JP2004151524A - 多心光コネクタ - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、多心用光コネクタの挟持面間への光ファイバーの組み付け作業が容易化され、その上で、低接続損失の接続を実現できる多心光コネクタを提供することにある。
【解決手段】光ファイバー9をファイバー整列方向Yに複数整列させるV溝4が形成されたV溝基板5と、同V溝基板を嵌合する嵌合凹部15とそこに配備される挟持面12とを備え、その挟持面とV溝4とで光ファイバー9を挟持する押え部材6と、同押え部材の両側端部に設けられファイバー長手方向Xに沿って形成される位置決めピン用の穴8と、V溝基板5と押え部材6との間に設けられ、位置決めピン用の穴8と光ファイバー9とのファイバー整列方向の相対位置を調整又は規制する位置修正部M1,M2とを具備し、挟持面12に光ファイバーの外径方向での一側部を嵌合するファイバーガイド溝20を形成した。
【選択図】 図1
【解決手段】光ファイバー9をファイバー整列方向Yに複数整列させるV溝4が形成されたV溝基板5と、同V溝基板を嵌合する嵌合凹部15とそこに配備される挟持面12とを備え、その挟持面とV溝4とで光ファイバー9を挟持する押え部材6と、同押え部材の両側端部に設けられファイバー長手方向Xに沿って形成される位置決めピン用の穴8と、V溝基板5と押え部材6との間に設けられ、位置決めピン用の穴8と光ファイバー9とのファイバー整列方向の相対位置を調整又は規制する位置修正部M1,M2とを具備し、挟持面12に光ファイバーの外径方向での一側部を嵌合するファイバーガイド溝20を形成した。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信等に用いられる多心光コネクタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバとしての光ファイバ心線は、コアの周りをクラッドによって覆った2重構造となっており、この2重構造の光ファイバの周りがプライマリーコートによって覆われ、さらにその周りがナイロンジャケット等により覆われている。光ファイバの外径は、一般に、約125μmに形成されており、光ファイバ心線の外径は例えば約250μmとなっており、光ファイバ心線の外径は光ファイバの外径の約2倍に形成されている。
【0003】
このような光ファイバ心線を複数一括して接続相手側の光部品に接続する光ファイバ接続具として、多心光コネクタが広く用いられており、図15には従来の多心光コネクタの一例を示す。同図の多心光コネクタ100は、MTコネクタと呼ばれているものであり、複数の光ファイバ心線110をファイバー整列方向Yに帯状に並設して成る光ファイバテープ120が多心光コネクタ100の主要部を成すフェルール130に挿入固定されて形成されている。複数の光ファイバ心線110はその先端側のナイロンジャケットおよびプライマリーコートの被覆を除去された状態でフェルール130に挿入され、被覆の除去によって剥き出しになった光ファイバ140の端面がフェルール130の先端部のファイバ穴160に嵌挿され、接続端面150に露出するようにして、所定の配列ピッチで配列されている。
【0004】
フェルール130にはこれらの光ファイバ140の配設領域を挟む両側に、この多心光コネクタとの接続相手側の光部品(例えば多心光コネクタ)200との位置決め用のピン嵌合穴170が形成されている。このピン嵌合穴170に嵌合される嵌合ピン180を、接続相手側の光部品200に形成されているガイド穴190に挿入することにより、光部品200側の光ファイバとの位置ずれを抑え、無調心で接続されるようにしている。
このため、多心光コネクタ100と接続相手側の光部品200との位置精度を確保し接続損失を低減させる上で、多心光コネクタ100自体においても、基準位置となるピン嵌合穴170に対する複数の各光ファイバ140の取付け位置との間の位置精度を高めることが必要となる。しかも、多心光コネクタ100の主要部を成すフェルール130内のファイバ穴160に複数の光ファイバ140を挿入し固定する組み付け作業の容易化を図る必要もある。
【0005】
ところで、光回路部品を実際のシステムで使用する場合、光信号の入出力部に多心光コネクタ(MTコネクタ)等を用い光ファイバーを接続するにあたり、光導波回路のコアと光ファイバーのコアとの光軸を精密に位置合わせする必要がある。この場合において、両者のコア光軸の位置ずれと接続損失の関係が図17に示すような特性となることが知られている。これより明らかなように、光軸に対する位置ずれが0.75μmで0.1dBの接続損失となっており、低接続損失の実現には位置ずれを0.75μm乃至1.0μm程度以下に抑えることが好ましいことが知られており、特許第3273490号公報(特許文献1)に関連記載がある。
【0006】
更に、上述のような多心光コネクタ(MTコネクタ)の一例であり、複数の光ファイバ心線の剥き出しになった光ファイバ部分をフェルールの本体のピン嵌合穴に差込みその光ファイバ部分の内側の一部をクランプ部材で押圧して接着材で両者を固定する技術が特開平9−184942号公報(特許文献2)に開示される。
同じく、複数の光ファイバ心線の剥き出しになった光ファイバ部分をフェルールの本体のピン嵌合穴に差込み、その光ファイバ部分の内側の一部をクランプ部材を介して片持方式のバネで押圧固定する技術が特開平10−123368号公報(特許文献3)に開示される。
【0007】
更に、図16に示したように、平坦な上プレート210とV溝220を形成された下プレート(V溝基板)230との間に、複数のファイバー240を並列状に整列固定するにあたり、下プレート230にはその中央部分に複数のファイバー240を嵌合するV溝220を設定間隔で形成し、それらの両端側に比較的浅いV溝220’を形成する。
【0008】
このようにすることで、両端の浅いV溝220’に挟持された光ファイバーが強く挟持され、中間部のファイバ240を挟持する領域である中央の配設領域に隙間を的確に確保できる。更に、設定間隔の各V溝220に位置精度良く複数のファイバー240を嵌挿し、この嵌挿処理や位置決めを容易に実行した上で、これらの外側隙間にハンダ250等を充填して接着するという技術が特開平7−287137号公報(特許文献4)に開示される。なお、同様の平坦な上プレートと同様のV溝基板である下プレートを用いてマイクロキャピラリを作製する技術が上述の(特許文献1)にも開示される。
【0009】
更に、互いに重ね合わせた一対のファイバーテープを載置する平板基板と、その平板基板の端部に嵌合凹部が嵌合する接続端部材と、接続端部材の嵌合穴に嵌着されるファイバ押え部材を備え、2つのファイバーテープよりそれぞれ剥き出しになった光ファイバ部分を交互に並列状に重ねて一列に整列配備し、同光ファイバの重ね整列部を平板基板とファイバ押え部材の両配列ガイド溝部分で挟持する技術が特開2000−221364号公報(特許文献5)に開示される。ここでは、特に、透明な押え部材を用い、光ファイバ重ね整列部の光ファイバの整列状態を確認できる。
【0010】
【特許文献1】
特許第3273490号公報
【特許文献2】
特開平9−184942号公報
【特許文献3】
特開平10−123368号公報
【特許文献4】
特開平7−287137号公報
【特許文献5】
特開2000−221364号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特許文献2、3に開示される技術を用いた場合、ファイバー整列方向Yに複数並列配備される各光ファイバーの外径に対し、多心光コネクタに形成されているガイド穴の内径との間にずれが発生し易い。このため、嵌挿処理により結合される相互の精度誤差により光軸ずれが生じ易く、これにより接続先の各光ファイバとの間の光軸ずれにより接続損失が増加し易く、低接続損失(0.1dB程度)の実現のため位置ずれを0、75μm乃至1.0μm以下に抑えることは困難となる。しかも、多心光コネクタ100の複数のガイド穴に複数の光ファイバ140を差込み挿入し、固定する作業に手間取るという問題が有る。
【0012】
特許文献1、4に開示される技術を用いた場合、複数のガイド穴に複数の光ファイバを差込み挿入する作業が排除される。しかし、上プレート210とV溝220を形成された下プレート(V溝基板)230との間に、複数のファイバー240を並列状に整列固定するに当たり、その並列状に整列固定する作業に手間取るという問題がある。
【0013】
特許文献5に開示される技術を用いた場合、接続端部材と平板基板の間の位置決めは、両者の互いに対向する挟持面間に形成される位置決めガイド溝と逆V字溝とこれらに嵌合する位置合わせ用の光ファイバーを用いて行なっており、この場合も位置決めガイド溝と逆V字溝との間に複数の光ファイバを挿入し、並列状に整列固定する作業に手間取るという問題がある。
このように、従来の各多心用光コネクタでは、コア光軸の位置ずれを低減して低接続損失の接続を実現する上で、位置規制用のガイドピン、ガイドピン用貫通穴の精度および光ファイバー間の穴或いはV溝精度が要求される。
【0014】
しかも、多心用光コネクタの挟持面間への複数の光ファイバーの組み付けにあたり、各光ファイバーの挟持面上への挿入、載置作業及び挟持面上でのずれを生じないように抑制して挟持する組み付け作業に手間取り、この点で作業工程数が多いことよりコストアップを招き易く、しかも、現場における接続作業に熟練を要していた。
【0015】
更に、多心光コネクタは複数の光ファイバを並列状に整列固定するにあたり、光ファイバを挿入する穴或いはV溝を必要とするが、その穴或いはV溝の数は一つのテープファイバの心線数に対応するように決定されてしまい、その他の、例えば2心、4心、8心、12心等の他の心線数のテープファイバの接続には利用できず、この点で改善が望まれている。
【0016】
この発明は以上のような課題に基づきなされたもので、多心用光コネクタの挟持面間への複数心の光ファイバーの組み付け操作が容易化され、煩わしい作業工程の低減によるコストダウンを図れ、その上で、低接続損失の接続を実現できる多心光コネクタを提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、光ファイバーと、同光ファイバーをファイバー長手方向と直交するファイバー整列方向に複数並列状に整列させるV溝が形成されたV溝基板と、同V溝基板を嵌合する嵌合凹部と同嵌合凹部に対向配備される挟持面とを備え、同挟持面と上記V溝基板のV溝とで複数の光ファイバーを挟持する押え部材と、同押え部材のファイバー整列方向における両側端部に設けられ、ファイバー長手方向に沿って形成される位置決めピン用の穴と、上記V溝基板と上記押え部材との間に設けられ、上記位置決めピン用の穴と上記光ファイバーとのファイバー整列方向における相対位置を調整又は相対位置を規制する位置修正部と、を具備し、上記挟持面に上記光ファイバーの外径方向での一側部を嵌合するファイバーガイド溝を形成したことを特徴とする。
ここでは、押え部材の挟持面に複数の光ファイバーを載置した上でV溝基板のV溝とで挟持するにあたり、挟持面に形成したファイバーガイド溝が光ファイバーの挟持面上への挿入や整列作業を容易化すると共にずれを容易に抑えることができ、このファイバーガイド溝上の光ファイバーをV溝基板のV溝とで挟持する組み付け操作が容易化され、その上で、位置修正部を位置修正操作することで、上記ファイバー整列方向における位置決めピン用の穴と光ファイバーとの相対位置を調整又は相対位置を規制して位置精度を容易に高くすることができ、組み付け性が向上する上に低接続損失の接続を実現できる。
【0018】
請求項2の発明は、光ファイバーと、同光ファイバーをファイバー長手方向と直交するファイバー整列方向に複数並列状に整列させるV溝が形成されたV溝基板と、同V溝基板に重ね合わされそのV溝に当接する複数の光ファイバーを挟持面で挟持するファイバ押え部材と、上記V溝基板とファイバ押え部材とで複数の光ファイバーを挟持した仮結合体を貫通孔の一端開口より他端開口まで挿入して支持するハウジングと、上記仮結合体を支持するハウジングのファイバー整列方向における両側端部に設けられ、ファイバー長手方向に沿って形成される位置決めピン用の穴と、を具備し、上記ハウジングの位置決めピン穴と上記仮結合体の光ファイバーとのファイバー整列方向における位置調整を行なった上で両者を一体接合することを特徴とする。
