JP2010069391A - 汚染土壌の浄化方法および浄化装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】省エネルギーを考慮した汚染物質の種類によらない統一的な汚染土壌の浄化方法および浄化装置を提供すること、併せて、環境負荷の少ない汚染土壌の浄化方法および浄化装置を提供すること。
【解決手段】有毒な物質により汚染された汚染土壌に、マグネタイトを混ぜ、マイクロ波を照射すると、マイクロ波に選択的に反応するマグネタイトが効率的に昇温され周囲の汚染土壌を昇温し、汚染土壌中の揮発性有機物質が気化されて汚染土壌から放出され、さらに昇温された汚染土壌の重金属がマグネタイトに包摂されてマグネタイトに固定され取り込まれる。気化した揮発性有機物質およびマグネタイトに包摂された重金属はそれぞれ汚染土壌から容易に分離することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ベンゼンなどの有機ハロゲン化合物およびシアン化合物を分離除去するとともに、六価クロム、水銀、砒素、鉛、カドミウムまたはセレン等の有害重金属、あるいはフッ素、ホウ素等の有害金属(以下、これらを総称して「重金属」という)で汚染された土壌からの重金属を分離除去する汚染土壌の浄化方法および浄化装置に関する。
近年、環境に対する関心が高まり法的整備が行なわれ産業活動も環境への配慮が求められるようになった。しかしながら、過去において環境への十分な配慮なしに行われた産業活動の結果、当該産業の跡地には、しばしば、人体に有害な物質で汚染された土壌が残されていることがある。例えば、都市ガス工場跡地では、石炭を原料として都市ガスの製造を行った際、石炭に含有されていた有害物質、製造工程で生成されたものが石炭炉のあった場所に蓄積されたりして、土壌が汚染されていることが多い。具体的な汚染物質としては、ベンゼン、シアン化合物、ひ素、鉛、水銀、六価クロム、カドミウムなどが想定される。このように汚染物質を含む土壌で覆われた工場跡地などを再開発するにあたっては、汚染された土壌のままでは新規事業用途への土地再開発ができないので、汚染土壌の対策が必要になる。
これら汚染物質には、人の健康を保護し、生活環境を保全する上で維持されることが望ましいとされる環境基準が設けられており、土壌1kgあたりの含有量基準でいえば、カドミウム、鉛、砒素は150mg以下、六価クロムは250mg以下、水銀は15mg以下、フッ素およびほう素は4000mg以下である。また、ダイオキシン類は、土壌1gに対し、1000pg−TEQ(毒性等価量)以下である。
このように産業廃液などにより汚染された土壌から汚染物質を分解除去する方法として、先ず、熱による方法がある。例えば特許文献1に示すように、掘り出された汚染土壌を予備乾燥した後、800〜1000℃ の温度で加熱して有害物質を気相に移行させ、当該有害物質を含んだ排ガスをサイクロンで粉塵を除去し、こうして粉塵が除去された排ガスを二次燃焼させるという土壌処理方法が記載されている。
また、特許文献2には、揮発性有機物質を含む土壌にキャリアー空気を供給しつつ当該土壌を間接加熱方式で加熱し、加熱する温度をその揮発物質の沸点を超える温度にすることが記載され、上記沸点+50℃以内が望ましいと記載されている。また、特許文献3では、汚染物質を採掘し、篩い分けし、油汚染された土壌では回転式加熱炉にて250℃以上の温度で5分加熱する方法が、シアン化合物では300℃以上の温度で5分以上加熱する方法が提案されている。これは全て、熱源としてガス、油などの燃焼または電気ヒータを用いることとなるが、エネルギーの多用は炭酸ガスの発生につながるため環境対策の観点から好ましくない。これに対し、熱源になるとともに、対象物質に対して選択的に作用するマイクロ波をアプリケータを被せた汚染土壌に照射して汚染土壌を昇温して汚染土壌の無害化を図ることが特許文献4に記載されている。
