JP4004161B2 - 透明積層体及びそれを用いたディスプレイ用フィルター - Google Patents

透明積層体及びそれを用いたディスプレイ用フィルター Download PDF

Info

Publication number
JP4004161B2
JP4004161B2 JP33624998A JP33624998A JP4004161B2 JP 4004161 B2 JP4004161 B2 JP 4004161B2 JP 33624998 A JP33624998 A JP 33624998A JP 33624998 A JP33624998 A JP 33624998A JP 4004161 B2 JP4004161 B2 JP 4004161B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
transparent
layer
film
thin film
display
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP33624998A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000158578A (ja
Inventor
友之 岡村
文晴 山▲崎▼
小池  勝彦
福田  伸
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Chemicals Inc filed Critical Mitsui Chemicals Inc
Priority to JP33624998A priority Critical patent/JP4004161B2/ja
Publication of JP2000158578A publication Critical patent/JP2000158578A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4004161B2 publication Critical patent/JP4004161B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Devices For Indicating Variable Information By Combining Individual Elements (AREA)

Description

【0001】
本発明は、ディスプレイ用フィルターに関し、さらに詳しくは、可視光線反射率、透過率に優れ、プラズマディスプレイから発生する、健康に害をなすといわれている電磁波を遮蔽する電磁波シールド能、及び、周辺電子機器の誤操作をまねく近赤外線を遮蔽する近赤外線カット能を有し、ディスプレイの輝度・色調・コントラスト・視認性を損なわない、優れた可視光線反射率、透過率、色調を有する低コストのディスプレイ用フィルターに関する。
【0002】
【従来の技術】
社会が高度に情報化されてくるにしたがって、光エレクトロニクス関連部品、機器は著しく進歩、普及している。そのなかでディスプレイはテレビジョン用、パーソナルコンピューター用等として著しく普及し、また、その薄型化、大型薄型化が進んでいる。近年、大型の薄型テレビ、薄型ディスプレイ用途等に、プラズマディスプレイが注目され、すでに市場に出始めている。しかしプラズマディスプレイは、その構造や動作原理上、強度の漏洩電磁界が発生する。近年、漏洩電磁界の人体や他の機器に与える影響が取り沙汰されるようなっており、例えば日本のVCCI(Voluntary Control Council for Interference by data processing equipment electronic office machine )による基準値内に抑えることが必要となってきている。
【0003】
またプラズマディスプレイは、近赤外線光を発し、コードレスフォン等の周辺電子機器に作用して誤動作を引き起こす問題が生じている。特に問題になる波長としてリモコンや伝送系光通信に使用されている820 nmと880 nm、980 nmが挙げられる。そのため、近赤外領域である800 〜1000nmの波長領域の光を実用上問題ないレベルまでカットする必要がある。
【0004】
近赤外線カット能に関しては、従来、近赤外線吸収色素を用いて近赤外吸収フィルターを作製することが知られている。しかしながら、近赤外線吸収色素は、湿度、熱、光といった環境による劣化が生じ、経時とともに近赤外線カット能や光学フィルターの透過色といった光学特性の変化が生じてしまう問題があった。プラズマディスプレイは、強度かつ広い近赤外線波長領域に渡って問題となる近赤外線を発するため、広い波長領域に渡って近赤外領域の吸収率の大きい近赤外吸収フィルターを使用する必要があるが、問題とならない程度まで近赤外線の透過率を下げるためには、光学フィルターに含有させる色素の量を増やさなければならず、それに伴う、可視光線透過率の低下も問題であった。
【0005】
プラズマディスプレイ用フィルターは、プラズマディスプレイから放射される近赤外線、電磁波を遮断するためにはディスプレイの前面に設置するため、可視光線の透過率が低いと、画像の鮮明さが低下することになる。また、プラズマディスプレイは、その輝度の低さが問題の一つとされており、前面に設置するディスプレイ用フィルターには、その輝度を著しく損なわない可視光線透過率が要求される。一般に、ディスプレイ用フィルターの可視光線透過率は高い程良く、少なくとも40%以上、好ましくは50%以上、さらに好ましくは60%以上必要である。
【0006】
また、漏洩電磁界(電磁波)を遮蔽するには、ディスプレイ表面を導電性の高い導電物でおおう必要がある。一般にアースした金属メッシュまたは、合成樹脂または金属繊維のメッシュに金属被覆したものを用いるが、これらの方法は、ディスプレイから発する光を透過しない部分が生じたり、モワレ発生、歩留りの悪さによるコスト高などが問題となる。そこでITO(Indium Tin Oxide)に代表される透明導電膜を電磁波シールド層に用いる場合がある。透明導電膜としては、金、銀、銅、白金、パラジウムなどの金属薄膜、酸化インジウム、酸化第2スズ、酸化亜鉛等の酸化物半導体薄膜、金属薄膜と高屈折率透明薄膜を交互に積層した多層薄膜がある。この中で、金属薄膜は、導電性は得られるが、広い波長領域にわたる金属の反射及び吸収により可視光線透過率の高いものは得られない。また、酸化物半導体薄膜は金属薄膜に比べ透明性に優れるが導電性に劣り、また近赤外線の反射能は乏しい。
【0007】
これらに対し、金属薄膜と高屈折率透明薄膜を積層した多層の透明導電膜は、銀などの金属の持つ導電性及び光学的特性と、高屈折率透明薄膜の、ある波長領域における金属による反射の防止により、導電性、近赤外線カット能、可視光線透過率のいずれにおいても好ましい特性を有している。
【0008】
しかしながら、多層の透明導電膜は、特に金属薄膜に銀を用いた場合は、その耐環境性が問題となるため、透明導電膜上にさらに、その耐環境性を付加すべく保護層を設ける必要があった。しかし、保護層を設けると、部材数が増加しコストが上がるだけではなく、ディスプレイ用フィルターの可視光線反射率が増加し、その視認性が低下するという問題があった。可視光線反射率の増加は、光の入射媒質(空気や真空)を1として設計したものが、保護層などの隣接層の形成により入射媒質の屈折率が変化してしまうためや、貼り合わせ等による部材間の反射界面が増加すること等による。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記従来技術に鑑み、可視光線反射率、透過率に優れ、プラズマディスプレイから発生する、健康に害をなすといわれている電磁波を遮蔽する電磁波シールド能、及び、周辺電子機器の誤動作をまねく近赤外線を遮断する近赤外線カット能を有し、ディスプレイの輝度・色調・コントラスト・視認性を損なわない優れた可視光線反射率、透過率、色調を有する低コストのディスプレイ用フィルターを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の問題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、プラズマディスプレイから発生する非常に強度な電磁波を遮蔽し、さらには、プラズマディスプレイの発する強度の近赤外線光を周辺機器誤動作が起こらない程度に抑止することができ、さらにまた画像の視認性を損なわない、低い可視光線反射率と高い光線透過率を有する低コストのディスプレイ用フィルターを得るためには、薄膜形成面の可視光線反射率が1.5%以下、面抵抗1〜10Ω/□の透明積層体が必要であることを見い出し、本発明に到った。
【0011】
すなわち、本発明は、(1)透明基体(A)の少なくとも一方の主面上に透明導電膜(G)を形成した透明積層体を含み、且つ、次の条件(1)〜(4)をすべて満たすディスプレイ用フィルター
(1)該透明導電膜(G)が、
高屈折率透明薄膜層(B)および金属薄膜層(C)が順次、(B)/(C)を繰返し単位として1〜4回繰り返し積層され、
さらにその上に少なくとも該高屈折率透明薄膜層(B)が積層されたものであり、かつ
該金属薄膜層(C)の少なくとも1層は合金層である。
(2)該透明積層体の該透明導電膜(G)が形成された側の表面の面抵抗が、1〜10Ω/□である。
(3)該透明基体(A)の膜厚(a)、該高屈折率透明薄膜層(B)の膜厚(b)、該金属薄膜層(C)の膜厚(c)が、
光の入射媒質を空気として、該透明基体(A)および各層の屈折率および消光係数を用いたベクトル法またはアドミッタンス図を用いる算出方法に依り、該透明積層体の該透明導電膜(G)が形成された側の表面の可視光線反射率が1.5%以下の値をとる、a、b、cの組合せから選択されたものである。(但し、10(μm)<a<250(μm)、5(nm)≦b≦200(nm)、4(nm)≦c≦30(nm))
(4)該透明積層体の該透明導電膜(G)が形成された側に反射防止性を有する機能透明層(D)を設けていない、
(2)透明基体(A)の少なくとも一方の主面上に防眩性帯電防止性、ハードコート性、防汚性およびアンチニュートンリング性から選ばれた少なくとも1つの機能を有する機能性透明層(D)、透明導電膜(G)を順に形成した透明積層体を含むことを特徴とする(1)に記載のディスプレイ用フィルター
(3)透明基体(A)の、透明導電膜(G)が形成されていない面に、反射防止性、防眩性、反射防止防眩性、帯電防止性、ハードコート性、防汚性およびアンチニュートンリング性から選ばれた少なくとも1つの機能を有する機能性透明層(D)を形成したことを特徴とする(1)または(2)に記載のディスプレイ用フィルター、
(4)透明基体(A)及び/又は機能性透明層(D)が色素を含有することを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載のディスプレイ用フィルター、
(5)透明支持体(E)が粘着材(F)を介して、該透明基体(A)の透明導電膜(G)が形成されていない側に設けられていることを特徴とする(1)乃至(4)のいずれかに記載のディスプレイ用フィルター、
(6)周縁部に電極が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のディスプレイ用フィルター、
(7)機能性透明層(D)が、直接または粘着材(F)を介して形成されていることを特徴とする(1)乃至(6)のいずれかに記載のディスプレイ用フィルター、
(8)透明基体(A)、機能性透明層(D)、透明支持体(E)および粘着材(F)の少なくとも1つが色素を含有することを特徴とする(1)乃至(7)のいずれかに記載のディスプレイ用フィルター、
(9)透明導電膜(G)/透明基体(A)/機能性透明層(D)、透明導電膜(G)/透明基体(A)/粘着材(F)/機能性透明層(D)、透明導電膜(G)/透明基体(A)/粘着材(F)/透明支持体(E)/機能性透明層(D)および、透明導電膜(G)/透明基体(A)/粘着材(F)/透明支持体(E)/粘着材(F)/機能性透明層(D)のいずれかの構成であることを特徴とする(1)乃至(8)のいずれかに記載のディスプレイ用フィルターに関するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のディスプレイ用フィルターは、透明基体(A)の少なくとも一方の主面上に、または透明基体(A)に機能性透明(D)を形成した面上に、高屈折率透明薄膜層(B)および主として銀からなる金属薄膜層(C)が順次、(B)/(C)を繰返し単位として1〜4回繰り返し積層され、さらにその上に少なくとも該高屈折率透明薄膜層(B)が積層されて透明導電膜が形成された透明積層体を使用し、面抵抗が1〜10Ω/□、薄膜形成面の可視光線反射率が1.5%以下であるものである。
【0013】
