JP2004129435A - 搬送装置、制御方法、及び駆動機構 - Google Patents

搬送装置、制御方法、及び駆動機構 Download PDF

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和智 滋明
Kenichi Horikawa
堀川 憲一
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Abstract

【課題】操車者が簡便な操作を行うことで、バランス状態を良好に維持しつつ任意の全方向へ移動することができる搬送装置、その搬送装置の制御機構及び制御方法、並びにその搬送装置を駆動させる駆動機構及び駆動方法を提供することを目的とする。
【解決手段】センサ部で筐体のバランス状態および動作状態を検出しながら、制御部が回転体の動作を制御して搬送装置を静止若しくは移動させる。このとき、カウンタウェイト部の重量を移動させることにより、重心移動も併せて行うことにより搬送装置の安定性を向上させる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、搬送装置に関するものであり、特に一個の車輪により移動する新規な搬送装置に関するものである。より具体的には、略球状の車輪及び一つの車輪を有する搬送装置に関する。さらに、本発明は、かかる搬送装置の制御方法、及びかかる搬送装置の駆動機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、移動可能な搬送装置としては、自動車に代表される4輪車やオートバイに代表される2輪車などがあり、駆動輪を2輪の構成として、操舵輪を1輪とした3輪車、進行方向に対して直交する方向に伸びた車軸に設けられた2輪を駆動する2輪車、あるいは駆動輪と操舵輪を兼用した1輪車など様々な構成のものが提案されている。このような搬送装置では、回転する車輪と、大地、舗装路、坂道などの車輪の走行面との接触摩擦により駆動力を発生して進行し、車輪と走行面との接触摩擦により進行すると同時に、駆動輪と同一あるいは別個に設けられた操舵輪により進行方向の制御を行う。
【0003】
例えば、同軸同軸二輪車の車輪駆動用制御モータのトルク制御行い姿勢制御を行うこと、状態フィードバックを用いること、離散時間演算により制御を行う装置及び制御方法、更に、重心の位置を制御する姿勢制御アームを更に設け、姿勢制御アームの制御を併用することにより更に制御特性を向上する装置及び制御方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、作業用移動ロボットの例として、自立して走行する平行2輪車型の移動ロボットであり、制御アームを移動ロボットの傾きとは逆方向に動かして安定化され、自立走行するものが知られている。この移動ロボットでは、車輪を回転させるモータに直結するロータリーエンコーダにより制御アームと車輪と回転角を検出し、移動ロボットの地面に対する傾き角を磁気エンコーダにより検出し、安定化させる(例えば、特許文献2参照)。また、自立型搬送機として、2個の車輪と駆動モータを設けられ、2輪車を倒立させて移動させる搬送機が知られている。この搬送機は、2個の車輪を駆動モータにより作動させ、ジャイロと振子を組み合わせたロータリーエンコーダを用いた平衡センサにより倒立する搬送機の微小な傾きを検出し、搬送機の傾きを制御して移動する。また、この自立型搬送機では、所定の位置で自立して停止したり、左右の車輪の回転数や回転方向を異ならせて回転したりすることにより、移動方向の制御が行われる(例えば、特許文献3参照)。
【0004】
さらに、米国においては、人間を搬送する搬送装置(Human Transpotater)が特許化されている。この搬送装置においては、凹凸のある走行面において安定して走行することができ、人間などを搬送装置上に乗せて階段を昇降することができる(例えば、特許文献4参照)。
【0005】
このような搬送装置などの他に小型乗り物の制御技術として、全方向に移動できるようにするため多くの方向へ駆動力を発生させる多数の小型の駆動輪を備え、これを選択的に切り替えて全方向へ移動する搬送装置も提案されている。例えば、全方向移動車としては、異なるに方向に配置された一対の車輪のそれぞれを各方向に駆動するアクチュエータを回転させ、車輪側のデファレンシャルギヤを介して車輪の回転によって全方向に並進運動を行うものが知られている(例えば、特許文献5参照)。また例えば、全方向駆動輪として、磁性体と電気良導体によって形成された球状の転動球の回りに、リニアモータの固定子を複数個配設して、転動球を直接駆動輪として用いて移動させるものが知られている(例えば、特許文献6参照)。さらに、後輪が互いに独立して回転できる2つの車輪を有するロボット車体に、球体を側面から駆動ローラー部材で圧接駆動する球体駆動装置とライン検出装置を前輪に取り付けた前輪球体駆動ライン・トレース・ロボットが知られている(例えば、特許文献7参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開昭63−305082号公報
【特許文献2】
特開平2−292185号公報
【特許文献3】
特開平1−316810号公報
【特許文献4】
米国特許第5701965号明細書
【特許文献5】
特開平8−67268号公報
【特許文献6】
実開平1−98073号公報
【特許文献7】
特開2001−233260号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前述した従来の搬送装置においては、操舵輪を進行方向に向けることにより徐々に進行方向を変更させるため、目的とする方向以外に移動動作を行いつつ進行方向を変更して回転半径が必要となる。そのため、狭いスペースでの細かい敏速な移動を行うことが困難である。例えば、特許文献2の平行2輪車型の移動ロボット、特許文献3の2輪車を倒立させて移動させる自立型搬送機では、進行方向を変更する際に敏速な移動が困難となる。
【0008】
また、特許文献4に開示される搬送装置においても2つの輪車により回転を行うため、回転動作の後、進行動作が行われるので敏速な移動を行うのが困難である。
【0009】
前述した特許文献2乃至特許文献4に開示された2輪車を倒立させて移動させる搬送機では、平衡センサにより倒立する搬送機の微小な傾きを検出し、搬送機の傾きを制御して移動するため、2個の車輪の車輪軸に垂直な方向に対する搬送機の傾きを制御することができるが、車輪軸に垂直な方向以外の方向に対して搬送機の傾きを制御することができないので、二つの車輪の幅をある程度以上確保しなければならず、車軸方向への寸法が大型化せざるを得ない。
【0010】
一方、全方向に直接移動できる多数の小型の駆動輪を備える搬送装置は、制御機構や駆動機構が複雑であり実用化が困難となっている。前述した特許文献5における全方向移動車では、制御機構や駆動機構が複雑であるだけでなく、4方向のそれぞれに車輪を配設して、駆動する車輪の組み合わせにより全方向に移動させるため、進行方向を変更する際に車輪と走行面との摩擦により滑らに進行方向を変更することができず、進行方向の変更が容易ではない。
【0011】
また、特許文献6では、球状の駆動輪を用いて全方向に駆動する全方向駆動輪を提案しているが、全方向に移動できるものの、球状の駆動輪を駆動する駆動装置や駆動方法を実現するのが困難であり、駆動輪を含む装置全体のバランスを得ることが困難である。特に、被搬送物や搬送装置上で走行を操作する操車者を、大地などの走行面に対して所定の位置関係に保ち、走行する技術の開示はない。
【0012】
また例えば、特許文献7における前輪球体駆動ライン・トレース・ロボットの場合、駆動ローラー部材で圧縮駆動する球状の前輪が用いられているが、後輪には球状の車輪とは異なる従来と同じ車輪を用いる。そのため、安定した駆動方法などに配慮する必要がないとはいえ、球状の駆動輪の利点である全方向への滑らか且つ容易に駆動を行うことができない。
【0013】
そこで、本発明は、かかる従来技術の有する不都合を解決するために提案されたものであり、一輪車または略球状の回転体を用いて、バランス状態を良好に維持しつつ任意の全方向へ移動することができる搬送装置、その搬送装置の制御機構及び制御方法、並びにその搬送装置を駆動させる駆動機構及び駆動方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明における搬送装置は、略球形状の回転体と、回転体保持部と駆動部と角度センサ部とを備えた筐体と、制御部とを備え、回転体保持部は回転体を回転自由に保持し、駆動部は回転体の中心点を含む複数の異なる平面における回転力を回転体に与え、角度センサ部は垂線を含む複数の異なる平面における筐体の傾き角度に応じた信号を検出し、制御部は傾き角度に応じた信号に基づいて回転力の大きさを制御することを特徴とする。
【0015】
本発明の搬送装置は、略球形状の回転体と、回転体保持部と駆動部と角度センサ部とを備えた筐体と、制御部とから構成されている。回転体保持部は回転体を回転自由に保持するので、回転体は自由に回転することができる。駆動部は回転体の中心点を含む複数の異なる平面における回転力を回転体に与えるので、当該複数の平面において回転体は駆動され、回転力の合成ベクトルの方向に回転体は駆動力を与えられて回転をする。角度センサ部は垂線を含む複数の異なる平面における筐体の傾き角度に応じた信号を検出するので、ベクトルで表される傾き角度に応じた信号は、複数の平面における成分に分解し、検出される。ここで、垂線とは、物体が重力により自由落下する場合に描く軌跡である。制御部は傾き角度に応じた信号に基づいて回転力の大きさを制御するので、回転力と傾き角度に応じた信号とがフィードバックループの変数として関係づけられ、筐体の傾き角度を維持するように回転体は回転し、搬送装置は走行する。ここにおいて、傾き角度に応じた信号とは、傾き角度そのものである場合のみならず、傾き角度を間接的に示すすべての信号を含む。例示としては、ある一点から錘を垂らして錘の先端の位置が傾き角度に応じて移動するのを検出する信号であっても良く、回転角度に応じて抵抗値が変化する可変抵抗器の回転軸に錘を結合し傾き角度に応じた抵抗値を検出する信号であっても良く、ジャイロ素子により検出する信号であっても良く、距離センサを備えた器に流体を満たし、流体表面と距離センサとの間の距離を複数の検出点において検出して、2つの距離センサ相互の離間距離と、センサによって測定される流体表面と距離センサとの間の距離の当該2つのセンサにおける差との比を検出する信号であっても良い。
【0016】
駆動部は筐体に設けられているので筐体を座標の基準として回転体の中心点を含む二の複数の異なる平面、すなわち2以上の平面における回転力を与える。角
度センサ部は筺体に設けられているので
【筺体の】垂線を含む平面に対する筐体の傾き角度に応じた信号を複数、すなわち2以上の異なる平面において検出する。任意の方向への筺体の傾きは、角度センサ部が検出する異なる2平面の傾きのベクトル和として表すことができるので、駆動部が回転力を与える平面が角度センサ部の傾き角度に応じた信号を検出する平面と異なる場合においても制御部における座標変換により所望の制御ができる。
【0017】
また、駆動部が回転力を与える平面のいずれかが、角度センサ部が傾きを検出する平面のいずれかと直交する場合においては、制御部において、角度センサ部が検出する異なる2平面の傾きのベクトル和で駆動部が回転力を与える平面であって傾き角度に応じた信号の検出平面と直交しない平面における成分を演算し、傾き角度に応じた信号の検出平面と直交しない平面における駆動力を制御し、角度センサ部が検出する異なる2平面の傾きのベクトル和で駆動部が回転力を与える平面であって傾き角度に応じた信号の検出平面と直交しない平面における成分と直交する成分を演算し、角度センサ部が検出する平面と直交する平面における駆動力を制御する。
【0018】
駆動部が3以上の平面における回転力を与える場合あるいは角度センサ部が3以上の異なる平面において傾き角度に応じた信号を検出する場合においては、制御の自由度が増加した分あるいは情報量が増加した分より制御精度が向上する。
【0019】
本発明の搬送装置では、駆動部は筐体横平面と筐体横平面と直交する筐体前後平面とにおける回転力を生じさせるように筐体に設けられ、角度センサ部は筐体横平面と筐体前後平面における筐体の傾き角度に応じた信号を検出するように記筐体に設けられるので、制御部における座標変換を経ずに制御が可能であり、直交座標を用いることにより効率良く搬送装置を走行させることができる。ここで、筐体横平面、筐体前後平面は筐体を基準に定義される平面であり、搬送装置の筐体の姿勢に応じて走行面並びに絶対座標を基準とする平面に対しては変化をする平面である。
【0020】
本発明の搬送装置では、駆動部は筐体前後平面と筐体水平面とにおける回転力を生じさせるように筐体に設けられる。筺体水平面は筐体前後平面および筺体横平面のいずれとも直交する平面である。筺体水平面における回転力は走行面上において筺体を回転させる力を生じる。制御部は筐体横平面における傾き角度に応じた信号に基づき筐体水平面における回転力を制御するので、筺体の回転に伴い、筐体横平面における傾き角度に応じた信号は零に収束し、筐体前後平面における傾き角度に応じた信号に基づき筐体前後平面における回転力を制御するので、搬送装置は筺体前後方向に走行する。
【0021】
本発明の搬送装置では、駆動部は回転力を発生させる回転機器と、回転機器の回転軸に結合され回転体に圧接されるローラ部材であるので、回転機器からの回転力を略球状の回転体に伝え、略球状の回転体を駆動部が発生させる回転力の合成ベクトルの方向に回転し搬送装置を走行させることができる。
【0022】
本発明の搬送装置では、少なくとも回転体の表面は導電性材料で構成され、駆動部はコアとコアに設けられ交番電流が印加される導電部材であるので、回転体と駆動部との機械的な接触がないので摩擦による損失が発生せず適効率良く、略球状の回転体を駆動部が発生する駆動力のベクトル和で表される方向に回転し、搬送装置を走行させることができる。
【0023】
本発明における駆動機構は、少なくとも表面は導電特性を有する略球形状の回転体と、回転体を回転自由に保持する回転体保持部と、回転体に回転力を与える駆動部とからなり、駆動部はコアと前記コアに設けられた交番電流が印加される導電部材とを有することを特徴とする。
【0024】
本発明における駆動機構は、少なくとも回転体の表面は導電性材料で構成されているので、電磁誘導による渦電流を生じさせることができる。ここで、渦電流は表面に集中するので、回転体を中空とすれば搬送装置の重量を軽減できる。回転体を回転自由に保持する回転体保持部を備えているので、回転体は自由に回転が可能である。回転体に回転力を与える駆動部を備えているので、回転体に回転駆動力を与えることができる。駆動部はコアとコアに設けられた交番電流が印加される導電部材とを有するので、接触摩擦による機械的負荷がなく略球状の回転体を駆動部が発生する駆動力のベクトル和で表される方向に回転させることができる。
【0025】
本発明における搬送装置の制御方法は、略球状の回転体を筐体に対して回転自
由に保持し、回転体に回転力を与え、
【筐体の】垂線を含む平面における筐体の傾き角度に応じた信号を検出し、傾き角に基づいて駆動部が発生する回転力の大きさを制御することを特徴とする。
【0026】
本発明の搬送装置の制御方法では、略球状の回転体を筐体に対して回転自由に
保持し、回転体に回転力を与え、
【筐体の】垂線を含む平面における筐体の傾き角度に応じた信号を検出し、傾き角に基づいて回転力の大きさを制御するので筐体の姿勢の制御が行われ搬送装置は走行できる。
【0027】
本発明の搬送装置は、略球形状の回転体と、回転体を回転自由に保持する回転体保持部と回転体に回転力を与える駆動部と、垂線を含む平面における傾き角度に応じた信号を検出する角度センサ部とを備えた筐体と、回転体を除いた搬送装置及び搬送装置が搬送する搬送物の重心位置を移動するためのカウンタウエイトを備えて前記筐体に重心移動を伝達するように設けられるカウンタウエイト部と、傾き角に基づいて駆動部が発生する回転力の大きさ及び重心位置とを制御する制御部とを有することを特徴とする。
【0028】
本発明の搬送装置では、筐体に略球形状の回転体と回転体を回転自由に保持する回転体保持部と回転体に回転力を与える駆動部と有するので、回転体に駆動力を与えてを自由に回転させることができる。また筐体に垂線を含む平面における傾き角度に応じた信号を検出する角度センサ部を備えているので筐体の傾き角度に応じた信号を検出できる。そして、制御部において傾き角に応じた信号に基づいて駆動部が発生する回転力の大きさを制御する制御部とを有するので、傾き角度に応じた信号に基づいて回転体を自由に回転することができ、搬送装置は安定に走行することができる。更に加えて、筐体に搬送装置の重心位置を移動するためのカウンタウエイト部を備えているので、搬送装置の重心位置を移動させることができる。また制御部は傾き角に基づいてカウンタウエイトを移動させ重心位置とを制御する。カウンタウエイト部は筐体の一部に設けても良く、筐体以外の部分に設けても良いが、筐体に重心移動を伝達するように設けられるので、重心移動を筐体に設けた角度センサ部が検出することができる。これにより筐体の姿勢は保たれ搬送装置は走行をする。
【0029】
本発明の搬送装置では、制御部が搬送装置の走行速度に基づいて、回転力を与える駆動部と重心位置を移動するためのカウンタウエイト部との制御の割合を制御するので、搬送装置が静止している場合でも良好な静止特性を有する。また、速度が速い場合に操車者が過度な前傾姿勢をとることなく走行が可能である。
【0030】
本発明の搬送装置は、略球形状の回転体と、回転体を回転自由に保持する回転体保持部と回転体に回転力を与える駆動部と、垂線を含む平面における傾き角度に応じた信号を検出する角度センサ部とを備えた筐体と、回転体を除いた搬送装置及び搬送装置が搬送する搬送物の重心位置を移動するためのカウンタウエイトを備えて筐体に重心移動を伝達するように設けられたカウンタウエイト部と、傾き角に基づいて駆動部が発生する回転力の大きさ及び重心位置とを制御する制御部と、制御部との間において信号の授受をするリモコンとを有し、リモコンにより制御部を介して駆動部またはカウンタウエイト部のいずれかの一方、または両方を制御することを特徴とする。
【0031】
本発明の搬送装置では、筐体に略球形状の回転体と回転体を回転自由に保持する回転体保持部と回転体に回転力を与える駆動部と有するので、回転体に駆動力を与え自由に回転させることができる。また筐体に垂線を含む平面における傾き角度に応じた信号を検出する角度センサ部とを備えているので筐体の傾き角度に応じた信号を検出できる。そして、制御部において傾き角に基づいて駆動部が発生する回転力の大きさを制御する制御部を有するので、傾き角度に応じた信号に基づいて回転体を自由に回転することができ、搬送装置は走行することができる。更に加えて、搬送装置の重心位置を移動するためのカウンタウエイト部を備えているので、搬送装置の重心位置を移動させることができる。ここで、カウンタウエイト部は筐体に重心移動を伝達するように設けられているので、角度センサ部は重心移動が、筐体の姿勢に及ぼす影響を検知し、重心移動に応じた制御を行える。またリモコンは制御部と信号の授受を行い駆動部とカウンタウエイト部とを制御できるので、リモコンによる遠隔操作で、カウンタウエイト部におけるカウンタウエイトの位置を制御して筐体の傾き角度を先に制御して、駆動部を含む制御系の作用により筐体の傾き角度を所定の値に維持しつつ走行方向や走行速度を制御することができる。また、駆動部を制御して、移動速度を先に定めながらカウンタウエイト部を含む制御系の作用により筐体の傾き角度を所定の値に維持しつつ走行方向や走行速度を制御したりできる。
【0032】
本発明の搬送装置の制御方法は、略球状の回転体を筐体に対して回転自由に保持し、回転体に回転力を与え、筐体の垂線を含む平面における筐体の傾き角度に応じた信号を検出し、傾き角度に応じた信号に基づいて回転力の大きさを制御するとともにカウンタウエイトを移動させて搬送装置の重心位置を変化することを特徴とする。
【0033】
本発明の搬送装置の制御方法では、略球状の回転体を筐体に対して回転自由に保持し、回転体に回転力を与え、筐体の垂線を含む平面における筐体の傾き角度に応じた信号を検出し、制御部によって傾き角に基づいて回転力の大きさを制御し、更に、角度センサ部によって回転体保持部と駆動部とが設けられた筐体の垂線を含む平面における傾き角度に応じた信号を検出し、傾き角に基づいてカウンタウエイトを移動させて搬送装置の重心位置を移動するので、回転体の駆動力の制御とカウンタウエイトによる重心位置の制御との両方の制御を行い搬送装置の制御特性を向上する。
