JP2004088333A - 送信電力制御ユニットおよび移動通信端末 - Google Patents
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Abstract
【課題】基地局から送られてくる指示に反して送信電力を過剰に増加させてしまうことを防止することを可能とする。
【解決手段】受信電力判定部81は、受信電力値を判定し、さらにその受信電力値が閾値以上であるか否かを判定する。送信電力情報抽出部82は、復号部5で復号して再生された受信データから送信電力情報を抽出し、それが「増加」および「減少」のいずれを示すかを判定する。さらに送信電力情報抽出部82は、受信電力値が閾値以上であるならば、上記「増加」および「減少」の判定結果をそのまま送信電力制御部83に指示するが、受信電力値が閾値未満であるならば、2回連続して「増加」と判定できた場合にのみ増加を、その他は減少を送信電力制御部83に指示する。送信電力制御部83は、上記の指示に応じて送信電力を増減するように送信RF部7を制御する。
【選択図】 図1
【解決手段】受信電力判定部81は、受信電力値を判定し、さらにその受信電力値が閾値以上であるか否かを判定する。送信電力情報抽出部82は、復号部5で復号して再生された受信データから送信電力情報を抽出し、それが「増加」および「減少」のいずれを示すかを判定する。さらに送信電力情報抽出部82は、受信電力値が閾値以上であるならば、上記「増加」および「減少」の判定結果をそのまま送信電力制御部83に指示するが、受信電力値が閾値未満であるならば、2回連続して「増加」と判定できた場合にのみ増加を、その他は減少を送信電力制御部83に指示する。送信電力制御部83は、上記の指示に応じて送信電力を増減するように送信RF部7を制御する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、W−CDMA方式の移動通信システムなどのように基地局から移動通信端末の送信電力を指示する移動通信システムにて、移動通信端末側で上記の指示に応じて送信電力を制御する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
W−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)方式の移動通信システムにおいては、他通信チャネルへの干渉を小さく抑えるために、移動通信端末の送信電力の制御を行っている。
【0003】
このような送信電力制御の方式の1つに、クローズドループ送信電力制御方式がある。3GPP(3rd Generation Partnership Project)規格TS25.214で規定されたクローズドループ送信電力制御方式では、各移動通信端末の送信電力を増加するべきであるか、あるいは減少するべきであるかを判断し、その判断結果を移動通信端末に対して指示する。この送信電力の指示は、基地局が送信電力制御ビットをDPCCH(Dedicated physical control channel)を用いて送信することで行う。移動通信端末では、上記の送信電力制御ビットが「増加」および「減少」のどちらを指示しているかに応じて、送信電力を一定量ずつ増減する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
送信電力制御ビットは、1ビットのみからなる。このため移動通信端末においては、本来とは逆のレベルのデータとして復号されることがあり得る。そしてこのように誤って復号された送信電力制御ビットに基づく電力制御を行ってしまうと、指示とは逆に電力を変化させてしまうことになる。特に、本来は「減少」が指示されたにも拘らずに送信電力を増加させてしまうと、他チャンネにおける通信品質の低下を生じさせてしまう恐れがある。
【0005】
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、その目的とするところは、基地局から送られてくる指示に反して送信電力を過剰に増加させてしまうことを防止することが可能な送信電力制御ユニットおよび移動通信端末を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
以上の目的を達成するために本発明は、基地局から送信された信号に関する受信品質を品質判定手段により判定する。また、前記基地局から送信された送信電力情報が増加および減少のいずれを示すかを指示判定手段により判定する。そして、前記指示判定手段によりm回(mは1以上の整数)連続して減少と判定されたことに応じて減少指示手段が減少指示を、前記指示判定手段によりn回(nは1以上の整数)連続して増加と判定されたことに応じて増加指示手段が増加指示を、それぞれ制御手段へと与えるようにし、さらに前記制御手段は、前記増加指示が与えられたことに応じて送信電力を増加させ、かつ前記減少指示が与えられたことに応じて送信電力を減少させることとした。
【0007】
このような手段を講じたことにより、送信電力情報が増加を示す場合にそれに応じて増加指示が制御手段へと与えられる条件がそのときの受信品質に応じて変更される。従って、受信品質が低下している状況では増加指示を制御手段へと与える頻度を変更することができ、信頼性が低下している送信電力情報に基づいて送信電力を増加させることが抑圧される。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態につき説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は第1実施形態に係る移動通信端末の要部のブロック図である。
【0010】
この図1に示すように本実施形態の移動通信端末は、アンテナ1、デュプレクサ(DUP)2、受信RF部3、相関器4、復号部5、送信部6、送信RF部7よび送信電力制御ユニット8を有する。送信電力制御ユニット8はさらに、受信電力判定部81、送信電力情報抽出部82および送信電力制御部83を有する。
【0011】
図示しない基地局から送信された信号をアンテナ1により受信して得られた受信信号は、デュプレクサ2を介して受信RF部3に入力される。受信信号は、受信RF部3において周波数変換および復調が行われる。受信信号はさらに、相関器4で、基地局での送信に用いられた拡散コードで逆拡散が行われる。これにより相関器4では、希望波信号が分離される。希望波信号は、復号部5で復号され、これにより受信データが再生される。
【0012】
