JP2004202290A - 有機塩素化合物に汚染された土壌等の浄化方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】有機塩素化合物を効率よく除去することの可能な有機塩素化合物に汚染された土壌等の浄化方法を提供する。
【解決手段】有機塩素化合物が混入した汚染土壌等上に導電性微粒子と水酸化物とを混練した反応層を形成し、マイクロ波を照射して前記反応層を誘電加熱するとともに前記土壌等を加熱して有機塩素化合物を揮散させ、この揮散した有機塩素化合物を前記反応層において還元する。水酸化物としては水酸化鉄が好ましく、導電性微粒子としては鉄粉が好ましい。有機塩素化合物を効率よく除去することができる。
【選択図】 なし
【解決手段】有機塩素化合物が混入した汚染土壌等上に導電性微粒子と水酸化物とを混練した反応層を形成し、マイクロ波を照射して前記反応層を誘電加熱するとともに前記土壌等を加熱して有機塩素化合物を揮散させ、この揮散した有機塩素化合物を前記反応層において還元する。水酸化物としては水酸化鉄が好ましく、導電性微粒子としては鉄粉が好ましい。有機塩素化合物を効率よく除去することができる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トリクロロエチレン、ダイオキシン、トリクロロベンゼン等の有害な有機塩素化合物に汚染された土壌等の浄化方法に関し、特に有機塩素化合物を効率よく除去することの可能な有機塩素化合物に汚染された土壌等の浄化方法及び浄化システムに関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
近年、工場跡地の土壌等が重金属類や化学物質に汚染されていることが明らかになってきている。このような汚染土壌等のうちゴム、油脂、樹脂、塗料等の溶剤として広く用いられているトリクロロエチレンやテトラクロロエチレン等の有機塩素化合物は、地下水汚染の原因とも言われており、近年その発ガン性が指摘され、環境への放出が制限されている。しかしながら、これら揮発性有機化合物による汚染は依然として深刻であり、生活環境である土壌等や地下水の汚染が大きな社会問題となっている。
【0003】
一方、ダイオキシン類の有害性も盛んに指摘され、その分解除去が社会的な課題となっている。このダイオキシン類は、焼却炉から放出される量が多いことから長期間の焼却炉の稼動により焼却炉周辺の土壌に蓄積される可能性が指摘され、その浄化が切望されている。その他、トリクロロベンゼンなどの有機塩素化合物も同様に環境に有害であり、環境中への放出が制限されている。
【0004】
このような有害な塩素化合物により汚染された土壌等の処理方法として特開平8−164376号公報には、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の有機塩素化合物が混入した土に所定周波数の電磁波を照射し、前記土を誘電加熱する方法が開示されている。しかしながらこの方法においては、土壌等を直接電磁波による誘電加熱により加熱しているので、加熱効率が十分でないために揮発性で沸点が低いトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の有機塩素化合物はある程度除去されるが、ダイオキシンやトリクロロベンゼン等の除去効率が低く、またそれ自体有機塩素化合物を分解して除去するものではないという問題点があった。
【0005】
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、有機塩素化合物を効率よく除去することの可能な有機塩素化合物に汚染された土壌等の浄化方法を提供することを目的とする。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−164376号公報
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記日的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者は、トリクロロベンゼン、ダイオキシンなど有機塩素化合物が混入した汚染土壌上に鉄粉を敷設してマイクロ波を照射してやることにより、まず、鉄粉がマイクロ波による誘電加熱により迅速に加熱され、この熱伝導により土壌を効率的に加熱することができ、これにより土壌中に含まれている有機塩素化合物を揮発させて除去することができることを見出した。しかもこの鉄粉層は素早く有機塩素化合物との反応温度まで上昇するので揮発した有機塩素化合物はここを通過する際に還元、脱塩素化され、有機塩素化合物自体を減少することができ、その後の処理が容易になることを見出した。
【0008】
また、鉄粉を敷設しただけでは、鉄粉が高温になりすぎて焼結したり、あるいは変態して磁性を失ったりしてしまい、その効果が持続できないことから、この鉄粉にゼオライトなどを緩衝材として混合してやることで好適な温度に維持してやることができることを見出した。
【0009】
さらに、緩衝材として、水酸化鉄などの水酸化物を用いた場合に有機塩素化合物の脱塩素化に著しい効果があることを見出した。これらに基づき本発明に想到した。
【0010】
本発明の請求項1記載の有機塩素化合物に汚染された土壌等の浄化方法は、有機塩素化合物が混入した汚染土壌等上に導電性微粒子と水酸化物とを混練した反応層を形成し、マイクロ波を照射して前記反応層を誘電加熱するとともに前記土壌等を加熱して有機塩素化合物を揮散させ、この揮散した有機塩素化合物を前記反応層において還元する方法である。
【0011】
また、請求項2記載の有機塩素化合物に汚染された土壌等の浄化方法は、前記請求項1において、前記水酸化物が水酸化鉄である方法である。
【0012】
また、請求項3記載の有機塩素化合物に汚染された土壌等の浄化方法は、前記請求項1又は2において、前記導電性微粒子が鉄粉である方法である。
【0013】
【発明の実施形態】
まず、本発明の有機塩素化合物に汚染された土壌等の浄化方法について説明する。本発明において浄化対象となる有機塩素化合物とは、トリクロロエチレンやテトラクロロエチレン等の溶剤、ダイオキシン、トリクロロベンゼンなどの常温で固体あるいは液体の有害な有機塩素化合物であり、場合によってはPCBなどにも適用可能である。
【0014】
また、本明細書中において「土壌等」とは、焼却場、工場等の周囲及び跡地の土壌の他、汚染河川、港湾のヘドロ、田畑等も含む。なお、ヘドロなどの水分を多量に含むものの場合には、加熱効率が悪いので予め水分を十分に除去しておくのが望ましい。
【0015】
さらに、本明細書中において「浄化」とは、基本的には土壌中に含まれている有機塩素化合物を土壌基準値以下にし、かつこれを大気などの外部環境に放出しないことをいう。
【0016】
本発明の有機塩素化合物に汚染された土壌等の浄化方法は、基本的にはこれら有害な有機塩素化合物が混入した土壌等を加熱する。一般に土砂はマイクロ波による誘電加熱によりそれ自身発熱するが、磁性成分を十分に含んでいないので加熱効率が悪く、そのまま直接マイクロ波を照射しても有機塩素化合物、特にダイオキシン、トリクロロベンゼンなどを揮発するに十分な温度にまでは加熱されない。
