JP2004212602A - 現像装置およびそれを用いた画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高顔料トナーまたは低融点トナーを用いた場合でも、好適に画像形成可能な現像装置およびそれを用いた画像形成装置を提供する。
【解決手段】現像装置10は、現像ローラ13上に担持搬送されたトナーに帯電を施すことができるトナー帯電手段を有するとともに、トナー規制ブレード14の、現像ローラ13との接触領域Wsがダイヤモンドライクカーボンから構成されている。
【選択図】 図1
【解決手段】現像装置10は、現像ローラ13上に担持搬送されたトナーに帯電を施すことができるトナー帯電手段を有するとともに、トナー規制ブレード14の、現像ローラ13との接触領域Wsがダイヤモンドライクカーボンから構成されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、複写機、プリンタおよびファクシミリ等の電子写真装置に用いられる現像装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、複写機、プリンタおよびファクシミリ等の電子写真装置においては、静電潜像を担持搬送する感光体(潜像保持体)に対して現像手段にトナーが供給され、感光体の表面上の静電潜像がトナーによって現像(可視化)される。具体的には、このような現像装置では、トナーは現像ローラ(現像剤担持体)の表面に供給ローラにより周方向から順次供給され、現像ローラの回転により感光体へ向けて担持搬送される。
【0003】
また、上記現像ローラ上に形成されるトナー層は、供給ローラよりも現像ローラの回転方向下流側に設けられたブレードによって、現像ローラ上でその層厚が規制される。このとき同時に、トナーは、ブレードとの摩擦により電荷を帯びる(摩擦帯電)。帯電されたトナーは、現像ローラにより、さらに回転方向下流側に位置する感光体との対向部まで担持搬送されて、感光体表面上の静電潜像に対して静電的に供給され、静電潜像をトナー像として現像(可視化)する。可視化されたトナー像は、転写手段によって記録紙に転写された後、定着手段によって加熱および加圧され、記録紙上に定着される。
【0004】
一般に、感光体に形成された静電潜像にトナーを付着させて現像を行うためには、トナーに十分な電荷を付与し、トナーを飽和帯電させる必要がある。
【0005】
しかしながら、上記方式の電子写真装置では、トナーに一定量の電荷を与えることができない場合がある。具体的には、現像ローラに担持されたトナーに対して、ブレードを接触させて、該ブレードとトナーとをこすり合わせることにより、トナーを帯電させるようになっている。しかしながら、トナーに一定量の帯電を行う場合には、トナーに強い摩擦力を与える必要があり、トナー品質を損なわせる場合がある。また、例えば、強い負荷をかけることができないトナーである場合には、上記方式によって、一定量の帯電を行うことができない。
【0006】
この上記に記載の摩擦帯電方式の問題を克服するために、例えば、特許文献1、2および3、または、特許文献4、5に開示された技術が提案されている。
【0007】
具体的には、特許文献1、2および3には、トナーに特殊な波長の光に反応するホトクロミック化合物等を含有させ、現像装置内部でトナーに直接光を照射することによりトナーを帯電させる手法が開示されている。
【0008】
また、ホトクロミック反応を利用した光照射によるトナーについては、例えば、特許文献6、7に開示されている。
【0009】
一方、特許文献4、5には、ブレードの他に、トナーに電荷を注入する帯電手段が、現像ローラに対して接触するように設けられている構成が開示されている。
【0010】
【特許文献1】
特開平7−281473号公報(公開日;1995年10月27日)
【0011】
【特許文献2】
特開平7−295327号公報(公開日;1995年11月10日)
【0012】
【特許文献3】
特開平9−6132号公報(公開日;1997年1月10日)
【0013】
【特許文献4】
特開2000−19840号公報(公開日;2000年1月21日)
【0014】
【特許文献5】
特開平6−149032号公報(公開日;1994年5月27日)
【0015】
【特許文献6】
特開平4−220657号公報(公開日;1992年8月11日)
【0016】
【特許文献7】
特開平7−234536号公報(公開日;1995年9月5日)
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の構成では、以下に示す問題が生じることとなる。
【0018】
上記特許文献1〜3に記載された技術は、特殊なホトクロミック化合物を含有させたトナーに光を照射させることにより、トナーを帯電させるものである。しかしながら、トナーにホトクロミック化合物のような特殊な物質を含有させる場合、トナー中に含まれる主樹脂や顔料の含有量等が減少するために、トナーの使用量が増加することになるとともに、該ホトクロミック化合物が、顔料等に悪影響を及ぼす恐れがあり、様々な悪影響がでることは言うまでもない。また、トナー中にホトクロミック化合物のような特殊な物質を含有させることにより、トナーのコストが増加するという問題点がある。
【0019】
また、上記従来の構成では、層厚規制部材であるブレードはトナーの層厚を規制すると同時に、トナーを摩擦帯電させるためにも使用されている。すなわち、上記従来の構成では、トナーをブレードとの摩擦により帯電させているため、トナーにおいて所望の帯電量を得るために、ブレードを現像ローラに対して比較的大きな加圧力(F)をもって圧接させている。
【0020】
このように、ブレードによってトナーに対して大きな加圧力が作用する構成では、この加圧力によってトナーの破壊が生じる恐れがある。
【0021】
また、上記摩擦帯電方式におけるエネルギー収支では、以下のことがいえる。すなわち、現像ローラの駆動エネルギー(Ek)は、ブレードの作用によってトナー層厚規制エネルギー(Es)とトナー帯電エネルギー(Et)とに変換されるが、一部は熱ロスエネルギー(El)として消費される。
【0022】
このときに発生する熱ロスエネルギー(E1)によっては、トナーが軟化することでトナーの破壊が促進される、あるいは、軟化したトナーがブレード表面に融着してトナーの摩擦帯電特性が劣化するといった問題が生じる。
【0023】
特に、近年では、省エネ技術として、トナーの軟化点を低減させて定着エネルギーを削減する、あるいは、トナーの顔料部数を増加させて着色力を高める(トナーの耐破壊性が低下する)といったトナーの改良が進んでいる。具体的には、トナーの顔料成分を増加させることにより、同じ濃度の画像であってもトナーの付着量を減らしてトナーの消費量を低減させるトナーや、トナーの樹脂成分を低温で溶解させて低温で定着(省電力化)を可能とするトナーの採用が進められている。しかしながら、上記従来の摩擦帯電方式は、上述の如くトナーに対する加圧力や熱的負荷が大きいため、このようなトナーには適合できていない。
【0024】
また、トナーの顔料成分を多くすることによりトナーの樹脂成分の割合比が低下し、トナー強度が低下する問題がある。また、トナーの樹脂成分を低温で溶解させるトナーについては、現像装置内でのトナー攪拌時などによりトナーが溶融し固着する問題がある。
【0025】
一方、上記特許文献4、5に開示されている構成では、摩擦により帯電させたトナーの帯電量を補うために、帯電手段が設けられているものであり、ブレードのトナーに対する摩擦力については何ら開示も示唆もされていない。また、特許文献4、5の構成では、例えば、軟化点が従来よりも低い低融点を使用する場合に、トナーにかかる摩擦力を低減させる、つまり、ブレードの圧接力を低下させた場合には、トナー層の厚さが厚くなるという問題がある。トナー層の層厚が厚くなると、トナーの使用量が多くなるとともに、画像品質が損なわれるという問題がある。さらに、従来の電荷注入では環境状況を考慮すると印可電圧の設定が難しくなり、例えば、高湿時には放電により装置にダメージを与えると共に、放電時にはオゾンが発生する問題がある。
【0026】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、トナーの劣化防止、即ちトナーの破壊やブレードヘの融着防止を可能とし、現像の信頼性を向上させることができる現像装置、特に、定着エネルギーを削減するために軟化点を低減した低融点トナーや、着色力を高めるために顔料部数を増加させた高顔料トナーにも好適に適合できる現像装置を提供することにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】
本発明の現像装置は、上記の課題を解決するために、帯電された現像剤によって、潜像保持体上に形成されている静電潜像を現像する現像装置であって、現像剤を保持するとともに、上記潜像保持体上に搬送する現像剤担持体と、上記現像剤担持体に担持された現像剤の厚さを規制する層厚規制部材と、上記現像剤担持体に担持された現像剤に対して帯電を施す現像剤帯電手段とを有し、上記現像剤帯電手段は、帯電される現像剤に向けて電子を放出する電子放出部を備えているととともに、上記層厚規制部材の、少なくとも上記現像剤との接触領域は、ダイヤモンドライクカーボンで構成されていることを特徴としている。
【0028】
上記の構成によれば、ブレード(層厚規制部材)の表面をダイヤモンドライクカーボン(DLC)加工することにより、トナー(現像剤)のブレードに対する摩擦係数を軽減することができるので、トナーに与える機械的な摩擦を最小限に留めトナーの溶解、トナーへの機械的ストレス、逆極性トナーの発生を防止することが可能となる。
【0029】
また、ブレードの表面をDLC加工することにより、例えば、トナーのブレードに対する摩擦が低下することにより、トナーの帯電量が低下した場合には、現像剤帯電手段によって、トナーを帯電させることが可能となるので、該トナーを所定の帯電量に帯電させることが可能となる。
【0030】
つまり、上記現像剤担持体上に層形成される現像剤に対して層厚の規制を行うブレードは、従来のように、トナー層厚規制機能およびトナー帯電機能の両方の機能を有する必要はなく、トナー層厚規制機能のみに特化することができる。
【0031】
従って、例えば、ストレス(負荷)に弱いトナーであっても、ストレスをかけることなく、飽和帯電させることが可能となるので、例えば、従来と比べて顔料の含有割合の多い高顔料トナーや、従来よりも低い温度で定着が可能な低融点トナーを使用することができ、これらのトナーを用いた場合でも安定した良好な画像が得られる。また、例えば、高顔料のトナー(高顔料トナー)を用いる場合には、トナーの消費量を低減することができ、例えば、低温定着トナー(低融点トナー)を用いる場合には、電源ON時のファーストプリンタを早くすることができ、低消費電力が可能となる。
【0032】
また、ブレードの表面をDLC加工することにより、トナーにストレスをかけることなく、トナー層の層厚を従来と同様に規制することができる。
【0033】
本発明の現像装置は、上記現像剤帯電手段は、現像剤担持体に対して、非接触に設けられている構成とすることがより好ましい。
【0034】
上記現像剤帯電手段は、上記現像剤担持体に対して非接触に配置されると共に、上記電子放出部より放出された電子により現像剤を帯電するようになっている。すなわち、上記上記現像剤帯電手段は、現像剤に対して無負荷で帯電を行うことができる。
【0035】
このため、上記現像装置では、上記ブレードの上記現像剤担持体に対する圧接力を従来のブレードに比べて大幅に低減することができ、上記トナーに作用する負荷(機械的負荷および熱的負荷)を減少せしめて、トナーの破壊や融着をより一層防止することができる。
【0036】
本発明の現像装置は、さらに、上記現像剤帯電手段は、光照射手段を備えているとともに、上記電子放出部は、上記光照射手段から照射される光により、電子を放出するようになっている構成とすることがより好ましい。
【0037】
上記の構成によれば、上記現像剤帯電手段は、現像剤に対して熱的負荷を与えることなく電子を放出できる。つまり、電子放出部は、光電効果により電子を放出するようになっている。すなわち、上記電子放出部が電子を放出するための現象として、光電効果の他に熱電子放出が考えられるが、光電効果は上記電子放出部を過熱する必要はなく、電子の放出に好適に利用できる。
【0038】
本発明の現像装置は、現像剤担持体に担持された現像剤の帯電量を測定する測定手段と、上記光照射手段を制御する制御手段とを備え、上記制御手段は、上記測定手段によって測定された結果に基づいて、照射する光量を制御するようになっている構成とすることがより好ましい。
【0039】
上記制御手段は、光照射手段を制御することにより、該光照射手段から照射される光量を制御するようになっている。一般に、感光体に形成された静電潜像にトナーを付着させて現像を行うためには、トナーに十分な電荷を付与し飽和帯電させる必要がある。しかしながら温度や湿度の環境変化により、常に一定した帯電量を得ることは難しい。
【0040】
上記の構成を備えることにより、帯電量を計測し、その計測結果に応じて光電子の放出量を可変することにより常に安定したトナーの帯電が可能となる。つまり、常に、トナーが飽和帯電量になるように、光を電子放出部に照射させることができるので、より好適な画像形成を行うことができる。
【0041】
