JP2004131687A - シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸からポリ(シクロヘキサン−1,4−ジカルボキシレート)を製造する方法、及び組成物 - Google Patents
シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸からポリ(シクロヘキサン−1,4−ジカルボキシレート)を製造する方法、及び組成物 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】実質的に夾雑物を含まない形態の高分子量・高結晶性ポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)の製造方法を提供する。
【解決手段】ポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)、特にポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレン−1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)が、触媒の存在下、約260°の最高温度で、エステル化法により、1,4−シクロヘキサンジメタノールのような1種類以上の比較的非揮発性のジオール及びシクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸から製造される。一実施形態では、この方法では2段階法を使用し、その第二段階はメルト中又は固相で実施することができる。エチレングリコールのような揮発性ジオールが存在していてもよい。
【選択図】 なし
【解決手段】ポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)、特にポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレン−1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)が、触媒の存在下、約260°の最高温度で、エステル化法により、1,4−シクロヘキサンジメタノールのような1種類以上の比較的非揮発性のジオール及びシクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸から製造される。一実施形態では、この方法では2段階法を使用し、その第二段階はメルト中又は固相で実施することができる。エチレングリコールのような揮発性ジオールが存在していてもよい。
【選択図】 なし
Description
【技術分野】
【0001】
本発明はポリエステルの製造に関し、さらに具体的にはポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレン−1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)(以下、略して「PCCD」ともいう。)のようなポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)は公知のポリエステルであり、例えば米国特許第2891930号を参照されたい。PCCDは、紫外線暴露条件下での耐候性及び結晶性のような優れた性質によって特徴付けられる。これらの性質は最近の商業化において関心を集めつつある。
【0003】
PCCDの工業的生産方法では、反応体として、1種類以上の比較的非揮発性のジオール(大抵は1,4−シクロヘキサンジメタノール(以下、「CHDM」という。))と、1種類以上の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアルキル(大抵は1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル(以下、「DMCD」という。))が利用されている。ポリマー合成は、エステル末端基及びヒドロキシ末端基を有するオリゴマーが最初に形成され、これらが互いに反応して分子量が増大することによって進行する。ジエステル、ジオール及びオリゴマーの中間体混合物はあらゆる量比で混和し、重合反応の初期段階で透明メルトを形成する。米国特許第6084055号はかかるエステル交換法の一例である。
【0004】
この方法で用いられるDMCDは一般にテレフタル酸ジメチルの還元によって得られる。従って、その製造には、テレフタル酸のエステル化と還元によるDMCDの形成という2段階が必要とされる。テレフタル酸の還元で1段階で得ることができるシクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸(以下、「CHDA」という。)をPCCD製造の反応体として使用できれば望ましい。
【0005】
しかし、CHDMのような比較的非揮発性のジオールと共にCHDAを用いるのは、揮発性の高いエチレングリコールや1,4−ブタンジオールのようなジオールと共に使用する場合ほど簡単ではない。かかる揮発性ジオールを過剰に使用すればエステル化反応を完結させることができ、過剰分は後で蒸留によって除くことができる。対照的に、比較的非揮発性のCHDMが過剰に存在すると、ポリエステルに夾雑物として残り、そのポリエステルは使い物にならなくなるか、少なくともその特性が大きく損なわれる。過剰量の非揮発性CHDMの使用に伴うもう一つの共通した問題は、得られるポリエステルの分子量が限られていることである。さらに、CHDM中でのCHDAの溶解性が余り高くないので、CHDMとCHDAとポリエステルオリゴマーの混合物は均一には混和しない。
【0006】
そこでCHDMとCHDAからPCCDを製造しようとするとジレンマに陥る。生成物の分子量を最大限にするため大過剰のCHDMを用いると、得られるポリエステルは例えば過剰のCHDMによる汚染のためにほとんど使い物にならなくなってしまうおそれがある。一方、試薬を基本的又はほぼ等モル量比で用いると、高分子量ポリエステルの製造には反応体の化学量論比を絶えず非常に狭い範囲に一致させておく必要があるので、分子量制御が問題となりかねない。
【0007】
PCCD及び同種のポリエステルの結晶性には様々な因子が影響し得る。主な因子の一つは、そのジエステル部分、特に酸由来の部分のシス/トランス異性体比である。CHDMとCHDAにはシス/トランス異性が存在し、シス異性体含量の割合が増大するとポリマーの結晶度が大きく低下する。殆どの場合、DMCD及びCHDA試薬はトランス異性体レベルが99重量%以上である。(CHDMは約70%がトランスであるが、重合中ジオール部分の異性化は起こらない。)。ポリエステル自体のトランス異性体の割合はこれよりも低く、一実施形態では最適結晶性を得るため約87%以上である。
【文献1】
米国特許第2891930号
【文献2】
米国特許第6084055号
【考案の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、実質的に夾雑物を含まない形態の高分子量・高結晶性ポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)を製造する方法が望まれている。ある実施形態では、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸を実質的に含まない高分子量・高結晶性ポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)の製造方法が望まれる。かかる方法を本発明で提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、重合の進行に伴ってCHDAがポリマーに組み込まれ透明メルトを生じる適切な条件下での高分子量ポリエステルの製造に、CHDMを含むジオールとCHDA及びそれらのオリゴマーの混合物を使用し得るという知見に基づく。これは、モノマー又はポリマー生成物におけるトランス異性体からシス異性体への変換を引き起こすほど高温にしなくても達成できる。
【0010】
従って、本発明は、一実施形態では、1種類以上の比較的非揮発性のジオールとシクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸を含む試薬をエステル化触媒の存在下で互いに接触させることを含んでなるポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)の製造方法であって、全ジオール/酸モル比が0.97〜1.02:1であり、接触を220〜260℃の温度で実施する方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の方法で製造するポリエステルはポリ(シクロヘキサン−1,4−ジカルボキシレート)であり、次式の構造単位の存在で特徴付けられる。
