JP2004081091A - フレンチトースト様食品の製造方法 - Google Patents

フレンチトースト様食品の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2004081091A
JP2004081091A JP2002246053A JP2002246053A JP2004081091A JP 2004081091 A JP2004081091 A JP 2004081091A JP 2002246053 A JP2002246053 A JP 2002246053A JP 2002246053 A JP2002246053 A JP 2002246053A JP 2004081091 A JP2004081091 A JP 2004081091A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oil
weight
food
bread
water emulsion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002246053A
Other languages
English (en)
Inventor
Satoru Fukazawa
深沢 哲
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Adeka Corp
Original Assignee
Asahi Denka Kogyo KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Denka Kogyo KK filed Critical Asahi Denka Kogyo KK
Priority to JP2002246053A priority Critical patent/JP2004081091A/ja
Publication of JP2004081091A publication Critical patent/JP2004081091A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Confectionery (AREA)
  • Bakery Products And Manufacturing Methods Therefor (AREA)

Abstract

【課題】簡便に生産可能であり、かつ、ソフトでしっとりしながら、手で持つことの出来る十分な保型性をもつフレンチトースト様食品を提供すること。
【解決手段】本発明は、菓子、ケーキまたはパンに、粒径が30μmより大きい澱粉粒子を含み、且つ融点が37℃以上の熱可逆性ゲルによってゲル化している水中油型乳化組成物を含有するペースト状組成物を付着させたのち、加熱したことを特徴とするフレンチトースト様食品の製造方法である。
【選択図】   なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フレンチトーストをはじめ、パンの代わりに菓子やケーキを使用したものや、カスタード風味だけでなく、チョコレート風味やチーズ風味のものも含む、いわゆるフレンチトースト様食品の製造方法に関するものであり、詳しくは、菓子、ケーキ、パン等に、粒径が30μmより大きい澱粉粒子を含み、且つ融点が37℃以上の熱可逆性ゲルによってゲル化している水中油型乳化組成物を含有するペースト状組成物を付着させたのち、加熱したことを特徴とするフレンチトースト様食品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
フレンチトーストとは、特に定義はないが、老化して硬くなったパンを、再生する一方法として古くから食されてきたもので、パン全体に、卵、牛乳、糖からなる、いわゆる浸漬液を染み込ませた後に加熱調理し、しっとりと柔らかくさせた加工食品である。
フレンチトーストの一般的な製法は、バット等に入れた浸漬液に、厚さ10mm〜20mm程度にスライスした食パン、あるいはフランスパンを20〜60分浸漬し、さらに必要に応じ、砂糖やシナモンを振り掛け、これをフライパン、あるいはオーブンで焼成する、というものである。
【0003】
すなわち、フレンチトーストとは、常温で液状、且つ加熱により凝固するという卵の特性を利用し、浸透液の水分によりパン組織に過剰の水分を含ませ、且つ卵を凝固させた卵ゲルの物性を付与することにより、老化して硬くなったパンにしっとりとしたソフトな食感とを再付与したものである。
【0004】
ただし、このフレンチトーストの製造方法は手間と時間がかかるため、家庭のお菓子や小規模の生産の場合は問題ないが、大規模な工場生産には不適である。反面、パンの表面だけに浸漬液を塗布して加熱調理したものや、卵、砂糖、澱粉、牛乳等を主原料として加熱加工した、カスタードクリームやフラワーペーストを載せて焼成したものなど、パンに浸漬液が浸透していない簡便なフレンチトーストもある。この場合、もちろんパンの内相まで浸漬液、クリームまたはペーストが浸透していないため全体としてしっとりとした食感は得られない。
【0005】
また、浸漬液の主要原料である卵は大変保存性の悪いものであるため、使用の度に割卵や、冷凍卵の解凍などの作業が必要であり、また、長時間浸漬液を保存しておいておくことも不可能であるため、大変作業性が悪い。
【0006】
さらに、浸漬液を浸透させて後焼成して得たフレンチトーストは、卵ゲルの物性が脆弱であることに加え、水分を大量に染み込んで重量が増加している上に、浸漬液の浸透によりパン組織物性を失っているため、手にとって食すには保型性が足りず、よって、サンドイッチに利用したり、パンの売り場で販売するには不適当であった。
【0007】
また、カスタードクリームやフラワーペーストを塗布する方法では、卵に比べ保存性はよいものの、カスタードクリームやフラワーペーストは粘度が高くパンへの浸透性が極めて悪いうえに、焼成時の焦げの問題があった。
このような問題点を解決し、簡便にフレンチトーストを得るためにさまざまな検討が行われてきた。
【0008】
例えば、特開平10−99057号公報に見られるように、水分含量50〜59%である冷凍フレンチトーストを得る方法、特開平11−206343号公報に見られるように、卵類、乳類を含有し、熱により融解するシート状卵加工食品をパンに積載し、焼成する方法、あるいは、特開平11−215947号公報に見られるように 卵黄成分を固形分換算で2〜15%含むスラリーをパンの厚みに対し2/5〜4/5吸収してなり、かつ、該スラリーを吸収していない部分が1/5〜3/5であるフレンチトーストなどの検討が行われてきた。
【0009】
しかし、冷凍フレンチトーストを得る方法はただ食する前の段階で冷凍工程を挟んだだけであり、保存性の悪い卵を大量に使用する点は変わらず、また、パンに浸漬液を浸透させる時間の短縮効果もなく、また、冷凍工程のため、全体としての製造時間はむしろ長く煩雑になってしまっている。
