃、好ましくは30〜70℃とする。このガラス転移温度は、上述の(M)成分の樹脂組成、分子量、官能基の種類や含有比率、あるいは硬化剤の種類や混合比率等を適宜設定することによって調整することができる。上塗り塗料における硬化塗膜のガラス転移温度が20℃より低い場合は、耐汚染性が不十分となる。ガラス転移温度が80℃より高い場合は、塗膜に割れや剥れ等が発生しやすくなる。
なお、本発明における硬化塗膜のガラス転移温度は、強制振動型粘弾性装置によって測定されるtanδが極大値を示すときの温度である。具体的には、強制振動型粘弾性装置(Rheogel E−4000 株式会社ユービーエム製)を用いた引張りモードで、昇温温度2.0℃/min、周波数10Hz、振幅歪0.1mmの条件で測定するものである。
【0071】
上塗り塗料における塗装方法としては、例えば、ロールコート、カーテンコート、スプレーコート、バーコート等が挙げられる。
上塗り塗料の乾燥膜厚は、特に限定されないが、通常10〜80μm程度である。
上塗り塗料の焼付温度は適宜設定することができるが、通常90〜200℃程度である。
なお、本発明における下塗り塗料及び上塗り塗料の塗装では、2コート1ベーク方式、2コート2ベーク方式等の方法を適宜採用することができる。
【0072】
【実施例】
以下、実施例に基づいて、本発明を更に詳細に説明する。
【0073】
(下塗り塗料の製造)
表1に示した原料を使用して、各成分を表2に示した比率で常法にて混合することにより各下塗り塗料を製造した。
【0074】
(上塗り塗料の製造)
1.上塗り塗料▲1▼
フッ素含有ポリオール200重量部、顔料▲3▼80重量部、テトラアルコキシシラン化合物▲1▼13重量部、硬化剤18重量部を常法によって混合し、上塗り塗料▲1▼を製造した。この上塗り塗料▲1▼の硬化塗膜のガラス転移温度は56℃であった。
2.上塗り塗料▲2▼
フッ素含有ポリオール200重量部、顔料▲3▼80重量部、テトラアルコキシシラン化合物▲2▼10重量部、硬化剤18重量部を常法によって混合し、上塗り塗料▲2▼を製造した。この上塗り塗料▲2▼の硬化塗膜のガラス転移温度は56℃であった。
3.上塗り塗料▲3▼
フッ素含有ポリオール200重量部、顔料▲3▼80重量部、硬化剤18重量部を常法によって混合し、上塗り塗料▲3▼を製造した。この上塗り塗料▲3▼の硬化塗膜のガラス転移温度は52℃であった。
4.上塗り塗料▲4▼
アクリルポリオール200重量部、顔料▲3▼80重量部、硬化剤18重量部を常法によって混合し、上塗り塗料▲4▼を製造した。この上塗り塗料▲4▼の硬化塗膜のガラス転移温度は84℃であった。
【0075】
なお、上塗り塗料の製造においては、以下の原料を使用した。
・フッ素含有ポリオール(モノクロルトリフルオロエチレン−エチルビニルエーテル−バーサチック酸ビニルエステル−ヒドロキシブチルビニルエーテル共重合体のキシレン・酢酸ブチル溶液、水酸基価50KOHmg/g、フッ素含有量19重量%、重量平均分子量40000、ガラス転移温度20℃、固形分50重量%)
・アクリルポリオール(メチルメタクリレート−スチレン−n−ブチルアクリレート−2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体のキシレン・酢酸ブチル溶液、水酸基価50KOHmg/g、重量平均分子量65000、ガラス転移温度52℃、固形分50重量%)
・テトラアルコキシシラン化合物▲1▼(平均縮合度8のメチルシリケート)
・テトラアルコキシシラン化合物▲2▼(平均縮合度8のメチルシリケートとn−ヘプチルアルコールとの反応生成物、エステル交換率27%、シリカ残量比率39重量%)
・硬化剤(イソシアヌレート型ポリイソシアネート、固形分100重量%、NCO比率21重量%)
・顔料▲3▼(ルチル形酸化チタン)
【0076】
(塗装金属板)
300mm×150mm×3mmのアルミニウム板に対し、下塗り塗料を乾燥膜厚が15μmとなるように塗装し、120℃の焼付温度で20分加熱硬化させ、次に、上塗り塗料を乾燥膜厚が20μmとなるように塗装し、120℃の焼付温度で20分加熱硬化させることにより、塗装金属板を得た。
得られた試験体について各試験を行った。下塗り塗料と上塗り塗料の組み合わせ、及び試験結果を表3に示す。
【0077】
【表1】
【0078】
【表2】
【0079】
【表3】
【0080】
(試験方法)
1.密着性
作製した試験体について、JIS K 5400−1990 9.4に準じた耐湿潤冷熱繰り返しを10サイクル行った後、JIS K 5400−19908.5に準じた碁盤目テープ法にて密着性を評価した。評価は以下の通りである。
◎:剥がれなし
○:剥れた面積が15%未満
△:剥れた面積が15%以上35%未満
×:剥れた面積が35%以上
【0081】
2.耐衝撃性
作製した試験体を、衝撃変形試験器に、塗装面が上向きとなるように設置した後、塗装面より50センチの高さから1kgのおもりを落下させ、塗膜の状態の変化を目視にて観察した。評価は以下の通りである。
◎:塗膜の割れ、剥離が全くみられない
○:塗膜の割れ、剥離がわずかにみられる
△:塗膜の割れ、剥離がみられる
×:著しい塗膜の割れ、剥離がみられる
【0082】
3.耐汚染性
作製した試験体を長辺の1/3のところで45°に折り曲げ、曝露用板とした。この曝露用板を、面積の広い面を垂直にして大阪府茨木市で南面向きに設置し、1年間屋外曝露を行った。評価は、垂直面の雨筋汚れの有無を目視観察することにより行った。評価は以下の通りである。
◎:雨筋汚れがみられない
○:雨筋汚れがわずかにみられる
△:雨筋汚染がみられる
×:著しい雨筋汚染がみられる
【0083】
【発明の効果】
本発明の塗装金属板は、耐汚染性に優れるとともに、塗膜の割れ、剥れ等の発生を防止することができるものである。
Claims (6)
- 金属基板の表面に、下塗り塗料及び上塗り塗料が順に塗付積層された塗装金属板であって、
該下塗り塗料が、アルキルアミン鎖を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂(A)と、アダクト型ブロックイソシアネート化合物(B)を含有する塗料であり、
該上塗り塗料が、有機質樹脂(M)、及びテトラアルコキシシラン化合物(N)を含有し、硬化塗膜のガラス転移温度が20〜80℃の塗料であることを特徴とする塗装金属板。 - 下塗り塗料における(A)成分がウレタン架橋構造を有するものであることを特徴とする請求項1に記載の塗装金属板。
- 下塗り塗料における(B)成分のブロック化剤が活性メチレン系化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の塗装金属板。
- 下塗り塗料におけるNCO/OH比率が1/1以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の塗装金属板。
- 上塗り塗料における(M)成分が、ポリオール及びイソシアネート化合物を含有するものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の塗装金属板。
- 上塗り塗料における(N)成分が、炭素数が1〜3のアルコキシル基と、炭素数が4〜12のアルコキシル基を含有するテトラアルコキシシラン化合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の塗装金属板。
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