本発明の現像装置は、さらに、現像剤担持体の周囲の環境状態を測定する環境測定手段を備え、上記制御部は、該環境測定手段によって測定された結果に基づいて、照射する光量を制御するようになっている構成とすることがより好ましい。
【0042】
トナーの帯電量を計測し、その測定結果に応じて帯電量を制御しても良いが、画像形成を行う場合には、環境条件、例えば温度や湿度によりプロセスの条件が異なることが知られている。
【0043】
そこで、上記構成を用いることにより、トナーの帯電量と環境条件の双方から最適なトナーの帯電量を算出し、最適な帯電量に制御することにより良好な画像が得られる。
【0044】
本発明の現像装置は、顔料の含有量が7重量%以上25重量%以下の範囲内であり、かつ、顔料を主樹脂間に分散させてなる顔料分散体の表面が、帯電被覆剤を実質的に溶解させた被覆樹脂にて被覆されている現像剤を用いる構成とすることがより好ましい。
【0045】
上記の構成によれば、上記ブレードの表面をDLC加工することにより、トナーに与える機械的な摩擦を最小限に留めることが可能となるので、トナーの溶解、トナーへの機械的ストレス、逆極性トナーの発生を防止することができる。従って、従来のトナーと比べて、機械的ストレスに弱い、例えば、トナー中に含まれる顔料割合の高い高顔料トナーを使用が可能となる。上記トナーを使用することで、印字媒体上の印字濃度を保ちながらトナーの消費量を抑えることが可能となる。
【0046】
本発明の現像装置は、上記現像剤の融点が75℃以下であり、かつ、顔料を主樹脂間に分散させてなる顔料分散体の表面が、帯電被覆剤を実質的に溶解させた被覆樹脂にて被覆されている現像剤を用いる構成とすることがより好ましい。
【0047】
上記の構成によれば、摩擦によりトナーを帯電させるブレードの表面をDLC加工することにより、トナーに与える機械的な摩擦を最小限に留めることが可能となり、トナーの溶解、トナーへの機械的ストレス、逆極性トナーの発生を防止することが可能となる。これにより、上記現像装置に、従来よりも軟化点の低い低融点トナーを使用することができるので、画像形成を行う場合には、定着装置の温度を従来と比べて、低く設定することが可能となり、消費電力を低減させることができる。なお、上記現像剤の融点とは、「主樹脂」の融点に相当する。
【0048】
本発明の画像形成装置は、上記の課題を解決するために、上記現像装置を備えることを特徴としている。
【0049】
上記の構成によれば、例えば、高顔料トナーや低融点トナーの場合にも好適に使用することができる画像形成装置を提供することができる。
【0050】
【発明の実施の形態】
〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態について図1および図5に基づいて説明すれば、以下の通りである。まず、本実施の形態1に係る現像装置の概略構成を、図1を参照して説明する。
【0051】
現像装置10は、図1に示すように、感光体ドラム(潜像担持体)2と対向するように配置され、該感光体ドラム2の表面に形成される静電潜像を、現像剤として例えば1成分系の非磁性よりなるトナー(現像剤)を用いて現像する。現像装置10は、トナーを収容する容器状の現像槽11、供給ローラ(現像剤供給手段)12、現像ローラ(現像剤担持体)13、およびトナー規制ブレード(層厚規制部材)14を備えた構成となっている。
【0052】
供給ローラ12は、現像装置10内に配置されており、現像ローラ13と互いの外周面同士が対面するように回転可能に連設され、現像槽11内のトナーを現像ローラ13の外周面に供給する。
【0053】
現像ローラ13は、現像装置10内に感光体ドラム(潜像保持体)2と対向する箇所にて回転可能に配置されており、供給ローラ12により供給されたトナーを感光体ドラム2に向けて担持搬送する。
【0054】
トナー規制ブレード14は、現像ローラ13の回転方向に対して、供給ローラ12の下流側、かつ感光体ドラム2の上流側にて現像ローラ13と接触して配置され、現像ローラ13表面に形成されるトナー層の層厚(現像ローラ13に担持された現像剤の厚さ)を規制する。
【0055】
さらに、現像装置10は、感光体ドラム2に供給されるトナーを所定の電荷量に帯電させるためのトナー帯電手段(現像剤帯電手段)として、トナー規制ブレード14の一部に具備された電子放出部15と、該電子放出部15に対して紫外線を照射する紫外線照射器(光照射手段)16とを備えている。このトナー帯電手段の詳細については後述する。
【0056】
ここで、上記現像装置10を備えた電子写真装置(画像形成装置)におけるプロセス部を簡単に説明する。
【0057】
上記プロセス部は、図1に示すように、主に感光体ドラム2、帯電ローラ3、露光手段(図示せず)、現像装置10、転写用放電ローラ4、クリーニング手段(図示せず)、除電手段(図示せず)、定着ローラ5からなる。また、図1中において、Pは記録用紙、Lは上記露光手段から照射されて感光体ドラム2表面に静電潜像を書き込む光ビームを示している。
【0058】
感光体ドラム2は、所定方向(図1に示す矢印A方向)に回転しており、まず、その外周表面が帯電ローラ3によって均一に帯電される。均一に帯電された感光体ドラム2の表面には、露光手段により画像データに応じて制御される光ビームLが照射され、静電潜像が形成される。
【0059】
感光体ドラム2上に形成された上記静電潜像は、感光体ドラム2の回転によって、現像装置10と対向する位置まで移動し、該現像装置10によってトナーを供給されて可視化される(感光体ドラム2上にトナー像が形成される)。このとき、現像装置10の現像ローラ13は、感光体ドラム2に供給するトナーを担持搬送するために所定方向(図1に示す矢印B方向)に回転している。
【0060】
尚、本実施の形態1では、感光体ドラム2は、有機光半導体で構成されており、−700V(帯電ローラ3による帯電量)に帯電して、周速度が50mm/sでA方向に回転している。現像ローラ13は、円筒状の導電性ゴム弾性材料で構成されており、−400Vの現像バイアスが印加されて感光体ドラム2と等しい周速度でB方向に回転している。供給ローラ12は、円筒状の発泡性ゴム弾性材料で構成されており、感光体ドラム2と等しい周速度でB方向に回転している。
【0061】
転写用放電ローラ4は、感光体ドラム2上に現像によって形成されたトナー像を用紙Pに転写する。感光体ドラム2の回転方向における転写用放電ローラ4の下流側には、さらにクリーニング手段および除電手段が配置され、該クリーニング手段は転写後の感光体ドラム2表面の残留トナーを除去し、該除電手段は感光体ドラム2表面を除電する。
【0062】
トナー像が転写された後の用紙Pは定着ローラ5に搬送され、該用紙Pが上下一対の定着ローラ5の間を通過する際に加熱および加圧を受け、トナー像が用紙P上に定着される。
【0063】
次に、現像装置10における現像の詳細過程を説明する。
【0064】
現像装置10では、上述したように、供給ローラ12より現像ローラ13表面にトナーを順次供給して、現像ローラ13がトナーを保持した状態で回転運動する。これにより、現像ローラ13によって搬送されるトナーが現像ローラ13とトナー規制ブレード14の接触領域Wsとの間に案内されて、現像ローラ13上のトナーの層厚が規制される。尚、接触領域Wsは、トナー規制ブレード14の先端に設けられている。
【0065】
トナー規制ブレード14によって現像ローラ13上にその層厚が規制されたトナーは、トナー帯電手段を構成する電子放出部15および紫外線照射器16によって、電荷を与えられて、現像に必要な帯電量まで帯電される。すなわち、トナー規制ブレード14に形成された電子放出部15に対して紫外線照射器16から紫外線を照射することによって、光電効果によって電子放出部15から光電子が誘起される。この光電子が現像ローラ13上のトナーに向けて放出されることにより、トナーは、所望の帯電量に帯電する。尚、上記紫外線照射器16の発光は、現像ローラ13の回転と同期させれば、電力消費の増加につながる不必要な発光を抑制できるため、より好ましい。また、図示はしていないが、電子放出部15と紫外線照射器16との間は、トナーが入り込んで光照射の障害とならないようにシールされることが好ましい。
【0066】
上記構成のトナー帯電手段において、電子放出部15は、トナー規制ブレード14上の接触領域Wsとは別の位置に形成されている、つまり、電子放出部15は、トナー規制ブレード14と一体に形成されており、電子放出部15は現像ローラ13上のトナーとは非接触となっているため、トナーに対して無負荷の状態で帯電を行うことができる。このため、現像装置10では、トナー規制ブレード14は、現像ローラ13に対して少なくともトナーの層厚規制に必要な程度の力にて圧接されていればよく、トナー規制ブレード14によるトナーへの加圧力および熱的負荷を大幅に低減することができる。
【0067】
また、電子放出部15の形成領域は、現像ローラ13とは完全に非接触であるため、その表面粗さがトナーの層形成に及ぼすことはなく、該電子放出部15の表面粗さが設計上の制約を受けることはない。
【0068】
上記トナー帯電手段によって所定の帯電量まで帯電されたトナーは、さらに現像ローラ13の回転によって感光体ドラム2との対向部まで送られ、感光体ドラム2の表面上の静電潜像に対して、静電的に供給され、該静電潜像をトナー像として現像(可視化)する。
【0069】
続いて、上記トナー規制ブレード14の具体的構成を、図2(a)および(b)を参照して説明する。
【0070】
トナー規制ブレード14は、例えば、基材としてSUSの金属(すなわち、導電性基材)を使用しており、電子放出部15が形成される領域では、図2(a)および(b)に示すように、エッチング加工等により複数の開口部151が設けられている。さらに、電子放出部15が形成される領域には、光電面152として薄膜のアルミニウムが例えば蒸着によって積層されている。
【0071】
図2(a)の記載では、上記開口部151は、円形状の小径穴が多数形成された構成となっているが、本発明においては開口部151の形状は特に限定されるものではなく、四角や三角の形状であってもよく、また、スリット形状の開口部であってもよい。
【0072】
また、光電面152を形成する材料は、上述のようなアルミニウムに限定されるものではなく、光の照射を受けたときに光電効果が生じるものであれば、この他にTa等の金属、Mg−Ag等の合金、半導体、導電ポリマー等であってもよい。また、上記光電面152は、トナー規制ブレード14において、必ずしも図2(b)に示すように両面に形成されている必要はなく、少なくとも紫外線照射器16との対向面側に形成されていればよい。
【0073】
さらに、上記電子放出部15に照射される光は、上述のような紫外線に限定されるものではなく、光電面152を形成する材料に対して光電効果を起こしうる波長を有するものであれば、可視光線やX線等であってもよい。
【0074】
上記構成のトナー規制ブレード14において、電子放出部15の光電面152に紫外線が照射されると、該光電面152にて光電効果による光電子が誘起される。この光電子は、主に、紫外線の照射面側、すなわち、紫外線照射器16との対向面側において発生するものであるが、発生した光電子の一部は、電子放出部15の開口部151を通って現像ローラ13との対向面側からトナーに向けて放射され、トナーの帯電に寄与する。
【0075】
また、電子放出部15において、該電子放出部15が電気的にフロートの状態であれば、電子放出部15の光電面152が光電子を放出しつづけることができないことは容易に理解できる。このため、電子放出部15は、光電面152から放出した分の電子を外部から供給可能な構成とする必要がある。ここで、上記電子放出部15は、SUSからなるトナー規制ブレード14の基材上に光電面152としてアルミニウム薄膜を蒸着した構成であるため、トナー規制ブレード14の基材を接地することにより上記構成は容易に実現できる。
【0076】
そして、本実施の形態において、トナー規制ブレード14の、少なくとも接触領域Wsは、ダイヤモンドライクカーボン(以下、DLCと称する)から構成されている。具体的には、トナー規制ブレード14の少なくとも接触領域Wsには、DLC加工が施されている。上記接触領域Wsとは、トナー規制ブレード14の、現像ローラ13と接触している面を示す。
【0077】
DLCは、ダイヤモンド状硬質炭素膜、または、非晶質炭素膜とも称されており、ダイヤモンドやグラファイトと同じように炭素元素(C)から構成されており、その結晶構造は、非晶質(アモルファス)である。上記DLCは、ダイヤモンドとよく似た特性を有しており、具体的には、平滑性にきわめて優れ、低い摩擦係数を持つという顕著な特徴を有している。
【0078】
本実施の形態にかかるトナー規制ブレード14は、現像ローラ13との接触領域WsにDLC加工を施している。従って、上記トナー規制ブレード14を、例えば、従来と同様な圧力(接触圧)で、現像ローラ13に圧接させた場合でも、トナー層の層厚を、好適な範囲に維持することができるとともに、トナーに強いストレスを与えることがない。従って、例えば、トナーとして、従来よりも軟化点が低い低融点トナーや、顔料の含有量が従来よりも多い高顔料トナーを用いた場合でも、好適に使用することができる。これにより、例えば、高顔料トナーを用いた場合には、従来と比べて、トナーの消費量を抑制することができる。また、例えば、低融点トナーを用いた場合には、電源ON時のファーストプリンタが早くなったり、定着ローラの加熱温度を低く設定することが可能となるので、低消費電力化が可能となる。また、本実施の形態では、接触領域WsにDLC加工を施しているので、トナーに対するストレス(摩擦力)を従来と比べて、低減させることができる一方、摩擦によるトナーの帯電量が従来よりも低下することとなる。しかしながら、本実施の形態の現像装置10には、トナー規制ブレード14の摩擦による帯電の他に、トナー帯電手段が設けられているので、トナーを十分に(好適に画像形成を行うことができる程度に)帯電させることができる。
