JP2004083706A - 離型用粘着テープおよびエンドレスベルト - Google Patents
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Abstract
【課題】基材および粘着剤層を有する離型用粘着テープであって、基材が、滑り性、離型性に優れ、高温で使用した際にも長さ方向に伸びが生じ難い等のPTFE圧延基材の特性を有し、かつ、耐摩耗性に優れる離型用粘着テープを提供すること。
【解決手段】基材および粘着剤層を有する離型用粘着テープにおいて、基材層が、ポリテトラフルオロエチレン圧延基材フィルムを基礎層とし、当該基礎層の粘着剤層を設けない片面には、ポリテトラフルオロエチレンディスパージョンをコーティングし、焼成したマスキング層を少なくとも有することを特徴とする離型用粘着テープ。
【選択図】 図1
【解決手段】基材および粘着剤層を有する離型用粘着テープにおいて、基材層が、ポリテトラフルオロエチレン圧延基材フィルムを基礎層とし、当該基礎層の粘着剤層を設けない片面には、ポリテトラフルオロエチレンディスパージョンをコーティングし、焼成したマスキング層を少なくとも有することを特徴とする離型用粘着テープ。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、離型用粘着テープおよび離型用粘着テープの基材層に関する。本発明の離型用粘着テープは、電線被覆や電子部品の絶縁材、各種ロールの被覆材、ヒートシール用離型材、樹脂ラミネート用離型材等の各種用途に適用できる。特に、溶融押し出し樹脂のラミネートの製造設備等に用いられるエンドレスベルトとして有用である。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ポリテトラフルオロエチレン(以下PTFEと呼ぶ)を基材とする粘着テープが、数多く上市されている。PTFEを基材とした粘着テープは、電気特性、耐熱性、耐薬品性、非粘着性等の多くの優れた特性を持っており各種用途に用いられている。
【0003】
たとえば、ポリエチレンやポリプロピレン等を溶融押し出しして、紙やプラスチックフィルムにラミネートする樹脂ラミネート用途では、溶融押し出された樹脂がラミネートロールに付着するのを防ぐために、離型用粘着テープが用いられている。離型用粘着テープは直接ラミネートロールに巻いたり、ベルト状に加工してロールに掛けて使用する場合が多い。かかる用途において離型用粘着テープを使用する場合、特にベルト状で使用する際には、高温下で使用しても長さ方向に伸びないことが要求される。そのため、離型用粘着テープの基材には、長さ方向の弾性率の高く、長さ方向に伸びが生じ難い、PTFE圧延基材テープが用いられている。
【0004】
PTFE圧延基材テープの製造法は、以下の方法により行われる。すなわち、乳化重合されたPTFEディスパージョンから分離、造粒されたパウダー状の粉末に、有機溶剤を加えて混合したコンパウンドを、ダイスを通してペースト状に押し出し、予備成形品を作成する。次いで、その成形品を押し出し金型に入れて押し出し、圧延したのち溶剤を除去し、焼成することによりPTFE圧延基材テプが得られる。そして、PTFE圧延基材テープの片面には、適宜に易接着処理を施した後、当該処理面に粘着剤層を設けことにより離型用粘着テープが作製されていた。
【0005】
しかし、PTFE圧延基材テープは長さ方向に配向しており、長さ方向に裂け易く、PTFE圧延基材テープは耐摩耗性が不十分である。たとえば、PTFE圧延基材テープから作製した離型用粘着テープを、樹脂ラミネート用途のエンドレスベルトとして使用した際には、溶融押し出された樹脂はエンドレスベルトにより搬送される基材上にラミネートされるとともに、基材上の両側からはみ出した溶融樹脂は、エンドレスベルト(PTFE圧延基材)に接着する。