【0017】
そこで、本発明においては、この土壌等上に導電性微粒子と水酸化物とからなる反応層を形成する。この導電性微粒子としては、常温で強い磁性を示すこと、土壌等との分離が容易なことなどの理由から、鉄粉、ニッケル粉等を用いることができるが、特に安価で環境的に安全な鉄粉を用いるのが好ましい。また、水酸化物としては、200℃以上で結晶水を放出する水酸化鉄(III)(Fe2O3・nH2O又はFeOOH)やCa(OH)2等を用いることができるが、特に扱いやすい温度である250〜350℃で結晶水を放出する水酸化鉄(III)を用いるのが好ましい。また、この水酸化物は前述した鉄粉等の導電性微粒子と同等もしくはそれ以下の粒径を有するのが好ましい。
【0018】
上述したような反応層においては、導電性微粒子が体積比で10〜70容量%であるのが好ましい。導電性微粒子が10容量%以下では、有機塩素化合物の分解効率が十分でない一方、70容量%を超えると後述するマイクロ波の照射により反応層が高温になりすぎて導電性微粒子が焼結したり磁性変態したりする。特に同様の理由により導電性微粒子が15〜40容量%であるのが好ましい。この反応層は土壌の1〜3倍程度の厚さに形成するのが望ましい。
【0019】
このような反応層において、水酸化物を用いてこれを鉄粉と混合することにより、水酸化物が脱水して酸化物となった後に鉄粉と一体化するので両者を同時に磁選することができる。なお、この反応層中には加熱効率の向上等を目的として活性炭を混合することができる。活性炭を混合する場合、その混合割合は反応層全体に対して5容積%以下程度とすればよく、温度が過剰に上昇しないように後述するマイクロ波の照射と連動した温度制御を行なうのが望ましい。なお、効率的に有機塩素化合物の脱塩素化を図るために、鉄粉と水酸化物は予め均一に混練しておく。
【0020】
次に、有機塩素化合物に汚染された土壌等上に反応層を形成したらマイクロ波を照射する。このマイクロ波の照射をパルスとすればエネルギー効率等において有利である。そうすると導電性微粒子には電流(電子)が流れジュール熱により自己発熱して短時間で有機塩素化合物と反応するに十分な温度にまで加熱する。これにより反応層の下側の土壌等が熱伝導とそれ自身のマイクロ波による誘電加熱により効率よく短時間で加熱される。
【0021】
この土壌等の加熱により土壌等中に含まれている有機塩素化合物が揮散して気体となり上昇して反応層を通過する。このとき反応層中の鉄粉は有機塩素化合物と反応するに十分な温度にまで加熱しているので、鉄粉等の導電性微粒子との接触により電子の授受が生し、有機塩素化合物は還元されて脱塩素化される。したがって、塩素化度の少ないもの程この段階で脱塩素化されて無害化される。すなわち、例えばトリクロロベンゼン(C6H3C13、TCB)の場合には→ジクロロベンゼン(C6H4Cl2、DCB)→モノクロロベンゼン(C6H5Cl、MCB)→ベンゼン(C6H6)のように脱塩素化反応が進行し、脱離した塩素は鉄と反応して塩化鉄となる。
【0022】
さらに、これと同時に、反応層中の水酸化鉄(III)などの水酸化物が脱水する。例えば、水酸化物として、水酸化鉄(III)のα−FeOOH(ゲーサイト)を用いた場合は、250〜350℃で脱水してα−Fe2O3を生成する。また、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を用いた場合は、約580℃で脱水して酸化カルシウムを生成する。そして、このとき生じた水蒸気が加熱された鉄粉等の導電性微粒子と反応して活性水素を生成し、この活性水素が有機塩素化合物の塩素と置換される。
【0023】
完全に脱塩素化されなかった装置内の有機塩素化合物(TCB、DCB、MCBなど)は、揮発したものを吸引などにより回収して、粒状のカーボンや鉄粉等の導電性微粒子を充填した二次反応容器に導入してマイク口波を照射し、電子の授受による脱塩素化を行い完全に脱塩素化した後外部環境に放出すればよい。この二次反応器としては、例えは十分な長さを有するアルミナ製などの筒状部材を用い、この筒状部材にマイクロ波を照射しながら該筒状部材の一端から他端に向けて揮発した有機塩素化合物を流通させることにより連続的に二次反応器による完全な脱塩素化を行なうことができる。なお、難揮発性のダイオキシン(2,3,7,8−TCDD:bp447℃)やPCB(bp275〜420℃)などであっても、導電性微粒子を含む反応層からの熱伝導により土壌等をその沸点以上の温度に十分な時間保持することにより同様の経過を経て脱塩素化することでジベンゾパラジオキシン、ビフェニルとして無害化することができる。
【0024】
上述したような有機塩素化合物の脱塩素化反応は、反応層を構成する導電性微粒子が燃焼、焼結せず、かつ導電性を失わない範囲の温度とするのが望ましく、さらに、前述した難揮発性のダイオキシンの沸点以上の温度が必要とされる場合もあることから、350〜450℃の範囲の温度とするのが望ましい。このため、本発明においては導電性微粒子に緩衝材として水酸化物を添加して反応層における導電性微粒子の密度を小さくすることで、反応層の温度を調整している。ただし、あまり導電性微粒子の密度が小さすぎると反応層を350〜450℃の温度とすることが困難となるばかりか、揮発した有機塩素化合物の気体と導電性微粒子との接触機会が減少し、さらには水酸化物の脱水効率が低下して脱塩素効率が低下するため、前述したとおり10〜70容量%、特に15〜40容量%とするのが好ましい。
【0025】
なお、これらの処理は有機塩素化合物を揮散させて回収することから土砂の空隙率と反応層の空隙率とを考慮する必要があり、具体的には反応層の体積をこれら揮敷する成分の体積膨張以上に確保する必要がある。また、土壌等中に水分が含まれていると水分の揮発により温度上昇が妨げられ、土壌等の温度上昇に時間がかかるので、土壌等中の水分はあらかじめ極力少なくしておくのが望ましい。
【0026】
そしてこのようにして土壌等中の有機塩素化合物を除去した後は、磁選分離などにより導電性微粒子を分離し、再利用すればよい。なお、水酸化物については前述したように脱水して酸化物となった後に鉄粉等と一体化するので一緒に磁選分離することが可能であるが、この酸化物は土壌等改良剤としても用いられるものもあるので、少量土壌等に混入しても問題ない。
【0027】
次に上述したような本発明の有機塩素化合物に汚染された土壌等の浄化方法を実施可能な土壌等浄化システムの一例について説明する。図1において、1は処理室たるステンレス製の反応容器であり、この反応容器1内には、搬送手段たる金属製のコンベア2が横設されていて、反応容器1の天面には、搬送コンベア2の上流側より汚染土壌等を供給する汚染土壌等投入口3と、導電性微粒子たる鉄粉と水酸化物たる水酸化鉄(III)とを供給する反応層生成手段たる反応剤投入口4とが形成されている。さらに、コンベア2の下流側には2個のマイクロ波照射手段たるマイクロ波照射装置5,5Aが配鴛されていて、これらマイクロ波照射装置5,5A間には吸引手段としての図示しないエアポンプに連通した吸引管6が取り付けられている。さらに反応容器1は、コンベア2の末端において下方に開口部7を有していて、処理後の土壌等を排出する構成となっている。また、8は開口部7に連続して設けられた土壌等回収手段たる選別装置であり、この選別装置8の下方は図示左側の土壌等排出口9と右側の鉄粉回収口10とに分岐していて、この分岐上で開口部7の下側には反時計周りに回動可能に設けられたドラム状の電磁石11と鉄粉回収口10上で前記ドラム状の電磁石11に摺接可能に配置されたスクレバー12とが設けられている。また、コンベア2の走行面2Aの下側には、土壌等を補助的に加熱・保温し、土壌等からの放熱を防止するためのバーナや電気ヒーターなどの熱源13が設置されている。