【0079】
また、本実施の形態1に係る現像装置10は、トナー帯電手段が設けられていることにより、トナー規制ブレード14の圧接力を従来の摩擦帯電方式を用いた現像装置に比べて、大幅に低減することができる。これにより、トナー規制ブレード14によるトナーへの加圧力および熱的負荷が大幅に低減され、トナー破壊やトナー規制ブレード14へのトナー融着といった不具合を回避できる。
【0080】
つまり、本実施の形態にかかるトナー規制ブレード14は、従来のように、トナー層厚規制機能およびトナー帯電機能の両方の機能を有する必要はなく、トナー層厚規制機能のみに特化することができる。
【0081】
なお、上記高顔料トナーとしては、例えば、上記トナー中の顔料の含有量が7重量%以上25重量%以下の範囲内であり、かつ、顔料を主樹脂間に分散させてなる顔料分散体の表面が、帯電被覆剤を実質的に溶解させた被覆樹脂にて被覆されているトナー等が挙げられる。トナー中の顔料の含有量をトナー全体に対して7重量%以上25重量%以下にすれば、例えば、画像濃度IDが1.4となるときの印字媒体上へのトナーの付着量として0.05mg/cm2以上0.95mg/cm2以下を達成することができる。
【0082】
また、上記低融点トナーとしては、例えば、上記トナーの融点が75℃以下であり、かつ、顔料を主樹脂間に分散させてなる顔料分散体の表面が、帯電被覆剤を実質的に溶解させた被覆樹脂にて被覆されているトナー等が挙げられる。なお、上記現像剤の融点とは、「主樹脂」の融点に相当する。つまり、上記低融点トナーとは、顔料を主樹脂間に分散させてなる顔料分散体の表面が、帯電被覆剤を実質的に溶解させた被覆樹脂にて被覆されているトナーであって、上記主樹脂の融点が75℃以下であるトナー等である。
【0083】
従来では、紙等の印字媒体上において十分高い印字濃度を得るために、印字媒体へのトナー付着量を高くしている。例えば、トナー付着量を1mg/cm2という値とし、それによって、画像濃度ID=1.4という所望の濃度を得るようにしている。また、従来では、印字媒体に、トナーをより確実に付着させるために、トナー中に含まれる主樹脂の量を多くしている。そのため、従来では、トナーの消費量が多くなるという問題がある。また、疎水性シリカ等の外添剤をトナーの表面に外添して耐電特性および流動性を制御する手法が広く用いられているが、現像漕11の中で長期に使用されている間に撹拌等の機械的なストレスにより外添剤が脱落もしくはトナー内部へ埋没してしまい、トナーの特性の劣化を引き起こすという問題がある。特に、トナー中の顔料の含有割合が、従来よりも多い、高顔料トナーを使用する場合には、主樹脂の濃度がその分低下することにより、機械的な負荷に対して弱くなり、例えば現像漕11での撹拌処理等によってトナーが破断され、破断したトナー内部の主樹脂が現像漕11等に融着してしまう可能性がある。
【0084】
また、一般に、紙等の印字媒体に転写されたトナー像を定着させるために、トナーに熱を加えて、溶融させることにより、トナー像を印字媒体に固着させる方法が用いられる。このように、トナーを溶着させる定着方法においては、トナーの溶解温度以上に印字媒体の温度を上昇させる必要があり、設定温度が高すぎると無駄な電力消費を行うばかりでなく、定着ローラ5(定着装置)を高い温度で維持するためには画像形成装置が大型化する。
【0085】
また、印字媒体に対して、急激に高い温度を加えるため印字媒体にカールが発生したり、電源投入時には定着ローラ5を所定の温度に上昇させる必要があるので、ファーストプリントまでに長時間を必要とする。
【0086】
また、融点の低いトナーを現像槽11で攪拌処理などによって、トナーが溶融温度に達するとトナーが破断され、破断したトナー内部の樹脂が現像漕等に融着してしまう可能性がある。
【0087】
本実施の形態にかかる現像装置10は、トナー規制ブレード14の現像ローラ13との接触領域WsにDLC加工を施している。これにより、トナー規制ブレード14は、現像ローラ13に担持されたトナーに、強いストレスをかけることなく、トナー層の層厚を規制することができる。従って、上記のような、低融点トナーや高顔料トナーを好適に用いることができる。
【0088】
ここで、本実施の形態にかかる現像装置10を用いて、トナー規制ブレード14の接触領域Wsが、SUS(ステンレス鋼板)で形成されている構成(従来例)と、DLC加工を施した構成(実施例)との違いについて、具体的に説明する。
【0089】
図3は、トナー規制ブレード14の接触領域WsをSUS材で構成したもの(従来例)と、DLC加工を施したもの(実施例)とにおける、現像ローラの回転トルクの測定を行ったグラフである。トナー規制ブレード14は共に2kg重の力で現像ローラ13を押圧している。
【0090】
図3に示すように、従来例のSUS部材で接触領域Wsが形成されたトナー規制ブレード14では、時間経過と共に現像ローラ13とトナー規制ブレード14との摩擦が増加することにより、現像ローラ13の回転トルクが増加していることが分かる。
【0091】
一方、これに対して、トナー規制ブレード14にDLC加工を施したもの(実施例)は、DLCの有する高い硬度、滑らかな表面、低い摩擦係数のために、接触領域WsにDLC加工を施したトナー規制ブレード14では、現像ローラ13とトナー規制ブレード14との摩擦が低い状態で安定し、回転トルクの時間経過による変化が無いことが分かる。
【0092】
次に、図4は、従来例と、実施例とで、トナーの帯電量を時間経過と共に測定したグラフである。従来例の場合には、現像ローラ13とトナー規制ブレード14とが所定の摩擦係数をもっているため、初期ではトナーを飽和帯電させているが、時間経過とともにトナーの帯電量が低下していることが分かる。また、急激に電荷量が下がった後、さらに、電荷が徐々に低下していく。この電荷量の急激な減少の後、徐々に電荷が減少する理由としては、従来例の場合には、時間経過とともに、トナー規制ブレード14の接触領域Wsでトナーの融着が起こり、トナーとトナーとの間で摩擦が起きることにより、電荷量が低下するものと考えられる。
【0093】
一方、これに対し、実施例では、現像ローラ13とトナー規制ブレード14との摩擦係数が小さいため、トナーの電荷量は従来例に比して低くなっている。しかしながら、トナーの帯電量は時間経過に関係なく安定しているので、外部、すなわち、トナー帯電手段から一定の電荷をトナーに加えることにより、該トナーが所定の電荷量(飽和帯電量)を有するように制御することが容易となる。
【0094】
本実施の形態の場合、電子放出部15に、紫外線照射器16からの紫外線を照射することで、光電効果により、電子放出部15から光電子が放出される。そして、該電子放出部15より放出された光電子を該トナーに向けて降り注ぐことによりトナーを帯電するようになっている。
【0095】
上記のように、本実施の形態にかかる現像装置10は、トナーの帯電をトナー帯電手段にて行うので、摩擦帯電で予備的に帯電を行わせるものの、トナーに対する摩擦力が従来と比べて小さい。従って、トナーに与える障害(ストレスや熱)を小さくすることが可能となるので、高顔料トナーや低融点トナーを利用することが可能となる。
【0096】
また、トナーの電荷量の不足に対しては、光電効果を利用した非接触の帯電方法を用いることにより、トナーにストレスを与えることなく安定した帯電量を確保することができトナーへの悪影響を防止することができる。
【0097】
トナー規制ブレード14の接触領域WsにDLC加工を施す方法としては、例えば、プラズマCVD法やイオン化蒸着法、アーク式イオンプレーティング法等が挙げられる。具体的に、プラズマCVD法により、DLC加工を施す場合には、向かい合う二つの電極の間に高周波電力を加えることによって、その間にグロー放電が生じさせ、このグロー放電を利用して電極の間に導入したCH4(メタン)などの原料ガスを分解させて、カソード電極にセットしたトナー規制ブレード14の上にDLC薄膜を堆積させればよい。
【0098】
また、上記の説明では、トナー規制ブレード14の接触領域WsにDLC加工が施されている例について説明したが、例えば、トナー規制ブレード14の全面にDLC加工を施してもよい。
【0099】
本実施の形態では、主として光電効果により、トナー帯電を行っている。ここで、光電効果を用いた場合における、トナーの帯電量を制御する方法について説明する。
【0100】
本実施の形態にかかる現像装置10は、図5に示すように、制御部30を備えている。該制御部30は、紫外線照射器(光照射手段)16の紫外線の照射量を、後述する様々な条件にて制御するようになっている。そして、現像装置10は、帯電量検出部33、温度検出部34、湿度検出部35およびテーブルメモリ36を有している。なお、上記帯電量検出部33、温度検出部34および湿度検出部35については、必須の構成ではなく、任意で設けられていればよい。また、本実施の形態にかかる画像形成装置には、画像形成条件を入力する入力部31が設けられている。
【0101】
帯電量検出部33は、現像ローラ13上に存在する(担持された)トナーの帯電量を検出(測定)するようになっている。温度検出部34は、現像装置10の外部の温度(気温)や装置内部の温度を検出するものである。湿度検出部は、現像装置10の外部の湿度や装置内部の湿度を検出するものである。テーブルメモリ36は、帯電量検出部30で検出されたトナーの帯電量や、温度検出部34で検出された温度、湿度検出部35で検出された湿度、入力部31から入力された画像形成条件に基づいて、最適な帯電量が記憶されたものである。
【0102】
制御部30は、入力部31、帯電量検出部33、温度検出部34および/または湿度検出部35からの入力条件および/または測定結果に基づいて、最適な帯電量の算出を行う、または最適な帯電量をテーブルメモリ36から抽出して、紫外線照射部16から照射される紫外線の照射量を制御している。これにより、常に、現像ローラ13上に担持されたトナーを、画像形成に最適な帯電量に帯電させることができる。なお、本実施の形態では、現像装置10内部、特に、現像ローラ13の周囲の温度、湿度のうちの少なくとも1つを環境条件と称する。
【0103】
また、上記説明では、トナー帯電手段(現像剤帯電手段)が上記現像ローラ(現像剤担持体)13に対して、非接触に設けられている構成について説明したが、本発明は、上記構成に限定されるものではなく、例えば、トナー帯電手段と現像ローラ13とが、接触するように設けられていてもよい。しかしながら、本実施の形態にかかる現像装置10として、トナー帯電手段が、現像ローラ(現像剤担持体)13に対して、非接触に配置されている構成とする、すなわち、上記トナー帯電手段は、上記現像ローラ13に対して非接触に配置されると共に、上記電子放出部より放出された電子をトナーに向けて降り注ぐ方式により該トナーを帯電させる、上記トナー帯電手段は、トナーに対して無負荷で帯電を行うことができる。このため、本実施の形態では、トナー帯電手段は、上記現像ローラに対して非接触に配置されている構成がより好ましい。
【0104】
また、上記トナー帯電手段を設けることにより、上記現像ローラ13上に層形成されるトナーに対して層厚規制を行うトナー規制ブレード14は、従来のように、トナー層厚規制機能およびトナー帯電機能の両方の機能を有する必要はなく、トナー層厚規制機能のみに特化することができる。
【0105】
このため、上記現像装置10では、上記トナー規制ブレード14の上記現像ローラ13に対する圧接力を従来のトナー規制ブレード14に比べて大幅に低減することができ、上記トナーに作用する負荷(機械的負荷および熱的負荷)を減少せしめて、トナーの破壊や融着を防止することができる。
【0106】
また、上記電子放出部15は、トナー規制ブレード14と一体的に形成されていることがより好ましい。つまり、本実施の形態にかかる現像装置10では、上記電子放出部が、上記現像ローラ13上に層形成されるトナーに対して層厚規制するトナー規制ブレード14の、現像ローラ13との接触領域以外の領域に形成されている構成とすることがより好ましい。
【0107】
上記の構成によれば、上記電子放出部をトナー規制ブレード14の一部に形成することによって、電子放出部を設けるための新たな部材が必要なく、部材点数の削減を図ることができる。
上記構成とすることにより、現像装置10の小型化を図ることができる。
【0108】
また、上記の説明では、光電効果により発生した光電子にて、トナーを帯電させる構成について説明したが、トナーを帯電させる方法については、特に限定されるものではなく、例えば、熱によって発生する電子を用いてトナーを帯電させてもよい。
【0109】
[実施の形態2]
本発明の他の実施の一形態について図6ないし図8に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0110】
上記実施の形態1に係る現像装置10では、光電効果によって光電面152から誘起された光電子は、電子放出部15の開口部151を通って現像ローラ13との対向面側からトナーに向けて放射される。しかしながら、上記構成において、トナー規制ブレード14の光照射面側で発生する光電子は、開口部151を通過するとは限らず、該開口部151を通過しない光電子はトナーの帯電には寄与しない。このため、上記現像装置10のトナー帯電手段では、そのトナー帯電効率はあまり高くない。
