JP2004123044A - 車両用シート装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】乗車時の居住性を向上することができる車両用シート装置を提供する。
【解決手段】回転及びスライドモータ始動時から0.1秒毎に設定された設定時間経過したか否かを判断し(SD1)、現時点での経過時間に対応する設定パルスを算出する(SD2)。設定パルスが、回転パルス数より小さい場合(SD3)、回転モータへのデューティー信号のデューティー比を小さくしてシートの回転速度を減速し(SD4)、シートの回転角度を理想の回転角度に近づける。設定パルスが、回転パルス数より大きい場合(SD5)、回転モータへのデューティー信号のデューティー比を大きくしてシートの回転速度を増速し(SD6)、シートの回転角度を理想の回転角度に近づける。
【選択図】 図7
【解決手段】回転及びスライドモータ始動時から0.1秒毎に設定された設定時間経過したか否かを判断し(SD1)、現時点での経過時間に対応する設定パルスを算出する(SD2)。設定パルスが、回転パルス数より小さい場合(SD3)、回転モータへのデューティー信号のデューティー比を小さくしてシートの回転速度を減速し(SD4)、シートの回転角度を理想の回転角度に近づける。設定パルスが、回転パルス数より大きい場合(SD5)、回転モータへのデューティー信号のデューティー比を大きくしてシートの回転速度を増速し(SD6)、シートの回転角度を理想の回転角度に近づける。
【選択図】 図7
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に設けられた車両用シート装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両用のシートとしては、車両への乗降を容易とする回転シートが知られている。
【0003】
この回転シートには、車両前方へ向いたシートを乗降口側へ回動する回転機構を備えており、乗降時のシートへの離着座を支援できるように構成されてる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような回転シートにあっては、回転時において、乗降口後方のピラーへの干渉を防止するために、比較的車両前方側に固定されていた。
【0005】
このため、体格によっては窮屈さを感じることがあった。
【0006】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、乗車時の居住性を向上することができる車両用シート装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために本発明の請求項1の車両用シート装置にあっては、シートをスライドさせるスライド機構と、前記シートの向きを変える回転機構と、スイッチ操作に応じて前記スライド機構及び前記回転機構を作動するとともに、前記シートを予め設定された基準位置から始動した際に、位置検出時点での始動時からの経過時間及びその時の作動位置の関係と、始動時からの経過時間及びこれ応じて予め設定された設定位置の関係とが、前記スライド機構又は前記回転機構のうちの少なくとも一方の機構にて適応するように、当該機構の作動状態を制御する適応制御手段と、を備えている。
【0008】
すなわち、この車両用シート装置では、シートの向きを変える回転機構と、前記シートをスライドさせるスライド機構とを備えている。このため、回転機構のみが設けられた従来と比較して、乗車位置でのスライドが可能となり、居住性が高められる。
【0009】
そして、この車両用シート装置には、スイッチ操作に応じて、前記スライド機構及び前記回転機構を作動するように構成されており、作動時には、前記スライド機構又は前記回転機構の少なくとも一方の機構において、位置検出時点での始動時からの経過時間及びその時の作動位置の関係が、始動時からの経過時間及びこれ応じて予め設定された設定位置の関係に適応するように、当該機構の作動状態が制御される。これにより、前記スライド機構と前記回転機構とが、始動時からの経過時間を基準として同期される。そして、前記シートが予め定められた移動軌跡に沿って移動される。
【0010】
また、請求項2の車両用シート装置においては、昇降機構又は前記回転機構のうち少なくとも一方の機構が予め設定された原点位置にあることを検出する検出手段を備え、スイッチ操作時に前記検出手段にて前記原点位置にあることが確認できない場合に、前記一方の機構が前記原点位置に位置するまで作動する原点復帰手段を備えている。
【0011】
すなわち、昇降機構及び回転機構は、通常時において予め定められた原点位置に配置されている。しかし、長時間使用しない場合、機構の歪み等によって、原点位置から若干のずれが生じることがある。
【0012】
そこで、スイッチ操作時には、前記昇降機構又は前記回転機構の少なくとも一方の機構にて原点位置にあることが確認できない場合に、当該機構が原点位置に位置するまで作動され、原点位置へ復帰される。
【0013】
さらに、請求項3の車両用シート装置では、スイッチ操作時に、前記スライド機構が予め設定された回転開始時位置に無いことを検出した際に、当該スライド機構を前記回転開始時位置まで作動した後に通常動作を開始する始動時制御手段を備えている。
【0014】
すなわち、この車両用シート装置では、スライド機構を用いることでシートの移動範囲の増大が図られているが、このスライド機構によってシートを大きく移動した状態で回転機構を作動させた場合、シートと周囲部との干渉などが懸念される。
【0015】
そこで、スイッチ操作時には、前記スライド機構が予め設定された回転開始時位置に無いことを検出した場合、当該スライド機構を前記回転開始時位置まで作動した後に通常動作を開始することで、シートが大きく移動されていた場合に生じ得る不具合が解消される。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図に従って説明する。図1は、本実施の形態にかかる車両用シート装置1の機構部分を示す図である。