また、浄化剤を用いた例として、特許文献5には、金属鉄− マグネタイト混合粒子による有機ハロゲン化合物の分解処理が紹介されている。これは、発明者によれば、金属鉄−マグネタイト混合粒子中の金属鉄粒子が、金属鉄粒子と水との反応によって活性水素を生成させ、生成した活性水素によって近傍にあるマグネタイト粒子表面を還元して、活性化し、生成した活性水素の一部は、金属鉄粒子表面に吸着した有機ハロゲン化合物を水素化脱ハロゲンして無害化する一方、活性化したマグネタイト粒子は粒子表面に吸着した有機ハロゲン化合物に対し水素化脱ハロゲン反応を進行させ無害化するものと説明されている。
上記の汚染土壌対策は、いずれも、有機化合物に対しては有効であるが、土壌汚染対策法施行規則で第二種特定有害物質に分類される、カドミウム、水銀、鉛、六価クロムなどの重金属の対策には上記とは異なる方法が提案されている。例えば、特許文献6には、ポルトランドセメント、高炉スラグ、石膏を含むセメント系処理剤を混合・攪拌することで、汚染土壌を固化不溶化することが開示されている。
特開平4−501738号公報 特開平8−33882号公報 特開平2000−263031号公報 国際公開WO2003/074204号公報 特開2007−296408号公報 特開2007−222694号公報
上記に説明した従来の汚染土壌対策は、汚染物質に応じて対応が取られていてそれぞれ最適化されているが統一的な方法が存在しないことが分かる。また熱を用いる方法では、炭酸ガスの発生を抑えるという環境への配慮も必要であり、省エネ化を図ることも求められる。さらに、汚染土壌を処分場へ移動しての処分は、汚染土壌の移動に伴う費用が掛かるとともに汚染物質の所在地を変更するだけのメリーゴーランド現象を招くおそれもあるので、汚染土壌のある現場での処分が望ましい。
上記課題を解決するべく、本発明は省エネルギーを考慮した汚染物質の種類によらない統一的な汚染土壌の浄化方法および浄化装置を提供すること、併せて、環境負荷の少ない汚染土壌の浄化方法および浄化装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、発明者は鋭意研究を重ねた結果、省エネルギーの観点から熱源としてマイクロ波の優位性に着目し、マイクロ波に強く反応して昇温するマグネタイトを汚染土壌に混ぜて、マイクロ波を照射することが大変有効なことを見出した。さらに、マグネタイトに水素を反応させて得た酸素欠陥マグネタイトと炭酸ガスを反応させてマグネタイトの表面に炭素を析出させた炭素付着活性化マグネタイトが、マイクロ波の照射と組み合わせることで熱源としても、還元剤としても大変有効なことを見出した。
以下に、本発明の内容を説明する。
請求項1に記載された発明は、有毒な物質により汚染された汚染土壌に、マグネタイトを混ぜ、マイクロ波を照射することを特徴とする汚染土壌の浄化方法である。マグネタイトはマイクロ波を有効に吸収して発熱し周囲の汚染土壌の温度を上昇させる。
請求項2に記載された発明は、前記マグネタイトが、マグネタイトの表面に炭素の付着した炭素付着マグネタイトであることを特徴とする請求項1に記載の汚染土壌の浄化方法である。マイクロ波を吸収することで温度の上昇した炭素は常温時にくらべさらに活性化して汚染物質を還元するとともに自らも酸化燃焼して周囲の温度を更に上昇させる。
請求項3に記載された発明は、前記炭素付着マグネタイトが、マグネタイトに水素を反応させて得た酸素欠陥マグネタイトに、さらに炭酸ガスを反応させてマグネタイトの表面に炭素を生成した炭素付着活性化マグネタイトであることを特徴とする請求項2に記載の汚染土壌の浄化方法である。酸素欠陥マグネタイトの表面で還元された炭酸ガスから生成される活性度の高い炭素は周辺の重金属などと化合物を生成する。
請求項4に記載された発明は、前記汚染土壌が攪拌されながらマイクロ波を照射されることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項に記載の汚染土壌の浄化方法である。汚染土壌中に分散したマイクロ波を照射されて昇温しているマグネタイトは汚染土壌とともに攪拌されることで満遍なく汚染土壌に接触して汚染物質を包摂する。
