JP2004122173A - レーザマイクロジェット加工装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】液体ビームへの液滴の混入を防止したレーザマイクロジェット加工装置を提供すること。
【解決手段】ビーム源からのレーザ光をノズルに収束させ、そのノズルから噴射される液体ビーム内を通して被加工表面にレーザ光を到達させるものであって、ノズル24を備えたノズルブロック10は、液体ビームが噴射される噴射口27aの形成された底面が、当該噴射口27aから周辺部に向かって下向き傾斜した傾斜面27bの形成されたレーザマイクロジェット加工装置。
【選択図】 図2
【解決手段】ビーム源からのレーザ光をノズルに収束させ、そのノズルから噴射される液体ビーム内を通して被加工表面にレーザ光を到達させるものであって、ノズル24を備えたノズルブロック10は、液体ビームが噴射される噴射口27aの形成された底面が、当該噴射口27aから周辺部に向かって下向き傾斜した傾斜面27bの形成されたレーザマイクロジェット加工装置。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高圧で噴射されるウォータジェット等の液体ビームを導波路とし、その導波路内を通したレーザ光を被加工材に当てることにより、その被加工材を切断加工するレーザマイクロジェット加工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来この種のレーザマイクロジェット加工装置としては、例えば特表平10−500903号公報に記載されたようなものがある。これはノズルに液体流路を形成し、その液体流路を通して供給した高圧の液体をノズルから液体ビームとして噴射させると共に、ノズルの中心軸上にあるガラス板の外側に配置された収束レンズを通してレーザ光を液体ビームの中に入射させることにより、液体ビーム内を通してレーザ光を被加工材に当てて加工するものである。
【0003】
こうしたレーザマイクロジェット加工装置では、図3に示すように液体ビームとなるウォータジェット50をレーザ光60の導波路として利用し、被加工材70表面にレーザ光60を到達させるものであり、レーザ光60が光ファイバのように水と空気との屈折率の違いによって水の界面にて全反射しながら被加工材70表面まで進行する。被加工材70を切断するエネルギはレーザ光60から供給され、ウォータジェット50は、最大圧力500barの導波路として働き、その後は加工中の材料冷却と除去材料を洗い流す役割を果たすことになる。なお、液体ビームは、水の他にもシリコンオイルなどによるものでもよい。
【0004】
ウォータジェット50は、例えば最小径のものでは50μmにもなる極めて細い流線である。従って、レーザマイクロジェット加工装置は、薄い材料を高精度、高品質で切断することに適しており、例えば300μm厚のSiウェハのダイシングや、肉厚0.05〜0.11mmで外径1.5〜1.7mmの小径なステンレスチューブに複雑な切り込みを入れるステントの加工などに使用される。
【0005】
そして、ウォータジェット50の安定長さ(見掛け上の焦点深さ)はノズル径によって異なるが、例えば100μmの径の場合に約100mmに達する。従って、その距離の間でレーザ加工が可能になるため、被加工材70が波打って高さが変動するものや加工深さの大きいものでも加工距離が長いため適切な加工を行うことができる。例えば、金型の加工において深孔をあけるような場合に適している。
【0006】
そしてまたレーザマイクロジェット加工装置は、液体ビームを導波路とすることによってレーザ光による熱損傷を冷却効果によって防ぎ、ウェハがごく限定された素子にしか適用されなかった問題を解決し、体内の管状器官の内腔に挿入されるステントに対しても熱による酸化を回避することができるようになった。
【0007】
【特許文献1】
特表平10−500903号公報(第12−14頁、図2)
【特許文献2】
特開2000−334590号公報(図1)
【非特許文献1】
社団法人日本溶接協会誌「溶接技術」(Vol.48,No11,P92−96(2000))
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら従来のレーザマイクロジェット加工装置は、ウォータジェット50を利用することによってレーザ光60による熱損傷を抑えた精密加工が可能なものでありながら、その機能を損なう構造を有していた。すなわち、ウォータジェット50となって勢い良く噴射された水は、被加工材70を跳ね返ってノズル側に付着し、それが水滴となって流れ、噴射しているウォータジェット50に吸収されることによって加工精度を決定する流線の径を大きしてしまっていた。図4は、そうした従来のレーザマイクロジェット加工装置における問題部分を示した図である。
【0009】
