JP2004103502A - 有機el表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の有機EL表示装置1は、基板11と、基板11上で互いに離間して配列した複数の第1電極25と、基板11の主面のうち第1電極25間で露出した部分と第1電極25のそれぞれの周縁部とを被覆するとともに第1電極25の中央部に対応した位置に第1貫通孔を有する第1絶縁層26aと、第1絶縁層26a上に設けられるとともに第1電極25に対応した位置に第2貫通孔を有する第2絶縁層26bと、第1電極25上に設けられるとともに発光層28を含んだ有機物層と、その有機物層上に設けられた第2電極29とを具備し、第2貫通孔の径は第1電極25の径よりも大きく且つ第2貫通孔は第1電極25を取り囲むように設けられていることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示装置に係り、特には有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機EL表示装置は自己発光表示装置であるため、視野角が広く、応答速度が速い。また、バックライトが不要であるため、薄型軽量化が可能である。これらの理由から、近年、有機EL表示装置は、液晶表示装置に代わる表示装置として注目されている。
【0003】
ところで、有機EL表示装置の製造プロセスでは、発光層を形成する際、その材料として低分子有機材料を使用する場合には真空蒸着法を利用している。また、発光層の材料として高分子有機材料を使用する場合には、高分子有機材料を含有した溶液を塗布してなる塗膜を乾燥するという方法を採用している。
【0004】
後者の方法では、具体的には、まず、各画素に対応して貫通孔を有する親水性絶縁層と疎水性絶縁層との積層体を基板上に形成する。次に、これら貫通孔を液溜めとして利用して、ディッピング、インクジェット、或いは、スピンコート法などの溶液塗布法により、高分子有機材料を含有した溶液でそれら貫通孔を満たす。その後、貫通孔内の液膜を乾燥することにより、それら液膜から溶媒を除去する。以上のようにして発光層を得る。
【0005】
図3は、このような方法により得られる有機EL表示装置の一例を概略的に示す断面図である。上記の方法では、発光層28の膜厚均一性は、液溜めに利用する親水性絶縁層26a,疎水性絶縁層26bに対する溶液の濡れ性、溶液自体の表面張力や粘性、さらには、溶媒の乾燥特性などの影響を受ける。そのため、図3に示すように、発光層28は、周縁部に比べて中央部が薄くなり易い。
【0006】
発光層28の膜厚が不均一である場合、それらの膜厚が薄い部分に電流が集中することとなる。このような電流集中は、画素内での均一な発光を妨げるだけでなく、膜厚が薄い部分における発光層28の早期劣化をもたらして表示装置の発光寿命を低下させる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、発光層の一部に対する局所的な電流集中を抑制可能な有機EL表示装置を提供することを目的とする。また、膜厚がより均一化された有機EL表示装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、基板と、前記基板の一方の主面上で互いに離間して配列した複数の第1電極と、前記基板の前記主面のうち前記複数の第1電極間で露出した部分と前記複数の第1電極のそれぞれの周縁部とを被覆するとともに前記複数の第1電極の中央部に対応した位置に複数の第1貫通孔をそれぞれ有する第1絶縁層と、前記第1絶縁層上に設けられるとともに前記複数の第1電極に対応した位置に複数の第2貫通孔をそれぞれ有する第2絶縁層と、前記複数の第1電極上にそれぞれ設けられるとともにそれぞれ発光層を含んだ複数の有機物層と、前記複数の有機物層上に設けられた第2電極とを具備し、前記第2貫通孔の径は前記第1電極の径よりも大きく且つ前記第2貫通孔は前記第1電極を取り囲むように設けられていることを特徴とする有機EL表示装置を提供する。
【0009】
本発明において、第1絶縁層と第2絶縁層との積層体は、例えば、複数の第1電極をそれぞれ取り囲む複数の溝を形成することができる。
本発明において、複数の第1電極のそれぞれは陽極であり且つ第2電極は陰極であってもよい。この場合、複数の有機物層のそれぞれは、発光層と陽極との間に介在して陽極から発光層への正孔の注入を媒介するバッファ層をさらに含んでいてもよい。