そのため、樹脂ラミネート基材がエンドレスベルト(PTFE圧延基材)から剥れる際に、接着しているPTFE圧延基材の表面層を長さ方向に引き千切り、その結果、表面がケバ立ち、そのケバがラミネート樹脂中に混入してしまうという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、基材および粘着剤層を有する離型用粘着テープであって、基材が、滑り性、離型性に優れ、高温で使用した際にも長さ方向に伸びが生じ難い等のPTFE圧延基材の特性を有し、かつ、耐摩耗性に優れる離型用粘着テープを提供することを目的とする。また本発明は、当該離型用粘着テープの基材層を提供すること、さらには当該離型用粘着テープを用いたエンドレスベルトを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、下記離型用粘着テープにより前記目的を達成できることを見出し本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、基材および粘着剤層を有する離型用粘着テープにおいて、基材層が、ポリテトラフルオロエチレン圧延基材フィルムを基礎層とし、当該基礎層の粘着剤層を設けない片面には、ポリテトラフルオロエチレンディスパージョンをコーティングし、焼成したマスキング層を少なくとも有することを特徴とする離型用粘着テープ、に関する。
【0009】
また本発明は、ポリテトラフルオロエチレン圧延基材フィルムを基礎層とし、当該基礎層の少なくとも片面に、ポリテトラフルオロエチレンディスパージョンをコーティングし、焼成したマスキング層を有することを特徴とする離型用粘着テープの基材層、に関する。
【0010】
さらには本発明は前記離型用粘着テープを用いたエンドレスベルト、に関する。
【0011】
上記離型用粘着テープでは、基材層として、PTFE圧延基材フィルムを基礎層とし、その片面または両面にはPTFEディスパージョンをコーティング、焼成して形成されたマスキング層を有する。基材は、いずれもPTFEにより形成されており、滑り性、離型性に優れている。基礎層にはPTFE圧延基材を用いており、高温で使用した際にも長さ方向に伸びが生じ難い等の特性を有する。また、マスキング層は配向がなく、基材層の表面に耐摩耗性を付与できる。そのため、離型用粘着テープを、樹脂ラミネート用途においてエンドレスベルトとして使用した場合にも、基材層の表面のケバ立ちを抑えられる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の離型用粘着テープを図面を参照しながら具体的に説明する。図1は、離型用粘着テープの断面図であり、基材層1の片面に粘着剤層2を有する。図2は、前記基材層1の断面図であり、PTFE圧延基材フィルムにより形成される基礎層1aおよびPTFEディスパージョンをコーティング、焼成して形成されたマスキング層1bを有する。マスキング層1bは、図2(1)に示すように基礎層1aの片面に設けてもよく、図2(2)に示すように基礎層1aの両面に設けてもよい。図2(1)のようにマスキング層1bを基礎層1aの片面に設ける場合には、基礎層1aのマスキング層1bを設けない側に粘着剤層2が形成される。図2(2)のようにマスキング層1bを基礎層1aの両面に設ける場合には、いずれか一方のマスキング層1bに粘着剤層2が形成される。なお、粘着剤層2を形成する基材層1の片面には、易接着処理1cを適宜に施すことができる。
【0013】
基礎層aは、PTFE圧延基材フィルムであり、これは主として長さ方向の高温下での伸びを抑える役目を担う。基礎層1aの厚みは0.01〜0.45mmであり、好ましくは0.15〜0.18mmである。
【0014】
PTFE圧延基材フィルムの製法は、従来より行うわれている方法を採用できる。すなわち、乳化重合されたPTFEディスパージョンから分離、造粒して得られたパウダー状の粉末に有機溶剤を混合し、ペースト状のコンパウンドをダイスを通して押し出して予備成形品を作製する。その後、その予備成形品を押し出し金型に入れて押し出し、圧延したのち溶剤を除去し、焼成することによりPTFE圧延基材フィルムが得られる。予備成形品の圧延は、通常、50〜120℃程度の熱ロールにて行うことができる。焼成は、通常、350〜450℃程度の温度で、1〜5分間程度行われる。