ノズルブロック80は、矢印で示すように流入した水がダイヤモンドチップ81の微少孔を通ることにより、柱状のウォータジェット50となって噴射口82から噴射され、ダイヤモンドチップ81の微少孔で収束したレーザ光60を、ウォータジェット50を導波路として被加工材70表面に到達させるものである。そして、こうしたノズルブロック80では、前述した問題原因が噴射口82の周りの形状が下方に傾斜した漏斗状になっていることにあった。
【0010】
被加工材70に勢い良くウォータジェット50が当たると、水は跳ね返り、また湿気の多い雰囲気の中で加工が行われているので、図示するようにノズルブロック80に水滴90が着き、それが斜面を流れ、噴射されるウォータジェット50に吸収される。ウォータジェット50は100μm程の極めて細い流線であるため、自然にできた水滴100はウォータジェット50に多量の水を部分的に加えることになる。これによってウォータジェット50は瞬間的に太くなってしまい、加工精度を大きく狂わしてしまう。例えばSiウェハでは100μmの加工寸法に対して±5μm程の誤差しか許されず、水滴による加工精度への影響は大きいといえる。
【0011】
そこで本発明は、かかる課題を解決すべく、液体ビームへの液滴の混入を防止したレーザマイクロジェット加工装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明のレーザマイクロジェット加工装置は、ビーム源からのレーザ光をノズルに収束させ、そのノズルから噴射される液体ビーム内を通して被加工表面にレーザ光を到達させるものであって、前記ノズルを備えたノズルブロックは、液体ビームが噴射される噴射口の形成された底面が、当該噴射口から周辺部に向かって下向き傾斜した傾斜面の形成されたものであることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、加工の際に液体ビームが被加工材に跳ね返ったり、湿気の多い雰囲気によってノズルカバーの底面に水滴が生じても、傾斜面にできた液滴は液体ビームが噴射される噴射口から離れる方向に流れるため、噴射される液体ビームへの液滴混入を防ぐことができ、その結果、レーザ光の導波路を常に一定径に保つことによって精度の高い加工を行うことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係るレーザマイクロジェット加工装置の一実施形態について図面を参照しながら以下に説明する。図1は、レーザマイクロジェット加工装置について概略の構成を示した図である。
【0015】
レーザマイクロジェット加工装置1は、ビーム源として1.064μmの波長を有するレーザービーム3を送出する100W出力のND:YAGレーザー発振器2を備えている。レーザービーム3は、フォーカスユニット4によって数100μmの心直径を有するビームガイド5に結合されるようになっており、そのビームガイド5の心直径は供給すべきビーム出力に相応して選択できるようになっている。レーザー発振器2のレーザ光は光ファイバからなるビームガイド5を通して送られ、コリメータ6によって平行光線束7とされ、その平行光線束7がフォーカスレンズ8によって収束される。
【0016】
そうしてノズルブロック10に収束して送られたレーザ光は、そこから噴射される液体ビーム11を導波路として被加工材12に照射され、不図示のXYテーブル上に配置された被加工材12に所定の加工が施される。被加工材12の下には噴射された液体を受ける容器13が設置されており、そこに収容された液体は導管14を流れてフィルタ15により浄化され、タンク16へと回収される。その後タンク16内の液体はポンプ17によって吸い上げられ、導管9を介して再びノズルブロック10へと圧送される。導管9はリリーフ弁18を介してタンク16に接続され、ノズルブロック10へと圧送される液体の圧力調整が行われている。
【0017】
続いて、ノズルブロック10について図2を参照しながら説明する。ノズルブロック10は、ボディ21に対して圧力チャンバ22が下からはめ込まれ、その圧力チャンバ22内に耐圧ガラス23及びノズル24が装填されている。ボディ21の外側面には不図示の液体供給ポートが形成され、内周面側に形成された環状溝31に連通している。圧力チャンバ22には中心孔22aが上下に貫き、外側から中心孔22aに貫通した横孔の液体供給孔32,32…が環状溝31に重なる高さで複数形成されている。
【0018】
耐圧ガラス23とノズル24とは中心孔22a内に上下に配置され、液体供給孔32,32…の位置にできた両者の隙間が液体供給空間33として構成されている。圧力チャンバ22にはメスネジブロック25が取り付けられ、それに螺設されたノズル押え26がノズル24に対して下から突き当てられている。ノズル押え26のねじ込み量を調節することによってノズル24の位置を上下させることができ、耐圧ガラス23との隙間からなる液体供給空間33の容積が変えられるようになっている。