【0012】
【化学式1】
【0013】
式中、Rは比較的非揮発性のジオールHO−R−OHから誘導されるアルキル基である。ポリエステルは大抵はホモポリエステルであるが、後述の通り、コポリエステルであってもよい。
【0014】
本発明の方法で使用するCHDAは公知の化合物である。本発明の一実施形態では、CHDAを1種類以上の比較的非揮発性のジオールとエステル化反応させる。本発明に関して、「比較的非揮発性」のジオールは、沸点(大気圧下)が一実施形態では約210℃以上のもの、他の実施形態では約220℃を上回るもの、別の実施形態では約240℃を上回るもの、さらに別の実施形態では約260℃を上回るものである。ある実施形態では、比較的非揮発性のジオール又は比較的非揮発性のジオールの混合物は大気圧下で約250℃を上回る沸点を有する。別の実施形態では、比較的非揮発性のジオール又は比較的非揮発性のジオールの混合物は、エステル化反応の実施される最高温度よりも高い沸点を大気圧下で有する。適当なジオールは当技術分野で公知であり、特に限定されないが、CHDM、ベンゼンジメタノール、アダマンタンジオール及びテトラメチルシクロブタンジオールがある。本発明では、便宜上、ジオールとしてCHDMを参照して説明することが多いが、適宜他の比較的非揮発性のジオール類をCHDMの代わりに用いてもよい。
【0015】
エステル交換反応は適当な触媒の存在下で実施される。エステル交換に適した触媒は当技術分野で周知であり、チタン、ジルコニウム、スズ、アンチモン、ゲルマニウム、ガリウム、亜鉛、鉄、マンガン、コバルト、ハフニウム、バナジウム、イリジウム、ランタン、セリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、ニッケル及びアルミニウムからなる群から選択される1種類以上の金属を含む有機金属化合物がある。以上列挙した触媒の1種類のみを用いてもよいし、適宜2種類以上を混合して用いてもよい。様々な実施形態では、触媒はチタン酸テトライソプロピル、チタン酸テトラ−n−ブチル及びオルトチタン酸テトラキス(2−エチルヘキシル)のようなチタン酸テトラアルキルである。他の実施形態では適当な触媒には、酸化ジブチルスズ、2−エチルヘキサン酸第一スズ及び酸化第二スズのような有機スズ化合物、並びに酸化アンチモン(III)及びこれと酢酸カルシウムとの混合物のようなアンチモン化合物がある。触媒量はエステル化に有効なものである。触媒量は、理論ポリマー収量を基準にして、ある実施形態では金属約20〜500ppm、別の実施形態では金属約50〜320ppm、また別の実施形態では金属約100〜250ppm、さらに他の実施形態では金属約100〜200ppmである。触媒の全量が反応の最初から存在していてもよい。他の実施形態では、触媒を数段階に分けて導入するのが有利であり、エステル交換反応開始時に約50%以下を存在させ、後で残りを添加してもよいが、大抵は全反応時間の約30〜50%経過後に添加する。触媒は当技術分野で公知のいかなる手段で反応混合物に導入してもよい。大抵は、触媒をそのまま或いは不活性溶媒中の溶液として添加するのがよい。
【0016】
溶媒及び希釈剤を重合反応に使用してもよいが、これらは必要ない。本発明のある実施形態では溶媒と希釈剤は重合反応に存在しない。本発明のある実施形態では反応時に減圧してもよい。
【0017】
ポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)を、ポリエーテルから誘導される「ソフトブロック」が組み込まれたタイプのコポリエステルとすることも本発明の技術的範囲に属する。これは反応混合物中に1種類以上の比較的非揮発性のビス(ヒドロキシ末端)ポリエーテルを導入することで達成され、ビス(ヒドロキシ末端)ポリエーテルの例として、特に限定されないが、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(ブチレングリコール)、並びにこれらのコポリマー、例えばビス(ヒドロキシ末端)ポリ(エチレンオキシド−コ−プロピレンオキシド)が挙げられる。ある実施形態では、コポリエステルは1,4−シクロヘキサンジメタノール由来のジオール単位と1種類以上の比較的非揮発性のビス(ヒドロキシ末端)ポリエーテル由来のジオール単位から基本的になる。
【0018】
さらに、ポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)を、比較的非揮発性のビス(アミン末端)ポリエーテルから誘導される「ソフトブロック」が組み込まれたタイプのコポリエステルアミドとすることも本発明の技術的範囲に属する。これは反応混合物に1種類以上のビス(アミン末端)ポリアルキレンオキシドを導入することによって達成され、ビス(アミン末端)ポリアルキレンオキシドの例として、特に限定されないが、ビス(アミン末端)ポリエチレンオキシド、ビス(アミン末端)ポリプロピレンオキシド、ビス(アミン末端)ポリブチレンオキシド、並びにこれらのコポリマー、例えばビス(アミン末端)ポリ(エチレンオキシド−コ−プロピレンオキシド)が挙げられる。ある実施形態では、コポリエステルアミドは1,4−シクロヘキサンジメタノール由来のジオール単位と1種類以上の比較的非揮発性のビス(アミン末端)ポリエーテル由来のジアミン単位から基本的になる。
【0019】
ビス(ヒドロキシ末端)ポリエーテル又はビス(アミン末端)ポリエーテルは熱不安性をもつ可能性があるので、そうしたポリエーテルを含む反応混合物に1種類以上の熱安定剤を配合した方がよいことが多い。様々な実施形態では、熱安定剤は非反応性の安定剤であり、それ自体はポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)生成物と反応しないものが挙げられる。ある実施形態では、熱安定剤には、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼンがある。反応条件下での上記ポリエーテル及びポリエーテル含有コポリエステルの分解を防ぐのに十分な量の安定剤を使用する。ある実施形態では、ポリエーテルを基準にして0.1〜2.0重量%、さらに好ましくは0.2〜1.0重量%の安定剤を使用する。
【0020】
本発明の様々な実施形態において、エステル化反応混合物中の全ジオール/酸モル比は、一実施形態では約0.97〜1.02:1であり、別の実施形態では約0.97〜1.01:1であり、他の実施形態では約1.0〜1.01:1である。「全ジオール」という用語を用いているのは、後述の通り、比較的非揮発性のジオールと揮発性ジオールとの混合物を用いる可能性があることからである。ある実施形態では、エステル化反応混合物中の全ジオール/酸モル比は1.0〜1.005:1である。
【0021】
ジオール/酸モル比及び最高温度以外のエステル化反応の詳細は重要ではない。ある実施形態では、反応は2段階で実施される。第一段階は温度約220℃以上のメルト中で実施される。CHDMとCHDAの混合物は低い温度では完全に混和性ではないが、220℃以上では混和性であり、かかる温度がエステル化に有利であるという知見が得られたからである。ある実施形態では、第一段階の温度は約220〜230℃であり、反応は少なくとも最初は大気圧で実施される。
【0022】
エステル化反応の第二段階の分子量増成段階は、一実施形態では最高温度約260℃で、別の実施形態では最高温度約250℃で実施される。この第二段階の少なくとも一部として減圧を使用してもよく、様々な実施形態では約0.1〜10.0mbarを使用してもよい。また、第二段階を低い温度から始めて温度を徐々に又は段階的に最高値まで上げることも考えられる。
【0023】