【0010】
浸漬液に増粘多糖類を添加してシート状加工食品とする方法は、シート状加工食品が冷蔵保存、もしくは常温で保存する場合に、浸漬液がシート状を保つためには多量の増粘多糖類を含有させることが必要であり、そのため、パンへの染み込みが悪く、得られたフレンチトーストの食感が劣ったものになってしまう。シート状加工食品が冷凍品である場合はこの問題はないが、上記同様、冷凍工程を経るために全体としての製造時間が長く煩雑になるという問題が残る。
【0011】
また、卵黄成分を固形分換算で2〜15%含むスラリーをパンの厚みに対し2/5〜4/5吸収してなり、かつ、該スラリーを吸収していない部分が1/5〜3/5であるフレンチトーストの製造方法は、卵黄液を用い、染み込ませる浸漬液量をある程度制限することにより大量生産性と卵味の風味性のバランスをとっているが、浸漬液が染み込まない層を必ず残さねばならない点において、製造の際に大変気を使う必要がある。また、生卵黄を大量に用いる点において従来フレンチトースト同様、卵の保存性の問題は残る。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
よって、本発明の目的は、保存性が良好で、パンへの浸透性も良好なペースト状組成物を用いて加熱調理した、ソフトでしっとりしながら、手で持つことの出来る十分な保型性をもつフレンチトースト様食品を、卵の凝固性を利用せず、また、冷凍工程を経ることなく簡便に生産することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記目的を達成すべく種々検討した結果、特定の水中油型乳化組成物を用いることにより、上記問題を解決しうるフレンチトースト様食品が得られることを知見した。
【0014】
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、菓子、ケーキまたはパンに、粒径が30μmより大きい澱粉粒子を含み、且つ融点が37℃以上の熱可逆性ゲルによってゲル化している水中油型乳化組成物を含有するペースト状組成物を付着させたのち、加熱したことを特徴とするフレンチトースト様食品の製造方法を提供するものである。
【0015】
また本発明は、上記の水中油型乳化組成物1ml中に、粒径が30μmより大きい澱粉粒子が、1×10個以上1×10個未満存在する前記フレンチトースト様食品の製造方法を提供するものである。
【0016】
また本発明は、チョコレート、及び/又はチーズを含む水中油型乳化組成物を使用することを特徴とする前記フレンチトースト様食品の製造方法を提供するものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のフレンチトースト様食品について詳述する。
本発明のフレンチトースト様食品は、菓子、ケーキまたはパンに、粒径が30μmより大きい澱粉粒子を含み、且つ融点が37℃以上の熱可逆性ゲルによってゲル化している水中油型乳化組成物を含有するペースト状組成物を付着させたのち、加熱してなる。
【0018】
本発明で使用する菓子としては、液状物質が浸透しても組織崩壊をおこさない、しっかりした組織をもつ菓子が好ましく、具体的には、イーストドーナツ、ワッフル、パイ、スナック等が挙げられる。
また、本発明で使用するケーキとしてはカステラ、バターケーキ、シフォンケーキ等があげられる。
【0019】
また、本発明で使用するパンとしては食パン・菓子パン・フランスパン・ライ麦パン、デニッシュ・ペストリー、イングリッシュマフィン、コーヒーケーキ、ブリオッシュ、シュトーレン、パネトーネ、クロワッサン、イーストパイ、ピタ、ナン、マフィン、蒸しパンなどがあげられ、なかでも食パンとフランスパンが好ましい。
【0020】
本発明での付着とは、菓子、ケーキまたはパンに、ペースト状組成物を片面に塗布する、またはさらに裏返してもう片面に塗布する、あるいは表面全体に塗布する等の方法があげられる。
【0021】
また別の方法として、菓子、ケーキまたはパンを、バット等に拡げたペースト状組成物に片面、さらにまたは裏返してもう片面を漬ける、完全に潜没させる等の方法があげられる。
【0022】
なお、ここで、上記の水中油型乳化組成物に含まれる澱粉粒子の粒径が30μm以下であると、加熱調理時にペースト状組成物の粘度が高く、ペースト状組成物が十分な流動性をもって、菓子、ケーキまたはパンに浸透せず、バッター液浸透層が表面部分に留まり、ソフトでしっとりとしたフレンチトースト様食品が得られない。尚、上記澱粉粒子の粒径の上限は、200μm以下とする。
【0023】
また、上記の水中油型乳化組成物1ml中に、上記の粒径が30μmより大きい澱粉粒子が、好ましくは1×10個以上1×10個未満、さらに好ましくは5×10個以上5×10個未満存在するものであるのがよい。さらに、上記の粒径が50μmより大きい澱粉粒子が、上記の水中油型乳化組成物1ml中に、好ましくは7×10個以上7×10個未満、さらに好ましくは3×10個以上4×10個未満存在するものであるのが望ましい。
【0024】
上記澱粉粒子の粒径と数の測定は、例えば以下のような方法により測定する。
【0025】
まず、血球計測器であるJIS規格品の中央に多数の0.0025mmの区画があるスライドグラスとカバーグラスを用意する。上記スライドグラスにヨウ素水溶液にて澱粉粒子を着色した水中油型乳化組成物または水中油型乳化組成物の希釈液(試料)を縦15区画×横15区画=225区画中に1〜3個程度の澱粉粒子が顕微鏡下で認められる程度になるように入れ、その225区画内にある澱粉粒子の粒径と粒径が30μmより大きい澱粉粒子数を測定する。ちなみにスライドグラスの1区画あたりの容積はスライドグラスとカバーグラスとの間に0.1mm厚の空間ができるので、0.00025mmである。このような一連の測定を同一試料について50回行い、平均をとることにより、得られた値を澱粉粒子の粒径と数とする。同様の手段により50μmより大きい澱粉粒子の粒径と数を測定する。
【0026】
また、上記澱粉粒子の粒径とは、澱粉粒子の形状が球体であればその直径を指すものであり、楕円体であればその長径と短径の平均を表すものとする。
【0027】
次に上記水中油型乳化組成物で用いることができる配合材料について説明する。
澱粉としては、上記の水中油型乳化組成物中において粒径が30μmより大きいものとなる澱粉を用いる。上記の粒径が30μmより大きいものとなる澱粉としては、上記の水中油型乳化組成物中において粒径が30μmより大きいものとなる澱粉であればどのような澱粉でも構わないが、例えば馬鈴薯由来の澱粉や、馬鈴薯澱粉の化工澱粉、各種餡類等が挙げられ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
