JP4172204B2 - 露光方法及び露光装置、デバイス製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マスクと基板とを同期移動してマスクのパターンを基板に露光する露光方法及び露光装置、並びにデバイス製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示デバイスや半導体デバイスは、マスク上に形成されたパターンを感光基板上に転写する、いわゆるフォトリソグラフィの手法により製造される。このフォトリソグラフィ工程で使用される露光装置は、感光基板を載置して2次元移動する基板ステージとパターンを有するマスクを載置して2次元移動するマスクステージとを有し、マスク上に形成されたパターンをマスクステージ及び基板ステージを逐次移動しながら投影光学系を介して感光基板に転写するものである。露光装置としては、感光基板上にマスクのパターン全体を同時に転写する一括型露光装置と、マスクステージと基板ステージとを同期走査しつつマスクのパターンを連続的に感光基板上に転写する走査型露光装置との2種類が主に知られている。このうち、液晶表示デバイスを製造する際には、表示領域の大型化の要求から走査型露光装置が主に用いられている。
【0003】
走査型露光装置には、複数の投影光学系を、隣り合う投影領域が走査方向で所定量変位するように、且つ隣り合う投影領域の端部(継ぎ部)どうしが走査方向と直交する方向に重複するように配置した、いわゆるマルチレンズ方式の走査型露光装置(マルチレンズスキャン型露光装置)がある。マルチレンズ方式の走査型露光装置は、良好な結像特性を維持しつつ、装置を大型化せずに大きな露光領域(パターン形成領域)を得ることができる。上記走査型露光装置における各投影光学系の視野絞りは、例えば台形形状で、走査方向の視野絞りの開口幅の合計は常に等しくなるように設定されている。そのため、隣り合う投影光学系の継ぎ部が重複して露光されるので、上記走査型露光装置は、投影光学系の光学収差や露光照度が滑らかに変化するという利点を有している。
【0004】
図19は、従来のマルチレンズスキャン型露光装置の一例を示す図である。
図19に示すように、露光装置EXJは、マスクMを支持するマスクステージMSTと、感光基板Pを支持する基板ステージPSTと、マスクステージMSTに支持されているマスクMを露光光ELで照明する照明光学系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターンの像を基板ステージPSTに支持されている感光基板Pに投影する複数の投影光学系PLa〜PLgとを備えている。投影光学系PLa、PLc、PLd、PLgと投影光学系PLb、PLd、PLfとは2列に千鳥状に配列されており、投影光学系PLa〜PLgのうち隣り合う投影光学系どうし(例えば投影光学系PLaとPLb、PLbとPLc)がX軸方向に所定量変位して配置されている。そして、投影光学系Pa〜PLgのそれぞれに対応する台形状の投影領域の継ぎ部が感光基板P上で重複する。マスクステージMSTの上方には、マスクMと感光基板Pとのアライメントを行うアライメント光学系500A、500Bが設けられている。アライメント光学系500A、500Bは、不図示の駆動機構によりY軸方向に移動可能となっており、アライメント処理時には照明光学系ILとマスクMとの間に進入するとともに、走査露光時には照明領域から退避するようになっている。アライメント光学系500A、500Bは、マスクMに形成されているマスクアライメントマークを検出するとともに、感光基板Pに形成されている基板アライメントマークを投影光学系PLa及びPLgを介して検出する。また、基板ステージPST上における−X側の端部にはY軸方向に延在する移動鏡502aが設けられ、−Y側の端部にはX軸方向に延在する移動鏡502bが設けられ、これら移動鏡502a、502bのそれぞれと対向する位置には、移動鏡502a、502bにレーザ光を照射することにより基板ステージPSTのX軸方向及びY軸方向における位置を検出可能なレーザ干渉計501a、501bがそれぞれ設けられている。
【0005】
上記露光装置EXJにより感光基板P上に4つのデバイス(パターン形成領域)PA1〜PA4を形成する場合について説明する。
露光装置EXJは、レーザ干渉計501a、501bで感光基板Pの位置を検出しつつアライメント光学系500A、500Bでパターン形成領域PA1〜PA4のそれぞれの4隅に設けられているアライメントマークm1〜m4を順次検出する。具体的には、露光装置EXJは、基板ステージPSTを所定位置に配置し感光基板P上の第1のパターン形成領域PA1の−X側の2つの基板アライメントマークm1、m2、及びこれに対応する不図示のマスクアライメントマークを、アライメント光学系500A、500Bにより投影光学系PLa及びPLgを介して検出する。次いで、露光装置EXJは基板ステージPSTを移動し、アライメント光学系500A、500Bでパターン形成領域PA1の+X側の2つの基板アライメントマークm4、m3を投影光学系PLa及びPLgを介して検出する。このマーク検出を行っている間、レーザ干渉計は基板ステージPST(感光基板P)の位置を検出している。第1のパターン形成領域PA1のアライメントマークm1〜m4を検出したら、露光装置EXJは、第1のパターン形成領域PA1のアライメントマークm1〜m4の検出動作同様、基板ステージPSTを移動してアライメント光学系500A、500Bにより第2のパターン形成領域PA2の基板アライメントマークm1、m2、及びこれに対応するマスクアライメントマークを検出し、次いで、基板アライメントマークm3、m4を検出する。このときもレーザ干渉計は感光基板Pの位置を検出している。以下、同様に、露光装置EXJは第3、第4のパターン形成領域PA3、PA4の基板アライメントマークm1〜m4を順次検出する。
【0006】
以上のようにして、露光装置EXJはマスクMと感光基板Pとのステップ移動を繰り返しながら感光基板P及びマスクMの位置をレーザ干渉計で検出しつつ各パターン形成領域PA1〜PA4のそれぞれのアライメントマークm1〜m4を検出する。そして、露光装置EXJは、アライメント光学系500A、500Bの検出結果に基づいて、各パターン形成領域毎のマスクMと感光基板Pとの位置誤差、及びシフト、ローテーション、スケーリング等の像特性を求め、この求めた誤差情報から補正値を算出し、この補正値に基づいて露光処理を行う。露光処理を行う際には、最後にアライメント処理を行ったパターン形成領域PA4に対する露光処理が行われる。すなわち、感光基板Pを支持した基板ステージPSTとマスクMを支持したマスクステージMSTとをX軸方向に同期移動しつつ、マスクMを露光光で照明することにより、感光基板Pのパターン形成領域PA4に対する露光処理が行われる。パターン形成領域PA4に対する露光処理が終了したら、以下、同様に、パターン形成領域PA3、PA2、PA1に対する走査露光処理が行われる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の露光装置及び露光方法には以下に述べる問題が生じるようになった。
上述した従来の方法は、レーザ干渉計で感光基板P(パターン形成領域PA1〜PA4)の位置を検出しながら各パターン形成領域PA1〜PA4に対応するアライメントマークm1〜m4を検出した後、パターン形成領域PA1〜PA4のそれぞれに対して露光処理する構成である。ここで、感光基板Pを大型化した場合、レーザ干渉計による各パターン形成領域PA1〜PA4の位置検出を行うために、感光基板Pの大型化に伴って移動鏡も大型化、すなわち長尺化する必要がある。しかしながら、移動鏡を長尺化すると移動鏡の反射面が撓んでしまう等、加工精度上問題が生じる。短い移動鏡をパターン形成領域のそれぞれに対応させて複数設置するとともにこれら移動鏡に対応して複数のレーザ干渉計を設け、これら複数のレーザ干渉計のうち感光基板P(パターン形成領域)の位置検出に用いるレーザ干渉計を切り替えながら位置検出することも考えられるが、切り替え誤差が発生して精度良い位置検出を行うことができなくなる場合がある。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、基板上に複数のパターン形成領域(デバイス)を形成する際に、これらパターン形成領域のそれぞれの位置検出及びアライメント処理を精度良く行って精度良い露光処理ができる露光方法及び露光装置、並びにデバイス製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため本発明は、実施の形態に示す図1〜図18に対応付けした以下の構成を採用している。
本発明の露光方法は、マスク(M)と基板(P)とを第1の方向(X)に同期移動して基板(P)に対してマスク(M)のパターンを露光する露光方法において、基板(P)を複数の露光領域(PA1〜PA9)のブロック(BR1〜BR3)に分割し、複数の露光領域(PA1〜PA9)のブロック(BR1〜BR3)毎にマスク(M)と基板(P)との位置合わせを行った後にマスク(M)のパターンを基板(P)に露光することを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、基板に露光する露光領域(パターン形成領域)を複数のブロックに分割し、アライメント(位置合わせ)処理及び露光処理をブロック毎に順次行う構成としたので、基板が大型化しても基板を複数のブロックに分割してそれぞれの処理を行えばよく、各ブロック毎に精度良いアライメント処理及び露光処理を行うことができる。そして、各ブロックに対する上記処理(アライメント処理及び露光処理)における位置検出動作は複数の位置検出装置を切り替えることなく1つの位置検出装置で行うことができるので、1つのブロックに対する処理(アライメント処理及び露光処理)において装置の切り替え誤差が生じない。
【0011】
本発明の露光装置(EX)は、マスク(M)と基板(P)とを第1の方向(X)に同期移動して基板(P)に対してマスク(M)のパターンを露光する露光装置において、第1の方向(X)に並べて配置され、基板(P)の第1の方向(X)と交差する第2の方向(Y)における位置を検出可能な複数の位置検出装置(Py1〜Py3)と、マスク(M)に対して基板(P)をアライメントするアライメント部(AL)と、基板(P)の位置に応じて複数の位置検出装置(Py1〜Py3)を切り替え制御するとともに、基板(P)に露光する露光領域(PA1〜PA9)に対応して複数の位置検出装置(Py1〜Py3)のうちの1つを選択して該位置検出装置の検出位置に基づきアライメント部(AL)でアライメントして露光する制御装置(CONT)とを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、位置検出装置を走査方向である第1の方向に複数並べて配置し、基板の位置に応じて複数の位置検出装置を切り替え制御するようにしたので、移動鏡が短くても基板の位置に応じて位置検出に用いる位置検出装置を切り替えることにより、複数の露光領域毎に位置検出を行うことができる。そして、複数の露光領域のうち第1の露光領域を露光する際、第1の位置検出装置の検出結果に基づいてアライメント部でアライメント処理した後に露光し、第2の露光領域を露光する際には第2の位置検出装置の検出結果に基づいてアライメント部でアライメント処理した後に露光することにより、1つの露光領域(パターン形成領域)に対する処理の際には複数の位置検出装置の切り替え動作を行わずに1つの位置検出装置で位置検出できるので、露光領域のそれぞれに関して位置検出装置の切り替え誤差を含ませることなく精度良い位置検出及び露光処理を行うことができる。