送信データは、送信部6で拡散コードを用いて拡散される。拡散された信号は、送信RF部7で変調、周波数変換、および増幅がなされる。送信RF部7は、上記の増幅の際の利得を変化させることができる。その利得は、送信電力制御部83の制御の下に設定される。送信RF部7から出力された信号は、デュプレクサ2を介してアンテナ1へと供給され、アンテナ1から無線送信される。
【0013】
ところで相関器4は、上記の逆拡散を行う際に得られる受信データ電力を受信電力判定部81へと与える。受信電力判定部81は、上記の受信データ電力から受信電力値を判定する。さらに受信電力判定部81は、上記判定した受信電力値が閾値以上であるか否かを判定する。受信電力判定部81は、その判定結果を送信電力情報抽出部82へと与える。
【0014】
送信電力情報抽出部82には、復号部5から受信データが与えられる。送信電力情報抽出部82は、受信データに含まれる送信電力制御ビットのみを抽出する。送信電力情報抽出部82は、抽出した送信電力制御ビットの内容および受信電力判定部81での判定結果に基づいて送信電力を増加させるか、あるいは減少させるかを決定する。送信電力情報抽出部82は、決定内容に応じて増加指示または減少指示を送信電力制御部83へと与える。
【0015】
送信電力制御部83は、上記増加指示および減少指示に応じて送信電力を一定値ずつ増加および減少させるように送信RF部7での増幅の利得を制御する。
【0016】
次に以上のように構成された移動通信端末の動作につき説明する。なお、データの送受信に関する基本的な動作は従来よりある移動通信端末と同様であるので、その説明は省略する。そしてここでは、送信電力制御ユニット8における送信電力の制御のための動作につき詳しく説明する。
【0017】
基地局から送られてきたデータは復号部5での復号により再生される。送信電力制御ビットはこの復号部5で再生される受信データに含まれる。このような送信電力制御ビットは、送信電力情報抽出部82によって受信データ中から抽出される。そして送信電力情報抽出部82は、基本的には送信電力制御ビットの論理に応じて送信電力を増加するか、あるいは減少するかを決定する。
【0018】
しかしながら、復号部5での復号の際に送信電力制御ビット部分にて誤りが生じたならば、復号部5から出力される送信電力制御ビットはその論理が本来とは逆となっている。
【0019】
そこで受信電力判定部81において、現在の受信電力値Qcurを判定し、さらにその受信電力値Qcurが閾値以上であるか否かを判定する。受信電力値Qcurが閾値以上であるか否かの判定は、現在の受信品質が復号部5での復号の信頼性がある程度確保できる品質となっているか否かを判定するものである。従って閾値は、所要精度やその他の諸条件を考慮して設計値として任意に定められる。本実施形態では、閾値は定数Qin,Qoutを考慮して、
(Qin+Qout)/2
として定めている。
【0020】
ここで定数Qin,Qoutは、受信電力値に応じて送信動作を停止、再開する制御のための閾値として定められた値である。すなわち、3GPPでは、受信したDPCCHの品質の変化に応じて移動局の送信動作を停止、再開することが規定されている。具体的には、DPCCHに関する受信電力値がQout未満である状態が一定時間に渡り継続した場合には移動局は送信を停止しなければならず、受信電力値がQin以上となったならば移動局が送信を再開することを許容することが規定されている。この規定に従って定数Qin,Qoutが、Qin>Qoutなる関係で定められているのである。
【0021】
従って、受信電力値がQout〜Qinの範囲にある場合には、受信電力値がQoutに近づくほどDPCCHで受信した情報ビットの信頼性が低下し、逆にQinに近づくほどDPCCHで受信した情報ビットの信頼性が向上することとなっている。そこで上述のように閾値を定めていることにより、受信電力判定部81では、復号後の送信電力制御ビットの信頼性が高いか否かを確認することになる。
【0022】
送信電力情報抽出部82は、受信電力判定部81での判定結果に応じて、送信電力を増加するか、あるいは減少するかを決定する際の条件を図2に示すように変化させる。すなわち、送信電力情報抽出部82は受信電力値が閾値以上であると判定されているときには、最新の送信電力制御ビットでの指示内容をそのまま採用する。つまりこのときに送信電力情報抽出部82は、最新の送信電力制御ビットが「増加」を示すならば送信電力を増加することと決定し、「減少」を示すならば送信電力を減少することと決定する。なおこのときには送信電力情報抽出部82は、前回の送信電力制御ビットでの指示内容は全く考慮しない。
【0023】
これに対して、送信電力情報抽出部82は受信電力値が閾値未満であると判定されているときには、最新の送信電力制御ビットでの指示内容の他に前回の送信電力制御ビットでの指示内容も考慮する。ただし送信電力情報抽出部82は、最新の送信電力制御ビットが「減少」を示すならば、前回の送信電力制御ビットでの指示内容に拘らずに送信電力を減少することと決定する。しかし送信電力情報抽出部82は、最新の送信電力制御ビットが「増加」を示すならば、前回の送信電力制御ビットが同じく「増加」を示す場合にのみ送信電力を増加することと決定し、前回の送信電力制御ビットが「減少」を示すならば最新の送信電力制御ビットの内容を無視して送信電力を減少することと決定する。
【0024】
そしてこのような決定に応じて増加指示および減少指示が送信電力情報抽出部82から送信電力制御部83へと与えられる。送信電力制御部83は、増加指示が与えられたならば送信電力を一定値増加させるように送信RF部7での増幅の利得を上昇させる。また送信電力制御部83は、減少指示が与えられたならば送信電力を一定値減少させるように送信RF部7での増幅の利得を低下させる。
【0025】
なお、受信電力値がQoutを下回った場合には、一定時間T(s)が経過した後に送信が停止される。
【0026】
かくして、復号後の送信電力制御ビットから判定される指示内容が図3(a)に示すようなものであるとすると、受信電力が閾値以上である場合には送信電力制御は図3(b)に示すように指示通りに行われる。これに対して受信電力が閾値未満である場合には送信電力制御は図3(c)に示すように、2回以上連続して「増加」が指示された場合の2回目以降の「増加」の指示に応じてのみ送信電力が増加される。この結果、図3では、「増加」の指示I1,I2に対して電力制御C1,C2にて電力が減少されている。
【0027】