【0028】
上記の化工澱粉とは、エステル化、エーテル化、リン酸架橋、アセチル化、ヒドロキシプロピル化等の化学変性処理をした澱粉や、アルファ化処理等の物理変性処理をした澱粉をいい、これらは単独又は2種以上組合わせて用いることができる。また、上記処理方法を2種以上重複して施した化工澱粉を用いても良い。
【0029】
上記の各種餡類としては、小豆、大豆、枝豆、いんげん豆、えんどう豆、そら豆等の豆類等から作られたものが挙げられる。
【0030】
上記水中油型乳化組成物中、上記の粒径が30μmより大きいものとなる澱粉の含有量は、好ましくは0.3〜15重量%、さらに好ましくは1〜10重量%、最も好ましくは3〜8重量%である。
【0031】
上記水中油型乳化組成物は、ゲル融点が37℃以上であり、熱可逆的にゲル化する。このような性質を付与するためゲル化剤としては、寒天、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ペクチン、ジェランガム、カラギーナン、グルコマンナン等の中から選ばれた1種又は2種以上を用いる。
上記水中油型乳化組成物では、上記ゲル化剤のうち、特にキサンタンガムとローカストビーンガムとを併用するのが好ましい。キサンタンガムとローカストビーンガムとを併用する場合の両者の配合比率は、重量比率で、好ましくはキサンタンガム:ローカストビーンガム=30:70〜70:30、さらに好ましくは40:60〜60:40、最も好ましくは45:55〜55:45である。
【0032】
上記水中油型乳化組成物中の上記ゲル化剤の含有量は、好ましくは0.001〜2重量%、さらに好ましくは0.001〜1重量%、最も好ましくは0.001〜0.7重量%である。上記水中油型乳化組成物は、油脂を好ましくは1〜50重量%、さらに好ましくは3〜35重量%、最も好ましくは5〜20重量%含有する。
【0033】
また、上記水中油型乳化組成物は、水道水や天然水等を好ましくは30〜80重量%、さらに好ましくは40〜75重量%、最も好ましくは45〜70重量%含有する。
【0034】
上記水中油型乳化組成物で用いる油脂としては、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、菜種油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、牛脂、乳脂、豚脂、カカオ脂、魚油、鯨油、乳脂、バターオイル等の各種植物油脂、動物油脂ならびにこれらを水素添加、分別およびエステル交換から選択される一または二以上の処理を施した加工油脂、油脂を含有する乳製品および/または乳製品類似食品があげられる。上記油脂のうち、油脂を含有する乳製品および/または乳製品類似食品を用いるのが好ましく、特に油脂として油脂を含有する乳製品および/または乳製品類似食品のみを用いるのが好ましい。
【0035】
上記の油脂を含有する乳製品および/または乳製品類似食品としては、生クリーム、ホイップクリーム、クリームチーズ、マスカルポーネ、生乳、牛乳、特別牛乳、生山羊乳、殺菌山羊乳、生めん羊乳、部分脱脂乳、加工乳、クリーム、チーズ、バター、濃縮ホエイ、アイスクリーム類、濃縮乳、無糖れん乳、加糖れん乳、全粉乳、クリームパウダー、加糖粉乳、調製粉乳、はっ酵乳、乳酸菌飲料、乳飲料、豆乳、豆乳加工品等があげられ、これらの中から選ばれた1種または2種以上を用いることができる。
【0036】
また、上記の油脂を含有する乳製品及び/又は乳製品類似食品としては、好ましくは油分が3〜85重量%、さらに好ましくは油分が3〜70重量%、最も好ましくは油分が3〜60重量%である乳製品及び/又は乳製品類似食品を用いる。
【0037】
上記水中油型乳化組成物では、上記の油脂を含有する乳製品及び/又は乳製品類似食品として、生クリーム、クリームチーズ及びマスカルポーネの中から選ばれた1種又は2種以上を用いるのが好ましい。特に生クリーム、クリームチーズ、マスカルポーネを冷凍処理したものを用いるのが好ましい。冷凍処理を施すことにより上記乳製品中の蛋白質が変性し、ポリペプチド鎖の疎水性官能基が分子表面に露出して遊離状態になるため、解凍後に蛋白質分子間架橋結合が生成し易い状態になり、これによって豊かな乳風味を有する水中油型乳化組成物となると考えられる。冷凍変性をさせるために、冷凍期間は7日間〜24ヶ月であることが望ましい。該冷凍期間が7日間より短いと、冷凍変性が不十分なため、その含有効果が十分に得られず、また24ヶ月を越えると、冷凍変性が過度となり溶解、乳化が困難となる。また、冷凍温度は−10℃以下とするのが望ましい。
【0038】
上記の油脂を含有する乳製品及び/又は乳製品類似食品は、上記水中油型乳化組成物中の油分が好ましくは1〜50重量%、さらに好ましくは3〜35重量%、最も好ましくは5〜20重量%となるように用いる。
【0039】
上記水中油型乳化組成物は、糖類を含有することができる。斯かる糖類としては、例えば、上白糖、グラニュー糖、粉糖、ブドウ糖、果糖、蔗糖、麦芽糖、乳糖、酵素糖化水飴、還元澱粉糖化物、異性化液糖、蔗糖結合水飴、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロース、還元乳糖、ソルビトール、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、ステビア、アスパルテーム、はちみつ等があげられ、これらの中から選ばれた1種または2種以上を用いることができる。上記水中油型乳化組成物は、上記糖類を好ましくは0〜40重量%、さらに好ましくは1〜30重量%、最も好ましくは3〜25重量%含有するのがよい。
【0040】
上記水中油型乳化組成物は、乳化剤としてはレシチン等の天然の乳化剤や、以下に示した合成乳化剤を使用することができる。合成乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド等が挙げられる。上記水中油型乳化組成物は、上記乳化剤を好ましくは0〜2重量%含有するのがよい。しかし、上記水中油型乳化組成物では、風味や、また消費者の間に広まっている天然志向に応える意味で、上記の合成乳化剤を用いないほうがより好ましく、さらに好ましくは乳化剤を用いないのがよい。
【0041】
また、上記水中油型乳化組成物は、メタリン酸塩、ポリリン酸塩、ピロリン酸塩等のリン酸塩を用いてもよいが、消費者の間に広まっている天然志向に応える意味で、上記のリン酸塩を用いないのが好ましい。
【0042】
上記水中油型乳化組成物には、粒径が30μm以下の澱粉を用いることができる。上記の粒径が30μm以下の澱粉としては、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、タピオカ澱粉、米澱粉、小麦澱粉、馬鈴薯澱粉、サゴヤシ澱粉等が挙げられる。上記水中油型乳化組成物は、上記の粒径が30μm以下の澱粉を好ましくは0〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜5重量%、最も好ましくは1〜3重量%含有する。