【0013】
本発明のデバイス製造方法は、上記記載の露光方法、あるいは上記記載の露光装置(EX)を用いて、マスク(M)に描いたデバイスパターンを基板(P)に露光する工程(204)と、該露光した基板(P)を現像する工程(204)とを含むことを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、複数の露光領域のブロック毎に高精度なアライメント処理及び露光処理ができるので、製造されるデバイスパターン精度を向上できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の露光装置について図1〜図7を参照しながら説明する。
図1は本発明の露光装置の一実施形態を示す概略斜視図、図2は概略構成図である。
図1及び図2において、露光装置EXは、パターンが形成されたマスクMを支持するマスクステージMSTと、感光基板Pを支持する基板ステージPSTと、マスクステージMSTに支持されたマスクMを露光光ELで照明する照明光学系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターンの像を基板ステージPSTに支持されている感光基板Pに投影する投影光学系PLと、感光基板Pに設けられているアライメントマークを検出するアライメント系(アライメント部)ALと、マスクMを支持するマスクステージMSTのX軸方向(第1の方向)における位置を検出する複数のレーザ干渉計(位置検出装置)Mx1、Mx2と、マスクステージMSTのY軸方向(第2の方向)における位置を検出するレーザ干渉計(位置検出装置)My1と、感光基板Pを支持する基板ステージPSTのX軸方向(第1の方向)における位置を検出する複数のレーザ干渉計(位置検出装置)Px1、Px2と、基板ステージPSTのY軸方向(第2の方向)における位置を検出する複数のレーザ干渉計(位置検出装置)Py1、Py2、Py3とを備えている。マスクステージMSTに支持されているマスクMと、基板ステージPSTに支持されている感光基板Pとは、投影光学系PLを介して共役な位置関係に配置される。照明光学系ILは複数、本実施形態では7つの照明系モジュールIM(IMa〜IMg)を有している。また、投影光学系PLも、照明系モジュールIMの数に対応して複数、本実施形態では7つの投影光学系PLa〜PLgを有している。投影光学系PLa〜PLgのそれぞれは、照明系モジュールIMa〜IMgのそれぞれに対応して配置されている。感光基板Pはガラスプレート(ガラス基板)に感光剤(フォトレジスト)を塗布したものである。
【0016】
ここで、本実施形態に係る露光装置EXは、露光光ELに対してマスクMと感光基板Pとを同期移動して走査露光する走査型露光装置であり、以下の説明において、投影光学系PLの光軸方向をZ軸方向、Z軸方向に垂直な方向でマスクM及び感光基板Pの同期移動方向をX軸方向(第1の方向、走査方向)、Z軸方向及びX軸方向(走査方向)と直交する方向をY軸方向(第2の方向、非走査方向)とする。また、X軸まわり、Y軸まわり、Z軸まわりのそれぞれの方向をθX方向、θY方向、θZ方向とする。
【0017】
図2に示すように、照明光学系ILは、超高圧水銀ランプ等からなる光源1と、光源1から射出された光束を集光する楕円鏡1aと、この楕円鏡1aによって集光された光束のうち露光に必要な波長の光束を反射し、その他の波長の光束を透過させるダイクロイックミラー2と、ダイクロイックミラー2で反射した光束のうち更に露光に必要な波長(通常は、g、h、i線のうち少なくとも1つの帯域)のみを通過させる波長選択フィルタ3と、波長選択フィルタ3からの光束を複数本、本実施形態では7本に分岐して、反射ミラー5を介して各照明系モジュールIMa〜IMgに入射させるライトガイド4とを備えている。
【0018】
照明系モジュールIMは複数、本実施形態ではIMa〜IMgの7つ設けられており(但し、図2においては、便宜上照明系モジュールIMgに対応するもののみ示している)、照明光学系IMa〜IMgのそれぞれは、X軸方向とY軸方向とに一定の間隔を持って配置されている。そして、これら複数の照明系モジュールIMa〜IMgのそれぞれから射出した露光光ELは、マスクM上の異なる小領域(照明光学系の照明領域)をそれぞれ照明する。
【0019】
照明系モジュールIMa〜IMgのそれぞれは、照明シャッタ6と、リレーレンズ7と、オプティカルインテグレータとしてのフライアイレンズ8と、コンデンサレンズ9とを備えている。照明シャッタ6は、ライトガイド4の光路下流側に、光路に対して進退自在に配置されている。照明シャッタ6は、光路を遮蔽したときにこの光路からの光束を遮光して、光路を解放したときに光束への遮光を解除する。照明シャッタ6には、この照明シャッタ6を光束の光路に対して進退移動させるシャッタ駆動部6aが接続されている。シャッタ駆動部6aは制御装置CONTにより制御される。
【0020】
また、照明系モジュールIMa〜IMgのそれぞれには光量調整機構10が設けられている。この光量調整機構10は、光路毎に光束の照度を設定することにより各光路の露光量を調整するものであって、ハーフミラー11と、ディテクタ12と、フィルタ13と、フィルタ駆動部14とを備えている。ハーフミラー11は、フィルタ13とリレーレンズ7との間の光路中に配置され、フィルタ13を透過した光束の一部をディテクタ12へ入射する。ディテクタ12のそれぞれは、常時、入射した光束の照度を独立して検出し、検出した照度信号を制御装置CONTへ出力する。
【0021】
図3に示すように、フィルタ13は、ガラス板13a上にCr等ですだれ状にパターンニングされたものであって、透過率がX軸方向に沿ってある範囲で線形に漸次変化するように形成されており、各光路中の照明シャッタ6とハーフミラー11との間に配置されている。
【0022】
これらハーフミラー11、ディテクタ12、及びフィルタ13は、複数の光路毎にそれぞれ配設されている。フィルタ駆動部14は制御装置CONTの指示に基づいてフィルタ13をX軸方向に移動する。そして、フィルタ13をフィルタ駆動部14により移動することで各光路毎の光量が調整される。
【0023】
光量調整機構10を透過した光束はリレーレンズ7を介してフライアイレンズ8に達する。フライアイレンズ8は射出面側に二次光源を形成し、コンデンサレンズ9を介してマスクMの照明領域を均一な照度で照射することができる。そして、コンデンサレンズ9を通過した露光光ELは、照明系モジュールのうち、直角プリズム16と、レンズ系17と、凹面鏡18とを備えた反射屈折型光学系15を通過した後、マスクMを所定の照明領域で照明する。マスクMは、照明系モジュールIMa〜IMgを透過した各露光光ELにより異なる照明領域でそれぞれ照明される。
【0024】
マスクMを支持するマスクステージMSTは、一次元の走査露光を行うべくX軸方向に長いストロークと、走査方向と直交するY軸方向に所定距離のストロークとを有している。図2に示すように、マスクステージMSTは、このマスクステージMSTをX軸方向及びY軸方向に移動するマスクステージ駆動部MSTDを備えている。マスクステージ駆動部MSTDは制御装置CONTにより制御される。
【0025】
図1に示すように、マスクステージMST上のX軸方向及びY軸方向のそれぞれの端縁には、直交する方向に移動鏡32a、32bがそれぞれ設けられている。移動鏡32aには、複数、本実施形態では2つのレーザ干渉計Mx1、Mx2が対向して配置されている。また、移動鏡32bにはレーザ干渉計My1が対向して配置されている。レーザ干渉計Mx1、Mx2のそれぞれは移動鏡32aにレーザ光を照射し、移動鏡32aとの距離を検出する。レーザ干渉計Mx1、Mx2の検出結果は制御装置CONTに出力され、制御装置CONTはレーザ干渉計Mx1、Mx2の検出結果に基づいて、マスクステージMSTのX軸方向における位置、及びZ軸まわりの回転量を求める。また、レーザ干渉計My1は移動鏡32bにレーザ光を照射し、移動鏡32bとの距離を検出する。レーザ干渉計My1の検出結果は制御装置CONTに出力され、制御装置CONTはレーザ干渉計My1の検出結果に基づいて、マスクステージMSTのY軸方向における位置を求める。そして、制御装置CONTは、レーザ干渉計Mx1、Mx2、及びMy1の出力からマスクステージMSTの位置(姿勢)をモニタし、マスクステージ駆動部MSTDを制御することでマスクステージMSTを所望の位置(姿勢)に設定する。
【0026】
マスクMを透過した露光光ELは、投影光学系PLa〜PLgのそれぞれに入射する。投影光学系PLa〜PLgは、マスクMの照明領域に存在するパターン像を感光基板Pに結像し、感光基板Pの特定領域(投影領域)にパターン像を投影露光するものであり、各照明系モジュールIMa〜IMgに対応して設けられている。
【0027】
図1に示すように、複数の投影光学系PLa〜PLgのうち、投影光学系PLa、PLc、PLe、PLgと投影光学系PLb、PLd、PLfとが2列に千鳥状に配列されている。すなわち、千鳥状に配置されている各投影光学系PLa〜PLgは、隣合う投影光学系どうし(例えば投影光学系PLaとPLb、PLbとPLc)をY軸方向に所定量変位させて配置されている。これら各投影光学系PLa〜PLgは照明系モジュールIMa〜IMgから射出しマスクMを透過した複数の露光光ELを透過させ、基板ステージPSTに載置されている感光基板PにマスクMのパターン像を投影する。すなわち、各投影光学系PLa〜PLgを透過した露光光ELは、感光基板P上の異なる投影領域にマスクMの照明領域に対応したパターン像を所定の結像特性で結像する。
【0028】
図2に示すように、投影光学系PLa〜PLgのそれぞれは、像シフト機構19と、2組の反射屈折型光学系21、22と、視野絞り20と、倍率調整機構23とを備えている。像シフト機構19は、例えば、2枚の平行平面板ガラスがそれぞれX軸まわりもしくはY軸まわりに回転することで、マスクMのパターン像をY軸方向もしくはX軸方向にシフトする。マスクMを透過した露光光ELは像シフト機構19を透過した後、1組目の反射屈折型光学系21に入射する。
【0029】
反射屈折型光学系21は、マスクMのパターンの中間像を形成するものであって、直角プリズム24とレンズ系25と凹面鏡26とを備えている。直角プリズム24はZ軸まわりに回転自在となっており、マスクMのパターン像を回転可能となっている。
【0030】
この中間像位置には、視野絞り20が配置されている。視野絞り20は、感光基板P上での投影領域を設定するものであり、投影光学系PLにおいてマスクMと感光基板Pとに対してほぼ共役な位置に配置されている。視野絞り20を透過した光束は、2組目の反射屈折型光学系22に入射する。反射屈折型光学系22は、反射屈折型光学系21と同様、直角プリズム27とレンズ系28と凹面鏡29とを備えている。直角プリズム27もZ軸まわりに回転自在となっており、マスクMのパターン像を回転可能となっている。
