JP2004201607A - 核酸吸着固相体上でのlamp反応 - Google Patents
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Abstract
【課題】核酸の精製から増幅まで一貫して簡便、迅速に行う核酸増幅方法。
【解決手段】不織布と異なる核酸結合性固相体に核酸を吸着させ、この吸着させた核酸を鎖型としてLAMP法により核酸を増幅する方法。
核酸結合性固相体としては、核酸結合性フィルター、核酸結合性粒子が用いられる。
核酸は細胞を破壊した細胞抽出液から調製してもよい。血液、喀痰などの分析に用いられる。
【選択図】 なし
【解決手段】不織布と異なる核酸結合性固相体に核酸を吸着させ、この吸着させた核酸を鎖型としてLAMP法により核酸を増幅する方法。
核酸結合性固相体としては、核酸結合性フィルター、核酸結合性粒子が用いられる。
核酸は細胞を破壊した細胞抽出液から調製してもよい。血液、喀痰などの分析に用いられる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、LAMP(Loop-Mediated Isothermal Amplification)法を用いて核酸を簡便、迅速に増幅する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
LAMP法は、PCR(Polymerase Chain Reaction)法とは異なる原理の新しい核酸増幅法である。LAMP法は6つの領域を含む4種類のプライマーを用いて増幅反応を行う。プライマーは、LAMP反応で合成されたDNAの3’末端が常にループを形成して次のDNAの合成起点となるように設計されている。これら4種類のプライマーと鎖置換型のDNAポリメラーゼ、鋳型DNAを混合して等温で反応させると、幾つかの反応ステップを踏んで、お互いに相補的な配列が交互に繰り返した構造の増幅産物DNAが蓄積され、増幅反応が等温で連続的に進む(非特許文献1)。また、LAMP法の増幅産物は0.5mg/ml以上と桁違いに多く、よって増幅産物の検出も高感度な機器等は不要である。実際に反応開始時にインターカレーターを入れておけば、反応終了後チューブの蓋を開けずにそのまま紫外線ランプ下での目視観察で、容易に増幅産物を検出できる。また、LAMP法では核酸の合成量が多いために、合成反応の副産物であるピロリン酸がマグネシウムと結合して白い沈殿が生成され、これを指標に産物の検出が可能である。上述のようにLAMP法は簡便、迅速な方法であり、遺伝子検査のPOCT(Point of Care Testing)分野での応用が期待されているが、検体からのDNA抽出操作という前処理も簡便、迅速にならなければPOCTへの応用は難しい。この点については、LAMP法で使用されている鎖置換型DNAポリメラーゼの活性が阻害されにくいという性質を利用して、例えば血液を熱処理するだけでDNAの抽出操作を行わずに直接LAMP反応系に添加するといった方法(血液ダイレクト法)が提案されている(非特許文献1)。しかし、この方法も血液の希釈操作が必要である、検体中の対象DNA量が微量の場合には使用できないという欠点がある。後者の例としては、例えば喀痰中の結核菌検出などがある。
【0003】
【非特許文献1】ファルマシア 37(10)889、2001
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、LAMP法で核酸を増幅する、迅速、簡便な方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本出願人は、国際特許出願PCT/JP02/06939号で(1)細胞を破壊して細胞抽出液を調製し、(2)細胞抽出液を不織布に接触させて細胞抽出液中の核酸を不織布に吸着させ、(3)該不織布に吸着された核酸を鋳型としてLAMP法により核酸を増幅する方法を開示した。本発明者らは、不織布を除く核酸結合性固相体に吸着した核酸が直接LAMP法の鋳型となること、従って核酸の溶出操作が不要であり核酸調製にかかる時間と手間を大幅に削減できることを見出して本発明を完成するに至った。
【0006】
本発明は、以下の発明を包含する。
(1) 不織布と異なる核酸結合性固相体に核酸を吸着させて、該吸着核酸を鋳型としてLAMP法により核酸を増幅する方法。
(2) 吸着核酸がRNAであり、該RNAに逆転写酵素を作用させてDNAを合成し、該DNAに対してLAMP法を行う(1)に記載の方法。
(3) 核酸結合性固相体が、核酸結合性フィルターである(1)または(2)に記載の方法。
(4) 核酸結合性フィルターが、濾紙、織布、マトリックスまたは膜である(3)に記載の方法。
(5)核酸結合性フィルターが、メンブランフィルターまたはネットフィルターであって、該フィルターの孔径が0.2〜30μmである(3)に記載の方法。
(6) 核酸結合性フィルターの素材が、ナイロン、ポリプロピレン、セルロース、セルロースアセテートとニトロセルロースの混合物、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフロライド、ガラス、綿またはポリウレタンである(3)〜(5)のいずれかに記載の方法。
(7) 核酸結合性固相体が、核酸結合性粒子である(1)または(2)に記載の方法。
(8) 核酸結合性粒子の素材が、シリカ、イオン交換樹脂またはハイドロキシアパタイトである(7)に記載の方法。
【0007】
(9) 次の工程を含む、細胞の核酸を吸着した該フィルターを作製する方法:
(イ) 細胞を破壊して細胞抽出液を調製する工程;
(ロ) 細胞抽出液を不織布と異なる核酸結合性フィルターに接触させて、細胞抽出液中の核酸を該フィルターに吸着させる工程;
(10) 細胞抽出液を不織布と異なる核酸結合性フィルターに接触させる方法が濾過である(9)に記載の方法。
(11) 細胞抽出液中の核酸を不織布と異なる核酸結合性フィルターに吸着させる工程の後に、該フィルターを洗浄する工程が続く(9)または(10)に記載の方法。
【0008】
(12) 次の工程よりなる核酸の増幅方法
(イ) 細胞を破壊して細胞抽出液を調製する工程
(ロ) 細胞抽出液を不織布と異なる核酸結合性フィルターに接触させて、細胞抽出液中の核酸を核フィルターに吸着させる工程
(ハ) 該吸着核酸を鋳型としてLAMP法により核酸を増幅する工程
(13) 細胞抽出液を不織布と異なる核酸結合性フィルターに接触させる方法が濾過である(12)に記載の方法。
(14) 細胞抽出液中の核酸を不織布と異なる核酸結合性フィルターに吸着させる工程の後に、該フィルターを洗浄する工程を行う(12)または(13)に記載の方法。
(15) 吸着核酸が、RNAであり、該RNAに逆転写酵素を作用させてDNAを合成し、該DNAに対してLAMP法を行う(12)〜(14)のいずれかに記載の方法。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、核酸結合性固相体とは、核酸を吸着する性質を持つ、不織布を除く固体であって、核酸結合性固相体に吸着された核酸はLAMP法または逆転写酵素の鋳型になるという特徴を有する。核酸結合性固相体の形状としては、平板、器壁、塊状、粒子、フィルターなどが考えられる。平板や器壁、塊状の表面を核酸結合性固相体として利用する方法では、溶液中の核酸を表面に結合させるために時間をかけて静置するか撹拌する必要がある。この形状の核酸結合性固相体としてはXtra Amp(登録商標)(Xtrana社)などが利用可能である。形状を粒子にすると体積に比較して表面積が大きくなり、核酸の吸着容量を増すことができる。また、粒子は撹拌で容易に溶液中に分散させることができるので、核酸吸着を効率的に行うことができる点で上記の平板等より優れている。更に粒子を磁性化できれば磁力を用いることにより粒子の回収が容易になり、更に優れた核酸結合性固相体となる。 粒子の素材としては、シリカ、イオン交換樹脂、ハイドロキシアパタイトなどが利用可能である。この形状の核酸結合性固相体としてはDynabeads(登録商標)DNA DIRECT(登録商標)Blood(Dynal Biotech社)などが使用可能である。
【0010】
濾過することで効率よく、短時間に核酸と固相体表面を接触させることができる点で、フィルターは最も好ましい形状である。ここでフィルターとは、一方の面から他方の面に連通する多数の微細な孔を有する通気性のフィルム、シート、膜、板、塊状、繊維状、粒状等の任意の形態を意味する。フィルターの孔の形状やその連通状態、フィルターの厚さ、寸法等は特に問わない。多孔質体からなるフィルターは有機材料および無機材料のいずれからなっていてもよく、また天然材料、合成材料または半合成材料からなっていてもよい。
【0011】
具体的には、ナイロン、ポリプロピレン、セルロース、セルロースアセテートとニトロセルロースの混合物、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフロライド、ガラス、テフロン(登録商標)、ポリエチレン、セラミック、金属、ポリカーボネート、ポリエステル、セルロースエステル、ポリアミド、ポリスルホン、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、XRレジンまたはパーフルオロスルホン(カルボン)酸などがフィルターの素材として使用可能である。フィルターの例としては天然、合成、半合成、再生の有機または無機繊維からなる多孔質体; 有機または無機発泡体(例えばスポンジ、フォームなど); 孔成分の溶出、焼結、延伸、穿孔などにより孔形成された有機、無機多孔質体; 有機または無機の微粒子や細片を充填または結合した多孔質体などを挙げることができる。
【0012】