分子量増成段階における反応混合物の状態に基づいて種々の実施形態が可能である。第一の実施形態では、当該段階は一実施形態では230〜260℃、別の実施形態では230〜250℃の温度のメルト中で実施される。第二の実施形態では、分子量増成段階は、一実施形態では約235℃の最高温度、他の実施形態では約230℃の最高温度、別の実施形態では約225℃の最高温度、また別の実施形態では約220℃の最高温度の固相で実施される。ある実施形態では固相重合の温度範囲は約205〜235℃であり、他の実施形態では温度範囲は約205〜220℃である。様々な実施形態では、固相反応は、揮発性副生物の除去に有効な割合、通例約1〜2リットル/分(l/min)の速度の窒素やアルゴンのような不活性ガス流下で実施される。重合を一部固相で実施すると、重合をすべてメルト中で実施する場合に比べて結晶度が高く、しかもトランス異性体からシス異性体への異性化傾向の少ないポリマーが得られることが多い。ある実施形態では、分子量増成段階を固相で実施するとカルボキシレート構造単位のトランス異性体からシス異性体への異性化が全く起こらない。ある実施形態では、固相重合法で製造したポリマーは、溶融法で製造した類似ポリマーよりもトランス異性体含量%が高くなることがある。ある実施形態では、固相重合法で製造したポリマーはトランス異性体含量が約90%超、他の実施形態では約91%超、別の実施形態では約92%超、別の実施形態では約90〜約95%、さらに別の実施形態では約91〜約94%、さらに別の実施形態では約92〜約93%である。
【0024】
本発明のさらなる実施形態では、エステル化反応の初期段階は1種類以上の揮発性脂肪族ジオール(通例C2−6ジオール)の存在下で実施される。揮発性脂肪族ジオールは、大気圧での沸点が、比較的非揮発性のジオール又はそれらの混合物の大気圧下での沸点よりも低い。適当な揮発性ジオールには、エチレングリコール、ジエチレングリコール及び1,4−ブタンジオールがある。揮発性ジオールは通常反応の開始時に導入され、大抵は全ジオールを基準にして1〜5モル%の量である。
【0025】
反応の初期段階では脂肪族ジオールが積極的に関与するらしく脂肪族ジオール末端オリゴマーを形成し、後期に脂肪族ジオール末端オリゴマーが重縮合し、ジオールが除去されて高分子量PCCDを形成する。また、ポリエステル合成試薬間の揮発性の差によるポリエステル生成物の化学量論における不均衡は、揮発性ジオールに由来する構造単位を含ませることによって調整できると思料される。その結果、揮発性ジオールが存在しない場合よりも高分子量とすることができ、トランス異性体を高レベルに維持できる。
【0026】
別の実施形態では、本発明は、三官能性以上の官能性カルボン酸及び/又は三官能性以上の官能性アルコールのような1種類以上の枝分れ剤をエステル化反応混合物に加えてもよい。かかる枝分れ剤を加える場合、好ましくは、それぞれ使用するジカルボン酸又はジオール部分を基準にして0.005〜1モル%の量で使用することができる。適当な枝分れ剤には、例えば、トリメシン酸、シアヌル酸、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸又はピロメリト酸のような三官能性以上のカルボン酸、並びにペンタエリトリトール、グリセロール、シクロヘキサントリオール、トリスイソプロパノールアミン、トリヒドロキシヘキサン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、及び1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)エタンのような三官能性以上のアルコールがあるが、これらに限定されない。アルコール系枝分れ剤はジオール部分と共に導入することができ、一方酸枝分れ剤は酸部分と一緒に導入することができる。
【0027】
本発明の各種実施形態で製造されるポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)は高い重量平均分子量(Mw)で特徴付けられ、ポリスチレン標準に対してゲルパーミエーションクロマトグラフィーで屈折率検出法を用いて測定して、一実施形態では30000超、他の実施形態では40000超、別の実施形態では50000超、さらに別の実施形態では60000超である。また、本発明のポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)の特徴として、一実施形態では150°超、別の実施形態では160℃超の比較的高い結晶化温度(Tc)、一実施形態では210℃超の比較的高い結晶融解温度(Tm)、並びに一実施形態では約84%以上、他の実施形態では約85%以上、別の実施形態では約87%以上、別の実施形態では約90%以上、別の実施形態では約84〜約92%、さらに別の実施形態では約85〜約91%、別の実施形態では約86〜約90%の高いトランス異性体含量である。その他の実施形態では、ポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)のトランス異性体含量は約90%超、別の実施形態では約90〜約95%、さらに別の実施形態では約91〜約94%である。示差走査熱量測定(DSC)によるTmの測定では、連続試験で2つの異なる値が得られ、2番目の値が最初の値よりも高いことが多々みられるが、上述の値は最初の加熱のものである。一般に、Mw、Tc及びTmの値はすべてできるだけ高いのが好ましい。ある実施形態では、二度目の加熱時にポリマーが2つのTm値を示すのが観察される。
【0028】
また、本発明の各種実施形態で製造されるポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)は、従来技術で製造されるポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)とは比較にならないほど高濃度のカルボン酸末端基を有することも特徴とする。具体的には、本発明のポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)は、CHDAをモノマーとして用いることからカルボン酸末端基を有する。ある実施形態では、本発明のポリマーのカルボン酸末端基の濃度は約200〜約8000ppmであり、別の実施形態では約200〜約5000ppmであり、他の実施形態では約300〜約4000ppmであり、さらに他の実施形態では約400〜約4000ppmである。対照的に、従前公知の方法で製造されたポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)はDMCDをモノマーとして用いることからカルボン酸エステル基を有する。一般に、DMCDをモノマーとして用いる従前公知の方法で製造されるポリマーはカルボン酸末端基濃度が200ppm未満であり、酸末端基はエステル末端基の偶発的な加水分解又は部分加水分解原料モノマーの使用などの過程に起因する。本発明のポリマーのカルボン酸末端基は、特に限定されないが、ある状況下でのポリマーの結晶化傾向の増大を始めとする有益な特性効果を有し得る。
【0029】
これ以上説明しなくても、当業者であれば本明細書の記載に従って本発明をその最大限の範囲で利用できると思料される。以下の実施例は、本発明の実施の際の追加の指針を当業者に提供するためのものである。以下の実施例は、本出願の教示内容の基礎となった研究成果の代表例である。従って、これらの実施例は特許請求の範囲によって規定される本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0030】
例1
一連の触媒スクリーニング実験において、等モル量のCHDAとCHDMの混合物を15×1.5cmのガラス管に仕込み、実験2〜9ではトルエンに、実験10では水に溶解したした触媒を理論ポリマー収量を基準にして金属200ppmの量で加えた。触媒の溶媒を減圧下で除去し、管をシリコーン油浴中で200℃に30分間加熱した。次いで、温度を230℃に上げ、管内の圧力を約7分で2mbarに下げた。この温度に30分間維持した後、ポリマーを回収した。結果を表Iに示す。
【0031】
【表1】
【0032】
評価した各触媒材料が若干の触媒作用を有していたことが分かる。ただし、実験10の生成物は灰色であった。
【0033】
実施例2
一連の実験で、250ml丸底広口ガラス反応器に、約20gのCHDMと所定量のCHDA及びトルエン中0.1N溶液の形態のチタン酸テトラ−n−ブチルを仕込んだ。反応器を、機械式攪拌機とトルク計を備えた平らなフランジで密閉した。蓋をバンドヒーターで100℃に加熱し、系を液体窒素冷却凝縮器に連結し、220℃に維持した油浴に浸漬した。大気圧で実施したエステル化反応の第一段階では、攪拌せずに上記温度に維持した。90分後、温度を高め、攪拌機を始動させ、圧力を約15分で約0.2〜1.0mbarに下げた後、加熱を続けて合計加熱時間を60分間とした。高い温度を用いた実験では、各10°の温度上昇を60分間維持した。生成物のPCCDを反応器から回収した。各試料のMw、1回目の加熱及び冷却DSCサイクルのTm及びTc、次いで第二サイクルのTmを分析した。DSC測定は、窒素雰囲気下、第一サイクルにおいて加熱速度20℃/分で50℃から250℃まで加熱した後、250℃に1分間保持し、その後20℃/分で50℃まで冷却してTcを測定し、次いで50℃に1分間保持した後、第二のサイクルにおいて加熱速度20℃/分で50℃から250℃まで加熱した。トランス異性体%の値は、カルボニル基の13C核磁気共鳴分光法で決定した。関連パラメーターと結果を表IIに示す。