【0031】
反射屈折型光学系22から射出した露光光ELは、倍率調整機構23を通過し、感光基板P上にマスクMのパターン像を正立等倍で結像する。倍率調整機構23は、例えば、平凸レンズ、両凸レンズ、平凸レンズの3枚のレンズから構成され、平凸レンズと平凹レンズとの間に位置する両凸レンズをZ方向に移動させて相対位置を変化させることにより、マスクMのパターン像の倍率を変化させる。
【0032】
感光基板Pを支持する基板ステージPSTは基板ホルダを有しており、基板ホルダを介して感光基板Pを保持する。基板ステージPSTは、マスクステージMSTと同様に、一次元の走査露光を行うべくX軸方向に長いストロークと、走査方向と直交するY軸方向にステップ移動するための長いストロークとを有しており、図2に示すように、この基板ステージPSTをX軸方向及びY軸方向に移動する基板ステージ駆動部PSTDを備えている。基板ステージ駆動部PSTDは制御装置CONTにより制御される。更に、基板ステージPSTはZ軸方向、及びθX、θY、θZ方向にも移動可能となっている。
【0033】
図1に示すように、基板ステージPST上のX軸方向及びY軸方向のそれぞれの端縁には、直交する方向に移動鏡(位置検出装置)34a、34bがそれぞれ設置されている。Y軸方向に延在する移動鏡34aには、複数、本実施形態では2つのレーザ干渉計Px1、Px2が対向して配置されている。また、X軸方向に延在する移動鏡34bには、複数、本実施形態では3つのレーザ干渉計(位置検出装置)Py1、Py2、Py3が対向して配置されている。ここで、複数のレーザ干渉計Py1〜Py3のそれぞれは、X軸方向に沿って等間隔に並べで配置されている。移動鏡34aとレーザ干渉計Px1、Px2とにより感光基板PのX軸方向(第1の方向)における位置を検出可能な位置検出装置が構成されている。また、移動鏡34bとレーザ干渉計Py1、Py2、Py3とにより感光基板PのY軸方向(第2の方向)における位置を検出可能な位置検出装置が構成されている。レーザ干渉計Px1、Px2のそれぞれは移動鏡34aにレーザ光を照射し、移動鏡34aとの距離を検出する。レーザ干渉計Px1、Px2の検出結果は制御装置CONTに出力され、制御装置CONTはレーザ干渉計Px1、Px2の検出結果に基づいて、基板ステージPSTのX軸方向における位置、及びZ軸まわりの回転量を求める。また、レーザ干渉計Py1〜Py3は移動鏡34bにレーザ光を照射し、移動鏡34bとの距離を検出する。レーザ干渉計Py1〜Py3の検出結果は制御装置CONTに出力され、制御装置CONTはレーザ干渉計Py1〜Py3それぞれの検出結果に基づいて、基板ステージPSTのY軸方向における位置を求める。そして、制御装置CONTは、レーザ干渉計Px1、Px2、及びPy1〜Py3の出力から基板ステージPSTの位置(姿勢)をモニタし、基板ステージ駆動部PSTDを制御することで基板ステージPSTを所望の位置(姿勢)に設定する。
【0034】
ここで、制御装置CONTは、基板ステージPSTのY軸方向における位置を検出する際、基板ステージPSTの移動に応じて、すなわち、感光基板Pを支持する基板ステージPSTのX軸方向における位置に応じて、複数のレーザ干渉計Py1〜Py3のうち位置検出に用いるレーザ干渉計を切り替えるようになっている。
【0035】
マスクステージ駆動部MSTD及び基板ステージ駆動部PSTDは制御装置CONTによりそれぞれ独立して制御され、マスクステージMST及び基板ステージPSTは、マスクステージ駆動部MSTD及び基板ステージ駆動部PSTDのそれぞれの駆動のもとで、それぞれ独立して移動可能となっている。そして、制御装置CONTは、マスクステージMST及び基板ステージPSTの位置をモニターしながら、両駆動部PSTD、MSTDを制御することにより、マスクMと感光基板Pとを投影光学系PLに対して、任意の走査速度(同期移動速度)でX軸方向に同期移動するようになっている。
【0036】
感光基板P上での投影光学系PLa〜PLgの投影領域50a〜50gのそれぞれは、所定形状、本実施形態では台形形状に設定される。図1に示すように、投影領域50a、50c、50e、50gと、投影領域50b、50d、50fとは、X軸方向に対向して配置されている。さらに、投影領域50a〜50gは、隣り合う投影領域の端部(境界部、継ぎ部)どうしがY軸方向に重なり合うように並列配置される。そして、投影領域50a〜50gの境界部どうしをY軸方向に重なり合うように並列配置することにより、X軸方向の投影領域の幅の総計がほぼ等しくなるように設定されている。こうすることにより、X軸方向に走査露光したときの露光量が等しくなるようになっている。このように、各投影光学系PLa〜PLgによる投影領域50a〜50gのそれぞれが重なり合う重複領域(継ぎ部)を設けることにより、継ぎ部における光学収差の変化や照度変化を滑らかにすることができる。
【0037】
次に、アライメント系ALについて説明する。
アライメント系ALは、感光基板Pに設けられているアライメントマーク(基板アライメントマーク)を検出するものであって、図1及び図2に示すように、2列に配置されている投影光学系PLa、PLc、PLe、PLgと、投影光学系PLb、PLd、PLfとの間で感光基板Pに対向するように設けられている。アライメント系ALは、Y軸方向(第2の方向)に複数並んで配置されており、感光基板P上に設けられた複数の基板アライメントマークを検出する。また、2列に配置されている投影光学系PLa、PLc、PLe、PLgと、投影光学系PLb、PLd、PLfとの間には、感光基板Pに対向し、この感光基板PのZ軸方向における位置を検出する基板側オートフォーカス検出系(AF検出系)60と、マスクMに対向し、このマスクMのZ軸方向における位置を検出するマスク側オートフォーカス検出系70とが設けられている。基板側AF検出系60及びマスク側AF検出系70のそれぞれも、Y軸方向に複数並んで配置されている。ここで、複数のアライメント系AL、基板側AF検出系60、及びマスク側AF検出系70は、図1に示すようにハウジングHに支持されてユニット化されている。以下の説明において、ハウジングHに支持されたAF検出系60、70、及びアライメント系ALを、適宜「アライメントユニット」と称する。
【0038】
図4は、アライメントユニットUの斜視図である。また、図5は、アライメントユニットUのうちアライメント系AL、基板側AF検出系60、及びマスク側AF検出系70と、マスクM及び感光基板Pとの位置関係を説明するための図である。ここで、図5(a)はマスクMとマスク側AF検出系70との位置関係を示す図であり、図5(b)は図4のアライメントユニットUのA−A矢視断面図であり、図5(c)は感光基板Pを支持する基板ステージPSTを上側(+Z側)から見た平面図である。そして、図5(a)に示すマスク側AF検出系70は、図4のB−B断面矢視図に相当する。
図4及び図5(b)に示すように、アライメント系AL(AL1〜AL6)は、非走査方向であるY軸方向に複数、本実施形態では6つ並んで配置されている。アライメント系AL1〜AL6は、2列に配置されている投影光学系PLa、PLc、PLe、PLgと、投影光学系PLb、PLd、PLfとの間において、この投影光学系PLa〜PLgの投影領域50a〜50gの並び方向に沿うように配置されている。
【0039】
図5(b)に示すように、Y軸方向に複数並んだアライメント系AL1〜AL6のうち、Y軸方向中央のアライメント系AL2〜AL5は投影光学系PL(PLa〜PLg)の内側に設けられ、Y軸方向両側のアライメント系AL1、AL6は投影光学系PLの外側に設けられている。ここで、図5(b)及び(c)に示すように、複数のアライメント系AL1〜AL6のうち、外側2つのアライメント系AL1とAL6との間隔は、感光基板PのY軸方向の長さとほぼ等しく設定されている。また、図5(a)及び(b)に示すように、外側2つのアライメント系AL1とAL6との間隔は、マスクMのY軸方向の長さよりも長く(マスクMのY軸方向の長さ以上に)設定されている。
【0040】
一方、感光基板Pには、図5(c)に示すように、アライメント処理に用いられる複数のアライメントマーク(基板アライメントマーク)m1〜m6が設けられている。本実施形態において、感光基板P上にはY軸方向に6つ並んだアライメントマークm1〜m6がX軸方向の6箇所に間隔をおいて形成されており、全部で36個のアライメントマークが形成されている。なお、図ではアライメントマークは「●」として示されているが、例えば十字状「+」でもボックスマーク「□」でもよい。
【0041】
本実施形態では、感光基板P上においてY軸方向に6つ並んだアライメントマークm1〜m6に対応してアライメント系AL1〜AL6が設けられている。そして、これら6つのアライメント系AL1〜AL6のそれぞれとアライメントマークm1〜m6のそれぞれとが対向するように設定され、アライメント系AL1〜AL6はアライメントマークm1〜m6のそれぞれに対向した状態で、これらアライメントマークm1〜m6のそれぞれを同時に検出可能である。すなわち、本実施形態では、感光基板Pに形成されているアライメントマークm1〜m6の配置(間隔)に基づいてアライメント系AL1〜AL6の配置(間隔)が設定される。
【0042】
図4及び図5(b)に示すように、アライメント系AL1〜AL6のX軸方向両側には、複数の基板側AF検出系60(60a〜60g)が設けられている。本実施形態において、基板側AF検出系は60a〜60gの7つ設けられている。基板側AF検出系60a〜60gは、基板ステージPSTに支持された感光基板Pに対向する位置に設けられており、感光基板Pの露光面に直交する方向、すなわちZ軸方向における位置をそれぞれ検出する。複数の基板側AF検出系60a〜60gのうち、AF検出系60a、60b、60d、60f、60gがY軸方向に並んで配置されているとともに、AF検出系60c、60eがY軸方向に並んで配置されている。そして、これら2列のAF検出系60a、60b、60d、60f、60gとAF検出系60c、60eとがアライメント系AL(AL1〜AL6)を挟むように配置されている。
【0043】
複数の基板側AF検出系60a〜60gのうち、Y軸方向中央の基板側AF検出系60b〜60fは投影光学系PL(PLa〜PLg)の内側に設けられ、Y軸方向両側の基板側AF検出系60a、60gは投影光学系PL(PLa〜PLg)の外側に設けられている。ここで、外側の基板側AF検出系60a、60gのそれぞれは、複数のアライメント系AL1〜AL6のうち外側2つのアライメント系AL1、AL6のそれぞれに隣接して設けられている。外側2つの基板側AF検出系60a、60gの間隔も、感光基板PのY軸方向の長さとほぼ等しく設定されている。また、投影光学系PLの内側に設けられている基板側AF検出系60b〜60fは2列に千鳥状に配列されており、Y軸方向においてほぼ等間隔に設けられている。
【0044】