【0111】
本実施の形態2では、現像装置においてトナー帯電効率を向上させることのできる好適例を説明する。
【0112】
本実施の形態2に係る現像装置10’は、図6に示すように、現像装置10の構成においてトナー規制ブレード14をトナー規制ブレード14’に代えると共に、該トナー規制ブレード14’と現像ローラ13との間に電気的バイアスを印加する構成となっている。このため、トナー規制ブレード14’はバイアス印加手段19と接続されている。このバイアス印加手段19は、トナー規制ブレード14’の基材に接続する構成とすることができる。また、現像ローラ13側のバイアス印加手段20は、感光体ドラム2と現像ローラ13との間で現像バイアスを印加するためのバイアス印加手段をそのまま兼用することができる。現像装置10’においてその他の構成は現像装置10と同じである。
【0113】
トナー規制ブレード14’の具体的構成を、図7(a)および(b)を参照して説明する。
【0114】
トナー規制ブレード14’は、トナー規制ブレード14とほぼ同様の構成であるが、図7(b)に示すように、現像ローラ13との接触領域Wsにおいて絶縁層17および金属層18が設けられている点が異なっている。尚、トナー規制ブレード14’上に形成される電子放出部15の構成は、トナー規制ブレード14と同様の構成である。本実施の形態では、金属層18が、現像ローラ13との接触領域Wsに相当する。つまり、トナー規制ブレード14の接触領域Wsとは、実際に、現像ローラ13と接触している領域を示している。
【0115】
現像装置10’では、トナー規制ブレード14’と現像ローラ13との間に電気的バイアスを印加するため、現像装置10のようにトナー規制ブレード14の導電性基材と現像ローラ13とが直接接触する構成であれば、トナー規制ブレード14と現像ローラ13との間が導通してしまい、上述のような電気的バイアスを印加することができない。
【0116】
すなわち、絶縁層17は、現像ローラ13とトナー規制ブレード14’の基材との間を絶縁するために設けられるものであり、例えば、上記基材の上に厚さ80μmのフッ素樹脂層として形成される。
【0117】
また、金属層18は、現像ローラ13の表面において均一なトナー層が形成されるように、現像ローラ13との接触面において適切な硬度や表面粗さを提供するものである。金属層18としては、例えば、厚さ20μmのSUSの金属層が積層される。そして、本実施の形態では、このSUSからなる金属層18の、少なくとも、現像ローラ13と実質的に接触している領域は、DLC加工が施されている。
【0118】
尚、現像ローラ13とトナー規制ブレード14’との間を絶縁する構成としては、上述のようにトナー規制ブレード14’側に絶縁層17を設ける構成に限定されるものではなく、導電性基材からなる現像ローラ13の外周層に、例えばゴム等の絶縁層を設ける構成であってもよい。
【0119】
上記構成の現像装置10’では、トナー規制ブレード14’と現像ローラ13との間に電気的バイアスを印加することにより、以下の2つの作用によって帯電効果を向上させることができる。
【0120】
まず、第1の作用として、上記電気的バイアスを印加することで、トナー規制ブレード14’と現像ローラ13との間に電界が発生する。このとき、トナー規制ブレード14’の電子放出部15における開口部151付近では図8に示すような電気力線(図中、破線にて示す)が発生する。
【0121】
このため、電子放出部15の光電面152において、開口部151付近で発生した光電子は、上記電気力線に沿って移動し、開口部151を通過して現像ローラ13側に引き寄せられる。すなわち、発生した光電子をトナーの帯電に効率的に使用できる。
【0122】
次に、第2の作用として、現像ローラ13側に引き寄せられた光電子は、上記電界の作用によって加速される。そして加速された電子が、気体分子に衝突すると、該気体分子が電子を放出してイオン化する。このとき、気体分子より放出された電子も同様の作用を生じるため、気体中の電子が急激に増加する、いわゆる電子なだれの現象が発生する。この電子なだれによって生じた電子もトナーの帯電に寄与するため、帯電効率が大幅に向上する。
【0123】
[実施の形態3]
本発明の他の実施の一形態について図9に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0124】
実施の形態1および2では、トナー規制ブレード14またはトナー規制ブレード14’の電子放出部15において、開口部151のブレード断面における形状(図2(b)参照)が直方形状となっている。すなわち、実施の形態1および2における電子放出部15の開口部151では、光照射面側の開口面積と、現像ローラ13との対向面側の開口面積とが等しくなっている。
【0125】
これに対し、本実施の形態3に係るトナー規制ブレードは、電子放出部における開口部の形状を、光照射面側の開口面積を、現像ローラ13との対向面側の開口面積より大きくすることで、電子放出部15における受光領域の面積を拡大し、光電子の発生量の増加を図っている。
【0126】
本実施の形態3における上記トナー規制ブレードの一例を図9(a)および(b)に示す。
【0127】
図9(a)および(b)に示すトナー規制ブレード21は、例えば、基材としてSUSの金属(すなわち、導電性基材)を使用しており、その一部に電子放出部22が形成されている。電子放出部22では、複数の開口部221が設けられており、さらに、光電面222として薄膜のアルミニウムが例えば蒸着によって積層されている。
【0128】
ここで、上記開口部221は、光照射面側の開口直径φ1と、現像ローラ13との対向面側の開口直径φ2とがφ1>φ2となるようなすり鉢形状となっている。尚、上記形状の開口部221をトナー規制ブレード21に形成することは、例えば片面エッチングによって容易に形成可能である(尚、図2に示すようなストレート穴は両面エッチングを行った場合に得られる)。また、上記光電面222は、電子放出部22において、少なくとも光照射面側と開口部221の内面とに形成されていればよい。
【0129】
電子放出部22をこのような形状とした場合、電子放出部22へ照射された光は、光電面222と開口部221の内面とによって受光される。このため、電子放出部22における受光領域の面積を拡大でき、光電子の発生量を増加させてトナー帯電の安定化を図ることができる。
【0130】
但し、上記開口部221は、(光照射面側の開口面積)>(現像ローラ13との対向面側の開口面積)の関係を満たしていれば、その形状は特に限定されるものではないことは、実施の形態1および2における電子放出部15の場合と何ら変わりはない。
【0131】
上記トナー規制ブレード21は、実施の形態1に係る現像装置10のように、トナー規制ブレード21と現像ローラ13との間に電気的バイアスを印加しない構成であってもよい。しかしながら、実施の形態2に係る現像装置10’のように、現像ローラ13との接触領域Wsに絶縁層を設け、トナー規制ブレード21と現像ローラ13との間に電気的バイアスを印加する構成に対応させることが好適である。
【0132】
【発明の効果】
本発明の現像装置は、以上のように、現像剤を保持するとともに、上記潜像保持体上に搬送する現像剤担持体と、上記現像剤担持体に担持された現像剤の厚さを規制する層厚規制部材と、上記現像剤担持体に担持された現像剤に対して帯電を施す現像剤帯電手段とを有し、上記現像剤帯電手段は、帯電される現像剤に向けて電子を放出する電子放出部を備えているととともに、上記層厚規制部材の、少なくとも上記現像剤との接触領域は、ダイヤモンドライクカーボンで構成されている構成である。
【0133】
従って、例えば、ストレス(負荷)に弱いトナーであっても、ストレスをかけることなく、飽和帯電させることが可能となるので、例えば、従来と比べて顔料の含有割合の多い高顔料トナーや、従来よりも低い温度で定着が可能な低融点トナーを使用することができ、これらのトナーを用いた場合でも安定した良好な画像が得られるという効果を奏する。
【0134】
本発明の現像装置は、上記現像剤帯電手段は、現像剤担持体に対して、非接触に設けられている構成とすることにより、上記トナーに作用する負荷(機械的負荷および熱的負荷)を減少せしめて、トナーの破壊や融着をより一層防止することができる。
【0135】
本発明の現像装置は、さらに、上記現像剤帯電手段は、光照射手段を備えているとともに、上記電子放出部は、上記光照射手段から照射される光により、電子を放出するようになっている構成とすることがより好ましい。それゆえ、光電効果は上記電子放出部を過熱する必要はなく、電子の放出に好適に利用できる。
【0136】
本発明の現像装置は、現像剤担持体に担持された現像剤の帯電量を測定する測定手段と、上記光照射手段を制御する制御手段とを備え、上記制御手段は、上記測定手段によって測定された結果に基づいて、照射する光量を制御するようになっている構成とすることにより、常に、トナーが飽和帯電量になるように、光を電子放出部に照射させることができるので、より好適な画像形成を行うことができる。
【0137】
本発明の現像装置は、さらに、現像剤担持体の周囲の環境状態を測定する環境測定手段を備え、上記制御部は、該環境測定手段によって測定された結果に基づいて、照射する光量を制御するようになっていることにより、最適な帯電量に制御することにより良好な画像が得られる。
【0138】
本発明の現像装置は、顔料の含有量が7重量%以上25重量%以下の範囲内であり、かつ、顔料を主樹脂間に分散させてなる顔料分散体の表面が、帯電被覆剤が実質的に溶解された被覆樹脂で被覆された現像剤を用いる構成とすることにより、印字媒体上の印字濃度を保ちながらトナーの消費量を抑えることが可能となる。
【0139】
本発明の現像装置は、上記現像剤の融点が75℃以下であり、かつ、顔料を主樹脂間に分散させてなる顔料分散体の表面が、帯電被覆剤が実質的に溶解された被覆樹脂で被覆された現像剤を用いる構成とすることにより、上記現像装置に、従来よりも軟化点の低い低融点トナーを使用することができるので、画像形成を行う場合には、定着装置の温度を従来と比べて、低く設定することが可能となり、消費電力を低減させることができる。
【0140】
本発明の画像形成装置は、以上のように、上記現像装置を備える構成である。
【0141】
それゆえ、例えば、高顔料トナーや低融点トナーの場合にも好適に使用することができる画像形成装置を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る現像装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】上記現像装置に使用されるトナー規制ブレードの構成を示すものであり、図2(a)は平面図、図2(b)は図2(a)におけるC−C断面図である。
【図3】実施例と比較例との現像ローラの回転トルクの測定を行ったグラフである。
【図4】従来例と実施例とのトナーの帯電量を時間経過と共に測定したグラフである。
【図5】上記現像装置に備えられた紫外線照射器を制御する構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係る現像装置の概略構成を示す断面図である。
【図7】上記現像装置に使用されるトナー規制ブレードの構成を示すものであり、図7(a)は平面図、図7(b)は図7(a)におけるC−C断面図である。
【図8】上記トナー規制ブレードと現像ローラとの間に電気的バイアスを印加した時に、トナー規制ブレードの開口部付近に生じる電気力線を説明する図である。
【図9】本発明の実施の形態3に係る現像装置に使用されるトナー規制ブレードの構成を示すものであり、図9(a)は平面図、図9(b)は図9(a)におけるC−C断面図である。
【符号の説明】
2 感光体ドラム(潜像保持体)
10,10’ 現像装置
11 現像槽
12 供給ローラ(現像剤供給手段)
13 現像ローラ(現像剤担持体)
14,14’,21 トナー規制ブレード(層厚規制ブレード)
15,22 電子放出部
16 紫外線照射器(光照射手段)
19,20 バイアス印加手段
151,221 開口部
152,222 光電面
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、複写機、プリンタおよびファクシミリ等の電子写真装置に用いられる現像装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、複写機、プリンタおよびファクシミリ等の電子写真装置においては、静電潜像を担持搬送する感光体(潜像保持体)に対して現像手段にトナーが供給され、感光体の表面上の静電潜像がトナーによって現像(可視化)される。具体的には、このような現像装置では、トナーは現像ローラ(現像剤担持体)の表面に供給ローラにより周方向から順次供給され、現像ローラの回転により感光体へ向けて担持搬送される。
【0003】
また、上記現像ローラ上に形成されるトナー層は、供給ローラよりも現像ローラの回転方向下流側に設けられたブレードによって、現像ローラ上でその層厚が規制される。このとき同時に、トナーは、ブレードとの摩擦により電荷を帯びる(摩擦帯電)。帯電されたトナーは、現像ローラにより、さらに回転方向下流側に位置する感光体との対向部まで担持搬送されて、感光体表面上の静電潜像に対して静電的に供給され、静電潜像をトナー像として現像(可視化)する。可視化されたトナー像は、転写手段によって記録紙に転写された後、定着手段によって加熱および加圧され、記録紙上に定着される。