【0034】
本発明の搬送装置は、一の車輪と、車輪に設けられた車軸を保持する軸受と車輪に回転力を与える駆動部と、車輪の回転する平面である車輪回転平面に直交する方向へ移動可能となしたカウンタウエイトの位置を移動し重心の位置を変更するカウンタウエイト部と、垂線を含む平面における車輪の傾き角度に応じた信号を検出する角度センサ部とを備えた筐体と、傾き角に基づいて駆動部が発生する回転力の大きさ及びカウンタウエイト部による重心位置とを制御する制御部とを有することを特徴とする。
【0035】
筐体に、一の車輪と、車輪に設けられた車軸を保持する軸受と車輪に回転力を与える駆動部とを有するので、搬送体を移動させることができる。筐体には垂線
に対する車輪の傾き角度に応じた信号を検出する角度センサ部
【と】を備えているので、制御部は、傾き角に基づいて駆動部が発生する回転力の大きさを制御することができ、車輪の進行方向に対して所定の傾き角度を維持し走行できる。一方、制御部は、傾き角に基づいて車輪の回転する平面に略直交する方向へ移動可能となしたカウンタウエイトの位置を移動し重心の位置を変更するので車輪の進行方向と略直交方向への搬送装置の傾きも維持できるので搬送装置は安定走行ができる。
【0036】
本発明の搬送装置の制御方法は、回転自由に筐体に保持された一の車輪によって移動可能とされる搬送装置の制御方法であって、車輪に回転力を与え、垂線を含む平面における筐体の傾き角度に応じた信号を検出し、傾き角度に応じた信号に基づいて回転力の大きさを制御するとともに車輪の回転する平面に略直交する方向へカウンタウエイトの位置を移動して搬送装置の重心位置を変化することを特徴とする。
【0037】
本発明の搬送装置の制御方法では、一の車輪を回転自由に筐体に保持し、車輪に回転力を与え、車軸と駆動部とが設けられた筐体の垂線を含む平面の傾き角度に応じた信号を検出し、傾き角に基づいて回転力の大きさを制御するので車輪走行方向に安定に制御が行えるとともに、角度センサ部によってカウンタウエイトが移動する軸と垂線とを含む平面における筐体の傾き角度に応じた信号を検出し、制御部が傾き角に基づいてカウンタウエイト部に設けられたカウンタウエイトを車輪の回転する平面に略直交する方向へ移動させて搬送装置の重心位置を移動することができるので、搬送装置を安定走行させる。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。本発明の第一の実施形態において、回転機器を動力源とする駆動部により回転する略球状の回転体を保持する筐体を走行面に対して移動させ、センサ部が筐体の垂線に対する傾き角度に応じた信号を検出し、制御部が筐体の傾き角度に応じた信号に応じて駆動部に駆動信号を出力して筐体の姿勢及び移動を制御する搬送装置について説明する。
【0039】
本発明の第二の実施形態において、交番電流電力を導電部材に供給することにより発生する回転磁界と導電性を有する回転体に流れる電流との相互作用による駆動力によって回転する略球形状の回転体を保持する筐体を走行面に対して移動させ、センサ部が筐体の垂線に対する傾き角度に応じた信号を検出し、制御部が筐体の傾き角度に応じた信号に応じて交番電流電力を導電部材に供給し、筐体の姿勢及び移動を制御する搬送装置について説明する。
【0040】
本発明の第三の実施形態において、駆動部により回転する略球状の回転体を保持する筐体を走行面に対して移動させ、センサ部が筐体の垂線に対する傾き角度に応じた信号を検出し、制御部が筐体の傾き角度に応じた信号に応じて駆動部に駆動信号を出力するとともにカウンタウエイト部にカウンタウエイト駆動信号を出力して筐体の移動及び姿勢を制御する搬送装置について説明する。
【0041】
本発明の第四の実施形態において、駆動部が単数の車輪を駆動して車輪を保持する筐体を走行面に対して移動させ、センサ部が筐体の垂線に対する傾き角度に応じた信号を検出し、制御部が車輪の走行方向についての筐体の傾き角度に応じて駆動部に駆動信号を出力するとともにカウンタウエイト部に車輪の走行方向と垂直方向への筐体の傾き角度に応じてカウンタウエイト駆動信号を出力して筐体の移動及び姿勢を制御する搬送装置について説明する。なお、以下における実施の形態及び実施例においては、角度センサ部から検出される傾き角度とは、傾き角度そのもののみならず、傾き角度に応じた信号を含むものとする。
【0042】
【第一の実施形態】
第一の実施形態における搬送装置について図面を参照して説明する。第一の実施形態における搬送装置の形状の一例である第一の実施例として、椅子形状をした筐体に操車者が着座した状態で搬送される車椅子の形状をした搬送装置(これを以下では椅子形状搬送装置と呼ぶ)、第二の実施例として筐体上に操車者が立った状態で搬送され、手摺などのような支持部を有さない搬送装置(これを以下では板形状搬送装置と呼ぶ)、及び第三の実施例として筐体上に操車者が立った状態で搬送され、操車者が捉まる手摺などの支持部を有する搬送装置(これを以下では支持部付搬送装置と呼ぶ)について説明する。第一の実施形態においては、椅子形状搬送装置、板形状搬送装置、及び支持部付搬送装置について説明するが、この他、操車者を搬送装置に保持するための形態としては、リクライニング可能な椅子や従来例の一輪車や自転車のサドルやハンドルと同様な形状の操車者の保持部を有するものであっても良い。
【0043】
[第一の実施例]
図1及び図2は椅子形状搬送装置11の概略斜視図を示し、図1は椅子形状搬送装置11上に搬送対象であり椅子形状搬送装置11を操車する操車者12が着座した状態を示す図である。図2は椅子形状搬送装置11の概略斜視図である。
【0044】
なお図1及び図2に示すように、筐体13を基準とした直交座標系の座標軸としてx軸、y軸、及びz軸を設ける。操車者が、図1に示す通常の姿勢で着座した場合における顔が正面を向く方向をx軸正方向あるいは筐体正面方向と、筐体正面方向と180°反対方向をx軸負方向あるいは筐体裏面方向と、操車者の左手方向をy軸正方向あるいは筐体左方向と、操車者の右手方向をy軸負方向あるいは筐体右方向と、頭から足元に向かう方向をz軸正方向あるいは筐体重力方向と、頭から足元に向かう方向の180°反対方向をz軸負方向あるいは筐体反重力方向と定義する。また、y軸とz軸とにより張られる平面をX平面あるいは筐体横平面、z軸とx軸とにより張られる平面をY平面あるいは筐体前後平面、x軸とy軸とにより張られる平面をZ平面あるいは筐体水平平面と定義する。上述の座標軸と平面とは、筐体13に付随した座標系であり、筐体13の姿勢に依存して、垂線や磁北を基準とする地球上での絶対座標系や走行面を基準とする座標系に対しては相対的に運動する座標系である。例えば、椅子形状搬送装置が坂道や上り坂、中央部が盛り上がった道路等を走行する場合においては、走行面に対して相対的に筐体13の姿勢は変化し、筐体13を基準とする座標と走行面を基準とする座標系との関係は刻々変化する。また、走行面が水平であるとしても、操車者を含めた搬送物の重心の位置により筐体13の姿勢は異なり、筐体13を基準とする座標と絶対座標系との関係は刻々変化する。この定義は第一の実施の形態における他の実施例においても適用される。
【0045】
図1及び図2に示すように、椅子形状搬送装置11は略球形状の球状回転体17と、球状回転体17上に設けられた筐体13並びに、操車者を保持するための部材である座席14と支持部15aと足台15b及び操車者と椅子形状搬送装置11とのマンマシンインターフェイスである表示部16とを有する。球状回転体17は金属、プラスチック、ゴム等の材料から構成され、球状回転体17の内部は中空にしても良いし、また中実としても良い。椅子形状搬送装置11の乗り心地を考慮した場合には、弾力性を有する素材を用いて球状回転体17を構成することにより走行面27との接触に起因して生じる振動を防ぐことが好ましく、後述するローラー部材からの駆動力を球状回転体17に効率良く伝達することを考慮した場合には、ある程度の剛性を有する材料を用いることが好ましく、椅子形状搬送装置11の使用用途により球状回転体17の材料は選択される。
【0046】
筐体13は、球状回転体17を360°の全方向に回転可能とするように保持する機能と同時に、操車者12の体重並びに操車者12の背部を支える座席14と上腕部を支持する支持部15aと走行面に足が付かないように足部を保持する足台15bからなる部材の重量、すなわち、球状回転体17を除く椅子形状搬送装置11のすべての重量を受ける重量受台の機能とを有する部材である。筐体13と座席14と足台15bと支持部15aとは、操車者12が、前傾、後傾等の姿勢を取ることにより体重を移動した場合に重心の移動が筐体13に正確に伝わる程度に結合されていれば良く、お互の部材がある程度の遊びを有していても良い。また各部材の有する機能を一体成形したものであっても良い。
【0047】
筐体13には球状回転体17を駆動する駆動部、筐体13の姿勢(傾き角度)を検出する後述の傾き角度センサが設けられている。移動距離や移動速度を検出するセンサも筐体13に設けても良い。駆動部の制御を行う制御部を筐体13に設けても良く、第一の実施例では、センサ類はセンサ部として制御部も含めて筐体13に設けている。表示部16は、図1及び図2に示すようには操車者12から見易い位置に配置するために、例えば、支持部15aに結合されている。
【0048】
図3は椅子形状搬送装置11にスタンド26を形成した場合のY平面に平行な面での側面図である。図3に示すように、筐体13が球状回転体17に対して360°の全方向に移動可能であるため後述する制御が行われていない場合には筐体13の姿勢と位置は安定しない。したがい、座席14に操車者12が最初に乗車して発車する際や移動後に停車して降車する際に筐体13が定位置に留まるようにするために、筐体13に3つのスタンド26a、スタンド26b、及びスタンド26cを略正三角形の頂点に位置するように設ける。ここで、図3ではスタンド26cはスタンド26bに対して紙面裏側に形成され、図3においては省略している。スタンド26a、26b、26cは棒状の支持物又は板状の支持物であり、椅子形状搬送装置11を略直立させることができる支持物であれば良い。図3では筐体13にスタンド26a、26b、26cの3つのスタンドが形成されているが、例えば従来例における自転車のように1つであっても良く、椅子形状搬送装置11の発進時や停止時に筐体13を支持することができれば良い。また、スタンド26a、26b、26cの設置位置に関しても、椅子形状搬送装置11を支持することができる位置に設置されるのであれば、必ずしも三角形の頂点に位置する必要はない。
【0049】
また、スタンド26a、26b、26cは、筐体13から発進時に収納されたり停止時に突出させたりするように操作できるようにしても良いし、例えば、制御系が働いていないときに突出させたり、あるいは、制御系が働いていても操車者12が着座していないことを座席14に設けられた図示しない体重検出器が検出したときは、椅子形状搬送装置11が倒れたり、勝手な方向に椅子形状搬送装置11が移動をしないように、筐体13を走行面上に留めるため自動で突出・収納するようにしても良い。
【0050】
次に、図4に筐体13部分のY平面に平行な面に対する断面図を示して、球状回転体保持部及び駆動部の説明を行う。ここで、保持部は、球状回転体17を筐体13の内部で360°回転自在となるように保持するための部材であり、ベアリング保持器20とベアリング21とから成る。駆動部は、球状回転体17の駆動に関与する部材であり、回転機器22、と回転軸23とローラー部材24とから成る。
【0051】
図4に示すように、ベアリング保持器20にベアリング21は回転自由に保持される。ベアリング保持器20aとベアリング21a、ベアリング保持器20bとベアリング21b、ベアリング保持器20cとベアリング21cとが各々組みとなり使用される。ベアリング21はそれぞれ略球状の形状を有し、それぞれのベアリング保持器20内で全方向に自由に回転できるように収納されると同時に、球状回転体17と略一点で接触して球状回転体17を保持する。複数のベアリング21は、球状回転体17が回転する際にはベアリング保持器20内で滑らかに回転し、これにより球状回転体17が全方向に回転することが可能とされる。また、ベアリング保持器20及びベアリング21は球状回転体17が滑らかに全方向に対して回転可能とできる構成であれば、その個数に制限はなく何組設けても良く、回転体保持部の種々の位置に設置することができる。
【0052】
本実施例においては、図5に示すように、ベアリング保持器20a、20b、20c、20d、並びにそれらに収められるベアリング21a、21b、21c、21dは、ベアリング保持器20c及びベアリング21cを頂点として略正四面体の頂点の位置するように回転体保持部に形成されている。なお、図4においては、ベアリング保持器20d及びベアリング21dを図示していない。
【0053】
駆動部は、回転機器22と回転軸23とロ―ラ部材24から構成され、筐体13に形成されている。回転機器22は、人力による動力を回転力に変換するものであっても、内燃機関であっても、電動機であっても良いが、制御系の一要素となるために即応性が要求され、トルクの変化を高速に制御できるような動力源であることが好ましく、第一の実施例では電動機を用いた。回転軸23は剛性を有する材料から構成され、回転機器22からの回転力をローラー部材24に伝達する。回転軸23は回転機器22が発生する回転の中心となる軸であり電動機の回転子軸そのものか、回転子軸と結合される軸である。ローラー部材24は略平板状あるいは略円筒状の形状をしており、その中心を回転軸23が貫いて回転軸23とともに回転をする。ローラー部材24の外周部は球状回転体17に圧接して取りつけられる。ローラー部材24の材料としては球状回転体17に圧接して回転機器22からの回転力を伝達するために圧接する表面部の摩擦係数が適度に高い材料を用いるのが好ましい。
【0054】
球状回転体17に回転を発生させる場合において、球状回転体17を任意の方向に回転自在とするためには、回転機器、回転軸及びローラ部材を複数個設けて駆動部を構成しなければならない。3次元の全方向に渡り球状回転体17を回転させるためには少なくとも3組の回転機器と回転軸とローラ部材の組み合わせが必要とされ、2次元の回転をさせるためには少なくとも2組の回転機器と回転軸とローラ部材の組み合わせが必要とされる。各組の回転機器と回転軸とローラ部材により発生される球状回転体17の回転の回転面が異なるようにすることにより、球状回転体17は2次元あるいは3次元の空間内で自由に回転する。駆動部を構成する各々の回転機器は筐体13に固着されるため、各回転機器が発生する回転面の相互の位置関係は変化しない。
【0055】
図4に示す第一の実施例の駆動部は、回転機器22aがローラー部材24aと回転軸23aを介して結合され、回転機器22bがローラー部材24bと回転軸23bを介して結合され、回転機器22cがローラー部材24cと回転軸23cを介して結合される構成から成っている。第一の実施例では、走行面27の上における全方向への走行と筐体13が走行面上の略一点に静止して回転運動を行うために、回転機器、回転軸、及びローラー部材がそれぞれ3組設けられているが、回転運動を行わない場合であって走行面を全方向に走行する場合には2組でも良い。また、回転運動を行わない場合にあっては2組、回転運動を行う場合にあっては3組が最小の組数であるが、これ以上の組数の回転機器、回転軸、及びローラー部材を設けることは何の問題もない。ここで、3次元空間においては互いに独立な3個のベクトルにより任意のベクトルを張ることができるため、各々のローラ部材の回転軸は相互に異なるように各々の回転機器は筐体13に固着されている。各々のローラ部材の回転軸が直交する場合には、もっとも効率良く、球状回転体17に3次元の回転を行わせることができるので、第一の実施例では3次元の直交配置となされている。
【0056】
図6は球状回転体17の回転方向を説明するための概略斜視図である。なお、図6において、ローラー部材24aにより回転する球状回転体17上の回転面がZ平面、ローラー部材24bにより回転する球状回転体17上の回転面がX平面、及びローラー部材24cにより回転する球状回転体17上の回転面がY平面である。
【0057】
例えば、回転機器22aがZ平面内で回転すると、それにともなって回転軸23a及びローラー部材24aも同様に、Z平面内で回転する。ローラー部材24aの最外輪部は球状回転体17に圧接しており、回転機器22aがローラー部材24aを回転させると、ローラー部材24aと球状回転体17との間で生じる摩擦力により、球状回転体17は回転するのが原理であるが、実際には球状回転体17と走行面27との摩擦が大きいために球状回転体17は回転せずに停止しており、反作用により筐体13がZ平面内で回転をする。一方、X平面内の球状回転体17の回転は回転機器22b、回転軸23b、ローラー部材24bにより、Y平面内の球状回転体17の回転は回転機器22c、回転軸23c、ローラー部材24cにより行われる。
【0058】
図6に示すように、球状回転体17のX平面内における回転が生じると、走行面27との摩擦力により球状回転体17の外周部の速度Vyと等しい速度で筐体13はy軸方向へ移動し、Y平面内における回転が生じると、球状回転体17の外周部の速度Vxと等しい速度で筐体13はx軸方向へ移動し、Z平面内における球状回転体17が回転したとするときの角速度と同じ角速度でもって筐体13が走行面27上で回転を行う。
【0059】
なお、厳密に言うならば、接地点27aが一点において完全に水平な走行面27と接する場合には球状回転体17と走行面27との間に発生する摩擦力は零となり、球状回転体17が回転をしたとしてもスリップをして、筐体13にいかなる運動も生じることはない。しかしながら、球状回転体17が接地点27a付近で扁平化したり、走行面27に凹凸がある場合には、接地点27aは点接触ではなく局所的に2次元平面と接していると考えることができる。現実の球状回転体17及び走行面27はこのようなものである。従い、このような局所的な2次元平面においては、摩擦力が発生して筐体13の運動を生じることと成る。
【0060】
更に、より具体的かつ個別的に、y軸を中心とする回転によりY平面の回転がもたらす筐体13の運動について説明する。上述したように接地点27aが有限の面積を持っているために、摩擦力により走行面27と球状回転体17との間に運動が生じる。このとき、Y平面が走行面27に対して垂直な場合には、x軸方向に筐体13は直進をする。しかし、Y平面が走行面27に対して垂直でない場合には、球状回転体17の周速度が異なる面をもって走行面27と接触をするために、x軸に直交する力も同時に働き筐体13はx軸方向に直進せずにわずかに円弧を描き走行する。しかしながらこのずれは、操車者12が体重の移動を行い、Y平面を走行面に対して垂直にするか、進行方向が少しずつずれてきて進路がはずれだしたら操車者12が体重移動を行い針路変更をして逐次修正することができるので、大きな問題とはならない。
【0061】
x軸を中心とする回転により生ずる筐体13の運動についても同様である。筐体13の走行面27に対する傾きが存在してX平面が走行面に垂直とならない場合には、筐体13はy軸方向について直進せずにわずかに円弧を描き走行する。しかし、この場合にも上述したy軸を中心とする回転運動におけると同様に操車者12が体重の移動を行い、X平面を走行面に対して垂直にするか、進行方向が少しずつずれてきて進路がはずれだしたら操車者12が体重移動を行い針路変更をして逐次修正することができるので、大きな問題とはならない。
【0062】
更に、Z平面の運動について説明する。接地点27aが有限の面積を有する場合であって、Z平面が走行面27と平行である場合には、z軸の回転軸は接地点27aを通過するため、筐体13は、走行面27上で接地点27aを中心とする回転運動を行う。しかし筐体13が傾きZ平面が走行面27と平行でない場合には、接地点27aは,Z平面の回転軸であるz軸上にはない。この場合には、接地点27aにおける摩擦力により生じる筐体13の運動は、走行面27上で一点に留まることなく微小回転半径の円を描きながら回転運動を行うものとなる。しかしながら、この半径は、筐体13の傾きが小さければ微小なものである。従い、筐体13の傾きが微小な場合には操車者12はZ平面の回転により、自分の位置を、すばやく180°方向変換したり、任意の角度方向に変更できる。また、わざと傾き角度を大きくして回転すれば、円弧を描きながら筐体13は回転するので、スポーツ感覚を味合うことができる。表示部16に設けられた操作ボタンの操作により回転機器22aの回転角速度を変化させることにより任意の速度で回転を続けることができる。
【0063】
第一の実施例における椅子形状搬送装置11の制御系の全体の構成を図7のブロック図を用いて説明をする。制御系は、フィードバックループとして構成されている。制御系は大きく分けると、既に説明をした駆動部18と球状回転体17と後述するセンサ部55と表示部16と制御部25とから成り立つている。
