JP2014189935A - 炭素繊維糸条の処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】炭素繊維それ自体の物性を損なうことなく、また作業環境を悪くすることもなく、市販の炭素繊維糸条に付着されているサイジング剤を取除き、用いるマトリックス樹脂に適切なサイジング剤を再付着した炭素繊維糸条を、経済的且つ効率的に得ることができる炭素繊維糸条の処理方法を提供する。
【解決手段】
サイジング剤が付着された炭素繊維糸条を有機溶媒で洗浄して、該炭素繊維糸条から該サイジング剤を取除く第1工程、サイジング剤を取除いて開繊状態になった炭素繊維糸条を乾燥することなく、該炭素繊維糸条にサイジング剤を再付着する第2工程、サイジング剤を再付着した炭素繊維糸条を乾燥する第3工程、以上の第1工程、第2工程及び第3工程を経て炭素繊維糸条を処理した。
【選択図】図1

Description

本発明は炭素繊維糸条の処理方法に関するものであり、詳しくは、炭素繊維糸条のサイジング剤を取り除き、新たなサイジング剤を再度付着させる処理方法に関するものである。
炭素繊維を強化繊維として用いた複合材料が、軽く、強度等において優れた機械特性を有するところから、航空機や自動車等の部材として多く用いられるようになっている。これらの複合材料は一般に、炭素繊維にマトリックス樹脂を含浸した中間製品としてのプレプレグから、加熱や加圧下に成形乃至加工工程を経て成形されている。更に近年では、マトリックス樹脂としてナイロン、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンのような熱可塑性樹脂を用い、かかるマトリックス樹脂に炭素繊維を混練した複合材料から航空機や自動車等の部材を射出成形することも試みられている。
前記のような複合材料から各種の部材を成形乃至加工するとき、かかる部材の用途との関係で適切なマトリックス樹脂が選択されるので、それだけマトリックス樹脂の種類も多くなる。一方、前記のような複合材料から各種の部材を成形乃至加工するとき、得られる部材に所要の強度等を確保するためには、マトリックス樹脂と炭素繊維との接着性を向上して強度を高くすることが肝要であるが、かかる接着性に大きな影響を及ぼしているのが炭素繊維に付着されているサイジング剤である。前記のようにマトリックス樹脂の種類が多くなると、それに応じる適切なサイジング剤が選択されることが必要になるのである。
しかし、市販されている炭素繊維糸条(炭素繊維束)にはその製造工程中でサイジング剤が付着されているが、このサイジング剤は炭素繊維の製造工程でトラブルを発生させないことを主目的としており、炭素繊維の集束性、ハンドリング性及び耐擦過性等を向上させるためのものであって、マットリックス樹脂との接着性を考慮したものではない。そのため、複合材料から各種の部材を成形乃至加工する分野では、市販されている炭素繊維糸条からこれに付着されているサイジング剤を取除き、用途との関係で選択されるマトリックス樹脂に適切なサイジング剤を再度付着することが要求されるようになっている。
従来、前記のような炭素繊維糸条の処理方法として、市販されている炭素繊維糸条を加熱することにより、該炭素繊維糸条に付着されているサイジング剤を柔軟化し、柔軟化した状態で炭素繊維糸条を開繊した後、元のサイジング剤の上に更に所望の新たなサイジング剤を上塗りする方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。また別の処理方法として、市販されている炭素繊維糸条を窒素シール下に高温加熱し、該炭素繊維糸条に付着されているサイジング剤を炭化する方法や(例えば特許文献2参照)、市販されている炭素繊維糸条を有機溶媒中に浸漬した後、乾燥し、該炭素繊維糸条に付着されているサイジング剤を取除く方法も提案されている(例えば特許文献3参照)。
