JP2004347655A - ディスプレイパネル - Google Patents
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Abstract
【課題】シート状光学フィルターをディスプレイ基板に貼り合わせる際のリペア性に優れたディスプレイパネルを提供すること。
【解決手段】ディスプレイ基板の前面に反射防止機能を有する光学フィルターを微粘着剤層を介して貼付する。
【選択図】 なし
【解決手段】ディスプレイ基板の前面に反射防止機能を有する光学フィルターを微粘着剤層を介して貼付する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光学フィルターをディスプレイの前面に貼り付けたディスプレイパネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、大型の薄型テレビ、薄型ディスプレイ用途等にプラズマディスプレイパネル(PDP)の開発が急速に進んでおり、すでに市場では量産計画も発表されている。また、液晶ディスプレイの大型化や有機ELパネルの量産化も発表されている。
【0003】
プラズマディスプレイパネルはその構造上近赤外線が放出されるため、これらを遮断する必要がある。また、ディスプレイには高電圧の回路や、複雑な回路が多く使用され電磁波が多く発生しているため、これらを遮断する必要がある。このため、各種フィルターが開発されており、基材中に800〜1200nmに極大吸収波長を有する近赤外線吸収化合物を少なくとも一種含有するプラズマディスプレイ用フィルターがある(例えば特許文献1参照。)。また、特定の波長の光を選択的にカットすることができるフィルターもある(例えば、特許文献2参照。)。さらに、プラズマディスプレイパネルの前面に貼り付けして用いるフィルターであって透明樹脂基材に近赤外線吸収剤層を設け、その表面に粘着剤層を設けたプラズマディスプレイ用フィルターや(例えば、特許文献3参照)、プラスチックフィルムの粘着剤層を有する電磁波シールド用フィルターもある(例えば、特許文献4参照。)。
【0004】
一方ディスプレイ装置は、大型化が進む中、軽量化・薄肉化が求められ、光学フィルターを設けた状態での耐衝撃性もますます必要となってくる。
【0005】
しかしながら、かかる従来技術では光学フィルターを組み合わせた状態で充分な耐衝撃性を得ることができず、いかにして光学フィルターを組み合わせたプラズマディスプレイパネルの耐衝撃性を十分なレベルに高めるか、さらには光学フィルターを手で押さえたときのたわみの発生が解決すべき課題となっていた。これらを解決すべく、本発明者らは粘着剤層を衝撃緩衝層とするプラズマディスプレイパネルを考案していた(特許文献5参照)。しかしながら、大面積のシート状物を貼り合わせる際には、その面積が大きいほど貼り合わせ界面部分へのゴミ、気泡などの混入が起こることがあるが、これを修正するために一旦剥がして再貼り付けを行うとしても、大面積化に伴いその困難性は増加してきており、、剥がす工程を容易に実施できるようすることが望まれていた。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−78509号公報
【0007】
【特許文献2】
特開2000−258624号公報
【0008】
【特許文献3】
特開2000−258626号公報
【0009】
【特許文献4】
特開2000−299593号公報
【0010】
【特許文献5】
特開2002−260539号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、シート状光学フィルターをディスプレイ基板に貼り合わせる場合においても、リペア性が可能となったディスプレイパネルを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
すなわち、上記課題を解決するために本発明は、以下の構成を有する。すなわち、「(1)ディスプレイ基板の前面に反射防止機能を有する光学フィルターが微粘着剤層を介して貼付されたディスプレイパネル、(2)光学フィルターの厚みが0.5mm以上で、微粘着剤層の密着力が10kgf/cm2以下である、上記(1)に記載のディスプレイパネル、(3)光学フィルターと微粘着剤層の間に衝撃緩衝層を有する、上記(1)または(2)に記載のディスプレイパネル、
(4)衝撃緩衝層と微粘着剤層との間に透明機能層を有する、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のディスプレイパネル、(5)衝撃緩衝層がアクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、オレフィン系樹脂の中から選ばれる1種類以上であり、かつ衝撃緩衝層の厚みが0.5〜3mmである、上記(1)〜(4)のいずれかに記載のディスプレイパネル、(6)光学フィルターの厚みは0.5〜5mmであり、かつ透明プラスチックを基材とする、上記(1)〜(5)のいずれかに記載のディスプレイパネル、(7)微粘着剤層、衝撃緩衝層、光学フィルター、透明機能層のいずれか少なくとも一つに紫外線吸収化合物、近赤外線吸収化合物または色素を含有する、上記(1)〜(6)のいずれかに記載のディスプレイパネル、(8)透明機能層は、電磁波シールド機能および/または近赤外線遮蔽機能を有する、上記(1)〜(7)のいずれかに記載のディスプレイパネル、(9)衝撃試験による破壊エネルギーが1.0ジュール以上である、上記(1)〜(8)のいずれかに記載のプラズマディスプレイパネルを有するプラズマディスプレイ表示装置、(10)ディスプレイが表面に偏光板を備えていることを特徴とする、上記(1)〜(8)のいずれかに記載のディスプレイパネル」である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明は、ディスプレイ基板の前面に反射防止機能を有する光学フィルターが微粘着剤層を介して貼付されたディスプレイパネルである。
【0014】
ディスプレイ基板は、直視型フラットパネルディスプレイにおける加工条件、透明性、耐久性などの点から通常ガラスが用いられている。これらの大型化、薄肉化が進むにつれてその耐久性もより高いものが望まれる。特に大型化が進んでいるプラズマディスプレイ(以下PDPということがある。)パネルでは耐衝撃性の点で優れたものが望まれている。
【0015】
本発明の光学フィルターが貼着されるディスプレイ基板の面は透明性を有しているものであればよいが、耐熱性、透明性、加工性などの点からガラスがよく用いられている。また、フラットディスプレイの種類によってディスプレイ基板の表示面に偏向板(液晶ディスプレイ)や円偏光板(エレクトロルミネッセンスディスプレイ)を貼り合わせたものにも、本発明を適用することができる。
【0016】
本発明のディスプレイパネルを、PDPパネルを例に挙げ説明する。PDPパネルとは、ディスプレイ(ガラス)基板、ガス、電極、電極リード材料、厚膜印刷材料、蛍光体等の一般的なプラズマディスプレイパネルの構成要素に衝撃緩衝層と微粘着剤層を有する光学フィルター部材を含んだものである。さらに筐体を組み合わせることで、プラズマディスプレイ表示装置となる。ディスプレイ(ガラス)基板は、前面ガラスと背面ガラス基板の二枚が用いられ、二枚のガラス基板には、電極と誘電体が形成され、さらに背面ガラス基板には蛍光体層が形成される。二枚のガラス基板の間にはヘリウム、ネオン、キセノン等からなるガスが封入されている。そして、前面ガラス基板に微粘着剤層を介し、また、好ましく衝撃緩衝層、粘着層を介して、光学フィルターが貼り付けされる。
【0017】
本発明のプラズマディスプレイパネルは衝撃試験による破壊エネルギーが1ジュール以上であることがこのましい。試験方法は次のとおりである。
【0018】
