JP2004172471A - 露光方法及び露光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】走査露光する際、投影光学系の結像特性を効率良く精度保証範囲内にに納めて露光処理できる露光方法を提供する。
【解決手段】移動するマスクの位置に応じた投影光学系の基板上での結像特性を計測する第1計測ステップと、第1計測ステップの計測結果に基づいて投影光学系の結像特性を補正するための第1補正量を設定する第1設定ステップと、経時的に生じるマスクのパターンの位置誤差を投影光学系を介して計測する第2計測ステップと、第2計測ステップの計測結果に基づいてパターンの位置誤差を補正するための第2補正量を設定する第2設定ステップと、設定した第1及び第2補正量に基づいて、投影光学系の結像特性とパターンの位置誤差とを合わせて補正する補正ステップとを有する処理手順で露光処理が実行される。
【選択図】 図6
【解決手段】移動するマスクの位置に応じた投影光学系の基板上での結像特性を計測する第1計測ステップと、第1計測ステップの計測結果に基づいて投影光学系の結像特性を補正するための第1補正量を設定する第1設定ステップと、経時的に生じるマスクのパターンの位置誤差を投影光学系を介して計測する第2計測ステップと、第2計測ステップの計測結果に基づいてパターンの位置誤差を補正するための第2補正量を設定する第2設定ステップと、設定した第1及び第2補正量に基づいて、投影光学系の結像特性とパターンの位置誤差とを合わせて補正する補正ステップとを有する処理手順で露光処理が実行される。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はマスクと基板とを同期移動しつつマスクのパターンを基板に転写する露光方法及び露光装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示デバイスや半導体デバイスはマスク上に形成されたパターンを感光性の基板上に転写するいわゆるフォトリソグラフィの手法により製造される。このフォトリソグラフィ工程で使用される露光装置はマスクを支持するマスクステージと基板を支持する基板ステージとを有し、マスクステージ及び基板ステージを逐次移動しながらマスクのパターンを投影光学系を介して基板に転写するものである。このうち、液晶表示デバイスを製造する際には基板として大型のガラス基板が用いられ、表示領域の大型化の要求からマスクステージと基板ステージとを同期走査しつつマスクのパターンを連続的に基板上に転写する走査型露光装置が主に用いられる(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−296667号公報
【0004】
露光処理を継続して行うと、投影光学系は露光光の照射熱や設置空間の圧力変化等により基板上に転写する結像特性(スケーリング、シフト、ローテーション等)を経時的に変動させる。したがって、投影光学系に含まれる一部の光学素子(レンズ)を駆動する機構や一部の光学素子間を密封して内部圧力を変更する機構等の補正機構を用いて結像特性を調整する、いわゆるレンズキャリブレーションを実行することで結像特性を一定の精度保証範囲内に納めることが行われている。特に、複数並んだ投影光学系を有するいわゆるマルチレンズスキャン型露光装置では、結像特性を補正することにより、各投影光学系の投影像の像配列(基板上における投影像の相対位置)、すなわち各投影光学系に関する基板上での目標位置に対するパターンの位置誤差を補正するキャリブレーション処理が行われる。また、マスクに設けられた複数のマークを検出し、この検出結果に基づいてマスクの膨張等に起因する基板上でのパターンの位置誤差を求め、この求めた結果に基づいてパターンの位置誤差を補正する処理が行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年におけるマスク及び基板の大型化に伴ってこれを支持するステージも大型化し撓み等の変形が生じやすくなっている。そのため、走査型露光装置における基板上での結像特性を例えば基板の走査方向端部で最適化したものが基板の走査方向中央部では前記精度保証範囲外になる場合がある。大型の基板を露光処理する際、基板に対してパターンを予め試験的に露光処理(テスト露光)し、形成されたパターン形状を計測することで走査方向における基板上での結像特性の変動を把握する方法も考えられるが、キャリブレーション処理する度にテスト露光を行うとスループットの低下を招く。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、大型のマスク及び基板を用いて走査露光する際、投影光学系の結像特性をスループットを低下させることなく精度保証範囲内に良好に納めて精度良く露光処理できる露光方法及び露光装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため本発明は、実施の形態に示す図1〜図10に対応付けした以下の構成を採用している。
本発明の露光方法は、マスク(M)と感光性の基板(P)とを第1の方向(X)に同期移動しつつ露光光(EL)によりマスク(M)のパターンを投影光学系(PLa〜PLe)を介して基板(P)に転写する露光方法において、移動するマスク(M)の位置に応じた投影光学系(PLa〜PLe)の基板(P)上での結像特性を計測する第1計測ステップ(SA7)と、第1計測ステップ(SA7)の計測結果に基づいて投影光学系(PLa〜PLe)の結像特性を補正するための第1補正量を設定する第1設定ステップ(SA8)と、経時的に生じるマスク(M)のパターンの位置誤差を投影光学系(PLa〜PLe)を介して計測する第2計測ステップ(SC3)と、第2計測ステップ(SC3)の計測結果に基づいて前記位置誤差を補正するための第2補正量を設定する第2設定ステップ(SC4)と、設定した第1及び第2補正量に基づいて、投影光学系(PLa〜PLe)の結像特性と前記位置誤差とを合わせて補正する補正ステップ(SC5)とを有することを特徴とする。
本発明の露光装置(EX)は、マスク(M)と感光性の基板(P)とを第1の方向(X)に同期移動しつつ露光光(EL)によりマスク(M)のパターンを投影光学系(PLa〜PLe)を介して基板(P)に転写する露光装置において、マスク(M)を支持して移動するマスクステージ(MST)と、移動するマスクステージ(MST)の位置に応じた投影光学系(PLa〜PLe)の基板(P)上での結像特性を計測する計測装置(60、102、CONT)と、計測装置(60、102、CONT)の計測結果に基づいて投影光学系(PLa〜PLe)の結像特性を補正するための第1補正量を設定する設定装置(100)と、設定した第1補正量に基づいて、投影光学系(PLa〜PLe)の結像特性を補正する制御装置(CONT)とを備え、計測装置(60、CONT)は、経時的に生じるマスク(M)のパターンの位置誤差を投影光学系(PLa〜PLe)を介して計測し、設定装置(100)は、経時的に生じたマスク(M)のパターンの位置誤差を計測装置(60、CONT)で計測した計測結果に基づいて前記位置誤差を補正するための第2補正量を設定し、制御装置(CONT)は、設定した第1及び第2補正量に基づいて、投影光学系(PLa〜PLe)の結像特性と前記位置誤差とを合わせて補正することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、例えば露光光の照射熱等に起因して経時的に生じるパターンの位置誤差と、ステージの撓み等に依存するマスクの位置に応じた投影光学系の基板上での結像特性とを合わせて補正するようにしたので、撓み等の非線形な変形が生じても、走査方向(同期移動方向)の各位置において結像特性をスループットを低下させることなく精度保証範囲内に納めることができる。例えば、同期移動方向における基板上の各位置での結像特性の変動は主にマスクやステージの撓み、あるいはステージの移動軌跡等に起因するもの、換言すればマスクの位置に依存するものである。つまり、同期移動方向におけるマスクの位置に応じた基板上での結像特性の変動傾向は経時的には大きく変化しない。一方、パターンの位置誤差(像配列)は主に露光光の照射熱による投影光学系の結像特性の変化に起因するものであって経時的に変化するものである。そこで、同期移動方向における各位置での結像特性の変動傾向を例えばロット先頭などにおいてテスト露光等により計測しこの計測結果に基づいて第1補正量を設定しておけば、定期的に行うキャリブレーション処理時には、投影光学系の結像特性の経時的な変化分、すなわちパターンの位置誤差を補正するための第2補正量を設定するための計測動作のみを行い、第2補正量を前記第1補正量に基づいて再設定し、この再設定した補正量に基づいて投影光学系のキャリブレーションを行えばよい。したがって、キャリブレーション処理の度にテスト露光を行わなくても、投影光学系の結像特性をスループットを低下させることなく精度保証範囲内に納めて露光処理できる。
【0009】
本発明の露光方法は、マスク(M)と感光性の基板(P)とを所定の方向(X)に同期移動しつつ露光光(EL)によりマスク(M)のパターンを投影光学系(PLa〜PLe)を介して基板(P)に転写する露光方法において、所定の方向(X)に同期移動する際、マスク(M)のパターンを基板(P)上に投影光学系(PLa〜PLe)を介して投影される像の所定の方向(X)での複数の各位置での位置ずれを計測する計測ステップ(SA7)と、計測ステップ(SA7)で求められた位置ずれの補正量を同期移動の移動時に補正する補正ステップ(SC5)と、定期的に投影光学系(PLa〜PLe)で投影される像の光学的な位置ずれを計測する像位置計測ステップ(SC3)と、像位置計測ステップ(SC3)で計測された結果を用いて、投影光学系(PLa〜PLe)の光学特性を補正するとともに、補正ステップ(SC5)で用いる前記位置ずれの補正量を補正演算する補正演算ステップ(SC5)とを有することを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、計測ステップにおいて、ステージ移動に起因する(マスクの位置に依存する)同期移動方向における基板上の複数の各位置での目標位置に対するパターンの位置ずれが計測される。また、定期的に実行される像位置計測ステップにおいて、投影光学系で投影される投影像の光学的な位置ずれ、すなわち経時的要因で生じる位置ずれが計測される。そして、補正演算ステップでは、像位置計測ステップの計測結果に基づいて光学的な位置ずれに対する補正量(第2補正量)が設定されるとともに、マスクの位置に依存する位置ずれに対する補正量(第1補正量)が第2補正量に基づいて補正演算され、デバイス製造のための走査露光時には、第1補正量が第2補正量に基づいて補正されつつ走査露光される。したがって、キャリブレーション処理の度にテスト露光を行わなくても、計測ステップで第1補正量を設定しておくことにより、光学的な位置ずれ計測及びこれに対する第2補正量の設定動作を定期的に実行し、同期移動の移動時には第1補正量を第2補正量で補正しつつ露光処理することで、投影光学系の結像特性をスループットを低下させることなく精度保証範囲内に納めて露光処理できる。
【0011】
更に、本発明によれば、計測ステップにおいて、マスクの位置に依存した同期移動方向における基板上の複数の各位置での投影像の位置ずれの変動傾向、換言すればステージの移動軌跡に依存した投影像の位置ずれの変動傾向が計測される。また、像位置計測ステップにおいて、投影光学系の光学的な位置ずれ、具体的には露光光の照射熱などにより経時的に生じる投影光学系の光学特性の変動が定期的に計測される。そして、補正演算ステップでは、像位置計測ステップの計測結果に基づいて投影光学系の光学特性を補正する補正量(第2補正量)が設定されるとともに、マスクステージの移動軌跡に依存する位置ずれに対する補正量(第1補正量)が第2補正量に基づいて補正演算され、デバイス製造のための走査露光時には第1補正量が第2補正量に基づいて補正されつつ走査露光される。これにより、ステージの移動軌跡に依存する位置ずれと投影光学系の光学特性に依存する位置ずれとを合わせて補正しつつ露光処理が行われ、精度良い露光処理が実現される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の露光装置について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の露光装置の一実施形態を示す概略斜視図、図2は概略構成図である。
図1及び図2において、露光装置EXは、パターンが形成されたマスクMを支持するマスクステージMSTと、感光基板(感光性の基板)Pを支持する基板ステージPSTと、マスクステージMSTに支持されたマスクMを露光光ELで照明する照明光学系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターンの像を基板ステージPSTに支持されている感光基板Pに投影する投影光学系PLと、露光処理に関する動作制御を行う制御装置CONTと、制御装置CONTに接続された設定装置100及び報知装置101と、感光基板Pに形成されたパターン形状を計測可能なパターン形状計測装置(計測装置)102と、露光処理に関する情報を記憶する記憶装置103とを備えている。報知装置101は例えば液晶ディスプレイ装置等の表示装置、あるいは音声を出力可能な音声出力装置により構成されている。パターン形状計測装置102は例えばSEMにより構成されている。本実施形態において、投影光学系PLは複数(5つ)の投影光学系PLa〜PLeを有しており、照明光学系ILも投影光学系の数及び配置に対応して複数(5つ)の照明系モジュールを有している。感光基板Pはガラス基板に感光剤(フォトレジスト)を塗布したものである。
【0013】
ここで、本実施形態に係る露光装置EXは、露光光ELに対してマスクMと感光基板Pとを同期移動して走査露光する走査型露光装置であって、所謂マルチレンズスキャン型露光装置を構成している。以下の説明において、投影光学系PLの光軸方向をZ軸方向、Z軸方向に垂直な方向でマスクM及び感光基板Pの同期移動方向をX軸方向(第1の方向、走査方向、所定の方向)、Z軸方向及びX軸方向と直交する方向をY軸方向(第2の方向、非走査方向)とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりのそれぞれの方向をθX、θY、及びθZ方向とする。
【0014】
照明光学系ILは、不図示ではあるが、複数の光源と、複数の光源から射出された光束を一旦集合した後に均等分配して射出するライトガイドと、ライトガイドからの光束を均一な照度分布を有する光束(露光光)に変換するオプティカルインテグレータと、オプティカルインテグレータからの露光光をスリット状に整形するための開口を有するブラインドと、ブラインドを通過した露光光をマスクM上に結像するコンデンサレンズとを備えている。コンデンサレンズからの露光光は、マスクMを複数のスリット状の照明領域で照明する。本実施形態における光源には水銀ランプが用いられ、露光光としては、不図示の波長選択フィルタにより、露光に必要な波長であるg線(436nm)、h線(405nm)、i線(365nm)などが用いられる。
