JP2004190148A - 染色方法及びそれによって染色された染色物 - Google Patents
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Abstract
【課題】天然染料を使用して得られる自然な色調を活かしながらも、堅牢性に優れた染色物を提供すること。
【解決手段】合成染料と、動植物抽出成分からなる天然染料の両方を用いて被染色物を染色する染色方法である。このとき、合成染料と天然染料とを同時に用いて超臨界流体中で染色する染色方法や、合成染料で染色する工程と天然染料を用いて超臨界流体中で染色する工程とを有する染色方法が好適である。こうすることによって、周辺環境への負荷の小さい染色方法を提供することができ、動植物に含まれる有効成分も併せて含浸することもできる。
【選択図】 なし
【解決手段】合成染料と、動植物抽出成分からなる天然染料の両方を用いて被染色物を染色する染色方法である。このとき、合成染料と天然染料とを同時に用いて超臨界流体中で染色する染色方法や、合成染料で染色する工程と天然染料を用いて超臨界流体中で染色する工程とを有する染色方法が好適である。こうすることによって、周辺環境への負荷の小さい染色方法を提供することができ、動植物に含まれる有効成分も併せて含浸することもできる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成染料と、動植物抽出成分からなる天然染料の両方を用いて被染色物を染色する染色方法に関する。また、その方法によって染色された染色物に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、繊維製品の染色は、ほとんどの場合、合成染料を用いて行われている。合成染料は大量、かつ安価に製造することが可能であり、望む色に容易に染着することができるものである。
【0003】
しかしながら、近年の消費者は、必ずしも化学合成された染料を用いた染色物を好むものではなく、天然物を志向する傾向が認められるようになってきている。したがって染料においても、動植物等の天然物から抽出された天然染料を使用したものを好む消費者が少なくない。例えば、植物から抽出された抽出物で直接繊維を染色する、いわゆる草木染めは、その自然な色調や風合いから、多くの愛好者がいるものである。このような草木染料で染色したものは、合成染料を調合して染色したものと比べて、独特の味わいのある風合いを示すものである。
【0004】
特開平4−245981号公報(特許文献1)には、超臨界二酸化炭素中で繊維材料を分散染料で染色する方法が記載されている。水の代わりに超臨界状態の二酸化炭素を染色時の媒体として使用し、使用後の二酸化炭素を回収再使用することで、廃水汚染の問題が起こらないとされている。しかしながらここで使用されている染料は化学合成された分散染料であり、それで再生又は合成疎水性繊維に染色する方法が記載されているのみである。
【0005】
また、特開2001−226884号公報(特許文献2)には、超臨界二酸化炭素とその共溶媒を染液に用いて繊維を染色する方法が記載されている。ここで使用される染料として草木染料も記載されているが、多種類列挙された染料の中の一例として記載されているのみである。
【0006】
【特許文献1】
特開平4−245981号公報(特許請求の範囲、第7頁、第14頁)
【特許文献2】
特開2001−226884号公報(特許請求の範囲、第3頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、動植物から抽出されて得られる天然の染料成分は、染色するために最適化された化合物ではなく、多くの場合不純物等を含む多数の化合物の集合物であるために、効率的な染色が容易ではない。通常の草木染めにおいては、一度の染色操作では薄い色しか染着されず、何回も繰り返してようやく所望の色にまで染着できる場合も珍しくない。また、草木染めされた布帛の堅牢度は一般に十分ではなく、洗濯や日光の照射などによる色褪せを防止することは困難であった。
【0008】
一方、合成染料は、所望の色彩に染色することが容易であり、その堅牢度も良好なものが多いが、その染色条件は、いわゆる草木染めの染色条件とは大きく異なる場合が多い。また、分散染料や油溶性染料などの合成染料は、染色可能な繊維素材が草木染料とは大きく異なることもあり、合成染料と草木染料の両方の染料で染色された布帛はこれまで知られていなかった。
【0009】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、天然染料を使用して得られる自然な風合いを活かしながらも、堅牢性に優れた染色物を提供することを目的とするものである。特に、超臨界流体を用いて染色する場合には、周辺環境への負荷の小さい染色方法を提供することができる。また、染料の組み合わせによっては、天然染料の自然な風合いを有しつつ、繊維製品の使用時に独特の二色感が味わえて、古着感を表現できる染色物を提供することもできる。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、合成染料と、動植物抽出成分からなる天然染料の両方を用いて被染色物を染色する染色方法を提供することによって解決される。これら両方の染料を用いて染色することによって、天然染料独特の風合いを活かしながら、洗濯や日光の照射による色褪せを抑制することが可能である。
【0011】
好適な実施態様の一つは、前記合成染料と前記天然染料とを同時に用いて、超臨界流体中で染色する染色方法である。超臨界流体中であれば、染着特性の異なる両方の染料で同時に染色をすることが容易である。また、好適な他の実施態様は、前記合成染料で染色する工程と、前記天然染料を用いて超臨界流体中で染色する工程とを有する染色方法である。これらの実施態様においては、前記天然染料が超臨界流体中で動植物から抽出されるものであり、抽出時に超臨界流体を形成する媒質を分離することなく、そのまま超臨界流体中での染色に供されることが、揮発成分の損失を最小限に抑えることができ、消費エネルギー量を抑制でき、しかも操作も簡略化できて好ましい。このとき、前記超臨界流体が共溶媒を含有することが、天然染料の染着性を良好にできて好ましい。
【0012】
また、天然染料のみを用いて染色した染色物の色彩を予め分析しておき、その分析結果と同じ色彩データになる比率で配合した合成染料と、前記天然染料の両方を用いて染色することも好ましい。この方法によれば、天然染料の色褪せを目立たなくすることが可能である。逆に、合成染料のみを用いて染色した染色物の色相と、天然染料のみを用いて染色した染色物の色相とが異なるような組み合わせで、合成染料と天然染料を選択して、これら両染料で染色することが好ましい場合もある。こうすることによって、使用による適度な色落ちが発生して、色の変化を楽しめるので、カジュアル衣料に好適である。
【0013】
本発明の染色方法において使用される合成染料が分散染料又は油溶性染料であることが好ましい。分散染料や油溶性染料は疎水性の染料であるために、本来草木染料などの天然染料で染められる素材を染色することは困難である。それを可能にした点で、本発明の染色方法を採用する意義が大きいものだからである。また、前記被染色物がポリエステル繊維又はナイロン繊維であることも好ましい。これらは比較的疎水性の繊維であるために、本来草木染料などの天然染料で染めることが困難であるが、それを可能にした点に意義がある。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明は、合成染料と、動植物抽出成分からなる天然染料の両方を用いて被染色物を染色する染色方法である。
【0015】
本発明で使用する天然染料は、動植物抽出成分からなるものである。染料成分が抽出される動植物は、被染色物、特に繊維を染色することの可能な成分を含有するものであれば特に限定されない。一般的には植物が、いわゆる草木染めとして好んで使用される。動植物は、そのままでも抽出操作に供することが可能であるが、保存性や品質の均質性を担保することが容易であることから、乾燥したものが好適に用いられる。
【0016】
抽出に供される動植物、特に植物としては、クチナシ実、アカネ、紅花、キハダ、スオウ、ログウッド、唐辛子、紫根、五倍子、藍、ウコン、エンジュ、カリヤス、カテキュー、クルミ、ケブラチョ、コチニール、ザクロ、タンガラ、チョウジ、ビンロウジ、ミロバラン、矢車、ヤマモモ、ヨモギが例示される。これらの動植物、特に乾燥植物を用いて、水あるいは超臨界流体中で抽出し、そのまま水あるいは超臨界流体中で染色しても良いし、これらの動植物から抽出した染料であって未精製のものである、いわゆる草木染め用染料を用いて染色しても良い。
【0017】
染色可能な動植物の主なものを色分けして列記すると以下のとおりである。
赤色:アカネ、紅花、コチニール、よそご、ラック
黄色:ウコン、クチナシ、藤、くわ、ヒイラギナンテン
緑色:くず、ヤマモモ、ずみ、すすき、セイタカアワダチソウ
紫色:紫根、紫草、五倍子、はぜのき、ログウッド
青色:藍、インド藍、琉球藍、やま藍、くさぎ
【0018】
動植物に含まれる有効成分を染色と同時に含浸させる観点からは、上記動植物から直接抽出することが好ましいが、動植物から抽出されて市販されている天然染料を使用することもできる。このような天然染料としては、紫根、ウコン、藍、エンジュ、シブキ、ヤマモモ、コガネバナ、ザクロ、ミロバラン、五倍子、クルミ、カテキュー、タンガラ、紫檀、アカネ、スオウ、ラックダイ、ログウッド、赤キャベツ、クチナシブルー、紫イモなどが挙げられる。