基板側AF検出系60a〜60gのそれぞれの検出結果は制御装置CONTに出力され、制御装置CONTは基板側AF検出系60a〜60gの検出結果に基づいて、感光基板PのZ軸方向における位置を求める。更に、基板側AF検出系60a〜60gはX軸方向及びY軸方向のそれぞれにおいて2次元的に配置されているので、制御装置CONTは複数の基板側AF検出系60a〜60gの検出結果に基づいて、感光基板PのX軸まわり方向及びY軸まわり方向における姿勢を求めることができる。制御装置CONTは、求めたZ軸方向における位置、及びX軸、Y軸まわり方向における姿勢に基づいて、基板ステージ駆動部PSTDを駆動し、感光基板PのZ軸方向における位置の調整、及びX軸、Y軸まわり方向における姿勢の調整、すなわちレベリング調整を行う。
【0045】
図4及び図5(a)に示すように、アライメントユニットUには、複数のマスク側AF検出系70(70a〜70d)が設けられている。本実施形態において、マスク側AF検出系は70a〜70dの4つ設けられている。マスク側AF検出系70a〜70dは、マスクステージMSTに支持されたマスクMに対向する位置に設けられており、マスクMのパターン形成面に直交する方向、すなわちZ軸方向における位置をそれぞれ検出する。複数のマスク側AF検出系70a〜70dのそれぞれはY軸方向に等間隔で並んで配置されている。ここで、図5(a)に示すように、マスク側AF検出系70a〜70dは投影光学系PL(PLa〜PLg)の内側に設けられ、外側2つのマスク側AF検出系70a、70dの間隔は、マスクMのY軸方向の長さとほぼ等しく設定されている。
【0046】
図6はアライメント系AL1の概略構成図である。なお、他のアライメント系AL2〜AL6も、アライメント系AL1と同等の構成である。
図6に示すように、アライメント系AL1は、アライメント用検出光を射出するハロゲンランプからなるアライメント用光源81と、光源81から射出した検出光をリレーレンズ83に導く光ファイバからなるライトガイド82と、リレーレンズ83の光路下流側に設けられたハーフミラー84と、ハーフミラー84と検出対象である感光基板P(アライメントマークm1〜m6)との間に設けられ、ハーフミラー84を通過した検出光を感光基板P上に照射する対物レンズ85と、検出光の照射により感光基板P(アライメントマーク)で発生した反射光がハーフミラー84を介して導かれる偏向ミラー86と、偏向ミラー86からの反射光を分岐するビームスプリッタ(分岐装置)87と、ビームスプリッタ87で分岐された2つの光束のうち一方の光束が入射する低倍率アライメント受光系88と、他方の光束が入射する高倍率アライメント受光系89とを備えている。低倍率アライメント受光系88は、低倍用レンズ系88Aと、低倍用撮像素子(CCD)88Bとを有しており、感光基板P上の広い領域を所定の精度で計測可能である。高倍率アライメント受光系89は、高倍用レンズ系89Aと、高倍用撮像素子(CCD)89Bとを有しており、感光基板Pの狭い領域を高精度で計測可能である。これら低倍率アライメント受光系88Aと高倍率アライメント受光系88Bとは同軸に配置されている。そして、アライメント用検出光の感光基板P(基板アライメントマーク)に対する照射により発生した光(反射光)は、低倍率アライメント受光系88と高倍率アライメント受光系89とのそれぞれに受光される。
【0047】
低倍率アライメント受光系88は、アライメント用検出光により照射された感光基板Pの広い領域からの光情報に基づいて、アライメントマークm1(m2〜m6)の位置情報をラフな精度で検出するサーチアライメント処理を行う。一方、高倍率アライメント受光系89は、アライメント用検出光により照射された感光基板Pの狭い領域からの光情報に基づいて、アライメントマークm1(m2〜m6)の位置情報を高い精度で検出するファインアライメント処理を行う。低倍率アライメント受光系88及び高倍率アライメント受光系89のそれぞれは受光信号を制御装置CONTに出力し、制御装置CONTはアライメント受光系88、89それぞれの受光信号に基づいて画像処理を行い、マーク位置情報を求める。ここで、制御装置CONTでは、低倍率アライメント受光系88によるサーチアライメント処理結果を参照し、高倍率アライメント受光系89によるファインアライメント処理を行う。
【0048】
アライメント系ALによりマーク位置情報を求める際、画像処理によりマークのエッジ情報からマーク位置を求める。なお、マーク位置を求める方法としてパターンマッチング法を用いるようにしてもよい。すなわち、制御装置CONTは、テンプレート画像を記憶した記憶装置(不図示)を接続しており、パターンマッチングによってテンプレートに一致するパターンの座標(ステージの移動座標系での位置)を求める。制御装置CONTは、この座標値を用いてつなぎ露光時や重ね合わせ露光時に生じたずれ量を求め、次回以降の露光の際には基板ステージ駆動部PSTDに補正パラメータを与えることにより、位置合わせ精度を高める。
【0049】
上記アライメント系AL1(AL2〜AL6)では、光源81、ライトガイド82、及びリレーレンズ系83がアライメント系の送光系を構成しており、ビームスプリッタ87、低倍率アライメント受光系88、及び高倍率アライメント受光系89がアライメント系の受光系を構成している。なお、光源81は複数のアライメント系AL1〜AL6のそれぞれに設ける構成でもよいし、1つの光源81から射出された光を複数のライドガイド(光ファイバ)82で分岐し、この分岐した複数の光をアライメント系AL1〜AL6のそれぞれに供給する構成としてもよい。また、アライメント用検出光は感光基板Pのレジストに対して非感光性であることが望ましく、ハロゲンランプからなる光源81より射出された光(白色光)のうち、特定の波長の光をカットするフィルタを、光源81と感光基板Pとの間の光路上に設ける構成としてもよい。
【0050】
図7は基板側AF検出系60aを示す概略構成図である。なお、他の基板側AF検出系60b〜60g、及びマスク側AF検出系70a〜70dも、AF検出系60aと同等の構成である。
図7に示すように、AF検出系60aは、AF用検出光を射出するLEDからなるAF用光源61と、光源61から射出した検出光が入射される送光レンズ系62と、送光レンズ系62を通過した光を、検出対象である感光基板P(あるいはマスクM)に傾斜方向から導くミラー63と、ミラー63を介して照射された検出光に基づき感光基板P(あるいはマスクM)で発生した反射光を受光レンズ系65に導くミラー64と、受光レンズ系65を通過した光を受光する撮像素子(CCD)66とを備えている。送光レンズ系62は、検出光を例えばスリット状に整形してから感光基板Pに照射する。ここで、図7に示すように、検出対象である感光基板PのZ軸方向における位置がΔZ変位すると、傾斜方向から照射されたスリット状の検出光は、撮像素子66におけるX軸方向における結像位置をΔX変位させる。撮像素子66の撮像信号は制御装置CONTに出力され、制御装置CONTは撮像素子66による撮像位置の基準位置に対する変位量ΔXに基づいて、感光基板PのZ軸方向における変位量ΔZを求める。ここで、受光レンズ系65の入射面から射出面側への倍率がN倍(例えば10倍)に設定されていると、撮像素子66は、感光基板Pの変位ΔZに対してN倍(10倍)の感度で検出可能となる。
【0051】
上記AF検出系60a(60b〜60g、70a〜70d)では、光源61、送光レンズ系62、及びミラー63がAF検出系の送光系を構成しており、ミラー64、受光レンズ系65、及び撮像素子66がAF検出系の受光系を構成している。なお、光源61は複数のAF検出系60a〜60g(70a〜70d)のそれぞれに設ける構成でもよいし、1つの光源61から射出された光を複数のライドガイド(光ファイバ)で分岐し、この分岐した複数の光を複数のAF検出系のそれぞれに供給する構成としてもよい。また、AF用検出光も感光基板Pのレジストに対して非感光性であることが望ましく、光源61より射出された光のうち、特定の波長の光をカットするフィルタを、光源61と感光基板Pとの間の光路上に設ける構成としてもよい。
【0052】
ところで、本実施形態におけるアライメント系ALはオフアクシス方式であり、アライメント処理を行うに際し、マスクMと基板アライメント系ALとの相対位置であるベースライン量が計測される。以下、ベースライン計測方法について説明する。
図1、図2及び図5に示すように、マスクMにはベースライン計測用のマーク(マスク側AISマーク)90が設けられており、基板ステージPSTにはベースライン計測用のマーク(基板側AISマーク)91を有する基準部材92が設けられている。基板側AISマーク91のZ軸方向における形成位置(高さ)は、感光基板Pの表面(露光面)と略一致するように設定されている。また、マスク側AISマーク90は、マスクMの特定位置(例えば中心位置)に対して所定の位置関係で設けられている。マスク側AISマーク90と基板側AISマーク91とは対応しており、それぞれY軸方向に複数並んで設けられている。また、図2に示すように、基準部材92の下方には、基準部材92を通過した光を受光可能なAIS受光系94が基板ステージPSTに埋設されている。AIS受光系94は、レンズ系95と、レンズ系95を介した光を受光する撮像素子(CCD)96とを備えている。
【0053】
次に、図8を参照しながらベースライン計測手順を説明する。
図8(a)に示すように、基板側AF検出系60が基板ステージPSTに設けられている基板側AISマーク91を有する基準部材92との距離を検出するとともに、マスク側AF検出系70がマスク側AISマーク90を有するマスクMとの距離を検出する。制御装置CONTは、基板側AF検出系60及びマスク側AF検出系70それぞれの検出結果に基づいて、マスクMと基準部材92との距離を求める(ステップSA1)。
このとき、マスクMを支持しているマスクステージMSTの位置はレーザ干渉計Mx1、Mx2、My1により検出され、基板ステージPSTの位置はレーザ干渉計Px1、Px2、Py1により検出されている。つまり、マスクM(マスクステージMST)はレーザ干渉計My1、基板ステージPSTはレーザ干渉計Py1、Py2、Py3のいずれかでY軸方向座標も検出する。
【0054】
次いで、図8(b)に示すように、制御装置CONTは、いわゆるスルー・ザ・レンズ(TTL)方式により、撮像素子96でマスクMのAISマーク90と基板ステージPST上のAISマーク91とを検出し、この検出結果に基づいてマスクMと基板ステージPSTとの相対位置を求める(ステップSA2)。
具体的には、制御装置CONTは、撮像素子96でマスク側AISマーク90の像と基板側AISマーク91の像とが一致するようにマスクステージMST及び基板ステージPSTを移動し、照明光学系ILでマスクMのマスク側AISマーク90を照明する。マスクMを通過した照明光(露光光)は投影光学系PLを通過するとともに基板側AISマーク91を通過し撮像素子96に導かれる。ここで、制御装置CONTは、ステップSA1で求めたマスクMと基準部材92との距離に基づいて、基板ステージPSTのZ軸方向における位置や投影光学系PLの像特性を調整し、マスク側AISマーク90及び基板側AISマーク91のそれぞれの像を撮像素子96で結像させる(ピントを合わせる)。このとき、マスクMを支持しているマスクステージMSTの位置はレーザ干渉計Mx1、Mx2、My1により検出され、基板ステージPSTの位置はレーザ干渉計Px1、Px2、Py1により検出されている。なお、露光光を用いて撮像素子96でAISマーク90、91を撮像する際、撮像素子96上で最適な光量(照度)が得られるように、例えば、照明光学系IL内のフィルタ13を駆動することができる。