【0019】
圧力チャンバ22は外周に雄ネジが切られ、底部にはめ込み可能なノズルカバー27が図示するように螺設されている。ノズルカバー27にはその中心に噴射口27aが形成され、特に本実施形態の場合、噴射口27aから周辺部に向かって下向き傾斜した傾斜面27bが形成されている。
【0020】
ノズルブロック10は、レーザ光が上下方向に通過できる光路と、そのレーザ光の導波路となる液体を噴射させる流路とが重なるように形成されている。ボディ21には、すり鉢状に大きく開いた開口が形成され、更にその中に開口した圧力チャンバ22の中心孔22aの入口もすり鉢状に形成されている。こうしてノズルブロック10の入口が円錐形をしているのは、フォーカスレンズ25によって収束するレーザ光の入力を可能とするためである。
【0021】
中心孔22a内には、入口開口の下に反射防止コーティングされた耐圧ガラス23が配置されており、レーザ光は、フォーカスレンズ25(図1参照)によってこの耐圧ガラス23を通過して収束する。一方、図1に示すタンク16内からポンプ17によってノズルブロック10へと圧送された液体(本実施形態では「水」を使用する)は、環状溝31から液体供給孔32,32…を通って耐圧ガラス23によって閉じられた液体供給空間33に送り込まれる。
【0022】
液体供給孔32,32…を通って各方向から液体供給空間33に流入した水は、ノズル通路24aの入口にはめ込まれたダイヤモンドチップ28の微少孔を通って細い水流、すなわちウォータジェットとなる。そしてウォータジェットは、連通したノズル押え26の通路26aを通り、ノズルカバー27に開設された噴射口27aから噴射される。耐圧ガラス23を通過してダイヤモンドチップ28の微少孔内に収束したレーザ光は、そのウォータジェットをレーザ光の導波路として、図3に示すように水と空気との屈折率の違いによって水の界面にて全反射しながら進行して被加工材12の表面に到達する。
【0023】
レーザマイクロジェット加工装置1による加工の際、ウォータジェットが被加工材12に跳ね返ったり、湿気の多い雰囲気によってノズルカバー27の底面に水滴が生じる。しかし本実施形態では、傾斜面27bにできた水滴はウォータジェットが噴射される噴射口27aから離れるよう矢印で示す向きに流れ落ちる。従って、噴射されるウォータジェットに水滴が吸収されてしまうことはなく、レーザ光の導波路を常に一定径に保つことができ、精度の高い加工を行うことができる。
【0024】
ところでこの点に関し、特許文献1に示したレーザマイクロジェット加工装置1では、噴射口が形成されたノズルブロック10の底面が平らになっているため、中心が下向きになって傾斜しているものに比べ水滴がウォータジェットに流れ込んで吸収されるという状態は起こりにくい。しかし、レーザマイクロジェット加工装置1の場合、勢い良く噴射されるウォータジェットの周りが負圧になり、自重で流れ込まなくても近くにできた水滴が引き込まれて加工径を狂わせてしまう。従って、本実施形態のように噴射口27aの周りを外側に向けて傾斜させる傾斜面27bとすることによって、確実に水滴の影響を防ぐことができる。
【0025】
また、本実施形態のレーザマイクロジェット加工装置1は、ノズルブロック10からノズル24を交換可能とし、ノズル押え27によってノズル24の高さを調節できるようになっている。従って、ノズル24の交換によって簡単にウォータジェットの径を変えることができ、また耐圧ガラス23とノズル24との間にできた液体供給空間33は、理論的にはその高さがノズル通路24aの横断面の半分を有するようにすればよいが、ノズル押え27によってノズル24の変更に対する液体供給空間33の高さを簡単に調整することができる。
【0026】
以上、レーザマイクロジェット加工装置の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなくその趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、ノズルブロックの底面に形成する傾斜面は、円錐形の他に碗形であってもよい。
【0027】
【発明の効果】
本発明は、ビーム源からのレーザ光をノズルに収束させ、そのノズルから噴射される液体ビーム内を通して被加工表面にレーザ光を到達させるものであって、ノズルを備えたノズルブロックの底面を噴射口から周辺部に向かって下向き傾斜した傾斜面としたので、液体ビームへの液滴の混入を防止したレーザマイクロジェット加工装置を提供することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】レーザマイクロジェット加工装置の一実施形態を示した構成図である。
【図2】ノズルブロックを示した断面図である。
【図3】液体ビームによりレーザ光が導かれる状態を示した概念図である。