【0019】
また、染色可能な染料成分であるとともに、食用にも用いられている食用色素も、言わば動植物から抽出された天然染料の一種であるということができる。このように食用にもなるものは、特に安全性が要求される用途では有用である。このような食用色素であって、本発明に使用できるものの例としては、ウコン、シソ、赤大根、赤キャベツ、ブドウ果皮、アカネ、クチナシ黄、クチナシ赤、クチナシ青、コウリャン、ビート、紅花黄、紅花赤、カカオ、植物炭末色素、タマリンド、エルダーベリー、紫イモ、紅麹、紅麹黄、唐辛子、柿、ベニノキ、ラックカイガラムシ、クロロフィル、スピルリナが挙げられる。
【0020】
このような天然染料で染色すると同時に、染料以外の機能成分を被染色物、特に繊維に含浸させることも好適である。含浸させる機能成分としては、保温性、薬効性、芳香性、抗菌性、消臭性、防虫性、防ダニ性等の各種の機能を発揮するものが例示される。動植物からの抽出物の中には、染料成分のみならず各種の機能成分、例えば芳香成分、薬効成分あるいは抗菌成分などが含まれている場合も多いが、このような場合には、染料成分と併せてこれらの成分をも繊維等に含浸させて繊維等に機能性を付与することができ、染色された繊維等の付加価値を向上させることができる。例えば、漢方薬やハーブに用いられている動植物は各種の薬効成分を含んでいるが、同時に染料成分を含んでいることも多く、染色と同時に繊維等の中にこれら薬効成分を含浸させることができる。具体的な例としては、ウコンに含まれるクルクミンは薬効性及び抗菌性を有する成分であるが、これは黄色に染められる染料成分でもある。特に、超臨界流体中で染色する場合に、このような機能成分を効果的に被染色物に含浸させることが可能である。
【0021】
薬効成分を有し、しかも染色可能な植物の例としては、藍、アカネ、シソ、エンジュ、ウコン、クチナシ、唐辛子、紅花、紫根、ヨモギ、ドクダミなどが例示される。
【0022】
本発明で使用する合成染料は、特に限定されるものではない。分散染料、油溶性染料、反応染料、反応分散染料、直接染料、酸性染料、塩基性染料、スレン染料、硫化染料、インジゴ染料及び含金染料を例示することができる。これらの合成染料は、被染色物の種類や、染色条件などに対応して適宜選択される。中でも、洗濯堅牢度や耐光堅牢度の良好な分散染料及び油溶性染料が好適なものとして例示され、特に分散染料が最適である。
【0023】
また、後述するように超臨界流体中で合成染料を用いて染色する場合には、超臨界流体中での染色性が良好な、分散染料、油溶性染料、直接染料及び反応分散染料が好適に使用される。これらのうちでも分散染料、油溶性染料及び直接染料がより好適に使用され、分散染料及び油溶性染料がさらに好適に使用される。
【0024】
本発明の染色方法によって染色される被染色物は特に限定されるものではないが繊維が最も有用である。綿、レーヨン、ナイロン(6、66)、ポリエステル、アクリル、ポリプロピレン、絹、羊毛、アセテート、トリアセテート、ポリエチレン、アラミド(メタ系及びパラ系)、ポリウレタン、ビニロン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどを例示することができる。後述するように、超臨界流体中で天然染料での染色操作を行う場合には、比較的疎水性の繊維材料であっても天然染料で染色することが可能であるから、そのような繊維材料に対して染色する場合に本発明の染色方法を採用する意義が大きい。この観点からは、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ポリプロピレン、アセテート、トリアセテート、ポリエチレン、アラミド、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどが好適であり、ナイロン、ポリエステル及びポリウレタンがより好適であり、ナイロン及びポリエステルが最適である。繊維素材の形態としては、織布、編布、不織布等の布帛や、紙などを例示することができる。また、繊維以外にはフィルムやプラスチック成形品などの染色が可能である。
【0025】
染色する方法は特に限定されず、合成染料と天然染料とを同時に用いて一浴で一度に染色してもよいし、合成染料で染色する工程と天然染料で染色する工程を別個に行っても良い。
【0026】
このとき、天然染料で染色する操作を超臨界流体中で行うことが好適である。超臨界流体中で染色することによって、様々な素材からなる被染色物を効率良く天然染料で染色することが可能である。また、動植物に含まれる各種の有効成分を同時に含浸させることも容易である。なお、合成染料での染色も超臨界流体中で行うことが可能である。
【0027】
超臨界流体中で染色する際に、超臨界流体を形成する化合物は特に制限されるものではないが、安全性、染色条件等の点から二酸化炭素が好適である。二酸化炭素の場合には、臨界点は温度31.3℃、圧力7.4MPaであり、これを超える超臨界流体とすることが比較的容易である。
【0028】
水を溶媒として用いて、動植物から抽出された天然染料で染色する場合、染色のために最適化された合成染料を用いるわけではないので、短時間で濃色に染色することが困難な場合が多い。例えば10回程度も染色を繰り返してようやく求める色に達する、というような場合も少なくない。このような場合には、それに要する作業時間も多くなるし、廃水量も多量となる。それに対し、超臨界流体を用いた場合には、一度の操作で比較的濃色の染色が可能な場合が多い。
【0029】
また、動植物から染料成分を抽出する場合に、水で抽出する場合には、例えば熱湯中で、酸やアルカリ等の助剤を用いて何時間もかけて抽出するような場合が多いが、超臨界流体中で抽出することで、上記助剤等を使用しなくても短時間で効率よく抽出することが可能である。また、水では抽出されにくい成分も容易に抽出することが可能である。しかも、抽出した後でそのまま染色に供することもできることから操作的にも有利である。
【0030】
しかも、染色操作後に未使用の染料成分を含む超臨界二酸化炭素は、放圧することで容易に気化させることができるので、二酸化炭素のみを回収再使用することが容易であり、周辺環境に着色廃水を排出することがない。この点で、超臨界流体を使用する染色方法は極めて環境に優しい染色方法であるといえる。
【0031】
また、染色あるいは抽出に際しては、超臨界流体が共溶媒を含むと、親水性の染料成分を容易に抽出、染色できて好適である。動植物から抽出される天然染料成分は親水性のものであることが多いことから、親水性の染料成分を抽出、染色しやすいことは有用である。こうすることで、親水性の被染色物に対しても良好に染色することが可能である。また、原料の動植物から染料成分を抽出することも容易になる。
【0032】
ここで、超臨界流体として二酸化炭素を使用する際の共溶媒としては水又は極性有機溶媒が好ましい。極性有機溶媒としては、アルコール、ケトン、環状エーテル、アミド及びスルホキシドが挙げられる。アルコールとしてはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ウンデカノール、グリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール)、グリコール誘導体、エチルグリコール類、ブチルグリコール類、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの脂肪族アルコールが例示され、ケトンとしてはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、ジブチルケトンが例示される。そしてアミドとしてはジメチルホルムアミド(DMF)、スルホキシドとしてはジメチルスルホキシド(DMSO)、環状エーテルとしてはテトラヒドロフランがそれぞれ好適なものとして例示される。
【0033】
なかでも回収再使用を考慮すれば、比較的低沸点、例えば沸点が100℃以下であることが好適であり、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、THFなどが挙げられる。さらに作業者の安全性まで考慮した場合にはメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、アセトンが好適であり、エタノールが最適である。これらの共溶媒は1種のみならず、2種以上を同時に使用しても良く、特に水は単独で使用した場合には超臨界二酸化炭素に均質に溶解しない場合があるために他の有機溶媒と併せて使用することが好ましい。
【0034】
超臨界流体中に添加する共溶媒の量は0.01〜10%であることが好適である。0.01%よりも少ない場合には共溶媒添加の効果がほとんど認められず、親水性の染料成分の抽出操作、染色操作が効率的に行えない場合がある。より好適には0.1%以上であり、さらに好適には0.2%以上である。一方、共溶媒の量が10%を超える場合には染色性が低下するばかりでなく、染色後の繊維等に溶媒が残存し、溶媒除去のための後処理が別途必要になり好ましくない。より好適には5%以下、さらに好適には2%以下である。ここでいう「%」とは超臨界流体で満たされる容器中へ投入する共溶媒の常圧下での体積の、前記容器容積に対する割合に、100を掛けたものであり、
[(添加した共溶媒の体積)/(超臨界流体の体積)]×100
で示されるものである。
【0035】