透明基体(A)としては、ガラス、石英等の無機化合物成形物と透明な有機高分子成形物があげられるが、高分子成形物は軽く割れにくいため、より好適に使用できる。高分子成形物は可視波長領域において透明であればよく、その種類を具体的にあげれば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリスチレン、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン6等のポリアミド、ポリイミド、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、ポリ塩化ビニル等のビニル化合物、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ビニル化合物の付加重合体、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エステル、ポリ塩化ビニリデン等のビニリデン化合物、フッ化ビニリデン/トリフルオロエチレン共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重体等のビニル化合物又はフッ素系化合物の共重合体、ポリエチレンオキシド等のポリエーテル、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これら透明な高分子成形物は、主面が平滑であれば板(シート)状であってもフィルム状であってもよい。シート状の高分子成形物を基体として用いた場合には、基体が寸法安定性と機械的強度に優れているため、寸法安定性と機械的強度に優れる透明積層体が得られ、特にそれが要求される場合には好適に使用できる。また透明な高分子フィルムは可撓性を有しており透明導電膜をロール・ツー・ロール法で連続的に形成することができるため、これを使用した場合には効率よく、また、長尺大面積に透明積層体を生産できることや、フィルム状の透明積層体をディスプレイのガラスやディスプレイ用フィルターのガラス支持体に貼り付けることによりガラス破損時の飛散防止になることから、これもまた好適に使用できる。この場合フィルムの厚さは通常10〜250μmのものが用いられる。フィルムの厚さが10μm以下では、基材としての機械的強度に不足し、250μm以上では可撓性が不足するためフィルムをロールで巻きとって利用するのに適さない。
【0014】
これらの基体はその表面に予めスパッタリング処理、コロナ処理、火炎処理、紫外線照射、電子線照射などのエッチング処理や、下塗り処理を施してこの上に形成される薄膜の透明基体(A)に対する密着性を向上させる処理を施してもよい。透明基体(A)と薄膜の間に任意の金属などの無機物層を形成してもよい。また、薄膜を成膜する前に、必要に応じて溶剤洗浄や超音波洗浄などの防塵処理を施してもよい。
【0015】
VCCIにおいては、工業用途の規制値を示すClass Iでは放射電界強度50dBμV/m未満であり、家庭用途の規制値を示すClass IIでは40dBμV/m未満であるが、プラズマディスプレイの放射電界強度は20〜90MHz帯域内で、対角20インチ型程度で40dBμV/m、対角40インチ型程度で50dBμV/mを越えているため、このままでは使用できない。プラズマディスプレイの放射電界強度は、その画面の大きさ及び輝度、すなわち、消費電力が大きいほど、強く、シールド効果の高い電磁波シールド材が必要である。
【0016】
本発明者らは、プラズマディスプレイに必要な電磁波シールド能を有するには、電磁波シールド体となる透明積層体が、面抵抗10Ω/□以下の低抵抗な導電性を有し、電磁波反射のための反射界面を多く有していることが必要なことを見出した。
【0017】
また、プラズマディスプレイの発する強度の近赤外線を実用上問題とならないレベルまで遮断するには、ディスプレイ用フィルターの800〜1000nmの近赤外線波長領域の光線透過率が20%以下であるのが好ましいことを見いだしたが、部材数低減の要求や色素を用いた近赤外線吸収の限界から透明導電膜が近赤外線カット能を持つことが望ましい。近赤外線カットには、金属の自由電子による反射を用いることができるが、金属薄膜層を厚くすると前述したように可視光線透過率も低くなり、薄くすると近赤外線の反射が弱くなる。そこで、ある厚さの金属薄膜層を高屈折率透明薄膜層で挟み込んだ積層構造を1段以上重ねることにより、可視光線透過率を高くし、かつ全体の金属薄膜層の厚さを増やすことができ、また、層数及び/またはそれぞれの層の厚さを制御することにより可視光線透過率、可視光線反射率、近赤外線の透過率、透過色、反射色をある範囲で変化させることができる。可視光線反射率が高いと、画面への照明器具等の映り込みが大きくなり、視認性が低下する。反射色も目立たない、白色、青色、紫色系が好ましい。このためにも、光学的に設計、制御しやすい多層積層が好ましくなる。
【0018】
従って、プラズマディスプレイに好適に用いることができる電磁波シールド能、近赤外線カット能を有するディスプレイ用フィルターには、電磁波吸収のための高い導電性と電磁波反射のための反射界面を多く有し、かつ近赤外線を反射する、金属薄膜と高屈折率透明薄膜を積層した透明導電膜が好適である。
【0019】
以下、多層薄膜とは、特に記載がない限り、金属薄膜層を高屈折率透明薄膜層で挟み込んだ積層構造を1段以上重ねた多層積層の透明導電膜を示す。
可視光線透過率が低いと、ディスプレイ設置時に画像の鮮明さが低下するため、ディスプレイ用フィルターの可視光線透過率は高い方が良く、少なくとも40%以上、好ましくは50%以上、さらに好ましくは70%以上必要である。従って、透明積層体の可視光線透過率は、少なくとも50%以上、好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上必要である。また、ディスプレイの発光輝度が高いと、コントラストをあげるために、ディスプレイ用フィルターはニュートラル・デンシティ(ND)NDフィルターの役割も果たすことが好ましい場合もあり、この場合はディスプレイ用フィルターの可視光線透過率は80%以下であることを要求される。
なお、本発明における可視光線透過率、可視光線反射率とは、透過率及び反射率の波長依存性からJIS(R−3106)に従って計算されるものである。
【0020】
金属薄膜の材料としては、銀が、導電性、赤外線反射性および多層積層したときの可視光線透過性に優れているため好適である。しかし、銀は化学的、物理的安定性に欠け、環境中の汚染物質、水蒸気、熱、光等によって凝集等を起こし劣化する。複数の金属薄膜層(C)を有し、その全金属薄膜層が銀からなる場合、優れた導電性および光学特性を有する透明積層体が得られるが、耐環境性が十分ではない。そのため、透明導電膜上にその耐環境性を付加すべく保護層を設ける必要があるが、保護層を設けると、部材数が増加しコストが上がるだけではなく、ディスプレイ用フィルターの可視光線反射率が増加し、その視認性が低下するという問題がある。この可視光線反射率の増加は、光の入射媒質(空気や真空)を1として設計したものが、保護層などの隣接層の形成により入射媒質の屈折率が変化してしまうためや、貼り合わせ等による部材間の反射界面が増加すること等による。
【0021】
本発明者らは、鋭意検討の結果、金、白金、パラジウム、銅、インジウム、スズ等の環境に安定な金属を銀に一種以上含んだ合金や、金、パラジウム等の安定な金属を金属薄膜に使用すれば、耐環境性を有し、保護層を設ける必要がないことを見いだした。
特に銀に金を含んだ合金は耐環境性に優れ、また、銀にパラジウムを含んだ合金は耐環境性が優れる上に、多層薄膜の透過色の緑色〜黄緑色が弱くなるので好適である。ここで、銀を含む合金の、銀の含有率は、特に限定されるものではないが銀薄膜の導電性、光学特性と大きく変わらないことが望ましく、50重量%以上100重量%未満程度である。しかしながら、銀に他の金属を添加すると、その優れた導電性、光学特性を阻害する。従って、複数の金属薄膜層を有する場合は、可能であれば少なくとも1つの層は銀を用いることや、基体から見て最初の層及び/又は最外層にある金属薄膜層のみを合金にすることが望ましい。
【0022】
保護層を設ける必要がないので、透明導電膜自体が反射防止膜であれば、可視光線反射率の低いディスプレイ用フィルターが得られる。ディスプレイ用フィルターの可視光線反射率が高いと外光反射が大きくなり画像の視認性が低下する。従って、ディスプレイ用フィルターの両面に反射防止処理や防眩処理や反射防止防眩処理を施す必要があるが、透明積層体自体が反射防止層となれば、これら処理はディスプレイ用フィルターの一方の主面だけで済み、貼り合わせ界面低減による反射低減及び部材数低減による低コスト化を行うことができるのである。
【0023】
透明導電膜を多層薄膜とすることは、透明積層体を反射防止層とするのにも好適である。
すなわち、透明基体(A)の一方の主面上に高屈折率透明薄膜層(B)、銀又は銀を含む合金の薄膜層(C)の順に、(B)/(C)を繰り返し単位として1〜4回繰り返し積層し、さらにその上に少なくとも高屈折率透明薄膜層(B)を積層することによって、可視光線反射率、電磁波シールド能のための低抵抗性、近赤外線カット能、可視光線透過率に優れた透明積層体が得られるのである。つまり、(A)/(B)/(C)/(B)、または、(A)/(B)/(C)/(B)/(C)/(B)、または、(A)/(B)/(C)/(B)/(C)/(B)/(C)/(B)、または、(A)/(B)/(C)/(B)/(C)/(B)/(C)/(B)/(C)/(B)である。繰り返し積層数が5回以上だと生産装置の制限、生産性の問題が大きくなり、また、可視光線透過率が低くなり、さらには色調が劣るために色素による調色が多く必要となってさらに可視光線透過率が低下する。
【0024】
生産装置の制限等により、繰り返し回数が1回及至2回の透明積層体しか得られないが、さらに強度な電磁波や近赤外線を遮断する必要がある場合や、繰り返し回数が3回及至4回の透明積層体は得られないが、さらに強度な電磁波や近赤外線を遮断する必要がある場合、上記透明積層体を2枚以上重ねる等して、2つ以上の透明積層体を有するディスプレイ用フィルターとすることもできる。
【0025】
金属薄膜層(C)の厚さは導電性、光学特性等から光学設計的かつ実験的に求められ、透明導電層が要求特性を持てば特に限定されるものではないが、導電性等から薄膜が島状構造ではなく連続状態であることが必要なので4nm以上であることが望ましく、金属薄膜層が厚すぎると透明性や反射率が問題になるので30nm以下が望ましい。金属薄膜層が複数ある場合は、各層が全て同じ厚さ、材料でなくともよい。金属薄膜層の形成には、スパッタリング、イオンプレーティング、真空蒸着、メッキ等、従来公知の方法のいずれでも採用できる。
【0026】
高屈折率透明薄膜層(B)を形成する透明薄膜としては、可視域において透明性を有し、金属薄膜層における可視域における光線反射を防止する効果を有するものであれば特に限定されるものではないが、可視光線に対する屈折率が1.6以上、好ましくは1.7以上の屈折率の高い材料が用いられる。このような透明薄膜を形成する具体的な材料としては、インジウム、チタン、ジルコニウム、ビスマス、スズ、亜鉛、アンチモン、タンタル、セリウム、ネオジウム、ランタン、トリウム、マグネシウム、ガリウム等の酸化物、または、これら酸化物の混合物や、硫化亜鉛などが挙げられる。これら酸化物あるいは硫化物は、金属と酸素あるいは硫黄と化学量論的な組成にズレがあっても、光学特性を大きく変えない範囲であるならば差し支えない。なかでも、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化インジウムと酸化スズの混合物(ITO)は、透明性、屈折率に加えて、成膜速度が速く金属薄膜層との密着性等が良好であることから好適に使用できる。高屈折率透明薄膜層の厚さは、透明基体の光学特性、銀又は銀を含む合金の薄膜層の厚さ、光学特性、および、透明薄膜層の屈折率等から光学設計的かつ実験的に求められ、特に限定されるものではないが、5nm以上、200nm以下であることが好ましく、より好ましくは10nm以上、100nm以下である。また、高屈折率透明薄膜第1層・・・第n+1層(n=1〜4)は、同じ厚さとは限らず、同じ透明薄膜材料でなくともよい。高屈折率透明薄膜層の形成には、スパッタリング、イオンプレーティング、イオンビームアシスト、真空蒸着、湿式塗工等、従来公知の方法のいずれでも採用できる。
【0027】
上記透明積層体の耐環境性を向上させるために、透明導電膜の表面に、導電性、光学特性を損なわない程度に任意の保護層を設けてもよい。また、金属薄膜層の耐環境性や金属薄膜層と高屈折率透明薄膜層との密着性等を向上させるため、金属薄膜層と高屈折率透明薄膜層の間に、導電性、光学特性を損なわない程度に任意の無機物層を形成してもよい。具体的な材料としては銅、ニッケル、クロム、金、白金、亜鉛、ジルコニウム、チタン、タングステン、スズ、パラジウム等、あるいはこれらの材料の2種類以上からなる合金があげられる。その厚さは、好ましくは0.02nm〜2nm程度である。
【0028】
所望の光学特性の透明積層体を得るには、得ようとする電磁波シールド能の為の導電性と耐環境性、つまり、金属薄膜材料・厚さを勘案して、透明基体(A)および薄膜材料の光学定数(屈折率、消光係数)を用いたベクトル法、アドミッタンス図を用いる方法等を使った光学設計を行い、各層の薄膜材料及び、層数、膜厚等を決定する。この際、光の入射媒質は空気(屈折率1)として設計を行い、薄膜形成面の可視光線反射率が極力低くなるようにして反射防止膜としての機能を有するようにする。反射色も目立たない、白色、青色、紫色系にするのが好ましい。光学定数は、エリプソメトリー(楕円偏光解析法)やアッベ屈折計により測定できる。
また、光学特性を観察しながら、層数、膜厚等を制御して成膜を行うこともできる。
【0029】
上記の方法により形成した、透明導電膜の原子組成は、オージェ電子分光法(AES)、誘導結合プラズマ法(ICP)、ラザフォード後方散乱法(RBS)等により測定できる。また、層構成および膜厚は、オージェ電子分光の深さ方向観察、透過型電子顕微鏡による断面観察等により測定できる。また膜厚は、成膜条件と成膜速度の関係をあらかじめ明らかにした上で成膜を行うことや、水晶振動子等を用いた成膜中の膜厚モニタリングにより、制御される。
【0030】