ここでは、V溝基板とファイバ押え部材とで複数の光ファイバーを挟持して仮結合体とし、光ファイバーを挟持した仮結合体をハウジングの貫通孔の一端開口より他端開口まで挿入し、その上で、ハウジングの位置決めピン穴と仮結合体の光ファイバーとのファイバー整列方向における位置調整を行なった上で両者を一体接合するので、仮結合体を交換するのみで仮結合体が挟持する光ファイバーの数を変更でき、V溝基板とファイバ押え部材と光ファイバーとからなる仮結合体側の変更のみでハウジングを共用でき、ファイバ押え部材の共用化もでき、コスト低減を図り易い。
【0019】
請求項3の発明は、請求項2記載の多心光コネクタにおいて、上記ファイバ押え部材の挟持面に上記光ファイバーの外径方向での一側部を嵌合するファイバーガイド溝を形成したことを特徴とする。
ここでは、ファイバ押え部材の挟持面に複数の光ファイバーを載置した上でV溝基板のV溝とで挟持するにあたり、挟持面に形成したファイバーガイド溝が光ファイバーの挟持面上への挿入を容易化すると共にずれを容易に抑えることができ、このファイバーガイド溝上の光ファイバーをV溝基板のV溝とで挟持する組み付け操作が容易化され、組み付け性が向上する。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1には本発明の一実施形態としての多心光コネクタ1を示した。
この多心光コネクタ1は光ファイバを8本並列状に整列して保持する8心用のテープファイバー2の接続コネクタとして形成され、接続相手先の光部品3側の8本並列状に整列した各光ファイバ(図示せず)に光軸を位置精度良く合わせて接続する。
【0021】
図1に示すように、多心光コネクタ1は、複数のV溝4(図4参照)が形成されたV溝基板5と、同V溝基板5を嵌合する嵌合凹部15を形成した押え部材6と、同押え部材6の両側端部602に形成され、位置決めピン7を嵌挿する位置決めピン用のピン穴8と、V溝基板5と押え部材6との間に設けられ光ファイバー9の位置を修正する位置修正部としての位置規制部M2とを備えている。
【0022】
図1乃至3に示すように、押え部材6は貫通孔n0を有する略ブロック体であり、主部601とその両側の両側端部602と後端側の段部603と、主部601とその両側の両側端部602で覆われると共に段部603の後側面に設けた一方の後開口n1より他方の前開口n2に達する貫通孔n0と、貫通孔n0の前開口n2側であって、貫通孔n0の上部に重なる嵌合凹部15とを形成される。 主部601とその両側の両側端部602とは接続相手先の光部品3側の接続孔301に嵌挿可能に形成され、その際、段部603は接続孔301の縁部に当接する。
【0023】
図1、図2に示すように、押え部材6はその両側部602にファイバー長手方向Xに向けて取付けられる位置決めピン7用のピン穴8がそれぞれ形成される。押え部材6の両側部602に貫通状態で形成される各ピン穴8は接続相手側の光部品3との位置決めを行なう上で基準位置と成るもので、ここでは両ピン穴8の中心線の延出方向がファイバー長手方向Xに設定され、両ピン穴8の中心線間の方向でファイバー長手方向Xと直交する方向がファイバー整列方向Yに設定される。更に、両ピン穴8の中心線を含む基準面に対して嵌合凹部15の挟持面12が平行に設定され、この基準面と直交する面に対して嵌合凹部15の両側面32が平行に設定されている。
【0024】
押え部材6の貫通孔n0(図3参照)は略扁平形状を成し、後開口n1より孔内傾斜段部d1までの間隔L1の範囲が8心用のテープファイバー2をテープ状のまま嵌挿できるよう形状される。貫通孔n0の孔内傾斜段部d1より前開口n2までの間隔L2の範囲は各ファイバー心線9aより被覆材を排除した8本の光ファイバー9を載置する挟持面12と同挟持面12と上方より対向する下向き内壁面31と、同下向き内壁面31より前開口n2までの領域を上方に向けて開放すると共にV溝基板5を嵌合する嵌合凹部15とが形成されている。
【0025】
挟持面12は押え部材6の主部601の上向き面であり、この挟持面12にはファイバーガイド溝20がファイバー長手方向Xに沿って8本並列状に形成される。ファイバー整列方向Yにおいて、挟持面12はファイバーガイド溝20の配設領域a1(図4参照)よりも十分に大きな横幅D1(図5参照)を有する。 図4、5に示すように、複数のファイバーガイド溝20の配設領域a1及び後述の複数のV溝4の配設領域a2をそれぞれ外れた一側端部分には押え部材6とV溝基板5との間に設けられ光ファイバー9の位置を修正する位置修正部としての位置規制部M2が形成される。ここで位置規制部M2はV溝基板5の突き当て段部10と押え部材6の突き当て段部13とで形成される。
【0026】
突き当て段部13はファイバーガイド溝20の溝深さ方向(紙面上下方向)と同じ方向に切り込まれ、後述の組み付け調整幅e0より大きな段幅e1を備え、ファイバー長手方向X(図4で紙面垂直方向)に沿って直状に連続形成される。押え部材6の挟持面12の各ファイバーガイド溝20は被覆材を排除した光ファイバー9を嵌着し、特に、図4、図7(a)に示すように、光ファイバー9の外径方向での一側である下側部を嵌合し、その上側部分を溝外に露呈するように嵌着する。しかも、ファイバーガイド溝20はその溝幅h1が光ファイバー9の外径d0に対して所定量Δh大きく形成される。これにより、ファイバ整列方向Yへのずれを所定量Δh以内で許容し、それ以上のずれを規制するように溝幅h1が形成される。
【0027】
ここでのファイバーガイド溝20は、光ファイバー9の直径(φ0.125)の半分より大きい溝深さで形成される。しかも、互いに隣り合うファイバーガイド溝20のファイバー整列方向Yにおける間隔kは、光ファイバー9の直径(φ0.125)の2倍に設定される。
このため、ファイバーガイド溝20はテープファイバー2が貫通孔n0に挿入された際に、その先端側の8本の光ファイバー9を互いに並列状に整列させて、互いに隣り合う光ファイバー9の間隔を概略一定に保ち、ファイバーガイド溝20に沿ってファイバー長手方向Xにずれなく差込み挿入し、載置するように案内できる。この場合、光ファイバー9のファイバーガイド溝20への差込み挿入時の抵抗が比較的大きいが、光ファイバー9のファイバ整列方向Yへの所定量Δh以上のずれ規制機能を十分に発揮できる。
【0028】
なお、図4、図7(a)に示すファイバーガイド溝20に代えて、図7(b)に示すようなファイバーガイド溝20’を採用しても良い。
このファイバーガイド溝20’は、光ファイバー9の外径方向での一側である下側部を比較的浅く嵌合し、その上側部分を溝外に比較的大きく露呈するように嵌着する。更に、ファイバーガイド溝20’はその溝幅h1’が光ファイバー9の嵌合部における嵌合幅dfに対して所定量Δh’大きく形成される。これにより、光ファイバー9のファイバ整列方向Yへのずれを所定量Δh’許容し、それ以上のずれを規制するように溝幅h1’が形成される。この場合、特に、溝幅h1’及び溝深さを比較的小さくでき、差込み挿入時の抵抗が比較的小さくなり、溝加工も比較的容易化される。
【0029】
図1、図2に示すように、押え部材6はその両側部602にファイバー長手方向Xに向けて取付けられる位置決めピン7用のピン穴8がそれぞれ形成される。押え部材6の両側部602に貫通状態で形成される各ピン穴8は接続相手側の光部品3との位置決めを行なう上で基準位置と成るもので、ここでは両ピン穴8の中心線の延出方向がファイバー長手方向Xに設定され、両ピン穴8の中心線間の方向でファイバー長手方向Xと直交する方向がファイバー整列方向Yに設定される。更に、両ピン穴8の中心線を含む基準面に対して嵌合凹部15の挟持面12が平行に設定され、この基準面と直交する面に対して嵌合凹部15の両側面32が平行に設定されている。
【0030】
V溝基板5はファイバー長手方向Xよりファイバー整列方向Yの幅が大きなブロック状部材であり、V溝基板5の下面を成す挟持面11とその挟持面11の左右端より上方に直交して形成される両側面111と、挟持面11の前後の前後側面112、113(図3参照)と、挟持面11の上側に位置する上面114とを形成される。
【0031】
V溝基板5はその横幅D2が嵌合凹部15の横幅D1より所定量小さく形成される。このため、V溝基板5の両側面111は嵌合凹部15の両縦向き側壁32との間に所定量の縦隙間t1、t2(図4、図7(a)参照)を確保するよう形成される。更に、V溝基板5の後側面113は嵌合凹部15の前向き壁33(図2参照)との間に所定量の縦隙間t3を確保して対向するよう形成され、これにより、V溝基板5のファイバー整列方向Yへの位置決めのための所定範囲でのずれを確実に容易に許容するように構成される。
【0032】
V溝基板5の下面を成す挟持面11はファイバー長手方向Xに沿って、テープファイバー2より延出する8本の光ファイバー9を並列状に整列させるもので直状のV溝4が8本形成され、そのV溝4の配設領域a2よりも十分に大きな横幅D2(図5参照)を有する。
図4、5に示すように、複数のV溝4の配設領域a2を外れた一側端部分には位置規制部M2としてのV溝基板5の突き当て段部10と押え部材6の突き当て段部13とで形成される。
【0033】
V溝基板5の突き当て段部10はV溝4の深さ方向(紙面上下方向)と同じ方向に切り込まれ、組み付け調整幅e0より大きな段幅e2を備え、ファイバー長手方向X(図4で紙面垂直方向)に沿って直状に連続形成される。突き当て段部10の段面は、V溝基板5のファイバー整列方向Yに直交するよう形成される。このようなV溝基板5の突き当て段部10は押え部材6側の突き当て段部13と当接することで、押え部材6側の基準位置となるピン穴8に対するV溝基板5のファイバー整列方向Yに対する位置N1を規制し、ピン穴8に対するV溝基板5の位置精度を確保できる。しかも、V溝基板5の突き当て段部10と各V溝4に対する位置N2の位置精度を確保すべく高精度に両者を加工しておけば、突き当て段部10を押え部材6側の突き当て段部13と当接することでピン穴8に対するV溝基板5上の各V溝4、即ち、各V溝4に位置規制を受ける光ファイバー9の位置精度を確保することができる。
【0034】
図4、図7(a)に示すように、V溝4は光ファイバー9の一側である上側に当接してファイバー整列方向Yに対する位置を修正可能に形成される。即ち、光ファイバー9の他側である下側を挟持面11のファイバーガイド溝20に嵌合したままでファイバ整列方向Yへ所定量Δhの範囲内でずれを修正できる。
このV溝4は90°の溝角度θを採り、光ファイバー9の直径(φ0.125)の半分より小さな溝深さで形成される。互いに隣り合うV溝4のファイバー整列方向Yにおける間隔kは、光ファイバー9の直径(φ0.125)の2倍に設定される。即ち、対向配備される挟持面11のファイバーガイド溝20と同様の間隔で形成され、V溝4はファイバーガイド溝20と順次対向できるように形成される。
【0035】
なお、V溝基板5のV溝4及び挟持面11のファイバーガイド溝20の間隔kはテープファイバー2における8本の光ファイバー心線(光ファイバー9の回りを被覆材で覆ったもの)9aの間隔と一致している。即ち、図2、図4に示すように、8心用のテープファイバー2は8本の光ファイバー心線9aの各被覆材を並列的に一体的に接続してテープ状を成すものであり、このテープファイバー2より剥き出しになった光ファイバー9の間隔が光ファイバー9の直径の2倍に設定されているため、この状態の各光ファイバー9をV溝基板5の各V溝4に容易に嵌合させることができる。
【0036】
上述のところにおいて、V溝基板5は石英で作製され、そのV溝4と位置決め用の突き当て段部10を同時加工により形成される。ここではウェットエッチング加工を用いており、これにより加工精度は±0.1μmで製作可能である。 なお、ドライエッチングや、電子線描画、成型でも同程度の加工精度で製造可能である。
【0037】
このように挟持面11における位置決め用の突き当て段部10とV溝4を同時加工することで、高精度な位置精度が得られることとなる。
なお、V溝基板5の作製では、異種若しくは同種の材質の堆積や成型処理により、位置決め用の突き当て段部10及びV溝4の形成をすることも可能であり、レジスト材等の樹脂を用いたり、アディティブ法を採用できる。
V溝基板5の材質は石英に代えて、シリコン、アルミナ等のセラミクス、コバールやアンバー等の低膨張金属を使用可能である。
【0038】
上述のところにおいて、V溝基板5の挟持面11のV溝4はその最深部が台形溝底を有した形状(図4、図7(a),(b)参照)であったが、これに代えてV溝の最深部がV形エッジ状で加工されても良く、或いはV溝の最深部が湾曲凹状底を有したV溝(図示せず)に形成しても良く、これらもここではV溝と見做され、同様に作製され、同様の作用効果が得られる。
【0039】