【0055】
次に、図8(c)に示すように、制御装置CONTは基板ステージPSTを移動し、アライメント系ALの計測領域中心(具体的には計測領域に設けられている指標マーク)に基板ステージPSTのAISマーク91を一致させ、このときの基板ステージPSTの位置をレーザ干渉計Px1、Px2、Py1で検出する(ステップSA3)。
ステップSA2及びステップSA3で求めたレーザ干渉計によるステージ位置検出結果から、マスクMとアライメント系ALとの相対位置であるベースライン量が求められる。そして、求めたベースライン量に基づいて、制御装置CONTは、基板ステージPST上に載置された感光基板Pをアライメント系ALによりマスクMに対して位置合わせ(アライメント)する。
【0056】
なお、ベースライン計測は、露光処理開始毎に行ってもよいし、所定時間間隔毎(例えば10時間毎、1日毎など)、及び予め設定した所定ロット数毎に行うようにしてもよい。また、上記AISマーク90、91の像を撮像素子96で撮像しつつ、投影光学系PL(PLa〜PLg)の像シフト機構19、倍率調整機構23、及びローテーション調整機構としての直角プリズム24、27を駆動し、投影光学系PLa〜PLgそれぞれのシフト、スケーリング、及びローテーションといった像特性を調整することができる。
【0057】
次に、上述したアライメント系ALを有する露光装置EXにより、マスクMと感光基板Pとをアライメントする方法、及びマスクMのパターンを感光基板Pに露光する方法について説明する。
本実施形態では、図9に示すように、感光基板P上に9つのパターン形成領域(露光領域)PA1〜PA9を設定し、これらパターン形成領域PA1〜PA9のそれぞれに対して露光処理し、デバイスを形成するものとする。複数のパターン形成領域PA1〜PA9のうち、パターン形成領域PA1〜PA3がY軸方向(第2の方向)に3つ並んで設定され、パターン形成領域PA4〜PA6がY軸方向に3つ並んで設定され、パターン形成領域PA7〜PA9がY軸方向に3つ並んで設定されている。ここで、以下の説明において、Y軸方向に並ぶパターン形成領域PA1〜PA3を「ブロックBR1」、パターン形成領域PA4〜PA6を「ブロックBR2」、パターン形成領域PA7〜PA9を「ブロックBR3」と適宜称する。したがって、感光基板PはX軸方向に関して分割された3つのブロックBR1、BR2、BR3に設定される。また、パターン形成領域PA1〜PA9のそれぞれは、X軸方向における大きさのほうがY軸方向より大きく設定されている。そして、Y軸方向に並んだ複数のアライメントマークm1〜m6のうち、アライメントマークm1、m2がパターン形成領域PA3、PA6、PA9に配置され、アライメントマークm3、m4がパターン形成領域PA2、PA5、PA8に配置され、アライメントマークm5、m6がパターン形成領域PA1、PA4、PA7に配置されるように、アライメントマークm1〜m6のそれぞれの間隔が予め設定されている。そして、Y軸方向に並んだアライメントマークm1〜m6が、X軸方向に予め設定された間隔をおいて配置されていることにより、パターン形成領域PA3、PA6、PA9のそれぞれの4隅にアライメントマークm1、m2が配置され、パターン形成領域PA2、PA5、PA8のそれぞれの4隅にアライメントマークm3、m4が配置され、パターン形成領域PA1、PA4、PA7のそれぞれの4隅にアライメントマークm5、m6が配置される。
【0058】
そして、X軸方向に並ぶレーザ干渉計Py1〜Py3の配置(間隔)は、感光基板P上でX軸方向に並ぶ複数のブロックBR1、BR2、BR3に対応するように設定されている。すなわち、レーザ干渉計Py1〜Py3の間隔は、パターン形成領域PA1、PA4、PA7のX軸方向における長さに応じて設定されている。また、感光基板Pは大型基板であって、移動鏡34bのX軸方向における長さは感光基板PのX軸方向における長さよりも短く、移動鏡34bは高い加工精度で製造されている。
【0059】
以下、図10〜図15、及び図16、図17のフローチャート図を参照しながらアライメント処理手順及び露光処理手順について説明する。
図8を用いて説明したようにベースライン計測が行われた後、図10(a)に示すように、制御装置CONTは、基板ステージPSTを移動し、感光基板Pに設けられている−X側から1列目のアライメントマークm1〜m6のそれぞれとアライメント系AL1〜AL6のそれぞれとを対向させる。前述したように、本実施形態では、感光基板Pに形成されているアライメントマークm1〜m6の配置(間隔)に基づいてアライメント系AL1〜AL6の配置(間隔)が設定されている。そして、制御装置CONTは、このときの基板ステージPSTのX軸方向及びθZ方向における位置をレーザ干渉計Px1、Px2を用いて検出するとともに、複数のレーザ干渉計Py1〜Py3のうちパターン形成領域PA1〜PA3(ブロックBR1)に対応する1つのレーザ干渉計Py1を選択し、基板ステージPSTのY軸方向における位置をレーザ干渉計Py1を用いて検出する。このとき、レーザ干渉計Py2、Py3は移動鏡34bと対向していない。そして、制御装置CONTは、レーザ干渉計で基板ステージPSTの位置を検出しつつ、アライメント系AL1〜AL6と−X側から1列目のアライメントマークm1〜m6のそれぞれとを対向した状態で、Y軸方向に複数並んだパターン形成領域(露光領域)PA1〜PA3のそれぞれに対応するアライメントマークm1〜m6を同時に検出する(ステップSB1)。
このとき、パターン形成領域PA1には2つのアライメントマークm5、m6が配置され、パターン形成領域PA2には2つのアライメントマークm3、m4が配置され、パターン形成領域PA3には2つのアライメントマークm5、m6が配置されており、これらアライメントマークに対応するように、パターン形成領域PA1に対して2つのアライメント系AL5、AL6が配置され、パターン形成領域PA2に対して2つのアライメント系AL3、AL4が配置され、パターン形成領域PA3に対して2つのアライメント系AL1、AL2が配置されている。すなわち、複数のアライメント系AL1〜AL6は、Y軸方向に並ぶパターン形成領域(露光領域)PA1〜PA3(PA4〜PA6、PA7〜PA9)のそれぞれに対応して2つずつ配置されている構成となっている。
【0060】
次いで、図10(b)に示すように、制御装置CONTは、基板ステージPSTを−X方向に移動し、感光基板Pに設けられている−X側から2列目のアライメントマークm1〜m6のそれぞれとアライメント系AL1〜AL6のそれぞれとを対向させ、レーザ干渉計Py1で基板ステージPSTのY軸方向における位置を検出するとともにレーザ干渉計Px1、Px2で基板ステージPSTのX軸及びθZ方向における位置を検出し、アライメントマークm1〜m6のそれぞれを同時に検出する(ステップSB2)。
【0061】
制御装置CONTは、パターン形成領域PA1〜PA3のそれぞれに対してX軸方向に所定距離離れた2箇所で1列目のアライメントマーク及び2列目のアライメントマークの位置検出を行い、これら検出結果に基づいて、各パターン形成領域PA1〜PA3に関するシフト、スケーリング、及びローテーション等の像特性を補正する補正パラメータを求める(ステップSB3)。
【0062】
ここで、1列目のアライメントマーク検出後、2列目のアライメントマークを検出するために、感光基板PがアライメントユニットUに対して走査することになるが、このとき、アライメントユニットUのうちY軸方向に並んだ複数の基板AF検出系60a〜60gのそれぞれが感光基板Pの表面の高さ位置をX軸方向において所定距離間隔で検出する。すなわち、感光基板Pの表面の高さ位置が碁盤目状の複数位置で検出される。これら基板AF検出系60a〜60gそれぞれの検出結果は制御装置CONTに出力され、制御装置CONTは基板AF検出系60a〜60gの検出結果に基づいて、感光基板Pのパターン形成領域PA1〜PA3それぞれの表面形状を求める(ステップSB4)。
【0063】
ところで、前述したように、複数のアライメント系AL1〜AL6のうち外側2つのアライメント系AL1及びAL6には、基板AF検出系60a及び60gが近接して設けられている。したがって、基板AF検出系60a及び60gによる感光基板PのZ軸方向における位置情報をモニタしつつ、アライメント系によるアライメント処理(アライメントマーク検出)を行うことにより、アライメント処理時において感光基板Pが投影光学系の結像面からZ軸方向に大きくずれた状態でアライメント処理してしまうといった不都合を抑えることができる。
【0064】
また、アライメント系AL1〜AL6には、図6を用いて説明したように、サーチアライメント用の低倍率アライメント受光系88と、ファインアライメント用の高倍率アライメント受光系89とが設けられている。したがって、例えば、高倍率アライメント受光系89を用いたアライメントマーク検出が不能である場合、低倍率アライメント受光系88に切り替えてアライメントマーク検出を行うことによりアライメントマーク検出が可能となる。このように、低倍率及び高倍率アライメント受光系を切り替えてアライメントマーク検出を行うことにより、アライメント処理を円滑に行うことができる。なお、低倍率及び高倍率アライメント受光系は全てのアライメント系AL1〜AL6に設ける必要はなく、少なくとも外側2つのアライメント系AL1及びAL6に設けられていればよい。もちろん、全てのアライメント系AL1〜AL6に設けられていても構わない。
【0065】
次いで、制御装置CONTは、ステップSB3で求めた補正パラメータに基づいて像特性を補正した後、レーザ干渉計Py1、及びPx1、Px2で基板ステージPSTの位置検出をしつつ、パターン形成領域PA1に対する露光処理を行う(ステップSB5)。
すなわち、図10(c)に示すように、制御装置CONTは、投影光学系PLとパターン形成領域PA1の+X側端部とが対向するように基板ステージPSTを移動する。同時に、制御装置CONTは、図10では不図示のマスクMを支持したマスクステージMSTも−X側に移動し、感光基板Pに対してマスクMを位置合わせする。そして、マスクMと感光基板Pとを投影光学系PLに対して+X方向に同期移動しつつマスクMを露光光ELで照明することにより、パターン形成領域PA1に対して露光処理が行われる。図10(d)には、パターン形成領域PA1に対する走査露光が終了した後の状態が示されている。ここで、ステップSB4で求めた感光基板P(パターン形成領域PA1)の表面形状データに基づいて、投影光学系の結像面と感光基板Pの表面とが一致するように、基板ステージPSTをZ軸方向、あるいはθX、θY方向に移動して感光基板Pの姿勢を制御しつつ走査露光が行われる。なお、複数の投影光学系PLa〜PLgのうち、使用しない投影光学系(例えばパターン形成領域PA1からはみ出る投影光学系PLa、PLg等)は、その光路を照明シャッタ6により遮蔽される。