膜の種類としては、焼結膜、延伸膜、飛跡―浸蝕膜、非対称型・多孔質相転換膜、非対称膜、複合膜、均質膜、イオン交換膜などが使用可能である(バイオ分離工学ハンドブック p230、サイエンスフォーラム)。具体的には、ワットマン社の濾紙やミリポア社のミリポアフィルター、多孔質ポリウレタンシート(テルモ社のイムガード(登録商標)III‐RCのメインフィルターなど)、GENERATION(登録商標)DNA Purification Capture Column(登録商標)で使用されているマトリックス(Gentra Systems社)、シリカ膜などが使用可能である。
【0013】
本発明でいうメンブランフィルターとは、ミリポアフィルターに代表される均一な細孔を有する合成高分子膜のことである。
また、ネットフィルターとは、縦糸と横糸とが交錯して網目構造を形成している網のことである。本発明には、孔径が0.2〜30μmのメンブランフィルターまたはネットフィルターが使用できる。孔径が0.2μm以下では濾過が著しく困難になり、また30μm以上では核酸の吸着が起こりにくくなる。繊維からなる多孔質体フィルターの場合は、繊維は有機または無機の短繊維、スライバー、長繊維のいずれからなっていてもよく、しかもフィルターの形態は、単なる繊維の塊でもよく、また織布よりなる繊維布層の1層または複数層でもよい。しかし織布の方が、一般に単位重量あたりの表面積が大きく、更に液の流れる方向におけるフィルターの厚みを薄くすることができる。このため圧力損失が小さく、大きな溶液処理速度を出せるようになるので、織布の方が好ましい。織布とは、縦糸と横糸とが交錯してできた布地を意味する。
【0014】
本発明において、不織布とは短繊維またはフィラメントを、機械的、熱的、化学的な手段を用いて接着または交絡させて作るシート状またはウェブ構造のものである(第2版 繊維便覧 繊維学会編 丸善)。不織布はさまざまな方法で生産されるが、基本的な工程はウェブ(繊維の方向がある程度揃った繊維塊のシート状のもの)の形成工程と、ウェブの接着工程、それに仕上げ工程である。不織布には天然繊維から化学繊維まで種々の繊維が用いられているが、一般的に用いられているのは綿、レーヨン、ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロンで、その他アクリル、ビニロン、ガラス繊維、パルプ、炭素繊維なども使用される。ウェブを形成する方式は、湿式、乾式および直接式に大別される。直説法は紡糸直結式ともいわれる方法で、溶融高分子溶液から紡糸された繊維を集めて直接ウェブとする工程である。これに含まれる方法は、スパンレース法、スパンボンド法、メルトブロー法、ニードルパンチ法、ステッチボンド法などである。
【0015】
本発明において、核酸吸着固相体とは核酸が吸着した核酸結合性固相体を意味する。核酸吸着固相体にLAMP反応を阻害するような物質が残らなければ、どのような方法を用いて核酸を吸着させても良い。例えば、米国特許第5,756,126号または米国特許第5,972,386号で開示されている方法は、弱塩基、キレート剤、陰イオン性界面活性剤、及び解析に必要な成分を吸着させた乾燥固体媒体に核酸物質を含有するサンプルを加えて該サンプルに含まれている核酸を該媒体に吸着させ、該サンプルに含まれている蛋白質またはヘモグロビンは除去する。上記2つの特許では乾燥固体媒体の例として、尿酸、トリス、EDTA、SDSを吸着させたセルロース紙を挙げている。該セルロース紙の9mm2に血液3μl、あるいは100mm2に血液100μlを載せて核酸を吸着させ乾燥して使用する。また、EP389,063では、試料、カオトロピック塩、核酸結合性固相体を混合して固相体に核酸を結合させた後、固相体を分離、洗浄して核酸を分離する方法が述べられている。
【0016】
核酸結合性固相体としては、シリカビーズの他にPVDF(Millipore)、Nitrocellulose(Schleicher and Schuell)、Hybond(登録商標)‐N(Amersham)などのフィルターが使用可能である。更に、WO 98/51693で開示されている方法では、(1)サンプル中の細胞を固体に結合させ、(2)細胞を溶解し、(3)細胞から遊離した核酸を(1)と同じ固体に結合させる。上記いずれの方法で吸着させた核酸もLAMP法の鋳型として使用可能である。
【0017】
本発明において、逆転写酵素とはRNA依存性DNAポリメラーゼのことで、LAMP法でRNAを検出する場合に使用する。例えば、インフルエンザウィルス、レトロウィルス、ロタウィルス、C型肝炎ウィルスなどのRNAをゲノムとして持つRNAウィルスの検出に逆転写酵素を使用する。
【0018】
本発明において、細胞抽出液とは細胞を破壊して得られる細胞の構成成分を含む混合物のことで、細胞を含む試料に細胞溶解液を作用させて作製することができる。細胞溶解液とは細胞を破壊して核酸を抽出するために用いられる溶液のことで、界面活性剤、酵素、EDTAなどを含むが、これらをすべて含む必要はない。酵素としては、蛋白質分解酵素、例えばProteinaseKなどを用いるが、細胞種によってはリゾチーム、リゾスタフィン(スタフィロコッカス属)、β1,3-グルカナーゼ、マンナーゼ、キチナーゼ(真菌類)なども用いられる。RNAを除いた方が好ましい場合には、RNaseAのようなRNA分解酵素を加えれば良い。また、酵素は含まなくとも良い。動物細胞では低張液に接触させるだけで細胞を破裂させることも可能である。EDTAはDNA分解酵素を阻害するために用い、通常25mMの濃度で使用する。また細胞抽出液は、細胞を含む試料に超音波をかけたり、ホモジナイザーで破砕するなど物理的な力を加えて作製することも可能である。
【0019】
本発明において、細胞抽出液をフィルターに接触させるとは、例えば細胞抽出液にフィルターを浮遊させる、細胞抽出液にフィルターを浮遊させて浸透する、細胞抽出液をフィルター表面上に流すなどの方法を含む。
【0020】
本発明において、洗浄はフィルターに付着した蛋白質、脂質などの物質を洗い流すために行う。
洗浄の効果としては、例えば核酸を吸着したフィルターを核酸増幅の鋳型として使用する場合には、洗浄により該核酸増幅に使用する酵素の阻害物質が除去されるので、酵素の反応速度が上がり、結果として核酸増幅速度と効率が上がるという効果がある。また、核酸増幅の後に核酸増幅の検出工程を組み込む場合には、洗浄により該検出工程を阻害する物質(例えば、比色検出なら細胞抽出液中に含まれてフィルターに吸着される有色物質)が除去されるので、ノイズが下がり検出感度が上がるという効果がある。洗浄液には、SDSやTriton(登録商標)X-100などの界面活性剤、0.5M以上のNaClなどの塩溶液などを使用するが、必ずしもこれらに限定されるものではなく、付着した物質の種類に応じて選択すればよい。
【0021】
本発明によれば、核酸吸着固相体を直接用いてLAMP法を行うことができる。このことは、LAMP法の反応が60℃から65℃の温度範囲で行われることを考えると驚くべきことである。核酸吸着固相体上でPCR反応が起こるという報告があるが(米国特許第5,756,126号、米国特許第5,972,386号)、PCR反応では二本鎖を一本鎖にするために約94℃で加熱する工程が繰り返されるので、固相体に吸着した核酸が溶液中に遊離して、その遊離した核酸を鋳型としてPCR反応が起こっていると考えられる。実際、吸着固相体を加熱処理すると、吸着された核酸は核酸結合性固相体から溶液中に遊離し、その遊離速度は温度が高いほど速くなる(国際特許出願PCT/JP02/06939号)。
【0022】
一方、約65℃で行うLAMP反応では溶液中への核酸遊離はPCRの場合よりはるかに少ないと考えられ、LAMP反応が核酸吸着固相体上で起こると予想することは困難であった。しかし、実施例に示した通り、核酸吸着固相体上でもLAMP反応が起こること、更にLAMP反応の一部は固相体上で起こっているという驚くべき結果が確認された。このことは、固相体に吸着された核酸上で鎖置換型DNAポリメラーゼが働いていることを示している。
【0023】
核酸吸着固相体上でLAMP反応が実施できるようになったことで、核酸の抽出から増幅に至る全工程が著しく単純化された。更に、本発明では溶出操作が不要なため、処理時間も著しく短縮されている。以上、本発明はLAMP法で核酸を増幅する、迅速、簡便な方法を提供し、これによって核酸の抽出から精製、LAMP法による核酸増幅に至る全工程が短時間かつ簡易に実施できるようになった。
【0024】
血液が検体の場合、従来の血液ダイレクト法で蛍光や白濁による目視検出を行う時は、血液を直接熱処理して遠心上清を取るか、血液を100倍位に希釈してから熱処理する必要があった。本発明の方法により核酸吸着固相体上でLAMP法を行えば、直接、蛍光や白濁による目視検出が可能である。遠心操作や希釈操作が不要になるので、本発明はLAMP法のPOCT化に極めて有用である。また、例えば喀痰を検体として結核菌の有無を検査する場合には、血液ダイレクト法のような手法は使用できない。検体のある部分に結核菌はいなくても、他の部分にいる可能性があるからである。このような場合にも本発明の方法を用いれば、採取された喀痰の全量に含まれる核酸を簡便、迅速にフィルター上に吸着させて濃縮し、LAMP法にかけることができるので、検査の信頼度は格段に向上することになる。
【0025】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。ただし、これらの実施例は説明のためのものであり、本発明の技術的範囲を制限するものではない。
【実施例1】
核酸結合性固相体に吸着した核酸を鋳型にした LAMP 反応
血液は健常人から採血し、抗凝固剤としてヘパリンナトリウム(清水製薬)を血液1mlあたり10単位添加した。血液中の白血球数は、LeucoCOUNT(登録商標) Kit(Becton Dickinson)を用いてフローサイトメーター(FACS Calibur(登録商標)、Becton Dickinson)で測定した。血液0.25ml中の白血球数は、1.08x106個であった。この血液を0.25mlづつ分注して-80℃で凍結し、下記の実験に使用した。