一方、押え部材6はエポキシ樹脂で射出成型される。この押え部材6が、例えば、シリカ等の低膨張材料を添加したエポキシ樹脂で成型されることで、押え部材6の位置決めピン7用のピン穴8とV溝基板5と当接する突き当て段部13の加工精度を±0.5μm以下で製作可能である。
更に、押え部材6の材質は、石英、シリコン、アルミナ等のセラミクス、コバールやアンバー等の低膨張金属でもよい。
このような図1の多心光コネクタ1を組み立てる手順を説明する。
【0040】
まず、押え部材6の貫通孔n0の後開口n1よりテープファイバー2を挿入し、テープファイバー2の被覆材を排除したテープ状部分を貫通孔n0の孔内傾斜段部d1の手前側まで挿入し、同時に先端側の被覆材を排除した8本の光ファイバー9を孔内傾斜段部d1及びその先の前開口n2までの間隔L2の挟持面12に載置する。この際、8本の光ファイバー9は挟持面12に形成された8本のファイバーガイド溝20にずれ規制を受けつつファイバーガイド溝20の長手方向、即ち、ファイバー長手方向Xに挿入される。この際、8本のファイバーガイド溝20のファイバー整列方向Yの間隔kはテープファイバー2における8本の各光ファイバー9の間隔kと一致しており、たとえ各光ファイバー9に多少の曲がりがあって差込みに伴う摺動抵抗があっても、各光ファイバー9を比較的容易に前開口n2まで導くことができる。このように、8本のファイバーガイド溝20は各光ファイバー9の挿入載置を容易化でき、しかも、各光ファイバー9の載置後のファイバー整列方向Yへのずれを規制できる。
【0041】
このような8本の各光ファイバー9をずれ規制した状態で載置する挟持面12に上方よりV溝基板5が押し込まれ、嵌合凹部15に嵌合する。この際、V溝基板5の挟持面11の8本のV溝4が8本のファイバーガイド溝20の光ファイバー9の上側を覆うように容易に重なることとなり、組付け作業を容易に行なうことができる。この際、図4中に示すように、光ファイバー9はその断面視において、V溝4の傾斜壁の2点a,bとファイバーガイド溝20の低部の1点cとの計3点で挟持された状態となり、光ファイバー9を比較的軽く押圧挟持することとなる。
【0042】
次いで、押え部材6とV溝基板5の対向する隙間全域に接合剤或いは所定個所にロウ付け材を充填し、押え部材6とV溝基板5の隙間を排除するよう、図4に符号p1で示すように、押え部材6に対してV溝基板5を接合方向に押圧操作すると同時にファイバー整列方向Yにずらし操作(p2の操作)する。
ずらし操作(p2の操作)では嵌合凹部15の段幅e1の突き当て段部13に対してV溝基板5の段幅e2の突き当て段部10が当接するように行なわれる。この場合、押え部材6の嵌合凹部15が横幅D1で、V溝基板5が横幅D2で形成され、両者間に調整隙間t1、t2を確保し、しかも、後側面113と前向き壁33(図2参照)との間に所定量の縦隙間t3を確保していることより、ファイバー整列方向Yのずらし操作が確実に、しかも容易に達成されることとなる。
【0043】
この際、V溝4の一側である上側に嵌合する光ファイバー9は下側をファイバーガイド溝20に嵌合したままでV溝4の位置規制を受けてファイバ整列方向Yへ所定量Δhの範囲内でずれ修正される。
これによってV溝基板5は押え部材6に対してファイバー整列方向Yにおける位置決めが成される。この際、予め、押え部材6の基準位置を成すピン穴8に対する嵌合凹部15の段幅e1の突き当て段部13までのファイバー整列方向Yの間隔N1が精度良く確定し、突き当て段部10に対する各V溝4のファイバー整列方向Yの間隔N2(配設領域aの各V溝4毎に設定される)がそれぞれ精度良く確定して形成されている。
【0044】
このため、嵌合凹部15の段幅e1の突き当て段部13にV溝基板5の段幅e2の突き当て段部10が当接することで、押え部材6の基準位置を成すピン穴8に対してV溝基板5の各V溝4、即ち、各光ファイバー9のファイバー整列方向Yの位置が精度良く確保されることと成る。
押圧及びずらし操作(p1、p2方向の操作)の後、この状態を維持した押え部材6にV溝基板5を嵌合した組み立て体に対して、UV照射や加熱の処理が成され、接合剤或いはロウ付け材を固め、多心光コネクタ1を完成させる。
【0045】
このように作製された多心光コネクタ1は一対のピン穴8に位置決めピン7が密に嵌着され、同一対の位置決めピン7が接続相手先の光部品3側のピン穴8’(図2参照)に密に嵌挿される。
これにより、多心光コネクタ1の8本の各光ファイバー9の接合面は接続相手先の光部品3側の8本整列した各光ファイバー(図示せず)の光軸に対して無調心で接続される。このように多心光コネクタ1を用いたことで位置精度の良い接続が成され、無調心にもかかわらず、光軸ずれを十分に低減させることができ、多心光コネクタ1と接続相手先の光部品3側との間の接続損失を十分に低減でき、低接続損失の接続を実現でき、位置精度を容易に高くすることができる。
【0046】
次に本実施形態の多心光コネクタ1を製作するにあたり、使用するV溝基板5及び押え部材6としてそれぞれ採用可能な素材例を以下にそれぞれ説明する。 V溝基板5としての素材例1としては、石英含有エポキシ樹脂を採用し、金型への射出成形によって成形できる技術が「特開平9−54227号公報」に開示される。この場合、V溝4間隔は250μmとした場合に金型の寸法精度を±0.1μmとすることでV溝基板5を位置精度±0.1μmとして作製できる。
【0047】
V溝基板5としての素材例2としては、V溝をエッチング処理で±0.1μmの位置精度で作製できる技術が「zygo TeraOptics」より開示され、素材例3としては、低膨張ガラスを用いガラスモールド成形によりV溝を±0.1μmの位置精度で作製できる技術が「日刊工業新聞 2002年3月12日、三井松島産業より光信号用V溝基板を開発―モールド成形で加工精度アップ」として開示される。
【0048】
押え部材6としての素材例としては、プラスチックの高精度造型法としてV溝(V groove)やMTフェルール(Circula Holes)で、ピッチ精度(成形精度)を±0.5μmで実現可能な技術が「兼松USAホームページに掲載の白山製作所品 MT & mini MT Ferrules」に開示される。
【0049】
このような素材を採用し、本発明の多心光コネクタ1を作製するとし、例えば、V溝基板5としてその素材例1の石英含有エポキシ樹脂を用いて、位置精度±0.1μmとして作製し、押え部材6としてその素材例のMTフェルール(Circula Holes)を採用し、成形精度を±0.5μmで実現することで、本発明の多心光コネクタ1を作製したとすると、この場合、製品としての位置ずれ精度は(±0.1)+(±0.5)=±0.6μmとなり、低接続損失(0、1dB程度)を実現するに必要な位置ずれ値である0、75μm乃至1、0μm程度以下に抑えられる点が明らかである。
【0050】
次に、本発明の多心光コネクタ1の他の実施形態例を説明する。
図8の多心光コネクタ1aは図1の多心光コネクタ1と比較し押え部材6とV溝基板5にそれぞれ形成される位置規制部M2の構成が異なり、その点以外の構成は同一構成を採ることより、ここでは重複説明を略す。
図8の多心光コネクタ1aで用いるV溝基板5はその挟持面11a上でファイバー整列方向Yにおける複数のV溝4の配設領域a2を外れた一側端部分に突き当て段部10aが形成され、段部10aに三角突条17を突き出し形成する。この三角突条17は位置規制部M2の一方部を成し、ファイバー長手方向X(図8で紙面垂直方向)に連続するビードとして形成される。
【0051】
一方、押え部材6はその嵌合凹部15の挟持面12aにおいて、そのファイバー整列方向Yにおける一方側部に突き当て段部13aが形成され、その段部13aに三角突条17と嵌合する三角凹溝18が形成される。この三角凹溝18は位置規制部M2の他方部を成し、ファイバー長手方向Xに連続する長溝として形成される。
このようなV溝基板5の三角突条17と押え部材6の三角凹溝18とが位置規制部M2を成し、両者が嵌合することで、V溝基板5は押え部材6に対してファイバー整列方向Yにおける位置決めを行なうことができ、しかも、嵌合凹部15とV溝基板5と嵌合凹部15の挟持方向における両挟持面11a、12a間の挟持隙間Baをも位置決めできることと成る。
【0052】
このような図8の多心光コネクタ1aでも、テープファイバー2の押え部材6への挿入時に、8本の光ファイバー9は挟持面12aに形成された8本のファイバーガイド溝20aにずれ規制を受けつつファイバーガイド溝20に沿って、ファイバー長手方向Xに挿入される。この際、たとえ各光ファイバー9に多少の曲がりがあって差込みに伴う摺動抵抗があっても、8本のファイバーガイド溝20aが各光ファイバー9を比較的容易に前開口n2(図3参照)まで導くことができ、8本のファイバーガイド溝20aは挟持面12aに各光ファイバー9を容易にずれなく載置でき、この後のV溝基板5の嵌合凹部15への嵌合時における、挟持面11の8本のV溝4が8本のファイバーガイド溝20の光ファイバー9を挟持する組付け作業を容易に行なうことができる。
【0053】
しかも、図1の多心光コネクタ1の場合と同様に両調整隙間t1を確保しているため、V溝基板5の押え部材6に対するファイバー整列方向Yのずれ操作を容易に実行でき、これら押圧及びずれ操作(図4のp1、p2方向の操作と同様)により三角凹溝に対して三角突条を容易に嵌合させることができる。
特に、嵌合凹部15とV溝基板5の両挟持面間の挟持隙間Baが一定値となるので、V溝基板5上の各V溝4に嵌合する8本の光ファイバー9の挟持状態を一定に保持でき、ファイバー整列方向Yの位置ずれを規制できる上に各光ファイバー9の各V溝4からの浮き上がりを確実に防止でき、位置決め精度が向上する。
【0054】
図1の多心光コネクタ1は、位置決めピン用の穴8と光ファイバー9とのファイバー整列方向Yにおける相対位置を規制する位置修正部M2を備えていたが、これに代えて図9、図10に示すような多心光コネクタ1bを採用しても良い。この多心光コネクタ1bは図1の多心光コネクタ1と比較し、押え部材6とV溝基板5にそれぞれ形成される位置調整部M1の構成が異なるのみであり、その点以外の構成は同一構成を採ることより、ここでは重複説明を略す。
【0055】
図9、図10の多心光コネクタ1bは、押え部材6の嵌合凹部15の横幅D1がV溝基板5の横幅D2より所定量大きく形成され、調整隙間t1、t2を確保して形成される。更に、多心光コネクタ1cの押え部材6はその挟持面12bに8本のファイバーガイド溝20bが形成され、V溝基板5の挟持面11bに8本のV溝4が形成され、これらによりテープファイバー2の先端部の8本の光ファイバー9を挟持可能に形成される。
図9、図10の多心光コネクタ1bは互いに対向する両挟持面11b、12bのファイバー整列方向Yにおける側端より、図1、4の多心光コネクタ1で形成されていたような突き当て段部10、13を排除しており、位置調整部M1を備えている。
【0056】
位置調整部M1は押え部材6とその嵌合凹部15に嵌合するV溝基板5とに亘って装着される。この位置調整部M1は送りネジ軸23を備え、送りネジ軸23の一端側のオネジ24は押え部材6の一方の側部602に形成された位置調整用のメネジ28に螺合し、他端側の丸軸部231は他方の側部602の嵌合孔29に回転可能に嵌着され、中間部232がV溝基板5の遊嵌孔30に遊嵌する。 V溝基板5は遊嵌孔30を形成すると共に同穴30に連続しV溝基板5の上壁114より開口する係止ピン取り付け穴33を形成する。
【0057】
V溝基板5は遊嵌穴30の働きで送りネジ軸23に対してその半径方向に所定量ずれ可能に遊嵌される。このため、押え部材6の挟持面12bに対するV溝基板5の挟持面11bが接離作動することを所定量の範囲で許容できる。送りネジ軸23はその中間部232であって、係止ピン取り付け穴33との対向部に外周方向の環状溝(図示せず)を形成され、同環状溝に係止ピン取り付け穴33の外部より挿入された係止ピンとしての環状クリップ34を嵌着可能に形成される。
【0058】
このような多心光コネクタ1bは、その組み立て時において、まず、押え部材6の嵌合凹部15にV溝基板5を嵌合させ、これに送りネジ軸23を差込み、即ち、押え部材6の両側部602の嵌合孔29に丸軸部231を嵌合させ、メネジ28に送りネジ24を螺合させる。その上で、係止ピン取り付け穴33より環状クリップ34を挿入し、送りネジ軸23の中間部232の図示しない環状溝に押し込み係止する。
【0059】