本発明において、第1絶縁層は無機絶縁層であってもよい。また、第2絶縁層は有機絶縁層であってもよい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同様または類似する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る有機EL表示装置を概略的に示す断面図である。図1に示す有機EL表示装置1は、アレイ基板2と封止基板3とをシール層4を介して対向させた構造を有している。シール層4は封止基板3の周縁に沿って設けられており、それにより、アレイ基板2と封止基板3との間に密閉された空間を形成している。この空間は、Arガスなどの希ガスやN2ガスのような不活性ガスで満たされている。
【0012】
アレイ基板2は、基板11を有している。基板11上には、アンダーコート層として、例えば、SiNx層12とSiO2層13とが順次積層されている。アンダーコート層13上には、チャネル及びソース・ドレインが形成されたポリシリコン層のような半導体層14、ゲート絶縁膜15、及びゲート電極16が順次積層されており、それらはトップゲート型の薄膜トランジスタ(以下、TFTという)20を構成している。
【0013】
ゲート絶縁膜15及びゲート電極16上には、SiO2などからなる層間絶縁膜21が設けられている。層間絶縁膜21上には電極配線(図示せず)及びソース・ドレイン電極23が設けられており、それらは、SiNxなどからなるパッシベーション膜24で埋め込まれている。なお、ソース・ドレイン電極23は、層間絶縁膜21に設けられたコンタクトホールを介してTFT20のソース・ドレインに電気的に接続されている。
【0014】
パッシベーション膜24上には、透明電極(陽極)25が互いに離間して並置されている。陽極25は、パッシベーション膜24に設けられたビアホールを介してドレイン電極23に電気的に接続されている。
【0015】
パッシベーション膜24上には、さらに、絶縁層26aが設けられている。絶縁層26aは、陽極25の中央部に対応した位置に貫通孔を有しており、パッシベーション膜24の陽極25から露出した部分と陽極25の周縁部とを被覆している。絶縁層26aは、例えば、親水性の無機絶縁層である。隣接する陽極25間は、この絶縁層26aにより電気的に絶縁される。
【0016】
絶縁層26a上には、絶縁層26bが設けられている。絶縁層26bは、陽極25に対応した位置に陽極25よりも大きな径の貫通孔を有している。これら貫通孔は陽極25を取り囲むように設けられている。絶縁層26bは、例えば、撥水性の有機絶縁層である。なお、絶縁層26aと絶縁層26bとの積層体は、陽極25に対応した位置に貫通孔を有する隔壁絶縁層26を構成している。
【0017】
隔壁絶縁層26の貫通孔内で露出した陽極25上には、バッファ層27及び発光層28が順次積層されている。バッファ層27は、陽極25から発光層28への正孔の注入を媒介する役割を果たす。また、発光層28は、例えば、発光色が赤色、緑色、または青色のルミネセンス性有機化合物を含んだ薄膜である。
【0018】
隔壁絶縁層26及び発光層28上には共通電極(陰極)29が設けられている。陰極29は、パッシベーション膜24及び隔壁絶縁層26に設けられたコンタクトホール(図示せず)を介して電極配線に電気的に接続されている。それぞれの有機EL素子30は、これら陽極25、バッファ層27、発光層28、及び陰極29で構成されている。
【0019】
さて、有機EL表示装置1のバッファ層27や発光層28は、有機溶媒と有機化合物とを含有した溶液を用いた溶液塗布法により形成することができる。このような溶液は、極性が低い溶液であるため、撥水性の絶縁層26bに対する濡れ性が高い。そのため、バッファ層27や発光層28は、絶縁層26bの側面との接触面積を広くとろうとする。
【0020】
図3に示す従来の構造では、陽極25の端部が疎水性絶縁層26bと重複するよう配置され、親水性絶縁層26aは液溜内でほぼ平坦に形成される。このためバッファ層27が疎水性絶縁層26bとの接合面でせり上がり接合面付近で膜厚が厚くなる。その結果、バッファ層27や発光層28の膜厚は、絶縁層26a上だけでなく、絶縁層26aの貫通孔に対応した位置でも、周縁から中心に向けて大きく減少することとなる。
【0021】