本発明のディスプレイ用フィルターは本発明の透明導電膜を反射防止層として使用する。従って、透明導電膜はディスプレイ用フィルターの一方の主面の最表面となる。しかし透明導電膜は耐擦傷性や防汚性も劣るため、ディスプレイに装着したときに、人やものが触れない内側、つまりディスプレイ側とするのが好適である。このように用いる場合、その耐環境性は、装着した状態で実用上問題がなければ良いので、評価もまた、このように透明導電膜面を内側に装着して行う。透明導電膜が耐環境性や耐擦傷性に優れるか、また、必要とされないときは、この限りではなく、人側最表面であっても良いが、透明基体(A)と透明導電膜の間にその耐擦傷性を向上させるべくハードコート性を有する後述の機能性透明層(D)を形成したり、表面に透明導電膜の導電性、光学特性を妨げない程度の防汚処理を行うのが好適である。
【0031】
また、ディスプレイ用フィルターは、その主面とディスプレイ表面を密着させて使用すると、ディスプレイ表面とディスプレイ用フィルターの密着度が部分によって異なるために、それによって生じる間隙を原因とするニュートンリングが発生することがあり、それによりディスプレイの視認性が低下してしまう。そのため、密着させる場合は機能性透明層(D)がアンチニュートンリング性を有している必要があるが、透明導電膜上に形成するとその反射防止性等の光学特性を損なうことになる。そのため、本発明のディスプレイ用フィルターは、その透明導電膜がディスプレイ側にある場合は、ディスプレイ表面から0.2mm〜10mm平行に離して装着する必要がある。透明導電膜が耐環境性や耐擦傷性に優れるか、また、必要とされないときは、この限りではなく、ディスプレイ用フィルターの人側最表面に形成されている場合は、ディスプレイ用フィルターのディスプレイ側の面にアンチニュートンリング性を有する機能性透明層(D)を形成して、ディスプレイ表面と密着させることができる。密着させることができると、薄型を利点とするプラズマディスプレイに好適なのである。
【0032】
透明積層体は、透明基体(A)に高分子フィルムを用いた場合、強度やディスプレイとの貼り合わせ時の平面性、設置方法の問題から、主面の平滑な板状の透明支持体(E)と貼り合わせて用いることが望ましい。貼り合わせは、透明支持体(E)の主面と、透明積層体の薄膜形成面でない主面を粘着材(F)を介して行う。透明支持体(E)としては、機械的強度や、軽さ、割れにくさから、可視域において透明なプラスチック板が望ましいが、熱による変形等の少ない熱的安定性からガラス板も好適に使用できる。プラスチック板の具体例を挙げると、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)をはじめとするアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、透明ABS樹脂等が使用できるが、これらの樹脂に限定されるものではない。特にPMMAはその広い波長領域での高透明性と機械的強度の高さから好適にしようできる。プラスチック板の厚みは十分な機械的強度と、たわまずに平面性を維持する剛性が得られればよく、特に限定されるものではないが、通常1mm〜10mm程度である。ガラス板を透明支持体(E)として使用する場合は、機械的強度を付加するために化学強化加工または風冷強化加工を行った半強化ガラス板または強化ガラス板を用いることが望ましい。プラスチック板の厚みは十分な機械的強度と、たわまずに平面性を維持する剛性が得られればよく、特に限定されるものではないが、通常1mm〜10mm程度であり、軽さと割れ難さ、歪みの少なさの点からは、2mm〜3.5mmの半強化ガラスまたは強化ガラスが好ましい。
【0033】
本発明においての貼り合わせ(ラミネート)には、任意の透明な粘着材(F)を使用できる。具体的にはアクリル系接着剤、シリコン系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリビニルブチラール接着剤(PVB)、エチレン−酢酸ビニル系接着剤(EVA)等、ポリビニルエーテル、飽和無定形ポリエステル、メラミン樹脂等が挙げられる。この際肝要なことはディスプレイからの光線透過部である中心部分に用いられる粘着材は可視光線に対して充分透明である必要がある。粘着材は、実用上の接着強度があればシート状のものでも液状のものでもよい。粘着材は感圧型接着剤でシート状のものが好適に使用できる。シート状粘着材貼り付け後または接着材塗布後に各部材をラミネートすることによって貼り合わせを行う。液状のものは塗布、貼り合わせ後に室温放置または加熱により硬化する接着剤である。塗布方法としては、バーコート法、リバースコート法、グラビアコート法、ダイコート法、ロールコート法等が挙げられるが、接着剤の種類、粘度、塗布量等から考慮、選定される。粘着材もしくは接着剤層の厚みは、特に限定されるものではないが、0.5μm〜50μm、好ましくは1μm〜30μmである。粘着材を形成される面、貼り合わせられる面は、予め易接着コートまたはコロナ放電処理などの易接着処理により濡れ性を向上させておくことが好適である。さらに、粘着材を用いて貼り合わせた後は、貼り合わせ時に部材間に入り込んだ空気を脱泡または、粘着材に固溶させ、さらには部材間の密着力を向上させる為に、できれば加圧、加温の条件で養生を行うことが肝要である。このとき、加圧条件としては数気圧〜20気圧以下程度、加温条件としては各部材の耐熱性に依るが、室温以上80℃以下程度であるが、これらに特に制限を受けない。
本発明における粘着材(F)とは、透明な粘着材、接着剤層、粘着剤層である。
【0034】
本発明のディスプレイ用フィルターには、要求される機能に応じて、反射防止性、防眩性、反射防止防眩性、帯電防止性、ハードコート性、防汚性、アンチニュートンリング性のいずれか一つ以上の機能を有し且つ可視光線を透過する機能性透明層(D)が、形成される必要がある。一つの機能性透明層(D)が、複数の機能を有している場合は、構成部材数または構成層数が減ることにより工程、コスト、部材間の界面反射を減じることができるから好適である。ディスプレイ用フィルターは、機能性透明層(D)を複数有しても良い。
【0035】
本発明における機能性透明層(D)は、上記各機能を一つ以上有する機能膜そのものでも、機能膜を塗布または印刷または従来公知の各種成膜法により形成した透明な基体でも、各機能を有する透明な基体でも良い。機能膜そのものの場合は、機能性透明層(D)を形成する透明基体(A)または透明支持体(E)の主面に塗布または印刷または従来公知の各種成膜法により直接形成し、機能膜を形成した透明な基体、各機能を有する透明な基体の場合は、粘着材(F)を介して透明基体(A)または透明支持体(E)の主面に貼り付けても良い。これらの作成方法は特に制限を受けない。
【0036】
ディスプレイへの照明器具等の映り込みによって表示画面が見づらくなってしまうため、反射防止膜でもある透明導電膜が形成されていない他方の主面、つまり、ディスプレイ用フィルターの人側すなわち装着したときのディスプレイ本体側の反対側の面にも、外光反射を抑制するための反射防止(AR:アンチリフレクション)性または防眩(AG:アンチグレア)性または反射防止防眩(ARAG)性を有する機能性透明層(D)を形成することが必要である。また、ARまたはARAGによる外光反射反射防止抑制は、ディスプレイ用フィルターの光線透過率を向上させることができる。
【0037】
反射防止性を有する機能性透明層(D)は、反射防止膜を形成する基体の光学特性を考慮し、前述したような光学設計によって反射防止膜の構成要素及び各構成要素の膜厚を決定する。具体的には、可視域において屈折率が1.5以下、好適には1.4以と低い、フッ素系透明高分子樹脂やフッ化マグネシウム、シリコン系樹脂や酸化珪素の薄膜等を例えば1/4波長の光学膜厚で単層形成したもの、屈折率の異なる、金属酸化物、フッ化物、ケイ化物、ホウ化物、炭化物、窒化物、硫化物等の無機化合物またはシリコン系樹脂やアクリル樹脂、フッ素系樹脂等の有機化合物の薄膜を基体から見て高屈折率層、低屈折率層の順に2層以上多層積層したものがある。単層形成したものは、製造が容易であるが、反射防止性が多層積層に比べ劣る。4層積層したものは、広い波長領域にわたって反射防止性を有し、基体の光学特性による光学設計の制限が少ない。これらの無機化合物薄膜の成膜には、スパッタリング、イオンプレーティング、真空蒸着、湿式塗工等、従来公知の方法のいずれでも採用できる。有機化合物薄膜の成膜には、湿式塗工等、従来公知の方法を採用できる。
【0038】
防眩性を有する機能性透明層(D)は、0.1μm〜10μm程度の微少な凹凸の表面状態を有する可視光線に対して透明な層である。具体的には、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等の熱硬化型又は光硬化型樹脂に、シリカ、有機珪素化合物、メラミン、アクリル等の無機化合物または有機化合物の粒子を分散させインキ化したものを、バーコート法、リバースコート法、グラビアコート法、ダイコート法、ロールコート法等によって基体上に塗布、硬化させる。粒子の平均粒径は、1〜40μmである。または、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等の熱硬化型又は光硬化型樹脂を基体に塗布し、所望のヘイズを有する型を押しつけ硬化することによっても防眩能を得ることができる。さらには、例えばガラス板をフッ酸等でエッチングするように、基体を薬剤処理することによっても防眩性を得ることができる。この場合は、処理時間、薬剤のエッチング性により、ヘイズを調節する事ができる。要は適当な凹凸を有することが重要であり、必ずしも上記方法に限定されるものではない。防眩性を有する機能性透明層(D)のヘイズは0.5%以上20%以下であり、好ましくは1%以上10%以下である。ヘイズが小さすぎると不十分であり、ヘイズが大きすぎると平行光線透過率が低くなり、ディスプレイの視認性が悪くなる。
【0039】
ディスプレイ用フィルターをディスプレイ本体に密着させずに離して装着する場合、ヘイズが大きすぎると、画像の拡散によるボケが生じる場合がある。この場合は、防眩性を維持し、且つ、ディスプレイから適当距離離しても画像のボケのないヘイズのものを選択することが肝要である。
【0040】
アンチニュートンリング(AN)性を有する機能性透明層(D)は、防眩性を有する機能性透明層(D)と同じく、要は0.1μm〜10μm程度の微少な凹凸の表面状態を有する可視光線に対して透明な層であって、その作製方法も同様である。アンチニュートンリング性を有する層は防眩性を有する。
【0041】
反射防止防眩性を有する機能性透明層(D)は、防眩性を有する膜または基体上に前述の反射防止膜を形成することによって得られる。この際、防眩性を有する膜が高屈折率の膜である場合、反射防止膜が単層でも比較的高い反射防止性を付与することができる。また同様にアンチニュートンリング性を有することもできる。
【0042】
ディスプレイ用フィルターに耐擦傷性を付加させるために、特にディスプレイ用フィルターの人側表面や透明積層体も透明基体(A)と透明導電膜の間に、光学特性をはじめとするディスプレイ用フィルターの特性を損なわない程度にハードコート性を有する機能性透明層(D)を形成しても良い。ハードコート膜としてはアクリル系樹脂、シリコン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等の熱硬化型又は光硬化型樹脂等が挙げられるが、その種類も形成方法も特に限定されない。これら膜の厚さは1〜100μm程度である。ハードコート膜が反射防止性を有する透明機能層(D)の高屈折率層または低屈折率層に用いられたり、ハードコート膜上に反射防止膜が形成されて、機能性透明層(D)が反射防止性とハードコート性の両方を有しても良い。また、透明積層体の反射防止設計にハードコート膜の屈折率を考慮すると良い。同様にアンチニュートンリング性及び/または防眩性とハードコート性の両方を有しても良い。この場合はハードコート膜が粒子が分散される等して凹凸を有すれば良いし、その上に反射防止膜が形成されれば反射防止防眩性とハードコート性の両方有する機能性透明層(D)が得られる。
【0043】
さらに、ディスプレイ用フィルターには、静電気帯電によりホコリが付着しやすく、また、人体が接触したときに放電して電気ショックを受けることがあるため、帯電防止処理が必要とされる場合がある。従って、ディスプレイ用フィルターに静電防止能を付与するために、光学フィルターの表面に帯電防止能を有する機能性透明層(D)として導電層を設けても良い。この場合に必要とされる導電性は面抵抗で1011Ω/□程度以下であれば良いが、ディスプレイ画面の透明性や解像度を損なうものであってはならない。導電層としてはITOをはじめとする公知の透明導電膜やITO超微粒子や酸化スズ超微粒子をはじめとする導電性超微粒子を分散させた導電膜が挙げられる。
【0044】
また、先述した反射防止性、防眩性、反射防止防眩性、ハードコート性、アンチニュートンリング性のいずれか一つ以上の機能を有した機能性透明層(D)の構成中に導電膜を有していると好適である。
例えば、色度補正能があり、反射防止性、ハードコート性、帯電防止性を有する機能性透明層(D)としては、色素含有のポリエチレンテレフタレートフィルム/ハードコート膜/ITO/含ケイ素化合物/ITO/含ケイ素化合物、等があげられ、反射防止防眩性、アンチニュートンリング性、ハードコート性、帯電防止性を有する機能性透明層(D)としては、ITO微粒子分散ハードコート膜/含ケイ素化合物化合物、トリアセチルセルロースフィルム/ITO微粒子分散ハードコート膜/含ケイ素化合物化合物、等があげられる。
【0045】