この後、多心光コネクタ1bのV溝基板5と押え部材6の両挟持面11b、12b間に比較的大きな隙間を確保し、その間に、テープファイバー2の押え部材6への挿入を行なう。この場合、8本の光ファイバー9は挟持面12bに形成された8本のファイバーガイド溝20bにずれ規制を受けつつファイバーガイド溝20bに沿って、ファイバー長手方向Xに挿入される。この際、たとえ各光ファイバー9に多少の曲がりがあって差込みに伴う摺動抵抗があっても、8本のファイバーガイド溝20bが各光ファイバー9を比較的容易に前開口n2(図3参照)まで導くことができ、8本のファイバーガイド溝20bは挟持面12bに各光ファイバー9を容易にずれなく載置でき、この後のV溝基板5の嵌合凹部15への嵌合時における、挟持面11bの8本のV溝4が8本のファイバーガイド溝20bの光ファイバー9を挟持する組付け作業を容易に行なうことができる。
【0060】
次いで、両挟持面11b、12b間や調整隙間t1、t2の全域に接合剤を充填し、或いは所定域にロウ付け材を充填する。
その上で、隙間調整用の治具としての送りネジ軸23の端部の係止凹部233に不図示のドライバーを係合させ、回転させて、押え部材6に対するV溝基板5のファイバー整列方向Yの相対位置を調整する。この場合、調整隙間t1、t2のいずれかに図示しないゲージを挟むことでファイバー整列方向Yの位置調整が正確に成され、調整隙間t2を基準値にセットできる。
【0061】
押え部材6に対するV溝基板5の位置決めが送りネジ軸23により成された上で、V溝基板5と押え部材6の両挟持面11b、12bを接合方向に押圧操作し、その状態の組み立て体に対し、UV照射や赤外線加熱の処理が成され、接合剤或いはロウ付け材を固め、多心光コネクタ1bを完成させる。
この多心光コネクタ1bの場合も図1の多心光コネクタ1と同様に、ファイバー整列方向Yのピン穴8と側壁32の間隔N1が確定しており、これに調整隙間t1(不図示のゲージで確保)を介してV溝基板5が当接することで、側壁32に対するV溝基板5側の各V溝4のファイバー整列方向Yの間隔N2が精度良く確保された状態と成る。このような図9の多心光コネクタ1bは8本の光ファイバー9を光部品3に接続するのに使用された際に、ファイバー整列方向Yにおける位置精度の良い、低接続損失の接続を実現できる。
【0062】
図9の位置調整部M1は送りネジ軸23により押え部材6に対するV溝基板5のファイバー整列方向Yの相対的な位置調整を行なっていたが、これに代えて、押え部材6の嵌合凹部15の側壁32とV溝基板5との間の調整隙間t1に隙間調整用の治具としての不図示の偏芯ピンを配設し、位置調整部M1を構成しても良く、この場合も図9の位置調整部M1の場合と同様の作用効果が得られる。 図11乃至図14には本発明の適用された多心光コネクタ1cの他の実施形態例を示した。
【0063】
ここでの多心光コネクタ1cは、8心用のテープファイバー2の接続コネクタとして形成され、接続相手先の光部品3側の8本並列状に整列した各光ファイバ(図示せず)に光軸を位置精度良く合わせて接続する。
図11乃至図13に示すように、多心光コネクタ1cは貫通孔40を形成したハウジング41と、貫通孔40に嵌合された上でハウジング41と一体化される仮結合体Uと、ハウジング41のファイバー整列方向Yにおける両側端部413に設けられ、位置決めピン7を嵌挿する位置決めピン用のピン穴8とを備えている。仮結合体Uは板状のV溝基板42と、V溝基板42の挟持面45に重ね合わされ、挟持面45に当接する複数の光ファイバー9を挟持面44で挟持する板状のファイバ押え部材43とで形成される。
【0064】
ハウジング41は貫通孔40を有する略矩形枠体であり、押え部材6と同様の素材で成形され、上下部411、412と左右両側のピン穴8を形成した側部413と後端側の段部414と、上部411の中央に形成される矩形開口415とを形成される。貫通孔40はハウジング41の後側面に設けた一方の後開口n3より他方の前開口n4に達する矩形孔として形成される。
仮結合体Uの一部であるV溝基板42は図1のV溝基板5と同様の素材で成形され、V溝基板5の挟持面11と同様にその下向き面である挟持面45を形成され、同様の形状の8本のV溝4cをファイバー長手方向Xに形成される。
【0065】
仮結合体Uの一部であるファイバ押え部材43は図1の押え部材6と同様の素材で形成され、押え部材6と同様にその上向き面である挟持面44を形成され、同様の形状の8本のファイバーガイド溝20cをファイバー長手方向Xに形成される。これら8本のV溝4c及びファイバーガイド溝20cの間隔kはテープファイバー2における8本の光ファイバー心線9aの間隔と一致している。即ち、図12、図14に示すように、8心用のテープファイバー2は8本の光ファイバー心線9aの各被覆材を並列的に一体的に接続してテープ状を成すものであり、このテープファイバー2より剥き出しになった光ファイバー9の間隔が光ファイバー9の直径の2倍に設定されているため、この状態の各光ファイバー9をV溝基板42の各V溝4c、ファイバ押え部材43のファイバーガイド溝20cに容易に嵌合させることができる。
【0066】
これら一対の板状のV溝基板42とファイバ押え部材43とは互いが重ね合わされ、複数の光ファイバー9を挟持した状態において仮結合体Uを成し、この仮結合体Uは所定の横幅daと縦幅dbを持ち、貫通孔40に僅かな隙間を保って嵌合するように形成される。仮結合体Uのファイバー長手方向Xの長さは、図13に示すようにファイバ押え部材43側が貫通孔40の長さと同一に形成され、V溝基板42側が比較的短く形成される。
【0067】
ハウジング41の上部411の矩形開口415は貫通孔40にセットされたV溝基板42により矩形開口415内側より閉鎖される。矩形開口415には接合剤或いは所定個所にロウ付け材が充填され、これにより仮結合体Uとハウジング41の一体化を確実なものとするようにしている。
【0068】
このような多心光コネクタ1cは、その組み立て時において、まず、ファイバ押え部材43の挟持面44とV溝基板42の挟持面45を互いに重ね合わせ、挟持面44の各ファイバーガイド溝20cと挟持面45の各V溝4cを互いに向かい合うように重ねる。この状態の両挟持面間にテープファイバー2先端の8本の光ファイバー9を差込む。この場合、8本の光ファイバー9は8本のファイバーガイド溝20c及びV溝4cにずれ規制を受けつつファイバー長手方向Xに挿入される。この際、たとえ各光ファイバー9に多少の曲がりがあって差込みに伴う摺動抵抗があっても、8本のファイバーガイド溝20cが各光ファイバー9を比較的容易に仮結合体Uの前端開口e(図13参照)まで導くことができ、仮結合体Uの両挟持面44、45間へ8本の光ファイバー9を組付ける組付け作業を容易に行なうことができる。
【0069】
この後、8本の光ファイバー9を組付けた仮結合体Uは、ハウジング41の後側面に設けた後開口n3より前開口n4に達し、貫通孔40へ容易に嵌着できる。次いで、貫通孔40と仮結合体Uの隙間や両挟持面44、45の全域や、矩形開口415には接合剤或いは所定個所にロウ付け材が充填される。
この後、仮結合体Uを組込んだハウジング41を不図示の位置修正器にセットし、その上で、ハウジング41の位置決めピン穴8に対する仮結合体Uの各光ファイバー9のファイバー整列方向Yにおける相対位置を調整する。ここでは各光ファイバー9の透過光量を測定し、これが最大光量と成るように調整することとなる。
【0070】
ハウジング41に対する仮結合体Uの位置決めが成された上で、ハウジング41と仮結合体Uを接合する接合剤或いはロウ付け材をUV照射や赤外線加熱の処理により固め、多心光コネクタ1cを完成させる。
このように作製された多心光コネクタ1cは一対のピン穴8に位置決めピン7が密に嵌着され、同一対の位置決めピン7が接続相手先の光部品3側のピン穴8’(図3参照)に密に嵌挿される。
【0071】
これにより、多心光コネクタ1cの8本整列した各光ファイバー9の接合面は接続相手先の光部品3側の8本整列した各光ファイバー(図示せず)の光軸に対して無調心で接続される。このように多心光コネクタ1を用いたことで位置精度の良い接続が成され、無調心にもかかわらず、光軸ずれを十分に低減させることができ、多心光コネクタ1cと接続相手先の光部品3側との間の接続損失を十分に低減でき、低接続損失の接続を実現でき、位置精度を容易に高くすることができる。
【0072】
ここでは、V溝基板42とファイバ押え部材43とで8本の光ファイバー9を挟持して仮結合体Uとし、光ファイバー9を挟持した仮結合体Uをハウジング41の貫通孔40の一端開口n3より他端開口n4まで挿入し、その上で、ハウジング41の位置決めピン穴8と仮結合体Uの光ファイバー9とのファイバー整列方向における位置調整を透過光量測定で行なった上で両者を一体接合する。
【0073】
このため、ここでの仮結合体Uは8本の光ファイバー用であったが、この仮結合体Uを他の本数用に交換するのみで、ハウジング41を代えることなく、仮結合体Uが挟持する光ファイバー9の数を変更できる。このように、V溝基板42とファイバ押え部材43と光ファイバー9とからなる仮結合体U側の変更のみでハウジング41を共用でき、コスト低減を図り易い。
【0074】
更に、ファイバ押え部材43はファイバーガイド溝20cを形成していたが、これに代えて、ファイバ押え部材43を溝無しの挟持面44として、構成を簡素化しても良く、この場合、ファイバ押え部材43のコスト低減をより図り易い。上述のところでは、8心用のテープファイバー2を光部品側に結合する多心光コネクタを説明したが、これに代えて、2、4、6、12等の他の複数の心線のテープファイバー用の多心光コネクタを構成しても良く、これらの場合も同様の作用効果が得られる。
【0075】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、挟持面に形成したファイバーガイド溝が光ファイバーの挟持面上への挿入や整列作業を容易化すると共にずれを容易に抑えることができ、このファイバーガイド溝上の光ファイバーをV溝基板のV溝とで挟持する組み付け操作が容易化され、その上で、位置修正部を位置修正操作することで、上記ファイバー整列方向における位置決めピン用の穴と光ファイバーとの相対位置を調整又は相対位置を規制して位置精度を容易に高くすることができ、組み付け性が向上する上に低接続損失の接続を実現できる。
【0076】
請求項2の発明は、仮結合体を交換するのみで仮結合体が挟持する光ファイバーの数を変更でき、V溝基板とファイバ押え部材と光ファイバーとからなる仮結合体側の変更のみでハウジングを共用でき、ファイバ押え部材の共用化もでき、コスト低減を図り易い。
【0077】
請求項3の発明は、挟持面に形成したファイバーガイド溝が光ファイバーの挟持面上への挿入を容易化すると共にずれを容易に抑えることができ、このファイバーガイド溝上の光ファイバーをV溝基板のV溝とで挟持する組み付け操作が容易化され、組み付け性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての多心光コネクタの斜視図である。
【図2】図1の多心光コネクタの平面図である。
【図3】図2の多心光コネクタのA−A線断面図である。
【図4】図1の多心光コネクタの押え部材とV溝基板の両挟持面間の拡大切欠正面図である。
【図5】図1の多心光コネクタの正面図である。
【図6】図1の多心光コネクタの後面図である。
【図7】図1の多心光コネクタの押え部材のファイバーガイド溝とV溝基板のV溝の拡大切欠断面図で、(a)は第1実施形態のものを、(b)は他の実施形態のものとして示した。
【図8】本発明の多心光コネクタの他の実施形態例で用いる位置規制部の拡大機能説明図である。
【図9】本発明の他の実施形態例である多心光コネクタの正面図である。
【図10】図9の多心光コネクタの位置調整部の要部切欠平面図である。
【図11】本発明の他の実施形態例での多心光コネクタの斜視図である。
【図12】図11の多心光コネクタの平面図である。
【図13】図12の多心光コネクタのB−B線断面図である。
【図14】図11の多心光コネクタの拡大正面図である。
【図15】従来の多心光コネクタの斜視図である。
【図16】従来の他の多心光コネクタの断面図である。
【図17】多心光コネクタで用いる光ファイバーにおけるコア光軸ずれ−接続損失の特性線図である。
【符号の説明】
1、1a〜1c 多心光コネクタ
4 V溝
5 V溝基板
6 押え部材
7 位置決めピン
8 位置決めピン用の穴
9 光ファイバー
11〜11b 挟持面
12〜12b 挟持面
15 嵌合凹部
20 ファイバーガイド溝
42 V溝基板
43 ファイバー押え部材
44、45 挟持面
t1、t2 調整隙間
M1 位置調整部(位置修正部)
M2 位置規制部(位置修正部)
U 仮結合体
X ファイバー長手方向
Y ファイバー整列方向