【0064】
この制御系の動作の概要を説明する。操車者12が身体を傾けると、それにより重心の中心である後述する重心点が移動し、その結果として、筐体13の垂線に対する傾き角度が変化する。この傾きは筐体13に設けられた角度センサ部550により検出される。制御部25は、角度センサ部550により検出される傾き角度を入力として予め設定された所定のフィードバックループの演算則にしたがった処理を行う演算部51と、演算部51からの出力である制御信号に基づいた駆動信号を発生する駆動回路部25とから成っている。
【0065】
駆動信号は、回転機器22、回転軸23、ローラー部材24とで構成される駆動部18に印加され球状回転体17を回転駆動するための信号である。ここで、回転により球状回転体17の発生するトルクと筐体13の角度センサ部550で検出される傾き角度とは、後述する所定の物理式で表される関係式が成立するので、全体としてフィードバック制御系を構成する。このとき、フィードバック制御系がネガティブフィードバック制御系である場合には、筐体13の傾き角度が増加すると、これを減少させる方向のトルクが球状回転体17の回転により発生させられる。ここで、位置センサ部551、速度センサ部552はの役割は、制御系の自由度の数に対応した変数、すなわち制御理論で言うところの状態変数である位置と速度を検出するものである。最適制御理論の教えるところによれば、すべての状態変数をフィードバックすることにより良好な制御特性が得られることが知られているので、第一の実施例においてもこれらの状態変数を用いて制御を行うことができる。
【0066】
以下において、位置センサ部551及び速度センサ部552からの状態変数に相当する信号を駆動状態検出信号と呼ぶ。駆動状態検出信号は状態変数そのものである位置や速度ではなく回転軸23の回転角度や回転角速度であって演算部51で位置や速度に変換する場合もある。また、角度センサ部550から検出される角度は2次元の成分を有するベクトル量であり、球状回転体17に発生するトルクもベクトル量であるので、制御部25、位置センサ部551、速度センサ部552のいずれもベクトル量を取り扱うように構成をされており、ベクトルの各々の成分を、以下においてa,b,c,の添え字で表記する。
【0067】
センサ部55を構成するセンサ類のうち、少なくとも角度センサ550は、筐体13の所定の位置に設けられて、筐体13と重力の向かう線である垂線との傾き角度を検出するものである。垂線に対する角度は、ベクトル量であるが、垂線を含む2つの平面における射影により表現することができる。2つの面をb平面, c平面としてその面に対する射影を各々550b、550cの符合を付したセンサにより検出し筐体13の傾きの角度を特定することができる。
【0068】
2つの面であるb平面,c平面は、任意に選択しても良いが、演算部51における演算を簡略化するためには、b平面,c平面を各々の回転機器22b、22cにより発生する球状回転体17の回転面に設定することが望ましい。例えば、b平面をX平面に、c平面をY平面に選べば、b平面すなわち、X平面、における傾き角度を示すセンサ550bからの信号を座標変換工程を経ることなく直接使用してX平面におけるトルク制御を回転機器22bにより行うことができ、c平面、すなわちY平面、における傾き角度を示すセンサ550cの信号を座標変換工程を経ることなく直接使用してY平面におけるトルク制御を回転機器22cにより行うことができる。一方、各センサ550b、550cの傾き角度の検出面が、回転機器22b,22cが発生する回転の回転面と同一ではない場合には、各センサ550b、550cから検出される傾き角度信号を演算部51で座標変換をして回転機器22b,22cが発生する回転の回転面と同一の面における傾き角度を演算により合成する。
【0069】
演算の具体的な手法は、センサ550bから検出される検出値の回転機器22bによる回転平面成分とセンサ550cから検出される検出値の回転機器22bによる回転平面成分とのベクトル和を回転機器22bを制御するための傾き角度信号とし、センサ550bから検出される検出値の回転機器22cによる回転平面成分とセンサ550cから検出される検出値の回転機器22cによる回転平面成分とのベクトル和を回転機器22cを制御するための傾き角度信号とすることができる。駆動面成分角度角度センサ部550に使用されるセンサとしては、筐体13のある一点から錘を垂らして錘の先端の位置が傾き角度に応じて移動するのを検出するセンサでも良いし、回転角度に応じて抵抗値が変化する可変抵抗器の回転軸に錘を結合し傾き角度に応じた抵抗値を検出しても良いし、ジャイロ素子により検出するものであっても良いし、距離センサを備えた器に流体を満たし、流体表面と距離センサとの間の距離を複数の検出点において検出して、2つの距離センサ相互の離間距離と、センサによって測定される流体表面と距離センサとの間の距離の当該2つのセンサにおける差との比を検出するものであっても良い。また、状態変数として傾き角度の微分を用いた制御方法を後述するが、角度の微分を得るためには、演算部51で微分演算を行ったり、ジャイロ素子により直接検出をしても良い。
【0070】
位置センサ部551は、走行面27上における筐体13の所定の位置を原点とし、筐体13を座標の基準とした変位すなわち移動距離を検出する。ここで、移動距離はx軸、y軸、z軸の各成分に分解される。既に述べたように、x軸、y軸、z軸は筐体13の姿勢に応じて刻々変化する相対的なものである。位置の検出には種々の方法が考えられ、それに伴ない位置センサ551は種々の構成とすることができる。例えば、回転機器22とローラー部材24を結合する回転軸23の回転角度を、回転軸23aについて検出する位置センサ551a、回転軸23bについて検出する位置センサ551b、回転軸23cについて検出する位置センサ551cの3つのセンサーで検出することができる。検出は具体的には回転軸23にロータリーエンコーダを設けることにより行うことができる。ここで、回転角度は、筐体13走行面27上の一点に対する位置の変化に比例するので、演算部51において所定の変換式により位置を検出することができる。
【0071】
速度センサ部552は、筐体13を座標の基準とした筐体13の移動速度を検出する。例えば、回転機器22とローラー部材24を結合する回転軸23の回転角速度を、回転軸23aについて検出する速度センサ552a、回転軸23bについて検出する速度センサ552b、回転軸23cについて検出する速度センサ552cの3つのセンサーで検出するこができる。検出は具体的には回転軸23にロータリーエンコーダを設けることにより行うことができる。ここで、回転角速度は、筐体13走行面27上の一点に対する移動速度に比例するので、演算部51において所定の変換式により位置を検出することができる。
【0072】
また位置センサ部を筐体13に設けて、例えば、超音波やレーザ光により走行面27との相対位置や相対速度を検出しても良い。また、位置または速度の一方を回転軸23から検出し、速度または位置の他方を超音波やレーザ光により走行面27との相対位置や相対速度を検出したものと組み合わせる等の任意の組み合わせを選択しても良い。更に別の方法としては、衛星を用いたGPS(global positioning system)を用いれば、筐体13を基準とするのではなく、絶対座標を基準として、位置や速度を求めることができる。
【0073】
表示部16は、バスラインに接続されており、バスラインを介してセンサ部55、演算部51、駆動回路部52との間で信号のやり取りを行う。
【0074】
表示部16は、センサ部により検出され演算部51で処理される各種情報である情報表示信号をバスラインを通じて受け取る。情報表示信号は、筐体13の姿勢をあらわす傾き角度や、椅子形状搬送装置11の走行速度や走行距離や、バッテリーの残量などである。表示部16は、これを表示し操車者に伝え、回転軸23が予め定めた所定の回転角速度以上で回転をする場合には、視覚、聴覚により認識可能なアラームを出すとか、筐体13の傾き角度が一定値以上となる場合には、筐体13がこれ以上傾くと駆動部18の能力を越えてしまいフィードバックにより所定の傾きを維持することが不可能となるとしてアラームを出すこともできる。
【0075】
また表示部16にのパネルには図示しない操作ボタンが設けられており、操車者12が操作ボタンに触れることにより椅子形状搬送装置11の動作の停止、待機等の動作モードを制御したり、後述する制御系のゲインや位相補償特性あるいは、状態フィードバックを用いる場合には状態変数に掛ける係数の変更等を行い、操作感を操車者12の好みに合わせて変化させることができる。
【0076】
これらの操作ボタンからの信号である操作信号はバスラインを通じて演算部51に伝えられる。また、表示部16は必ずしも支持部15aと結合している必要はなく、図2には図示しないリモコン(リモートコントローラー:Remote
Controlor)方式としても良い。
【0077】
図8に示す制御部25においては、演算部51はセンサ部55と駆動回路部52と表示部16との間で信号のやり取りを行うために、バスラインにで結合される。演算部51は、CPU(Central Processing Unit)や、積和演算を特に高速に行うのに適したDSP(Digital Signal Processor)により構成したり、あるいはハードウエアにより演算機能を構成したりしても良い。ここにおいて、バスラインは有線に限らず電波、超音波、又は光などの無線により実現しても良い。
【0078】
駆動回路部52は、演算部51により演算された結果に基づき回転機器22を動作させるための回路部である。駆動回路部52a、52b、52cの各々は回転機器22a、22b、22cに電力を供給するように接続されている。駆動回路部52a乃至駆動回路部52cは、回転機器22a、22b、22cが同一の構成である場合には、同一の回路構成と成っている。例えば、回転機器22aが直流機である場合には、駆動回路部52aは、電力増幅機能を有して演算部51からの信号の電力増幅をすれば良く、回転機器22aが交番電流機である場合には、例えば、三相の交番電流電力を発生させるインバータ回路が用いられることとなる。ここで、演算部51から駆動回路部52a、52b、52cの各々へは独立した制御信号がバスラインを経由して印加され回転機器22a、22b、22cは独立に動作する。
【0079】
演算部51の機能は、センサ部55からの信号に基づきフィードバック系の演算則、すなわち、制御系を動作させるルールに従い演算を行って駆動回路部52に制御信号を送出し、フィードバック系がどのような状態で動作しているかを表示部16を介して操車者に知らせ、必要であれば、表示部16を介して異常が生じた旨のアラームを操車者に伝え、表示部16に設けられた操作ボタンにより発せられる操作信号を受けて、動作モードの変更や制御則の変更を行う等の種々の機能を有する。
【0080】
制御則に基づく演算が演算部51でどのようになされるかを説明するにあたり、まず、椅子形状搬送装置11の動作原理を図9の模式図を用いて詳細に説明した後、フィードバックループの作用を説明する。
【0081】
図9は、走行している状態における椅子形状搬送装置11のY平面における断面模式図である。ここで、球状回転体17を除いて操車者12の体重も加算した椅子形状搬送装置11の重量を代表させる点を重心点61、球状回転体17の回転の中心を中心点62とし、重力方向への直線を垂線63、重心点61と接地点27aとを結ぶ直線をトルク線65、重心点61と接地点27aとの距離をMとおく、なお、中心点62は球状回転体17のすべての外周部から等距離にある一点であるとする。重心点61と中心点62とを結ぶ直線を重心線64、重心点61と中心点62との距離をLとし、さらに垂線63とトルク線65とのなす角度をΘ、重心線64とトルク線65とのなす角度をΘ、垂線63と重心線64とのなす角度をΘとする。
【0082】
なお、走行面27が水平面であり、筐体13がy軸方向に傾いていない理想状態においては、Y平面は、重心点61、中心点62、重心線64、垂線63、接地点27aのすべてを含んでいる。以下の説明はこれを前提として行う。なお、走行面27が水平面ではない場合や筐体13がy軸方向に傾いている場合においては、以下に説明する動作とは若干異なるがy軸方向の傾きが小さい場合には、このような理想状態とみなしても大きな誤差を生じないので、筐体13がy軸方向に傾いていない理想状態を基に以下の説明を行う。またX平面に平行な断面においても同様に説明されるがこの説明は省略する。
【0083】
まず、筐体13が移動せずに走行面27上の定位置に留まっている状態におけるバランスについて説明をする。図9に示すように、球状回転体17は走行面27の接地点27aにおいて略一点で接するのであるが、重心点61の位置が接地点27aより高い位置にあるため、接地点27aを通る重心線64と垂線63とが一致する場合にのみバランス、すなわち重心点61を一点に留める静止状態を保つことができる。しかし、重心線64と垂線63とが略一致して重心点61が静止状態位置の近傍にある場合は、制御系として観れば、この点は不安定平衡点であるため、わずかでも前後方向や左右方向のいずれかに重心点61の位置がずれると、球状回転体17が回転して重心点61が走行面27の下方へと移動し、筐体13は静止して一定の位置を保つことができない。したがって、筐体13の静止状態を保って安定状態を維持するためには、操車者12が巧みにバランスを取って安定状態を維持するか、若しくは他の手法により安定状態を維持することとなる。接地点27aを通る重心線64と垂線63とを常に一致させるように操車者12が身体を移動させることにより重心点61を移動させてバランス状態を保つことは操作者の熟練を要し一般には困難であり、操車者12に大きな負担を負わせることになる。そこで、第一の実施形態における搬送装置では、操車者12に負担を負わせてバランスを保つのではなく、球状回転体17を回転することにより生じるトルクをバランスを保つための要因として導入し、バランスを取りつつ、球状回転体17の回転運動に伴ない筐体13全体を移動させるものである。
【0084】
重心点61における球状回転体17を除いた椅子形状搬送装置11と操車者12との合わせた重量をWとすると、図9に示すように、重心点61においてトルク線65に垂直方向に働く力Fは、
【数1】
Figure 2004129435
と表される。ここで、Θは、角度センサ部550によりY平面における傾き角度Θとして検出されるものであり、X平面における議論をする場合には、ΘはΘである。また、重心点61、中心点62、及び接地点27aがなす三角形に注目すると、Θ、Θ、及びΘの間には、
【数2】
Figure 2004129435
の関係が成り立つ。なお、図9においてはΘ>0とする。
【0085】
一方、球状回転体17に回転力が加わるとトルクT発生し、重心点61において重心線64と直交する方向にトルクTに対してトルク反作用が加わるのであるが、このトルク反作用をFと表すと、その大きさは、
【数3】
Figure 2004129435
と表される。ここで、Fのうち、Fとベクトルの方向が反対の成分をFとすると、Fは、
【数4】
Figure 2004129435
と表される。ここで、数5が成り立つ場合には、重力により落下する力とトルクによる落下に反する力が平衡して、筐体13の位置は、バランスを保ち、球状回転体17との関係において定位置に留まる。
【数5】
Figure 2004129435
数1と数3と数4を数5に代入して数6を得る。
【数6】
Figure 2004129435
【0086】
数6の意味するところを以下に説明する。重心点61の位置が球状回転体17の外側にある場合、筐体13及び操車者が走行面27に対して接近していない範囲、すなわち、Θ<90°の範囲では、重心点61と中心点62との距離Lは重心点61と接地点27aとの距離Mに較べて小さくなる。そのため、Θ>Θの関係が成り立ち、Θを変化させたとき、各々の角度の変化量ΔΘ、ΔΘについてΔΘ>ΔΘの関係が成り立つ。
【0087】
数6において、Θが単調増加(減少)したときsinΘは単調増加(減少)し、Θが単調増加(減少)したときcosΘは単調減少(増加)する関数であるため、トルクTを大きくする場合、Θを大きくすると数6を成立させることができ、安定状態を保つことができる。逆に、重心点61の位置を常に一定にして安定状態を保つためには、Θ及びΘの大きさに応じて数6の条件を成立させるトルクTを発生させなければならない。このとき、数2により、ΘはΘにより一意に定まるΘの関数であるため、数2を通じてΘの変化とΘの変化とは同一視でき、Θのみを検出し、Θのみの大きさに応じてトルクTを調整して重心点61の位置を常に安定状態に維持することができる。また、トルクTにより発生するFがFより大きいと重心点61の位置は上方へと持ち上げられ、一方でトルクTにより発生するFがFより小さいと重心点61の位置は下方へと向かう。したがい、フィードバックループの作用でΘとトルクTとの関係が適切に維持されるならば、重心点61、すなわち筐体13の姿勢は適切に保たれ、操車者12は、自ら安定化のための動作をすることなしで、椅子形状搬送装置11に着座して走行することができる。
【0088】
図9は筐体13及び操車者12が球状回転体17上で操車者12の前方に傾いた場合であるが、筐体13及び操車者12が球状回転体17上で操車者12の後方に傾く場合も前述のように、筐体13及び操車者12が球状回転体17上で操車者12の前方に傾いた場合、すなわち重心線64と垂線63とのなす角度Θ、が正となる場合と同様に説明される。筐体13及び操車者12が球状回転体17上で操車者12の後方に傾く場合、すなわち重心線64と垂線63とのなす角度Θ、が負となる場合、Fの力の働く方向が後方向となる。したがって、トルクTの方向を逆方向、すなわち球状回転体17を逆方向に回転させ、椅子形状搬送装置11はバランス状態を保って安定に走行することができる。なお、バランス状態を維持するのに必要なトルクTが、回転機器22の供給可能なトルクを超える場合には重心点61の位置を維持することができず、重心点61は下方へと向かい、筐体13及び操車者12は静止することができない。なお、Θを零付近に保つと、細かく微動して走行しながら略一定の位置に椅子形状搬送装置11は静止することができる。
【0089】
椅子形状搬送装置11全体を制御系とみなした場合のフィードバックループの作用を次ぎに説明する。数6は三角関数を含む式であり取り扱いが不便であるので、近似式で説明する。実際のフィードバックループの作用も近似式で表したものと大きな差は生じない。トルクTの調整は回転機器22への印加電力、例えば電動機が直流機である場合には、電機子に流れる電機子電流の量の調整により行うことができる。数6において、Θが小さいとき、sinΘはΘ、cosΘは1で近似できるので、数6で表されるΘとTの関係は、
【数7】
Figure 2004129435
と近似することができる。さらに、トルクTと回転機器の電機子電流Iとには、一般的には略比例関係があるので、数7を書きなおして、
【数8】
Figure 2004129435
を得る。ここで、Kは定数である。
【0090】
数7で表されるΘとトルクTとの間の関係、数8で表されるΘと電機子電流Iとの関係が、y軸方向及びx軸方向のいずれの方向に移動する場合についても成り立つ。そのため、y軸方向及びx軸方向の両方向に移動する場合に、同時に球状回転体17をX平面とY平面において回転させ、前述のようにトルクの制御を行えば、椅子形状搬送装置11は全方向に安定走行することができる。
【0091】
操車者12が、重心の位置を少しずらしΘを零の近傍で正負に変化させた場合、駆動部18は球状回転体17にトルクTを与えて前後方向(x軸方向)や左右方向(y軸方向)に移動するが、操車者に負担を課すことになるので、位置制御を行うことによりこのような負担を軽減することができる。すなわち、位置制御が行われている場合には、筐体13をもとの位置に戻し、略一点で静止することができる。椅子形状搬送装置11が走行して移動する際には位置制御のループを切れば最初の位置に戻ることなく操車者が行こうとする方向に体重を移動させるとその方向に安定した走行が可能となる。ここで、位置制御ループを切る操作は、位置センサ部551からの出力信号を零に置き換えることにより容易に実現できる。位置制御ループは後述する状態フィードバックの一要素であるので、後述する状態フィードバックの位置の状態変数に対応する係数を零とするか所定の値とするかによっても実現できる。
【0092】
なお、表示部16に設けられた操作ボタンにより操作信号を演算部51に送出して位置制御のONとOFFの状態を切り替えることができるようにして静止モードと走行モードとを切りかえることができる。
【0093】