【図4】従来のレーザマイクロジェット加工装置における加工ヘッドを示した図である。
【符号の説明】
1 レーザマイクロジェット加工装置
10 ノズルブロック
23 耐圧ガラス
24 ノズル
26 ノズル押え
27 ノズルカバー
27a 噴射口
27b 傾斜面
【発明の属する技術分野】
本発明は、高圧で噴射されるウォータジェット等の液体ビームを導波路とし、その導波路内を通したレーザ光を被加工材に当てることにより、その被加工材を切断加工するレーザマイクロジェット加工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来この種のレーザマイクロジェット加工装置としては、例えば特表平10−500903号公報に記載されたようなものがある。これはノズルに液体流路を形成し、その液体流路を通して供給した高圧の液体をノズルから液体ビームとして噴射させると共に、ノズルの中心軸上にあるガラス板の外側に配置された収束レンズを通してレーザ光を液体ビームの中に入射させることにより、液体ビーム内を通してレーザ光を被加工材に当てて加工するものである。
【0003】
こうしたレーザマイクロジェット加工装置では、図3に示すように液体ビームとなるウォータジェット50をレーザ光60の導波路として利用し、被加工材70表面にレーザ光60を到達させるものであり、レーザ光60が光ファイバのように水と空気との屈折率の違いによって水の界面にて全反射しながら被加工材70表面まで進行する。被加工材70を切断するエネルギはレーザ光60から供給され、ウォータジェット50は、最大圧力500barの導波路として働き、その後は加工中の材料冷却と除去材料を洗い流す役割を果たすことになる。なお、液体ビームは、水の他にもシリコンオイルなどによるものでもよい。
【0004】
ウォータジェット50は、例えば最小径のものでは50μmにもなる極めて細い流線である。従って、レーザマイクロジェット加工装置は、薄い材料を高精度、高品質で切断することに適しており、例えば300μm厚のSiウェハのダイシングや、肉厚0.05〜0.11mmで外径1.5〜1.7mmの小径なステンレスチューブに複雑な切り込みを入れるステントの加工などに使用される。
【0005】
そして、ウォータジェット50の安定長さ(見掛け上の焦点深さ)はノズル径によって異なるが、例えば100μmの径の場合に約100mmに達する。従って、その距離の間でレーザ加工が可能になるため、被加工材70が波打って高さが変動するものや加工深さの大きいものでも加工距離が長いため適切な加工を行うことができる。例えば、金型の加工において深孔をあけるような場合に適している。
【0006】
そしてまたレーザマイクロジェット加工装置は、液体ビームを導波路とすることによってレーザ光による熱損傷を冷却効果によって防ぎ、ウェハがごく限定された素子にしか適用されなかった問題を解決し、体内の管状器官の内腔に挿入されるステントに対しても熱による酸化を回避することができるようになった。
【0007】
【特許文献1】
特表平10−500903号公報(第12−14頁、図2)
【特許文献2】
特開2000−334590号公報(図1)
【非特許文献1】
社団法人日本溶接協会誌「溶接技術」(Vol.48,No11,P92−96(2000))
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら従来のレーザマイクロジェット加工装置は、ウォータジェット50を利用することによってレーザ光60による熱損傷を抑えた精密加工が可能なものでありながら、その機能を損なう構造を有していた。すなわち、ウォータジェット50となって勢い良く噴射された水は、被加工材70を跳ね返ってノズル側に付着し、それが水滴となって流れ、噴射しているウォータジェット50に吸収されることによって加工精度を決定する流線の径を大きしてしまっていた。図4は、そうした従来のレーザマイクロジェット加工装置における問題部分を示した図である。
【0009】
ノズルブロック80は、矢印で示すように流入した水がダイヤモンドチップ81の微少孔を通ることにより、柱状のウォータジェット50となって噴射口82から噴射され、ダイヤモンドチップ81の微少孔で収束したレーザ光60を、ウォータジェット50を導波路として被加工材70表面に到達させるものである。そして、こうしたノズルブロック80では、前述した問題原因が噴射口82の周りの形状が下方に傾斜した漏斗状になっていることにあった。
【0010】
被加工材70に勢い良くウォータジェット50が当たると、水は跳ね返り、また湿気の多い雰囲気の中で加工が行われているので、図示するようにノズルブロック80に水滴90が着き、それが斜面を流れ、噴射されるウォータジェット50に吸収される。ウォータジェット50は100μm程の極めて細い流線であるため、自然にできた水滴100はウォータジェット50に多量の水を部分的に加えることになる。これによってウォータジェット50は瞬間的に太くなってしまい、加工精度を大きく狂わしてしまう。例えばSiウェハでは100μmの加工寸法に対して±5μm程の誤差しか許されず、水滴による加工精度への影響は大きいといえる。