【0043】
上記水中油型乳化組成物には、油脂を含有しない乳製品を用いることができる。上記の油脂を含有しない乳製品としては、脱脂乳、脱脂濃縮乳、糖脱脂れん乳、加糖脱脂れん乳、脱脂粉乳、ホエイパウダー、蛋白質濃縮ホエイパウダー、バターミルクパウダー、カゼインカルシウム、カゼインナトリウム、カゼインカリウム、カゼインマグネシウム、ホエープロテインコンセートレート、トータルミルクプロテイン等が挙げられる。上記水中油型乳化組成物は、上記の油脂を含有しない乳製品を好ましくは0〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜5重量%、最も好ましくは1〜3重量%含有する。
【0044】
上記水中油型乳化組成物には、卵製品を用いることができる。上記の卵製品としては、生卵黄、液卵黄、殺菌卵黄、加塩卵黄、加糖卵黄及び酵素処理卵黄等が挙げられる。上記水中油型乳化組成物は、上記の卵製品を好ましくは0〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜7重量%、最も好ましくは1〜5重量%含有する。上記水中油型乳化組成物には、その種類や食味に応じ、通常の上記水中油型乳化組成物に使用される材料を配合できる。例えば、チーズ、チョコレート等を配合できる。
【0045】
上記水中油型乳化組成物に用いるチョコレートの例としては、ガナッシュ、クーベルチュール、チョコレートソース、カカオマスおよびカカオ製品等が挙げられ、チョコレートの配合量は、好ましくは5〜50重量%、さらに好ましくは10〜40重量%、最も好ましくは10〜30重量%である。
上記水中油型乳化組成物に用いるチーズの例としては、特に制限はなくナチュラルチーズでもプロセスチーズでも問題なく使用できる。チーズの配合量は、好ましくは5〜50重量%、さらに好ましくは7〜35重量%、最も好ましくは7〜20重量%である。
【0046】
また、上記水中油型乳化組成物は、その他の材料として無機塩及び有機酸塩、ゼラチン、グリシン、コーヒー及びコーヒー製品、果汁、ジャム、ナッツ加工品、その他各種食品素材全般、着香料、調味料等の呈味成分、着色料、保存料、酸化防止剤、pH調整剤等の中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。上記水中油型乳化組成物は、上記のゼラチンを好ましくは0〜2重量%、さらに好ましくは0.05〜1重量%、最も好ましくは0.1〜0.5重量%含有する。
【0047】
上述した、粒径が30μm以下の澱粉、油脂を含有しない乳製品、卵製品及びゼラチンの中から選ばれた1種類又は2種類以上を、それぞれ上述した範囲内の量で適宜選択して配合することで、熱可逆的にゲル化することにより形成されるゲル骨格を阻害し、食感の調整をすることができる。
【0048】
次に上記水中油型乳化組成物の製造方法について説明する。
上記水中油型乳化組成物を製造するには、まず、配合油脂の融点以上で、且つ水中油型乳化組成物のゲル化開始温度以下の温度で、全原料を混合攪拌して予備乳化物を調製する。尚、配合油脂の融点以上とは、上記水中油型乳化組成物の配合において、例えば、植物油脂を用いた水中油型乳化物と生クリームを油脂として用いる場合は、植物油脂と生クリーム中の乳脂のうち、融点が高い方の油脂の融点以上とする。
【0049】
例えば、水中油型乳化組成物の油脂として生クリームのみを用い、ゲル化剤としてキサンタンガムとローカストビーンガムとを併用した場合、生クリームの品質にもよるが、配合油脂の融点は、28〜33℃程度であり、また水中油型乳化組成物のゲル化開始温度は、水中油型乳化組成物のゲル化剤対水濃度、糖度、その他の配合材料等の影響にもよるが、50〜60℃程度である。ここでいう水中油型乳化組成物のゲル化開始温度は、溶融状態にある水中油型乳化組成物の温度を下げていったときに、ゲル化が開始する温度のことを示している。
【0050】
全原料を混合攪拌する際、油脂を使用する場合は、油脂及び必要により油溶性成分を含有する油相と、水及び必要により乳製品、砂糖、水溶性成分を含有する水相とを混合、攪拌し、予備乳化物を調製する。また、油分として油脂を含有する乳製品及び/又は乳製品類似食品のみを使用し、油脂を使用しない場合は、水に、油脂を含有する乳製品及び/又は乳製品類似食品並びに必要により砂糖及び水溶性成分を混合、攪拌し、予備乳化物を調製する。
【0051】
上記の予備乳化物を調製する際、澱粉やゲル化剤は、水相及び/又は油相に添加することが可能であり、また水相と油相とを予備乳化した後、予備乳化物に添加することも可能である。本発明では、上記の澱粉やゲル化剤は、水相と油相とを予備乳化した後、予備乳化物に添加することが好ましい。この場合、上記の澱粉やゲル化剤の一部を水相及び/又は油相に添加し、残りの澱粉やゲル化剤を、水相と油相とを予備乳化した後、予備乳化物に添加してもよい。上記の澱粉やゲル化剤を、水相と油相とを予備乳化した後、予備乳化物に添加せず、上記の澱粉やゲル化剤を水相及び/又は油相に添加した後、予備乳化物を製造すると、予備乳化物を均一に攪拌しにくく、均一に乳化させにくくなる。
【0052】
また、上記ゲル化剤を、水相と油相とを予備乳化した後、予備乳化物に添加する場合、上記ゲル化剤を糖類等の水によく溶ける原料と混合して、予備乳化物に添加することにより、上記ゲル化剤がダマになるのを防止することができる。
【0053】
本発明では、上記の澱粉やゲル化剤を添加した後は均質化処理を行わないことが好ましい。これは均質化処理により、澱粉粒子が破壊されたり、ゲル化剤のゲル化力が低下しやすいためである。均質化が必要な場合は、上記ゲル化剤を添加する前に行うことが好ましい。均質化処理機としては、ホモゲナイザー、ホモミキサー、コロイドミル等が挙げられる。尚、本発明では、製造の全工程を通じて均質化処理を行わないことが好ましい。
【0054】
次いで、上記予備乳化物を、水中油型乳化組成物のゲル融点以上の温度で殺菌又は滅菌する。ここでいう水中油型乳化組成物のゲル融点とは、ゲル化した水中油型乳化組成物が融け始める温度を示している。例えば、ゲル化剤としてキサンタンガムとローカストビーンガムとを併用した場合、水中油型乳化組成物のゲル融点は、水中油型乳化組成物のゲル化剤対水濃度、糖度、その他の配合材料等の影響にもよるが、50〜60℃程度である。
【0055】
上記殺菌又は滅菌は、インジェクション式、インフージョン式等の直接加熱方式、あるいはプレート式・チューブラー式・掻き取り式等の間接加熱方式を用いたUHT・HTST・バッチ式、レトルト、マイクロ波加熱等の加熱滅菌若しくは加熱殺菌処理、あるいは直火等の加熱調理により行うことができ、UHTによる加熱滅菌若しくは加熱殺菌を行うのが好ましい。