【0004】
一般に、感光体に形成された静電潜像にトナーを付着させて現像を行うためには、トナーに十分な電荷を付与し、トナーを飽和帯電させる必要がある。
【0005】
しかしながら、上記方式の電子写真装置では、トナーに一定量の電荷を与えることができない場合がある。具体的には、現像ローラに担持されたトナーに対して、ブレードを接触させて、該ブレードとトナーとをこすり合わせることにより、トナーを帯電させるようになっている。しかしながら、トナーに一定量の帯電を行う場合には、トナーに強い摩擦力を与える必要があり、トナー品質を損なわせる場合がある。また、例えば、強い負荷をかけることができないトナーである場合には、上記方式によって、一定量の帯電を行うことができない。
【0006】
この上記に記載の摩擦帯電方式の問題を克服するために、例えば、特許文献1、2および3、または、特許文献4、5に開示された技術が提案されている。
【0007】
具体的には、特許文献1、2および3には、トナーに特殊な波長の光に反応するホトクロミック化合物等を含有させ、現像装置内部でトナーに直接光を照射することによりトナーを帯電させる手法が開示されている。
【0008】
また、ホトクロミック反応を利用した光照射によるトナーについては、例えば、特許文献6、7に開示されている。
【0009】
一方、特許文献4、5には、ブレードの他に、トナーに電荷を注入する帯電手段が、現像ローラに対して接触するように設けられている構成が開示されている。
【0010】
【特許文献1】
特開平7−281473号公報(公開日;1995年10月27日)
【0011】
【特許文献2】
特開平7−295327号公報(公開日;1995年11月10日)
【0012】
【特許文献3】
特開平9−6132号公報(公開日;1997年1月10日)
【0013】
【特許文献4】
特開2000−19840号公報(公開日;2000年1月21日)
【0014】
【特許文献5】
特開平6−149032号公報(公開日;1994年5月27日)
【0015】
【特許文献6】
特開平4−220657号公報(公開日;1992年8月11日)
【0016】
【特許文献7】
特開平7−234536号公報(公開日;1995年9月5日)
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の構成では、以下に示す問題が生じることとなる。
【0018】
上記特許文献1〜3に記載された技術は、特殊なホトクロミック化合物を含有させたトナーに光を照射させることにより、トナーを帯電させるものである。しかしながら、トナーにホトクロミック化合物のような特殊な物質を含有させる場合、トナー中に含まれる主樹脂や顔料の含有量等が減少するために、トナーの使用量が増加することになるとともに、該ホトクロミック化合物が、顔料等に悪影響を及ぼす恐れがあり、様々な悪影響がでることは言うまでもない。また、トナー中にホトクロミック化合物のような特殊な物質を含有させることにより、トナーのコストが増加するという問題点がある。
【0019】
また、上記従来の構成では、層厚規制部材であるブレードはトナーの層厚を規制すると同時に、トナーを摩擦帯電させるためにも使用されている。すなわち、上記従来の構成では、トナーをブレードとの摩擦により帯電させているため、トナーにおいて所望の帯電量を得るために、ブレードを現像ローラに対して比較的大きな加圧力(F)をもって圧接させている。
【0020】
このように、ブレードによってトナーに対して大きな加圧力が作用する構成では、この加圧力によってトナーの破壊が生じる恐れがある。
【0021】
また、上記摩擦帯電方式におけるエネルギー収支では、以下のことがいえる。すなわち、現像ローラの駆動エネルギー(Ek)は、ブレードの作用によってトナー層厚規制エネルギー(Es)とトナー帯電エネルギー(Et)とに変換されるが、一部は熱ロスエネルギー(El)として消費される。
【0022】
このときに発生する熱ロスエネルギー(E1)によっては、トナーが軟化することでトナーの破壊が促進される、あるいは、軟化したトナーがブレード表面に融着してトナーの摩擦帯電特性が劣化するといった問題が生じる。
【0023】
特に、近年では、省エネ技術として、トナーの軟化点を低減させて定着エネルギーを削減する、あるいは、トナーの顔料部数を増加させて着色力を高める(トナーの耐破壊性が低下する)といったトナーの改良が進んでいる。具体的には、トナーの顔料成分を増加させることにより、同じ濃度の画像であってもトナーの付着量を減らしてトナーの消費量を低減させるトナーや、トナーの樹脂成分を低温で溶解させて低温で定着(省電力化)を可能とするトナーの採用が進められている。しかしながら、上記従来の摩擦帯電方式は、上述の如くトナーに対する加圧力や熱的負荷が大きいため、このようなトナーには適合できていない。
【0024】
また、トナーの顔料成分を多くすることによりトナーの樹脂成分の割合比が低下し、トナー強度が低下する問題がある。また、トナーの樹脂成分を低温で溶解させるトナーについては、現像装置内でのトナー攪拌時などによりトナーが溶融し固着する問題がある。
【0025】
一方、上記特許文献4、5に開示されている構成では、摩擦により帯電させたトナーの帯電量を補うために、帯電手段が設けられているものであり、ブレードのトナーに対する摩擦力については何ら開示も示唆もされていない。また、特許文献4、5の構成では、例えば、軟化点が従来よりも低い低融点を使用する場合に、トナーにかかる摩擦力を低減させる、つまり、ブレードの圧接力を低下させた場合には、トナー層の厚さが厚くなるという問題がある。トナー層の層厚が厚くなると、トナーの使用量が多くなるとともに、画像品質が損なわれるという問題がある。さらに、従来の電荷注入では環境状況を考慮すると印可電圧の設定が難しくなり、例えば、高湿時には放電により装置にダメージを与えると共に、放電時にはオゾンが発生する問題がある。
【0026】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、トナーの劣化防止、即ちトナーの破壊やブレードヘの融着防止を可能とし、現像の信頼性を向上させることができる現像装置、特に、定着エネルギーを削減するために軟化点を低減した低融点トナーや、着色力を高めるために顔料部数を増加させた高顔料トナーにも好適に適合できる現像装置を提供することにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】
本発明の現像装置は、上記の課題を解決するために、帯電された現像剤によって、潜像保持体上に形成されている静電潜像を現像する現像装置であって、現像剤を保持するとともに、上記潜像保持体上に搬送する現像剤担持体と、上記現像剤担持体に担持された現像剤の厚さを規制する層厚規制部材と、上記現像剤担持体に担持された現像剤に対して帯電を施す現像剤帯電手段とを有し、上記現像剤帯電手段は、帯電される現像剤に向けて電子を放出する電子放出部を備えているととともに、上記層厚規制部材の、少なくとも上記現像剤との接触領域は、ダイヤモンドライクカーボンで構成されていることを特徴としている。
【0028】
上記の構成によれば、ブレード(層厚規制部材)の表面をダイヤモンドライクカーボン(DLC)加工することにより、トナー(現像剤)のブレードに対する摩擦係数を軽減することができるので、トナーに与える機械的な摩擦を最小限に留めトナーの溶解、トナーへの機械的ストレス、逆極性トナーの発生を防止することが可能となる。
【0029】
また、ブレードの表面をDLC加工することにより、例えば、トナーのブレードに対する摩擦が低下することにより、トナーの帯電量が低下した場合には、現像剤帯電手段によって、トナーを帯電させることが可能となるので、該トナーを所定の帯電量に帯電させることが可能となる。
【0030】
つまり、上記現像剤担持体上に層形成される現像剤に対して層厚の規制を行うブレードは、従来のように、トナー層厚規制機能およびトナー帯電機能の両方の機能を有する必要はなく、トナー層厚規制機能のみに特化することができる。
【0031】
従って、例えば、ストレス(負荷)に弱いトナーであっても、ストレスをかけることなく、飽和帯電させることが可能となるので、例えば、従来と比べて顔料の含有割合の多い高顔料トナーや、従来よりも低い温度で定着が可能な低融点トナーを使用することができ、これらのトナーを用いた場合でも安定した良好な画像が得られる。また、例えば、高顔料のトナー(高顔料トナー)を用いる場合には、トナーの消費量を低減することができ、例えば、低温定着トナー(低融点トナー)を用いる場合には、電源ON時のファーストプリンタを早くすることができ、低消費電力が可能となる。
【0032】
また、ブレードの表面をDLC加工することにより、トナーにストレスをかけることなく、トナー層の層厚を従来と同様に規制することができる。
【0033】
本発明の現像装置は、上記現像剤帯電手段は、現像剤担持体に対して、非接触に設けられている構成とすることがより好ましい。
【0034】
上記現像剤帯電手段は、上記現像剤担持体に対して非接触に配置されると共に、上記電子放出部より放出された電子により現像剤を帯電するようになっている。すなわち、上記上記現像剤帯電手段は、現像剤に対して無負荷で帯電を行うことができる。
【0035】
このため、上記現像装置では、上記ブレードの上記現像剤担持体に対する圧接力を従来のブレードに比べて大幅に低減することができ、上記トナーに作用する負荷(機械的負荷および熱的負荷)を減少せしめて、トナーの破壊や融着をより一層防止することができる。
【0036】
本発明の現像装置は、さらに、上記現像剤帯電手段は、光照射手段を備えているとともに、上記電子放出部は、上記光照射手段から照射される光により、電子を放出するようになっている構成とすることがより好ましい。
【0037】
上記の構成によれば、上記現像剤帯電手段は、現像剤に対して熱的負荷を与えることなく電子を放出できる。つまり、電子放出部は、光電効果により電子を放出するようになっている。すなわち、上記電子放出部が電子を放出するための現象として、光電効果の他に熱電子放出が考えられるが、光電効果は上記電子放出部を過熱する必要はなく、電子の放出に好適に利用できる。
【0038】
本発明の現像装置は、現像剤担持体に担持された現像剤の帯電量を測定する測定手段と、上記光照射手段を制御する制御手段とを備え、上記制御手段は、上記測定手段によって測定された結果に基づいて、照射する光量を制御するようになっている構成とすることがより好ましい。
【0039】
上記制御手段は、光照射手段を制御することにより、該光照射手段から照射される光量を制御するようになっている。一般に、感光体に形成された静電潜像にトナーを付着させて現像を行うためには、トナーに十分な電荷を付与し飽和帯電させる必要がある。しかしながら温度や湿度の環境変化により、常に一定した帯電量を得ることは難しい。
【0040】
上記の構成を備えることにより、帯電量を計測し、その計測結果に応じて光電子の放出量を可変することにより常に安定したトナーの帯電が可能となる。つまり、常に、トナーが飽和帯電量になるように、光を電子放出部に照射させることができるので、より好適な画像形成を行うことができる。
【0041】
本発明の現像装置は、さらに、現像剤担持体の周囲の環境状態を測定する環境測定手段を備え、上記制御部は、該環境測定手段によって測定された結果に基づいて、照射する光量を制御するようになっている構成とすることがより好ましい。
【0042】
トナーの帯電量を計測し、その測定結果に応じて帯電量を制御しても良いが、画像形成を行う場合には、環境条件、例えば温度や湿度によりプロセスの条件が異なることが知られている。
【0043】
そこで、上記構成を用いることにより、トナーの帯電量と環境条件の双方から最適なトナーの帯電量を算出し、最適な帯電量に制御することにより良好な画像が得られる。
【0044】
本発明の現像装置は、顔料の含有量が7重量%以上25重量%以下の範囲内であり、かつ、顔料を主樹脂間に分散させてなる顔料分散体の表面が、帯電被覆剤を実質的に溶解させた被覆樹脂にて被覆されている現像剤を用いる構成とすることがより好ましい。
【0045】
上記の構成によれば、上記ブレードの表面をDLC加工することにより、トナーに与える機械的な摩擦を最小限に留めることが可能となるので、トナーの溶解、トナーへの機械的ストレス、逆極性トナーの発生を防止することができる。従って、従来のトナーと比べて、機械的ストレスに弱い、例えば、トナー中に含まれる顔料割合の高い高顔料トナーを使用が可能となる。上記トナーを使用することで、印字媒体上の印字濃度を保ちながらトナーの消費量を抑えることが可能となる。
【0046】
本発明の現像装置は、上記現像剤の融点が75℃以下であり、かつ、顔料を主樹脂間に分散させてなる顔料分散体の表面が、帯電被覆剤を実質的に溶解させた被覆樹脂にて被覆されている現像剤を用いる構成とすることがより好ましい。
【0047】
上記の構成によれば、摩擦によりトナーを帯電させるブレードの表面をDLC加工することにより、トナーに与える機械的な摩擦を最小限に留めることが可能となり、トナーの溶解、トナーへの機械的ストレス、逆極性トナーの発生を防止することが可能となる。これにより、上記現像装置に、従来よりも軟化点の低い低融点トナーを使用することができるので、画像形成を行う場合には、定着装置の温度を従来と比べて、低く設定することが可能となり、消費電力を低減させることができる。なお、上記現像剤の融点とは、「主樹脂」の融点に相当する。