前述のように、制御系はy軸、x軸、及びz軸に沿ったそれぞれ個々に独立した制御機構から成り独立の制御系としてフィードバックループを構成する。以下にフィードバックループの内容を詳細に説明する。
【0094】
y軸方向を進行方向とする場合についてのフィードバックループの説明をする。センサ部55の角度センサ部550のセンサ550bがX平面上での筐体13の傾き角度としてΘを検出し、角度センサ部550により検出されたΘは、演算部51に対して出力され、Θを入力された演算部51ではΘに対して演算処理を施す。例えば、最も簡単な演算としては、演算部51において制御ゲインを掛けられたり位相補償を施されて制御信号として回転機器22bに出力される。
【0095】
ここにおいて、位相補償は、制御系の応答を速くしたり、制御系の開ループのゲインを向上したりするために行う。駆動部の全体としての伝達特性は、主として回転機器22の伝達特性により支配される。ここで、回転機器22の伝達特性は零周波数に極を有する、すなわち、直流において無限大のゲインを有する二次系である。このような伝達関数を含む系の開ループのゲインを増加させて、かつ、周波数応答特性を向上させるためには、通常、低域で遅れ補償を行い低域のゲインを向上させ定常偏差を小さくし、広域で進み補償を行い広域での位相余有を増加させて広域でのゲインを増加することを可能として応答特性の向上を図る。
【0096】
具体的には、ラプラス変換をした伝達関数をG(S)で表し、ω1乃至ω4を角周波数とすると、低域の位相補償GL(S)はGL=(S+ω2)/(S+ω1)、高域の位相補償GR(S)は、GL=(S+ω3)/(S+ω4)であるので、全体の位相補償特性GPは、GP=(S+ω2)/(S+ω1)*(S+ω3)/(S+ω4)となり、回転機器22の電気子電流I22=Kg*(S+ω2)/(S+ω1)*(S+ω3)/(S+ω4)*Θ1として演算される。ここで、Kgはゲインを定める定数であり、ω1>ω2>ω3>ω4である。このような位相補償を実現するためには、デジタル処理に適した離散時間処理をするためにS領域からZ領域へ変換して、デジタルフィルタの演算式を求めて、演算部51において、ラグ・リード・デジタル・フィルターを実現する演算を行えば良い。このような制御系は体重移動により生じる傾き外乱Θcdに応じて自動的にトルクTを制御して制御系を安定化する。すなわち、y軸に設けられた回転機器22bを制御して、球状回転体17をX平面で回転させて、筐体13をx軸方向を進行方向として定定走行させる。同様に、センサ部55の角度センサ部550のセンサ550cがY平面上での筐体13の傾き角度としてΘを検出し、角度センサ部550により検出されたΘは、演算部51に対して出力され、Θを入力された演算部51ではΘに対して位相補償の演算処理を施し、x軸に設けられた回転機器22cを制御して、球状回転体17をY平面で回転させて、筐体13をy軸方向を進行方向として定定走行させる。
【0097】
筐体13が、X平面とY平面の両方において傾いている場合には、x軸、y軸の両方のサーボループの作用により、球状回転体17はX平面とY平面の両方において回転し、回転による合成力に応じた方向へと安定に進行する。
【0098】
上述したように、傾き角度のみを制御変数としてフィードバック制御を行えば、原理的には安定走行を行うことができる。しかしながら、別の演算の例として、駆動部18を制御系に含む場合には、これらの構成部分の動作に関する変数を状態変数として取りこんだ演算が性能向上に寄与する。すなわち、制御系のすべての制御変数をフィードバックする状態フィードバックに基づく制御演算である。ここで、各状態変数のフィードバック係数を所定の評価関数を最大または最小とするように定めながら、すべての状態を原点に収束させる制御は最適レギュレータとして従来から良く知られている。また、各係数を求める手法は、リカッチ方程式の解法として広く知られている。
【0099】
表1は、以下で用いられる記号を示す。なお、筐体13及び操車者12の重心点61と接地点27aとを結ぶ重心線64をΩ軸とし、接地点27aから重心点61へと向かう方向をΩ軸の正方向とする。また、トルク線65と垂線63とがなす角度Θは、センサ550bが検出する傾き角度の値Θまたは、センサ550cが検出する傾き角度の値Θである。また、第1の実施例における状態変数は、すべて表1に示されている。
【0100】
【表1】
Figure 2004129435
【0101】
ブロック図10及び図11を用いて、状態フィードバックについて更に説明する。図10はy軸についての(X平面における)制御系の全体図であり、図11は、後述する数9乃至数11に示した演算を実現する制御部25での演算処理の一例を示すブロック図である。センサ部55により検出された駆動状態検出信号および角度検出信号は、図中において実線矢印で示されるような流れで情報処理される。図中で添え字を付せられたKは、上述した数式中の係数を表し、各種の駆動状態検出信号または角度検出信号に乗算されることを示している。また、図中におけるΣの記号は、各種情報の和を求めることを示している。
【0102】
数9に最適レギュレータの演算式を示す。数9における所定の定数であるKc1、Kc2、Kc3、Kc4は前述のリカッチ方程式を解いて求められたものである。数9のΘ、dΘ/dt、D、dD/dtは、回転機器22cのトルクTの関数、すなわち数8により回転機器22cの電機子電流I22cの関数であるので、閉ループの制御系を構成して定数Kc1、Kc2、Kc3、Kc4の設定値を適切に設けると、時間の経過に従い、原点Oにすべての状態変数が収束する漸近安定特性を生じさせることができる。
【数9】
Figure 2004129435
ここで、Kc1、Kc2、Kc3、Kc4はこの係数の組み合わせを変えることにより、例えば、応答特性を高周波まで伸ばし操車者12の体重移動に早く追従する特性にしたり、消費電力を最小に設定したりすることができる。また、状態フィードバックは制御系のすべての状態変数を取り扱うために、Θのみを取り扱う方法に比べてより高度の制御、例えば、位置制御や速度制御を傾き角度制御と組み合わせることが可能である。
【0103】
Θcdは、体重移動により生じる外乱であり、サーボループが動作している場合には、この外乱Θcdを打ち消すように回転機器22cに電流が供給される。ここで、位置制御のゲインKc3を零ではなく所定の値に設定した場合においては、最初の点より筐体13が移動するとDの大きさが大きくなり、最初の点に筐体13を引き戻すように作用する。
【0104】
また、位置制御のゲインKc3を零として、定常的な外乱Θcdを与えることによって、x軸方向に筐体13を移動させることができる。例えば、前方方向に重心を移動させて、重心点61を垂線63より常に前方となるように、すなわちΘcd>0となるように設定しておくと筐体13はx軸方向の正方向つまり筐体13の正面方向へと移動し続ける。
【0105】
また、位置制御のゲインKc3を零として、後方方向に重心を移動させて、重心点61を垂線63より常に後方となるように、すなわちΘcd<0となるように設定しておくと筐体13はx軸方向の負方向つまり筐体13の裏面方向へと移動し続ける。
【0106】
y軸に沿った制御機構により構成される制御系のフィードバックについては、回転機器22bが直流電動機である場合には回転機器22bの電気子の電流をI22bとして、数10は状態フィードバックを実現する演算部51における演算則である。この演算則で実現される制御系は、時間の経過に従い、原点Oにすべての状態変数が収束する漸近安定特性を生じさせることができる。
【数10】
Figure 2004129435
【0107】
y軸方向の沿った制御機構が構成するフィードバックループ及びx軸方向に沿った制御機構が構成するフィードバックループに加えて、重心線64であるΩ軸に沿ったフィードバックループが構成されており、これによりΩ軸に沿ったフィードバック制御が行われる。
【0108】
Ω軸を中心とする回転の制御は、重心線64を軸とした回転の制御であり、z軸に沿った球状回転体17の回転の制御である。例えば、Ω軸を中心とする回転の制御は、操車者12が、表示部16の操作ボタンを操作することにより左右方向などに回転運動を行うことができる。すなわち、右回転の操作ボタンをONとすれば、現在の球状回転体17の接地点27aを中心として右回転を行う。逆に左回転の操作ボタンをONとすれば、左回転を行う。なお、Ω軸を中心とする回転の制御はx軸の制御、y軸の制御と同時に行うことができる。
【0109】
Ω軸に沿った回転の制御は、回転機器22aの電気子の電流をI22aとすると数11で表される演算則に従い行われる。
【数11】
Figure 2004129435
ここで、KΩ1、KΩ2は所定の定数であり、Ω及びdΩ/dtは筐体13の所定の点を基準とする角度、及び角速度である。
【0110】
Ω1=0とした場合において、KΩ2に値を代入するに、例えば、右回転の操作ボタンを押しときにはKΩ2に正の値、左回転の操作ボタンを押したらKΩ2に負の値が代入されるようにすると、回転方向を制御することができる。また、Ωに所定の値を代入する場合には、所定の角度だけ回転した後に回転動作を終了させることができる。Ωとして、所定の基準方向角度Ω、KΩ1、KΩ2に所定の値を代入すると、常に一定の方角がy軸となるように球状回転体17と筐体13の位置関係を保つことができる。なお、ここにおいて、角速度dΩ/dtをフィードバックしているが、KΩ2の大小により制御系の即応性が決まる。基準方向角度Ωは、磁気コンパスやジャイロコンパスにより検出するのであるが、基準方向角度Ωとして一定の方位を入れれば、その一定の方位へ常に移動することとなる。
【0111】
また別の制御方法を示す。図11のブロック図において、Kbを零とし、すなわち回転機器22bを動作させることなく、Kzを所定の値とし、本来回転機器22bを動作させるべき信号に基づき回転機器22aを動作させるものである。
【0112】
このような制御を実現するために、KΩ1、KΩ2、Kbのいずれをも零としてKzを所定の値とする場合においては、筐体13はy軸方向へと進行することはなく、替わりに筐体13は回転を行い、その結果、操車者12の顔が常に進行方向へ向くように制御される。重心点61の移動により操車者12から見て横に移動したり後ろに移動したりする動作においては、操車者12の視界は前方に限られるため危険な場合もあるが、このような制御を行えば、進行方向と視界の方向とを常に一致させることができ、操車者12は視界に進行方向の状況を確認することができ、安全に椅子形状搬送装置11を操車することができる。
【0113】
なお、このような制御をおこなうためには、最小限、必要な信号はΘであり、演算部51において、Θに位相補償を行い、適切なゲインに調整後、回転機器22aの駆動信号としても良い。既に述べたように、すべての状態変数をフィードバックすると、種々の評価関数を最小あるいは最大にするという意味での最適化が図れるので、より特性の向上が図れる。
【0114】
ここにおいて、Z平面における制御が高速でなされれば、結果として、y軸方向、すなわちX平面における傾きはZ平面の回転という手法により零とすることができるので、y軸方向に進行させるための駆動力が働くことはないので、y軸方向の制御は不要ということになり、その結果、y軸制御に関連する機構部分は不用となる。これにより、装置の簡略化に寄与することとなる。また、K、K、KΩ1、KΩ2、のいずれをも零ではない所定の値に設定すれば、回転機器22aの作用によりX平面における傾きを修正しつつ、回転機器22bはy軸方向へ進行をさせるより小さい駆動力を発生させれば、安定状態を保つことができるので、y軸に関する機構の簡略化、省電力化及び小型化が図れる
【0115】
このような制御系においては、上述した制御が作用している限りは重心の移動方向へ球状回転体17は移動することとなるため、例えば、操車者12が、行きたい方向へ重心を移動させるだけで自由に進行方向を選択でき、重心の移動量を大きくすれば、それに伴い移動速度も増加することとなるので、操車が簡便なものとなり、体の不自由な人やこでも容易に操車ができる。
【0116】
このように、第一の実施例における椅子形状搬送装置11は球状回転体17を回転させて移動するため、車輪が球状という形状を有するため、全方向に滑らかに移動することができ、複数の駆動部18の各々を組み合わせて駆動させて容易に全方向に移動させることができる。
【0117】
[第二の実施例]
次に、図12に他の形状の搬送装置として第二の実施例である板形状搬送装置を示す。図12は板形状搬送装置31上に搬送対象であり板形状搬送装置31を操車する操車者33が立った状態で乗車する板形状搬送装置の概略斜視図を示す。ここにおいて、第一の実施例における部材と第二の実施例における部材について、同一の構成、作用をする部材にはその対応を示して説明を省略する。球状回転体37は球状回転体17に、筐体32は筐体13に、操車者33は操車者12に、表示部36は表示部16にそれぞれ対応する。
【0118】
図12に示すように、板形状搬送装置31は球状回転体37と筐体32と足台34とを有する。ここで、板形状搬送装置31においては、操車者33の全体重は足台34によって受けられ、足台34と筐体32とは操車者33の重心の移動が筐体32に伝わる程度に固定されている。足台34と筐体32とは一体に形成されたものであっても良い。
【0119】
さらに、椅子形状搬送装置11では球状回転体17を駆動および制御する駆動部、センサ部、及び制御部に関する情報を表示する表示部16が形成さていたが、板形状搬送装置31に表示部を形成する場合、操車者33を保持する足台34が操車者33の目線より下となるために、またスポーツ感覚で操車者33が足台34に乗るために余計な突起物をなくすために例えば、手元のリモコン35に小型の表示部36を設け、表示部36に表示される表示内容に応じてリモコン35に設けられた図示しない操作ボタンにより指令をだし、操車することができるようにしても良い。この際、リモコン35は制御部と無線で通信を行い、リモコン35に設けられた操作ボタンの操作により図示しない制御部を介して板形状搬送装置31を操車する。
【0120】
板形状搬送装置31では、従来例における遊戯やスポーツで用いられるスケート・ボードのように、操車者33の体重移動により移動方向を操作するとともに、手元のリモコン35に設けられた操車ボタンで球状回転体37の回転角度や回転速度の制御を行えば、スポーツ感覚の搬送装置として、体重移動に加えてボタン操作により、より複雑な操車を行うことができる。
【0121】
前述の椅子形状搬送装置11と同様に、板形状搬送装置31は球状回転体37により駆動されるため、板形状搬送装置31に操車者33が最初に乗車して発車する際や移動後に停車して降車する際に板形状搬送装置31が不安定となった場合に対する補助として筐体32または足台34に図示しないスタンドを設けても良い。スタンドは棒状の支持物又は板状の支持物であり、板形状搬送装置31を水平に立たせることができる支持物であれば良い。スタンドは、前述の椅子形状搬送装置11のように3つ形成しても良いし、また例えば従来例における自転車のように1つであっても良く、板形状搬送装置31の発進時や停止時に不安定となる場合に板形状搬送装置31を支持することができれば良い。また、スタンドの設置位置に関しても、板形状搬送装置31を支持することができる位置に設けられるのであれば、スタンドの取りつけ位置に特に制約はない。
【0122】
[第三の実施例]
図13は、第三の実施例である支持部付搬送装置の概略斜視図である。第一の実施例における部材と第三の実施例における部材について、同一の構成、作用をする部材にはその対応を示して説明を省略する。球状回転体47は球状回転体17に、筐体43は筐体13に、操車者42は操車者12にそれぞれ対応する。
【0123】
図13に示すように、支持部付搬送装置41は球状回転体47と筐体43と足台44と支持部45とを有する。筐体43には、操車者42が立つ足台44が結合され、この足台44に操車者42の身体部を支持する支持部45が形成されている。筐体43と足台44と支持部45とが一部材で一体成形されていても良い。
【0124】
さらに、支持部付搬送装置41には、図示しない表示部が備えられており、例えば、表示部は支持部45に形成される。支持部付搬送装置41を操車する上で、例えば、第二の実施例において用いたリモコン35により、表示部に表示される表示内容に応じて操車することができるようにしても良く、この際にはリモコンは制御部と無線で結合し、リモコンの操作は制御部を介して支持部付搬送装置41を操車する。
【0125】
前述の椅子形状搬送装置11と同様に、支持部付搬送装置41が球状回転体47により駆動されるため、支持部付搬送装置41に操車者42が最初に乗車して発車する際や移動後に停車して降車する際に支持部付搬送装置41が不安定となった場合に対する補助として筐体43または足台44にスタンドを設けても良い。
【0126】
【第二の実施形態】
第二の実施形態における搬送装置について図面を参照して説明する。第二の実施形態における搬送装置の形状の一例である第四の実施例として、椅子形状をした筐体に操車者が着座した状態で搬送される車椅子の形状をした搬送装置(これを以下では椅子形状搬送装置と呼ぶ)について説明する。また、第一の実施形態と同様に、板形状搬送装置や支持部付搬送装置の形状であってもよい。また、第一の実施例で定義したx軸、y軸、z軸及びx軸正方向、x軸負方向、y軸正方向、y軸負方向、z軸正方向、z軸負方向、及び筐体正面方向、筐体裏面方向、筐体左方向、筐体右方向、筐体重力方向、筐体反重力方向、及びX平面、Y平面、Z平面及び筐体横平面、筐体前後平面、筐体水平平面の定義は第二の実施の形態でも同様である。
【0127】
[第四の実施例]
図14は第四の実施例である椅子形状搬送装置81の概略斜視図である。第一の実施例乃至第三の実施例におけるのと同一の構成、作用をする部材にはその対応を示して説明を省略する。
【0128】
図14に示すように、椅子形状搬送装置81は導電性材料から構成される球状回転体87と、球状回転体87上に設けられた筐体83並びに、操車者を保持するための部材である座席84と支持部85aと足台85b及び操車者とのマンマシンインターフェイスである表示部86とを有する。ここで、第一の実施例との対応関係は、支持部85aは支持部15aに、足台85bは足台15bに、座席84は座席14に、表示部86は表示部16に対応する。
【0129】
球状回転体87は、渦電流を生じさせるために導電性を有する材料であって、電気伝導度の大きい材料から構成される。球状回転体87は、一例として、アルミニウム、鉄、銅などの金属材料を用いて形成することができる。また、後述するように回転磁界により発生する渦電流は球状回転体87の表面に発生するため、球状回転体87の内部は中空にしても良いし、また中実としても良い。椅子形状搬送装置81としての乗り心地を考慮した場合には、弾力性を有する素材を用いて球状回転体87を構成することにより走行面との接触の振動を防ぐことが好ましく、椅子形状搬送装置81の使用用途により球状回転体87の材料は選択される。
【0130】
このように第一の実施形態における搬送装置では駆動部が有する回転部のローラー部材が球状回転体を圧接して力学的な力により球状回転体を回転させるのに対し、第二の実施の形態においては球状回転体は導電性材料から構成され、駆動部が有する駆動回路部が導電部材に印加する電気信号により磁界を発生させ、この磁界と球状回転体87に生じる渦電流との相互作用により球状回転体87が回転する。
【0131】
第四の実施例における搬送装置の略球形状の回転体を駆動させる駆動機構について説明するに際して、まず図15乃至図18を用いて駆動機構の構造について説明し、次に図19乃至図22を用いて略球状の回転体の動作原理及び動作の制御について説明する。なお、以下において、前述の図14に示す椅子形状搬送装置を用いて説明するが、第一の実施形態の実施形態における第二の実施例の板状搬送装置(図12)や第三の実施例の支持部付搬送装置(図13)に関しても同様な駆動機構により駆動することができる。
【0132】
第四の実施例においては、駆動部の構成が第一の実施の形態とは異なり、駆動部は、コアとこのコアに設けられた導電部材とから構成される。図15は駆動部のコアを示す概略斜視図である。駆動部は円環状の部材であるコア90を複数組み合わせた形状を成しており、コア90の内側には球状回転体87が配置される。コア90aには複数の巻線収容溝94a、94b、94cが形成され、コア90b、コア90cにも図示しない巻線収容溝が同様に設けられている。巻線収容溝94a、94b、94cは、コア90aの一部を切り欠いて設けられ、コア90b、コア90cに設けられた巻線収容溝についても同様である。導電部材がこの巻線収容溝に埋設されているので、コア90a、コア90b、コア90cの表面の位置より導電部材が突出し球状回転体87と接触をすることはない。