このように、現時点における受信電力値が送信を停止しなければならない閾値となっているQoutに近い値まで低下している場合には、復号誤りにより送信電力制御ビットに誤りが生じている恐れがあることを考慮して、「減少」の指示に続く「増加」の指示に応じては送信電力を減少させる。この結果、当該「増加」の指示が復号誤りの結果であった場合に、本来の「減少」の指示に対して誤って送信電力を増加してしまうことを防止することができる。なお、当該「増加」の指示が復号誤りではなく本来の指示通りであった場合、その指示に対して誤って送信電力を減少してしまうこととなるが、これは自端末の通信品質の低下を来たすだけであって他の端末の通信には何ら影響を与えない。従って、上記のように誤って送信電力を増加してしまうことを防止できることのほうが重要であるから、より適正な電力制御が行えることになる。
【0028】
(第2の実施形態)
図4は第2実施形態に係る移動通信端末の要部のブロック図である。なお、図1と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0029】
この図4に示すように本実施形態の移動通信端末は、アンテナ1、デュプレクサ2、受信RF部3、相関器4、復号部5、送信部6、送信RF部7よび送信電力制御ユニット9を有する。送信電力制御ユニット9はさらに、BLER測定部91、送信電力情報抽出部92および送信電力制御部93を有する。
【0030】
すなわち第2実施形態の移動通信端末は、第1実施形態の移動通信端末における送信電力制御ユニット8に代えて送信電力制御ユニット9を備えたものとなっている。
【0031】
BLER測定部91へは、復号部5により再生された受信データが与えられる。BLER測定部91は、上記の受信データに関してBLER(BLock Error Ratio:データブロック誤り確率)を測定する。さらにBLER測定部91は、上記測定したBLERが閾値以上であるか否かを判定する。BLER測定部91は、その判定結果を送信電力情報抽出部92へと与える。
【0032】
送信電力情報抽出部92には、復号部5から受信データが与えられる。送信電力情報抽出部92は、受信データに含まれる送信電力制御ビットのみを抽出する。送信電力情報抽出部92は、抽出した送信電力制御ビットの内容およびBLER測定部91での判定結果に基づいて送信電力を増加させるか、送信電力を減少させるか、あるいはそれまでの送信電力を維持させるかを決定する。送信電力情報抽出部92は、決定内容に応じて増加指示、減少指示または維持指示を送信電力制御部93へと与える。
【0033】
送信電力制御部93は、上記増加指示および減少指示に応じて送信電力を一定値ずつ増加および減少させるように送信RF部7での増幅の利得を制御する。また送信電力制御部93は、上記維持指示に応じてそれまでの送信電力を位置するように送信RF部7を制御する。
【0034】
次に以上のように構成された移動通信端末の動作につき説明する。なお、データの送受信に関する基本的な動作は従来よりある移動通信端末と同様であるので、その説明は省略する。そしてここでは、送信電力制御ユニット9における送信電力の制御のための動作につき詳しく説明する。
【0035】
送信電力制御ビットは、送信電力情報抽出部92によって受信データ中から抽出される。そして送信電力情報抽出部92は、基本的には送信電力制御ビットの論理に応じて送信電力を増加するか、あるいは減少するかを決定する。
【0036】
BLER測定部91においては、受信データに関するBLERを測定し、さらにそのBLERが閾値以上であるか否かを判定する。BLERが閾値ERRth以上であるか否かの判定は、現在の受信品質が復号部5での復号の信頼性がある程度確保できる品質となっているか否かを判定するものである。従って閾値ERRthは、所要精度やその他の諸条件を考慮して設計値として任意に定められる。本実施形態では、閾値は定数ERRoutよりもある程度小さな値として定めている。
【0037】
ここで定数ERRoutは、それよりもBLERが劣化した場合には送信動作を停止しなければならないということを規定するための閾値として定められた値である。
【0038】
従って、BLERが定数ERRoutよりも大きい場合には、BLERが定数ERRoutに近づくほどDPCCHで受信した情報ビットの信頼性が低下することとなっている。そこで上述のように閾値ERRthを定めていることにより、BLER測定部91では、復号後の送信電力制御ビットの信頼性が高いか否かを確認することになる。
【0039】
送信電力情報抽出部92は、BLER測定部91での判定結果に応じて、送信電力を増加するか、送信電力を減少するか、あるいはそれまでの送信電力を維持するかを決定する際の条件を図5に示すように変化させる。すなわち、送信電力情報抽出部92はBLERが閾値ERRth未満であると判定されているときには、最新の送信電力制御ビットでの指示内容をそのまま採用する。つまりこのときに送信電力情報抽出部92は、最新の送信電力制御ビットが「増加」を示すならば送信電力を増加することと決定し、「減少」を示すならば送信電力を減少することと決定する。なおこのときには送信電力情報抽出部92は、前回の送信電力制御ビットでの指示内容は全く考慮しない。
【0040】
これに対して、送信電力情報抽出部92はBLERが閾値ERRth以上であると判定されているときには、最新の送信電力制御ビットでの指示内容の他に前回の送信電力制御ビットでの指示内容も考慮する。ただし送信電力情報抽出部92は、最新の送信電力制御ビットが「減少」を示すならば、前回の送信電力制御ビットでの指示内容に拘らずに送信電力を減少することと決定する。しかし送信電力情報抽出部92は、最新の送信電力制御ビットが「増加」を示すならば、前回の送信電力制御ビットが同じく「増加」を示す場合にのみ送信電力を増加することと決定し、前回の送信電力制御ビットが「減少」を示すならば最新の送信電力制御ビットの内容を無視して、それまでの送信電力を維持することと決定する。
【0041】
そしてこのような決定に応じて増加指示、減少指示および維持指示が送信電力情報抽出部92から送信電力制御部93へと与えられる。送信電力制御部93は、増加指示が与えられたならば送信電力を一定値増加させるように送信RF部7での増幅の利得を上昇させる。また送信電力制御部93は、減少指示が与えられたならば送信電力を一定値減少させるように送信RF部7での増幅の利得を低下させる。また送信電力制御部93は、維持指示が与えられたならばそれまでの送信電力を維持するように送信RF部7を制御する。
【0042】