【0066】
次いで、制御装置CONTは、補正パラメータに基づいて像特性を補正した後、レーザ干渉計Py1、及びPx1、Px2で基板ステージPSTの位置検出をしつつ、パターン形成領域PA2に対する露光処理を行う(ステップSB6)。すなわち、図11(a)に示すように、制御装置CONTは、投影光学系PLとパターン形成領域PA2の−X側端部とが対向するように基板ステージPSTを−Y方向にステップ移動する。このとき、マスクステージMSTはマスクMと感光基板Pとの位置合わせをするために微動するだけで、ほとんど移動しなくてよい。そして、マスクMと感光基板Pとを投影光学系PLに対して−X方向に同期移動しつつマスクMを露光光ELで照明することにより、パターン形成領域PA2に対して露光処理が行われる。図11(b)には、パターン形成領域PA2に対する走査露光が終了した後の状態が示されている。パターン形成領域PA2に対する走査露光時においても、ステップSB4で求めたパターン形成領域PA2の表面形状データに基づいて、感光基板PのZ軸方向の位置制御、及びレベリング制御を行いつつ走査露光が行われる。
【0067】
ここで、パターン形成領域PA1に対する走査露光処理の際、感光基板Pは+X方向に走査し、このパターン形成領域PA1に隣接するパターン形成領域PA2に対する走査露光処理の際、感光基板Pは−X方向に走査する。すなわち、Y軸方向に並んだパターン形成領域PA1〜PA3のそれぞれに対応するX軸方向の2箇所でアライメントマークを検出した後、Y軸方向に隣接する複数のパターン形成領域PA1、PA2において互いに逆方向の同期移動により感光基板Pを露光する構成である。こうすることにより、露光装置全体のスループットを向上できる。つまり、従来では、1つのパターン形成領域に対する露光処理終了後、次のパターン形成領域に対する露光処理を行うために、マスク(マスクステージ)を初期状態に戻すために走査方向に大きく移動しなければならなかったが、本実施形態では、1つのパターン形成領域に対する露光処理終了後、次のパターン形成領域に対する露光処理を行う際にもマスク(マスクステージ)を大きく移動する必要がないため、このマスクの移動時間を低減できるので、スループットを向上できる。そして、本実施形態では、パターン形成領域の非走査方向(Y軸方向)における大きさは、走査方向(X軸方向)より小さいので、マスクを走査方向に大きく移動するよりも、図10(d)〜図11(a)に示すように感光基板PをY軸方向にステップ移動するほうが移動距離が短くてすみ効果的である。
【0068】
次いで、制御装置CONTは、補正パラメータに基づいて像特性を補正した後、レーザ干渉計Py1、及びPx1、Px2で基板ステージPSTの位置検出をしつつ、パターン形成領域PA3に対する露光処理を行う(ステップSB7)。すなわち、図11(c)に示すように、制御装置CONTは、投影光学系PLとパターン形成領域PA3の+X側端部とが対向するように基板ステージPSTを−Y方向にステップ移動する。このときも、マスクステージMSTはマスクMと感光基板Pとの位置合わせをするために微動するだけで、ほとんど移動しなくてよい。そして、マスクMと感光基板Pとを投影光学系PLに対して+X方向に同期移動しつつマスクMを露光光ELで照明することにより、パターン形成領域PA3に対して露光処理が行われる。図11(d)には、パターン形成領域PA3に対する走査露光が終了した後の状態が示されている。パターン形成領域PA3に対する走査露光時においても、ステップSB4で求めたパターン形成領域PA2の表面形状データに基づいて、感光基板PのZ軸方向の位置制御、及びレベリング制御を行いつつ走査露光が行われる。この場合も、パターン形成領域PA3に対する露光処理時における走査方向は、隣接するパターン形成領域PA2に対する露光処理時における走査方向と逆方向に設定された構成である。
【0069】
上記ステップSB1〜SB7における基板ステージPSTのX軸方向の位置検出、すなわち、複数のパターン形成領域PA1〜PA3(ブロックBR1)に対するアライメント処理及び露光処理におけるX軸方向の位置検出は、図10及び図11に示すようにレーザ干渉計Px1、Px2により行われ、Y軸方向の位置検出はレーザ干渉計Py1により行われる。すなわち、X軸方向に複数並んだレーザ干渉計Py1〜Py3のうち位置検出に用いるレーザ干渉計はPy1の1つである。そして、この1つのレーザ干渉計Py1で位置検出し、このレーザ干渉計Py1の位置検出値に基づきアライメントマーク検出を行ってマスクMと感光基板Pとのアライメント処理を行った後、マスクMのパターンがパターン形成領域PA1〜PA3に露光される。そして、ここでは、Y軸方向に複数並んだパターン形成領域PA1〜PA3のそれぞれが順次連続露光されるとともに、この連続露光中において複数のレーザ干渉計Py1〜Py3のうちのパターン形成領域PA1〜PA3(ブロックBR1)に対応する特定のレーザ干渉計Py1が位置検出に用いられる構成となっている。
【0070】
次いで、図12(a)に示すように、制御装置CONTは基板ステージPSTを移動し、感光基板Pに設けられている−X側から3列目のアライメントマークm1〜m6のそれぞれとアライメント系AL1〜AL6のそれぞれとを対向させる。そして、制御装置CONTは複数のレーザ干渉計Py1〜Py3のうちパターン形成領域PA4〜PA6(ブロックBR2)に対応する1つのレーザ干渉計Py2を選択する。制御装置CONTは、基板ステージPSTのX軸方向における位置が移動したことに伴い、基板ステージPSTのY軸方向の位置検出に用いるレーザ干渉計をレーザ干渉計Py1から前記選択したレーザ干渉計Py2に切り替える(ステップSB8)。
【0071】
そして、制御装置CONTは、このときの基板ステージPSTのX軸方向及びθZ方向における位置をレーザ干渉計Px1、Px2を用いて検出するとともに、基板ステージPSTのY軸方向における位置をレーザ干渉計Py2を用いて検出する。制御装置CONTはレーザ干渉計で基板ステージPSTの位置を検出しつつ、アライメント系AL1〜AL6と−X側から3列目のアライメントマークm1〜m6のそれぞれとを対向した状態で、Y軸方向に複数並んだパターン形成領域(露光領域)PA4〜PA6のそれぞれに対応するアライメントマークm1〜m6を同時に検出する(ステップSB9)。
【0072】
レーザ干渉計をPy1からPy2に切り替える際、レーザ干渉計Py1の位置検出結果がレーザ干渉計Py2の位置検出に用いられる。具体的には、制御装置CONTはレーザ干渉計Py1からレーザ干渉計Py2に切り替える際に、例えば、レーザ干渉計Py1による基板ステージPSTの位置検出動作を所定回数行うとともにレーザ干渉計Py2による基板ステージPSTの位置検出動作を所定回数行い、これらの検出結果の平均値の差を求める。そして、前記求めた差を補正値とし、この補正値に基づいてレーザ干渉計Py2による基板ステージPSTの位置検出動作を行う。このように、ブロックBR2(パターン形成領域PA4〜PA6)に関するアライメント処理の一部であるレーザ干渉計Py2の位置検出動作にはX軸方向で隣接するブロックBR1(パターン形成領域PA1〜PA3)のアライメント結果の一部であるレーザ干渉計Py1の位置検出結果が用いられる。
このとき、レーザ干渉計Py2を動作させ、レーザ干渉計Py1とPy2との差分を計測してオフセット1として記憶する。以後、基板ステージPSTのY座標はレーザ干渉計Py2の計測値とオフセット1とにより求める。
【0073】
次いで、図12(b)に示すように、制御装置CONTは基板ステージPSTを−X方向に移動し、感光基板Pに設けられている−X側から4列目のアライメントマークm1〜m6のそれぞれとアライメント系AL1〜AL6のそれぞれとを対向させ、レーザ干渉計Py2で基板ステージPSTのY軸方向における位置を検出するとともにレーザ干渉計Px1、Px2で基板ステージPSTのX軸方向及びθZ軸方向における位置を検出し、アライメントマークm1〜m6のそれぞれを同時に検出する(ステップSB10)。
【0074】
制御装置CONTは、パターン形成領域PA4〜PA6のそれぞれに対してX軸方向に所定距離離れた2箇所で1列目のアライメントマーク及び2列目のアライメントマークの位置検出を行い、これら検出結果に基づいて、各パターン形成領域PA4〜PA6に関するシフト、スケーリング、及びローテーション等の像特性を補正する補正パラメータを求める(ステップSB11)。
【0075】
ここで、3列目のアライメントマーク検出後、4列目のアライメントマークを検出するために、感光基板PがアライメントユニットUに対して走査することになり、このとき、アライメントユニットUのうちY軸方向に並んだ複数の基板AF検出系60a〜60gのそれぞれが感光基板Pの表面の高さ位置をX軸方向において所定距離間隔で検出する。これら基板AF検出系60a〜60gそれぞれの検出結果は制御装置CONTに出力され、制御装置CONTは基板AF検出系60a〜60gの検出結果に基づいて、感光基板Pのパターン形成領域PA4〜PA6それぞれの表面形状を求める(ステップSB12)。
【0076】
次いで、制御装置CONTは、ステップSB11で求めた補正パラメータに基づいて像特性を補正した後、レーザ干渉計Py2、及びPx1、Px2で基板ステージPSTの位置を検出しつつ、パターン形成領域PA4に対する露光処理を行う(ステップSB13)。
すなわち、図12(c)に示すように、制御装置CONTは、投影光学系PLとパターン形成領域PA4の+X側端部とが対向するように基板ステージPSTを移動する。そして、マスクMと感光基板Pとを投影光学系PLに対して+X方向に同期移動しつつマスクMを露光光ELで照明することにより、パターン形成領域PA4に対して露光処理が行われる。図12(d)には、パターン形成領域PA4に対する走査露光が終了した後の状態が示されている。ここで、ステップSB12で求めた感光基板P(パターン形成領域PA4)の表面形状データに基づいて、投影光学系の結像面と感光基板Pの表面とが一致するように、基板ステージPSTをZ軸方向、あるいはθX、θY方向に移動して感光基板Pの姿勢を制御しつつ走査露光が行われる。
【0077】
次いで、制御装置CONTは、補正パラメータに基づいて像特性を補正した後、レーザ干渉計Py2、及びPx1、Px2で基板ステージPSTの位置を検出しつつパターン形成領域PA5に対する露光処理を行う(ステップSB14)。すなわち、図13(a)に示すように、制御装置CONTは、投影光学系PLとパターン形成領域PA5の−X側端部とが対向するように基板ステージPSTを−Y方向にステップ移動する。このとき、マスクステージMSTはマスクMと感光基板Pとの位置合わせをするために微動するだけで、ほとんど移動しなくてよい。そして、マスクMと感光基板Pとを投影光学系PLに対して−X方向に同期移動しつつマスクMを露光光ELで照明することにより、パターン形成領域PA5に対して露光処理が行われる。図13(b)には、パターン形成領域PA5に対する走査露光が終了した後の状態が示されている。
【0078】