さらに、指紋等の汚れ防止や汚れが付いたときに簡単に取り除くことができるよう、ディスプレイ用フィルター表面に防汚性を付与しても良い。この為には、少なくとも防汚性を有する機能性透明層(D)をディスプレイ用フィルターの最表面に形成する。防汚性を有するものとしては、水及び/または油脂に対して非濡性を有するものであって、例えばフッ素化合物やケイ素化合物が挙げられる。反射防止性や帯電防止性等の他の機能に併せる際には、それら機能を妨げるものであってはならない。この場合、反射防止膜の構成材料に低屈折率であるフッ素化合物を使用することや、フッ素系有機分子を1〜数分子、最表面にコートすることによって、反射防止性や帯電防止性を維持しつつ防汚性を付与することができる。例えば、防汚性、反射防止性、ハードコート性、帯電防止性、ガスバリア性を有する機能性透明層(F)としては、ハードコート膜/ITO/含ケイ素化合物/ITO/含ケイ素化合物/フッ素系有機分子の単分子コート膜、等があげられる。
【0046】
機能性透明層(D)として、フッ素系有機分子1〜数分子からなる機能性透明層(D)や、ITO薄膜などの透明導電性薄膜を適切な光学膜厚つけた保護層(バリアー層)以外は、本発明の透明積層体及び/またはディスプレイ用フィルターの透明導電膜上には形成されない。本発明の透明導電膜は反射防止性、導電性に優れるため、それを妨げる層を形成しない。
【0047】
多層薄膜は、可視光線透過率・可視光線反射率を重視すると、一般に透過色調に劣る。ディスプレイ用フィルターの透過色は、ディスプレイの色調・コントラスト等に大きく影響し、特に緑色は不適であり、また、プラズマディスプレイは青色発光が緑色及び赤色発光より弱いことから、ニュートラルグレー、または、ニュートラルブルーであることが要求される。
【0048】
金属薄膜の総膜厚が大きくなる程、多層薄膜の色調は、ディスプレイ発光色の色純度やコントラストを低下させる緑色〜黄緑色になる傾向がある。特に金属薄膜に銀を用いた場合、高い導電性と近赤外線カット能を得るために銀の薄膜層を厚くするほど、緑色が強くなる。また、多層薄膜の耐環境性を向上させるために、金属薄膜層に例えば銀ではなく金と銀の合金を用いると、金の可視部短波長領域の吸収により透過スペクトルのプロファイルが狭くなり、緑色〜黄緑色になる傾向が強くなる。透過色を合わせようとすると、反射率・反射色が不適なものとなってしまうことがある。積層数を多くすることによって、可視光線反射率を重視しつつ、プロファイルが緑色に極端なピークを持たないようにすることも出来るが、特に金属薄膜の総膜厚が厚い場合は、それでも可視部短波長領域・長波長領域で金属薄膜層の反射防止が弱いことにより、この領域の透過は緑色〜黄緑色の透過に比べ低くなり、透過色は視感度の高い緑色〜黄緑色になる。
【0049】
つまり、プラズマディスプレイ用フィルターとして用いるのに好適な多層薄膜は、高い導電性・低い近赤外線透過率が要求されるため、透過色のハンターのクロマティクネス指数aが負の値であり、クロマティクネス指数bは正の値の傾向にあり、すなわち、緑色〜黄緑色となる。
【0050】
従って、色度補正層を適宜設けて、透明導電膜の透過色を補色によって打ち消し、ディスプレイ用フィルターを、好適なニュートラルグレー、または、ニュートラルブルーとすることが肝要なのである。つまり、ディスプレイ用フィルターの透過色の、aが0に近く、bが0に近いまたは0以下であれば、ニュートラルグレーまたはブルーグレーとなる。しかし、透明導電膜を、色度補正層によってa,b共に0に非常に近い値、またはbを極端に負の値にすることは、ディスプレイフィルターの透過率を大きく損ない、ひいてはディスプレイの輝度を低下させる。また、aをある程度の正の値まで補正してしまうと、透過率が低下する上に、光学フィルターが赤色味を帯びてきて目に優しくない。プラズマディスプレイの発光は赤色が最も強いため、赤色の透過率は青色、緑色の透過率以下でも良い。
【0051】
すなわち、透過色のaが−8〜2,bが−8〜5の範囲であることを特徴とするディスプレイ用フィルターが、プラズマディスプレイ用途として、透過率及び色調に優れ、これを用いればディスプレイの発光輝度を著しく低下させず、発光色の色純度やコントラストの維持または向上に優れている。
【0052】
さらに、透過色のaが−5〜0,bが−6〜2の範囲であることを特徴とするディスプレイ用フィルターが、プラズマディスプレイ用途として、さらに透過率及び色調に優れ、これを用いればディスプレイの発光輝度を著しく低下させず、発光色の色純度やコントラストの維持または向上にさらに優れている。
さらに透明導電膜は、プラズマディスプレイ用途とするに十分な電磁波シールド能、近赤外線カット能を有し、多量の色度補正による透過率の大幅な減少が無いようにするには、その透過色のaが−18〜−0.5、bが−2〜12であることが必要であり、また、電磁波シールド能、近赤外線カット能の要求が低く、透過率・色調をさらに重視したいときは、透明導電膜の透過色のaが−13〜−1、bが0〜10であること好適である。
【0053】
色度補正層は、透明導電膜の補色であればよく、透明導電膜の緑色〜緑黄色〜黄色に対し、赤〜紫〜青色、すなわち、透過色のaが正の値である必要があり、bは負の値であることが好適である。その透過色の範囲は、得ようとする透過率・透過色を有する光学フィルターの透過率・透過色(クロマティクネス指数a,b)と、要求される電磁波シールド能・近赤外線カット能を有する透明導電膜の透過率・色調(クロマティクネス指数a,b)を考慮して決定すればよい。すなわち、色度補正層の透過色のaが2〜18、bが−20〜2であれば良い。
【0054】
また、透過率を重視したり、電磁波シールド能、近赤外線カット能の要求が低く、透明導電層の透過色のaが−13〜−1、bが0〜10である場合は、色度補正層の透過色のaが1〜10、bが−10〜0であれば良い。
【0055】
色度補正層としては、(1)可視領域に吸収波長を有する有機色素を少なくとも1種類以上、透明な樹脂に混錬させたプラスチック板、高分子フィルム、(2)可視領域に吸収波長を有する有機色素を少なくとも1種類以上、樹脂または樹脂モノマー/有機系溶媒の樹脂濃厚液に分散・溶解させ、キャスティング法により作製したプラスチック板、高分子フィルム、(3)可視領域に吸収波長を有する有機色素を少なくとも1種類以上を、樹脂バインダーと有機系溶媒に加え、塗料とし、透明な基体上にコーティングしたもの、(4)可視領域に吸収波長を有する有機色素を少なくとも1種類以上を含有する透明な粘着材、(5)ガラスに金属イオンまたはコロイドを含む色ガラス、のいずれか一つ以上選択できる。
本発明でいう含有とは、基材または塗膜等の層または粘着材の内部に含有されることは勿論、基材または層の表面に塗布した状態を意味する。
【0056】
有機色素は可視領域に吸収波長を有する一般の染料または顔料で良く、その種類は特に限定されるものではないが、例えばアントラキノン系やフタロシアニン系等の一般に市販されている有機色素があげられる。その種類・濃度は、有機色素の吸収波長・吸収係数、透明導電層の色調及びディスプレイ用フィルターに要求される色調・可視光線透過率、そして分散させる媒体または塗膜の種類・厚さから決まり、特に限定されるものではない。可視領域において異なる吸収波長を有する有機色素2種類以上を一つの媒体または塗膜に含有させても良い。
【0057】
透明導電膜に多層薄膜を用いるため、電磁波シールド能に加え、近赤外線カット能を有しているが、より高い近赤外線カット能が必要である場合は、色素に近赤外線吸収色素を1種類以上併用して良い。近赤外線吸収色素は、透明導電層の近赤外線カット能を補填し、プラズマディスプレイの発する強度の近赤外線を充分実用的になる程度に吸収するものであれば、特に限定されるものではなく、濃度も限定されるものではない。
本発明で言うところの色素とは、上記の有機色素及び色ガラスを着色せしめる微量含有物を示す。
【0058】
上記の色度補正層の形態(1)〜(5)は、色素を含有する透明基体(A)、または、色素を含有する透明支持体(E)、色素を含有する粘着材(F)、色素を含有する機能性透明層(D)のいずれか1つ以上の形態をもって、本発明のディスプレイ用フィルターに使用できる。上記形態の2つ以上の組み合わせをまとめて色度補正層としても良い。
【0059】
色素を含有する後述の機能性透明層(D)は、色素を含有し且つ各機能を有する膜でも、色素を含有し且つ各機能を有する膜が透明成形物上に形成されていても、各機能を有する膜が色素を含有する透明成形物上に形成されていていても良い。色素を含有する透明成形物としては、透明プラスチック板、透明高分子フィルム、ガラス等が挙げられる。
【0060】
まず、樹脂に色素を混練し、加熱成形する(1)の方法において、樹脂材料としては、プラスチック板または高分子フィルムにした場合にできるだけ透明性の高いものが好ましく、具体例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリスチレン、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン6等のポリアミド、ポリイミド、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、ポリ塩化ビニル等のビニル化合物、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリロニトリル、ビニル化合物の付加重合体、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エステル、ポリ塩化ビニリデン等のビニリデン化合物、フッ化ビニリデン/トリフルオロエチレン共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重体等のビニル化合物又はフッ素系化合物の共重合体、ポリエチレンオキシド等のポリエーテル、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等を挙げることが出来るが、これらの樹脂に限定されるものではない。
【0061】
作製方法としては、用いる色素、ベース高分子によって、加工温度、フィルム化条件等が多少異なるが、通常(i)色素を、ベース高分子の粉体或いはペレットに添加し、150〜350℃に加熱、溶解させた後、成形してプラスチック板を作製する方法、(ii)押し出し機によりフィルム化する方法、(iii)押し出し機により原反を作製し、30〜120℃で2〜5倍に、1軸乃至は2軸に延伸して10〜200μm厚のフィルムにする方法、等が挙げられる。なお、混練する際に、可塑剤等の通常の樹脂成型に用いる添加剤を加えてもよい。色素の添加量は、色素の吸収係数、作製する高分子成形体の厚み、目的の吸収強度、目的の可視光透過率等によって異なるが、通常、ベース高分子成形体の重量に対して1ppm〜20%である。
【0062】
(2)のキャスティング法は、樹脂または樹脂モノマーを有機系溶媒に溶解させた樹脂濃厚液に、色素を添加・溶解させ、必要であれば可塑剤、重合開始剤、酸化防止剤を加え、必要とする面状態を有する金型やドラム上へ流し込み、溶剤揮発・乾燥または重合・溶剤揮発・乾燥させることにより、プラスチック板、高分子フィルムを得る。通常、脂肪族エステル系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、芳香族エステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリオレフィン樹脂、芳香族ポリオレフィン樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニル系変成樹脂(PVB、EVA等)或いはそれらの共重合樹脂の樹脂モノマーを用いる。
【0063】
溶媒としては、ハロゲン系、アルコール系、ケトン系、エステル系、脂肪族炭化水素系、芳香族炭化水素系、エーテル系溶媒、あるいはそれらの混合物系等を用いる。
【0064】
色素の濃度は、色素の吸収係数、板またはフィルムの厚み、目的の吸収強度、目的の可視光透過率等によって異なるが、樹脂モノマーの重量に対して、通常、1ppm〜20%である。
また、樹脂濃度は、塗料全体に対して、通常、1〜90%である。
【0065】
塗料化してコーティングする(3)の方法としては、色素をバインダー樹脂及び有機系溶媒に溶解させて塗料化する方法、未着色のアクリルエマルジョン塗料に色素を微粉砕(50〜500nm)したものを分散させてアクリルエマルジョン系水性塗料とする方法、等がある。前者の方法では、通常、脂肪族エステル系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、芳香族エステル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリオレフィン樹脂、芳香族ポリオレフィン樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニル系変成樹脂(PVB、EVA等)或いはそれらの共重合樹脂をバインダー樹脂として用いる。
溶媒としては、ハロゲン系、アルコール系、ケトン系、エステル系、脂肪族炭化水素系、芳香族炭化水素系、エーテル系溶媒、あるいはそれらの混合物系等を用いる。
【0066】
色素の濃度は、色素の吸収係数、コーティングの厚み、目的の吸収強度、目的の可視光透過率等によって異なるが、バインダー樹脂の重量に対して、通常、0.1〜30%である。
【0067】
また、バインダー樹脂濃度は、塗料全体に対して、通常、1〜50%である。アクリルエマルジョン系水系塗料の場合も同様に、未着色のアクリルエマルジョン塗料に色素を微粉砕(50〜500nm)したものを分散させて得られる。塗料中には、酸化防止剤等の通常塗料に用いるような添加物を加えてもよい。