なお、BLERがERRoutを下回った場合には、送信が停止される。
【0043】
かくして、復号後の送信電力制御ビットから判定される指示内容が図6(a)に示すようなものであるとすると、BLERが閾値ERRth未満である場合には送信電力制御は図6(b)に示すように指示通りに行われる。これに対してBLERが閾値以上である場合には送信電力制御は図6(c)に示すように、2回以上連続して「増加」が指示された場合の2回目以降の「増加」の指示に応じてのみ送信電力が増加される。そして前回に「減少」が指示された後の「増加」の指示に応じてはそれまでの送信電力が維持される。この結果、図6では、「増加」の指示I11,I12に対して電力制御C11,C12にて電力が減少されている。
【0044】
このように、現時点におけるBLERが送信を停止しなければならない閾値となっているERRoutに近い値まで低下している場合には、復号誤りにより送信電力制御ビットに誤りが生じている恐れがあることを考慮して、「減少」の指示に続く「増加」の指示に応じてはそれまでの送信電力を維持させる。この結果、当該「増加」の指示が復号誤りの結果であった場合に、本来の「減少」の指示に対して誤って送信電力を増加してしまうことを防止することができる。さらに本実施形態では、第1実施形態のように「増加」の指示に応じて送信電力を減少することはないから、当該「増加」の指示が復号誤りではなく本来の指示通りであった場合に逆の送信電力制御を行ってしまうことがない。
【0045】
なお、本発明は前記各実施形態に限定されるものではない。例えば前記各実施形態では、受信品質を2段階に区分して、一方の区分では2回以上連続して「増加」が指示された場合の2回目以降の「増加」の指示に応じてのみ送信電力を増加させることとしている。しかし、受信品質の区分は3段階以上で行うようにし、各区分毎に「増加」の指示に応じて送信電力を増加させる条件を異ならせるようにしても良い。また受信品質を2段階に区分する場合でも、「増加」の指示に応じて送信電力を増加させる条件を変更することも可能である。
【0046】
前記各実施形態では、受信品質の低下時には、「減少」の指示についても、j回(jは2以上の整数)連続した場合のj回目以降の指示に応じてのみ送信電力を減少させることとしても良い。
【0047】
前記第1実施形態においても、受信電力値が閾値未満であり、かつ最新指示が「増加」、前回指示が「減少」である場合に前記第2実施形態のように「維持」の指示を出すこととしても良い。
【0048】
前記第2実施形態においても、BLERが閾値ERRth以上であり、かつ最新指示が「増加」、前回指示が「減少」である場合に前記第1実施形態のように「減少」の指示を出すこととしても良い。
【0049】
前記第2実施形態では、送信電力制御部93あるいは上位レイヤを処理する制御部が送信電力値を設定し直し、その設定し直した送信電力値を維持するように送信電力制御部93が送信RF部7を制御するようにしても良い。このようにすれば、意図しない値で送信電力が維持されてしまうことを防止できる。
【0050】
本願の各発明は、W−CDMA方式以外の方式を採用する場合でも適用が可能である。
【0051】
このほか、本願の各発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形実施が可能である。
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、送信電力情報が増加を示す場合にそれに応じて増加指示が制御手段へと与えられる条件をそのときの受信品質に応じて変更することとしたので、受信品質が低下している状況では増加指示を制御手段へと与える頻度が変更されることとなり、信頼性が低下している送信電力情報に基づいて送信電力を増加させることが抑圧される。この結果、基地局から送られてくる指示に反して送信電力を過剰に増加させてしまうことを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る移動通信端末の要部のブロック図。
【図2】送信電力制御の内容を決定する際の条件と受信電力値との第1実施形態における関係を示す図。
【図3】復号後の送信電力制御ビットから判定される指示内容と実際の送信電力制御の実施状態との関係の第1実施形態における具体例を示す図。
【図4】第2実施形態に係る移動通信端末の要部のブロック図。
【図5】送信電力制御の内容を決定する際の条件と受信電力値との第2実施形態における関係を示す図。
【図6】復号後の送信電力制御ビットから判定される指示内容と実際の送信電力制御の実施状態との関係の第2実施形態における具体例を示す図。
【符号の説明】
1…アンテナ
2…デュプレクサ(DUP)
3…受信RF部
4…相関器
5…復号部
6…送信部
7…送信RF部
8,9…送信電力制御ユニット
81…受信電力判定部
82…送信電力情報抽出部
83…送信電力制御部
91…BLER測定部
92…送信電力情報抽出部
93…送信電力制御部
【発明の属する技術分野】
本発明は、W−CDMA方式の移動通信システムなどのように基地局から移動通信端末の送信電力を指示する移動通信システムにて、移動通信端末側で上記の指示に応じて送信電力を制御する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
W−CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)方式の移動通信システムにおいては、他通信チャネルへの干渉を小さく抑えるために、移動通信端末の送信電力の制御を行っている。
【0003】
このような送信電力制御の方式の1つに、クローズドループ送信電力制御方式がある。3GPP(3rd Generation Partnership Project)規格TS25.214で規定されたクローズドループ送信電力制御方式では、各移動通信端末の送信電力を増加するべきであるか、あるいは減少するべきであるかを判断し、その判断結果を移動通信端末に対して指示する。この送信電力の指示は、基地局が送信電力制御ビットをDPCCH(Dedicated physical control channel)を用いて送信することで行う。移動通信端末では、上記の送信電力制御ビットが「増加」および「減少」のどちらを指示しているかに応じて、送信電力を一定量ずつ増減する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