【0015】
マスクMを支持するマスクステージMSTは移動可能に設けられており、一次元の走査露光を行うべくX軸方向への長いストロークと、走査方向と直交するY軸方向への所定距離のストロークとを有している。図2に示すように、マスクステージMSTにはマスクステージ駆動部MSTDが接続されており、マスクステージMSTは、マスクステージ駆動部MSTDの駆動により、X軸方向及びY軸方向に移動可能である。マスクステージ駆動部MSTDは制御装置CONTにより制御される。
【0016】
図1に示すように、露光装置EXは、マスクMを支持するマスクステージMSTのX軸方向(第1の方向)における位置を検出するXレーザ干渉計1xと、マスクステージMSTのY軸方向(第2の方向)における位置を検出するYレーザ干渉計(位置検出装置)1yとを備えている。マスクステージMSTの−X側の端縁にはY軸方向に延在するX移動鏡2xが設けられ、−Y側の端縁にはX移動鏡2xに直交するようにX軸方向に延在するY移動鏡2yが設けられている。X移動鏡2xにはXレーザ干渉計1xが対向して配置されており、Y移動鏡2yにはYレーザ干渉計1yが対向して配置されている。Xレーザ干渉計1xはX移動鏡2xにレーザ光を照射しX移動鏡2xとの距離を検出する。Yレーザ干渉計1yはY移動鏡2yにレーザ光を照射しY移動鏡2yとの距離を検出する。レーザ干渉計1x、1yの検出結果は制御装置CONTに出力され、制御装置CONTはレーザ干渉計1x、1yの検出結果に基づいて、マスクステージMST(ひいてはマスクM)のX軸及びY軸方向における位置を求める。また、Xレーザ干渉計(もしくはYレーザ干渉計)を複数設けておくことにより、マスクステージMSTのθZ方向の回転量を求めることができる。制御装置CONTは、レーザ干渉計1x、1yの出力からマスクステージMSTの位置(姿勢)をモニタし、マスクステージ駆動部MSTDを制御することでマスクステージMSTを所望の位置(姿勢)に設定する。
【0017】
マスクMを透過した露光光ELは、投影光学系PLa〜PLeのそれぞれに入射する。投影光学系PLa〜PLeは、マスクMの照明領域に存在するパターン像を感光基板Pに投影露光するものであり、各照明系モジュールに対応して設けられている。図1に示すように、複数の投影光学系PLa〜PLeのうち、投影光学系PLa、PLc、PLeと投影光学系PLb、PLdとが2列に千鳥状に配列されている。これら各投影光学系PLa〜PLeは照明系モジュールから射出しマスクMを透過した複数の露光光ELを透過させ、基板ステージPSTに載置されている感光基板PにマスクMのパターン像を投影する。なお、本実施形態において、投影光学系PLは等倍正立系の光学系である。
【0018】
図2に示すように、投影光学系PLdは、シフト調整機構5と、二組の反射屈折型光学系10、20と、像面調整機構6と、不図示の視野絞りと、スケーリング調整機構7とを備えている。なお、他の投影光学系PLa、PLb、PLc、PLeも投影光学系PLdと同様の構成である。
【0019】マスクMを透過した光束は、シフト調整機構5に入射する。シフト調整機構5は、Y軸まわりに回転可能に設けられた平行平面ガラス板5Aと、X軸まわりに回転可能に設けられた平行平面ガラス板5Bと有している。平行平面ガラス板5Aはモータなどの駆動装置5AdによりY軸まわりに回転し、平行平面ガラス板5Bはモータなどの駆動装置5BdによりX軸まわりに回転する。平行平面ガラス板5AがY軸まわりに回転することにより感光基板P上におけるマスクMのパターンの像はX軸方向にシフトし、平行平面ガラス板5BがX軸まわりに回転することにより感光基板P上におけるマスクMのパターンの像はY軸方向にシフトする。駆動装置5Ad,5Bdの駆動速度及び駆動量は制御装置CONTによりそれぞれ独立して制御されるようになっている。駆動装置5Ad,5Bdのそれぞれは制御装置CONTの制御に基づいて、平行平面ガラス板5A,5Bのそれぞれを所定速度で所定量(所定角度)回転する。シフト調整機構5を透過した光束は、1組目の反射屈折型光学系10に入射する。
【0020】
反射屈折型光学系10は、マスクMのパターンの中間像を形成するものであって、直角プリズム(補正機構)11と、レンズ12と、凹面鏡13とを備えている。直角プリズム11はZ軸まわりに回転可能に設けられており、モータなどの駆動装置11dによりZ軸まわりに回転する。直角プリズム11がZ軸まわりに回転することにより感光基板P上におけるマスクMのパターンの像はZ軸まわりに回転する。すなわち、直角プリズム11はローテーション調整機構としての機能を有している。駆動装置11dの駆動速度及び駆動量は制御装置CONTにより制御されるようになっている。駆動装置11dは制御装置CONTの制御に基づいて、直角プリズム11を所定速度で所定量(所定角度)回転する。反射屈折型光学系10により形成されるパターンの中間像位置には不図示の視野絞りが配置されている。視野絞りは、感光基板P上における投影領域を設定するものである。本実施形態において、視野絞りは台形状の開口を有し、この視野絞りにより感光基板P上の投影領域50a〜50eが台形状に規定される。視野絞りを透過した光束は、2組目の反射屈折型光学系20に入射する。
【0021】
反射屈折型光学系20は、反射屈折型光学系10と同様に、ローテーション調整機構としての直角プリズム(補正機構)21と、レンズ22と、凹面鏡23とを備えている。直角プリズム21もモータなどの駆動装置21dの駆動によりZ軸まわりに回転するようになっており、回転することで感光基板P上におけるマスクMのパターンの像をZ軸まわりに回転する。駆動装置21dの駆動速度及び駆動量は制御装置CONTにより制御されるようになっており、駆動装置21dは制御装置CONTの制御に基づいて、直角プリズム21を所定速度で所定量(所定角度)回転する。
【0022】
反射屈折型光学系20から射出した光束は、スケーリング調整機構(補正機構)7を通り、感光基板P上にマスクMのパターンの像を正立等倍で結像する。スケーリング調整機構7は、図2のようにレンズをZ軸方向に移動させたり、又は3枚のレンズ構成で例えば、凹レンズ、凸レンズ、凹レンズから構成され、凹レンズと凹レンズとの間に位置する凸レンズをZ軸方向に移動させることにより、マスクMのパターンの像の倍率(スケーリング)調整を行うようになっている。図2の場合、凸レンズは駆動装置7dにより移動するようになっており、駆動装置7dは制御装置CONTにより制御される。駆動装置7dは制御装置CONTの制御に基づいて、凸レンズを所定速度で所定量移動させる。なお、凸レンズは、両凸レンズでも平凸レンズでもよい。
【0023】
二組の反射屈折型光学系10,20の間の光路上には、投影光学系PLdの結像位置及び像面の傾斜を調整する像面調整機構6が設けられている。像面調整機構6は反射屈折型光学系10による中間像が形成される位置近傍に設けられている。すなわち、像面調整機構6はマスクM及び感光基板Pに対してほぼ共役な位置に設けられている。像面調整機構6は、第1光学部材6Aと、第2光学部材6Bと、第1光学部材6A及び第2光学部材6Bを非接触状態に支持する不図示のエアベアリングと、第2光学部材6Bに対して第1光学部材6Aを移動する駆動装置6Ad、6Bdとを備えている。第1光学部材6A及び第2光学部材6Bのそれぞれはくさび状に形成され露光光ELを透過可能なガラス板であり、一対のくさび型光学部材を構成している。露光光ELはこの第1光学部材6A及び第2光学部材6Bのそれぞれを通過する。駆動装置6Ad、6Bdの駆動量及び駆動速度、すなわち第1光学部材6Aと第2光学部材6Bとの相対的な移動量及び移動速度は制御装置CONTにより制御される。第2光学部材6Bに対して第1光学部材6AがX軸方向にスライドするように移動することにより投影光学系PLdの像面位置がZ軸方向に移動し、第2光学部材6Bに対して第1光学部材6AがθZ方向に回転することにより投影光学系PLdの像面が傾斜する。
【0024】
上記シフト調整機構5、ローテーション調整機構11、21、スケーリング調整機構7、及び像面調整機構6により、投影光学系PLの結像特性を補正する補正機構(制御装置)が構成される。なお、結像特性の補正機構としては、一部の光学素子(レンズ)間を密封して内部圧力を調整する機構であってもよい。
【0025】
基板ステージPSTは、マスクステージMSTと同様に、一次元の走査露光を行うべくX軸方向に長いストロークと、走査方向と直交するY軸方向にステップ移動するための長いストロークとを有しており、図2に示すように、この基板ステージPSTをX軸方向及びY軸方向に移動する基板ステージ駆動部PSTDを備えている。基板ステージ駆動部PSTDは制御装置CONTにより制御される。更に、基板ステージPSTはZ軸方向、及びθX、θY、θZ方向にも移動可能となっている。
【0026】
図1に示すように、露光装置EXは、感光基板Pを支持する基板ステージPSTのX軸方向における位置を検出するXレーザ干渉計3xと、基板ステージPSTのY軸方向における位置を検出するYレーザ干渉計3yとを備えている。基板ステージPSTの−X側の端縁にはY軸方向に延在するX移動鏡4xが設けられ、−Y側の端縁にはX移動鏡4xに直交するようにX軸方向に延在するY移動鏡4yが設けられている。X移動鏡4xにはXレーザ干渉計3xが対向して配置されており、Y移動鏡4yにはYレーザ干渉計3yが対向して配置されている。Xレーザ干渉計3xはX移動鏡4xにレーザ光を照射しX移動鏡4xとの距離を検出する。Yレーザ干渉計3yはY移動鏡4yにレーザ光を照射しY移動鏡4yとの距離を検出する。レーザ干渉計3x、3yの検出結果は制御装置CONTに出力され、制御装置CONTはレーザ干渉計3x、3yの検出結果に基づいて、基板ステージPST(ひいては感光基板P)のX軸及びY軸方向における位置を求める。また、Xレーザ干渉計(もしくはYレーザ干渉計)を複数設けておくことにより、基板ステージPSTのθZ方向の回転量を求めることができる。制御装置CONTは、レーザ干渉計3x、3yの出力から基板ステージPSTの位置(姿勢)をモニタし、基板ステージ駆動部PSTDを制御することで基板ステージPSTを所望の位置(姿勢)に設定する。
【0027】
図1に示すように、マスクMの走査方向両側(±X側)には複数のマーク(マーク群)を有するマーク形成領域27、28が設けられている。−X側のマーク形成領域27にはY軸方向に所定間隔で並ぶ複数のマーク30(30a〜30f)が形成されている。一方、+X側のマーク形成領域28にはY軸方向に所定間隔で並ぶ複数のマーク31(31a〜31f)が形成されている。また、基板ステージPSTの走査方向片側(−X側)の所定位置にはY軸方向に沿って延在する基準部材29が設けられており、基準部材29にはY軸方向に所定間隔で並ぶマーク40(40a〜40f)が形成されている。以下の説明において、マスクMに形成されたマーク30及び31を適宜「マスク側AISマーク」と称する。また、基板ステージPSTに形成されたマーク40を適宜「基板側AISマーク」と称する。
【0028】
図2に示すように、基準部材29に形成された基板側AISマーク40のZ軸方向における形成位置(高さ)は感光基板Pの表面(露光面)と略一致するように設定されている。また、マスク側AISマーク30、31はマスクMの特定位置(例えば中心位置)に対して所定の位置関係で設けられている。基準部材29の下方には、基板ステージPSTに埋設されるように、基準部材29を通過した光を受光可能なAIS受光系(計測装置)60が設けられている。AIS受光系60は、レンズ系61と、レンズ系61を介した光を受光するCCDからなる撮像素子62とを備えている。AIS受光系60(撮像素子62)の受光結果は制御装置CONTに出力されるようになっている。
【0029】
図3はマスク側AISマーク30、31及び基板側AISマーク40と投影光学系PLa〜PLeとの位置関係を説明するための模式図である。
図3において、感光基板P上での投影光学系PLa〜PLeの投影領域50a〜50eのそれぞれは、所定形状、本実施形態では台形形状に設定され、投影領域50a、50c、50eと、投影領域50b、50dとがX軸方向に対向して配置されている。さらに、投影領域50a〜50eは隣り合う投影領域の継ぎ部どうしがY軸方向に重なり合うように並列配置される。ここで、継ぎ部とは、台形状の各投影領域50a〜50eの三角形状の領域pa〜pjである。そして、投影領域50a〜50eの継ぎ部pa〜pjどうしをY軸方向に重なり合うように並列配置することにより、X軸方向の投影領域の幅の総計がほぼ等しくなるように設定されている。こうすることにより、X軸方向に走査露光したときの露光量が等しくなるようになっている。このように、各投影光学系PLa〜PLeによる投影領域50a〜50eのそれぞれが重なり合う重複領域(継ぎ部)を設けることにより、継ぎ部における光学収差の変化や照度変化を滑らかにすることができる。なお、投影領域50aの+Y方向の継ぎ部pa及び投影領域50eの−Y方向の継ぎ部pjは、1回目の走査露光後、Y軸方向にステップ移動して2回目の走査露光行う際、投影領域どうしをつなぎ合わせる際に重複される。そして、AISマーク30a〜30f、31a〜31f、40a〜40fのそれぞれは、投影領域50a〜50eの各継ぎ部pa〜pjに入るように配置されている。つまり、マスク側AISマーク30a〜30f(31a〜31f)と基板側AISマーク40a〜40fとは互いに対をなすように同じ間隔で形成されている。
【0030】
図4は、AIS受光系60がAISマーク検出を行っている状態を示す図である。図4に示すように、制御装置CONTは、いわゆるスルー・ザ・レンズ(TTL)方式により、AIS受光系60(撮像素子62)でマスク側AISマーク30(31)と基板側AISマーク40とを検出し、この検出結果に基づいてマスクMと基板ステージPSTとの相対位置を求める。具体的には、制御装置CONTは、撮像素子62でマスク側AISマーク30(31)の像と基板側AISマーク40の像とが一致するようにマスクステージMST及び基板ステージPSTを移動し、照明光学系ILでマスク側AISマーク30(31)を照明する。マスクMを通過した照明光(露光光)は投影光学系PLを通過するとともに基板側AISマーク40を通過し撮像素子62に導かれる。制御装置CONTは投影光学系PLa〜PLeを介してマスク側AISマーク30(31)及び基板側AISマーク40の相対位置(位置ずれ量)を計測することにより、投影光学系PLa〜PLeの各結像特性(シフト、スケーリング、ローテーション)を計測する。制御装置CONTは求めた結像特性の計測結果に基づいて、投影光学系PLa〜PLeの結像特性が精度保証範囲内になるように補正量を求め、求めた補正量に基づいて上記補正機構5、6、7、11、21を駆動して結像特性を補正する。図4には、マスク側AISマーク30と基板側AISマーク40とを同時に検出する状態が示されているが、マスクステージMSTを移動することで、マスク側AISマーク31と基板側AISマーク40とを同時に計測することもできる。そして、マスク側AISマーク30、31のそれぞれに関する計測結果に基づいて、制御装置CONTはマスクMのマスクステージMST上における所望の位置に対する置き位置ずれ(θZ方向の位置ずれ)やマスクMの膨張量に関する情報を求めることができる。