【0068】
上記の方法で作製した塗料は、透明高分子フィルム、透明樹脂、透明ガラス等の上にバーコーダー、ブレードコーター、スピンコーター、リバースコーター、ダイコーター、或いはスプレー等の従来公知のコーティングをして、色素を含有する基材を作製する。
【0069】
コーティング面を保護するために保護層を設けたり、コーティング面を保護するようにコーティング面に光学フィルターの他の構成部材を貼り合わせても良い。色素を含有する粘着材(4)は、アクリル系接着剤、シリコン系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリビニルブチラール接着剤(PVB)、エチレン−酢酸ビニル系接着剤(EVA)等、ポリビニルエーテル、飽和無定形ポリエステル、メラミン樹脂等のシート状または液状の粘着材または接着剤に色素を10ppm〜30%添加したものである。作製する際に、接着剤の溶剤に有機色素を分散・溶解させれば良く、溶剤としては、ハロゲン系、アルコール系、ケトン系、エステル系、脂肪族炭化水素系、芳香族炭化水素系、エーテル系溶剤、あるいはそれらの混合物系等を用いることができるが特に限定されるものではない。また、その濃度も特に限定されるものではなく、色素の吸収係数、粘着材の厚み、目的の吸収強度、目的の可視光透過率等によって異なるが、塗工・乾燥後の粘着材層において10(wt)ppm〜30(wt)%程度となれば良い。この色素を含有する粘着材(F)はディスプレイ用フィルターの各部材の貼り合わせに用いることができる。
【0070】
色ガラス(5)は着色ガラスであり、コバルト、銅、クロム等の遷移金属イオンを含有する青〜青緑〜黄緑色の着色ガラス、金、セレンのコロイドを含む赤色の着色ガラス、金属の硫化物コロイドを含む褐色の着色ガラスが挙げられる。色調・濃さは、選択する微量含有物の種類及び含有量、ガラス組成、溶融温度、溶融雰囲気によって変わるが、これら条件は、透明導電層の色調及び光学フィルターに要求される色調・可視光線透過率から決まるものであり、特に限定されるものではない。
【0071】
色素含有のディスプレイ用フィルターの耐光性を上げるために紫外線吸収剤を含有した透明フィルム(UVカットフィルム)を貼りつけることもできるし、紫外線吸収剤を色素と共に含有させることもできる。紫外線吸収剤の種類、濃度は特に限定されない。
【0072】
また、電磁波シールドを必要とする機器には、機器のケース内部に金属層を設けたり、ケースに導電性材料を使用して電波を遮断する。ディスプレイの如く透明性が必要である場合には、透明導電膜を形成した窓状のディスプレイ用フィルターを設置する。電磁波は導電層において吸収されたのち電荷を誘起するため、アースをとることによって電荷を逃がさないと、再び電磁波シールド体がアンテナとなって電磁波を発振し電磁波シールド能が低下する。従って、電磁波シールド性を付与したディスプレイ用フィルターとディスプレイ本体のケース内部の導電部がオーミックにコンタクトしている必要がある。
【0073】
電気的接触を良好とするために、透明導電膜上に電極を形成する。電極形状は特に限定しないが、光学フィルターと機器の間に、電磁波の漏洩する隙間が存在しないことが肝要である。従って、透明導電膜上且つ周縁部に連続的に、電極を形成すると好適である。すなわち、ディスプレイからの光線透過部である中心部分を除いて、枠状に、平面な金属を含む電極を形成する。電極が形成される面は、ディスプレイセットのアース位置及び/またはディスプレイ用フィルターの取り付け方向によって決められ、設置されたときの人側の面であってもディスプレイ側の面であっても良い。
【0074】
電極に用いる材料は、導電性、耐触性および透明導電膜との密着性等の点から、銀、金、銅、白金、ニッケル、アルミニウム、クロム、鉄、亜鉛、カーボン等の単体もしくは2種以上からなる合金や、合成樹脂とこれら単体または合金の混合物、もしくは、ホウケイ酸ガラスとこれら単体または合金の混合物からなるペーストを使用できる。電極形成にはメッキ法、真空蒸着法、スパッタ法など、ペーストといったものは印刷、塗工する方法など従来公知の方法を採用できる。また市販の導電性テープも好適に使用できる。電極の厚さは、これもまた特に限定されるものではないが、数μm〜数mm程度である。
【0075】
また、電極を形成しなくても、本発明の光学フィルターは、色調、近赤外線カット性に優れているため、NDフィルターや近赤外線カットフィルターとしても好適に使用できる。
本発明のディスプレイ用フィルターは、ディスプレイに装着したとき、装着用冶具、電極部分等が視認者から見えないようにするために、任意の額縁印刷を施して良い。印刷形状、印刷面、印刷色、印刷方法は特に特定されるものではない。また、ディスプレイに装着するための穴加工やコーナ処理等の加工を施しても良い。
【0076】
本発明のディスプレイ用フィルターは、反射防止性と耐環境性を特徴とするため、その透明導電膜上に保護層を設ける必要なく、反射防止性を有する機能性透明層(D)も設ける必要がない。そのため、本発明のディスプレイ用フィルターは主として以下の構成で用いられる。
【0077】
透明積層体の構成が透明導電膜/透明基体(A)である場合
(1)透明導電膜/透明基体(A)/機能性透明層(D)
(2)透明導電膜/透明基体(A)/粘着材(F)/機能性透明層(D)
(1)は透明基体(A)の裏面に直接機能性透明層が形成されている場合であり、(2)は粘着材(F)を介して貼り合わせられている場合である。
【0078】
透明支持体(E)を用いる場合
(3)透明導電膜/透明基体(A)/粘着材(F)/透明支持体(E)/機能性透明層(D)
(4)透明導電膜/透明基体(A)/粘着材(F)/透明支持体(E)/粘着材(F)/機能性透明層(D)
(3)は透明支持体(E)の裏面に直接機能性透明層が形成されている場合であり、(4)は粘着材(F)を介して貼り合わせられている場合である。
【0079】
透明積層体の構成が透明導電膜/機能性透明層(D)/透明基体(A)であっても、透明導電膜/透明基体(A)/機能性透明層(D)であっても、透明導電膜/機能性透明層(D)/透明基体(A)/機能性透明層(D)であっても良い。また、透明導電膜上には、前述したように、その導電性・反射防止性を妨げない機能性透明層(D)を設けても良い。この場合用いることができるのは、先述した防汚コート層や透明導電性薄膜によるバリアー層である。
【0080】
本発明のディスプレイ用フィルターは、耐環境性、反射防止性に優れており、さらにまた、プラズマディスプレイから発生する健康に害をなすといわれている電磁波を遮断する電磁波シールド能に優れ、さらに、プラズマディスプレイからでる800〜1000nm付近の近赤外線線を効率よくカットするため、周辺電子機器のリモコン、伝送系光通信等が使用する波長に悪影響を与えず、それらの誤動作を防ぐことができる。また、低コスト作製でき、電磁波シールド能、近赤外線カット能に加え、耐候性・耐環境性に優れ、反射防止性及び/または防眩性、アンチニュートンリング性、耐擦傷性、防汚性、帯電防止性等を兼ね備えている。
【0081】
【実施例】
つぎに、本発明を実施例により具体的に説明する。本発明はこれらによりなんら制限されるものではない。
実施例中及び比較例中の透明積層体の透明導電膜は、基材の一方の主面にマグネトロンDCスパッタリング法により成膜した。薄膜の厚さは、成膜条件から求めた値であり、実際に測定した膜厚ではない。
【0082】
高屈折率薄膜層(B)であるITO薄膜は、ターゲットに酸化インジウム・酸化スズ焼結体(組成比In2 3 :SnO2 =90:10wt%))を、スパッタガスにアルゴン・酸素混合ガス(全圧266mPa :酸素分圧5mPa )を用いて成膜した。
高屈折率薄膜層(B)であるSnO2 薄膜は、ターゲットに酸化スズ焼結体を、スパッタガスにアルゴン・酸素混合ガス(全圧266mPa :酸素分圧5mPa )を用いて成膜した。
【0083】
銀または銀を含む合金の薄膜層(C)である銀薄膜は、ターゲットに銀を、スパッタガスにアルゴンガス(全圧266mPa )を用いて成膜した。
銀または銀を含む合金の薄膜層(C)である銀−パラジウム合金薄膜は、ターゲットに銀−パラジウム合金(パラジウム10wt%)を、スパッタガスにアルゴンガス(全圧266mPa )を用いて成膜した。
銀または銀を含む合金の薄膜層(C)である銀−金合金薄膜は、ターゲットに銀−金合金(金10wt%)を、スパッタガスにアルゴンガス(全圧266mPa )を用いて成膜した。
【0084】
[実施例1]
2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(以下PET)フィルム(厚さ:75μm)を透明基体(A)としてその一方の主面に、PETフィルムから順にITO薄膜(膜厚:45nm)、銀薄膜(膜厚:10nm)、ITO薄膜(膜厚:80nm)、銀薄膜(膜厚:13nm)、ITO薄膜(膜厚:80nm)、銀−金合金薄膜(膜厚:14nm)、ITO薄膜(膜厚:80nm)、銀−金合金薄膜(膜厚:14nm)、ITO薄膜(膜厚:45nm)の計9層の本発明の透明積層体を作製した。
【0085】
[比較例1]
PETフィルム(厚さ:75μm)を透明基体(A)としてその一方の主面に、PETフィルムから順にITO薄膜(膜厚:45nm)、銀薄膜(膜厚:10nm)、ITO薄膜(膜厚:80nm)、銀薄膜(膜厚:17nm)、ITO薄膜(膜厚:80nm)、銀−金合金薄膜(膜厚:16nm)、ITO薄膜(膜厚:80nm)、銀−金合金薄膜(膜厚:9nm)、ITO薄膜(膜厚:45nm)の計9層透明積層体を作製した。
【0086】
[比較例2]
PETフィルム(厚さ:75μm)を透明基体(A)としてその一方の主面に、PETフィルムから順にITO薄膜(膜厚:45nm)、銀薄膜(膜厚:10nm)、ITO薄膜(膜厚:80nm)、銀薄膜(膜厚:13nm)、ITO薄膜(膜厚:80nm)、銀薄膜(膜厚:13nm)、ITO薄膜(膜厚:80nm)、銀薄膜(膜厚:14nm)、ITO薄膜(膜厚:45nm)の計9層の本発明の透明積層体を作製した。
【0087】
[実施例2]
PETフィルム(厚さ:75μm)を透明基体(A)としてその一方の主面に、PETフィルムから順にITO薄膜(膜厚:40nm)、銀−パラジウム合金薄膜(膜厚:10nm)、ITO薄膜(膜厚:80nm)、銀薄膜(膜厚:14nm)、ITO薄膜(膜厚:80nm)、銀−パラジウム合金薄膜(膜厚:13nm)、ITO薄膜(膜厚:40nm)の計7層の本発明の透明積層体を作製した。
本発明の透明積層体の一例を示す断面図として、図1に示した。
【0088】
[比較例3]
PETフィルム(厚さ:75μm)を透明基体(A)としてその一方の主面に、PETフィルムから順にITO薄膜(膜厚:40nm)、銀薄膜(膜厚:9nm)、ITO薄膜(膜厚:75nm)、銀薄膜(膜厚:13nm)、ITO薄膜(膜厚:75nm)、銀薄膜(膜厚:14nm)、ITO薄膜(膜厚:40nm)の計7層の透明積層体を作製した。
【0089】
[実施例3]
PETフィルム(厚さ:75μm)を透明基体(A)としてその一方の主面に、アルコキシランを氷酢酸で加水分解したものにシリコーン系表面平滑剤を加えたコート液を、グラビアコーターにて塗工・120℃の熱硬化によって色素入りハードコート膜(膜厚:5μm、鉛筆硬度:3H)を形成し、さらにその上から順にITO薄膜(膜厚:40nm)、銀−パラジウム合金薄膜(膜厚:8nm)、ITO薄膜(膜厚:80nm)、銀−パラジウム合金薄膜(膜厚:12nm)、ITO薄膜(膜厚:40nm)の、機能性透明層(D)として色素を含有するハードコート膜を有する、計5層の本発明の透明積層体を作製した。
【0090】
[比較例4]
PETフィルムから順にITO薄膜(膜厚:35nm)、銀薄膜(膜厚:8nm)、ITO薄膜(膜厚:75nm)、銀薄膜(膜厚:13nm)、ITO薄膜(膜厚:40nm)とした以外は、実施例3と同様に色素を含有するハードコート膜を有する計5層の透明積層体を作製した。
【0091】
[実施例4]
風冷強化ガラス(厚さ:2.8mm)を透明基体(A)としてその一方の主面に、ガラスから順にITO薄膜(膜厚:40nm)、銀−金合金薄膜(膜厚:10nm)、ITO薄膜(膜厚:45nm)の計3層の本発明の透明積層体を作製した。
【0092】
[比較例5]
風冷強化ガラス(厚さ:2.8mm)を透明基体(A)としてその一方の主面に、ガラスから順にITO薄膜(膜厚:40nm)、銀−金合金薄膜(膜厚:13nm)、ITO薄膜(膜厚:40nm)の計3層の透明積層体を作製した。
【0093】
また、上記実施例及び比較例の透明積層体を用いて以下の実施例及び比較例のディスプレイ用フィルターを作製した。
尚、反射防止膜面の片面の可視光線反射率(Rvis)の求め方は、まず測定対象物の小辺を切り出し、反射防止膜が形成されていない面をサンドペーパーで荒らした後、艶消し黒スプレーしてこの面の反射を無くし、反射積分球(光線入射角度6゜)を用いた(株)日立製作所製分光光度計(U−3400)により可視領域の全光線反射率を測定し、ここで求められた反射率からJIS R3106に従って計算した。さらにまた、防汚性の評価は、表面を指で触れ人脂を付けた後、布で軽く拭き取れるかどうかで判断した。
【0094】
[実施例5]
酢酸エチル/トルエン(50:50wt%)溶剤に三井化学(株)製色素MS−Red−G、三井化学(株)製色素PS−Violet−RCを分散・溶解させアクリル系粘着剤の希釈液とし、アクリル系粘着剤/色素入り希釈液(80:20wt%)を混合した状態でそれぞれの濃度が、350(wt)ppm 、600(wt)ppm となるように調製した。作製したをアクリル系粘着剤/色素入り希釈液コンマコーターにより離型フィルムに乾燥膜厚25μmに塗工の後、乾燥、粘着面に離型フィルムをラミネートして、離型フィルムに挟み込まれた色素を含有する粘着材(F)(粘着材1)を得た。