超臨界流体中で染色するときの染色条件は、染色槽内が超臨界状態であればよく、特に限定されない。超臨界二酸化炭素中で染色する場合の好適な圧力は7〜35MPaである。7MPa未満では染料成分の抽出や染着がされにくくなる場合が多く、より好適には10MPa以上である。一方35MPaを超えると装置が大掛かりになって、染色に要するエネルギーも多くなってしまい、より好適には30MPa、さらに好適には25MPa以下である。また、超臨界二酸化炭素中で染色する場合の好適な温度は30〜250℃である。30℃未満の場合には染料成分の抽出がスムーズでなく、染色時間も長くなる場合がある。より好適には50℃以上、さらに好適には80℃以上である。一方250℃を超えると被染色物や染料が劣化する場合があり、特に熱に弱い天然物からなる染料成分を用いて染色する場合に劣化の問題が大きい。また、染色に要するエネルギーも大きくなる。より好適には200℃以下、さらに好適には150℃以下である。
【0036】
染色に要する時間は、使用する染料成分、染色される被染色物及び所望する濃度などにより適宜調整されるが、通常5〜200分である。水を溶媒にした染色において濃色に染めることが困難な天然染料を用いた場合であっても短い時間で所望の濃度にすることができる点で、本発明の意義がある。より好適には120分以内、さらに好適には60分以内である。一方、5分未満の時間では、所望の濃度が得られない場合が多いし、染色ムラも発生しやすくなる。より好適には10分以上、さらに好適には20分以上である。
【0037】
染色に際しては、動植物からの抽出物を染料として用いるが、この抽出物が超臨界流体中で抽出されたものであることが好ましい。特に、前記天然染料が、超臨界流体中で動植物から抽出されたものであり、抽出時に超臨界流体を形成する媒質を分離することなく、そのまま超臨界流体中での染色に供されることが好適である。こうすることによって、動植物から抽出された有効成分の揮発による損失を最小限に抑えることができ、消費エネルギー量を抑制でき、しかも操作も簡略化できて好ましい。
【0038】
このとき、染色槽に動植物及び被染色物を投入し、前記染色槽中で動植物からの染料の抽出と、被染色物の染色とを同時に行う染色方法が好適である。この場合には、同一染色槽内に染料成分を抽出するための動植物と染色に供する被染色物とを同時に投入し、超臨界流体中で同時に抽出操作と染色操作を行うことになる。このとき、動植物と被染色物とが直接接触すると繊維の汚染や染色ムラが発生しやすいことから、両者が直接接触しないように配置することが好ましい。具体的には、例えば動植物を網、かごあるいはガーゼ等に包んで、直接被染色物に触れないようにすることが好ましい。この方法の場合には、超臨界流体で処理するための槽が一槽で済むことから、色替え時の清掃が容易で、要する超臨界流体量も少なくて済む点から好適である。また、槽や配管の数が少なくて良いので装置の簡略化も可能である。
【0039】
また、染料抽出槽と染色槽を有する染色装置を用い、前記染料抽出槽で動植物から染料を抽出し、前記染色槽で被染色物を染色し、これら両槽の間で超臨界流体を循環させる染色方法も好適である。この方法では、染料抽出槽に動植物を投入し、その中で染料成分が超臨界流体によって抽出される。固形分が散逸しないようにするためには、例えばガーゼ等に包む、あるいは金網に入れることなどが好ましい。また、染料抽出槽から染色槽に流れる配管にフィルターを設けて、動植物由来の不溶成分が染色槽に入らないようにすることも好ましい。抽出された染料成分は染色槽の中で被染色物の染色に利用され、染色後の超臨界流体はポンプ等を用いて、再び染料抽出槽に送られることになる。この方法によれば、抽出と染色を並行して行い、抽出された分だけ徐々に染色を行うことができるために、均質な染色を行うことが可能である。また、循環して染料抽出槽に導入される超臨界流体は含有する染料濃度が低くなっているために効率的な抽出が可能である。
【0040】
染色に際して共溶媒を使用する場合には、超臨界状態になっている染色槽あるいは染料抽出槽中に後から共溶媒を供給しても良いし、予め動植物や被染色物を投入する際に共溶媒も一緒に投入しておいて、後から二酸化炭素を供給して超臨界状態にしても良い。
【0041】
また、上記超臨界流体中で天然染料を用いて染色する際に、合成染料も同時に用いて両方の染料で染色する場合には、染色槽あるいは染料抽出槽のいずれかに合成染料を直接投入してもよい。共溶媒を使用する場合には、共溶媒に合成染料を溶解させておいてから投入しても構わない。
【0042】
本発明の染色方法によって染色された染色物に対し、染色した後にさらに媒染を行ってもよい。動植物から抽出された染料成分は、染色堅牢度が不十分な場合も多く、このような場合には媒染によってそれを改善できて、合成染料の併用と併せて、さらに堅牢度が向上する場合がある。
【0043】
このとき、使用する媒染剤は特に限定されるものではないが、金属塩を用いることが好適である。金属塩としてはアルミニウム塩、チタン塩、クロム塩、マンガン塩、鉄塩、銅塩、スズ塩などが例示される。またその他に、石灰、明礬、灰汁などを使用することもできる。このとき、媒染剤と共に酢酸等の有機酸を助剤として併用することもできる。媒染剤は本発明の染色方法によって得られた染色物を染色槽から取り出して、媒染剤の水溶液に浸漬して行うことも可能であるが、染色槽に直接媒染剤の溶液を導入して、超臨界流体中で媒染処理をすることが好ましい。こうすることによって、装置や操作を簡略化できるのみならず、金属イオンを含有する事が多い媒染剤の廃液を周辺環境に排出することを防ぐことも可能である。
【0044】
超臨界流体中に投入する際の媒染剤溶液の溶媒は特に限定されないが、媒染剤の溶解性を考慮すると水溶液または極性有機溶媒の溶液であることが好ましく、特に水溶液あるいは水と極性有機溶媒の混合溶媒からなる溶液であることが好ましい。媒染剤溶液の投入量は、染色時に投入する共溶媒の量と同程度であることが好ましい。
【0045】
また、本発明の染色方法で得られた染色物に対して後から媒染処理を施すだけでなく、繊維等に対して先に媒染処理をしてから、後に本発明の染色方法で染色することも可能である。
【0046】
超臨界流体中で染色する場合には、染色後に放圧することによって、二酸化炭素を気化させて容易に染料成分と分離することが可能である。これによって廃水を排出することがなく環境に優しい染色方法を提供できる。また染料の抽出操作や媒染操作を超臨界二酸化炭素中で行う場合も、同様に二酸化炭素を気化させるだけでよいので廃水を排出することがない。気化させた二酸化炭素は回収、再使用が可能である。
【0047】
染色に際して共溶媒を使用する場合には、染色後に二酸化炭素を気化させて容易に染料成分及び共溶媒から分離することできる。残った染料成分と共溶媒の混合物からは、共溶媒成分を蒸留によって分離することができるので、共溶媒成分も二酸化炭素同様に回収、再使用が可能である。結局のところ、最終的な残渣は僅かな染料成分などだけである。
【0048】
本発明の好適な実施態様の一つは、前記合成染料と前記天然染料とを同時に用いて、超臨界流体中で染色する染色方法である。水を媒質に用いて染色する場合には、これらを同時に用いて染色することは困難な場合が多いが、超臨界流体中であれば、性質の異なる両方の染料で同時に染色をすることが可能になるものである。
【0049】
水を媒質に用いて染色する場合、例えば、分散染料や油溶性染料は100℃を超える高温で染色処理されるし、酸性染料は90℃に近い高温で染色処理される場合が多い。また、反応分散染料は染液に浸漬した後で高温のスチームで処理する場合が多い。これに対し、草木染料などの天然染料の多くはもっと低温で染色することが多く、このように高温での染色には耐えない場合が多い。また、反応染料はアルカリ性の染液中で使用されるし、スレン染料、硫化染料あるいはインジゴ染料は、アルカリ性で還元剤を含む染液中で使用される。ところが、草木染料などの天然染料の多くは中性に近い条件で染色する場合が多く、アルカリ性の染液中での染色には耐えない場合もある。
【0050】
したがって、このような合成染料と天然染料を組み合わせて染色する際に、この染色方法は特に有効である。こうすることによって、染色時間の短縮も可能であるし、廃液の排出も防止することができる。このとき、縫製加工品を超臨界流体中で染色することも、型崩れを防止できて好ましい。また、天然染料での染色時に有効成分が含浸される場合には、それらが縫製加工時に最終製品から散逸するのを防止することもできる。
【0051】
また、本発明の好適な他の実施態様は、前記合成染料で染色する工程と、前記天然染料を用いて超臨界流体中で染色する工程とを有する染色方法である。合成染料を使用して染色する場合には、大量かつ効率的に染色することが容易であるから、予めまとめて染色しておくことができる。そして、天然染料については別途個別に染色することができる。このとき、合成染料での染色操作は水系の染液を使用して大量に染色することが好ましく、天然染料での染色操作は超臨界流体中で行うことが好ましい。染色の順番は、先に合成染料で染色してから、続いて天然染料で染色する順番が好ましい。こうすることによって、合成染料での染色工程において、堅牢度の低い天然染料が色落ちするのを防止できる。また、後から天然染料で染色することによって、天然染料に含まれる各種の有効成分を製品中に残存させやすい。
【0052】
例えば、予め合成染料を含有する水系の染浴を用いて、大量の布帛をまとめて染色しておき、引き続き、天然染料による小ロットの染色を、超臨界流体中で行う染色方法が好適な方法として例示される。このとき、合成染料での染色後に縫製加工を施して、その後縫製加工品を天然染料で染色することも好ましい。超臨界流体中で染色する際には、型崩れを起こしにくいので、縫製加工品を染色することが好適である。後加工がほとんど必要ないので、天然染料での染色時に有効成分が含浸される場合には、それらが縫製加工時に最終製品から散逸するのを防止することもできる。