【0048】
本発明の画像形成装置は、上記の課題を解決するために、上記現像装置を備えることを特徴としている。
【0049】
上記の構成によれば、例えば、高顔料トナーや低融点トナーの場合にも好適に使用することができる画像形成装置を提供することができる。
【0050】
【発明の実施の形態】
〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態について図1および図5に基づいて説明すれば、以下の通りである。まず、本実施の形態1に係る現像装置の概略構成を、図1を参照して説明する。
【0051】
現像装置10は、図1に示すように、感光体ドラム(潜像担持体)2と対向するように配置され、該感光体ドラム2の表面に形成される静電潜像を、現像剤として例えば1成分系の非磁性よりなるトナー(現像剤)を用いて現像する。現像装置10は、トナーを収容する容器状の現像槽11、供給ローラ(現像剤供給手段)12、現像ローラ(現像剤担持体)13、およびトナー規制ブレード(層厚規制部材)14を備えた構成となっている。
【0052】
供給ローラ12は、現像装置10内に配置されており、現像ローラ13と互いの外周面同士が対面するように回転可能に連設され、現像槽11内のトナーを現像ローラ13の外周面に供給する。
【0053】
現像ローラ13は、現像装置10内に感光体ドラム(潜像保持体)2と対向する箇所にて回転可能に配置されており、供給ローラ12により供給されたトナーを感光体ドラム2に向けて担持搬送する。
【0054】
トナー規制ブレード14は、現像ローラ13の回転方向に対して、供給ローラ12の下流側、かつ感光体ドラム2の上流側にて現像ローラ13と接触して配置され、現像ローラ13表面に形成されるトナー層の層厚(現像ローラ13に担持された現像剤の厚さ)を規制する。
【0055】
さらに、現像装置10は、感光体ドラム2に供給されるトナーを所定の電荷量に帯電させるためのトナー帯電手段(現像剤帯電手段)として、トナー規制ブレード14の一部に具備された電子放出部15と、該電子放出部15に対して紫外線を照射する紫外線照射器(光照射手段)16とを備えている。このトナー帯電手段の詳細については後述する。
【0056】
ここで、上記現像装置10を備えた電子写真装置(画像形成装置)におけるプロセス部を簡単に説明する。
【0057】
上記プロセス部は、図1に示すように、主に感光体ドラム2、帯電ローラ3、露光手段(図示せず)、現像装置10、転写用放電ローラ4、クリーニング手段(図示せず)、除電手段(図示せず)、定着ローラ5からなる。また、図1中において、Pは記録用紙、Lは上記露光手段から照射されて感光体ドラム2表面に静電潜像を書き込む光ビームを示している。
【0058】
感光体ドラム2は、所定方向(図1に示す矢印A方向)に回転しており、まず、その外周表面が帯電ローラ3によって均一に帯電される。均一に帯電された感光体ドラム2の表面には、露光手段により画像データに応じて制御される光ビームLが照射され、静電潜像が形成される。
【0059】
感光体ドラム2上に形成された上記静電潜像は、感光体ドラム2の回転によって、現像装置10と対向する位置まで移動し、該現像装置10によってトナーを供給されて可視化される(感光体ドラム2上にトナー像が形成される)。このとき、現像装置10の現像ローラ13は、感光体ドラム2に供給するトナーを担持搬送するために所定方向(図1に示す矢印B方向)に回転している。
【0060】
尚、本実施の形態1では、感光体ドラム2は、有機光半導体で構成されており、−700V(帯電ローラ3による帯電量)に帯電して、周速度が50mm/sでA方向に回転している。現像ローラ13は、円筒状の導電性ゴム弾性材料で構成されており、−400Vの現像バイアスが印加されて感光体ドラム2と等しい周速度でB方向に回転している。供給ローラ12は、円筒状の発泡性ゴム弾性材料で構成されており、感光体ドラム2と等しい周速度でB方向に回転している。
【0061】
転写用放電ローラ4は、感光体ドラム2上に現像によって形成されたトナー像を用紙Pに転写する。感光体ドラム2の回転方向における転写用放電ローラ4の下流側には、さらにクリーニング手段および除電手段が配置され、該クリーニング手段は転写後の感光体ドラム2表面の残留トナーを除去し、該除電手段は感光体ドラム2表面を除電する。
【0062】
トナー像が転写された後の用紙Pは定着ローラ5に搬送され、該用紙Pが上下一対の定着ローラ5の間を通過する際に加熱および加圧を受け、トナー像が用紙P上に定着される。
【0063】
次に、現像装置10における現像の詳細過程を説明する。
【0064】
現像装置10では、上述したように、供給ローラ12より現像ローラ13表面にトナーを順次供給して、現像ローラ13がトナーを保持した状態で回転運動する。これにより、現像ローラ13によって搬送されるトナーが現像ローラ13とトナー規制ブレード14の接触領域Wsとの間に案内されて、現像ローラ13上のトナーの層厚が規制される。尚、接触領域Wsは、トナー規制ブレード14の先端に設けられている。
【0065】
トナー規制ブレード14によって現像ローラ13上にその層厚が規制されたトナーは、トナー帯電手段を構成する電子放出部15および紫外線照射器16によって、電荷を与えられて、現像に必要な帯電量まで帯電される。すなわち、トナー規制ブレード14に形成された電子放出部15に対して紫外線照射器16から紫外線を照射することによって、光電効果によって電子放出部15から光電子が誘起される。この光電子が現像ローラ13上のトナーに向けて放出されることにより、トナーは、所望の帯電量に帯電する。尚、上記紫外線照射器16の発光は、現像ローラ13の回転と同期させれば、電力消費の増加につながる不必要な発光を抑制できるため、より好ましい。また、図示はしていないが、電子放出部15と紫外線照射器16との間は、トナーが入り込んで光照射の障害とならないようにシールされることが好ましい。
【0066】
上記構成のトナー帯電手段において、電子放出部15は、トナー規制ブレード14上の接触領域Wsとは別の位置に形成されている、つまり、電子放出部15は、トナー規制ブレード14と一体に形成されており、電子放出部15は現像ローラ13上のトナーとは非接触となっているため、トナーに対して無負荷の状態で帯電を行うことができる。このため、現像装置10では、トナー規制ブレード14は、現像ローラ13に対して少なくともトナーの層厚規制に必要な程度の力にて圧接されていればよく、トナー規制ブレード14によるトナーへの加圧力および熱的負荷を大幅に低減することができる。
【0067】
また、電子放出部15の形成領域は、現像ローラ13とは完全に非接触であるため、その表面粗さがトナーの層形成に及ぼすことはなく、該電子放出部15の表面粗さが設計上の制約を受けることはない。
【0068】
上記トナー帯電手段によって所定の帯電量まで帯電されたトナーは、さらに現像ローラ13の回転によって感光体ドラム2との対向部まで送られ、感光体ドラム2の表面上の静電潜像に対して、静電的に供給され、該静電潜像をトナー像として現像(可視化)する。
【0069】
続いて、上記トナー規制ブレード14の具体的構成を、図2(a)および(b)を参照して説明する。
【0070】
トナー規制ブレード14は、例えば、基材としてSUSの金属(すなわち、導電性基材)を使用しており、電子放出部15が形成される領域では、図2(a)および(b)に示すように、エッチング加工等により複数の開口部151が設けられている。さらに、電子放出部15が形成される領域には、光電面152として薄膜のアルミニウムが例えば蒸着によって積層されている。
【0071】
図2(a)の記載では、上記開口部151は、円形状の小径穴が多数形成された構成となっているが、本発明においては開口部151の形状は特に限定されるものではなく、四角や三角の形状であってもよく、また、スリット形状の開口部であってもよい。
【0072】
また、光電面152を形成する材料は、上述のようなアルミニウムに限定されるものではなく、光の照射を受けたときに光電効果が生じるものであれば、この他にTa等の金属、Mg−Ag等の合金、半導体、導電ポリマー等であってもよい。また、上記光電面152は、トナー規制ブレード14において、必ずしも図2(b)に示すように両面に形成されている必要はなく、少なくとも紫外線照射器16との対向面側に形成されていればよい。
【0073】
さらに、上記電子放出部15に照射される光は、上述のような紫外線に限定されるものではなく、光電面152を形成する材料に対して光電効果を起こしうる波長を有するものであれば、可視光線やX線等であってもよい。
【0074】
上記構成のトナー規制ブレード14において、電子放出部15の光電面152に紫外線が照射されると、該光電面152にて光電効果による光電子が誘起される。この光電子は、主に、紫外線の照射面側、すなわち、紫外線照射器16との対向面側において発生するものであるが、発生した光電子の一部は、電子放出部15の開口部151を通って現像ローラ13との対向面側からトナーに向けて放射され、トナーの帯電に寄与する。
【0075】
また、電子放出部15において、該電子放出部15が電気的にフロートの状態であれば、電子放出部15の光電面152が光電子を放出しつづけることができないことは容易に理解できる。このため、電子放出部15は、光電面152から放出した分の電子を外部から供給可能な構成とする必要がある。ここで、上記電子放出部15は、SUSからなるトナー規制ブレード14の基材上に光電面152としてアルミニウム薄膜を蒸着した構成であるため、トナー規制ブレード14の基材を接地することにより上記構成は容易に実現できる。
【0076】
そして、本実施の形態において、トナー規制ブレード14の、少なくとも接触領域Wsは、ダイヤモンドライクカーボン(以下、DLCと称する)から構成されている。具体的には、トナー規制ブレード14の少なくとも接触領域Wsには、DLC加工が施されている。上記接触領域Wsとは、トナー規制ブレード14の、現像ローラ13と接触している面を示す。
【0077】
DLCは、ダイヤモンド状硬質炭素膜、または、非晶質炭素膜とも称されており、ダイヤモンドやグラファイトと同じように炭素元素(C)から構成されており、その結晶構造は、非晶質(アモルファス)である。上記DLCは、ダイヤモンドとよく似た特性を有しており、具体的には、平滑性にきわめて優れ、低い摩擦係数を持つという顕著な特徴を有している。
【0078】
本実施の形態にかかるトナー規制ブレード14は、現像ローラ13との接触領域WsにDLC加工を施している。従って、上記トナー規制ブレード14を、例えば、従来と同様な圧力(接触圧)で、現像ローラ13に圧接させた場合でも、トナー層の層厚を、好適な範囲に維持することができるとともに、トナーに強いストレスを与えることがない。従って、例えば、トナーとして、従来よりも軟化点が低い低融点トナーや、顔料の含有量が従来よりも多い高顔料トナーを用いた場合でも、好適に使用することができる。これにより、例えば、高顔料トナーを用いた場合には、従来と比べて、トナーの消費量を抑制することができる。また、例えば、低融点トナーを用いた場合には、電源ON時のファーストプリンタが早くなったり、定着ローラの加熱温度を低く設定することが可能となるので、低消費電力化が可能となる。また、本実施の形態では、接触領域WsにDLC加工を施しているので、トナーに対するストレス(摩擦力)を従来と比べて、低減させることができる一方、摩擦によるトナーの帯電量が従来よりも低下することとなる。しかしながら、本実施の形態の現像装置10には、トナー規制ブレード14の摩擦による帯電の他に、トナー帯電手段が設けられているので、トナーを十分に(好適に画像形成を行うことができる程度に)帯電させることができる。
【0079】
また、本実施の形態1に係る現像装置10は、トナー帯電手段が設けられていることにより、トナー規制ブレード14の圧接力を従来の摩擦帯電方式を用いた現像装置に比べて、大幅に低減することができる。これにより、トナー規制ブレード14によるトナーへの加圧力および熱的負荷が大幅に低減され、トナー破壊やトナー規制ブレード14へのトナー融着といった不具合を回避できる。
【0080】
つまり、本実施の形態にかかるトナー規制ブレード14は、従来のように、トナー層厚規制機能およびトナー帯電機能の両方の機能を有する必要はなく、トナー層厚規制機能のみに特化することができる。
【0081】
なお、上記高顔料トナーとしては、例えば、上記トナー中の顔料の含有量が7重量%以上25重量%以下の範囲内であり、かつ、顔料を主樹脂間に分散させてなる顔料分散体の表面が、帯電被覆剤を実質的に溶解させた被覆樹脂にて被覆されているトナー等が挙げられる。トナー中の顔料の含有量をトナー全体に対して7重量%以上25重量%以下にすれば、例えば、画像濃度IDが1.4となるときの印字媒体上へのトナーの付着量として0.05mg/cm2以上0.95mg/cm2以下を達成することができる。
【0082】
また、上記低融点トナーとしては、例えば、上記トナーの融点が75℃以下であり、かつ、顔料を主樹脂間に分散させてなる顔料分散体の表面が、帯電被覆剤を実質的に溶解させた被覆樹脂にて被覆されているトナー等が挙げられる。なお、上記現像剤の融点とは、「主樹脂」の融点に相当する。つまり、上記低融点トナーとは、顔料を主樹脂間に分散させてなる顔料分散体の表面が、帯電被覆剤を実質的に溶解させた被覆樹脂にて被覆されているトナーであって、上記主樹脂の融点が75℃以下であるトナー等である。