【0017】
すなわち、車両の運転席位置のフロア11には、スライド機構12が設けられており、該スライド機構12は、フロア11に固定されたスライド機構本体13を備えている。該スライド機構本体13には、車両前後方向に延在する一対のレール14,14が離間して設けられており、各レール14,14の内側には、スライダ15,15がレール14,14に沿って移動自在に支持されている。
【0018】
前記両レール14,14を端部で連設する連設プレート21上には、スライドモータ22が固定されており、該スライドモータ22で駆動されるギヤボックス23,23からは、送りネジ24,24が前記各スライダ15,15に沿って延出している。各送りネジ24,24には、対応するスライダ15,15に設けられたナット部25,25が螺合しており、前記送りネジ24,24と前記ナット部25,25とによって、送りネジ24,24の回転に応じてナット部25,25が送りネジ24,24の長さ方向へ移動する送り機構が構成されている。
【0019】
このスライド機構12の上部には、回転機構31が設けられている。該回転機構31は、前記両スライダ15,15に固定された回転機構本体32を備えており、該回転機構本体32中央の円形穴33には、ベアリングを介して、回転リング34が回動自在に支持されている。前記回転機構本体32の外周部には、円弧状の回転ギヤ35が固定されており、該回転ギヤ35の外周縁には、ギヤ部36が形成されている。前記回転リング34から延出したブラケット34aには、回転モータ37が固定されており、該回転モータ37によって駆動されるギアボックス38の出力ギヤ39には、前記回転ギヤ35が螺合している。
【0020】
そして、前記回転リング34には、運転席を構成する図外のシートが固定されされている。これにより、前記スライドモータ22を作動して前記シートをスライドレール14,14に沿って車両前後方向へ移動できるとともに、前記回転モータ37を作動して、前記シートが車両前方側を向いた状態と乗降口側を向いた状態との間で向きを変えられるように構成されている。
【0021】
なお、昇降機能付きシートの場合には、前記シートと回転機構31との間に、昇降モータで作動する昇降機構を設けるものとする。
【0022】
図2は、前記車両用シート装置1の制御装置41を示すブロック図であり、該制御装置41は、マイコンを備えた制御部42を中心に構成されている。
【0023】
この制御部42には、コンソールボックス等に設けられた操作スイッチ51が接続されており、該操作スイッチ51は、センターオフであって、前記シートを乗降口側へ回動させる乗降側と、前記シートを車両前方へ向けさせる前向側とに切り換えられるように構成されている。この制御部42には、前記回転モータ37に内蔵された回転モータ用エンコーダ52と、前記スライドモータ22に内蔵されたスライドモータ用エンコーダ53とが接続されており、前記回転モータ用エンコーダ52から出力されたパルスに応じて、マイコンのRAMに記憶された回転パルス数が逐次増減されるように構成されている。これにより、この回転パルス数を参照することで、シートの回転角を算出できるように構成されている。また、前記スライドモータ用エンコーダ53から出力されたパルスに応じて、マイコンのRAMに記憶されたスライドパルス数が逐次増減されるように構成されている。これにより、このスライドパルス数を参照することで、シートのスライド位置を算出できるように構成されている。
【0024】
また、前記制御部42には、前記回転機構31の前記回転リング34が予め定められた初期位置としての原点位置にあるときにオン作動する回転リミットスイッチ61と、前記スライド機構12の前記スライダ15,15が予め定められた初期位置としての原点位置にあるときにオン作動するスライドリミットスイッチ62とが接続されている。
【0025】
そして、前記制御部42には、回転モータ駆動部71を介して、前記回転モータ37が接続されており、前記回転モータ駆動部71へデューティー信号を出力することによって、前記回転モータ37の回転速度を可変できるように構成されている。また、前記制御部42には、スライドモータ駆動部72を介して、前記スライドモータ22が接続されており、前記スライドモータ駆動部72へデューティー信号を出力することによって、前記スライドモータ22の回転速度を可変できるように構成されている。
【0026】
これにより、前記操作スイッチ51からの入力に応じて、前記スライド機構12及び前記回転機構31を作動し、前記シートを、予め設定された車両前方側を向いた状態と、乗降口側を向いた状態との間で回動できるように構成されている。
【0027】
なお、昇降機能付きシートの場合、制御部42に昇降機構を駆動する昇降モータに内蔵された昇降モータ用エンコーダを接続し、該昇降モータ用エンコーダから出力されたパルスに応じて、マイコンのRAMに記憶された昇降パルス数を逐次増減するように構成する。これにより、この昇降パルス数を参照することで、シートの昇降状態を算出できるようにする。また、前記制御部42に、前記昇降機構が予め定められた初期位置としての原点位置にあるときにオン作動する昇降リミットスイッチを接続する。さらに、前記制御部42に、昇降モータ駆動部を介して、前記昇降モータを接続し、前記昇降モータ駆動部へデューティー信号を出力することにより、前記昇降モータの昇降速度を可変して、前記シートを昇降速度を制御できるように構成するものとする。
【0028】
図3は、前記原点位置から前記回転モータ37を作動した始動時点81からの経過時間と、前記回転機構31による回転角との関係を示す回転理想線82、及び前記始動時点81からの経過時間と、前記スライド機構12によるスライド位置との関係を示すスライド理想線83を示す図であり、前記経過時間に応じた前記回転角及び前記スライド位置が予め算出され設定されている。なお、図3において、前記回転角は、前記回転パルス数で示されており、前記スライド位置は、前記スライドパルス数で示されている。
【0029】