【0028】
上述したような本実施例のシステムにより前述した本発明の土壌等の浄化方法を効果的に実施することができる。すなわち、コンベア2が図中の矢印方向に駆動した状態でまず汚染土壌等投入口3から処理対象である有機塩素化合物に汚染された土壌等を投入し、続いて、反応剤投入口4から鉄粉と水酸化鉄(III)と、必要に応じて活性炭との混合粉を供給する。これにより汚染土壌等層と反応層とが連続的に形成されながらコンベア2上を移動する。なお、効率的に有機塩素化合物の脱塩素化を図るために、鉄粉と水酸化鉄(III)は予め均一に混練しておく。
【0029】
このとき、マイクロ波照射装置5,5Aからコンベア2に向けてマイクロ波Wを連続的にあるいはパルスとして照射する。すると、鉄粉に電流(電子)が流れジュール熱により素早く自己発熱し、次いで反応層の下側の土壌等が熱伝導とそれ自身のマイクロ波による誘電加熱により効率よく短時間で加熱される。これにより土壌等中に含まれている有機塩素化合物が揮散して気体となり上昇して反応層を通過する。このとき鉄粉との接触により電子の授受が生じ、有機塩素化合物は還元されて脱塩素化される。
【0030】
さらに、これと同時に、水酸化鉄(III)が鉄粉により熱せられて脱水し、酸化鉄を生成する。そして、このとき生じた水蒸気が加熱された鉄粉と反応して活性水素を生成し、この活性水素が有機塩素化合物の塩素と置換されることで有機塩素化合物は脱塩素化される。
【0031】
また、反応層の通過だけで有機塩素化合物の全てが完全に脱塩素化されない場合には吸引管6から反応容器1内の空気を吸引して有機塩素化合物を回収し、前述した二次反応器などにより別途処理する。なお、このような処理において、土壌等中に少量の導電性微粒子を混ぜておくことにより一層急速に土壌等の温度を上昇させることができる。また、土壌等の温度が下がると、脱塩素化の効率が著しく低下するので、コンベア2の走行面2Aの下側に設置したバーナや電気ヒーターなどの熱源13により土壌等を補助的に加熱・保温して、土壌等からの放熱を防止する。
【0032】
そして、コンベア2の長さ及び運転速度を土壌等の浄化処理に十分な時間が確保できるように設定しておくことにより、コンベア2の末端部では土壌等の浄化が完了して開口部7から選別装置8のドラム状の電磁石11上に落下する。そうすると、この電磁石11は、土壌等排出口8側に向けて反時計周りに回動しているので、鉄粉及びこれと一体化している酸化鉄は電磁石11に吸い付けられる一方、土壌等及び微量の酸化鉄は土壌等排出口8に落下して回収される。また、電磁石11に吸い付けられた鉄粉はスクレバー12に掻き落とされて鉄粉回収口10に落下することで回収され、再利用に供することができる。
【0033】
以上のように本実施例のシステムを採用することにより本発明の有機塩素化合物に汚染された土壌等の浄化方法を効果的に実施することができる。
【0034】
【実施例】
以下の具体的実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
【0035】
[実施例1]
底面が一辺18cmの六角形の平面で、高さが14.5cm、厚さ1.6mm、内容積4788cm2、フランジ厚3.2mmの鋼鉄製であって、底部外面に350W丸型シーズヒーターを備えた反応容器に、砂275g(136cm2)を均等に敷き詰めた。つぎに、アセトンにて希釈した1―2−4トリクロロベンゼン(TCB、bp213℃)0.5ml(730mg)(4.023μmol)をピペットにて一面均等に滴下し、その上に砂275g(136cm2)を均等に敷き詰めて試料層とした(合計372cm3)。
【0036】
この試料層上に鉄粉129g(45w%)と水酸化鉄(FeOOH)158gとをよく混合(合計287g(485cm2))したものを試料層上に均一な厚さに載置して反応層とした。なお、試料層の温度を400℃とすると気体の体積膨張は室温を基準に673K/293K=2.3倍となるので、反応層の体積は試料層の体積372cm3の1.3倍である485cm2とした。
【0037】
反応容器に厚さ3.2mmの鋼鉄製であって、吸引プラグと熱電対差込みプラグを備えた反応容器蓋を取り付けるとともに、電子レンジのマイクロ波出口を覆うように反応容器を電子レンジ(2.45GHz、500W)内の上面にボルトで固定し、反応容器内を常圧で水が漏れない程度の気密性を保つように構成した。そして、電子レンジを電磁波漏洩防止箱に入れてアースを繋ぐとともに、反応層に石英ガラス保護管付きの直径2.3mmのステンレス製の熱電対を設置した。また、反応容器内において、反応容器蓋の吸引プラグに粒状活性炭3gを充填した内径2cm、高さ2.5cmのアルミナレンガ製の二次反応器を接続し、反応容器外において、この吸引プラグにアセトン450mlの入った洗気ビン(500ml三角フラスコ)をチューブで繋ぎ、さらにこの洗気ビンをチューブでアスピレーターに接続した。
【0038】
アスピレーターで反応容器内を吸引しながら電子レンジに通電し、50℃ずつ徐々に反応層の温度を上昇させ、反応層の温度が380℃に到達したところで反応容器の外底部に設置したシーズヒーターを断続的に通電して反応容器からの放熱を防止するように保温した。反応層の温度を380℃で30分間維持しながらマイクロ波を照射して処理を行った。処理後の反応層の色はベンガラ色であった。また、洗気ビンのアセトンが50ml飛散していた。このときの処理条件を表1に示す。
【0039】
処理後、反応層を磁石にて反応容器より取り出し、よく混合して重量の10分の1を採取してアセトン158g(200ml)にて溶解してGC分析を行った。また、試料層を反応容器から取り出し、よく混合して重量の10分の1を採取してアセトン158g(200ml)にて溶解してGC分析を行った。さらに、反応容器と反応容器蓋をアセトン158g(200ml)で洗い、二次反応器と粒状活性炭を別のアセトン158g(200ml)で洗ってそれぞれGC分析を行った。また、チューブをアセトンで洗って洗気ビン内のアセトンと一緒にGC分析した。分析結果を表2に示す。
【0040】
[実施例2]
上記実施例1と同じ反応容器に、上記実施例1と同様に試料層と反応層を形成した。そして、上記実施例1と同様に反応容器を電子レンジに設置し、電子レンジを電磁波漏洩防止箱に入れてアースを繋ぐとともに、反応層に熱電対を設置した。
【0041】
反応容器内において、吸引プラグには二次反応容器を取り付けず、反応容器外において、この吸引プラグにアセトン443mlの入った氷冷した洗気ビン(500ml三角フラスコ)をチューブで繋ぎ、さらにこの洗気ビンをチューブでアスピレーターに接続した。