有機EL素子30では、バッファ層27や発光層28の絶縁層26a上に位置した部分は殆ど発光に寄与せず、絶縁層26aの貫通孔に対応して位置した部分が主として発光に寄与する。そのため、図3に示すように、絶縁層26aの貫通孔に対応した位置でバッファ層27や発光層28の膜厚ムラが大きいと、電流集中による発光ムラや早期劣化を生じ易い。
【0022】
図2(a)は、図1に示す有機EL表示装置1のアレイ基板の一部を拡大して示す断面図である。また、図2(b)は、図2(a)に示す構造の一部を概略的に示す平面図である。なお、図2(b)では、バッファ層27、発光層28、及び陰極29は省略している。また、図2(a)に示す断面は、図2(b)に示す構造のA−A線に沿った断面に相当している。
【0023】
図1及び図2(a),(b)に示すように、本実施形態では、陽極25の中央部に対応した位置に貫通孔を有する絶縁層26aを、パッシベーション膜24の陽極25から露出した部分と陽極25の周縁部とを被覆するように設ける。このような配置を採用すると、絶縁層26aの表面には、パッシベーション膜24と陽極25とが形成する表面凹凸構造に起因して、陽極25の周縁部に対応した環状の凸部41と、陽極25間の間隙部に対応した格子状の凹部とが生じる。加えて、本実施形態では、絶縁層26aの表面に設けられた格子状の凹部を絶縁層26bで完全に埋め込まず、その凹部よりも狭い幅で及びその凹部の側壁から離間して絶縁層26bを設ける。いいかえると、隣接する陽極25間であって、陽極25と重複しない位置に絶縁層26bを設ける。そのため、図1及び図2(a),(b)に示すように、絶縁層26aと絶縁層26bとの積層体の表面には、絶縁層26aの表面に生じた環状の凸部41を取り囲む溝42が生じる。
【0024】
このような構造では、バッファ層27の下地表面の高さは、絶縁層26bの下端から陽極25の中心に向けて増加したのちに減少している。そのため、バッファ層27や発光層28と絶縁層26bの側面との接触面積が大きくても、バッファ層27や発光層28の上面周縁部の高さとそれらの上面中心の高さとの差が大きくなることはない。しかも、凸部41は、バッファ層27や発光層28を形成する過程で、塗膜の周縁部が中央部に及ぼす影響を低減する役割を果たす。したがって、本実施形態によると、絶縁層26aの貫通孔に対応した位置におけるバッファ層27や発光層28の膜厚ムラを低減することができ、電流集中による発光ムラや早期劣化を抑制可能となる。また、これについて別の表現をすると、溝42があることによりバッファ層27の絶縁層26bの側面との接触面積を変えることなく、さらに溝42にバッファ層の周縁部を落とし込む形となるため膜周辺部のせり上がりを防止すると共にバッファ層中心部に張力が働く事によりバッファ層27の膜厚が均一となり、さらに、その上に塗膜される発光層28も均一膜厚となる。
【0025】
本実施形態において、溝42の幅は1.0μm以上であることが好ましい。通常、溝42の幅が狭すぎると、上記の効果が顕著には現われない。また、溝42の幅は4.0μm以下であることが好ましい。溝42の幅が広いと、有機EL素子30の発光に寄与しない部分の面積比が高くなる。
【0026】
本実施形態において、溝42の深さは50nm以上であることが好ましい。通常、溝42が浅すぎると、上記の効果が顕著には現われない。なお、溝42の深さに特に上限値はないが、本実施形態では、上述のように陽極25の厚さを利用して溝42を形成するので、通常は150nm以下である。
【0027】
次に、本実施形態に係る有機EL表示装置1の主要な構成要素に使用可能な材料などについて説明する。
基板11としては、その上に形成される構造を保持可能なできるものであれば、どのようなものを用いてもよい。基板11としては、ガラス基板のように硬質な基板が一般的であるが、有機EL表示装置1の用途によっては、プラスチックシートなどのようにフレキシブルな基板を使用してもよい。
【0028】
有機EL表示装置1が基板11側から光を発する下面発光型の場合、陽極25としては光透過性を有する透明電極を使用する。透明電極の材料としては、ITO(インジウム・スズ酸化物)等の透明導電材料を使用することができる。透明電極の膜厚は、通常、10nm乃至150nm程度である。透明電極は、ITO等の透明導電材料を蒸着法やスパッタリング等により堆積し、それにより得られる薄膜をフォトリソグラフィ技術を用いてパターニングすることにより得ることができる。