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信等に用いられる多心光コネクタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバとしての光ファイバ心線は、コアの周りをクラッドによって覆った2重構造となっており、この2重構造の光ファイバの周りがプライマリーコートによって覆われ、さらにその周りがナイロンジャケット等により覆われている。光ファイバの外径は、一般に、約125μmに形成されており、光ファイバ心線の外径は例えば約250μmとなっており、光ファイバ心線の外径は光ファイバの外径の約2倍に形成されている。
【0003】
このような光ファイバ心線を複数一括して接続相手側の光部品に接続する光ファイバ接続具として、多心光コネクタが広く用いられており、図15には従来の多心光コネクタの一例を示す。同図の多心光コネクタ100は、MTコネクタと呼ばれているものであり、複数の光ファイバ心線110をファイバー整列方向Yに帯状に並設して成る光ファイバテープ120が多心光コネクタ100の主要部を成すフェルール130に挿入固定されて形成されている。複数の光ファイバ心線110はその先端側のナイロンジャケットおよびプライマリーコートの被覆を除去された状態でフェルール130に挿入され、被覆の除去によって剥き出しになった光ファイバ140の端面がフェルール130の先端部のファイバ穴160に嵌挿され、接続端面150に露出するようにして、所定の配列ピッチで配列されている。
【0004】
フェルール130にはこれらの光ファイバ140の配設領域を挟む両側に、この多心光コネクタとの接続相手側の光部品(例えば多心光コネクタ)200との位置決め用のピン嵌合穴170が形成されている。このピン嵌合穴170に嵌合される嵌合ピン180を、接続相手側の光部品200に形成されているガイド穴190に挿入することにより、光部品200側の光ファイバとの位置ずれを抑え、無調心で接続されるようにしている。
このため、多心光コネクタ100と接続相手側の光部品200との位置精度を確保し接続損失を低減させる上で、多心光コネクタ100自体においても、基準位置となるピン嵌合穴170に対する複数の各光ファイバ140の取付け位置との間の位置精度を高めることが必要となる。しかも、多心光コネクタ100の主要部を成すフェルール130内のファイバ穴160に複数の光ファイバ140を挿入し固定する組み付け作業の容易化を図る必要もある。
【0005】
ところで、光回路部品を実際のシステムで使用する場合、光信号の入出力部に多心光コネクタ(MTコネクタ)等を用い光ファイバーを接続するにあたり、光導波回路のコアと光ファイバーのコアとの光軸を精密に位置合わせする必要がある。この場合において、両者のコア光軸の位置ずれと接続損失の関係が図17に示すような特性となることが知られている。これより明らかなように、光軸に対する位置ずれが0.75μmで0.1dBの接続損失となっており、低接続損失の実現には位置ずれを0.75μm乃至1.0μm程度以下に抑えることが好ましいことが知られており、特許第3273490号公報(特許文献1)に関連記載がある。
【0006】
更に、上述のような多心光コネクタ(MTコネクタ)の一例であり、複数の光ファイバ心線の剥き出しになった光ファイバ部分をフェルールの本体のピン嵌合穴に差込みその光ファイバ部分の内側の一部をクランプ部材で押圧して接着材で両者を固定する技術が特開平9−184942号公報(特許文献2)に開示される。
同じく、複数の光ファイバ心線の剥き出しになった光ファイバ部分をフェルールの本体のピン嵌合穴に差込み、その光ファイバ部分の内側の一部をクランプ部材を介して片持方式のバネで押圧固定する技術が特開平10−123368号公報(特許文献3)に開示される。
【0007】
更に、図16に示したように、平坦な上プレート210とV溝220を形成された下プレート(V溝基板)230との間に、複数のファイバー240を並列状に整列固定するにあたり、下プレート230にはその中央部分に複数のファイバー240を嵌合するV溝220を設定間隔で形成し、それらの両端側に比較的浅いV溝220’を形成する。
【0008】
このようにすることで、両端の浅いV溝220’に挟持された光ファイバーが強く挟持され、中間部のファイバ240を挟持する領域である中央の配設領域に隙間を的確に確保できる。更に、設定間隔の各V溝220に位置精度良く複数のファイバー240を嵌挿し、この嵌挿処理や位置決めを容易に実行した上で、これらの外側隙間にハンダ250等を充填して接着するという技術が特開平7−287137号公報(特許文献4)に開示される。なお、同様の平坦な上プレートと同様のV溝基板である下プレートを用いてマイクロキャピラリを作製する技術が上述の(特許文献1)にも開示される。
【0009】
更に、互いに重ね合わせた一対のファイバーテープを載置する平板基板と、その平板基板の端部に嵌合凹部が嵌合する接続端部材と、接続端部材の嵌合穴に嵌着されるファイバ押え部材を備え、2つのファイバーテープよりそれぞれ剥き出しになった光ファイバ部分を交互に並列状に重ねて一列に整列配備し、同光ファイバの重ね整列部を平板基板とファイバ押え部材の両配列ガイド溝部分で挟持する技術が特開2000−221364号公報(特許文献5)に開示される。ここでは、特に、透明な押え部材を用い、光ファイバ重ね整列部の光ファイバの整列状態を確認できる。
【0010】
【特許文献1】
特許第3273490号公報
【特許文献2】
特開平9−184942号公報
【特許文献3】
特開平10−123368号公報
【特許文献4】
特開平7−287137号公報
【特許文献5】
特開2000−221364号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、特許文献2、3に開示される技術を用いた場合、ファイバー整列方向Yに複数並列配備される各光ファイバーの外径に対し、多心光コネクタに形成されているガイド穴の内径との間にずれが発生し易い。このため、嵌挿処理により結合される相互の精度誤差により光軸ずれが生じ易く、これにより接続先の各光ファイバとの間の光軸ずれにより接続損失が増加し易く、低接続損失(0.1dB程度)の実現のため位置ずれを0、75μm乃至1.0μm以下に抑えることは困難となる。しかも、多心光コネクタ100の複数のガイド穴に複数の光ファイバ140を差込み挿入し、固定する作業に手間取るという問題が有る。
【0012】
特許文献1、4に開示される技術を用いた場合、複数のガイド穴に複数の光ファイバを差込み挿入する作業が排除される。しかし、上プレート210とV溝220を形成された下プレート(V溝基板)230との間に、複数のファイバー240を並列状に整列固定するに当たり、その並列状に整列固定する作業に手間取るという問題がある。
【0013】
特許文献5に開示される技術を用いた場合、接続端部材と平板基板の間の位置決めは、両者の互いに対向する挟持面間に形成される位置決めガイド溝と逆V字溝とこれらに嵌合する位置合わせ用の光ファイバーを用いて行なっており、この場合も位置決めガイド溝と逆V字溝との間に複数の光ファイバを挿入し、並列状に整列固定する作業に手間取るという問題がある。
このように、従来の各多心用光コネクタでは、コア光軸の位置ずれを低減して低接続損失の接続を実現する上で、位置規制用のガイドピン、ガイドピン用貫通穴の精度および光ファイバー間の穴或いはV溝精度が要求される。
【0014】
しかも、多心用光コネクタの挟持面間への複数の光ファイバーの組み付けにあたり、各光ファイバーの挟持面上への挿入、載置作業及び挟持面上でのずれを生じないように抑制して挟持する組み付け作業に手間取り、この点で作業工程数が多いことよりコストアップを招き易く、しかも、現場における接続作業に熟練を要していた。
【0015】
更に、多心光コネクタは複数の光ファイバを並列状に整列固定するにあたり、光ファイバを挿入する穴或いはV溝を必要とするが、その穴或いはV溝の数は一つのテープファイバの心線数に対応するように決定されてしまい、その他の、例えば2心、4心、8心、12心等の他の心線数のテープファイバの接続には利用できず、この点で改善が望まれている。
【0016】
この発明は以上のような課題に基づきなされたもので、多心用光コネクタの挟持面間への複数心の光ファイバーの組み付け操作が容易化され、煩わしい作業工程の低減によるコストダウンを図れ、その上で、低接続損失の接続を実現できる多心光コネクタを提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、光ファイバーと、同光ファイバーをファイバー長手方向と直交するファイバー整列方向に複数並列状に整列させるV溝が形成されたV溝基板と、同V溝基板を嵌合する嵌合凹部と同嵌合凹部に対向配備される挟持面とを備え、同挟持面と上記V溝基板のV溝とで複数の光ファイバーを挟持する押え部材と、同押え部材のファイバー整列方向における両側端部に設けられ、ファイバー長手方向に沿って形成される位置決めピン用の穴と、上記V溝基板と上記押え部材との間に設けられ、上記位置決めピン用の穴と上記光ファイバーとのファイバー整列方向における相対位置を調整又は相対位置を規制する位置修正部と、を具備し、上記挟持面に上記光ファイバーの外径方向での一側部を嵌合するファイバーガイド溝を形成したことを特徴とする。
ここでは、押え部材の挟持面に複数の光ファイバーを載置した上でV溝基板のV溝とで挟持するにあたり、挟持面に形成したファイバーガイド溝が光ファイバーの挟持面上への挿入や整列作業を容易化すると共にずれを容易に抑えることができ、このファイバーガイド溝上の光ファイバーをV溝基板のV溝とで挟持する組み付け操作が容易化され、その上で、位置修正部を位置修正操作することで、上記ファイバー整列方向における位置決めピン用の穴と光ファイバーとの相対位置を調整又は相対位置を規制して位置精度を容易に高くすることができ、組み付け性が向上する上に低接続損失の接続を実現できる。
【0018】
請求項2の発明は、光ファイバーと、同光ファイバーをファイバー長手方向と直交するファイバー整列方向に複数並列状に整列させるV溝が形成されたV溝基板と、同V溝基板に重ね合わされそのV溝に当接する複数の光ファイバーを挟持面で挟持するファイバ押え部材と、上記V溝基板とファイバ押え部材とで複数の光ファイバーを挟持した仮結合体を貫通孔の一端開口より他端開口まで挿入して支持するハウジングと、上記仮結合体を支持するハウジングのファイバー整列方向における両側端部に設けられ、ファイバー長手方向に沿って形成される位置決めピン用の穴と、を具備し、上記ハウジングの位置決めピン穴と上記仮結合体の光ファイバーとのファイバー整列方向における位置調整を行なった上で両者を一体接合することを特徴とする。
ここでは、V溝基板とファイバ押え部材とで複数の光ファイバーを挟持して仮結合体とし、光ファイバーを挟持した仮結合体をハウジングの貫通孔の一端開口より他端開口まで挿入し、その上で、ハウジングの位置決めピン穴と仮結合体の光ファイバーとのファイバー整列方向における位置調整を行なった上で両者を一体接合するので、仮結合体を交換するのみで仮結合体が挟持する光ファイバーの数を変更でき、V溝基板とファイバ押え部材と光ファイバーとからなる仮結合体側の変更のみでハウジングを共用でき、ファイバ押え部材の共用化もでき、コスト低減を図り易い。
【0019】
請求項3の発明は、請求項2記載の多心光コネクタにおいて、上記ファイバ押え部材の挟持面に上記光ファイバーの外径方向での一側部を嵌合するファイバーガイド溝を形成したことを特徴とする。
ここでは、ファイバ押え部材の挟持面に複数の光ファイバーを載置した上でV溝基板のV溝とで挟持するにあたり、挟持面に形成したファイバーガイド溝が光ファイバーの挟持面上への挿入を容易化すると共にずれを容易に抑えることができ、このファイバーガイド溝上の光ファイバーをV溝基板のV溝とで挟持する組み付け操作が容易化され、組み付け性が向上する。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1には本発明の一実施形態としての多心光コネクタ1を示した。
この多心光コネクタ1は光ファイバを8本並列状に整列して保持する8心用のテープファイバー2の接続コネクタとして形成され、接続相手先の光部品3側の8本並列状に整列した各光ファイバ(図示せず)に光軸を位置精度良く合わせて接続する。
【0021】
図1に示すように、多心光コネクタ1は、複数のV溝4(図4参照)が形成されたV溝基板5と、同V溝基板5を嵌合する嵌合凹部15を形成した押え部材6と、同押え部材6の両側端部602に形成され、位置決めピン7を嵌挿する位置決めピン用のピン穴8と、V溝基板5と押え部材6との間に設けられ光ファイバー9の位置を修正する位置修正部としての位置規制部M2とを備えている。