【0042】
アスピレーターで反応容器内を吸引しながら電子レンジに通電し、50℃ずつ徐々に反応層の温度を上昇させ、反応層の温度が425℃に到達したところで反応容器の外底部に設置したシーズヒーターを断続的に通電して反応容器からの放熱を防止するように保温した。反応層の温度を425℃で30分間維持しながらマイクロ波を照射して処理を行った。処理後の反応層の色は70v%程度、黒色に変色しており、酸化鉄(Fe3O4)の生成が確認された。また、氷冷した洗気ビン内の液体が7.6g増量した。このときの処理条件を表1に示す。
【0043】
処理後、上記実施例1と同様に分析を行った。分析結果を表2に示す。
【0044】
[実施例3]
上記実施例1と同じ反応容器に、砂275g(136cm2)を均等に敷き詰めた。つぎに、アセトンにて希釈した1―2−4トリクロロベンゼン(TCB)0.2ml(292mg)(1.609μmol)をピペットにて一面均等に滴下し、その上に砂275g(136cm2)を均等に敷き詰めて試料層とした。
【0045】
この試料層上に鉄粉334g(73w%)と水酸化鉄(FeOOH)90g(20w%)と天然沸石粉33gをよく混合(合計457g(485cm2))したものを試料層上に均一な厚さに載置して反応層とした。
【0046】
そして、上記実施例1と同様に反応容器を電子レンジに設置し、電子レンジを電磁波漏洩防止箱に入れてアースを繋ぐとともに、反応層に熱電対を設置した。また、反応容器内において、吸引プラグに二次反応容器を取り付け、反応容器外において、この吸引プラグにアセトン400mlの入った洗気ビン(500ml三角フラスコ)をチューブで繋ぎ、さらにこの洗気ビンをチューブでアスピレーターに接続した。
【0047】
アスピレーターで反応容器内を吸引しながら電子レンジに通電し、50℃ずつ徐々に反応層の温度を上昇させ、反応層の温度が350℃に到達したところで反応容器の外底部に設置したシーズヒーターを断続的に通電して反応容器からの放熱を防止するように保温した。反応層の温度を350℃で30分間維持しながらマイクロ波を照射して処理を行った。処理後、二次反応器内の活性炭が燃焼によって2.5gに減少した。このときの処理条件を表1に示す。
【0048】
処理後、上記実施例1と同様に分析を行った。分析結果を表2に示す。
【0049】
[比較例1]
上記実施例1と同じた反応容器に、上記実施例1と同様に試料層を形成した。この試料層上に鉄粉162g(47.5w%)と酸化鉄(Fe2O3)179gとをよく混合(合計341g(485cm2))したものを試料層上に均一な厚さに載置して反応層とした。
【0050】
そして、上記実施例1と同様に反応容器を電子レンジに設置し、電子レンジを電磁波漏洩防止箱に入れてアースを繋ぐとともに、反応層に熱電対を設置した。また、反応容器内において、吸引プラグに二次反応容器を取り付け、反応容器外において、この吸引プラグにアセトン450mlの入った洗気ビン(500ml三角フラスコ)をチューブで繋ぎ、さらにこの洗気ビンをチューブでアスピレーターに接続した。
【0051】
アスピレーターで反応容器内を吸引しながら電子レンジに通電し、50℃ずつ徐々に反応層の温度を上昇させ、反応層の温度が400℃に到達したところで反応容器の外底部に設置したシーズヒーターを断続的に通電して反応容器からの放熱を防止するように保温した。反応層の温度を400℃で30分間維持しながらマイクロ波を照射して処理を行った。処理後、反応層はベンガラ色で変化はなかった。このときの処理条件を表1に示す。
【0052】
処理後、上記実施例1と同様に分析を行った。分析結果を表2に示す。
【0053】
[比較例2]
上記実施例1と同じ反応容器に、砂275g(136cm2)を均等に敷き詰めた。つぎに、アセトンにて希釈した1―2−4トリクロロベンゼン(TCB)0.2ml(292mg)(1.609μmol)をピペットにて一面均等に滴下し、その上に砂275g(136cm2)を均等に敷き詰めて試料層とした。
【0054】
この試料層上に鉄粉322g(58w%)と天然沸石粉231gをよく混合(合計553g(485cm2))したものを試料層上に均一な厚さに載置して反応層とした。
【0055】
そして、上記実施例1と同様に反応容器を電子レンジに設置し、電子レンジを電磁波漏洩防止箱に入れてアースを繋ぐとともに、反応層に熱電対を設置した。また、反応容器内において、吸引プラグに二次反応容器を取り付け、反応容器外において、この吸引プラグにアセトン400mlの入った洗気ビン(500ml三角フラスコ)をチューブで繋ぎ、さらにこの洗気ビンをチューブでアスピレーターに接続した。
【0056】
アスピレーターで反応容器内を吸引しながら電子レンジに通電し、50℃ずつ徐々に反応層の温度を上昇させ、反応層の温度が350℃に到達したところで反応容器の外底部に設置したシーズヒーターを断続的に通電して反応容器からの放熱を防止するように保温した。反応層の温度を350℃で30分間維持しながらマイクロ波を照射して処理を行った。処理後、反応層の変色は見られなかった。このときの処理条件を表1に示す。
【0057】
処理後、上記実施例1と同様に分析を行った。分析結果を表2に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
[まとめ]
実施例1〜実施例3、比較例1,2から明らかなように、試料層からTCBが揮散し、マイクロ波の照射によって電流が流れ高温になっている反応層により還元、脱塩素化されてベンゼンになるが、反応層に水酸化物としての水酸化鉄を入れた場合にベンゼンの生成率が著しく高くなることが認められた。
【0060】
また、実施例1、2の比較から、二次反応容器を設けることによって一層脱塩素化が効率的に行われることが確認された。
【0061】
なお、前述した実験例では電子レンジによりマイクロ波の照射を行なっているが、マイクロ波の照射においては加熱ムラが生じやすく、これにより除去率の低下を招きやすい(試料層への有機塩素化合物の残存率が0%とならない)。しかしながら、電磁波拡散装置を採用しコンベアにより移送することでその照射にムラがないようにすることで、試料層への有機塩素化合物の残存率を0%に近づけることができる。
【0062】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載の有機塩素化合物に汚染された土壌等の浄化方法は、有機塩素化合物が混入した汚染土壌等上に導電性微粒子と水酸化物とを混練した反応層を形成し、マイクロ波を照射して前記反応層を誘電加熱するとともに前記土壌等を加熱して有機塩素化合物を揮散させ、この揮散した有機塩素化合物を前記反応層において還元する方法であるので、有機塩素化合物を効率よく除去することができる。
【0063】
また、請求項2記載の有機塩素化合物に汚染された土壌等の浄化方法は、前記請求項1において、前記水酸化物が水酸化鉄であり、処理しやすい温度である250〜350℃で結晶水を放出するので、効率よく有機塩素化合物を除去することができる。
【0064】