【0083】
従来では、紙等の印字媒体上において十分高い印字濃度を得るために、印字媒体へのトナー付着量を高くしている。例えば、トナー付着量を1mg/cm2という値とし、それによって、画像濃度ID=1.4という所望の濃度を得るようにしている。また、従来では、印字媒体に、トナーをより確実に付着させるために、トナー中に含まれる主樹脂の量を多くしている。そのため、従来では、トナーの消費量が多くなるという問題がある。また、疎水性シリカ等の外添剤をトナーの表面に外添して耐電特性および流動性を制御する手法が広く用いられているが、現像漕11の中で長期に使用されている間に撹拌等の機械的なストレスにより外添剤が脱落もしくはトナー内部へ埋没してしまい、トナーの特性の劣化を引き起こすという問題がある。特に、トナー中の顔料の含有割合が、従来よりも多い、高顔料トナーを使用する場合には、主樹脂の濃度がその分低下することにより、機械的な負荷に対して弱くなり、例えば現像漕11での撹拌処理等によってトナーが破断され、破断したトナー内部の主樹脂が現像漕11等に融着してしまう可能性がある。
【0084】
また、一般に、紙等の印字媒体に転写されたトナー像を定着させるために、トナーに熱を加えて、溶融させることにより、トナー像を印字媒体に固着させる方法が用いられる。このように、トナーを溶着させる定着方法においては、トナーの溶解温度以上に印字媒体の温度を上昇させる必要があり、設定温度が高すぎると無駄な電力消費を行うばかりでなく、定着ローラ5(定着装置)を高い温度で維持するためには画像形成装置が大型化する。
【0085】
また、印字媒体に対して、急激に高い温度を加えるため印字媒体にカールが発生したり、電源投入時には定着ローラ5を所定の温度に上昇させる必要があるので、ファーストプリントまでに長時間を必要とする。
【0086】
また、融点の低いトナーを現像槽11で攪拌処理などによって、トナーが溶融温度に達するとトナーが破断され、破断したトナー内部の樹脂が現像漕等に融着してしまう可能性がある。
【0087】
本実施の形態にかかる現像装置10は、トナー規制ブレード14の現像ローラ13との接触領域WsにDLC加工を施している。これにより、トナー規制ブレード14は、現像ローラ13に担持されたトナーに、強いストレスをかけることなく、トナー層の層厚を規制することができる。従って、上記のような、低融点トナーや高顔料トナーを好適に用いることができる。
【0088】
ここで、本実施の形態にかかる現像装置10を用いて、トナー規制ブレード14の接触領域Wsが、SUS(ステンレス鋼板)で形成されている構成(従来例)と、DLC加工を施した構成(実施例)との違いについて、具体的に説明する。
【0089】
図3は、トナー規制ブレード14の接触領域WsをSUS材で構成したもの(従来例)と、DLC加工を施したもの(実施例)とにおける、現像ローラの回転トルクの測定を行ったグラフである。トナー規制ブレード14は共に2kg重の力で現像ローラ13を押圧している。
【0090】
図3に示すように、従来例のSUS部材で接触領域Wsが形成されたトナー規制ブレード14では、時間経過と共に現像ローラ13とトナー規制ブレード14との摩擦が増加することにより、現像ローラ13の回転トルクが増加していることが分かる。
【0091】
一方、これに対して、トナー規制ブレード14にDLC加工を施したもの(実施例)は、DLCの有する高い硬度、滑らかな表面、低い摩擦係数のために、接触領域WsにDLC加工を施したトナー規制ブレード14では、現像ローラ13とトナー規制ブレード14との摩擦が低い状態で安定し、回転トルクの時間経過による変化が無いことが分かる。
【0092】
次に、図4は、従来例と、実施例とで、トナーの帯電量を時間経過と共に測定したグラフである。従来例の場合には、現像ローラ13とトナー規制ブレード14とが所定の摩擦係数をもっているため、初期ではトナーを飽和帯電させているが、時間経過とともにトナーの帯電量が低下していることが分かる。また、急激に電荷量が下がった後、さらに、電荷が徐々に低下していく。この電荷量の急激な減少の後、徐々に電荷が減少する理由としては、従来例の場合には、時間経過とともに、トナー規制ブレード14の接触領域Wsでトナーの融着が起こり、トナーとトナーとの間で摩擦が起きることにより、電荷量が低下するものと考えられる。
【0093】
一方、これに対し、実施例では、現像ローラ13とトナー規制ブレード14との摩擦係数が小さいため、トナーの電荷量は従来例に比して低くなっている。しかしながら、トナーの帯電量は時間経過に関係なく安定しているので、外部、すなわち、トナー帯電手段から一定の電荷をトナーに加えることにより、該トナーが所定の電荷量(飽和帯電量)を有するように制御することが容易となる。
【0094】
本実施の形態の場合、電子放出部15に、紫外線照射器16からの紫外線を照射することで、光電効果により、電子放出部15から光電子が放出される。そして、該電子放出部15より放出された光電子を該トナーに向けて降り注ぐことによりトナーを帯電するようになっている。
【0095】
上記のように、本実施の形態にかかる現像装置10は、トナーの帯電をトナー帯電手段にて行うので、摩擦帯電で予備的に帯電を行わせるものの、トナーに対する摩擦力が従来と比べて小さい。従って、トナーに与える障害(ストレスや熱)を小さくすることが可能となるので、高顔料トナーや低融点トナーを利用することが可能となる。
【0096】
また、トナーの電荷量の不足に対しては、光電効果を利用した非接触の帯電方法を用いることにより、トナーにストレスを与えることなく安定した帯電量を確保することができトナーへの悪影響を防止することができる。
【0097】
トナー規制ブレード14の接触領域WsにDLC加工を施す方法としては、例えば、プラズマCVD法やイオン化蒸着法、アーク式イオンプレーティング法等が挙げられる。具体的に、プラズマCVD法により、DLC加工を施す場合には、向かい合う二つの電極の間に高周波電力を加えることによって、その間にグロー放電が生じさせ、このグロー放電を利用して電極の間に導入したCH4(メタン)などの原料ガスを分解させて、カソード電極にセットしたトナー規制ブレード14の上にDLC薄膜を堆積させればよい。
【0098】
また、上記の説明では、トナー規制ブレード14の接触領域WsにDLC加工が施されている例について説明したが、例えば、トナー規制ブレード14の全面にDLC加工を施してもよい。
【0099】
本実施の形態では、主として光電効果により、トナー帯電を行っている。ここで、光電効果を用いた場合における、トナーの帯電量を制御する方法について説明する。
【0100】
本実施の形態にかかる現像装置10は、図5に示すように、制御部30を備えている。該制御部30は、紫外線照射器(光照射手段)16の紫外線の照射量を、後述する様々な条件にて制御するようになっている。そして、現像装置10は、帯電量検出部33、温度検出部34、湿度検出部35およびテーブルメモリ36を有している。なお、上記帯電量検出部33、温度検出部34および湿度検出部35については、必須の構成ではなく、任意で設けられていればよい。また、本実施の形態にかかる画像形成装置には、画像形成条件を入力する入力部31が設けられている。
【0101】
帯電量検出部33は、現像ローラ13上に存在する(担持された)トナーの帯電量を検出(測定)するようになっている。温度検出部34は、現像装置10の外部の温度(気温)や装置内部の温度を検出するものである。湿度検出部は、現像装置10の外部の湿度や装置内部の湿度を検出するものである。テーブルメモリ36は、帯電量検出部30で検出されたトナーの帯電量や、温度検出部34で検出された温度、湿度検出部35で検出された湿度、入力部31から入力された画像形成条件に基づいて、最適な帯電量が記憶されたものである。
【0102】
制御部30は、入力部31、帯電量検出部33、温度検出部34および/または湿度検出部35からの入力条件および/または測定結果に基づいて、最適な帯電量の算出を行う、または最適な帯電量をテーブルメモリ36から抽出して、紫外線照射部16から照射される紫外線の照射量を制御している。これにより、常に、現像ローラ13上に担持されたトナーを、画像形成に最適な帯電量に帯電させることができる。なお、本実施の形態では、現像装置10内部、特に、現像ローラ13の周囲の温度、湿度のうちの少なくとも1つを環境条件と称する。
【0103】
また、上記説明では、トナー帯電手段(現像剤帯電手段)が上記現像ローラ(現像剤担持体)13に対して、非接触に設けられている構成について説明したが、本発明は、上記構成に限定されるものではなく、例えば、トナー帯電手段と現像ローラ13とが、接触するように設けられていてもよい。しかしながら、本実施の形態にかかる現像装置10として、トナー帯電手段が、現像ローラ(現像剤担持体)13に対して、非接触に配置されている構成とする、すなわち、上記トナー帯電手段は、上記現像ローラ13に対して非接触に配置されると共に、上記電子放出部より放出された電子をトナーに向けて降り注ぐ方式により該トナーを帯電させる、上記トナー帯電手段は、トナーに対して無負荷で帯電を行うことができる。このため、本実施の形態では、トナー帯電手段は、上記現像ローラに対して非接触に配置されている構成がより好ましい。
【0104】
また、上記トナー帯電手段を設けることにより、上記現像ローラ13上に層形成されるトナーに対して層厚規制を行うトナー規制ブレード14は、従来のように、トナー層厚規制機能およびトナー帯電機能の両方の機能を有する必要はなく、トナー層厚規制機能のみに特化することができる。
【0105】
このため、上記現像装置10では、上記トナー規制ブレード14の上記現像ローラ13に対する圧接力を従来のトナー規制ブレード14に比べて大幅に低減することができ、上記トナーに作用する負荷(機械的負荷および熱的負荷)を減少せしめて、トナーの破壊や融着を防止することができる。
【0106】
また、上記電子放出部15は、トナー規制ブレード14と一体的に形成されていることがより好ましい。つまり、本実施の形態にかかる現像装置10では、上記電子放出部が、上記現像ローラ13上に層形成されるトナーに対して層厚規制するトナー規制ブレード14の、現像ローラ13との接触領域以外の領域に形成されている構成とすることがより好ましい。
【0107】
上記の構成によれば、上記電子放出部をトナー規制ブレード14の一部に形成することによって、電子放出部を設けるための新たな部材が必要なく、部材点数の削減を図ることができる。
上記構成とすることにより、現像装置10の小型化を図ることができる。
【0108】
また、上記の説明では、光電効果により発生した光電子にて、トナーを帯電させる構成について説明したが、トナーを帯電させる方法については、特に限定されるものではなく、例えば、熱によって発生する電子を用いてトナーを帯電させてもよい。
【0109】
[実施の形態2]
本発明の他の実施の一形態について図6ないし図8に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0110】
上記実施の形態1に係る現像装置10では、光電効果によって光電面152から誘起された光電子は、電子放出部15の開口部151を通って現像ローラ13との対向面側からトナーに向けて放射される。しかしながら、上記構成において、トナー規制ブレード14の光照射面側で発生する光電子は、開口部151を通過するとは限らず、該開口部151を通過しない光電子はトナーの帯電には寄与しない。このため、上記現像装置10のトナー帯電手段では、そのトナー帯電効率はあまり高くない。
【0111】
本実施の形態2では、現像装置においてトナー帯電効率を向上させることのできる好適例を説明する。
【0112】
本実施の形態2に係る現像装置10’は、図6に示すように、現像装置10の構成においてトナー規制ブレード14をトナー規制ブレード14’に代えると共に、該トナー規制ブレード14’と現像ローラ13との間に電気的バイアスを印加する構成となっている。このため、トナー規制ブレード14’はバイアス印加手段19と接続されている。このバイアス印加手段19は、トナー規制ブレード14’の基材に接続する構成とすることができる。また、現像ローラ13側のバイアス印加手段20は、感光体ドラム2と現像ローラ13との間で現像バイアスを印加するためのバイアス印加手段をそのまま兼用することができる。現像装置10’においてその他の構成は現像装置10と同じである。
【0113】
トナー規制ブレード14’の具体的構成を、図7(a)および(b)を参照して説明する。
【0114】
トナー規制ブレード14’は、トナー規制ブレード14とほぼ同様の構成であるが、図7(b)に示すように、現像ローラ13との接触領域Wsにおいて絶縁層17および金属層18が設けられている点が異なっている。尚、トナー規制ブレード14’上に形成される電子放出部15の構成は、トナー規制ブレード14と同様の構成である。本実施の形態では、金属層18が、現像ローラ13との接触領域Wsに相当する。つまり、トナー規制ブレード14の接触領域Wsとは、実際に、現像ローラ13と接触している領域を示している。
【0115】
現像装置10’では、トナー規制ブレード14’と現像ローラ13との間に電気的バイアスを印加するため、現像装置10のようにトナー規制ブレード14の導電性基材と現像ローラ13とが直接接触する構成であれば、トナー規制ブレード14と現像ローラ13との間が導通してしまい、上述のような電気的バイアスを印加することができない。