すなわち、シャーシ部に電熱シートを介してセットされたプラズマディスプレイパネルに、表示画面を水平に保ち、直径20mmの鋼球(SUS)を所定の高さから自然落下させた。徐々に高さを大きくし、ディスプレイ基板が割れたところの値を記録する。表示画面からの高さと鋼球の重さから計算した位置エネルギーを破壊エネルギーとした
本発明に用いる微粘着剤層に用いられる材料は生産工程におけるリペア性および製品のリサイクル使用時における分解が容易にできるという目的を達し、さらには画像の解像度を著しく低減させない透明度があれば特に限定されないが、貼り付けられた光学フィルターを剥離するときに、光学フィルターの形状が破壊されることなく実施できる粘着力を有していることが好ましい。すなわち、光学フィルターの弾性率よりも低い弾性率値を有していることが好ましい。更には衝撃緩衝作用を有していることが好ましい。
【0019】
微粘着剤層に、好適に用い得る材料としては、例えば、オレフィン樹脂、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ネオプレン、ブチルゴム等やポリアクリル酸アルキルエステルや常温硬化型や加熱硬化型、光硬化型の各種シリコーン樹脂などがあげられるが、耐光性および透明性の良いアクリル系ポリマーも好ましく用いられる。これらは2種類以上を組み合わせて用いても良く、共重合体としては、エチレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、高、中、低密度ポリエチレン、アイオノマー樹脂などを用いることもできる。中では、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、オレフィン系樹脂から選ばれる少なくとも一つが好ましい。また、微粘着剤層の屈折率を調整することにより、より画像視認性の高いプラズマディスプレイパネルの作製が可能である。
【0020】
中でもアクリル系粘着剤が好ましく用いられる。微粘着剤層の密着力は10kgf/cm2以下が好ましく、10kgf/cm2を超える場合は貼り合わせ時歩留まりが高くなる傾向にある。通常0.5〜10kgf/cm2で好ましく用いられる。ディスプレイのサイズが大きくなるにしたがって引き剥がしにくくなることから、ディスプレイサイズに応じた密着力を設定することが好ましい。密着力は、30×70mm並板ガラス(3mm厚み)2枚を中性洗剤で洗浄後乾燥して微粘着剤層1.0cm2で貼り合わせたものを用い、テンシロン装置で引っ張った時の剪断応力として求められる。
【0021】
なお、微粘着剤層を用いても貼着後は大気圧による保持が期待できるので、光学フィルターは脱落し難い。
【0022】
本発明に好適に用いる衝撃緩衝層は、耐衝撃性を改善し、さらには画像の解像度を著しく低下させない透明度があれば特に限定されるものではない。好適に用い得る材料としては、例えば、オレフィン樹脂、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ネオプレン、ブチルゴム等やポリアクリル酸アルキルエステルや常温硬化型や加熱硬化型、光硬化型の各種シリコーン樹脂などがあげられるが、耐光性および透明性の良いアクリル系ポリマーも好ましく用いられる。これらは2種類以上を組み合わせて用いても良く、共重合体としては、エチレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、高、中、低密度ポリエチレン、アイオノマー樹脂などを用いることもできる。中では、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、オレフィン系樹脂から選ばれる少なくとも一つが好ましい。
【0023】
また、衝撃緩衝層が微粘着性を有していることが好ましい。また、衝撃緩衝層を光学フィルターと微粘着剤層の間に設けることも好ましく実施され、衝撃緩衝層の形状が破壊されない方がリペア性が高いといえるため、この場合において、衝撃緩衝層の弾性率は微粘着剤の弾性率よりも大きいことが好ましい。前者の場合はディスプレイ基板と衝撃緩衝層(兼微粘着層)との界面で剥がれるので、より高いリペア性を達成できる。後者の場合で剥離作業を行うときは、衝撃緩衝層の屈折率を調整することにより、より画像視認性の高いプラズマディスプレイパネルの作製が可能であるし、衝撃緩衝層が近赤外線吸収化合物や色素を含有するのに好適な材料から構成されていれば、近赤外線吸収化合物や染料を含有することにより、特定の光線透過選択が可能となる。
【0024】
衝撃緩衝層の厚みは耐衝撃性の観点から、0.5mm以上が好ましく、より好ましくは1.0〜3.0mmである。0.5mm以上であると1ジュール以上の衝撃性に対し緩衝効果が生じる。3.0mm以上であると、貼り付けることによる装置の薄肉化の効果が得られない。
【0025】
本発明に好適に用いる、透明機能層は微粘着剤層と光学フィルターの間に設けられることが好ましい。係る構成とすることで、透明機能層のリペア性が向上する。また、透明機能層の機能としては紫外線吸収機能、近赤外線吸収機能、可視光透過率調整機能、電磁波シールド機能などを挙げることができる。これらは衝撃緩衝層に含まれていてもよく、衝撃緩衝層と微粘着剤層および/または光学フィルターと積層された界面に設けても良い。
【0026】
電磁波シールド機能を発現させるためには、光学フィルターとして用いる際に表示面の明るさを損なわないという点から、透明機能層として、導電性を有する電磁波シールド層を設けることが望ましい。電磁波シールド層の導電性は、表示装置から放射される電磁波量と目的とするカット率に応じて設定すればよいが、十分な電磁波シールド性を得るためには表面抵抗値が50Ω/□以下であることが好ましく、さらに好ましくは3Ω/□以下である。表面抵抗値が50Ω/□より高いと十分な電磁波シールド性が得られない場合がある。
【0027】
電磁波シールド層は光学フィルターに直接、導電性金属をメッキ、蒸着、スパッタ等の方法で積層する方法、導電塗料や導電性高分子層をコーティングする方法等で得ることができるが、30型を越える大きな画面に対しては生産性が低下し、また困難性も上がる傾向があるので、一般には、透明基材(フィルム)に白金、金、銀、銅、パラジウム等の金属、酸化スズ、酸化インジウム、ITO等の導電性酸化物をコーティングし、それを貼着する方法が透明性、生産性等から好ましく用いられている。また、導電性繊維や金属をパターニングする(メッシュタイプ)方法もより低抵抗である電磁波シールド層の場合に好ましく用いられる。
【0028】
本発明において好ましく用いられる電磁波シールド層は光学フィルターとプラズマディスプレイパネルとの間に設けることが好ましく、光学フィルターと衝撃緩衝層、電磁波シールド層、微粘着剤層とを貼り合わせるだけで所望の電磁波シールド機能を有するプラズマディスプレイパネルを作製することが可能となる。
【0029】
本発明においては、微粘着剤層、衝撃緩衝層および光学フィルター、透明機能層の中から選ばれる少なくとも1種に近赤外線吸収化合物を含有させることが好ましい。一般に近赤外線吸収化合物は熱に対して不安定なので、例えば透明プラスチックを基材とする光学フィルターに配合する場合は成形温度を200℃以下とすることが好ましい。光学フィルターの成形温度が200℃以上である場合は微粘着剤層や衝撃緩衝層に含有することが好ましく行われる。近赤外線吸収化合物としては、アントラキノン化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、金属酸化物系微粉末、イモニウム系化合物、ジイモニウム系化合物、アミニウム塩系化合物、チオウレア化合物、ビスチオウレア化合物、四角酸系化合物、金属錯体化合物等が挙げられる。
【0030】