【0053】
また、本発明の好適な実施態様としては、天然染料のみを用いて染色した染色物の色彩を予め分析しておき、その分析結果と同じ色彩データになる比率で配合した合成染料と、前記天然染料の両方を用いて染色する染色方法が挙げられる。例えば、天然染料での染色物について、コンピューター・カラー・マッチング・システムなどの測定・解析機器を用いて色彩データを取得し、続いて、予め合成染料で作成しておいた調色データに基づいて同色になるような比率で複数の合成染料を調合する。こうして調合した合成染料と、天然染料とを用いて染色することにより、天然染料のみを使用した場合との色調や風合いの差の小さい染色物を得ることが可能である。
【0054】
ここで、コンピューター・カラー・マッチング・システムとは、染色物の色彩を測定し、その数値データを算出し、染色物ごとの色彩の相違を解析することのできるシステムのことをいう。具体的には、基本となる染色物を分光測定することによって、LabやK/Sなどの各種の測色データを取得し、染料や染色物の基礎解析蓄積データから、その色彩を再現するための染料の配合割合を算出し、それに基づいて染色した後で、基本となる染色物との色彩の差(ΔE)を算出するような操作の可能なシステムである。
【0055】
このような方法で染色することによって、洗濯や日光照射によって天然染料が退色した場合であっても、その退色があまり目立たないようにすることができる。天然染料独特の自然な色調を維持しながら、長期間の使用によっても退色を目立たないようにできる点で、好適な実施態様である。天然染料としての自然な色調を発現でき、しかも天然染料の退色が目立たないような割合で、両者を使用することが好ましい。それぞれの染料の染色濃度への寄与度で表現すれば、天然染料/合成染料の配合比は、好適には30/70〜95/5である。天然染料の染色濃度への寄与度が30%未満の場合には、自然な色調が認められにくくなることがあり、より好適には50%以上である。一方、合成染料の染色濃度への寄与度が5%未満の場合には、堅牢度の改善が十分でない場合が多く、より好適には10%以上である。
【0056】
さらに、本発明の別の好適な実施態様としては、合成染料のみを用いて染色した染色物の色相と、天然染料のみを用いて染色した染色物の色相とが異なるような組み合わせで、合成染料と天然染料を選択して、これら両染料で染色する染色方法も挙げられる。この場合には、堅牢度に劣る天然染料が先に退色する場合が多く、退色した部分の色調が変化することになる。日光の照射や、洗濯操作などによって不均一な色落ちが発生して、二色感を味わうことができ、古着感の表現された衣料になるので、カジュアル衣料の染色方法として好適である。
【0057】
本発明の染色方法によって得られた染色物は、天然染料独特の自然な色調を有しながら、堅牢度を向上させることができるものである。得られる染色物の形態は特に限定されるものではないが、各種繊維製品、特に衣料品として好適に使用される。
【0058】
【実施例】
実施例1
容量500mlのオートクレーブに乾燥紫根(株式会社田中直染料店製)1gを金網に入れて投入し、同時に被染色物としてナイロン布10gを投入した後、密封し、二酸化炭素を注入して20MPaまで昇圧させた。続いて、共溶媒としてエタノール5mlを注入し、120℃、20MPaの状態を30分間保ち、染色操作を行った。放圧後に取り出したサンプルを試料1とした。
【0059】
また、分散剤が混入されていない下記の、赤、黄、青の3種類の分散染料を使用して、倉敷紡績株式会社製コンピューター・カラーマッチング・システム「AUCOLOR−NF2」を用いて、上記条件と同一の染色条件でナイロン布を染色して、調色データを採取しておいた。
赤:日本化薬株式会社製「カヤセットRED−B」
黄:日本化薬株式会社製「カヤセットYELLOW−AG」
青:日本化薬株式会社製「カヤセットBLUE−A2R」
【0060】
上記紫根での染色布である試料1を、上記コンピューター・カラーマッチング・システムを用いて測色した結果、上記分散染料を赤0.05%owf、黄0%owf及び青0.06%owfの割合で配合する場合と一致した。赤0.05%owf及び青0.06%owfの分散染料を使用して、試料1と同様の条件で染色したサンプルを試料2とした。
【0061】
容量500mlのオートクレーブに乾燥紫根0.75g(試料1の3/4量)を金網に入れて投入し、また前記分散染料の赤0.0125%owf及び青0.015%owf(試料2の1/4量)を投入し、同時に被染色物としてナイロン布10gを投入した後、密封し、二酸化炭素を注入して20MPaまで昇圧させた。続いて、共溶媒としてエタノール5mlを注入して昇温し、120℃、20MPaの状態を30分間保ち、染色操作を行った。放圧後に取り出したサンプルを試料3とした。
【0062】
染色直後の各試料の色調を比較すると、紫根のみで染色した試料1は、天然染料特有の、味わい及び深みのある独特の柔らかい色調を呈していたが、分散染料のみで染色した試料2は、いわば純粋な紫色をしており、その色合いに深みが感じられないものであった。これに対し、紫根と分散染料とを染色濃度への寄与度75/25の割合で配合使用した試料3は、一見したところ試料1と区別がつかない色調であり、天然染料独特の上記色調を有するものであった。
【0063】
得られた試料1、2及び3について、堅牢度を測定した。摩擦堅牢度はJISL−0849に、洗濯堅牢度はJIS L−0844に、日光堅牢度はJISL−0842にそれぞれ準拠して測定した。その結果を表1に示す。
【0064】
【表1】
【0065】
表から明らかなように、洗濯堅牢度、日光堅牢度ともに、紫根のみで染色した試料1に比べて、紫根と分散染料とを併用した試料3の方が優れていた。洗濯堅牢度試験及び日光堅牢度試験後の試料については、紫根のみで染色した試料1については、明らかに認識される色褪せであったのに対し、紫根と分散染料とを併用した試料3の色褪せは、それほど目立つものではなかった。しかも、色褪せても特に色調が変化することはなく、天然繊維独特の自然な色調は保有したままであった。
【0066】
実施例2
容量500mlのオートクレーブに乾燥アカネ(株式会社田中直染料店製)1gを金網に入れて投入し、また前記分散染料の赤0.02%owfを投入し、同時に被染色物としてナイロン布10gを投入した後、密封し、二酸化炭素を注入して20MPaまで昇圧させた。続いて、共溶媒としてエタノール5mlを注入して昇温し、120℃、20MPaの状態を45分間保ち、染色操作を行った。放圧後に取り出したサンプルを試料4とした。
【0067】
また、試料4を作成する方法において、分散染料を使用せず、乾燥アカネのみを使用して染色した以外は試料4と同様にして、アカネのみで染色したサンプルを試料5とした。
【0068】
染色直後の各試料の色調を比較するとアカネと分散染料とを併用した試料4は、一見したところアカネのみで染色した試料5と区別がつかない色調であり、天然染料独特の自然な色調を有するものであった。また、得られた試料4及び5について、前記実施例1と同様にして堅牢度を測定した。その結果を表2に示す。
【0069】
【表2】
【0070】
表から明らかなように、洗濯堅牢度、日光堅牢度ともに、アカネのみで染色した試料5に比べて、アカネと分散染料とを併用した試料4の方が優れていた。洗濯堅牢度試験及び日光堅牢度試験後の試料については、アカネのみで染色した試料1については、明らかに認識される色褪せであったのに対し、アカネと分散染料とを併用した試料3の色褪せは、それほど目立つものではなかった。しかも、色褪せても特に色調が変化することはなく、天然繊維独特の自然な色調は保有したままであった。
【0071】
実施例3
予め水系の染色浴で、分散染料を用いてベージュ色に染色された市販のポリエステル布10gと乾燥ウコン(株式会社田中直染料店製)1gを容量500mlのオートクレーブに投入した後、密封し、二酸化炭素を注入して20MPaまで昇圧させた。続いて、共溶媒としてアセトン5mlを注入して昇温し、120℃、20MPaの状態を30分間保ち、染色操作を行った。放圧後に取り出したサンプルを試料6とした。
【0072】
染色直後は全体が均一な濃黄色に染色されていたが、得られた試料を部分的に日光に照射したり、洗濯したりすると、ウコンの黄色が部分的に退色して、退色した部分がベージュ色を呈して、色ムラが発生した。また、試料をズボンの膝の部分に縫い付けて数日間着用したところ、同様の色ムラが発生した。この色ムラは、日光のよく当たる部分や、洗濯時及び着用時によく擦れる部分に対して顕著であって、そのため、独特の古着感が表現されることがわかった。また、ウコンの黄色はクルクミンという薬効成分に由来することが知られていることから、染色直後の布帛にはこのような薬効成分が含浸されていることもわかる。
【0073】
【発明の効果】
本発明の染色方法によれば、天然染料を使用して得られる自然な風合いを活かしながらも、堅牢性に優れた染色物を提供することができる。特に、超臨界流体を用いて染色する場合には、周辺環境への負荷の小さい染色方法を提供することができ、動植物に含まれる有効成分も併せて含浸することも可能である。また、染料の組み合わせによっては、天然染料の自然な色調を有しつつ、繊維製品の使用時に独特の二色感が味わえて、古着感を表現できる染色物を提供することもできる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成染料と、動植物抽出成分からなる天然染料の両方を用いて被染色物を染色する染色方法に関する。また、その方法によって染色された染色物に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、繊維製品の染色は、ほとんどの場合、合成染料を用いて行われている。合成染料は大量、かつ安価に製造することが可能であり、望む色に容易に染着することができるものである。