【0116】
すなわち、絶縁層17は、現像ローラ13とトナー規制ブレード14’の基材との間を絶縁するために設けられるものであり、例えば、上記基材の上に厚さ80μmのフッ素樹脂層として形成される。
【0117】
また、金属層18は、現像ローラ13の表面において均一なトナー層が形成されるように、現像ローラ13との接触面において適切な硬度や表面粗さを提供するものである。金属層18としては、例えば、厚さ20μmのSUSの金属層が積層される。そして、本実施の形態では、このSUSからなる金属層18の、少なくとも、現像ローラ13と実質的に接触している領域は、DLC加工が施されている。
【0118】
尚、現像ローラ13とトナー規制ブレード14’との間を絶縁する構成としては、上述のようにトナー規制ブレード14’側に絶縁層17を設ける構成に限定されるものではなく、導電性基材からなる現像ローラ13の外周層に、例えばゴム等の絶縁層を設ける構成であってもよい。
【0119】
上記構成の現像装置10’では、トナー規制ブレード14’と現像ローラ13との間に電気的バイアスを印加することにより、以下の2つの作用によって帯電効果を向上させることができる。
【0120】
まず、第1の作用として、上記電気的バイアスを印加することで、トナー規制ブレード14’と現像ローラ13との間に電界が発生する。このとき、トナー規制ブレード14’の電子放出部15における開口部151付近では図8に示すような電気力線(図中、破線にて示す)が発生する。
【0121】
このため、電子放出部15の光電面152において、開口部151付近で発生した光電子は、上記電気力線に沿って移動し、開口部151を通過して現像ローラ13側に引き寄せられる。すなわち、発生した光電子をトナーの帯電に効率的に使用できる。
【0122】
次に、第2の作用として、現像ローラ13側に引き寄せられた光電子は、上記電界の作用によって加速される。そして加速された電子が、気体分子に衝突すると、該気体分子が電子を放出してイオン化する。このとき、気体分子より放出された電子も同様の作用を生じるため、気体中の電子が急激に増加する、いわゆる電子なだれの現象が発生する。この電子なだれによって生じた電子もトナーの帯電に寄与するため、帯電効率が大幅に向上する。
【0123】
[実施の形態3]
本発明の他の実施の一形態について図9に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0124】
実施の形態1および2では、トナー規制ブレード14またはトナー規制ブレード14’の電子放出部15において、開口部151のブレード断面における形状(図2(b)参照)が直方形状となっている。すなわち、実施の形態1および2における電子放出部15の開口部151では、光照射面側の開口面積と、現像ローラ13との対向面側の開口面積とが等しくなっている。
【0125】
これに対し、本実施の形態3に係るトナー規制ブレードは、電子放出部における開口部の形状を、光照射面側の開口面積を、現像ローラ13との対向面側の開口面積より大きくすることで、電子放出部15における受光領域の面積を拡大し、光電子の発生量の増加を図っている。
【0126】
本実施の形態3における上記トナー規制ブレードの一例を図9(a)および(b)に示す。
【0127】
図9(a)および(b)に示すトナー規制ブレード21は、例えば、基材としてSUSの金属(すなわち、導電性基材)を使用しており、その一部に電子放出部22が形成されている。電子放出部22では、複数の開口部221が設けられており、さらに、光電面222として薄膜のアルミニウムが例えば蒸着によって積層されている。
【0128】
ここで、上記開口部221は、光照射面側の開口直径φ1と、現像ローラ13との対向面側の開口直径φ2とがφ1>φ2となるようなすり鉢形状となっている。尚、上記形状の開口部221をトナー規制ブレード21に形成することは、例えば片面エッチングによって容易に形成可能である(尚、図2に示すようなストレート穴は両面エッチングを行った場合に得られる)。また、上記光電面222は、電子放出部22において、少なくとも光照射面側と開口部221の内面とに形成されていればよい。
【0129】
電子放出部22をこのような形状とした場合、電子放出部22へ照射された光は、光電面222と開口部221の内面とによって受光される。このため、電子放出部22における受光領域の面積を拡大でき、光電子の発生量を増加させてトナー帯電の安定化を図ることができる。
【0130】
但し、上記開口部221は、(光照射面側の開口面積)>(現像ローラ13との対向面側の開口面積)の関係を満たしていれば、その形状は特に限定されるものではないことは、実施の形態1および2における電子放出部15の場合と何ら変わりはない。
【0131】
上記トナー規制ブレード21は、実施の形態1に係る現像装置10のように、トナー規制ブレード21と現像ローラ13との間に電気的バイアスを印加しない構成であってもよい。しかしながら、実施の形態2に係る現像装置10’のように、現像ローラ13との接触領域Wsに絶縁層を設け、トナー規制ブレード21と現像ローラ13との間に電気的バイアスを印加する構成に対応させることが好適である。
【0132】
【発明の効果】
本発明の現像装置は、以上のように、現像剤を保持するとともに、上記潜像保持体上に搬送する現像剤担持体と、上記現像剤担持体に担持された現像剤の厚さを規制する層厚規制部材と、上記現像剤担持体に担持された現像剤に対して帯電を施す現像剤帯電手段とを有し、上記現像剤帯電手段は、帯電される現像剤に向けて電子を放出する電子放出部を備えているととともに、上記層厚規制部材の、少なくとも上記現像剤との接触領域は、ダイヤモンドライクカーボンで構成されている構成である。
【0133】
従って、例えば、ストレス(負荷)に弱いトナーであっても、ストレスをかけることなく、飽和帯電させることが可能となるので、例えば、従来と比べて顔料の含有割合の多い高顔料トナーや、従来よりも低い温度で定着が可能な低融点トナーを使用することができ、これらのトナーを用いた場合でも安定した良好な画像が得られるという効果を奏する。
【0134】
本発明の現像装置は、上記現像剤帯電手段は、現像剤担持体に対して、非接触に設けられている構成とすることにより、上記トナーに作用する負荷(機械的負荷および熱的負荷)を減少せしめて、トナーの破壊や融着をより一層防止することができる。
【0135】
本発明の現像装置は、さらに、上記現像剤帯電手段は、光照射手段を備えているとともに、上記電子放出部は、上記光照射手段から照射される光により、電子を放出するようになっている構成とすることがより好ましい。それゆえ、光電効果は上記電子放出部を過熱する必要はなく、電子の放出に好適に利用できる。
【0136】
本発明の現像装置は、現像剤担持体に担持された現像剤の帯電量を測定する測定手段と、上記光照射手段を制御する制御手段とを備え、上記制御手段は、上記測定手段によって測定された結果に基づいて、照射する光量を制御するようになっている構成とすることにより、常に、トナーが飽和帯電量になるように、光を電子放出部に照射させることができるので、より好適な画像形成を行うことができる。
【0137】
本発明の現像装置は、さらに、現像剤担持体の周囲の環境状態を測定する環境測定手段を備え、上記制御部は、該環境測定手段によって測定された結果に基づいて、照射する光量を制御するようになっていることにより、最適な帯電量に制御することにより良好な画像が得られる。
【0138】
本発明の現像装置は、顔料の含有量が7重量%以上25重量%以下の範囲内であり、かつ、顔料を主樹脂間に分散させてなる顔料分散体の表面が、帯電被覆剤が実質的に溶解された被覆樹脂で被覆された現像剤を用いる構成とすることにより、印字媒体上の印字濃度を保ちながらトナーの消費量を抑えることが可能となる。
【0139】
本発明の現像装置は、上記現像剤の融点が75℃以下であり、かつ、顔料を主樹脂間に分散させてなる顔料分散体の表面が、帯電被覆剤が実質的に溶解された被覆樹脂で被覆された現像剤を用いる構成とすることにより、上記現像装置に、従来よりも軟化点の低い低融点トナーを使用することができるので、画像形成を行う場合には、定着装置の温度を従来と比べて、低く設定することが可能となり、消費電力を低減させることができる。
【0140】
本発明の画像形成装置は、以上のように、上記現像装置を備える構成である。
【0141】
それゆえ、例えば、高顔料トナーや低融点トナーの場合にも好適に使用することができる画像形成装置を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る現像装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】上記現像装置に使用されるトナー規制ブレードの構成を示すものであり、図2(a)は平面図、図2(b)は図2(a)におけるC−C断面図である。
【図3】実施例と比較例との現像ローラの回転トルクの測定を行ったグラフである。
【図4】従来例と実施例とのトナーの帯電量を時間経過と共に測定したグラフである。
【図5】上記現像装置に備えられた紫外線照射器を制御する構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係る現像装置の概略構成を示す断面図である。
【図7】上記現像装置に使用されるトナー規制ブレードの構成を示すものであり、図7(a)は平面図、図7(b)は図7(a)におけるC−C断面図である。
【図8】上記トナー規制ブレードと現像ローラとの間に電気的バイアスを印加した時に、トナー規制ブレードの開口部付近に生じる電気力線を説明する図である。
【図9】本発明の実施の形態3に係る現像装置に使用されるトナー規制ブレードの構成を示すものであり、図9(a)は平面図、図9(b)は図9(a)におけるC−C断面図である。
【符号の説明】
2 感光体ドラム(潜像保持体)
10,10’ 現像装置
11 現像槽
12 供給ローラ(現像剤供給手段)
13 現像ローラ(現像剤担持体)
14,14’,21 トナー規制ブレード(層厚規制ブレード)
15,22 電子放出部
16 紫外線照射器(光照射手段)
19,20 バイアス印加手段
151,221 開口部
152,222 光電面
Claims (8)
- 帯電された現像剤によって、画像形成装置の潜像保持体上に形成されている静電潜像を現像する現像装置であって、
現像剤を、保持するとともに上記潜像保持体上に搬送する現像剤担持体と、
上記現像剤担持体に担持された現像剤の厚さを規制する層厚規制部材と、
上記現像剤担持体に担持された現像剤に対して帯電を施す現像剤帯電手段とを有し、
上記現像剤帯電手段は、帯電される現像剤に向けて電子を放出する電子放出部を備えているととともに、
上記層厚規制部材の、少なくとも上記現像剤との接触領域は、ダイヤモンドライクカーボンで構成されていることを特徴とする現像装置。 - 上記現像剤帯電手段は、現像剤担持体に対して、非接触に設けられていることを特徴とする請求項1記載の現像装置。
- 上記現像剤帯電手段は、光照射手段を備えているとともに、
上記電子放出部は、上記光照射手段から照射される光により、電子を放出するようになっていることを特徴とする請求項1または2記載の現像装置。 - さらに、現像剤担持体に担持された現像剤の帯電量を測定する測定手段と、
上記光照射手段を制御する制御手段とを備え、
上記制御手段は、上記測定手段によって測定された結果に基づいて、上記光照射手段を制御するようになっていることを特徴とする請求項3記載の現像装置。 - さらに、現像剤担持体の周囲の環境状態を測定する環境測定手段を備え、
上記制御部は、該環境測定手段によって測定された結果に基づいて、上記光照射手段を制御するようになっていることを特徴とする請求項3または4記載の現像装置。 - 顔料の含有量が7重量%以上25重量%以下の範囲内であり、かつ、顔料を主樹脂間に分散させてなる顔料分散体の表面が、帯電被覆剤を実質的に溶解させた被覆樹脂にて被覆されている現像剤を用いることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の現像装置。
- 上記現像剤の融点が75℃以下であり、かつ、顔料を主樹脂間に分散させてなる顔料分散体の表面が、帯電被覆剤を実質的に溶解させた被覆樹脂にて被覆されている現像剤を用いることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の現像装置。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の現像装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
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2002
- 2002-12-27 JP JP2002381513A patent/JP2004212602A/ja not_active Withdrawn
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR100894752B1 (ko) | 2006-11-08 | 2009-04-24 | 가부시끼가이샤 도시바 | 대전 장치, 화상 형성 장치 및 대전 방법 |
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