さらに、微粘着剤層、衝撃緩衝層および光学フィルターの中から選ばれる少なくとも1種に色素を添加することも好ましい。特にネオン光といわれている595nm付近の波長をカットする色素により、赤の色純度向上と色再現性を向上できる。例えば、シアニン系化合物、オキソノール系化合物、トリフェニルメタン系化合物、ジフェニルメタン系化合物、キサンテン系化合物、オキサジン系化合物、チアジン系化合物などが用いられる。また、各種の色素を用いることでニュートラルグレー化することによりコントラストの向上ができる。微粘着剤層にガラス転移温度が低い樹脂が用いられている場合は、色素の混合が低温でできることから、好ましい。
【0031】
また、微粘着剤層、衝撃緩衝層、および光学フィルターの中から選ばれる少なくとも1種に紫外線吸収剤を含有することも好ましい。光学フィルターに添加することにより、光学フィルターの耐候(光)性向上のみならず、微粘着剤層、衝撃緩衝層、透明機能層の耐候(光)性向上に効果がある。紫外線吸収化合物としては、ヒンダードフェノール系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系およびシアノアクリレート系などを用いることができる。
【0032】
また、光学フィルター、微粘着剤層、衝撃緩衝層とは別に紫外線吸収化合物、近赤外線吸収化合物または色素を含有する層を設けることも可能である。紫外線吸収化合物層、近赤外線吸収化合物または色素を含む層の基材としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂のような熱硬化性樹脂、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレートなどの多官能性架橋モノマー、オリゴマー、テトラアルキルシランなどのシラン系化合物またはその加水分解物などの硬化性化合物の硬化体などをマトリックス成分とする薄膜を用いることができる。これらは上記マトリックス成分を含む塗料を透明基材上にスピンコート法、ダイコート法、浸せき法などのウエットコーティング法によって形成する方法を採ることができる。
【0033】
本発明を構成する光学フィルターはその基材としてガラスや透明プラスチックなど実質的に透明であって光の吸収や散乱が大きくないもので有れば良いが、透明プラスチックを基材とすることが好ましい。ガラスであればソーダガラス、強化ガラス等一般に入手できるものを用いることができる。割れにくい、軽い、加工しやすい、扱いやすい等の面で透明プラスチック製が好ましく用いられる。ここでいうプラスチックとは画像の視認性を著しく低下させない表面平滑性を有していればよく特に限定されないが、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などを使用することができるが、プラズマディスプレイパネルの部材としては、難燃性はUL94に定められている評価基準・V−2以上の規格を有することが好ましい。そのためには基材中に添加剤を入れたり、表面処理することも好ましく行われる。さらに、光学フィルターの成型は大量生産が可能でコストメリットが望める連続押し出し成型法を用いることが好ましい。
【0034】
光学フィルターは通常基材の中に機能性材料を含んだり、上記の基材に更に光学的な機能層が設けられている。
【0035】
そのような機能層としては、例えば、反射防止膜が挙げられる。基材の片面に可視光反射防止を施すことによって可視光における反射率を押さえることができ、画像の視認性を向上できる。反射防止は通常低屈折率層と高屈折率層からなる2層以上の積層膜を用いるのが好ましいが、表面を乱反射することによってまぶしさを押さえるグレア処理であってもよい。これらはディスプレイパネルの使用環境、ディスプレイパネルの性能により選択することが好ましい。反射防止膜の形成には、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの通常の方法を用いることができる。
【0036】
反射防止膜を構成する物質としては、例えば、SiO2、MgF2、AlF3、BaF2、LiF、Na3AlF6、Na5Al3F14、NaF、SrF2、ZrO2、TiO2、SiO、TiN、Y2O3、Yb2O3、Sb2O3、Sb2O5、SnO2、In2O3、ITO、Ta2O5、CeO2、MgO、HfO2、Pr2O3、Pr6O11、Bi2O3、Cr2O3、Eu2O3、Fe2O3、La2O3、MoO3、Nd2O3、PbO、Sm2O3、Sc2O3、ZnO、CaF2、SmF3、ZnS、Ge、Si等が上げられる。なかでも低屈折率層としてはSiO2、MgF2が好ましく用いられ、高屈折率層としてはZrO2、TiO2、Ta2O5、ZnO、ITO、SnO2、Y2O3、MgO、CeO2が好ましく用いられる。反射防止処理は光学フィルターに直接実施することも可能であるが反射防止加工を施したフィルムを貼り合わせることも可能である。
【0037】
さらに、反射防止膜の形成は塗料をコーティングすることによっても実施が可能である。例えば、有機珪素化合物とシリカ微粒子を主成分とする低屈折率層と、低屈折率層よりも屈折率が0.03以上高い屈折率を持つ下層の基材を有していれば、本発明でいうところの反射防止機能が達成できる。上記のようなウエットコーティングの塗布方法はその目的により種々選択することができる。例えば、ディップコーティング法、スピンコート法、スリットダイコート法、グラビアコート法、リーバースコーター法、スプレー法、ロールコーティング法等が上げられる。0.5mm以上の厚さを有する基板の場合、ディップコート法が好ましく用いられる。
【0038】
本発明に用いる光学フィルターが樹脂製である場合には傷つき防止のためのハードコートを施すことが好ましく用いられる。ハードコートとしては、熱硬化型のオルガノポリシロキサン系ハードコートまたは紫外線硬化型のアクリル系ハードコートなどが好ましい。さらに好ましくは、基材の屈折率と同等の屈折率を有するハードコートにすると、光の干渉縞が見えにくい光学フィルターとなる。また、表面の傷つきにくさを向上させるため、無機微粒子を含んだハードコート剤も好ましく用いられる。
【0039】
さらに、汚れを防止するために光学フィルターの最表層に撥水加工することが好ましく用いられる。撥水加工としては、ウエット法、真空蒸着法等が上げられ、反射防止加工を真空蒸着で行う場合は生産効率の点から真空蒸着法の加工を行うのが好ましい。
【0040】
本発明に用いる光学フィルターの厚みは耐衝撃性と薄肉化の両立の観点から、0.5〜5mmが好ましく、衝撃緩衝層の膜厚や貼り付け方法によって適時選択される。
【0041】
本発明において、光学フィルター部を衝撃緩衝層及び微粘着剤層とを介してディスプレイに貼り付ける方法に特に制限はない。先にディスプレイに微粘着剤層と透明基材(電磁波シールド)を貼り付けする方法、先に光学フィルターに衝撃緩衝層および透明基材(電磁波シールド)を貼り付ける方法、ディスプレイ、衝撃緩衝層、透明基材(電磁波シールド)、微粘着剤層、光学フィルターを同時に貼り付けする方法いずれも採用することができる。しかし先に電磁波シールド性を有する透明フィルムに衝撃緩衝層を設けた後に光学フィルターに貼り付け、その後ディスプレイに微粘着剤を介して貼り付ける方法が好ましい。これは、ディスプレイに貼り付ける場合に発生する不良は生産効率に及ぼす悪影響が大きいためであり。万一不良が発生した場合の悪影響を最小限に押さえることが好ましい。また、上記に示した機能層を2層以上積層する場合または他の機能層を積層する場合においては、各機能層を微粘着剤層と光学フィルターの間に積層する事によりリペア性を得ることが好ましい。さらに、他の機能層を積層するときには、機能層が他の層と接する界面に微粘着剤層をそれぞれ設けることが好ましい。これにより、他の機能層のリペア性も向上することができる。
【0042】
液晶ディスプレイやエレクトロルミネッセンスディスプレイのように、ディスプレイ基板と微粘着剤層の間に偏光板を必要とする構成においては、リペア時に偏光板が損傷するおそれがないように微粘着剤層の粘着力を調整し、偏光板と微粘着剤層を介して積層された層が剥離できることが好ましい。
【0043】
【実施例】