【0095】
トリアセチルセルロース(以下TAC)フィルム(厚さ:80μm)の一方の主面に多官能メタクリレート樹脂に光重合開始剤を加えグラビアコーターにて塗工・紫外線硬化によってハードコート膜(膜厚:3μm)を形成し、その上に含フッ素有機化合物溶液をマイクログラビアコーターにて塗工・90℃乾燥・熱硬化させ、屈折率1.4の反射防止膜(膜厚:100nm)を形成し、ハードコート性(JIS K5400準拠の鉛筆硬度:H)、反射防止性(反射防止膜面の片面のRvis:1.2%)、防汚性を有する機能性透明層(D)として反射防止フィルム1を得た。反射防止フィルム1の他方の主面に、上記粘着材1と同様に色素を入れないで粘着剤/希釈液を塗工・乾燥させ、厚さ25μmの粘着材(F)(粘着材1)を形成し、さらに離型フィルムをラミネートした。
透明支持体(D)として、厚さ3mm、1000mm×600mmの風冷強化ガラスを用いた。
【0096】
ロール状の実施例1の透明積層体の薄膜が形成されていない面に、ロール状の離型フィルムに挟み込まれた色素を含有する粘着材1を、片面の離型フィルムを剥離しながら連続的にラミネート(貼合)し、透明導電膜/PETフィルム/色素入り粘着材/離型フィルムのロールを得た。これを風冷強化ガラスの一方の主面に、離型フィルムを剥しながらラミネートした。さらに他方の主面に粘着材付きの反射防止フィルム1を同様にラミネートした。
さらに、剥きだしの導電部の周縁部、幅22mmの範囲に、銀ペースト(三井化学(株)製MSP−600F)をスクリーン印刷し、乾燥させ厚さ15μmの電極を形成し、本発明のディスプレイ用フィルターを作製した。
本発明のディスプレイ用フィルターの一例を示す平面図として、電極形成面から見た平面図を図2に示した。
実施例5の断面を、本発明のディスプレイ用フィルターの一例を示す断面図として、図3に示した。
【0097】
[比較例6]
透明積層体に比較例1の透明積層体を用いた以外は、実施例5と同様にディスプレイ用フィルターを作製した。
【0098】
[実施例6]
実施例5記載の粘着材2を同様に実施例2の透明積層体の薄膜が形成されていない面にラミネートし、粘着材(F)付きの透明積層体のロールを得た。
色素を含有する透明支持体(E)として、有機色素と紫外線吸収剤を添加してキャスティング法により作製した厚さ3mmのポリメチルメタクリレート(以下PMMA)板を得た。PMMA板の含有する色素は、MS−Red−G、PS−Violet−RCがそれぞれ、1.7(wt)ppm、4.2(wt)ppmである。この一方の主面に、多官能メタクリレート樹脂に光重合開始剤を添加、さらに有機シリカ微粒子(平均粒径:15μm)を分散させたコート液を、ディッピング法により塗工・紫外線硬化させ、防眩性(ヘーズメーター測定のヘーズ値:2%)とハードコート性(鉛筆硬度:2H)を有する機能性透明層(D)としてアンチグレア層(膜厚:2μm)を形成し、1000mm×600mmのアンチグレア付きのPMMA板を作製した。
ロール状の粘着材付き透明積層体をPMMA板のアンチグレア層が形成されていない面に、離型フィルムを剥しながらラミネートした。
さらに、実施例5と同様に銀ペーストをスクリーン印刷・乾燥させ厚さ15μmの電極を形成し、本発明のディスプレイ用フィルターを作製した。
実施例6の断面を、本発明のディスプレイ用フィルターの一例を示す断面図として、図4に示した。
【0099】
[実施例7]
実施例5記載の粘着材2を同様に実施例3の透明積層体の薄膜が形成されていない面にラミネートし、粘着材(F)付きの透明積層体のロールを得た。
透明支持体(D)として、厚さ3mm、1000mm×600mmの化学強化ガラスを用いた。化学強化ガラスの一方の主面に、オルトケイ酸テトラエチル/エタノール/水(重量比1:20:4)の溶液にアンモニアを触媒として微量加え混合し、ディッピング法(精密引き上げ)によりコートした後、200℃で焼成して反射防止性(反射防止膜面の片面のRvis :0.7%)を有する機能性透明層(D)として反射防止膜を形成し、ARガラスを得た。
【0100】
ARガラスの反射防止膜が形成されていない面に、実施例5と同様に粘着材付きの透明積層体をラミネートした。
さらに、実施例5と同様に銀ペーストをスクリーン印刷・乾燥させ厚さ15μmの電極を形成し、本発明のディスプレイ用フィルターを作製した。
実施例7の断面を、本発明のディスプレイ用フィルターの一例を示す断面図として、図5に示した。
【0101】
[実施例8]
PETフィルム(厚さ:100μm)の一方の主面にアルコキシランを氷酢酸で加水分解したものにシリコーン系表面平滑剤を加えたコート液を、グラビアコーターにて塗工・120℃の熱硬化によってハードコート膜(膜厚:5μm)を形成し、その上にITO薄膜(膜厚:70nm)、SiO2 薄膜(膜厚:90nm)の順にスパッタリング法によって2層系反射防止膜を形成し、ハードコート性(鉛筆硬度:3H)、反射防止性(反射防止膜面の片面のRvis :0.8%)、帯電防止性(表面抵抗:2×105 Ω/□)、防汚性を有する機能性透明層(F)である反射防止フィルム2を得た。実施例5と同様に粘着材(E)付きの反射防止フィルム2のロールを得た。
【0102】
1000mm×600mmの実施例4の透明積層体の透明導電膜が形成されていない面に、実施例5と同様に粘着材(F)付きの反射防止フィルム2をラミネートした。
さらに、実施例5と同様に銀ペーストをスクリーン印刷・乾燥させ厚さ15μmの電極を形成し、本発明のディスプレイ用フィルターを作製した。
実施例8の断面を、本発明のディスプレイ用フィルターの一例を示す断面図として、図6に示した。
【0103】
[比較例7]
透明積層体に比較例5の透明積層体を用いた以外は、実施例8と同様にディスプレイ用フィルターを作製した。
【0104】
以上のようにして作製した実施例1〜4の本発明の透明積層体及び比較例1〜5の透明積層体の耐環境性、透明導電膜面の可視光線反射率、面抵抗、実施例5〜8の本発明のディスプレイ用フィルター及び比較例6〜7のディスプレイ用フィルターの可視光線透過率、透過色度、可視光線反射率、近赤外線透過率及びプラズマディスプレイに装着したときの画像特性を以下の方法で評価した。
【0105】
1)透明積層体の耐環境性
実施例1〜4及び比較例1〜5において、透明積層体を300mm×300mmに切り出し、外形寸法が300mm×300mmで深さ50mmのステンレス(厚さ10mm)の枠に一方だけ厚さ5mmのステンレス製の底を溶接した箱に、両面テープをもって透明積層体で箱に蓋した。この際、透明導電膜面を内側になるようにし、模擬的にプラズマディスプレイセットに取り付けた状態にした。この透明積層体で蓋された箱を、60℃で湿度95%以上の恒温恒湿槽に入れ、透明導電膜の劣化による白点の発生の有無と、発生時間を調べた。白点が200時間以上発生しなければ、実用的に使用できる。透明積層体で蓋された箱の中は、60℃で湿度50%以上だった。
【0106】
2)透明積層体の可視光線反射率(Rvis)
実施例1〜4及び比較例1〜5において、透明導電膜が形成されていない面をサンドペーパーで荒らした後、艶消し黒スプレーしてこの面の反射を無くし、反射積分球(光線入射角度6゜)を用いた(株)日立製作所製分光光度計(U−3400)により可視領域の全光線反射率を測定し、ここで求められた反射率からJIS R3106に従って計算した。
【0107】
3)透明積層体の面抵抗
実施例1〜4及び比較例1〜5において、透明導電膜面の面抵抗を、四探針測定法(プローブ間隔1mm)により測定した。
【0108】
4)ディスプレイ用フィルターの可視光線透過率(Tvis)及び透過色度(ハンターのクロマティクネス指数a、b)
実施例5〜8及び比較例6〜7において、測定対象物の透光部を小片に切り出すか、同じ構成の小片サンプルを作製し、(株)日立製作所製分光光度計(U-3400)の反射積分球(光線入射角度6°)の入射口にサンプルを固定し、300〜800nmにおける測定対象物の全光線透過率を測定した。ここで求めた全光線透過率からJIS R3106に従ってTvis を、JIS Z8722、JISZ8730に従ってディスプレイ用フィルターの透過色度(C光源)を計算した。
【0109】
5)ディスプレイ用フィルターの近赤外線透過率(T850 nm、T950 nm)
実施例5〜8及び比較例6〜7において、測定対象物の透光部を小片に切り出すか、同じ構成の小片サンプルを作製し、(株)日立製作所製分光光度計(U-3400)により850nm、950nmの近赤外線透過率T850 nm、T950 nm(平行光線透過率)を測定した。
【0110】
6)ディスプレイ用フィルターの可視光線反射率(Rvis )
実施例5〜8及び比較例6〜7において、測定対象物の透光部を小片に切り出すか、同じ構成の小片サンプルを作製し、反射積分球(光線入射角度6°)を用いて(株)日立製作所製分光光度計(U-3400)により300〜800nmにおける測定対象物両面の全光線反射率を測定した。ここで求めた反射率からJIS R3106に従ってRvis を計算した。
【0111】
7)ディスプレイ用フィルターの画像特性
実施例5〜8及び比較例6〜7のディスプレイ用フィルターを42型プラズマディスプレイの前面に装着し、輝度、色調、コントラスト、視認性を、良:○、やや良(やや劣る):△、不良:×で判断した。×が一つ以上あるとディスプレイ用フィルターとして不適である。装着は、電極形成面すなわち透明導電膜側をプラズマディスプレイ側として、プラズマディスプレイパネル画面から2mm離して平行に設置した。視認性は、外光反射、ギラツキによる画像の視認性の低下の有無を判断した。
以上の結果を表1及び表2に掲げる。
【0112】
【表1】
Figure 0004004161
【0113】
表1から明らかなように、実施例1〜4及び比較例1、5は耐環境性評価において200時間以上であり、耐環境性に優れている。また、有する銀の膜厚が厚いほど、耐環境性が低下することが判る。ただし、銀と金または銀とパラジウムの合金を用いることによって、面抵抗は上昇することも判る。比較例1及び比較例5は、耐環境性に優れているが、各層の膜厚が適切でないために、他に比べて可視光線反射率が高いものとなっている。
【0114】
【表2】
Figure 0004004161
【0115】
表2から明らかなように、比較例6及び比較例7は薄膜形成面の可視光線反射率が高い比較例1及び比較例5の透明積層体を使用しているため、可視光線反射率が高く視認性が劣っている。また、用いた透明積層体の面抵抗が低いほど、近赤外線カット能に優れているのが判る。可視光線透過率は、積層数が多いほど低くなることは判るが、合金薄膜に銀−パラジウム合金を用いたり、色素により調色することによっても可視光線透過率が低くなる。また、合金薄膜に銀−金合金を用いると透過色度のa値が小さくなるが、積層数が少ない場合は特に要求される色調が厳しくなければ調色は不要である。実施例8及び比較例7は、可視光線透過率が高く、透過色度のa値が小さいためコントラストが若干劣っている。実施例7のディスプレイ用フィルターは、透過色度、可視光線透過率、可視光線反射率のいずれも優れており、画像特性が良いことが判る。
さらにまた、本発明のディスプレイ用フィルターは、機能性透明層に各機能を持たせることによって、耐擦傷性及び/または防汚性及び/または帯電防止性に優れている。
【0116】
【発明の効果】
以上のごとく、本発明によれば、優れた可視光線反射率、可視光線透過率を有し、保護層を必要としない耐環境性に優れた透明積層体を提供でき、本発明の透明積層体を用いれば、プラズマディスプレイの輝度・色調・コントラスト・視認性を損なわない又は向上させる、優れた可視光線反射率、可視光線透過率、透過色を有し、さらにはプラズマディスプレイから発する強度の電磁波を遮蔽でき、周辺電子機器の誤動作を誘発する近赤外線のカット能を有する、耐候性・耐環境性、帯電防止性、耐擦傷性、防汚性等に優れた低コストのディスプレイ用フィルターを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本願の透明積層体の一例を示す断面図である。
【図2】 本願のディスプレイ用フィルターの一例を示す平面図である。
【図3】 本願のディスプレイ用フィルターの一例を示す断面図である。
【図4】 本願のディスプレイ用フィルターの一例を示す断面図である。
【図5】 本願のディスプレイ用フィルターの一例を示す断面図である。
【図6】 本願のディスプレイ用フィルターの一例を示す断面図である。
【符号の説明】
00 ディスプレイ画面
01 ディスプレイ用フィルターの透光部
10 透明導電膜
11 高屈折率透明薄膜層(B)
12 金属薄膜層(C)
20 透明基体(A)
30 粘着材(F)
31 色素を含有する粘着材(F)
40 透明支持体(E)
41 色素を含有する透明支持体(E)
50 電極
60 反射防止性、ハードコート性、防汚性を有する機能性透明層(D)
61 防汚性を有する反射防止膜
62 ハードコート膜
63 62、61が形成される透明な基材
70 アンチグレア層(防眩性、ハードコート性を有する機能性透明層(D))
80 ハードコート膜(ハードコート性を有する機能性透明層(D))
90 反射防止膜(反射防止性を有する機能性透明層(D))
100 反射防止性、帯電防止性、ハードコート性を有する機能性透明層(D)101 ハードコート膜
102 帯電防止性を有する反射防止膜
103 102、101が形成される透明な基材