【0015】
マスキング層1bは、基材層1の表面に、耐磨耗性を付与するものであり摩耗による基礎層の露出を防ぐ。マスキング層1bの厚みは0.001〜0.01mm、さらには0.005〜0.01mmが好ましい。
【0016】
マスキング層1bは、乳化重合によって製造されるPTFEディスパージョンを基礎層1aにコーティングし、焼成することにより形成できる。コーティング法は特に制限されず、たとえば、ディッピングコート法、片面をキスコーター、バーコーターなどでコーティングする方法があげれる。焼成は、通常、350〜450℃程度の温度で、1〜5分間程度行われる。マスキング層1bは、離型用粘着テープを樹脂ラミネート用途においてエンドレスベルトとして使用した場合にも、ラミネートされた樹脂が剥される際に、繊維状のケバを抑えることを目的とするため、延伸したり、せん断応力を与えられていない。
【0017】
なお、マスキング層1bを形成後には、表面を平滑にするために、ロールにて表面を潰すような加工を施すことができる。
【0018】
易接着処理1cは、特に制限されず、たとえば、コロナ放電処理、スパッタエッチング処理、アルカリ金属エッチング処理、低圧UV照射処理などにより行うことができる。これら易接着処理法のなかでも耐熱性が良好であり、物理的に基材層表面を荒らして接着面積を増やすことができるスパッタエッチング処理が良好である。スパッタエッチング処理は、通常、雰囲気ガスとしてArガスを用い、気圧0.666〜6.666Pa、放電電力10〜50W・秒/cm2 の条件で行われる。
【0019】
このようにして基礎層1aおよびマスキング層1bを有する基材層1が得られる。基材層1の厚みは、前記基礎層1aおよびマスキング層1bの各厚みにより適宜に調整されるが、0.02〜0.50mm程度とするのが好ましい。樹脂ラミネート用途においてエンドレスベルトとして使用する際には、なるべく段差をなくなるようにした薄いものが望ましく、基材層1の厚みは、0.02〜0.20mmが好ましい。
【0020】
粘着剤層2は、アクリル系、シリコーン系、天然ゴム系、合成ゴム系等の粘着剤により形成される。これらのなかでも耐熱性、耐侯性等を考慮するとシリコーン系粘着剤が望ましい。粘着剤層の厚みは0.005〜0.06mm程度であり、好適には0.02〜0.05mmである。粘着剤層の形成方法は特に制限されず、たとえば、リバースコート法、ファンテンコート法、ディッピング法等が用いられる。
【0021】
かかる本発明の離型用粘着テープは、電線被覆や電子部品の絶縁材、各種ロールの被覆材、ヒートシール用離型材、樹脂ラミネート用離型材等の各種用途に適用できる。特に、溶融押し出し樹脂のラミネート等に用いられるエンドレスベルトとして有用である。
【0022】
離型用粘着テープを用いたエンドレスベルトの使用形態は特に制限されないが、たとえば、図3に示すように、二つの離型用粘着テープの粘着剤層2の略全体を貼り合せるとともに、片端部の粘着剤層2は基材層1(マスキング層1b)に貼り合せることにより、エンドレスベルトが得られる。エンドレスベルト表面はマスキング層1bとなっている。
【0023】
図4は、エンドレスベルト10をラミネートロール21、22に巻付けて適用した場合の例である。各種基材フィルム31は、エンドレスベルト10により搬送されるとともに、溶融押し出し樹脂(たとえばポリエチレン等)32が、クーリングロール23でラミネートされる。本発明の離型用粘着テープを用いたエンドレスベルトは、かかるラミネート工程に適用した場合にも表面がケバ立つことなく使用可能である。
【0024】
【実施例】
以下に、この発明の実施例を記載してより具体的に説明する。なお、以下の各例において、部および%とあるのは重量基準である。
【0025】
実施例1
(基礎層)
PTFE粉末(ポリフロンF−104:ダイキン工業社製)100部に、押し出し助剤(スモイルP−55:村山石油社製)30部を加え、丸棒状に成形した。その成形品を押し出し金型に入れて押し出し、それを圧延し、押し出し助剤を取り除いた後、380℃で3分間の条件で焼成し、PTFEフィルムを得た。得られたPTFEフィルムを200℃の熱ロールにて、圧力12MPaで圧延し、0.05mmのPTFE圧延フィルムを得た。このPTFE圧延基材フィルムを基礎層とした。
