JP2004181975A - 積層体およびそれを用いた表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 コスト低減を図りつつ、たとえばディスプレイ視認面に設置した場合、耐衝撃性などの安全基準を容易に達成できる積層体およびこれを用いた表示装置を提供する。
【解決手段】 特定のパラメーターを有し、特定の厚みを有するディスプレイ用フィルタを用いることで、耐衝撃性が向上する。特定のヤング率と特定の厚みの透明粘着層を有するディスプレイ用フィルタを用いることで、耐衝撃性が向上する。特定のヤング率と特定の厚みの透明樹脂層を有するディスプレイ用フィルタを用いることで、耐衝撃性が向上する。特定の針入度と特定の厚みの衝撃吸収層を有するディスプレイ用フィルタを用いることで、耐衝撃性が向上する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、たとえばプラズマディスプレイ(PDP)、ブラウン管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、有機ELディスプレイ(OELD)、フィールドエミッションディスプレイ等のディスプレイの画面上に設置した場合、機械的強度の補強、破損に対する保護、電磁波の遮蔽、近赤外線の遮蔽、色調の変更などの機能を付与できる積層体およびこれを用いた表示装置に関する。
近年、社会が高度化するに従って、光エレクトロニクス関連部品、機器は著しく進歩している。その中で、画像を表示するディスプレイは、従来のテレビジョン装置用に加えて、コンピュータモニタ装置および情報端末装置用途にめざましく普及しつつある。その中でディスプレイの大型かつ薄型化、または携帯用途を目的とした小型かつ軽量化に対する市場の要求は高まる一方である。
ディスプレイの大型化および携帯用途を目的とした小型化を推し進めることにより安全性に対する問題が浮上する。
ディスプレイの視認面は通常ガラス板でできている。ガラス板はその面積が大きくなればなるほど外部からの衝撃を受けて割れやすくなる。また携帯して外部で持ち歩くことが多くなるほど外部からの衝撃を受ける機会が増加し、割れ易くなる。
外部からの衝撃に対するディスプレイの安全性については、以下の通り、電気用品取締り法によって規制されている。
例えば、ブラウン管の保護に関しては、最大部直径(角型の場合は、対角線長)の公称寸法が160mmを超えるブラウン管を有するものにあっては、ブラウン管をキャビネットに正常に取りつけた状態で、プラウン管の前面に、直径が50mm、重量が500gの剛球を高さ1400mmから振り子状に落としたときに、以下に適合する必要がある。すなわち(1)保護板が貼り合せガラスまたは合成樹脂のものにあっては、前面に破片が飛び散らないこと、(2)保護板が補強ガラスのものにあっては、ひび、割れその他の異常を生じないこと、(3)保護板を有しないものにあっては、前面に破片が飛び散らないこと、である。
ブラウン管の機械的強度に関しては、最大部直径(角型の場合は、対角線長)の公称寸法が160mmを超えるブラウン管を有するものにあっては、ブラウン管(保護板を有するものにあっては、保護板を含む。)を機械的方法または熱衝撃法により破壊したとき、ブラウン管の前方900mmおよび1500mmに設けた障壁間に飛散したガラスの破片の重量は、単片で15g以下、総重量で45g以下であり、かつ、重量が1gを越える破片は、ブラウン管前方1500mmに設けた障壁を超えて飛ばないこと、である。
機械的強度の加え方に関しては、例えばUL(Underwriters Laboratories Inc.)規格の中により具体的に規定されている。一例としては落下試験が挙げられる。この試験では表示素子を板の上に750mmの高さから落下させる。板は、厚み20mmの堅木の板である。厚み20mmの板を2枚併せて得られた、合せ板をコンクリート上に設置し、その上に該板を設置する。
大型かつ薄型化を実現することができるディスプレイとしては、従来から存在する液晶ディスプレイ(LCD)に加え、最近ではプラズマディスプレイパネル(PDP)が注目を集めており、次世代の大型ディスプレイとして期待されている。
PDPは、通常、その視認面に光学フィルタを備えている。この光学フィルタは、PDP本体から発生する電磁波および近赤外線を遮断する目的で用いられる。また、その光学フィルタはPDP本体の発光色を好ましい色調に変更する機能を併せ持つ場合が多い。
光学フィルタは、ガラス板または樹脂板からなる透明支持基体に機能を付与したものである。これまでのPDPは、光学フィルタの透明支持基体が前面保護板としての機能を有しているので、電気取締り法で定められている安全性基準を容易に達成できる。
しかし、PDPを市場に普及させるために、製造コストを大幅に低下させる必要性がある。その光学フィルタについてもコスト低減が要求され、透明支持基体の材料コスト、枚葉方式による製造コストなどが検討事項となる。
一方、液晶ディスプレイ(LCD)は、通常、視認面に偏光板、位相差板および反射防止機能を有するフィルム等を備えている。これらが実質的にディスプレイ保護機能を有するので、これまでのLCDは電気取締り法で定められている安全基準を容易に達成できる。
LCDの画面サイズは20インチまでが一般的であるが、ディスプレイの大型化に対する市場要求が急拡大しているため、LCDのさらなる大型化が図られている。しかし、基板となるガラスのサイズが大きくなればなるほど割れ易くなり、これまでの手法のままでは、ディスプレイが電気取締り法等で規定される安全性基準を満たすことが困難となってきている。
小型携帯端末用途のLCDは、頻繁に持ち歩くことを想定しているため、落としたり、ぶつけたりすることによって外部から衝撃を受ける機会が多い。これらは、視認面に設けられた偏光板および反射防止機能フィルムが有する保護機能によって、ある一定の大きさの衝撃に対する耐久性は有しているが、不十分である。実際、携帯端末メーカーが、ユーザーから受ける苦情の大部分は、LCDが割れるという現象に起因している。
有機ELディスプレイ(OELD)およびフィールドエミッションディスプレイ(FED)に関しても、LCDの場合と同様、大型化を図るとガラス基板が割れ易くなるため、電気取締り法に規定された安全基準を満たすことが難しい。小型携帯端末用途においても衝撃による破損や割れが問題になる。特にOELD、FEDの場合は、LCDが有していた偏光板および位相差板を持たないため、実質的保護部材が減少しており、LCDに比べてガラス基板が割れ易い。
本発明の目的は、コスト低減を図りつつ、たとえばディスプレイ視認面に設置した場合、耐衝撃性などの安全基準を容易に達成できる積層体およびこれを用いた表示装置を提供することである。
本発明者らは上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、
特定の衝撃試験で得られるパラメータが特定の範囲を有する積層体、および
透明粘着層と透明樹脂層と必要に応じて衝撃吸収層からなる積層体で、
透明粘着層のヤング率が特定の範囲にある、
透明樹脂層のヤング率が特定の範囲にある、
衝撃吸収層の針入度が特定の範囲にある、
のうちの少なくとも1つの要件を満たす積層体、
が、本発明における課題を解決することができるとの知見を得、本発明を完成した。
すなわち、本発明の課題は以下に示される事項により特定される発明によって解決することができる。
本発明は、1層以上の透明粘着層と、
1層以上の透明樹脂層とを備えた積層体であって、
(I)透明粘着層の少なくとも1層のヤング率が1×10〜1×10Pa、厚みが10〜500μmである、
(II)透明樹脂層の少なくとも1層のヤング率が1×10〜1×10Pa、厚みが10〜3000μmである、
(III)衝撃吸収層を含み、衝撃吸収層の少なくとも1層の針入度が50〜200である、
のうちの少なくとも1つの要件を満たすことを特徴とする積層体である。
また本発明は、1層以上の透明粘着層と、
1層以上の透明樹脂層とを備えた積層体であって、
(I)透明粘着層の少なくとも1層のヤング率が1×10〜1×10Pa、厚みが10〜500μmである、
(II)透明樹脂層の少なくとも1層のヤング率が1×10〜1×10Pa、厚みが10〜3000μmである、
(III)衝撃吸収層を含み、衝撃吸収層の少なくとも1層の針入度が50〜200である、および
(IV)透明樹脂層および/または衝撃吸収層を合計2層以上有し、JIS−A硬度の比が1.1以上の関係にある2層が存在する、
のうちの少なくとも1つの要件を満たすことを特徴とする積層体である。
本発明は、透明粘着層が、アクリル樹脂またはシリコン樹脂を主成分とすることを特徴とする。
本発明は、透明粘着層が、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリウレタン、および透明性を有するエラストマから選ばれる1種以上を含むことを特徴とする。
本発明は、衝撃吸収層が、シリコーン系ゲルを含むことを特徴とする。
本発明は、透明樹脂層のうち少なくとも1層が、0.01〜30Ω/□の面抵抗を有する透明導電層または金属メッシュ層を含むことを特徴とする。
本発明は、透明樹脂層のうち少なくとも1層が、反射防止機能、防眩機能、防汚機能、静電防止機能、偏光機能、および位相差形成機能から選ばれる少なくとも1つの機能を有することを特徴とする。
本発明は、透明樹脂層が、電磁波の全領域、近赤外線領域および可視光領域のうち少なくとも1つ電磁波をフィルタリングするフィルタ機能を有することを特徴とする。
本発明は、上述の積層体をディスプレイ視認面に設けたことを特徴する表示装置である。
以上詳説したように、本発明によれば、コスト低減が図られ、たとえばディスプレイ視認面に設置した場合、耐衝撃性などの安全基準を容易に達成できる。その結果、優れた耐衝撃性を有する大型表示装置または小型携帯端末用表示装置を低コストで実現できる。
以下、添付図面を参照して、本発明に従う積層体およびそれを用いた表示装置の好適な実施形態について説明する。
第1の積層体は、透明粘着層と、透明樹脂層と、必要に応じて衝撃吸収層とから形成され、重量が530g〜550gの範囲内にある鋼球を10cm高さから落球させる落球衝撃試験によって評価される。本発明のディスプレイ用フィルタは上記衝撃試験によって得られる応力−時間曲線において衝撃応力発生から第1のピークまでの時間:T(μs)と、第1のピーク時の衝撃応力:F(kN)との間に、
T/F ≧ 200
を満たしている。測定は、ストーンテーブル等の硬く安定な水平面上に日計電測製LC−20KNG702圧縮型ロードセル(定格容量20kN、定格出力1160*10−6strain)を固定し、ロードセル***部に5cm角のサンプルフィルムを固定し、室温下、530〜550gの鋼球を10cm高さから落下させて行う。その際の応力と時間とは、上記ロードセルとNEC三栄社製AS2102型動ひずみ計と、NEC三栄社製AP11−103型高速DCアンプと、NEC三栄社製RA1200型サーマルドットレコーダとを接続して測定する。
通常、耐衝撃性を高めるには衝撃応力を低減することが大きな要因であると考えられるが、応力だけでなく衝撃の発生時間も考慮した前記「T/F」値も、耐衝撃性を評価する重要なパラメータである。
本発明の前記耐衝撃性パラメータ「T/F」値は200以上、好ましくは230以上、より好ましくは250以上である。
前記「T/F」値が200未満となると、後述するPDPパネル等の表示部材に装着使用する際に該部材が破損する可能性が高まり、実用上好ましくない場合がある。また上記条件を満たす積層体は非常に高い耐衝撃性を有しており、前述の電気用品取締法やUL規格にも適合する。
本発明の第2の積層体は、透明粘着層と、透明樹脂層と、必要に応じて衝撃吸収層とからなり、
(I)透明粘着層の少なくとも1層のヤング率が1×10〜1×10Pa、厚みが10〜500μmである、
(II)透明樹脂層の少なくとも1層のヤング率が1×10〜1×10Pa、厚みが10〜3000μmである、
(III)衝撃吸収層の少なくとも1層の針入度が50〜200である、
の少なくとも1つの要件を満たしている。
以下、第1、第2の積層体の各層に関して詳しく説明する。
(透明粘着層)
透明粘着層のヤング率は1×10〜1×10Paの範囲が好ましく、透明粘着層の厚みは10〜500μmの範囲が好ましい。
透明粘着層は低い弾性を有するため、表示素子に衝撃が加わったとき、視認面のガラスへの衝撃を緩和でき、割れたガラスの飛散を防止できる。
該透明粘着層が、外部からの衝撃を吸収し、視認面へ伝えないようにするためには、該透明粘着層が外部からの衝撃によって、変形し、衝撃力を緩和し、打ち消すようにすればよいと考えられる。そのためには、透明粘着層の弾性をできるだけ低くすればよいと考えられる。
また、割れたガラスが飛散することを防止するためには、ガラス片が透明粘着層との間に有している密着力を超えて、ガラスが飛び出そうとしないようにすれば良いと考えられる。そのためには粘着剤自体が変形し、ガラス片が飛び出そうとする力を吸収し、打ち消すようにすれば良いと考えられる。この点からも透明粘着層の弾性をできるだけ低くすればよいと考えられる。
本発明における透明粘着層の弾性としては、ヤング率が1×10〜1×10Paの範囲が好ましく、より好ましくは1×10〜1×10Pa、さらにより好ましくは1×10〜1×10Paである。
透明粘着層のヤング率が大き過ぎる、すなわち1×10Paよりも大きくなると、表示素子に対して視認面側から衝撃が加わったり表示素子全体に機械的強度が加わった際に、該透明粘着層において衝撃を吸収することができず、視認面の基板ガラスが割れ易くなったり、飛散しやすくなる。
また透明粘着層のヤング率が小さすぎる、すなわち1×10Paよりも小さくなると、透明粘着層自体が破断し易くなり、割れたガラスの飛散防止が難しくなる。
本発明における透明粘着層はできるだけ透明であることが好ましい。ここで「透明である」とは、厚み100μmの場合に可視光線視感平均透過率(以下、視感平均透過率と略称することがある)が50%以上であることを言う。
透明粘着層に用いることができる材料としては、上述の条件を満たすことができれば特に指定はない。具体的に例示すると、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ビニル系粘着剤等である。中でもアクリル系粘着剤およびシリコーン系粘着剤は、元々弾性の低い材料を原料としており、本発明において特徴づけているような低いヤング率の層を作製しやすく、さらに透明性が高いため、好適に用いることができる。
(透明粘着剤の厚み)
本発明における透明粘着層の厚みは、10〜500μmの範囲が好ましく、より好ましくは50〜500μm、さらにより好ましくは100〜500μmである。厚みがあまり厚すぎる、すなわち500μmよりも大きくなると透明性を失ってしまう。また厚みがあまり薄すぎる、すなわち10μmよりも小さくなると、衝撃を吸収する機能を十分に発揮することができない。
(アクリル系粘着剤)
アクリル系粘着剤は安価であるため広く用いられている。アクリル系粘着剤はアクリルポリマを主原料におり、アクリル系粘着剤は基本構成のモノマ類を溶液重合することによって得られる。
溶液重合は通常、エステル類、芳香族炭化水素類、ケトン類などの有機溶剤中でアクリルモノマを過酸化物、アゾ系の触媒を用いて重合する。最終用途や要求される性能によって、溶剤やモノマ組成濃度などが定められる。
アクリル系粘着剤は非架橋型と架橋型とに大別することができる。
非架橋型は塗工・乾燥してそのままの状態で使用するタイプで、熱可塑性を持っている。このため、一般的には凝集性にかけ、弾性が得られにくい。
凝集性を付与し、弾性を上げるためには、共重合モノマの種類と量的変化と、外部から他のポリマやフェノール樹脂などの樹脂類を添加することとが行われる。これによって好ましい凝集性、粘着性、および接着性を併せ持つように設計される。
凝集性の付与には、重合度よりもむしろ共重合モノマに依存した方が著しい効果がある。具体的には共重合モノマのうち凝集成分と改質成分との選択となり、双方のバランスが重要である。一般には凝集成分は酢酸ビニルが好都合のモノマであり、改質成分としてはモノまたはジカルボン酸含有モノマが選ばれる。
また、凝集性を付与するためのタイプとして、架橋型がある。架橋型においては、架橋度によって凝集性、粘着性、および接着性のバランスを取る。
アクリル系粘着剤の従来用いられている配合例を例示すると、酢酸ビニル、オクチルアクリレート、エチルアクリレート、および無水マレイン酸である。