【0029】
絶縁層26aの材料としては、例えば、シリコン窒化物やシリコン酸化物のような無機絶縁材料を使用することができる。これら無機絶縁材料からなる絶縁層26aは比較的高い親水性を示す。
【0030】
絶縁層26bの材料としては、例えば、有機絶縁材料を使用することができる。絶縁層26bに使用可能な有機絶縁材料に特に制限はないが、感光性樹脂を使用した場合、貫通孔が設けられた絶縁層26bを容易に形成可能である。絶縁層26bを形成するのに使用可能な感光性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、ポリアクリル、ポリアミド樹脂、ポリアミック酸などのアルカリ可溶性の高分子誘導体にナフトキノンジアジドなどの感光性化合物を添加してなり、露光及びアルカリ現像によりポジパターンを与える材料を挙げることができる。また、ネガパターンを与える感光性樹脂としては、化学線の照射により現像液への溶解速度が遅くなる感光性組成物,例えばエポキシ基のように化学線照射により架橋する官能基を有する感光性組成物を挙げることができる。絶縁層26bは、例えば、これら感光性樹脂を基板11の陽極25などが形成された面にスピンコート法などにより塗布し、それにより得られた塗膜をフォトリソグラフィ技術を用いてパターニングすることにより得られる。
【0031】
隔壁絶縁層26の膜厚は、バッファ層27の膜厚と発光層28の膜厚との和以上であることが望ましく、通常、0.09μm乃至0.13μm程度である。また、また、絶縁層26aの膜厚は、通常、0.05乃至0.1μm程度である。なお、バッファ層27や発光層28を形成する際には、インクジェット法による溶液塗布時の位置精度向上のため、絶縁層26bの表面を予めCF4・O2などのプラズマガスで撥水処理しておくことが望ましい。
【0032】
バッファ層27の材料としては、例えば、ドナー性の高分子有機化合物とアクセプタ性の高分子有機化合物との混合物を使用することができる。ドナー性の高分子有機化合物としては、例えば、ポリエチレンジオキシチオフェン(以下、PEDOTという)のようなポリチオフェン誘導体及び/またはポリアニリンのようなポリアニリン誘導体などを使用することができる。また、アクセプタ性の有機化合物としては、例えば、ポリスチレンスルホン酸(以下、PSSという)などを使用することができる。
【0033】
バッファ層27は、隔壁絶縁層26が形成する液溜めを、溶液塗布法により、ドナー性の高分子有機化合物とアクセプタ性の高分子有機化合物との混合物を有機溶媒中に溶解してなる溶液で満たし、液溜め内の液膜を乾燥することにより、それら液膜から溶媒を除去することにより得られる。バッファ層27を形成するのに利用可能な溶液塗布法としては、例えば、ディッピング、インクジェット、及びスピンコート法などを挙げることができるが、なかでも、インクジェット法を利用することが好ましい。また、上記液膜の乾燥は、熱及び/または減圧のもとで行ってもよく、或いは、自然乾燥により行ってもよい。
【0034】
発光層28の材料としては、有機EL表示装置で一般に使用されているルミネセンス性有機化合物を用いることができる。そのような有機化合物のうち赤色のルミネセンスを発するものとしては、例えば、ポリビニレンスチレン誘導体のベンゼン環にアルキルまたはアルコキシ置換基を有する高分子化合物や、ポリビニレンスチレン誘導体のビニレン基にシアノ基を有する高分子化合物などを挙げることができる。緑色のルミネセンスを発する有機化合物としては、例えば、アルキルまたはアルコキシまたはアリール誘導体置換基をベンゼン環に導入したポリビニレンスチレン誘導体などを挙げることができる。青色のルミネセンスを発する有機化合物としては、例えば、ジアルキルフルオレンとアントラセンの共重合体のようなポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。また、発光層28には、これらの高分子のルミネセンス性有機化合物に低分子のルミネセンス性有機化合物などをさらに添加してもよい。
【0035】
発光層28は、上記の通り、隔壁絶縁層26が形成する液溜めを、溶液塗布法により、ルミネセンス性有機化合物を溶媒中に溶解してなる溶液で満たし、液溜め内の液膜を乾燥することにより、それら液膜から溶媒を除去することにより得られる。発光層28を形成するのに利用可能な溶液塗布法としては、例えば、ディッピング、インクジェット、及びスピンコート法などを挙げることができるが、なかでも、インクジェット法を利用することが好ましい。また、上記液膜の乾燥は、熱及び/または減圧のもとで行ってもよく、或いは、自然乾燥により行ってもよい。