【0026】
フィルターは次のものを使用した。旭化成(株)の不織布A040C01(ポリエチレンテレフタレート); Whatman社の濾紙GF/DVA(ガラス)、F145-02、3MMChr(セルロース)、31ETChr(セルロース)、17Chr(セルロース)、CD427-05、D28、WF1.5、Whatman BioScience Purification System(WBPS)のIsolation Vessels中のメインフィルター; Millipore社のメンブランフィルターNY1104700(ナイロン、孔径11μm)、AN5002500(ポリプロピレン、孔径5μm)、SMWP01300(セルロースアセテートとニトロセルロースの混合物、孔径5μm)、LCWP01300(PTFE、孔径10μm)、SVLP01300(ポリビニリデンフロライド、孔径5μm)、VCWP01300(セルロースアセテートとニトロセルロースの混合物、孔径0.1μm)、GSWP01300(セルロースアセテートとニトロセルロースの混合物、孔径0.22μm)、HAWP01300(セルロースアセテートとニトロセルロースの混合物、孔径0.45μm);アドバンテック東洋(株)のメンブランフィルターA100A013A(セルロースアセテートとニトロセルロースの混合物、孔径1μm)、A300A013A(セルロースアセテートとニトロセルロースの混合物、孔径3μm); NBC(株)のネットフィルターN-355T(ナイロン、孔径37μm)、N-150T(ナイロン、孔径108μm);テルモ(株)の多孔質ポリウレタンシート イムガード(登録商標)III‐RCのメインフィルター;Y.S.K.開発センターの織布(綿、三角布)。
【0027】
上記フィルターを直径12mmの円盤状に切断して、その1枚をフィルターホルダー(SWINNEX、MILLIPORE)にセットし、フィルターホルダーの上流には10 mlの注射筒、下流には吸引ポンプを設置してフィルターホルダーに接続した。最初に3mlのDigestion Buffer(10mM Tris pH8;100mM NaCl;25mM EDTA;0.5% SDS)でフィルターを洗浄した。Digestion Bufferがフィルターを通りにくい場合には、あらかじめフィルターをエタノールで処理した。
【0028】
まず、0.25mlのヒト凍結保存血に、37℃であらかじめ加温しておいた2x Digestion Buffer(20mM Tris pH8;200mM NaCl;50mM EDTA;1% SDS)を0.25ml加え、更にProteinase K(PCR-Grade、 Roche)を0.05 μg加えて、37℃で加温しながら時々チューブを反転させて凍結保存血を溶解した。完全に溶解してから、更に室温で5分放置した。
【0029】
この処理で赤血球、白血球は完全に破壊された。この血液抽出液を上記のフィルターにかけて直ちに吸引濾過した。吸引だけでは濾過が困難である場合は、プランジャーを使用して押し出した。但し、VCWP01300は完全に目詰まりして濾過できなかった。吸引しながら9mlのDigestion Bufferを流してフィルターを洗浄した。次に、3mlの1M NaClを含むPBS/1mM EDTA、最後に5mlのTE Buffer(10mM Tris pH8;1mM EDTA)を流してフィルターを洗浄した。それから、フィルターをホルダーから取り外して下記LAMP反応に供した。
【0030】
また、核酸結合性樹脂としてXtrana社のXtra Amp(登録商標)Extraction Systemを使用して、キット添付の説明書に従って核酸吸着樹脂を作製した。Xtra Amp(登録商標)Tubeに75μlのLysis Buffer(キット付属)を加えて室温で5分放置した。次にヒト凍結保存血を37℃に加温して溶解し、その75μlを上記Tubeに加えて、泡立てないように5回ピペッティングした。室温で10分放置後、更に10回ピペッティングして液を除いた。このTubeに200μlのWash Buffer(キット付属)を加えて10回ピペッティングして液を除き、更にこの洗浄操作を2回繰り返した。最後の洗浄液を完全に除いた後、Tubeから樹脂を削り取って下記LAMP反応に供した。
【0031】
LAMP反応は、次のように行った。まず、ヒトβアクチン遺伝子(Genebank Accession No.M10277)の配列から、LAMP法の増幅オリゴヌクレオチドプライマーをデザインした。配列番号1のF3プライマー、配列番号2のFIPプライマー、配列番号3のLoopFプライマー、配列番号4のB3プライマー、配列番号5のBIPプライマー、配列番号6のLoopBプライマーをデザインして、日本バイオサービス社に依頼して化学的に合成した。
【0032】
LAMP増幅の反応液には、F3プライマーとB3プライマーをそれぞれ0.2μM、FIPフ゜ライマーとBIPプライマーをそれぞれ1.6μM、LoopFプライマーとLoopBプライマーをそれぞれ0.8μM、1.4mM dNTPs、0.8M Betaine、20mM Tris-HCl(pH8.8)、10mM KCl、10mM (NH4)2SO4、0.1% Triton(登録商標)X-100、6.4 unitsのBst DNA polymerase large fragment (New England Biolabs)を含み、MgSO4濃度が8mMになるように加えた。
【0033】
上記で調製した各種フィルターを3mm四方に切断したもの、または削り取ったXtra Amp(登録商標)樹脂をマイクロチューブに移し、これに先のLAMP用反応液20μl加え、65℃のヒートブロック上で30分間インキュベートした。反応終了後、80℃で5分間処理して酵素を失活させた後、4℃に冷却し、反応産物の一部をアガロースゲル電気泳動にかけて増幅の有無を確認した。電気泳動は2%アガロースゲルを用い、100V 30分間泳動した後、エチジウムブロマイドによって染色し、UV照射下での発光を観察した。結果を図1〜図4に示す。以上の結果から、ガラスやセルロース製の濾紙、綿製の織布、多孔質ポリウレタンシート、核酸結合性樹脂、孔径0.2 〜11μmのメンブランフィルターにより作製した核酸吸着固相体はLAMP反応の鋳型DNAとして有効であることが判ったが、孔径37μmと108μmのナイロンネットフィルターではLAMP増幅は起こらなかった。また、孔径0.1μmのメンブランフィルターでは濾過ができず、核酸吸着フィルターを作製できなかった。
【0034】
【実施例2】
核酸結合性粒子に吸着した核酸を鋳型にした LAMP 反応
血液は健常人から採血し、抗凝固剤としてヘパリンナトリウム(清水製薬)を血液1mlあたり10単位添加する。Dynabeads(登録商標)DNA DIRECT(登録商標)Blood キット(DYNAL BIOTECH社)付属のRed Cell Lysis Buffer A 1mlを上記血液100μlに加えて混合し、室温で5分放置する。この溶液をエッペンドルフチューブに入れて13,000rpmで30秒遠心し、上清を捨てる。この沈殿に上記キット付属のDynabeads(登録商標)200μlを添加して、1回ピペッティングする。
【0035】
室温で5分放置した後、チューブをDynal MPC-Sにセットして1分放置し、Dynabeads(登録商標)を集めてDNA/Dynabeads(登録商標)複合体が壊れないように気をつけながら注意深く上清を捨てる。更に、1mlの1xWashing Bufferを加えてDNA/Dynabeads(登録商標)複合体が壊れないように気をつけながら注意深くピペッティングしてDynal MPC-Sにセットして1分放置し、上清を捨てる。この操作を2回繰り返して洗浄した後、DNA/Dynabeads(登録商標)複合体に上記キット付属のResuspension Buffer 200μlを添加して複合体が壊れないように気をつけながら注意深くピペッティングして、その2μlを実施例1のLAMP反応系に添加する。実施例1と同様に反応して解析すると核酸増幅が起こっていることが確認され、DNA/Dynabeads(登録商標)複合体もLAMP反応の鋳型として有効であることがわかる。
【0036】
【実施例3】
核酸吸着フィルター上で起こった LAMP 反応
フィルターは、Millipore社のAN5002500(ポリプロピレン、孔径5μm)を使用した。フィルターを直径12mmの円盤状に切断して、その1枚をフィルターホルダー(SWINNEX、MILLIPORE)にセットし、フィルターホルダーの上流には10 mlの注射筒、下流には吸引ポンプを設置してフィルターホルダーに接続した。最初に3mlのDigestion Buffer(10mM Tris pH8;100mM NaCl;25mM EDTA;0.5% SDS)でフィルターを洗浄した。
【0037】
試料血液として、株式会社日本バイオテスト研究所より購入したウシの血液を使用した。この血液は、無菌的に採取後、アルセイバー氏液(0.55g/L クエン酸、8g/Lクエン酸ナトリウム、4.2g/L 塩化ナトリウム、20.5g/L ブドウ糖)を等量添加したものである。ウシ血液0.25mlに、37℃に加温した2x Digestion Buffer(20mM Tris pH8;200mM NaCl;50mM EDTA;1% SDS)を0.25ml加え、更にProteinase K(PCR-Grade、 Roche)を0.05 μg加えて、これを37℃の水浴で時々加温しながら完全に溶解した。室温で5分放置後、この血液抽出液をフィルターにかけて直ちに吸引濾過し、血球から抽出したゲノムDNAをフィルターに吸着させた。それから、吸引しながら8mlのDigestion Bufferを流してフィルターを洗浄した。次に、3mlの1M NaClを含むPBS/1mM EDTA、最後に3mlのTE バッファー(10mM Tris pH8;1mM EDTA)を流してフィルターを洗浄した。フィルターホルダーからフィルターを取り出して2x3mmに切り取り、1.5mlのチューブに移した。