【0026】
(マスキング層)
前記基礎層に、PTFEディスパージョン(D−2:ダイキン工業社製)を、片面の厚み0.005mmとなるようにディッピングコーティングし、次いで80℃で3分間の条件で乾燥した後、350℃で3分間の条件で焼成し、マスキング層を両側に形成した基材層を得た。
【0027】
(粘着テープ)
得られた基材層の片面に、Arガス、気圧2.666Pa、30W秒/cm2 の条件でスパッタエッチング処理を施した。この処理面に、シリコーン粘着剤(SD4570:東レ・ダウコーニングシリコーン社製)を固形分40%となるようにトルエンで希釈したものを、リバースコート法にて厚みが0.030mmとなるようにコ−ティングし、乾燥した後、180℃で3分間の条件でキュアーした。得られた粘着テープの総厚は0.090mmであった。
【0028】
(評価)
この粘着テープの粘着面同士を貼り合せて、図3のようにエンドレスベルトを作製した。当該エンドレスベルトを、図4のようなポリエチレンの溶融押出しラミネート設備に取り付けて使用した。3日間経過後もエンドレスベルト(粘着テープ)が伸びることなく使用できた。またエンドレスベルトの背面がケバ立つことはなかった。すなわち、ポリエチレンに基材層表面が取られることなく使用できた。
【0029】
比較例1
(粘着テープ)
基材層として、実施例1の基礎層を使用した。当該基材層の、片面に、Arガス、気圧2.666Pa、30W秒/cm2 の条件でスパッタエッチング処理を施した。この処理面にシリコ−ン粘着剤(SD4570:東レ・ダウコーニングシリコーン社製)を固形分40%となるようにトルエンで希釈したものを、リバースコート法にて厚みが0.030mmとなるようにコーティングし、乾燥した後、180℃で3分間の条件でキュアーした。得られた粘着テープの総厚は0.080mmであった。
【0030】
(評価)
この粘着テープの粘着面同士を貼り合せて、図3のようにエンドレスベルトを作製した。当該エンドレスベルトを、図4のようなポリエチレンの溶融押出しラミネート設備に取り付けて使用した。1日間経過後にもエンドレスベルト(粘着テープ)は伸びることなく使用できた。しかし、エンドレスベルトの背面がケバ立ち、ポリエチレンにそのケバが混入した。
【0031】
比較例2
(基材層)
PTFE粉末(ポリフロンM−12:ダイキン工業製)を用い、これを円筒型の金型内で10MPaの条件で圧縮成形した。成形品を380℃のオーブン内で24時間焼成し、冷却後、旋盤加工にて厚み0.050mmのPTFEフィルムを得た。このPTFEフィルムを基材層とした。
【0032】
(粘着テープ)
当該基材層の片面に、Arガス、気圧2.666Pa、30W秒/cm2 の条件でスパッタエッチング処理を施した。この処理面にシリコ−ン粘着剤(SD4570:東レ・ダウコーニングシリコーン社製)を固形分40%となるようにトルエンで希釈したものを、リバースコート法にて厚みが0.030mmとなるようにコ−ティングし、乾燥した後、180℃で3分間の条件でキュアーした。得られた粘着テープの総厚は0.080mmであった。
【0033】
(評価)
この粘着テープの粘着面同士を貼り合せて、図3のようにエンドレスベルトを作製した。当該エンドレスベルトを、図4のようなポリエチレンの溶融押出しラミネート設備に取り付けて使用した。3時間経過後には、エンドレスベルト(粘着テープ)が伸びて弛んで所定の場所からズレてしまい、ポリエチレンのラミネートを続けられなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の離型用粘着テープの断面図である。
【図2】本発明の基材層の断面図である。
【図3】本発明のエンドレスベルトの一例である。
【図4】エンドレスベルトを用いた溶融押出しラミネート設備の概略図である。
【符号の説明】
1 基材層