請求項5に記載された発明は、マイクロ波の照射により温度が上昇する汚染土壌の処理温度が、揮発性有機物が気化する温度帯と、重金属がマグネタイトに包摂される温度帯とに分けられて汚染土壌が処理されることを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項に記載の汚染土壌の浄化方法である。主に、揮発性有機物質と重金属で汚染された土壌は、まず、マイクロ波の照射により揮発性有機物が気化する温度帯に保たれて揮発性有機物が気化されて回収され、さらに、その後の汚染土壌へのマイクロ波照射により汚染土壌はさらに昇温されてマグネタイトに重金属が包摂される温度帯で重金属が処理される。
請求項6に記載された発明は、重金属を包摂したマグネタイトを磁気的に分離回収することを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項に記載の汚染土壌の浄化方法である。重金属を包摂したマグネタイトは磁場に反応するので容易に磁気的に分離されて回収される。
請求項7に記載された発明は、請求項1乃至6いずれか1項に記載の汚染土壌の浄化方法を用いる汚染土壌の浄化装置である。請求項1乃至6に記載の汚染土壌の浄化方法は比較的小型の装置として稼動させることが可能であり、汚染土壌を他所へ移動させずに、その場所に浄化装置を設けて汚染土壌の浄化を行うことができる。
請求項1に記載された発明によれば、有毒な物質により汚染された汚染土壌に、マグネタイトを混ぜ、マイクロ波を照射するので、マイクロ波に選択的に反応するマグネタイトが効率的に昇温され周囲の汚染土壌を昇温し、汚染土壌中の揮発性有機物質が気化されて汚染土壌から放出され、さらに昇温された汚染土壌の重金属がマグネタイトに包摂されてマグネタイトに固定され取り込まれる。気化した揮発性有機物質およびマグネタイトに包摂された重金属はそれぞれ汚染土壌から容易に分離することができるので、請求項1に記載された発明によって、安価で熱効率の高い環境負荷の少ない汚染土壌の浄化方法を提供することができる。
請求項2に記載された発明によれば、前記マグネタイトが、マグネタイトの表面に炭素の付着した炭素付着マグネタイトであるので、マグネタイトおよび炭素がマイクロ波を吸収して昇温するとともに炭素は自らも酸化燃焼して周囲の温度を更に上昇させることで汚染土壌の昇温が効率的に行われる。また温度の上昇した炭素は常温時にくらべ活性化して汚染物質を還元するとともにマグネタイトへの汚染物質の包摂をより効率的に行う。したがって、汚染土壌中の揮発性有機物質の気化による汚染土壌からの放出と、さらに昇温された汚染土壌の重金属がマグネタイトに包摂されてマグネタイトに固定される取り込みがより効率的に行なわれる。気化した揮発性有機物質およびマグネタイトに包摂された重金属はそれぞれ汚染土壌から容易に分離することができるので、請求項2に記載された発明によって、安価で熱効率の高い環境負荷の少ない汚染土壌の浄化方法を提供することができる。
請求項3に記載された発明によれば、前記炭素付着マグネタイトが、マグネタイトに水素を反応させて得た酸素欠陥マグネタイトに、さらに炭酸ガスを反応させて、マグネタイトの表面に炭素を生成した炭素付着活性化マグネタイトであるので、活性度の高いマグネタイトに付着した炭素は周辺の重金属などと容易に化合物を生成してマグネタイトに重金属を固定する。マグネタイトに固定された重金属は汚染土壌から容易に分離することができるので、請求項3に記載された発明によって、安価で熱効率の高い環境負荷の少ない汚染土壌の浄化方法を提供することができる。
請求項4に記載された発明によれば、前記汚染土壌が攪拌されながらマイクロ波を照射されるので、汚染土壌中に分散したマグネタイトは汚染土壌とともに攪拌されることで満遍なく汚染土壌にへの接触が促進され、昇温している汚染物質を効果的に包摂する。マグネタイトに固定された重金属は汚染土壌から容易に分離することができるので、請求項4に記載された発明によって、安価で熱効率の高い環境負荷の少ない汚染土壌の浄化方法を提供することができる。