【0031】
次に、上述した露光装置EXを用いてマスクMのパターンを感光基板Pに露光する方法について図5〜図8のフローチャート図を参照しながら説明する。
図5は露光処理全体の手順を示すフローチャート図である。図5に示すように、オペレータから露光処理開始が指示されると(ステップS1)、制御装置CONTは、露光処理準備として、投影光学系PLa〜PLeに対する第1回目のレンズキャリブレーション処理を実行する(ステップS2)。
第1回目のレンズキャリブレーション処理が終了したら、デバイス製造のためのマスクM及び感光基板PがマスクステージMST及び基板ステージPSTのそれぞれに搬送される。そして、マスクMと感光基板Pとのアライメント処理が行われた後、制御装置CONTは照明光学系ILによりマスクMを露光光ELで照明し、マスクMのパターンを投影光学系PLを介して感光基板Pに転写する(ステップS3)。
露光処理を継続して行うと、投影光学系PLの結像特性は露光光の照射熱や設置空間の圧力変化などにより経時的に変動する。投影光学系PLの結像特性が変化すると、感光基板P上における結像特性、すなわち、感光基板P上における各投影光学系PLa〜PLeの投影像の像配列(投影領域50a〜50eどうしの相対位置)が変化し、感光基板P上でのパターンの目標位置に対する位置誤差が生じる。更に、露光光の照射熱によるマスクの膨張等、他の経時的要因によっても感光基板P上でのパターンの位置誤差が生じる。
制御装置CONTは、投影光学系PLa〜PLeの結像特性を一定の精度保証範囲に収めるように、第1回目のキャリブレーション処理から所定時間後、あるいは感光基板Pを所定枚数露光処理後、投影光学系PLa〜PLeに対する第2回目のキャリブレーション処理を実行する(ステップS4)。
そして、第2回目のキャリブレーション処理が終了したら、感光基板Pに対する露光処理が再開される(ステップS5)。
そして、露光処理を行い、第2回目のキャリブレーション処理から所定時間後、あるいは感光基板Pを所定枚数露光処理後、第3回目のキャリブレーション処理が実行される(ステップS6)。
そして、第3回目のキャリブレーション処理が終了したら露光処理が行われる(ステップS7)。
以下、キャリブレーション処理と露光処理とは交互に行われ、キャリブレーション処理は所定時間間隔毎あるいは所定基板処理枚数毎に実行される。
【0032】
図6は第1回目のキャリブレーション処理(すなわち図5のステップS2)のフローチャート図である。
キャリブレーション処理において、制御装置CONTは投影光学系PLの結像特性を計測し、投影光学系PLの結像特性が精度保証範囲内になるような補正量を設定し、設定した補正量に基づいて投影光学系PLのキャリブレーションを行う。
投影光学系PLに対するキャリブレーション処理の実行が指示されると(ステップSA1)、まず、制御装置CONTはマスクステージMST及び基板ステージPSTのそれぞれをマーク計測位置に移動する(ステップSA2)。
具体的には、まず、投影光学系PLa、PLc、PLeの結像特性を計測するために、制御装置CONTは、マスク側AISマーク30及び基板側AISマーク40が、投影光学系PLa、PLc、PLeの投影領域50a、50c、50e内で重なる位置(マーク計測位置)にマスクステージMST及び基板ステージPSTを移動させる。このとき、両マーク30、40を継ぎ部pa、pb、pe、pf、pi、pjに配置させる。
【0033】
次いで、制御装置CONTは、AIS受光系60を用いて、マスク側AISマーク30と基板側AISマーク40との相対位置である位置ずれ量を計測し、投影光学系PLa、PLc、PLeの結像特性を計測する(ステップSA3)。
すなわち、照明光学系ILからの露光光ELによりマスク側AISマーク30を投影光学系PLa、PLc、PLeを介して基板側AISマーク40上に結像させ、この結像されたマスク側AISマーク30の投影像と基板側AISマーク40とを、AIS受光系60(撮像素子62)で撮像する。マスク側AISマーク30と基板側AISマーク40との相対位置を計測することにより、投影光学系PLa、PLc、PLeのそれぞれの結像特性(シフト、スケーリング、ローテーション)が求められる。
【0034】
AIS受光系60の計測結果は制御装置CONTに出力され、制御装置CONTは、AIS受光系60による結像特性の計測結果に基づいて、投影光学系PLa、PLc、PLeのそれぞれの結像特性を補正(較正)するための補正量を求める(ステップSA4)。
【0035】
制御装置CONTは、AIS受光系60の計測結果からマスク側AISマーク30及び基板側AISマーク40の位置ずれ量を求める。制御装置CONTは、AIS受光系60による投影光学系PLa、PLc、PLeの結像特性の計測結果に基づいて、位置ずれ量の2乗値が最小となる値(目標値、目標位置)を求め、この目標値に対する投影光学系PLa、PLc、PLeのそれぞれの結像特性を補正するための補正量を求める。ここで、上記補正量は、上述した補正機構の駆動装置5Ad、5Bd、6Ad、6Bd、7d、11d、21dの駆動量を含む。そして、制御装置CONTは求めた補正量に基づいて、投影光学系PLa、PLc、PLeの結像特性の補正(投影像の像配列補正)を行う(ステップSA5)。
【0036】
一方、投影光学系PLb、PLdの結像特性の計測を行う際には、制御装置CONTは、マスクステージMST及び基板ステージPSTを移動し、マスク側AISマーク30及び基板側AISマーク40を投影光学系PLb、PLdの投影領域50b、50d内で重なる位置に移動させる。具体的には、マスク側AISマーク30及び基板側AISマーク40を、投影領域50a、50bの継ぎ部pc、pd、pg、phに配置させる。そして、上記と同様の手順でAIS受光系60で、結像されたマスク側AISマーク30と基板側AISマーク40とを撮像し、これらマークの位置ずれ量を求め、投影光学系PLb、PLeを較正するための補正量を求め、求めた補正量に基づいて投影光学系PLb、PLdの結像特性の補正(投影像の像配列補正)を行う。
【0037】
次いで、制御装置CONTは不図示の搬送装置を用いてマスクMをマスクステージMSTにロードするとともに感光基板Pを基板ステージPSTにロードする。そして、制御装置CONTはマスクMと感光基板PとをX軸方向に同期移動しつつマスクMのパターンを上記キャリブレーション処理を施された投影光学系PLa〜PLeを介して感光基板Pに試験的に露光(テスト露光)する(ステップSA6)。
テスト露光では、制御装置CONTは、まずマスクMを支持したマスクステージMSTを停止した状態で、感光基板Pを支持した基板ステージPSTのみをX軸方向に走査しつつ露光処理し、感光基板P上に第1層目のパターンを形成する。次いで、制御装置CONTは、マスクMを支持したマスクステージMSTと感光基板Pを支持した基板ステージPSTとをX軸方向に同期移動しつつマスクMのパターン(第2層目のパターン)を感光基板Pに形成されている第1層目のパターンに重ね合わせる。そして、制御装置CONTは、感光基板Pに形成された第1層目のパターン形状及び第2層目のパターン形状をパターン形状計測装置102で計測する。
【0038】
制御装置CONTは、パターン形状計測装置102による感光基板P上での第1層目及び第2層目それぞれのパターン形状計測結果に基づいて、X軸方向に移動するマスクM(マスクステージMST)の位置に応じた投影光学系PLの感光基板P上での結像特性を計測する(ステップSA7:第1計測ステップ、計測ステップ)。
すなわち、感光基板P上での結像特性がマスクステージMSTの移動により変動しない場合には、第1層目のパターンと第2層目のパターンとは所望の状態に重ね合わせられるが、例えば、マスクMやマスクステージMSTに撓み変形が生じていたり、あるいはマスクステージMSTの移動によりマスクステージMSTを支持する露光装置のコラム(支持台)に撓み変形が生じると、第1層目のパターンと第2層目のパターンとは例えば走査方向中央部近辺で所望の状態に重なり合わない。したがって、制御装置CONTはパターン形状計測装置102を用いて第1層目及び第2層目のパターン形状を計測することにより、移動するマスクM(マスクステージMST)の位置に応じた投影光学系PLの感光基板P上での結像特性を計測することができる。これにより、制御装置CONTは、X軸方向にマスクMと感光基板Pとを同期移動する際、マスクMのパターンを感光基板P上に投影光学系PLを介して投影される投影像のX軸方向の各位置での第1層目のパターンに対する第2層目のパターンの位置ずれを計測できる。
【0039】
制御装置CONTは、ステップSA7で計測した計測結果に基づいて、投影光学系PLの結像特性を補正するための第1補正量を設定装置100を用いて設定する(ステップSA8:第1設定ステップ)。
第1補正量はX軸方向に移動するマスクステージMSTの位置に依存した結像特性変動に対する補正量である。設定装置100は、同期移動方向での各位置における投影光学系PLの結像特性が精度保証範囲内になるように投影光学系PLの結像特性を補正するための補正量(上記駆動装置5Ad、5Bd、6Ad、6Ad、7d、11d、21d等の駆動速度及び駆動量)を設定する。
【0040】
設定した第1補正量は制御装置CONTに接続された記憶装置103に記憶される(ステップSA9)。以上で、第1回目のキャリブレーション処理が終了する(ステップSA10)。
【0041】
図7は露光処理(すなわち図5のステップS3)のフローチャート図である。第1回目のキャリブレーション処理が終了し、デバイスを製造するための露光処理の開始が指示されたら(ステップSB1)、制御装置CONTは、ステップSA8で設定した第1補正量に基づいて、X軸方向に移動するマスクM(マスクステージMST)の位置に合わせて投影光学系PLに設けられた補正機構を用いて結像特性を補正しつつ、照明光学系ILによりマスクMを露光光ELで照明し、感光基板Pに第1層目のパターン(第1のパターン)を転写する(ステップSB2)。
制御装置CONTは、レーザ干渉計1x、3xによるステージ位置検出結果に基づいて投影光学系PLa〜PLeの補正機構を駆動する。
【0042】
制御装置CONTはパターン形状計測装置102を用いて感光基板Pに形成された第1層目のパターン(第1のパターン)の形状を計測する(ステップSB3)。
制御装置CONTは、第1層目のパターンの形状計測結果が、予め設定されているパターンの目標形状に対して許容範囲内にあるかどうかを判別する(ステップSB4)。
ここで、前記許容範囲とは、製造したデバイスが所望の性能を発揮できるかどうかに基づいて設定されたものであり、この許容範囲に関する情報は記憶装置103に予め記憶されている。制御装置CONTは記憶装置103に記憶されている前記情報とパターン形状計測結果とを比較し、パターン形状計測結果が許容範囲内にあるかどうかを判別する。
【0043】
ステップSB4において、パターン形状計測結果が目標形状に対して大きく異なる(許容範囲外である)と判断した場合、制御装置CONTは、結像特性の補正動作を再度実行する。すなわち、ステップS2に戻る。このとき、制御装置CONTは、報知装置101を用いて第1層目のパターンを感光基板Pに転写する際の結像特性の補正動作を再度行うように報知する(ステップSB5)。
このように、制御装置CONTは第1層目のパターン形状計測結果が許容範囲外である場合には所望の性能を発揮できるデバイスが製造されないと判断し、第1層目のパターンを転写する際の補正量の再設定動作を行う。
【0044】
一方、ステップSB4において、パターン形状計測結果が目標形状に対して許容範囲内であると判断した場合、制御装置CONTは、感光基板P上の第1層目のパターンに対して第2層目のパターン(第2のパターン)を重ね合わせる露光処理を行う(ステップSB6)。
ここで、第2層目のパターンを感光基板Pに露光する際、制御装置CONTは、ステップSB3で計測した第1層目のパターンの形状計測結果に基づいて、第2層目のパターンを感光基板Pに露光する際の投影光学系PLa〜PLeの結像特性に関する補正量を再設定し、再設定した補正量に基づいて結像特性を補正しつつ露光処理する。すなわち、既に形成されている第1層目のパターンに対して第2層目のパターンを所定の精度で重ね合わせることができるように、投影光学系PLa〜PLeの結像特性を補正しつつ露光処理が行われる。これにより、第1層目と第2層目とのパターンの重ね合わせ精度を向上できる。
以下、同様の手順で感光基板P上に複数のパターンが順次積層されることによりデバイスが製造される(ステップSB7)。
【0045】
図8は第2回目のキャリブレーション処理(すなわち図5のステップS4)のフローチャート図である。
露光処理を継続して行うと、投影光学系PLa〜PLeは露光光の照射熱や設置空間の圧力変化などにより結像特性を経時的に変動させる。すると、感光基板P上に転写されるパターンの結像特性が変化する。投影光学系PLa〜PLeの結像特性が変化すると、各投影光学系PLa〜PLeの投影像の基板上での像配列(投影領域どうしの相対位置)が変化し、基板上でのパターンの目標位置に対する位置誤差が生じる。更に、露光光の照射熱によりマスクが膨張するなど、他の経時的要因によっても感光基板P上でのパターンの位置誤差が生じる。
【0046】
制御装置CONTは、投影光学系PLの結像特性を一定の精度保証範囲に収めるように、第1回目のキャリブレーション処理(すなわちステップS2)から所定時間後、あるいは感光基板Pを所定枚数露光処理後、投影光学系PLa〜PLeに対する第2回目のキャリブレーション処理を開始する(ステップSC1)。具体的には、上述した手順同様、まず、マスクステージMST及び基板ステージPSTがマーク計測位置に移動される(ステップSC2)。
【0047】
次いで、制御装置CONTは、投影光学系PLを介したマスクMの−X側に設けられているマスク側AISマーク30と基板側AISマーク40との相対位置をAIS受光系60を用いて計測する。次いで、制御装置CONTは、マスクステージMST及び基板ステージPSTを移動し、投影光学系PLを介したマスクMの+X側に設けられているマスク側AISマーク31と基板側AISマーク40との相対位置をAIS受光系60を用いて計測する。制御装置CONTは、マーク検出結果に基づいて、ステップS2同様、投影光学系PLa〜PLeそれぞれの結像特性を計測する(ステップSC3:第2計測ステップ、像位置計測ステップ)。
【0048】