前記スライド機構12によるストロークは、前記スライドパルス数に換算して500パルスとなるように設定されており、全ストローク移動するために要する時間は、10秒に設定されている。また、このスライド機構12は、原点位置から等速で移動するように設定されており、前記スライドパルス数が毎秒50パルス増加する移動速度に設定されている。
【0030】
前記回転機構31による回転範囲は、前記回転パルス数に換算して1000ルスとなるように設定されており、全範囲回転するために要する時間は、9.5秒に設定されている。この回転機構31に関しては、初期位置から第1変速点85までの回転パルス数が300パルスに設定されており、始動時からの経過時間が2.15秒となるように設定されている。これにより、この間において、前記回転パルス数が毎秒約140パルス増加する回転速度に設定されている。
【0031】
また、前記第1変速点85から第2変速点86までの回転パルス数は、400パルスに設定されており、第1変速点85から第2変速点86まで回転する為に要する時間は、4秒となるように設定されている。これにより、この間において、前記回転パルス数が毎秒100パルス増加する回転速度に設定されている。
【0032】
そして、前記第2変速点86から最終地点87までの回転パルス数は、300パルスに設定されており、第2変速点86から最終地点87まで回転する為に要する時間は、3.35秒となるように設定されている。これにより、この間において、前記回転パルス数が毎秒約90パルス増加する回転速度に設定されている。
【0033】
以上の構成にかかる本実施の形態の動作を、図4から図7に示すフローチャートに従って説明する。
【0034】
すなわち、操作スイッチ51が乗降側に切り換えられた際には、乗降側に操作スイッチ51がオンされているか否かを判断し(S1)、オンされている場合には、原点復帰処理を行う(S2)。
【0035】
この原点復帰処理では、図5に示すように、回転リミットスイッチ61がオフか否かを判断し(SB1)、回転機構31が原点位置にあり、回転リミットスイッチ61がオンしていた場合には、ステップSB4へ分岐する。一方、前記回転機構31が原点位置に無く、回転リミットスイッチ61がオフしていた場合、回転モータ37を作動して(SB2)、回転リミットスイッチ61がオンするまで作動を継続し、前記回転機構31を原点位置まで移動する(SB3)。
【0036】
つまり、前記回転機構31は、通常時において予め定められた原点位置に配置されている。しかし、長時間使用しない場合、機構の歪み等によって、原点位置から若干のずれが生じることがある。
【0037】
しかし、スイッチ操作時において、前記回転機構31が原点位置にあることを確認できない場合には、当該機構31が原点位置に達するまで作動することで、原点位置へ復帰することができる。これにより、機構の歪み等に起因した不具合、例えばシートの移動軌跡の変化などを防止することができる。
【0038】
そして、前記回転リミットスイッチ61がオンした際には(SB3)、スライドリミットスイッチ62がオフか否かを判断し(SB4)、スライド機構12が原点位置にあり、スライドリミットスイッチ62がオンしていた場合には、分岐して前記乗降処理へ戻る。一方、前記スライド機構12が原点位置に無く、スライドリミットスイッチ62がオフしていた場合、スライドモータ22を作動して(SB5)、スライドリミットスイッチ62がオンするまで作動を継続し、前記スライド機構12を原点位置まで移動した後(SB6)、前記乗降処理へ戻る。
【0039】
これにより、前述同様に、前記スライド機構12が原点位置にあることを確認できない場合に、当該機構12が原点位置に達するまで作動して、原点位置へ復帰することで、機構の歪み等に起因したシートの移動軌跡の変化などの不具合を防止することができる。
【0040】
ここで、昇降機能付きのシートの場合、昇降リミットスイッチがオフか否かを判断し、昇降機構が原点位置に無く、昇降リミットスイッチがオフしていた際に、昇降モータを昇降リミットスイッチがオンするまで作動して、前記昇降機構を原点位置まで移動させるようにする。
【0041】
これにより、前述同様に、前記昇降機構が原点位置にあることを確認できない場合に、当該機構が原点位置に達するまで作動して、原点位置へ復帰することで、機構の歪み等に起因したシートの移動軌跡の変化などの不具合を防止することができる。
【0042】
前記乗降処理では、次に始動前処理を実行する(S3)。
【0043】
この始動前処理では、図6に示すように、スライド機構12が、例えば回転パルス数から予め定められた回転開始時位置にあるか否かを判断する(SC1)。前記回転開始時位置にある場合には、分岐して前記乗降処理へ戻る一方、前記回転開始時位置に無い場合には、スライドモータ22を作動して(SC2)、前記回転開始時位置に到達するまで作動を継続し、前記回動機構31を前記回転開始時位置まで移動した後(SC3)、前記乗降処理へ戻る。
【0044】
すなわち、この車両用シート装置1では、スライド機構12を用いることでシートの移動範囲の増大が図られるが、このスライド機構12によってシートを大きく車両後方へ移動した状態で回転機構31を作動させた場合、シートとピラー等の周囲部との干渉が懸念される。
【0045】
しかし、スイッチ操作時において、前記スライド機構12が予め設定された回転開始時位置に無いことを検出した場合には、当該スライド機構12を前記回転開始時位置まで作動した後に通常動作を開始する。このため、シートが大きく車両後方へ移動されていた場合であっても、これに起因して生じ得るピラー等の周囲部との干渉などの不具合を解消することができる。
【0046】
そして、前記乗降処理では、前記回転モータ37及び前記スライドモータ22を作動してシートのスライド及び回転を開始した後(S4)、回転制御処理を実行する(S5)。
【0047】
この回転制御処理では、図7に示すように、前記両モータ22,37の作動を開始した始動時から、0.1秒毎に設定された設定時間、つまり第1回目では始動時から0.1秒経過したか否かを、第2回目には始動時から0.2秒経過したか否かを判断する(SD1)。