【0056】
そして、上記の殺菌又は滅菌後、水中油型乳化組成物のゲル化開始温度以上の温度で容器に充填した後、水中油型乳化組成物のゲル化開始温度以下の温度まで冷却することにより、本発明の水中油型乳化組成物が得られる。上記の容器への充填は、無菌充填をはじめとする衛生的な充填手法で行うのが好ましい。
【0057】
尚、上記水中油型乳化組成物の製造方法において、ゲル化開始温度と、ゲル融点という言葉を用いているが、一般的にこの2つの温度が異なっている場合が多いことがわかっている。また上記水中油型乳化組成物は、必要により、冷蔵若しくは冷凍状態で保存してもよい。
【0058】
次に本発明のペースト状組成物の配合および製法について述べる。
本発明のペースト状組成物における上記水中油型乳化組成物の含有量は、好ましくは30〜100重量%、更に好ましくは40〜100重量%、最も好ましくは50〜100重量%である。ペースト状組成物における上記水中油型乳化組成物の含有量が30%未満であると、水中油型乳化組成物の熱可逆性ゲルの効果がペースト状組成物において見とめられない。
【0059】
本発明のペースト状組成物には、効果に影響のない範囲において、粘度調整や風味の調整の目的で、以下のような食品素材を用いることができる。例えば、強力粉、薄力粉、中力粉等の穀粉類、マーガリン、ショートニング、バター等の油脂類、上白糖、グラニュー糖、粉糖、ブドウ糖、果糖、蔗糖、麦芽糖、乳糖、酵素糖化水飴、還元澱粉糖化物、異性化液糖、蔗糖結合水飴、オリゴ糖、還元糖ポリデキストロース、還元乳糖、ソルビトール、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノースオリゴ糖、ステビア、アスパルテーム、はちみつ等の糖類、全卵、卵黄、卵白、乾燥卵、乾燥卵黄、乾燥卵白等の卵類、原料アルコール、焼酎、ウオッカやブランデー等の蒸留酒、ワイン、日本酒、ビール等の醸造酒、各種リキュール、純生クリーム、ホイップ用クリーム(コンパウンドクリーム)、植物性ホイップ用クリーム、チョコレート・ガナッシュ・カスタード風味のホイップ用クリーム等のクリーム類及びこれらのクリーム類をホイップしたもの、ケーキ用起泡剤、水、牛乳、全粉乳、脱脂粉乳、調製粉乳、発酵乳、ヨーグルト、練乳、加糖練乳、全脂練乳、脱脂練乳、濃縮乳等の乳製品、ココナッツミルク、豆乳、寒天、カラギーナン、ファーセルラン、タマリンド種子多糖類、タラガム、カラヤガム、ペクチン、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、トラガントガム、グアーガム、ローカストビーンガム、プルラン、ジェランガム、アラビアガム、ゼラチン、澱粉等の増粘安定剤、食塩、塩化カリウム等の塩味剤、酢酸、乳酸、グルコン酸等の酸味料、β−カロチン、カラメル、紅麹色素等の着色料、トコフェロール、茶抽出物等の酸化防止剤、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン酢酸脂肪酸エステル、グリセリン乳酸脂肪酸エステル、グリセリンコハク酸脂肪酸エステル、グリセリンジアセチル酒石酸脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ショ糖酢酸イソ酪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、ステアロイル乳酸ナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノグリセリド、レシチン等の乳化剤、小麦蛋白や大豆蛋白といった植物蛋白、着香料、調味料、pH調整剤、食品保存料、日持ち向上剤、果実、果汁、ジャム、フルーツソース、コーヒー、ナッツペースト、ココアマス、ココアパウダー、チョコレート、チョコレートペースト、抹茶、紅茶、香辛料、穀類、ハーブ、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の食品素材、コンソメ、ブイヨン、食品添加物等が挙げられる。
【0060】
本発明のペースト状組成物を製造するには、上記水中油型乳化組成物に加え、必要に応じ、上記の、粘度調整や風味の調整の目的で添加する各種食品素材をミキサー等を用いて混合することによって得られる。
【0061】
次に本発明のフレンチトースト様食品の製造方法について述べる。
本発明のフレンチトースト様食品の製造方法は、従来のフレンチトースト製造の際に用いられる浸漬液の代わりに、本発明の粒径が30μmより大きい澱粉粒子を含み、且つ融点が37℃以上の熱可逆性ゲルによってゲル化している水中油型乳化組成物を含有するペースト状組成物を使用する以外は、通常の方法でよく、特に限定されない。
【0062】
例えば、本発明のペースト状組成物を菓子、ケーキまたはパンに付着させる場合、菓子、ケーキまたはパンに吸収させるのに必要な量だけを塗布する方法、あるいは、バット等に本発明の水中油型乳化組成物を拡げ、菓子、ケーキまたはパンを浸漬する方法等がある。この際に、ペースト状組成物を人肌の温度程度まで加温すると作業性が良好となる。
【0063】
本発明のペースト状組成物は熱可逆的にゲル化する水中油型乳化組成物を含有するため、付着時にペースト状であっても、後の加熱調理時に液状化し、菓子、ケーキまたはパンの内相にまで吸収させることができる。ペースト状組成物を吸収させたパンを加熱調理する方法としては一般的な方法でよく、例えば、ホットプレートやオーブンやジェットオーブンで焼成、フライパン等で加熱、蒸し器で蒸す、あるいはマイクロ波により加熱する等の方法がある。
【0064】
本発明のフレンチトースト様食品の加熱条件は、フレンチトースト様食品の種類によって異なるが、好ましくは120〜240℃で、さらに好ましくは130〜210℃、さらに最も好ましくは、140〜180℃である。
【0065】
本発明のフレンチトースト様食品を得る際の、菓子、ケーキ、パンへの付着量は、菓子、ケーキ、又はパン100重量部に対し、好ましくは30〜300重量部、さらに好ましくは40〜200重量部、最も好ましくは50〜120重量部である。30重量部以下であると、付着した食味が淡く、フレンチトースト様食品の様相を呈さない食品であり、300重量部を超えるとフレンチトースト様食品の保型性が悪くなりすぎ、手で持って食することができないくらいの柔らかい食品となってしまう。
【0066】
ここで得られた本発明のフレンチトースト様食品は、生の卵類を大量に使用せずとも、粒径が30μmより大きい澱粉粒子を含み、且つ融点が37℃以上であり、熱可逆的にゲル化する水中油型乳化組成物を含有するペースト状組成物を使用することにより、浸漬後、あるいは、塗布時にペースト状であっても、加熱調理時に液状となって菓子、ケーキまたはパンに染み込むため、大変使いやすく、ソフトでしっとりとし、食感が大変良好である。