本発明について、実施例を用いて更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、反射防止性能、近赤外線遮蔽性能は自記分光光度計(株式会社日立製作所社製);U−3410形)にて測定した。電磁波シールド性は表面抵抗値で表した。
【0044】
実施例1
(1)厚さ3mmの透明ポリメチルメタアクリレート樹脂板の両面に、浸せき法を用い、メチルトリメトキシシラン部分加水分解物とビニルトリエトキシシラン部分加水分解物を主成分とし、主成分に対して紫外線吸収剤(チバガイギー(株)社製商品名“チヌビン”326)5重量%を含む、膜厚3μmのハードコート膜を形成した。ハードコート膜の片面に、真空蒸着法により膜厚95nmのSiO2膜、膜厚62nmのITO膜、膜厚95nmのSiO2膜からなる反射防止膜を形成し、反射防止付き光学フィルターを得た。反射防止性能は0.5%であった。
(2)次に、衝撃緩衝層として、透明熱硬化性シリコーン(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)社製商品名“SE1740A/B”)を用い、1.2mmの厚みになるようにポリエチレンテレフタレートフィルム上に、70℃で30分の熱処理後に1.2mmの厚みになるように成形した。さらに、衝撃緩衝層とは反対側の面にアクリル系粘着剤をコーティングした両面テープ(密着力16.5kgf/cm2)を貼り付けた。
(3)プラズマディスプレイパネルの前面に上記(1)および(2)で得た光学フィルターと衝撃緩衝層を貼り合わせた成形体をアクリル系粘着剤を透明アクリル樹脂フィルムの両面にコーティングした微粘着剤層(プラズマディスプレイ基板との間の密着力4.4kgf/cm2)を介して貼りあわせた。
【0045】
得られたPDPパネルは気泡の発生やフィルターの剥離はなかった。得られたPDPパネルをシリコーン系材料の厚さ1.8mmの伝熱シートを介して42インチの市販表示装置に用いられるアルミシャーシに組み合わせ、所定のSUS球を表面に落下させて、耐衝撃性をテストした。1.0ジュールの衝撃に対し、PDPパネルにヒビや割れはなかった。光学フィルターはプラズマディスプレイパネルに貼り付けているので、手で押しても、へこむことは無かった。また、光学フィルターを手で引っ張って剥がすと、徐々に剥離することができた。
【0046】
実施例2
実施例1のポリエチレンテレフタレートフィルムに代えて、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片側に、透明導電層(真空蒸着装置を用い、酸化チタン/銀/酸化チタン/銀/酸化チタンの薄膜を積層したもの(表面抵抗2.4Ω/□)を用いた以外は実施例1と同様に行い、PDPパネルを得た。
【0047】
得られたPDPパネルは気泡の発生やフィルターの剥離はなかった。得られたPDPパネルをシリコーン系の厚さ1.8mmの伝熱シートを介して42インチの市販表示装置に用いられるアルミシャーシに組み合わせ、所定のSUS球を表面に落下させて、耐衝撃性をテストした。1.0ジュールの衝撃に対し、PDPパネルにヒビや割れはなかった。また光学フィルターにPETフィルムを貼り付けた状態での近赤外線遮蔽性能は、800〜1200nmの波長において80%以上であった。光学フィルターはプラズマディスプレイパネルに貼り付けているので、手で押しても、へこむことは無かった。
【0048】
実施例3
(1)厚さ3mmの透明ポリメチルメタアクリレート樹脂板の両面に、メチルトリメトキシシラン部分加水分解物とビニルトリエトキシシラン部分加水分解物を主成分とし、主成分に対して紫外線吸収剤(チバガイギー(株)社製商品名“チヌビン”326)を含む溶液を浸漬法にて、膜厚3μmのハードコート膜を形成した。ハードコート膜の片面に、真空蒸着法により膜厚95nmのSiO2膜、膜厚62nmのITO膜、膜厚95nmのSiO2膜からなる反射防止膜を形成し、反射防止付き光学フィルターを得た。反射防止性能は0.5%であった。
【0049】
(2)次に、プラズマディスプレイパネルの前面に上記光学フィルターを貼り付けるため、衝撃緩衝層として、n−ブチルアクリレート:78.4重量%、2−エチルヘキシルアクリレート:19.6重量%及びアクリル酸:2.0重量%を共重合させたアクリル酸エステル共重合体100重量部に対し、金属化合物としてアセチルアセトン亜鉛塩:0.5重量部及びアセチルアセトンアルミ塩:0.7重量部を溶融撹拌した後、さらに近赤外線吸収剤0.03重量部〔(日本触媒(株)社製商品名“イーエクスカラー”TX=EX−805K)0.015重量部、及び(日本カーリット(株)社製商品名“CIR−1080”)0.015重量部〕、染料(三井化学(株)社製商品名“PSブルーBN”)0.0001重量部加え、所定の厚み(1.5mm)で透明導電層(真空蒸着装置を用い、酸化チタン/銀/酸化チタン/銀/酸化チタンの薄膜を積層したもの:表面抵抗2.4Ω/□)を有したPETフィルムの片面に塗布・乾燥して成形し、衝撃緩衝層と透明機能層とが積層された透明基材シートを得た。得られた衝撃緩衝層のガラスとの密着力は26kgf/cm2を有していた。
【0050】
(3)上記(2)で得た透明基材シートの透明機能層側の面を反射防止付き光学フィルターにアクリル系粘着剤を両面にコーティングした両面テープ(密着力16.5kgf/cm2)を介して貼り付け、次にプラズマディスプレイ基板にアクリル系粘着剤を透明アクリル樹脂フィルムの両面にコーティングした微粘着剤層(プラズマディスプレイ基板との間の密着力4.4kgf/cm2)を介して貼り付けた。得られたPDPパネルは気泡の発生やフィルターの剥離はなかった。得られたPDPパネルをシリコーン系の厚さ1.8mmの伝熱シートを介して42インチの市販表示装置に用いられるアルミシャーシに組み合わせ、所定のSUS球を表面に落下させて、耐衝撃性をテストした。1.0ジュールの衝撃に対し、PDPパネルにヒビや割れはなかった。また光学フィルターにPETフィルムを貼り付けた状態での近赤外線遮蔽性能は、800〜1200nmの波長において90%以上であった。光学フィルターはプラズマディスプレイパネルに貼り付けているので、手で押しても、へこむことは無かった。
【0051】
比較例1
実施例3で微粘着剤層を用いず、衝撃緩衝層の粘着性(プラズマディスプレイ基板との間の密着性26kgf/cm2)を利用して直接ディスプレイ基板に貼り合わせた。耐衝撃性、近赤外線遮蔽性能は実施例3と同等であった。しかしながら、光学フィルターを引っ張って剥がそうとしたが、まったく剥がすことができず、リペア性が無かった。
【0052】
比較例2
実施例1において、微粘着剤層に代えてプラズマディスプレイ基板との間の密着性18kgf/cm2の両面テープを用いて貼り合わせを行った。光学フィルターを引っ張って剥がそうとしたが、まったく剥がすことができず、リペア性が無かった。
【0053】
【発明の効果】
以上のように本発明の構成を採ることにより、微粘着剤層を介して貼付されることにより、反射防止機能などを有するシート状光学フィルターをディスプレイ基板に貼り合わせる場合においても、リペア性に優れたディスプレイパネルを提供することができる。
【0054】
また、特定の値以上の耐衝撃性、近赤外線のカット及び電磁波シールド性を更に具備せしめることが可能であり、高機能なディスプレーパネルを得ることが可能である。
【発明の属する技術分野】
本発明は光学フィルターをディスプレイの前面に貼り付けたディスプレイパネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、大型の薄型テレビ、薄型ディスプレイ用途等にプラズマディスプレイパネル(PDP)の開発が急速に進んでおり、すでに市場では量産計画も発表されている。また、液晶ディスプレイの大型化や有機ELパネルの量産化も発表されている。
【0003】