【0034】
【表2】
【0035】
表IIの結果から、最高温度260℃、特に250℃で実施した実験で高いトランス異性体含量、高い結晶化温度、融解温度及び高分子量の傾向が顕著であることが分かる。さらに、実験24と他の実験との対比から、1.0:1以上のジオール/酸モル比を使用する利点が明らかである。
【0036】
実施例3
CHDA:CHDMモル比1:1及び金属175ppmの触媒含量を用いて、実施例2の手順を繰り返した。さらに、全ジオール量を基準にして異なる2通りの量のエチレングリコール(EG)を反応混合物に導入した。温度プロフィールは、220℃(大気圧)で90分間、次いで減圧して、温度230℃で30分間、240℃で60分間、250℃で60分間であった。結果を表IIIに示す。Tm値は第二のDSC加熱サイクルから求めた。
【0037】
【表3】
【0038】
表IIと表IIIとの比較から、エチレングリコールを用いた実験32及び33では、実験11〜31よりも高分子量のPCCDが得られたことが分かる。さらに実験32及び33のトランス異性体のレベルは実験11〜31の多くのものよりも高かった。
【0039】
実施例4
モル比1.005:1のCHDMとCHDA及び175ppmのチタン酸テトラ−n−ブチルを使用し、実施例2に記載の通りPCCDプレポリマーを調製した。反応は大気圧で攪拌せずに220℃で90分間実施し、その後圧力を約15分間で約0.2〜1.0mbarに下げ、温度を230℃に上げて40分間維持した。
【0040】
プレポリマー(5〜10g)を粉砕して微粉末として内径約30mmの円筒形ガラス反応器に仕込んだ。ガラス反応器はガラスフリットと熱電対を備えていて、油浴と同じ温度にガスが加熱されるようにガス路用のガラススリーブを有する。乾燥窒素を約1〜2l/分の流量でスリーブを通して反応器内に流し、フリットを通してプレポリマーと接触させた。反応器を210℃(重合温度206℃)に維持した油浴中に浸漬し、様々な時間で試料を採取して分析した。各試料のMw及び第一の加熱及び冷却DSCサイクルでのTm及びTcを分析し、その後第二の加熱サイクルで再度Tmを決定した。結果を表IVに示す。
【0041】
【表4】
【0042】
表IVから、固相重合で異性化が起こらなかったことは明らかである。分子量、Tm及びTcの増加は最初の約3時間で著しく、その後はゆっくりと漸近的に進行した。
【0043】
同様な手順を220℃(重合温度216℃)で実施した。若干高い重量平均分子量を有するポリマーが得られた。
【0044】
実施例5
全ジオールの5モル%の量でEGを加えて実施例4の手順を繰り返した。得られたポリマーは2.9モル%のEG単位を含有していた。重合時に採取した各種試料の他の特性を表Vに示す。Tmの値は第二のDSC加熱サイクルで決定した。
【0045】
【表5】
【0046】
実施例6
本発明の実施形態で製造したポリマーのカルボン酸末端基濃度を、1,2−フェニレンホスホロクロリダイトによる誘導体化と31P核磁気共鳴分光法による分析で分析した。比較のため、PCCDの2つの試料(米国特許第6084055号に記載の方法を使用してDMCDを用いて合成したPCCD−1及びPCCD−2)を同じ方法で分析した。分析結果を表VIに示す。
【0047】
【表6】
【0048】
本発明の方法で製造したポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)が従来技術の方法で製造した類似ポリマーよりも高いカルボン酸末端基濃度を有することが明らかである。
【0049】
例示を目的として典型的な実施形態について説明してきたが、以上の説明及び実施例は本発明の範囲を限定するものではない。当業者であれば本発明の要旨及び技術的範囲内での様々な変更、適合及び置換に想到し得るであろう。本明細書中で引用した特許は全て援用によって本明細書の内容の一部をなす。
【0001】
本発明はポリエステルの製造に関し、さらに具体的にはポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレン−1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)(以下、略して「PCCD」ともいう。)のようなポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)は公知のポリエステルであり、例えば米国特許第2891930号を参照されたい。PCCDは、紫外線暴露条件下での耐候性及び結晶性のような優れた性質によって特徴付けられる。これらの性質は最近の商業化において関心を集めつつある。
【0003】
PCCDの工業的生産方法では、反応体として、1種類以上の比較的非揮発性のジオール(大抵は1,4−シクロヘキサンジメタノール(以下、「CHDM」という。))と、1種類以上の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアルキル(大抵は1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル(以下、「DMCD」という。))が利用されている。ポリマー合成は、エステル末端基及びヒドロキシ末端基を有するオリゴマーが最初に形成され、これらが互いに反応して分子量が増大することによって進行する。ジエステル、ジオール及びオリゴマーの中間体混合物はあらゆる量比で混和し、重合反応の初期段階で透明メルトを形成する。米国特許第6084055号はかかるエステル交換法の一例である。
【0004】
この方法で用いられるDMCDは一般にテレフタル酸ジメチルの還元によって得られる。従って、その製造には、テレフタル酸のエステル化と還元によるDMCDの形成という2段階が必要とされる。テレフタル酸の還元で1段階で得ることができるシクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸(以下、「CHDA」という。)をPCCD製造の反応体として使用できれば望ましい。
【0005】
しかし、CHDMのような比較的非揮発性のジオールと共にCHDAを用いるのは、揮発性の高いエチレングリコールや1,4−ブタンジオールのようなジオールと共に使用する場合ほど簡単ではない。かかる揮発性ジオールを過剰に使用すればエステル化反応を完結させることができ、過剰分は後で蒸留によって除くことができる。対照的に、比較的非揮発性のCHDMが過剰に存在すると、ポリエステルに夾雑物として残り、そのポリエステルは使い物にならなくなるか、少なくともその特性が大きく損なわれる。過剰量の非揮発性CHDMの使用に伴うもう一つの共通した問題は、得られるポリエステルの分子量が限られていることである。さらに、CHDM中でのCHDAの溶解性が余り高くないので、CHDMとCHDAとポリエステルオリゴマーの混合物は均一には混和しない。
【0006】
そこでCHDMとCHDAからPCCDを製造しようとするとジレンマに陥る。生成物の分子量を最大限にするため大過剰のCHDMを用いると、得られるポリエステルは例えば過剰のCHDMによる汚染のためにほとんど使い物にならなくなってしまうおそれがある。一方、試薬を基本的又はほぼ等モル量比で用いると、高分子量ポリエステルの製造には反応体の化学量論比を絶えず非常に狭い範囲に一致させておく必要があるので、分子量制御が問題となりかねない。
【0007】
PCCD及び同種のポリエステルの結晶性には様々な因子が影響し得る。主な因子の一つは、そのジエステル部分、特に酸由来の部分のシス/トランス異性体比である。CHDMとCHDAにはシス/トランス異性が存在し、シス異性体含量の割合が増大するとポリマーの結晶度が大きく低下する。殆どの場合、DMCD及びCHDA試薬はトランス異性体レベルが99重量%以上である。(CHDMは約70%がトランスであるが、重合中ジオール部分の異性化は起こらない。)。ポリエステル自体のトランス異性体の割合はこれよりも低く、一実施形態では最適結晶性を得るため約87%以上である。
【文献1】
米国特許第2891930号
【文献2】
米国特許第6084055号