1a 基礎層
1b マスキング層
1c 易接着処理
2 粘着剤層
10 エンドレスベルト
【発明の属する技術分野】
本発明は、離型用粘着テープおよび離型用粘着テープの基材層に関する。本発明の離型用粘着テープは、電線被覆や電子部品の絶縁材、各種ロールの被覆材、ヒートシール用離型材、樹脂ラミネート用離型材等の各種用途に適用できる。特に、溶融押し出し樹脂のラミネートの製造設備等に用いられるエンドレスベルトとして有用である。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ポリテトラフルオロエチレン(以下PTFEと呼ぶ)を基材とする粘着テープが、数多く上市されている。PTFEを基材とした粘着テープは、電気特性、耐熱性、耐薬品性、非粘着性等の多くの優れた特性を持っており各種用途に用いられている。
【0003】
たとえば、ポリエチレンやポリプロピレン等を溶融押し出しして、紙やプラスチックフィルムにラミネートする樹脂ラミネート用途では、溶融押し出された樹脂がラミネートロールに付着するのを防ぐために、離型用粘着テープが用いられている。離型用粘着テープは直接ラミネートロールに巻いたり、ベルト状に加工してロールに掛けて使用する場合が多い。かかる用途において離型用粘着テープを使用する場合、特にベルト状で使用する際には、高温下で使用しても長さ方向に伸びないことが要求される。そのため、離型用粘着テープの基材には、長さ方向の弾性率の高く、長さ方向に伸びが生じ難い、PTFE圧延基材テープが用いられている。
【0004】
PTFE圧延基材テープの製造法は、以下の方法により行われる。すなわち、乳化重合されたPTFEディスパージョンから分離、造粒されたパウダー状の粉末に、有機溶剤を加えて混合したコンパウンドを、ダイスを通してペースト状に押し出し、予備成形品を作成する。次いで、その成形品を押し出し金型に入れて押し出し、圧延したのち溶剤を除去し、焼成することによりPTFE圧延基材テプが得られる。そして、PTFE圧延基材テープの片面には、適宜に易接着処理を施した後、当該処理面に粘着剤層を設けことにより離型用粘着テープが作製されていた。
【0005】
しかし、PTFE圧延基材テープは長さ方向に配向しており、長さ方向に裂け易く、PTFE圧延基材テープは耐摩耗性が不十分である。たとえば、PTFE圧延基材テープから作製した離型用粘着テープを、樹脂ラミネート用途のエンドレスベルトとして使用した際には、溶融押し出された樹脂はエンドレスベルトにより搬送される基材上にラミネートされるとともに、基材上の両側からはみ出した溶融樹脂は、エンドレスベルト(PTFE圧延基材)に接着する。そのため、樹脂ラミネート基材がエンドレスベルト(PTFE圧延基材)から剥れる際に、接着しているPTFE圧延基材の表面層を長さ方向に引き千切り、その結果、表面がケバ立ち、そのケバがラミネート樹脂中に混入してしまうという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、基材および粘着剤層を有する離型用粘着テープであって、基材が、滑り性、離型性に優れ、高温で使用した際にも長さ方向に伸びが生じ難い等のPTFE圧延基材の特性を有し、かつ、耐摩耗性に優れる離型用粘着テープを提供することを目的とする。また本発明は、当該離型用粘着テープの基材層を提供すること、さらには当該離型用粘着テープを用いたエンドレスベルトを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、下記離型用粘着テープにより前記目的を達成できることを見出し本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明は、基材および粘着剤層を有する離型用粘着テープにおいて、基材層が、ポリテトラフルオロエチレン圧延基材フィルムを基礎層とし、当該基礎層の粘着剤層を設けない片面には、ポリテトラフルオロエチレンディスパージョンをコーティングし、焼成したマスキング層を少なくとも有することを特徴とする離型用粘着テープ、に関する。