【0011】
そこで本発明は、かかる課題を解決すべく、液体ビームへの液滴の混入を防止したレーザマイクロジェット加工装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明のレーザマイクロジェット加工装置は、ビーム源からのレーザ光をノズルに収束させ、そのノズルから噴射される液体ビーム内を通して被加工表面にレーザ光を到達させるものであって、前記ノズルを備えたノズルブロックは、液体ビームが噴射される噴射口の形成された底面が、当該噴射口から周辺部に向かって下向き傾斜した傾斜面の形成されたものであることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、加工の際に液体ビームが被加工材に跳ね返ったり、湿気の多い雰囲気によってノズルカバーの底面に水滴が生じても、傾斜面にできた液滴は液体ビームが噴射される噴射口から離れる方向に流れるため、噴射される液体ビームへの液滴混入を防ぐことができ、その結果、レーザ光の導波路を常に一定径に保つことによって精度の高い加工を行うことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係るレーザマイクロジェット加工装置の一実施形態について図面を参照しながら以下に説明する。図1は、レーザマイクロジェット加工装置について概略の構成を示した図である。
【0015】
レーザマイクロジェット加工装置1は、ビーム源として1.064μmの波長を有するレーザービーム3を送出する100W出力のND:YAGレーザー発振器2を備えている。レーザービーム3は、フォーカスユニット4によって数100μmの心直径を有するビームガイド5に結合されるようになっており、そのビームガイド5の心直径は供給すべきビーム出力に相応して選択できるようになっている。レーザー発振器2のレーザ光は光ファイバからなるビームガイド5を通して送られ、コリメータ6によって平行光線束7とされ、その平行光線束7がフォーカスレンズ8によって収束される。
【0016】
そうしてノズルブロック10に収束して送られたレーザ光は、そこから噴射される液体ビーム11を導波路として被加工材12に照射され、不図示のXYテーブル上に配置された被加工材12に所定の加工が施される。被加工材12の下には噴射された液体を受ける容器13が設置されており、そこに収容された液体は導管14を流れてフィルタ15により浄化され、タンク16へと回収される。その後タンク16内の液体はポンプ17によって吸い上げられ、導管9を介して再びノズルブロック10へと圧送される。導管9はリリーフ弁18を介してタンク16に接続され、ノズルブロック10へと圧送される液体の圧力調整が行われている。
【0017】
続いて、ノズルブロック10について図2を参照しながら説明する。ノズルブロック10は、ボディ21に対して圧力チャンバ22が下からはめ込まれ、その圧力チャンバ22内に耐圧ガラス23及びノズル24が装填されている。ボディ21の外側面には不図示の液体供給ポートが形成され、内周面側に形成された環状溝31に連通している。圧力チャンバ22には中心孔22aが上下に貫き、外側から中心孔22aに貫通した横孔の液体供給孔32,32…が環状溝31に重なる高さで複数形成されている。
【0018】
耐圧ガラス23とノズル24とは中心孔22a内に上下に配置され、液体供給孔32,32…の位置にできた両者の隙間が液体供給空間33として構成されている。圧力チャンバ22にはメスネジブロック25が取り付けられ、それに螺設されたノズル押え26がノズル24に対して下から突き当てられている。ノズル押え26のねじ込み量を調節することによってノズル24の位置を上下させることができ、耐圧ガラス23との隙間からなる液体供給空間33の容積が変えられるようになっている。
【0019】
圧力チャンバ22は外周に雄ネジが切られ、底部にはめ込み可能なノズルカバー27が図示するように螺設されている。ノズルカバー27にはその中心に噴射口27aが形成され、特に本実施形態の場合、噴射口27aから周辺部に向かって下向き傾斜した傾斜面27bが形成されている。
【0020】
ノズルブロック10は、レーザ光が上下方向に通過できる光路と、そのレーザ光の導波路となる液体を噴射させる流路とが重なるように形成されている。ボディ21には、すり鉢状に大きく開いた開口が形成され、更にその中に開口した圧力チャンバ22の中心孔22aの入口もすり鉢状に形成されている。こうしてノズルブロック10の入口が円錐形をしているのは、フォーカスレンズ25によって収束するレーザ光の入力を可能とするためである。