Claims (9)

  1. 透明基体(A)の少なくとも一方の主面上に透明導電膜(G)を形成した透明積層体を含み、且つ、次の条件(1)〜(4)をすべて満たすディスプレイ用フィルター
    (1)該透明導電膜(G)が、
    高屈折率透明薄膜層(B)および金属薄膜層(C)が順次、(B)/(C)を繰返し単位として1〜4回繰り返し積層され、
    さらにその上に少なくとも該高屈折率透明薄膜層(B)が積層されたものであり、かつ
    該金属薄膜層(C)の少なくとも1層は合金層である。
    (2)該透明積層体の該透明導電膜(G)が形成された側の表面の面抵抗が、1〜10Ω/□である。
    (3)該透明基体(A)の膜厚(a)、該高屈折率透明薄膜層(B)の膜厚(b)、該金属薄膜層(C)の膜厚(c)が、
    光の入射媒質を空気として、該透明基体(A)および各層の屈折率および消光係数を用いたベクトル法またはアドミッタンス図を用いる算出方法に依り、該透明積層体の該透明導電膜(G)が形成された側の表面の可視光線反射率が1.5%以下の値をとる、a、b、cの組合せから選択されたものである。(但し、10(μm)<a<250(μm)、5(nm)≦b≦200(nm)、4(nm)≦c≦30(nm))
    (4)該透明積層体の該透明導電膜(G)が形成された側に反射防止性を有する機能透明層(D)を設けていない。
  2. 透明基体(A)の少なくとも一方の主面上に防眩性帯電防止性、ハードコート性、防汚性およびアンチニュートンリング性から選ばれた少なくとも1つの機能を有する機能性透明層(D)、透明導電膜(G)を順に形成した透明積層体を含むことを特徴とする請求項1に記載のディスプレイ用フィルター。
  3. 透明基体(A)の、透明導電膜(G)が形成されていない面に、反射防止性、防眩性、反射防止防眩性、帯電防止性、ハードコート性、防汚性およびアンチニュートンリング性から選ばれた少なくとも1つの機能を有する機能性透明層(D)を形成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のディスプレイ用フィルター。
  4. 透明基体(A)及び/又は機能性透明層(D)が色素を含有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のディスプレイ用フィルター。
  5. 透明支持体(E)が粘着材(F)を介して、該透明基体(A)の透明導電膜(G)が形成されていない側に設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のディスプレイ用フィルター。
  6. 周縁部に電極が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のディスプレイ用フィルター。
  7. 機能性透明層(D)が、直接または粘着材(F)を介して形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のディスプレイ用フィルター。
  8. 透明基体(A)、機能性透明層(D)、透明支持体(E)および粘着材(F)の少なくとも1つが色素を含有することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のディスプレイ用フィルター。
  9. 透明導電膜(G)/透明基体(A)/機能性透明層(D)、透明導電膜(G)/透明基体(A)/粘着材(F)/機能性透明層(D)、透明導電膜(G)/透明基体(A)/粘着材(F)/透明支持体(E)/機能性透明層(D)および、透明導電膜(G)/透明基体(A)/粘着材(F)/透明支持体(E)/粘着材(F)/機能性透明層(D)のいずれかの構成であることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載のディスプレイ用フィルター。
JP33624998A 1998-11-26 1998-11-26 透明積層体及びそれを用いたディスプレイ用フィルター Expired - Fee Related JP4004161B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33624998A JP4004161B2 (ja) 1998-11-26 1998-11-26 透明積層体及びそれを用いたディスプレイ用フィルター