【考案の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、実質的に夾雑物を含まない形態の高分子量・高結晶性ポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)を製造する方法が望まれている。ある実施形態では、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸を実質的に含まない高分子量・高結晶性ポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)の製造方法が望まれる。かかる方法を本発明で提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、重合の進行に伴ってCHDAがポリマーに組み込まれ透明メルトを生じる適切な条件下での高分子量ポリエステルの製造に、CHDMを含むジオールとCHDA及びそれらのオリゴマーの混合物を使用し得るという知見に基づく。これは、モノマー又はポリマー生成物におけるトランス異性体からシス異性体への変換を引き起こすほど高温にしなくても達成できる。
【0010】
従って、本発明は、一実施形態では、1種類以上の比較的非揮発性のジオールとシクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸を含む試薬をエステル化触媒の存在下で互いに接触させることを含んでなるポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)の製造方法であって、全ジオール/酸モル比が0.97〜1.02:1であり、接触を220〜260℃の温度で実施する方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の方法で製造するポリエステルはポリ(シクロヘキサン−1,4−ジカルボキシレート)であり、次式の構造単位の存在で特徴付けられる。
【0012】
【化学式1】
【0013】
式中、Rは比較的非揮発性のジオールHO−R−OHから誘導されるアルキル基である。ポリエステルは大抵はホモポリエステルであるが、後述の通り、コポリエステルであってもよい。
【0014】
本発明の方法で使用するCHDAは公知の化合物である。本発明の一実施形態では、CHDAを1種類以上の比較的非揮発性のジオールとエステル化反応させる。本発明に関して、「比較的非揮発性」のジオールは、沸点(大気圧下)が一実施形態では約210℃以上のもの、他の実施形態では約220℃を上回るもの、別の実施形態では約240℃を上回るもの、さらに別の実施形態では約260℃を上回るものである。ある実施形態では、比較的非揮発性のジオール又は比較的非揮発性のジオールの混合物は大気圧下で約250℃を上回る沸点を有する。別の実施形態では、比較的非揮発性のジオール又は比較的非揮発性のジオールの混合物は、エステル化反応の実施される最高温度よりも高い沸点を大気圧下で有する。適当なジオールは当技術分野で公知であり、特に限定されないが、CHDM、ベンゼンジメタノール、アダマンタンジオール及びテトラメチルシクロブタンジオールがある。本発明では、便宜上、ジオールとしてCHDMを参照して説明することが多いが、適宜他の比較的非揮発性のジオール類をCHDMの代わりに用いてもよい。
【0015】
エステル交換反応は適当な触媒の存在下で実施される。エステル交換に適した触媒は当技術分野で周知であり、チタン、ジルコニウム、スズ、アンチモン、ゲルマニウム、ガリウム、亜鉛、鉄、マンガン、コバルト、ハフニウム、バナジウム、イリジウム、ランタン、セリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、ニッケル及びアルミニウムからなる群から選択される1種類以上の金属を含む有機金属化合物がある。以上列挙した触媒の1種類のみを用いてもよいし、適宜2種類以上を混合して用いてもよい。様々な実施形態では、触媒はチタン酸テトライソプロピル、チタン酸テトラ−n−ブチル及びオルトチタン酸テトラキス(2−エチルヘキシル)のようなチタン酸テトラアルキルである。他の実施形態では適当な触媒には、酸化ジブチルスズ、2−エチルヘキサン酸第一スズ及び酸化第二スズのような有機スズ化合物、並びに酸化アンチモン(III)及びこれと酢酸カルシウムとの混合物のようなアンチモン化合物がある。触媒量はエステル化に有効なものである。触媒量は、理論ポリマー収量を基準にして、ある実施形態では金属約20〜500ppm、別の実施形態では金属約50〜320ppm、また別の実施形態では金属約100〜250ppm、さらに他の実施形態では金属約100〜200ppmである。触媒の全量が反応の最初から存在していてもよい。他の実施形態では、触媒を数段階に分けて導入するのが有利であり、エステル交換反応開始時に約50%以下を存在させ、後で残りを添加してもよいが、大抵は全反応時間の約30〜50%経過後に添加する。触媒は当技術分野で公知のいかなる手段で反応混合物に導入してもよい。大抵は、触媒をそのまま或いは不活性溶媒中の溶液として添加するのがよい。
【0016】
溶媒及び希釈剤を重合反応に使用してもよいが、これらは必要ない。本発明のある実施形態では溶媒と希釈剤は重合反応に存在しない。本発明のある実施形態では反応時に減圧してもよい。
【0017】
ポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)を、ポリエーテルから誘導される「ソフトブロック」が組み込まれたタイプのコポリエステルとすることも本発明の技術的範囲に属する。これは反応混合物中に1種類以上の比較的非揮発性のビス(ヒドロキシ末端)ポリエーテルを導入することで達成され、ビス(ヒドロキシ末端)ポリエーテルの例として、特に限定されないが、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(ブチレングリコール)、並びにこれらのコポリマー、例えばビス(ヒドロキシ末端)ポリ(エチレンオキシド−コ−プロピレンオキシド)が挙げられる。ある実施形態では、コポリエステルは1,4−シクロヘキサンジメタノール由来のジオール単位と1種類以上の比較的非揮発性のビス(ヒドロキシ末端)ポリエーテル由来のジオール単位から基本的になる。
【0018】
さらに、ポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)を、比較的非揮発性のビス(アミン末端)ポリエーテルから誘導される「ソフトブロック」が組み込まれたタイプのコポリエステルアミドとすることも本発明の技術的範囲に属する。これは反応混合物に1種類以上のビス(アミン末端)ポリアルキレンオキシドを導入することによって達成され、ビス(アミン末端)ポリアルキレンオキシドの例として、特に限定されないが、ビス(アミン末端)ポリエチレンオキシド、ビス(アミン末端)ポリプロピレンオキシド、ビス(アミン末端)ポリブチレンオキシド、並びにこれらのコポリマー、例えばビス(アミン末端)ポリ(エチレンオキシド−コ−プロピレンオキシド)が挙げられる。ある実施形態では、コポリエステルアミドは1,4−シクロヘキサンジメタノール由来のジオール単位と1種類以上の比較的非揮発性のビス(アミン末端)ポリエーテル由来のジアミン単位から基本的になる。
【0019】
ビス(ヒドロキシ末端)ポリエーテル又はビス(アミン末端)ポリエーテルは熱不安性をもつ可能性があるので、そうしたポリエーテルを含む反応混合物に1種類以上の熱安定剤を配合した方がよいことが多い。様々な実施形態では、熱安定剤は非反応性の安定剤であり、それ自体はポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)生成物と反応しないものが挙げられる。ある実施形態では、熱安定剤には、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼンがある。反応条件下での上記ポリエーテル及びポリエーテル含有コポリエステルの分解を防ぐのに十分な量の安定剤を使用する。ある実施形態では、ポリエーテルを基準にして0.1〜2.0重量%、さらに好ましくは0.2〜1.0重量%の安定剤を使用する。
【0020】
本発明の様々な実施形態において、エステル化反応混合物中の全ジオール/酸モル比は、一実施形態では約0.97〜1.02:1であり、別の実施形態では約0.97〜1.01:1であり、他の実施形態では約1.0〜1.01:1である。「全ジオール」という用語を用いているのは、後述の通り、比較的非揮発性のジオールと揮発性ジオールとの混合物を用いる可能性があることからである。ある実施形態では、エステル化反応混合物中の全ジオール/酸モル比は1.0〜1.005:1である。
【0021】
ジオール/酸モル比及び最高温度以外のエステル化反応の詳細は重要ではない。ある実施形態では、反応は2段階で実施される。第一段階は温度約220℃以上のメルト中で実施される。CHDMとCHDAの混合物は低い温度では完全に混和性ではないが、220℃以上では混和性であり、かかる温度がエステル化に有利であるという知見が得られたからである。ある実施形態では、第一段階の温度は約220〜230℃であり、反応は少なくとも最初は大気圧で実施される。