【0022】
図1乃至3に示すように、押え部材6は貫通孔n0を有する略ブロック体であり、主部601とその両側の両側端部602と後端側の段部603と、主部601とその両側の両側端部602で覆われると共に段部603の後側面に設けた一方の後開口n1より他方の前開口n2に達する貫通孔n0と、貫通孔n0の前開口n2側であって、貫通孔n0の上部に重なる嵌合凹部15とを形成される。 主部601とその両側の両側端部602とは接続相手先の光部品3側の接続孔301に嵌挿可能に形成され、その際、段部603は接続孔301の縁部に当接する。
【0023】
図1、図2に示すように、押え部材6はその両側部602にファイバー長手方向Xに向けて取付けられる位置決めピン7用のピン穴8がそれぞれ形成される。押え部材6の両側部602に貫通状態で形成される各ピン穴8は接続相手側の光部品3との位置決めを行なう上で基準位置と成るもので、ここでは両ピン穴8の中心線の延出方向がファイバー長手方向Xに設定され、両ピン穴8の中心線間の方向でファイバー長手方向Xと直交する方向がファイバー整列方向Yに設定される。更に、両ピン穴8の中心線を含む基準面に対して嵌合凹部15の挟持面12が平行に設定され、この基準面と直交する面に対して嵌合凹部15の両側面32が平行に設定されている。
【0024】
押え部材6の貫通孔n0(図3参照)は略扁平形状を成し、後開口n1より孔内傾斜段部d1までの間隔L1の範囲が8心用のテープファイバー2をテープ状のまま嵌挿できるよう形状される。貫通孔n0の孔内傾斜段部d1より前開口n2までの間隔L2の範囲は各ファイバー心線9aより被覆材を排除した8本の光ファイバー9を載置する挟持面12と同挟持面12と上方より対向する下向き内壁面31と、同下向き内壁面31より前開口n2までの領域を上方に向けて開放すると共にV溝基板5を嵌合する嵌合凹部15とが形成されている。
【0025】
挟持面12は押え部材6の主部601の上向き面であり、この挟持面12にはファイバーガイド溝20がファイバー長手方向Xに沿って8本並列状に形成される。ファイバー整列方向Yにおいて、挟持面12はファイバーガイド溝20の配設領域a1(図4参照)よりも十分に大きな横幅D1(図5参照)を有する。 図4、5に示すように、複数のファイバーガイド溝20の配設領域a1及び後述の複数のV溝4の配設領域a2をそれぞれ外れた一側端部分には押え部材6とV溝基板5との間に設けられ光ファイバー9の位置を修正する位置修正部としての位置規制部M2が形成される。ここで位置規制部M2はV溝基板5の突き当て段部10と押え部材6の突き当て段部13とで形成される。
【0026】
突き当て段部13はファイバーガイド溝20の溝深さ方向(紙面上下方向)と同じ方向に切り込まれ、後述の組み付け調整幅e0より大きな段幅e1を備え、ファイバー長手方向X(図4で紙面垂直方向)に沿って直状に連続形成される。押え部材6の挟持面12の各ファイバーガイド溝20は被覆材を排除した光ファイバー9を嵌着し、特に、図4、図7(a)に示すように、光ファイバー9の外径方向での一側である下側部を嵌合し、その上側部分を溝外に露呈するように嵌着する。しかも、ファイバーガイド溝20はその溝幅h1が光ファイバー9の外径d0に対して所定量Δh大きく形成される。これにより、ファイバ整列方向Yへのずれを所定量Δh以内で許容し、それ以上のずれを規制するように溝幅h1が形成される。
【0027】
ここでのファイバーガイド溝20は、光ファイバー9の直径(φ0.125)の半分より大きい溝深さで形成される。しかも、互いに隣り合うファイバーガイド溝20のファイバー整列方向Yにおける間隔kは、光ファイバー9の直径(φ0.125)の2倍に設定される。
このため、ファイバーガイド溝20はテープファイバー2が貫通孔n0に挿入された際に、その先端側の8本の光ファイバー9を互いに並列状に整列させて、互いに隣り合う光ファイバー9の間隔を概略一定に保ち、ファイバーガイド溝20に沿ってファイバー長手方向Xにずれなく差込み挿入し、載置するように案内できる。この場合、光ファイバー9のファイバーガイド溝20への差込み挿入時の抵抗が比較的大きいが、光ファイバー9のファイバ整列方向Yへの所定量Δh以上のずれ規制機能を十分に発揮できる。
【0028】
なお、図4、図7(a)に示すファイバーガイド溝20に代えて、図7(b)に示すようなファイバーガイド溝20’を採用しても良い。
このファイバーガイド溝20’は、光ファイバー9の外径方向での一側である下側部を比較的浅く嵌合し、その上側部分を溝外に比較的大きく露呈するように嵌着する。更に、ファイバーガイド溝20’はその溝幅h1’が光ファイバー9の嵌合部における嵌合幅dfに対して所定量Δh’大きく形成される。これにより、光ファイバー9のファイバ整列方向Yへのずれを所定量Δh’許容し、それ以上のずれを規制するように溝幅h1’が形成される。この場合、特に、溝幅h1’及び溝深さを比較的小さくでき、差込み挿入時の抵抗が比較的小さくなり、溝加工も比較的容易化される。
【0029】
図1、図2に示すように、押え部材6はその両側部602にファイバー長手方向Xに向けて取付けられる位置決めピン7用のピン穴8がそれぞれ形成される。押え部材6の両側部602に貫通状態で形成される各ピン穴8は接続相手側の光部品3との位置決めを行なう上で基準位置と成るもので、ここでは両ピン穴8の中心線の延出方向がファイバー長手方向Xに設定され、両ピン穴8の中心線間の方向でファイバー長手方向Xと直交する方向がファイバー整列方向Yに設定される。更に、両ピン穴8の中心線を含む基準面に対して嵌合凹部15の挟持面12が平行に設定され、この基準面と直交する面に対して嵌合凹部15の両側面32が平行に設定されている。
【0030】
V溝基板5はファイバー長手方向Xよりファイバー整列方向Yの幅が大きなブロック状部材であり、V溝基板5の下面を成す挟持面11とその挟持面11の左右端より上方に直交して形成される両側面111と、挟持面11の前後の前後側面112、113(図3参照)と、挟持面11の上側に位置する上面114とを形成される。
【0031】
V溝基板5はその横幅D2が嵌合凹部15の横幅D1より所定量小さく形成される。このため、V溝基板5の両側面111は嵌合凹部15の両縦向き側壁32との間に所定量の縦隙間t1、t2(図4、図7(a)参照)を確保するよう形成される。更に、V溝基板5の後側面113は嵌合凹部15の前向き壁33(図2参照)との間に所定量の縦隙間t3を確保して対向するよう形成され、これにより、V溝基板5のファイバー整列方向Yへの位置決めのための所定範囲でのずれを確実に容易に許容するように構成される。
【0032】
V溝基板5の下面を成す挟持面11はファイバー長手方向Xに沿って、テープファイバー2より延出する8本の光ファイバー9を並列状に整列させるもので直状のV溝4が8本形成され、そのV溝4の配設領域a2よりも十分に大きな横幅D2(図5参照)を有する。
図4、5に示すように、複数のV溝4の配設領域a2を外れた一側端部分には位置規制部M2としてのV溝基板5の突き当て段部10と押え部材6の突き当て段部13とで形成される。
【0033】
V溝基板5の突き当て段部10はV溝4の深さ方向(紙面上下方向)と同じ方向に切り込まれ、組み付け調整幅e0より大きな段幅e2を備え、ファイバー長手方向X(図4で紙面垂直方向)に沿って直状に連続形成される。突き当て段部10の段面は、V溝基板5のファイバー整列方向Yに直交するよう形成される。このようなV溝基板5の突き当て段部10は押え部材6側の突き当て段部13と当接することで、押え部材6側の基準位置となるピン穴8に対するV溝基板5のファイバー整列方向Yに対する位置N1を規制し、ピン穴8に対するV溝基板5の位置精度を確保できる。しかも、V溝基板5の突き当て段部10と各V溝4に対する位置N2の位置精度を確保すべく高精度に両者を加工しておけば、突き当て段部10を押え部材6側の突き当て段部13と当接することでピン穴8に対するV溝基板5上の各V溝4、即ち、各V溝4に位置規制を受ける光ファイバー9の位置精度を確保することができる。
【0034】
図4、図7(a)に示すように、V溝4は光ファイバー9の一側である上側に当接してファイバー整列方向Yに対する位置を修正可能に形成される。即ち、光ファイバー9の他側である下側を挟持面11のファイバーガイド溝20に嵌合したままでファイバ整列方向Yへ所定量Δhの範囲内でずれを修正できる。
このV溝4は90°の溝角度θを採り、光ファイバー9の直径(φ0.125)の半分より小さな溝深さで形成される。互いに隣り合うV溝4のファイバー整列方向Yにおける間隔kは、光ファイバー9の直径(φ0.125)の2倍に設定される。即ち、対向配備される挟持面11のファイバーガイド溝20と同様の間隔で形成され、V溝4はファイバーガイド溝20と順次対向できるように形成される。
【0035】
なお、V溝基板5のV溝4及び挟持面11のファイバーガイド溝20の間隔kはテープファイバー2における8本の光ファイバー心線(光ファイバー9の回りを被覆材で覆ったもの)9aの間隔と一致している。即ち、図2、図4に示すように、8心用のテープファイバー2は8本の光ファイバー心線9aの各被覆材を並列的に一体的に接続してテープ状を成すものであり、このテープファイバー2より剥き出しになった光ファイバー9の間隔が光ファイバー9の直径の2倍に設定されているため、この状態の各光ファイバー9をV溝基板5の各V溝4に容易に嵌合させることができる。
【0036】
上述のところにおいて、V溝基板5は石英で作製され、そのV溝4と位置決め用の突き当て段部10を同時加工により形成される。ここではウェットエッチング加工を用いており、これにより加工精度は±0.1μmで製作可能である。 なお、ドライエッチングや、電子線描画、成型でも同程度の加工精度で製造可能である。
【0037】
このように挟持面11における位置決め用の突き当て段部10とV溝4を同時加工することで、高精度な位置精度が得られることとなる。
なお、V溝基板5の作製では、異種若しくは同種の材質の堆積や成型処理により、位置決め用の突き当て段部10及びV溝4の形成をすることも可能であり、レジスト材等の樹脂を用いたり、アディティブ法を採用できる。
V溝基板5の材質は石英に代えて、シリコン、アルミナ等のセラミクス、コバールやアンバー等の低膨張金属を使用可能である。
【0038】
上述のところにおいて、V溝基板5の挟持面11のV溝4はその最深部が台形溝底を有した形状(図4、図7(a),(b)参照)であったが、これに代えてV溝の最深部がV形エッジ状で加工されても良く、或いはV溝の最深部が湾曲凹状底を有したV溝(図示せず)に形成しても良く、これらもここではV溝と見做され、同様に作製され、同様の作用効果が得られる。
【0039】
一方、押え部材6はエポキシ樹脂で射出成型される。この押え部材6が、例えば、シリカ等の低膨張材料を添加したエポキシ樹脂で成型されることで、押え部材6の位置決めピン7用のピン穴8とV溝基板5と当接する突き当て段部13の加工精度を±0.5μm以下で製作可能である。
更に、押え部材6の材質は、石英、シリコン、アルミナ等のセラミクス、コバールやアンバー等の低膨張金属でもよい。
このような図1の多心光コネクタ1を組み立てる手順を説明する。
【0040】
まず、押え部材6の貫通孔n0の後開口n1よりテープファイバー2を挿入し、テープファイバー2の被覆材を排除したテープ状部分を貫通孔n0の孔内傾斜段部d1の手前側まで挿入し、同時に先端側の被覆材を排除した8本の光ファイバー9を孔内傾斜段部d1及びその先の前開口n2までの間隔L2の挟持面12に載置する。この際、8本の光ファイバー9は挟持面12に形成された8本のファイバーガイド溝20にずれ規制を受けつつファイバーガイド溝20の長手方向、即ち、ファイバー長手方向Xに挿入される。この際、8本のファイバーガイド溝20のファイバー整列方向Yの間隔kはテープファイバー2における8本の各光ファイバー9の間隔kと一致しており、たとえ各光ファイバー9に多少の曲がりがあって差込みに伴う摺動抵抗があっても、各光ファイバー9を比較的容易に前開口n2まで導くことができる。このように、8本のファイバーガイド溝20は各光ファイバー9の挿入載置を容易化でき、しかも、各光ファイバー9の載置後のファイバー整列方向Yへのずれを規制できる。
【0041】
このような8本の各光ファイバー9をずれ規制した状態で載置する挟持面12に上方よりV溝基板5が押し込まれ、嵌合凹部15に嵌合する。この際、V溝基板5の挟持面11の8本のV溝4が8本のファイバーガイド溝20の光ファイバー9の上側を覆うように容易に重なることとなり、組付け作業を容易に行なうことができる。この際、図4中に示すように、光ファイバー9はその断面視において、V溝4の傾斜壁の2点a,bとファイバーガイド溝20の低部の1点cとの計3点で挟持された状態となり、光ファイバー9を比較的軽く押圧挟持することとなる。