プラズマディスプレイパネルはその構造上近赤外線が放出されるため、これらを遮断する必要がある。また、ディスプレイには高電圧の回路や、複雑な回路が多く使用され電磁波が多く発生しているため、これらを遮断する必要がある。このため、各種フィルターが開発されており、基材中に800〜1200nmに極大吸収波長を有する近赤外線吸収化合物を少なくとも一種含有するプラズマディスプレイ用フィルターがある(例えば特許文献1参照。)。また、特定の波長の光を選択的にカットすることができるフィルターもある(例えば、特許文献2参照。)。さらに、プラズマディスプレイパネルの前面に貼り付けして用いるフィルターであって透明樹脂基材に近赤外線吸収剤層を設け、その表面に粘着剤層を設けたプラズマディスプレイ用フィルターや(例えば、特許文献3参照)、プラスチックフィルムの粘着剤層を有する電磁波シールド用フィルターもある(例えば、特許文献4参照。)。
【0004】
一方ディスプレイ装置は、大型化が進む中、軽量化・薄肉化が求められ、光学フィルターを設けた状態での耐衝撃性もますます必要となってくる。
【0005】
しかしながら、かかる従来技術では光学フィルターを組み合わせた状態で充分な耐衝撃性を得ることができず、いかにして光学フィルターを組み合わせたプラズマディスプレイパネルの耐衝撃性を十分なレベルに高めるか、さらには光学フィルターを手で押さえたときのたわみの発生が解決すべき課題となっていた。これらを解決すべく、本発明者らは粘着剤層を衝撃緩衝層とするプラズマディスプレイパネルを考案していた(特許文献5参照)。しかしながら、大面積のシート状物を貼り合わせる際には、その面積が大きいほど貼り合わせ界面部分へのゴミ、気泡などの混入が起こることがあるが、これを修正するために一旦剥がして再貼り付けを行うとしても、大面積化に伴いその困難性は増加してきており、、剥がす工程を容易に実施できるようすることが望まれていた。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−78509号公報
【0007】
【特許文献2】
特開2000−258624号公報
【0008】
【特許文献3】
特開2000−258626号公報
【0009】
【特許文献4】
特開2000−299593号公報
【0010】
【特許文献5】
特開2002−260539号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、シート状光学フィルターをディスプレイ基板に貼り合わせる場合においても、リペア性が可能となったディスプレイパネルを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
すなわち、上記課題を解決するために本発明は、以下の構成を有する。すなわち、「(1)ディスプレイ基板の前面に反射防止機能を有する光学フィルターが微粘着剤層を介して貼付されたディスプレイパネル、(2)光学フィルターの厚みが0.5mm以上で、微粘着剤層の密着力が10kgf/cm2以下である、上記(1)に記載のディスプレイパネル、(3)光学フィルターと微粘着剤層の間に衝撃緩衝層を有する、上記(1)または(2)に記載のディスプレイパネル、
(4)衝撃緩衝層と微粘着剤層との間に透明機能層を有する、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のディスプレイパネル、(5)衝撃緩衝層がアクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、オレフィン系樹脂の中から選ばれる1種類以上であり、かつ衝撃緩衝層の厚みが0.5〜3mmである、上記(1)〜(4)のいずれかに記載のディスプレイパネル、(6)光学フィルターの厚みは0.5〜5mmであり、かつ透明プラスチックを基材とする、上記(1)〜(5)のいずれかに記載のディスプレイパネル、(7)微粘着剤層、衝撃緩衝層、光学フィルター、透明機能層のいずれか少なくとも一つに紫外線吸収化合物、近赤外線吸収化合物または色素を含有する、上記(1)〜(6)のいずれかに記載のディスプレイパネル、(8)透明機能層は、電磁波シールド機能および/または近赤外線遮蔽機能を有する、上記(1)〜(7)のいずれかに記載のディスプレイパネル、(9)衝撃試験による破壊エネルギーが1.0ジュール以上である、上記(1)〜(8)のいずれかに記載のプラズマディスプレイパネルを有するプラズマディスプレイ表示装置、(10)ディスプレイが表面に偏光板を備えていることを特徴とする、上記(1)〜(8)のいずれかに記載のディスプレイパネル」である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明は、ディスプレイ基板の前面に反射防止機能を有する光学フィルターが微粘着剤層を介して貼付されたディスプレイパネルである。
【0014】
ディスプレイ基板は、直視型フラットパネルディスプレイにおける加工条件、透明性、耐久性などの点から通常ガラスが用いられている。これらの大型化、薄肉化が進むにつれてその耐久性もより高いものが望まれる。特に大型化が進んでいるプラズマディスプレイ(以下PDPということがある。)パネルでは耐衝撃性の点で優れたものが望まれている。
【0015】
本発明の光学フィルターが貼着されるディスプレイ基板の面は透明性を有しているものであればよいが、耐熱性、透明性、加工性などの点からガラスがよく用いられている。また、フラットディスプレイの種類によってディスプレイ基板の表示面に偏向板(液晶ディスプレイ)や円偏光板(エレクトロルミネッセンスディスプレイ)を貼り合わせたものにも、本発明を適用することができる。
【0016】
本発明のディスプレイパネルを、PDPパネルを例に挙げ説明する。PDPパネルとは、ディスプレイ(ガラス)基板、ガス、電極、電極リード材料、厚膜印刷材料、蛍光体等の一般的なプラズマディスプレイパネルの構成要素に衝撃緩衝層と微粘着剤層を有する光学フィルター部材を含んだものである。さらに筐体を組み合わせることで、プラズマディスプレイ表示装置となる。ディスプレイ(ガラス)基板は、前面ガラスと背面ガラス基板の二枚が用いられ、二枚のガラス基板には、電極と誘電体が形成され、さらに背面ガラス基板には蛍光体層が形成される。二枚のガラス基板の間にはヘリウム、ネオン、キセノン等からなるガスが封入されている。そして、前面ガラス基板に微粘着剤層を介し、また、好ましく衝撃緩衝層、粘着層を介して、光学フィルターが貼り付けされる。
【0017】
本発明のプラズマディスプレイパネルは衝撃試験による破壊エネルギーが1ジュール以上であることがこのましい。試験方法は次のとおりである。
【0018】
すなわち、シャーシ部に電熱シートを介してセットされたプラズマディスプレイパネルに、表示画面を水平に保ち、直径20mmの鋼球(SUS)を所定の高さから自然落下させた。徐々に高さを大きくし、ディスプレイ基板が割れたところの値を記録する。表示画面からの高さと鋼球の重さから計算した位置エネルギーを破壊エネルギーとした
本発明に用いる微粘着剤層に用いられる材料は生産工程におけるリペア性および製品のリサイクル使用時における分解が容易にできるという目的を達し、さらには画像の解像度を著しく低減させない透明度があれば特に限定されないが、貼り付けられた光学フィルターを剥離するときに、光学フィルターの形状が破壊されることなく実施できる粘着力を有していることが好ましい。すなわち、光学フィルターの弾性率よりも低い弾性率値を有していることが好ましい。更には衝撃緩衝作用を有していることが好ましい。
【0019】