【0022】
エステル化反応の第二段階の分子量増成段階は、一実施形態では最高温度約260℃で、別の実施形態では最高温度約250℃で実施される。この第二段階の少なくとも一部として減圧を使用してもよく、様々な実施形態では約0.1〜10.0mbarを使用してもよい。また、第二段階を低い温度から始めて温度を徐々に又は段階的に最高値まで上げることも考えられる。
【0023】
分子量増成段階における反応混合物の状態に基づいて種々の実施形態が可能である。第一の実施形態では、当該段階は一実施形態では230〜260℃、別の実施形態では230〜250℃の温度のメルト中で実施される。第二の実施形態では、分子量増成段階は、一実施形態では約235℃の最高温度、他の実施形態では約230℃の最高温度、別の実施形態では約225℃の最高温度、また別の実施形態では約220℃の最高温度の固相で実施される。ある実施形態では固相重合の温度範囲は約205〜235℃であり、他の実施形態では温度範囲は約205〜220℃である。様々な実施形態では、固相反応は、揮発性副生物の除去に有効な割合、通例約1〜2リットル/分(l/min)の速度の窒素やアルゴンのような不活性ガス流下で実施される。重合を一部固相で実施すると、重合をすべてメルト中で実施する場合に比べて結晶度が高く、しかもトランス異性体からシス異性体への異性化傾向の少ないポリマーが得られることが多い。ある実施形態では、分子量増成段階を固相で実施するとカルボキシレート構造単位のトランス異性体からシス異性体への異性化が全く起こらない。ある実施形態では、固相重合法で製造したポリマーは、溶融法で製造した類似ポリマーよりもトランス異性体含量%が高くなることがある。ある実施形態では、固相重合法で製造したポリマーはトランス異性体含量が約90%超、他の実施形態では約91%超、別の実施形態では約92%超、別の実施形態では約90〜約95%、さらに別の実施形態では約91〜約94%、さらに別の実施形態では約92〜約93%である。
【0024】
本発明のさらなる実施形態では、エステル化反応の初期段階は1種類以上の揮発性脂肪族ジオール(通例C2−6ジオール)の存在下で実施される。揮発性脂肪族ジオールは、大気圧での沸点が、比較的非揮発性のジオール又はそれらの混合物の大気圧下での沸点よりも低い。適当な揮発性ジオールには、エチレングリコール、ジエチレングリコール及び1,4−ブタンジオールがある。揮発性ジオールは通常反応の開始時に導入され、大抵は全ジオールを基準にして1〜5モル%の量である。
【0025】
反応の初期段階では脂肪族ジオールが積極的に関与するらしく脂肪族ジオール末端オリゴマーを形成し、後期に脂肪族ジオール末端オリゴマーが重縮合し、ジオールが除去されて高分子量PCCDを形成する。また、ポリエステル合成試薬間の揮発性の差によるポリエステル生成物の化学量論における不均衡は、揮発性ジオールに由来する構造単位を含ませることによって調整できると思料される。その結果、揮発性ジオールが存在しない場合よりも高分子量とすることができ、トランス異性体を高レベルに維持できる。
【0026】
別の実施形態では、本発明は、三官能性以上の官能性カルボン酸及び/又は三官能性以上の官能性アルコールのような1種類以上の枝分れ剤をエステル化反応混合物に加えてもよい。かかる枝分れ剤を加える場合、好ましくは、それぞれ使用するジカルボン酸又はジオール部分を基準にして0.005〜1モル%の量で使用することができる。適当な枝分れ剤には、例えば、トリメシン酸、シアヌル酸、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸又はピロメリト酸のような三官能性以上のカルボン酸、並びにペンタエリトリトール、グリセロール、シクロヘキサントリオール、トリスイソプロパノールアミン、トリヒドロキシヘキサン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、及び1,1,1−トリス(ヒドロキシメチル)エタンのような三官能性以上のアルコールがあるが、これらに限定されない。アルコール系枝分れ剤はジオール部分と共に導入することができ、一方酸枝分れ剤は酸部分と一緒に導入することができる。
【0027】
本発明の各種実施形態で製造されるポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)は高い重量平均分子量(Mw)で特徴付けられ、ポリスチレン標準に対してゲルパーミエーションクロマトグラフィーで屈折率検出法を用いて測定して、一実施形態では30000超、他の実施形態では40000超、別の実施形態では50000超、さらに別の実施形態では60000超である。また、本発明のポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)の特徴として、一実施形態では150°超、別の実施形態では160℃超の比較的高い結晶化温度(Tc)、一実施形態では210℃超の比較的高い結晶融解温度(Tm)、並びに一実施形態では約84%以上、他の実施形態では約85%以上、別の実施形態では約87%以上、別の実施形態では約90%以上、別の実施形態では約84〜約92%、さらに別の実施形態では約85〜約91%、別の実施形態では約86〜約90%の高いトランス異性体含量である。その他の実施形態では、ポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)のトランス異性体含量は約90%超、別の実施形態では約90〜約95%、さらに別の実施形態では約91〜約94%である。示差走査熱量測定(DSC)によるTmの測定では、連続試験で2つの異なる値が得られ、2番目の値が最初の値よりも高いことが多々みられるが、上述の値は最初の加熱のものである。一般に、Mw、Tc及びTmの値はすべてできるだけ高いのが好ましい。ある実施形態では、二度目の加熱時にポリマーが2つのTm値を示すのが観察される。
【0028】
また、本発明の各種実施形態で製造されるポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)は、従来技術で製造されるポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)とは比較にならないほど高濃度のカルボン酸末端基を有することも特徴とする。具体的には、本発明のポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)は、CHDAをモノマーとして用いることからカルボン酸末端基を有する。ある実施形態では、本発明のポリマーのカルボン酸末端基の濃度は約200〜約8000ppmであり、別の実施形態では約200〜約5000ppmであり、他の実施形態では約300〜約4000ppmであり、さらに他の実施形態では約400〜約4000ppmである。対照的に、従前公知の方法で製造されたポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)はDMCDをモノマーとして用いることからカルボン酸エステル基を有する。一般に、DMCDをモノマーとして用いる従前公知の方法で製造されるポリマーはカルボン酸末端基濃度が200ppm未満であり、酸末端基はエステル末端基の偶発的な加水分解又は部分加水分解原料モノマーの使用などの過程に起因する。本発明のポリマーのカルボン酸末端基は、特に限定されないが、ある状況下でのポリマーの結晶化傾向の増大を始めとする有益な特性効果を有し得る。
【0029】
これ以上説明しなくても、当業者であれば本明細書の記載に従って本発明をその最大限の範囲で利用できると思料される。以下の実施例は、本発明の実施の際の追加の指針を当業者に提供するためのものである。以下の実施例は、本出願の教示内容の基礎となった研究成果の代表例である。従って、これらの実施例は特許請求の範囲によって規定される本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0030】
例1
一連の触媒スクリーニング実験において、等モル量のCHDAとCHDMの混合物を15×1.5cmのガラス管に仕込み、実験2〜9ではトルエンに、実験10では水に溶解したした触媒を理論ポリマー収量を基準にして金属200ppmの量で加えた。触媒の溶媒を減圧下で除去し、管をシリコーン油浴中で200℃に30分間加熱した。次いで、温度を230℃に上げ、管内の圧力を約7分で2mbarに下げた。この温度に30分間維持した後、ポリマーを回収した。結果を表Iに示す。