また、請求項3記載の有機塩素化合物に汚染された土壌等の浄化方法は、前記請求項1又は2において、前記導電性微粒子が鉄粉であり、鉄粉は安価、無害で強磁性であるので、効率よく土壌等を加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による機塩素化合物に汚染された土壌等の浄化システムを示す概略図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、トリクロロエチレン、ダイオキシン、トリクロロベンゼン等の有害な有機塩素化合物に汚染された土壌等の浄化方法に関し、特に有機塩素化合物を効率よく除去することの可能な有機塩素化合物に汚染された土壌等の浄化方法及び浄化システムに関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
近年、工場跡地の土壌等が重金属類や化学物質に汚染されていることが明らかになってきている。このような汚染土壌等のうちゴム、油脂、樹脂、塗料等の溶剤として広く用いられているトリクロロエチレンやテトラクロロエチレン等の有機塩素化合物は、地下水汚染の原因とも言われており、近年その発ガン性が指摘され、環境への放出が制限されている。しかしながら、これら揮発性有機化合物による汚染は依然として深刻であり、生活環境である土壌等や地下水の汚染が大きな社会問題となっている。
【0003】
一方、ダイオキシン類の有害性も盛んに指摘され、その分解除去が社会的な課題となっている。このダイオキシン類は、焼却炉から放出される量が多いことから長期間の焼却炉の稼動により焼却炉周辺の土壌に蓄積される可能性が指摘され、その浄化が切望されている。その他、トリクロロベンゼンなどの有機塩素化合物も同様に環境に有害であり、環境中への放出が制限されている。
【0004】
このような有害な塩素化合物により汚染された土壌等の処理方法として特開平8−164376号公報には、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の有機塩素化合物が混入した土に所定周波数の電磁波を照射し、前記土を誘電加熱する方法が開示されている。しかしながらこの方法においては、土壌等を直接電磁波による誘電加熱により加熱しているので、加熱効率が十分でないために揮発性で沸点が低いトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の有機塩素化合物はある程度除去されるが、ダイオキシンやトリクロロベンゼン等の除去効率が低く、またそれ自体有機塩素化合物を分解して除去するものではないという問題点があった。
【0005】
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、有機塩素化合物を効率よく除去することの可能な有機塩素化合物に汚染された土壌等の浄化方法を提供することを目的とする。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−164376号公報
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記日的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者は、トリクロロベンゼン、ダイオキシンなど有機塩素化合物が混入した汚染土壌上に鉄粉を敷設してマイクロ波を照射してやることにより、まず、鉄粉がマイクロ波による誘電加熱により迅速に加熱され、この熱伝導により土壌を効率的に加熱することができ、これにより土壌中に含まれている有機塩素化合物を揮発させて除去することができることを見出した。しかもこの鉄粉層は素早く有機塩素化合物との反応温度まで上昇するので揮発した有機塩素化合物はここを通過する際に還元、脱塩素化され、有機塩素化合物自体を減少することができ、その後の処理が容易になることを見出した。
【0008】
また、鉄粉を敷設しただけでは、鉄粉が高温になりすぎて焼結したり、あるいは変態して磁性を失ったりしてしまい、その効果が持続できないことから、この鉄粉にゼオライトなどを緩衝材として混合してやることで好適な温度に維持してやることができることを見出した。
【0009】
さらに、緩衝材として、水酸化鉄などの水酸化物を用いた場合に有機塩素化合物の脱塩素化に著しい効果があることを見出した。これらに基づき本発明に想到した。
【0010】
本発明の請求項1記載の有機塩素化合物に汚染された土壌等の浄化方法は、有機塩素化合物が混入した汚染土壌等上に導電性微粒子と水酸化物とを混練した反応層を形成し、マイクロ波を照射して前記反応層を誘電加熱するとともに前記土壌等を加熱して有機塩素化合物を揮散させ、この揮散した有機塩素化合物を前記反応層において還元する方法である。
【0011】
また、請求項2記載の有機塩素化合物に汚染された土壌等の浄化方法は、前記請求項1において、前記水酸化物が水酸化鉄である方法である。
【0012】
また、請求項3記載の有機塩素化合物に汚染された土壌等の浄化方法は、前記請求項1又は2において、前記導電性微粒子が鉄粉である方法である。
【0013】
【発明の実施形態】
まず、本発明の有機塩素化合物に汚染された土壌等の浄化方法について説明する。本発明において浄化対象となる有機塩素化合物とは、トリクロロエチレンやテトラクロロエチレン等の溶剤、ダイオキシン、トリクロロベンゼンなどの常温で固体あるいは液体の有害な有機塩素化合物であり、場合によってはPCBなどにも適用可能である。
【0014】
また、本明細書中において「土壌等」とは、焼却場、工場等の周囲及び跡地の土壌の他、汚染河川、港湾のヘドロ、田畑等も含む。なお、ヘドロなどの水分を多量に含むものの場合には、加熱効率が悪いので予め水分を十分に除去しておくのが望ましい。
【0015】
さらに、本明細書中において「浄化」とは、基本的には土壌中に含まれている有機塩素化合物を土壌基準値以下にし、かつこれを大気などの外部環境に放出しないことをいう。
【0016】
本発明の有機塩素化合物に汚染された土壌等の浄化方法は、基本的にはこれら有害な有機塩素化合物が混入した土壌等を加熱する。一般に土砂はマイクロ波による誘電加熱によりそれ自身発熱するが、磁性成分を十分に含んでいないので加熱効率が悪く、そのまま直接マイクロ波を照射しても有機塩素化合物、特にダイオキシン、トリクロロベンゼンなどを揮発するに十分な温度にまでは加熱されない。
【0017】
そこで、本発明においては、この土壌等上に導電性微粒子と水酸化物とからなる反応層を形成する。この導電性微粒子としては、常温で強い磁性を示すこと、土壌等との分離が容易なことなどの理由から、鉄粉、ニッケル粉等を用いることができるが、特に安価で環境的に安全な鉄粉を用いるのが好ましい。また、水酸化物としては、200℃以上で結晶水を放出する水酸化鉄(III)(Fe2O3・nH2O又はFeOOH)やCa(OH)2等を用いることができるが、特に扱いやすい温度である250〜350℃で結晶水を放出する水酸化鉄(III)を用いるのが好ましい。また、この水酸化物は前述した鉄粉等の導電性微粒子と同等もしくはそれ以下の粒径を有するのが好ましい。
【0018】