マーク検出検出結果に基づいて投影光学系PLa〜PLeそれぞれの基板上での結像特性を計測することで、制御装置CONTは各投影光学系PLa〜PLeの感光基板P上における投影像の像配列(投影像の相対位置)、すなわち、感光基板P上における目標位置に対するパターンの位置誤差を求める。こうして、制御装置CONTは投影光学系PLa〜PLeで投影される投影像の光学的な位置ずれを定期的に計測する。更に、制御装置CONTは、マスク側AISマーク30及び31のそれぞれに関する計測結果に基づいて、マスクMの膨張に関する情報やマスクMのマスクステージMSTに対する置き位置ずれ(θZ方向の位置ずれ)を計測することができる。これにより、マスクMの膨張(あるいは置き位置ずれ)に起因する感光基板P上における目標位置に対するパターンの位置誤差を計測することができる。ここで、投影像の像配列の変動によるパターンの位置誤差や、マスクMの膨張により生じるパターンの位置誤差は、露光光の照射熱など経時的要因で生じるものである。
【0049】
制御装置CONTは、ステップSC3で計測した結像特性の計測結果(パターンの位置誤差の計測結果)に基づいて、投影光学系PLa〜PLeの結像特性を精度保証範囲内に納めるための第2補正量を設定する。ここで設定する第2補正量は、上述したように投影像の像配列やマスクMの膨張分に対する補正量、すなわちパターンの位置誤差を補正するための補正量である(ステップSC4:第2設定ステップ)。
【0050】
そして、第2回目のキャリブレーション処理では、第1回目のキャリブレーション処理のようなテスト露光は行わない。すなわち、移動するマスクMの同期移動方向での各位置に応じた投影光学系PLa〜PLeの感光基板P上での結像特性の変動は、マスクMやマスクステージMSTの撓み変形等に起因するものであって、経時的に変化するものではなく、マスクM(マスクステージMST)の位置に依存するものである。したがって、ここでは経時的に生じるパターンの位置誤差に対する補正量(第2補正量)の再設定は行うが、マスクMの位置に応じた結像特性の変動に対する補正量(第1補正量)の再設定は行わない。そして、マスクMの位置に応じた結像特性に対する補正量には、第1回目のキャリブレーション処理のステップSA6で設定し記憶装置103に記憶されている第1補正量が用いられる。
【0051】
また、マスク位置に依存した誤差に対する補正量とした際には、マスク全面でのパターンの位置誤差を求めるのではなく、第2回目のキャリブレーションはマスクMの数点の位置、例えば両サイドにあるパターンの位置を計測し、マスクMの中間位置にあるパターンの位置誤差を計測点の数に応じて補間して求める。2点の場合、一次直線補間を行い、補正量(第2補正量)としてもよい。
【0052】
制御装置CONTは、ステップSC4で新たに設定した第2補正量とステップSA8で設定し記憶装置103に記憶されている第1補正量とに基づいて、パターンの位置誤差とマスクMの位置に依存した感光基板P上での結像特性とを合わせた補正量を設定する(ステップSC5:補正ステップ、補正演算ステップ)。すなわち、制御装置CONTは、投影光学系PLa〜PLeの結像特性(光学特性)を補正するために設定した第2補正量に基づいて、次の露光処理で用いるX軸方向における複数の各位置での位置ずれに対する第1補正量を補正演算する。以上で第2回目のキャリブレーション処理が終了される(ステップSC6)。
【0053】
次の露光処理(図5のステップS5)では、第1及び第2補正量に基づいて、パターンの位置誤差とマスクMの位置に応じた感光基板P上での結像特性とを合わせて補正しつつ露光処理が実行される。つまり、制御装置CONTは、同期移動の移動時に、前記第1補正量をステップSC4で設定した第2補正量に基づいて補正し、露光処理する。
そして、第3回目以降のキャリブレーション処理では上述した第2回目のキャリブレーション処理と同様の処理が実行される。
【0054】
以上説明したように、マスクの位置に依存した投影光学系の基板上での結像特性の変動に対する第1補正量を予め求めておき、定期的に実行されるキャリブレーション処理時にはパターンの位置誤差に対する第2補正量を設定するための計測動作のみを行い、予め求めておいた第1補正量を新たに設定した第2補正量で補正演算し、補正演算された結果を用いて投影光学系PLa〜PLeの結像特性を補正しつつ露光処理するようにしたので、キャリブレーション処理全体の処理時間を短縮することができる。したがって、キャリブレーション処理の度にテスト露光を行わなくても投影光学系の結像特性を精度保証範囲内に納めて露光処理できる。
【0055】
ところで、マスクステージMSTのY軸方向の位置を計測する際に用いるレーザ干渉計の移動鏡2yが水平方向(Y軸方向)に撓んでいると、上記移動鏡2yの撓みに起因してレーザ干渉計1yの出力値に誤差が生じ、図9に示す模式図のように、マスクステージMSTの走査方向への移動軌跡がY軸方向に湾曲するといった不都合が生じる場合がある。このような不都合はマスクステージMSTの移動に伴って前記コラムが水平方向(Y軸方向)に撓む場合にも生じる。ここで、上記移動軌跡は経時的に変化しない。制御装置CONTは前記移動軌跡を補正するために、まず、上述したステップSA6のテスト露光で感光基板P上に形成されたパターン形状を計測する。次いで、制御装置CONTは、上述したステップSA7において、前記パターン形状計測結果に基づいてX軸方向に移動するマスクMのY軸方向の位置を含む移動軌跡を求める(位置計測ステップ)。そして、制御装置CONTは、上述したステップSA8において、位置計測ステップの計測結果に基づいてX軸方向に移動するマスクステージMST(マスクM)のY軸方向における位置補正量を設定する(第3設定ステップ)。この位置補正量は湾曲するように移動するマスクステージMSTを直線状に移動させるための補正量であって、マスクステージ駆動部MSTDのY軸方向への駆動量を含む。設定された位置補正量は記憶装置103に記憶される(ステップSA9)。そして、露光処理を行う際には、第3設定ステップで設定した位置補正量に基づいてマスクM(マスクステージMST)のY軸方向における位置(移動軌跡)をマスクステージ駆動部MSTDを介して補正しつつ露光処理を行う。
【0056】
マスクステージMSTのY軸方向への位置変動(移動軌跡)をマスクステージ駆動部MSTDで補正することにより、投影光学系PLの補正機構の駆動量を抑えることができる。すなわち、マスクステージMSTの移動軌跡をマスクステージ駆動部MSTDで補正しない場合、移動軌跡の湾曲が大きいと、例えば投影像をY軸方向にシフトするシフト補正機構5Bの駆動量を大きくしなければならず、設定した補正量が補正機構5Bの駆動装置5Bdの駆動限界を超えてしまう場合も考えられる。しかしながら、マスクステージMSTの移動軌跡をマスクステージ駆動部MSTDの駆動で補正することにより、上記シフト補正機構5Bの駆動量を抑えることができ、移動軌跡の湾曲が大きい場合であっても、感光基板Pの走査方向における各位置において精度良い露光処理を行うことができる。
なお、ここではマスクステージMSTの移動軌跡をマスクステージ駆動部MSTDの駆動量を補正することで補正するように説明したが、レーザ干渉計の計測結果を補正することでマスクステージMSTの移動軌跡を補正するようにしてもよい。更には、レーザ干渉計の計測結果を補正することでマスクステージMSTの移動軌跡の補正の一部を行い、残りの一部をシフト調整機構で補正するといった構成とすることもできる。
【0057】
上記実施形態では、複数並んだ投影光学系PLa〜PLeのそれぞれに関して補正量を設定し、結像特性を個別に補正する構成であるが、例えば複数の投影光学系PLa〜PLeを複数のグループに分け、グループ毎に補正量の平均値を求め、求めた平均値に基づいて結像特性を補正するようにしてもよい。これにより結像特性の計測誤差を低減することができる。
【0058】
上記各実施形態において、投影光学系の結像特性を計測する際に用いるマークはマスク及び基板ステージのそれぞれに設けられている構成であるが、マスクステージや感光基板にマークを設けてもよい。
【0059】
上記実施形態の露光装置EXとして、マスクMと感光性基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを露光する走査型の露光装置の他に、マスクMと感光性基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを露光し、感光性基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート型の露光装置に適用することもできる。
【0060】
露光装置EXの用途としては角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを露光する液晶用の露光装置に限定されることなく、例えば、半導体製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッドを製造するための露光装置にも広く適当できる。
【0061】
本実施形態の露光装置EXの光源1は、g線(436nm)、h線(405nm)、i線(365nm)のみならず、KrFエキシマレーザ(248nm)、ArFエキシマレーザ(193nm)、F2レーザ(157nm)を用いることもできる。
【0062】
投影光学系PLの倍率は、等倍系のみならず縮小系および拡大系のいずれでもよい。投影光学系PLとしては、エキシマレーザなどの遠紫外線を用いる場合は硝材として石英や蛍石などの遠紫外線を透過する材料を用い、F2レーザやX線を用いる場合は反射屈折系または屈折系の光学系にする。
【0063】
基板ステージPSTやマスクステージMSTにリニアモータを用いる場合は、エアベアリングを用いたエア浮上型およびローレンツ力またはリアクタンス力を用いた磁気浮上型のどちらを用いてもいい。また、ステージは、ガイドに沿って移動するタイプでもいいし、ガイドを設けないガイドレスタイプでもよい。
【0064】
ステージの駆動装置として平面モ−タを用いる場合、磁石ユニット(永久磁石)と電機子ユニットのいずれか一方をステージに接続し、磁石ユニットと電機子ユニットの他方をステージの移動面側(ベース)に設ければよい。
【0065】
基板ステージPSTの移動により発生する反力は、特開平8−166475号公報に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。本発明はこのような構造を備えた露光装置においても適用可能である。
【0066】
マスクステージMSTの移動により発生する反力は、特開平8−330224号公報に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。本発明は、このような構造を備えた露光装置においても適用可能である。
【0067】
以上のように、本願実施形態の露光装置は、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0068】
半導体デバイスは、図10に示すように、デバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスクを製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、前述した実施形態の露光装置によりマスクのパターンを基板に露光する基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
【0069】
【発明の効果】
本発明によれば、移動するマスクの位置に応じた投影光学系の基板上での結像特性と、経時的に生じるパターンの位置誤差とを合わせて補正するようにしたので、基板やステージが大型化して撓み等の非線形な変形が生じても、走査方向の各位置において精度良い露光処理を生産性良く実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の露光装置の一実施形態を示す概略斜視図である。
【図2】本発明の露光装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【図3】マスク及び基板ステージに設けられたマーク群と投影領域との位置関係を説明するための模式図である。
【図4】マーク計測動作を示す模式図である。
【図5】本発明の露光方法の一実施形態を示すフローチャート図である。
【図6】第1回目のキャリブレーション処理手順の一例を示すフローチャート図である。
【図7】露光処理手順の一例を示すフローチャート図である。
【図8】第2回目以降のキャリブレーション処理手順の一例を示すフローチャート図である。
【図9】マスクステージの移動軌跡を示す模式図である。
【図10】半導体デバイスの製造工程の一例を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
1y…Yレーザ干渉計(位置計測装置)、5…シフト調整機構(補正機構)、
6…像面調整機構(補正機構)、7…スケーリング調整機構(補正機構)、
11、12…ローテーション調整機構(補正機構)、
60…AIS受光系(計測装置)、100…設定装置、101…報知装置、
102…パターン形状計測装置(計測装置)、CONT…制御装置、
EL…露光光、EX…露光装置、M…マスク、MST…マスクステージ、
P…感光基板(基板)、PL(PLa〜PLe)…投影光学系、
PST…基板ステージ
【発明の属する技術分野】
本発明はマスクと基板とを同期移動しつつマスクのパターンを基板に転写する露光方法及び露光装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示デバイスや半導体デバイスはマスク上に形成されたパターンを感光性の基板上に転写するいわゆるフォトリソグラフィの手法により製造される。このフォトリソグラフィ工程で使用される露光装置はマスクを支持するマスクステージと基板を支持する基板ステージとを有し、マスクステージ及び基板ステージを逐次移動しながらマスクのパターンを投影光学系を介して基板に転写するものである。このうち、液晶表示デバイスを製造する際には基板として大型のガラス基板が用いられ、表示領域の大型化の要求からマスクステージと基板ステージとを同期走査しつつマスクのパターンを連続的に基板上に転写する走査型露光装置が主に用いられる(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−296667号公報
【0004】