【0009】
また本発明は、ポリテトラフルオロエチレン圧延基材フィルムを基礎層とし、当該基礎層の少なくとも片面に、ポリテトラフルオロエチレンディスパージョンをコーティングし、焼成したマスキング層を有することを特徴とする離型用粘着テープの基材層、に関する。
【0010】
さらには本発明は前記離型用粘着テープを用いたエンドレスベルト、に関する。
【0011】
上記離型用粘着テープでは、基材層として、PTFE圧延基材フィルムを基礎層とし、その片面または両面にはPTFEディスパージョンをコーティング、焼成して形成されたマスキング層を有する。基材は、いずれもPTFEにより形成されており、滑り性、離型性に優れている。基礎層にはPTFE圧延基材を用いており、高温で使用した際にも長さ方向に伸びが生じ難い等の特性を有する。また、マスキング層は配向がなく、基材層の表面に耐摩耗性を付与できる。そのため、離型用粘着テープを、樹脂ラミネート用途においてエンドレスベルトとして使用した場合にも、基材層の表面のケバ立ちを抑えられる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の離型用粘着テープを図面を参照しながら具体的に説明する。図1は、離型用粘着テープの断面図であり、基材層1の片面に粘着剤層2を有する。図2は、前記基材層1の断面図であり、PTFE圧延基材フィルムにより形成される基礎層1aおよびPTFEディスパージョンをコーティング、焼成して形成されたマスキング層1bを有する。マスキング層1bは、図2(1)に示すように基礎層1aの片面に設けてもよく、図2(2)に示すように基礎層1aの両面に設けてもよい。図2(1)のようにマスキング層1bを基礎層1aの片面に設ける場合には、基礎層1aのマスキング層1bを設けない側に粘着剤層2が形成される。図2(2)のようにマスキング層1bを基礎層1aの両面に設ける場合には、いずれか一方のマスキング層1bに粘着剤層2が形成される。なお、粘着剤層2を形成する基材層1の片面には、易接着処理1cを適宜に施すことができる。
【0013】
基礎層aは、PTFE圧延基材フィルムであり、これは主として長さ方向の高温下での伸びを抑える役目を担う。基礎層1aの厚みは0.01〜0.45mmであり、好ましくは0.15〜0.18mmである。
【0014】
PTFE圧延基材フィルムの製法は、従来より行うわれている方法を採用できる。すなわち、乳化重合されたPTFEディスパージョンから分離、造粒して得られたパウダー状の粉末に有機溶剤を混合し、ペースト状のコンパウンドをダイスを通して押し出して予備成形品を作製する。その後、その予備成形品を押し出し金型に入れて押し出し、圧延したのち溶剤を除去し、焼成することによりPTFE圧延基材フィルムが得られる。予備成形品の圧延は、通常、50〜120℃程度の熱ロールにて行うことができる。焼成は、通常、350〜450℃程度の温度で、1〜5分間程度行われる。
【0015】
マスキング層1bは、基材層1の表面に、耐磨耗性を付与するものであり摩耗による基礎層の露出を防ぐ。マスキング層1bの厚みは0.001〜0.01mm、さらには0.005〜0.01mmが好ましい。
【0016】
マスキング層1bは、乳化重合によって製造されるPTFEディスパージョンを基礎層1aにコーティングし、焼成することにより形成できる。コーティング法は特に制限されず、たとえば、ディッピングコート法、片面をキスコーター、バーコーターなどでコーティングする方法があげれる。焼成は、通常、350〜450℃程度の温度で、1〜5分間程度行われる。マスキング層1bは、離型用粘着テープを樹脂ラミネート用途においてエンドレスベルトとして使用した場合にも、ラミネートされた樹脂が剥される際に、繊維状のケバを抑えることを目的とするため、延伸したり、せん断応力を与えられていない。
【0017】
なお、マスキング層1bを形成後には、表面を平滑にするために、ロールにて表面を潰すような加工を施すことができる。
【0018】