【0031】
【表1】
【0032】
評価した各触媒材料が若干の触媒作用を有していたことが分かる。ただし、実験10の生成物は灰色であった。
【0033】
実施例2
一連の実験で、250ml丸底広口ガラス反応器に、約20gのCHDMと所定量のCHDA及びトルエン中0.1N溶液の形態のチタン酸テトラ−n−ブチルを仕込んだ。反応器を、機械式攪拌機とトルク計を備えた平らなフランジで密閉した。蓋をバンドヒーターで100℃に加熱し、系を液体窒素冷却凝縮器に連結し、220℃に維持した油浴に浸漬した。大気圧で実施したエステル化反応の第一段階では、攪拌せずに上記温度に維持した。90分後、温度を高め、攪拌機を始動させ、圧力を約15分で約0.2〜1.0mbarに下げた後、加熱を続けて合計加熱時間を60分間とした。高い温度を用いた実験では、各10°の温度上昇を60分間維持した。生成物のPCCDを反応器から回収した。各試料のMw、1回目の加熱及び冷却DSCサイクルのTm及びTc、次いで第二サイクルのTmを分析した。DSC測定は、窒素雰囲気下、第一サイクルにおいて加熱速度20℃/分で50℃から250℃まで加熱した後、250℃に1分間保持し、その後20℃/分で50℃まで冷却してTcを測定し、次いで50℃に1分間保持した後、第二のサイクルにおいて加熱速度20℃/分で50℃から250℃まで加熱した。トランス異性体%の値は、カルボニル基の13C核磁気共鳴分光法で決定した。関連パラメーターと結果を表IIに示す。
【0034】
【表2】
【0035】
表IIの結果から、最高温度260℃、特に250℃で実施した実験で高いトランス異性体含量、高い結晶化温度、融解温度及び高分子量の傾向が顕著であることが分かる。さらに、実験24と他の実験との対比から、1.0:1以上のジオール/酸モル比を使用する利点が明らかである。
【0036】
実施例3
CHDA:CHDMモル比1:1及び金属175ppmの触媒含量を用いて、実施例2の手順を繰り返した。さらに、全ジオール量を基準にして異なる2通りの量のエチレングリコール(EG)を反応混合物に導入した。温度プロフィールは、220℃(大気圧)で90分間、次いで減圧して、温度230℃で30分間、240℃で60分間、250℃で60分間であった。結果を表IIIに示す。Tm値は第二のDSC加熱サイクルから求めた。
【0037】
【表3】
【0038】
表IIと表IIIとの比較から、エチレングリコールを用いた実験32及び33では、実験11〜31よりも高分子量のPCCDが得られたことが分かる。さらに実験32及び33のトランス異性体のレベルは実験11〜31の多くのものよりも高かった。
【0039】
実施例4
モル比1.005:1のCHDMとCHDA及び175ppmのチタン酸テトラ−n−ブチルを使用し、実施例2に記載の通りPCCDプレポリマーを調製した。反応は大気圧で攪拌せずに220℃で90分間実施し、その後圧力を約15分間で約0.2〜1.0mbarに下げ、温度を230℃に上げて40分間維持した。
【0040】
プレポリマー(5〜10g)を粉砕して微粉末として内径約30mmの円筒形ガラス反応器に仕込んだ。ガラス反応器はガラスフリットと熱電対を備えていて、油浴と同じ温度にガスが加熱されるようにガス路用のガラススリーブを有する。乾燥窒素を約1〜2l/分の流量でスリーブを通して反応器内に流し、フリットを通してプレポリマーと接触させた。反応器を210℃(重合温度206℃)に維持した油浴中に浸漬し、様々な時間で試料を採取して分析した。各試料のMw及び第一の加熱及び冷却DSCサイクルでのTm及びTcを分析し、その後第二の加熱サイクルで再度Tmを決定した。結果を表IVに示す。
【0041】
【表4】
【0042】
表IVから、固相重合で異性化が起こらなかったことは明らかである。分子量、Tm及びTcの増加は最初の約3時間で著しく、その後はゆっくりと漸近的に進行した。
【0043】
同様な手順を220℃(重合温度216℃)で実施した。若干高い重量平均分子量を有するポリマーが得られた。
【0044】
実施例5
全ジオールの5モル%の量でEGを加えて実施例4の手順を繰り返した。得られたポリマーは2.9モル%のEG単位を含有していた。重合時に採取した各種試料の他の特性を表Vに示す。Tmの値は第二のDSC加熱サイクルで決定した。
【0045】
【表5】
【0046】
実施例6
本発明の実施形態で製造したポリマーのカルボン酸末端基濃度を、1,2−フェニレンホスホロクロリダイトによる誘導体化と31P核磁気共鳴分光法による分析で分析した。比較のため、PCCDの2つの試料(米国特許第6084055号に記載の方法を使用してDMCDを用いて合成したPCCD−1及びPCCD−2)を同じ方法で分析した。分析結果を表VIに示す。
【0047】
【表6】
【0048】
本発明の方法で製造したポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)が従来技術の方法で製造した類似ポリマーよりも高いカルボン酸末端基濃度を有することが明らかである。
【0049】
例示を目的として典型的な実施形態について説明してきたが、以上の説明及び実施例は本発明の範囲を限定するものではない。当業者であれば本発明の要旨及び技術的範囲内での様々な変更、適合及び置換に想到し得るであろう。本明細書中で引用した特許は全て援用によって本明細書の内容の一部をなす。
Claims (66)
- 1種類以上の比較的非揮発性のジオールとシクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸を全ジオール/酸モル比0.97〜1.02:1で含む試薬を、エステル化触媒の存在下、220〜260℃の温度で互いに接触させることを含んでなるポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)の製造方法。
- 前記全ジオール/酸モル比が0.97〜1.01:1である、請求項1記載の方法。
- 前記全ジオール/酸モル比が1.0〜1.01:1である、請求項1記載の方法。
- 前記全ジオール/酸モル比が1.0〜1.005:1である、請求項1記載の方法。
- 前記温度が220〜250℃である、請求項1記載の方法。
- 前記比較的非揮発性のジオール又は比較的非揮発性のジオールの混合物が大気圧で約210℃以上の沸点を有する、請求項1記載の方法。
- 前記比較的非揮発性のジオール又は比較的非揮発性のジオールの混合物が大気圧で約250℃を上回る沸点を有する、請求項1記載の方法。
- 前記比較的非揮発性のジオールが1,4−シクロヘキサンジメタノールである、請求項1記載の方法。
- 前記触媒が、チタン、ジルコニウム、スズ、アンチモン、ゲルマニウム、ガリウム、亜鉛、鉄、マンガン、コバルト、ハフニウム、バナジウム、イリジウム、ランタン、セリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、ニッケル及びアルミニウムからなる群から選択される1種類以上の金属を含有する1種類以上の有機金属化合物からなる、請求項1記載の方法。
- 前記触媒がチタン酸テトラアルキルである、請求項9記載の方法。
- 前記エステル化触媒の量が理論ポリマー収量を基準にして20〜500ppmである、請求項1記載の方法。
- 1種類以上の揮発性脂肪族ジオールも、全ジオールの組合せを基準にして約1〜10モル%の量で存在する、請求項1記載の方法。
- 前記揮発性ジオールがC2−6ジオールである、請求項12記載の方法。
- 前記揮発性ジオールがエチレングリコールである、請求項13記載の方法。
- 請求項1記載の方法で製造したポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)。
- 請求項12記載の方法で製造したポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)。
- 請求項13記載の方法で製造したポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)。
- 1種類以上の比較的非揮発性のジオールとシクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸を全ジオール/酸モル比0.97〜1.02:1で含む試薬をエステル化触媒の存在下で互いに接触させることを含んでなるポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)の製造方法であって、上記接触をメルト中で異なる2つの温度の2段階で行い、第一段階の温度が約220〜230℃で、最高第二温度が260℃である方法。