【0038】
このチューブに、LAMP反応液としてLoopamp(登録商標)牛胚性判別試薬キット(栄研化学株式会社)に含まれるReaction Mix IIを40μl、Bst DNA polymeraseを2μl、TEバッファーを7μl添加した。これに1μlの1nmol/μlのDIG-11-dUTP(ロッシュダイアグノスティックス)を添加し、全量を50μlとし、63℃にて1時間置きLAMP法による核酸増幅を行った。
このLAMP産物のうち1μlを1%アガロースゲルにて電気泳動を行った後、エチジウムブロマイドにて染色を行った(図5)。
図5から、標識ヌクレオチドであるDIG-11-dUTP存在下においても、非存在下と同様にLAMP法による核酸増幅が液相で起こったことが判る。更に、Loopamp(登録商標)牛胚性判別試薬キットを用いたLAMP法による核酸増幅がウシ由来の核酸に特異的であることが示された。
【0039】
一方、LAMP反応後のフィルターを適当な洗浄液、例えばTEバッファーにて洗浄を行ってLAMP反応液を除去し、アルカリフォスファターゼ標識抗DIG抗体(ロッシュダイアグノスティックス)とアルカリフォスファターゼの基質NBT/BCIP(ロッシュダイアグノスティックス)とを使って、LAMP法による核酸増幅反応中に取り込まれたDIG-11-dUTPを検出した(図6)。
図6は、DIG-11-dUTPを取り込んだLAMP増幅産物がフィルター上に存在することを示しており、LAMP法による核酸増幅がフィルター上でも起こったことが判る。
【0040】
以上の結果、フィルター上に吸着したゲノムDNAを鋳型としたLAMP法による核酸の増幅が、液相とフィルター上との両方で起こっていることが示された。
【0041】
【実施例4】
核酸吸着フィルター上に吸着した RNA からの LAMP 反応
フィルターは、Millipore社のAN5002500(ポリプロピレン、孔径5μm)を使用した。フィルターを直径12mmの円盤状に切断して、その1枚をフィルターホルダー(SWINNEX、MILLIPORE)にセットし、フィルターホルダーの上流には10 mlの注射筒、下流には吸引ポンプを設置してフィルターホルダーに接続した。最初に3mlのDigestion Buffer(10mM Tris pH8;100mM NaCl;25mM EDTA;0.5% SDS)でフィルターを洗浄した。
【0042】
RNAは、1×107個の培養細胞株THP-1からTRIzol(登録商標)Reagent
(Invitrogen)を使って精製したTotal RNAを使用した。Total RNA 1μgまたは3μgを含むPBS(-)溶液1mlを95℃にて10分間加熱後、氷上において急冷した。これをフィルターホルダーの上流にセットした10mlの注射筒にいれ、ピストンにて押し出し、RNA溶液をフィルターに通した。次に8mlのDigestion Bufferを通してフィルターを洗浄し、次に、3mlの1M NaClを含むPBS/1mM EDTA、最後に3mlのTE バッファー(10mM Tris pH8;1mM EDTA)を通してフィルターを洗浄した。フィルターホルダーからフィルターを取り出して2mm×2mmに切り取り、1.5mlのチューブに移した。
【0043】
1st strand cDNAの合成は、SuperScript(登録商標)II RNaseH- Reverse Transcriptase(Gibco BRL)を用いた。47.5μlの1st strand cDNAの合成反応液(500μg/ml Oligo(dT)12-18;0.5mM dNTP Mix;10mM DTT;1×First-Strand Buffer)を、先のフィルターの入ったチューブに添加し、42℃にて2分間置いた。これに、500unitのSuperScriptII(登録商標)RNaseH- Reverse Transcriptaseを添加し、42℃に1時間置き、1st strand cDNAの合成を行った。フィルターを取り出し、TEバッファー中で洗浄した後、新しいマイクロチューブに移した。
【0044】
これに実施例1に記載したヒトβアクチン遺伝子増幅用のLAMP反応液 50μlを加え、65℃のヒートブロック上で30分間インキュベートした。反応終了後、80℃で5分間処理して酵素を失活させた後、4℃に冷却し、反応産物の一部をアガロースゲル電気泳動にかけて増幅の有無を確認した。電気泳動は2%アガロースゲルを用い、100V 30間泳動した後、エチジウムブロマイドによって染色し、UV照射下での発光を観察した。結果を図7に示す。
図7は、本増幅にはReverse Transcriptaseが必須であること、すなわち混在した DNAでなく RNAを鋳型とした核酸増幅が起こったこと、更に1μgの Total RNAがあれば核酸増幅が可能であることを示している。
【0045】
【発明の効果】
本発明を用いれば、核酸の精製からLAMP法による核酸増幅まで一貫して迅速に行うことが可能になる。
【0046】
【配列表】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のLAMP増幅のアガロースゲル電気泳動解析の結果を示す。
【符号の説明】
M:100bp DNAラダー(Gibco BRL)
Lane1、2:A040C01
Lane3、4:WF1.5
Lane5、6:D28
Lane7、8:CD427-05
Lane9、10:17Chr
Lane11、12:31ETChr
Lane13、14:3MMChr
Lane15、16:F145-02
Lane17、18:GF/DVA
奇数番号のLaneは血液を通したフィルター、偶数番号のLaneはBufferのみを通したフィルター(ブランク)である。
【図2】実施例1のLAMP増幅のアガロースゲル電気泳動解析の結果を示す。
【符号の説明】
M:100bp DNAラダー(Gibco BRL)
Lane1、2:A040C01
Lane3、4:WBPS
Lane5、6:NY1104700
Lane7、8:AN5002500
Lane9、10:SMWP01300
Lane11、12:LCWP01300
Lane13、14:SVLP01300
奇数番号のLaneは血液を通したフィルター、偶数番号のLaneはBufferのみを通したフィルター(ブランク)である。
【図3】実施例1のLAMP増幅のアガロースゲル電気泳動解の結果を示す。
【符号の説明】
M:100bp DNAラダー(Gibco BRL)
Lane1、2:N-355T
Lane3、4:N-150T
Lane5、6:A300A013A
Lane7、8:A100A013A
Lane9、10:HAWP01300
Lane11、12:GSWP01300
Lane13、14:A040C01
奇数番号のLaneは血液を通したフィルター、偶数番号のLaneはBufferのみを通したフィルター(ブランク)である。
【図4】実施例1のLAMP増幅のアガロースゲル電気泳動解析の結果を示す。
M:100bp DNAラダー(Gibco BRL)
Lane1、2::綿織布
Lane3:イムガード(登録商標)―RC
Lane4、5:Xtra Amp(登録商標)
Lane6、7:A040C01
Lane1,3,4,6は血液を処理したフィルターまたは樹脂、Lane2,5,7はBufferのみを通したフィルターまたは樹脂(ブランク)である。
【図5】実施例3のLAMP増幅のアガロースゲル電気泳動解析結果を示す。
【符号の説明】
M:1kbp DNAラダー(Gibco BRL)
Lane1:ヒト血液由来の核酸を吸着させたフィルターをテンプレート(DIG-11-dUTP無し)
Lane2:ウシ血液由来の核酸を吸着させたフィルターをテンプレート(DIG-11-dUTP無し)
Lane3:ウシ血液由来の核酸を吸着させたフィルターをテンプレート(DIG-11-dUTP有り)
【図6】実施例3のフィルター上のLAMP増幅産物の検出結果を示す。
LAMP法のテンプレートして用いたウシ血液由来の核酸を吸着させたフィルターのアルカリフォスファターゼ染色。
【符号の説明】
No.2:LAMP反応液中にDIG-11-dUTPを含まない
No.3:LAMP反応液中にDIG-11-dUTPを含む。
【図7】実施例4のフィルター上に吸着したRNAからのLAMP反応結果を示す。
【符号の説明】
M:100bp DNAラダー(Gibco BRL)
Lane1:1μg Total RNA
Lane2:3μg Total RNA
Lane3:3μg Total RNA、Reverse Transcriptase無し(コントロール)
【発明の属する技術分野】
本発明は、LAMP(Loop-Mediated Isothermal Amplification)法を用いて核酸を簡便、迅速に増幅する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