【0048】
前記設定時間経過していた場合には、現時点での経過時間に対応する設定パルスを、演算又はマイコンのROMに予め記憶されたテーブルを参照して読み出す(SD2)。演算する場合を例に挙げて説明すると、始動時から0.1秒経過した場合、図3の回転理想線82で示したように、回転パルス数が毎秒約140パルス増加する回転速度に設定されていることから、設定パルスが14パルスと演算される。
【0049】
そして、この設定パルスが、前記回転パルス数より小さいか否かを判断し(SD3)、小さい場合には、回転モータ37へのデューティー信号のデューティー比を小さくし、シートの回転速度を減速すことで(SD4)、シートの回転角度を理想の回転角度に近づけ、前記乗降処理へ戻る。一方、前記ステップSD3にて、前記設定パルスが、前記回転パルス数より小さく無い場合には、前記設定パルスが、前記回転パルス数より大きいか否かを判断する(SD5)。
【0050】
前記設定パルスが前記回転パルス数より大きい場合には、回転モータ37へのデューティー信号のデューティー比を大きくしてシートの回転速度を増速すことで(SD6)、シートの回転角度を理想の回転角度に近づけ、前記乗降処理へ戻る。また、前記設定パルスが前記回転パルス数より大きく無い場合、つまり、前記設定パルスと前記回転パルス数とが一致する場合には、シートは理想の回転角度まで回転しているので、何もせず前記乗降処理へ戻る。
【0051】
そして、乗降処理では、前述した回転制御処理と同等のスライド制御処理を実行し、シートのスライド位置を理想に近付けた後(S6)、前記操作スイッチ51がオフされたか否かを判断する(S7)。その結果、オンされていた場合には、前記ステップS5へ分岐して、前記回転制御処理と前記スライド制御処理とを繰り返す一方、オフされていた場合には、前記両モータ22,37を停止して(S8)、メインルーチンへ戻る。
【0052】
このように、本実施の形態の車両用シート装置1にあっては、シートの向きを変える回転機構31と、前記シートをスライドさせるスライド機構12とを備えているため、回転機構31のみが設けられた従来と比較して、乗車状態でのシートの前後移動が可能となり、居住性の向上を図ることができる。
【0053】
そして、この車両用シート装置1には、スイッチ操作に応じて、前記スライド機構12及び前記回転機構31を同時に作動するように構成されており、作動時には、前記両機構12,31において、始動時から0.1秒経過毎に、理想の位置にあるか否かを判断し、理想位置へ近づけるように各モータ22,37を制御する。このため、前記スライド機構12と前記回転機構31とを、始動時からの経過時間を基準として同期することができる。
【0054】
したがって、シートを予め定められた移動軌跡に沿って移動するこができ、シート回転時において、ピラー等の周囲部への干渉を防止することができる。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の請求項1の車両用シート装置にあっては、シートの向きを変える回転機構と、前記シートをスライドさせるスライド機構とを備えている。このため、回転機構のみが設けられた従来と比較して、乗車位置でのスライドが可能となり、居住性の向上を図ることができる。
【0056】
そして、この車両用シート装置には、スイッチ操作に応じて、前記スライド機構及び前記回転機構を作動するように構成されており、作動時には、前記スライド機構又は前記回転機構の少なくとも一方の機構において、位置検出時点での始動時からの経過時間及びその時の作動位置の関係が、始動時からの経過時間及びこれ応じて予め設定された設定位置の関係に適応するように、当該機構の作動状態を制御する。このため、前記スライド機構と前記回転機構とを、始動時からの経過時間を基準として同期することができる。
【0057】
これにより、前記シートを、予め定められた移動軌跡に沿って移動するこができるので、シート回転時の周囲部への干渉を防止することができる。
【0058】
また、請求項2の車両用シート装置において、昇降機構及び回転機構は、通常時において予め定められた原点位置に配置されている。しかし、長時間使用しない場合、機構の歪み等によって、原点位置から若干のずれが生じることがある。
【0059】
しかし、スイッチ操作時には、前記昇降機構又は前記回転機構の少なくとも一方の機構にて前記原点位置にあることが確認できない場合、当該機構が原点位置に位置するまで作動することで、原点位置へ復帰することができる。これにより、機構の歪み等に起因した不具合、例えばシートの移動軌跡の変化などを防止することができる。
【0060】
さらに、請求項3の車両用シート装置では、スライド機構を用いることでシートの移動範囲の増大が図られるが、このスライド機構によってシートを大きく移動した状態で回転機構を作動した場合、シートと周囲部との干渉が懸念される。
【0061】
しかし、スイッチ操作時には、前記スライド機構が予め設定された回転開始時位置に無いことを検出した場合に、当該スライド機構を前記回転開始時位置まで作動した後に通常動作を開始する。このため、シートが大きく移動されていた場合であっても、これに起因して生じ得る周囲部との干渉などの不具合を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す機構部分の斜視図である。
【図2】同実施の形態の制御装置のブロック図である。
【図3】同実施の形態の動作を示す説明図である。
【図4】同実施の形態の動作を示すフローチャートである。
【図5】同実施の形態の原点復帰処理を示すフローチャートである。
【図6】同実施の形態の始動間処理を示すフローチャートである。
【図7】同実施の形態の回転制御処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 車両用シート装置
12 スライド機構
31 回転機構
42 制御部
52 回転モータ用エンコーダ