【0036】
発光層28の膜厚は、使用する材料に応じて適宜設定する。通常、発光層28全体の膜厚は50nm乃至200nmの範囲内である。
【0037】
陰極29は、単層構造を有していてもよく、或いは、多層構造を有していてもよい。陰極29を多層構造とする場合、例えば、発光層28上にバリウムやカルシウムなどを含有した主導体層と銀やアルミニウムなどを含有した保護導体層とを順次積層してなる二層構造としてもよい。また、発光層28上にフッ化バリウムなどを含有した非導体層と銀やアルミニウムなどを含有した導体層とを順次積層してなる二層構造としてもよい。さらに、発光層28上にフッ化バリウムなどを含有した非導体層とバリウムやカルシウムなどを含有した主導体層と銀やアルミニウムなどを含有した保護導体層とを順次積層してなる三層構造としてもよい。
【0038】
上記実施形態では、陽極25をパッシベーション膜24上に設けたが、陽極25は層間絶縁膜21上に、つまり信号線と陽極25とを同一平面上に設けてもよい。また、上記実施形態では有機EL表示装置1を下面発光型としたが、上面発光型とすることもできる。さらに、アレイ基板2を対向基板3によりシーリングする場合、基板間の空間に乾燥剤を封入することで、素子の長寿命化を図ることも可能であり、また、対向基板3とアレイ基板2との間に樹脂を充填して放熱特性を向上させることも出来る。
【0039】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
(実施例)
本実施例では、図1に示す有機EL表示装置1を以下の方法により作製した。
【0040】
すなわち、まず、ガラス基板11のアンダーコート層11,12が形成された面に対し、通常のTFT形成プロセスと同様に成膜とパターニングとを繰り返し、TFT20、層間絶縁膜21、電極配線(図示せず)、ソース・ドレイン電極23、及びパッシベーション膜24を形成した。
【0041】
次に、パッシベーション膜24上に、スパッタリング法を用いて厚さ50nmのITO膜を形成した。続いて、このITO膜を、フォトリソグラフィ技術を用いてパターニングすることにより陽極25を得た。ここでは、陽極25は直径55μmの略円形形状とした。なお、陽極25は、マスクスパッタリング法により形成してもよい。
【0042】
次いで、基板11の陽極25を形成した面に、各画素の発光部に対応して開口を有する親水性の無機絶縁層26aを形成した。ここでは、絶縁層26aの厚さは0.1μmとした。また、親水層26aの開口は、図2(b)に示すように直径50μmの略円形形状とした。続いて、基板11の陽極25を形成した面に、感光性樹脂を塗布し、得られた塗膜をパターン露光及び現像することにより、各画素の発光部に対応して開口を有する撥水性の有機絶縁層26bを形成した。ここでは、絶縁層26bの厚さは3μmとし、絶縁層26bの開口は図2(b)に示すように直径58μmの略円形形状とした。
【0043】
以上のようにして、絶縁層26aと絶縁層26bとを積層してなる隔壁絶縁層26を得た。なお、隔壁絶縁層26を形成した基板11にはCF4/O2プラズマガスを用いた表面処理を施し、絶縁層26bの表面をフッ素化した。
【0044】
次に、隔壁絶縁層26が形成するそれぞれの液溜めに、インクジェット法によりバッファ層形成用インクを吐出して液膜を形成した。続いて、これら液膜を120℃の温度に3分間加熱することによりバッファ層27を得た。
【0045】
その後、赤、緑、青色の画素に対応したバッファ層27上に、それぞれ、赤、緑、青色の発光層形成用インクをインクジェット法により吐出して液膜を形成した。続いて、これら液膜を90℃の温度に1時間加熱することにより発光層28を得た。
【0046】
次いで、基板11の発光層28を形成した面にバリウムを真空蒸着し、続いてアルミニウムを蒸着することにより陰極29を形成した。これにより、TFTアレイ基板2を完成した。
【0047】
その後、ガラス基板3の一方の主面の周縁部に紫外線硬化型樹脂を塗布してシール層4を形成した。次いで、ガラス基板3とアレイ基板2とを、ガラス基板3のシール層4を設けた面とアレイ基板2の陰極29を設けた面とが対向するように不活性ガス中で貼り合せた。さらに、紫外線照射によりしてシール層を硬化させることにより、図1に示す有機EL表示装置1を完成した。