露光処理を継続して行うと、投影光学系は露光光の照射熱や設置空間の圧力変化等により基板上に転写する結像特性(スケーリング、シフト、ローテーション等)を経時的に変動させる。したがって、投影光学系に含まれる一部の光学素子(レンズ)を駆動する機構や一部の光学素子間を密封して内部圧力を変更する機構等の補正機構を用いて結像特性を調整する、いわゆるレンズキャリブレーションを実行することで結像特性を一定の精度保証範囲内に納めることが行われている。特に、複数並んだ投影光学系を有するいわゆるマルチレンズスキャン型露光装置では、結像特性を補正することにより、各投影光学系の投影像の像配列(基板上における投影像の相対位置)、すなわち各投影光学系に関する基板上での目標位置に対するパターンの位置誤差を補正するキャリブレーション処理が行われる。また、マスクに設けられた複数のマークを検出し、この検出結果に基づいてマスクの膨張等に起因する基板上でのパターンの位置誤差を求め、この求めた結果に基づいてパターンの位置誤差を補正する処理が行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年におけるマスク及び基板の大型化に伴ってこれを支持するステージも大型化し撓み等の変形が生じやすくなっている。そのため、走査型露光装置における基板上での結像特性を例えば基板の走査方向端部で最適化したものが基板の走査方向中央部では前記精度保証範囲外になる場合がある。大型の基板を露光処理する際、基板に対してパターンを予め試験的に露光処理(テスト露光)し、形成されたパターン形状を計測することで走査方向における基板上での結像特性の変動を把握する方法も考えられるが、キャリブレーション処理する度にテスト露光を行うとスループットの低下を招く。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、大型のマスク及び基板を用いて走査露光する際、投影光学系の結像特性をスループットを低下させることなく精度保証範囲内に良好に納めて精度良く露光処理できる露光方法及び露光装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため本発明は、実施の形態に示す図1〜図10に対応付けした以下の構成を採用している。
本発明の露光方法は、マスク(M)と感光性の基板(P)とを第1の方向(X)に同期移動しつつ露光光(EL)によりマスク(M)のパターンを投影光学系(PLa〜PLe)を介して基板(P)に転写する露光方法において、移動するマスク(M)の位置に応じた投影光学系(PLa〜PLe)の基板(P)上での結像特性を計測する第1計測ステップ(SA7)と、第1計測ステップ(SA7)の計測結果に基づいて投影光学系(PLa〜PLe)の結像特性を補正するための第1補正量を設定する第1設定ステップ(SA8)と、経時的に生じるマスク(M)のパターンの位置誤差を投影光学系(PLa〜PLe)を介して計測する第2計測ステップ(SC3)と、第2計測ステップ(SC3)の計測結果に基づいて前記位置誤差を補正するための第2補正量を設定する第2設定ステップ(SC4)と、設定した第1及び第2補正量に基づいて、投影光学系(PLa〜PLe)の結像特性と前記位置誤差とを合わせて補正する補正ステップ(SC5)とを有することを特徴とする。
本発明の露光装置(EX)は、マスク(M)と感光性の基板(P)とを第1の方向(X)に同期移動しつつ露光光(EL)によりマスク(M)のパターンを投影光学系(PLa〜PLe)を介して基板(P)に転写する露光装置において、マスク(M)を支持して移動するマスクステージ(MST)と、移動するマスクステージ(MST)の位置に応じた投影光学系(PLa〜PLe)の基板(P)上での結像特性を計測する計測装置(60、102、CONT)と、計測装置(60、102、CONT)の計測結果に基づいて投影光学系(PLa〜PLe)の結像特性を補正するための第1補正量を設定する設定装置(100)と、設定した第1補正量に基づいて、投影光学系(PLa〜PLe)の結像特性を補正する制御装置(CONT)とを備え、計測装置(60、CONT)は、経時的に生じるマスク(M)のパターンの位置誤差を投影光学系(PLa〜PLe)を介して計測し、設定装置(100)は、経時的に生じたマスク(M)のパターンの位置誤差を計測装置(60、CONT)で計測した計測結果に基づいて前記位置誤差を補正するための第2補正量を設定し、制御装置(CONT)は、設定した第1及び第2補正量に基づいて、投影光学系(PLa〜PLe)の結像特性と前記位置誤差とを合わせて補正することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、例えば露光光の照射熱等に起因して経時的に生じるパターンの位置誤差と、ステージの撓み等に依存するマスクの位置に応じた投影光学系の基板上での結像特性とを合わせて補正するようにしたので、撓み等の非線形な変形が生じても、走査方向(同期移動方向)の各位置において結像特性をスループットを低下させることなく精度保証範囲内に納めることができる。例えば、同期移動方向における基板上の各位置での結像特性の変動は主にマスクやステージの撓み、あるいはステージの移動軌跡等に起因するもの、換言すればマスクの位置に依存するものである。つまり、同期移動方向におけるマスクの位置に応じた基板上での結像特性の変動傾向は経時的には大きく変化しない。一方、パターンの位置誤差(像配列)は主に露光光の照射熱による投影光学系の結像特性の変化に起因するものであって経時的に変化するものである。そこで、同期移動方向における各位置での結像特性の変動傾向を例えばロット先頭などにおいてテスト露光等により計測しこの計測結果に基づいて第1補正量を設定しておけば、定期的に行うキャリブレーション処理時には、投影光学系の結像特性の経時的な変化分、すなわちパターンの位置誤差を補正するための第2補正量を設定するための計測動作のみを行い、第2補正量を前記第1補正量に基づいて再設定し、この再設定した補正量に基づいて投影光学系のキャリブレーションを行えばよい。したがって、キャリブレーション処理の度にテスト露光を行わなくても、投影光学系の結像特性をスループットを低下させることなく精度保証範囲内に納めて露光処理できる。
【0009】
本発明の露光方法は、マスク(M)と感光性の基板(P)とを所定の方向(X)に同期移動しつつ露光光(EL)によりマスク(M)のパターンを投影光学系(PLa〜PLe)を介して基板(P)に転写する露光方法において、所定の方向(X)に同期移動する際、マスク(M)のパターンを基板(P)上に投影光学系(PLa〜PLe)を介して投影される像の所定の方向(X)での複数の各位置での位置ずれを計測する計測ステップ(SA7)と、計測ステップ(SA7)で求められた位置ずれの補正量を同期移動の移動時に補正する補正ステップ(SC5)と、定期的に投影光学系(PLa〜PLe)で投影される像の光学的な位置ずれを計測する像位置計測ステップ(SC3)と、像位置計測ステップ(SC3)で計測された結果を用いて、投影光学系(PLa〜PLe)の光学特性を補正するとともに、補正ステップ(SC5)で用いる前記位置ずれの補正量を補正演算する補正演算ステップ(SC5)とを有することを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、計測ステップにおいて、ステージ移動に起因する(マスクの位置に依存する)同期移動方向における基板上の複数の各位置での目標位置に対するパターンの位置ずれが計測される。また、定期的に実行される像位置計測ステップにおいて、投影光学系で投影される投影像の光学的な位置ずれ、すなわち経時的要因で生じる位置ずれが計測される。そして、補正演算ステップでは、像位置計測ステップの計測結果に基づいて光学的な位置ずれに対する補正量(第2補正量)が設定されるとともに、マスクの位置に依存する位置ずれに対する補正量(第1補正量)が第2補正量に基づいて補正演算され、デバイス製造のための走査露光時には、第1補正量が第2補正量に基づいて補正されつつ走査露光される。したがって、キャリブレーション処理の度にテスト露光を行わなくても、計測ステップで第1補正量を設定しておくことにより、光学的な位置ずれ計測及びこれに対する第2補正量の設定動作を定期的に実行し、同期移動の移動時には第1補正量を第2補正量で補正しつつ露光処理することで、投影光学系の結像特性をスループットを低下させることなく精度保証範囲内に納めて露光処理できる。
【0011】
更に、本発明によれば、計測ステップにおいて、マスクの位置に依存した同期移動方向における基板上の複数の各位置での投影像の位置ずれの変動傾向、換言すればステージの移動軌跡に依存した投影像の位置ずれの変動傾向が計測される。また、像位置計測ステップにおいて、投影光学系の光学的な位置ずれ、具体的には露光光の照射熱などにより経時的に生じる投影光学系の光学特性の変動が定期的に計測される。そして、補正演算ステップでは、像位置計測ステップの計測結果に基づいて投影光学系の光学特性を補正する補正量(第2補正量)が設定されるとともに、マスクステージの移動軌跡に依存する位置ずれに対する補正量(第1補正量)が第2補正量に基づいて補正演算され、デバイス製造のための走査露光時には第1補正量が第2補正量に基づいて補正されつつ走査露光される。これにより、ステージの移動軌跡に依存する位置ずれと投影光学系の光学特性に依存する位置ずれとを合わせて補正しつつ露光処理が行われ、精度良い露光処理が実現される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の露光装置について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の露光装置の一実施形態を示す概略斜視図、図2は概略構成図である。
図1及び図2において、露光装置EXは、パターンが形成されたマスクMを支持するマスクステージMSTと、感光基板(感光性の基板)Pを支持する基板ステージPSTと、マスクステージMSTに支持されたマスクMを露光光ELで照明する照明光学系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターンの像を基板ステージPSTに支持されている感光基板Pに投影する投影光学系PLと、露光処理に関する動作制御を行う制御装置CONTと、制御装置CONTに接続された設定装置100及び報知装置101と、感光基板Pに形成されたパターン形状を計測可能なパターン形状計測装置(計測装置)102と、露光処理に関する情報を記憶する記憶装置103とを備えている。報知装置101は例えば液晶ディスプレイ装置等の表示装置、あるいは音声を出力可能な音声出力装置により構成されている。パターン形状計測装置102は例えばSEMにより構成されている。本実施形態において、投影光学系PLは複数(5つ)の投影光学系PLa〜PLeを有しており、照明光学系ILも投影光学系の数及び配置に対応して複数(5つ)の照明系モジュールを有している。感光基板Pはガラス基板に感光剤(フォトレジスト)を塗布したものである。
【0013】
ここで、本実施形態に係る露光装置EXは、露光光ELに対してマスクMと感光基板Pとを同期移動して走査露光する走査型露光装置であって、所謂マルチレンズスキャン型露光装置を構成している。以下の説明において、投影光学系PLの光軸方向をZ軸方向、Z軸方向に垂直な方向でマスクM及び感光基板Pの同期移動方向をX軸方向(第1の方向、走査方向、所定の方向)、Z軸方向及びX軸方向と直交する方向をY軸方向(第2の方向、非走査方向)とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりのそれぞれの方向をθX、θY、及びθZ方向とする。
【0014】
照明光学系ILは、不図示ではあるが、複数の光源と、複数の光源から射出された光束を一旦集合した後に均等分配して射出するライトガイドと、ライトガイドからの光束を均一な照度分布を有する光束(露光光)に変換するオプティカルインテグレータと、オプティカルインテグレータからの露光光をスリット状に整形するための開口を有するブラインドと、ブラインドを通過した露光光をマスクM上に結像するコンデンサレンズとを備えている。コンデンサレンズからの露光光は、マスクMを複数のスリット状の照明領域で照明する。本実施形態における光源には水銀ランプが用いられ、露光光としては、不図示の波長選択フィルタにより、露光に必要な波長であるg線(436nm)、h線(405nm)、i線(365nm)などが用いられる。
【0015】
マスクMを支持するマスクステージMSTは移動可能に設けられており、一次元の走査露光を行うべくX軸方向への長いストロークと、走査方向と直交するY軸方向への所定距離のストロークとを有している。図2に示すように、マスクステージMSTにはマスクステージ駆動部MSTDが接続されており、マスクステージMSTは、マスクステージ駆動部MSTDの駆動により、X軸方向及びY軸方向に移動可能である。マスクステージ駆動部MSTDは制御装置CONTにより制御される。
【0016】
図1に示すように、露光装置EXは、マスクMを支持するマスクステージMSTのX軸方向(第1の方向)における位置を検出するXレーザ干渉計1xと、マスクステージMSTのY軸方向(第2の方向)における位置を検出するYレーザ干渉計(位置検出装置)1yとを備えている。マスクステージMSTの−X側の端縁にはY軸方向に延在するX移動鏡2xが設けられ、−Y側の端縁にはX移動鏡2xに直交するようにX軸方向に延在するY移動鏡2yが設けられている。X移動鏡2xにはXレーザ干渉計1xが対向して配置されており、Y移動鏡2yにはYレーザ干渉計1yが対向して配置されている。Xレーザ干渉計1xはX移動鏡2xにレーザ光を照射しX移動鏡2xとの距離を検出する。Yレーザ干渉計1yはY移動鏡2yにレーザ光を照射しY移動鏡2yとの距離を検出する。レーザ干渉計1x、1yの検出結果は制御装置CONTに出力され、制御装置CONTはレーザ干渉計1x、1yの検出結果に基づいて、マスクステージMST(ひいてはマスクM)のX軸及びY軸方向における位置を求める。また、Xレーザ干渉計(もしくはYレーザ干渉計)を複数設けておくことにより、マスクステージMSTのθZ方向の回転量を求めることができる。制御装置CONTは、レーザ干渉計1x、1yの出力からマスクステージMSTの位置(姿勢)をモニタし、マスクステージ駆動部MSTDを制御することでマスクステージMSTを所望の位置(姿勢)に設定する。
【0017】
マスクMを透過した露光光ELは、投影光学系PLa〜PLeのそれぞれに入射する。投影光学系PLa〜PLeは、マスクMの照明領域に存在するパターン像を感光基板Pに投影露光するものであり、各照明系モジュールに対応して設けられている。図1に示すように、複数の投影光学系PLa〜PLeのうち、投影光学系PLa、PLc、PLeと投影光学系PLb、PLdとが2列に千鳥状に配列されている。これら各投影光学系PLa〜PLeは照明系モジュールから射出しマスクMを透過した複数の露光光ELを透過させ、基板ステージPSTに載置されている感光基板PにマスクMのパターン像を投影する。なお、本実施形態において、投影光学系PLは等倍正立系の光学系である。
【0018】
図2に示すように、投影光学系PLdは、シフト調整機構5と、二組の反射屈折型光学系10、20と、像面調整機構6と、不図示の視野絞りと、スケーリング調整機構7とを備えている。なお、他の投影光学系PLa、PLb、PLc、PLeも投影光学系PLdと同様の構成である。