【0067】
また、本発明のフレンチトースト様食品は、熱可逆的にゲル化する水中油型乳化組成物を含有するため、加熱調理後の冷却により、染み込んだ菓子、ケーキまたはパンの中で再度ゲル化するため、ソフトで口溶けがよいにもかかわらず、手でもって食せるほどの保型性を示す。
【0068】
また、本発明のフレンチトースト様食品の製造時において、菓子、ケーキまたはパンにペースト状組成物を付着させた段階、あるいは最終製品である加熱後のフレンチトースト様食品を、冷凍や冷蔵で保存することももちろん可能である。そして、解凍、加熱、あるいは再加熱時に、オーブンや電子レンジで再加熱しても本発明の熱可逆性ゲルの効果により、簡便にフレンチトースト様食品を得ることができる。
【0069】
【実施例】
以下に実施例および比較例をあげて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
【0070】
(水中油型乳化組成物Aの調製)
50℃に調温したパーム油4.7重量部を油相とし、水56.3重量部にカスタード香料0.3重量部を添加し、50℃に昇温して攪拌しながらクリーム(油分47重量%を含有、融点31℃)15重量部を添加して調製した水相とを予備乳化し、予備乳化物を調製した。そして、この予備乳化物に、リン酸架橋馬鈴薯澱粉3.5重量部と、あらかじめ砂糖20重量部、キサンタンガム0.1重量部およびローカストビーンガム0.1重量部を混合しておいたものを添加し、混合した。
【0071】
次いで、上記予備乳化物をクレハ式超高温瞬間殺菌装置[呉羽テクノエンジ(株)製]を用いて139℃まで加熱殺菌し、これを60℃まで冷却し、充填温度60℃でバッグインボックス型容器に無菌充填し、これを冷蔵庫中で5℃まで冷却して、水中油型乳化組成物Aを得た。
【0072】
得られた水中油型乳化組成物Aの粒径が30μmより大きい澱粉粒子の数は1.1×10個/ml、粒径が50μmより大きい澱粉粒子の数は7.7×10個/mlであり、油分は11.8重量%、配合油脂の融点は35℃、ゲル化開始温度は55℃、ゲル融点は57℃であった。
【0073】
(水中油型乳化組成物Bの調製)
水46重量部と卵黄5重量部とカスタード香料0.3重量部を50℃に昇温して攪拌しながら、クリーム(油分47重量%含有、融点31℃)25重量部を添加し、予備乳化物を調製した。そして、この予備乳化物に、リン酸架橋馬鈴薯澱粉3.5重量部と、あらかじめ砂糖20重量部、キサンタンガム0.1重量部およびローカストビーンガム0.1重量部を混合しておいたものを添加し、混合した。
【0074】
次いで、上記予備乳化物をクレハ式超高温瞬間殺菌装置[呉羽テクノエンジ(株)製]を用いて139℃まで加熱殺菌し、これを60℃まで冷却し、充填温度60℃でバッグインボックス型容器に無菌充填し、これを冷蔵庫中で5℃まで冷却して、水中油型乳化組成物Bを得た。
【0075】
得られた水中油型乳化組成物Bの粒径が30μmより大きい澱粉粒子の数は1.1×10個/ml、粒径が50μmより大きい澱粉粒子の数は7.7×10個/mlであり、油分は13.0重量%、配合油脂の融点は31℃、ゲル化開始温度は55℃、ゲル融点は57℃であった。
【0076】
(水中油型乳化組成物Cの調製)
50℃に調温したパーム油4.7重量部にカカオマス3重量部とチョコレートフレーバー0.3重量部を添加混合した油相と、水53.3重量部を50℃に昇温して攪拌しながらクリーム(油分47重量%含有、融点31℃)15重量部を添加して調製した水相とを予備乳化し、予備乳化物を調製した。そして、この予備乳化物に、リン酸架橋馬鈴薯澱粉3.5重量部と、あらかじめ砂糖20重量部、キサンタンガム0.1重量部およびローカストビーンガム0.1重量部を混合しておいたものを添加し、混合した。
【0077】
次いで、上記予備乳化物をクレハ式超高温瞬間殺菌装置[呉羽テクノエンジ(株)製]を用いて139℃まで加熱殺菌し、これを60℃まで冷却し、充填温度60℃でバッグインボックス型容器に無菌充填し、これを冷蔵庫中で5℃まで冷却して、水中油型乳化組成物Cを得た。
【0078】
得られた水中油型乳化組成物Cの粒径が30μmより大きい澱粉粒子の数は1.1×10個/ml、粒径が50μmより大きい澱粉粒子の数は7.7×10個/mlであり、油分は13.4重量%、配合油脂の融点は35℃、ゲル化開始温度は55℃、ゲル融点は57℃であった。
【0079】
(水中油型乳化組成物Dの調製)
水63.15重量部を50℃に昇温して攪拌しながら、チーズ香料0.3重量部を添加し、さらに冷凍処理したクリームチーズ(クリームチーズを3ヶ月冷凍保存したもので、油分60重量部、融点31℃)30重量部を添加して、予備乳化物を調製した。そして、この予備乳化物をホモジナイザーH−20型(三和機械(株)製)によって、1段目150kg/cm、2段目10kg/cmにて均質化処理を行った。そして、この予備乳化物に、リン酸架橋馬鈴薯澱粉4重量部と、あらかじめコーンスターチ2重量部、ゼラチン0.25重量部、キサンタンガム0.15重量部及びローカストビーンガム0.15重量部を混合しておいたものを添加し、混合した。
【0080】
次いで、上記予備乳化物をクレハ式超高温瞬間殺菌装置[呉羽テクノエンジ(株)製]を用いて139℃まで加熱殺菌し、これを60℃まで冷却し、充填温度60℃でバッグインボックス型容器に無菌充填し、これを冷蔵庫中で5℃まで冷却して、水中油型乳化組成物Dを得た。
【0081】
得られた水中油型乳化組成物Dの粒径が30μmより大きい澱粉粒子の数は1.1×10個/ml、粒径が50μmより大きい澱粉粒子の数は7.7×10個/mlであり、油分は18重量%、配合油脂の融点は35℃、ゲル化開始温度は55℃、ゲル融点は57℃であった。
【0082】
(自家製カスタードの調製)
牛乳61.3重量部、上白糖18.4重量部、薄力粉2.4重量部、コーンスターチ2.5重量部、卵黄15.4重量部を均一に混合後、加熱し、沸騰させた後十分冷却し、自家製カスタードを得た。
(フレンチトースト用浸漬液の調製)
牛乳70重量部、グラニュー糖15重量部、卵黄15重量部を均一に混合した。
【0083】
(実施例1 フレンチトースト様食品1の調製)
フランスパン(パリジャン)を25℃の部屋にて12時間、袋をかけずに放置し乾燥させ、斜めにスライスし長径100mm短径70mm厚さ20mm(重量20g)のスライスしたフランスパンを得た。25℃においてペースト状の水中油型乳化組成物Aをそのまま本発明のペースト状組成物とし、上記スライスしたフランスパンの片面にバターナイフを用いて12g塗布した。よって、付着量はパン100重量部あたり、60重量部であった。これをジェットオーブンで240℃、5分間焼成後、10℃で1時間冷却し、本発明のフレンチトースト様食品1を得た。ここで得られたフレンチトースト様食品1はカスタード風味が良好であり、ソフトで柔らかい良好な物性を示し、かつ、手で持って食することができる十分な保型性を有していた。