- 前記全ジオール/酸モル比が0.97〜1.01:1である、請求項18記載の方法。
- 前記全ジオール/酸モル比が1.0〜1.01:1である、請求項18記載の方法。
- 前記全ジオール/酸モル比が1.0〜1.005:1である、請求項18記載の方法。
- 最高第二温度が250℃である、請求項18記載の方法。
- 第二段階がメルト中約230〜250℃の温度で実施される、請求項22記載の方法。
- 前記比較的非揮発性のジオール又は比較的非揮発性のジオールの混合物が大気圧で約210℃以上の沸点を有する、請求項18記載の方法。
- 前記比較的非揮発性のジオール又は比較的非揮発性のジオールの混合物が大気圧で約250℃を上回る沸点を有する、請求項18記載の方法。
- 前記比較的非揮発性のジオールが1,4−シクロヘキサンジメタノールである、請求項18記載の方法。
- 前記触媒が、チタン、ジルコニウム、スズ、アンチモン、ゲルマニウム、ガリウム、亜鉛、鉄、マンガン、コバルト、ハフニウム、バナジウム、イリジウム、ランタン、セリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、ニッケル及びアルミニウムからなる群から選択される1種類以上の金属を含有する1種類以上の有機金属化合物からなる、請求項18記載の方法。
- 前記触媒がチタン酸テトラアルキルである、請求項27記載の方法。
- 前記エステル化触媒の量が理論ポリマー収量を基準にして20〜500ppmである、請求項18記載の方法。
- 1種類以上の揮発性脂肪族ジオールも、全ジオールの組合せを基準にして約1〜10モル%の量で存在する、請求項18記載の方法。
- 前記揮発性ジオールがC2−6ジオールである、請求項30記載の方法。
- 前記揮発性ジオールがエチレングリコールである、請求項31記載の方法。
- 第二段階が205〜235℃の温度の不活性ガス流中固相で実施される、請求項18記載の方法。
- 前記温度が205〜220℃である、請求項33記載の方法。
- 前記不活性ガスが窒素である、請求項33記載の方法。
- 前記比較的非揮発性のジオールが1,4−シクロヘキサンジメタノールである、請求項33記載の方法。
- 1種類以上の揮発性脂肪族ジオールも、全ジオールの組合せを基準にして約1〜10モル%の量で存在する、請求項33記載の方法。
- 前記揮発性ジオールがC2−6ジオールである、請求項37記載の方法。
- 前記揮発性ジオールがエチレングリコールである、請求項38記載の方法。
- 請求項18記載の方法で製造したポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)。
- 請求項23記載の方法で製造したポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)。
- 請求項26記載の方法で製造したポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)。
- 請求項30記載の方法で製造したポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)。
- 請求項31記載の方法で製造したポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)。
- 請求項33記載の方法で製造したポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)。
- 請求項36記載の方法で製造したポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)。
- 1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート構造単位のトランス異性体含量%が90%を超える、請求項46記載のポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)。
- 1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート構造単位のトランス異性体含量%が約91〜約94%である、請求項47記載のポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)。
- 請求項37記載の方法で製造したポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)。
- 請求項38記載の方法で製造したポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)。
- 請求項39記載の方法で製造したポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)。
- 1,4−シクロヘキサンジメタノールとシクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸を全ジオール/酸モル比1.0〜1.005:1で含む試薬をエステル化有効量のチタン酸テトラアルキルの存在下で互いに接触させることを含んでなるポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレン−1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)の製造方法であって、上記接触を異なる2つの温度の2段階で行い、最高第二温度が250℃である方法。
- エチレングリコールも、全ジオールを基準にして約1〜10モル%の量で存在する、請求項52記載の方法。
- 第二段階が約230〜250℃の温度のメルト中で実施される、請求項52記載の方法。
- 第二段階が205〜220℃の温度で窒素流中固相で実施される、請求項52記載の方法。
- 請求項52記載の方法で製造したポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレン−1,4−シクロヘキサン−ジカルボキシレート)。
- 請求項53記載の方法で製造したポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレン−1,4−シクロヘキサン−ジカルボキシレート)。
- 請求項54記載の方法で製造したポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレン−1,4−シクロヘキサン−ジカルボキシレート)。
- 請求項55記載の方法で製造したポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレン−1,4−シクロヘキサン−ジカルボキシレート)。
- 1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート構造単位のトランス異性体含量%が90%を超える、請求項59記載のポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレン−1,4−シクロヘキサン−ジカルボキシレート)。
- 1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート構造単位のトランス異性体含量%が約91〜約94%である、請求項60記載のポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレン−1,4−シクロヘキサン−ジカルボキシレート)。
- 約200〜約8000ppmのカルボン酸末端基濃度を有するポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)。
- 約400〜約4000ppmのカルボン酸末端基濃度を有する、請求項62記載のポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)。
- 1,4−シクロヘキサンジメタノールから誘導された構造単位を含む、請求項62記載のポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)。
- さらに、C2−6ジオールから誘導された構造単位を含む、請求項64記載のポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)。
- エチレングリコールから誘導された構造単位を含む、請求項65記載のポリ(1,4−シクロヘキサンジカルボキシレート)。
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