易接着処理1cは、特に制限されず、たとえば、コロナ放電処理、スパッタエッチング処理、アルカリ金属エッチング処理、低圧UV照射処理などにより行うことができる。これら易接着処理法のなかでも耐熱性が良好であり、物理的に基材層表面を荒らして接着面積を増やすことができるスパッタエッチング処理が良好である。スパッタエッチング処理は、通常、雰囲気ガスとしてArガスを用い、気圧0.666〜6.666Pa、放電電力10〜50W・秒/cm2 の条件で行われる。
【0019】
このようにして基礎層1aおよびマスキング層1bを有する基材層1が得られる。基材層1の厚みは、前記基礎層1aおよびマスキング層1bの各厚みにより適宜に調整されるが、0.02〜0.50mm程度とするのが好ましい。樹脂ラミネート用途においてエンドレスベルトとして使用する際には、なるべく段差をなくなるようにした薄いものが望ましく、基材層1の厚みは、0.02〜0.20mmが好ましい。
【0020】
粘着剤層2は、アクリル系、シリコーン系、天然ゴム系、合成ゴム系等の粘着剤により形成される。これらのなかでも耐熱性、耐侯性等を考慮するとシリコーン系粘着剤が望ましい。粘着剤層の厚みは0.005〜0.06mm程度であり、好適には0.02〜0.05mmである。粘着剤層の形成方法は特に制限されず、たとえば、リバースコート法、ファンテンコート法、ディッピング法等が用いられる。
【0021】
かかる本発明の離型用粘着テープは、電線被覆や電子部品の絶縁材、各種ロールの被覆材、ヒートシール用離型材、樹脂ラミネート用離型材等の各種用途に適用できる。特に、溶融押し出し樹脂のラミネート等に用いられるエンドレスベルトとして有用である。
【0022】
離型用粘着テープを用いたエンドレスベルトの使用形態は特に制限されないが、たとえば、図3に示すように、二つの離型用粘着テープの粘着剤層2の略全体を貼り合せるとともに、片端部の粘着剤層2は基材層1(マスキング層1b)に貼り合せることにより、エンドレスベルトが得られる。エンドレスベルト表面はマスキング層1bとなっている。
【0023】
図4は、エンドレスベルト10をラミネートロール21、22に巻付けて適用した場合の例である。各種基材フィルム31は、エンドレスベルト10により搬送されるとともに、溶融押し出し樹脂(たとえばポリエチレン等)32が、クーリングロール23でラミネートされる。本発明の離型用粘着テープを用いたエンドレスベルトは、かかるラミネート工程に適用した場合にも表面がケバ立つことなく使用可能である。
【0024】
【実施例】
以下に、この発明の実施例を記載してより具体的に説明する。なお、以下の各例において、部および%とあるのは重量基準である。
【0025】
実施例1
(基礎層)
PTFE粉末(ポリフロンF−104:ダイキン工業社製)100部に、押し出し助剤(スモイルP−55:村山石油社製)30部を加え、丸棒状に成形した。その成形品を押し出し金型に入れて押し出し、それを圧延し、押し出し助剤を取り除いた後、380℃で3分間の条件で焼成し、PTFEフィルムを得た。得られたPTFEフィルムを200℃の熱ロールにて、圧力12MPaで圧延し、0.05mmのPTFE圧延フィルムを得た。このPTFE圧延基材フィルムを基礎層とした。
【0026】
(マスキング層)
前記基礎層に、PTFEディスパージョン(D−2:ダイキン工業社製)を、片面の厚み0.005mmとなるようにディッピングコーティングし、次いで80℃で3分間の条件で乾燥した後、350℃で3分間の条件で焼成し、マスキング層を両側に形成した基材層を得た。
【0027】
(粘着テープ)
得られた基材層の片面に、Arガス、気圧2.666Pa、30W秒/cm2 の条件でスパッタエッチング処理を施した。この処理面に、シリコーン粘着剤(SD4570:東レ・ダウコーニングシリコーン社製)を固形分40%となるようにトルエンで希釈したものを、リバースコート法にて厚みが0.030mmとなるようにコ−ティングし、乾燥した後、180℃で3分間の条件でキュアーした。得られた粘着テープの総厚は0.090mmであった。
【0028】
(評価)