【0019】マスクMを透過した光束は、シフト調整機構5に入射する。シフト調整機構5は、Y軸まわりに回転可能に設けられた平行平面ガラス板5Aと、X軸まわりに回転可能に設けられた平行平面ガラス板5Bと有している。平行平面ガラス板5Aはモータなどの駆動装置5AdによりY軸まわりに回転し、平行平面ガラス板5Bはモータなどの駆動装置5BdによりX軸まわりに回転する。平行平面ガラス板5AがY軸まわりに回転することにより感光基板P上におけるマスクMのパターンの像はX軸方向にシフトし、平行平面ガラス板5BがX軸まわりに回転することにより感光基板P上におけるマスクMのパターンの像はY軸方向にシフトする。駆動装置5Ad,5Bdの駆動速度及び駆動量は制御装置CONTによりそれぞれ独立して制御されるようになっている。駆動装置5Ad,5Bdのそれぞれは制御装置CONTの制御に基づいて、平行平面ガラス板5A,5Bのそれぞれを所定速度で所定量(所定角度)回転する。シフト調整機構5を透過した光束は、1組目の反射屈折型光学系10に入射する。
【0020】
反射屈折型光学系10は、マスクMのパターンの中間像を形成するものであって、直角プリズム(補正機構)11と、レンズ12と、凹面鏡13とを備えている。直角プリズム11はZ軸まわりに回転可能に設けられており、モータなどの駆動装置11dによりZ軸まわりに回転する。直角プリズム11がZ軸まわりに回転することにより感光基板P上におけるマスクMのパターンの像はZ軸まわりに回転する。すなわち、直角プリズム11はローテーション調整機構としての機能を有している。駆動装置11dの駆動速度及び駆動量は制御装置CONTにより制御されるようになっている。駆動装置11dは制御装置CONTの制御に基づいて、直角プリズム11を所定速度で所定量(所定角度)回転する。反射屈折型光学系10により形成されるパターンの中間像位置には不図示の視野絞りが配置されている。視野絞りは、感光基板P上における投影領域を設定するものである。本実施形態において、視野絞りは台形状の開口を有し、この視野絞りにより感光基板P上の投影領域50a〜50eが台形状に規定される。視野絞りを透過した光束は、2組目の反射屈折型光学系20に入射する。
【0021】
反射屈折型光学系20は、反射屈折型光学系10と同様に、ローテーション調整機構としての直角プリズム(補正機構)21と、レンズ22と、凹面鏡23とを備えている。直角プリズム21もモータなどの駆動装置21dの駆動によりZ軸まわりに回転するようになっており、回転することで感光基板P上におけるマスクMのパターンの像をZ軸まわりに回転する。駆動装置21dの駆動速度及び駆動量は制御装置CONTにより制御されるようになっており、駆動装置21dは制御装置CONTの制御に基づいて、直角プリズム21を所定速度で所定量(所定角度)回転する。
【0022】
反射屈折型光学系20から射出した光束は、スケーリング調整機構(補正機構)7を通り、感光基板P上にマスクMのパターンの像を正立等倍で結像する。スケーリング調整機構7は、図2のようにレンズをZ軸方向に移動させたり、又は3枚のレンズ構成で例えば、凹レンズ、凸レンズ、凹レンズから構成され、凹レンズと凹レンズとの間に位置する凸レンズをZ軸方向に移動させることにより、マスクMのパターンの像の倍率(スケーリング)調整を行うようになっている。図2の場合、凸レンズは駆動装置7dにより移動するようになっており、駆動装置7dは制御装置CONTにより制御される。駆動装置7dは制御装置CONTの制御に基づいて、凸レンズを所定速度で所定量移動させる。なお、凸レンズは、両凸レンズでも平凸レンズでもよい。
【0023】
二組の反射屈折型光学系10,20の間の光路上には、投影光学系PLdの結像位置及び像面の傾斜を調整する像面調整機構6が設けられている。像面調整機構6は反射屈折型光学系10による中間像が形成される位置近傍に設けられている。すなわち、像面調整機構6はマスクM及び感光基板Pに対してほぼ共役な位置に設けられている。像面調整機構6は、第1光学部材6Aと、第2光学部材6Bと、第1光学部材6A及び第2光学部材6Bを非接触状態に支持する不図示のエアベアリングと、第2光学部材6Bに対して第1光学部材6Aを移動する駆動装置6Ad、6Bdとを備えている。第1光学部材6A及び第2光学部材6Bのそれぞれはくさび状に形成され露光光ELを透過可能なガラス板であり、一対のくさび型光学部材を構成している。露光光ELはこの第1光学部材6A及び第2光学部材6Bのそれぞれを通過する。駆動装置6Ad、6Bdの駆動量及び駆動速度、すなわち第1光学部材6Aと第2光学部材6Bとの相対的な移動量及び移動速度は制御装置CONTにより制御される。第2光学部材6Bに対して第1光学部材6AがX軸方向にスライドするように移動することにより投影光学系PLdの像面位置がZ軸方向に移動し、第2光学部材6Bに対して第1光学部材6AがθZ方向に回転することにより投影光学系PLdの像面が傾斜する。
【0024】
上記シフト調整機構5、ローテーション調整機構11、21、スケーリング調整機構7、及び像面調整機構6により、投影光学系PLの結像特性を補正する補正機構(制御装置)が構成される。なお、結像特性の補正機構としては、一部の光学素子(レンズ)間を密封して内部圧力を調整する機構であってもよい。
【0025】
基板ステージPSTは、マスクステージMSTと同様に、一次元の走査露光を行うべくX軸方向に長いストロークと、走査方向と直交するY軸方向にステップ移動するための長いストロークとを有しており、図2に示すように、この基板ステージPSTをX軸方向及びY軸方向に移動する基板ステージ駆動部PSTDを備えている。基板ステージ駆動部PSTDは制御装置CONTにより制御される。更に、基板ステージPSTはZ軸方向、及びθX、θY、θZ方向にも移動可能となっている。
【0026】
図1に示すように、露光装置EXは、感光基板Pを支持する基板ステージPSTのX軸方向における位置を検出するXレーザ干渉計3xと、基板ステージPSTのY軸方向における位置を検出するYレーザ干渉計3yとを備えている。基板ステージPSTの−X側の端縁にはY軸方向に延在するX移動鏡4xが設けられ、−Y側の端縁にはX移動鏡4xに直交するようにX軸方向に延在するY移動鏡4yが設けられている。X移動鏡4xにはXレーザ干渉計3xが対向して配置されており、Y移動鏡4yにはYレーザ干渉計3yが対向して配置されている。Xレーザ干渉計3xはX移動鏡4xにレーザ光を照射しX移動鏡4xとの距離を検出する。Yレーザ干渉計3yはY移動鏡4yにレーザ光を照射しY移動鏡4yとの距離を検出する。レーザ干渉計3x、3yの検出結果は制御装置CONTに出力され、制御装置CONTはレーザ干渉計3x、3yの検出結果に基づいて、基板ステージPST(ひいては感光基板P)のX軸及びY軸方向における位置を求める。また、Xレーザ干渉計(もしくはYレーザ干渉計)を複数設けておくことにより、基板ステージPSTのθZ方向の回転量を求めることができる。制御装置CONTは、レーザ干渉計3x、3yの出力から基板ステージPSTの位置(姿勢)をモニタし、基板ステージ駆動部PSTDを制御することで基板ステージPSTを所望の位置(姿勢)に設定する。
【0027】
図1に示すように、マスクMの走査方向両側(±X側)には複数のマーク(マーク群)を有するマーク形成領域27、28が設けられている。−X側のマーク形成領域27にはY軸方向に所定間隔で並ぶ複数のマーク30(30a〜30f)が形成されている。一方、+X側のマーク形成領域28にはY軸方向に所定間隔で並ぶ複数のマーク31(31a〜31f)が形成されている。また、基板ステージPSTの走査方向片側(−X側)の所定位置にはY軸方向に沿って延在する基準部材29が設けられており、基準部材29にはY軸方向に所定間隔で並ぶマーク40(40a〜40f)が形成されている。以下の説明において、マスクMに形成されたマーク30及び31を適宜「マスク側AISマーク」と称する。また、基板ステージPSTに形成されたマーク40を適宜「基板側AISマーク」と称する。
【0028】
図2に示すように、基準部材29に形成された基板側AISマーク40のZ軸方向における形成位置(高さ)は感光基板Pの表面(露光面)と略一致するように設定されている。また、マスク側AISマーク30、31はマスクMの特定位置(例えば中心位置)に対して所定の位置関係で設けられている。基準部材29の下方には、基板ステージPSTに埋設されるように、基準部材29を通過した光を受光可能なAIS受光系(計測装置)60が設けられている。AIS受光系60は、レンズ系61と、レンズ系61を介した光を受光するCCDからなる撮像素子62とを備えている。AIS受光系60(撮像素子62)の受光結果は制御装置CONTに出力されるようになっている。
【0029】
図3はマスク側AISマーク30、31及び基板側AISマーク40と投影光学系PLa〜PLeとの位置関係を説明するための模式図である。
図3において、感光基板P上での投影光学系PLa〜PLeの投影領域50a〜50eのそれぞれは、所定形状、本実施形態では台形形状に設定され、投影領域50a、50c、50eと、投影領域50b、50dとがX軸方向に対向して配置されている。さらに、投影領域50a〜50eは隣り合う投影領域の継ぎ部どうしがY軸方向に重なり合うように並列配置される。ここで、継ぎ部とは、台形状の各投影領域50a〜50eの三角形状の領域pa〜pjである。そして、投影領域50a〜50eの継ぎ部pa〜pjどうしをY軸方向に重なり合うように並列配置することにより、X軸方向の投影領域の幅の総計がほぼ等しくなるように設定されている。こうすることにより、X軸方向に走査露光したときの露光量が等しくなるようになっている。このように、各投影光学系PLa〜PLeによる投影領域50a〜50eのそれぞれが重なり合う重複領域(継ぎ部)を設けることにより、継ぎ部における光学収差の変化や照度変化を滑らかにすることができる。なお、投影領域50aの+Y方向の継ぎ部pa及び投影領域50eの−Y方向の継ぎ部pjは、1回目の走査露光後、Y軸方向にステップ移動して2回目の走査露光行う際、投影領域どうしをつなぎ合わせる際に重複される。そして、AISマーク30a〜30f、31a〜31f、40a〜40fのそれぞれは、投影領域50a〜50eの各継ぎ部pa〜pjに入るように配置されている。つまり、マスク側AISマーク30a〜30f(31a〜31f)と基板側AISマーク40a〜40fとは互いに対をなすように同じ間隔で形成されている。
【0030】
図4は、AIS受光系60がAISマーク検出を行っている状態を示す図である。図4に示すように、制御装置CONTは、いわゆるスルー・ザ・レンズ(TTL)方式により、AIS受光系60(撮像素子62)でマスク側AISマーク30(31)と基板側AISマーク40とを検出し、この検出結果に基づいてマスクMと基板ステージPSTとの相対位置を求める。具体的には、制御装置CONTは、撮像素子62でマスク側AISマーク30(31)の像と基板側AISマーク40の像とが一致するようにマスクステージMST及び基板ステージPSTを移動し、照明光学系ILでマスク側AISマーク30(31)を照明する。マスクMを通過した照明光(露光光)は投影光学系PLを通過するとともに基板側AISマーク40を通過し撮像素子62に導かれる。制御装置CONTは投影光学系PLa〜PLeを介してマスク側AISマーク30(31)及び基板側AISマーク40の相対位置(位置ずれ量)を計測することにより、投影光学系PLa〜PLeの各結像特性(シフト、スケーリング、ローテーション)を計測する。制御装置CONTは求めた結像特性の計測結果に基づいて、投影光学系PLa〜PLeの結像特性が精度保証範囲内になるように補正量を求め、求めた補正量に基づいて上記補正機構5、6、7、11、21を駆動して結像特性を補正する。図4には、マスク側AISマーク30と基板側AISマーク40とを同時に検出する状態が示されているが、マスクステージMSTを移動することで、マスク側AISマーク31と基板側AISマーク40とを同時に計測することもできる。そして、マスク側AISマーク30、31のそれぞれに関する計測結果に基づいて、制御装置CONTはマスクMのマスクステージMST上における所望の位置に対する置き位置ずれ(θZ方向の位置ずれ)やマスクMの膨張量に関する情報を求めることができる。
【0031】
次に、上述した露光装置EXを用いてマスクMのパターンを感光基板Pに露光する方法について図5〜図8のフローチャート図を参照しながら説明する。
図5は露光処理全体の手順を示すフローチャート図である。図5に示すように、オペレータから露光処理開始が指示されると(ステップS1)、制御装置CONTは、露光処理準備として、投影光学系PLa〜PLeに対する第1回目のレンズキャリブレーション処理を実行する(ステップS2)。
第1回目のレンズキャリブレーション処理が終了したら、デバイス製造のためのマスクM及び感光基板PがマスクステージMST及び基板ステージPSTのそれぞれに搬送される。そして、マスクMと感光基板Pとのアライメント処理が行われた後、制御装置CONTは照明光学系ILによりマスクMを露光光ELで照明し、マスクMのパターンを投影光学系PLを介して感光基板Pに転写する(ステップS3)。
露光処理を継続して行うと、投影光学系PLの結像特性は露光光の照射熱や設置空間の圧力変化などにより経時的に変動する。投影光学系PLの結像特性が変化すると、感光基板P上における結像特性、すなわち、感光基板P上における各投影光学系PLa〜PLeの投影像の像配列(投影領域50a〜50eどうしの相対位置)が変化し、感光基板P上でのパターンの目標位置に対する位置誤差が生じる。更に、露光光の照射熱によるマスクの膨張等、他の経時的要因によっても感光基板P上でのパターンの位置誤差が生じる。
制御装置CONTは、投影光学系PLa〜PLeの結像特性を一定の精度保証範囲に収めるように、第1回目のキャリブレーション処理から所定時間後、あるいは感光基板Pを所定枚数露光処理後、投影光学系PLa〜PLeに対する第2回目のキャリブレーション処理を実行する(ステップS4)。
そして、第2回目のキャリブレーション処理が終了したら、感光基板Pに対する露光処理が再開される(ステップS5)。
そして、露光処理を行い、第2回目のキャリブレーション処理から所定時間後、あるいは感光基板Pを所定枚数露光処理後、第3回目のキャリブレーション処理が実行される(ステップS6)。
そして、第3回目のキャリブレーション処理が終了したら露光処理が行われる(ステップS7)。
以下、キャリブレーション処理と露光処理とは交互に行われ、キャリブレーション処理は所定時間間隔毎あるいは所定基板処理枚数毎に実行される。
【0032】
図6は第1回目のキャリブレーション処理(すなわち図5のステップS2)のフローチャート図である。
キャリブレーション処理において、制御装置CONTは投影光学系PLの結像特性を計測し、投影光学系PLの結像特性が精度保証範囲内になるような補正量を設定し、設定した補正量に基づいて投影光学系PLのキャリブレーションを行う。