ここで凝集性を左右する成分は、酢酸ビニルおよびエチルアクリレートである。これらの成分の含有割合を低下させ、凝集性を低下させることによって、本発明における弾性率の低い透明粘着層を得ることができる。
(シリコーン系粘着剤)
シリコーン系粘着剤は、耐熱性が高いため耐熱性が必要な用途において特に好適に用いられている。また電気的特性、耐水性、耐湿性、および耐侯性が良い上に、低表面エネルギ、高表面エネルギのいずれの被着体にもよく接着する。
シリコーン粘着剤の構成は、ゴム状シリコーンと樹脂状シリコーンとを基本としている。
一般にシリコーン系粘着剤の乾燥フィルムは粘着性を示すが、低い凝集性である。このため架橋が必要となり、このことによって適当な弾性が得られるように調整する。通常250℃の加熱、または過酸化ベンゾイルのような過酸化物を加えて150〜170℃で5〜15分加熱する。
シリコン系粘着剤の従来用いられている配合例を示すと、(a)メチルフェニルポリシロキサン樹脂、(b)フェニルビニルシロキサン樹脂、(c)ジメチルジフェニルシクロテトラシロキサン、および(d)クロロプラチン酸である。
ここで凝集性を左右し、その他部材の架橋度、そして透明粘着剤の弾性を左右する部剤は、(d)クロロブラチン酸である。本発明において目的とする低い透明粘着剤を得るためには、(d)クロロブラチン酸の含有量を従来に比較して、低下させれば良い。
(透明粘着剤の形態および層形成方法)
透明粘着剤の形態は、大きく分けてシート状の形態と液状の形態に分けられる。シート状粘着剤は、感圧型であり、貼り付ける一方の部材に粘着剤をラミネートした後に、さらにもう一方の部材をラミネートする事によって二つの部材の貼り合わせを行う。
液状粘着剤は、塗布貼り合わせ後に室温放置または加熱によって硬化させるタイプであり、液状粘着剤の塗布方法としては、バーコート法、リバースコート法、グラビアコート法、ロールコート法等が挙げられ、粘着剤の種類、粘度、塗布量等から考慮選定される。
透明粘着剤を用いて貼り合わせを行った後は、貼り合わせたときに入り込んだ気泡を脱泡させたり、透明粘着剤に固溶させ、さらには部材間の密着力を向上させるために、加圧、加温条件下にて養生を行なっても構わない。このとき、加圧条件としては、0.001から2MPa程度であり、加温条件としては、各部材の耐熱性にも依るが、室温以上、80℃以下である。
(透明樹脂層)
本発明におけるその弾性および厚みによって特徴づけられた透明樹脂層の面に垂直な方向のヤング率は、1×10〜1×10Paの範囲が好ましく、透明樹脂層の厚みは10〜3000μmの範囲が好ましい。
本発明におけるその弾性および厚みに特徴づけられた透明樹脂層は、表示素子に衝撃が加わったときに、視認面のガラスに衝撃が加わることを防止したり、割れたガラスが飛散することを防止するための機能を持ち、本発明において重要な役割を果たす。
本発明における該透明樹脂層は、透明導電層、反射防止層、防眩層等の機能層を形成したり色素を含有させたりして用い、積層体の基体となる。
透明樹脂層は、透明である必要がある。ここで「透明である」とは、厚み100μmの場合に、可視光線視感平均透過率が50%以上であることである。
透明樹脂層が、外部からの衝撃を吸収し、それを伝えないようにするためには、該透明粘着層が外部からの衝撃により、変形し、衝撃力を緩和し、打ち消すようにすればよいと考えられる。そのためには、透明樹脂層の面に垂直な方向の弾性を目的に合わせて制限すれば良いと考えられる。
本発明における透明樹脂層の面に垂直な方向の弾性としては、ヤング率が1×10〜1×10Paであることが好ましく、より好ましくは1×10〜7×10Pa、さらにより好ましくは1×10Pa〜5×10Paである。
該透明樹脂層のヤング率が大き過ぎる、すなわち1×10Paよりも大きいと、表示素子に対して視認面側から衝撃が加わったり表示素子全体に機械的強度が加わった際に、該透明樹脂層において衝撃を吸収することができず、視認面の基板ガラスが割れ易くなったり、飛散しやすくなる。また該透明樹脂層のヤング率が小さすぎる、すなわち1×10Paよりも小さいと、透明樹脂層自体が破断し易くなり好ましくない。
該透明樹脂層に用いることができる材料としては、前述の条件を満たすことができる材料であれば特に指定はない。具体的に材料を例示すると、ポリエステル類、ポリエーテルサルフォン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリイミド、セルロース系樹脂、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、ポリ塩化ビニル等のビニル化合物、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ビニル化合物の付加重合体、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エステル、ポリ塩化ビニリデン等のビニリデン化合物、フッ化ビニリデン/トリフルオロエチレン共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重体等のビニル化合物またはフッ素系化合物の共重合体、ポリエチレンオキシド等のポリエーテル、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールの他透明なエラストマとしてシリコーンゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、軟質ポリ塩化ビニル、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのエチレン系共重合体等のエラストマ、エチレン系共重合体とエチレン−プロピレン−ジエン共重合体混合物の架橋体等のエチレン系透明組成物、スチレン系熱可塑性エラストマ、ウレタン系熱可塑性エラストマ等の熱可塑性エラストマ等である。ただし透明樹脂層に用いることができる材料は、これらに限定されない。また、これらの材料には本来の目的を損なわない範囲でシリカなどの充填材、可塑剤としてのオイル、耐熱安定剤または酸化防止剤などの添加剤等が含まれていても良い。また接着性等を高める目的でプラズマ処理等の処理が施されていても良い。
中でもポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂またはエチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリウレタンが好適に用いられる。
本発明で用いる透明樹脂層の厚みは10〜3000μm、好ましくは10〜2000μm、より好ましくは10〜1500μm、更に好ましくは10〜1000μm、特に好ましくは10〜500μmである。厚みが薄すぎる、すなわち10μmよりも小さいと十分な衝撃吸収能力を得ることができない。また厚みが厚すぎる、すなわち3000μmよりも大きいと光透過性が不足することがある。また工程も考慮した場合、薄すぎると光学フィルタとして用いる場合にディスプレイ表面に設置するのが困難であり、厚すぎると材料の種類にもよるが可撓性が制限されることがある。
厚みが50〜250μmの透明な樹脂層は、いわゆる透明高分子フィルムであり、可撓性を有しており、透明導電膜をロールツーロール法で連続的に形成することができる。このため、効率よく、また、長尺大面積の透明積層体を生産することができる。また厚みが250μm以上の透明樹脂層は、いわゆる透明高分子シートであり、枚葉方式によって、透明導電層、反射防止層、防眩層等を形成することができる。弾性が低い場合はロールツーロール方を採用することも可能である。
本発明においては、透明樹脂層の表面を、スパッタリング処理、コロナ処理、火炎処理、紫外線照射、電子線照射などのエッチング処理や、下塗り処理によって、その上に形成される透明導電層の透明樹脂層に対する密着性を予め向上させてもよい。また、透明樹脂層と透明導電層との間に任意の金属などの無機物層を形成してもよく、透明導電膜を成膜する前に、必要に応じて溶剤洗浄または超音波洗浄などの防塵処理を施してもよい。
また、透明積層体の耐擦傷性を向上させるために、透明樹脂層の少なくとも一方の主面にハードコート層が形成されていても良い。なお本発明における積層体が複数の透明樹脂層を有する場合、少なくとも1つは、上記の特性を有す必要があるが、その他は衝撃吸収能力を左右するパラメータに制限されない。
(衝撃吸収層)
本発明における衝撃吸収層は、積層体または光学フィルタを備え付けられた表示素子の画面に対して、外部から力がかかった場合に、その力を緩和し、表示素子が割れることを防止するため層である。
(衝撃吸収能力、透明性)
衝撃吸収層は、適度な衝撃吸収能力および透明性を有する必要がある。ここで「適度な衝撃吸収能力を有する」とは、その針入度(JIS K2207−1991−50g荷重)の値が、50〜200、好ましくは80〜200、より好ましくは100〜200であることである。また、「透明性を有する」とは、厚み100μmの場合における視感平均透過率の値が、40%以上であることである。
衝撃吸収層の厚みは、あまり薄すぎると十分な衝撃吸収能力を発揮することができず、またあまり厚すぎると十分な光透過性を得ることができないので好ましくない。そのため衝撃吸収層の厚みは、10〜3000μm、好ましくは10〜2000μm、より好ましくは10〜1500μm、更に好ましくは10〜1000μm、特に好ましくは10〜500μmである。
衝撃吸収層の材料は、上記条件を満足できる材料であれば特に指定はないが、好適な材料として、シリコーン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、およびアクリル等のゲルが挙げられる。
そのうち特にシリコーンは、ゲル状態で用いることによって、その針入度および視感平均透過率が好適な値を示す衝撃吸収層を実現できる。さらに、ゲル内に空気を封入しておくと、衝撃吸収能力が向上し、より好適に用いることができる。
衝撃吸収層を透明樹脂層上に固定する場合、粘着剤または接着剤を用いて互いを貼り合せる。ここで粘着剤および接着剤は、透明性を有するものであれば特に指定はない。ここで「透明性を有する」とは、厚み25μmの状態における視感平均透過率が50%以上であることを言う。粘着剤として、本発明における積層体の構成内での透明樹脂層同士の貼合せ、或いは光学フィルタと表示素子の画面との貼合せのために用いられる透明粘着層を用いることができる。透明粘着層の詳細に関しては後述する。
衝撃吸収層には、反射防止層または防眩層が形成されていても構わない。特に積層体または光学フィルタを表示素子に設置した結果、最表面となる面に衝撃吸収層が位置している場合は、視認性を向上させるために、反射防止層または防眩層が形成されていることが望ましい。反射防止層および防眩層の詳細に関しては後述する。
(積層体)
本発明における積層体は、透明樹脂層、透明粘着層および必要に応じて衝撃吸収層を積層して構成され、衝撃吸収層、透明樹脂層および透明粘着層はそれぞれ1層ずつのみで形成されていても構わないし、それぞれ複数の層が存在しても構わない。複数の衝撃吸収層が存在する場合は、耐衝撃性を向上させる上で、得られる効果は衝撃吸収層が一層の場合よりも大きい場合がある。
この際、透明樹脂層および/または透明粘着層が合計2層以上(A層、B層)使用される場合、そのJIS−A硬度(JIS−K6301規格)は、A層のJIS−A硬度(Ha)とB層のJIS−A硬度(Hb)との間に、
Ha/Hb ≧ 1.1
の関係があることが好ましく、より好ましくは、
Ha/Hb ≧ 1.2
更に好ましくは、
Ha/Hb ≧ 1.25
の関係がある。
またHaおよびHb値は0〜98であることが好ましく、更に好ましくは0〜95である。
柔軟な材料の硬度の評価方法として、JIS−A硬度の他に、ショアA硬度もある。JIS−A硬度とショアA硬度とはほとんど同じ値となることが多いので、HcおよびHd値としてショアA硬度の値を用いても実質的に問題はない。
A層とB層との位置関係は任意であるが、硬度の高いA層が衝撃を受けやすい側、例えば表示装置に装着した場合、人側になるように配置することが好ましい。
本発明において、第1の積層体は、
(I)透明粘着層の少なくとも1層のヤング率が1×10〜1×10Pa、厚みが10〜500μmである、
(II)透明樹脂層の少なくとも1層のヤング率が1×10〜1×10Pa、厚みが10〜3000μmである、
(III)衝撃吸収層の少なくとも1層の針入度が50〜200である、
(IV)透明樹脂層および/または衝撃吸収層が合計2層以上であり、各層のJIS−A硬度の比が1.1以上である、
の少なくとも1つの要件を満たすことが好ましい。
(表示素子)
本発明における積層体は、表示素子の部材として用いることが出来る。適用可能な表示素子は、プラズマディスプレイパネル(PDP)、液晶ディスプレイ(LCD)、有機ELディスプレイ(OELD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)などである。
PDPの場合は、電磁波遮断または色調調整を目的とした光学フィルタとして用いることができる。LCDの場合は、偏光板、位相差板、反射防止フィルム、および防眩性フィルムとして用いることができる。OELDおよびFEDの場合は、反射防止フィルムおよび防眩性フィルムとして主に用いることができる。
以下、代表例としてPDP用光学フィルタについて説明する。
(PDP用光学フィルタ)
PDPは、通常ディスプレイ前面部に光学フィルタを装備している。これは、プラズマディスプレイパネルが、原理上、強度の電磁波および近赤外線を装置外に放出するためである。電磁波は、計器に障害を及ぼすことが知られており、最近では、電磁波が人体にも障害を及ぼす可能性もあるとの報告もされている。このため、電磁波放出に関しては、法的に規制される方向になっている。例えば、現在日本では、VCCI(Voluntary Control Council for Interference by data processing equipment electronic office machine)による規制があり、米国では、FCC(Federal Communication Commission)による製品規制がある。
近赤外線は、コードレス電話や赤外線方式のリモートコントローラー等の誤動作を引き起こす。特に問題となる波長は、800〜1000nmである。こうした電磁波および近赤外線の放出を抑えるために、光学フィルタが用いられている。
この光学フィルタは、フィルタ全面にわたって導電性があり、しかも透明性に優れている必要がある。これらの要求を満たし、実用化された光学フィルタは、大きく2種類に分けることができる。一つは、金属メッシュタイプと呼ばれているものであり、基体全面に細く金属を格子状に配置させたものである。これは、導電性に優れ、優れた電磁波遮断能力を持つが、近赤外線反射能力および透明性に劣る。もう一つは、透明膜タイプと呼ばれているものであり、透明導電性薄膜を基体全面に配置したものである。透明導電性薄膜タイプの光学フィルタは、金属メッシュタイプの光学フィルタに比較して、電磁波遮断能力に劣るが、近赤外線遮断能力および透明性に優れる為、ディスプレイ用フィルタとして好適に用いることができる。
透明導電性薄膜タイプ光学フィルタは、透明支持基体と透明導電性薄膜フィルムとを透明粘着剤を介して貼り合わせてある場合が多い。表示装置自体の軽量化や安全性の面から、透明支持基体としては、透明高分子成形体が、好適に用いられる場合が多いが、透明高分子成形体は、熱や湿気の影響を受けて変形する性質を持つため、ガラスが用いられる場合も多い。また、反射率低減機能、防眩機能または調色機能を持った光学フィルムを透明導電性フィルムに組み合わせて貼り合わせることも多い。
本発明においてはこれら従来のものとは異なり、透明支持基体を有しない光学フィルタを提供する。
光学フィルタの電磁波遮断能力は、光学フィルタの面抵抗値が低いほど優れる。透明導電性薄膜タイプ光学フィルタに関しては、抵抗が低い金属薄膜層を積層して、透明導電性薄膜を得ることが通常行われる。中でも、純物質の中で最も比抵抗が低い銀からなる金属薄膜が好適に用いられる。さらに透過率上昇および金属薄膜層の安定性向上の目的で、金属薄膜層を透明高屈折率薄膜層で挟み込み、透明導電性薄膜積層体を形成するのが通常である。