しかし、特許文献1のような従来法には、炭素繊維糸条を均一加熱し、それに付着されているサイジング剤を柔軟化して、炭素繊維糸条を開繊すること自体が難しく、また柔軟化したサイジング剤が装置ガイド部等に付着して、炭素繊維糸条の糸切れ等を引き起こし、更に元のサイジング剤がそのまま残ってしまうという問題がある。また特許文献2のような従来法には、そもそも炭素繊維糸条を高温加熱すること自体が非経済的且つ非効率的であることに加えて、サイジング剤の炭化物が悪影響を及ぼすため、充分な強度が得られないという問題がある。更に特許文献3のような従来法には、炭素繊維糸条を有機溶媒中に浸漬して該炭素繊維に付着されているサイジング剤を取除いた後、乾燥するため、炭素繊維糸条に毛羽や糸切れが発生し易く、それだけ作業環境を悪くし、また結果として充分な強度が得られないという問題がある。
特開平11−172562号公報 特開平5−9853号公報 特開昭61−12967号公報
本発明が解決しようとする課題は、炭素繊維それ自体の物性を損なうことなく、また作業環境を悪くすることもなく、予め炭素繊維糸条に付着されているサイジング剤を取除き、用いるマトリックス樹脂に適切なサイジング剤を再付着した炭素繊維糸条を、経済的且つ効率的に得ることができる炭素繊維糸条の処理方法を提供するところにある。
前記の課題を解決する本発明は、下記の第1工程、第2工程及び第3工程を経ることを特徴とする炭素繊維糸条の処理方法に係る。
第1工程:サイジング剤が付着された炭素繊維糸条を有機溶媒で洗浄して、該炭素繊維糸条から該サイジング剤を取除く工程。
第2工程:サイジング剤を取除いて開繊状態になった炭素繊維糸条を乾燥することなく、該炭素繊維糸条にサイジング剤を再付着する工程。
第3工程:サイジング剤を再付着した炭素繊維糸条を乾燥する工程。
第1工程では、サイジング剤が付着された炭素繊維糸条を有機溶媒で洗浄して、該炭素繊維糸条から該サイジング剤を取除く。対象となる炭素繊維の種類は、PAN系、ピッチ系、レーヨン系等であるが、得られる成形品の強度と弾性率とのバランスの観点から、PAN系のものが好ましい。
処理対象となる炭素繊維糸条は市販されており、それがトウの場合、フィラメント数は通常1000〜60000本程度であるが、取り扱い性及び開繊性の点から、フィラメント数は3000〜40000本が好ましく、6000〜24000本がより好ましい。また炭素繊維糸条を構成する炭素繊維の直径は3〜15μmが好ましく、5〜10μmがより好ましい。
処理対象となる炭素繊維糸条には、発明の目的を損なわない範囲内で少量の他の繊維が含まれていてもよい。かかる他の繊維としては、ガラス繊維、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、ボロン繊維、金属繊維等が挙げられる。
第1工程では、サイジング剤が付着された炭素繊維糸条を有機溶媒で洗浄し、好ましくは更に水で洗浄するが、かかる有機溶媒による洗浄時又は水による洗浄時に、炭素繊維糸条への新たなサイジング剤の再付着性を高め且つ均一な皮膜を形成させるため、炭素繊維糸条に表面処理を施すこともできる。表面処理としては、液相中での薬液酸化や電解酸化、あるいは気相酸化が挙げられるが、電解質水溶液中で炭素繊維を陽極として酸化処理する電解酸化が好ましい。電解酸化に用いる電解質としては、硫酸、硝酸等の無機酸や、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の無機塩基、あるいは硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム等の無機塩が挙げられる。
第1工程で用いる有機溶媒の種類に特に制限はなく、かかる有機溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアミド等のアミド系溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム等のクロル系溶媒が挙げられるが、作業環境等の観点からはケトン系溶媒、アミド系溶媒、アルコール系溶媒が好ましく、なかでもアセトンが特に好ましい。
第1工程での有機溶媒による洗浄方法、更には水による洗浄方法に特に制限はなく、これには例えば炭素繊維糸条を有機溶媒中に、更には水中に浸漬する方法が挙げられるが、かかる洗浄時には有機溶媒、更には水を、機械的手段や超音波により撹拌乃至流動状態とするのが好ましい。
以上説明した第1工程でサイジング剤を取除いた炭素繊維糸条は、開繊性が良好であり、特別に開繊処理を行うことなく、第2工程に供することができる。第2工程では、第1工程でサイジング剤を取除いて開繊状態になった炭素繊維糸条を乾燥することなくそのまま、該炭素繊維糸条に新たなサイジング剤を再付着する。第1工程でサイジング剤を取除いた炭素繊維糸条を乾燥し、巻き取ると、毛羽の発生が多く、毛羽の発生によると思われる炭素繊維が空気中に浮遊し、作業環境を著しく悪くする。
サイジング剤を取除いて開繊状態になった炭素繊維糸条に新たなサイジング剤を再付着する方法としては、サイジング剤を含むサイジング浴に炭素繊維糸条を浸漬する方法が好ましいが、これに限られるものではなく、ロールコーティング及びバースロールコーター等でコーティングすることもできる。
第2工程において、用いるサイジング剤の主成分となるサイジング剤樹脂は、複合材料に用いるマトリックス樹脂によって選択することが好ましい。かかるサイジング剤樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリアクリル樹脂、エポキシ変性ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂等を単独であるいは2種類以上を混合して用いることができる。
第2工程において、炭素繊維糸条に再付着するサイジング剤は、主成分として前記のようなサイジング剤樹脂を含有する樹脂組成物の水性液又はアセトン等による有機溶剤溶液の形態で使用することができるが、作業環境や安全性等を考慮すると、水性液、例えば水性エマルジョンの形態で使用することが好ましい。
サイジング剤を水性エマルジョンにするとき、界面活性剤を使用することができる。かかる界面活性剤としては、ノニオン系、カチオン系、アニオン系等の界面活性剤が挙げられるが、水性エマルジョン溶液の安定性の面から、ノニオン系界面活性剤を使用することが好ましい。界面活性剤の使用量は、サイジング剤/界面活性剤=90/10〜70/30(質量比)の割合となるようにするのが好ましい。
サイジング剤の水性エマルジョンにおけるサイジング剤の濃度は、通常1〜10質量%とする。サイジング剤の濃度が10質量%を超えると、炭素繊維糸条へのサイジング剤の均一な付着が難しくなる。またサイジング剤の付着量は、炭素繊維糸条に対して通常0.1〜10質量%となるようにする。サイジング剤の付着量が0.1質量%より低いと、取り扱い性が損なわれ、毛羽が発生し易くなる。逆にサイジング剤の付着量が10質量%より高いと、第3工程の乾燥時にロールや熱ローラ等に巻きつく等のトラブルが発生し易くなり、操業安定性に欠けるようになる。
サイジング剤の炭素繊維に対する付着量の好ましい範囲は0.2〜5.0質量%である。かかるサイジング剤の付着量は、例えばサイジング剤の水性エマルジョン中のサイジング剤の濃度調整と絞りに用いるローラプレスの圧力調整で制御することができる。
第3工程では、以上説明した第2工程でサイジング剤を再付着した炭素繊維糸条を乾燥する。乾燥条件は特に制限されないが、新たにサイジング剤を再付着した炭素繊維糸条を2段階で乾燥するのが好ましく、なかでも80〜160℃の温度で20〜200秒間一次乾燥した後、更に160〜230℃の温度で20〜200秒間二次乾燥するのがより好ましい。
前記の一次乾燥は、サイジング剤を水性エマルジョンの形態で炭素繊維糸条に付着したとき、余分な水分を揮発除去すると共に、炭素繊維糸条の表面部に付着したサイジング剤を炭素繊維糸条の内部にまで均一付着させるため、ローラによって加圧加熱しながら行うのが好ましい。一次乾燥の条件は、前記したように80〜160℃の温度で20〜200秒間が好ましいが、100〜150℃の温度で30〜150秒間がより好ましい。
また前記の二次乾燥は、炭素繊維糸条の内部にまでサイジング剤を均一付着することによりサイジング剤と炭素繊維糸条との接着性を向上し、ひいては用いるマトリックス樹脂との接着性を向上するため、熱風乾燥が好ましい。二次乾燥の条件は、前記したように160〜230℃の温度で20〜200秒間が好ましいが、170〜220℃の温度で30〜150秒間がより好ましい。
以上説明した第1工程、第2工程及び第3工程は、断続的に行うこともできるが、炭素繊維糸条に毛羽が発生するのを抑えて作業環境が悪くなるのを未然に防止すると共に、一連の処理を経済的且つ効率的に行なって、所期の通りの新たにサイジング剤を再付着した炭素繊維糸条を得るためには、第1工程、第2工程及び第3工程を連続して行うのが好ましい。すなわち、各工程での処理後、乾燥や巻き取ることなく次工程へ供することが好ましい。
以上説明した処理方法によって得られる炭素繊維糸条は、これをマトリックス樹脂と共に用いて、複合材料とすることができる。炭素繊維糸条の使用形態としては、一方向にシート状に引き揃えたもの、これらを直交に積層したもの、織編物や不織布等の布帛に成形したもの、ストランド状のもの、多軸織物状のもの等が挙げられ、また使用時のそれ自体の形態としては、束状のものだけではなく長繊維のモノフィラメント状のものも挙げられる。
またマトリックス樹脂としては、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂が用いられる。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ビニルエステル樹脂、シアン酸エステル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、フェノキシ樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、マレイミド樹脂とシアン酸エステル樹脂の予備重合樹脂、ビスマレイミド樹脂、アセチレン末端を有するポリイミド樹脂やポリイソイミド樹脂、ナジック酸末端を有するポリイミド樹脂等が挙げられる。これらは1種又は2種以上の混合物として用いることもできる。なかでも、耐熱性や耐薬品性等に優れたエポキシ樹脂やビニルエステル樹脂が好ましい。これらの熱硬化性樹脂には、硬化剤や硬化促進剤以外に、通常用いられる着色剤や各種添加剤等が含まれていてもよい。
また熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、芳香族ポリアミド、芳香族ポリエステル、芳香族ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリアリーレンオキシド、熱可塑性ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリアクリロニトリル、ポリアラミド、ポリベンズイミダゾール等が挙げられる。
複合材料中における以上のようなマトリックス樹脂の割合は、通常10〜90質量%とするが、好ましくは20〜60質量%とし、より好ましくは25〜45質量%とする。
本発明によると、炭素繊維それ自体の物性を損なうことなく、また作業環境を悪くすることもなく、市販の炭素繊維糸条に付着されているサイジング剤を取除き、用いるマトリックス樹脂に適切な新たなサイジング剤を再付着した炭素繊維糸条を、経済的且つ効率的に得ることができる。
本発明に係る炭素繊維糸条の処理方法を例示する全体の工程図。
以下、本発明を実施例等を挙げて更に詳細に説明するが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。
図1は本発明に係る処理方法を例示する全体の工程図である。ワインダ1に図示しないボビンが装架されており、このボビンに炭素繊維糸条Aが巻き付けられている。炭素繊維糸条Aにはサイジング剤が付着されており、一般に炭素繊維は、かかる炭素繊維糸条Aがボビンに巻き付けられた状態で市販されている。
ワインダ1に装架されたボビンから引き出された炭素繊維糸条Aは、ガイドローラを経由して、第1有機溶媒槽2に至っている。第1有機溶媒槽2には洗浄用の有機溶媒が充填されており、この有機溶媒は撹拌されていて、炭素繊維糸条Aはかかる有機溶媒中に浸漬された後、ガイドローラを経由して、第2有機溶媒槽3に至っている。第2有機溶媒槽3にも洗浄用の有機溶媒が充填されており、この有機溶媒も撹拌されていて、炭素繊維糸条Aはかかる有機溶媒中に浸漬された後、ガイドローラを経由して、水槽4に至っている。水槽4には洗浄用の水が充填されており、この水は撹拌されていて、炭素繊維糸条Aはかかる水中に浸漬された後、ガイドローラを経由して、ローラプレス5に至り、ローラプレス5で適度に加圧され、余分な水分が絞られている(以上、第1工程)。
説明の便宜上、以下、炭素繊維糸条Aからこれにもともと付着されていたサイジング剤を取除いたものを炭素繊維糸条Bというが、前記の第1工程でサイジング剤を取除いて開繊状態になった炭素繊維糸条Bは、これを乾燥することなくそのまま、ガイドローラを経由して、サイジング剤槽6に至っている。サイジング剤槽6にはサイジング剤の水性エマルジョンが充填されており、炭素繊維糸条Bはこのサイジング剤の水性エマルジョン中に浸漬された後、ガイドローラを経由して、ローラプレス7に至り、ローラプレス7で適度に加圧され、余分なサイジング剤の水性エマルジョンが絞られている(以上、第2工程)。
説明の便宜上、以下、炭素繊維糸条Bに新たにサイジング剤を再付着したものを炭素繊維糸条Cというが、前記の第2工程で新たにサイジング剤を再付着した炭素繊維糸条Cは、ガイドローラを経由して、加圧加熱ローラ8に至り、加圧加熱ローラ8で適度に絞られつつ一次乾燥されている。かくして一次乾燥にされた炭素繊維糸条Cは、ガイドローラを経由して、熱風乾燥機9に至り、熱風乾燥機9で二次乾燥された後、ワインダ10に装架された図示しないボビンに巻き取られている(以上、第3工程)。
試験区分1(炭素繊維糸条の処理)
実施例1〜6
図1について前述した処理方法にしたがい、表1及び表2に記載した処理条件で、単糸デニールが0.6デニール、構成繊維本数が12000本のPAN系炭素繊維糸条(東レ株式会社製の商品名トレカ T700SC 12000−50C)を、第1工程、第2工程及び第3工程に連続して供した。
比較例1
実施例1〜6と同じPAN系炭素繊維糸条を、それが巻かれたボビンのままで200℃に加熱し、ボビンから解舒しようとしたが、残存している柔軟化したサイジング剤により炭素繊維糸条同士が融着したような状態になっており、解舒できなかった。
比較例2
実施例1〜6と同じPAN系炭素繊維糸条を実施例1と同様の第1工程に供した後、熱風乾燥し、サイジング剤を取除いた炭素繊維糸条をボビンに巻き取った。巻き取った炭素繊維糸条をボビンから解舒し、以下実施例1と同様の第2工程及び第3工程に供した。巻き取った炭素繊維糸条のボビンからの解舒時に多数の毛羽が発生し、作業環境を著しく悪くしただけでなく、ストランド強度を低くした。
比較例3
実施例1〜6と同じPAN系炭素繊維糸条の巻かれたボビンを600℃の電気炉中で8時間加熱した。加熱後のボビンから炭素繊維糸条を解舒し、実施例1と同様の第2工程及び第3工程に供したところ、解舒した炭素繊維糸条の表面にカーボン粉が多数付着していて、新たなサイジング剤の再付着が均一にされなかった。またガイドローラやローラプレス部分でのサイジング剤の脱落が多く、サイジングされていない炭素繊維糸条表面が多数現われていた。以上の各例における処理の内容を表1にまとめて示した。
試験区分2(評価等)
試験区分1で処理した各例の炭素繊維糸条について、第1工程後の炭素繊維糸条の開繊性、第3工程後のサイジング剤の付着量、毛羽の発生状態及びストランド強度を次のように評価又は測定し、結果を表1及び表2にまとめて示した。
・炭素繊維糸条の開繊性の評価
1Lのメスシリンダーに1Lのイオン交換水を入れ、5cmにカットした炭素繊維糸条を0.5g投入して、数回振とうした後、分散状態を目視で観測し、以下の基準で評価した。