53 スライドモータ用エンコーダ
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に設けられた車両用シート装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両用のシートとしては、車両への乗降を容易とする回転シートが知られている。
【0003】
この回転シートには、車両前方へ向いたシートを乗降口側へ回動する回転機構を備えており、乗降時のシートへの離着座を支援できるように構成されてる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような回転シートにあっては、回転時において、乗降口後方のピラーへの干渉を防止するために、比較的車両前方側に固定されていた。
【0005】
このため、体格によっては窮屈さを感じることがあった。
【0006】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、乗車時の居住性を向上することができる車両用シート装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために本発明の請求項1の車両用シート装置にあっては、シートをスライドさせるスライド機構と、前記シートの向きを変える回転機構と、スイッチ操作に応じて前記スライド機構及び前記回転機構を作動するとともに、前記シートを予め設定された基準位置から始動した際に、位置検出時点での始動時からの経過時間及びその時の作動位置の関係と、始動時からの経過時間及びこれ応じて予め設定された設定位置の関係とが、前記スライド機構又は前記回転機構のうちの少なくとも一方の機構にて適応するように、当該機構の作動状態を制御する適応制御手段と、を備えている。
【0008】
すなわち、この車両用シート装置では、シートの向きを変える回転機構と、前記シートをスライドさせるスライド機構とを備えている。このため、回転機構のみが設けられた従来と比較して、乗車位置でのスライドが可能となり、居住性が高められる。
【0009】
そして、この車両用シート装置には、スイッチ操作に応じて、前記スライド機構及び前記回転機構を作動するように構成されており、作動時には、前記スライド機構又は前記回転機構の少なくとも一方の機構において、位置検出時点での始動時からの経過時間及びその時の作動位置の関係が、始動時からの経過時間及びこれ応じて予め設定された設定位置の関係に適応するように、当該機構の作動状態が制御される。これにより、前記スライド機構と前記回転機構とが、始動時からの経過時間を基準として同期される。そして、前記シートが予め定められた移動軌跡に沿って移動される。
【0010】
また、請求項2の車両用シート装置においては、昇降機構又は前記回転機構のうち少なくとも一方の機構が予め設定された原点位置にあることを検出する検出手段を備え、スイッチ操作時に前記検出手段にて前記原点位置にあることが確認できない場合に、前記一方の機構が前記原点位置に位置するまで作動する原点復帰手段を備えている。
【0011】
すなわち、昇降機構及び回転機構は、通常時において予め定められた原点位置に配置されている。しかし、長時間使用しない場合、機構の歪み等によって、原点位置から若干のずれが生じることがある。
【0012】
そこで、スイッチ操作時には、前記昇降機構又は前記回転機構の少なくとも一方の機構にて原点位置にあることが確認できない場合に、当該機構が原点位置に位置するまで作動され、原点位置へ復帰される。
【0013】
さらに、請求項3の車両用シート装置では、スイッチ操作時に、前記スライド機構が予め設定された回転開始時位置に無いことを検出した際に、当該スライド機構を前記回転開始時位置まで作動した後に通常動作を開始する始動時制御手段を備えている。
【0014】
すなわち、この車両用シート装置では、スライド機構を用いることでシートの移動範囲の増大が図られているが、このスライド機構によってシートを大きく移動した状態で回転機構を作動させた場合、シートと周囲部との干渉などが懸念される。
【0015】
そこで、スイッチ操作時には、前記スライド機構が予め設定された回転開始時位置に無いことを検出した場合、当該スライド機構を前記回転開始時位置まで作動した後に通常動作を開始することで、シートが大きく移動されていた場合に生じ得る不具合が解消される。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図に従って説明する。図1は、本実施の形態にかかる車両用シート装置1の機構部分を示す図である。
【0017】
すなわち、車両の運転席位置のフロア11には、スライド機構12が設けられており、該スライド機構12は、フロア11に固定されたスライド機構本体13を備えている。該スライド機構本体13には、車両前後方向に延在する一対のレール14,14が離間して設けられており、各レール14,14の内側には、スライダ15,15がレール14,14に沿って移動自在に支持されている。
【0018】
前記両レール14,14を端部で連設する連設プレート21上には、スライドモータ22が固定されており、該スライドモータ22で駆動されるギヤボックス23,23からは、送りネジ24,24が前記各スライダ15,15に沿って延出している。各送りネジ24,24には、対応するスライダ15,15に設けられたナット部25,25が螺合しており、前記送りネジ24,24と前記ナット部25,25とによって、送りネジ24,24の回転に応じてナット部25,25が送りネジ24,24の長さ方向へ移動する送り機構が構成されている。
【0019】
このスライド機構12の上部には、回転機構31が設けられている。該回転機構31は、前記両スライダ15,15に固定された回転機構本体32を備えており、該回転機構本体32中央の円形穴33には、ベアリングを介して、回転リング34が回動自在に支持されている。前記回転機構本体32の外周部には、円弧状の回転ギヤ35が固定されており、該回転ギヤ35の外周縁には、ギヤ部36が形成されている。前記回転リング34から延出したブラケット34aには、回転モータ37が固定されており、該回転モータ37によって駆動されるギアボックス38の出力ギヤ39には、前記回転ギヤ35が螺合している。