上述したような反応層においては、導電性微粒子が体積比で10〜70容量%であるのが好ましい。導電性微粒子が10容量%以下では、有機塩素化合物の分解効率が十分でない一方、70容量%を超えると後述するマイクロ波の照射により反応層が高温になりすぎて導電性微粒子が焼結したり磁性変態したりする。特に同様の理由により導電性微粒子が15〜40容量%であるのが好ましい。この反応層は土壌の1〜3倍程度の厚さに形成するのが望ましい。
【0019】
このような反応層において、水酸化物を用いてこれを鉄粉と混合することにより、水酸化物が脱水して酸化物となった後に鉄粉と一体化するので両者を同時に磁選することができる。なお、この反応層中には加熱効率の向上等を目的として活性炭を混合することができる。活性炭を混合する場合、その混合割合は反応層全体に対して5容積%以下程度とすればよく、温度が過剰に上昇しないように後述するマイクロ波の照射と連動した温度制御を行なうのが望ましい。なお、効率的に有機塩素化合物の脱塩素化を図るために、鉄粉と水酸化物は予め均一に混練しておく。
【0020】
次に、有機塩素化合物に汚染された土壌等上に反応層を形成したらマイクロ波を照射する。このマイクロ波の照射をパルスとすればエネルギー効率等において有利である。そうすると導電性微粒子には電流(電子)が流れジュール熱により自己発熱して短時間で有機塩素化合物と反応するに十分な温度にまで加熱する。これにより反応層の下側の土壌等が熱伝導とそれ自身のマイクロ波による誘電加熱により効率よく短時間で加熱される。
【0021】
この土壌等の加熱により土壌等中に含まれている有機塩素化合物が揮散して気体となり上昇して反応層を通過する。このとき反応層中の鉄粉は有機塩素化合物と反応するに十分な温度にまで加熱しているので、鉄粉等の導電性微粒子との接触により電子の授受が生し、有機塩素化合物は還元されて脱塩素化される。したがって、塩素化度の少ないもの程この段階で脱塩素化されて無害化される。すなわち、例えばトリクロロベンゼン(C6H3C13、TCB)の場合には→ジクロロベンゼン(C6H4Cl2、DCB)→モノクロロベンゼン(C6H5Cl、MCB)→ベンゼン(C6H6)のように脱塩素化反応が進行し、脱離した塩素は鉄と反応して塩化鉄となる。
【0022】
さらに、これと同時に、反応層中の水酸化鉄(III)などの水酸化物が脱水する。例えば、水酸化物として、水酸化鉄(III)のα−FeOOH(ゲーサイト)を用いた場合は、250〜350℃で脱水してα−Fe2O3を生成する。また、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を用いた場合は、約580℃で脱水して酸化カルシウムを生成する。そして、このとき生じた水蒸気が加熱された鉄粉等の導電性微粒子と反応して活性水素を生成し、この活性水素が有機塩素化合物の塩素と置換される。
【0023】
完全に脱塩素化されなかった装置内の有機塩素化合物(TCB、DCB、MCBなど)は、揮発したものを吸引などにより回収して、粒状のカーボンや鉄粉等の導電性微粒子を充填した二次反応容器に導入してマイク口波を照射し、電子の授受による脱塩素化を行い完全に脱塩素化した後外部環境に放出すればよい。この二次反応器としては、例えは十分な長さを有するアルミナ製などの筒状部材を用い、この筒状部材にマイクロ波を照射しながら該筒状部材の一端から他端に向けて揮発した有機塩素化合物を流通させることにより連続的に二次反応器による完全な脱塩素化を行なうことができる。なお、難揮発性のダイオキシン(2,3,7,8−TCDD:bp447℃)やPCB(bp275〜420℃)などであっても、導電性微粒子を含む反応層からの熱伝導により土壌等をその沸点以上の温度に十分な時間保持することにより同様の経過を経て脱塩素化することでジベンゾパラジオキシン、ビフェニルとして無害化することができる。
【0024】
上述したような有機塩素化合物の脱塩素化反応は、反応層を構成する導電性微粒子が燃焼、焼結せず、かつ導電性を失わない範囲の温度とするのが望ましく、さらに、前述した難揮発性のダイオキシンの沸点以上の温度が必要とされる場合もあることから、350〜450℃の範囲の温度とするのが望ましい。このため、本発明においては導電性微粒子に緩衝材として水酸化物を添加して反応層における導電性微粒子の密度を小さくすることで、反応層の温度を調整している。ただし、あまり導電性微粒子の密度が小さすぎると反応層を350〜450℃の温度とすることが困難となるばかりか、揮発した有機塩素化合物の気体と導電性微粒子との接触機会が減少し、さらには水酸化物の脱水効率が低下して脱塩素効率が低下するため、前述したとおり10〜70容量%、特に15〜40容量%とするのが好ましい。
【0025】
なお、これらの処理は有機塩素化合物を揮散させて回収することから土砂の空隙率と反応層の空隙率とを考慮する必要があり、具体的には反応層の体積をこれら揮敷する成分の体積膨張以上に確保する必要がある。また、土壌等中に水分が含まれていると水分の揮発により温度上昇が妨げられ、土壌等の温度上昇に時間がかかるので、土壌等中の水分はあらかじめ極力少なくしておくのが望ましい。
【0026】
そしてこのようにして土壌等中の有機塩素化合物を除去した後は、磁選分離などにより導電性微粒子を分離し、再利用すればよい。なお、水酸化物については前述したように脱水して酸化物となった後に鉄粉等と一体化するので一緒に磁選分離することが可能であるが、この酸化物は土壌等改良剤としても用いられるものもあるので、少量土壌等に混入しても問題ない。
【0027】
次に上述したような本発明の有機塩素化合物に汚染された土壌等の浄化方法を実施可能な土壌等浄化システムの一例について説明する。図1において、1は処理室たるステンレス製の反応容器であり、この反応容器1内には、搬送手段たる金属製のコンベア2が横設されていて、反応容器1の天面には、搬送コンベア2の上流側より汚染土壌等を供給する汚染土壌等投入口3と、導電性微粒子たる鉄粉と水酸化物たる水酸化鉄(III)とを供給する反応層生成手段たる反応剤投入口4とが形成されている。さらに、コンベア2の下流側には2個のマイクロ波照射手段たるマイクロ波照射装置5,5Aが配鴛されていて、これらマイクロ波照射装置5,5A間には吸引手段としての図示しないエアポンプに連通した吸引管6が取り付けられている。さらに反応容器1は、コンベア2の末端において下方に開口部7を有していて、処理後の土壌等を排出する構成となっている。また、8は開口部7に連続して設けられた土壌等回収手段たる選別装置であり、この選別装置8の下方は図示左側の土壌等排出口9と右側の鉄粉回収口10とに分岐していて、この分岐上で開口部7の下側には反時計周りに回動可能に設けられたドラム状の電磁石11と鉄粉回収口10上で前記ドラム状の電磁石11に摺接可能に配置されたスクレバー12とが設けられている。また、コンベア2の走行面2Aの下側には、土壌等を補助的に加熱・保温し、土壌等からの放熱を防止するためのバーナや電気ヒーターなどの熱源13が設置されている。
【0028】
上述したような本実施例のシステムにより前述した本発明の土壌等の浄化方法を効果的に実施することができる。すなわち、コンベア2が図中の矢印方向に駆動した状態でまず汚染土壌等投入口3から処理対象である有機塩素化合物に汚染された土壌等を投入し、続いて、反応剤投入口4から鉄粉と水酸化鉄(III)と、必要に応じて活性炭との混合粉を供給する。これにより汚染土壌等層と反応層とが連続的に形成されながらコンベア2上を移動する。なお、効率的に有機塩素化合物の脱塩素化を図るために、鉄粉と水酸化鉄(III)は予め均一に混練しておく。