電磁波遮断に用いる光学フィルタにおいては、外部電極を用いて、透明導電性薄膜層と外部との導通を得なければならない。
本発明に用いられる光学フィルタの構成は、必要な機能を発現することができれば特に指定はない。
光学フィルタを構成する部材の数に特に指定はない。即ち、透明樹脂層および衝撃吸収層に全ての機能を付与しても良いし、それぞれの機能を有する層を複数組み合わせても構わない。光学フィルタの機能が1層の透明樹脂層および衝撃吸収層に形成される場合、透明粘着層は光学フィルタをPDPの視認面に貼り合せるために用いられる。また、光学フィルタが2枚以上の透明高分子フィルムを組み合わせて構成される場合、透明粘着剤は光学フィルタをPDP視認面に貼り合せるための透明粘着層または各高分子フィルム同士を貼り合せるために用いられる。
光学フィルタの構成の具体例を以下に示す。(A)はPDPの視認面、(B)、(C)および(D)は透明粘着層、(E)、(F)および(G)は透明樹脂層および衝撃吸収層、(H)は透明導電性薄膜、(I)は反射防止膜とすると、構成例は、A/B/H/E/I、A/B/H/E/C/F/I、A/B/E/H/C/F/I、A/B/H/E/C/F/D/G/I、A/B/E/H/C/F/D/G/I等である。
1つの透明粘着層にのみ用いても、厚みがある一定以上であれば十分な効果を期待することができるが、本発明において、複数の透明粘着層全てに、低い弾性によって特徴づけられる透明粘着層を用いれば、それぞれの透明粘着層の厚みが小さくても、耐衝撃性に関して十分な効果を得ることができる。
1つの透明樹脂層および衝撃吸収層のみ用いても、厚みがある一定以上であれば十分な効果を期待することができるが、本発明において、複数の透明樹脂層全てに、低い弾性によって特徴づけられる透明樹脂層を用いれば、それぞれの透明樹脂層の厚みが小さくても、耐衝撃性に関して十分な効果を得ることができる。
本発明の積層体はPDP用光学フィルタとして用いることができる。この場合、いずれかの透明樹脂層および/または衝撃吸収層に透明導電層が形成されている場合が多い。本発明における透明導電層とは、単層または多層薄膜からなる透明導電膜である。本発明では、高分子フィルムの主面上に透明導電層を形成した積層体を透明積層体という。高分子フィルムは、前述の透明樹脂層の他、ヤング率が1×10以上の材料を用いることもでき、好ましい例として2軸延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレート、ビスフェノールAポリカーボネート、酢酸セルロース等を挙げることができる。
単層の透明導電層としては、上述した導電性メッシュ、導電性格子状パターン膜、金属薄膜または酸化物半導体薄膜がある。
多層の透明導電層としては、金属薄膜と高屈折率透明薄膜とを積層した多層薄膜がある。金属薄膜と高屈折率透明薄膜とを積層した多層薄膜は、以下のような特性を有する。すなわち銀などの金属薄膜は、導電性を有するとともに、金属の自由電子によって近赤外線反射特性を有する。また、高屈折率透明薄膜は、金属薄膜におけるある波長領域の光の反射を防止するという特性を有する。したがってこのような多層薄膜は、導電性、近赤外線カット能、可視光線透過率のいずれにおいても好ましい特性を有している。
電磁波シールド能および近赤外線カット能を有するディスプレイ用フィルタを得るためには、電磁波吸収のための高い導電性を有し、近赤外線反射のための反射界面を多く有する金属薄膜と、高屈折率透明薄膜とを積層した多層薄膜が好適である。
ところで、VCCIにおいては、業務用途の規制値を示すClassAでは放射電界強度50dBμV/m未満であり、民生用途の規制値を示すClassBでは40dBμV/m未満である。しかし、プラズマディスプレイの放射電界強度は20〜90MHz帯域内で、対角20インチ型程度で40dBμV/m、対角40インチ型程度で50dBμV/mを越えている。このため、そのままでは家庭用途には使用できない。
プラズマディスプレイの放射電界強度は、その画面の大きさおよび消費電力が大きいほど強く、シールド効果の高い電磁波シールド材が必要である。
高い可視光線透過率と低い可視光線反射率に加え、プラズマディスプレイに必要な電磁波シールド能を有するには、透明導電層が、面抵抗0.1〜30Ω/□、より好ましくは0.1〜15Ω/□、さらに好ましくは0.01〜5Ω/□の低抵抗な導電性を有していることが必要である。本発明における「可視光線透過率」および「可視光線反射率」とは、透渦率および反射率の波長依存性からJIS(R−3106)に従って計算されるものである。
また、プラズマディスプレイの発する強度の近赤外線を実用上問題とならないレベルまで遮断するには、ディスプレイ用フィルタの近赤外線波長領域800〜1000nmにおける光線透過率を20%以下にすることが必要であり、この要求を満たすためには、部材数低減の要求および色素を用いた近赤外線吸収の限界から、透明導電層自体が近赤外線カット性を持つことが必要である。透明導電層で近赤外線をカットするには、金属の自由電子による反射を利用することができる。
金属薄膜層は厚くすると可視光線透過率が低くなり、薄くすると近赤外線の反射が弱くなる。しかし、ある厚みの金属薄膜層を高屈折率透明薄膜層で挟み込んだ積層構造を1段以上重ねることにより、可視光線透過率を高くし、かつ全体的な金属薄膜層の厚みを増やすことが可能である。また、層数および/またはそれぞれの層の厚みを制御することによって可視光線透過率、可視光線反射率、近赤外線の透過率、透過色、および反射色をある範囲で変化させることも可能である。
可視光線反射率が高いと画面への照明器具等の映り込みが大きくなり、表示部表面の反射を防止する効果が低下し、視認性とコントラストとが低下するようになる。また、反射色としては、白色、青色、紫色系の目立たない色が好ましい。これらのことから、透明導電層は、光学的に設計、制御しやすい多層積層が好ましくなる。
PDP用光学フィルタにおいては、高分子フィルムの一方の主面上に多層薄膜の透明導電層を形成した透明積層体を用いることが好ましい。
本発明において好ましい透明導電層は、高分子フィルムの一方の主面上に、高屈折率透明薄膜層(a)、金属薄膜層(b)の順に、(a)/(b)を繰り返し単位として2〜4回繰り返し積層され、さらにその上に少なくとも高屈折率透明薄膜層(a)を積層して形成され、該透明導電層の面抵抗が0.1〜30Ω/□であることを特徴とする。これによって、透明導電層は、電磁波シールド能のための低抵抗性、近赤外線カット能、透明性、および可視光線反射率に優れた性能を有する。本発明において、多層薄膜とは、特に記載がない限り、金属薄膜層を高屈折率透明薄膜層で挟み込んだ積層構造を1段以上重ねた多層積層の透明導電膜のことをいう。
本発明の透明導電層において、繰り返し積層数は2回〜4回が好適である。つまり、高分子フィルム(A)の主面上に透明導電層を積層した本発明の透明積層体は、(A)/(a)/(b)/(a)/(b)/(a)、または、(A)/(a)/(b)/(a)/(b)/(a)/(b)/(a)、または、(A)/(a)/(b)/(a)/(b)/(a)/(b)/(a)/(b)/(a)の層構成を有するものである。繰り返し積層数が5回以上では、生産装置の制限および生産性の問題が大きくなり、また、可視光線透過率の低下と可視光線反射率の増加とが生じる傾向がある。また、繰り返し回数が1回であると、低抵抗性と、近赤外線カット能と、可視光線反射率とを同時に十分なものとすることができない。
なお、繰り返し積層数が2回〜4回の多層薄膜において、近赤外線カット能と、可視光線透過率と、可視光線反射率とを同時に、プラズマディスプレイに好適な特性とするには、その面抵抗が1〜5Ω/□であることを本発明者らは見出した。
将来的にはプラズマディスプレイから放出される電磁波強度が低下することも想定される。その場合は、光学フィルタの面抵抗が5〜15Ω/□でも十分な電磁波遮断特性を得ることができることが予想される。また、さらにプラズマディスプレイから放出される電磁波強度が低下することも想定される。その場合は、光学フィルタの面抵抗が15〜30Ω/□でも十分な電磁波遮断特性を得ることができるようになることが予想される。
金属薄膜層(b)の材料としては、銀が、導電性、赤外線反射性および多層積層したときの可視光線透過性に優れているため、好適である。しかし、銀は化学的、物理的安定性に欠け、環境中の汚染物質、水蒸気、熱、光等によって劣化するため、銀に金、白金、パラジウム、銅、インジウム、スズ等の環境に安定な金属を一種以上加えた合金、またはこれら環境に安定な金属も好適に使用できる。特に、金およびパラジウムは耐環境性、光学特性に優れ好適である。
銀を含む合金中の銀の含有率は、特に限定されるものではないが、銀薄膜の導電性および光学特性と大きく変わらないことが望ましく、50重量%以上、100重量%未満程度である。しかしながら、銀に他の金属を添加すると、その優れた導電性および光学特性が阻害されるので、複数の金属薄膜層を有する場合は、可能であれば少なくとも1つの層は銀を合金にしないで用いたり、基体から見て最初の層および/または最外層にある金属薄膜層のみを合金にすることが望ましい。
金属薄膜層の厚みは、導電性および光学特性等から光学設計的かつ実験的に求められ、透明導電層が要求特性を持てば特に限定されるものではない。ただし、導電性等から薄膜が島状構造ではなく、連続状態であることが必要であり、厚みは4nm以上であることが望ましい。また、金属薄膜層が厚すぎると透明性が問題になるので30nm以下が望ましい。金属薄膜層が複数ある場合は、各層が全て同じ厚みとは限らず、また、全て銀、あるいは、同じ銀を含む合金でなくともよい。
金属薄膜層の形成には、スパッタリング、イオンプレーティング、真空蒸着、メッキ等、従来公知の方法のいずれでも採用できる。
高屈折率透明薄膜層(a)を形成する透明薄膜としては、可視領域において透明性を有し、金属薄膜層の可視領域における光線反射を防止する効果を有する材料であれば特に限定されるものではないが、可視光線に対する屈折率が1.6以上、好ましくは1.8以上、さらに好ましくは2.0以上の屈折率の高い材料が用いられる。このような透明薄膜を形成する具体的な材料としては、インジウム、チタン、ジルコニウム、ビスマス、スズ、亜鉛、アンチモン、タンタル、セリウム、ネオジウム、ランタン、トリウム、マグネシウム、ガリウム等の酸化物、または、これら酸化物の混合物、あるいは硫化亜鉛などが挙げられる。
これら酸化物あるいは硫化物は、金属と、酸素原子あるいは硫黄原子との化学量論的な組成にズレがあっても、光学特性を大きく変えない範囲であるならば差し支えない。なかでも、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、あるいは酸化インジウムと酸化スズとの混合物(ITO)は、透明性および高屈折率に加えて、成膜速度が速く、金属薄膜層との密着性等が良好であることから好適に使用できる。
高屈折率透明薄膜層の厚みは、高分子フィルム(透明基体ともいう)の光学特性、金属薄膜層の厚み、光学特性、および、透明薄膜層の屈折率等から光学設計的かつ実験的に求められ、特に限定されるものではないが、5nm以上、200nm以下であることが好ましく、より好ましくは10nm以上、100nm以下である。また複数の高屈折率透明薄膜層を有する場合には、各層は同じ厚みとは限らず、また同じ透明薄膜材料でなくともよい。
高屈折率透明薄膜層の形成には、スパッタリング、イオンプレーティング、イオンビームアシスト、真空蒸着、または湿式塗工等の従来公知の方法のいずれでも採用できる。
上記の透明導電層の耐環境性を向上させるために、透明導電層の表面に、導電性および光学特性を著しく損なわない程度に、有機物または無機物の任意の保護層を設けてもよい。また、金属薄膜層の耐環境性、および金属薄膜層と高屈折率透明薄膜層との密着性等を向上させるため、金属薄膜層と高屈折率透明薄膜層との間に、導電性および光学特性を損なわない程度に任意の無機物層を形成してもよい。これらの具体的な材料としては銅、ニッケル、クロム、金、白金、亜鉛、ジルコニウム、チタン、タングステン、スズ、パラジウム等、あるいはこれらの材料の2種類以上からなる合金が挙げられる。その厚みは、好ましくは、0.2nm〜2nm程度である。
所望の光学特性の透明導電層を得るには、得ようとする電磁波シールド能の為の導電性、つまり、金属薄膜材料およびその厚みを勘案して、高分子フィルムおよび薄膜材料の光学定数(屈折率および消光係数)を用いたベクトル法、アドミッタンス図を用いる方法等を使った光学設計を行い、各層の薄膜材料、層数、および膜厚等を決定する。この際、透明導電層上に形成される隣接層を考慮すると良い。このことは高分子フィルム上に形成された透明導電層への光の入射媒質が、空気または真空等の屈折率1の入射媒質と違うために透過色(ならびに透過率、反射色および反射率)が変化するためである。すなわち、透明導電層上に機能性透明層を形成する際に透明粘着層を介する場合は、透明粘着層の光学定数を考慮する設計を行う。また、透明導電層上に機能性透明層を直接する場合は、透明導電層と接する材料の光学定数を考慮する設計を行う。
上述のように、透明導電層の設計を行なうことによって、高屈折率透明薄膜層(a)では高分子フィルムから見て最下層と最上層とがその間の層よりも薄く、金属薄膜層(b)では高分子フィルムから見て最下層がその他の層よりも薄く、屈折率1.45〜1.65および消光係数ほぼ0である、厚み10〜50μmの粘着剤が隣接層であるとき、透明積層体の反射が著しく増加せず、隣接層形成による界面反射の増加が2%以下となる。
特に、繰り返し回数が3回、すなわち、計7層からなる透明導電層においては、3層ある金属薄膜層(b)のうちの2番目の金属薄膜層、すなわち高分子フィルムからみて4番目の層が他の層より厚いと、前記粘着剤が隣接層であるときに、透明積層体の反射が著しく増加しない。
光学定数はエリプソメトリ(楕円偏光解析法)またはアッベ屈折計によって測定でき、また、光学特性を観察しながら、層数、膜厚等を制御して成膜を行うこともできる。
本発明におけるディスプレイ用フィルタの透明導電層は金属メッシュ層であることも好ましい。
単層の金属メッシュ層は、高分子フィルム上に銅メッシュ層を形成したものが好ましく、高分子フィルム上に銅箔を貼り合せ、その後メッシュ状に加工する。
本発明に用いられる銅箔は、圧延銅、電解銅とも使い得るが、金属層は多孔性のものが好ましく用いられ、その孔径は、0.5〜5μmが好ましく、さらに好ましくは、0.5〜3μmであり、さらに好ましくは0.5〜1μmである。孔径が5μmよりも大きくなるとパターニングの障害になる恐れがあり、また、0.5μmよりも小さくなると光線透過率の向上が期待しにくい。なお、銅箔のポロシティとしては、0.01〜20%の範囲が好ましく、さらに好ましくは、0.02〜15%、特に好ましくは0.02〜5%である。本発明でいう「ポロシティ」とは、体積をRとして、孔容積をPとしたときに、P/Rで定義される値である。例えば、体積0.1ccに対応する銅箔の孔容積を、水銀ポロシティで測定したところ0.001ccであったとすると、ポロシティは1%ということができる。用いられる銅箔は、各種表面処理をされていても構わない。具体的に例示すれば、クロメート処理、租面化処理、酸洗、ジンク・クロメート処理等である。
銅箔の厚みは3〜30μmが好ましく、より好ましくは、5〜20μm、さらに好ましくは7〜10μmである。この厚みよりも厚いとエッチングに時間を要するという問題があり、また、この厚みよりも薄いと電磁波シールド能に劣るという問題が発生する。
光透過部分の開口率は60%以上、95%以下が好ましく、より好ましくは65%以上、90%以下、さらにより好ましくは70%以上、85%以下である。開口部の形状は、特に限定されるものではないが、正三角形、正四角形、正六角形、円形、長方形、菱形等に形がそろっており、面内に並んでいることが好ましい。光透過部分の開口部の代表的な大きさは1辺もしくは直径が5〜200μmの範囲であることが好ましい。さらに好ましくは10〜150μmである。この値が大きすぎる、すなわち200μmよりも大きいと電磁波シールド能が低下し、また、この値が小さすぎる、すなわち5μmよりも小さいとディスプレイの画像に好ましくない影響を与える。また、開口部を形成しない部分の金属の幅は5〜50μmが好ましい。すなわちピッチが10〜250μmであることが好ましい。この幅よりも細い、すなわち幅が10μmよりも小さいと、加工がきわめて困難になる。一方、この幅よりも太い、すなわち幅が50μmよりも大きいと、画像に好ましくない影響を与える。