微粘着剤層に、好適に用い得る材料としては、例えば、オレフィン樹脂、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ネオプレン、ブチルゴム等やポリアクリル酸アルキルエステルや常温硬化型や加熱硬化型、光硬化型の各種シリコーン樹脂などがあげられるが、耐光性および透明性の良いアクリル系ポリマーも好ましく用いられる。これらは2種類以上を組み合わせて用いても良く、共重合体としては、エチレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、高、中、低密度ポリエチレン、アイオノマー樹脂などを用いることもできる。中では、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、オレフィン系樹脂から選ばれる少なくとも一つが好ましい。また、微粘着剤層の屈折率を調整することにより、より画像視認性の高いプラズマディスプレイパネルの作製が可能である。
【0020】
中でもアクリル系粘着剤が好ましく用いられる。微粘着剤層の密着力は10kgf/cm2以下が好ましく、10kgf/cm2を超える場合は貼り合わせ時歩留まりが高くなる傾向にある。通常0.5〜10kgf/cm2で好ましく用いられる。ディスプレイのサイズが大きくなるにしたがって引き剥がしにくくなることから、ディスプレイサイズに応じた密着力を設定することが好ましい。密着力は、30×70mm並板ガラス(3mm厚み)2枚を中性洗剤で洗浄後乾燥して微粘着剤層1.0cm2で貼り合わせたものを用い、テンシロン装置で引っ張った時の剪断応力として求められる。
【0021】
なお、微粘着剤層を用いても貼着後は大気圧による保持が期待できるので、光学フィルターは脱落し難い。
【0022】
本発明に好適に用いる衝撃緩衝層は、耐衝撃性を改善し、さらには画像の解像度を著しく低下させない透明度があれば特に限定されるものではない。好適に用い得る材料としては、例えば、オレフィン樹脂、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ネオプレン、ブチルゴム等やポリアクリル酸アルキルエステルや常温硬化型や加熱硬化型、光硬化型の各種シリコーン樹脂などがあげられるが、耐光性および透明性の良いアクリル系ポリマーも好ましく用いられる。これらは2種類以上を組み合わせて用いても良く、共重合体としては、エチレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、高、中、低密度ポリエチレン、アイオノマー樹脂などを用いることもできる。中では、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、オレフィン系樹脂から選ばれる少なくとも一つが好ましい。
【0023】
また、衝撃緩衝層が微粘着性を有していることが好ましい。また、衝撃緩衝層を光学フィルターと微粘着剤層の間に設けることも好ましく実施され、衝撃緩衝層の形状が破壊されない方がリペア性が高いといえるため、この場合において、衝撃緩衝層の弾性率は微粘着剤の弾性率よりも大きいことが好ましい。前者の場合はディスプレイ基板と衝撃緩衝層(兼微粘着層)との界面で剥がれるので、より高いリペア性を達成できる。後者の場合で剥離作業を行うときは、衝撃緩衝層の屈折率を調整することにより、より画像視認性の高いプラズマディスプレイパネルの作製が可能であるし、衝撃緩衝層が近赤外線吸収化合物や色素を含有するのに好適な材料から構成されていれば、近赤外線吸収化合物や染料を含有することにより、特定の光線透過選択が可能となる。
【0024】
衝撃緩衝層の厚みは耐衝撃性の観点から、0.5mm以上が好ましく、より好ましくは1.0〜3.0mmである。0.5mm以上であると1ジュール以上の衝撃性に対し緩衝効果が生じる。3.0mm以上であると、貼り付けることによる装置の薄肉化の効果が得られない。
【0025】
本発明に好適に用いる、透明機能層は微粘着剤層と光学フィルターの間に設けられることが好ましい。係る構成とすることで、透明機能層のリペア性が向上する。また、透明機能層の機能としては紫外線吸収機能、近赤外線吸収機能、可視光透過率調整機能、電磁波シールド機能などを挙げることができる。これらは衝撃緩衝層に含まれていてもよく、衝撃緩衝層と微粘着剤層および/または光学フィルターと積層された界面に設けても良い。
【0026】
電磁波シールド機能を発現させるためには、光学フィルターとして用いる際に表示面の明るさを損なわないという点から、透明機能層として、導電性を有する電磁波シールド層を設けることが望ましい。電磁波シールド層の導電性は、表示装置から放射される電磁波量と目的とするカット率に応じて設定すればよいが、十分な電磁波シールド性を得るためには表面抵抗値が50Ω/□以下であることが好ましく、さらに好ましくは3Ω/□以下である。表面抵抗値が50Ω/□より高いと十分な電磁波シールド性が得られない場合がある。
【0027】
電磁波シールド層は光学フィルターに直接、導電性金属をメッキ、蒸着、スパッタ等の方法で積層する方法、導電塗料や導電性高分子層をコーティングする方法等で得ることができるが、30型を越える大きな画面に対しては生産性が低下し、また困難性も上がる傾向があるので、一般には、透明基材(フィルム)に白金、金、銀、銅、パラジウム等の金属、酸化スズ、酸化インジウム、ITO等の導電性酸化物をコーティングし、それを貼着する方法が透明性、生産性等から好ましく用いられている。また、導電性繊維や金属をパターニングする(メッシュタイプ)方法もより低抵抗である電磁波シールド層の場合に好ましく用いられる。
【0028】
本発明において好ましく用いられる電磁波シールド層は光学フィルターとプラズマディスプレイパネルとの間に設けることが好ましく、光学フィルターと衝撃緩衝層、電磁波シールド層、微粘着剤層とを貼り合わせるだけで所望の電磁波シールド機能を有するプラズマディスプレイパネルを作製することが可能となる。
【0029】
本発明においては、微粘着剤層、衝撃緩衝層および光学フィルター、透明機能層の中から選ばれる少なくとも1種に近赤外線吸収化合物を含有させることが好ましい。一般に近赤外線吸収化合物は熱に対して不安定なので、例えば透明プラスチックを基材とする光学フィルターに配合する場合は成形温度を200℃以下とすることが好ましい。光学フィルターの成形温度が200℃以上である場合は微粘着剤層や衝撃緩衝層に含有することが好ましく行われる。近赤外線吸収化合物としては、アントラキノン化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、金属酸化物系微粉末、イモニウム系化合物、ジイモニウム系化合物、アミニウム塩系化合物、チオウレア化合物、ビスチオウレア化合物、四角酸系化合物、金属錯体化合物等が挙げられる。
【0030】
さらに、微粘着剤層、衝撃緩衝層および光学フィルターの中から選ばれる少なくとも1種に色素を添加することも好ましい。特にネオン光といわれている595nm付近の波長をカットする色素により、赤の色純度向上と色再現性を向上できる。例えば、シアニン系化合物、オキソノール系化合物、トリフェニルメタン系化合物、ジフェニルメタン系化合物、キサンテン系化合物、オキサジン系化合物、チアジン系化合物などが用いられる。また、各種の色素を用いることでニュートラルグレー化することによりコントラストの向上ができる。微粘着剤層にガラス転移温度が低い樹脂が用いられている場合は、色素の混合が低温でできることから、好ましい。
【0031】
また、微粘着剤層、衝撃緩衝層、および光学フィルターの中から選ばれる少なくとも1種に紫外線吸収剤を含有することも好ましい。光学フィルターに添加することにより、光学フィルターの耐候(光)性向上のみならず、微粘着剤層、衝撃緩衝層、透明機能層の耐候(光)性向上に効果がある。紫外線吸収化合物としては、ヒンダードフェノール系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系およびシアノアクリレート系などを用いることができる。
【0032】