LAMP法は、PCR(Polymerase Chain Reaction)法とは異なる原理の新しい核酸増幅法である。LAMP法は6つの領域を含む4種類のプライマーを用いて増幅反応を行う。プライマーは、LAMP反応で合成されたDNAの3’末端が常にループを形成して次のDNAの合成起点となるように設計されている。これら4種類のプライマーと鎖置換型のDNAポリメラーゼ、鋳型DNAを混合して等温で反応させると、幾つかの反応ステップを踏んで、お互いに相補的な配列が交互に繰り返した構造の増幅産物DNAが蓄積され、増幅反応が等温で連続的に進む(非特許文献1)。また、LAMP法の増幅産物は0.5mg/ml以上と桁違いに多く、よって増幅産物の検出も高感度な機器等は不要である。実際に反応開始時にインターカレーターを入れておけば、反応終了後チューブの蓋を開けずにそのまま紫外線ランプ下での目視観察で、容易に増幅産物を検出できる。また、LAMP法では核酸の合成量が多いために、合成反応の副産物であるピロリン酸がマグネシウムと結合して白い沈殿が生成され、これを指標に産物の検出が可能である。上述のようにLAMP法は簡便、迅速な方法であり、遺伝子検査のPOCT(Point of Care Testing)分野での応用が期待されているが、検体からのDNA抽出操作という前処理も簡便、迅速にならなければPOCTへの応用は難しい。この点については、LAMP法で使用されている鎖置換型DNAポリメラーゼの活性が阻害されにくいという性質を利用して、例えば血液を熱処理するだけでDNAの抽出操作を行わずに直接LAMP反応系に添加するといった方法(血液ダイレクト法)が提案されている(非特許文献1)。しかし、この方法も血液の希釈操作が必要である、検体中の対象DNA量が微量の場合には使用できないという欠点がある。後者の例としては、例えば喀痰中の結核菌検出などがある。
【0003】
【非特許文献1】ファルマシア 37(10)889、2001
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、LAMP法で核酸を増幅する、迅速、簡便な方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本出願人は、国際特許出願PCT/JP02/06939号で(1)細胞を破壊して細胞抽出液を調製し、(2)細胞抽出液を不織布に接触させて細胞抽出液中の核酸を不織布に吸着させ、(3)該不織布に吸着された核酸を鋳型としてLAMP法により核酸を増幅する方法を開示した。本発明者らは、不織布を除く核酸結合性固相体に吸着した核酸が直接LAMP法の鋳型となること、従って核酸の溶出操作が不要であり核酸調製にかかる時間と手間を大幅に削減できることを見出して本発明を完成するに至った。
【0006】
本発明は、以下の発明を包含する。
(1) 不織布と異なる核酸結合性固相体に核酸を吸着させて、該吸着核酸を鋳型としてLAMP法により核酸を増幅する方法。
(2) 吸着核酸がRNAであり、該RNAに逆転写酵素を作用させてDNAを合成し、該DNAに対してLAMP法を行う(1)に記載の方法。
(3) 核酸結合性固相体が、核酸結合性フィルターである(1)または(2)に記載の方法。
(4) 核酸結合性フィルターが、濾紙、織布、マトリックスまたは膜である(3)に記載の方法。
(5)核酸結合性フィルターが、メンブランフィルターまたはネットフィルターであって、該フィルターの孔径が0.2〜30μmである(3)に記載の方法。
(6) 核酸結合性フィルターの素材が、ナイロン、ポリプロピレン、セルロース、セルロースアセテートとニトロセルロースの混合物、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフロライド、ガラス、綿またはポリウレタンである(3)〜(5)のいずれかに記載の方法。
(7) 核酸結合性固相体が、核酸結合性粒子である(1)または(2)に記載の方法。
(8) 核酸結合性粒子の素材が、シリカ、イオン交換樹脂またはハイドロキシアパタイトである(7)に記載の方法。
【0007】
(9) 次の工程を含む、細胞の核酸を吸着した該フィルターを作製する方法:
(イ) 細胞を破壊して細胞抽出液を調製する工程;
(ロ) 細胞抽出液を不織布と異なる核酸結合性フィルターに接触させて、細胞抽出液中の核酸を該フィルターに吸着させる工程;
(10) 細胞抽出液を不織布と異なる核酸結合性フィルターに接触させる方法が濾過である(9)に記載の方法。
(11) 細胞抽出液中の核酸を不織布と異なる核酸結合性フィルターに吸着させる工程の後に、該フィルターを洗浄する工程が続く(9)または(10)に記載の方法。
【0008】
(12) 次の工程よりなる核酸の増幅方法
(イ) 細胞を破壊して細胞抽出液を調製する工程
(ロ) 細胞抽出液を不織布と異なる核酸結合性フィルターに接触させて、細胞抽出液中の核酸を核フィルターに吸着させる工程
(ハ) 該吸着核酸を鋳型としてLAMP法により核酸を増幅する工程
(13) 細胞抽出液を不織布と異なる核酸結合性フィルターに接触させる方法が濾過である(12)に記載の方法。
(14) 細胞抽出液中の核酸を不織布と異なる核酸結合性フィルターに吸着させる工程の後に、該フィルターを洗浄する工程を行う(12)または(13)に記載の方法。
(15) 吸着核酸が、RNAであり、該RNAに逆転写酵素を作用させてDNAを合成し、該DNAに対してLAMP法を行う(12)〜(14)のいずれかに記載の方法。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、核酸結合性固相体とは、核酸を吸着する性質を持つ、不織布を除く固体であって、核酸結合性固相体に吸着された核酸はLAMP法または逆転写酵素の鋳型になるという特徴を有する。核酸結合性固相体の形状としては、平板、器壁、塊状、粒子、フィルターなどが考えられる。平板や器壁、塊状の表面を核酸結合性固相体として利用する方法では、溶液中の核酸を表面に結合させるために時間をかけて静置するか撹拌する必要がある。この形状の核酸結合性固相体としてはXtra Amp(登録商標)(Xtrana社)などが利用可能である。形状を粒子にすると体積に比較して表面積が大きくなり、核酸の吸着容量を増すことができる。また、粒子は撹拌で容易に溶液中に分散させることができるので、核酸吸着を効率的に行うことができる点で上記の平板等より優れている。更に粒子を磁性化できれば磁力を用いることにより粒子の回収が容易になり、更に優れた核酸結合性固相体となる。 粒子の素材としては、シリカ、イオン交換樹脂、ハイドロキシアパタイトなどが利用可能である。この形状の核酸結合性固相体としてはDynabeads(登録商標)DNA DIRECT(登録商標)Blood(Dynal Biotech社)などが使用可能である。
【0010】
濾過することで効率よく、短時間に核酸と固相体表面を接触させることができる点で、フィルターは最も好ましい形状である。ここでフィルターとは、一方の面から他方の面に連通する多数の微細な孔を有する通気性のフィルム、シート、膜、板、塊状、繊維状、粒状等の任意の形態を意味する。フィルターの孔の形状やその連通状態、フィルターの厚さ、寸法等は特に問わない。多孔質体からなるフィルターは有機材料および無機材料のいずれからなっていてもよく、また天然材料、合成材料または半合成材料からなっていてもよい。
【0011】
具体的には、ナイロン、ポリプロピレン、セルロース、セルロースアセテートとニトロセルロースの混合物、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフロライド、ガラス、テフロン(登録商標)、ポリエチレン、セラミック、金属、ポリカーボネート、ポリエステル、セルロースエステル、ポリアミド、ポリスルホン、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、XRレジンまたはパーフルオロスルホン(カルボン)酸などがフィルターの素材として使用可能である。フィルターの例としては天然、合成、半合成、再生の有機または無機繊維からなる多孔質体; 有機または無機発泡体(例えばスポンジ、フォームなど); 孔成分の溶出、焼結、延伸、穿孔などにより孔形成された有機、無機多孔質体; 有機または無機の微粒子や細片を充填または結合した多孔質体などを挙げることができる。
【0012】
膜の種類としては、焼結膜、延伸膜、飛跡―浸蝕膜、非対称型・多孔質相転換膜、非対称膜、複合膜、均質膜、イオン交換膜などが使用可能である(バイオ分離工学ハンドブック p230、サイエンスフォーラム)。具体的には、ワットマン社の濾紙やミリポア社のミリポアフィルター、多孔質ポリウレタンシート(テルモ社のイムガード(登録商標)III‐RCのメインフィルターなど)、GENERATION(登録商標)DNA Purification Capture Column(登録商標)で使用されているマトリックス(Gentra Systems社)、シリカ膜などが使用可能である。
【0013】
本発明でいうメンブランフィルターとは、ミリポアフィルターに代表される均一な細孔を有する合成高分子膜のことである。
また、ネットフィルターとは、縦糸と横糸とが交錯して網目構造を形成している網のことである。本発明には、孔径が0.2〜30μmのメンブランフィルターまたはネットフィルターが使用できる。孔径が0.2μm以下では濾過が著しく困難になり、また30μm以上では核酸の吸着が起こりにくくなる。繊維からなる多孔質体フィルターの場合は、繊維は有機または無機の短繊維、スライバー、長繊維のいずれからなっていてもよく、しかもフィルターの形態は、単なる繊維の塊でもよく、また織布よりなる繊維布層の1層または複数層でもよい。しかし織布の方が、一般に単位重量あたりの表面積が大きく、更に液の流れる方向におけるフィルターの厚みを薄くすることができる。このため圧力損失が小さく、大きな溶液処理速度を出せるようになるので、織布の方が好ましい。織布とは、縦糸と横糸とが交錯してできた布地を意味する。
【0014】