次いで、制御装置CONTは、補正パラメータに基づいて像特性を補正した後、レーザ干渉計Py2、及びPx1、Px2で基板ステージPSTの位置を検出しつつパターン形成領域PA6に対する露光処理を行う(ステップSB15)。すなわち、図13(c)に示すように、制御装置CONTは、投影光学系PLとパターン形成領域PA6の+X側端部とが対向するように基板ステージPSTを−Y方向にステップ移動する。このときも、マスクステージMSTはマスクMと感光基板Pとの位置合わせをするために微動するだけで、ほとんど移動しなくてよい。そして、マスクMと感光基板Pとを投影光学系PLに対して+X方向に同期移動しつつマスクMを露光光ELで照明することにより、パターン形成領域PA6に対して露光処理が行われる。図13(d)には、パターン形成領域PA6に対する走査露光が終了した後の状態が示されている。
【0079】
上記ステップSB9〜SB714における基板ステージPSTのX軸方向の位置検出、すなわち、複数のパターン形成領域PA4〜PA6(ブロックBR2)に対するアライメント処理及び露光処理におけるX軸方向の位置検出は、図12及び図13に示すようにレーザ干渉計Px1、Px2により行われ、Y軸方向の位置検出はレーザ干渉計Py2により行われる。すなわち、X軸方向に複数並んだレーザ干渉計Py1〜Py3のうち位置検出に用いるレーザ干渉計はPy2の1つである。そして、この1つのレーザ干渉計Py2で位置検出し、このレーザ干渉計Py2の位置検出値に基づきアライメントマーク検出を行ってマスクMと感光基板Pとのアライメント処理を行った後、マスクMのパターンがパターン形成領域PA4〜PA6に露光される。そして、ここでも、Y軸方向に複数並んだパターン形成領域PA4〜PA6のそれぞれが順次連続露光されるとともに、この連続露光中において複数のレーザ干渉計Py1〜Py3のうちのパターン形成領域PA4〜PA6(ブロックBR2)に対応する特定のレーザ干渉計Py2が位置検出に用いられる構成となっている。
【0080】
次いで、図14(a)に示すように、制御装置CONTは、基板ステージPSTを移動し、感光基板Pに設けられている−X側から5列目のアライメントマークm1〜m6のそれぞれとアライメント系AL1〜AL6のそれぞれとを対向させる。そして、制御装置CONTは複数のレーザ干渉計Py1〜Py3のうちパターン形成領域PA7〜PA9(ブロックBR3)に対応する1つのレーザ干渉計Py3を選択する。制御装置CONTは、基板ステージPSTのX軸方向における位置が移動したことに伴い、基板ステージPSTのY軸方向の位置検出に用いるレーザ干渉計をレーザ干渉計Py2から前記選択したレーザ干渉計Py3に切り替える(ステップSB16)。
【0081】
そして、制御装置CONTは、このときの基板ステージPSTのX軸方向及びθZ方向における位置をレーザ干渉計Px1、Px2を用いて検出するとともに、基板ステージPSTのY軸方向における位置をレーザ干渉計Py3を用いて検出する。制御装置CONTはレーザ干渉計で基板ステージPSTの位置を検出しつつ、アライメント系AL1〜AL6と−X側から5列目のアライメントマークm1〜m6のそれぞれとを対向した状態で、Y軸方向に複数並んだパターン形成領域(露光領域)PA7〜PA9のそれぞれに対応するアライメントマークm1〜m6を同時に検出する(ステップSB17)。
このとき、レーザ干渉計Py3を動作させ、レーザ干渉計Py2とPy3との差分をオフセット2として記憶する。以後、基板ステージPST座標はレーザ干渉計Py3の計測値とオフセット1とオフセット2とにより求める。
【0082】
ここでも、レーザ干渉計をPy2からPy3に切り替える際、レーザ干渉計Py2の位置検出結果がレーザ干渉計Py3の位置検出に用いられる。すなわち、ブロックBR3(パターン形成領域PA7〜PA9)に関するアライメント処理の一部であるレーザ干渉計Py3の位置検出動作には、X軸方向で隣接するブロックBR2(パターン形成領域PA4〜PA6)のアライメント結果の一部であるレーザ干渉計Py2の位置検出結果が用いられる。
【0083】
次いで、図14(b)に示すように、制御装置CONTは、基板ステージPSTを−X方向に移動し、感光基板Pに設けられている−X側から6列目のアライメントマークm1〜m6のそれぞれとアライメント系AL1〜AL6のそれぞれとを対向させ、レーザ干渉計Py3で基板ステージPSTのY軸方向における位置を検出するとともにレーザ干渉計Px1、Px2で基板ステージPSTのX軸方向及びθZ方向における位置を検出し、アライメントマークm1〜m6のそれぞれを同時に検出する(ステップSB18)。
【0084】
制御装置CONTは、パターン形成領域PA7〜PA9のそれぞれに対してX軸方向に所定距離離れた2箇所で5列目のアライメントマーク及び6列目のアライメントマークの位置検出を行い、これら検出結果に基づいて、各パターン形成領域PA7〜PA9に関するシフト、スケーリング、及びローテーション等の像特性を補正する補正パラメータを求める(ステップSB19)。
【0085】
ここで、5列目のアライメントマーク検出後、6列目のアライメントマークを検出するために、感光基板PがアライメントユニットUに対して走査する際、Y軸方向に並んだ複数の基板AF検出系60a〜60gのそれぞれが感光基板Pの表面の高さ位置をX軸方向において所定距離間隔で検出する。これら基板AF検出系60a〜60gそれぞれの検出結果は制御装置CONTに出力され、制御装置CONTは基板AF検出系60a〜60gの検出結果に基づいて、感光基板Pのパターン形成領域PA7〜PA9それぞれの表面形状を求める(ステップSB20)。
【0086】
次いで、制御装置CONTは、ステップSB18で求めた補正パラメータに基づいて像特性を補正した後、レーザ干渉計Py3、及びPx1、Px2で基板ステージPSTの位置を検出しつつパターン形成領域PA7に対する露光処理を行う(ステップSB21)。
すなわち、図14(c)に示すように、制御装置CONTは、投影光学系PLとパターン形成領域PA7の+X側端部とが対向するように基板ステージPSTを移動する。そして、マスクMと感光基板Pとを投影光学系PLに対して+X方向に同期移動しつつマスクMを露光光ELで照明することにより、パターン形成領域PA7に対して露光処理が行われる。図14(d)には、パターン形成領域PA7に対する走査露光が終了した後の状態が示されている。ここで、ステップSB19で求めた感光基板P(パターン形成領域PA7)の表面形状データに基づいて、投影光学系の結像面と感光基板Pの表面とが一致するように、基板ステージPSTをZ軸方向、あるいはθX、θY方向に移動して感光基板Pの姿勢を制御しつつ走査露光が行われる。
【0087】
次いで、制御装置CONTは、補正パラメータに基づいて像特性を補正した後、レーザ干渉計Py3、及びPx1、Px2で基板ステージPSTの位置を検出しつつパターン形成領域PA8に対する露光処理を行う(ステップSB22)。すなわち、図15(a)に示すように、制御装置CONTは、投影光学系PLとパターン形成領域PA8の−X側端部とが対向するように基板ステージPSTを−Y方向にステップ移動する。このとき、マスクステージMSTはマスクMと感光基板Pとの位置合わせをするために微動するだけで、ほとんど移動しなくてよい。そして、マスクMと感光基板Pとを投影光学系PLに対して−X方向に同期移動しつつマスクMを露光光ELで照明することにより、パターン形成領域PA8に対して露光処理が行われる。図15(b)には、パターン形成領域PA8に対する走査露光が終了した後の状態が示されている。
【0088】
次いで、制御装置CONTは、補正パラメータに基づいて像特性を補正した後、レーザ干渉計Py3、及びPx1、Px2で基板ステージPSTの位置を検出しつつパターン形成領域PA9に対する露光処理を行う(ステップSB23)。すなわち、図15(c)に示すように、制御装置CONTは、投影光学系PLとパターン形成領域PA9の+X側端部とが対向するように基板ステージPSTを−Y方向にステップ移動する。このときも、マスクステージMSTはマスクMと感光基板Pとの位置合わせをするために微動するだけで、ほとんど移動しなくてよい。そして、マスクMと感光基板Pとを投影光学系PLに対して+X方向に同期移動しつつマスクMを露光光ELで照明することにより、パターン形成領域PA9に対して露光処理が行われる。図15(d)には、パターン形成領域PA9に対する走査露光が終了した後の状態が示されている。
【0089】
上記ステップSB17〜SB23における基板ステージPSTのX軸方向の位置検出、すなわち、複数のパターン形成領域PA7〜PA9(ブロックBR3)に対するアライメント処理及び露光処理におけるX軸方向の位置検出は、図14及び図15に示すようにレーザ干渉計Px1、Px2により行われ、Y軸方向の位置検出はレーザ干渉計Py3により行われる。すなわち、X軸方向に複数並んだレーザ干渉計Py1〜Py3のうち位置検出に用いるレーザ干渉計はPy3の1つである。そして、この1つのレーザ干渉計Py3で位置検出し、このレーザ干渉計Py3の位置検出値に基づきアライメントマーク検出を行ってマスクMと感光基板Pとのアライメント処理を行った後、マスクMのパターンがパターン形成領域PA7〜PA9に露光される。そして、ここでも、Y軸方向に複数並んだパターン形成領域PA7〜PA9のそれぞれが順次連続露光されるとともに、この連続露光中において複数のレーザ干渉計Py1〜Py3のうちのパターン形成領域PA7〜PA9(ブロックBR3)に対応する特定のレーザ干渉計Py3が位置検出に用いられる構成となっている。
【0090】
以上説明したように、感光基板Pに露光するパターン形成領域PA1〜PA9を複数のブロックBR1〜BR3に分割し、ブロック毎にアライメント処理及び露光処理し、この処理を複数のブロックBR1〜BR3のそれぞれについて順次行うようにしたので、感光基板Pが大型化しても感光基板Pを複数のブロックに分割し、各ブロックに対応するレーザ干渉計Py1〜Py3を設けることにより、1つのブロックに対してレーザ干渉計を切り替えることなく各ブロック毎に精度良いアライメント処理及び露光処理ができる。
【0091】
なお、本実施形態では、アライメント系はAL1〜AL6の6つであるが、Y軸方向に少なくとも3つ並べて配置されていればよく、これによりアライメントマークの数を減らすことなく、アライメントマークの検出動作回数を低減することができる。そして、これら複数並んだアライメント系を用いて、複数のパターン形成領域のそれぞれのアライメントマークを同時に計測するようにしたので、スループットを向上できる。
【0092】
なお、上述したように、レーザ干渉計Py1〜Py3の間隔(配置)はX軸方向に並ぶパターン形成領域(ブロック)のそれぞれに対応して設定され、パターン形成領域のそれぞれが互いに隣接する場合にはレーザ干渉計Py1〜Py3の配置はパターン形成領域のX軸方向の長さ(大きさ)に応じて設定される。一方、X軸方向に並ぶパターン形成領域が互いに離間して設定されている場合には、複数のレーザ干渉計Py1〜Py3の配置はパターン形成領域の大きさ及び互いの間隔に応じて設定される。
【0093】
上記実施形態では、移動鏡34bは1つの移動鏡であるが、X軸方向に並ぶ複数のブロックBR1〜BR3のそれぞれに対応するように分割した複数(3つ)の移動鏡を基板ステージPST上に配置する構成でもよい。
【0094】