【0133】
コア90と球状回転体87とのアセンブリは、以下の順序で行われる。まず製造時にいくつかのブロックであるコア90a、コア90b、コア90cに切断した状態で製造され、次ぎにコア90a、コア90b、コア90cに導電部材を埋設した後、ベアリング保持部にベアリング88a乃至88dをマウントし、更に球状回転体87を所定の位置に装着した後に各ブロックを組み合わせる。これによりコア90a乃至コア90cによって構成されるコア90に球状回転体87を内包するアセンブリ工程が完成する。
【0134】
巻線収容溝94a、94b、94cが形成される位置として、図15においては各ブロックの中心点97を中心として対称な位置としているが点対称な配置には限定されない。なお、駆動部の駆動回路部及びコア材の組数については、球状回転体87が全方向に駆動する際に駆動回路部部が発生させるトルクによる回転を合成した方向に球状回転体87は回転するので、3次元空間においては互いに独立な3個のベクトルにより任意のベクトルを張ることができるため、コア材は、90a乃至90cの3組設けるのが生産コストを低減する上で好ましい。更にコア90a乃至90cを直交配置とするのが効率の点よりより好ましい。
【0135】
また、導電性部材の個数、すなわちコア当たりの巻線収容溝の数は、コア材である90a、コア90b、コア90cの各々について回転磁界を発生させるのに十分な個数が必要とされ、正方向、負方向の回転に必要な磁界を発正させるための三相の交番磁界に対応して少なくとも3個必要とされる。ここにおいて、巻線の利用率を向上させるために、上述したように中心点97に対象な位置に設けた2つの巻線収容溝に1個の巻線構造に成形した導電性部材を3個用いるのが望ましい。しかしながら、交番磁界の相数も三相に限られるものではなく、導電性部材の個数も3個以上であっても良い。
【0136】
コア90は、後述するように球状回転体87が回転する際に磁路となるため、磁気材料から構成され、一例として、軟鉄やパーマロイの積層板を積み重ねたり、あるいはフェライトなどを用いたりすることにより形成することができる。ここで、軟鉄やパーマロイの積層板を積み重ねて形成する場合には、交番磁界による渦電流の損失を低減することができ、あるいは交番磁界の周波数が低い場合には軟鉄の塊を用いたとしても大きな性能劣化を生じることがない。
【0137】
図16は椅子形状搬送装置81の筐体83の内部を示す概略断面図である。図16に示すように、椅子形状搬送装置11の筐体83には回転体保持部が設けられており、回転体保持部は、複数のベアリング88a、88b、88cと図示しないベアリング保持器とを有し、各ベアリングは図示しないベアリング保持器に収められている。各ベアリングはベアリング保持器の中で自由に回転可能とされており、その結果として球状回転体87は、筐体13に対して自由に回転することができる。ここにおいて、ベアリング保持器はコア90a、コア90b、コア90cに設けても、コア90a、コア90b、コア90cとは別の部材を設け、その部材にベアリング保持器を設けても良い。図16はコア90a方向に関する断面であるが、効率を最高にするために、コア90a、コア90b、コア90cはお互いに直交するように配置されている。なお、第二の実施の形態においては、コアは、三組に限られず、また、お互いに直交しないものであっても良い。
【0138】
さらに筐体83には、垂線に対する筐体83の傾き角度と、球状回転体87の回転速度などの駆動状態を検出するセンサ部115が形成される。ここで、センサ部115の構成、作用は、第一の実施例と略同様であるが、筐体83の位置や速度の検出は回転軸23を介して行うことができないので、球状回転体87にロータリエンコーダを圧着する等により検出が可能である。また筐体83には、駆動部とセンサ部との間で信号の入出力を行って、センサ部が検出する傾き角度や駆動状態に応じて駆動部を制御し、球状回転体87の動作状態及び筐体83の傾き姿勢を制御する制御部110が形成される。制御部110には駆動回路部112a乃至駆動回路部112cから成る駆動回路部112が設けられている。駆動回路部は回転磁界を発生させるための交番電流電力発生回路であるインバータにより構成される。ここで、第一の実施の形態において、回転機器22として三相誘導電動機、あるいは、三相同期機が用いられる場合においては、略同様の構成で良い。
【0139】
図17はコア90aを示す概略斜視図である。コア90aの両側面のそれぞれには、導電部材を設けるための溝が形成されており、巻線収容溝94aと巻線収容溝94a’の内部に導電部材91aが巻回され、巻線収容溝94bと巻線収容溝94b’の内部に導電部材91bが巻回され、巻線収容溝94cと巻線収容溝94c’の内部に導電部材91cが巻回される。
【0140】
導電部材91a,91b,91cは駆動回路部112aが印加する電圧により電流が流れる予めコイル状に形成された部材を用いることができる。導電部材91a,91b,91cとしてコイルを用いる場合、巻線収容溝94aの中に巻かれるコイルはコア90aの側面に沿って、巻線収容溝94a’に至り、巻線収容溝94a’の中を通ってコア90aの反対側の側面に至り、再び、巻線収容溝94aの中を通るようにして巻回される。このときのコイルの巻数は単数でも複数で良い。また、コア90b、またはコア90cとコア90aとの接合部において、他のコアについての巻き線と交差するように各コイルは配設される。
【0141】
図18はコア90aを平面に展開して、コイルと巻線収容溝との関係を示す図である。図18に示すように、コア90のブロックであるコア90aには、一例として三対の導電部材91a、91b、91cが設けられ、導電部材91a、91b、91cは駆動回路部112aに接続される。後述するような駆動回路部112aは三相交番電流を導電部材91a、91b、91cに印加する。
【0142】
ここで、駆動回路部112aが印加する交番電流の相数は三相だけでなく種々の相数とすることができるが、駆動回路部112aが印加する交番電流の相数の整数倍の導電部材91がコア90aに設けられる。ここで、この整数倍の数は極数と称され、球状回転体87の外周部の一週に加わる回転磁界の振幅の山と谷の数である。
【0143】
図17に示すように、複数の導電部材91がコア90aの両側面に設けられる場合には、それぞれの対の導電部材91が相互に交わって導通するのを防ぐために相互に接触しないように絶縁処理が施されるか接触しないように交差される。導電部材91は、駆動回路部112aが印加する交番電流の相数や後述するような回転磁界の極数により配設構造が異なるが、導電部材91に電流が流れて導電部材91の周辺部に回転磁界が発生しているとき、回転磁界の発生にとって有効に作用する部分と有効には作用しない部分とが存在する。
【0144】
図18に示すように、コア90aの巻線収容溝94a、94b、94cの内部に通された有効部分92a,92b,92cが回転磁界の発生にとって有効に作用する部分である。また、コア90aの両側面の溝に設けられた非有効部分93a,93b,93cが回転磁界の発生にとって有効には作用しない部分である。このように、回転磁界の発生にとって有効な部分である有効部分92は、導電部材91に流す交番電流の相数や多相交番電流により発生する回転磁界の極数を多くすることにより、増加させることができる。さらに、回転磁界の発生に有効な有効部分92を増やすことにより、コア90aの両側面に設けられる導電部材91の長さ、つまり回転磁界の発生に寄与しない非有効部分93の長さを低減することができ、導電部材を効率良く利用することができる。
【0145】
駆動回路部112aが導電部材91a、91b、91cに電圧を印加して電流を流すと、導電部材91には回転磁界が発生する。図19に示すように、導電部材91の周辺部に発生する回転磁界に誘導されて、球状回転体87表面近傍には渦電流95が生じ、導電部材91の回転磁界と球状回転体87の渦電流95との相互作用により球状回転体87は回転する。このとき、磁界の進行方向と球状回転体87に働くトルクの回転方向とは一致し、トルク軸96を回転の中心軸として球状回転体87が回転する。
【0146】
すなわち、球状回転体87上に発生する渦電流95の方向と、有効部分92に発生する回転磁界の方向とが垂直となる。そのため、フレミングの左手の法則により、球状回転体87には渦電流95と回転磁界とに直交する力が働き、球状回転体87を回転させる力を発生させることができる。このような駆動機構は、一般には回転磁界と渦電流により円盤を回転させる原理である「アラゴの円盤」として著名なものである。
【0147】
駆動部は複数の駆動回路部である駆動回路部112a、駆動回路部112b、駆動回路部112cを有し、第四の実施例においては、駆動回路部112aは導電部材91a乃至導電部材91cに、駆動回路部112b、駆動回路部112cは図示しない各々三組の導電部材に、接続されている。
【0148】
コア90a、コア90b、コア90cのそれぞれごとに一つの方向の回転磁界を発生させ、コア90では三方向の回転磁界を発生させる。三方向の回転磁界に対応した回転力が球状回転体87に働き、球状回転体87は合成した回転力により360°いずれの方向にも回転する。このため、前述の第一の実施形態における回転機器22a乃至22cと、回転軸23a乃至22cと、ローラー部材24a乃至組み合わせにより実現できものと同様の運動が第四の実施例でも実現できる。
【0149】
図20は、駆動回路部112と導電部材91により生じるトルクTとすべりSとの関係、及び導電部材91に流れる電流IとすべりSとの関係を示すグラフである。ここですべりSとは、導電部材91への電圧印加によって発生する回転磁界と球状回転体87との相対速度、及び回転磁界の同期速度との比を表すものとする。グラフ中Saで示される位置は、トルクTが最大値を取るすべりSの値であり、すべりSの値がSaより右側の領域では電流Iの増加にともなってトルクTは増加し、すべりSの値がSaより左側の領域では電流Iの増加にともなってトルクTは減少する。
【0150】
そのため、駆動回路部112が球状回転体87に対して与えるトルクTを制御する場合、すべりSの値がSaに対して左右のどちらの領域にあるかを知ることにより、駆動回路部112が導電部材91に流す電流Iの変化とトルクTの変化を知ることができる。このような電流IとトルクTとの関係を知ることにより、球状回転体87が駆動する時に検出されるすべりSの値に従って駆動回路部112を制御するための制御信号を算出し、駆動回路部112が発生させるトルクTを所望の値とするために導電部材91に印加する電気信号の信号量を増加させるか又は減少させるかを知ることができ、導電部材91に印加する信号量を制御して駆動回路部112により発生するトルクTを制御することができる。
【0151】
トルクTが最大となるすべりSの値であるSaは、設計により定まる機械定数である。Saの値の測定方法は、例えば、回転磁界の同期速度N1と球状回転体87の回転速度N2とを検出し、トルクTが最大となったときのすべりSの値を計測すると、そのときのすべりSの値がSaとなる。
【0152】
トルクTが最大となるときのすべりSの値Saを計測する際、同期速度N1は駆動部が発生させる回転磁界の速度であるために実際に検出することは可能であり、また球状回転体87の回転速度は回転磁界が発生する軸上に設けた小型発電機などの速度エンコーダからの出力により検出することが可能である。同期速度N1及び球状回転体の回転速度N2を検出すると、制御部110のDSPなどの演算部ですべりSの値を演算処理により算出する。さらに、制御部110の演算部111においては、予め既知の機械定数であるSaと動作中のSの値からトルクと電流との関係が演算されて、導電部材に流れる交番電流電流Iを増加させるか減少させるかを判断することにより、フィードバック制御に必要な演算を行うことができる。ここで、交番電流電流Iの電流値を大きくするには交番電流の電圧を大きくすれば良く、交番電流電流Iの電流値を小さくするには交番電流の電圧を小さくすれば良い。
【0153】
なお、球状回転体87の駆動時の回転軸上に設けた速度エンコーダは、速度検出の目的に使われる小型発電機であり、球状回転体87に対して機械的な負荷を掛けることなく球状回転体87の回転速度を検出することができる。また、球状回転体87の回転速度を検出するのに、例えば光や音波を物体に向けて発し、その反射する成分により速度を検出するドプラ速度計を用いることができる。この場合、球状回転体87と筐体83との相対速度や走行面と筐体83との相対速度を検出することができ、球状回転体87の回転速度を容易に検出することができる。また、ドプラ速度計を用いる場合には、球状回転体87に接触することなく回転速度を検出することができ、球状回転体87に対して機械的負荷を全く与えることなく球状回転体87の回転速度を検出することができる。
【0154】
球状回転体87の駆動状態を制御する際、制御のために変化させることができるのは駆動回路部112が発生させる電圧の周波数と導電部材91に流される電流の電流量である。ここで、駆動回路部112が導電部材91に周波数f[Hz]の三相交番電流を印加すると、球状回転体87の回転数Rm[RPM]とすべりSとの間に、
【数12】
Figure 2004129435
の関係が成立する。
【0155】
そのため、導電部材91に印加する三相交番電流の周波数f[Hz]、球状回転体87の駆動時に検出されるすべりSから、制御部110の演算部で球状回転体87の回転数Rm[RPM]を算出し、球状回転体87の回転数Rm[RPM]を所望の値に制御することができる。また、球状回転体87を所望の回転数Rm[RPM]で回転させる場合には、制御部110の演算部において駆動する球状回転体87と所望の回転数Rm[RPM]とから三相交番電流の周波数f[Hz]を算出し、駆動回路部112が印加する電圧を制御して所望の回転数Rm[RPM]で球状回転体87を駆動させることができる。なお、図20において、駆動回路部112が発生させるトルクTのトルク曲線は、導電部材91に流れる電流Iを増加させると、電流Iの増加にともないトルクTが増加し、トルクTの軸方向に曲線全体が移動する。
【0156】
図21及び図22は、三相交番電流をコア90aの導電部材91aに印加した場合の球状回転体87上に発生する回転磁界を示す模式図である。コア90aには3組の導電部材91a、91b、91cが巻かれており、導電部材91に三相の交番電流を流して回転磁界が発生する様子を示す。他のコア90b、コア90cについても同様な磁界が発生する。
【0157】
なお、図21及び図22においては導電部材91の周辺部に発生する回転磁界は二極であるが、導電部材91の形成方法、個数、配置の選択により、二極以上の多極とすることができ、多極構成とした場合には、巻線の非有効部分の割合が減少し、巻線の利用効率を向上させることができ、また回転磁界の移動速度も極数に比例して遅くなる。交番電流の相数は三相だけでなく種々の相数とすることができる。このように、三相以上の相数の場合、回転磁界を発生させる電流を制御するのに行う演算が複雑となるが、例えば、制御部110の演算部にDSPなどを用いることにより、効率良く導電部材に流れる電流の電流量を算出することができる。
【0158】
図21(a)は、駆動回路部112aが導電部材91a、91b、91cのそれぞれに印加する三相交番電流の電流値の時間変化を示すグラフである。三相の電流は交番電流Iと、交番電流Iに対して位相が120度異なる交番電流IIと、交番電流Iに対して位相が240度異なる交番電流IIIとからなる。交番電流I乃至IIIは導電部材91a、91b、91cのいずれかに印加され、三相交番電流の印加にともなって各導電部材91に回転磁界が発生する。なお、図21(a)に示すグラフ図では各時刻t乃至tは等間隔である。
【0159】
図21(b)乃至図21(d)、並びに図22に示す模式図は、球状回転体87のコア90aに沿った断面と、導電部材91a、91b、91cの有効部分92に流れる電流と、電流によって発生する回転磁界を模式的に示したものである。図中○に・を組み合わせた記号は紙面裏側から紙面表側に向かって電流が流れることを示し、○に×を組み合わせた記号は紙面表側から紙面裏側に向かって電流が流れることを示す。
【0160】
図21(b)は時刻tにおける各導電部材91に流れる電流と、回転磁界の磁気曲線を示す。交番電流Iは導電部材91a′部分から紙面表側を通って導電部材91a部分に至り、紙面裏面側を通って導電部材91a′部分に戻る。交番電流IIは導電部材91b部分から紙面表側を通って導電部材91b′部分に至り、紙面裏面側を通って導電部材91b部分に戻る。交番電流IIIは導電部材91c部分から紙面表側を通って導電部材91c′部分に至り、紙面裏面側を通って導電部材91c部分に戻る。このとき、交番電流I乃至IIIの流路の周辺部分には図中に閉曲線で示した磁界が発生するが、時間経過と共に図21(b)から図22(h)に示すように、各導電部材91に流れる電流が変化するため、発生する磁界の方向が径時的に変化し、球状回転体87を貫通する磁界が回転することになる。この磁界が回転磁界であり、前述のように球状回転体87表面に発生する渦電流95との相互作用によって球状回転体87が回転する。
【0161】
次に図23に制御系のブロック図をしめす。基本的な構成は第一の実施例について示す図7と同じである。センサ部115はセンサ部55に、角度センサ1150は角度センサ550に、位置センサ1151は位置センサ551に、速度センサ1152は速度センサ552に、表示部86は表示部16に、制御部110は制御部25に、演算部111は演算部51に、駆動回路部112a乃至112cは駆動回路部52a乃至52cに対応する。各部材の構成作用は第一の実施の形態に置けるのと同様であるので説明を省略する。なお、駆動部113は上述した導電部材とコアとの組み合わせにより構成されるものであり、駆動信号は上述したように、周波数と導電部材の電流を変化させるものである。
【0162】
このように、第二の実施形態における搬送装置は球状回転体87を回転磁界を三次元方向に発生させ球状回転体87を任意の方向に回転させ、回転力により生じるトルクの大きさを任意に制御することができる。また、第一の実施例とは異なりローラー部材24に接触させることなく回転させるために、回転に寄与するローラ部材が負荷となり生じる損失が無く、効率的に球状回転体87を全方向に回転させて搬送装置を移動することができる。
【0163】
【第三の実施の形態】
第三の実施形態における搬送装置について図面を参照して説明する。第三の実施形態における搬送装置の形状の一例である第五の実施例として、椅子形状をした筐体に操車者が着座した状態で搬送される車椅子の形状をした搬送装置(これを以下では椅子形状搬送装置と呼ぶ)、及び第六の実施例として筐体上に操車者が立った状態で搬送され、操車者が捉まる手摺などの支持部を有する搬送装置(これを以下では支持部付搬送装置と呼ぶ)について説明する。駆動部については、第一の実施の形態における回転機器と回転軸とローラ部材との組み合わせであっても、第二の実施の形態における回転磁界と導電性の球状回転体を用いたもののいずれであっても良い。また、第一の実施例で定義したx軸、y軸、z軸及びx軸正方向、x軸負方向、y軸正方向、y軸負方向、z軸正方向、z軸負方向、及び筐体正面方向、筐体裏面方向、筐体左方向、筐体右方向、筐体重力方向、筐体反重力方向、及びX平面、Y平面、Z平面及び筐体横平面、筐体前後平面、筐体水平平面の定義は第二の実施の形態でも同様である。
【0164】
[第五の実施例]
図24、図25の斜視図に示す第五の実施例の椅子形状搬送装置131について説明する。図24は椅子形状搬送装置上に搬送対象であり椅子形状搬送装置の操車する操車者が着座した状態で乗車する椅子形状搬送装置の概略斜視図であり、図25は椅子形状搬送装置の概略斜視図である。
【0165】
なお図24及び図25に示すように、直交座標系の座標軸としてx軸、y軸、及びz軸を定義するが、この定義は第一の実施例における場合と同様であり、X平面、Y平面、Z平面の定義も第一の実施例と同様である。
【0166】
ここで、第五の実施例における部材の構成、作用が他の実施例におけるものと同じ場合については、対応関係を示して、説明を省略する。球状回転体137は、球状回転体17であっても導電性を有する球状回転体87であっても良い。球状回転体137が球状回転体17である場合においては、筐体133に含まれる各部材は第一の実施例において示した筐体13に含まれる部材による構成をとることができ、回転機器からの回転力を球状回転体137に伝えることができる。137が球状回転体87である場合においては、筐体133に含まれる各部材は筐体83に含まれる部材による構成をとることができ、電磁誘導作用により球状回転体137を回転機器の一部として用いることができる。
【0167】
図26に示す第五の実施例のスタンド146は第一の実施例におけるスタンド26と同一の構成、作用をする。