送信電力制御ビットは、1ビットのみからなる。このため移動通信端末においては、本来とは逆のレベルのデータとして復号されることがあり得る。そしてこのように誤って復号された送信電力制御ビットに基づく電力制御を行ってしまうと、指示とは逆に電力を変化させてしまうことになる。特に、本来は「減少」が指示されたにも拘らずに送信電力を増加させてしまうと、他チャンネにおける通信品質の低下を生じさせてしまう恐れがある。
【0005】
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、その目的とするところは、基地局から送られてくる指示に反して送信電力を過剰に増加させてしまうことを防止することが可能な送信電力制御ユニットおよび移動通信端末を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
以上の目的を達成するために本発明は、基地局から送信された信号に関する受信品質を品質判定手段により判定する。また、前記基地局から送信された送信電力情報が増加および減少のいずれを示すかを指示判定手段により判定する。そして、前記指示判定手段によりm回(mは1以上の整数)連続して減少と判定されたことに応じて減少指示手段が減少指示を、前記指示判定手段によりn回(nは1以上の整数)連続して増加と判定されたことに応じて増加指示手段が増加指示を、それぞれ制御手段へと与えるようにし、さらに前記制御手段は、前記増加指示が与えられたことに応じて送信電力を増加させ、かつ前記減少指示が与えられたことに応じて送信電力を減少させることとした。
【0007】
このような手段を講じたことにより、送信電力情報が増加を示す場合にそれに応じて増加指示が制御手段へと与えられる条件がそのときの受信品質に応じて変更される。従って、受信品質が低下している状況では増加指示を制御手段へと与える頻度を変更することができ、信頼性が低下している送信電力情報に基づいて送信電力を増加させることが抑圧される。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態につき説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は第1実施形態に係る移動通信端末の要部のブロック図である。
【0010】
この図1に示すように本実施形態の移動通信端末は、アンテナ1、デュプレクサ(DUP)2、受信RF部3、相関器4、復号部5、送信部6、送信RF部7よび送信電力制御ユニット8を有する。送信電力制御ユニット8はさらに、受信電力判定部81、送信電力情報抽出部82および送信電力制御部83を有する。
【0011】
図示しない基地局から送信された信号をアンテナ1により受信して得られた受信信号は、デュプレクサ2を介して受信RF部3に入力される。受信信号は、受信RF部3において周波数変換および復調が行われる。受信信号はさらに、相関器4で、基地局での送信に用いられた拡散コードで逆拡散が行われる。これにより相関器4では、希望波信号が分離される。希望波信号は、復号部5で復号され、これにより受信データが再生される。
【0012】
送信データは、送信部6で拡散コードを用いて拡散される。拡散された信号は、送信RF部7で変調、周波数変換、および増幅がなされる。送信RF部7は、上記の増幅の際の利得を変化させることができる。その利得は、送信電力制御部83の制御の下に設定される。送信RF部7から出力された信号は、デュプレクサ2を介してアンテナ1へと供給され、アンテナ1から無線送信される。
【0013】
ところで相関器4は、上記の逆拡散を行う際に得られる受信データ電力を受信電力判定部81へと与える。受信電力判定部81は、上記の受信データ電力から受信電力値を判定する。さらに受信電力判定部81は、上記判定した受信電力値が閾値以上であるか否かを判定する。受信電力判定部81は、その判定結果を送信電力情報抽出部82へと与える。
【0014】
送信電力情報抽出部82には、復号部5から受信データが与えられる。送信電力情報抽出部82は、受信データに含まれる送信電力制御ビットのみを抽出する。送信電力情報抽出部82は、抽出した送信電力制御ビットの内容および受信電力判定部81での判定結果に基づいて送信電力を増加させるか、あるいは減少させるかを決定する。送信電力情報抽出部82は、決定内容に応じて増加指示または減少指示を送信電力制御部83へと与える。
【0015】
送信電力制御部83は、上記増加指示および減少指示に応じて送信電力を一定値ずつ増加および減少させるように送信RF部7での増幅の利得を制御する。
【0016】
次に以上のように構成された移動通信端末の動作につき説明する。なお、データの送受信に関する基本的な動作は従来よりある移動通信端末と同様であるので、その説明は省略する。そしてここでは、送信電力制御ユニット8における送信電力の制御のための動作につき詳しく説明する。
【0017】
基地局から送られてきたデータは復号部5での復号により再生される。送信電力制御ビットはこの復号部5で再生される受信データに含まれる。このような送信電力制御ビットは、送信電力情報抽出部82によって受信データ中から抽出される。そして送信電力情報抽出部82は、基本的には送信電力制御ビットの論理に応じて送信電力を増加するか、あるいは減少するかを決定する。
【0018】
しかしながら、復号部5での復号の際に送信電力制御ビット部分にて誤りが生じたならば、復号部5から出力される送信電力制御ビットはその論理が本来とは逆となっている。
【0019】
そこで受信電力判定部81において、現在の受信電力値Qcurを判定し、さらにその受信電力値Qcurが閾値以上であるか否かを判定する。受信電力値Qcurが閾値以上であるか否かの判定は、現在の受信品質が復号部5での復号の信頼性がある程度確保できる品質となっているか否かを判定するものである。従って閾値は、所要精度やその他の諸条件を考慮して設計値として任意に定められる。本実施形態では、閾値は定数Qin,Qoutを考慮して、
(Qin+Qout)/2
として定めている。
【0020】
ここで定数Qin,Qoutは、受信電力値に応じて送信動作を停止、再開する制御のための閾値として定められた値である。すなわち、3GPPでは、受信したDPCCHの品質の変化に応じて移動局の送信動作を停止、再開することが規定されている。具体的には、DPCCHに関する受信電力値がQout未満である状態が一定時間に渡り継続した場合には移動局は送信を停止しなければならず、受信電力値がQin以上となったならば移動局が送信を再開することを許容することが規定されている。この規定に従って定数Qin,Qoutが、Qin>Qoutなる関係で定められているのである。