請求項5に記載された発明によれば、マイクロ波の照射に伴う汚染土壌の上昇温度が、揮発性有機物が気化する温度帯と、重金属がマグネタイトに包摂される温度帯とに分けられて処理されるので、揮発性有機物質と重金属で汚染された土壌は、まず、揮発性有機物が気化する温度帯に保たれて揮発性有機物が気化されて回収され、その後の汚染土壌へのマイクロ波照射により汚染土壌はさらに昇温されて、マグネタイトに重金属が包摂される温度帯で重金属が処理されることとなり、請求項5に記載された発明によって、安価で熱効率の高い環境負荷の少ない汚染土壌の浄化方法を提供することができる。
請求項6に記載された発明によれば、重金属を包摂したマグネタイトを磁気的に分離回収するので、磁場に反応するマグネタイトに包摂された重金属がマグネタイトともに容易に磁気的に分離されて回収され、重金属を資源として再利用することで経済性を高めることもできることから、請求項6に記載された発明によって、経済性の高い熱効率の高い環境負荷の少ない汚染土壌の浄化方法を提供することができる。
請求項7に記載された発明によれば、請求項1乃至6いずれか1項に記載の汚染土壌の浄化方法を用いる汚染土壌の浄化装置であるので、前記の汚染土壌の浄化方法の原理が簡単であることから、請求項7に記載された発明によって、比較的小型の土壌浄化装置として稼動させることが可能であり、汚染土壌を他所へ移動させずに、その場所に浄化装置を設けて汚染土壌の浄化を行うことができるという大きな効果を奏する。
本発明の汚染土壌の浄化方法は、図1の原理図に示すように、有毒な物質により汚染された汚染土壌に、マグネタイトを混ぜ、マイクロ波を照射することが特徴である。マイクロ波による加熱は、過熱時間が短い、均一な加熱が可能である、熱効率が高い、加熱時の温度制御が容易などの特徴がある。マイクロ波の周波数は問わないが、マイクロ波源として入手しやすいマグネトロンを使い、周波数2.45GHZ付近が好ましい。このマイクロ波加熱の特徴を最大限に引き出すには、マイクロ波に選択的に反応するマグネタイトを汚染土壌中に混ぜ込んで充分に分散させて、マイクロ波照射を行なうことが好ましい。汚染土壌中に分散したマグネタイトは、照射されたマイクロ波に選択的に反応して温度が上昇する。周囲の土壌も土壌中の水分がマイクロ波に反応して温度が上昇するが、マグネタイトは効率的に昇温するのでマグネタイトの周辺は特に温度上昇が大きくなる。マグネタイトが周囲環境と反応するためには比表面積を大きくすることが好ましいのでマグネタイトの粒径は小さいことが好ましい。具体的には、0.5μm〜1.1μmが好ましい。比表面積を増やすには中空形状のマグネタイトを用いることもできる。中空形状のマグネタイトは、加水分解性鉄塩の水溶液中にコアとなる、粒子径が0.01〜140μmの球状重合体を分散せしめ、加水分解反応により該球状重合体粒子上に酸化鉄層をもうけ、球状重合体−酸化鉄複合粒子を得、さらに、上記球状重合体−酸化 鉄複合粒子を水素雰囲気下、例えば150℃以上、好ましくは250℃以上、または空気中、例えば150℃以上、好ましくは300℃以上で処理しさらに必要 に応じ還元し、部分的に還元することにより、球状マグネタイト中空粒子を得ることができる。また、コアとなる粒子径が0.01〜140μm の不飽和芳香族類、ビニルエステル類などからなる球状重合体粒子とシェルとなる粒子径がその1/5以下である酸化鉄粒子を気流中で高速攪拌することにより球状重合体−酸化鉄複合粒子を得、次いで上記と 同様の熱処理操作によりマグネタイト中空粒子を得る。上記で得られたマグネタイト中空粒子の粒子径は0.01〜150μm であり、粒子径に対する内部空孔径の比は0.3〜0.95である。
また、マグネタイトを無機系多孔質粒子の表面に付着したものも反応性が高いので好ましい。表面にマグネタイトを付着した無機系多孔質粒子を得るには、鉄塩溶液中に無機系多孔質粒子を浸漬する浸漬工程と、前記浸漬工程を経た後、無機系多孔質粒子を焼成する焼成工程を用いる。