【0084】
(実施例2 フレンチトースト様食品2の調製)
フランスパン(パリジャン)を25℃の部屋にて12時間、袋をかけずに放置し乾燥させ、斜めにスライスし長径100mm短径70mm厚さ20mm(重量20g)のスライスしたフランスパンを得た。水中油型乳化組成物Aをそのまま本発明のペースト状組成物とし、これをバットに、深さ2cm以上となるように投入し、33℃に調温した。ここに上記スライスしたフランスパンを片面60秒浸漬し、さらに反転して、60秒浸漬し、ペースト状組成物を付着させた。実測したところ付着量は18gであった。よって、付着量はパン100重量部あたり、90重量部であった。これをジェットオーブンで240℃、5分間焼成後、10℃で1時間冷却し、本発明のフレンチトースト様食品2を得た。ここで得られたフレンチトースト様食品2はカスタード風味が良好であり、ソフトで柔らかい良好な物性を示し、かつ、手で持って食することができる十分な保型性を有していた。
【0085】
(実施例3 フレンチトースト様食品3の調製)
フランスパン(パリジャン)を25℃の部屋にて12時間、袋をかけずに放置し乾燥させ、斜めにスライスし長径100mm短径70mm厚さ20mm(重量20g)のスライスしたフランスパンを得た。水中油型乳化組成物Bをそのまま本発明のペースト状組成物とし、これをバットに、深さ2cm以上となるように投入し、33℃に調温した。ここに上記スライスしたフランスパンを片面60秒浸漬し、さらに反転して、60秒浸漬し、ペースト状組成物を付着させた。実測したところ付着量は18gであった。よって、付着量はパン100重量部あたり、90重量部であった。これをジェットオーブンで240℃、5分間焼成後、10℃1時間冷却し、本発明のフレンチトースト様食品3を得た。ここで得られたフレンチトースト様食品3はカスタード風味が良好であり、ソフトで柔らかい良好な物性を示し、かつ、手で持って食することができる十分な保型性を有していた。
【0086】
(実施例4 フレンチトースト様食品4の調製)
フランスパン(パリジャン)を25℃の部屋にて12時間、袋をかけずに放置し乾燥させ、斜めにスライスし長径100mm短径70mm厚さ20mm(重量20g)のスライスしたフランスパンを得た。水中油型乳化組成物B80重量部に植物性ホイップクリーム20重量部をあわせ軽く混合したペースト状組成物を、バットに、深さ2cm以上となるように投入し、33℃に調温した。ここに上記スライスしたフランスパンを片面60秒浸漬し、さらに反転して、60秒浸漬し、ペースト状組成物を付着させた。実測したところ付着量は20gであった。よって、付着量はパン100重量部あたり、100重量部であった。これをジェットオーブンで240℃、5分間焼成後、10℃1時間冷却し、本発明のフレンチトースト様食品4を得た。ここで得られたフレンチトースト様食品4はカスタード風味が良好であり、ソフトで柔らかい良好な物性を示し、かつ、手で持って食することができる十分な保型性を有していた。
【0087】
(実施例5 フレンチトースト様食品5の調製)
フランスパン(パリジャン)を25℃の部屋にて12時間、袋をかけずに放置し乾燥させ、斜めにスライスし長径100mm短径70mm厚さ20mm(重量20g)のスライスしたフランスパンを得た。水中油型乳化組成物Cをそのまま本発明のペースト状組成物とし、これをバットに、深さ2cm以上となるように投入し、33℃に調温した。ここに上記スライスしたフランスパンを片面60秒浸漬し、さらに反転して、60秒浸漬し、ペースト状組成物を付着させた。実測したところ付着量は18gであった。よって、付着量はパン100重量部あたり、90重量部であった。これをジェットオーブンで240℃、5分間焼成後、10℃1時間冷却し、本発明のフレンチトースト様食品5を得た。ここで得られたフレンチトースト様食品5はチョコカスタード風味が良好であり、ソフトで柔らかい良好な物性を示し、かつ、手で持って食することができる十分な保型性を有していた。
【0088】
(実施例6 フレンチトースト様食品6の調製)
フランスパン(パリジャン)を25℃の部屋にて12時間、袋をかけずに放置し乾燥させ、斜めにスライスし長径100mm短径70mm厚さ20mm(重量20g)のスライスしたフランスパンを得た。水中油型乳化組成物A59重量部にガナッシュ139重量部、オレンジキュラソー2重量部を合わせ十分に混合したペースト状組成物を、バットに、深さ2cm以上となるように投入し33℃に加温した。ここに上記スライスしたフランスパンを片面60秒浸漬し、さらに反転して、60秒浸漬し、ペースト状組成物を付着させた。実測したところ付着量は18gであった。よって、付着量はパン100重量部あたり、90重量部であった。これをジェットオーブンで240℃、5分間焼成後、10℃1時間冷却し、本発明のフレンチトースト様食品6を得た。ここで得られたフレンチトースト様食品6はチョコカスタード風味が良好であり、ソフトで柔らかい良好な物性を示し、かつ、手で持って食することができる十分な保型性を有していた。
【0089】
(実施例7 フレンチトースト様食品7の調製)
フランスパン(パリジャン)を25℃の部屋にて12時間、袋をかけずに放置し乾燥させ、斜めにスライスし長径100mm短径70mm厚さ20mm(重量20g)のスライスしたフランスパンを得た。水中油型乳化組成物Dをそのまま本発明のペースト状組成物とし、これをバットに、深さ2cm以上となるように投入し、33℃に調温した。ここに上記スライスしたフランスパンを片面60秒浸漬し、さらに反転して、60秒浸漬し、ペースト状組成物を付着させた。実測したところ付着量は19gであった。よって、付着量はパン100重量部あたり、95重量部であった。これをジェットオーブンで240℃、5分間焼成後、10℃1時間冷却し、本発明のフレンチトースト様食品7を得た。ここで得られたフレンチトースト様食品7はチーズ風味が良好であり、ソフトで柔らかい良好な物性を示し、かつ、手で持って食することができる十分な保型性を有していた。
【0090】
(比較例1 フレンチトースト様食品8の調製)
フランスパン(パリジャン)を25℃の部屋にて12時間、袋をかけずに放置し乾燥させ、斜めにスライスし長径100mm短径70mm厚さ20mm(重量20g)のスライスしたフランスパンを得た。実施例2の水中油型乳化組成物Aを自家製カスタードに置き換えた以外は同一の配合と製法により、比較例のフレンチトースト様食品8を得た。実測したところ付着量は21gであった。よって、付着量はパン100重量部あたり、105重量部であった。このフレンチトースト様食品8は、表面は焦げ、中心部はもとのフランスパンの組織がそのまま残っており、硬くて、フレンチトーストとは言えない食品となってしまった。