【0029】
このとき、マイクロ波照射装置5,5Aからコンベア2に向けてマイクロ波Wを連続的にあるいはパルスとして照射する。すると、鉄粉に電流(電子)が流れジュール熱により素早く自己発熱し、次いで反応層の下側の土壌等が熱伝導とそれ自身のマイクロ波による誘電加熱により効率よく短時間で加熱される。これにより土壌等中に含まれている有機塩素化合物が揮散して気体となり上昇して反応層を通過する。このとき鉄粉との接触により電子の授受が生じ、有機塩素化合物は還元されて脱塩素化される。
【0030】
さらに、これと同時に、水酸化鉄(III)が鉄粉により熱せられて脱水し、酸化鉄を生成する。そして、このとき生じた水蒸気が加熱された鉄粉と反応して活性水素を生成し、この活性水素が有機塩素化合物の塩素と置換されることで有機塩素化合物は脱塩素化される。
【0031】
また、反応層の通過だけで有機塩素化合物の全てが完全に脱塩素化されない場合には吸引管6から反応容器1内の空気を吸引して有機塩素化合物を回収し、前述した二次反応器などにより別途処理する。なお、このような処理において、土壌等中に少量の導電性微粒子を混ぜておくことにより一層急速に土壌等の温度を上昇させることができる。また、土壌等の温度が下がると、脱塩素化の効率が著しく低下するので、コンベア2の走行面2Aの下側に設置したバーナや電気ヒーターなどの熱源13により土壌等を補助的に加熱・保温して、土壌等からの放熱を防止する。
【0032】
そして、コンベア2の長さ及び運転速度を土壌等の浄化処理に十分な時間が確保できるように設定しておくことにより、コンベア2の末端部では土壌等の浄化が完了して開口部7から選別装置8のドラム状の電磁石11上に落下する。そうすると、この電磁石11は、土壌等排出口8側に向けて反時計周りに回動しているので、鉄粉及びこれと一体化している酸化鉄は電磁石11に吸い付けられる一方、土壌等及び微量の酸化鉄は土壌等排出口8に落下して回収される。また、電磁石11に吸い付けられた鉄粉はスクレバー12に掻き落とされて鉄粉回収口10に落下することで回収され、再利用に供することができる。
【0033】
以上のように本実施例のシステムを採用することにより本発明の有機塩素化合物に汚染された土壌等の浄化方法を効果的に実施することができる。
【0034】
【実施例】
以下の具体的実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
【0035】
[実施例1]
底面が一辺18cmの六角形の平面で、高さが14.5cm、厚さ1.6mm、内容積4788cm2、フランジ厚3.2mmの鋼鉄製であって、底部外面に350W丸型シーズヒーターを備えた反応容器に、砂275g(136cm2)を均等に敷き詰めた。つぎに、アセトンにて希釈した1―2−4トリクロロベンゼン(TCB、bp213℃)0.5ml(730mg)(4.023μmol)をピペットにて一面均等に滴下し、その上に砂275g(136cm2)を均等に敷き詰めて試料層とした(合計372cm3)。
【0036】
この試料層上に鉄粉129g(45w%)と水酸化鉄(FeOOH)158gとをよく混合(合計287g(485cm2))したものを試料層上に均一な厚さに載置して反応層とした。なお、試料層の温度を400℃とすると気体の体積膨張は室温を基準に673K/293K=2.3倍となるので、反応層の体積は試料層の体積372cm3の1.3倍である485cm2とした。
【0037】
反応容器に厚さ3.2mmの鋼鉄製であって、吸引プラグと熱電対差込みプラグを備えた反応容器蓋を取り付けるとともに、電子レンジのマイクロ波出口を覆うように反応容器を電子レンジ(2.45GHz、500W)内の上面にボルトで固定し、反応容器内を常圧で水が漏れない程度の気密性を保つように構成した。そして、電子レンジを電磁波漏洩防止箱に入れてアースを繋ぐとともに、反応層に石英ガラス保護管付きの直径2.3mmのステンレス製の熱電対を設置した。また、反応容器内において、反応容器蓋の吸引プラグに粒状活性炭3gを充填した内径2cm、高さ2.5cmのアルミナレンガ製の二次反応器を接続し、反応容器外において、この吸引プラグにアセトン450mlの入った洗気ビン(500ml三角フラスコ)をチューブで繋ぎ、さらにこの洗気ビンをチューブでアスピレーターに接続した。
【0038】
アスピレーターで反応容器内を吸引しながら電子レンジに通電し、50℃ずつ徐々に反応層の温度を上昇させ、反応層の温度が380℃に到達したところで反応容器の外底部に設置したシーズヒーターを断続的に通電して反応容器からの放熱を防止するように保温した。反応層の温度を380℃で30分間維持しながらマイクロ波を照射して処理を行った。処理後の反応層の色はベンガラ色であった。また、洗気ビンのアセトンが50ml飛散していた。このときの処理条件を表1に示す。
【0039】
処理後、反応層を磁石にて反応容器より取り出し、よく混合して重量の10分の1を採取してアセトン158g(200ml)にて溶解してGC分析を行った。また、試料層を反応容器から取り出し、よく混合して重量の10分の1を採取してアセトン158g(200ml)にて溶解してGC分析を行った。さらに、反応容器と反応容器蓋をアセトン158g(200ml)で洗い、二次反応器と粒状活性炭を別のアセトン158g(200ml)で洗ってそれぞれGC分析を行った。また、チューブをアセトンで洗って洗気ビン内のアセトンと一緒にGC分析した。分析結果を表2に示す。
【0040】
[実施例2]
上記実施例1と同じ反応容器に、上記実施例1と同様に試料層と反応層を形成した。そして、上記実施例1と同様に反応容器を電子レンジに設置し、電子レンジを電磁波漏洩防止箱に入れてアースを繋ぐとともに、反応層に熱電対を設置した。
【0041】
反応容器内において、吸引プラグには二次反応容器を取り付けず、反応容器外において、この吸引プラグにアセトン443mlの入った氷冷した洗気ビン(500ml三角フラスコ)をチューブで繋ぎ、さらにこの洗気ビンをチューブでアスピレーターに接続した。
【0042】
アスピレーターで反応容器内を吸引しながら電子レンジに通電し、50℃ずつ徐々に反応層の温度を上昇させ、反応層の温度が425℃に到達したところで反応容器の外底部に設置したシーズヒーターを断続的に通電して反応容器からの放熱を防止するように保温した。反応層の温度を425℃で30分間維持しながらマイクロ波を照射して処理を行った。処理後の反応層の色は70v%程度、黒色に変色しており、酸化鉄(Fe3O4)の生成が確認された。また、氷冷した洗気ビン内の液体が7.6g増量した。このときの処理条件を表1に示す。
【0043】
処理後、上記実施例1と同様に分析を行った。分析結果を表2に示す。
【0044】
[実施例3]
上記実施例1と同じ反応容器に、砂275g(136cm2)を均等に敷き詰めた。つぎに、アセトンにて希釈した1―2−4トリクロロベンゼン(TCB)0.2ml(292mg)(1.609μmol)をピペットにて一面均等に滴下し、その上に砂275g(136cm2)を均等に敷き詰めて試料層とした。