上記いずれのマグネタイトであっても、また、他の形態のマグネタイトであっても、汚染土壌中のマグネタイトはマイクロ波を照射されると、マグネタイトがマイクロ波に選択的に反応するので、マグネタイトが効率的に昇温され周囲の汚染土壌を昇温し、汚染土壌中の揮発性有機物質が気化されて汚染土壌から放出され、さらに昇温された汚染土壌の重金属がマグネタイトに包摂されてマグネタイトに固定され取り込まれる。気化した揮発性有機物質およびマグネタイトに包摂された重金属はそれぞれ汚染土壌から容易に分離することができることから、請求項1に記載された発明によって、安価で熱効率の高い環境負荷の少ない汚染土壌の浄化方法を提供することができる。
本発明の汚染土壌の浄化方法においては、前記マグネタイトがマグネタイトの表面に炭素の付着した炭素付着マグネタイトであることが好ましい。マグネタイトの表面に炭素を付着させるには炭素粉末とマグネタイト粉末を攪拌する物理的な方法とマグネタイトの表面に炭素化合物を付着させてから炭素化合物を還元処理するという化学的な方法でもよい。
マグネタイトの空孔内を含む表面に炭素が付着した炭素付着マグネタイトにおいては、マグネタイトおよび炭素がマイクロ波を吸収して昇温するとともに炭素は自らも酸化燃焼して周囲の温度を更に上昇させることで汚染土壌の昇温が効率的に行われる。また温度の上昇した炭素は常温時にくらべ活性化して汚染物質を還元するとともにマグネタイトへの汚染物質の包摂をより効率的に行う。したがって、汚染土壌中の揮発性有機物質の気化による汚染土壌からの放出と、さらに昇温された汚染土壌の重金属がマグネタイトに包摂されてマグネタイトに固定される取り込みがより効率的に行なわれる。気化した揮発性有機物質およびマグネタイトに包摂された重金属はそれぞれ汚染土壌から容易に分離することができるので、請求項2に記載された発明によって、安価で熱効率の高い環境負荷の少ない汚染土壌の浄化方法を提供することができる。
本発明の汚染土壌の浄化方法においては、前記炭素付着マグネタイトが、マグネタイトに水素を反応させて得た酸素欠陥マグネタイトに炭酸ガスを反応させて、マグネタイトの表面に炭素を生成した炭素付着活性化マグネタイトであることが好ましい。炭素付着活性化マグネタイトは、以下の方法で得られる。先ず、湿式法により合成したマグネタイト(1〜5g:粒径100〜200nm)を反応セル内に入れ、水素ガスを1〜4時間、280〜300℃で通じると、反応セル内にマグネタイト中の格子酸素が水となって除去されて活性化する。マグネタイトは結晶学的に、スピネル型構造を有し、酸素が立方最密充填しており、その隙間(Asite,Bsite)に、Fe2+ ,Fe3+ が1:2の割合で詰まっているこのマグネタイトは300℃付近で水素ガスを通じることによって、スピネル構造中の酸素イオンが抜けてFe3 O4- δで示される酸素欠陥マグネタイトに代わるものと推定される。その後、350℃でCO2 と反応させ、表面にCを生成させることにより炭素付着活性化マグネタイトを得られる。
マグネタイトに付着した活性度の高い炭素は周辺の重金属などと容易に化合物を生成してマグネタイトに重金属を固定する。マグネタイトに固定された重金属は汚染土壌から容易に分離することができるので、本発明によって、安価で熱効率の高い環境負荷の少ない汚染土壌の浄化方法を提供することができる。
本発明の汚染土壌の浄化方法においては、前記汚染土壌が攪拌されながらマイクロ波を照射されることが好ましい。攪拌とマイクロ波照射を時間を分けてバッチ処理することもできるが、作業の効率を考えると、前記汚染土壌が攪拌されながらマイクロ波を照射されることが好ましい。汚染土壌中に分散したマグネタイトは汚染土壌とともに攪拌されることで満遍なく汚染土壌にへの接触が促進され、昇温している汚染物質を効果的に包摂する。マグネタイトに固定された重金属は汚染土壌から容易に分離することができるので、本発明によって、安価で熱効率の高い環境負荷の少ない効率的な汚染土壌の浄化方法を提供することができる。