【0091】
(比較例2 フレンチトースト様食品9の調製)
フランスパン(パリジャン)を25℃の部屋にて12時間、袋をかけずに放置し乾燥させ、斜めにスライスし長径100mm短径70mm厚さ20mm(重量20g)のスライスしたフランスパンを得た。実施例2の水中油型乳化組成物Aをフレンチトースト用浸漬液に置き換えた以外は同一の配合と製法により、比較例のフレンチトースト様食品9を得た。実測したところ付着量は15gであった。よって、付着量はパン100重量部あたり、75重量部であった。このフレンチトースト様食品9は大変美味ではあったが、手で持つと大きくしなり、保型性がなかった。
【0092】
【発明の効果】
本発明のフレンチトースト様食品は、卵類の熱凝固性を利用せずとも、粒径が30μmより大きい澱粉粒子を含有し、且つ融点が37℃以上の熱可逆性ゲルによってゲル化している水中油型乳化組成物を使用することにより、加熱調理時に液状となって菓子、ケーキまたはパンに染み込むため、大変使いやすく、ソフトでしっとりとした食感でありながら且つ、熱可逆性ゲルであるため、加熱後の冷却により、手でもって食せるほどの保型性を示すフレンチトースト様食品を簡便に得ることが出来る。

Claims (3)

  1. 菓子、ケーキまたはパンに、粒径が30μmより大きい澱粉粒子を含み、且つ融点が37℃以上の熱可逆性ゲルによってゲル化している水中油型乳化組成物を含有するペースト状組成物を付着させたのち、加熱したことを特徴とするフレンチトースト様食品の製造方法。
  2. 上記の水中油型乳化組成物1ml中に、粒径が30μmより大きい澱粉粒子が、1×10個以上1×10個未満存在する請求項1記載のフレンチトースト様食品の製造方法。
  3. チョコレート、及び/又はチーズを含む水中油型乳化組成物を使用することを特徴とする請求項1または2記載のフレンチトースト様食品の製造方法。
JP2002246053A 2002-08-27 2002-08-27 フレンチトースト様食品の製造方法 Pending JP2004081091A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002246053A JP2004081091A (ja) 2002-08-27 2002-08-27 フレンチトースト様食品の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002246053A JP2004081091A (ja) 2002-08-27 2002-08-27 フレンチトースト様食品の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004081091A true JP2004081091A (ja) 2004-03-18

Family

ID=32054028

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002246053A Pending JP2004081091A (ja) 2002-08-27 2002-08-27 フレンチトースト様食品の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2004081091A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009017816A (ja) * 2007-07-11 2009-01-29 Nisshin Foods Kk 卵含有層を有する小麦粉焼成品およびその製造方法
JP2017000123A (ja) * 2015-06-16 2017-01-05 オリエンタル酵母工業株式会社 フレンチトースト用品質改良剤、フレンチトースト用調味液の製造方法、並びにフレンチトースト及びその製造方法
JP2019092438A (ja) * 2017-11-22 2019-06-20 株式会社Adeka フレンチトースト様食品

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009017816A (ja) * 2007-07-11 2009-01-29 Nisshin Foods Kk 卵含有層を有する小麦粉焼成品およびその製造方法
JP4690365B2 (ja) * 2007-07-11 2011-06-01 日清フーズ株式会社 卵含有層を有する小麦粉焼成品およびその製造方法
JP2017000123A (ja) * 2015-06-16 2017-01-05 オリエンタル酵母工業株式会社 フレンチトースト用品質改良剤、フレンチトースト用調味液の製造方法、並びにフレンチトースト及びその製造方法
JP2019092438A (ja) * 2017-11-22 2019-06-20 株式会社Adeka フレンチトースト様食品

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2008253146A (ja) 焼プリン用ミックス液
JP4535654B2 (ja) 水中油型乳化組成物の製造方法
JP2011244735A (ja) プリン練り込み用水中油型乳化油脂組成物
JP2003102404A (ja) 食品の品質改良剤
JP2011223899A (ja) フラワーペースト類
JP7103732B2 (ja) 水中油型乳化油脂組成物
JP2004298061A (ja) ゲル状の水中油型乳化組成物およびその製造方法
JP4883856B2 (ja) 食品の製造方法
JP3519637B2 (ja) 食感改良用乳化組成物
JP2010075138A (ja) パン生地
JP3428361B2 (ja) カスタードクリームプレミックス及びその製造方法
JP4443081B2 (ja) 白色パン用生地
JP2006320269A (ja) ペースト状食品
JP2004081091A (ja) フレンチトースト様食品の製造方法
JP7157553B2 (ja) シュー用油脂組成物
JP7157524B2 (ja) 水中油型乳化油脂組成物及びこれを含有するベーカリー用フィリング材の製造方法
JP2010075136A (ja) フレンチトースト様食品の製造方法
JP2004081092A (ja) フォンデュソース
JP2003009797A (ja) 水中油型乳化組成物の製造方法
JP2003135015A (ja) 加熱食品用クリーム類
JP2004073119A (ja) 膜状食品
JP2004073120A (ja) ベーカリー食品
JP6989362B2 (ja) フレンチトースト様食品
JP2019195277A (ja) フィリング類
JP2019187275A (ja) 焼菓子生地及び焼菓子