【0045】
この試料層上に鉄粉334g(73w%)と水酸化鉄(FeOOH)90g(20w%)と天然沸石粉33gをよく混合(合計457g(485cm2))したものを試料層上に均一な厚さに載置して反応層とした。
【0046】
そして、上記実施例1と同様に反応容器を電子レンジに設置し、電子レンジを電磁波漏洩防止箱に入れてアースを繋ぐとともに、反応層に熱電対を設置した。また、反応容器内において、吸引プラグに二次反応容器を取り付け、反応容器外において、この吸引プラグにアセトン400mlの入った洗気ビン(500ml三角フラスコ)をチューブで繋ぎ、さらにこの洗気ビンをチューブでアスピレーターに接続した。
【0047】
アスピレーターで反応容器内を吸引しながら電子レンジに通電し、50℃ずつ徐々に反応層の温度を上昇させ、反応層の温度が350℃に到達したところで反応容器の外底部に設置したシーズヒーターを断続的に通電して反応容器からの放熱を防止するように保温した。反応層の温度を350℃で30分間維持しながらマイクロ波を照射して処理を行った。処理後、二次反応器内の活性炭が燃焼によって2.5gに減少した。このときの処理条件を表1に示す。
【0048】
処理後、上記実施例1と同様に分析を行った。分析結果を表2に示す。
【0049】
[比較例1]
上記実施例1と同じた反応容器に、上記実施例1と同様に試料層を形成した。この試料層上に鉄粉162g(47.5w%)と酸化鉄(Fe2O3)179gとをよく混合(合計341g(485cm2))したものを試料層上に均一な厚さに載置して反応層とした。
【0050】
そして、上記実施例1と同様に反応容器を電子レンジに設置し、電子レンジを電磁波漏洩防止箱に入れてアースを繋ぐとともに、反応層に熱電対を設置した。また、反応容器内において、吸引プラグに二次反応容器を取り付け、反応容器外において、この吸引プラグにアセトン450mlの入った洗気ビン(500ml三角フラスコ)をチューブで繋ぎ、さらにこの洗気ビンをチューブでアスピレーターに接続した。
【0051】
アスピレーターで反応容器内を吸引しながら電子レンジに通電し、50℃ずつ徐々に反応層の温度を上昇させ、反応層の温度が400℃に到達したところで反応容器の外底部に設置したシーズヒーターを断続的に通電して反応容器からの放熱を防止するように保温した。反応層の温度を400℃で30分間維持しながらマイクロ波を照射して処理を行った。処理後、反応層はベンガラ色で変化はなかった。このときの処理条件を表1に示す。
【0052】
処理後、上記実施例1と同様に分析を行った。分析結果を表2に示す。
【0053】
[比較例2]
上記実施例1と同じ反応容器に、砂275g(136cm2)を均等に敷き詰めた。つぎに、アセトンにて希釈した1―2−4トリクロロベンゼン(TCB)0.2ml(292mg)(1.609μmol)をピペットにて一面均等に滴下し、その上に砂275g(136cm2)を均等に敷き詰めて試料層とした。
【0054】
この試料層上に鉄粉322g(58w%)と天然沸石粉231gをよく混合(合計553g(485cm2))したものを試料層上に均一な厚さに載置して反応層とした。
【0055】
そして、上記実施例1と同様に反応容器を電子レンジに設置し、電子レンジを電磁波漏洩防止箱に入れてアースを繋ぐとともに、反応層に熱電対を設置した。また、反応容器内において、吸引プラグに二次反応容器を取り付け、反応容器外において、この吸引プラグにアセトン400mlの入った洗気ビン(500ml三角フラスコ)をチューブで繋ぎ、さらにこの洗気ビンをチューブでアスピレーターに接続した。
【0056】
アスピレーターで反応容器内を吸引しながら電子レンジに通電し、50℃ずつ徐々に反応層の温度を上昇させ、反応層の温度が350℃に到達したところで反応容器の外底部に設置したシーズヒーターを断続的に通電して反応容器からの放熱を防止するように保温した。反応層の温度を350℃で30分間維持しながらマイクロ波を照射して処理を行った。処理後、反応層の変色は見られなかった。このときの処理条件を表1に示す。
【0057】
処理後、上記実施例1と同様に分析を行った。分析結果を表2に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
[まとめ]
実施例1〜実施例3、比較例1,2から明らかなように、試料層からTCBが揮散し、マイクロ波の照射によって電流が流れ高温になっている反応層により還元、脱塩素化されてベンゼンになるが、反応層に水酸化物としての水酸化鉄を入れた場合にベンゼンの生成率が著しく高くなることが認められた。
【0060】
また、実施例1、2の比較から、二次反応容器を設けることによって一層脱塩素化が効率的に行われることが確認された。
【0061】
なお、前述した実験例では電子レンジによりマイクロ波の照射を行なっているが、マイクロ波の照射においては加熱ムラが生じやすく、これにより除去率の低下を招きやすい(試料層への有機塩素化合物の残存率が0%とならない)。しかしながら、電磁波拡散装置を採用しコンベアにより移送することでその照射にムラがないようにすることで、試料層への有機塩素化合物の残存率を0%に近づけることができる。
【0062】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載の有機塩素化合物に汚染された土壌等の浄化方法は、有機塩素化合物が混入した汚染土壌等上に導電性微粒子と水酸化物とを混練した反応層を形成し、マイクロ波を照射して前記反応層を誘電加熱するとともに前記土壌等を加熱して有機塩素化合物を揮散させ、この揮散した有機塩素化合物を前記反応層において還元する方法であるので、有機塩素化合物を効率よく除去することができる。
【0063】
また、請求項2記載の有機塩素化合物に汚染された土壌等の浄化方法は、前記請求項1において、前記水酸化物が水酸化鉄であり、処理しやすい温度である250〜350℃で結晶水を放出するので、効率よく有機塩素化合物を除去することができる。
【0064】
また、請求項3記載の有機塩素化合物に汚染された土壌等の浄化方法は、前記請求項1又は2において、前記導電性微粒子が鉄粉であり、鉄粉は安価、無害で強磁性であるので、効率よく土壌等を加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による機塩素化合物に汚染された土壌等の浄化システムを示す概略図である。
Claims (3)
- 有機塩素化合物が混入した汚染土壌等上に導電性微粒子と水酸化物とを混練した反応層を形成し、マイクロ波を照射して前記反応層を誘電加熱するとともに前記土壌等を加熱して有機塩素化合物を揮散させ、この揮散した有機塩素化合物を前記反応層において還元することを特徴とする有機塩素化合物に汚染された土壌等の浄化方法。
- 前記水酸化物が水酸化鉄であることを特徴とする請求項1記載の有機塩素化合物に汚染された土壌等の浄化方法。
- 前記導電性微粒子が鉄粉であることを特徴とする請求項1又は2記載の有機塩素化合物に汚染された土壌等の浄化方法。
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