【0042】
次いで、押え部材6とV溝基板5の対向する隙間全域に接合剤或いは所定個所にロウ付け材を充填し、押え部材6とV溝基板5の隙間を排除するよう、図4に符号p1で示すように、押え部材6に対してV溝基板5を接合方向に押圧操作すると同時にファイバー整列方向Yにずらし操作(p2の操作)する。
ずらし操作(p2の操作)では嵌合凹部15の段幅e1の突き当て段部13に対してV溝基板5の段幅e2の突き当て段部10が当接するように行なわれる。この場合、押え部材6の嵌合凹部15が横幅D1で、V溝基板5が横幅D2で形成され、両者間に調整隙間t1、t2を確保し、しかも、後側面113と前向き壁33(図2参照)との間に所定量の縦隙間t3を確保していることより、ファイバー整列方向Yのずらし操作が確実に、しかも容易に達成されることとなる。
【0043】
この際、V溝4の一側である上側に嵌合する光ファイバー9は下側をファイバーガイド溝20に嵌合したままでV溝4の位置規制を受けてファイバ整列方向Yへ所定量Δhの範囲内でずれ修正される。
これによってV溝基板5は押え部材6に対してファイバー整列方向Yにおける位置決めが成される。この際、予め、押え部材6の基準位置を成すピン穴8に対する嵌合凹部15の段幅e1の突き当て段部13までのファイバー整列方向Yの間隔N1が精度良く確定し、突き当て段部10に対する各V溝4のファイバー整列方向Yの間隔N2(配設領域aの各V溝4毎に設定される)がそれぞれ精度良く確定して形成されている。
【0044】
このため、嵌合凹部15の段幅e1の突き当て段部13にV溝基板5の段幅e2の突き当て段部10が当接することで、押え部材6の基準位置を成すピン穴8に対してV溝基板5の各V溝4、即ち、各光ファイバー9のファイバー整列方向Yの位置が精度良く確保されることと成る。
押圧及びずらし操作(p1、p2方向の操作)の後、この状態を維持した押え部材6にV溝基板5を嵌合した組み立て体に対して、UV照射や加熱の処理が成され、接合剤或いはロウ付け材を固め、多心光コネクタ1を完成させる。
【0045】
このように作製された多心光コネクタ1は一対のピン穴8に位置決めピン7が密に嵌着され、同一対の位置決めピン7が接続相手先の光部品3側のピン穴8’(図2参照)に密に嵌挿される。
これにより、多心光コネクタ1の8本の各光ファイバー9の接合面は接続相手先の光部品3側の8本整列した各光ファイバー(図示せず)の光軸に対して無調心で接続される。このように多心光コネクタ1を用いたことで位置精度の良い接続が成され、無調心にもかかわらず、光軸ずれを十分に低減させることができ、多心光コネクタ1と接続相手先の光部品3側との間の接続損失を十分に低減でき、低接続損失の接続を実現でき、位置精度を容易に高くすることができる。
【0046】
次に本実施形態の多心光コネクタ1を製作するにあたり、使用するV溝基板5及び押え部材6としてそれぞれ採用可能な素材例を以下にそれぞれ説明する。 V溝基板5としての素材例1としては、石英含有エポキシ樹脂を採用し、金型への射出成形によって成形できる技術が「特開平9−54227号公報」に開示される。この場合、V溝4間隔は250μmとした場合に金型の寸法精度を±0.1μmとすることでV溝基板5を位置精度±0.1μmとして作製できる。
【0047】
V溝基板5としての素材例2としては、V溝をエッチング処理で±0.1μmの位置精度で作製できる技術が「zygo TeraOptics」より開示され、素材例3としては、低膨張ガラスを用いガラスモールド成形によりV溝を±0.1μmの位置精度で作製できる技術が「日刊工業新聞 2002年3月12日、三井松島産業より光信号用V溝基板を開発―モールド成形で加工精度アップ」として開示される。
【0048】
押え部材6としての素材例としては、プラスチックの高精度造型法としてV溝(V groove)やMTフェルール(Circula Holes)で、ピッチ精度(成形精度)を±0.5μmで実現可能な技術が「兼松USAホームページに掲載の白山製作所品 MT & mini MT Ferrules」に開示される。
【0049】
このような素材を採用し、本発明の多心光コネクタ1を作製するとし、例えば、V溝基板5としてその素材例1の石英含有エポキシ樹脂を用いて、位置精度±0.1μmとして作製し、押え部材6としてその素材例のMTフェルール(Circula Holes)を採用し、成形精度を±0.5μmで実現することで、本発明の多心光コネクタ1を作製したとすると、この場合、製品としての位置ずれ精度は(±0.1)+(±0.5)=±0.6μmとなり、低接続損失(0、1dB程度)を実現するに必要な位置ずれ値である0、75μm乃至1、0μm程度以下に抑えられる点が明らかである。
【0050】
次に、本発明の多心光コネクタ1の他の実施形態例を説明する。
図8の多心光コネクタ1aは図1の多心光コネクタ1と比較し押え部材6とV溝基板5にそれぞれ形成される位置規制部M2の構成が異なり、その点以外の構成は同一構成を採ることより、ここでは重複説明を略す。
図8の多心光コネクタ1aで用いるV溝基板5はその挟持面11a上でファイバー整列方向Yにおける複数のV溝4の配設領域a2を外れた一側端部分に突き当て段部10aが形成され、段部10aに三角突条17を突き出し形成する。この三角突条17は位置規制部M2の一方部を成し、ファイバー長手方向X(図8で紙面垂直方向)に連続するビードとして形成される。
【0051】
一方、押え部材6はその嵌合凹部15の挟持面12aにおいて、そのファイバー整列方向Yにおける一方側部に突き当て段部13aが形成され、その段部13aに三角突条17と嵌合する三角凹溝18が形成される。この三角凹溝18は位置規制部M2の他方部を成し、ファイバー長手方向Xに連続する長溝として形成される。
このようなV溝基板5の三角突条17と押え部材6の三角凹溝18とが位置規制部M2を成し、両者が嵌合することで、V溝基板5は押え部材6に対してファイバー整列方向Yにおける位置決めを行なうことができ、しかも、嵌合凹部15とV溝基板5と嵌合凹部15の挟持方向における両挟持面11a、12a間の挟持隙間Baをも位置決めできることと成る。
【0052】
このような図8の多心光コネクタ1aでも、テープファイバー2の押え部材6への挿入時に、8本の光ファイバー9は挟持面12aに形成された8本のファイバーガイド溝20aにずれ規制を受けつつファイバーガイド溝20に沿って、ファイバー長手方向Xに挿入される。この際、たとえ各光ファイバー9に多少の曲がりがあって差込みに伴う摺動抵抗があっても、8本のファイバーガイド溝20aが各光ファイバー9を比較的容易に前開口n2(図3参照)まで導くことができ、8本のファイバーガイド溝20aは挟持面12aに各光ファイバー9を容易にずれなく載置でき、この後のV溝基板5の嵌合凹部15への嵌合時における、挟持面11の8本のV溝4が8本のファイバーガイド溝20の光ファイバー9を挟持する組付け作業を容易に行なうことができる。
【0053】
しかも、図1の多心光コネクタ1の場合と同様に両調整隙間t1を確保しているため、V溝基板5の押え部材6に対するファイバー整列方向Yのずれ操作を容易に実行でき、これら押圧及びずれ操作(図4のp1、p2方向の操作と同様)により三角凹溝に対して三角突条を容易に嵌合させることができる。
特に、嵌合凹部15とV溝基板5の両挟持面間の挟持隙間Baが一定値となるので、V溝基板5上の各V溝4に嵌合する8本の光ファイバー9の挟持状態を一定に保持でき、ファイバー整列方向Yの位置ずれを規制できる上に各光ファイバー9の各V溝4からの浮き上がりを確実に防止でき、位置決め精度が向上する。
【0054】
図1の多心光コネクタ1は、位置決めピン用の穴8と光ファイバー9とのファイバー整列方向Yにおける相対位置を規制する位置修正部M2を備えていたが、これに代えて図9、図10に示すような多心光コネクタ1bを採用しても良い。この多心光コネクタ1bは図1の多心光コネクタ1と比較し、押え部材6とV溝基板5にそれぞれ形成される位置調整部M1の構成が異なるのみであり、その点以外の構成は同一構成を採ることより、ここでは重複説明を略す。
【0055】
図9、図10の多心光コネクタ1bは、押え部材6の嵌合凹部15の横幅D1がV溝基板5の横幅D2より所定量大きく形成され、調整隙間t1、t2を確保して形成される。更に、多心光コネクタ1cの押え部材6はその挟持面12bに8本のファイバーガイド溝20bが形成され、V溝基板5の挟持面11bに8本のV溝4が形成され、これらによりテープファイバー2の先端部の8本の光ファイバー9を挟持可能に形成される。
図9、図10の多心光コネクタ1bは互いに対向する両挟持面11b、12bのファイバー整列方向Yにおける側端より、図1、4の多心光コネクタ1で形成されていたような突き当て段部10、13を排除しており、位置調整部M1を備えている。
【0056】
位置調整部M1は押え部材6とその嵌合凹部15に嵌合するV溝基板5とに亘って装着される。この位置調整部M1は送りネジ軸23を備え、送りネジ軸23の一端側のオネジ24は押え部材6の一方の側部602に形成された位置調整用のメネジ28に螺合し、他端側の丸軸部231は他方の側部602の嵌合孔29に回転可能に嵌着され、中間部232がV溝基板5の遊嵌孔30に遊嵌する。 V溝基板5は遊嵌孔30を形成すると共に同穴30に連続しV溝基板5の上壁114より開口する係止ピン取り付け穴33を形成する。
【0057】
V溝基板5は遊嵌穴30の働きで送りネジ軸23に対してその半径方向に所定量ずれ可能に遊嵌される。このため、押え部材6の挟持面12bに対するV溝基板5の挟持面11bが接離作動することを所定量の範囲で許容できる。送りネジ軸23はその中間部232であって、係止ピン取り付け穴33との対向部に外周方向の環状溝(図示せず)を形成され、同環状溝に係止ピン取り付け穴33の外部より挿入された係止ピンとしての環状クリップ34を嵌着可能に形成される。
【0058】
このような多心光コネクタ1bは、その組み立て時において、まず、押え部材6の嵌合凹部15にV溝基板5を嵌合させ、これに送りネジ軸23を差込み、即ち、押え部材6の両側部602の嵌合孔29に丸軸部231を嵌合させ、メネジ28に送りネジ24を螺合させる。その上で、係止ピン取り付け穴33より環状クリップ34を挿入し、送りネジ軸23の中間部232の図示しない環状溝に押し込み係止する。
【0059】
この後、多心光コネクタ1bのV溝基板5と押え部材6の両挟持面11b、12b間に比較的大きな隙間を確保し、その間に、テープファイバー2の押え部材6への挿入を行なう。この場合、8本の光ファイバー9は挟持面12bに形成された8本のファイバーガイド溝20bにずれ規制を受けつつファイバーガイド溝20bに沿って、ファイバー長手方向Xに挿入される。この際、たとえ各光ファイバー9に多少の曲がりがあって差込みに伴う摺動抵抗があっても、8本のファイバーガイド溝20bが各光ファイバー9を比較的容易に前開口n2(図3参照)まで導くことができ、8本のファイバーガイド溝20bは挟持面12bに各光ファイバー9を容易にずれなく載置でき、この後のV溝基板5の嵌合凹部15への嵌合時における、挟持面11bの8本のV溝4が8本のファイバーガイド溝20bの光ファイバー9を挟持する組付け作業を容易に行なうことができる。
【0060】
次いで、両挟持面11b、12b間や調整隙間t1、t2の全域に接合剤を充填し、或いは所定域にロウ付け材を充填する。
その上で、隙間調整用の治具としての送りネジ軸23の端部の係止凹部233に不図示のドライバーを係合させ、回転させて、押え部材6に対するV溝基板5のファイバー整列方向Yの相対位置を調整する。この場合、調整隙間t1、t2のいずれかに図示しないゲージを挟むことでファイバー整列方向Yの位置調整が正確に成され、調整隙間t2を基準値にセットできる。
【0061】
押え部材6に対するV溝基板5の位置決めが送りネジ軸23により成された上で、V溝基板5と押え部材6の両挟持面11b、12bを接合方向に押圧操作し、その状態の組み立て体に対し、UV照射や赤外線加熱の処理が成され、接合剤或いはロウ付け材を固め、多心光コネクタ1bを完成させる。
この多心光コネクタ1bの場合も図1の多心光コネクタ1と同様に、ファイバー整列方向Yのピン穴8と側壁32の間隔N1が確定しており、これに調整隙間t1(不図示のゲージで確保)を介してV溝基板5が当接することで、側壁32に対するV溝基板5側の各V溝4のファイバー整列方向Yの間隔N2が精度良く確保された状態と成る。このような図9の多心光コネクタ1bは8本の光ファイバー9を光部品3に接続するのに使用された際に、ファイバー整列方向Yにおける位置精度の良い、低接続損失の接続を実現できる。