【0020】
そして、前記回転リング34には、運転席を構成する図外のシートが固定されされている。これにより、前記スライドモータ22を作動して前記シートをスライドレール14,14に沿って車両前後方向へ移動できるとともに、前記回転モータ37を作動して、前記シートが車両前方側を向いた状態と乗降口側を向いた状態との間で向きを変えられるように構成されている。
【0021】
なお、昇降機能付きシートの場合には、前記シートと回転機構31との間に、昇降モータで作動する昇降機構を設けるものとする。
【0022】
図2は、前記車両用シート装置1の制御装置41を示すブロック図であり、該制御装置41は、マイコンを備えた制御部42を中心に構成されている。
【0023】
この制御部42には、コンソールボックス等に設けられた操作スイッチ51が接続されており、該操作スイッチ51は、センターオフであって、前記シートを乗降口側へ回動させる乗降側と、前記シートを車両前方へ向けさせる前向側とに切り換えられるように構成されている。この制御部42には、前記回転モータ37に内蔵された回転モータ用エンコーダ52と、前記スライドモータ22に内蔵されたスライドモータ用エンコーダ53とが接続されており、前記回転モータ用エンコーダ52から出力されたパルスに応じて、マイコンのRAMに記憶された回転パルス数が逐次増減されるように構成されている。これにより、この回転パルス数を参照することで、シートの回転角を算出できるように構成されている。また、前記スライドモータ用エンコーダ53から出力されたパルスに応じて、マイコンのRAMに記憶されたスライドパルス数が逐次増減されるように構成されている。これにより、このスライドパルス数を参照することで、シートのスライド位置を算出できるように構成されている。
【0024】
また、前記制御部42には、前記回転機構31の前記回転リング34が予め定められた初期位置としての原点位置にあるときにオン作動する回転リミットスイッチ61と、前記スライド機構12の前記スライダ15,15が予め定められた初期位置としての原点位置にあるときにオン作動するスライドリミットスイッチ62とが接続されている。
【0025】
そして、前記制御部42には、回転モータ駆動部71を介して、前記回転モータ37が接続されており、前記回転モータ駆動部71へデューティー信号を出力することによって、前記回転モータ37の回転速度を可変できるように構成されている。また、前記制御部42には、スライドモータ駆動部72を介して、前記スライドモータ22が接続されており、前記スライドモータ駆動部72へデューティー信号を出力することによって、前記スライドモータ22の回転速度を可変できるように構成されている。
【0026】
これにより、前記操作スイッチ51からの入力に応じて、前記スライド機構12及び前記回転機構31を作動し、前記シートを、予め設定された車両前方側を向いた状態と、乗降口側を向いた状態との間で回動できるように構成されている。
【0027】
なお、昇降機能付きシートの場合、制御部42に昇降機構を駆動する昇降モータに内蔵された昇降モータ用エンコーダを接続し、該昇降モータ用エンコーダから出力されたパルスに応じて、マイコンのRAMに記憶された昇降パルス数を逐次増減するように構成する。これにより、この昇降パルス数を参照することで、シートの昇降状態を算出できるようにする。また、前記制御部42に、前記昇降機構が予め定められた初期位置としての原点位置にあるときにオン作動する昇降リミットスイッチを接続する。さらに、前記制御部42に、昇降モータ駆動部を介して、前記昇降モータを接続し、前記昇降モータ駆動部へデューティー信号を出力することにより、前記昇降モータの昇降速度を可変して、前記シートを昇降速度を制御できるように構成するものとする。
【0028】
図3は、前記原点位置から前記回転モータ37を作動した始動時点81からの経過時間と、前記回転機構31による回転角との関係を示す回転理想線82、及び前記始動時点81からの経過時間と、前記スライド機構12によるスライド位置との関係を示すスライド理想線83を示す図であり、前記経過時間に応じた前記回転角及び前記スライド位置が予め算出され設定されている。なお、図3において、前記回転角は、前記回転パルス数で示されており、前記スライド位置は、前記スライドパルス数で示されている。
【0029】
前記スライド機構12によるストロークは、前記スライドパルス数に換算して500パルスとなるように設定されており、全ストローク移動するために要する時間は、10秒に設定されている。また、このスライド機構12は、原点位置から等速で移動するように設定されており、前記スライドパルス数が毎秒50パルス増加する移動速度に設定されている。
【0030】
前記回転機構31による回転範囲は、前記回転パルス数に換算して1000ルスとなるように設定されており、全範囲回転するために要する時間は、9.5秒に設定されている。この回転機構31に関しては、初期位置から第1変速点85までの回転パルス数が300パルスに設定されており、始動時からの経過時間が2.15秒となるように設定されている。これにより、この間において、前記回転パルス数が毎秒約140パルス増加する回転速度に設定されている。
【0031】
また、前記第1変速点85から第2変速点86までの回転パルス数は、400パルスに設定されており、第1変速点85から第2変速点86まで回転する為に要する時間は、4秒となるように設定されている。これにより、この間において、前記回転パルス数が毎秒100パルス増加する回転速度に設定されている。
【0032】
そして、前記第2変速点86から最終地点87までの回転パルス数は、300パルスに設定されており、第2変速点86から最終地点87まで回転する為に要する時間は、3.35秒となるように設定されている。これにより、この間において、前記回転パルス数が毎秒約90パルス増加する回転速度に設定されている。