【0021】
従って、受信電力値がQout〜Qinの範囲にある場合には、受信電力値がQoutに近づくほどDPCCHで受信した情報ビットの信頼性が低下し、逆にQinに近づくほどDPCCHで受信した情報ビットの信頼性が向上することとなっている。そこで上述のように閾値を定めていることにより、受信電力判定部81では、復号後の送信電力制御ビットの信頼性が高いか否かを確認することになる。
【0022】
送信電力情報抽出部82は、受信電力判定部81での判定結果に応じて、送信電力を増加するか、あるいは減少するかを決定する際の条件を図2に示すように変化させる。すなわち、送信電力情報抽出部82は受信電力値が閾値以上であると判定されているときには、最新の送信電力制御ビットでの指示内容をそのまま採用する。つまりこのときに送信電力情報抽出部82は、最新の送信電力制御ビットが「増加」を示すならば送信電力を増加することと決定し、「減少」を示すならば送信電力を減少することと決定する。なおこのときには送信電力情報抽出部82は、前回の送信電力制御ビットでの指示内容は全く考慮しない。
【0023】
これに対して、送信電力情報抽出部82は受信電力値が閾値未満であると判定されているときには、最新の送信電力制御ビットでの指示内容の他に前回の送信電力制御ビットでの指示内容も考慮する。ただし送信電力情報抽出部82は、最新の送信電力制御ビットが「減少」を示すならば、前回の送信電力制御ビットでの指示内容に拘らずに送信電力を減少することと決定する。しかし送信電力情報抽出部82は、最新の送信電力制御ビットが「増加」を示すならば、前回の送信電力制御ビットが同じく「増加」を示す場合にのみ送信電力を増加することと決定し、前回の送信電力制御ビットが「減少」を示すならば最新の送信電力制御ビットの内容を無視して送信電力を減少することと決定する。
【0024】
そしてこのような決定に応じて増加指示および減少指示が送信電力情報抽出部82から送信電力制御部83へと与えられる。送信電力制御部83は、増加指示が与えられたならば送信電力を一定値増加させるように送信RF部7での増幅の利得を上昇させる。また送信電力制御部83は、減少指示が与えられたならば送信電力を一定値減少させるように送信RF部7での増幅の利得を低下させる。
【0025】
なお、受信電力値がQoutを下回った場合には、一定時間T(s)が経過した後に送信が停止される。
【0026】
かくして、復号後の送信電力制御ビットから判定される指示内容が図3(a)に示すようなものであるとすると、受信電力が閾値以上である場合には送信電力制御は図3(b)に示すように指示通りに行われる。これに対して受信電力が閾値未満である場合には送信電力制御は図3(c)に示すように、2回以上連続して「増加」が指示された場合の2回目以降の「増加」の指示に応じてのみ送信電力が増加される。この結果、図3では、「増加」の指示I1,I2に対して電力制御C1,C2にて電力が減少されている。
【0027】
このように、現時点における受信電力値が送信を停止しなければならない閾値となっているQoutに近い値まで低下している場合には、復号誤りにより送信電力制御ビットに誤りが生じている恐れがあることを考慮して、「減少」の指示に続く「増加」の指示に応じては送信電力を減少させる。この結果、当該「増加」の指示が復号誤りの結果であった場合に、本来の「減少」の指示に対して誤って送信電力を増加してしまうことを防止することができる。なお、当該「増加」の指示が復号誤りではなく本来の指示通りであった場合、その指示に対して誤って送信電力を減少してしまうこととなるが、これは自端末の通信品質の低下を来たすだけであって他の端末の通信には何ら影響を与えない。従って、上記のように誤って送信電力を増加してしまうことを防止できることのほうが重要であるから、より適正な電力制御が行えることになる。
【0028】
(第2の実施形態)
図4は第2実施形態に係る移動通信端末の要部のブロック図である。なお、図1と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0029】
この図4に示すように本実施形態の移動通信端末は、アンテナ1、デュプレクサ2、受信RF部3、相関器4、復号部5、送信部6、送信RF部7よび送信電力制御ユニット9を有する。送信電力制御ユニット9はさらに、BLER測定部91、送信電力情報抽出部92および送信電力制御部93を有する。
【0030】
すなわち第2実施形態の移動通信端末は、第1実施形態の移動通信端末における送信電力制御ユニット8に代えて送信電力制御ユニット9を備えたものとなっている。
【0031】
BLER測定部91へは、復号部5により再生された受信データが与えられる。BLER測定部91は、上記の受信データに関してBLER(BLock Error Ratio:データブロック誤り確率)を測定する。さらにBLER測定部91は、上記測定したBLERが閾値以上であるか否かを判定する。BLER測定部91は、その判定結果を送信電力情報抽出部92へと与える。
【0032】
送信電力情報抽出部92には、復号部5から受信データが与えられる。送信電力情報抽出部92は、受信データに含まれる送信電力制御ビットのみを抽出する。送信電力情報抽出部92は、抽出した送信電力制御ビットの内容およびBLER測定部91での判定結果に基づいて送信電力を増加させるか、送信電力を減少させるか、あるいはそれまでの送信電力を維持させるかを決定する。送信電力情報抽出部92は、決定内容に応じて増加指示、減少指示または維持指示を送信電力制御部93へと与える。
【0033】
送信電力制御部93は、上記増加指示および減少指示に応じて送信電力を一定値ずつ増加および減少させるように送信RF部7での増幅の利得を制御する。また送信電力制御部93は、上記維持指示に応じてそれまでの送信電力を位置するように送信RF部7を制御する。
【0034】
次に以上のように構成された移動通信端末の動作につき説明する。なお、データの送受信に関する基本的な動作は従来よりある移動通信端末と同様であるので、その説明は省略する。そしてここでは、送信電力制御ユニット9における送信電力の制御のための動作につき詳しく説明する。
【0035】
送信電力制御ビットは、送信電力情報抽出部92によって受信データ中から抽出される。そして送信電力情報抽出部92は、基本的には送信電力制御ビットの論理に応じて送信電力を増加するか、あるいは減少するかを決定する。
【0036】