光透過部分を有する金属層の実質的なシート抵抗とは、上述のパターンよりも5倍以上大きな電極を用いて、上述のパターンの繰り返し単位よりも5倍以上の電極間隔をもつ4端子法によって測定したシート抵抗をいう。例えば、開口部の形状が1辺100μmの正方形で金属層の幅が20μmをもって規則的に正方形が並べられたものであれば、φ1mmの電極を1mm間隔で並べて測定することができる。或いはパターン形成したフィルムを短冊状に加工し、その長手方向の両端に電極を設けて、その抵抗を測り(R)、長手方向の長さa、短手方向の長さbとすると、実質的なシート抵抗=R×b/aで求めることができる。このように測定された値は、0.01Ω/□以上、0.5Ω/□以下が好ましく、より好ましくは0.05Ω/□以上、0.3Ω/□以下である。0.01Ω/□よりも小さな値を得ようとすると膜が厚くなりすぎ、かつ、開口部が十分取れなくなる。一方、0.5Ω/□よりも大きな値にすると十分な電磁波シールド能を得ることができなくなる。
銅箔を高分子フィルムにラミネートする方法としては、透明な接着剤を用いる。接着剤の種類としては、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系、シリコーン系、ポリエステル系等があるが、特に接着剤に限定はない。2液系および熱硬化タイプが好適に使用される。なお、耐薬品性に優れた接着剤であることが好ましい。高分子フィルムに接着剤を塗布した後、銅箔と貼り合せることもできるし、銅箔に接着剤を貼り合せてもよい。
光透過部分を形成する方法としては、印刷法あるいはフォトレジスト法を用いることができる。印刷法では印刷レジスト材料を用いたスクリーン印刷法でマスク層をパターン形成する方法が好ましい。フォトレジスト材料を用いる方法では、ロールコーティング法、スピンコーティング法、全面印刷法、転写法などで、金属箔上にフォトレジスト材料をべた形成し、フォトマスクを用いて露光現像してレジストのパターニングを行う。レジストパターニングを完成させた後、開口部とする金属部分を湿式エッチングで除去することで、所望の開口形状と開口率の、光透過部分を有する金属メッシュ層を得ることができる。
(調色)
また光学フィルタは、ディプレイからの発光色をより好ましいものに調整する機能を有する場合が多い。液晶パネル用フィルタにおいて透明導電層を有さず、調色機能を主な機能とする場合もある。
光学フィルタの透過色において、黄緑〜緑色味が強いと、ディスプレイのコントラストが低下し、さらには色純度が低くなり、白色表示も緑色がかったものになることがある。このことは、黄緑〜緑色である550nm前後の波長の光が最も視感度が高いことにもよる。
多層薄膜は、可視光線透過率および可視光線反射率を重視すると、透過色調に劣る。電磁波シールド能即ち導電性と、近赤外線カット能とをあげるほど、金属薄膜の総膜厚を厚くするが必要がある。しかし、金属薄膜の総膜厚が大きくなる程、透過色が緑色〜黄緑色になる傾向がある。従って、プラズマディスプレイに用いる光学フィルタはその透過色がニュートラルグレーまたはブルーグレーであることが要求される。これは、緑色透過が強いとコントラストが低下すること、赤色および緑色発光色に比べて青色発光が弱いこと、標準白色より若干高めの色温度の白色が好まれること、等による。加えて、光学フィルタの透過特性は、プラズマディスプレイの白色表示の色度座標が極力、黒体軌跡に近いことが望ましい。
多層薄膜を透明導電層(B)に用いた場合は、多層薄膜の色調を補正して光学フィルタの透過色をニュートラルグレーまたはブルーグレーにすることが肝要である。色調を補正するには可視波長領域に吸収のある色素を用いれば良い。例えば、透明導電層(B)の透過色に緑色味がある場合、赤色の色素を用いてグレーに補正し、透過色に黄色味がある場合は青〜紫の色素を用いて補正する。
カラープラズマディスプレイでは、希ガスの直流または交流放電によって発生する真空紫外光で励起発光する(Y,Gd,Eu)BO等の赤色(R)発光蛍光体、(Zn,Mn)SiO等の緑色(G)発光蛍光体、(Ba,Eu)MgAl1017:Eu等の青色(B)発光蛍光体が、画素を構成する表示セルに形成されている。蛍光体は、色純度の他に放電セルへの塗布性、残光時間の短さ、発光効率、耐熱性等を指標に選定されており、実用化されている蛍光体はその色純度に改良を要するものが多い。特に赤色発光蛍光体の発光スペクトルは、波長580nmから700nm程度までにわたる数本の発光ピークを示している。比較的強い短波長側の発光ピークは黄〜オレンジ色の発光であるので、赤色発光がオレンジに近い色純度の良くないものとなってしまう問題がある。希ガスにXeとNeとの混合ガスを用いた場合、Ne励起状態の発光緩和によるオレンジ色発光も同様に色純度を低下させてしまう。また、緑色発光および青色発光に関しても、そのピーク波長の位置および発光のブロードさが色純度を低下させる要因となっている。
色純度の高さは、例えば、国際照明委員会(CIE)が定めた横軸色度x、縦軸色度yで色相と彩度を表す座標系において、RGB三色を頂点とした三角形の広さで示す色再現範囲の広さで表すことができる。色純度の低さからプラズマディスプレイの発光の色再現範囲は、NTSC(National Television System Committee)方式で定めているRGB三色の色度が示す色再現範囲より通常狭い。
また、表示セル間での発光の滲み出しに加えて、各色の発光が広い範囲にわたって不必要な光を含んでおり、必要な発光が際立たないことは、色純度だけではなくプラズマディスプレイのコントラストを下げる要因にもなっている。さらに、プラズマディスプレイは一般に室内照明等による外光が存在する明時においては暗時に比べコントラストが悪くなる。これは、基板ガラス、蛍光体等が外光を反射し、不必要な光が必要な光を際立たせなくするために起きる。プラズマディスプレイパネルのコントラスト比は、暗示は100〜200、周囲照度100lx程度の明時は10〜30であり、その向上が課題となっている。また、コントラストが低いことも色再現範囲を狭くしている要因である。
コントラストを向上させるためには、ディスプレイ前面にニュートラル・デンシティ(ND)フィルタのように、可視波長領域全体の透過率を下げ、基板ガラス、蛍光体における外光反射等の透過を少なくする方法がある。しかしながら、可視光線透過率が著しく低いと、輝度および画像の鮮明さが低下することになり、また色純度の改善はあまり見られない。
本発明者らは、カラープラズマディスプレイの発光色の色純度およびコントラストを向上させることは、発光色の色純度およびコントラストを下げる原因となる不要発光および外光反射を低減することによって達成できることを見出した。
また、本発明者らは、色素を用いることによって、光学フィルタをニュートラルグレーまたはニュートラルブルーに調色するだけではなく、発光色の色純度およびコントラストを下げる原因となる不要発光および外光反射を低減できることを見出した。特に、赤色発光がオレンジに近いものは顕著であり、その原因である波長580nm〜605nmの発光を低減することによって赤色発光の色純度を向上させることができることを見い出した。
本発明の光学フィルタにおいて、不要発光および外光反射の低減は、波長570nm〜605nmに吸収極大を有する色素をシールド体に含有させることによって行うことができる。この際、ディスプレイ用フィルタによって、赤色である発光ピークのある波長615nm〜640nmの光線透過を著しく損なってしまわないことが必要である。
色素はブロードな吸収範囲を有しており、所望の吸収ピークを有する色素であっても、その裾の吸収によって好適な波長の発光まで吸収してしまうことがある。Neによる発光が存在する場合は、オレンジ色発光の低減を行うこともできるため、RGB表示セルからの発光の色純度が向上する。
また、カラープラズマディスプレイの緑発光はブロードであり、そのピーク位置は、例えば、NTSC方式で要求される緑色よりも若干長波長側、すなわち黄緑側にあることがある。
本発明者らは、波長570nm〜605nmに吸収極大を有する色素の短波長側の吸収によって、緑色発光の長波長側を吸収して削り、さらに不要発光を削ること、および/または、ピークをシフトさせることによって色純度を向上できることを見出した。
赤色発光、更に加えて緑色発光の色純度向上には、波長570nm〜605nmに吸収極大を有する色素を用いることによって、波長570nm〜605nmにおける光学フィルタの最低透過率が、必要な赤色発光のピーク位置での透過率に対して80%以下であることが好適である。
青色発光の色純度が低い場合は、赤色発光、緑色発光と同様に、不要発光を低減し、また、そのピーク波長をシフトさせ、青緑発光を吸収する色素を用いれば良い。さらに、色素による吸収は、外光の蛍光体への入射を低減することによって蛍光体での外光反射を低減させることができる。このことによってもまた色純度およびコントラストを向上させることができる。
本発明の光学フィルタに色素を含有させる手法としては、
(1)透明な樹脂に少なくとも1種類以上の色素を混錬させた高分子フィルムを用いる方法、
(2)樹脂または樹脂モノマ/有機系溶媒の樹脂濃厚液に少なくとも1種類以上の色素を分散・溶解させ、キャスティング法により作製した高分子フィルムを用いる方法、
(3)樹脂バインダーと有機系溶媒とに少なくとも1種類以上の色素を加え、塗料として透明な基体上にコーティングしたものを用いる方法、
(4)1種類または複数種類の色素を含有する透明な粘着剤を用いる方法、
があり、これらの方法(1)〜(4)から1または複数が選択される。
本発明でいう「含有」とは、基材または塗膜等の層または粘着剤の内部に含有されることは勿論、基材または層の表面に塗布した状態をも意味する。
色素は、可視領域に所望の吸収波長を有する染料または顔料で良く、その種類は特に限定されるものではない。色素は、例えば、アントラキノン系、フタロシアニン系、メチン系、アゾメチン系、オキサジン系、アゾ系、スチリル系、クマリン系、ポルフィリン系、ジベンゾフラノン系、ジケトピロロピロール系、ローダミン系、キサンテン系、ピロメテン系等の一般に市販もされている有機色素があげられる。色素の種類および濃度は、色素の吸収波長および吸収係数、透明導電層の色調、光学フィルタに要求される透過特性および透過率、ならびに分散させる媒体または塗膜の種類および厚みから決まり、特に限定されるものではない。
透明導電層(B)に多層薄膜を用いる場合、電磁波シールド能に加え、近赤外線カット能も有しているが、より高い近赤外線カット能が必要であったり、透明導電層が近赤外線カット能を有していない場合に、近赤外線カット能をディスプレイ用フィルタに付与するために、前記色素に近赤外線吸収色素を1種類以上併用しても良い。
近赤外線吸収色素としては、透明導電層の近赤外線カット能を補填し、プラズマディスプレイの発する強度の近赤外線を十分実用的になる程度に吸収するものであれば、特に限定されるものではなく、濃度も限定されるものではない。近赤外線吸収色素としては、例えば、フタロシアニン系化合物、アントラキノン系化合物、ジチオール系化合物、またはジイミニウム系化合物が挙げられる。
プラズマディスプレイパネルはパネル表面の温度が高く、特に環境の温度が高いときは光学フィルタの温度も上がるため、本発明で用いる色素は、耐熱性、例えば、80℃で分解等によって顕著に劣化しない耐熱性を有していることが好適である。
また、色素によっては、耐熱性に加えて、耐光性に乏しいものもある。プラズマディスプレイの発光、外光の紫外線および可視光線による色素の劣化が問題になる場合には、紫外線吸収剤を含む部材、あるいは紫外線を透過しない部材を用いることによって、色素の紫外線による劣化を低減すること、紫外線および可視光線による顕著な劣化がない色素を用いることが肝要である。
熱、光に加えて、湿度、およびこれらの複合した環境においても同様である。色素が劣化すると光学フィルタの透過特性が変わってしまう。
実際に、プラズマディスプレイパネルの表面温度が70℃から80℃になることは特開平8−220303号に明記されている。また、プラズマディスプレイパネルより発生する光は、例えば、300cd/mと明記されており(富士通株式会社Image Site カタログAD25−000061C Oct.1997M)、立体角を2πとして、これを2万時間照射すると、2π×20000×300=3800万(lx・時間)となることから、実用上数千万(lx・時間)程度の耐光性が必要になることが分かる。
さらには、色素を媒体または塗膜中に分散させるために、色素の適宜の溶媒への溶解性も重要である。異なる吸収波長を有する色素2種類以上を一つの媒体または塗膜に含有させても良い。
本発明の光学フィルタは、カラープラズマディスプレイの輝度および視認性を著しく損なわない優れた透過特性および透過率を有し、カラープラズマディスプレイの発光色の色純度およびコントラストを向上させることができる。本発明者らは、1種以上含有せしめる色素の、少なくとも一つがテトラアザポルフィリン化合物の場合には、特に低減したい570〜605nmの不要発光の波長と同じか、または近い波長に主要吸収波長を有し、且つ、吸収波長幅が比較的狭いので、好適な発光を吸収してしまうことによる輝度の損失を少なくできることを見出した。これによって、優れた透過特性、透過率、発光色の色純度およびコントラストを向上させる能力が優れた光学フィルタを得ることができた。
本発明の光学フィルタにおいては、上述の色素を含有させる方法(1)〜(4)は、色素を含有する高分子フィルム(A)、色素を含有する後述の透明粘着層(C)または(D)、色素を含有する後述の機能性透明層(E)、色素を含有する上述のハードコート層(F)のうちの1または複数の層において実施することができる。色素を含有する後述の機能性透明層(E)は、色素を含有し且つ各機能を有する膜、色素を含有し且つ各機能を有する膜が高分子フィルム上に形成されたもの、各機能を有する膜が色素を含有する基材に形成されたもの、のいずれでも良い。
本発明では、異なる吸収波長を有する色素2種類以上を一つの媒体または塗膜に含有させてもよく、また色素層を2つ以上有していても良い。
まず、樹脂に色素を混練し、加熱成形する(1)の方法について説明する。樹脂材料としては、プラスチック板または高分子フィルムにした場合にできるだけ透明性の高いものが好ましく、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリスチレン、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン6等のポリアミド、ポリイミド、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、ポリ塩化ビニル等のビニル化合物、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ビニル化合物の付加重合体、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エステル、ポリ塩化ビニリデン等のビニリデン化合物、フッ化ビニリデン/トリフルオロエチレン共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重体等のビニル化合物またはフッ素系化合物の共重合体、ポリエチレンオキシド等のポリエーテル、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等を挙げることが出来るが、これらの樹脂に限定されるものではない。
作製方法としては、用いる色素、ベース高分子によって、加工温度、フィルム化条件等が多少異なるが、
(i)ベース高分子の粉体或いはペレットに色素を添加し、150〜350℃で加熱、溶解させた後、成形してプラスチック板を作製する方法、
(ii)押出し機によりフィルム化する方法、
(iii)押出し機により原反を作製し、30〜120℃で2〜5倍に、1軸延伸または2軸延伸して10〜200μm厚のフィルムにする方法、等が挙げられる。
混練する際に可塑剤等の通常の樹脂成型に用いる添加剤を加えてもよい。色素の添加量は、色素の吸収係数、作製する高分子成形体の厚み、目的の吸収強度、目的の透過特性および透過率等によって異なるが、ベース高分子成形体の重量に対して1ppm〜20%である。