また、光学フィルター、微粘着剤層、衝撃緩衝層とは別に紫外線吸収化合物、近赤外線吸収化合物または色素を含有する層を設けることも可能である。紫外線吸収化合物層、近赤外線吸収化合物または色素を含む層の基材としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂のような熱硬化性樹脂、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレートなどの多官能性架橋モノマー、オリゴマー、テトラアルキルシランなどのシラン系化合物またはその加水分解物などの硬化性化合物の硬化体などをマトリックス成分とする薄膜を用いることができる。これらは上記マトリックス成分を含む塗料を透明基材上にスピンコート法、ダイコート法、浸せき法などのウエットコーティング法によって形成する方法を採ることができる。
【0033】
本発明を構成する光学フィルターはその基材としてガラスや透明プラスチックなど実質的に透明であって光の吸収や散乱が大きくないもので有れば良いが、透明プラスチックを基材とすることが好ましい。ガラスであればソーダガラス、強化ガラス等一般に入手できるものを用いることができる。割れにくい、軽い、加工しやすい、扱いやすい等の面で透明プラスチック製が好ましく用いられる。ここでいうプラスチックとは画像の視認性を著しく低下させない表面平滑性を有していればよく特に限定されないが、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などを使用することができるが、プラズマディスプレイパネルの部材としては、難燃性はUL94に定められている評価基準・V−2以上の規格を有することが好ましい。そのためには基材中に添加剤を入れたり、表面処理することも好ましく行われる。さらに、光学フィルターの成型は大量生産が可能でコストメリットが望める連続押し出し成型法を用いることが好ましい。
【0034】
光学フィルターは通常基材の中に機能性材料を含んだり、上記の基材に更に光学的な機能層が設けられている。
【0035】
そのような機能層としては、例えば、反射防止膜が挙げられる。基材の片面に可視光反射防止を施すことによって可視光における反射率を押さえることができ、画像の視認性を向上できる。反射防止は通常低屈折率層と高屈折率層からなる2層以上の積層膜を用いるのが好ましいが、表面を乱反射することによってまぶしさを押さえるグレア処理であってもよい。これらはディスプレイパネルの使用環境、ディスプレイパネルの性能により選択することが好ましい。反射防止膜の形成には、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの通常の方法を用いることができる。
【0036】
反射防止膜を構成する物質としては、例えば、SiO2、MgF2、AlF3、BaF2、LiF、Na3AlF6、Na5Al3F14、NaF、SrF2、ZrO2、TiO2、SiO、TiN、Y2O3、Yb2O3、Sb2O3、Sb2O5、SnO2、In2O3、ITO、Ta2O5、CeO2、MgO、HfO2、Pr2O3、Pr6O11、Bi2O3、Cr2O3、Eu2O3、Fe2O3、La2O3、MoO3、Nd2O3、PbO、Sm2O3、Sc2O3、ZnO、CaF2、SmF3、ZnS、Ge、Si等が上げられる。なかでも低屈折率層としてはSiO2、MgF2が好ましく用いられ、高屈折率層としてはZrO2、TiO2、Ta2O5、ZnO、ITO、SnO2、Y2O3、MgO、CeO2が好ましく用いられる。反射防止処理は光学フィルターに直接実施することも可能であるが反射防止加工を施したフィルムを貼り合わせることも可能である。
【0037】
さらに、反射防止膜の形成は塗料をコーティングすることによっても実施が可能である。例えば、有機珪素化合物とシリカ微粒子を主成分とする低屈折率層と、低屈折率層よりも屈折率が0.03以上高い屈折率を持つ下層の基材を有していれば、本発明でいうところの反射防止機能が達成できる。上記のようなウエットコーティングの塗布方法はその目的により種々選択することができる。例えば、ディップコーティング法、スピンコート法、スリットダイコート法、グラビアコート法、リーバースコーター法、スプレー法、ロールコーティング法等が上げられる。0.5mm以上の厚さを有する基板の場合、ディップコート法が好ましく用いられる。
【0038】
本発明に用いる光学フィルターが樹脂製である場合には傷つき防止のためのハードコートを施すことが好ましく用いられる。ハードコートとしては、熱硬化型のオルガノポリシロキサン系ハードコートまたは紫外線硬化型のアクリル系ハードコートなどが好ましい。さらに好ましくは、基材の屈折率と同等の屈折率を有するハードコートにすると、光の干渉縞が見えにくい光学フィルターとなる。また、表面の傷つきにくさを向上させるため、無機微粒子を含んだハードコート剤も好ましく用いられる。
【0039】
さらに、汚れを防止するために光学フィルターの最表層に撥水加工することが好ましく用いられる。撥水加工としては、ウエット法、真空蒸着法等が上げられ、反射防止加工を真空蒸着で行う場合は生産効率の点から真空蒸着法の加工を行うのが好ましい。
【0040】
本発明に用いる光学フィルターの厚みは耐衝撃性と薄肉化の両立の観点から、0.5〜5mmが好ましく、衝撃緩衝層の膜厚や貼り付け方法によって適時選択される。
【0041】
本発明において、光学フィルター部を衝撃緩衝層及び微粘着剤層とを介してディスプレイに貼り付ける方法に特に制限はない。先にディスプレイに微粘着剤層と透明基材(電磁波シールド)を貼り付けする方法、先に光学フィルターに衝撃緩衝層および透明基材(電磁波シールド)を貼り付ける方法、ディスプレイ、衝撃緩衝層、透明基材(電磁波シールド)、微粘着剤層、光学フィルターを同時に貼り付けする方法いずれも採用することができる。しかし先に電磁波シールド性を有する透明フィルムに衝撃緩衝層を設けた後に光学フィルターに貼り付け、その後ディスプレイに微粘着剤を介して貼り付ける方法が好ましい。これは、ディスプレイに貼り付ける場合に発生する不良は生産効率に及ぼす悪影響が大きいためであり。万一不良が発生した場合の悪影響を最小限に押さえることが好ましい。また、上記に示した機能層を2層以上積層する場合または他の機能層を積層する場合においては、各機能層を微粘着剤層と光学フィルターの間に積層する事によりリペア性を得ることが好ましい。さらに、他の機能層を積層するときには、機能層が他の層と接する界面に微粘着剤層をそれぞれ設けることが好ましい。これにより、他の機能層のリペア性も向上することができる。
【0042】
液晶ディスプレイやエレクトロルミネッセンスディスプレイのように、ディスプレイ基板と微粘着剤層の間に偏光板を必要とする構成においては、リペア時に偏光板が損傷するおそれがないように微粘着剤層の粘着力を調整し、偏光板と微粘着剤層を介して積層された層が剥離できることが好ましい。
【0043】
【実施例】
本発明について、実施例を用いて更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、反射防止性能、近赤外線遮蔽性能は自記分光光度計(株式会社日立製作所社製);U−3410形)にて測定した。電磁波シールド性は表面抵抗値で表した。
【0044】
実施例1
(1)厚さ3mmの透明ポリメチルメタアクリレート樹脂板の両面に、浸せき法を用い、メチルトリメトキシシラン部分加水分解物とビニルトリエトキシシラン部分加水分解物を主成分とし、主成分に対して紫外線吸収剤(チバガイギー(株)社製商品名“チヌビン”326)5重量%を含む、膜厚3μmのハードコート膜を形成した。ハードコート膜の片面に、真空蒸着法により膜厚95nmのSiO2膜、膜厚62nmのITO膜、膜厚95nmのSiO2膜からなる反射防止膜を形成し、反射防止付き光学フィルターを得た。反射防止性能は0.5%であった。
(2)次に、衝撃緩衝層として、透明熱硬化性シリコーン(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)社製商品名“SE1740A/B”)を用い、1.2mmの厚みになるようにポリエチレンテレフタレートフィルム上に、70℃で30分の熱処理後に1.2mmの厚みになるように成形した。さらに、衝撃緩衝層とは反対側の面にアクリル系粘着剤をコーティングした両面テープ(密着力16.5kgf/cm2)を貼り付けた。