【0021】
中心孔22a内には、入口開口の下に反射防止コーティングされた耐圧ガラス23が配置されており、レーザ光は、フォーカスレンズ25(図1参照)によってこの耐圧ガラス23を通過して収束する。一方、図1に示すタンク16内からポンプ17によってノズルブロック10へと圧送された液体(本実施形態では「水」を使用する)は、環状溝31から液体供給孔32,32…を通って耐圧ガラス23によって閉じられた液体供給空間33に送り込まれる。
【0022】
液体供給孔32,32…を通って各方向から液体供給空間33に流入した水は、ノズル通路24aの入口にはめ込まれたダイヤモンドチップ28の微少孔を通って細い水流、すなわちウォータジェットとなる。そしてウォータジェットは、連通したノズル押え26の通路26aを通り、ノズルカバー27に開設された噴射口27aから噴射される。耐圧ガラス23を通過してダイヤモンドチップ28の微少孔内に収束したレーザ光は、そのウォータジェットをレーザ光の導波路として、図3に示すように水と空気との屈折率の違いによって水の界面にて全反射しながら進行して被加工材12の表面に到達する。
【0023】
レーザマイクロジェット加工装置1による加工の際、ウォータジェットが被加工材12に跳ね返ったり、湿気の多い雰囲気によってノズルカバー27の底面に水滴が生じる。しかし本実施形態では、傾斜面27bにできた水滴はウォータジェットが噴射される噴射口27aから離れるよう矢印で示す向きに流れ落ちる。従って、噴射されるウォータジェットに水滴が吸収されてしまうことはなく、レーザ光の導波路を常に一定径に保つことができ、精度の高い加工を行うことができる。
【0024】
ところでこの点に関し、特許文献1に示したレーザマイクロジェット加工装置1では、噴射口が形成されたノズルブロック10の底面が平らになっているため、中心が下向きになって傾斜しているものに比べ水滴がウォータジェットに流れ込んで吸収されるという状態は起こりにくい。しかし、レーザマイクロジェット加工装置1の場合、勢い良く噴射されるウォータジェットの周りが負圧になり、自重で流れ込まなくても近くにできた水滴が引き込まれて加工径を狂わせてしまう。従って、本実施形態のように噴射口27aの周りを外側に向けて傾斜させる傾斜面27bとすることによって、確実に水滴の影響を防ぐことができる。
【0025】
また、本実施形態のレーザマイクロジェット加工装置1は、ノズルブロック10からノズル24を交換可能とし、ノズル押え27によってノズル24の高さを調節できるようになっている。従って、ノズル24の交換によって簡単にウォータジェットの径を変えることができ、また耐圧ガラス23とノズル24との間にできた液体供給空間33は、理論的にはその高さがノズル通路24aの横断面の半分を有するようにすればよいが、ノズル押え27によってノズル24の変更に対する液体供給空間33の高さを簡単に調整することができる。
【0026】
以上、レーザマイクロジェット加工装置の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなくその趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、ノズルブロックの底面に形成する傾斜面は、円錐形の他に碗形であってもよい。
【0027】
【発明の効果】
本発明は、ビーム源からのレーザ光をノズルに収束させ、そのノズルから噴射される液体ビーム内を通して被加工表面にレーザ光を到達させるものであって、ノズルを備えたノズルブロックの底面を噴射口から周辺部に向かって下向き傾斜した傾斜面としたので、液体ビームへの液滴の混入を防止したレーザマイクロジェット加工装置を提供することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】レーザマイクロジェット加工装置の一実施形態を示した構成図である。
【図2】ノズルブロックを示した断面図である。
【図3】液体ビームによりレーザ光が導かれる状態を示した概念図である。
【図4】従来のレーザマイクロジェット加工装置における加工ヘッドを示した図である。
【符号の説明】
1 レーザマイクロジェット加工装置
10 ノズルブロック
23 耐圧ガラス
24 ノズル
26 ノズル押え
27 ノズルカバー
27a 噴射口
27b 傾斜面
Claims (1)
- ビーム源からのレーザ光をノズルに収束させ、そのノズルから噴射される液体ビーム内を通して被加工表面にレーザ光を到達させるレーザマイクロジェット加工装置において、
前記ノズルを備えたノズルブロックは、液体ビームが噴射される噴射口の形成された底面が、当該噴射口から周辺部に向かって下向き傾斜した傾斜面の形成されたものであることを特徴とするレーザマイクロジェット加工装置。
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