(2)のキャスティング法では、樹脂または樹脂モノマを有機系溶媒に溶解させた樹脂濃厚液に、色素を添加・溶解させ、必要であれば可塑剤、重合開始剤、酸化防止剤を加え、必要とする面状態を有する金型やドラム上へ流し込み、溶剤揮発・乾燥または重合・溶剤揮発・乾燥させることにより、プラスチック板、高分子フィルムを得る。
樹脂または樹脂モノマとしては、脂肪族エステル系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、芳香族エステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリオレフィン樹脂、芳香族ポリオレフィン樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニル系変成樹脂(PVB、EVA等)或いはそれらの共重合樹脂の樹脂モノマを用いる。溶媒としては、ハロゲン系、アルコール系、ケトン系、エステル系、脂肪族炭化水素系、芳香族炭化水素系、エーテル系溶媒、あるいはそれらの混合物系等を用いる。
色素の濃度は、色素の吸収係数、板またはフィルムの厚み、目的の吸収強度、目的の透過特性および透渦率等によって異なるが、樹脂モノマの重量に対して、通常、1ppm〜20%である。
また、樹脂濃度は、塗料全体に対して、通常、1〜90%である。
塗料化してコーティングする(3)の方法としては、色素をバインダー樹脂および有機系溶媒に溶解させて塗料化する方法、または未着色のアクリルエマルジョン塗料に色素を微粉砕(50〜500nm)したものを分散させてアクリルエマルジョン系水性塗料とする方法、等がある。
前者の方法では、通常、脂肪族エステル系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、芳香族エステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリオレフィン樹脂、芳香族ポリオレフィン樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニル系変成樹脂(PVB、EVA等)或いはそれらの共重合樹脂をバインダー樹脂として用いる。溶媒としては、ハロゲン系、アルコール系、ケトン系、エステル系、脂肪族炭化水素系、芳香族炭化水素系、エーテル系溶媒、あるいはそれらの混合物系等を用いる。
色素の濃度は、色素の吸収係数、コーティングの厚み、目的の吸収強度、目的の可視光透過率等によって異なるが、バインダー樹脂の重量に対して、通常、0.1〜30%である。
また、バインダー樹脂濃度は、塗料全体に対して、通常、1〜50%である。後者のアクリルエマルジョン系水系塗料の場合も、前記と同様に、未着色のアクリルエマルジョン塗料に、色素を微粉砕(50〜500nm)したものを分散させて得られる。塗料中には、酸化防止剤等の通常塗料に用いるような添加物を加えてもよい。
上述の方法で作製した塗料は、透明高分子フィルム、透明樹脂、透明ガラス等の上にバーコータ、ブレードコータ、スピンコータ、リバースコータ、ダイコータ、或いはスプレー等の従来公知のコーティングをして、色素を含有する基材を作製する。
コーティング面を保護するために保護層を設けたり、コーティング面を保護するようにコーティング面に、光学フィルタの他の構成部材を貼り合わせても良い。
色素を含有する粘着剤として用いる方法(4)では、アクリル系接着剤、シリコン系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリビニルブチラール接着剤(PVB)、エチレン−酢酸ビニル系接着剤(EVA)等、ポリビニルエーテル、飽和無定形ポリエステル、メラミン樹脂等のシート状または液状の粘着剤または接着剤に、色素を10ppm〜30%添加して用いる。
これらの方法では、色素含有の光学フィルタの耐光性を上げるために紫外線吸収剤を色素と共に含有させることもできる。紫外線吸収剤の種類、濃度は特に限定されない。
(電極)
電磁波シールドを必要とする機器には、機器のケース内部に金属層を設けたり、ケースに導電性材料を使用して電磁波を遮断する。ディスプレイのように透明性が必要である場合には、窓状に形成された透明導電層によって付与された電磁波シールド機能を有する光学フィルタを設置する。電磁波は透明導電層において吸収された後、光学フィルタに電荷を誘起するので、アースをとることによって光学フィルタから電荷を逃がさないと、再び光学フィルタがアンテナとなって電磁波を発振してしまい、電磁波シールド能が低下する。したがって、光学フィルタとディスプレイ本体のアース部とが電気的に接続している必要がある。そのため、透明導電層(B)上に透明粘着層(D)および機能性透明層(E)が形成されている場合には、透明粘着層(D)および機能性透明層(E)は、導通部を残すように透明導電層(B)上に形成されることが好ましい。この導通部を用いて電極を形成する。導通部の形状は特に限定しないが、光学フィルタとディスプレイ本体との間に、電磁波の漏洩する隙間が存在しないことが肝要である。
電気的接触を良好とするために、導通部に導電材料を付与して電極を形成しても良い。付与する形状は特に限定しない。しかしながら、導通部をすべて覆うように形成されていることが好適である。
本発明における電極は、透明導電層を含む光学フィルタを構成する層のそれぞれに導電性材料を接触させて形成されていてもよい。本発明の光学フィルタでは、少なくとも透明導電性層とそれを保護するための層が層状をなしていることが観察できる。適当な導電性材料が透明導電層と各層とにおいて接触していれば、所望の電極を得ることができる。
この場合に透明導電層上に形成される透明粘着層の端部が透明導電層の端部よりも内側に入り込んでいると、導電性ペースト等を用いて電極を形成する場合に、透明粘着層の端部と透明導電層の端部との間の隙間部分に導電性ペーストが入り込み、透明導電層と電極との接触面積が増加するので好ましい。
また透明導電層とその上に貼り合せる透明粘着層との間に銅テープのような導電性テープを挟み込み、その導電性テープの一部分を導通部としての電磁波シールド体の外部に引き出すことによって電極を形成しても良い。この場合、外部に引き出された導電性テープが実質的に電極となる。
また透明導電層から積層体最表面に通じるような隙間を設け、電極を形成しても良い。表面から見える隙間の形状には特に指定はなく、円形でもよいし、角型でも良い。また線状に形成されていても構わない。表面から見える個々の隙間の大きさにも特に指定はない。ただし、あまり大きすぎると視認部分にかかってしまうので好ましくない。隙間の形成位置は、視認部分を避ける位置であれば特に指定はない。必然的に端部から近い位置となる。形成する隙間の数にも特に制限はないが、全周にわたってできるだけ多く形成されている方が電流の取り出し効率が上昇するので好ましい。隙間は透明導電層と積層体最表面との間に設けられていれば良いが、形成する電極との接触面積を増やす観点から、透明導電層を貫通していることが好ましい。
隙間を埋める部材に関しても特に指定はない。金属部材で埋めても良いし、導電性ペーストで埋めても良い。この場合、隙間を埋めた部材が実質的に電極となる。
電極は透明導電層(B)の周縁部に、連続的に設けられていることが好適である。すなわち、ディスプレイの表示部である中心部分を除いて、枠状に、導通部が設けられていることが好ましい。
全周に電極が形成されていなくとも一定の電磁波遮断能力はあるので、装置からの電磁波発生量と許容電磁波漏洩量とを総合的に考慮することによって、使用可能な場合も多い。
例えば、長方形の向い合う辺のみに導電材料を付与し電極を形成する設計にすれば、ロールツーロール方式で電極を形成したり、ロール状態のまま電極を形成したりすることができるため、非常に生産効率良く光学フィルタを作製することができるので都合が良い。また、この手法は先に示した、電極として導電性テープを用いる場合においても利用することができる。
長方形の向い合う2辺以外の部分に加えてさらに別の部分に電極が形成されていたり、向い合う2辺における一部分に電極が形成されていない部分が存在しても特に問題はない。
電極形成過程において、導通部を覆うことは、耐環境性および耐擦傷性に劣る透明導電層(B)の保護にもなる。導通部を覆うために用いる材料は、導電性、耐触性および透明導電膜との密着性等の点から、銀、金、銅、白金、ニッケル、アルミニウム、クロム、鉄、亜鉛、カーボン等の単体もしくは2種以上からなる合金、合成樹脂とこれら単体または合金の混合物、もしくは、ホウケイ酸ガラスとこれら単体または合金の混合物からなるペーストを使用できる。電極形成にはメッキ法、真空蒸着法、スパッタ法など、ペーストといったものは印刷、塗工する方法など従来公知の方法を採用できる。
用いる導電性材料は電気を通導することのできるものであれば特に指定はない。銀ペーストなどの導電性の材料をペースト状にした物が用いられる。
導通部を覆うための方法としては、ペースト状の物であれば各層の側面に塗布し乾燥させたりして行う。ロール状態のフィルムの側面に導電性材料を塗布しても良いし、ロールツーロールで繰り出しながら側面に塗布しても構わない。また、テープ状の導電性材料も用いることができる。
塗布方法としては、効率および精度の観点から、スクリーン印刷法が用いられる場合が多い。
また隙間を金属部材で埋めて電極を形成する場合は、電磁波シールド体自体に予め加工を施さなくても構わない。ねじ穴を形成した金属性のアースを表示装置の外周部分に予め準備しておき、金属性のアース部分を含めて、表示装置の表示部分に電磁波シールド体を貼りつけた後に、電磁波シールド体を貫通するようにして金属性アースのねじ穴に導電性のねじを埋め込めば良い。この場合導電性のねじが実質的に電極の役割を果たす。この手法を用いると電磁波シールド体をロールツーロール方式で生産性高く作製できるうえ、電磁波シールド体の全周部分にわたって電極を形成することも容易である。
(反射防止層)
反射防止層は、基体上に形成し、基体表面の光線反射率を低減するための層である。
反射防止層としては、具体的には、可視光域において屈折率が1.5以下、好適には、1.4以下と低い、フッ素系透明高分子樹脂やフッ化マグネシウム、シリコン系樹脂や酸化珪素の薄膜等を、例えば1/4波長の光学膜厚で単層形成したもの、屈折率の異なる、金属酸化物、フッ化物、ケイ化物、ホウ化物、炭化物窒化物、硫化物等の無機化合物、シリコン系樹脂、アクリル樹脂、またはフッ素系樹脂等の有機化合物の薄膜を2層以上多層積層したものがある。単層形成したものは、製造が容易であるが、反射防止性が多層積層に比べ劣る。多層積層したものは、広い波長領域にわたって反射防止能を有し、基体フィルムの光学特性による光学設計の制限が少ない。これら無機化合物薄膜の形成には、スパッタリング、イオンプレーティング、イオンピームアシスト、真空蒸着、または室式塗工法等、従来公知の方法を用いればよい。
上記の反射防止層が形成されたフィルムが反射防止フィルムである。
(防眩層)
防眩層は、基体上に形成し、基体中を通過する透過光および表面からの反射光を防眩するための層である。
防眩層は0.1〜10μm程度の微少な凹凸を表面に有する。具体的には、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等の熱硬化型または光硬化型樹脂に、シリカ、メラミン、アクリル等の無機化合物または有機化合物の粒子を分散させインキ化したものを、バーコート法、リバースコート法、グラビアコート法、ダイコート法、ロールコート法等によって透明高分子フィルム上に塗布硬化させる。粒子の平均粒径は、1〜40μmである。または、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等の熱硬化型または光硬化型樹脂を基体に塗布し、所望のヘイズまたは表面状態を有する型を押しつけ硬化する事によっても防眩層を得ることができる。さらには、ガラス板をフッ酸等でエッチングするように、基体フィルムを薬剤処理することによっても防眩層を得ることができる。この場合は、処理時間、薬剤のエッチング性により、ヘイズを制御することができる。ヘイズはたとえばASTM規格D1003−61で測定され、表面凹凸による散乱の度合いが多い程ヘイズが高くなる傾向にある。上述の防眩層においては、適当な凹凸が表面に形成されていれば良く、作成方法は、上記に挙げた方法に限定されるものではない。防眩層のヘイズは、0.5%以上20%以下であり、好ましくは、1%以上10%以下である。ヘイズが小さすぎると防眩能が不十分であり、ヘイズが大きすぎると平行光線透過率が低くなり、ディスプレイ視認性が悪くなる。
上記の防眩層が形成されたフィルムが防眩性フィルムである。
(偏光板)
偏光板は、光の中から一方向にのみ振動する成分のみを取り出すための光学要素であり、LCD素子にとって不可欠なものである。フィルム状態である場合が多く、偏光フィルムと呼ばれることも多い。
本発明において用いられる偏光板は、通常LCD用に用いられているものであれば特に制限はない。
偏光フィルムは、ポリビニルアルコール(PVA)を塗布した高分子フィルムにヨウ素をドープしたものであることが多い。このフィルムを1軸延伸してフィルム中のヨウ素分子の向きをそろえる。このとき、ヨウ素はフィルムの高分子と一緒に配向し、結果としてヨウ素分子の向きが揃う。
自然光は、いかなるときでも、進行方向に垂直に振動していて、偏光フィルムの中のヨウ素分子の長軸方向と平行(縦)に振動する光と垂直(横)に振動する光が含まれている。もちろん中間的な角度に振動する光もある。ヨウ素分子の長軸方向と平行に振動する光と垂直に振動する光のみについて考える。ヨウ素の場合、この分子の電子密度の偏りによって、分子の長軸方向に垂直な方向または平行な方向における光吸収係数が大きく異なっている。分子の長軸に垂直に振動する光はほぼ100%透過するが、分子の長軸に平行に振動する光はほとんど透過せず、ヨウ素に吸収される。したがって偏光フィルムを通過できるのはヨウ素分子の長軸と垂直な光のみとなりその他は全てヨウ素に吸収される。こうして、自然光から、一つの方向にしか振動しない直線偏光(平面偏光)が得られる。
(サイズ)
本発明において、大型表示素子に関しては、その画面サイズが21インチ以上である場合に特に本発明の効果を期待できる。ここで画面サイズとは対角の長さで定義する。またサイズが37インチ以上である場合にはより大きな効果を期待することができ、さらにはサイズが42インチ以上である場合にさらに大きな効果を期待することができる。画面サイズが21インチより小さい表示素子に関しては、従来から用いられている部材を用いることによって電気取締り法に規定されている安全性条件を満たすことができる。しかし、画面サイズが21インチより小さい表示素子においても、本発明のように、その低い弾性率に特徴づけられた透明粘着層を用いることによって、より安全性が増すという効果がある。
本発明における、小型携帯端末用表示素子に関しては、すべての画面サイズに関して、本発明の効果を期待することができる。小型携帯端末用に用いられている表示素子は小さいものでその画面サイズが1インチ程度であるが、このサイズのものでも落下等により外部から衝撃を受け、表示素子の基板ガラスが割れることがある。本発明によって特定される表示素子は、この割れが非常に生じにくく、効果的である。さらに最近では小型携帯端末に備えられた表示素子の画面サイズがより大きくなりつつある。画面サイズが大きくなると表示素子の基板ガラスはより割れ易くなるので、本発明における表示素子を用いることはより効果的である。
(分析方法)
本発明のその低い弾性によって特徴づけられている透明粘着層のヤング率の測定には、通常用いられている一般的な手法を用いることができる。たとえば、該透明粘着層をむき出しにし、表面から単位面積に荷重をかけ、荷重の大きさと該透明粘着層の変形量とからヤング率を求めることができる。
光学フィルタの層構成および各層の状態は、断面の光学顕微鏡測定、走査型電子顕微鏡(SEM)測定、透過型電子顕微鏡測定(TEM)を用いて調べることができる。
透明導電膜の表面原子組成は、オージェ電子分光法(AES)、蛍光X線法(XRF)、X線マイクロアナライシス法(XMA)、荷電粒子励起X線分析法(RBS)、X線光電子分光法(XPS)、真空紫外光電子分光法(UPS)、赤外吸収分光法(IR)、ラマン分光法、2次イオン質量分析法(SIMS)、低エネルギーイオン散乱分光法(ISS)等により測定できる。また、膜中の原子組成および膜厚は、オージェ電子分光法(AES)や2次イオン質量分析(SIMS)を深さ方向に実施することによって調べることができる。