本発明において、不織布とは短繊維またはフィラメントを、機械的、熱的、化学的な手段を用いて接着または交絡させて作るシート状またはウェブ構造のものである(第2版 繊維便覧 繊維学会編 丸善)。不織布はさまざまな方法で生産されるが、基本的な工程はウェブ(繊維の方向がある程度揃った繊維塊のシート状のもの)の形成工程と、ウェブの接着工程、それに仕上げ工程である。不織布には天然繊維から化学繊維まで種々の繊維が用いられているが、一般的に用いられているのは綿、レーヨン、ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロンで、その他アクリル、ビニロン、ガラス繊維、パルプ、炭素繊維なども使用される。ウェブを形成する方式は、湿式、乾式および直接式に大別される。直説法は紡糸直結式ともいわれる方法で、溶融高分子溶液から紡糸された繊維を集めて直接ウェブとする工程である。これに含まれる方法は、スパンレース法、スパンボンド法、メルトブロー法、ニードルパンチ法、ステッチボンド法などである。
【0015】
本発明において、核酸吸着固相体とは核酸が吸着した核酸結合性固相体を意味する。核酸吸着固相体にLAMP反応を阻害するような物質が残らなければ、どのような方法を用いて核酸を吸着させても良い。例えば、米国特許第5,756,126号または米国特許第5,972,386号で開示されている方法は、弱塩基、キレート剤、陰イオン性界面活性剤、及び解析に必要な成分を吸着させた乾燥固体媒体に核酸物質を含有するサンプルを加えて該サンプルに含まれている核酸を該媒体に吸着させ、該サンプルに含まれている蛋白質またはヘモグロビンは除去する。上記2つの特許では乾燥固体媒体の例として、尿酸、トリス、EDTA、SDSを吸着させたセルロース紙を挙げている。該セルロース紙の9mm2に血液3μl、あるいは100mm2に血液100μlを載せて核酸を吸着させ乾燥して使用する。また、EP389,063では、試料、カオトロピック塩、核酸結合性固相体を混合して固相体に核酸を結合させた後、固相体を分離、洗浄して核酸を分離する方法が述べられている。
【0016】
核酸結合性固相体としては、シリカビーズの他にPVDF(Millipore)、Nitrocellulose(Schleicher and Schuell)、Hybond(登録商標)‐N(Amersham)などのフィルターが使用可能である。更に、WO 98/51693で開示されている方法では、(1)サンプル中の細胞を固体に結合させ、(2)細胞を溶解し、(3)細胞から遊離した核酸を(1)と同じ固体に結合させる。上記いずれの方法で吸着させた核酸もLAMP法の鋳型として使用可能である。
【0017】
本発明において、逆転写酵素とはRNA依存性DNAポリメラーゼのことで、LAMP法でRNAを検出する場合に使用する。例えば、インフルエンザウィルス、レトロウィルス、ロタウィルス、C型肝炎ウィルスなどのRNAをゲノムとして持つRNAウィルスの検出に逆転写酵素を使用する。
【0018】
本発明において、細胞抽出液とは細胞を破壊して得られる細胞の構成成分を含む混合物のことで、細胞を含む試料に細胞溶解液を作用させて作製することができる。細胞溶解液とは細胞を破壊して核酸を抽出するために用いられる溶液のことで、界面活性剤、酵素、EDTAなどを含むが、これらをすべて含む必要はない。酵素としては、蛋白質分解酵素、例えばProteinaseKなどを用いるが、細胞種によってはリゾチーム、リゾスタフィン(スタフィロコッカス属)、β1,3-グルカナーゼ、マンナーゼ、キチナーゼ(真菌類)なども用いられる。RNAを除いた方が好ましい場合には、RNaseAのようなRNA分解酵素を加えれば良い。また、酵素は含まなくとも良い。動物細胞では低張液に接触させるだけで細胞を破裂させることも可能である。EDTAはDNA分解酵素を阻害するために用い、通常25mMの濃度で使用する。また細胞抽出液は、細胞を含む試料に超音波をかけたり、ホモジナイザーで破砕するなど物理的な力を加えて作製することも可能である。
【0019】
本発明において、細胞抽出液をフィルターに接触させるとは、例えば細胞抽出液にフィルターを浮遊させる、細胞抽出液にフィルターを浮遊させて浸透する、細胞抽出液をフィルター表面上に流すなどの方法を含む。
【0020】
本発明において、洗浄はフィルターに付着した蛋白質、脂質などの物質を洗い流すために行う。
洗浄の効果としては、例えば核酸を吸着したフィルターを核酸増幅の鋳型として使用する場合には、洗浄により該核酸増幅に使用する酵素の阻害物質が除去されるので、酵素の反応速度が上がり、結果として核酸増幅速度と効率が上がるという効果がある。また、核酸増幅の後に核酸増幅の検出工程を組み込む場合には、洗浄により該検出工程を阻害する物質(例えば、比色検出なら細胞抽出液中に含まれてフィルターに吸着される有色物質)が除去されるので、ノイズが下がり検出感度が上がるという効果がある。洗浄液には、SDSやTriton(登録商標)X-100などの界面活性剤、0.5M以上のNaClなどの塩溶液などを使用するが、必ずしもこれらに限定されるものではなく、付着した物質の種類に応じて選択すればよい。
【0021】
本発明によれば、核酸吸着固相体を直接用いてLAMP法を行うことができる。このことは、LAMP法の反応が60℃から65℃の温度範囲で行われることを考えると驚くべきことである。核酸吸着固相体上でPCR反応が起こるという報告があるが(米国特許第5,756,126号、米国特許第5,972,386号)、PCR反応では二本鎖を一本鎖にするために約94℃で加熱する工程が繰り返されるので、固相体に吸着した核酸が溶液中に遊離して、その遊離した核酸を鋳型としてPCR反応が起こっていると考えられる。実際、吸着固相体を加熱処理すると、吸着された核酸は核酸結合性固相体から溶液中に遊離し、その遊離速度は温度が高いほど速くなる(国際特許出願PCT/JP02/06939号)。
【0022】
一方、約65℃で行うLAMP反応では溶液中への核酸遊離はPCRの場合よりはるかに少ないと考えられ、LAMP反応が核酸吸着固相体上で起こると予想することは困難であった。しかし、実施例に示した通り、核酸吸着固相体上でもLAMP反応が起こること、更にLAMP反応の一部は固相体上で起こっているという驚くべき結果が確認された。このことは、固相体に吸着された核酸上で鎖置換型DNAポリメラーゼが働いていることを示している。
【0023】
核酸吸着固相体上でLAMP反応が実施できるようになったことで、核酸の抽出から増幅に至る全工程が著しく単純化された。更に、本発明では溶出操作が不要なため、処理時間も著しく短縮されている。以上、本発明はLAMP法で核酸を増幅する、迅速、簡便な方法を提供し、これによって核酸の抽出から精製、LAMP法による核酸増幅に至る全工程が短時間かつ簡易に実施できるようになった。
【0024】
血液が検体の場合、従来の血液ダイレクト法で蛍光や白濁による目視検出を行う時は、血液を直接熱処理して遠心上清を取るか、血液を100倍位に希釈してから熱処理する必要があった。本発明の方法により核酸吸着固相体上でLAMP法を行えば、直接、蛍光や白濁による目視検出が可能である。遠心操作や希釈操作が不要になるので、本発明はLAMP法のPOCT化に極めて有用である。また、例えば喀痰を検体として結核菌の有無を検査する場合には、血液ダイレクト法のような手法は使用できない。検体のある部分に結核菌はいなくても、他の部分にいる可能性があるからである。このような場合にも本発明の方法を用いれば、採取された喀痰の全量に含まれる核酸を簡便、迅速にフィルター上に吸着させて濃縮し、LAMP法にかけることができるので、検査の信頼度は格段に向上することになる。
【0025】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。ただし、これらの実施例は説明のためのものであり、本発明の技術的範囲を制限するものではない。
【実施例1】
核酸結合性固相体に吸着した核酸を鋳型にした LAMP 反応
血液は健常人から採血し、抗凝固剤としてヘパリンナトリウム(清水製薬)を血液1mlあたり10単位添加した。血液中の白血球数は、LeucoCOUNT(登録商標) Kit(Becton Dickinson)を用いてフローサイトメーター(FACS Calibur(登録商標)、Becton Dickinson)で測定した。血液0.25ml中の白血球数は、1.08x106個であった。この血液を0.25mlづつ分注して-80℃で凍結し、下記の実験に使用した。
【0026】
フィルターは次のものを使用した。旭化成(株)の不織布A040C01(ポリエチレンテレフタレート); Whatman社の濾紙GF/DVA(ガラス)、F145-02、3MMChr(セルロース)、31ETChr(セルロース)、17Chr(セルロース)、CD427-05、D28、WF1.5、Whatman BioScience Purification System(WBPS)のIsolation Vessels中のメインフィルター; Millipore社のメンブランフィルターNY1104700(ナイロン、孔径11μm)、AN5002500(ポリプロピレン、孔径5μm)、SMWP01300(セルロースアセテートとニトロセルロースの混合物、孔径5μm)、LCWP01300(PTFE、孔径10μm)、SVLP01300(ポリビニリデンフロライド、孔径5μm)、VCWP01300(セルロースアセテートとニトロセルロースの混合物、孔径0.1μm)、GSWP01300(セルロースアセテートとニトロセルロースの混合物、孔径0.22μm)、HAWP01300(セルロースアセテートとニトロセルロースの混合物、孔径0.45μm);アドバンテック東洋(株)のメンブランフィルターA100A013A(セルロースアセテートとニトロセルロースの混合物、孔径1μm)、A300A013A(セルロースアセテートとニトロセルロースの混合物、孔径3μm); NBC(株)のネットフィルターN-355T(ナイロン、孔径37μm)、N-150T(ナイロン、孔径108μm);テルモ(株)の多孔質ポリウレタンシート イムガード(登録商標)III‐RCのメインフィルター;Y.S.K.開発センターの織布(綿、三角布)。
【0027】