本発明の汚染土壌の浄化方法においては、マイクロ波の照射に伴う汚染土壌の上昇温度が、揮発性有機物が気化する温度帯と、重金属がマグネタイトに包摂される温度帯とに分けられて処理されることが好ましい。図2に模式的に示すように、汚染土壌の入った各キルンをそれぞれのマイクロ波源により供給されるマイクロ波を照射して温度の上昇を図る。汚染土壌をキルンで揮発性有機物質と重金属で汚染された土壌は、まず、揮発性有機物が気化する温度帯、具体的には80度C〜100度C程度に保たれて揮発性有機物が気化されて回収され、その後の汚染土壌へのマイクロ波照射により汚染土壌はさらに昇温されて、温度600度C〜700度Cで、鉛、カドミウム、砒素などの低融点金属がマグネタイトに包摂され、温度900度C〜1300度Cでニッケル、マンガンなどがの重金属がマグネタイトに包摂されて処理され、マグネタイトに包摂された重金属は容易に汚染土壌から分離されることとなり、本発明によって、安価で熱効率の高い環境負荷の少ない汚染土壌の浄化方法を提供することができる。
本発明の汚染土壌の浄化方法においては、重金属を包摂したマグネタイトを磁気的に分離回収することが好ましい。図3にイメージ図で示すように、マグネタイトに包摂された重金属は磁場に反応するマグネタイトとともに磁石を用いて容易に磁気的に分離されて回収され、重金属を資源として再利用することで経済性を高めることもできることから、本発明によって、経済性の高い熱効率の高い環境負荷の少ない汚染土壌の浄化方法を提供することができる。
本発明の汚染土壌の浄化装置には、上記の汚染土壌浄化方法を用いることが好ましい。前記の汚染土壌浄化方法の原理が簡単であることから、本発明の汚染土壌の浄化装置は、比較的小型の土壌浄化装置として稼動させることが可能であり、汚染土壌を他所へ移動させずに、その場所に浄化装置を設けて汚染土壌の浄化を行うことができるという大きな効果を奏する。
本発明を適用した汚染土壌の浄化装置について図4を用いて説明する。汚染土壌の分布する場所を作業がしやすい適当な大きさに区切り、予め調査した土壌が汚染されている深さまで掘り進めて、堀上げられた汚染土壌を、ベルトコンベアー(5)で、汚染土壌処理装置のホッパー(6)まで移動させる。ホッパーから円筒状ドラム(12)の内部に攪拌用の回転するスクリュー(9)を備えたマイクロ波により昇温されるキルン内で、先ず、マグネタイト粒子を水に分散させたスラリーを汚染土壌に対してマグネタイトが1〜3重両%程度になるようにドラム中の汚染土壌に加える。回転するスクリューで十分攪拌されて、汚染土壌中にマグネタイトがほぼ均一に分布した状態でマイクロ波を照射する。スクリューの回転で移動しながら汚染土壌はマイクロ波を照射された温度が上昇する。
ここで、マイクロ波による土壌の昇温について検討すると、マイクロ波が地盤中の1立方メートル(106cm3)の土を分解反応が開始される最低温度である80℃以上の温度域にさせるのに要する熱量、電力及び所要時間等の理論的数値は次のとおりである。
(1)土質:砂質土、含水比:30%、湿潤密度:1.70g/cm3
(2)土の熱容量:1.80J/K・g
(砂、水の熱容量が夫々0.8J/K・g、4.2J/K・gから推定)
温度勾配:0(地盤温度15℃と仮定)、熱効率100%(無放熱)
(1)、(2)の条件のもとに
1.80J/K・g×1.70g/cm3×106cm3=3.06×106J/K
3.06×106J/K×(80−15)℃(K)=19.89×107
1Wを1秒間投入したものが1Jであるから、19.89×107Jを与えるには、
100kw=100.0×103 Wのマイクロ波が砂に100%吸収されるとすれば
19.89×107J÷100.0×103 W/秒=33分となる。
攪拌と、昇温に必要な時間の関係、すなわち土壌の移動速度の関係を満たすために、スクリューは、その速度を調節し必要に応じて逆回転させることもある。