透明導電膜上に防眩性フィルム(anti−glare film、略称AGフィルム)や反射防止フィルム等を貼り合わせてある場合は、それを剥がし、透明導電膜表面を剥き出しにした後に、上述の手法を用いて調べればよい。
本発明において用いられる、高分子、色素の組成および構造に関しては、該色素を適当な溶媒に溶かした上で、一般的な組成または構造分析手法を用いて調べることができる。例えば、核磁気共鳴法(NMR)、赤外線分光法(IR)、ラマン分光法、質量分析法(MAS)等を用いることができる。
実施例
(透明導電膜の作製)
次に本発明の実施例を具体的に説明する。本発明はこれらによりなんら制限されるものではない。
実施例中の透明導電層(B)を構成する薄膜は、基材の一方の主面にマグネトロンDCスパッタリング法により成膜する。薄膜の厚みは、成膜条件から求めた値であり、実際に測定した膜厚ではない。
高屈折率透明薄膜層(a)としてITO薄膜を用いる場合、ターゲットに酸化インジウム・酸化スズ焼結体(組成比In:SnO=90:10wt%))を、スパッタガスにアルゴン・酸素混合ガス(全圧266mPa:酸素分圧5mPa)を用いて成膜する。
高屈折率透明薄膜層(a)として酸化スズ薄膜を用いる場合、ターゲットに酸化スズ焼結体を、スパッタガスにアルゴン・酸素混合ガス(全圧266mPa:酸素分圧5mPa)を用いて成膜する。
金属薄膜層(b)として銀薄膜を用いる場合、ターゲットに銀を、スパッタガスにアルゴンガス(全圧266mPa)を用いて成膜する。
金属薄膜層(b)として銀−パラジウム合金薄膜を用いる場合、ターゲットに銀−パラジウム合金(パラジウム10wt%)を、スパッタガスにアルゴンガス(全圧266mPa)を用いて成膜する。
なお、透明導電層の面抵抗は、四探針測定法(プローブ間隔1mm)により測定する。また、表面の可視光線反射率(Rvis)は、まず測定対象物の小辺を切り出し、透明粘着層を取り除いて高分子フィルム(A)側表面をサンドペーパーで荒らした後、艶消し黒スプレーしてこの面の反射を無くし、反射積分球(光線入射角度6°)を用いた(株)日立製作所製分光光度計(U−3400)によって可視領域の全光線反射率を測定し、ここで求められた反射率からJIS R3106に従って計算する。
(ヤング率の測定)
透明粘着層のヤング率は、断面積1×10−のステンレス製の測定棒を用い、一定の荷重をかけて、測定棒の先端を透明粘着層の表面に押し付けることによって測定する。かけた荷重の大きさ(F)と測定棒が透明粘着層内に入り込んだ量(D)との関係よりヤング率(G)を求める。関係式は、F=G×Dである。
(針入度)
JIS K2207−1991−50g荷重に従って求める。
(剛球落下試験)
実施例1〜7においては以下の通り実施する。
表示素子の表示面中心部分に、直径が50mm、重量が500gの剛球を高さ1300mmから振り子状に落とす。このときに表示部分の基体ガラスが割れ、前面に飛散した場合には不合格、前面への飛散を生じなかった場合は合格とする。また合格した表示素子のなかでの優劣はガラスの割れの度合いによって区別する。
実施例8〜30においては以下の通り実施する。
表示素子の表示面中心部分に、直径が50mm、重量が500gの剛球を高さ1300mmから振り子状に落とす。割れて飛散したガラスの到達点までの距離を調べた。最も遠くまで飛散した質量1g以上のガラスの到達点までの距離を結果とする。
(落下試験)
実施例1〜7においては以下の通り実施する。
表示素子を板の上に750mmの高さから落下させる。板は、厚み20mmの堅木の板である。厚み20mmの板を2枚併せて得られた、合せ板をコンクリート上に設置し、その上に該板を設置する。
表示装置前方900mmおよび1500mmに設けた障壁間に、短辺で15g以上、総重量で45g以上のガラス破片が飛散したり、重量が1gを越える破片が表示装置の前方1500mmに設けた障壁を越えて飛んだ場合は不合格とし、そうでない場合は合格とする。尚、不合格、合格それぞれの中においてもガラス片の飛散状況を鑑みて判断を実施する。
実施例8〜30においては以下の通り実施する。
表示素子を板の上に750mmの高さから落下させる。板は、厚み20mmの堅木の板である。厚み20mmの板を2枚併せて得られた、合せ板をコンクリート上に設置し、その上に該板を設置する。
表示装置の前方方向へ、割れて飛散したガラスの到達点までの距離を調べた。最も遠くまで飛散した質量1g以上のガラスの到達点までの距離を結果とする。
表示装置の前方900mmおよび1500mmに設けた障壁間に、単片で15g以上、総重量で45g以上のガラス破片が飛散したり、重量が1gを越える破片が、表示装置の前方1500mmに設けた障壁を超えて飛んだ場合は不合格とし、そうでない場合は合格とする。なお、不合格、合格それぞれの中においても、ガラス片の飛散状況を鑑みて優劣の判断を実施する。
透明粘着層のヤング率に関して
(実施例1)
(透明導電膜の作製)
2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(以下PET)フィルム(厚み:188μm)を高分子フィルム(A)としてその一方の主面に、PETフィルムから順に、ITO薄膜(膜厚:40nm)、銀薄膜(膜厚:11nm)、ITO薄膜(膜厚:95nm)、銀薄膜(膜厚:14nm)、ITO薄膜(膜厚:90nm)、銀薄膜(膜厚:12nm)、ITO薄膜(膜厚:40nm)の計7層の透明導電層(B)を形成し、面抵抗2.2Ω/□の透明導電層(B)を有する透明積層体を作製する。
積層体(PETフィルム/透明導電層)の断面を、本発明における高分子フィルム(A)/透明導電層(B)の一例を示す断面図として、図1に示す。図1において、透明高分子フィルム10の上に、順次、高屈折率薄膜層20、金属薄膜層30、高屈折率薄膜層20、金属薄膜層30、高屈折率薄膜層20、金属薄膜層30、高屈折率薄膜層20が積層される。
(アクリル系粘着剤の作製)
重量比で酢酸ビニル:オクチルアクリレート:エチルアクリレート:マレイン酸=20:70:10:7.5のモノマー混合液100部とアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)とメチレンクロライドを0.2:20割合で混合した混合物を作る。上記モノマー混合液とAIBN混合物を攪拌しながら還流がおこる温度まで過熱する。還流は74℃程度で生じる。還流が生じてから5分後にメチレンクロライド55部を混合物に加えはじめる。この作業は3時間以上かけてゆっくり行う。最終的に還流温度は50℃程度となる。その1時間後にトルエン75部を混合物に加える。還流温度は65℃程度となる。この温度において、混合物をさらに6時間加熱する。この段階で混合物のポリマ化が終了するので、室温まで冷却する。
上述の材料混合割合で得られる共重合体の重量組成は、酢酸ビニル:オクチルアクリレート:エチルアクリレート:マレイン酸=20:70:10:7.5程度となる。得られた試料を試料a(酢酸ビニル20wt%)とする。
続いて混合する材料の割合を変化させて重量組成の異なる試料を用意する。本実施例においては酢酸ビニルの混合割合のみが変化するようにして、重量組成を変化させる。酢酸ビニルの混合割合が以下の通りの試料を用意する。試料b(酢酸ビニル18wt%)、試料c(酢酸ビニル15wt%)、試料d(酢酸ビニル10wt%)、試料e(酢酸ビニル5wt%)、試料f(酢酸ビニル3wt%)、および試料g(酢酸ビニル2wt%)。
(色素の分散)
酢酸エチル/トルエン(50:50wt%)溶剤に有機色素を分散・溶解させ、アクリル系粘着剤の希釈液とする。アクリル系粘着剤/色素入り希釈液(80:20wt%)を混合し、粘着剤原液とする。粘着剤の屈折率は1.51、消光係数は0である。
有機色素としては、プラズマディスプレイが放射する不要発光を吸収させるための波長595nmに吸収極大を有する三井化学(株)製色素PD−319、および白色発光の色度を補正するための三井化学(株)製赤色色素PS−Red−Gを用い、それぞれ乾燥した粘着剤1の中に1150(wt)ppm、1050(wt)ppmで含有されるようにアクリル系粘着剤/色素入り希釈液を調整する。
(粘着層の形成)
表面に易ハクリ処理が施されたポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み100μm)上に、用意した粘着剤を厚みが100μmとなるように、粘着剤原液をグラビアコート法で塗布し、粘着層を形成する。塗布面は易ハクリ処理面である。さらに粘着層の上に表面が易ハクリ処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み100μm)を貼り合せ、ダブルタック状態にする。粘着層に易ハクリ面が接するように貼り合せる。このとき用いる易ハクリ層は最初に粘着剤を塗布する面である易ハクリ層よりも易ハクリ性が高いものを用いることが好ましい。なお、透明粘着層の両面に位置するポリエチレンテレフタレートフィルムは離型フィルムとして機能し、易ハクリ性が高い方が、最初に剥がされることを想定されている。
(透明導電性フィルムへの粘着層形成)
透明導電層/PETフィルムのPETフィルム面上に前述により得られる透明粘着層を形成する。まず透明粘着層の両面に貼りつけられている2枚の離型フィルムのうち1枚を剥がし、透明積層体上に貼り合せる。構成は、透明導電層/PETフィルム/粘着剤/離型フィルムとなる。
(反射防止フィルムの作製)
トリアセチルセルロース(TAC)フィルム(厚み:80μm、ヤング率:1300MPa)の一方の主面に、多官能メタクリレート樹脂に光重合開始剤を加え、さらにITO微粒子(平均粒径:10nm)を分散させたコート液をグラビアコータによって塗工し、紫外線硬化によって導電性ハードコート膜(膜厚:3μm)を形成し、その上に含フッ素有機化合物溶液をマイクログラビアコータによって塗工・90℃乾燥・熱硬化させ、屈折率1.4の反射防止膜(膜厚:100nm)を形成し、ハードコート性(JISK5400準拠の鉛筆硬度:2H)、ガスバリア性(ASTM−E96準拠、1.8g/m・day)、反射防止性(表面のRvis:1.0%)、帯電防止性(表面抵抗:7×10Ω/□)、および防汚性を有する機能性透明層(E)として反射防止フィルムを得る。反射防止フィルムの他方の主面に、粘着剤と同様の素材で色素を入れない粘着剤/希釈液を塗工・乾燥させ、厚み25μmの透明粘着層(D)(粘着剤2)を形成し、さらに離型フィルムをラミネートする。
(光学フィルタの作製)
透明導電膜/PETフィルム/粘着剤/離型フィルムを970mm×570mmの大きさに裁断し、ガラス製支持板に透明導電層(B)面を上にして固定する。さらに、ラミネーターを用いて、透明導電層(B)の周縁部20mmが剥きだしになるように導通部を残して、内側だけに反射防止フィルムをラミネートする。
さらに、透明導電層(B)の剥きだしの導通部を覆うように周縁部の幅22mmの範囲に、銀ペースト(三井化学(株)製MSP−600F)をスクリーン印刷し、乾燥させ、厚み15μmの電極を形成する。支持板からはずして、透明粘着層(C)面に離型フィルムを有する本発明の光学フィルタを作製する。
(光学フィルタの装備)
さらに、該光学フィルタの離型フィルムを剥離して、プラズマディスプレイパネル前面(表示部920mm×520mm)に枚葉式ラミネーターを用いて貼り合せた後、60℃、2×10Paの加圧加温条件下でオートクレーブ処理する。光学フィルタの電極と該プラズマディスプレイパネルのアース部を、(株)寺岡製作所製・導電性銅箔粘着テープ(510FR)を用いて接続し、本発明の光学フィルタを具備する表示装置を得る。該光学フィルタの断面を、本発明の光学フィルタとその装着状態の一例を示す断面図として、図2に示す。図2において、プラズマディスプレイパネル40の上に、順次、低い弾性に特徴づけられた透明粘着層50、透明高分子フィルム10、透明導電層60、透明粘着層70、透明高分子フィルム80、反射防止層90が積層される。電極100は、透明粘着層70、透明高分子フィルム80、反射防止層90の端面を覆うように、透明導電層60と電気的に接続される。
(耐衝撃性試験)
上述のように作製した、光学フィルタを装備したPDPの耐衝撃性を剛球落下試験および落下試験によって調べる。共に合格した場合のみ合格とし、それ以外は不合格とする。合格、不合格それぞれの場合においても、各試験結果より耐衝撃性の優劣を判断する。
評価結果を表1に示す。
透明粘着層においてそのヤング率が1×10〜1×10Paの範囲内において、良好な耐衝撃性を示し、耐衝撃性試験に合格するPDPを提供することができる積層体を得ることができることが分かる。透明粘着層のヤング率が1×10Paよりも大きい場合、および1×10Paよりも小さい場合は十分な耐衝撃性を得ることができないことが分かる。
Figure 2004181975
(実施例2)
弾性率によって特徴づけられた透明粘着層としてシリコン系の透明粘着層を作製し用いた点以外は実施例1と同様に実施する。
(シリコン系粘着剤の作製)
以下に示す3種の樹脂および触媒を用意する。
樹脂P1/フェニルメチルシロキサン(濃度50モル%)と、モノフェニルシロキサン(濃度15モル%)と、モノメチルシロキサン(濃度25モル%)と、ジフェニルシロキサン(濃度10モル%)との共重合体。ジンクオクテイト触媒(0.6重量%)を含む。シリコンと結合した水酸基を持つ。
樹脂P2/フェニルメチルビニルシロキシ共重合体。フェニルメチルシロキサン(濃度60モル%)とフェニルビニルシロキサン(40モル%)とからなる。
樹脂P3/フェニルメチルシロキサン(50モル%)と、水素化メチルシロキサン(50モル%)との共重合体。
触媒A/クロロプラチン酸(濃度0.2重量%)を分散したキシレン溶液。
調合h/樹脂P1と樹脂P2と樹脂P3を重量比25:4.0:1.0でトルエン中で混合し、50%混合液を作製する。この混合液に触媒Aを15滴加える。得られる混合液を試料hとする。
調合i/触媒Aを1滴加える点以外は調合hと同様に実施する。得られる混合液を試料iとする。
調合j/触媒Aを加えない点以外は調合hと同様に実施する。得られる混合液を試料jとする。
評価結果を表2に示す。
シリコン系の粘着剤を用いても、実施例1でのアクリル系粘着剤を用いた場合と同様に透明粘着層のヤング率を従来よりも低下させることによって、その透明粘着層を装備したPDPが、耐衝撃性の安全基準を満たすことができるようになることが分かる。
Figure 2004181975
(比較例1)
透明粘着層としてダブルダックテープ(積水化学製5510)を用いた点以外は、実施例1と同様に実施する。
評価結果を表3に示す。
従来用いられている透明粘着剤を装備したPDPは、耐衝撃性に貧しく、その透明粘着剤のヤング率は、実施例1、2において、耐衝撃性が貧しかった試料と同等であることが分かる。
Figure 2004181975
(実施例3)
以下に示した事項以外は実施例1と同様に実施する。
実施例1と同様に反射防止フィルムを作製する。基材フィルムとしてトリアセチルセルロース(TAC)フィルムではなく、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(以下PET)フィルム(厚み:188μm、ヤング率:4000MPa)を用いる。
この反射防止フィルムの反射防止層形成面の反対面に実施例1で実施したのと同様に透明導電膜を作製する。
実施例1と同様にアクリル系粘着剤(試料番号e)を作製し、そこに色素を分散し、粘着層を形成する。
反射防止膜/PETフィルム/透明導電膜の透明導電膜上に前述により得られる透明粘着層を形成する。まず透明粘着層の両面に貼りつけられている2枚の離型フィルムのうち1枚を剥がし、透明積層体上に貼り合せ、光学フィルタを作製する。
構成は、反射防止膜/PETフィルム/透明導電膜/粘着剤/離型フィルムなる。
上述のように作製した積層体を970mm×570mmの大きさに裁断し、光学フィルタを作製する。
さらに該光学フィルタの離型フィルムを剥離して、42インチ型プラズマディスプレイパネル前面(表示部920mm×520mm)に枚葉式ラミネーターを用いて貼り合せた後、60℃、2×10Paの加圧加温条件下でオートクレーブ処理する。
プラズマディスプレイパネル前面の表示部分外の周囲には外部とのねじ留め用の穴をあらかじめあけておく。このねじ留め用の穴はPDP外部に導通し、アースを取れるようになっている。