【0003】
しかしながら、近年の消費者は、必ずしも化学合成された染料を用いた染色物を好むものではなく、天然物を志向する傾向が認められるようになってきている。したがって染料においても、動植物等の天然物から抽出された天然染料を使用したものを好む消費者が少なくない。例えば、植物から抽出された抽出物で直接繊維を染色する、いわゆる草木染めは、その自然な色調や風合いから、多くの愛好者がいるものである。このような草木染料で染色したものは、合成染料を調合して染色したものと比べて、独特の味わいのある風合いを示すものである。
【0004】
特開平4−245981号公報(特許文献1)には、超臨界二酸化炭素中で繊維材料を分散染料で染色する方法が記載されている。水の代わりに超臨界状態の二酸化炭素を染色時の媒体として使用し、使用後の二酸化炭素を回収再使用することで、廃水汚染の問題が起こらないとされている。しかしながらここで使用されている染料は化学合成された分散染料であり、それで再生又は合成疎水性繊維に染色する方法が記載されているのみである。
【0005】
また、特開2001−226884号公報(特許文献2)には、超臨界二酸化炭素とその共溶媒を染液に用いて繊維を染色する方法が記載されている。ここで使用される染料として草木染料も記載されているが、多種類列挙された染料の中の一例として記載されているのみである。
【0006】
【特許文献1】
特開平4−245981号公報(特許請求の範囲、第7頁、第14頁)
【特許文献2】
特開2001−226884号公報(特許請求の範囲、第3頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、動植物から抽出されて得られる天然の染料成分は、染色するために最適化された化合物ではなく、多くの場合不純物等を含む多数の化合物の集合物であるために、効率的な染色が容易ではない。通常の草木染めにおいては、一度の染色操作では薄い色しか染着されず、何回も繰り返してようやく所望の色にまで染着できる場合も珍しくない。また、草木染めされた布帛の堅牢度は一般に十分ではなく、洗濯や日光の照射などによる色褪せを防止することは困難であった。
【0008】
一方、合成染料は、所望の色彩に染色することが容易であり、その堅牢度も良好なものが多いが、その染色条件は、いわゆる草木染めの染色条件とは大きく異なる場合が多い。また、分散染料や油溶性染料などの合成染料は、染色可能な繊維素材が草木染料とは大きく異なることもあり、合成染料と草木染料の両方の染料で染色された布帛はこれまで知られていなかった。
【0009】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、天然染料を使用して得られる自然な風合いを活かしながらも、堅牢性に優れた染色物を提供することを目的とするものである。特に、超臨界流体を用いて染色する場合には、周辺環境への負荷の小さい染色方法を提供することができる。また、染料の組み合わせによっては、天然染料の自然な風合いを有しつつ、繊維製品の使用時に独特の二色感が味わえて、古着感を表現できる染色物を提供することもできる。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、合成染料と、動植物抽出成分からなる天然染料の両方を用いて被染色物を染色する染色方法を提供することによって解決される。これら両方の染料を用いて染色することによって、天然染料独特の風合いを活かしながら、洗濯や日光の照射による色褪せを抑制することが可能である。
【0011】
好適な実施態様の一つは、前記合成染料と前記天然染料とを同時に用いて、超臨界流体中で染色する染色方法である。超臨界流体中であれば、染着特性の異なる両方の染料で同時に染色をすることが容易である。また、好適な他の実施態様は、前記合成染料で染色する工程と、前記天然染料を用いて超臨界流体中で染色する工程とを有する染色方法である。これらの実施態様においては、前記天然染料が超臨界流体中で動植物から抽出されるものであり、抽出時に超臨界流体を形成する媒質を分離することなく、そのまま超臨界流体中での染色に供されることが、揮発成分の損失を最小限に抑えることができ、消費エネルギー量を抑制でき、しかも操作も簡略化できて好ましい。このとき、前記超臨界流体が共溶媒を含有することが、天然染料の染着性を良好にできて好ましい。
【0012】
また、天然染料のみを用いて染色した染色物の色彩を予め分析しておき、その分析結果と同じ色彩データになる比率で配合した合成染料と、前記天然染料の両方を用いて染色することも好ましい。この方法によれば、天然染料の色褪せを目立たなくすることが可能である。逆に、合成染料のみを用いて染色した染色物の色相と、天然染料のみを用いて染色した染色物の色相とが異なるような組み合わせで、合成染料と天然染料を選択して、これら両染料で染色することが好ましい場合もある。こうすることによって、使用による適度な色落ちが発生して、色の変化を楽しめるので、カジュアル衣料に好適である。
【0013】
本発明の染色方法において使用される合成染料が分散染料又は油溶性染料であることが好ましい。分散染料や油溶性染料は疎水性の染料であるために、本来草木染料などの天然染料で染められる素材を染色することは困難である。それを可能にした点で、本発明の染色方法を採用する意義が大きいものだからである。また、前記被染色物がポリエステル繊維又はナイロン繊維であることも好ましい。これらは比較的疎水性の繊維であるために、本来草木染料などの天然染料で染めることが困難であるが、それを可能にした点に意義がある。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明は、合成染料と、動植物抽出成分からなる天然染料の両方を用いて被染色物を染色する染色方法である。
【0015】
本発明で使用する天然染料は、動植物抽出成分からなるものである。染料成分が抽出される動植物は、被染色物、特に繊維を染色することの可能な成分を含有するものであれば特に限定されない。一般的には植物が、いわゆる草木染めとして好んで使用される。動植物は、そのままでも抽出操作に供することが可能であるが、保存性や品質の均質性を担保することが容易であることから、乾燥したものが好適に用いられる。
【0016】
抽出に供される動植物、特に植物としては、クチナシ実、アカネ、紅花、キハダ、スオウ、ログウッド、唐辛子、紫根、五倍子、藍、ウコン、エンジュ、カリヤス、カテキュー、クルミ、ケブラチョ、コチニール、ザクロ、タンガラ、チョウジ、ビンロウジ、ミロバラン、矢車、ヤマモモ、ヨモギが例示される。これらの動植物、特に乾燥植物を用いて、水あるいは超臨界流体中で抽出し、そのまま水あるいは超臨界流体中で染色しても良いし、これらの動植物から抽出した染料であって未精製のものである、いわゆる草木染め用染料を用いて染色しても良い。
【0017】
染色可能な動植物の主なものを色分けして列記すると以下のとおりである。
赤色:アカネ、紅花、コチニール、よそご、ラック
黄色:ウコン、クチナシ、藤、くわ、ヒイラギナンテン
緑色:くず、ヤマモモ、ずみ、すすき、セイタカアワダチソウ
紫色:紫根、紫草、五倍子、はぜのき、ログウッド
青色:藍、インド藍、琉球藍、やま藍、くさぎ
【0018】
動植物に含まれる有効成分を染色と同時に含浸させる観点からは、上記動植物から直接抽出することが好ましいが、動植物から抽出されて市販されている天然染料を使用することもできる。このような天然染料としては、紫根、ウコン、藍、エンジュ、シブキ、ヤマモモ、コガネバナ、ザクロ、ミロバラン、五倍子、クルミ、カテキュー、タンガラ、紫檀、アカネ、スオウ、ラックダイ、ログウッド、赤キャベツ、クチナシブルー、紫イモなどが挙げられる。
【0019】
また、染色可能な染料成分であるとともに、食用にも用いられている食用色素も、言わば動植物から抽出された天然染料の一種であるということができる。このように食用にもなるものは、特に安全性が要求される用途では有用である。このような食用色素であって、本発明に使用できるものの例としては、ウコン、シソ、赤大根、赤キャベツ、ブドウ果皮、アカネ、クチナシ黄、クチナシ赤、クチナシ青、コウリャン、ビート、紅花黄、紅花赤、カカオ、植物炭末色素、タマリンド、エルダーベリー、紫イモ、紅麹、紅麹黄、唐辛子、柿、ベニノキ、ラックカイガラムシ、クロロフィル、スピルリナが挙げられる。
【0020】
このような天然染料で染色すると同時に、染料以外の機能成分を被染色物、特に繊維に含浸させることも好適である。含浸させる機能成分としては、保温性、薬効性、芳香性、抗菌性、消臭性、防虫性、防ダニ性等の各種の機能を発揮するものが例示される。動植物からの抽出物の中には、染料成分のみならず各種の機能成分、例えば芳香成分、薬効成分あるいは抗菌成分などが含まれている場合も多いが、このような場合には、染料成分と併せてこれらの成分をも繊維等に含浸させて繊維等に機能性を付与することができ、染色された繊維等の付加価値を向上させることができる。例えば、漢方薬やハーブに用いられている動植物は各種の薬効成分を含んでいるが、同時に染料成分を含んでいることも多く、染色と同時に繊維等の中にこれら薬効成分を含浸させることができる。具体的な例としては、ウコンに含まれるクルクミンは薬効性及び抗菌性を有する成分であるが、これは黄色に染められる染料成分でもある。特に、超臨界流体中で染色する場合に、このような機能成分を効果的に被染色物に含浸させることが可能である。