【0048】
(比較例)
アレイ基板2に図3の構造を採用したこと以外は上記実施例で説明したのと同様の方法により有機EL表示装置を作製した。なお、本例では、陽極25は直径58μmの略円形形状とし、親水層26aの開口は直径50μmの略円形形状とし、絶縁層26bの開口は直径55μmの略円形形状とした。
【0049】
次に、実施例及び比較例に係る有機EL表示装置1について、バッファ層27及び発光層28を断面SEMで観察した。
その結果、実施例に係る有機EL表示装置1では、絶縁層26aに設けた貫通孔の位置において、バッファ層27や発光層28の膜厚はほぼ均一であった。すなわち、実施例に係る有機EL表示装置1は、発光層28の一部に対する局所的な電流集中を抑制可能な構造を有していた。実際、この有機EL表示装置1で表示を行ったところ、それぞれの画素内で輝度ムラは生じなかった。これに対し、比較例に係る有機EL表示装置1では、絶縁層26aに設けた貫通孔の位置において、バッファ層27や発光層28の膜厚ムラが大きく、それぞれの画素内で輝度ムラを生じた。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、隔壁絶縁層の下部を構成する第1絶縁層と上部を構成する第2絶縁層とが基板上で配列した複数の電極を取り囲む溝を形成し得る構造を採用する。このような構造によると、第1絶縁層に設けた貫通孔の位置における発光層などの膜厚ムラを低減することができ、発光層の一部に対する局所的な電流集中を抑制可能となる。
すなわち、本発明によると、発光層の一部に対する局所的な電流集中を抑制可能な有機EL表示装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る有機EL表示装置を概略的に示す断面図。
【図2】(a)は図1に示す有機EL表示装置1のアレイ基板の一部を拡大して示す断面図、(b)は(a)に示す構造の一部を概略的に示す平面図。
【図3】従来の有機EL表示装置の一例を概略的に示す断面図。
【符号の説明】
1…有機EL表示装置
2…アレイ基板
3…封止基板
4…シール層
11…基板
12…アンダーコート層
13…アンダーコート層
14…半導体層
15…ゲート絶縁膜
16…ゲート電極
20…TFT
21…層間絶縁膜
23…ソース・ドレイン電極
24…パッシベーション膜
25…陽極
26…隔壁絶縁層
26a,26b…絶縁層
27…バッファ層
28…有機発光層
29…陰極
30…有機EL素子
41…凸部
42…溝
Claims (4)
- 基板と、
前記基板の一方の主面上で互いに離間して配列した複数の第1電極と、
前記基板の前記主面のうち前記複数の第1電極間で露出した部分と前記複数の第1電極のそれぞれの周縁部とを被覆するとともに前記複数の第1電極の中央部に対応した位置に複数の第1貫通孔をそれぞれ有する第1絶縁層と、
前記第1絶縁層上に設けられるとともに前記複数の第1電極に対応した位置に複数の第2貫通孔をそれぞれ有する第2絶縁層と、
前記複数の第1電極上にそれぞれ設けられるとともにそれぞれ発光層を含んだ複数の有機物層と、
前記複数の有機物層上に設けられた第2電極とを具備し、前記第2貫通孔の径は前記第1電極の径よりも大きく且つ前記第2貫通孔は前記第1電極を取り囲むように設けられていることを特徴とする有機EL表示装置。 - 前記第1絶縁層と前記第2絶縁層との積層体は前記複数の第1電極をそれぞれ取り囲む複数の溝を形成していることを特徴とする請求項1に記載の有機EL表示装置。
- 前記複数の第1電極のそれぞれは陽極であり、前記第2電極は陰極であり、前記複数の有機物層のそれぞれは前記発光層と前記陽極との間に介在して前記陽極から前記発光層への正孔の注入を媒介するバッファ層をさらに含んだことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の有機EL表示装置。
- 前記第1絶縁層は無機絶縁層であり、前記第2絶縁層は有機絶縁層であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の有機EL表示装置。
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