光学フィルタは、このねじ留め用の穴を覆い隠すようにPDPに貼りつけられる。光学フィルタ表面より光学フィルタを貫通するようにねじをねじ留め用穴に固定する。用いるねじは導電性を持つことが必要である。該光学フィルタの断面を、本発明の光学フィルタとその装着状態の他の例を示す断面図として、図3に示す。図3において、プラズマディスプレイパネル40の上に、順次、低い弾性に特徴づけられた透明粘着層50、透明導電層60、透明高分子フィルム10、反射防止層90が積層される。電極100は、各層を貫通するように設けられ、透明導電層60と電気的に接続するとともに、PDPの導電性ねじとの接触によって接地される。
また、図4は本発明に係る積層体をOELD(有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ)に装備した状態の一例を示す断面図である。図4において、OELD140の上に、順次、低い弾性に特徴づけられた透明粘着層50、透明高分子フィルム10、反射防止層90が積層される。
評価結果を表4に示す。
光学フィルタを構成する高分子フィルムの枚数が1枚であっても、そのヤング率が従来よりも低い透明粘着層を用いることによって、その光学フィルタを装備したPDPの耐衝撃性が十分に得られることが分かる。
Figure 2004181975
(実施例4)
以下に示した事項以外は実施例1と同様に実施する。
低い弾性に特徴づけられた粘着剤として、実施例2で用いたシリコン系粘着剤(試料番号c)を用いた以外は実施例3と同様に実施する。
評価結果を表5に示す。
透明粘着層が、シリコン系粘着剤であっても実施例3においてアクリル系粘着剤を用いた場合と同様に十分な耐衝撃性を得ることができることが分かる。
Figure 2004181975
(実施例5)
以下に示した事項以外は実施例1と同様に実施する。
実施例3で実施したのと同様に反射防止フィルムを作製する。
実施例1と同様にアクリル系粘着剤(試料番号d)を作製し、粘着層を形成する。
反射防止膜/PETフィルムのPETフィルム上に前述により得られる透明粘着層を形成する。まず透明粘着層の両面に貼りつけられている2枚の離型フィルムのうち1枚を剥がし、透明積層体上に貼り合せ、さらなる積層体を作製する。
構成は、反射防止膜/PETフィルム/粘着剤/離型フィルムとなる。
上述のように作製した光学フィルタを60mm×40mmの大きさに裁断し、光学フィルタを作製する。
さらに該光学フィルタの離型フィルムを剥離して、3インチ型有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ前面(表示部60mm×40mm)に貼り合せる。
耐衝撃試験の合格判断はディスプレイ視認面のガラス基板に割れが生じるかどうかで判断する。
評価結果を表6に示す。
透明粘着層のヤング率を従来よりも低下させることによって、それを装備した小型携帯ディスプレイが、落下による衝撃により割れにくいものとなることが分かる。
Figure 2004181975
(実施例6)
以下に示した事項以外は実施例1と同様に実施する。
低い弾性に特徴づけられた粘着剤として、実施例2で用いたシリコン系粘着剤(試料番号c)を用いた以外は実施例5と同様に実施する。
評価結果を表7に示す。
透明粘着層としてシリコン系粘着剤を用いることによって、アクリル系粘着剤
を用いた場合と同様に、それを装備した小型携帯ディスプレイの耐衝撃性が増すことが分かる。
Figure 2004181975
(実施例7)
以下の事項を除いて実施例1と同様に実施した。
(アクリル系粘着剤の作製)において
試料cを作製した。
(粘着層の形成)において
粘着層の厚みを、510、500、300、100、50、10、5μmの7種用意した。
(透明導電性フィルムへの粘着層の形成)において
上述で用意した7種の粘着剤を透明導電膜/PETフィルムのPETフィルム面上に貼り合わせ、7種の積層体を用意した。構成は、透明導電膜/PETフィルム/粘着剤/離型フィルムである。
(光学フィルタの作製)において
光学フィルタ作製後に光学フィルタの視感平均透過率を測定した。視感平均透過率(Tvis)が30%より低い場合は、実用的ではないと判断する。
評価結果を表8に示す。
粘着層の厚みが10μmよりも小さい場合は、耐衝撃性試験を満たすことができないことが分かる。また、粘着層の厚みが500μmより大きい場合は、視感平均透過率が30%より小さくなり、実用的に有用でないものとなることが分かる。
以上を鑑みると粘着層の厚みは10〜500μmの範囲であることが好ましいことが分かる。
Figure 2004181975
透明樹脂層のヤング率に関して
(実施例8)
(透明樹脂層の作成)
ポリエチレンテレフタレートペレット1203(ユニチカ(株)製)を290〜300℃で溶融させ、押出し機により厚み200μmのフィルムを作製した。その後、このフィルムを2軸延伸して、厚み100μmのPETフィルムを作製する。
上述のPETフィルムと巴川製紙所製透明粘着剤シート(厚み0.01mm、ヤング率:2.5MPa)とを用いた以外は実施例1と同様にして光学フィルタの作成およびPDP前面への貼合を行う。
該光学フィルタの断面を、本発明の光学フィルタとその装着状態の他の例を示す断面図として、図5に示す。図5において、プラズマディスプレイパネル240の上に、順次、透明粘着層250、適切な弾性および厚みを有する透明樹脂層210、透明導電層260、透明粘着層270、透明樹脂層280、反射防止層290が積層される。電極300は、透明粘着層270、透明樹脂層280、反射防止層290の端面を覆うように、透明導電層260と電気的に接続される。
(耐衝撃性試験)
上述のように作製した、光学フィルタを装備したPDPの耐衝撃性を剛球落下試験により調べる。飛散したガラスが、到達した距離によって、優劣を判断した。すなわち、ガラスが遠くまで飛散するほど、装備した光学フィルタの性能が低いと評価した。本発明においてはガラス飛散距離が0.5m以内である場合に、透明樹脂層が有効に機能していると考える。
(実施例9)
透明樹脂層のPETを延伸しなかったこと以外は、実施例8と同様に実施する。
(実施例10)
弾性によって特徴づけられた透明樹脂層としてエチレン/プロピレン共重合体(厚み100μm、面に垂直な方向のヤング率40MPa)を用いる点以外は実施例8と同様に実施する。
(実施例11)
弾性によって特徴づけられた透明樹脂層としてエチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)(厚み100μm、面に垂直な方向のヤング率12MPa)を用いる点以外は実施例8と同様に実施する。
(実施例12)
弾性によって特徴づけられた透明樹脂層としてEVA(厚み100μm、面に垂直な方向のヤング率4MPa)を用いる点以外は実施例8と同様に実施する。
(実施例13)
基材フィルムとしてEVA(厚み200μm、面に垂直な方向のヤング率12MPa)を用いたこと以外は実施例8と同様に反射防止フィルムを作製する。この反射防止フィルムの反射防止層形成面の反対面に実施例8で実施したのと同様に透明導電膜を作製する。
実施例8と同様にアクリル系粘着剤を作製し、そこに色素を分散し、粘着層を形成する。
反射防止膜/PETフィルム/透明導電膜の透明導電膜上に前述により得られる透明粘着層を形成する。まず透明粘着層の両面に貼りつけられている2枚の離型フィルムのうち1枚を剥がし、透明積層体上に貼り合せ、光学フィルタを作製する。構成は、反射防止膜/PETフィルム/透明導電膜/粘着剤/離型フィルムとなる。
上述のように作製した積層体を970mm×570mmの大きさに裁断し、光学フィルタを作製する。
さらに該光学フィルタの離型フィルムを剥離して、42インチ型プラズマディスプレイパネル前面(表示部920mm×520mm)に枚葉式ラミネーターを用いて貼り合せる。
なお、プラズマディスプレイパネル前面の表示部分外の周囲には外部とのねじ留め用の穴をあらかじめあけておく。このねじ留め用の穴はPDP外部に導通し、アースを取れるようになっている。
光学フィルタは、このねじ留め用の穴を覆い隠すようにPDPに貼りつけられる。光学フィルタ表面から光学フィルタを貫通するように、ねじをねじ留め用穴に固定する。なお、用いるねじは導電性を持つことが必要である。該光学フィルタの断面を、本発明の光学フィルタとその装着状態のさらに他の例を示す断面図として、図6に示す。図6において、プラズマディスプレイパネル240の上に、順次、透明粘着層250、透明導電層260、透明樹脂層210、反射防止層290が積層される。電極300は、各層を貫通するように設けられ、透明導電層260と電気的に接続するとともに、PDPの導電性ねじとの接触によって接地される。
(実施例14)
弾性に特徴づけられた透明樹脂層としてEVA(厚み200μm、面に垂直な方向のヤング率4MPa)を使用した点以外は実施例13と同様に実施する。
評価結果を表9に示す。構成枚数は、積層体を構成する全透明樹脂層の数である。ガラス飛散距離は、剛球落下試験後の結果である。
Figure 2004181975
(実施例15)
実施例10のフィルタシートを40mm×30mmの大きさに切断し、2インチ型有機エレクトロルミネッセンス素子(寸法40mm×30mm)の視認面上に貼り合せた。
また、図7は本発明に係る積層体をOELD(有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ)に装備した状態の他の例を示す断面図である。図7において、OELD340の上に、順次、透明粘着層250、透明樹脂層210、反射防止層290が積層される。
この素子の耐衝撃性を落下試験により調べる。本発明においてはガラス飛散距離が0.5m以内である場合に透明樹脂層が、衝撃防止機能を十分に発していると考える。
(実施例16)
実施例14において作成したPETフィルムを用いた点以外は、実施例15と同様に実施する。
評価結果を表10に示す。材料とは、弾性および厚みに特徴づけられた透明樹脂層の材料のことを指す。ヤング率はその透明樹脂層の面に垂直な方向のヤング率である。ガラス飛散距離は、落下試験後の結果である。
Figure 2004181975
次に衝撃吸収層を用いた場合について説明する。
(実施例17)
(透明導電層の作製)
PETフィルム(厚み:75μm、ヤング率:3900MPa)と巴川製紙所製透明粘着剤シート(厚み0.01mm、ヤング率:2.5MPa)とを用いた以外は実施例1と同様にして透明導電層の作成を行う。
(衝撃吸収層の用意)
シリコーンのゲル状物質(ジェルテック社製、製品名:αゲル、厚み500μmのシート、視感平均透過率83%、針入度180)を用意し、上記にて反射防止フィルムを作成した場合と同様にして、一方の主面上に反射防止層を形成する。さらにもう一方の主面上に透明粘着剤(厚み:25μm、ヤング率:2.0MPa)を貼り合わせる。
上述の透明導電フィルム、衝撃吸収層を用いた以外は実施例1と同様にして光学フィルタの作成、PDPへの貼合を行う。
図8は、本発明の光学フィルタとその装着状態のさらに他の例を示す断面図である。図8において、プラズマディスプレイパネル440の上に、順次、透明粘着層450、透明樹脂層410、透明導電層460、透明粘着層470、透明樹脂層480、反射防止層490、衝撃吸収層500が積層される。電極510は、透明粘着層470、透明樹脂層480、反射防止層490の端面を覆うように、透明導電層460と電気的に接続される。
(耐衝撃性試験)
上述のように作製した、光学フィルタを装備したPDPの耐衝撃性を剛球落下試験により調べる。
(実施例18)
下記の事項を除いて、実施例17と同様に実施した。
(衝撃吸収層の用意)において
シリコーンのゲル状物質(ジェルテック社製、製品名:αゲル、厚み500μmのシート、針入度180、視感平均透過率83%)を用意し、一方の主面上に透明粘着剤(厚み:25μm、ヤング率:2.0MPa)を貼り合わせる。
(光学フィルタの作製)において
実施例1の光学フィルタの色素入り粘着層と上記衝撃吸収層の透明粘着層が形成されていない面とを貼り合わせて得られる。
得られる構成は、反射防止層/TACフィルム/透明粘着層/透明導電層/色素入り粘着層/衝撃吸収層/粘着層/セパレータフィルムとなる。
さらに、透明導電層の剥きだしの導通部を覆うように周縁部の幅22mmの範囲に、銀ペースト(三井化学(株)製MSP−600F)をスクリーン印刷し、乾燥させ厚み15μmの電極を形成する。
(光学フィルタの装備)において
該光学フィルタを備えたPDPの断面図を光学フィルタの断面図とともに図9に示す。図9において、プラズマディスプレイパネル440の上に、順次、衝撃吸収層500、透明粘着層450、透明樹脂層410、透明導電層460、透明粘着層470、透明樹脂層480、反射防止層490が積層される。電極510は、透明粘着層470、透明樹脂層480、反射防止層490の端面を覆うように、透明導電層460と電気的に接続される。
(実施例19)
以下の事項を除いて、実施例17と同様に実施した。
衝撃吸収層を2種類用意した。
(衝撃吸収層Iの用意)
シリコーンのゲル状物質(ジェルテック社製、製品名:αゲル、厚み500μmのシート、視感平均透過率83%、針入度180)を用意し、上述において反射防止フィルムを作成した場合と同様にして、一方の主面上に反射防止層を形成する。さらにもう一方の主面上に透明粘着剤(厚み:25μm、ヤング率:2.0MPa)を貼り合わせる。これを衝撃吸収層Iとする。
(衝撃吸収層IIの用意)
シリコーンのゲル状物質(ジェルテック社製、製品名:αゲル、厚み500μmのシート、視感平均透過率83%、針入度180)を用意し、一方の主面上に透明粘着剤(厚み:25μm、ヤング率:2.0MPa)を貼り合わせる。これを衝撃吸収層IIとする。
(光学フィルタの作製)において
実施例1の光学フィルタの色素入り粘着層と衝撃吸収層IIの透明粘着層が形成されていない面でを貼り合わせる。
得られる積層体の構成は、反射防止層/TACフィルム/透明粘着層/透明導電層/色素入り粘着層/衝撃吸収層/粘着層/セパレータフィルムとなる。
さらに、透明導電層の剥きだしの導通部を覆うように周縁部の幅22mmの範囲に、銀ペースト(三井化学(株)製MSP−600F)をスクリーン印刷し、乾燥させ厚み15μmの電極を形成する。
衝撃吸収層Iの透明粘着剤側と上記積層体の反射防止フィルム側とを貼り合わせる。
続いて積層体を支持板からはずして、透明粘着層面に離型フィルムを有する本発明の光学フィルタを作製する。
該光学フィルタを備えたPDPの断面図を光学フィルタの断面図とともに図10に示す。図10において、プラズマディスプレイパネル440の上に、順次、衝撃吸収層500、透明粘着層450、透明樹脂層410、透明導電層460、透明粘着層470、透明樹脂層480、反射防止層490、衝撃吸収層500が積層される。電極510は、透明粘着層470、透明樹脂層480、反射防止層490の端面を覆うように、透明導電層460と電気的に接続される。
(実施例20)
反射防止フィルムと衝撃吸収層IIを用いなかったこと以外は実施例17と同様にして作成、評価を実施した。
(比較例2)
衝撃吸収層を形成しない点を除いて、実施例17と同様に実施した。
以上、実施例17〜20および比較例2の結果を表11に掲げた。
Figure 2004181975
表11での実施例17〜20の結果から分かるように、すべての実施例において、耐衝撃性試験に合格するプラズマディスプレイパネルを得ることができることが分かる。
比較例2に示したように、衝撃吸収層を備えていない積層体を用いた光学フィルタを備えたプラズマディスプレイパネルは、耐衝撃性試験に合格しない。
(実施例21)
(反射防止フィルムの作製)
PETフィルム上(厚さ:188μm、ヤング率:4000MPa)に、実施例1と同様の方法で反射防止層を形成し、反対面に粘着層(厚さ:25μm、ヤング率:2.0MPa)を形成した。構成は、反射防止層/PETフィルム/粘着層である。
(衝撃吸収層の用意)
シリコーンのゲル状物質(ジェルテック社製、製品名:αゲル、厚み500μmのシート、視感平均透過率83%、針入度180)を用意し、上述のように反射防止フィルムを作成した場合と同様にして、一方の主面上に反射防止層を形成する。さらにもう−方の主面上に透明粘着剤(厚み:25μm、ヤング率:2.0MPa)を貼り合わせる。
(光学フィルタの作製)
40mm×30mmの大きさに裁断した上記反射防止フィルムと衝撃吸収層とを貼り合わせる。構成は、反射防止層/PETフィルム/粘着層/衝撃吸収層/粘着層/セパレータである。
これを2インチ型有機エレクトロルミネッセンス素子(寸法40mm×30mm)の画面上に貼り合せる。