【0168】
図27は、椅子形状搬送装置131の重心位置を変更するための部材である第一カウンタウェイト部149c、第二カウンタウェイト部149bを、椅子形状搬送装置131の筐体133に設けた様子を示す内視図である。第一カウンタウェイト部149c、第二カウンタウェイト部149bの詳細な構造例は後述するが、椅子形状搬送装置131の重心位置を変更する程度の重量を有する部材の位置を変動させる部材である。また、第一カウンタウェイト部149cはx軸方向に重量の移動を行うように配置され、第二カウンタウェイト部149bはy軸方向に重量の移動を行うように配置されている。このため、第一カウンタウェイト部149cと第二カウンタウェイト部149bとにより二次元的に重心位置の変更を行うことが出来る。
【0169】
筐体133のY平面に平行な面に対する断面図を示す。図28に示すように、椅子形状搬送装置131の構成は、第一カウンタウェイト部149c及び第二カウンタウェイト部149bを除き、すべて第一の実施例と同じ構成となっているので、それらの部分については対応を示して説明を省略する。回転機器142と回転軸143とローラー部材144とは、第一の実施例の回転機器22と回転軸23とローラー部材24とに対応し、ベアリング保持器140及びベアリング141は、第一の実施例のベアリング保持器20及びベアリング21に対応する。
【0170】
図29は、椅子形状搬送装置131の重心位置の変更を行う部材であるカウンタウェイト部の構造を示す模式図である。ここでは第一カウンタウェイト部149cについてのみ説明するが、第二カウンタウェイト部149bも同様の構造である。
【0171】
第一カウンタウェイト部149cは、カウンタウェイト201cと、磁性体より構成される磁路部202cと、導電部材203cと、永久磁石204cとにより構成されている。カウンタウェイト201cは搬送装置の重心位置を変更することが出来る程度の重量を持った部材であり、導電部材203cに固定して取り付けられ導電部材203cと一体となり自由に移動可能となされている。磁路部202cはカウンタウェイト部149cの外形を形成する外枠部材であり、枠内部には永久磁石204cが固定配置されている。永久磁石204cの発生する磁界方向はカウンタウェイト201cの移動方向と垂直方向である。導電部材203cはコイル状の電気伝導体であり、永久磁石204cをコイル内側に挿入した状態で磁路部202cの枠に沿って移動可能となるように配置されている。
【0172】
図30は、他の構成を有するカウンタウェイト部の構造を示す模式図である。上述のカウンタウエイト部は、x軸、y軸方向に移動可能とされ、Z平面内の所定の範囲における重心の移動を可能とした。しかしながら、この構成によれば、二個のカウンタウェイト部を設ける必要がある。他の構成は、カウンタウエイト部全体を回転させることにより一個のカウンタウエイト部により同じ作用を生じさせることができるものである。ここにおいて重心の移動点の特定は、二個のカウンタウエイト部を用いた場合においては、x軸、y軸からなる直交座標を用いて行うが、一個のカウンタウエイト部を用いる場合には、x軸、y軸からなる二次元の直交座標を半径rと、角度ηからなる二次元の極座標に変換することによりこの構成を達成できる。
【0173】
回転カウンタウエイト部169の全体を回転させるための回転軸206に、図示しない回転動作を行うカウンタウエイト電動機の回転軸を結合することにより角度ηを可変とし、回転軸206からカウンタウエイト201dの中心までの半径r(図30の一点鎖線で表した長さ)を可変とすることによって同様の作用をなすものである。ここにおいて、カウンタウェイト201dはカウンタウェイト201cと、磁路部202dは磁路部202cと、導電部材203dは導電部材203cと、永久磁石204dは永久磁石204cとに対応しているので、構成、作用の説明は省略する。また、x、y座標からr、η座標への変換は、演算部181において、公知である直交座標から極座標への変換式に基づき行うことができる。
【0174】
回転カウンタウエイト部169を用いれば、制御部に形成されたカウンタウェイト駆動回路部から出力されるカウンタウェイト駆動信号に従って、導電部材203dに電流が流れることにより、導電部材203dと永久磁石204dの組み合わせによるリニアモータが動作し、カウンタウェイト201dおよび導電部材203dが磁路部202dの長手方向に沿って移動し、制御部に形成されたカウンタウエイト電動機から出力されるカウンタウエイト電動機駆動信号に従って、回転カウンタウエイト部169の全体が回転をする。このように、カウンタウエイトの長手方向及び回転方向への運動により重心の移動が行われる。以上において、制御部、カウンタウェイト駆動回路部、カウンタウェイト駆動信号、ウンタウエイト電動機、カウンタウエイト電動機駆動信号のいずれも図示されていない。
【0175】
次に制御系のブロック図31を用いて、制御系全体の構成を説明する。センサ部185はセンサ部55に、角度センサ部1850は角度センサ部550に、位置センサ部1851は位置センサ部551に、速度センサ部1852は速度センサ部552に、表示部136は、表示部16に、駆動回路部182は駆動回路部52に、駆動回路182a乃至駆動回路182cは駆動回路部52a乃至駆動回路部52cに、駆動部138は駆動部18に、回転機器142a乃至142cは回転機器22a乃至22cに、回転軸143a乃至143cは回転軸23a乃至23cローラ部材144a乃至144cはローラー部材24a乃至24cに、球状回転体137は球状回転体17に対応した構成と作用をなす。
【0176】
なお、第五の実施例の駆動部138及び球状回転体137を駆動部113及び球状回転体87に替えても第三の実施の形態においては発明の本質を変更することなく実施することができる。演算部181は演算部51と同様に、DSP,CPU、ハードウエアにより構成されるが、処理内容は演算部51により行われるものとは異なる。すなわち、第一の実施の形態及び第二の実施の形態において備えられていなかった構成であるカウンタウエイト駆動回路211bとカウンタウエイト駆動回路211cとが設けられているので、これを制御するカウンタウエイト制御信号を発生する。カウンタウエイト制御信号はカウンタウエイト駆動部211b及びカウンタウエイト駆動部211cとからカウンタウエイト駆動信号とを更に発生する。
【0177】
カウンタウエイト駆動信号は、二系統出力され、カウンタウエイト駆動回路211cからの信号は第一カウンタウェイト部149cに、カウンタウエイト駆動回路211bからの信号は第二カウンタウエイト部149bに加えられる。第一カウンタウェイト部149cに加えられたカウンタウエイト駆動信号は導電部材203cに電流を流しカウンタウェイト201cを移動させ、第二カウンタウエイト部149bに加えられたカウンタウエイト駆動信号は導電部材203bに電流を流し、第二カウンタウエイト201bを移動させ、二次元方向に重心の移動を行う。
【0178】
なお、第一カウンタウェイト部149c及び第二カウンタウエイト部149bに変えて前述した回転カウンタウエイト部169を用いることができる。この場合においては、カウンタウエイト駆動回路部211b及びカウンタウエイト駆動回路部211cに変えて、導電部材203dに電流を流すためのカウンタウエイト駆動回路部211bまたはカウンタウエイト駆動回路部211cと同様な図示しないカウンタウエイト駆動回路部と、カウンタウエイト電動機に電流をながすためのカウンタウエイト電動機駆動回路部とを設ける必要がある。なお、この場合においては、センサ部185の角度センサ部1850に設けられた直交座標についての傾き角度を検出するセンサ1850bと1850cからの信号を演算部181において座標変換し、傾き角度の絶対値RΘと角度方向の成分Θηを求める演算を予め行い、その後の所定の制御則に関する演算をしなければならない。RΘに基ずく信号が、カウンタウエイト駆動回路部に入力され、Θηに基づく信号が、カウンタウエイト電動機駆動回路部に入力される。
【0179】
あるいは、角度センサ部1850において、当初より、回転カウンタウエイト部の移動と座標が一致する半径rに対応する傾き角度の絶対値RΘと回転カウンタウェイト部169における筐体133の所定の位置を基準とした角度Θηを直接検出し、座標変換の処理を経ることなく用いても良い。
【0180】
第五の実施例における制御部145の構成を図32のブロック図を用いて説明する。ここにおいて、センサ部185は、センサ部55と同一の構成、作用をなし、演算部181は、細部の演算則は上述したように異なるものの、演算部51と同様の構成である。バスラインの制御により、センサ部185、表示部136、駆動回路部182と信号のやり取りを行う点においても同様である。表示部136は表示部16と同様の構成で、同様の作用をなす。
【0181】
図33を用いてどのように椅子形状搬送装置131が制御されるかの原理を説明する。図33は球状回転体137が回転状態における力関係を示す断面模式図である。ここで、筐体133や操車者132の重量を代表させる点を重心点191、球状回転体137の中心を中心点192とし、走行面に垂直な直線を垂線193、重心点191と接地点147aとを結ぶ直線をトルク線195、重心点191と接地点147aとの距離をMとおく、重心点191と中心点192とを結ぶ直線を重心線194、重心点191と中心点192との距離をLとし、さらに垂線193とトルク線195とのなす角度をΘ、重心線194とトルク線195とのなす角度をΘ、垂線193と重心線194とのなす角度をΘとする。ここでは重心点191にカウンタウェイト部149の重量を含めないで考える。
【0182】
図33は、Y平面に平行な面上での球状回転体137での断面模式図であるが、他の断面においても同様に説明される。
【0183】
図33に示すように、球状回転体137は走行面の接地点147aにおいて略一点で接するのであるが、重心点191の位置が接地点147aより高い位置にあるため、接地点147aを通る重心線194と垂線193とが一致する場合に静止状態を保つことができる。重心線194と垂線193とが略一致して重心点191が静止状態位置の近傍にある場合は、制御系として不安定平衡点であるため、前後方向や左右方向のいずれかに重心点191の位置がずれると、重力により球状回転体17が回転して重心点191が走行面の下方へと移動し、平衡状態が維持できない。そこで、第一の実施形態における搬送装置では、操車者132に負担を負わせてバランスを取らせるのではなく、球状回転体137を移動させることにより重心点191が安定状態に位置するようにバランスを保ち球状回転体137の静止状態を安定に維持するものであり、一点において静止を行おうとすると現実には前後左右に細かく常に微動を繰り返す必要がある。第三の実施の形態は、球状回転体137の移動を行うことなく、完全な静止を行うことができる。
【0184】
このような球状回転体137を静止させて椅子形状搬送装置131が安定したバランス状態を維持する場合と、椅子形状搬送装置131が移動して走行する場合の動作についての説明は、第一の実施の形態において数1乃至数11を用いて説明したものと同様である。
【0185】
次に、図34を用いてカウンタウェイト部の駆動による搬送装置の重心位置制御について説明する。第一カウンタウェイト部149cのカウンタウェイト201cは、x軸方向に移動可能であるので、x軸方向のバランスのずれを調整できる。第二カウンタウェイト部149bのカウンタウェイト201bは、y軸方向に移動可能であるので、y軸方向のバランスのずれを調整できる。以下においては第一カウンタウェイト部149cの動作および制御についてのみ説明を行うが、第二カウンタウェイト部149bにおいても同様の動作および制御を行うものとする。
【0186】
図34は、球状回転体137が静止して椅子形状搬送装置131が静止した際の球状回転体137の静止状態におけるバランス状態の維持を示す断面模式図である。
【0187】
重心点191に働いている、接地点147aを中心とする回転モーメントMF11は、数13に示される。ここでLtは、接地点147aと重心点191との距離である。
【数13】
Figure 2004129435
一方、可動重心点196に働く接地点147aを中心とする回転モーメントMFcは、数14に示される。
【数14】
Figure 2004129435
ここで、Lcは第一カウンタウェイト部149cが動く軸の原点からの移動距離であり、Θは、接地点147aと可動重心点196を結ぶ直線が垂線193となす角度で、Lsは、接地点147aと第一カウンタウェイト部149cが動く軸の中心位置との距離であり、Wcは第一カウンタウェイト部149cの重量である。搬送装置が静止時においてバランスを保つには、次式が成り立たねばならない。
【数15】
Figure 2004129435
【0188】
ここで、数15が成り立つためには、sinΘとsinΘの極性が反対でなければならないことが解る。すなわち、第一カウンタウェイト部149cを移動させて、MFcの極性と大きさを変化させて、バランス状態を保つことができる。ΘとΘのいずれもが、零に近い微少量であるときには、近似値sinΘ=Θ、sinΘ=Θを代入して、数15は数16で近似できる。
【数16】
Figure 2004129435
この式を変形して、次式を得る。
【数17】
Figure 2004129435
【0189】
一方、Θは、次式で表される。
【数18】
Figure 2004129435
したがって、数17と数18より数19を得る。
【数19】
Figure 2004129435
したがって、Θを検出して、これに対応するΘを発生するLcを求め、このLcの位置に第一カウンタウェイト部149cを移動させれば、バランス状態を保つことができる。ここで、ΘからLcを計算するために演算部181が使われる。このような、フィードフォワードによってもバランスを保つことができるが、より安定した動作のためには、フィードバックによることがより望ましい。フィードバック制御によれば、Θの大きさに応じて自動的にバランスを保つ、すなわちカウンタウエイト部を制御して重心の位置を平衡点に常に移動させることができる。
【0190】
次に、搬送装置が移動している場合のバランス維持について説明をする。搬送装置が移動している場合にには、球状回転体137のトルクTの影響も加わるので、数20が成り立つ。
【数20】
Figure 2004129435
左辺の第1項は、重心点191の移動により発生する力であり、第2項は第一カウンタウェイト部149cの移動により発生する力である。右辺のトルクに対して、第1項、第2項のどちらのちからを作用させてもバランスをたもつことができるが、その割合は任意に設定できる。例えば、移動速度が所定の速度以上であるときは、第2項の力を零、たとえば、第一カウンタウェイト部149cを中心位置(Lc=0)に固定し、移動速度が所定の速度以下となったときは、第2項による制御を働かせれば、低速高速を問わず安定した走行が可能となる。このような制御を行えば、低速における移動に際しては第2項による制御が働き球状回転体137の回転が静止したときにおいても安定して操車者132を椅子形状搬送装置131上に保持することができる。
【0191】
また、第1項と第2項の成分にKc1、Kc2なる係数を掛けた和を電機子の電流Iaとする数21で表されるフィードバック制御を行えば、傾き角のみの調整ではなく駆動部138への駆動信号を表示部136に設けられた操作ボタンにより直接任意の値に設定すれば、重心の制御が可能な範囲において、所定の速度で、椅子形状搬送装置131は走行面147の上を安定して走行するように走行速度の制御が行えるので、制御部において筐体の傾き角度を検出して傾き角度が所定の値を上回った場合にはカウンタウエイト部を含む制御系の効果を一巡のゲインを上げることにより高めれば、走行速度が速くなっても無理な前傾姿勢を保つ必要がなくなる。
【数21】
Figure 2004129435
【0192】
上述の説明においては、x軸のみの制御について述べたが、y軸についても同じ制御を行えば、全方向に渡り安定したバランス制御を行って移動を行うことが可能となる。
【0193】
以上の説明においては、説明を簡単にするためにΘは、第一のカウンタウエイト121及び第二カウンタウェイト部149bの影響がない場合に検出される傾き角であるとして説明を行ったが、装置の動作中に、このような角度を検出することは不可能である。したがって実際には、第一カウンタウェイト部149c及び第二カウンタウェイト部149b並びに搬送装置および操車者132の重量の影響も含んだ傾き角をΘとして検出し、フィードバック制御により、カウンタウエイト部149の位置の制御を行うことが望ましい。この場合においては、フィードバックループの作用により、最終的に必ずバランス状態となるようにカウンタウエイト部149の位置が自動的に調整されるからである。
【0194】
図35は、数13乃至数21に示した制御部145での演算処理の一例を示すブロック図である。センサ部185により検出された駆動状態検出信号および角度検出信号は、図中において実線矢印で示されるような流れで情報処理される。図中で添え字を付せられたKは、上述した数式中の係数を表し、各種の駆動状態検出信号または角度検出信号に乗算されることを示している。また、図中におけるΣの記号は、各種情報の和を求めることを示している。このように、図35に示したブロック図による演算を行うことにより、センサ部185から制御部145に出力された駆動状態検出信号および角度検出信号に基づいて、数13乃至数21に示された演算が実行され、導電部材203c、203bに対してカウンタウェイト駆動信号が出力され、カウンタウェイト201c、201bの移動が行われ、重心位置のフィードバックループ制御を行うことができる。
【0195】
リモコン165により操車する場合、後述するようにサーボループを閉じた状態で、リモコン165の操作により、前進、後退、右方向、左方向、回転等の運動を手元で制御することができ、椅子形状搬送装置161を部屋や駐輪場などから操車者162の手元へと運ぶことができる。具体的には、カウンタウエイト部149の制御と駆動部138との制御を全く独立に行う。すなわち、駆動部138は、第一の実施例に示したような、カウンタウエイト部には無関係な制御が行われているとする。その状態で、リモコンを介してより、カウンタウエイト部149に制御信号を送り、椅子形状搬送装置131の前方に重心位置を移動させると椅子形状搬送装置131は前方に移動し、椅子形状搬送装置131の後方に重心位置を移動させると椅子形状搬送装置131は後方に移動し、椅子形状搬送装置131の右手方向に重心位置を移動させると椅子形状搬送装置131は右手方向に移動し、椅子形状搬送装置131の左手方向に重心位置を移動させると椅子形状搬送装置131は左手方向に自由に移動する。
【0196】
また別の方法としては、カウンタウエイト部におけるフィードバック制御を働かせつつ、駆動部138に印加する駆動信号をリモコンを介して制御すれば、リモコンからの信号に応じて、椅子形状搬送装置131を移動させることができる。より具体的には、例えば、dΘb/dtで表せるy方向の加速度に電気オフセットを与えると、その電気オフセットに応じた一定の速度で椅子形状搬送装置131はy軸方向に移動をし、例えば、dΘc/dtで表せるx方向の加速度に電気オフセットを与えると、その電気オフセットに応じた一定の速度で椅子形状搬送装置131はx軸方向に移動をする。このとき、カウンタウエイト部がバランスを保つ制御を行っているので椅子形状搬送装置131は安定して走行することができる。
【0197】
[第六の実施例]
次に、図36に第六の実施例である椅子形状搬送装置161上に搬送対象であり椅子形状搬送装置161を操車する操車者162が着座状態で乗車する椅子形状搬送装置の概略斜視図である。
【0198】
図37は、椅子形状搬送装置161の重心位置を変更するための部材である第一カウンタウェイト部169c、第二カウンタウェイト部169bを、椅子形状搬送装置161の座席164内部に設けた様子を示す内視図である。また、第一カウンタウェイト部169cはx軸方向に重量の移動を行うように配置され、第二カウンタウェイト部169bはy軸方向に重量の移動を行うように配置されている。このため、第一カウンタウェイト部169cと第二カウンタウェイト部169bとにより二次元的に重心位置の変動を行うことが出来る。第一カウンタウェイト部169c及び第二カウンタウェイト部169bの構成、作用は第一カウンタウェイト部149c及び第二カウンタウェイト部149bと同様である。その他の部材である球状回転体167、筐体163、足台164a、座席164、表示部166、リモコン165の構成、作用は他の実施例におけると同様である。
【0199】
[第七の実施例]