【0033】
以上の構成にかかる本実施の形態の動作を、図4から図7に示すフローチャートに従って説明する。
【0034】
すなわち、操作スイッチ51が乗降側に切り換えられた際には、乗降側に操作スイッチ51がオンされているか否かを判断し(S1)、オンされている場合には、原点復帰処理を行う(S2)。
【0035】
この原点復帰処理では、図5に示すように、回転リミットスイッチ61がオフか否かを判断し(SB1)、回転機構31が原点位置にあり、回転リミットスイッチ61がオンしていた場合には、ステップSB4へ分岐する。一方、前記回転機構31が原点位置に無く、回転リミットスイッチ61がオフしていた場合、回転モータ37を作動して(SB2)、回転リミットスイッチ61がオンするまで作動を継続し、前記回転機構31を原点位置まで移動する(SB3)。
【0036】
つまり、前記回転機構31は、通常時において予め定められた原点位置に配置されている。しかし、長時間使用しない場合、機構の歪み等によって、原点位置から若干のずれが生じることがある。
【0037】
しかし、スイッチ操作時において、前記回転機構31が原点位置にあることを確認できない場合には、当該機構31が原点位置に達するまで作動することで、原点位置へ復帰することができる。これにより、機構の歪み等に起因した不具合、例えばシートの移動軌跡の変化などを防止することができる。
【0038】
そして、前記回転リミットスイッチ61がオンした際には(SB3)、スライドリミットスイッチ62がオフか否かを判断し(SB4)、スライド機構12が原点位置にあり、スライドリミットスイッチ62がオンしていた場合には、分岐して前記乗降処理へ戻る。一方、前記スライド機構12が原点位置に無く、スライドリミットスイッチ62がオフしていた場合、スライドモータ22を作動して(SB5)、スライドリミットスイッチ62がオンするまで作動を継続し、前記スライド機構12を原点位置まで移動した後(SB6)、前記乗降処理へ戻る。
【0039】
これにより、前述同様に、前記スライド機構12が原点位置にあることを確認できない場合に、当該機構12が原点位置に達するまで作動して、原点位置へ復帰することで、機構の歪み等に起因したシートの移動軌跡の変化などの不具合を防止することができる。
【0040】
ここで、昇降機能付きのシートの場合、昇降リミットスイッチがオフか否かを判断し、昇降機構が原点位置に無く、昇降リミットスイッチがオフしていた際に、昇降モータを昇降リミットスイッチがオンするまで作動して、前記昇降機構を原点位置まで移動させるようにする。
【0041】
これにより、前述同様に、前記昇降機構が原点位置にあることを確認できない場合に、当該機構が原点位置に達するまで作動して、原点位置へ復帰することで、機構の歪み等に起因したシートの移動軌跡の変化などの不具合を防止することができる。
【0042】
前記乗降処理では、次に始動前処理を実行する(S3)。
【0043】
この始動前処理では、図6に示すように、スライド機構12が、例えば回転パルス数から予め定められた回転開始時位置にあるか否かを判断する(SC1)。前記回転開始時位置にある場合には、分岐して前記乗降処理へ戻る一方、前記回転開始時位置に無い場合には、スライドモータ22を作動して(SC2)、前記回転開始時位置に到達するまで作動を継続し、前記回動機構31を前記回転開始時位置まで移動した後(SC3)、前記乗降処理へ戻る。
【0044】
すなわち、この車両用シート装置1では、スライド機構12を用いることでシートの移動範囲の増大が図られるが、このスライド機構12によってシートを大きく車両後方へ移動した状態で回転機構31を作動させた場合、シートとピラー等の周囲部との干渉が懸念される。
【0045】
しかし、スイッチ操作時において、前記スライド機構12が予め設定された回転開始時位置に無いことを検出した場合には、当該スライド機構12を前記回転開始時位置まで作動した後に通常動作を開始する。このため、シートが大きく車両後方へ移動されていた場合であっても、これに起因して生じ得るピラー等の周囲部との干渉などの不具合を解消することができる。
【0046】
そして、前記乗降処理では、前記回転モータ37及び前記スライドモータ22を作動してシートのスライド及び回転を開始した後(S4)、回転制御処理を実行する(S5)。
【0047】
この回転制御処理では、図7に示すように、前記両モータ22,37の作動を開始した始動時から、0.1秒毎に設定された設定時間、つまり第1回目では始動時から0.1秒経過したか否かを、第2回目には始動時から0.2秒経過したか否かを判断する(SD1)。
【0048】
前記設定時間経過していた場合には、現時点での経過時間に対応する設定パルスを、演算又はマイコンのROMに予め記憶されたテーブルを参照して読み出す(SD2)。演算する場合を例に挙げて説明すると、始動時から0.1秒経過した場合、図3の回転理想線82で示したように、回転パルス数が毎秒約140パルス増加する回転速度に設定されていることから、設定パルスが14パルスと演算される。
【0049】
そして、この設定パルスが、前記回転パルス数より小さいか否かを判断し(SD3)、小さい場合には、回転モータ37へのデューティー信号のデューティー比を小さくし、シートの回転速度を減速すことで(SD4)、シートの回転角度を理想の回転角度に近づけ、前記乗降処理へ戻る。一方、前記ステップSD3にて、前記設定パルスが、前記回転パルス数より小さく無い場合には、前記設定パルスが、前記回転パルス数より大きいか否かを判断する(SD5)。
【0050】
前記設定パルスが前記回転パルス数より大きい場合には、回転モータ37へのデューティー信号のデューティー比を大きくしてシートの回転速度を増速すことで(SD6)、シートの回転角度を理想の回転角度に近づけ、前記乗降処理へ戻る。また、前記設定パルスが前記回転パルス数より大きく無い場合、つまり、前記設定パルスと前記回転パルス数とが一致する場合には、シートは理想の回転角度まで回転しているので、何もせず前記乗降処理へ戻る。
【0051】