【0021】
薬効成分を有し、しかも染色可能な植物の例としては、藍、アカネ、シソ、エンジュ、ウコン、クチナシ、唐辛子、紅花、紫根、ヨモギ、ドクダミなどが例示される。
【0022】
本発明で使用する合成染料は、特に限定されるものではない。分散染料、油溶性染料、反応染料、反応分散染料、直接染料、酸性染料、塩基性染料、スレン染料、硫化染料、インジゴ染料及び含金染料を例示することができる。これらの合成染料は、被染色物の種類や、染色条件などに対応して適宜選択される。中でも、洗濯堅牢度や耐光堅牢度の良好な分散染料及び油溶性染料が好適なものとして例示され、特に分散染料が最適である。
【0023】
また、後述するように超臨界流体中で合成染料を用いて染色する場合には、超臨界流体中での染色性が良好な、分散染料、油溶性染料、直接染料及び反応分散染料が好適に使用される。これらのうちでも分散染料、油溶性染料及び直接染料がより好適に使用され、分散染料及び油溶性染料がさらに好適に使用される。
【0024】
本発明の染色方法によって染色される被染色物は特に限定されるものではないが繊維が最も有用である。綿、レーヨン、ナイロン(6、66)、ポリエステル、アクリル、ポリプロピレン、絹、羊毛、アセテート、トリアセテート、ポリエチレン、アラミド(メタ系及びパラ系)、ポリウレタン、ビニロン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどを例示することができる。後述するように、超臨界流体中で天然染料での染色操作を行う場合には、比較的疎水性の繊維材料であっても天然染料で染色することが可能であるから、そのような繊維材料に対して染色する場合に本発明の染色方法を採用する意義が大きい。この観点からは、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ポリプロピレン、アセテート、トリアセテート、ポリエチレン、アラミド、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどが好適であり、ナイロン、ポリエステル及びポリウレタンがより好適であり、ナイロン及びポリエステルが最適である。繊維素材の形態としては、織布、編布、不織布等の布帛や、紙などを例示することができる。また、繊維以外にはフィルムやプラスチック成形品などの染色が可能である。
【0025】
染色する方法は特に限定されず、合成染料と天然染料とを同時に用いて一浴で一度に染色してもよいし、合成染料で染色する工程と天然染料で染色する工程を別個に行っても良い。
【0026】
このとき、天然染料で染色する操作を超臨界流体中で行うことが好適である。超臨界流体中で染色することによって、様々な素材からなる被染色物を効率良く天然染料で染色することが可能である。また、動植物に含まれる各種の有効成分を同時に含浸させることも容易である。なお、合成染料での染色も超臨界流体中で行うことが可能である。
【0027】
超臨界流体中で染色する際に、超臨界流体を形成する化合物は特に制限されるものではないが、安全性、染色条件等の点から二酸化炭素が好適である。二酸化炭素の場合には、臨界点は温度31.3℃、圧力7.4MPaであり、これを超える超臨界流体とすることが比較的容易である。
【0028】
水を溶媒として用いて、動植物から抽出された天然染料で染色する場合、染色のために最適化された合成染料を用いるわけではないので、短時間で濃色に染色することが困難な場合が多い。例えば10回程度も染色を繰り返してようやく求める色に達する、というような場合も少なくない。このような場合には、それに要する作業時間も多くなるし、廃水量も多量となる。それに対し、超臨界流体を用いた場合には、一度の操作で比較的濃色の染色が可能な場合が多い。
【0029】
また、動植物から染料成分を抽出する場合に、水で抽出する場合には、例えば熱湯中で、酸やアルカリ等の助剤を用いて何時間もかけて抽出するような場合が多いが、超臨界流体中で抽出することで、上記助剤等を使用しなくても短時間で効率よく抽出することが可能である。また、水では抽出されにくい成分も容易に抽出することが可能である。しかも、抽出した後でそのまま染色に供することもできることから操作的にも有利である。
【0030】
しかも、染色操作後に未使用の染料成分を含む超臨界二酸化炭素は、放圧することで容易に気化させることができるので、二酸化炭素のみを回収再使用することが容易であり、周辺環境に着色廃水を排出することがない。この点で、超臨界流体を使用する染色方法は極めて環境に優しい染色方法であるといえる。
【0031】
また、染色あるいは抽出に際しては、超臨界流体が共溶媒を含むと、親水性の染料成分を容易に抽出、染色できて好適である。動植物から抽出される天然染料成分は親水性のものであることが多いことから、親水性の染料成分を抽出、染色しやすいことは有用である。こうすることで、親水性の被染色物に対しても良好に染色することが可能である。また、原料の動植物から染料成分を抽出することも容易になる。
【0032】
ここで、超臨界流体として二酸化炭素を使用する際の共溶媒としては水又は極性有機溶媒が好ましい。極性有機溶媒としては、アルコール、ケトン、環状エーテル、アミド及びスルホキシドが挙げられる。アルコールとしてはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ウンデカノール、グリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール)、グリコール誘導体、エチルグリコール類、ブチルグリコール類、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの脂肪族アルコールが例示され、ケトンとしてはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、ジブチルケトンが例示される。そしてアミドとしてはジメチルホルムアミド(DMF)、スルホキシドとしてはジメチルスルホキシド(DMSO)、環状エーテルとしてはテトラヒドロフランがそれぞれ好適なものとして例示される。
【0033】
なかでも回収再使用を考慮すれば、比較的低沸点、例えば沸点が100℃以下であることが好適であり、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、THFなどが挙げられる。さらに作業者の安全性まで考慮した場合にはメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、アセトンが好適であり、エタノールが最適である。これらの共溶媒は1種のみならず、2種以上を同時に使用しても良く、特に水は単独で使用した場合には超臨界二酸化炭素に均質に溶解しない場合があるために他の有機溶媒と併せて使用することが好ましい。
【0034】
超臨界流体中に添加する共溶媒の量は0.01〜10%であることが好適である。0.01%よりも少ない場合には共溶媒添加の効果がほとんど認められず、親水性の染料成分の抽出操作、染色操作が効率的に行えない場合がある。より好適には0.1%以上であり、さらに好適には0.2%以上である。一方、共溶媒の量が10%を超える場合には染色性が低下するばかりでなく、染色後の繊維等に溶媒が残存し、溶媒除去のための後処理が別途必要になり好ましくない。より好適には5%以下、さらに好適には2%以下である。ここでいう「%」とは超臨界流体で満たされる容器中へ投入する共溶媒の常圧下での体積の、前記容器容積に対する割合に、100を掛けたものであり、
[(添加した共溶媒の体積)/(超臨界流体の体積)]×100
で示されるものである。
【0035】
超臨界流体中で染色するときの染色条件は、染色槽内が超臨界状態であればよく、特に限定されない。超臨界二酸化炭素中で染色する場合の好適な圧力は7〜35MPaである。7MPa未満では染料成分の抽出や染着がされにくくなる場合が多く、より好適には10MPa以上である。一方35MPaを超えると装置が大掛かりになって、染色に要するエネルギーも多くなってしまい、より好適には30MPa、さらに好適には25MPa以下である。また、超臨界二酸化炭素中で染色する場合の好適な温度は30〜250℃である。30℃未満の場合には染料成分の抽出がスムーズでなく、染色時間も長くなる場合がある。より好適には50℃以上、さらに好適には80℃以上である。一方250℃を超えると被染色物や染料が劣化する場合があり、特に熱に弱い天然物からなる染料成分を用いて染色する場合に劣化の問題が大きい。また、染色に要するエネルギーも大きくなる。より好適には200℃以下、さらに好適には150℃以下である。
【0036】
染色に要する時間は、使用する染料成分、染色される被染色物及び所望する濃度などにより適宜調整されるが、通常5〜200分である。水を溶媒にした染色において濃色に染めることが困難な天然染料を用いた場合であっても短い時間で所望の濃度にすることができる点で、本発明の意義がある。より好適には120分以内、さらに好適には60分以内である。一方、5分未満の時間では、所望の濃度が得られない場合が多いし、染色ムラも発生しやすくなる。より好適には10分以上、さらに好適には20分以上である。
【0037】