BLER測定部91においては、受信データに関するBLERを測定し、さらにそのBLERが閾値以上であるか否かを判定する。BLERが閾値ERRth以上であるか否かの判定は、現在の受信品質が復号部5での復号の信頼性がある程度確保できる品質となっているか否かを判定するものである。従って閾値ERRthは、所要精度やその他の諸条件を考慮して設計値として任意に定められる。本実施形態では、閾値は定数ERRoutよりもある程度小さな値として定めている。
【0037】
ここで定数ERRoutは、それよりもBLERが劣化した場合には送信動作を停止しなければならないということを規定するための閾値として定められた値である。
【0038】
従って、BLERが定数ERRoutよりも大きい場合には、BLERが定数ERRoutに近づくほどDPCCHで受信した情報ビットの信頼性が低下することとなっている。そこで上述のように閾値ERRthを定めていることにより、BLER測定部91では、復号後の送信電力制御ビットの信頼性が高いか否かを確認することになる。
【0039】
送信電力情報抽出部92は、BLER測定部91での判定結果に応じて、送信電力を増加するか、送信電力を減少するか、あるいはそれまでの送信電力を維持するかを決定する際の条件を図5に示すように変化させる。すなわち、送信電力情報抽出部92はBLERが閾値ERRth未満であると判定されているときには、最新の送信電力制御ビットでの指示内容をそのまま採用する。つまりこのときに送信電力情報抽出部92は、最新の送信電力制御ビットが「増加」を示すならば送信電力を増加することと決定し、「減少」を示すならば送信電力を減少することと決定する。なおこのときには送信電力情報抽出部92は、前回の送信電力制御ビットでの指示内容は全く考慮しない。
【0040】
これに対して、送信電力情報抽出部92はBLERが閾値ERRth以上であると判定されているときには、最新の送信電力制御ビットでの指示内容の他に前回の送信電力制御ビットでの指示内容も考慮する。ただし送信電力情報抽出部92は、最新の送信電力制御ビットが「減少」を示すならば、前回の送信電力制御ビットでの指示内容に拘らずに送信電力を減少することと決定する。しかし送信電力情報抽出部92は、最新の送信電力制御ビットが「増加」を示すならば、前回の送信電力制御ビットが同じく「増加」を示す場合にのみ送信電力を増加することと決定し、前回の送信電力制御ビットが「減少」を示すならば最新の送信電力制御ビットの内容を無視して、それまでの送信電力を維持することと決定する。
【0041】
そしてこのような決定に応じて増加指示、減少指示および維持指示が送信電力情報抽出部92から送信電力制御部93へと与えられる。送信電力制御部93は、増加指示が与えられたならば送信電力を一定値増加させるように送信RF部7での増幅の利得を上昇させる。また送信電力制御部93は、減少指示が与えられたならば送信電力を一定値減少させるように送信RF部7での増幅の利得を低下させる。また送信電力制御部93は、維持指示が与えられたならばそれまでの送信電力を維持するように送信RF部7を制御する。
【0042】
なお、BLERがERRoutを下回った場合には、送信が停止される。
【0043】
かくして、復号後の送信電力制御ビットから判定される指示内容が図6(a)に示すようなものであるとすると、BLERが閾値ERRth未満である場合には送信電力制御は図6(b)に示すように指示通りに行われる。これに対してBLERが閾値以上である場合には送信電力制御は図6(c)に示すように、2回以上連続して「増加」が指示された場合の2回目以降の「増加」の指示に応じてのみ送信電力が増加される。そして前回に「減少」が指示された後の「増加」の指示に応じてはそれまでの送信電力が維持される。この結果、図6では、「増加」の指示I11,I12に対して電力制御C11,C12にて電力が減少されている。
【0044】
このように、現時点におけるBLERが送信を停止しなければならない閾値となっているERRoutに近い値まで低下している場合には、復号誤りにより送信電力制御ビットに誤りが生じている恐れがあることを考慮して、「減少」の指示に続く「増加」の指示に応じてはそれまでの送信電力を維持させる。この結果、当該「増加」の指示が復号誤りの結果であった場合に、本来の「減少」の指示に対して誤って送信電力を増加してしまうことを防止することができる。さらに本実施形態では、第1実施形態のように「増加」の指示に応じて送信電力を減少することはないから、当該「増加」の指示が復号誤りではなく本来の指示通りであった場合に逆の送信電力制御を行ってしまうことがない。
【0045】
なお、本発明は前記各実施形態に限定されるものではない。例えば前記各実施形態では、受信品質を2段階に区分して、一方の区分では2回以上連続して「増加」が指示された場合の2回目以降の「増加」の指示に応じてのみ送信電力を増加させることとしている。しかし、受信品質の区分は3段階以上で行うようにし、各区分毎に「増加」の指示に応じて送信電力を増加させる条件を異ならせるようにしても良い。また受信品質を2段階に区分する場合でも、「増加」の指示に応じて送信電力を増加させる条件を変更することも可能である。
【0046】
前記各実施形態では、受信品質の低下時には、「減少」の指示についても、j回(jは2以上の整数)連続した場合のj回目以降の指示に応じてのみ送信電力を減少させることとしても良い。
【0047】
前記第1実施形態においても、受信電力値が閾値未満であり、かつ最新指示が「増加」、前回指示が「減少」である場合に前記第2実施形態のように「維持」の指示を出すこととしても良い。
【0048】
前記第2実施形態においても、BLERが閾値ERRth以上であり、かつ最新指示が「増加」、前回指示が「減少」である場合に前記第1実施形態のように「減少」の指示を出すこととしても良い。
【0049】
前記第2実施形態では、送信電力制御部93あるいは上位レイヤを処理する制御部が送信電力値を設定し直し、その設定し直した送信電力値を維持するように送信電力制御部93が送信RF部7を制御するようにしても良い。このようにすれば、意図しない値で送信電力が維持されてしまうことを防止できる。
【0050】
本願の各発明は、W−CDMA方式以外の方式を採用する場合でも適用が可能である。
【0051】
このほか、本願の各発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形実施が可能である。