そして、乗降処理では、前述した回転制御処理と同等のスライド制御処理を実行し、シートのスライド位置を理想に近付けた後(S6)、前記操作スイッチ51がオフされたか否かを判断する(S7)。その結果、オンされていた場合には、前記ステップS5へ分岐して、前記回転制御処理と前記スライド制御処理とを繰り返す一方、オフされていた場合には、前記両モータ22,37を停止して(S8)、メインルーチンへ戻る。
【0052】
このように、本実施の形態の車両用シート装置1にあっては、シートの向きを変える回転機構31と、前記シートをスライドさせるスライド機構12とを備えているため、回転機構31のみが設けられた従来と比較して、乗車状態でのシートの前後移動が可能となり、居住性の向上を図ることができる。
【0053】
そして、この車両用シート装置1には、スイッチ操作に応じて、前記スライド機構12及び前記回転機構31を同時に作動するように構成されており、作動時には、前記両機構12,31において、始動時から0.1秒経過毎に、理想の位置にあるか否かを判断し、理想位置へ近づけるように各モータ22,37を制御する。このため、前記スライド機構12と前記回転機構31とを、始動時からの経過時間を基準として同期することができる。
【0054】
したがって、シートを予め定められた移動軌跡に沿って移動するこができ、シート回転時において、ピラー等の周囲部への干渉を防止することができる。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の請求項1の車両用シート装置にあっては、シートの向きを変える回転機構と、前記シートをスライドさせるスライド機構とを備えている。このため、回転機構のみが設けられた従来と比較して、乗車位置でのスライドが可能となり、居住性の向上を図ることができる。
【0056】
そして、この車両用シート装置には、スイッチ操作に応じて、前記スライド機構及び前記回転機構を作動するように構成されており、作動時には、前記スライド機構又は前記回転機構の少なくとも一方の機構において、位置検出時点での始動時からの経過時間及びその時の作動位置の関係が、始動時からの経過時間及びこれ応じて予め設定された設定位置の関係に適応するように、当該機構の作動状態を制御する。このため、前記スライド機構と前記回転機構とを、始動時からの経過時間を基準として同期することができる。
【0057】
これにより、前記シートを、予め定められた移動軌跡に沿って移動するこができるので、シート回転時の周囲部への干渉を防止することができる。
【0058】
また、請求項2の車両用シート装置において、昇降機構及び回転機構は、通常時において予め定められた原点位置に配置されている。しかし、長時間使用しない場合、機構の歪み等によって、原点位置から若干のずれが生じることがある。
【0059】
しかし、スイッチ操作時には、前記昇降機構又は前記回転機構の少なくとも一方の機構にて前記原点位置にあることが確認できない場合、当該機構が原点位置に位置するまで作動することで、原点位置へ復帰することができる。これにより、機構の歪み等に起因した不具合、例えばシートの移動軌跡の変化などを防止することができる。
【0060】
さらに、請求項3の車両用シート装置では、スライド機構を用いることでシートの移動範囲の増大が図られるが、このスライド機構によってシートを大きく移動した状態で回転機構を作動した場合、シートと周囲部との干渉が懸念される。
【0061】
しかし、スイッチ操作時には、前記スライド機構が予め設定された回転開始時位置に無いことを検出した場合に、当該スライド機構を前記回転開始時位置まで作動した後に通常動作を開始する。このため、シートが大きく移動されていた場合であっても、これに起因して生じ得る周囲部との干渉などの不具合を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す機構部分の斜視図である。
【図2】同実施の形態の制御装置のブロック図である。
【図3】同実施の形態の動作を示す説明図である。
【図4】同実施の形態の動作を示すフローチャートである。
【図5】同実施の形態の原点復帰処理を示すフローチャートである。
【図6】同実施の形態の始動間処理を示すフローチャートである。
【図7】同実施の形態の回転制御処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 車両用シート装置
12 スライド機構
31 回転機構
42 制御部
52 回転モータ用エンコーダ
53 スライドモータ用エンコーダ
Claims (3)
- シートをスライドさせるスライド機構と、
前記シートの向きを変える回転機構と、
スイッチ操作に応じて前記スライド機構及び前記回転機構を作動するとともに、前記シートを予め設定された基準位置から始動した際に、位置検出時点での始動時からの経過時間及びその時の作動位置の関係と、始動時からの経過時間及びこれ応じて予め設定された設定位置の関係とが、前記スライド機構又は前記回転機構のうちの少なくとも一方の機構にて適応するように、当該機構の作動状態を制御する適応制御手段と、
を備えたことを特徴とする車両用シート装置。 - 昇降機構又は前記回転機構のうち少なくとも一方の機構が予め設定された原点位置にあることを検出する検出手段を備え、
スイッチ操作時に前記検出手段にて前記原点位置にあることが確認できない場合に、前記一方の機構が前記原点位置に位置するまで作動する原点復帰手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の車両用シート装置。 - スイッチ操作時に、前記スライド機構が予め設定された回転開始時位置に無いことを検出した際に、当該スライド機構を前記回転開始時位置まで作動した後に通常動作を開始する始動時制御手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の車両用シート装置。
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