染色に際しては、動植物からの抽出物を染料として用いるが、この抽出物が超臨界流体中で抽出されたものであることが好ましい。特に、前記天然染料が、超臨界流体中で動植物から抽出されたものであり、抽出時に超臨界流体を形成する媒質を分離することなく、そのまま超臨界流体中での染色に供されることが好適である。こうすることによって、動植物から抽出された有効成分の揮発による損失を最小限に抑えることができ、消費エネルギー量を抑制でき、しかも操作も簡略化できて好ましい。
【0038】
このとき、染色槽に動植物及び被染色物を投入し、前記染色槽中で動植物からの染料の抽出と、被染色物の染色とを同時に行う染色方法が好適である。この場合には、同一染色槽内に染料成分を抽出するための動植物と染色に供する被染色物とを同時に投入し、超臨界流体中で同時に抽出操作と染色操作を行うことになる。このとき、動植物と被染色物とが直接接触すると繊維の汚染や染色ムラが発生しやすいことから、両者が直接接触しないように配置することが好ましい。具体的には、例えば動植物を網、かごあるいはガーゼ等に包んで、直接被染色物に触れないようにすることが好ましい。この方法の場合には、超臨界流体で処理するための槽が一槽で済むことから、色替え時の清掃が容易で、要する超臨界流体量も少なくて済む点から好適である。また、槽や配管の数が少なくて良いので装置の簡略化も可能である。
【0039】
また、染料抽出槽と染色槽を有する染色装置を用い、前記染料抽出槽で動植物から染料を抽出し、前記染色槽で被染色物を染色し、これら両槽の間で超臨界流体を循環させる染色方法も好適である。この方法では、染料抽出槽に動植物を投入し、その中で染料成分が超臨界流体によって抽出される。固形分が散逸しないようにするためには、例えばガーゼ等に包む、あるいは金網に入れることなどが好ましい。また、染料抽出槽から染色槽に流れる配管にフィルターを設けて、動植物由来の不溶成分が染色槽に入らないようにすることも好ましい。抽出された染料成分は染色槽の中で被染色物の染色に利用され、染色後の超臨界流体はポンプ等を用いて、再び染料抽出槽に送られることになる。この方法によれば、抽出と染色を並行して行い、抽出された分だけ徐々に染色を行うことができるために、均質な染色を行うことが可能である。また、循環して染料抽出槽に導入される超臨界流体は含有する染料濃度が低くなっているために効率的な抽出が可能である。
【0040】
染色に際して共溶媒を使用する場合には、超臨界状態になっている染色槽あるいは染料抽出槽中に後から共溶媒を供給しても良いし、予め動植物や被染色物を投入する際に共溶媒も一緒に投入しておいて、後から二酸化炭素を供給して超臨界状態にしても良い。
【0041】
また、上記超臨界流体中で天然染料を用いて染色する際に、合成染料も同時に用いて両方の染料で染色する場合には、染色槽あるいは染料抽出槽のいずれかに合成染料を直接投入してもよい。共溶媒を使用する場合には、共溶媒に合成染料を溶解させておいてから投入しても構わない。
【0042】
本発明の染色方法によって染色された染色物に対し、染色した後にさらに媒染を行ってもよい。動植物から抽出された染料成分は、染色堅牢度が不十分な場合も多く、このような場合には媒染によってそれを改善できて、合成染料の併用と併せて、さらに堅牢度が向上する場合がある。
【0043】
このとき、使用する媒染剤は特に限定されるものではないが、金属塩を用いることが好適である。金属塩としてはアルミニウム塩、チタン塩、クロム塩、マンガン塩、鉄塩、銅塩、スズ塩などが例示される。またその他に、石灰、明礬、灰汁などを使用することもできる。このとき、媒染剤と共に酢酸等の有機酸を助剤として併用することもできる。媒染剤は本発明の染色方法によって得られた染色物を染色槽から取り出して、媒染剤の水溶液に浸漬して行うことも可能であるが、染色槽に直接媒染剤の溶液を導入して、超臨界流体中で媒染処理をすることが好ましい。こうすることによって、装置や操作を簡略化できるのみならず、金属イオンを含有する事が多い媒染剤の廃液を周辺環境に排出することを防ぐことも可能である。
【0044】
超臨界流体中に投入する際の媒染剤溶液の溶媒は特に限定されないが、媒染剤の溶解性を考慮すると水溶液または極性有機溶媒の溶液であることが好ましく、特に水溶液あるいは水と極性有機溶媒の混合溶媒からなる溶液であることが好ましい。媒染剤溶液の投入量は、染色時に投入する共溶媒の量と同程度であることが好ましい。
【0045】
また、本発明の染色方法で得られた染色物に対して後から媒染処理を施すだけでなく、繊維等に対して先に媒染処理をしてから、後に本発明の染色方法で染色することも可能である。
【0046】
超臨界流体中で染色する場合には、染色後に放圧することによって、二酸化炭素を気化させて容易に染料成分と分離することが可能である。これによって廃水を排出することがなく環境に優しい染色方法を提供できる。また染料の抽出操作や媒染操作を超臨界二酸化炭素中で行う場合も、同様に二酸化炭素を気化させるだけでよいので廃水を排出することがない。気化させた二酸化炭素は回収、再使用が可能である。
【0047】
染色に際して共溶媒を使用する場合には、染色後に二酸化炭素を気化させて容易に染料成分及び共溶媒から分離することできる。残った染料成分と共溶媒の混合物からは、共溶媒成分を蒸留によって分離することができるので、共溶媒成分も二酸化炭素同様に回収、再使用が可能である。結局のところ、最終的な残渣は僅かな染料成分などだけである。
【0048】
本発明の好適な実施態様の一つは、前記合成染料と前記天然染料とを同時に用いて、超臨界流体中で染色する染色方法である。水を媒質に用いて染色する場合には、これらを同時に用いて染色することは困難な場合が多いが、超臨界流体中であれば、性質の異なる両方の染料で同時に染色をすることが可能になるものである。
【0049】
水を媒質に用いて染色する場合、例えば、分散染料や油溶性染料は100℃を超える高温で染色処理されるし、酸性染料は90℃に近い高温で染色処理される場合が多い。また、反応分散染料は染液に浸漬した後で高温のスチームで処理する場合が多い。これに対し、草木染料などの天然染料の多くはもっと低温で染色することが多く、このように高温での染色には耐えない場合が多い。また、反応染料はアルカリ性の染液中で使用されるし、スレン染料、硫化染料あるいはインジゴ染料は、アルカリ性で還元剤を含む染液中で使用される。ところが、草木染料などの天然染料の多くは中性に近い条件で染色する場合が多く、アルカリ性の染液中での染色には耐えない場合もある。
【0050】
したがって、このような合成染料と天然染料を組み合わせて染色する際に、この染色方法は特に有効である。こうすることによって、染色時間の短縮も可能であるし、廃液の排出も防止することができる。このとき、縫製加工品を超臨界流体中で染色することも、型崩れを防止できて好ましい。また、天然染料での染色時に有効成分が含浸される場合には、それらが縫製加工時に最終製品から散逸するのを防止することもできる。
【0051】
また、本発明の好適な他の実施態様は、前記合成染料で染色する工程と、前記天然染料を用いて超臨界流体中で染色する工程とを有する染色方法である。合成染料を使用して染色する場合には、大量かつ効率的に染色することが容易であるから、予めまとめて染色しておくことができる。そして、天然染料については別途個別に染色することができる。このとき、合成染料での染色操作は水系の染液を使用して大量に染色することが好ましく、天然染料での染色操作は超臨界流体中で行うことが好ましい。染色の順番は、先に合成染料で染色してから、続いて天然染料で染色する順番が好ましい。こうすることによって、合成染料での染色工程において、堅牢度の低い天然染料が色落ちするのを防止できる。また、後から天然染料で染色することによって、天然染料に含まれる各種の有効成分を製品中に残存させやすい。
【0052】
例えば、予め合成染料を含有する水系の染浴を用いて、大量の布帛をまとめて染色しておき、引き続き、天然染料による小ロットの染色を、超臨界流体中で行う染色方法が好適な方法として例示される。このとき、合成染料での染色後に縫製加工を施して、その後縫製加工品を天然染料で染色することも好ましい。超臨界流体中で染色する際には、型崩れを起こしにくいので、縫製加工品を染色することが好適である。後加工がほとんど必要ないので、天然染料での染色時に有効成分が含浸される場合には、それらが縫製加工時に最終製品から散逸するのを防止することもできる。
【0053】
また、本発明の好適な実施態様としては、天然染料のみを用いて染色した染色物の色彩を予め分析しておき、その分析結果と同じ色彩データになる比率で配合した合成染料と、前記天然染料の両方を用いて染色する染色方法が挙げられる。例えば、天然染料での染色物について、コンピューター・カラー・マッチング・システムなどの測定・解析機器を用いて色彩データを取得し、続いて、予め合成染料で作成しておいた調色データに基づいて同色になるような比率で複数の合成染料を調合する。こうして調合した合成染料と、天然染料とを用いて染色することにより、天然染料のみを使用した場合との色調や風合いの差の小さい染色物を得ることが可能である。
【0054】
ここで、コンピューター・カラー・マッチング・システムとは、染色物の色彩を測定し、その数値データを算出し、染色物ごとの色彩の相違を解析することのできるシステムのことをいう。具体的には、基本となる染色物を分光測定することによって、LabやK/Sなどの各種の測色データを取得し、染料や染色物の基礎解析蓄積データから、その色彩を再現するための染料の配合割合を算出し、それに基づいて染色した後で、基本となる染色物との色彩の差(ΔE)を算出するような操作の可能なシステムである。