開口1(11A)からマイクロ波を照射されて、汚染土壌の温度は、80度C〜100度Cに昇温され、汚染土壌中の揮発性有機物質が気化して、ガス吸着槽へ導かれる。ガス吸着槽には石炭灰、セメント又は石灰、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化コバルト、塩化第二鉄等の無機塩類で構成された無機系吸着剤が使用される。
揮発性有機化合物が十分気化した汚染土壌は、開口2(11B)からさらにマイクロ波を照射されてその温度が温度600度C〜700度Cまで昇温し、この温度帯で、鉛・カドミウム・砒素などの低融点金属がマグネタイトに包摂され、さらに、開口3(11C)からのマイクロ波を照射されて温度900度C〜1300度Cまで昇温した汚染土壌中では、マグネタイトにニッケル、マンガンなどの高融点の金属が包摂される。
マグネタイトに包摂された重金属は、キルンから外へ出て、磁気分離装置(15)へ入る。磁気分離装置では、キルンから出てきたマグネタイトに包摂された重金属を含む土壌に強力な磁界を与え、磁気に反応するマグネタイトを土壌から分離選別する。分離選別されたマグネタイトに包摂された重金属は重金属貯留槽(16)に蓄えられ、トラックなどで、場外の重金属回収施設へ送られ、そこで、重金属が回収される。
本発明による処理方法においては、熱消費量がストーカー型溶融炉に比較して、1/20〜1/100以下であるので、省エネ、および環境対策としても好ましいことが分かる。また、薬剤を注入する方法に比べマグネタイトは磁気的にほぼ完全に回収されるので、残留薬剤による2次汚染などの環境負荷も少ない。
本発明は、汚染土壌を他所へ移動させることなく、オンサイトで処理することが可能な方法及び装置であるので十分な産業上の利用可能性を有する。
マグネタイトが分散している汚染土壌へのマイクロ波の照射の様子を示すイメージ図である。 汚染物質に応じて処理温度帯を分けた汚染土壌の処理の様子を示す図である。 マグネタイトを用いた汚染物質の磁気分離のイメージ図である。 本発明を適用した汚染土壌の処理装置の構成図である。
符号の説明
1A〜1C キルン1〜キルン3
2A〜2C マイクロ波源
3 磁石
4 汚染土壌
5 ベルトコンベア
6 ホッパー
7 スラリー槽
8 スクリュー駆動用モータ
9 スクリュー
10 マイクロ波源
11A〜11C 開口1〜開口3
12 ドラム
13 ガス吸着槽
14 ガス貯留槽
15 磁気分離装置
16 重金属貯留槽

Claims (7)

  1. 有毒な物質により汚染された汚染土壌に、マグネタイトを混ぜ、マイクロ波を照射することを特徴とする汚染土壌の浄化方法。
  2. 前記マグネタイトが、マグネタイトの表面に炭素の付着した炭素付着マグネタイトであることを特徴とする請求項1に記載の汚染土壌の浄化方法。
  3. 前記炭素付着マグネタイトが、マグネタイトに水素を反応させて得た酸素欠陥マグネタイトに、さらに炭酸ガスを反応させてマグネタイトの表面に炭素を生成した炭素付着活性化マグネタイトであることを特徴とする請求項2に記載の汚染土壌の浄化方法。
  4. 前記汚染土壌が攪拌されながらマイクロ波を照射されることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項に記載の汚染土壌の浄化方法。
  5. マイクロ波の照射により温度が上昇する汚染土壌の処理温度が、揮発性有機物が気化する温度帯と、重金属がマグネタイトに包摂される温度帯とに分けられて汚染土壌が処理されることを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項に記載の汚染土壌の浄化方法。
  6. 前記重金属を包摂した前記マグネタイトを磁気的に分離回収することを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項に記載の汚染土壌の浄化方法。
  7. 請求項1乃至6いずれか1項に記載の汚染土壌の浄化方法を用いる汚染土壌の浄化装置。
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