投影光学系PLに対するキャリブレーション処理の実行が指示されると(ステップSA1)、まず、制御装置CONTはマスクステージMST及び基板ステージPSTのそれぞれをマーク計測位置に移動する(ステップSA2)。
具体的には、まず、投影光学系PLa、PLc、PLeの結像特性を計測するために、制御装置CONTは、マスク側AISマーク30及び基板側AISマーク40が、投影光学系PLa、PLc、PLeの投影領域50a、50c、50e内で重なる位置(マーク計測位置)にマスクステージMST及び基板ステージPSTを移動させる。このとき、両マーク30、40を継ぎ部pa、pb、pe、pf、pi、pjに配置させる。
【0033】
次いで、制御装置CONTは、AIS受光系60を用いて、マスク側AISマーク30と基板側AISマーク40との相対位置である位置ずれ量を計測し、投影光学系PLa、PLc、PLeの結像特性を計測する(ステップSA3)。
すなわち、照明光学系ILからの露光光ELによりマスク側AISマーク30を投影光学系PLa、PLc、PLeを介して基板側AISマーク40上に結像させ、この結像されたマスク側AISマーク30の投影像と基板側AISマーク40とを、AIS受光系60(撮像素子62)で撮像する。マスク側AISマーク30と基板側AISマーク40との相対位置を計測することにより、投影光学系PLa、PLc、PLeのそれぞれの結像特性(シフト、スケーリング、ローテーション)が求められる。
【0034】
AIS受光系60の計測結果は制御装置CONTに出力され、制御装置CONTは、AIS受光系60による結像特性の計測結果に基づいて、投影光学系PLa、PLc、PLeのそれぞれの結像特性を補正(較正)するための補正量を求める(ステップSA4)。
【0035】
制御装置CONTは、AIS受光系60の計測結果からマスク側AISマーク30及び基板側AISマーク40の位置ずれ量を求める。制御装置CONTは、AIS受光系60による投影光学系PLa、PLc、PLeの結像特性の計測結果に基づいて、位置ずれ量の2乗値が最小となる値(目標値、目標位置)を求め、この目標値に対する投影光学系PLa、PLc、PLeのそれぞれの結像特性を補正するための補正量を求める。ここで、上記補正量は、上述した補正機構の駆動装置5Ad、5Bd、6Ad、6Bd、7d、11d、21dの駆動量を含む。そして、制御装置CONTは求めた補正量に基づいて、投影光学系PLa、PLc、PLeの結像特性の補正(投影像の像配列補正)を行う(ステップSA5)。
【0036】
一方、投影光学系PLb、PLdの結像特性の計測を行う際には、制御装置CONTは、マスクステージMST及び基板ステージPSTを移動し、マスク側AISマーク30及び基板側AISマーク40を投影光学系PLb、PLdの投影領域50b、50d内で重なる位置に移動させる。具体的には、マスク側AISマーク30及び基板側AISマーク40を、投影領域50a、50bの継ぎ部pc、pd、pg、phに配置させる。そして、上記と同様の手順でAIS受光系60で、結像されたマスク側AISマーク30と基板側AISマーク40とを撮像し、これらマークの位置ずれ量を求め、投影光学系PLb、PLeを較正するための補正量を求め、求めた補正量に基づいて投影光学系PLb、PLdの結像特性の補正(投影像の像配列補正)を行う。
【0037】
次いで、制御装置CONTは不図示の搬送装置を用いてマスクMをマスクステージMSTにロードするとともに感光基板Pを基板ステージPSTにロードする。そして、制御装置CONTはマスクMと感光基板PとをX軸方向に同期移動しつつマスクMのパターンを上記キャリブレーション処理を施された投影光学系PLa〜PLeを介して感光基板Pに試験的に露光(テスト露光)する(ステップSA6)。
テスト露光では、制御装置CONTは、まずマスクMを支持したマスクステージMSTを停止した状態で、感光基板Pを支持した基板ステージPSTのみをX軸方向に走査しつつ露光処理し、感光基板P上に第1層目のパターンを形成する。次いで、制御装置CONTは、マスクMを支持したマスクステージMSTと感光基板Pを支持した基板ステージPSTとをX軸方向に同期移動しつつマスクMのパターン(第2層目のパターン)を感光基板Pに形成されている第1層目のパターンに重ね合わせる。そして、制御装置CONTは、感光基板Pに形成された第1層目のパターン形状及び第2層目のパターン形状をパターン形状計測装置102で計測する。
【0038】
制御装置CONTは、パターン形状計測装置102による感光基板P上での第1層目及び第2層目それぞれのパターン形状計測結果に基づいて、X軸方向に移動するマスクM(マスクステージMST)の位置に応じた投影光学系PLの感光基板P上での結像特性を計測する(ステップSA7:第1計測ステップ、計測ステップ)。
すなわち、感光基板P上での結像特性がマスクステージMSTの移動により変動しない場合には、第1層目のパターンと第2層目のパターンとは所望の状態に重ね合わせられるが、例えば、マスクMやマスクステージMSTに撓み変形が生じていたり、あるいはマスクステージMSTの移動によりマスクステージMSTを支持する露光装置のコラム(支持台)に撓み変形が生じると、第1層目のパターンと第2層目のパターンとは例えば走査方向中央部近辺で所望の状態に重なり合わない。したがって、制御装置CONTはパターン形状計測装置102を用いて第1層目及び第2層目のパターン形状を計測することにより、移動するマスクM(マスクステージMST)の位置に応じた投影光学系PLの感光基板P上での結像特性を計測することができる。これにより、制御装置CONTは、X軸方向にマスクMと感光基板Pとを同期移動する際、マスクMのパターンを感光基板P上に投影光学系PLを介して投影される投影像のX軸方向の各位置での第1層目のパターンに対する第2層目のパターンの位置ずれを計測できる。
【0039】
制御装置CONTは、ステップSA7で計測した計測結果に基づいて、投影光学系PLの結像特性を補正するための第1補正量を設定装置100を用いて設定する(ステップSA8:第1設定ステップ)。
第1補正量はX軸方向に移動するマスクステージMSTの位置に依存した結像特性変動に対する補正量である。設定装置100は、同期移動方向での各位置における投影光学系PLの結像特性が精度保証範囲内になるように投影光学系PLの結像特性を補正するための補正量(上記駆動装置5Ad、5Bd、6Ad、6Ad、7d、11d、21d等の駆動速度及び駆動量)を設定する。
【0040】
設定した第1補正量は制御装置CONTに接続された記憶装置103に記憶される(ステップSA9)。以上で、第1回目のキャリブレーション処理が終了する(ステップSA10)。
【0041】
図7は露光処理(すなわち図5のステップS3)のフローチャート図である。第1回目のキャリブレーション処理が終了し、デバイスを製造するための露光処理の開始が指示されたら(ステップSB1)、制御装置CONTは、ステップSA8で設定した第1補正量に基づいて、X軸方向に移動するマスクM(マスクステージMST)の位置に合わせて投影光学系PLに設けられた補正機構を用いて結像特性を補正しつつ、照明光学系ILによりマスクMを露光光ELで照明し、感光基板Pに第1層目のパターン(第1のパターン)を転写する(ステップSB2)。
制御装置CONTは、レーザ干渉計1x、3xによるステージ位置検出結果に基づいて投影光学系PLa〜PLeの補正機構を駆動する。
【0042】
制御装置CONTはパターン形状計測装置102を用いて感光基板Pに形成された第1層目のパターン(第1のパターン)の形状を計測する(ステップSB3)。
制御装置CONTは、第1層目のパターンの形状計測結果が、予め設定されているパターンの目標形状に対して許容範囲内にあるかどうかを判別する(ステップSB4)。
ここで、前記許容範囲とは、製造したデバイスが所望の性能を発揮できるかどうかに基づいて設定されたものであり、この許容範囲に関する情報は記憶装置103に予め記憶されている。制御装置CONTは記憶装置103に記憶されている前記情報とパターン形状計測結果とを比較し、パターン形状計測結果が許容範囲内にあるかどうかを判別する。
【0043】
ステップSB4において、パターン形状計測結果が目標形状に対して大きく異なる(許容範囲外である)と判断した場合、制御装置CONTは、結像特性の補正動作を再度実行する。すなわち、ステップS2に戻る。このとき、制御装置CONTは、報知装置101を用いて第1層目のパターンを感光基板Pに転写する際の結像特性の補正動作を再度行うように報知する(ステップSB5)。
このように、制御装置CONTは第1層目のパターン形状計測結果が許容範囲外である場合には所望の性能を発揮できるデバイスが製造されないと判断し、第1層目のパターンを転写する際の補正量の再設定動作を行う。
【0044】
一方、ステップSB4において、パターン形状計測結果が目標形状に対して許容範囲内であると判断した場合、制御装置CONTは、感光基板P上の第1層目のパターンに対して第2層目のパターン(第2のパターン)を重ね合わせる露光処理を行う(ステップSB6)。
ここで、第2層目のパターンを感光基板Pに露光する際、制御装置CONTは、ステップSB3で計測した第1層目のパターンの形状計測結果に基づいて、第2層目のパターンを感光基板Pに露光する際の投影光学系PLa〜PLeの結像特性に関する補正量を再設定し、再設定した補正量に基づいて結像特性を補正しつつ露光処理する。すなわち、既に形成されている第1層目のパターンに対して第2層目のパターンを所定の精度で重ね合わせることができるように、投影光学系PLa〜PLeの結像特性を補正しつつ露光処理が行われる。これにより、第1層目と第2層目とのパターンの重ね合わせ精度を向上できる。
以下、同様の手順で感光基板P上に複数のパターンが順次積層されることによりデバイスが製造される(ステップSB7)。
【0045】
図8は第2回目のキャリブレーション処理(すなわち図5のステップS4)のフローチャート図である。
露光処理を継続して行うと、投影光学系PLa〜PLeは露光光の照射熱や設置空間の圧力変化などにより結像特性を経時的に変動させる。すると、感光基板P上に転写されるパターンの結像特性が変化する。投影光学系PLa〜PLeの結像特性が変化すると、各投影光学系PLa〜PLeの投影像の基板上での像配列(投影領域どうしの相対位置)が変化し、基板上でのパターンの目標位置に対する位置誤差が生じる。更に、露光光の照射熱によりマスクが膨張するなど、他の経時的要因によっても感光基板P上でのパターンの位置誤差が生じる。
【0046】
制御装置CONTは、投影光学系PLの結像特性を一定の精度保証範囲に収めるように、第1回目のキャリブレーション処理(すなわちステップS2)から所定時間後、あるいは感光基板Pを所定枚数露光処理後、投影光学系PLa〜PLeに対する第2回目のキャリブレーション処理を開始する(ステップSC1)。具体的には、上述した手順同様、まず、マスクステージMST及び基板ステージPSTがマーク計測位置に移動される(ステップSC2)。
【0047】
次いで、制御装置CONTは、投影光学系PLを介したマスクMの−X側に設けられているマスク側AISマーク30と基板側AISマーク40との相対位置をAIS受光系60を用いて計測する。次いで、制御装置CONTは、マスクステージMST及び基板ステージPSTを移動し、投影光学系PLを介したマスクMの+X側に設けられているマスク側AISマーク31と基板側AISマーク40との相対位置をAIS受光系60を用いて計測する。制御装置CONTは、マーク検出結果に基づいて、ステップS2同様、投影光学系PLa〜PLeそれぞれの結像特性を計測する(ステップSC3:第2計測ステップ、像位置計測ステップ)。
【0048】
マーク検出検出結果に基づいて投影光学系PLa〜PLeそれぞれの基板上での結像特性を計測することで、制御装置CONTは各投影光学系PLa〜PLeの感光基板P上における投影像の像配列(投影像の相対位置)、すなわち、感光基板P上における目標位置に対するパターンの位置誤差を求める。こうして、制御装置CONTは投影光学系PLa〜PLeで投影される投影像の光学的な位置ずれを定期的に計測する。更に、制御装置CONTは、マスク側AISマーク30及び31のそれぞれに関する計測結果に基づいて、マスクMの膨張に関する情報やマスクMのマスクステージMSTに対する置き位置ずれ(θZ方向の位置ずれ)を計測することができる。これにより、マスクMの膨張(あるいは置き位置ずれ)に起因する感光基板P上における目標位置に対するパターンの位置誤差を計測することができる。ここで、投影像の像配列の変動によるパターンの位置誤差や、マスクMの膨張により生じるパターンの位置誤差は、露光光の照射熱など経時的要因で生じるものである。
【0049】
制御装置CONTは、ステップSC3で計測した結像特性の計測結果(パターンの位置誤差の計測結果)に基づいて、投影光学系PLa〜PLeの結像特性を精度保証範囲内に納めるための第2補正量を設定する。ここで設定する第2補正量は、上述したように投影像の像配列やマスクMの膨張分に対する補正量、すなわちパターンの位置誤差を補正するための補正量である(ステップSC4:第2設定ステップ)。
【0050】
そして、第2回目のキャリブレーション処理では、第1回目のキャリブレーション処理のようなテスト露光は行わない。すなわち、移動するマスクMの同期移動方向での各位置に応じた投影光学系PLa〜PLeの感光基板P上での結像特性の変動は、マスクMやマスクステージMSTの撓み変形等に起因するものであって、経時的に変化するものではなく、マスクM(マスクステージMST)の位置に依存するものである。したがって、ここでは経時的に生じるパターンの位置誤差に対する補正量(第2補正量)の再設定は行うが、マスクMの位置に応じた結像特性の変動に対する補正量(第1補正量)の再設定は行わない。そして、マスクMの位置に応じた結像特性に対する補正量には、第1回目のキャリブレーション処理のステップSA6で設定し記憶装置103に記憶されている第1補正量が用いられる。
【0051】
また、マスク位置に依存した誤差に対する補正量とした際には、マスク全面でのパターンの位置誤差を求めるのではなく、第2回目のキャリブレーションはマスクMの数点の位置、例えば両サイドにあるパターンの位置を計測し、マスクMの中間位置にあるパターンの位置誤差を計測点の数に応じて補間して求める。2点の場合、一次直線補間を行い、補正量(第2補正量)としてもよい。
【0052】
制御装置CONTは、ステップSC4で新たに設定した第2補正量とステップSA8で設定し記憶装置103に記憶されている第1補正量とに基づいて、パターンの位置誤差とマスクMの位置に依存した感光基板P上での結像特性とを合わせた補正量を設定する(ステップSC5:補正ステップ、補正演算ステップ)。すなわち、制御装置CONTは、投影光学系PLa〜PLeの結像特性(光学特性)を補正するために設定した第2補正量に基づいて、次の露光処理で用いるX軸方向における複数の各位置での位置ずれに対する第1補正量を補正演算する。以上で第2回目のキャリブレーション処理が終了される(ステップSC6)。
【0053】