【0055】
このような方法で染色することによって、洗濯や日光照射によって天然染料が退色した場合であっても、その退色があまり目立たないようにすることができる。天然染料独特の自然な色調を維持しながら、長期間の使用によっても退色を目立たないようにできる点で、好適な実施態様である。天然染料としての自然な色調を発現でき、しかも天然染料の退色が目立たないような割合で、両者を使用することが好ましい。それぞれの染料の染色濃度への寄与度で表現すれば、天然染料/合成染料の配合比は、好適には30/70〜95/5である。天然染料の染色濃度への寄与度が30%未満の場合には、自然な色調が認められにくくなることがあり、より好適には50%以上である。一方、合成染料の染色濃度への寄与度が5%未満の場合には、堅牢度の改善が十分でない場合が多く、より好適には10%以上である。
【0056】
さらに、本発明の別の好適な実施態様としては、合成染料のみを用いて染色した染色物の色相と、天然染料のみを用いて染色した染色物の色相とが異なるような組み合わせで、合成染料と天然染料を選択して、これら両染料で染色する染色方法も挙げられる。この場合には、堅牢度に劣る天然染料が先に退色する場合が多く、退色した部分の色調が変化することになる。日光の照射や、洗濯操作などによって不均一な色落ちが発生して、二色感を味わうことができ、古着感の表現された衣料になるので、カジュアル衣料の染色方法として好適である。
【0057】
本発明の染色方法によって得られた染色物は、天然染料独特の自然な色調を有しながら、堅牢度を向上させることができるものである。得られる染色物の形態は特に限定されるものではないが、各種繊維製品、特に衣料品として好適に使用される。
【0058】
【実施例】
実施例1
容量500mlのオートクレーブに乾燥紫根(株式会社田中直染料店製)1gを金網に入れて投入し、同時に被染色物としてナイロン布10gを投入した後、密封し、二酸化炭素を注入して20MPaまで昇圧させた。続いて、共溶媒としてエタノール5mlを注入し、120℃、20MPaの状態を30分間保ち、染色操作を行った。放圧後に取り出したサンプルを試料1とした。
【0059】
また、分散剤が混入されていない下記の、赤、黄、青の3種類の分散染料を使用して、倉敷紡績株式会社製コンピューター・カラーマッチング・システム「AUCOLOR−NF2」を用いて、上記条件と同一の染色条件でナイロン布を染色して、調色データを採取しておいた。
赤:日本化薬株式会社製「カヤセットRED−B」
黄:日本化薬株式会社製「カヤセットYELLOW−AG」
青:日本化薬株式会社製「カヤセットBLUE−A2R」
【0060】
上記紫根での染色布である試料1を、上記コンピューター・カラーマッチング・システムを用いて測色した結果、上記分散染料を赤0.05%owf、黄0%owf及び青0.06%owfの割合で配合する場合と一致した。赤0.05%owf及び青0.06%owfの分散染料を使用して、試料1と同様の条件で染色したサンプルを試料2とした。
【0061】
容量500mlのオートクレーブに乾燥紫根0.75g(試料1の3/4量)を金網に入れて投入し、また前記分散染料の赤0.0125%owf及び青0.015%owf(試料2の1/4量)を投入し、同時に被染色物としてナイロン布10gを投入した後、密封し、二酸化炭素を注入して20MPaまで昇圧させた。続いて、共溶媒としてエタノール5mlを注入して昇温し、120℃、20MPaの状態を30分間保ち、染色操作を行った。放圧後に取り出したサンプルを試料3とした。
【0062】
染色直後の各試料の色調を比較すると、紫根のみで染色した試料1は、天然染料特有の、味わい及び深みのある独特の柔らかい色調を呈していたが、分散染料のみで染色した試料2は、いわば純粋な紫色をしており、その色合いに深みが感じられないものであった。これに対し、紫根と分散染料とを染色濃度への寄与度75/25の割合で配合使用した試料3は、一見したところ試料1と区別がつかない色調であり、天然染料独特の上記色調を有するものであった。
【0063】
得られた試料1、2及び3について、堅牢度を測定した。摩擦堅牢度はJISL−0849に、洗濯堅牢度はJIS L−0844に、日光堅牢度はJISL−0842にそれぞれ準拠して測定した。その結果を表1に示す。
【0064】
【表1】
【0065】
表から明らかなように、洗濯堅牢度、日光堅牢度ともに、紫根のみで染色した試料1に比べて、紫根と分散染料とを併用した試料3の方が優れていた。洗濯堅牢度試験及び日光堅牢度試験後の試料については、紫根のみで染色した試料1については、明らかに認識される色褪せであったのに対し、紫根と分散染料とを併用した試料3の色褪せは、それほど目立つものではなかった。しかも、色褪せても特に色調が変化することはなく、天然繊維独特の自然な色調は保有したままであった。
【0066】
実施例2
容量500mlのオートクレーブに乾燥アカネ(株式会社田中直染料店製)1gを金網に入れて投入し、また前記分散染料の赤0.02%owfを投入し、同時に被染色物としてナイロン布10gを投入した後、密封し、二酸化炭素を注入して20MPaまで昇圧させた。続いて、共溶媒としてエタノール5mlを注入して昇温し、120℃、20MPaの状態を45分間保ち、染色操作を行った。放圧後に取り出したサンプルを試料4とした。
【0067】
また、試料4を作成する方法において、分散染料を使用せず、乾燥アカネのみを使用して染色した以外は試料4と同様にして、アカネのみで染色したサンプルを試料5とした。
【0068】
染色直後の各試料の色調を比較するとアカネと分散染料とを併用した試料4は、一見したところアカネのみで染色した試料5と区別がつかない色調であり、天然染料独特の自然な色調を有するものであった。また、得られた試料4及び5について、前記実施例1と同様にして堅牢度を測定した。その結果を表2に示す。
【0069】
【表2】
【0070】
表から明らかなように、洗濯堅牢度、日光堅牢度ともに、アカネのみで染色した試料5に比べて、アカネと分散染料とを併用した試料4の方が優れていた。洗濯堅牢度試験及び日光堅牢度試験後の試料については、アカネのみで染色した試料1については、明らかに認識される色褪せであったのに対し、アカネと分散染料とを併用した試料3の色褪せは、それほど目立つものではなかった。しかも、色褪せても特に色調が変化することはなく、天然繊維独特の自然な色調は保有したままであった。
【0071】
実施例3
予め水系の染色浴で、分散染料を用いてベージュ色に染色された市販のポリエステル布10gと乾燥ウコン(株式会社田中直染料店製)1gを容量500mlのオートクレーブに投入した後、密封し、二酸化炭素を注入して20MPaまで昇圧させた。続いて、共溶媒としてアセトン5mlを注入して昇温し、120℃、20MPaの状態を30分間保ち、染色操作を行った。放圧後に取り出したサンプルを試料6とした。
【0072】
染色直後は全体が均一な濃黄色に染色されていたが、得られた試料を部分的に日光に照射したり、洗濯したりすると、ウコンの黄色が部分的に退色して、退色した部分がベージュ色を呈して、色ムラが発生した。また、試料をズボンの膝の部分に縫い付けて数日間着用したところ、同様の色ムラが発生した。この色ムラは、日光のよく当たる部分や、洗濯時及び着用時によく擦れる部分に対して顕著であって、そのため、独特の古着感が表現されることがわかった。また、ウコンの黄色はクルクミンという薬効成分に由来することが知られていることから、染色直後の布帛にはこのような薬効成分が含浸されていることもわかる。
【0073】
【発明の効果】
本発明の染色方法によれば、天然染料を使用して得られる自然な風合いを活かしながらも、堅牢性に優れた染色物を提供することができる。特に、超臨界流体を用いて染色する場合には、周辺環境への負荷の小さい染色方法を提供することができ、動植物に含まれる有効成分も併せて含浸することも可能である。また、染料の組み合わせによっては、天然染料の自然な色調を有しつつ、繊維製品の使用時に独特の二色感が味わえて、古着感を表現できる染色物を提供することもできる。
Claims (10)
- 合成染料と、動植物抽出成分からなる天然染料の両方を用いて被染色物を染色する染色方法。
- 前記合成染料と前記天然染料とを同時に用いて、超臨界流体中で染色する請求項1記載の染色方法。
- 前記合成染料で染色する工程と、前記天然染料を用いて超臨界流体中で染色する工程とを有する請求項1記載の染色方法。
- 前記天然染料が、超臨界流体中で動植物から抽出されるものであり、抽出時に超臨界流体を形成する媒質を分離することなく、そのまま超臨界流体中での染色に供される請求項2又は3に記載の染色方法。
- 前記超臨界流体が共溶媒を含有する請求項2〜4のいずれか記載の染色方法。
- 天然染料のみを用いて染色した染色物の色彩を予め分析しておき、その分析結果と同じ色彩データになる比率で配合した合成染料と、前記天然染料の両方を用いて染色する請求項1〜5のいずれか記載の染色方法。
- 合成染料のみを用いて染色した染色物の色相と、天然染料のみを用いて染色した染色物の色相とが異なるような組み合わせで、合成染料と天然染料を選択して、これら両染料で染色する請求項1〜5のいずれか記載の染色方法。
- 前記合成染料が分散染料又は油溶性染料である請求項1〜7のいずれか記載の染色方法。
- 前記被染色物がポリエステル繊維又はナイロン繊維である請求項1〜8のいずれか記載の染色方法。
- 請求項1〜9のいずれか記載の染色方法によって染色された染色物。
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