図38は、第七の実施例である支持部付搬送装置上に搬送対象であり支持部付搬送装置を操車する操車者が立って支持部に捉まった状態で乗車する支持部付搬送装置の概略斜視図である。
【0200】
図38に示すように、支持部付搬送装置171は球状回転体177と筐体173とを有する。筐体173は、上側筐体173aと下側筐体173bと筐体連結部173cとによって構成され、球状回転体177の上に搭載された下側筐体173b上に操車者172が搭乗し、下側筐体173bから上方に柱状の支持部材である筐体連結部173cが配され、筐体連結部173c上に上側筐体173aが配置されている。
【0201】
上側筐体173aには、操車者172の身体部を支持する支持部175が形成されている。また、上側筐体173aには支持部付搬送装置171の重心位置を変更するための部材である回転カウンタウェイト部179が配置されている。回転カウンタウェイト部179の構造例は、図30において回転カウンタウエイト部として説明したものである。支持部付搬送装置171の重心位置を変更する程度の重量を有する部材の位置を変動させる部材であり、回転カウンタウェイト部179自体が上側筐体173aに対して回転移動するように接地されている。このため、回転カウンタウェイト部179内部での重量移動と、回転カウンタウェイト部179自体の回転移動とにより二次元的に重心位置の変動を行うことが出来る。ここにおいて、カウンタウエイト部を二個設け、x軸、y軸方向に移動する構成としても良い。第六の実施例における支持部付搬送装置171は、回転カウンタウエイト部が高い位置にあるために、重量の小さいカウンタウエイトを用いても重心の制御に大きな効果を生じるものである。
【0202】
このように、第三の実施形態における搬送装置は球状回転体137を回転させて移動するため、複数の駆動部138を独立に駆動することによって全方向に移動することができる。さらに、第三の実施形態における搬送装置は、球状回転体137を駆動して全方向に移動する際、球状回転体137が車輪としての役割を果たし、車輪が球状という形状を有するため、全方向に滑らかに移動することができ、複数の駆動部138の各々を組み合わせて駆動させて容易に全方向に移動させることができる。
【0203】
また、第三の実施の形態における搬送装置は、球状回転体137の回転や操車者の体重移動だけではなく、カウンタウェイト部149を制御して重心位置の変更を行うことにより重心位置の安定を図ることが可能となる。
【0204】
【第四の実施の形態】
[第八の実施例]
第四の実施形態における搬送装置について図面を参照して説明する。第四の実施形態における搬送装置の形状の一例として、第八の実施例である筐体上に操車者が立った状態で搬送され、操車者が捉まる手摺などの支持部を有する支持部付搬送装置について説明する。図39及び図40は支持部付搬送装置の概略斜視図を示し、図39は支持部付搬送装置上に搬送対象であり支持部付搬送装置を操車する操車者が搭乗した状態である支持部付搬送装置であり、図40は支持部付搬送装置の概略斜視図である。
【0205】
なお図39乃至図42に示すように、筐体223を基準とした直交座標系の座標軸としてx軸、y軸、及びz軸を設ける。操車者が、図39に示す通常の姿勢で着座した場合における顔が正面を向く方向をx軸正方向あるいは筐体正面方向と、筐体正面方向と180°反対方向をx軸負方向あるいは筐体裏面方向と、操車者の左手方向をy軸正方向あるいは筐体左方向と、操車者の右手方向をy軸負方向あるいは筐体右方向と、頭から足元に向かう方向をz軸正方向あるいは筐体重力方向と、頭から足元に向かう方向の180°反対方向をz軸負方向あるいは筐体反重力方向と定義する。
【0206】
また、y軸とz軸とにより張られる平面をX平面あるいは筐体横平面、z軸とx軸とにより張られる平面をY平面あるいは車輪回転平面、上述の座標軸と平面とは、筐体223に付随した座標系であり、筐体223の姿勢に依存して、垂線や磁北を基準とする地球上での絶対座標系や走行面を基準とする座標系に対しては相対的に運動する座標系である。例えば、椅子形状搬送装置が坂道や上り坂、中央部が盛り上がった道路等を走行する場合においては、走行面に対して相対的に筐体223の姿勢は変化し、筐体223を基準とする座標と走行面を基準とする座標系との関係は刻々変化する。また、走行面が水平であるとしても、操車者を含めた搬送物の重心の位置により筐体223の姿勢は異なり、筐体223を基準とする座標と絶対座標系との関係は刻々変化するものである。
【0207】
図39及び図40に示すように、支持部付搬送装置221は車輪形状の回転体である車輪227と筐体223と支持部225とを有する。支持部付搬送装置221としての乗り心地を考慮した場合には、弾力性を有する素材、例えば、従来の空気入りのタイヤ等を用いて車輪227を構成することにより走行面との接触に起因する振動を防ぐことが好ましく、後述するローラー部材からの駆動力を車輪227に効率良く伝達することを考慮した場合には、ある程度の剛性を有する材料を用いることが好ましく、支持部付搬送装置221の使用用途により車輪227の材料は選択される。また車輪227上に設けられる筐体223には、操車者222の身体部を支持する支持部135aが形成されている。さらに、筐体223には車輪227を駆動させる駆動部、駆動部の制御を行う制御部、支持部付搬送装置221の状態を検出するセンサ部が形成されている。
【0208】
図41は、支持部付搬送装置221の重心位置を変更するための部材であるカウンタウェイト部229を、支持部付搬送装置221の筐体223に設けた様子を示す内視図である。カウンタウェイト部229の詳細な構造例は後述して説明するが、支持部付搬送装置221の重心位置を変更する程度の重量を有する部材であるカウンタウエイトとカウンタウエイトの位置を変更する機能とを備えた部材である。また、カウンタウェイト部229はy軸方向に重量の移動を行うように配置されている。
【0209】
次に、支持部付搬送装置221における車輪227の駆動部に関する説明を行う。図42に支持部付搬送装置221の筐体223部分でのX平面に平行な面に対する断面図を示す。図42に示すように、支持部付搬送装置221の車輪227上の筐体223には、回転機器232と回転軸233とローラー部材234とからなる駆動部が形成される。さらに筐体223には、接地面に対する筐体223の傾き角度と、車輪227の回転速度などの駆動状態を検出するセンサ部が形成される。また筐体223内部には、カウンタウェイト部229がy軸方向に沿って重量移動を行うように配置されている。
【0210】
図42に示した例においては、車輪227の回転中心軸に車軸231が形成されており、筐体223に形成された軸受け230に車軸231が挿入されている。これにより、車輪227が回転して駆動する際には軸受け230内で車軸231が滑らかに回転し、車輪227が回転する。
【0211】
図42に示すように、車輪227上に形成される駆動部は筐体223に固着して形成され、回転機器232と回転軸233とローラー部材234によって車輪227が駆動するための駆動力を発生する。回転機器232は、人力、内燃機関、電動機等によって生じたエネルギーを回転力に変換するモーター等の装置であるが、車輪227上の筐体223のバランスを保つために、回転時のトルクを高速に制御できるような動力源であることが好ましい。回転軸233は剛性を有する材料から構成され、回転機器232からの回転力をローラー部材234に伝達する。回転軸233は回転機器232が発生する回転の軸上に配置される。ローラー部材234は回転軸233と結合すると同時に車輪227の内側に圧接して形成される。ローラー部材234の材料としては車輪227に圧接して回転機器232からの回転力を伝達するために圧接する表面部の摩擦係数の適度に高い材料を用いられる。
【0212】
車輪227は、回転機器232に連動するローラー部材234を介して回転力を得て回転機器232が発生させる駆動力により回転する。回転機器232に連動するローラー部材234は、回転機器232に結合している回転軸233と結合しており、回転機器232が回転軸233を介してローラー部材234に回転力を与えると、ローラー部材234は回転機器232が供給する回転方向に回転する。ローラー部材234の最外輪部は車輪227の内側に圧接しており、回転機器232がローラー部材234を回転させると、ローラー部材234と車輪227との間で生じる摩擦力により、ローラー部材234が回転する方向とは反対方向の力が車輪227に加わる。従って、車輪227はローラー部材234を介して回転機器232の回転方向と反対方向に回転する。
【0213】
図43は、支持部付搬送装置221の重心位置の変更を行う部材であるカウンタウェイト部229の構造を示す模式図である。カウンタウェイト部229はリニアモータであり、カウンタウェイト241と、磁路部242と、導電部材243と、永久磁石244とにより構成されている。カウンタウェイト241は搬送装置の重心位置を変更することが出来る程度の重量を持った部材であり、導電部材243に固定して取り付けられている。磁路部242はカウンタウェイト部229の外形を形成する外枠部材であり、枠内部には永久磁石244が固定配置されている。永久磁石244は棒状の磁性体であるが、その磁界方向はカウンタウェイト241の移動方向と垂直方向である。導電部材243はコイル状の電気伝導体であり、永久磁石244をコイル内側に挿入した状態で磁路部242の枠に沿って可動に配置されている。
【0214】
制御部235に形成されたカウンタウェイト駆動回路部から出力されるカウンタウェイト駆動信号に従って、導電部材243に電流が流れることにより、導電部材243と永久磁石244の組み合わせによるリニアモータが動作し、カウンタウェイト241および導電部材243が磁路部242の長手方向に沿って移動を行う。これにより、カウンタウェイト部229内部における重量の移動を制御することができるため、搬送装置の重心位置の変更を制御する。
【0215】
第四の実施形態における車輪227を回転させ、カウンタウェイト部229の駆動制御を行う制御機構の構成について、図44のブロック図を用いて説明する。
【0216】
制御部235は、入力された信号に基づいて演算処理を行って新たに信号を生成するための演算部251と、演算部251で生成された車輪227を制御するための信号を駆動部228に対して出力する駆動回路部252と、演算部251で生成されたカウンタウェイト部229を制御するための信号をカウンタウェイト部229に対して出力するカウンタウェイト駆動回路部256とを有する。演算部251は、支持部付搬送装置221の駆動部の制御をするために行う演算処理の中心となる部分であり、CPU(Central Processing Unit)などにより構成される。また、特定の演算処理を迅速に行うことができるDSP(Digital Signal Processor)により構成したり、あるいはハードウエアによる演算機能などを用いて構成したりしても良い。
【0217】
センサ部255は筐体223に形成され、角度センサ部2550、及び位置センサ部2551と速度センサ部2552とのどちらか一方若しくは両方を有する。角度センサ部2550が検出するのはタイヤが進行する方向であるx軸方向への筐体223の傾きと、進行方向に垂直であるy軸方向への筐体223の傾きである。位置センサ部2551は車輪227の回転方向に対する移動変位を監視して検出し、速度センサ部2552は車輪227の回転方向に対する速度を監視して検出する。センサ部255の角度センサ部2550、位置センサ部2551、速度センサ部2552は、制御部235と演算部251との間で傾き角度及び駆動状態を表す信号の入出力を行う。各装置間での信号の伝達はバスラインなどの有線により実現されるが、電波、超音波、又は光などの無線により実現しても良い。
【0218】
角度センサ部2550は、x軸方向への傾き角度Θcを検出する角度センサ2550cとy軸方向への傾き角度Θbを検出する角度センサ2550bとを備える。角度センサは一例として、筐体223のある一点から錘を垂らして錘の先端の位置が傾き角度に応じて移動するのを検出するセンサでも良いし、可変抵抗器の回転軸に錘を付けて傾き角度に応じた抵抗値を検出するものであっても良いし、ジャイロ素子により検出するものであっても良い。
【0219】
位置センサ部2551および速度センサ部2552は、駆動部228の回転軸233またはローラー部材234に設けられ、駆動部228の駆動状態である回転角度や回転速度を監視して検出する。位置センサ部2551および速度センサ部2552は、検出した回転角度や回転速度を信号として制御部235に対して出力する。
【0220】
位置センサ部2551は、支持部付搬送装置221の移動距離を監視・検出するのであるが、一例として、各駆動部228のローラー部材234に結合する回転軸233にロータリーエンコーダを設け、ローラー部材234の回転角度から車輪227の回転角度を算出して車輪227の回転角度を移動距離に換算するセンサでも良いし、支持部付搬送装置221の走行面237に対する移動量を移動検出器により検出するセンサでも良い。
【0221】
速度センサ部2552は、前後方向や左右方向への支持部付搬送装置221の速度を監視・検出するのであるが、一例として、駆動部228のローラー部材234の回転角速度から車輪227の回転により生じる支持部付搬送装置221の換算した移動の速度を検出するセンサでも良いし、あるいは支持部付搬送装置221の走行面237に対する速度を検出する速度検出器により車輪227の回転方向に対する速度を検出するセンサでも良い。また、位置と速度との間には微分・積分の関係があるので、位置センサ部2551及び速度センサ部2552の一方を検出して、微分若しくは積分して他方を導出することができるため、位置センサ部2551及び速度センサ部2552の一方を設けて他方を制御部235の演算部251で微分・積分の関係から算出すようにしても良い。なお、速度センサ部2552が複数の駆動部228の各々に入力される信号の信号量に基づいて車輪227の回転速度を監視・検出するセンサである場合には、位置センサ部2551は、回転角度が複数の駆動部228の各々に関する回転速度を合成した方向から算出されるから、複数の駆動部228の各々に入力される信号の信号量を比較して回転角度を監視・検出することができ、複数の駆動部228の各々への信号量を比較して検出される回転角度に基づいて車輪227の移動距離を算出することができる。
【0222】
制御部235は、駆動部228に対して車輪227を駆動させるための駆動信号を出力し、カウンタウェイト部229に対してカウンタウェイト241の位置を変更するためのカウンタウェイト駆動信号を出力し、センサ部255から、角度センサ部255aが検出した傾き角度を角度検出信号として入力されるとともに、位置センサ部2551や速度センサ部2552が検出した駆動状態を駆動状態検出信号として入力される。
【0223】
制御部235は駆動部228に対して車輪227を駆動させるための駆動信号を出力することにより駆動部228を制御して駆動させるのであるが、駆動信号は、駆動回路部252から複数の駆動部228の各々に対して独立に出力され、複数の駆動部228を独立に駆動させて車輪227を動作させる。このとき、駆動信号を出力された駆動部228では、回転機器232にの駆動信号が入力され、入力された駆動信号を基にして回転し、ローラー部材234及び回転軸233を介して車輪227を回転させる。
【0224】
また、制御部235はカウンタウェイト部229に対してカウンタウェイト241の位置を変更させるためのカウンタウェイト駆動信号を出力することにより、導電部材243に電流を流してリニアモータを駆動させ、カウンタウェイト241の位置を変更することにより、重心位置の制御を行う。
【0225】
また制御部235は表示部257との間で、車輪227の動作状態及び筐体223の位置状態や、駆動部228、カウンタウェイト部229、センサ部255、及び制御部235の状態に関する情報などを表示する信号の入出力を行う。表示部257を介して、車輪227の動作状態及び筐体223の位置状態や、駆動部228、カウンタウェイト部229、センサ部255、及び制御部235の状態に関する情報などを操車者222に伝達するとともに、筐体223の傾き角度や車輪227の駆動状態を調節することができる。つまり表示部257は、操車者222の意思により車輪227を所望の速度で駆動させ、所望の方向に回転させるために、制御部235と操車者222との間で情報の相互伝達をする媒体となる。
【0226】
制御部235と表示部257間での信号の入出力には、バスラインなどの有線による接続や、電波、超音波、又は光などの無線での情報通信が行われる。表示部257が制御部235に直接にバスラインで接続されるのではなく、独立した構造として筐体223の本体から切り離され、電波、超音波、又は光などの無線により制御部235と信号の入出力を行う場合には、表示部257は演算部251と無線で通信し、操車者12が、支持部付搬送装置221に乗って、あるいは支持部付搬送装置221から離れて、手元で支持部付搬送装置221を操作することができる。
【0227】
制御部235は、表示部257に対して車輪227の動作状態及び筐体223の位置状態や、駆動部228、カウンタウェイト部229、センサ部255、及び制御部235の状態に関する情報などを表示させる情報表示信号を出力して表示部257に種々の情報を表示させ、表示部257から車輪227の動作状態や筐体223の位置状態を調節するための調節信号を入力される。情報表示信号は制御部235の演算部251で生成されて表示部257に対して出力され、情報表示信号に基づいて表示部257に種々の情報が表示される。
【0228】
演算部251は調節信号と角度検出信号と駆動状態検出信号とに基づいて演算処理を行い、駆動部228を制御する駆動部制御信号と情報表示信号とが生成し、駆動回路部252に対して駆動部制御信号を出力し、カウンタウェイト駆動回路部256に対してカウンタウエイト制御信号を出力する。ここにおいて、角度検出信号であるΘcは演算部251において処理される。すなわち、Θcに基づき制御ゲインの設定や位相補償の演算が行われ駆動回路部制御信号が生成される。演算部251における位相補償の処理は第一の実施の形態におけると同様である。
【0229】
具体的には、位相補償は、制御系の応答を速くしたり、制御系の開ループのゲインを向上したりするために行うものである。駆動部228の全体としての伝達特性は、主として回転機器232の伝達特性により支配されのであるが、回転機器22の伝達特性は零周波数に極を有する、直流において無限大のゲインを有する二次系である。このような伝達関数を含む系の開ループのゲインを増加させて、かつ、周波数応答特性を向上させるためには、通常、低域で遅れ補償を行い低域のゲインを向上させ定常偏差を小さくし、広域で進み補償を行い広域での位相余有を増加させて広域でのゲインを増加することを可能として応答特性の向上を図る。
【0230】
このような位相補償は演算部251において、ラグ・リード・デジタル・フィルターを実現する演算を行えば良い。演算部251において処理の結果発生した駆動回路部駆動信号は駆動回路部252において駆動信号を発生させる。駆動信号は駆動部228に供給され車輪227を回転させる。このような制御系は体重移動により生じるx軸方向への傾き外乱Θcdに応じて自動的にトルクTを制御して制御系を安定化する。すなわち、角度センサ部2550に設けられた角度センサ2550cが、外乱が加わることによるx軸方向への傾き角度Θcを検出し、これに応じてy軸に設けられた回転機器232を制御して、球状回転体227をX平面で回転させて、筐体223をx軸方向へ進行させて定定走行させる。一方、角度センサ部2550のセンサ2550bがY平面上での筐体223の傾き角度としてΘを検出し、Θは、演算部251に対して出力され、Θを入力された演算部251ではΘに対してラグ・リード・デジタル・フィルターを用いた位相補償の演算処理を施してカウンタウエイト駆動信号を発生する。カウンタウエイト駆動信号はカウンタウエイト駆動回路部256を経てカウンタウエイト部229に供給されカウンタウエイトのy軸方向の位置を変化させる。
【0231】
上述したように、傾き角度のみを制御変数としてフィードバック制御を行えば、原理的には安定走行を行うことができる。しかしながら、x軸方向に進行するための駆動部228を制御系に含む場合には、これらの構成部分の動作に関する変数を状態変数として取りこんだ演算を行えば性能向上に寄与する。すなわち、別の演算の例として、制御系のすべての制御変数をフィードバックする状態フィードバックに基づく制御演算である。ここで、各状態変数のフィードバック係数を所定の評価関数を最大または最小とするように定めながら、すべての状態を原点に収束させる制御は最適レギュレータとして従来から良く知られている。また、各係数を求める手法は、リカッチ方程式の解法として広く知られている。この回転機器232に流れる電流である駆動信号I232は数22で示すように演算部251で演算される。