この粘着テープの粘着面同士を貼り合せて、図3のようにエンドレスベルトを作製した。当該エンドレスベルトを、図4のようなポリエチレンの溶融押出しラミネート設備に取り付けて使用した。3日間経過後もエンドレスベルト(粘着テープ)が伸びることなく使用できた。またエンドレスベルトの背面がケバ立つことはなかった。すなわち、ポリエチレンに基材層表面が取られることなく使用できた。
【0029】
比較例1
(粘着テープ)
基材層として、実施例1の基礎層を使用した。当該基材層の、片面に、Arガス、気圧2.666Pa、30W秒/cm2 の条件でスパッタエッチング処理を施した。この処理面にシリコ−ン粘着剤(SD4570:東レ・ダウコーニングシリコーン社製)を固形分40%となるようにトルエンで希釈したものを、リバースコート法にて厚みが0.030mmとなるようにコーティングし、乾燥した後、180℃で3分間の条件でキュアーした。得られた粘着テープの総厚は0.080mmであった。
【0030】
(評価)
この粘着テープの粘着面同士を貼り合せて、図3のようにエンドレスベルトを作製した。当該エンドレスベルトを、図4のようなポリエチレンの溶融押出しラミネート設備に取り付けて使用した。1日間経過後にもエンドレスベルト(粘着テープ)は伸びることなく使用できた。しかし、エンドレスベルトの背面がケバ立ち、ポリエチレンにそのケバが混入した。
【0031】
比較例2
(基材層)
PTFE粉末(ポリフロンM−12:ダイキン工業製)を用い、これを円筒型の金型内で10MPaの条件で圧縮成形した。成形品を380℃のオーブン内で24時間焼成し、冷却後、旋盤加工にて厚み0.050mmのPTFEフィルムを得た。このPTFEフィルムを基材層とした。
【0032】
(粘着テープ)
当該基材層の片面に、Arガス、気圧2.666Pa、30W秒/cm2 の条件でスパッタエッチング処理を施した。この処理面にシリコ−ン粘着剤(SD4570:東レ・ダウコーニングシリコーン社製)を固形分40%となるようにトルエンで希釈したものを、リバースコート法にて厚みが0.030mmとなるようにコ−ティングし、乾燥した後、180℃で3分間の条件でキュアーした。得られた粘着テープの総厚は0.080mmであった。
【0033】
(評価)
この粘着テープの粘着面同士を貼り合せて、図3のようにエンドレスベルトを作製した。当該エンドレスベルトを、図4のようなポリエチレンの溶融押出しラミネート設備に取り付けて使用した。3時間経過後には、エンドレスベルト(粘着テープ)が伸びて弛んで所定の場所からズレてしまい、ポリエチレンのラミネートを続けられなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の離型用粘着テープの断面図である。
【図2】本発明の基材層の断面図である。
【図3】本発明のエンドレスベルトの一例である。
【図4】エンドレスベルトを用いた溶融押出しラミネート設備の概略図である。
【符号の説明】
1 基材層
1a 基礎層
1b マスキング層
1c 易接着処理
2 粘着剤層
10 エンドレスベルト
Claims (3)
- 基材および粘着剤層を有する離型用粘着テープにおいて、基材層が、ポリテトラフルオロエチレン圧延基材フィルムを基礎層とし、当該基礎層の粘着剤層を設けない片面には、ポリテトラフルオロエチレンディスパージョンをコーティングし、焼成したマスキング層を少なくとも有することを特徴とする離型用粘着テープ。
- ポリテトラフルオロエチレン圧延基材フィルムを基礎層とし、当該基礎層の少なくとも片面に、ポリテトラフルオロエチレンディスパージョンをコーティングし、焼成したマスキング層を有することを特徴とする離型用粘着テープの基材層。
- 請求項1記載の離型用粘着テープを用いたエンドレスベルト。
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2002
- 2002-08-26 JP JP2002245092A patent/JP2004083706A/ja active Pending
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