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、送信電力情報が増加を示す場合にそれに応じて増加指示が制御手段へと与えられる条件をそのときの受信品質に応じて変更することとしたので、受信品質が低下している状況では増加指示を制御手段へと与える頻度が変更されることとなり、信頼性が低下している送信電力情報に基づいて送信電力を増加させることが抑圧される。この結果、基地局から送られてくる指示に反して送信電力を過剰に増加させてしまうことを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る移動通信端末の要部のブロック図。
【図2】送信電力制御の内容を決定する際の条件と受信電力値との第1実施形態における関係を示す図。
【図3】復号後の送信電力制御ビットから判定される指示内容と実際の送信電力制御の実施状態との関係の第1実施形態における具体例を示す図。
【図4】第2実施形態に係る移動通信端末の要部のブロック図。
【図5】送信電力制御の内容を決定する際の条件と受信電力値との第2実施形態における関係を示す図。
【図6】復号後の送信電力制御ビットから判定される指示内容と実際の送信電力制御の実施状態との関係の第2実施形態における具体例を示す図。
【符号の説明】
1…アンテナ
2…デュプレクサ(DUP)
3…受信RF部
4…相関器
5…復号部
6…送信部
7…送信RF部
8,9…送信電力制御ユニット
81…受信電力判定部
82…送信電力情報抽出部
83…送信電力制御部
91…BLER測定部
92…送信電力情報抽出部
93…送信電力制御部
Claims (12)
- 基地局から各移動通信端末に対して送信電力の増加または減少を指示する送信電力情報を送信する移動通信システムにて使用されるもので、前記基地局に向けての無線送信をその送信電力を変化させつつ行うことが可能な送信手段を備えた移動通信端末における送信電力を制御する送信電力制御ユニットにおいて、
前記基地局から送信された信号に関する受信品質を判定する品質判定手段と、前記送信電力情報が増加および減少のいずれを示すかを判定する指示判定手段と、
増加指示が与えられたことに応じて送信電力を増加させ、かつ減少指示が与えられたことに応じて送信電力を減少させるように前記送信手段を制御する制御手段と、
前記指示判定手段によりm回(mは1以上の整数)連続して減少と判定されたことに応じて前記減少指示を前記制御手段へと与える減少指示手段と、
前記指示判定手段によりn回(nは1以上の整数)連続して増加と判定されたことに応じて前記増加指示を前記制御手段へと与えるもので、かつ前記品質判定手段により判定された受信品質に応じて前記nの値を変化させる増加指示手段とを具備した送信電力制御ユニット。 - 前記増加指示手段は、前記品質判定手段により判定された受信品質が所定の基準品質以上であるときに前記nの値を所定の第1値とし、かつ前記受信品質が前記基準品質未満であるときに前記nの値を前記第1値よりも大きな第2値とする請求項1に記載の送信電力制御ユニット。
- 前記減少指示手段は、前記指示判定手段により増加と判定され、かつ前記増加指示手段が前記増加指示を与える基準が満たされない場合に前記減少指示を前記制御手段へと与える請求項1に記載の送信電力制御ユニット。
- 前記指示判定手段により増加と判定され、かつ前記増加指示手段が前記増加指示を与える基準が満たされない場合に前記制御手段へと維持指示を与える維持指示手段を備え、
さらに前記制御手段を、前記維持指示手段から前記維持指示が与えられたことに応じてそのときの送信電力を維持するように前記送信手段を制御するものとした請求項1に記載の送信電力制御ユニット。 - 前記制御手段は、前記維持指示が与えられたことに応じて、所定の送信電力を維持するように前記送信手段を制御するものとした請求項4に記載の送信電力制御ユニット。
- 前記品質判定手段は、前記基地局から送信された信号に関する受信電力値を用いて前記受信品質を判定する請求項1に記載の送信電力制御ユニット。
- 前記品質判定手段は、前記基地局から送信された信号に関するデータブロック誤り確率を用いて前記受信品質を判定する請求項1に記載の送信電力制御ユニット。
- 基地局から各移動通信端末に対して送信電力の増加または減少を指示する送信電力情報を送信する移動通信システムにて使用される移動通信端末において、
前記基地局に向けての無線送信をその送信電力を変化させつつ行うことが可能な送信手段と、
前記基地局から送信された信号に関する受信品質を判定する品質判定手段と、前記送信電力情報が増加および減少のいずれを示すかを判定する指示判定手段と、
増加指示が与えられたことに応じて送信電力を増加させ、かつ減少指示が与えられたことに応じて送信電力を減少させるように前記送信手段を制御する制御手段と、
前記指示判定手段によりm回(mは1以上の整数)連続して減少と判定されたことに応じて前記減少指示を前記制御手段へと与える減少指示手段と、
前記指示判定手段によりn回(nは1以上の整数)連続して増加と判定されたことに応じて前記増加指示を前記制御手段へと与えるもので、かつ前記品質判定手段により判定された受信品質に応じて前記nの値を変化させる増加指示手段とを具備した移動通信端末。 - 前記増加指示手段は、前記品質判定手段により判定された受信品質が所定の基準品質以上であるときに前記nの値を所定の第1値とし、かつ前記受信品質が前記基準品質未満であるときに前記nの値を前記第1値よりも大きな第2値とする請求項8に記載の移動通信端末。
- 前記減少指示手段は、前記指示判定手段により増加と判定され、かつ前記増加指示手段が前記増加指示を与える基準が満たされない場合に前記減少指示を前記制御手段へと与える請求項8に記載の移動通信端末。
- 前記指示判定手段により増加と判定され、かつ前記増加指示手段が前記増加指示を与える基準が満たされない場合に前記制御手段へと維持指示を与える維持指示手段を備え、
さらに前記制御手段を、前記維持指示手段から前記維持指示が与えられたことに応じてそのときの送信電力を維持するように前記送信手段を制御するものとした請求項8に記載の移動通信端末。 - 前記制御手段は、前記維持指示が与えられたことに応じて、所定の送信電力を維持するように前記送信手段を制御するものとした請求項11に記載の移動通信端末。
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- 2002-08-26 JP JP2002245398A patent/JP2004088333A/ja active Pending
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