【数22】
Figure 2004129435
また、カウンタウエイト部229についても、カウンタの位置D、移動速度dD/dtを検出して導電部材に流す電流I243を数23に示す制御則に基づき制御することもできる。
【数23】
Figure 2004129435
【0232】
このような制御が行われる結果として、x軸方向については、操車者222がx軸の正方向、すなわち前方に体重を移動させればΘcは正方向に増加して、これに応じたトルクを発生させるように前方に支持部付搬送装置221は進行し、x軸の負方向、すなわち後方に体重を移動させればΘcは負方向に増加して、負方向のトルクを発生させるように後方に支持部付搬送装置221は進行することにより安定走行を維持することができる。一方、y軸方向に関しては、センサ部255の角度センサ部2550は、y軸方向に対する傾き角度Θbを検出してこの傾き角度に基づきカウンタウエイト部229に対してカウンタウエイト駆動信号を送出する。これによりy軸方向に倒れることなく走行を続けることができる。
【0233】
次ぎに、左右方向への回転動作について説明をする。回転動作は車輪の走行面に接地する断面が円弧を描いている事を利用して行う。このような断面形状を有する車輪227は走行面237に直立している場合には直進走行をする。しかしながら、走行面237に対して右に傾斜すると右旋回をし、左に傾斜すると左旋回をする。その理由は、車輪227の中心から外れるに従い車輪の直径が小さくなるため車輪の最外周部における周速も遅くなり、車輪277の中央部との周速の速度差によりy軸方向への力が働くためである。そのため、右旋回を鋭角に行うためには、右方向に車輪227を大きく傾け、右旋回を鈍角に行うためには、右方向に車輪227を小さく傾けなければならない。左旋回についても同様である。
【0234】
ここで、車輪を走行面に対して走行方向と直角方向、すなわちy軸方向に傾けつつ、所定のy軸方向の傾きを維持する方法を以下に説明する。操車者に負担を強いる方法は、y軸方向に対する、フィードバック制御を切断し、操車者が自らバランスを取りつつ回転することである。この場合においては、カウンタウエイト部カウンタウエイトを予め定めた所定の位置に固定して、カウンタウエイト部の制御を働かなくし、操車者が体重移動を行い、回転による遠心力とy軸方向への重力とのバランスを取ることにより安定走行をすることができる。遠心力の調整は操車者が前後方向、すなわちx軸方向に体重移動をして、x軸方向への移動速度を調整し、かつy軸方向への体重移動を行い旋回の回転半径を調整することにより行うことができる。この場合、遠心力ベクトルとy軸への体重移動により生じる重力により生じる向心力であって、遠心力と方向が180°異なるベクトルとの大きさが等しくなる場合に安定走行をする。
【0235】
しかし、この方法は、操車者の熟練を要する。誰にでも乗れる方法として、カウンタウエイト部を用いた制御を利用する方法を次ぎに説明する。制御を用いる第一の方法は、カウンタウエイト部を含む制御系の一巡の伝達関数を大きく設定する場合についての制御方法である。一巡の伝達関数が大きいと、定常偏差も小さくなる。このことは、操車者が車輪を傾けようと重心を移動しても、カウンタウエイトが応答して操車者の重心移動をキャンセルしてしまうことを意味する。従い、車輪は常に垂直状態となり、走行面が水平であれば直進を続ける。このとき、y軸における制御系は図35に示すのと同様の制御系の構成となっているので、Θbは零となるようにカウンタウエイト部が働いていると言える。このとき、図35において、Θbiとして所定の値の電気信号をオフセット信号として入力すると、Θb=Θbiとするようにカウンタウエイトが移動する制御が働くために、車輪を傾けて旋回することができる。ここで、Θbiの入力の方法は、図示しないリモートコントローラを介して行っても、支持部225の操車者が手で持つハンドル部の回転操作によっても良い。
【0236】
制御を用いる第二の方法は、制御系の一巡伝達関数を適当な大きさ、すなわち定常偏差であるΘbi―Θbが適当に残るように制御系を構成することである。このようにすると、操車者がy軸方向に体重を移動させると、カウンタウエイト部は体重移動をキャンセルする方向に移動するものの、そのすべてをキャンセルしないため車輪は垂直方向から傾き旋回をすることができる。このとき、制御系の作用で、傾きが減少する方向へのカウンタウエイト部における制御が働いているので、車輪は倒れることなく安定走行ができる。いずれの制御方法をとってもカウンタウエイト部の制御作用により操車者は容易に装置の旋回運動を行うことができる。一巡伝達関数をどのように設定するかは、カウンタウエイトの重さ及びカウンタウエイト部の配置位置と演算部251の演算処理の内容で定め得る設計事項である。
【0237】
次に表示部257の説明をする。演算部251では、センサ部255からの角度検出信号と駆動状態検出信号とを受け取り、表示部257に情報を表示するための情報表示信号とを生成し、表示部257には情報表示信号を基にした情報が表示される。例えばセンサ部255が監視・検出する車輪227の回転速度や回転方向を基づいて制御部235が支持部付搬送装置221の速度や進行方向を算出し、支持部付搬送装置221の速度や進行方向を表示したり、あるいは制御部235を介してセンサ部255で検出された筐体223の傾き角度を表示したりしても良い。さらに、駆動部228やセンサ部255の異常動作、車輪227の回転速度や回転方向の異常、筐体223の走行面237に対する傾き角度の異常、駆動部228の回転機器に電力を送る発電装置の異常や回転機器232自体の異常など、特に支持部付搬送装置221の異常状態を警告信号として表示部257に視覚、聴覚、触覚を通じて表示することができ、この場合には、操車者222は支持部付搬送装置221の状態を容易に知ることができる。このように、表示部257として、操車者222に支持部付搬送装置221の状態を知らせるマンマシーン・インターフェイスを用いることができる。
【0238】
第四の実施の形態では、車輪227の回転面は一平面のみであるため、第三の実施の形態において三平面に関して行っていた制御を一つの平面でのみ行うことで、操車者222が体重移動を行うことで進行方向に行うことが出来る。また、カウンタウェイト部229はy軸方向に沿っての重心移動を行うため、左右方向での重心移動を制御するだけで駆動を行うことができる。
【0239】
【発明の効果】
本発明の搬送装置は、略球状の車輪と、少なくとも2方向に球状車輪を駆動する機構と、搬送装置の位置を検出するセンサ部と、制御機構とを備えているため、略球状という安定性の悪い車輪でありながら、安定した走行が可能となる。それに加え、略球状の車輪を用いるため全方向へと瞬時に移動可能であるため、回転半径が小さく、移動が俊敏な搬送装置を提供するものである。
【0240】
また、本発明の他の搬送装置は、車輪と車輪を駆動する機構と、搬送装置の位置を検出するセンサ部と、センサ部からの信号に応じてカウンタウエイトの位置を制御する制御機構とを備えているため、安定性の悪い搬送装置であっても、安定した走行が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一の実施例としての椅子型搬送装置に操車者が着座した様子を示す概略斜視図である。
【図2】第一の実施例としての椅子型搬送装置を示す概略斜視図である。
【図3】第一の実施例としての椅子型搬送装置の側面図であり、スタンドを用いて安定した静止状態を示すものである。
【図4】第一の実施例としての椅子型搬送装置の筐体内部の構造を示す側方部分断面図である。
【図5】球状回転体と複数のベアリングの位置関係を示す模式図である。
【図6】球状回転体の回転方向を説明するための概略斜視図である。
【図7】第一の実施例での制御機構での、各要素の関係と情報の流れを示すブロック図である。
【図8】第一の実施例での駆動機構の各要素の関係を示すブロック図である。
【図9】走行している状態における椅子形状搬送装置のY平面における断面模式図である。
【図10】y軸についての(X平面における)制御系の全体図である。
【図11】第一の実施例におけるフィードバックループ制御での演算処理の一例を示すブロック図である。
【図12】第二の実施例としての板形状搬送装置に操車者が搭乗している様子を示す概略斜視図である。
【図13】第三の実施例としての支持部付搬送装置に操車者が搭乗している様子を示す概略斜視図である。
【図14】第四の実施例としての椅子型搬送装置を示す概略斜視図である。
【図15】駆動部のコアを示す概略斜視図である。
【図16】椅子形状搬送装置の筐体の内部を示す概略断面図である。
【図17】コアの構造を模式的に示す概略斜視図である。
【図18】コアを平面に展開して、コイルと巻線収容溝との関係を示す模式図である。
【図19】球状回転体表面に発生する渦電流と回転方向を示す模式図である。
【図20】導電部材に流れる電流Iと、球状回転体に発生するすべりSと、球状回転体に加わるトルクTとの関係を示すグラフである。
【図21】複数の導電部材に流れる電流を説明する図であり、図21(a)は各導電部材に流れる電流の時間変化を示すグラフであり、図21(b)乃至(d)は各時間での回転磁界の方向を示す模式図である。
【図22】各時間での回転磁界の方向を示す模式図である。
【図23】第四の実施例での制御機構の、各要素の関係と情報の流れを示すブロック図である。
【図24】第五の実施例としての椅子型搬送装置に操車者が着座した様子を示す概略斜視図である。
【図25】第五の実施例としての椅子型搬送装置を示す概略斜視図である。
【図26】第五の実施例としての椅子型搬送装置の側面図であり、スタンドを用いて安定した静止状態を示すものである。
【図27】カウンタウェイト部を、椅子形状搬送装置1の筐体に設けた様子を示す内視図である。
【図28】第五の実施例としての椅子型搬送装置の筐体内部の構造を示す側方部分断面図である。
【図29】椅子型搬送装置に配置されたカウンタウェイト部の構造の一例を示す模式図である。
【図30】カウンタウェイト部の他の構造を示す模式図である。
【図31】第五の実施例での制御機構での、各要素の関係と情報の流れを示すブロック図である。
【図32】第五の実施例での駆動機構の各要素の関係を示すブロック図である。
【図33】走行している状態における椅子形状搬送装置のY平面における断面模式図である。
【図34】カウンタウェイト部を加味した場合における球状回転体に加わるトルクに関して説明を行うための断面模式図である。
【図35】第五の実施例におけるフィードバックループ制御での演算処理の一例を示すブロック図である。
【図36】第六の実施例としての他の形状をした椅子型搬送装置に操車者が着座した様子を示す概略斜視図である。
【図37】カウンタウェイト部を、椅子形状搬送装置の座席内部に設けた様子を示す内視図である。
【図38】第七の実施例としての支持部付搬送装置に配置されたカウンタウェイト部と、支持部付搬送装置に操車者が搭乗した様子を示す概略斜視図である。
【図39】第八の実施例としての支持部付搬送装置に操車者が搭乗している様子を示す概略斜視図である。
【図40】第八の実施例としての支持部付搬送装置を示す概略斜視図である。
【図41】カウンタウェイト部を、支持部付搬送装置の筐体に設けた様子を示す内視図である。
【図42】第八の実施例としての支持部付搬送装置の筐体部分でのX平面に平行な面に対する断面図である。
【図43】支持部付搬送装置に配置されたカウンタウェイト部の構造の一例を示す模式図である。
【図44】第八の実施例での制御機構での、各要素の関係と情報の流れを示すブロック図である。
【符号の説明】
11,81,131,161  椅子形状搬送装置
31  板形状搬送装置
41,171,221  支持部付搬送装置
12,33,42,132,162,172,222  操車者
13,32,43,83,133,163,173,223  筐体
14,84,164  座席
15a,45,85a,135a,175,225  支持部
15b,34,44,85b,164a  足台
16,36,86,136,166,257  表示部
17,37,47,87,137,167,177,227  球状回転体
18,113,138,228  駆動部
20,140  ベアリング保持器
21,88a,141  ベアリング
22,142,232  回転機器
23,143,233,206  回転軸
24,144,234  ローラー部材
25,110,145,235,  制御部
25,52,112,182,252,  駆動回路部
26,146  スタンド
27a,147a  接地点
27,147,237  走行面
35,165  リモコン
51,111,181,251  演算部
55,115,185,255  センサ部
61,191  重心点
62,97,192  中心点
63,193  垂線
64,194  重心線
65,195  トルク線
90  コア
91  導電部材
92  有効部分
93  非有効部分
94  巻線収容溝
95  渦電流
96  トルク軸
121,201,241  カウンタウエイト
149,229  カウンタウェイト部
169,179  回転カウンタウエイト部
173a  上側筐体
173b  下側筐体
173c  筐体連結部
196  可動重心点
202,242  磁路部
203,243  導電部材
204,244  永久磁石
211,256  カウンタウエイト駆動回路部
227,277  車輪
231  車軸
550,1150,1850,2550  角度センサ部
551,1151,1851,2551  位置センサ部
552,1152,1852,2552  速度センサ部

Claims (15)

  1. 略球形状の回転体と、
    回転体保持部と駆動部と角度センサ部とを備えた筐体と、
    制御部とを備え、
    前記回転体保持部は前記回転体を回転自由に保持し、
    前記駆動部は前記回転体の中心点を含む複数の異なる平面における回転力を前記回転体に与え、
    前記角度センサ部は垂線を含む複数の異なる平面における前記筐体の傾き角度に応じた信号を検出し、
    前記制御部は前記傾き角度に応じた信号に基づいて前記回転力の大きさを制御することを特徴とする搬送装置。
  2. 前記駆動部は、前記回転体の中心点を含む二の異なる平面における前記回転力を生じさせ、
    前記角度センサ部は、前記二の異なる平面における前記筐体の前記傾き角度に応じた信号を検出することを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
  3. 前記駆動部は、前記球状回転体に対して前記筐体を基準として特定される筐体横平面と、前記筺体横平面と直交する筐体前後平面とにおける前記回転力を生じさせるように前記筐体に設けられ、
    前記角度センサ部は前記筐体横平面と前記筐体前後平面における前記筐体の前記傾き角度に応じた信号を検出するように前記筐体に設けられ、
    前記制御部は前記筐体横平面における前記傾き角度に応じた信号に基づき前記筐体横平面における前記回転力を制御するとともに、前記筐体前後平面における前記傾き角度に応じた信号に基づき前記筐体前後平面における前記回転力を制御することを特徴とする請求項2に記載の搬送装置。
  4. 前記駆動部は、前記筐体前後平面と、前記筐体前後平面および前記筺体横平面のいずれとも直交する筐体水平面とにおける回転力を生じさせるように前記筐体に設けられ、
    前記角度センサ部は、前記筐体横平面と前記筐体前後平面における前記筐体の傾き角度に応じた信号を検出するように前記筐体に設けられ、
    前記制御部は、前記筐体横平面における前記傾き角度に応じた信号に基づき前記筐体水平面における前記回転力を制御するとともに、前記筐体前後平面における前記傾き角度に応じた信号に基づき前記筐体前後平面における前記回転力を制御することを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
  5. 前記駆動部は、回転力を発生させる回転機器と、前記回転機器の回転軸に結合され前記回転体に圧接されるローラ部材であることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
  6. 少なくとも前記回転体の表面は、導電性材料で構成され、前記駆動部はコアと前記コアに設けられ交番電流が印加される導電部材であることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
  7. 少なくとも表面は導電特性を有する略球形状の回転体と、
    前記回転体を回転自由に保持する回転体保持部と、
    前記回転体に回転力を与える駆動部とからなり、
    前記駆動部はコアと前記コアに設けられた交番電流が印加される導電部材とを有することを特徴とする球状回転体の駆動機構。
  8. 搬送装置の制御方法において、
    略球形状の回転体を筐体に対して回転自由に保持し、
    前記回転体に回転力を与え、
    前記筐体の垂線を含む平面における前記筐体の傾き角度に応じた信号を検出し、
    前記傾き角度に応じた信号に基づき前記回転力の大きさを制御することを特徴とする搬送装置の制御方法。
  9. 略球形状の回転体と、
    前記回転体を回転自由に保持する回転体保持部と、前記回転体に回転力を与える駆動部と、垂線を含む平面における傾き角度に応じた信号を検出する角度センサ部とを備えた筐体と、
    前記回転体を除いた搬送装置及び前記搬送装置が搬送する搬送物の重心位置を移動するためのカウンタウエイトを備えて、前記筐体に重心移動を伝達するように設けられたカウンタウエイト部と、
    前記傾き角度に応じた信号に基づいて前記駆動部が発生する前記回転力の大きさ及び前記重心位置とを制御する制御部とを有する搬送装置。
  10. 前記制御部が、搬送装置の走行速度に基づいて前記駆動部とカウンタウエイト部を駆動する駆動信号の大きさの割合を変える演算を行うことを特徴とする請求項9に記載の搬送装置。
  11. 前記制御部が、前記筐体の傾き角度に応じた信号に基づいて前記駆動部を駆動する駆動信号と前記カウンタウエイト部を駆動するカウンタウエイト駆動信号との大きさの割合を変える演算を行うことを特徴とする請求項9に記載の搬送装置。
  12. 略球形状の回転体と、
    前記回転体を回転自由に保持する回転体保持部と、前記回転体に回転力を与える駆動部と、垂線を含む平面における前記傾き角度に応じた信号を検出する角度センサ部とを備えた筐体と、
    前記回転体を除いた搬送装置及び前記搬送装置が搬送する搬送物の合成重量の重心位置を移動するためのカウンタウエイトを備え、前記筐体に重心移動を伝達するように設けられたカウンタウエイト部と、
    前記傾き角に基づいて前記駆動部が発生する前記回転力の大きさ及び前記重心位置とを制御する制御部と、
    前記制御部との間において信号の授受をするリモコンとを有し、
    前記リモコンにより前記制御部を介して前記駆動部または前記カウンタウエイト部のいずれかの一方、または両方を制御することを特徴とする搬送装置。
  13. 搬送装置の制御方法において、
    略球状の回転体を筐体に対して回転自由に保持し、
    前記回転体に回転力を与え、
    筐体の垂線を含む平面における前記筐体の傾き角度に応じた信号を検出し、
    前記傾き角度に応じた信号に基づいて前記回転力の大きさを制御するとともに、カウンタウエイトを移動させて重心位置を変化することを特徴とする搬送装置の制御方法。
  14. 一の車輪と、
    前記車輪に設けられた車軸を保持する軸受と前記車輪に回転力を与える駆動部と、前記車輪の回転する平面である車輪回転平面に直交する方向へ移動可能となしたカウンタウエイトの位置を移動し重心の位置を変更するカウンタウエイト部と、垂線を含む平面における前記車輪の傾き角度に応じた信号を検出する角度センサ部とを備えた筐体と、
    前記傾き角度に応じた信号に基づいて前記駆動部が発生する前記回転力の大きさ及び前記重心位置とを制御する制御部とを有する搬送装置。
  15. 回転自由に筐体に保持された一の車輪によって移動可能とされる搬送装置の制御方法において、
    前記車輪に回転力を与え、
    垂線を含む平面における前記筐体の傾き角度に応じた信号を検出し、
    前記傾き角度に応じた信号に基づいて前記回転力の大きさを制御するとともに、前記車輪の回転する平面である車輪回転平面に略直交する方向へカウンタウエイトの位置を移動して、搬送装置の重心位置を変化することを特徴とする搬送装置の制御方法。
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