次の露光処理(図5のステップS5)では、第1及び第2補正量に基づいて、パターンの位置誤差とマスクMの位置に応じた感光基板P上での結像特性とを合わせて補正しつつ露光処理が実行される。つまり、制御装置CONTは、同期移動の移動時に、前記第1補正量をステップSC4で設定した第2補正量に基づいて補正し、露光処理する。
そして、第3回目以降のキャリブレーション処理では上述した第2回目のキャリブレーション処理と同様の処理が実行される。
【0054】
以上説明したように、マスクの位置に依存した投影光学系の基板上での結像特性の変動に対する第1補正量を予め求めておき、定期的に実行されるキャリブレーション処理時にはパターンの位置誤差に対する第2補正量を設定するための計測動作のみを行い、予め求めておいた第1補正量を新たに設定した第2補正量で補正演算し、補正演算された結果を用いて投影光学系PLa〜PLeの結像特性を補正しつつ露光処理するようにしたので、キャリブレーション処理全体の処理時間を短縮することができる。したがって、キャリブレーション処理の度にテスト露光を行わなくても投影光学系の結像特性を精度保証範囲内に納めて露光処理できる。
【0055】
ところで、マスクステージMSTのY軸方向の位置を計測する際に用いるレーザ干渉計の移動鏡2yが水平方向(Y軸方向)に撓んでいると、上記移動鏡2yの撓みに起因してレーザ干渉計1yの出力値に誤差が生じ、図9に示す模式図のように、マスクステージMSTの走査方向への移動軌跡がY軸方向に湾曲するといった不都合が生じる場合がある。このような不都合はマスクステージMSTの移動に伴って前記コラムが水平方向(Y軸方向)に撓む場合にも生じる。ここで、上記移動軌跡は経時的に変化しない。制御装置CONTは前記移動軌跡を補正するために、まず、上述したステップSA6のテスト露光で感光基板P上に形成されたパターン形状を計測する。次いで、制御装置CONTは、上述したステップSA7において、前記パターン形状計測結果に基づいてX軸方向に移動するマスクMのY軸方向の位置を含む移動軌跡を求める(位置計測ステップ)。そして、制御装置CONTは、上述したステップSA8において、位置計測ステップの計測結果に基づいてX軸方向に移動するマスクステージMST(マスクM)のY軸方向における位置補正量を設定する(第3設定ステップ)。この位置補正量は湾曲するように移動するマスクステージMSTを直線状に移動させるための補正量であって、マスクステージ駆動部MSTDのY軸方向への駆動量を含む。設定された位置補正量は記憶装置103に記憶される(ステップSA9)。そして、露光処理を行う際には、第3設定ステップで設定した位置補正量に基づいてマスクM(マスクステージMST)のY軸方向における位置(移動軌跡)をマスクステージ駆動部MSTDを介して補正しつつ露光処理を行う。
【0056】
マスクステージMSTのY軸方向への位置変動(移動軌跡)をマスクステージ駆動部MSTDで補正することにより、投影光学系PLの補正機構の駆動量を抑えることができる。すなわち、マスクステージMSTの移動軌跡をマスクステージ駆動部MSTDで補正しない場合、移動軌跡の湾曲が大きいと、例えば投影像をY軸方向にシフトするシフト補正機構5Bの駆動量を大きくしなければならず、設定した補正量が補正機構5Bの駆動装置5Bdの駆動限界を超えてしまう場合も考えられる。しかしながら、マスクステージMSTの移動軌跡をマスクステージ駆動部MSTDの駆動で補正することにより、上記シフト補正機構5Bの駆動量を抑えることができ、移動軌跡の湾曲が大きい場合であっても、感光基板Pの走査方向における各位置において精度良い露光処理を行うことができる。
なお、ここではマスクステージMSTの移動軌跡をマスクステージ駆動部MSTDの駆動量を補正することで補正するように説明したが、レーザ干渉計の計測結果を補正することでマスクステージMSTの移動軌跡を補正するようにしてもよい。更には、レーザ干渉計の計測結果を補正することでマスクステージMSTの移動軌跡の補正の一部を行い、残りの一部をシフト調整機構で補正するといった構成とすることもできる。
【0057】
上記実施形態では、複数並んだ投影光学系PLa〜PLeのそれぞれに関して補正量を設定し、結像特性を個別に補正する構成であるが、例えば複数の投影光学系PLa〜PLeを複数のグループに分け、グループ毎に補正量の平均値を求め、求めた平均値に基づいて結像特性を補正するようにしてもよい。これにより結像特性の計測誤差を低減することができる。
【0058】
上記各実施形態において、投影光学系の結像特性を計測する際に用いるマークはマスク及び基板ステージのそれぞれに設けられている構成であるが、マスクステージや感光基板にマークを設けてもよい。
【0059】
上記実施形態の露光装置EXとして、マスクMと感光性基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを露光する走査型の露光装置の他に、マスクMと感光性基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを露光し、感光性基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート型の露光装置に適用することもできる。
【0060】
露光装置EXの用途としては角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを露光する液晶用の露光装置に限定されることなく、例えば、半導体製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッドを製造するための露光装置にも広く適当できる。
【0061】
本実施形態の露光装置EXの光源1は、g線(436nm)、h線(405nm)、i線(365nm)のみならず、KrFエキシマレーザ(248nm)、ArFエキシマレーザ(193nm)、F2レーザ(157nm)を用いることもできる。
【0062】
投影光学系PLの倍率は、等倍系のみならず縮小系および拡大系のいずれでもよい。投影光学系PLとしては、エキシマレーザなどの遠紫外線を用いる場合は硝材として石英や蛍石などの遠紫外線を透過する材料を用い、F2レーザやX線を用いる場合は反射屈折系または屈折系の光学系にする。
【0063】
基板ステージPSTやマスクステージMSTにリニアモータを用いる場合は、エアベアリングを用いたエア浮上型およびローレンツ力またはリアクタンス力を用いた磁気浮上型のどちらを用いてもいい。また、ステージは、ガイドに沿って移動するタイプでもいいし、ガイドを設けないガイドレスタイプでもよい。
【0064】
ステージの駆動装置として平面モ−タを用いる場合、磁石ユニット(永久磁石)と電機子ユニットのいずれか一方をステージに接続し、磁石ユニットと電機子ユニットの他方をステージの移動面側(ベース)に設ければよい。
【0065】
基板ステージPSTの移動により発生する反力は、特開平8−166475号公報に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。本発明はこのような構造を備えた露光装置においても適用可能である。
【0066】
マスクステージMSTの移動により発生する反力は、特開平8−330224号公報に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。本発明は、このような構造を備えた露光装置においても適用可能である。
【0067】
以上のように、本願実施形態の露光装置は、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0068】
半導体デバイスは、図10に示すように、デバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスクを製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、前述した実施形態の露光装置によりマスクのパターンを基板に露光する基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
【0069】
【発明の効果】
本発明によれば、移動するマスクの位置に応じた投影光学系の基板上での結像特性と、経時的に生じるパターンの位置誤差とを合わせて補正するようにしたので、基板やステージが大型化して撓み等の非線形な変形が生じても、走査方向の各位置において精度良い露光処理を生産性良く実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の露光装置の一実施形態を示す概略斜視図である。
【図2】本発明の露光装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【図3】マスク及び基板ステージに設けられたマーク群と投影領域との位置関係を説明するための模式図である。
【図4】マーク計測動作を示す模式図である。
【図5】本発明の露光方法の一実施形態を示すフローチャート図である。
【図6】第1回目のキャリブレーション処理手順の一例を示すフローチャート図である。
【図7】露光処理手順の一例を示すフローチャート図である。
【図8】第2回目以降のキャリブレーション処理手順の一例を示すフローチャート図である。
【図9】マスクステージの移動軌跡を示す模式図である。
【図10】半導体デバイスの製造工程の一例を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
1y…Yレーザ干渉計(位置計測装置)、5…シフト調整機構(補正機構)、
6…像面調整機構(補正機構)、7…スケーリング調整機構(補正機構)、
11、12…ローテーション調整機構(補正機構)、
60…AIS受光系(計測装置)、100…設定装置、101…報知装置、
102…パターン形状計測装置(計測装置)、CONT…制御装置、
EL…露光光、EX…露光装置、M…マスク、MST…マスクステージ、
P…感光基板(基板)、PL(PLa〜PLe)…投影光学系、
PST…基板ステージ
Claims (10)
- マスクと感光性の基板とを第1の方向に同期移動しつつ露光光により前記マスクのパターンを投影光学系を介して前記基板に転写する露光方法において、
前記移動するマスクの位置に応じた前記投影光学系の前記基板上での結像特性を計測する第1計測ステップと、
前記第1計測ステップの計測結果に基づいて前記投影光学系の結像特性を補正するための第1補正量を設定する第1設定ステップと、
経時的に生じる前記マスクのパターンの位置誤差を前記投影光学系を介して計測する第2計測ステップと、
前記第2計測ステップの計測結果に基づいて前記位置誤差を補正するための第2補正量を設定する第2設定ステップと、
前記設定した前記第1及び第2補正量に基づいて、前記投影光学系の結像特性と前記位置誤差とを合わせて補正する補正ステップとを有することを特徴とする露光方法。 - 前記移動する前記マスクの位置に合わせて前記投影光学系に設けられた補正機構を用いて前記結像特性を補正しつつパターン転写することを特徴とする請求項1記載の露光方法。
- 前記移動する前記マスクの前記第1の方向と交差する第2の方向の位置を計測する位置計測ステップと、
前記位置計測ステップの計測結果に基づいて前記マスクの前記第2の方向における位置補正量を設定する第3設定ステップとを有し、
前記補正ステップは、前記設定した前記位置補正量に基づいて前記マスクの前記第2の方向における位置を補正する動作を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の露光方法。 - 前記基板上に形成された第1のパターンに第2のパターンを重ね合わせる際、前記第1のパターン形状を計測し、該計測結果に基づいて前記第2のパターンを前記基板に転写する際の前記補正量を設定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の露光方法。
- 予め設定されたパターンの目標形状に対して前記第1のパターンの形状計測結果が許容範囲外である場合に、前記第1のパターンを前記基板に転写する際の前記補正動作を再度行うように報知装置で報知することを特徴とする請求項4記載の露光方法。
- 前記投影光学系は複数並んで設けられており、
前記複数の投影光学系を複数のグループに分け、該グループ毎に前記補正量の平均値を求めて補正動作を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の露光方法。 - マスクと感光性の基板とを所定の方向に同期移動しつつ露光光により前記マスクのパターンを投影光学系を介して前記基板に転写する露光方法において、
前記所定の方向に同期移動する際、前記マスクのパターンを前記基板上に前記投影光学系を介して投影される像の前記所定の方向での複数の各位置での位置ずれを計測する計測ステップと、
前記計測ステップで求められた位置ずれの補正量を同期移動の移動時に補正する補正ステップと、
定期的に前記投影光学系で投影される前記像の光学的な位置ずれを計測する像位置計測ステップと、
前記像位置計測ステップで計測された結果を用いて、前記投影光学系の光学特性を補正するとともに、前記補正ステップで用いる前記位置ずれの補正量を補正演算する補正演算ステップとを有することを特徴とする露光方法。 - 前記像位置計測ステップは、前記マスクに設けられた複数のマーク群を用いて計測することを特徴とする請求項7記載の露光方法。
- マスクと感光性の基板とを第1の方向に同期移動しつつ露光光により前記マスクのパターンを投影光学系を介して前記基板に転写する露光装置において、
前記マスクを支持して移動するマスクステージと、
前記移動する前記マスクステージの位置に応じた前記投影光学系の前記基板上での結像特性を計測する計測装置と、
前記計測装置の計測結果に基づいて前記投影光学系の結像特性を補正するための第1補正量を設定する設定装置と、
前記設定した前記第1補正量に基づいて、前記投影光学系の結像特性を補正する制御装置とを備え、
前記計測装置は、経時的に生じる前記マスクのパターンの位置誤差を前記投影光学系を介して計測し、
前記設定装置は、前記経時的に生じた前記マスクのパターンの位置誤差を前記計測装置で計測した計測結果に基づいて前記位置誤差を補正するための第2補正量を設定し、
前記制御装置は、前記設定した前記第1及び第2補正量に基づいて、前記投影光学系の結像特性と前記位置誤差とを合わせて補正することを特徴とする露光装置。 - 前記移動する前記マスクステージの前記第1の方向と交差する第2の方向の位置を計測する位置計測装置を備え、
前記設定装置は、前記位置計測装置の計測結果に基づいて前記マスクステージの前記第2の方向における位置補正量を設定し、
前記制御装置は、前記設定した前記位置補正量に基づいて前記マスクステージの前記第2の方向における位置を補正することを特徴とする請求項9記載の露光装置。
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