上記フィルターを直径12mmの円盤状に切断して、その1枚をフィルターホルダー(SWINNEX、MILLIPORE)にセットし、フィルターホルダーの上流には10 mlの注射筒、下流には吸引ポンプを設置してフィルターホルダーに接続した。最初に3mlのDigestion Buffer(10mM Tris pH8;100mM NaCl;25mM EDTA;0.5% SDS)でフィルターを洗浄した。Digestion Bufferがフィルターを通りにくい場合には、あらかじめフィルターをエタノールで処理した。
【0028】
まず、0.25mlのヒト凍結保存血に、37℃であらかじめ加温しておいた2x Digestion Buffer(20mM Tris pH8;200mM NaCl;50mM EDTA;1% SDS)を0.25ml加え、更にProteinase K(PCR-Grade、 Roche)を0.05 μg加えて、37℃で加温しながら時々チューブを反転させて凍結保存血を溶解した。完全に溶解してから、更に室温で5分放置した。
【0029】
この処理で赤血球、白血球は完全に破壊された。この血液抽出液を上記のフィルターにかけて直ちに吸引濾過した。吸引だけでは濾過が困難である場合は、プランジャーを使用して押し出した。但し、VCWP01300は完全に目詰まりして濾過できなかった。吸引しながら9mlのDigestion Bufferを流してフィルターを洗浄した。次に、3mlの1M NaClを含むPBS/1mM EDTA、最後に5mlのTE Buffer(10mM Tris pH8;1mM EDTA)を流してフィルターを洗浄した。それから、フィルターをホルダーから取り外して下記LAMP反応に供した。
【0030】
また、核酸結合性樹脂としてXtrana社のXtra Amp(登録商標)Extraction Systemを使用して、キット添付の説明書に従って核酸吸着樹脂を作製した。Xtra Amp(登録商標)Tubeに75μlのLysis Buffer(キット付属)を加えて室温で5分放置した。次にヒト凍結保存血を37℃に加温して溶解し、その75μlを上記Tubeに加えて、泡立てないように5回ピペッティングした。室温で10分放置後、更に10回ピペッティングして液を除いた。このTubeに200μlのWash Buffer(キット付属)を加えて10回ピペッティングして液を除き、更にこの洗浄操作を2回繰り返した。最後の洗浄液を完全に除いた後、Tubeから樹脂を削り取って下記LAMP反応に供した。
【0031】
LAMP反応は、次のように行った。まず、ヒトβアクチン遺伝子(Genebank Accession No.M10277)の配列から、LAMP法の増幅オリゴヌクレオチドプライマーをデザインした。配列番号1のF3プライマー、配列番号2のFIPプライマー、配列番号3のLoopFプライマー、配列番号4のB3プライマー、配列番号5のBIPプライマー、配列番号6のLoopBプライマーをデザインして、日本バイオサービス社に依頼して化学的に合成した。
【0032】
LAMP増幅の反応液には、F3プライマーとB3プライマーをそれぞれ0.2μM、FIPフ゜ライマーとBIPプライマーをそれぞれ1.6μM、LoopFプライマーとLoopBプライマーをそれぞれ0.8μM、1.4mM dNTPs、0.8M Betaine、20mM Tris-HCl(pH8.8)、10mM KCl、10mM (NH4)2SO4、0.1% Triton(登録商標)X-100、6.4 unitsのBst DNA polymerase large fragment (New England Biolabs)を含み、MgSO4濃度が8mMになるように加えた。
【0033】
上記で調製した各種フィルターを3mm四方に切断したもの、または削り取ったXtra Amp(登録商標)樹脂をマイクロチューブに移し、これに先のLAMP用反応液20μl加え、65℃のヒートブロック上で30分間インキュベートした。反応終了後、80℃で5分間処理して酵素を失活させた後、4℃に冷却し、反応産物の一部をアガロースゲル電気泳動にかけて増幅の有無を確認した。電気泳動は2%アガロースゲルを用い、100V 30分間泳動した後、エチジウムブロマイドによって染色し、UV照射下での発光を観察した。結果を図1〜図4に示す。以上の結果から、ガラスやセルロース製の濾紙、綿製の織布、多孔質ポリウレタンシート、核酸結合性樹脂、孔径0.2 〜11μmのメンブランフィルターにより作製した核酸吸着固相体はLAMP反応の鋳型DNAとして有効であることが判ったが、孔径37μmと108μmのナイロンネットフィルターではLAMP増幅は起こらなかった。また、孔径0.1μmのメンブランフィルターでは濾過ができず、核酸吸着フィルターを作製できなかった。
【0034】
【実施例2】
核酸結合性粒子に吸着した核酸を鋳型にした LAMP 反応
血液は健常人から採血し、抗凝固剤としてヘパリンナトリウム(清水製薬)を血液1mlあたり10単位添加する。Dynabeads(登録商標)DNA DIRECT(登録商標)Blood キット(DYNAL BIOTECH社)付属のRed Cell Lysis Buffer A 1mlを上記血液100μlに加えて混合し、室温で5分放置する。この溶液をエッペンドルフチューブに入れて13,000rpmで30秒遠心し、上清を捨てる。この沈殿に上記キット付属のDynabeads(登録商標)200μlを添加して、1回ピペッティングする。
【0035】
室温で5分放置した後、チューブをDynal MPC-Sにセットして1分放置し、Dynabeads(登録商標)を集めてDNA/Dynabeads(登録商標)複合体が壊れないように気をつけながら注意深く上清を捨てる。更に、1mlの1xWashing Bufferを加えてDNA/Dynabeads(登録商標)複合体が壊れないように気をつけながら注意深くピペッティングしてDynal MPC-Sにセットして1分放置し、上清を捨てる。この操作を2回繰り返して洗浄した後、DNA/Dynabeads(登録商標)複合体に上記キット付属のResuspension Buffer 200μlを添加して複合体が壊れないように気をつけながら注意深くピペッティングして、その2μlを実施例1のLAMP反応系に添加する。実施例1と同様に反応して解析すると核酸増幅が起こっていることが確認され、DNA/Dynabeads(登録商標)複合体もLAMP反応の鋳型として有効であることがわかる。
【0036】
【実施例3】
核酸吸着フィルター上で起こった LAMP 反応
フィルターは、Millipore社のAN5002500(ポリプロピレン、孔径5μm)を使用した。フィルターを直径12mmの円盤状に切断して、その1枚をフィルターホルダー(SWINNEX、MILLIPORE)にセットし、フィルターホルダーの上流には10 mlの注射筒、下流には吸引ポンプを設置してフィルターホルダーに接続した。最初に3mlのDigestion Buffer(10mM Tris pH8;100mM NaCl;25mM EDTA;0.5% SDS)でフィルターを洗浄した。
【0037】
試料血液として、株式会社日本バイオテスト研究所より購入したウシの血液を使用した。この血液は、無菌的に採取後、アルセイバー氏液(0.55g/L クエン酸、8g/Lクエン酸ナトリウム、4.2g/L 塩化ナトリウム、20.5g/L ブドウ糖)を等量添加したものである。ウシ血液0.25mlに、37℃に加温した2x Digestion Buffer(20mM Tris pH8;200mM NaCl;50mM EDTA;1% SDS)を0.25ml加え、更にProteinase K(PCR-Grade、 Roche)を0.05 μg加えて、これを37℃の水浴で時々加温しながら完全に溶解した。室温で5分放置後、この血液抽出液をフィルターにかけて直ちに吸引濾過し、血球から抽出したゲノムDNAをフィルターに吸着させた。それから、吸引しながら8mlのDigestion Bufferを流してフィルターを洗浄した。次に、3mlの1M NaClを含むPBS/1mM EDTA、最後に3mlのTE バッファー(10mM Tris pH8;1mM EDTA)を流してフィルターを洗浄した。フィルターホルダーからフィルターを取り出して2x3mmに切り取り、1.5mlのチューブに移した。
【0038】
このチューブに、LAMP反応液としてLoopamp(登録商標)牛胚性判別試薬キット(栄研化学株式会社)に含まれるReaction Mix IIを40μl、Bst DNA polymeraseを2μl、TEバッファーを7μl添加した。これに1μlの1nmol/μlのDIG-11-dUTP(ロッシュダイアグノスティックス)を添加し、全量を50μlとし、63℃にて1時間置きLAMP法による核酸増幅を行った。
このLAMP産物のうち1μlを1%アガロースゲルにて電気泳動を行った後、エチジウムブロマイドにて染色を行った(図5)。
図5から、標識ヌクレオチドであるDIG-11-dUTP存在下においても、非存在下と同様にLAMP法による核酸増幅が液相で起こったことが判る。更に、Loopamp(登録商標)牛胚性判別試薬キットを用いたLAMP法による核酸増幅がウシ由来の核酸に特異的であることが示された。
【0039】
一方、LAMP反応後のフィルターを適当な洗浄液、例えばTEバッファーにて洗浄を行ってLAMP反応液を除去し、アルカリフォスファターゼ標識抗DIG抗体(ロッシュダイアグノスティックス)とアルカリフォスファターゼの基質NBT/BCIP(ロッシュダイアグノスティックス)とを使って、LAMP法による核酸増幅反応中に取り込まれたDIG-11-dUTPを検出した(図6)。
図6は、DIG-11-dUTPを取り込んだLAMP増幅産物がフィルター上に存在することを示しており、LAMP法による核酸増幅がフィルター上でも起こったことが判る。
【0040】
以上の結果、フィルター上に吸着したゲノムDNAを鋳型としたLAMP法による核酸の増幅が、液相とフィルター上との両方で起こっていることが示された。