該反射防止フィルムを備えた有機エレクトロルミネッセンス素子の断面図を反射防止フィルムの断面図とともに図11に示す。図11において、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ520の上に、順次、透明粘着層50、透明樹脂層10、反射防止層90が積層される。
この素子の耐衝撃性を落下試験により調べた。
(比較例3)
衝撃吸収層を形成しなかった点を除いて実施例21と同様に実施した。
以上、実施例21および比較例3の結果を表12に掲げた。
Figure 2004181975
表12での実施例21の結果から分かるように、衝撃吸収層を備えた光学フィルタを用いることによって、耐衝撃性試験に合格する有機エレクトロルミネッセンス素子を得ることができることが分かる。また比較例3に示したように、衝撃吸収層を備えていない積層体または光学フィルタを備えた有機エレクトロルミネッセンス素子は、耐衝撃性試験に合格しない。
次に、落球衝撃試験評価を行った場合について述べる。
(実施例22)
(透明導電性フィルムの作製)
実施例1と同様の方法でポリエチレンテレフタレート(以下PET)フィルム(幅564mm、長さ500m、厚み75μm、ヤング率:3900MPa)を高分子フィルムとしてその一方の主面に、PETフィルムから順に、ITO薄膜(膜厚:40nm)、銀薄膜(膜厚:10nm)、ITO薄膜(膜厚:95nm)、銀薄膜(膜厚:12nm)、ITO薄膜(膜厚:90nm)、銀薄膜(膜厚:9nm)、ITO薄膜(膜厚:40nm)の計7層の透明導電層を形成し、面抵抗2.3Ω/□の透明導電層を有する透明導電性フィルムを作製した。透明導電層と反対側には透明粘着層を形成した。断面図を図1に示す。
(AGフィルムの用意)
AGフィルム(日本油脂社製、銘柄:PET75AG−HC/PU−V、AG層の反対面に透明粘着層が形成されている、幅558mm、長さ500m、厚み75μm)(基材層:PETフィルム、ヤング率:3900MPa)を用意する。
(EVAシートの用意)
エチレン酢酸ビニル共重合体(三井デュポンポリケミカル製、酢酸ビニル単位19wt%含有、MFR=2.5g/10分、JIS−A硬度=89、ヤング率:43MPa)ペレットを用い、押出し成形で、幅564mm、厚み0.23mm、0.36mm、0.93mm、1.3mm、2.1mmサイズのシートを作製する。これの片面に透明粘着層(色素無し、厚み0.01mm)を貼り合わせる。
(貼合わせ)
ロールツーロール方式によって、上記透明導電フィルムの粘着層側と2.1mm厚のEVAシートの粘着層と反対側を貼り合わせる。
次いでロールツーロール方式により、上記積層体の透明導電層側とAGフィルムの粘着層側を貼り合わせる。なお、フィルムの幅方向位置に関しては、それぞれのフィルムの中心位置が一致するような位置とした。全体の厚みは約2.3mmである。
(切断)
上述の積層体を958mm*564mmサイズに切断する。
(電極形成)
積層体の長辺部分に6mmの幅にわたって、スクリーン印刷法によって銀ペーストを塗布し、乾燥させることによってディスプレイ用フィルタ1を得た。塗布はAGフィルム側に実施した。
(プラズマディスプレイパネルへの装着)
プラズマディスプレイパネル(NEC製 PX−42VP1)前面へ色素入り透明粘着層を介して、ディスプレイ用フィルタを取り付けた。プラズマディスプレイパネルにあらかじめ備え付けられているコンタクトを、ディスプレイ用フィルタの電極部分に接触させた。全周囲にわたって設けられている電極全てを覆うようにする。
(電磁波遮断能力評価)
プラズマディスプレイパネルを動作させて、外部に放出される電磁波の強度をFCC規格 Part15Jに基づいて測定する。本フィルタはクラスA基準を満たしている。
(落球衝撃試験)
ストーンテーブル上に日計電測製LC−20KNG702圧縮型ロードセル(定格容量20kN、定格出力1160*10−6strain)を固定し、ロードセル***部に上記フィルタを50mm*50mmサイズに切り出したサンプルを固定し、室温下、543gの鋼球を10cm高さから落下させる。その際の応力と時間は、上記ロードセルとNEC三栄社製AS2102型動ひずみ計、NEC三栄社製AP11−103型高速DCアンプ、NEC三栄社製RA1200型サーマルドットレコーダを接続して測定する。結果を表1に示す。
また、同じサンプルフィルムをプラズマディスプレイパネル(NEC製 PX−42VP1)上に固定し、543gの鋼球を10cmの高さから落下させてもPDPパネルは破損しない。
(実施例23)
EVAシートの代わりに商品名αジェル(ジェルテック製シリコーン系ゲル、厚み3mm、片面透明粘着剤付き)を用いた以外は実施例22と同様にしてサンプルシートの作製と落球衝撃試験を行う。結果を表13に示す。
(比較例4)
EVA、αジェルの代りにPETシート(厚さ:2mm、ヤング率:900MPa)を用いたこと以外は、実施例22と同様の方法でサンプルシートの作製と落球衝撃試験を行う。結果を表13に示す。
Figure 2004181975
次にJIS−A硬度が異なる2種以上の層からなる積層体の落球衝撃試験評価を行った場合について述べる。
(実施例24)
厚み1mmのαジェルと厚み0.23mmのEVAと積層体を貼り合わせたサンプルシートを用いた以外は、実施例22と同様にして落球衝撃試験を行う。結果を表14に示す。
(実施例25)
(スチレン系熱可塑性エラストマー(SEBS)シートの用意)
シェル社のスチレン系熱可塑性エラストマー(商品名:クレイトンG1657、JIS−A硬度:55、ヤング率:1.2MPa)ペレットを用い、押出し成形で、幅564mm、厚み0.36mm、0.54mm、1.02mmサイズのシートを作製する。これの片面に透明粘着層(色素無し、0.01mm)を貼り合わせる。
(貼り合わせ、落球衝撃試験)
厚み0.36mmのEVAシート、αジェルの代りに厚み0.93mmのSEBSを用いた以外は実施例24と同様にして貼り合わせと落球衝撃試験を行った。結果を表14に示した。
(実施例26)
EVAシート厚みを0.23mmとし、サイズを縦横各々50mmとし電極印刷を行わなかった以外は実施例25と同様にしてサンプルシートを作製、落球衝撃試験を行った。結果を表14に示す。
(実施例27)
EVAシート厚みを0.94mmとし、SEBSシートの代わりに商品名αジェル(ジェルテック製シリコーン系ゲル、50mm*50mm*0.3mmサイズ片面透明粘着剤付き、JIS−A硬度<10)を用いた以外は実施例26と同様にしてサンプルシートを作製、落球衝撃試験を行った。結果を表14に示す。
(実施例28)
EVAシート厚みを0.23mmとし、αジェルを厚み1mmとした以外は実施例27と同様にしてサンプルシートを作製、落球衝撃試験を行った。結果を表14に示す。
(実施例29)
EVAシート厚みを0.36mmとし、αジェルを厚み1mmとした以外は実施例28と同様にしてサンプルシートを作製、落球衝撃試験を行った。結果を表14に示す。
(実施例30)
EVAシートの代わりにSEBSシート(厚み0.36mm)を用いた以外は実施例29と同様にしてサンプルシートを作製、落球衝撃試験を行った。結果を表14に示す。
(実施例31)
SEBSシートを厚み0.93mm、αジェルを0.3mmとした以外は実施例30と同様にしてサンプルシートを作製、落球衝撃試験を行った。結果を表14に示す。
(実施例32)
(EVA/エチレンプロピレンターポリマ(EPT)共架橋物シートの準備)
EVAを40部、三井EPT(エチレン/プロピレン/エチリデンノルボルネン共重合体)を60重量部、シリカを25重量部、パラフィンオイルを27重量部に安定剤、シランカップリング剤、過酸化物、安定剤を添加して混練後、溶融プレス成形にて縦150mm、横150mm、厚み0.54mmと1.17mmのシートを得た(以後EVTと呼ぶ、JIS−A硬度:64、ヤング率:1.2MPa)。JIS−A硬度はいずれも64であった。この片面に上記の粘着剤(色素無し、厚み0.01mm)を貼り付けた。
(落球衝撃試験)
SEBSの代りに厚み0.54mmのEVT、αジェル(ジェルテック製シリコーン系ゲル、50mm*50mm*0.5mmサイズ片面透明粘着剤付き、JIS−A硬度<10)を用いた以外は実施例31と同様にしてサンプルシートを作製、落球衝撃試験を行った。結果を表14に示す。
(実施例33)
αジェルの代わりに厚み0.36mmのSEBSを用いた以外は実施例32と同様にしてサンプルシートを作製、落球衝撃試験を行った。結果を表14に示す。
(実施例34)
SEBSの代りにαジェルを厚み0.54mmとした以外は実施例33と同様にしてサンプルシートを作製、落球衝撃試験を行った。結果を表14に示す。
Figure 2004181975
(実施例35)
αゲルの厚みを0.5mm、EVAの厚みを0.36mmとした以外は実施例24と同様にしてサンプルシートの作製、落球衝撃試験を行った。結果を表15に示した。
(実施例36)
αゲルの厚みを0.5mm、SEBSの厚みを0.5mmとした以外は実施例24と同様にしてサンプルシートの作製、落球衝撃試験を行った。結果を表15に示した。
(実施例37)
SEBSの厚みを0.45mm、EVTの厚みを0.45mmとした以外は実施例24と同様にしてサンプルシートの作製、落球衝撃試験を行った。結果を表15に示した。
Figure 2004181975
以上の結果より、1層以上の衝撃緩和層を設けT/F値が200以上であればパネルの破損が起こらないことが分かる。
本発明は、次の実施の形態が可能である。
(1)少なくとも透明粘着層と透明樹脂層とからなる厚みが3.5mm以下の積層体であって、
重量が530g〜550gの範囲にある鋼球を10cmの高さから落球させる落球衝撃試験における応力−時間曲線において、衝撃応力発生から第一のピークまでの間:T(μs)と
第一のピーク時の衝撃応力:F(kN)との間に、
T/F ≧ 200
の関係を満たすことを特徴とする積層体。
(2)衝撃吸収層をさらに含むことを特徴とする前記構成(1)記載の積層体。
(3)1層以上の透明粘着層と、
1層以上の透明樹脂層とを備えた積層体であって、下記の(I)〜(Iv)の少なくとも1つの要件を満たすことを特徴とする前記構成(1)記載の積層体。
(I)透明粘着層の少なくとも1層のヤング率が1×10〜1×10Pa、厚みが10〜500μmである。
(II)透明樹脂層の少なくとも1層のヤング率が1×10〜1×10Pa、厚みが10〜3000μmである。
(III) 衝撃吸収層を含み、衝撃吸収層の少なくとも1層の針入度が50〜200である。
(IV)透明樹脂層および/または衝撃吸収層を合計2層以上有し、JIS−A硬度の比が1.1以上の関係にある2層が存在する。
(4)透明粘着層が、アクリル樹脂またはシリコン樹脂を主成分とすることを特徴とする前記構成(3)記載の積層体。
(5)透明樹脂層が、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリウレタン、および透明性を有するエラストマから選ばれる1種以上を含むことを特徴とする前記構成(3)記載の積層体。
(6)衝撃吸収層が、シリコーン系ゲルを含むことを特徴とする前記構成(3)記載の積層体。
(7)透明樹脂層、衝撃吸収層のJIS−A硬度が0〜98であることを特徴とする前記構成(3)記載の積層体。
(8)透明樹脂層のうち少なくとも1層が、0.01〜30Ω/□の面抵抗を有する透明導電層または金属メッシュ層を含むことを特徴とする前記構成(1)記載の積層体。
(9)透明樹脂層のうち少なくとも1層が、反射防止機能、防眩機能、防汚機能、静電防止機能、偏光機能、および位相差形成機能から選ばれる少なくとも1つの機能を有することを特徴とする前記構成(1)記載の積層体。
(10)透明樹脂層は、電磁波の全領域、近赤外線領域および可視光領域のうち少なくとも1つ電磁波をフィルタリングするフィルタ機能を有することを特徴とする前記構成(1)記載の積層体。
(11)前記構成(1)記載の積層体をディスプレイ視認面に設けたことを特徴する表示装置。
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。したがって、前述の実施形態は、あらゆる点で単なる例示に過ぎず、本発明の範囲は、請求の範囲に示すものであって、明細書本文には何ら拘束されない。
さらに、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、すべて本発明の範囲内のものである。
透明導電膜の一例を示す断面図である。 本発明に係る積層体をPDPに装備した状態の一例を示す断面図である。 本発明に係る積層体をPDPに装備した状態の他の例を示す断面図である。 本発明に係る積層体をOELDに装備した状態の一例を示す断面図である。 本発明に係る積層体をPDPに装備した状態のさらに他の例を示す断面図である。 本発明に係る積層体をPDPに装備した状態のさらに他の例を示す断面図である。 本発明に係る積層体をOELDに装備した状態の他の例を示す断面図である。 本発明に係る積層体をPDPに装備した状態のさらに他の例を示す断面図である。 本発明に係る積層体をPDPに装備した状態のさらに他の例を示す断面図である。 本発明に係る積層体をPDPに装備した状態のさらに他の例を示す断面図である。 本発明に係る積層体をOELDに装備した状態のさらに他の例を示す断面図である。
符号の説明
10 透明高分子フィルム
20 高屈折率薄膜層
30 金属薄膜層
40 プラズマディスプレイパネル
50 低い弾性に特徴づけられた透明粘着層
60 透明導電層
70 透明粘着層
80 透明高分子フィルム
90 反射防止層
100 電極
140 有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ

Claims (9)

  1. 1層以上の透明粘着層と、
    1層以上の透明樹脂層とを備えた積層体であって、下記の(I)〜(III)の少なくとも1つの要件を満たすことを特徴とする積層体。
    (I)透明粘着層の少なくとも1層のヤング率が1×10〜1×10Pa、厚みが10〜500μmである。
    (II)透明樹脂層の少なくとも1層のヤング率が1×10〜1×10Pa、厚みが10〜3000μmである。
    (III)衝撃吸収層を含み、衝撃吸収層の少なくとも1層の針入度が50〜200である。
  2. 1層以上の透明粘着層と、
    1層以上の透明樹脂層とを備えた積層体であって、下記の(I)〜(IV)の少なくとも1つの要件を満たすことを特徴とする積層体。
    (I)透明粘着層の少なくとも1層のヤング率が1×10〜1×10Pa、厚みが10〜500μmである。
    (II)透明樹脂層の少なくとも1層のヤング率が1×10〜1×10Pa、厚みが10〜3000μmである。
    (III)衝撃吸収層を含み、衝撃吸収層の少なくとも1層の針入度が50〜200である。
    (IV)透明樹脂層および/または衝撃吸収層を合計2層以上有し、JIS−A硬度の比が1.1以上の関係にある2層が存在する。
  3. 透明粘着層が、アクリル樹脂またはシリコン樹脂を主成分とすることを特徴とする請求項1または2記載の積層体。
  4. 透明樹脂層が、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリウレタン、および透明性を有するエラストマから選ばれる1種以上を含むことを特徴とする請求項1または2記載の積層体。
  5. 衝撃吸収層が、シリコーン系ゲルを含むことを特徴とする請求項1または2記載の積層体。
  6. 透明樹脂層のうち少なくとも1層が、0.01〜30Ω/□の面抵抗を有する透明導電層または金属メッシュ層を含むことを特徴とする請求項1または2記載の積層体。
  7. 透明樹脂層のうち少なくとも1層が、反射防止機能、防眩機能、防汚機能、静電防止機能、偏光機能、および位相差形成機能から選ばれる少なくとも1つの機能を有することを特徴とする請求項1または2記載の積層体。
  8. 透明樹脂層は、電磁波の全領域、近赤外線領域および可視光領域のうち少なくとも1つ電磁波をフィルタリングするフィルタ機能を有することを特徴とする請求項1または2記載の積層体。
  9. 請求項1または2記載の積層体をディスプレイ視認面に設けたことを特徴する表示装置。
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