【0062】
図9の位置調整部M1は送りネジ軸23により押え部材6に対するV溝基板5のファイバー整列方向Yの相対的な位置調整を行なっていたが、これに代えて、押え部材6の嵌合凹部15の側壁32とV溝基板5との間の調整隙間t1に隙間調整用の治具としての不図示の偏芯ピンを配設し、位置調整部M1を構成しても良く、この場合も図9の位置調整部M1の場合と同様の作用効果が得られる。 図11乃至図14には本発明の適用された多心光コネクタ1cの他の実施形態例を示した。
【0063】
ここでの多心光コネクタ1cは、8心用のテープファイバー2の接続コネクタとして形成され、接続相手先の光部品3側の8本並列状に整列した各光ファイバ(図示せず)に光軸を位置精度良く合わせて接続する。
図11乃至図13に示すように、多心光コネクタ1cは貫通孔40を形成したハウジング41と、貫通孔40に嵌合された上でハウジング41と一体化される仮結合体Uと、ハウジング41のファイバー整列方向Yにおける両側端部413に設けられ、位置決めピン7を嵌挿する位置決めピン用のピン穴8とを備えている。仮結合体Uは板状のV溝基板42と、V溝基板42の挟持面45に重ね合わされ、挟持面45に当接する複数の光ファイバー9を挟持面44で挟持する板状のファイバ押え部材43とで形成される。
【0064】
ハウジング41は貫通孔40を有する略矩形枠体であり、押え部材6と同様の素材で成形され、上下部411、412と左右両側のピン穴8を形成した側部413と後端側の段部414と、上部411の中央に形成される矩形開口415とを形成される。貫通孔40はハウジング41の後側面に設けた一方の後開口n3より他方の前開口n4に達する矩形孔として形成される。
仮結合体Uの一部であるV溝基板42は図1のV溝基板5と同様の素材で成形され、V溝基板5の挟持面11と同様にその下向き面である挟持面45を形成され、同様の形状の8本のV溝4cをファイバー長手方向Xに形成される。
【0065】
仮結合体Uの一部であるファイバ押え部材43は図1の押え部材6と同様の素材で形成され、押え部材6と同様にその上向き面である挟持面44を形成され、同様の形状の8本のファイバーガイド溝20cをファイバー長手方向Xに形成される。これら8本のV溝4c及びファイバーガイド溝20cの間隔kはテープファイバー2における8本の光ファイバー心線9aの間隔と一致している。即ち、図12、図14に示すように、8心用のテープファイバー2は8本の光ファイバー心線9aの各被覆材を並列的に一体的に接続してテープ状を成すものであり、このテープファイバー2より剥き出しになった光ファイバー9の間隔が光ファイバー9の直径の2倍に設定されているため、この状態の各光ファイバー9をV溝基板42の各V溝4c、ファイバ押え部材43のファイバーガイド溝20cに容易に嵌合させることができる。
【0066】
これら一対の板状のV溝基板42とファイバ押え部材43とは互いが重ね合わされ、複数の光ファイバー9を挟持した状態において仮結合体Uを成し、この仮結合体Uは所定の横幅daと縦幅dbを持ち、貫通孔40に僅かな隙間を保って嵌合するように形成される。仮結合体Uのファイバー長手方向Xの長さは、図13に示すようにファイバ押え部材43側が貫通孔40の長さと同一に形成され、V溝基板42側が比較的短く形成される。
【0067】
ハウジング41の上部411の矩形開口415は貫通孔40にセットされたV溝基板42により矩形開口415内側より閉鎖される。矩形開口415には接合剤或いは所定個所にロウ付け材が充填され、これにより仮結合体Uとハウジング41の一体化を確実なものとするようにしている。
【0068】
このような多心光コネクタ1cは、その組み立て時において、まず、ファイバ押え部材43の挟持面44とV溝基板42の挟持面45を互いに重ね合わせ、挟持面44の各ファイバーガイド溝20cと挟持面45の各V溝4cを互いに向かい合うように重ねる。この状態の両挟持面間にテープファイバー2先端の8本の光ファイバー9を差込む。この場合、8本の光ファイバー9は8本のファイバーガイド溝20c及びV溝4cにずれ規制を受けつつファイバー長手方向Xに挿入される。この際、たとえ各光ファイバー9に多少の曲がりがあって差込みに伴う摺動抵抗があっても、8本のファイバーガイド溝20cが各光ファイバー9を比較的容易に仮結合体Uの前端開口e(図13参照)まで導くことができ、仮結合体Uの両挟持面44、45間へ8本の光ファイバー9を組付ける組付け作業を容易に行なうことができる。
【0069】
この後、8本の光ファイバー9を組付けた仮結合体Uは、ハウジング41の後側面に設けた後開口n3より前開口n4に達し、貫通孔40へ容易に嵌着できる。次いで、貫通孔40と仮結合体Uの隙間や両挟持面44、45の全域や、矩形開口415には接合剤或いは所定個所にロウ付け材が充填される。
この後、仮結合体Uを組込んだハウジング41を不図示の位置修正器にセットし、その上で、ハウジング41の位置決めピン穴8に対する仮結合体Uの各光ファイバー9のファイバー整列方向Yにおける相対位置を調整する。ここでは各光ファイバー9の透過光量を測定し、これが最大光量と成るように調整することとなる。
【0070】
ハウジング41に対する仮結合体Uの位置決めが成された上で、ハウジング41と仮結合体Uを接合する接合剤或いはロウ付け材をUV照射や赤外線加熱の処理により固め、多心光コネクタ1cを完成させる。
このように作製された多心光コネクタ1cは一対のピン穴8に位置決めピン7が密に嵌着され、同一対の位置決めピン7が接続相手先の光部品3側のピン穴8’(図3参照)に密に嵌挿される。
【0071】
これにより、多心光コネクタ1cの8本整列した各光ファイバー9の接合面は接続相手先の光部品3側の8本整列した各光ファイバー(図示せず)の光軸に対して無調心で接続される。このように多心光コネクタ1を用いたことで位置精度の良い接続が成され、無調心にもかかわらず、光軸ずれを十分に低減させることができ、多心光コネクタ1cと接続相手先の光部品3側との間の接続損失を十分に低減でき、低接続損失の接続を実現でき、位置精度を容易に高くすることができる。
【0072】
ここでは、V溝基板42とファイバ押え部材43とで8本の光ファイバー9を挟持して仮結合体Uとし、光ファイバー9を挟持した仮結合体Uをハウジング41の貫通孔40の一端開口n3より他端開口n4まで挿入し、その上で、ハウジング41の位置決めピン穴8と仮結合体Uの光ファイバー9とのファイバー整列方向における位置調整を透過光量測定で行なった上で両者を一体接合する。
【0073】
このため、ここでの仮結合体Uは8本の光ファイバー用であったが、この仮結合体Uを他の本数用に交換するのみで、ハウジング41を代えることなく、仮結合体Uが挟持する光ファイバー9の数を変更できる。このように、V溝基板42とファイバ押え部材43と光ファイバー9とからなる仮結合体U側の変更のみでハウジング41を共用でき、コスト低減を図り易い。
【0074】
更に、ファイバ押え部材43はファイバーガイド溝20cを形成していたが、これに代えて、ファイバ押え部材43を溝無しの挟持面44として、構成を簡素化しても良く、この場合、ファイバ押え部材43のコスト低減をより図り易い。上述のところでは、8心用のテープファイバー2を光部品側に結合する多心光コネクタを説明したが、これに代えて、2、4、6、12等の他の複数の心線のテープファイバー用の多心光コネクタを構成しても良く、これらの場合も同様の作用効果が得られる。
【0075】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、挟持面に形成したファイバーガイド溝が光ファイバーの挟持面上への挿入や整列作業を容易化すると共にずれを容易に抑えることができ、このファイバーガイド溝上の光ファイバーをV溝基板のV溝とで挟持する組み付け操作が容易化され、その上で、位置修正部を位置修正操作することで、上記ファイバー整列方向における位置決めピン用の穴と光ファイバーとの相対位置を調整又は相対位置を規制して位置精度を容易に高くすることができ、組み付け性が向上する上に低接続損失の接続を実現できる。
【0076】
請求項2の発明は、仮結合体を交換するのみで仮結合体が挟持する光ファイバーの数を変更でき、V溝基板とファイバ押え部材と光ファイバーとからなる仮結合体側の変更のみでハウジングを共用でき、ファイバ押え部材の共用化もでき、コスト低減を図り易い。
【0077】
請求項3の発明は、挟持面に形成したファイバーガイド溝が光ファイバーの挟持面上への挿入を容易化すると共にずれを容易に抑えることができ、このファイバーガイド溝上の光ファイバーをV溝基板のV溝とで挟持する組み付け操作が容易化され、組み付け性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての多心光コネクタの斜視図である。
【図2】図1の多心光コネクタの平面図である。
【図3】図2の多心光コネクタのA−A線断面図である。
【図4】図1の多心光コネクタの押え部材とV溝基板の両挟持面間の拡大切欠正面図である。
【図5】図1の多心光コネクタの正面図である。
【図6】図1の多心光コネクタの後面図である。
【図7】図1の多心光コネクタの押え部材のファイバーガイド溝とV溝基板のV溝の拡大切欠断面図で、(a)は第1実施形態のものを、(b)は他の実施形態のものとして示した。
【図8】本発明の多心光コネクタの他の実施形態例で用いる位置規制部の拡大機能説明図である。
【図9】本発明の他の実施形態例である多心光コネクタの正面図である。
【図10】図9の多心光コネクタの位置調整部の要部切欠平面図である。
【図11】本発明の他の実施形態例での多心光コネクタの斜視図である。
【図12】図11の多心光コネクタの平面図である。
【図13】図12の多心光コネクタのB−B線断面図である。
【図14】図11の多心光コネクタの拡大正面図である。
【図15】従来の多心光コネクタの斜視図である。
【図16】従来の他の多心光コネクタの断面図である。
【図17】多心光コネクタで用いる光ファイバーにおけるコア光軸ずれ−接続損失の特性線図である。
【符号の説明】
1、1a〜1c 多心光コネクタ
4 V溝
5 V溝基板
6 押え部材
7 位置決めピン
8 位置決めピン用の穴
9 光ファイバー
11〜11b 挟持面
12〜12b 挟持面
15 嵌合凹部
20 ファイバーガイド溝
42 V溝基板
43 ファイバー押え部材
44、45 挟持面
t1、t2 調整隙間
M1 位置調整部(位置修正部)
M2 位置規制部(位置修正部)
U 仮結合体
X ファイバー長手方向
Y ファイバー整列方向
Claims (3)
- 光ファイバーと、
同光ファイバーをファイバー長手方向と直交するファイバー整列方向に複数並列状に整列させるV溝が形成されたV溝基板と、
同V溝基板を嵌合する嵌合凹部と同嵌合凹部に対向配備される挟持面とを備え、同挟持面と上記V溝基板のV溝とで複数の光ファイバーを挟持する押え部材と、
同押え部材のファイバー整列方向における両側端部に設けられ、ファイバー長手方向に沿って形成される位置決めピン用の穴と、
上記V溝基板と上記押え部材との間に設けられ、上記位置決めピン用の穴と上記光ファイバーとのファイバー整列方向における相対位置を調整又は相対位置を規制する位置修正部と、を具備し、
上記挟持面に上記光ファイバーの外径方向での一側部を嵌合するファイバーガイド溝を形成したことを特徴とする多心光コネクタ。 - 光ファイバーと、
同光ファイバーをファイバー長手方向と直交するファイバー整列方向に複数並列状に整列させるV溝が形成されたV溝基板と、
同V溝基板に重ね合わされそのV溝に当接する複数の光ファイバーを挟持面で挟持するファイバ押え部材と、
上記V溝基板とファイバ押え部材とで複数の光ファイバーを挟持した仮結合体を貫通孔の一端開口より他端開口まで挿入して支持するハウジングと、
上記仮結合体を支持するハウジングのファイバー整列方向における両側端部に設けられ、ファイバー長手方向に沿って形成される位置決めピン用の穴と、を具備し、
上記ハウジングの位置決めピン穴と上記仮結合体の光ファイバーとのファイバー整列方向における位置調整を行なった上で両者を一体接合することを特徴とする多心光コネクタ。 - 上記ファイバ押え部材の挟持面に上記光ファイバーの外径方向での一側部を嵌合するファイバーガイド溝を形成したことを特徴とする請求項2記載の多心光コネクタ。
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