なお、上記実施形態における露光装置EXは、互いに隣接する複数の投影光学系を有する、いわゆるマルチレンズスキャン型露光装置であるが、投影光学系が1つである走査型露光装置ついても、本発明を適用することができる。
【0095】
なお、露光装置EXの用途としては角型のガラスプレートに液晶表示素子パターンを露光する液晶用の露光装置に限定されることなく、例えば、半導体製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッドを製造するための露光装置にも広く適当できる。
【0096】
本実施形態の露光装置EXの光源は、g線(436nm)、h線(405nm)、i線(365nm)のみならず、KrFエキシマレーザ(248nm)、ArFエキシマレーザ(193nm)、F2レーザ(157nm)を用いることができる。
【0097】
投影光学系PLの倍率は等倍系のみならず、縮小系及び拡大系のいずれでもよい。
【0098】
投影光学系PLとしては、エキシマレーザなどの遠紫外線を用いる場合は硝材として石英や蛍石などの遠紫外線を透過する材料を用い、F2レーザを用いる場合は反射屈折系または屈折系の光学系にする。
【0099】
基板ステージPSTやマスクステージMSTにリニアモータを用いる場合は、エアベアリングを用いたエア浮上型およびローレンツ力またはリアクタンス力を用いた磁気浮上型のどちらを用いてもいい。また、ステージは、ガイドに沿って移動するタイプでもいいし、ガイドを設けないガイドレスタイプでもよい。
【0100】
ステージの駆動装置として平面モ−タを用いる場合、磁石ユニットと電機子ユニットのいずれか一方をステージに接続し、磁石ユニットと電機子ユニットの他方をステージの移動面側(ベース)に設ければよい。
【0101】
基板ステージPSTの移動により発生する反力は、特開平8−166475号公報に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。本発明は、このような構造を備えた露光装置においても適用可能である。
【0102】
マスクステージMSTの移動により発生する反力は、特開平8−330224号公報に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。本発明は、このような構造を備えた露光装置においても適用可能である。
【0103】
以上のように、本願実施形態の露光装置は、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0104】
半導体デバイスは、図18に示すように、デバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板(ウエハ、ガラスプレート)を製造するステップ203、前述した実施形態の露光装置によりマスクのパターンを基板に露光し、この露光した基板を現像する基板処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。
【0105】
【発明の効果】
以上説明したように、基板に露光する露光領域を複数のブロックに分割し、ブロック毎にアライメント処理及び露光処理し、この処理を複数のブロックのそれぞれについて順次行うようにしたので、基板が大型化しても基板を複数のブロックに分割し、各ブロックに対応する位置検出装置を設けることにより、1つのブロックに対して位置検出装置を切り替えることなく各ブロック毎に精度良いアライメント処理及び露光処理ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の露光装置の一実施形態を示す概略斜視図である。
【図2】図1の概略構成図である。
【図3】フィルタを示す図である。
【図4】アライメント系を備えたアライメントユニットを示す概略斜視図である。
【図5】アライメント系及びAF検出系の配置を説明するための図である。
【図6】アライメント系の概略構成図である。
【図7】AF検出系の概略構成図である。
【図8】ベースライン計測手順を説明するための図である。
【図9】本発明の露光方法を説明するための図である。
【図10】本発明の露光方法を説明するための図である。
【図11】本発明の露光方法を説明するための図である。
【図12】本発明の露光方法を説明するための図である。
【図13】本発明の露光方法を説明するための図である。
【図14】本発明の露光方法を説明するための図である。
【図15】本発明の露光方法を説明するための図である。
【図16】本発明の露光方法を説明するためのフローチャート図である。
【図17】本発明の露光方法を説明するためのフローチャート図である。
【図18】半導体デバイスの製造工程の一例を示すフローチャート図である。
【図19】従来の露光装置を示す斜視図である。
【符号の説明】
32a、32b 移動鏡(位置検出装置)
34a、34b 移動鏡(位置検出装置)
60(60a〜60g) 基板側AF検出系
70(70a〜70d) マスク側AF検出系
AL(AL1〜AL6) アライメント系(アライメント部)
BR1〜BR3 ブロック
CONT 制御装置
EX 露光装置
M マスク
m1〜m6 アライメントマーク
MST マスクステージ
Mx1、Mx2 レーザ干渉計(位置検出装置)
P 感光基板(基板)
PA1〜PA9 パターン形成領域(露光領域)
PL(PLa〜PLg) 投影光学系
PST 基板ステージ
Px1、Px2 レーザ干渉計(位置検出装置)
Py1〜Py3 レーザ干渉計(位置検出装置)
Claims (12)
- 基板ステージ上に載置された基板にパターンを露光する露光方法において、
前記基板ステージの第2の方向における位置を1つの位置検出装置で検出し、該1つの位置検出装置の検出結果に基づいて前記基板の位置合わせを行って該基板に前記パターンを露光する処理を、前記基板を前記第2の方向と直交する第1の方向に分割して設定される第1および第2の露光領域ごとに行う露光工程と、
前記第1の露光領域に対する前記処理の後、前記第2の露光領域に対する前記処理を行うまでに、前記処理に用いる前記1つの位置検出装置を前記第1の露光領域に対応付けられた位置検出装置から前記第2の露光領域に対応付けられた位置検出装置に切り替える切替工程と、
を含むことを特徴とする露光方法。 - 前記基板は、前記第1の露光領域を含み前記第2の方向に並ぶ複数の露光領域で構成される第1の露光領域ブロックと、前記第2の露光領域を含み前記第2の方向に並ぶ複数の露光領域で構成される第2の露光領域ブロックとが設定され、
前記露光工程は、前記第1および第2の露光領域ブロックごとに、前記処理を当該第1または第2の露光領域ブロックを構成する前記複数の露光領域に対して連続的に行い、
前記切替工程は、前記第1の露光領域ブロックに対する前記処理の後、前記第2の露光領域ブロックに対する前記処理を行うまでに、前記1つの位置検出装置の切り替えを行うことを特徴とする請求項1記載の露光方法。 - 前記露光工程は、前記第1および第2の露光領域ブロックごとに、当該第1または第2の露光領域ブロックを構成する前記複数の露光領域に対して前記基板上に設けられた複数のアライメントマークを同時検出し、該複数のアライメントマークの検出結果と前記基板ステージの位置の検出結果とに基づいて前記基板の位置合わせを行うことを特徴とする請求項2記載の露光方法。
- 前記位置検出装置は、前記基板ステージ上で前記第1の方向に延在された鏡部材に対して前記第2の方向へレーザ光を照射するレーザ干渉計を用いて、前記第2の方向における前記基板ステージの位置を検出することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の露光方法。
- 前記パターンを有するマスクが載置されるマスクステージと前記基板ステージとを介して前記マスクと前記基板とを前記第1の方向に同期移動しつつ前記パターンを該基板に露光することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の露光方法。
- 基板ステージ上に載置された基板にパターンを露光する露光装置において、
第1の方向に並べて配置され、該第1の方向と直交する第2の方向における前記基板ステージの位置を検出する複数の位置検出装置と、
前記基板ステージの前記第2の方向における位置を前記複数の位置検出装置のうちの1つの位置検出装置で検出し、該1つの位置検出装置の検出結果に基づいて前記基板の位置合わせを行って該基板に前記パターンを露光する処理を、前記基板を前記第1の方向に分割して設定される第1および第2の露光領域ごとに行うとともに、前記第1の露光領域に対する前記処理の後、前記第2の露光領域に対する前記処理を行うまでに、前記1つの位置検出装置を前記第1の露光領域に対応付けられた位置検出装置から前記第2の位置検出装置に対応付けられた位置検出装置に切り替える制御装置とを備えることを特徴とする露光装置。 - 前記基板は、前記第1の露光領域を含み前記第2の方向に並ぶ複数の露光領域で構成される第1の露光領域ブロックと、前記第2の露光領域を含み前記第2の方向に並ぶ複数の露光領域で構成される第2の露光領域ブロックとが設定され、
前記制御装置は、前記第1および第2の露光領域ブロックごとに、前記処理を当該第1または第2の露光領域ブロックを構成する前記複数の露光領域に対して連続的に行うとともに、前記第1の露光領域ブロックに対する前記処理の後、前記第2の露光領域ブロック に対する前記処理を行うまでに、前記1つの位置検出装置の切り替えを行うことを特徴とする請求項6記載の露光装置。 - 前記基板上に設けられたアライメントマークを検出するアライメント部を備え、
前記制御装置は、前記第1および第2の露光領域ブロックごとに、当該第1または第2の露光領域ブロックを構成する前記複数の露光領域に対して前記基板上に設けられた複数の前記アライメントマークを同時検出し、該複数のアライメントマークの検出結果と前記基板ステージの位置の検出結果とに基づいて前記基板の位置合わせを行うことを特徴とする請求項7記載の露光装置。 - 前記複数の位置検出装置の前記第1の方向の間隔は、前記第1および第2の露光領域の前記第1の方向の大きさに基づいて設定されることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項記載の露光装置。
- 前記位置検出装置は、前記基板ステージ上で前記第1の方向に延在された鏡部材に対して前記第2の方向へレーザ光を照射するレーザ干渉計を有することを特徴とする請求項6〜9のいずれか一項記載の露光装置。
- 前記パターンを有するマスクが載置されるマスクステージを備え、
前記制御装置は、前記マスクステージおよび前記基板ステージを介して前記マスクと前記基板とを前記第1の方向に同期移動しつつ前記パターンを該基板に露光することを特徴とする請求項6〜10のいずれか一項記載の露光装置。 - 請求項1〜請求項5のいずれか一項記載の露光方法、あるいは請求項6〜請求項11のいずれか一項記載の露光装置を用いて、前記パターンを前記基板に露光する工程と、該露光した基板を現像する工程とを含むことを特徴とするデバイス製造方法。
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