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33624998A JP4004161B2 (ja) 1998-11-26 1998-11-26 透明積層体及びそれを用いたディスプレイ用フィルター

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000158578A JP2000158578A (ja) 2000-06-13
JP4004161B2 true JP4004161B2 (ja) 2007-11-07

Family

ID=18297184

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP33624998A Expired - Fee Related JP4004161B2 (ja) 1998-11-26 1998-11-26 透明積層体及びそれを用いたディスプレイ用フィルター

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4004161B2 (ja)

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004264350A (ja) * 2003-02-07 2004-09-24 Central Glass Co Ltd 前面フィルター
KR100827042B1 (ko) 2004-01-06 2008-05-02 닛폰 덴카이 가부시키가이샤 전자파 실드필터용 동박 및 전자파 실드필터
JP4365372B2 (ja) * 2004-01-06 2009-11-18 日本電解株式会社 電磁波シールドフィルタ用銅箔及び電磁波シールドフィルタ
KR20060084586A (ko) 2005-01-20 2006-07-25 삼성에스디아이 주식회사 플라즈마 디스플레이 장치
EP1909552A1 (en) * 2005-07-07 2008-04-09 Asahi Glass Company, Limited Electromagnetic wave shielding film and protective plate for plasma display panel
JP5023556B2 (ja) * 2006-05-31 2012-09-12 旭硝子株式会社 導電性積層体、プラズマディスプレイ用電磁波遮蔽フィルムおよびプラズマディスプレイ用保護板
KR20080104584A (ko) * 2007-05-28 2008-12-03 삼성에스디아이 주식회사 광학 필터 및 이를 구비하는 플라즈마 디스플레이 장치

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06278244A (ja) * 1993-01-29 1994-10-04 Mitsui Toatsu Chem Inc 積層体
JP3004222B2 (ja) * 1996-05-28 2000-01-31 三井化学株式会社 透明積層体およびそれを用いたディスプレイ用フィルター
JP3034218B2 (ja) * 1997-03-25 2000-04-17 三井化学株式会社 透明積層体及びそれを用いた調光体及びディスプレイ用フィルター
JP3882259B2 (ja) * 1997-03-28 2007-02-14 東洋紡績株式会社 プラズマディスプレイの電磁障害シールド用透明導電性フイルム
JP2000059082A (ja) * 1998-08-06 2000-02-25 Nippon Sheet Glass Co Ltd 電磁波フィルタ

Also Published As

Publication number Publication date
JP2000158578A (ja) 2000-06-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3004222B2 (ja) 透明積層体およびそれを用いたディスプレイ用フィルター
KR100215589B1 (ko) 투명적층체 및 그것을 사용한 디스플레이용 필터
KR100590368B1 (ko) 디스플레이용 필터, 표시장치 및 그 제조 방법
JP3311720B2 (ja) ディスプレイ用フィルター
JP3834479B2 (ja) プラズマディスプレイ用フィルタ、表示装置およびその製造方法
JP2006058896A (ja) プラズマディスプレイ用フィルタ、表示装置およびその製造方法
JP2002323861A (ja) ディスプレイ用フィルタの製造方法
JP3004271B2 (ja) ディスプレイ用フィルタ―
JP2004117545A (ja) ディスプレイ用フィルタの製造方法
JP3311697B2 (ja) 光学フィルター
JP2004146536A (ja) ディスプレイ用フィルタ
JP3753482B2 (ja) 透明積層体およびそれを用いたディスプレイ用フィルター
JP3034218B2 (ja) 透明積層体及びそれを用いた調光体及びディスプレイ用フィルター
JP4004161B2 (ja) 透明積層体及びそれを用いたディスプレイ用フィルター
JP2001353810A (ja) 透明積層体とプラズマデイスプレイパネル用フイルタ
JP2002313140A (ja) 透明導電性フィルム及び光学フィルター並びにその製造方法
JP2000147245A (ja) 光学フィルター
JP2002323860A (ja) ディスプレイ用光学フィルタならびにこれを用いた表示装置およびディスプレイ用保護板
JP2008191395A (ja) プラズマディスプレイパネル用近赤外線吸収フィルター及びプラズマディスプレイパネル
JP2001092363A (ja) ディスプレイ用フィルター
JP3657115B2 (ja) 黒色電極を持つディスプレイ用電磁波シールド
JPH10261891A (ja) 電磁波シールド体及びそれを用いたディスプレイ用フィルター
JP2003015536A (ja) ディスプレイ用フィルタおよびそれを用いた表示素子
JP2005277438A (ja) ディスプレイ用フィルタの製造方法
JP2002268569A (ja) 光学フィルター

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050420

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050426

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050617

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070320

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070517

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070821

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070821

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100831

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100831

Year of fee payment: 3

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100831

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100831

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110831

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120831

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120831

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130831

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees