JP2004138657A - 拡散反射板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】反射型液晶表示器に用いられる拡散反射板において、基板1表面上に基板1から遠い側に凹凸面を有する凹凸層2を形成し、凹凸層2の凹凸面上に金属膜を含む反射膜3を形成し、基板1表面の法線l1に対する入射角30°で反射膜3側から光を入射させたときに、正反射方向から反射膜3側に15°ずれた方向l4に反射される反射光の光強度値を、正反射方向から反射膜3側に25°ずれた方向l5に反射される反射光の光強度値の6倍以上とする。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示器に用いられる拡散反射板に関する。
【0002】
【従来の技術】
バックライトなどの光源を必要としない表示器として、反射板と表示素子に入射する光および反射板で反射された光の光量を制御する光制御手段(電極、液晶層など)と、偏光板と組み合わせて表示を行う反射型液晶表示器が知られている(例えば特許文献1、2)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−337935号公報
【特許文献2】
特開2000−180616号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来の反射型液晶表示器にあっては、一般的に、どの角度から見ても明るく且つ鮮明な表示が得られるものが好ましいとされている。しかし、消費電力が小さく、また、背景光が強いほど鮮明に見えるという利点を有する反射型液晶表示器は携帯用の機器に利用されることが多く、このような用途の場合は周囲の人に覗き見されるおそれがある。
【0005】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、観察者が反射型液晶表示器を正面から見たときには明るく鮮明な表示を与え、且つ観察者以外の者が斜め方向から該液晶表示器を見たときの視認性を低下させることが可能な拡散反射板を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の拡散反射板は、反射型液晶表示器に用いられる拡散反射板において、基板と、基板表面上に形成され基板から遠い側に凹凸面を有する凹凸層と、凹凸層の凹凸面上に形成され金属膜を含む反射膜と、を備え、基板表面の法線に対する入射角30°で反射膜側から光を入射させたときに、正反射方向から反射膜側に15°ずれた方向に反射される反射光の光強度値が、正反射方向から反射膜側に25°ずれた方向に反射される反射光の光強度値の6倍以上であることを特徴とする。
【0007】
本発明の拡散反射板によれば、凹凸面を有するフォトレジスト及び反射膜を基板上に形成し、基板表面の法線に対する入射角30°で反射膜側から光を入射させたときに、正反射方向から反射膜側に15°ずれた方向に反射される反射光の光強度値を、正反射方向から反射膜側に25°ずれた方向に反射される反射光の光強度値の6倍以上とすることで、観察者が反射型液晶表示器を正面から見たときには明るく鮮明な表示を与え、且つ観察者以外の者が斜め方向から該液晶表示器を見たときの視認性を低下させることが可能となる。
【0008】
本発明の拡散反射板は、凹凸層が、基板表面にポジ型フォトレジストを塗布した後、内側に拡散反射領域形成用パターン、外側に透明パターンがそれぞれ形成されたフォトマスクを介してフォトレジストにプロキシミティー露光を施した後、現像・熱処理を行うことにより形成されたものであることを特徴としてもよい。これにより、反射光の光強度値が上記の条件を満たすための凹凸層を容易に且つ確実に形成することができる。
【0009】
また、本発明の拡散反射板は、凹凸層が、感光波長域に対して遮光性を有する遮光性材料を含有するポジ型フォトレジストからなることを特徴としてもよい。遮光性材料を含有するポジ型フォトレジストを用いることで、上記特定の凹凸層を容易に且つ確実に形成することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付することとし、重複する説明は省略する。
【0011】
図1は本発明の拡散反射板の一例を示す模式断面図である。図1中、透明基板1の表面上には、基板1から遠い側に微細な凹凸曲面を有する凹凸層2が設けられている。凹凸層2の表面上には蒸着等の手法でアルミニウムなど高反射率の金属膜を含む反射膜3が形成される。
【0012】
凹凸層2は、フォトレジスト(感光性樹脂)などの有機材料からなる。フォトレジストは、露光工程、現像工程後の加熱工程で硬化する性質を有する。フォトレジストは、加熱工程での硬化にともなって溶融軟化し、膜表面が平滑化する性質を有する。ここでいう加熱工程は、フォトレジストが軟化する温度まで加熱する軟化工程と、フォトレジストを硬化させるベーキング工程とを含むものである。
【0013】
反射膜3は、純アルミニウム、アルミニウム合金(Al−Nd合金など)や銀合金(Ag−Pd−Cu合金)などの材料で構成される。
【0014】
凹凸層2及び反射膜3の形状は、基板1表面の法線l1に対する入射角30°で反射膜3側から光を入射させたときに、正反射方向から15°ずれた位置における反射光の光強度値I15が正反射方向から25°ずれた位置における反射光の光強度値I25の6倍以上(好ましくは14倍以上、より好ましくは60倍以上)となるように設定される。
【0015】
ここで、図1を参照しつつ、光強度値I15及びI25の概念についてさらに説明する。図1中、l1は基板1表面の法線、l2は法線l1に対して30°傾斜させた方向をそれぞれ示している。また、l3はl2に沿って(すなわち法線l1に対する入射角30°で)光を入射させたときの正反射方向を示しており、l4及びl5はそれぞれl3から拡散反射板側に15°及び25°ずれた方向を示している。
【0016】
本発明の拡散反射板においては、l2上に光源101、l4及びl5上に光検出器102a、102bをそれぞれ配置し、法線l1に対する入射角30°で反射膜3側から光を入射させたときに、光検出器102aで検出される反射光の光強度値(正反射方向から反射膜3側に15°ずれた方向に反射される反射光の光強度値)I15が、光検出器102bで検出される反射光の光強度値(正反射方向から反射膜3側に25°ずれた方向に反射される反射光の光強度値)I25の6倍以上となるように設定される。I15/I25≧5とすることで、観察者が反射型液晶表示器を正面から見たときには明るく鮮明な表示を与え、且つ観察者以外の者が斜め方向から該液晶表示器を見たときの視認性を低下させることが可能となる。なお、光検出器102a、102bは、それぞれの受光面が反射膜3と法線l1との交点から等距離に配置される。
【0017】
図2は本発明の実施形態に係る拡散反射板付きカラーフィルタを示す模式断面図である。図2に示したカラーフィルタが備える拡散反射板は図1に示した拡散反射板と同様の構成を有するものであり、凹凸層2及び反射膜3は光散乱層としての機能を有する。
【0018】
光散乱層をカラーフィルタ基板に形成して使用する場合には、光散乱層上に着色樹脂領域4R,4G,4Bが設けられる。着色樹脂領域4R,4G,4B上には必要に応じて透明保護膜6が設けられ、液晶を駆動するための透明電極5が形成される。
【0019】
なお、着色樹脂領域4R,4G,4Bは、液晶中に表示不良の原因となる不純物を溶出しなければ、いかなる材質のものであっても良い。具体的な材質としては、任意の光のみを透過するように膜厚制御された無機膜や、染色、染料分散あるいは顔料分散された樹脂などがある。
【0020】
この樹脂の種類には、特に制限は無いが、アクリル、ポリビニルアルコール、ポリイミドなどを使用することができる。なお、製造プロセスの簡便さや耐候性などの面から、着色樹脂領域4R,4G,4Bには、顔料分散された樹脂膜を用いることが好ましい。
【0021】
図3は、上述の拡散反射板を備えたカラーフィルタの製造方法を説明するための説明図である。このカラーフィルタは以下の工程(a)〜(e)を順次実行することによって製造される。
【0022】
工程(a)
透明な基板1上にポジ型レジストを塗布しフォトレジスト層(凹凸層2の中間体)2を形成する(図3(a))。フォトレジストとしてはポジ型のものを用いる。
【0023】
ここで、フォトレジストの感光波長域に対する単位厚さ当たりの透過率は1〜30%/μmであることが好ましい。当該透過率が1%/μm未満であると加工性が不十分となって多くの露光エネルギーが必要となる傾向にある。また、当該透過率が30%/μmを超えると、加工深さが露光条件や現像条件に対して急激に変化するため、所定形状の凹凸面を安定的に形成することが困難となる傾向にある。
【0024】
工程(b)
フォトマスク7を介して一括露光(プロキシミティー露光)を行う(図3(b))。フォトマスク7には多角形、円形、リング状の透過部Tが規則的又は、ランダムに配置されている。本例では、リング(円環)状の透過部Tを用いることとする。透過部Tは等間隔で複数配列しており、したがって、露光によってフォトレジスト内に潜像濃度分布2aが形成される。
【0025】
プロキシミティー露光時のフォトマスク7とフォトレジスト2との距離をL(μm)、プロキシミティー露光時のフォトマスク7の透過部Tの外形寸法をD(μm)とする。ここで、外形寸法とは透過部が円形又は円環形である場合には、外径の寸法(直径)を意味し、楕円形や多角形である場合には、重心位置から外周までの平均距離の2倍を意味するものとする。
【0026】
フォトマスク7上の透過部Tは外径Dが20μm以下、より好ましくは15μm以下、そして3μm以上が好適である。
【0027】
工程(c)
フォトレジスト2の現像を行うことでパターニングをする(図3(c))。現像はフォトレジストに適した条件を選定すればよく、ナトリウムやカリウムの水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩といった無機アルカリ、有機アンモニウムなどの有機アルカリの溶液中を現像液として使用し、現像液を20℃から40℃での浸漬又はシャワーすることで行われる。現像後の基板は純水で充分に洗浄したのち、熱処理を行う。
【0028】
熱処理工程では、フォトレジストのパターンは硬化に先だって、溶融軟化し、滑らかな凹凸面がフォトレジストの表面に形成される。熱処理温度としては好ましくは120〜250℃、より好ましくは150〜230℃の範囲が好ましい。また、熱処理時間としては10〜60分が好ましい。
【0029】
上記工程(a)〜(c)により形成される凹凸層の形状は、基板1表面の法線に対する入射角30°で反射膜3側から光を入射させたときに、正反射方向から反射膜3側に15°ずれた方向に反射される反射光の光強度値が正反射方向から反射膜側に25°ずれた方向に反射される反射光の光強度値の6倍以上となるように設定される。
【0030】
工程(d)
金属膜反射膜3を形成する(図2(d))。この形成には蒸着法やスパッタ法を用いることができる。反射膜3の厚みは、0.1〜0.3μmの範囲が好適であり、より好ましくは0.15〜0.25μmの範囲が良い。反射膜3に誘電体多層膜を用いることもできる。また、反射膜3が金属膜を含む場合には高反射率を達成することができる。この金属膜は金属アルミニウム、アルミニウム合金又は銀合金を含むが好ましいが、もちろん、特性に悪影響を与えない他の元素を含んでいてもよい。
【0031】
金属反射膜3は、必要に応じてエッチング等により不要部分を除去し、光透過部やマーク類を形成する。
【0032】
工程(e)
必要に応じて、赤、緑、青の着色層を形成し、続いて、保護層6及び透明電極5を形成物の上に堆積し、拡散反射板付カラーフィルタ基板が完成する(図2(e))。
【0033】
図3は、上述の拡散反射板が設けられたカラーフィルタを用いた反射型液晶表示器の断面図である。
【0034】
この液晶表示器は、1枚偏光板方式の反射型カラー液晶表示器である。ガラスからなる基板1及び対向基板10との間には所定の間隙が設けられ、この間隙に液晶が充填された液晶層9と、画素電極11を有する。また、対向基板10の外側には偏光板12が設けられている。
また、同様の方法で形成した光散乱層上に配線や駆動素子を形成し、素子基板として用いることも可能である。
【0035】
【実施例】
以下、実施例及び比較例に基づき本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0036】
[実施例1]
先ず、ポジ型フォトレジスト(東京応化工業社性PR−13)にカーボンブラックを添加して吸光性フォトレジストを調製し、この吸光性フォトレジストをガラス基板上に塗布し、100℃で90秒間プリベークしてフォトレジスト層を形成した。フォトレジスト層の膜厚は1.25μm、主感度波長(405nm)に対する透過率は7%/μmであった。
【0037】
次に、このフォトレジスト層について、外径11μm、内径5μmの透過部がランダムに配置されたフォトマスクを介してプロミキシティー露光を行った。露光量は400mJ/cm2、露光ギャップは150μmとした。
【0038】
露光後のフォトレジスト層を0.5%KOH溶液中で70秒間現像した後、200℃に保持したクリーンオーブン中で20分間熱処理して凹凸層を形成した。
【0039】
さらに、凹凸層上にアルミニウム膜を蒸着して目的の拡散反射板を得た。
【0040】
このようにして得られた拡散反射板について、基板表面の法線に対する入射角30°で反射膜側から光を入射させ、正反射方向から反射膜側に15°及び25°ずれた方向に反射される反射光の光強度値I15、I25を測定した。その結果I15は254、I25は4、I15/I25は63であった
【0041】
[実施例2〜4、比較例1〜4]
実施例2〜4及び比較例1〜4においては、それぞれフォトレジスト層の膜厚及び透過率、露光量、並びに露光ギャップを表1に示す通りとしたこと以外は実施例1と同様にして拡散反射板を作製した。得られた拡散反射板のI15、I25及びI15/I25を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
[視認性評価試験]
実施例1〜4及び比較例1〜4で得られた各拡散反射板にグリセリンを介してガラス基板を貼り合わせて視認性評価試料(液晶模擬セル)を作製した。
【0044】
これらの液晶模擬セルについて、被験者が正面及び斜め45°から観察し、各方向における視認性を評価した。評価は1(不良)、2(やや不良)、3(普通)、4(やや良好)、5(良好)の5段階とした。得られた結果を表2に示す。
【0045】
【表2】
表2に示したように、実施例1〜4の拡散反射板を使用した場合、正面から見たときの視認性は十分に高く、その反面、斜めから見たときの視認性は十分に低いことが確認された。
【0046】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明によれば、観察者が反射型液晶表示器を正面から見たときには明るく鮮明な表示を与え、且つ観察者以外の者が斜め方向から該液晶表示器を見たときの視認性を低下させることが可能な拡散反射板が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の拡散反射板の一例を示す模式断面図である。
【図2】拡散反射板付きカラーフィルタの一例を示す模式断面図である。
【図3】拡散反射板付きカラーフィルタの製造方法の一例を示す説明図である。
【図4】拡散反射板が設けられたカラーフィルタを用いた反射型液晶表示器の一例を示す模式断面図である。
【符号の説明】
1…基板、2…凹凸層(フォトレジスト層)、2a…潜像濃度分布、3…反射膜、4R,4G,4B…着色樹脂領域、5…透明電極、6…保護層、7…フォトマスク、9…液晶層、10…対向基板、11…画素電極、12…偏光板、101…光源、102a、102b…光検出器。
Claims (3)
- 反射型液晶表示器に用いられる拡散反射板において、
基板と、前記基板表面上に形成され前記基板から遠い側に凹凸面を有する凹凸層と、前記凹凸層の凹凸面上に形成され金属膜を含む反射膜と、を備え、
前記基板表面の法線に対する入射角30°で前記反射膜側から光を入射させたときに、正反射方向から前記反射膜側に15°ずれた方向に反射される反射光の光強度値が、正反射方向から前記反射膜側に25°ずれた方向に反射される反射光の光強度値の6倍以上であることを特徴とする拡散反射板。 - 前記凹凸層が、前記基板表面にポジ型フォトレジストを塗布した後、内側に拡散反射領域形成用パターン、外側に透明パターンがそれぞれ形成されたフォトマスクを介して前記フォトレジストにプロキシミティー露光を施した後、現像・熱処理を行うことにより形成されたものであることを特徴とする、請求項1に記載の拡散反射板。
- 前記凹凸層が、感光波長域に対して遮光性を有する遮光性材料を含有するポジ型フォトレジストからなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の拡散反射板。
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JP2011093279A (ja) * | 2009-11-02 | 2011-05-12 | Sumitomo Chemical Co Ltd | 防眩フィルム用金型の製造方法および防眩フィルムの製造方法 |
JPWO2010134236A1 (ja) * | 2009-05-18 | 2012-11-08 | シャープ株式会社 | アクティブマトリクス基板及びそれを用いた液晶表示装置 |
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2002
- 2002-10-15 JP JP2002300676A patent/JP4311925B2/ja not_active Expired - Fee Related
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