【0041】
【実施例4】
核酸吸着フィルター上に吸着した RNA からの LAMP 反応
フィルターは、Millipore社のAN5002500(ポリプロピレン、孔径5μm)を使用した。フィルターを直径12mmの円盤状に切断して、その1枚をフィルターホルダー(SWINNEX、MILLIPORE)にセットし、フィルターホルダーの上流には10 mlの注射筒、下流には吸引ポンプを設置してフィルターホルダーに接続した。最初に3mlのDigestion Buffer(10mM Tris pH8;100mM NaCl;25mM EDTA;0.5% SDS)でフィルターを洗浄した。
【0042】
RNAは、1×107個の培養細胞株THP-1からTRIzol(登録商標)Reagent
(Invitrogen)を使って精製したTotal RNAを使用した。Total RNA 1μgまたは3μgを含むPBS(-)溶液1mlを95℃にて10分間加熱後、氷上において急冷した。これをフィルターホルダーの上流にセットした10mlの注射筒にいれ、ピストンにて押し出し、RNA溶液をフィルターに通した。次に8mlのDigestion Bufferを通してフィルターを洗浄し、次に、3mlの1M NaClを含むPBS/1mM EDTA、最後に3mlのTE バッファー(10mM Tris pH8;1mM EDTA)を通してフィルターを洗浄した。フィルターホルダーからフィルターを取り出して2mm×2mmに切り取り、1.5mlのチューブに移した。
【0043】
1st strand cDNAの合成は、SuperScript(登録商標)II RNaseH- Reverse Transcriptase(Gibco BRL)を用いた。47.5μlの1st strand cDNAの合成反応液(500μg/ml Oligo(dT)12-18;0.5mM dNTP Mix;10mM DTT;1×First-Strand Buffer)を、先のフィルターの入ったチューブに添加し、42℃にて2分間置いた。これに、500unitのSuperScriptII(登録商標)RNaseH- Reverse Transcriptaseを添加し、42℃に1時間置き、1st strand cDNAの合成を行った。フィルターを取り出し、TEバッファー中で洗浄した後、新しいマイクロチューブに移した。
【0044】
これに実施例1に記載したヒトβアクチン遺伝子増幅用のLAMP反応液 50μlを加え、65℃のヒートブロック上で30分間インキュベートした。反応終了後、80℃で5分間処理して酵素を失活させた後、4℃に冷却し、反応産物の一部をアガロースゲル電気泳動にかけて増幅の有無を確認した。電気泳動は2%アガロースゲルを用い、100V 30間泳動した後、エチジウムブロマイドによって染色し、UV照射下での発光を観察した。結果を図7に示す。
図7は、本増幅にはReverse Transcriptaseが必須であること、すなわち混在した DNAでなく RNAを鋳型とした核酸増幅が起こったこと、更に1μgの Total RNAがあれば核酸増幅が可能であることを示している。
【0045】
【発明の効果】
本発明を用いれば、核酸の精製からLAMP法による核酸増幅まで一貫して迅速に行うことが可能になる。
【0046】
【配列表】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1のLAMP増幅のアガロースゲル電気泳動解析の結果を示す。
【符号の説明】
M:100bp DNAラダー(Gibco BRL)
Lane1、2:A040C01
Lane3、4:WF1.5
Lane5、6:D28
Lane7、8:CD427-05
Lane9、10:17Chr
Lane11、12:31ETChr
Lane13、14:3MMChr
Lane15、16:F145-02
Lane17、18:GF/DVA
奇数番号のLaneは血液を通したフィルター、偶数番号のLaneはBufferのみを通したフィルター(ブランク)である。
【図2】実施例1のLAMP増幅のアガロースゲル電気泳動解析の結果を示す。
【符号の説明】
M:100bp DNAラダー(Gibco BRL)
Lane1、2:A040C01
Lane3、4:WBPS
Lane5、6:NY1104700
Lane7、8:AN5002500
Lane9、10:SMWP01300
Lane11、12:LCWP01300
Lane13、14:SVLP01300
奇数番号のLaneは血液を通したフィルター、偶数番号のLaneはBufferのみを通したフィルター(ブランク)である。
【図3】実施例1のLAMP増幅のアガロースゲル電気泳動解の結果を示す。
【符号の説明】
M:100bp DNAラダー(Gibco BRL)
Lane1、2:N-355T
Lane3、4:N-150T
Lane5、6:A300A013A
Lane7、8:A100A013A
Lane9、10:HAWP01300
Lane11、12:GSWP01300
Lane13、14:A040C01
奇数番号のLaneは血液を通したフィルター、偶数番号のLaneはBufferのみを通したフィルター(ブランク)である。
【図4】実施例1のLAMP増幅のアガロースゲル電気泳動解析の結果を示す。
M:100bp DNAラダー(Gibco BRL)
Lane1、2::綿織布
Lane3:イムガード(登録商標)―RC
Lane4、5:Xtra Amp(登録商標)
Lane6、7:A040C01
Lane1,3,4,6は血液を処理したフィルターまたは樹脂、Lane2,5,7はBufferのみを通したフィルターまたは樹脂(ブランク)である。
【図5】実施例3のLAMP増幅のアガロースゲル電気泳動解析結果を示す。
【符号の説明】
M:1kbp DNAラダー(Gibco BRL)
Lane1:ヒト血液由来の核酸を吸着させたフィルターをテンプレート(DIG-11-dUTP無し)
Lane2:ウシ血液由来の核酸を吸着させたフィルターをテンプレート(DIG-11-dUTP無し)
Lane3:ウシ血液由来の核酸を吸着させたフィルターをテンプレート(DIG-11-dUTP有り)
【図6】実施例3のフィルター上のLAMP増幅産物の検出結果を示す。
LAMP法のテンプレートして用いたウシ血液由来の核酸を吸着させたフィルターのアルカリフォスファターゼ染色。
【符号の説明】
No.2:LAMP反応液中にDIG-11-dUTPを含まない
No.3:LAMP反応液中にDIG-11-dUTPを含む。
【図7】実施例4のフィルター上に吸着したRNAからのLAMP反応結果を示す。
【符号の説明】
M:100bp DNAラダー(Gibco BRL)
Lane1:1μg Total RNA
Lane2:3μg Total RNA
Lane3:3μg Total RNA、Reverse Transcriptase無し(コントロール)
Claims (15)
- 不織布と異なる核酸結合性固相体に核酸を吸着させて、該吸着核酸を鋳型としてLAMP(Loop-Mediated Isothermal Amplification)法により核酸を増幅する方法。
- 吸着核酸が、RNAであり、該RNAに逆転写酵素を作用させてDNAを合成し、該DNAに対してLAMP法を行う請求項1に記載の方法。
- 核酸結合性固相体が核酸結合性フィルターである請求項1または2に記載の方法。
- 核酸結合性フィルターが、濾紙、織布、マトリックスまたは膜である請求項3に記載の方法。
- 核酸結合性フィルターが、メンブランフィルターまたはネットフィルターであって、該フィルターの孔径が0.2〜30μmである請求項3に記載の方法。
- 核酸結合性フィルターの素材が、ナイロン、ポリプロピレン、セルロース、セルロースアセテートとニトロセルロースの混合物、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフロライド、ガラス、綿またはポリウレタンである請求項3〜5のいずれかに記載の方法。
- 核酸結合性固相体が、核酸結合性粒子である請求項1または2に記載の方法。
- 核酸結合性粒子の素材が、シリカ、イオン交換樹脂またはハイドロキシアパタイトである請求項7に記載の方法。
- 以下の工程を含む細胞の核酸を吸着したフィルターを作製する方法;
(1) 細胞を破壊して細胞抽出液を調製する工程
(2) 該細胞抽出液を不織布と異なる核酸結合性フィルターに接触させて、該細胞抽出液中の核酸を該フィルターに吸着させる工程 - 細胞抽出液を不織布と異なる核酸結合性フィルターに接触させる方法が濾過である請求項9に記載の方法。
- 細胞抽出液中の核酸を不織布と異なる核酸結合性フィルターに吸着させる工程の後に、該フィルターを洗浄する工程を行う請求項9または10に記載の方法。
- 次の工程よりなる核酸の増幅方法;
(1) 細胞を破壊して細胞抽出液を調製する工程
(2) 該細胞抽出液を不織布と異なる核酸結合性フィルターに接触させて、細胞抽出液中の核酸を核フィルターに吸着させる工程
(3) 該吸着核酸を鋳型としてLAMP法により核酸を増幅する工程 - 細胞抽出液を不織布と異なる核酸結合性フィルターに接触させる方法が濾過である請求項12に記載の方法。
- 細胞抽出液中の核酸を不織布と異なる核酸結合性フィルターに吸着させる工程の後に、該フィルターを洗浄する工程を行う請求項12または13に記載の方法。
- 吸着核酸が、RNAであり、該RNAに逆転写酵素を作用させてDNAを合成し、該DNAに対してLAMP法を行う請求項12〜14のいずれかに記載の方法。
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---|---|---|---|
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