(3)プラズマディスプレイパネルの前面に上記(1)および(2)で得た光学フィルターと衝撃緩衝層を貼り合わせた成形体をアクリル系粘着剤を透明アクリル樹脂フィルムの両面にコーティングした微粘着剤層(プラズマディスプレイ基板との間の密着力4.4kgf/cm2)を介して貼りあわせた。
【0045】
得られたPDPパネルは気泡の発生やフィルターの剥離はなかった。得られたPDPパネルをシリコーン系材料の厚さ1.8mmの伝熱シートを介して42インチの市販表示装置に用いられるアルミシャーシに組み合わせ、所定のSUS球を表面に落下させて、耐衝撃性をテストした。1.0ジュールの衝撃に対し、PDPパネルにヒビや割れはなかった。光学フィルターはプラズマディスプレイパネルに貼り付けているので、手で押しても、へこむことは無かった。また、光学フィルターを手で引っ張って剥がすと、徐々に剥離することができた。
【0046】
実施例2
実施例1のポリエチレンテレフタレートフィルムに代えて、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片側に、透明導電層(真空蒸着装置を用い、酸化チタン/銀/酸化チタン/銀/酸化チタンの薄膜を積層したもの(表面抵抗2.4Ω/□)を用いた以外は実施例1と同様に行い、PDPパネルを得た。
【0047】
得られたPDPパネルは気泡の発生やフィルターの剥離はなかった。得られたPDPパネルをシリコーン系の厚さ1.8mmの伝熱シートを介して42インチの市販表示装置に用いられるアルミシャーシに組み合わせ、所定のSUS球を表面に落下させて、耐衝撃性をテストした。1.0ジュールの衝撃に対し、PDPパネルにヒビや割れはなかった。また光学フィルターにPETフィルムを貼り付けた状態での近赤外線遮蔽性能は、800〜1200nmの波長において80%以上であった。光学フィルターはプラズマディスプレイパネルに貼り付けているので、手で押しても、へこむことは無かった。
【0048】
実施例3
(1)厚さ3mmの透明ポリメチルメタアクリレート樹脂板の両面に、メチルトリメトキシシラン部分加水分解物とビニルトリエトキシシラン部分加水分解物を主成分とし、主成分に対して紫外線吸収剤(チバガイギー(株)社製商品名“チヌビン”326)を含む溶液を浸漬法にて、膜厚3μmのハードコート膜を形成した。ハードコート膜の片面に、真空蒸着法により膜厚95nmのSiO2膜、膜厚62nmのITO膜、膜厚95nmのSiO2膜からなる反射防止膜を形成し、反射防止付き光学フィルターを得た。反射防止性能は0.5%であった。
【0049】
(2)次に、プラズマディスプレイパネルの前面に上記光学フィルターを貼り付けるため、衝撃緩衝層として、n−ブチルアクリレート:78.4重量%、2−エチルヘキシルアクリレート:19.6重量%及びアクリル酸:2.0重量%を共重合させたアクリル酸エステル共重合体100重量部に対し、金属化合物としてアセチルアセトン亜鉛塩:0.5重量部及びアセチルアセトンアルミ塩:0.7重量部を溶融撹拌した後、さらに近赤外線吸収剤0.03重量部〔(日本触媒(株)社製商品名“イーエクスカラー”TX=EX−805K)0.015重量部、及び(日本カーリット(株)社製商品名“CIR−1080”)0.015重量部〕、染料(三井化学(株)社製商品名“PSブルーBN”)0.0001重量部加え、所定の厚み(1.5mm)で透明導電層(真空蒸着装置を用い、酸化チタン/銀/酸化チタン/銀/酸化チタンの薄膜を積層したもの:表面抵抗2.4Ω/□)を有したPETフィルムの片面に塗布・乾燥して成形し、衝撃緩衝層と透明機能層とが積層された透明基材シートを得た。得られた衝撃緩衝層のガラスとの密着力は26kgf/cm2を有していた。
【0050】
(3)上記(2)で得た透明基材シートの透明機能層側の面を反射防止付き光学フィルターにアクリル系粘着剤を両面にコーティングした両面テープ(密着力16.5kgf/cm2)を介して貼り付け、次にプラズマディスプレイ基板にアクリル系粘着剤を透明アクリル樹脂フィルムの両面にコーティングした微粘着剤層(プラズマディスプレイ基板との間の密着力4.4kgf/cm2)を介して貼り付けた。得られたPDPパネルは気泡の発生やフィルターの剥離はなかった。得られたPDPパネルをシリコーン系の厚さ1.8mmの伝熱シートを介して42インチの市販表示装置に用いられるアルミシャーシに組み合わせ、所定のSUS球を表面に落下させて、耐衝撃性をテストした。1.0ジュールの衝撃に対し、PDPパネルにヒビや割れはなかった。また光学フィルターにPETフィルムを貼り付けた状態での近赤外線遮蔽性能は、800〜1200nmの波長において90%以上であった。光学フィルターはプラズマディスプレイパネルに貼り付けているので、手で押しても、へこむことは無かった。
【0051】
比較例1
実施例3で微粘着剤層を用いず、衝撃緩衝層の粘着性(プラズマディスプレイ基板との間の密着性26kgf/cm2)を利用して直接ディスプレイ基板に貼り合わせた。耐衝撃性、近赤外線遮蔽性能は実施例3と同等であった。しかしながら、光学フィルターを引っ張って剥がそうとしたが、まったく剥がすことができず、リペア性が無かった。
【0052】
比較例2
実施例1において、微粘着剤層に代えてプラズマディスプレイ基板との間の密着性18kgf/cm2の両面テープを用いて貼り合わせを行った。光学フィルターを引っ張って剥がそうとしたが、まったく剥がすことができず、リペア性が無かった。
【0053】
【発明の効果】
以上のように本発明の構成を採ることにより、微粘着剤層を介して貼付されることにより、反射防止機能などを有するシート状光学フィルターをディスプレイ基板に貼り合わせる場合においても、リペア性に優れたディスプレイパネルを提供することができる。
【0054】
また、特定の値以上の耐衝撃性、近赤外線のカット及び電磁波シールド性を更に具備せしめることが可能であり、高機能なディスプレーパネルを得ることが可能である。
Claims (10)
- ディスプレイ基板の前面に反射防止機能を有する光学フィルターが微粘着剤層を介して貼付されたディスプレイパネル。
- 光学フィルターの厚みが0.5mm以上で、微粘着剤層の密着力が10kgf/cm2以下である、請求項1に記載のディスプレイパネル。
- 光学フィルターと微粘着剤層の間に衝撃緩衝層を有する、請求項1または2に記載のディスプレイパネル。
- 衝撃緩衝層と微粘着剤層との間に透明機能層を有する、請求項1〜3のいずれかに記載のディスプレイパネル。
- 衝撃緩衝層がアクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、オレフィン系樹脂の中から選ばれる1種類以上であり、かつ衝撃緩衝層の厚みが0.5〜3mmである、請求項1〜4のいずれかに記載のディスプレイパネル
- 光学フィルターの厚みは0.5〜5mmであり、かつ透明プラスチックを基材とする、請求項1〜5のいずれかに記載のディスプレイパネル。
- 微粘着剤層、衝撃緩衝層、光学フィルター、透明機能層のいずれか少なくとも一つに紫外線吸収化合物、近赤外線吸収化合物または色素を含有する、請求項1〜6のいずれかに記載のディスプレイパネル。
- 透明機能層は、電磁波シールド機能および/または近赤外線遮蔽機能を有する、請求項1〜7のいずれかに記載のディスプレイパネル。
- ディスプレイパネルはプラズマディスプレイパネルであり、その衝撃試験による破壊エネルギーが1.0ジュール以上である、請求項1〜8のいずれかに記載のディスプレイパネルを有するプラズマディスプレイ表示装置。
- ディスプレイが表面に偏光板を備えていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載のディスプレイパネル。
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