○:炭素繊維糸条が単繊維によく分散している。
△:一部に炭素繊維糸条がそのまま残った状態で分散している。
×:炭素繊維糸条のままで残っている。
・サイジング剤の付着量の測定
約2gの炭素繊維糸条を105℃で30分間乾燥した後、デシケーター内に30分間静置して冷却し、秤量(W)した。その後、炭素繊維糸条をアセトン中に浸漬し、サイジング剤を洗浄して除去した。洗浄した炭素繊維糸条を105℃にて1時間乾燥し、デシケーター内に30分間静置して冷却し、秤量(W)した。そして、下記の数1よりサイジング剤の付着量(質量%)を求めた。


Figure 2014189935
・毛羽の発生状態の評価
炭素繊維糸条を、1デニール当たり0.09gの直行張力下、3m/分の速度で通過させると共に、側面から炭素繊維糸条に対して直角にレーザー光線を照射して、毛羽検出装置により毛羽数をカウントし、以下の基準で評価した。
○:毛羽数が4個/m以下
△:毛羽数が5〜10個/m
×:毛羽数が11個/m以上
・ストランド強度の測定
各例の炭素繊維糸条について、JISのR−7608に規定された方法により、ストランド強度(MPa)を測定した。
Figure 2014189935
Figure 2014189935
表1及び表2において、
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
NMF:N−メチルホルムアミド
DMF(80℃):80℃に加熱したN,N−ジメチルホルムアミド
TYT−001:エポキシ樹脂系サイジング剤(竹本油脂社製の商品名)
TYT−002:ポリウレタン樹脂系サイジング剤(竹本油脂社製の商品名)
TYT−003:アクリル樹脂系サイジング剤(竹本油脂社製の商品名)
1,10 ワインダ
2 第1有機溶媒槽
3 第2有機溶媒槽
4 水槽
5,7 ローラプレス
6 サイジング剤槽
8 加圧加熱ローラ
9 熱風乾燥機
A,B,C 炭素繊維糸条

Claims (8)

  1. 下記の第1工程、第2工程及び第3工程を経ることを特徴とする炭素繊維糸条の処理方法。
    第1工程:サイジング剤が付着された炭素繊維糸条を有機溶媒で洗浄して、該炭素繊維糸条から該サイジング剤を取除く工程。
    第2工程:サイジング剤を取除いて開繊状態になった炭素繊維糸条を乾燥することなく、該炭素繊維糸条にサイジング剤を再付着する工程。
    第3工程:サイジング剤を再付着した炭素繊維糸条を乾燥する工程。
  2. 第1工程、第2工程及び第3工程を連続して行う請求項1記載の炭素繊維糸条の処理方法。
  3. 第1工程において、サイジング剤が付着された炭素繊維糸条を有機溶媒で洗浄した後、更に水で洗浄する請求項1又は2記載の炭素繊維糸条の処理方法。
  4. 第1工程において、サイジング剤が付着された炭素繊維糸条を有機溶媒中に浸漬して洗浄する請求項1〜3のいずれか一つの項記載の炭素繊維糸条の処理方法。
  5. 第1工程の有機溶媒が、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、ニトリル系溶媒、アルコール系溶媒及びクロル系溶媒から選ばれるものである請求項1〜4のいずれか一つの項記載の炭素繊維糸条の処理方法。
  6. 第1工程の有機溶媒が、アセトンである請求項5記載の炭素繊維糸条の処理方法。
  7. 第2工程において、サイジング剤を取除いて開繊状態になった炭素繊維糸条を乾燥することなく、該炭素繊維糸条をサイジング剤の水性液中に浸漬して、該炭素繊維糸条に該サイジング剤を再付着する請求項1〜6のいずれか一つの項記載の炭素繊維糸条の処理方法。
  8. 第3工程において、サイジング剤を再付着した炭素繊維糸条を、80〜160℃の温度で20〜200秒間一次乾燥した後、更に160〜230℃の温度で20〜200秒間二次乾燥する請求項1〜7のいずれか一つの項記載の炭素繊維糸条の処理方法。
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